説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体

【課題】ユーザの意図しない異常な出力を検出して出力を停止することにより、無駄な記録媒体、トナー、インク及び電力等の消費を抑制する画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】原稿画像を読み取って原稿画像情報を取得する画像読取部10と、原稿画像の出力設定がなされた後であって、原稿画像の読み取りと略同時に異常検出用テスト画像のテスト画像情報を出力するテスト画像発生部15と、テスト画像情報の期待値を演算する演算部17と、原稿画像情報よりも先にテスト画像情報に画像処理を行う画像処理部11と、画像処理が行われたテスト画像情報とテスト画像情報の期待値とを比較して異常検査を行うテスト画像検査部16と、原稿画像情報を記録媒体に出力する画像形成部14と、を備える。テスト画像検査部16は、異常が検出された場合には、画像形成部14の動作を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検出を行う画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキャナ、FAX、プリンタ等の複数の機能を備える複写機が普及している。図5は、このような複写機における複写処理について説明するための図である。以下、図5を用いて複写機の複写処理について説明する。
【0003】
図5では、複写機における原稿画像の流れを示している。図5に示すように、まず、ユーザ等によりスキャナ部に複写をしようとする原稿がセットされる。次に、複写機は、図示しない操作部を介してユーザから所望の設定の入力を受付け、ユーザによる複写スタートキー押下等の操作をうけて、複写処理を開始する。複写処理が開始されると、スキャナ部は原稿画像を読み取る。そして、読み取られた原稿画像情報に次段の画像処理部1で設定された画像処理を行い、順次、画像処理部2、コントローラ、メモリ、コントローラ、画像処理部3、画像処理部4の順で所定の処理を行った後、プリンタ部で原稿画像を印刷する。このような処理により、ユーザは所望の複写画像を得ることができる。
【0004】
しかし、上記複写処理における一連の画像情報の流れの途中で異常が発生する場合がある。上記異常が発生した場合であって、例えば、その異常により異常画像を形成してしまった場合には、複写画像は出力されるがユーザの所望する複写画像ではないため、用紙やトナー等を無駄に消耗してしまうこととなるという課題があった。さらに、異常のリカバリを行うために、ユーザは煩雑な処理を行うことが必要となることもあり、その手間や時間が余分にかかってしまうという課題があった。また、上述したような異常画像でなくとも、異常な状態はエラーを発生させる可能性が高く、エラー発生によりユーザは所望する複写画像を得ることができないという課題があった。さらに、異常のリカバリを行うために、ユーザは煩雑な処理を行うことが必要となることもあり、その手間や時間が余分にかかってしまうという課題があった。
【0005】
上記課題を解決するために、電源オン時に、特にメモリに関し異常がないかを検査し、その後、初期化を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1)。上記特許文献1に記載の技術では、電源オン時に自動的にメモリ異常を検査するので、ユーザの手を煩わすことなく異常検査を行うことができる。しかし、上記特許文献1記載の技術では、電源オン後に発生した異常を検出することはできないという課題があった。
【0006】
上記課題を解決するために、定期的に初期化や検査を行い、異常が検出されるとその時点で回復処理を行うという技術も提案されている(例えば、特許文献2)。より詳細には、上記特許文献2に記載の技術では、装置を初期化する初期化手段や装置を診断及び異常回復する処理機能を有するとともに、初期化処理や診断及び異常回復処理を行う時間を計時する計時機能とを備え、一定の時間間隔で繰り返し初期化処理や診断及び異常回復処理を行い、ワークエリアの内容を適正な値に回復することにより、ワークエリアの内容に異常状態があっても、次の運用開始時間には、正常に装置を使用することができる。つまり、上記特許文献2記載の技術では定期的に検査を行うので、電源オン後に異常が発生した場合であっても、その異常を検出することができる。
【0007】
また、上記課題に関連して、異常画像が出力される原因となった画像処理部を特定するために、複数の画像処理部の各々からテストパターンを発生させる技術が開示されている(例えば、特許文献3)。上記特許文献3では、何れの画像処理部で異常が発生したかを1回の検査で特定することができるので、異常のリカバリに要する時間を短縮することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献2記載の技術では定期的に異常検査を実行するため、例えば、定期的に検査を行った最後の時間からからユーザが使用するまでの時間の間に、静電気等でメモリ素子が破壊されたような場合は、異常を検出することができないという課題があった。つまり、上述したような場合には、ユーザは通常の複写操作を行ったあと、異常画像やエラーではじめて不具合を知ることになる。従って、異常画像を印刷してしまった場合には、用紙やトナー、インク等が無駄になってしまうという課題があった。
【0009】
また、例えば、プリンタ部側に異常が発生している場合であっても、プリンタを使用しないスキャナのみの使用をユーザが所望する場合には、使用可能であることが多い。しかし、上記特許文献2記載の技術では、上述したように条件を限ればそのときのユーザの要求には答えることができる場合であっても、異常が検出されると一概にユーザの使用を制限してしまうため、ユーザの操作性が低下してしまうという課題もあった。
【0010】
これに対し、上記特許文献3記載の技術は、画像処理部の何れで異常が発生しているかを確定するための技術であり、画像処理部以外の異常を検出することができないという課題があった。さらに、異常画像出力を未然に防ぐことはできず、また異常画像が出力される原因となった画像処理部を特定するために用紙等に画像を出力するので、用紙やトナー、インク等を浪費してしまうという課題もあった。
【0011】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、ユーザの意図しない異常な出力を検出して出力を停止することにより、無駄な記録媒体、トナー、インク及び電力等の消費を抑制する画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像処理装置は、原稿画像を読み取って原稿画像情報を取得する画像読取手段と、異常検出用テスト画像のテスト画像情報を出力するテスト画像発生手段と、テスト画像情報の期待値を演算する演算手段と、原稿画像情報とテスト画像情報とに画像処理を行う画像処理手段と、画像処理手段により画像処理が行われたテスト画像情報とテスト画像情報の期待値とを比較して異常検査を行うテスト画像検査手段と、原稿画像情報を記録媒体に出力する画像形成手段と、を備え、テスト画像発生手段は、原稿画像の出力設定がなされた後であって画像読取手段による原稿画像の読み取りと略同時にテスト画像情報を出力し、画像処理手段は、原稿画像情報よりも先にテスト画像情報に画像処理を行い、テスト画像検査手段は、異常が検出された場合には、画像形成手段の動作を停止させることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像処理方法は、原稿画像を読み取って原稿画像情報を取得する画像読取ステップと、異常検出用テスト画像のテスト画像情報を出力するテスト画像発生ステップと、テスト画像情報の期待値を演算する演算ステップと、原稿画像情報とテスト画像情報とに画像処理を行う画像処理ステップと、画像処理ステップにより画像処理が行われたテスト画像情報とテスト画像情報の期待値とを比較して異常検査を行うテスト画像検査ステップと、原稿画像情報を記録媒体に出力する画像形成ステップと、を備え、テスト画像発生ステップは、原稿画像の出力設定がなされた後であって画像読取ステップによる原稿画像の読み取りと略同時にテスト画像情報を出力し、画像処理ステップは、原稿画像情報よりも先にテスト画像情報に画像処理を行い、テスト画像検査ステップは、異常が検出された場合には、画像形成ステップにおける原稿画像情報の記録媒体への出力を停止させることを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、原稿画像を読み取って原稿画像情報を取得する処理と、原稿画像の出力設定がなされた後であって、原稿画像の読み取りと略同時に異常検出用テスト画像のテスト画像情報を出力する処理と、テスト画像情報の期待値を演算する処理と、原稿画像情報よりも先にテスト画像情報に画像処理を行う処理と、画像処理が行われたテスト画像情報とテスト画像情報の期待値とを比較して異常検査を行い、異常が検出された場合には、原稿画像情報の記録媒体への出力を停止させる処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0015】
本発明の記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無駄な用紙、トナー、インク及び電力等の消費を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の概略構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像処理装置における複写処理例の流れを説明するための図である。
【図3】本実施形態に係る画像処理装置における複写処理例の流れを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る画像処理装置における複写処理例の流れを示す図である。
【図5】本実施形態に関連する画像処理装置における複写処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態の例について、図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
(装置構成)
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の概略構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置100は、画像読取部10、画像処理部11、制御部12、記憶部13、画像形成部14、テスト画像発生部15、テスト画像検査部16、演算部17、を備えている。尚、図1には図示していないが、操作部や表示部を備えるようにしてもよい。尚、本実施形態では、画像形成部14であるプリンタ部としてレーザプリンタを適用した場合を例にあげて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、本発明では画像形成部14としてインクジェットプリンタ部等を適用することもできる。
【0020】
画像読取部10は、ユーザ等によってセットされた原稿画像を読み取る。画像読取部10は、光源ランプ、キャリッジ、レンズ等の光学系を備えており、コンタクトガラス上の原稿画像を読み取る。本実施形態に係る画像処理装置100の画像読取部10は、例えば、キャリッジ読取方式やシートスルー読取方式等により原稿画像を読み取ることができる。キャリッジ読取方式では、キャリッジを駆動源であるモータで移動させることによって、原稿画像面の全面を読み取る。他方、シートスルー読取方式では、コンタクトガラスの上にADF(オートドキュメントフィーダ)を設け、画像読取部10のキャリッジは、読取窓上の所定位置に固定させて光源を点灯させ、ADFにより副走査方向に搬送された読取窓上の原稿の画像を読み取る。
【0021】
通常は、数枚から数十枚のシート原稿を連続して読み取る場合にはシートスルー読取方式を適用し、ADFが使用できないようなブック原稿や厚紙原稿などの場合は、キャリッジ読取方式を適用する。上述したような方式で、原稿画像の情報を光電変換し、画像信号を得る。尚、本実施形態では、ユーザによって等によってセットされた原稿画像を読み取る場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像処理装置100とネットワーク等を介して接続された情報処理装置等から原稿画像情報を受信するような場合であっても、本発明を適用することができる。
【0022】
画像処理部11は、上述したように取得した原稿画像情報に対して各種画像処理を行う。本実施形態に係る画像処理装置100は、例えば、γ補正や色補正、変倍処理、階調処理等を行う画像処理部を備えている。尚、画像処理部11が行う画像処理としては上記のものに限定されず、既知の画像処理を行うことが可能である。
【0023】
制御部12であるコントローラは、画像読取部10側の画像処理部11で画像処理を施された原稿画像情報を受信し、該原稿画像情報をメモリ等の記憶部13に記憶させる。また、制御部12は、画像処理装置の各機能の制御を行う。尚、上記のように画像処理装置100とネットワーク等を介して接続された情報処理装置等から原稿画像情報を受信するような場合は、制御部12において原稿画像情報を受信する。そして、制御部12は、上記と同様に情報処理装置等から受信した原稿画像情報をメモリ等の記憶部13に記憶させる。
【0024】
画像形成部14は、各種画像処理を施された原稿画像情報を用紙等の記録媒体に出力する。本実施形態の画像形成部14は、書込部、感光体、現像部、定着部等を備える構成とすることができる。画像形成部14では、原稿画像情報を書込部から露光されるレーザによって感光体に書き込む。そして、感光体上のレーザによる書き込みが現像部を通過することによって、トナー像が感光体表面に形成される。そして、感光体の回転と等速で搬送ベルトによって搬送される記録媒体に、感光体上のトナー像を転写する。その後、定着部にて記録媒体にトナー像を定着させることで、原稿画像を出力する。
【0025】
尚、上記では、画像形成部14であるプリンタ部としてレーザプリンタを適用した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成部14としてインクジェットプリンタ部等を適用することもできる。この場合、画像形成部14は、ガイドシャフトにキャリッジを摺動可能に保持し、主走査モータでキャリッジを用紙等の記録媒体の搬送方向と直交する方向に移動(主走査)させる構成とすることができる。キャリッジには、液滴を吐出する複数の吐出口であるノズル孔を配列した液滴吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを搭載し、また、この記録ヘッドに液体を供給するインクカートリッジを着脱自在に搭載することができる。尚、インクカートリッジに代えてサブタンクを搭載し、メインタンクからインクをサブタンクに補充供給する構成とすることもできる。
【0026】
テスト画像発生部15は、異常を検査するための画像を発生させる。尚、発生させるテスト画像は、予め設定しておくことが可能である。テスト画像はいかなる画像でもよいが、例えば、格子やストライプ等の画像を適用することが好ましい。
【0027】
テスト画像検査部16は、演算部17の演算結果から得られたテスト画像の期待値と実際に各処理が施され、画像処理部11から送信されたテスト画像とを比較することで、異常が発生しているか否かを判定する。演算部17は、各画像処理部11、制御部12、記憶部13等の設定に基づいて、テスト画像発生部15により発生されたテスト画像の期待値を演算する。尚、上記のようにテスト画像として格子やストライプ等の画像を適用した場合、各演算は容易となるので演算時間を短縮することができる。
【0028】
(複写処理)
図2は、本実施形態に係る画像処理装置100における複写処理例の流れを説明するための図である。図3は、本実施形態に係る画像処理装置100における複写処理例の流れを示すフローチャートである。以下に、本実施形態に係る画像処理装置100における複写処理例について、図2及び図3に示す図を用いて説明する。
【0029】
図2の(a)〜(e)は、本実施形態に係る画像処理装置100における複写処理での画像情報の流れを示している。図2の(a)に示すように、本実施形態に係る画像処理装置100は、画像読取部10としてスキャナ部を備え、画像処理部11として画像処理部1〜4を備えている。また、制御部12としてコントローラ部を備え、記憶部13としてメモリを備えている。また、画像形成部14としてプリンタ部を備えている。さらに、上記図5に示す画像処理装置に加え、テスト画像発生部が発生させたテスト画像と、演算部17における演算手段と、テスト画像検査部16における画像検査が図示されている。
【0030】
まず、ユーザによりスキャナ部に複写をしようとする原稿がセットされ、図示しない操作部により所望の設定が入力され、複写スタートのキーが押下される(ステップS301)。このとき各画像処理部およびコントローラ、メモリの設定はユーザ所望の設定が反映されていることは明らかであり、この状態で原稿画像情報が流れてそれぞれ処理されていくことになる。
【0031】
図2の(b)に示すように、上記のようにスキャナ部で原稿を読み取る手順が開始されると(ステップS302)、テスト画像発生部15からテスト画像が出力される(ステップS303)。その後、スキャナ部において原稿画像の読み取りなされる(ステップS304)。次に、テスト画像発生部15から出力されたテスト画像は、画像処理部1に入力され、画像処理部1により画像処理が行われる(ステップS305)。上記ステップS304の処理においてスキャナ部で読み込まれた原稿画像情報は、上記テスト画像の入力後に画像処理部1に入力され、画像処理が行われる(ステップS306)。
【0032】
尚、上記ステップS303及びステップS304の処理は並行して行うようにしてもよい。つまり、ユーザにより複写スタートキーが押下され、スキャナ部が動作を開始して原稿画像の読み込みが開始された後から原稿画像の読み込みが完了するまでの間に、画像処理部1にテスト画像情報が入力されればよい。このとき、画像処理部1の設定は原稿画像情報に対する設定であるが、原稿画像情報より先に入力されたテスト画像情報も当然その設定で処理される。同様に、図2の(c)に示すように、画像処理部1よりも後段の画像処理部、コントローラおよびメモリも原稿画像情報用の設定でテスト画像情報を処理していく。
【0033】
また、上述した動作に並行して、演算部17は、テスト画像発生部15から出力されたテスト画像情報の期待値を演算する。そして、演算部17は、演算部17において演算したテスト画像情報の期待値をテスト画像検査部16に出力する。
【0034】
次に、図2の(d)に示すように、テスト画像情報は、画像処理部4の出力の直後、つまりプリンタ部の入力直前でテスト画像検査部16に入力される(ステップS307)。そして、テスト画像検査部16は、演算部17から入力されたテスト画像情報の期待値と画像処理部4から入力されたテスト画像情報を比較し(ステップS308)、異常が発生しているか否かの判定を行う(ステップS309)。
【0035】
ここで、テスト画像情報の期待値は、テスト画像発生部15から出力される画像は予め決められたテスト画像であること、また各画像処理部、コントローラ、メモリも設定が決まっていればどのように処理がなされるか明らかであることから、最終的に得られるであろうテスト画像として演算により求めることができる。
【0036】
上記演算は演算部17で行うが、必ずしも専用回路を設けなくてもよく、例えば画像処理装置が備えるCPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specified IC)でも行うこともできる。つまり、テスト画像情報が各画像処理、コントローラ、メモリでそれぞれ処理され、画像処理部4から出力されるまでの時間に間に合えば、何れで演算を行ってもよい。ただし、上記制御部12とは別の構成が上記演算を行うことが好ましい。それは、制御部12に異常があった場合には、期待値の演算にも異常が発生し、正確な期待値を得ることができないおそれがあるためである。尚、テスト画像が格子やストライプ等の簡単な画像であれば、各演算は容易となり、演算時間を短縮することができる。
【0037】
上述したように、テスト画像検査部16は上記演算結果で得られたテスト画像情報の期待値と実際に各処理部で処理され画像処理部4から出力されたテスト画像情報とを比較し異常か否かの判定を行う。そして、図2の(e)に示すように、上記判定で異常が検出されなければ(ステップS309/YES)、後に続く原稿画像情報が画像処理部4から出力され、プリンタ部に入力される(ステップS310)。そして、プリンタ部は、原稿画像を印刷して、出力する(ステップS311)。このように、異常が発生していない場合には、ユーザは所望の出力を得ることができる。
【0038】
他方、上記判定で異常が検出された場合(ステップS309/NO)、プリンタ部の動作を停止させ(ステップS312)、テスト画像検査部16は、即異常発生割込みを発生させて原稿画像情報のプリンタ部への出力を停止させる(ステップS313)。そして、異常が発生した旨のエラー発生通知等を表示部に表示し、異常回復処理を行う(ステップS313)。また、異常回復処理は、ユーザの入力に基づいて行うようにしてもよい。尚、上記エラー発生通知方法はこれに限定されず、例えば、アラームでユーザにエラー発生を通知するようにしてもよい。上述したような動作により、ユーザが意図しない異常な出力を停止することができ、そのまま出力すると無駄になる用紙、トナーやインク電力などを抑制できる。
【0039】
尚、上記ステップS305やステップS306においてテスト画像情報や原稿画像情報に行われる画像処理の具体例を図4に示す。図4では、スキャナ部側の画像処理として、γ補正、色補正や変倍等の画像処理を行っている。また、プリンタ側の画像処理として、γ補正や階調処理等をおこなっている。
【0040】
また、画像処理装置100とネットワーク等を介して接続された情報処理装置等から原稿画像情報を受信するような場合には、原稿画像情報受信後直ちにテスト画像発生部15にテスト画像を出力させる。そして、テスト画像情報を原稿画像情報よりも先に画像処理部2以降の各部に入力するようにするとよい。
【0041】
(テスト画像)
次に、本実施形態に係る画像処理装置100の異常検査処理に好適なテスト画像について説明する。
【0042】
上述したように、テスト画像としては、テスト画像期待値演算時間を短縮するために、簡単な画像を適用することが好ましい。さらに、テスト画像の大きさは特に限定されないが、テスト画像が原稿画像と同じ大きさであることが好ましい。テスト画像と原稿画像とが同じ大きさである場合、以下に示すような利点がある。
【0043】
例えば、メモリ上に異常があった場合でもその異常が発生しているメモリ領域を使用しないのであれば、テスト画像及び原稿画像は正常に処理されるためユーザは所望の出力を得ることができる。このように、所望する出力が得られるのにも関わらず、メモリ上に異常があるという理由からシステムを異常発生モードに移行するなどして原稿画像出力を停止させることを回避することできる。
【0044】
また、通常の定型的な検査では検出できないような異常を検出することができる。例えば、特定の変倍率のみで異常が発生するような場合、ユーザが原稿出力のためにその変倍率を設定した場合には、テスト画像も同様の変倍率の設定で画像処理され、異常検査に用いられるので、異常を検出することができる。これに対し、定型的な異常検査では、偶然にもその設定での検査が含まれていないと異常を検出することはできない。また、全設定の検査を定型的な検査に含むと膨大な組み合わせになってしまうので、現実的ではない。
【0045】
本実施形態により、ユーザの所望する原稿画像を出力する直前に異常検査するので、定期的検査にように最後に異常検査を行ってからユーザが使用するまでの間に発生した異常は検出できない等の時間的対応不能な可能性を極めて低くすることが可能となる。これにより、ユーザの意図しない異常な出力を検出して出力を停止させ、無駄な記録媒体、トナー、インク及び電力等の消費を抑制することが可能となる。
【0046】
また、画像を出力する直前でその設定値により異常検査を行うので、特定の条件でのみ発生するような異常にも対応することが可能となる。さらに、異常が発生していてもそのときにユーザが所望する設定で異常が発生しなければ、ユーザは所望の出力を得ることが可能となる。
【0047】
また、画像読取部の直後の位置でテスト画像を入力させ、かつ画像形成部の直前の位置で異常検出の判定を行うので、原稿画像情報に行われるのと同等の処理をテスト画像情報に反映することが可能となる。これにより、より精度の高い異常検出処理を行うことが可能となる。
【0048】
また、テスト画像情報の期待値の演算処理を画像処理経路とは別の経路で行うので、画像処理経路上で演算された結果に異常があっても、テスト画像情報の期待値の演算処理を画像処理経路で行った場合のように異常が発見できないという問題を回避することが可能となる。
【0049】
尚、各図のフローチャートに示す処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、該システムのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0050】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
10 画像読取部
11 画像処理部
12 制御部
13 記憶部
14 画像形成部
15 テスト画像発生部
16 テスト画像検査部
17 演算部
100 画像処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開平04−053781号公報
【特許文献2】特開平08−265464号公報
【特許文献3】特開2008−236129号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取って原稿画像情報を取得する画像読取手段と、
異常検出用テスト画像のテスト画像情報を出力するテスト画像発生手段と、
前記テスト画像情報の期待値を演算する演算手段と、
前記原稿画像情報と前記テスト画像情報とに画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により画像処理が行われたテスト画像情報と前記テスト画像情報の期待値とを比較して異常検査を行うテスト画像検査手段と、
前記原稿画像情報を記録媒体に出力する画像形成手段と、を備え、
前記テスト画像発生手段は、前記原稿画像の出力設定がなされた後であって前記画像読取手段による原稿画像の読み取りと略同時にテスト画像情報を出力し、
前記画像処理手段は、前記原稿画像情報よりも先に前記テスト画像情報に画像処理を行い、
前記テスト画像検査手段は、異常が検出された場合には、前記画像形成手段の動作を停止させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記テスト画像は、前記原稿画像と同じ大きさであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記テスト画像は、格子及びストライプの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記テスト画像検査手段により異常が検出された場合に、その旨を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記テスト画像検査手段により異常が検出された場合に、その旨を音で通知するアラーム手段を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記演算手段は、前記画像処理手段とは別の経路に設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿画像を読み取って原稿画像情報を取得する画像読取ステップと、
異常検出用テスト画像のテスト画像情報を出力するテスト画像発生ステップと、
前記テスト画像情報の期待値を演算する演算ステップと、
前記原稿画像情報と前記テスト画像情報とに画像処理を行う画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにより画像処理が行われたテスト画像情報と前記テスト画像情報の期待値とを比較して異常検査を行うテスト画像検査ステップと、
前記原稿画像情報を記録媒体に出力する画像形成ステップと、を備え、
前記テスト画像発生ステップは、前記原稿画像の出力設定がなされた後であって前記画像読取ステップによる原稿画像の読み取りと略同時にテスト画像情報を出力し、
前記画像処理ステップは、前記原稿画像情報よりも先に前記テスト画像情報に画像処理を行い、
前記テスト画像検査ステップは、異常が検出された場合には、前記画像形成ステップにおける前記原稿画像情報の記録媒体への出力を停止させることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
前記テスト画像は、前記原稿画像と同じ大きさであることを特徴とする請求項7記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記テスト画像は、格子及びストライプの何れかであることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記テスト画像検査ステップにおいて異常が検出された場合に、その旨を表示する表示ステップを備えることを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記テスト画像検査ステップにおいて異常が検出された場合に、その旨を音で通知するアラームステップを備えることを特徴とする請求項7から10の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記演算ステップは、前記画像処理ステップとは別の経路で行われることを特徴とする請求項7から11の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項13】
原稿画像を読み取って原稿画像情報を取得する処理と、
前記原稿画像の出力設定がなされた後であって、前記原稿画像の読み取りと略同時に異常検出用テスト画像のテスト画像情報を出力する処理と、
前記テスト画像情報の期待値を演算する処理と、
前記原稿画像情報よりも先に前記テスト画像情報に画像処理を行う処理と、
画像処理が行われた前記テスト画像情報と前記テスト画像情報の期待値とを比較して異常検査を行い、異常が検出された場合には、前記原稿画像情報の記録媒体への出力を停止させる処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−61612(P2011−61612A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210757(P2009−210757)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】