説明

画像処理装置、画像処理方法およびそのコンピュータプログラム

【課題】本当の文字の部分だけを正しく判定し、絵柄部分は階調性を保存できるような変倍処理を行い、かつ、文字の部分に対しては文字の連続性を考慮した変倍処理を行えるようにする。
【解決手段】原稿をスキャンし、原稿情報を読取る画像読取り部と、画像読取り部が読み取った原稿画像の特定の属性を有する領域を判別する像域分離部と、像域分離部が判別した領域毎に所定の画像処理を行う画像処理部と、像域分離部の判定結果に対しさらに特定の処理により再判定を行う再判定部と、再判定部による再判定結果を用いて、画像の出力サイズに合わせて変倍処理を行う変倍部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法およびそのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真の技術において、原稿を読取った後に出力サイズに合わせて拡大縮小を行い、出力する変倍技術がある。この変倍技術の中には、階調性を考慮した3次元コンボリューション方や、単純に変倍に合わせてライン数を間引く単純間引きの技術がある。また、像域分離の結果の文字と判定された部分(以下、文字判定部)、写真あるいは絵柄と判定された部分(以下、写真判定部)に対してそれぞれ画像処理を切り替えるという技術がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、高画質な画像を出力する目的で、像域分離部にて分離された黒文字部画素と判定された部分に対して黒文字コードを埋め込み、画像処理を切り替えるという技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単純に像域分離部を用いて変倍処理を切り替えるだけでは、像域分離によって絵柄部分のエッジ部も同様に黒文字判定されてしまうため、絵柄部分に対して文字用の変倍処理をかけてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、本当の文字の部分だけを正しく判定し、絵柄部分は階調性を保存できるような変倍処理を行い、かつ、文字の部分に対しては文字の連続性を考慮した変倍処理を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、原稿をスキャンし、原稿情報を読取る画像読取り部と、前記画像読取り部が読み取った原稿画像の特定の属性を有する領域を判別する像域分離部と、前記像域分離部が判別した領域毎に所定の画像処理を行う画像処理部と、前記像域分離部の判定結果に対しさらに特定の処理により再判定を行う再判定部と、前記再判定部による再判定結果を用いて、画像の出力サイズに合わせて変倍処理を行う変倍部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、画像処理装置における画像処理方法であって、画像読取り部が、原稿をスキャンし、原稿情報を読取り、像域分離部が、前記画像読取り部が読み取った原稿画像の特定の属性を有する領域を判別し、画像処理部が、前記像域分離部が判別した領域毎に所定の画像処理を行い、再判定部が、前記像域分離部の判定結果に対しさらに特定の処理により再判定を行い、変倍部が、前記再判定部による再判定結果を用いて、画像の出力サイズに合わせて変倍処理を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、コンピュータを、原稿画像の特定の属性を有する領域を判別する像域分離部と、前記像域分離部が判別した領域毎に所定の画像処理を行う画像処理部と、前記像域分離部の判定結果に対しさらに特定の処理により再判定を行う再判定部と、前記再判定部による再判定結果を用いて、画像の出力サイズに合わせて変倍処理を行う変倍部として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、像域分離部の判定結果に対しさらに特定の処理により再判定部による特定の属性を有する領域(像域)の再判定を行うので、より精度良く、像域に応じた変倍処理を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施の形態にかかる画像形成装置の一例としての画像形成装置を示す外観図である。
【図2】図2は、一実施の形態にかかる画像処理装置内部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、3次元コンボリューション法による変倍処理により元の画像データにないデータが発生してしまう様子を示す図である。
【図4】図4は、3次元コンボリューション法による変倍処理により元の画像データにないデータが発生してしまう様子を示す図である。
【図5】図5は、原画像に対し像域分離部により文字判定部とされる部分を示す図である。
【図6】図6は、パターンマッチングによる再判定方法に用いるパターンの例を示す図である。
【図7】図7は、HSVの概念図である。
【図8】図8は、色判定処理のフローチャートである。
【図9】図9は、一実施の形態にかかる画像処理装置の具体的なハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置の一実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施の形態にかかる画像形成装置の一例としての画像形成装置を示す外観図である。図1に示す画像形成装置は、原稿を読み取り画像データに変換する画像読取り部101と、画像データに基づき紙面に画像を形成する画像形成部102と、画像読取り部101で原稿を読み取って得られた画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部103とを有する。なお、画像処理部103は、画像形成装置の内部に構成され、外部からは観察できない。画像形成部102は、画像処理部103で画像処理された画像データに基づく画像形成を行う。
【0013】
次に、一実施の形態にかかる画像処理装置内部の機能構成について説明する。図2は、一実施の形態にかかる画像処理装置内部の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
画像読取り部201は、原稿をCCD光電変換素子からなるラインセンサとA/Dコンバータとそれらの駆動回路を備えており、原稿台にセットされた原稿をスキャンすることで原稿の濃淡情報をRGB各8ビットからなるデジタル画像データ(以下、画像データと記す)を生成し出力する。
【0015】
像域分離部202は、デジタル画像データにおける原稿画像の特定の属性を有する領域、ここでは少なくとも文字の部分と写真あるいは絵柄の部分を判別する。
【0016】
読取り画像処理部203では、同図に示すようにフィルタ部203aと色補正部203bをもつ。フィルタ部203aでは画像読取り部201にて読取られた原稿の画像データに対して平滑/強調フィルタをかけることで文字の先鋭性の向上およびモワレの除去を行う。色補正部203bではフィルタ部203aで補正された画像に対して所定の色補正処理を行う。
【0017】
再判定部204は、像域分離部202による判別結果(像域)を特定の処理により再判定する(詳細は後述)。
【0018】
変倍部205は、再判定部204による像域分離の再判定結果に応じて変倍処理を切り替えて、処理後の画像データを出力する。なお、変倍処理は、周知のように画像の出力サイズに合わせて画像の拡大・縮小を行う処理である。本実施形態では、像域分離部202の判定結果(像域)に対しさらに再判定部204による像域の再判定を行うので、より精度良く、本変倍部205での像域に応じた変倍処理を行えるようになる。
【0019】
階調処理部206は、変倍処理後の画像データに対し、最終出力に併せた階調処理を施す。なお、階調処理は、周知のように誤差拡散法等により中間調を表現するための処理である。本実施形態では、階調処理部206は、RGB各8ビットの画像データに対しプロッタ等の画像形成部の階調処理能力に従った階調数変換処理を行う。ここでは、階調処理部206は、CMYK各2ビットに疑似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いて画像データを階調数変換する。
【0020】
次に、像域分離部202について説明する。
【0021】
像域分離部202は、ここでは特許第3983101号公報に開示されている文字判定/写真判定の技術を用いることとする。特許第3983101号公報に開示の技術では、網点判定結果、エッジ判定結果、白背景判定結果をそれぞれ算出し、エッジ判定かつ白背景かつ非網点判定となったとき、文字判定と決定している。白背景に対して中間濃度を判定するグレー判定部を持ち、白背景の中でグレー判定された箇所は非白背景とされる。像域分離の判定としては、像域分離においては、文字だけを分離するよう判定したいが、実際には写真部の縁(エッジ部分)も文字判定となる場合がある。例えば、図5の例では、文字の“あ”のみならず、四角の絵柄の縁の部分も文字の部分と判定されている。
【0022】
次に、変倍部205について説明する。
【0023】
変倍部205は、3次元コンボリューション法による変倍処理と間引き処理を行う。3次元コンボリューション法を用いると、変倍したときに階調性を考慮した、データの補完を行うことが可能である。しかし、文字部に関しては3次元コンボリューション法による変倍処理を行うと、図3、図4に示すように、元の画像データにないデータが発生してしまう。また、変倍処理後の画像データに階調処理を行うことで、原画像にないデータをさらに発生させる原因となることがわかる。
【0024】
以下に、3次元コンボリューション法による変倍処理で用いる数式を示す。当該変倍処理では、以下の数式により各画素値を算出する。
【0025】
X=Y31*V1+Y32*V2+Y33*V3+Y34*V4
ただし、X: 補正後の画素値、
Y31: 1ライン前の画素値、
Y32: 現ラインの画素値、
Y33: 1ライン後の画素値、
Y34: 2ライン後の画素値、
V1〜V4: 各画素の重み付けの係数
である。
【0026】
次に、変倍部205の間引き処理について説明する。間引き処理は変倍に応じて画像の主走査および副走査のラインを間引く手法である。例えば、75%の間引き処理を行うとすると、画素を四分の三にすればよいので4ラインに一回間引き処理を行うことになる。間引き処理は、画像の連続性を考慮せず、周期的にラインを間引いてしまうため必要な情報を間引いてしまう可能性がある。
【0027】
3次元コンボリューション法による変倍処理および間引き処理による変倍処理は、それぞれにメリットデメリットが存在し、画像に対して影響を与えてしまう。そこで、像域分離の判定結果に応じて変倍処理を切り替える。つまり、像域分離部で得られた文字判定部および写真判定部に対して変倍処理を切り替える。文字判定部に対しては、その部分の情報を劣化させないように間引き処理を用いて変倍を行い、写真判定部に対しては、階調性を考慮し3次元コンボリューション法による変倍方式を用いる。
【0028】
しかし、像域分離結果を用いて単純に切り替えるだけでは、文字と判定されてしまった絵柄部分のエッジに対してまで変倍処理を切り替えてしまうことになる。先にも述べたが、像域分離は絵柄部分のエッジも文字判定する場合がある。絵柄部分のエッジに対しても階調性を考慮し、3次元コンボリューション法による変倍処理が適している。そのため、像域分離結果に対して図2に示す再判定部204による再判定を行う。
【0029】
続いて、像域分離の再判定方法について説明する。本実施形態では、像域分離の再判定にはパターンマッチングによる再判定方法を用いる。
【0030】
変倍処理を切り替えるのは、3次元コンボリューション法で問題となる文字判定部だけなので、像域分離の結果文字判定部と判定されうる絵柄部分のエッジ部に関しては、再判定で写真判定部に変換する必要がある。文字の部分だけを確実に文字判定部と判定するために、図6の(A),(B)のパターンを用いてパターンマッチングを行う。このパターンマッチングを用いることで本当の文字の部分だけを正確に判定することができる。
【0031】
図6には、文字判定部、白背景判定部、網点orグレー判定部、その他をブロック単位で示したものである。図6の(A),(B)のパターンは、それぞれ隣接ブロックに網点orグレー判定部を有しているのが特徴となっている。
【0032】
まず、図6の(A)について説明する。図6(A)は、文字判定部に対して、その他の部分は挟むように白背景判定部と網点orグレー判定部が隣接した画像となっている。このパターンは、白背景上の絵柄エッジ部を判定している。文字判定部を中心に文字判定部が白背景判定部と網点orグレー判定部で挟まれている。つまり、絵柄部分の縁を文字と判定しているかどうかを判定することができる。
【0033】
次に、図6の(B)について説明する。図6(B)は、文字判定部に対して、その他の部分は挟むように網点orグレー判定部が隣接した画像となっている。これは、絵柄内部の文字判定部を指している。
【0034】
図6の(A),(B)ともに、横方向の文字判定の結果に対してのみのパターンマッチングを示しているが、実際は縦方向、斜め方向に対しても、また白背景判定結果と網点orグレー判定部の関係が逆のパターンでも同様にパターンマッチングを行う。
【0035】
以上のパターンマッチングを行うことで、像域分離の判定結果に対して再判定を行い、再判定の結果を基に変倍処理を切り替える。
【0036】
次いで、上記パターンマッチングだけでなく、文字画素の密集性(ここでは、隣接する文字画素の色の単一性)を用いて判定する方法について説明する。
【0037】
文字は、単色で構成されるものがほとんどで、通常の文字で複数の色が混在することはない。しかし、絵柄部分のエッジは複数の色が混在することがある。従って、色判定を行うことにより、さらに確実に文字と絵柄部分(エッジ部)を判別することができる。以下に、文字判定に際しての、色判定方法について説明する。本例での色判定方法には、HSVによる色相判定方法を用いる。
【0038】
図7にHSVの概念図を示す。HSVは、円形の色相情報:Hと、円の半径方向に彩度情報:S、垂直方向に明度情報:Vを用いて表された色空間である。ここでは色相情報:Hを用いて色相判定を行う。
HSVの色相は0°から360°で表され、スキャナデータ読み取ったR,G,Bの値をそれぞれRs,Gs,Bsとし、それぞれ値の範囲を最小値:0、最大値:1.0とすると以下の式で表される。
【0039】
・最大値がRsの場合
H=60×(Gs−Bs)/(Max(Rs,Gs,Bs)−Min(Rs,Gs,Bs))+0
ただし、Hがマイナスの値をとるときは以下のように計算を行う。
H=360+H
【0040】
・最大値がGsの場合
H=60×(Bs−Rs)/(Max(Rs,Gs,Bs)−Min(Rs,Gs,Bs))+120
ただし、Hがマイナスの値をとるときは以下のように計算を行う。
H=360+H
【0041】
・最大値がBsの場合
H=60×(Rs−Gs)/(Max(Rs,Gs,Bs)−Min(Rs,Gs,Bs))+240
ただし、Hがマイナスの値をとるときは以下のように計算を行う。
H=360+H
【0042】
ここで、Max(Rs,Gs,Bs)は、Rs,Gs,Bsの内の最大値であり、Min(Rs,Gs,Bs)はRs,Gs,Bsの内の最小値である。
【0043】
以上の式で色相情報である、色相角が求められる。この色相角の範囲を設定することで色相情報の認識が行える。
【0044】
この方式を用いることで色相分割が行える。ただし、色相分割は色相角のどの角度にいるかを判定しているだけなので、どのデータまでが無彩情報とし、どのデータからが有彩情報とするか閾値を決める必要がある。各色相情報に分かれた情報に対して各々閾値を決めることで有彩情報か無彩情報かを判定することとする。
【0045】
ここでは、色相角によって決められた色相情報ごとに以下のように閾値を決めることで有彩情報か、無彩情報かを判定する。上記の色相情報に対して、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルーの各色に分類を行う。
【0046】
ここでは、色相角がaからbの角度にあるものをイエローの色相角、bからcの角度にあるものをレッドの色相角、cからdのものをマゼンタ、dからeのものをブルー、eからfのものをシアン、fからaのものをグリーンの色相と仮定する。
【0047】
次に各色相に対して、RGBのMax(最大値)とMin(最小値)の差分を、さらには最大値と中間値の差分を求める。基本的に色情報はRGB値の差分が小さいほど無彩情報となる。ただし、色相毎に無彩情報となるRGB値の差は異なるため、色相情報ごとに最大値と最小値の差分に対する閾値を持ち、その閾値以下の差分に対しては無彩判定とすることで、対象画素に対して有彩/無彩判定を行う。また、色の薄い部分(すなわち、RGBの最大値と最小値の差分が小さい部分)に関しては原稿の無彩色の部分であると推測されるため、RGBの最大値が、白地と仮定する閾値よりも大きい値の場合には、白地として判定を行う。以上で、色判定が行えることとなる。
【0048】
図8に、その色判定処理のフローチャートを示す。同図の例では、注目画素の色相判定結果を用い連続する文字判定部(N画素分)に対して下記の表1を用いてC,M,Yの点数付け(c,m,y)を行った結果を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの各色の判定も行っている。
【0049】
【表1】

【0050】
図8では、はじめにRGBの最大値と最小値の差(差分)がA以上であるか判定し、A以上である場合(ステップS101でYes)、この場合有彩判定となるが、さらに最大値と中間値の差分がC以上であるか否か判定する(ステップS102)。RGBの最大値と中間値の差分がC以上である場合は(ステップS102でYes)、c,m,yのいずれが最大値をとるかで、シアンであるのかマゼンタであるのかイエローであるのかを決定する(ステップS103)。この例では、cが最大のときシアン、mが最大のときマゼンタ、yが最大のときイエローと決定している。
【0051】
一方、RGBの最大値と中間値の差がC未満である場合は(ステップS102でNo)、c,m,yのいずれが最小値をとるかで、レッドであるのかグリーンであるのかブルーであるのかを決定する(ステップS104)。この例では、cが最小のときレッド、mが最小のときグリーン、yが最小のときブルーと決定している。
【0052】
また、ステップS101でNoと判定された場合、さらにRGBの最大値と最小値の差がB以下であるか否か判定し、B以上である場合(ステップS105でNo)、色画素が混在していると決定する(ステップS106)。
【0053】
一方、RGBの最大値と最小値の差がB以下である場合(ステップS105でYes)、さらにRGBの最大値がD以上であるか判定し、D以上である場合(ステップS107でYes)、無彩画素であると決定し(ステップS108)、D未満である場合(ステップS107でNo)、この場合も色画素混在であると決定する(ステップS106)。
【0054】
この色判定の結果を用いて、文字判定部について単一の色となっているか判定する。
【0055】
以上で、文字判定部が単一の色であるかを判定することが可能となる。単一の色の文字部のみ、間引き処理を行うことで文字部の再現性を向上させる。
【0056】
次に、具体的なハードウェア構成を図9に示し図2を用いて前述した画像処理装置の実動作例を説明する。同図において再判定部914以外は、一般的なMFP等の画像形成装置と同様の構成となっている。なお、画像データ処理部915は、前述の読取り画像処理部203に相当する。CPU901は、ROM904からS.B.(サウスブリッジ)903およびN.B.(ノースブリッジ)902を介して、またHDD907からバス制御回路部908およびN.B.902を介して、必要なプログラムをメインメモリとなるメモリ2・906にロードし実行することにより装置全体を制御する。また、画像データ等は、SDカード等のメモリカードを用いて外部から取り込んだり、メモリカードに書き込むこともできる。以下では、画像処理装置の実動作例として、コピー動作、スキャナ動作およびプリンタ動作を説明する。
【0057】
(コピー動作)
ユーザーは原稿を読取り部911(画像読取り部201)にセットし、所望するモード等の設定とコピー開始の入力を操作表示部910にて行う。
【0058】
操作表示部910はユーザーから入力された情報を、装置内部の制御コマンドデータに変換し発行する。操作表示部910から発行された制御コマンドデータは拡張バス(ここではPCIバス)/バス制御回路部908/AGPバスを介してCPU901に通知される。
【0059】
CPU911はコピー開始の制御コマンドデータに従って、コピー動作プロセスのプログラムを実行し、コピー動作に必要な設定や動作を順に行っていく。以下にコピー動作プロセスを順に説明する。
【0060】
読取り部で原稿をスキャンし、RGB各8ビットからなるデジタル画像データを、PCIバス/バス制御回路部908を介してメモリ1・905に蓄積する。
【0061】
CPU901は、画像データ処理部915に、ユーザーの所望するモードに従った処理の設定を行う。処理の内容に関しては後述する。
【0062】
このときにユーザーがデータ保存を所望する場合、メモリ1・905内のRGB各8ビットの画像データをHDD907に保存してもよい。
【0063】
メモリ1・905に蓄積したRGB各8ビットの画像データは、像域分離部913に送られる。
【0064】
像域分離部913では、エッジ判定、白背景判定、網点判定、グレー判定を行い、判定結果から対象画素が文字判定部なのか写真判定部なのかを判定する。
【0065】
像域分離部913と並行して、画像データ処理部915では像域分離で判定された画像の特徴に合わせてフィルタ処理および色補正処理を行う。
【0066】
像域分離部913内で判定されたデータは、PCIバスを通り、画像データ処理部915内の(図1に示した)フィルタ部203aおよび色補正部203bに送られ、さらに変倍部916に送られる。
【0067】
変倍部916では像域分離結果の再判定部914による再判定結果に従い変倍処理を選択し変倍処理を行う。変倍処理を行ったデータは、階調処理部917により必要な階調処理が施され再びメモリ1・905に蓄積される。
【0068】
メモリ1・905に蓄積したCMYK各2ビットの画像データは、PCIバス/バス制御回路部908を介して、プロッタ部912に送られる。
【0069】
プロッタ部912は受け取ったCMYK各2ビットの画像データを転写紙に出力し、原稿のコピーが生成されることとなる。
【0070】
(スキャナ動作)
はじめに、ユーザーは原稿を読取り部911にセットし、所望するモード等の設定とスキャナ送信開始の入力を操作表示部910に行う。
【0071】
操作表示部910は、ユーザーから入力された情報を、装置内部の制御コマンドデータに変換し発行する。発行された制御コマンドデータはPCIバス/バス制御回路部908/AGPバスを介してCPU901に通知される。
【0072】
CPU901は、スキャナ送信開始の制御コマンドデータに従って、スキャナ送信動作プロセスのプログラムを実行し、スキャナ送信動作に必要な設定や動作を順に行っていく。以下にその動作プロセスを順に説明する。
【0073】
読取り部911で原稿をスキャンし、RGB各8ビットからなるデジタル画像データを、PCIバス/バス制御回路部908を介してメモリ1・905に蓄積する。
【0074】
CPU901は、画像データ処理部915に、ユーザーの所望するモードに従った処理の設定を行う。処理の内容に関しては後述する。
【0075】
このときにユーザーがデータ保存を所望する場合、メモリ1・905内のRGB各8ビットの画像データをHDD907に保存してもよい。
【0076】
メモリ1・905に蓄積したRGB各8ビットのデータは、像域分離部913に送られる。
【0077】
像域分離部913では、エッジ判定、白背景判定、網点判定、グレー判定を行い、判定結果から対象画素が文字判定部なのか写真判定部なのかを判定する。
【0078】
像域分離部913と並行して、画像データ処理部915では像域分離で判定された画像の特徴に合わせてフィルタ処理および色補正処理を行う。
【0079】
像域分離部913内で判定されたデータは、拡張バスを通り、画像データ処理部915内の図2に示したフィルタ部203aおよび色補正部203bに送られ、さらに変倍部916に送られる。
【0080】
変倍部916では像域分離結果の再判定結果に従い変倍処理を選択し変倍処理を行う。変倍処理を行ったデータは、再びメモリ1・905に蓄積される。
【0081】
メモリ1・905に蓄積されたRGB各8ビットの画像データは、バス制御回路部908/AGPバス/N.B.902/PCIバス/外部I/F回路部909を介して、ネットワークに送出され、外部サーバーやPCに伝えられ、スキャナ送信が行われたことになる。
【0082】
(プリンタ動作)
ユーザーはPCのアプリケーションソフトを通じて電子ドキュメントの印刷を行う操作を行う。アプリケーションソフトを使用する際、ユーザーは、不正コピー防止機能を付加することができるが、その領域を任意に設定することができる。
【0083】
PCのプリンタドライバソフトは、印刷指定された電子ドキュメントのレンダリングを行いCMYK各2ビットのデジタル画像データを生成する。
【0084】
PCは、ネットワークを介して、本画像処理装置にプリントの要求と生成したCMYK各2ビットのデジタル画像データを送出する。
【0085】
CPU901は、外部I/F回路部909/PCIバス/N.B.902を介して、PCからのプリント要求の制御コマンドデータを受け取ると、プリンタ動作プロセスのプログラムを実行し、必要な設定や動作を順に行っていく。以下に動作プロセスを順に説明する。
【0086】
PCからネットワークを介して送られてくるCMYK各2ビットのデジタル画像データは、外部I/F回路部909/PCIバス/N.B.902/バス制御回路部908を介して、メモリ1・905に蓄積する。
【0087】
メモリ1・905に蓄積したCMYK各2ビットの画像データは、PCIバス/バス制御回路部908を介して、プロッタ部912に送られる。
【0088】
プロッタ部912は受け取ったCMYK各2ビットの画像データを転写紙に出力し、プリンタ処理が行われたことになる。
【0089】
以上、本発明にかかる画像処理装置の実施の形態について詳述した。上述の画像処理装置の構成を採用することにより品質の高い画像形成装置を提供することができる。また、この画像形成装置によって、本当の文字の部分だけを正しく判定し、絵柄部分は階調性を保存できるような変倍処理(3次元コンボリューション法)を行い、かつ、文字の部分に対しては文字の連続性を考慮した変倍処理(間引き処理)を行えるようにするという、本発明の目的もまた達成することができる。すなわち、画像の絵柄部分の階調性の保持および文字部分の再現性の向上を実現させることができる。なお、画像形成装置としては、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機であっても、単機能の複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であってもよい。
【0090】
さらに、本発明は、上述した実施形態の画像処理装置を構成する各機能をプログラム化し、予めROMなどの記録媒体に書き込んでおき、このROMを画像処理装置に搭載して、画像処理装置に搭載したマイクロプロセッサでROM内のプログラムを実行することによって、本発明の目的を達成することもできる。なお、記録媒体としては半導体媒体(たとえば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光媒体(たとえば、DVD、MO、MD、CD−R等)、磁気媒体(たとえば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステム等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0091】
さらに、上述したプログラムをサーバコンピュータのHDD等の記憶装置に格納しておき、ネットワークで接続された利用者のコンピュータからダウンロードして頒布する場合、また、サーバコンピュータから配信して頒布する場合、このサーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。このように、本発明の機能をプログラムして記録媒体に記録し頒布することによって、コスト、可搬性、汎用性を向上させることができる。
【0092】
以上、発明を実施するための諸実施の形態について説明を行ったが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を損なわない範囲で変更することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
101,201 画像読取り部
102 画像形成部
103 画像処理部
202,913 像域分離部
203 読取り画像処理部
203a フィルタ部
203b 色補正部
204,914 再判定部
205,916 変倍部
206 階調処理部
901 CPU
902 N.B.
903 S.B.
904 ROM
905 メモリ1
906 メモリ2
907 HDD
908 バス制御回路部
909 外部I/F回路部
910 操作表示部
911 読取り部
912 プロッタ部
915 画像データ処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2004−235743号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿をスキャンし、原稿情報を読取る画像読取り部と、
前記画像読取り部が読み取った原稿画像の特定の属性を有する領域を判別する像域分離部と、
前記像域分離部が判別した領域毎に所定の画像処理を行う画像処理部と、
前記像域分離部の判定結果に対しさらに特定の処理により再判定を行う再判定部と、
前記再判定部による再判定結果を用いて、画像の出力サイズに合わせて変倍処理を行う変倍部と、を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記像域分離部および再判定部は、少なくとも文字部分と絵柄部分を判別し、前記変倍部は、絵柄部分に対しては3次元コンボリューション法による変倍処理を行い、文字部分に対しては間引き処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記再判定部は、文字判定の際パターンマッチングにより再判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記再判定部は、対象画素の色判定を行う色判定部をさらに有し、色判定の結果を用いてさらに再判定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像処理装置における画像処理方法であって、
画像読取り部が、原稿をスキャンし、原稿情報を読取り、
像域分離部が、前記画像読取り部が読み取った原稿画像の特定の属性を有する領域を判別し、
画像処理部が、前記像域分離部が判別した領域毎に所定の画像処理を行い、
再判定部が、前記像域分離部の判定結果に対しさらに特定の処理により再判定を行い、
変倍部が、前記再判定部による再判定結果を用いて、画像の出力サイズに合わせて変倍処理を行う
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
原稿画像の特定の属性を有する領域を判別する像域分離部と、
前記像域分離部が判別した領域毎に所定の画像処理を行う画像処理部と、
前記像域分離部の判定結果に対しさらに特定の処理により再判定を行う再判定部と、
前記再判定部による再判定結果を用いて、画像の出力サイズに合わせて変倍処理を行う変倍部として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−169710(P2012−169710A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26579(P2011−26579)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】