画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
【課題】種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を読み取る際、人が予め手作業で原稿を仕分けする必要がないようにして操作性を向上させた画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成するスキャナ部2と、読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定部52と、スキャナ部2によって生成される1枚ずつの画像データを、原稿情報設定部52によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理部53と、仕分け処理部53によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成部54とを備える。
【解決手段】画像処理装置は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成するスキャナ部2と、読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定部52と、スキャナ部2によって生成される1枚ずつの画像データを、原稿情報設定部52によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理部53と、仕分け処理部53によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成部54とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の連続読み取りを行って画像データを生成する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと呼ばれる画像処理装置は、スキャナ部に自動原稿搬送措置(いわゆるADF)を搭載しており、複数枚の原稿を連続的に読み取って画像データを生成することができるようになっている。従来、このような画像処理装置において読み取った原稿の画像データを処理するためにさまざまな技術が提案されている。
【0003】
例えば、原稿を読み取って得られる画像データを複数のファイルとして1通のメールで送信する画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。また読み取った原稿を2以上の所定ページ数ごとに分割して複数のファイルを作成する画像処理装置も知られている(例えば、特許文献2)。また一連の原稿を分割するための区切りページを指定しておき、読み取った画像データをその区切りページに基づいて分割することにより複数のファイルを作成する画像処理装置も公知である(例えば、特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−108496号公報
【特許文献2】特開2005−143039号公報
【特許文献3】特開2006−180405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、学校や塾、通信教育などの教育関連業務において、複数科目のテスト用紙を複数の生徒に対して配信する際、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めてファイル化した状態で配信したいという要望がある。例えば、国語、算数、理科、社会といった4種類の原稿がそれぞれ生徒の人数に対応した枚数だけあり、それら4種類の原稿が積み重ねられた状態にあるとすると、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めたファイルとするためには、まず、各種類の原稿を1枚ずつ含むようにしながら積み重ねられた原稿を生徒の人数分に仕分けすることが必要である。
【0006】
しかしながら、上述した従来の画像処理装置によって、このようなファイル化を行う場合、画像処理装置に原稿をセットする前に、人が手作業で原稿の仕分けを行っておく必要がある。そして予め仕分けされたグループごとに原稿を画像処理装置にセットして原稿の読み取りと送信処理を行う必要がある。例えば、生徒の人数が30人である場合、手作業での仕分けにより宛先が異なる30のグループができるので、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めて送信するためには、画像処理装置に原稿をセットし、原稿の読み取りと送信を行うための操作を30回行う必要がある。
【0007】
また逆に、複数の生徒のそれぞれから複数科目纏めて提出されたテスト用紙を、各科目の担当教諭に対し、各科目のテスト用紙を纏めてファイル化した状態で配信したいという要望もある。例えば、国語、算数、理科、社会といった4種類のテスト用紙を1枚ずつ含む原稿が、生徒の人数分積み重ねられた状態にあるとすると、各科目の担当教諭毎に担当科目のテスト用紙を纏めたファイルとするためには、まず、積み重ねられた原稿を種類別に仕分けすることが必要である。しかし、この場合にも、従来の画像処理装置によれば人が予め手作業で原稿の仕分けを行っておく必要がある。
【0008】
このように従来の画像処理装置は、人が予め手作業で原稿の仕分けを行わなければならい場合があり、操作性が悪いという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決するため、人が予め手作業で原稿を仕分けする必要がなく、積み重ねられた原稿の連続読み取りを行って仕分けされたグループ単位でファイルを作成することにより、操作性を向上させることができる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像処理装置であって、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段と、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定手段と、前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報設定手段によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理手段と、前記仕分け処理手段によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
かかる発明によれば、原稿情報設定手段において読取対象原稿に関する原稿情報が設定され、仕分け処理手段がその原稿情報に基づいて画像データを複数のグループに仕分けすることができるので、人が手作業で予め原稿を仕分け作業する必要がなくなる。そしてファイル作成手段が仕分け処理手段によって仕分けされた画像データをグループ単位でファイル化するので、読取対象原稿を一度読み取るだけで仕分けされた複数のファイルを作成することができる。尚、ファイル作成手段によって作成されたファイルは、画像処理装置の外部に送信されても良いし、画像処理装置の内部で保持されても良い。
【0012】
請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像処理装置において、ユーザが操作することにより情報を入力することが可能な操作入力手段をさらに備え、前記原稿情報設定手段は、前記操作入力手段から入力される情報に基づいて原稿情報を設定することを特徴としている。
【0013】
かかる発明によれば、ユーザが操作入力手段に対して情報を入力するだけで、原稿情報が設定され、更にはその原稿情報に基づいて仕分けが行われるので、人が手作業で原稿を仕分けする場合と比較すれば、ユーザの手間は著しく軽減される。
【0014】
請求項3にかかる発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データの所定の領域に含まれる画像成分に基づいて原稿の区切りを検出する原稿区切り検出手段をさらに備え、前記原稿情報設定手段は、前記原稿区切り検出手段によって検出される原稿の区切りに基づいて原稿情報を設定することを特徴としている。
【0015】
かかる発明によれば、ユーザは操作入力手段に対して情報を入力する必要もなくなるので、人が手作業で原稿を仕分けする場合と比較すれば、ユーザの手間はより一層軽減される。
【0016】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記ファイル作成手段によって作成されるグループ単位のファイルごとに送信宛先を設定する宛先設定手段と、前記ファイル作成手段によって作成されるグループ単位のファイルを、前記宛先設定手段によって設定された宛先に送信するファイル送信手段と、をさらに備えることを特徴としている。
【0017】
かかる発明によれば、仕分け処理手段によって複数のグループに仕分けされ、ファイル作成手段によって作成されたグループ単位のファイルを個別に設定された送信宛先に送信することができるので、読取対象原稿を一度読み取るだけで仕分けされた複数のファイルを個別にそれぞれの送信宛先へ送信することが可能になる。
【0018】
請求項5にかかる発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記原稿情報設定手段は、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数と、同じ種類の原稿の枚数との双方を原稿情報として設定し、前記ファイル作成手段は、前記原稿読取手段によって最終種類の原稿の1枚ずつの画像データが生成される都度、前記仕分け処理手段によって全種類の原稿が纏められたグループをファイル化し、前記ファイル送信手段は、前記ファイル作成手段によってファイルが作成されていくことに伴ってファイルの送信を順次行うことを特徴としている。
【0019】
かかる発明によれば、仕分け処理手段により各グループの画像データが全て揃った時点でそのグループのファイル化と、そのファイルの送信とが行われるので、画像処理装置においてファイルの作成とファイルの送信とが行われるタイミングをグループ毎に分散させることができる。それ故、画像処理装置に対して一時的に大きな処理負荷がかかることを抑制することが可能である。
【0020】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記仕分け処理手段によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる画像合成手段をさらに備えることを特徴としている。
【0021】
かかる発明によれば、特定の原稿のみに含まれる情報を他の原稿に合成することができるので、例えば仕分け処理手段によって仕分けが行われたことにより、各原稿に対応するユーザなどを特定することができなくなるという不具合が生じることを防止できる。
【0022】
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置において、前記仕分け処理手段は、原稿の種類の数に基づいて画像データの仕分けを行う第1の仕分け処理と、同じ種類の原稿の枚数に基づいて画像データの仕分けを行う第2の仕分け処理とのいずれか一方を選択して行うことを特徴としている。
【0023】
かかる発明によれば、第1の仕分け処理と第2の仕分け処理とを選択することができるので、読取対象原稿の種類や態様に応じて適切な仕分け処理を行うことができるようになる。
【0024】
請求項8にかかる発明は、画像処理方法であって、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成するステップと、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定するステップと、前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けするステップと、複数のグループに仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するステップと、を備えることを特徴としている。
【0025】
請求項9にかかる発明は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段を備えた画像処理装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定手段、前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報設定手段によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理手段、前記仕分け処理手段によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成手段、として機能させる特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
上述したように、本発明によれば、原稿情報設定手段において読取対象原稿に関する原稿情報が設定され、仕分け処理手段がその原稿情報に基づいて画像データを複数のグループに仕分けすることができるので、人が手作業で予め原稿を仕分け作業する必要がなくなる。そしてファイル作成手段が仕分け処理手段によって仕分けされた画像データをグループ単位でファイル化するので、読取対象原稿を一度読み取るだけで仕分けされた複数のファイルを作成することができる。したがって、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を読み取る際、人が事前に手作業で原稿の仕分け作業を行っておく必要がなくなり、しかも読取対象原稿を一度読み取るだけで複数のファイルが作成されるので、画像処理装置の操作性が著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明するいくつかの実施の形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明が適用される画像処理装置1が組み込まれた画像処理システムの一構成例を示す図である。この画像処理システムは、画像処理装置1と、複数のコンピュータ5(5a,5b,5c,…)とがネットワーク4を介して接続された構成である。図例では、画像処理装置1は、コピー機能、スキャナ機能、FAX機能、プリンタ機能などの複数の機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)と呼ばれる装置である場合を例示しているが、必ずしも複数の機能を備える必要はない。すなわち、画像処理装置1は原稿を読み取って送信する機能を備えていれば良いため、例えばスキャナ専用装置であっても良いし、またFAX専用装置であっても良い。
【0029】
このような画像処理装置1は、原稿を読み取るためのスキャナ部2を備えている。スキャナ部2は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部21と、その画像読取部21の上部に設けられ、セットされる原稿を1枚ずつ画像読取部21に搬送する自動原稿搬送装置22とを備えている。そして画像読取部21と自動原稿搬送装置22とが互いに同期した動作を行うことで、自動原稿搬送装置22が複数枚の原稿を1枚ずつ画像読取部21に搬送しつつ、画像読取部21がその搬送中の原稿から画像を読み取ることができ、原稿の連続自動読み取りが可能である。
【0030】
また画像処理装置1は、その正面側にユーザが操作可能な操作パネル3を備えている。図2は、操作パネル3の一構成例を示す図である。操作パネル3は、ユーザが操作可能な操作キー31と、ユーザに対して各種情報を表示するために液晶表示デバイスなどで構成された画像表示部32とを備えている。画像表示部32の表示画面上にはタッチパネル式の操作キー31aが設けられている。また画像表示部32の周囲には押しボタン式の操作キー31bが設けられている。そして操作パネル3の操作キー31は、タッチパネル式の操作キー31aと、押しボタン式の操作キー31bとから構成されている。また画像表示部32には、画像処理装置1の動作状況などに応じて各種の表示画面が表示され、ユーザはその表示画面を参照しながら操作キー31を操作することにより、画像処理装置1に対する各種設定などを入力するための操作などを行うことができる。尚、操作キー31には、ユーザが画像処理装置1に対して例えば原稿の読み取り開始を指示するスタートキー33が含まれる。
【0031】
図1に戻り、画像処理装置1は、原稿を読み取って生成した画像データをファイル化する。そして操作パネル3を介して原稿のスキャン送信が指示された場合には、原稿を読み取って生成した画像データをファイル化した後、ネットワーク4に接続されている複数のコンピュータ5のそれぞれに対してそのファイルを送信する。各コンピュータ5a,5b,5c,…は、個々のユーザに割り当てられたコンピュータである。そのため、原稿を読み取って生成したファイルを特定のユーザに送信したい場合には、操作パネル3を操作してその特定のユーザに割り当てられたコンピュータを宛先として指定することにより、画像処理装置1はその指定されたコンピュータに対して指定されたファイルを送信する。
【0032】
そして本実施形態の画像処理装置1は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を読み取ってスキャン送信を行う場合、スキャナ部2で生成される1枚ずつの画像データを複数のグループに仕分けする仕分け処理を行い、その仕分け処理で仕分けされた画像データをグループ単位でファイル化して複数のファイルを生成し、各ファイルを異なる宛先に対して送信することができるように構成されている。以下、このような画像処理装置1の詳細について説明する。
【0033】
図3は、画像処理装置1の内部構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置1は、制御部10と、スキャナ部2と、操作パネル3と、画像メモリ41と、ハードディスク装置42と、記憶部43と、入出力インタフェース45とを備えており、これらがデータバス46を介して相互にデータ通信可能に接続された構成である。そしてネットワーク4は入出力インタフェース45に接続されている。
【0034】
制御部10は、画像処理装置1の動作全般を制御するものである。この制御部10は、CPU11と、RAM12と、ROM13とを備えており、ROM13にはプログラム14が予め格納されている。CPU11は、画像処理装置1に対して電源が投入されると、ROM13に格納されたプログラム14を読み出して実行することにより、後述する各種の処理を実行する演算処理部(コンピュータ)である。RAM12は、CPU11が各種の処理を実行する際に使用する情報などを一時的に記憶しておくためのものである。
【0035】
操作パネル3は、上述したように操作キー31と画像表示部32とを備えている。画像表示部32の表示画面は制御部10によって制御される。また操作パネル3は、ユーザが操作キー31を操作した場合、そのキー操作に基づくキー信号を制御部10に出力するように構成されている。
【0036】
画像メモリ41は、スキャナ部2の画像読取部21が原稿を読み取って出力する1枚ずつの画像データを記憶するためのものである。スキャナ部2の画像読取部21が種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を連続的に読み取る場合であっても、画像読取部21から出力される画像データは1枚ずつ出力されるため、画像メモリ41は、画像読取部21から1枚ずつ画像データが出力される度にそれを順次記憶していくように構成されている。
【0037】
ハードディスク装置42は、画像処理装置1に内蔵された記憶手段である。例えば、このハードディスク装置42に設定されるユーザ毎のフォルダを、ファイル送信時の宛先としても設定することが可能である。そのため、この場合は、スキャン送信によるファイルの送信処理は、画像処理装置1の内部に設けられたハードディスク装置42のフォルダを宛先として行われる。
【0038】
記憶部43は、例えば不揮発性メモリなどで構成され、画像処理装置1に対して予め登録された宛先情報44などを保持するように構成される。宛先情報44には、画像処理装置1がファイル送信可能な複数の宛先が予め格納されている。したがって、この宛先情報44には、ネットワーク4に接続された各コンピュータ5の宛先を特定する情報が含まれると共に、画像処理装置1に内蔵されたハードディスク装置42に設定されているユーザ毎のフォルダなどの宛先を特定する情報も含まれる。
【0039】
図4は、画像処理装置1に電源が投入された場合にCPU11がプログラム14を読み出して実行する処理手順の一例を示す図である。CPU11は、処理を開始すると、種々の初期化処理を行う(ステップS101)。この初期化処理が終了すると、CPU11は、操作パネル3から何らかのキー信号を受信して処理要求が行われているか否かを判断する(ステップS102)。そして操作パネル3からの処理要求があった場合には、要求された処理が原稿のスキャン送信であるか否かを判断する(ステップS103)。ここで原稿のスキャン送信であると判断した場合には、ステップS104に進み、スキャン送信処理を実行する。尚、このスキャン送信処理の詳細については後述する。そしてスキャン送信処理が終了すると、ステップS102に戻る。
【0040】
一方、操作パネル3から要求された処理がスキャン送信でなかった場合(ステップS103でNO)、CPU11は操作パネル3から要求された処理(例えばコピーなど)を実行し(ステップS105)、その後、ステップS106に進む。
【0041】
またステップS102で操作パネル3からの処理要求がなかった場合、CPU11はネットワーク4を介して外部装置(例えばコンピュータ5など)からコマンドなどの信号を受信して処理要求が行われているか否かを判断する(ステップS106)。そして外部装置からの処理要求があった場合、CPU11は外部装置から要求された処理(例えばプリントなど)を実行し(ステップS107)、その後、ステップS102に戻る。また外部装置からの処理要求がなかった場合(ステップS106でNO)、そのままステップS102に戻る。
【0042】
そしてステップS102以降の処理が繰り返し実行されることにより、ユーザが操作パネル3に対してスキャン送信を行うことを指示すると、それに伴って、CPU11がスキャン送信処理(ステップS104)を実行する。以下、このスキャン送信処理の詳細について説明するが、本実施形態ではスキャン送信のうちでも、特に、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って生成した画像データを複数のグループに仕分けする仕分け処理を行い、その仕分け処理によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化して複数のファイルを作成し、各ファイルをそれぞれ異なる宛先に送信する形態について詳細に説明する。
【0043】
図5は、そのようなスキャン送信時における制御部10の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のスキャン送信処理(ステップS104)では、CPU11がプログラム14に基づく処理を実行することにより、制御部10は原稿読取制御部51、原稿情報設定部52、仕分け処理部53、ファイル作成部54およびファイル送信部55として機能する。
【0044】
原稿読取制御部51は、スキャナ部2を制御して読取対象原稿の連続的な読み取り動作を行わせるものであり、例えば読取対象原稿が自動原稿搬送装置22にセットされた状態で操作パネル3のスタートキー33が操作されたことを検知すると、それに伴って原稿の読み取り動作を開始させる。そして原稿読取制御部51の制御によってスキャナ部2が原稿の読み取り動作を開始すると、画像読取部21から出力される1枚ずつの画像データが画像メモリ41に格納されていく。
【0045】
原稿情報設定部52は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿に関する原稿情報を設定する処理部であり、本実施形態では、仕分け処理部53が行う仕分け処理の態様に応じて、読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数および同じ種類の原稿の枚数のいずれか一方を原稿情報として設定する。この原稿情報を設定する際、原稿情報設定部52は、操作パネル3の画像表示部32に対して設定画面を表示する。そしてユーザがその設定画面に対して入力する情報に基づいて読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数、又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する。そして原稿情報設定部52が設定する原稿情報は仕分け処理部53が仕分け処理を行う際に参照される。
【0046】
仕分け処理部53は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を読み取ることによって画像メモリ41に格納される1枚ずつの画像データを複数のグループに仕分けする処理部である。この仕分け処理部53では、上述したように原稿情報設定部52で設定された読取対象原稿に関する原稿情報に基づいて画像データの仕分け処理が行われる。尚、仕分け処理部53における仕分け処理の詳細については後述する。
【0047】
ファイル作成部54は、仕分け処理部53によって複数のグループに仕分けされた画像データを、グループ単位でまとめてファイル化する処理部である。例えば、仕分け処理部53によって画像データがm個(但し、mは2以上の整数)のグループに仕分けされた場合、ファイル作成部54はそれらm個のグループをそれぞれファイル化し、m個のファイルを作成する。
【0048】
ファイル送信部55は、ファイル作成部54によって作成されるグループ毎のファイルを、それぞれのファイル毎に指定された宛先に送信する処理部である。例えば、ファイル作成部54によってm個のファイルが作成された場合、ファイル送信部55は、m個のファイルのそれぞれに対して指定された宛先に対してファイルを送信する。したがって、m個のファイルのそれぞれに異なる宛先が指定されている場合、ファイル送信部55はm個のファイルをファイル毎に異なる宛先に送信する。
【0049】
次に、仕分け処理部54における仕分け処理について説明する。本実施形態では、仕分け処理部54によって行われる仕分け処理の態様として、第1の仕分け処理と第2の仕分け処理との2つの態様がある。
【0050】
第1の仕分け処理は、例えば、教育関連業務などで、複数科目のテスト用紙を複数の生徒に対して配信する際、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めてファイル化した状態で配信する場合に適した仕分け処理である。この場合、各科目の担当教諭が採点した生徒人数分のテスト用紙が集められ、それが複数科目分積み重ねられた状態で読取対象原稿が構成される。そして第1の仕分け処理では、そのような読取対象原稿を生徒毎に仕分ける処理を行う。
【0051】
図6は、第1の仕分け処理の概念を示す図である。図6において読取対象原稿9aは、A,B,…,m(但し、mは2以上の整数)から成るm種類の原稿のそれぞれが1,2,…,n(但し、nは2以上の整数)のn枚で揃っている状態となっている。ここでmを科目の種類、nを生徒の人数とすると、各科目の担当教諭が採点した生徒人数分のテスト用紙が集められ、それらが複数科目分積み重ねられた状態となると、図6に示す読取対象原稿9aのような配列となる。このような読取対象原稿9aをスキャナ部2で1枚ずつ読み取ると、画像メモリ41には、図6に示すように読取対象原稿9aの配列と一致した配列で画像データが順次格納される。
【0052】
第1の仕分け処理は、図6の読取対象原稿9aを読み取って、m種類の原稿のうちからそれぞれ1枚目の原稿を集めたグループ1、2枚目の原稿を集めたグループ2、…、n枚目の原稿を集めたグループnに仕分けする。つまり、第1の仕分け処理では、読取対象原稿9aを読み取って各種類の原稿の枚数(n枚)分の複数のグループに仕分けが行われる。この第1の仕分け処理を行うため、原稿情報設定部52は、同じ種類の原稿枚数nを原稿情報として設定し、仕分け処理部53に入力する。そして仕分け処理部53は、原稿情報設定部52から入力する原稿情報(すなわち、同じ種類の原稿枚数n)に基づいて仕分け処理を行う。つまり、仕分け処理部53は、第1の仕分け処理を行う場合、画像メモリ41に格納された1枚ずつの画像データのうち、先頭(1枚目)の画像データからn枚目までの画像データを第1の原稿種類であると判別し、(n+1)枚目から2n枚目までの画像データを第2の原稿種類であると判別する。以下同様に原稿種類を判別していき、m種類の原稿の区切りとなる位置を原稿情報(すなわち、同じ種類の原稿枚数n)に基づいてすべて検出する。そして各原稿種類には各生徒宛のテスト用紙が同じ順序で配列されているため、各原稿種類の1枚目の原稿に対応する画像データをグループ1に仕分けし、2枚目の原稿に対応する画像データをグループ2に仕分けする。以下同様に仕分けを行っていき、各原稿種類のn枚目の原稿に対応する画像データをグループnに仕分けすれば、仕分け処理が完了する。
【0053】
その結果、図6に示すように、グループ1には各種類の1枚目の原稿に対応した画像データが含まれることとなり、グループ2には各種類の2枚目の原稿に対応した画像データが含まれることとなる。またグループnには、各種類のn枚目の原稿に対応した画像データが含まれることとなる。そして各グループに含まれる画像データの枚数はそれぞれ原稿のm種類に対応したm枚分となる。したがって、第1の仕分け処理を行うことにより、各グループには、例えば生徒番号などのIDが共通した一人の生徒宛の画像データがm種類分含まれることとなり、一人ひとりの生徒に対して個別に配信すべきm種類分の画像データを生徒毎にグループ化することができる。
【0054】
そしてファイル作成部54において第1の仕分け処理で仕分けされたn個のグループをそれぞれファイル化することにより、図6に示すように各生徒に配信するためのn個のファイルが作成される。
【0055】
次に第2の仕分け処理は、例えば、教育関連業務などで、複数の生徒のそれぞれから複数科目纏めて提出されたテスト用紙を各科目の担当教諭に対して配信する際、各科目のテスト用紙を複数生徒分纏めてファイル化した状態で配信する場合に適した仕分け処理である。この場合、各生徒からは各科目のテスト用紙が同じ順序で並べられた状態で集められ、それが生徒人数分積み重ねられた状態で読取対象原稿が構成される。そして第2の仕分け処理では、そのような読取対象原稿を担当教諭毎に仕分ける処理を行う。
【0056】
図7は、第2の仕分け処理の概念を示す図である。図7において読取対象原稿9bは、A,B,…,m(但し、mは2以上の整数)のm種類が1枚ずつ揃っている原稿が、1,2,…,n(但し、nは2以上の整数)のn個積み重ねられた状態となっている。ここで上記と同様に、mを科目の種類、nを生徒の人数とすると、各生徒から各科目について1枚ずつ提出されたテスト用紙が集められ、それらが生徒人数分積み重ねられた状態となると、図7に示す読取対象原稿9bのような配列となる。このような読取対象原稿9bをスキャナ部2で1枚ずつ読み取ると、画像メモリ41には、図7に示すように読取対象原稿9bの配列と一致した配列で画像データが順次格納される。
【0057】
第2の仕分け処理は、図7の読取対象原稿9bを読み取って、各生徒が提出したn個の原稿のうちからそれぞれ1種類目の原稿を集めたグループ1、2種類目の原稿を集めたグループ2、…、m種類目の原稿を集めたグループmに仕分けする。つまり、第2の仕分け処理では、読取対象原稿9bを読み取って原稿種類(m種類)分の複数のグループに仕分けが行われる。この第2の仕分け処理を行うため、原稿情報設定部52は、読取対象原稿9bに含まれる原稿の種類の数mを原稿情報として設定し、仕分け処理部53に入力する。そして仕分け処理部53は、原稿情報設定部52から入力する原稿情報(すなわち、原稿の種類の数m)に基づいて仕分け処理を行う。つまり、仕分け処理部53は、第2の仕分け処理を行う場合、画像メモリ41に格納された1枚ずつの画像データのうち、先頭(1枚目)の画像データからm枚目までの画像データを第1の生徒が提出した原稿であると判別し、(m+1)枚目から2m枚目までの画像データを第2の生徒が提出した原稿であると判別する。以下同様に原稿を判別していき、n人の生徒が提出した原稿の区切りとなる位置を原稿情報(すなわち、原稿の種類の数m)に基づいてすべて検出する。そして各生徒が提出した原稿には複数科目のテスト用紙が同じ順序で配列されているため、各生徒が提出した1枚目の原稿に対応する画像データをグループ1に仕分けし、2枚目の原稿に対応する画像データをグループ2に仕分けする。以下同様に仕分けを行っていき、各生徒が提出したm枚目の原稿に対応する画像データをグループmに仕分けすれば、仕分け処理が完了する。
【0058】
その結果、図7に示すように、グループ1には各生徒が提出した1種類目の原稿に対応した画像データが含まれることとなり、グループ2には各生徒が提出した2種類目の原稿に対応した画像データが含まれることとなる。またグループmには、各生徒が提出したm種類目の原稿に対応した画像データが含まれることとなる。そして各グループに含まれる画像データの枚数はそれぞれ生徒の人数nに対応したn枚となる。したがって、第2の仕分け処理を行うことにより、各グループには、例えばひとつの科目に対応した1種類の画像データがn枚分含まれることとなり、担当教諭に対して個別に配信すべきm種類分の画像データを担当教諭毎にグループ化することができる。
【0059】
そしてファイル作成部54において第2の仕分け処理で仕分けされたm個のグループをそれぞれファイル化することにより、図7に示すように各担当教諭に配信するためのm個のファイルが作成される。
【0060】
ここで第1の仕分け処理と第2の仕分け処理とのいずれを実行するかは、読取対象原稿の態様に応じて適宜決定することができる。また仕分け処理部53においては、第1の仕分け処理と第2の仕分け処理のいずれであっても原稿情報に基づいて原稿の区切りを判別して仕分けを行うという点では同じであるので、同様の処理手順で読取対象原稿の態様に応じた仕分け処理を行うことができる。
【0061】
図8は、本実施形態におけるスキャン送信処理(ステップS104)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。CPU11は、スキャン送信処理を開始すると、制御部10を原稿情報設定部52として機能させ、操作パネル3の画像表示部32に設定画面を表示させる(ステップS201)。
【0062】
図9は、このとき画像表示部32に表示される設定画面の一例を示す図であり、(a)は、図6に示した第1の仕分け処理を行う場合の設定画面32aを示しており、(b)は図7に示した第2の仕分け処理を行う場合の設定画面32bを示している。
【0063】
まず、画像処理装置1において例えば第1の仕分け処理を行う場合、図9(a)に示すように設定画面32aには、同種原稿の枚数を入力するための枚数指定欄34と、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。そしてユーザは操作パネル3の操作キー31を操作して枚数指定欄34に同種原稿の枚数を入力する。ここでは、図6に示したように同じ種類の原稿枚数nが入力される。図9(a)の例では、同種原稿の枚数が40枚であることを指定した場合を示している。このようにして同種原稿の枚数nが指定されると、送信宛先指定欄35には、同種原稿の枚数nに対応してn個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。図9(a)の例では、同種原稿の枚数が40枚として指定されているので、送信宛先指定欄35には40個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。但し、本実施形態の場合、40個のファイルの全てを同時に一覧表示することは難しいため、ユーザはスクロールキー35a,35bを操作することですべてのファイルに対する宛先を指定することができるようになっている。尚、各ファイルに対する宛先を指定する際、ユーザは記憶部43に予め記憶されている宛先情報44を更に別の一覧表示として表示させ、その中から所望の宛先を選択して指定することができる。そして一覧表示されている全てのファイルに対して送信宛先を指定すれば、OKキー36を操作することで設定操作が終了する。尚、スキャン送信を中断する場合には、キャンセルキー37を操作すればよい。
【0064】
次に、画像処理装置1において例えば第2の仕分け処理を行う場合、図9(b)に示すように設定画面32bには、読取対象原稿に含まれる原稿種類の数を入力するための原稿種類数指定欄38と、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。そしてユーザは操作パネル3の操作キー31を操作して原稿種類数指定欄38に対し、読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数を入力する。ここでは、図7に示したように原稿種類の数mが入力される。図9(b)の例では、原稿種類数が3つであることを指定した場合を示している。このようにして原稿種類数mが指定されると、送信宛先指定欄35には、原稿種類数mに対応してm個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。図9(b)の例では、原稿種類数が3として指定されているので、送信宛先指定欄35には3個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。そしてすべてのファイルに対して送信宛先を指定すれば、OKキー36を操作することで設定操作が終了する。尚、スキャン送信を中断する場合には、キャンセルキー37を操作すればよい。
【0065】
原稿情報設定部52が設定画面を表示しているときにユーザが同種原稿の枚数n又は原稿種類の数mを入力して設定操作を終了すると、原稿情報設定部52は、その入力された同種原稿の枚数n又は原稿種類の数mを原稿情報として設定する。またファイル毎に指定された送信宛先も同時に設定する。
【0066】
図8に戻り、次にCPU11は、制御部10を原稿読取制御部51として機能させ、操作パネル3に対してキー操作が行われた場合に操作パネル3のスタートキー33が操作されたか否かを判断する(ステップS202)。スタートキー33でない場合には、さらにキャンセルキーが操作されたか否かを判断し(ステップS203)、キャンセルキーが操作された場合にはスキャン送信処理を終了する。これに対し、キャンセルキーでもなかった場合には、ステップS202に戻り、次にキー操作が行われるまで待機する。
【0067】
そしてスタートキーが操作された場合(ステップS202でYES)、原稿読取制御部51は、スキャナ部2を制御して読取対象原稿の連続読み取りを開始する(ステップS204)。これにより、読取対象原稿は1枚ずつ読み取られていき、画像メモリ41に対して1枚ずつの画像データが格納されていく。そして全ての読取対象原稿の読み取りが完了すると、CPU11は、制御部10を仕分け処理部53として機能させ、原稿情報設定部52が設定した原稿情報に基づく仕分け処理を実行する(ステップS205)。ここでの処理は、図6及び図7を参照して説明した第1及び第2の仕分け処理のいずれか一方が行われる。つまり、ユーザが入力した原稿情報に基づいて読取対象原稿の態様に応じた仕分け処理が実行され、読取対象原稿を読み取って生成した1枚ずつの画像データが複数のグループに仕分けされる。そして仕分け処理が終了すると、次にCPU11は、制御部10をファイル作成部54として機能させ、仕分け処理部53によって仕分けされた複数のグループのそれぞれをファイル化する処理を実行する(ステップS206)。そしてファイル作成処理が終了すると、次にCPU11は、制御部10をファイル送信部55として機能させ、ファイル作成部54で作成された複数のファイルのそれぞれと、設定画面32a,32bで設定された送信宛先とを対応付け、各ファイルを指定された送信宛先に対して送信する(ステップS207)。そして全ての宛先への送信処理を終了すると、スキャン送信処理を終了する。
【0068】
このようなスキャン送信処理(ステップS104)により、図10および図11に示すような送信形態が実現される。
【0069】
図10は、図6に示した読取対象原稿9aを読み取ってスキャン送信を行う場合の送信形態を示す図である。図10に示すように、m種類の原稿がそれぞれn枚で揃っている状態の読取対象原稿9aをスキャナ部2にセットし、操作パネル3の設定画面に対する原稿情報として「n」を入力してスキャン送信を実行すると、画像処理装置1は、n個のファイルを作成し、それぞれのファイルをn個の宛先に対して個別に送信する。したがって、例えば、教育関連業務などで、複数科目のテスト用紙を複数の生徒に対して配信する際、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めてファイル化した状態で配信する場合であっても、画像処理装置1において自動で仕分け処理が行われ、各生徒に対して個別にファイルが送信されるので、人手による仕分け作業を行う必要がなく、また読取対象原稿9aの読み取り回数も1回で済むので、操作性が著しく向上する。
【0070】
また図11は、図7に示した読取対象原稿9bを読み取ってスキャン送信を行う場合の送信形態を示す図である。図11に示すように、1枚ずつm種類が揃っている原稿がn個積み重ねられた状態の読取対象原稿9bをスキャナ部2にセットし、操作パネル3の設定画面に対する原稿情報として「m」を入力してスキャン送信を実行すると、画像処理装置1は、m個のファイルを作成し、それぞれのファイルをm個の宛先に対して個別に送信する。したがって、例えば、教育関連業務などで、複数の生徒のそれぞれから複数科目纏めて提出されたテスト用紙を各科目の担当教諭に対して配信する際、各科目のテスト用紙を複数生徒分纏めてファイル化した状態で配信する場合であっても、画像処理装置1において自動で仕分け処理が行われ、各担当教諭に対して個別にファイルが送信されるので、人手による仕分け作業を行う必要がなく、また読取対象原稿9bの読み取り回数も1回で済むので、操作性が著しく向上する。
【0071】
尚、上記においては、教育関連業務などで生徒や担当教諭に対してテスト用紙などを配信する場合を例示したが、これは単なる一例であり、本実施形態の画像処理装置1は教育関連業務以外の業務にも適用することが可能である。例えば複数種類で1セットとなったアンケート用紙を集計する際、アンケートの種類毎に集計担当者が異なるような場合には、上述した画像処理装置1を適用して各担当者に集計担当の用紙のみを配信することができる。
【0072】
ところが、アンケート用紙などの場合、1セットとなったアンケート用紙の1枚目のみにアンケート回答者を特定するための情報が記入されているようなケースでは、アンケートの種類毎に仕分け処理を行ってしまうと、2枚目以降の用紙は誰が回答したものかが判らなくなるという不都合が生じることがある。このような不都合を解消するためには、例えば画像処理装置1の制御部10がさらに図示を省略する画像合成部として機能するように構成すれば良い。すなわち、画像合成部は、仕分け処理部53によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる処理を行うのである。
【0073】
図12は、この場合の画像合成処理の一例を示す図である。例えば画像処理装置1において上述した第1の仕分け処理が行われ、1セット分のアンケートの1枚目の画像データがグループ1に仕分けられた場合、グループ1の画像データの所定領域Rにはすべて回答者を特定するためのIDや氏名などの画像成分が含まれているが、他のグループの画像データの所定領域Rにはそれらの画像成分が含まれていない。この場合、画像合成部は、図12に示すようにグループ1に仕分けられた画像データの所定領域Rに含まれる画像成分を他のグループ(グループ2,3,…)に仕分けられた画像データの所定領域Rに重ね合わせることにより、他のグループに仕分けられた画像からもアンケート回答者を特定することができるようになる。
【0074】
尚、画像合成を行う所定領域Rの指定は、例えば設定画面に対する操作を行うときにユーザが指定するようにしても良い。
【0075】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、ユーザが操作パネル3を介して入力した情報に基づいて原稿情報設定部52が仕分け処理の際に参照される原稿情報を設定する場合を例示した。本実施形態では、読取対象原稿を読み取って生成した画像データから原稿区切りを検出して原稿情報を自動設定する形態について説明する。
【0076】
図13は、本実施形態でのスキャン送信時における制御部10の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。尚、図13に示す各機能は、図4のフローチャートにおいてスキャン送信処理(ステップS104)が行われる場合に機能する。本実施形態のスキャン送信処理(ステップS104)では、CPU11がプログラム14に基づく処理を実行することにより、制御部10が、原稿読取制御部51、原稿区切り検出部56、原稿情報設定部52、仕分け処理部53、ファイル作成部54およびファイル送信部55として機能する。ここで、原稿読取制御部51、仕分け処理部53、ファイル作成部54およびファイル送信部55は、第1の実施の形態と同様である。
【0077】
原稿区切り検出部56は、スキャナ部2が読取対象原稿を読み取って画像メモリ41に格納した1枚ずつの画像データを読み出し、各画像データの所定の領域に含まれる画像成分に基づいて原稿の区切りを検出する処理部である。例えば、原稿区切り検出部56は、画像データの所定の領域に記録されている原稿区切りを示す数値コードや文字列をOCRなどの画像処理技術を適用して読み取り、その読み取った数値コードや文字列で原稿区切りを検出する。さらに詳しく説明すると、例えばテスト用紙などの場合には、用紙の所定位置に科目名やテストコードが記録されると共に、生徒番号などのIDや生徒の氏名などが所定位置に記入されている。そのため、第1の仕分け処理を行う場合、原稿区切り検出部56は、科目名やテストコードなどを読み取って別の科目名又はテストコードに切り替わる位置を原稿区切りとして検出する。また、第2の仕分け処理を行う場合、原稿区切り検出部56は、生徒のIDや氏名などを読み取って別の生徒の用紙に切り替わる位置を原稿区切りとして検出する。またこの他にも、原稿の所定位置に2次元バーコードなどを記録しておき、原稿区切り検出部56がこの2次元バーコードの値を読み取り、その値が所定値であれば原稿区切りであると判定するという方法を採用しても良い。
【0078】
上記のようにして原稿区切り検出部56が原稿の区切りを検出すると、その区切り情報は原稿情報設定部52に与えられる。そして原稿情報設定部52は、原稿区切り検出部56が検出した原稿区切りに基づいて原稿情報を設定する。つまり、第1の仕分け処理を行う場合には、同種原稿の枚数nが原稿区切り検出部56によって検出されるので、原稿情報設定部52は、原稿区切り検出部56から入力する原稿区切り(すなわち、同種原稿の枚数n)を原稿情報として設定する。また第2の仕分け処理を行う場合には、原稿種類数mが原稿区切り検出部56によって検出されるので、原稿情報設定部52は、原稿区切り検出部56から入力する原稿区切り(すなわち、原稿種類数m)を原稿情報として設定する。
【0079】
そして仕分け処理部53では、原稿情報設定部52によって設定された原稿情報に基づいて第1の実施の形態と同様の仕分け処理が行われる。
【0080】
図14は、本実施形態におけるスキャン送信処理(ステップS104)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。CPU11は、スキャン送信処理を開始すると、制御部10を原稿読取制御部51として機能させ、操作パネル3のスタートキー33が操作されるまで待機する(ステップS301)。そしてスタートキー33が操作されると、原稿読取制御部51は、スキャナ部2を制御して読取対象原稿の連続読み取りを開始する(ステップS302)。これにより、読取対象原稿は1枚ずつ読み取られていき、画像メモリ41に対して1枚ずつの画像データが格納されていく。そして全ての読取対象原稿の読み取りが完了すると、CPU11は、制御部10を原稿区切り検出部56として機能させ、画像メモリ41に格納された各画像データの所定の領域に含まれる画像成分に基づいて原稿の区切りを検出する処理を行う(ステップS303)。この処理で原稿の区切りが検出できた場合には、CPU11はさらに原稿情報設定部52を機能させ、検出された原稿の区切りに基づいて原稿情報を設定する。但し、原稿区切り検出処理(ステップS303)で原稿の区切りを検出することができない場合もある。
【0081】
そしてCPU11は、原稿の区切りを検出できたか否かを判断し(ステップS304)、検出できなかった場合には、仕分け処理を行わずにステップS306に進む。一方、区切りを検出することができた場合、CPU11は仕分け処理部53を機能させ、原稿情報設定部52が設定した原稿情報に基づく仕分け処理を実行する(ステップS305)。ここでの処理は、第1の実施の形態と同様であり、図6及び図7を参照して説明した第1及び第2の仕分け処理のいずれか一方が行われる。つまり、ユーザが入力した原稿情報に基づいて読取対象原稿の態様に応じた仕分け処理が実行され、読取対象原稿を読み取って生成した1枚ずつの画像データが複数のグループに仕分けされる。尚、本実施形態では、仕分け処理によって生成されるグループの数は、原稿区切り検出処理(ステップS303)で検出された区切りの数に一致する。そして仕分け処理が終了すると、ステップS306に進む。
【0082】
次にCPU11は、操作パネル3の画像表示部32に設定画面を表示させる(ステップS306)。図15は、本実施形態において操作パネル3に表示される設定画面32cの一例を示す図である。尚、図15は、仕分け処理(ステップS305)が行われた場合を示している。まず図15(a)に示す設定画面32cは、仕分け処理(ステップS305)において第1の仕分け処理が行われた場合である。この場合、設定画面32cには、同種原稿の枚数を表示するための同種原稿枚数表示欄34aと、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。ここで本実施形態の場合には、同種原稿の枚数nの値は、仕分け処理によって生成されたグループの数nですでに確定している。そのため、送信宛先指定欄35には、同種原稿の枚数nに対応してn個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。図15(a)の例では、同種原稿の枚数が「40」で確定しているので、送信宛先指定欄35には40個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示がスクロール操作に表示される。
【0083】
また図15(b)に示す設定画面32cは、仕分け処理(ステップS305)において第2の仕分け処理が行われた場合である。この場合、原稿種類数を表示するための原稿種類数表示欄38aと、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。この場合においても、原稿種類数表示欄38aの数mの値は、仕分け処理によって生成されたグループの数mですでに確定している。そのため、送信宛先指定欄35には、原稿種類数mに対応してm個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。図15(b)の例では、原稿種類数が「3」で確定しているので、送信宛先指定欄35には3個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。
【0084】
そしてユーザは、図15(a)又は(b)の設定画面32cに一覧表示される全てのファイルに対して送信宛先を指定して、OKキー36を操作することで設定操作が終了する。尚、スキャン送信を中断する場合には、キャンセルキー37を操作すればよい。
【0085】
そしてステップS307に進み、CPU11は、OKキー36が操作されたか否かを判断する(ステップS307)。OKキー36でない場合にはキャンセルキー37であるか否かを判断し(ステップS308)、キャンセルキー37であった場合にはスキャン送信処理を終了する。またキャンセルキー37でもなかった場合には、再びステップS307に戻り、キー操作が行われるまで待機する。
【0086】
そしてOKキー36が操作された場合(ステップS307でYES)、CPU11は、制御部10をファイル作成部54として機能させ、仕分け処理部53によって仕分けされた複数のグループのそれぞれをファイル化する処理を実行する(ステップS309)。そしてファイル作成処理が終了すると、次にCPU11は、制御部10をファイル送信部55として機能させ、ファイル作成部54で作成された複数のファイルのそれぞれと、設定画面32cで設定された送信宛先とを対応付け、各ファイルを指定された送信宛先に対して送信する(ステップS310)。そして全ての宛先への送信処理を終了すると、スキャン送信処理を終了する。
【0087】
したがって、本実施形態でも、画像処理装置1において自動で仕分け処理が行われ、各宛先に対して個別にファイルが送信されるので、人手による仕分け作業を行う必要がなく、また読取対象原稿の読み取り回数も1回で済むので、操作性が著しく向上する。特に本実施形態の場合には、自動で仕分け処理を行う際に参照する原稿情報を、原稿区切り検出部56が検出する原稿の区切りに基づいて自動設定する構成であるため、ユーザは操作パネル3を介して原稿情報を入力する必要がなく、操作性がより一層向上する。
【0088】
尚、本実施形態でも、画像処理装置1の制御部10を、さらに図示を省略する画像合成部として機能させることにより、仕分け処理部53によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる処理を行うようにしても良い。
【0089】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、同種原稿の枚数n及び原稿種類の数mのいずれか一方に基づいて原稿の区切りを判別しながら仕分け処理を行っていくため、読取対象原稿の最後の原稿の読み取りが完了しない限り、各グループへの仕分けが終了したか否かを判断することができない。それ故、グループ毎のファイル作成処理やファイル送信処理が行われるタイミングが、読取対象原稿に含まれる全ての原稿の読み取りが終了した後に集中することとなり、画像処理装置1の処理負担が一時的に大きなものとなる。そこで本実施形態では、ファイル作成処理やファイル送信処理が行われるタイミングを分散させることで、画像処理装置1に対して一時的に大きな処理負担が生じることを抑制することができる形態について説明する。尚、本実施形態における制御部10の機能構成などは第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0090】
図16は、本実施形態におけるスキャン送信処理(ステップS104)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。CPU11は、スキャン送信処理を開始すると、制御部10を原稿情報設定部52として機能させ、操作パネル3の画像表示部32に設定画面を表示させる(ステップS401)。
【0091】
図17は、このとき画像表示部32に表示される設定画面32dの一例を示す図である。図17に示すように設定画面32dには、同種原稿の枚数を入力するための枚数指定欄34と、読取対象原稿に含まれる原稿種類の数を入力するための原稿種類数指定欄38と、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。そしてユーザは操作パネル3の操作キー31を操作して枚数指定欄34に同種原稿の枚数nを入力すると共に、原稿種類数指定欄38に原稿の種類の数mを入力する。図例の場合、同種原稿の枚数が40枚として指定され、原稿種類数が3つであるとして指定されている。このようにして同種原稿の枚数nと、原稿種類数mの双方が指定されると、送信宛先指定欄35には、複数のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。このとき、例えば画像処理装置1において第1の仕分け処理が行われる場合には、入力された同種原稿の枚数nに対応してn個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。また画像処理装置1において第2の仕分け処理が行われる場合には、入力された原稿種類数mに対応してm個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。そしてユーザが操作パネル3をキー操作してすべてのファイルに対して送信宛先を指定すれば、OKキー36を操作することで設定操作が終了する。尚、スキャン送信を中断する場合には、キャンセルキー37を操作すればよい。
【0092】
原稿情報設定部52が設定画面を表示しているときにユーザが同種原稿の枚数nと原稿種類の数mとを入力して設定操作を終了すると、原稿情報設定部52は、その入力された同種原稿の枚数nと原稿種類の数mとの双方を原稿情報として設定する。またファイル毎に指定された送信宛先も同時に設定する。
【0093】
図16に戻り、次にCPU11は、制御部10を原稿読取制御部51として機能させ、操作パネル3に対してキー操作が行われた場合に操作パネル3のスタートキー33が操作されたか否かを判断する(ステップS402)。スタートキー33でない場合には、さらにキャンセルキーが操作されたか否かを判断し(ステップS403)、キャンセルキーが操作された場合にはスキャン送信処理を終了する。これに対し、キャンセルキーでもなかった場合には、ステップS402に戻り、次にキー操作が行われるまで待機する。
【0094】
そしてスタートキーが操作された場合(ステップS402でYES)、原稿読取制御部51は、スキャナ部2を制御して読取対象原稿のうちから1枚の原稿の読み取りを行う(ステップS404)。これにより、読み取られた1枚の原稿の画像データが画像メモリ41に格納される。CPU11は、仕分け処理部53を機能させ、画像メモリ41に格納された1枚の画像データの仕分け処理を行う(ステップS405)。つまり、第1の仕分け処理の場合には、読み取った原稿が読取対象原稿の何枚目の原稿であるかによってn個のグループのうちから適当なグループを決定し、その決定したグループに画像データを仕分ける処理を行う。また第2の仕分け処理の場合には、読み取った原稿が読取対象原稿の何枚目の原稿であるかによってm個のグループのうちから適当なグループを決定し、その決定したグループに画像データを仕分ける処理を行う。
【0095】
そして仕分け処理部53は、ステップS405で仕分けしたグループにおいて全てのページの画像データが揃ったか否かの判断を行う(ステップS406)。本実施形態では、原稿情報として同種原稿の枚数nと原稿種類の数mとの双方が設定されているため、例えば第1の仕分け処理の場合には、n個のグループのそれぞれにm枚分の画像データが含まれ、第2の仕分け処理の場合には、m個のグループのそれぞれにn枚分の画像データが含まれることが予め認識可能である。それ故、仕分け処理部53は、仕分け処理の種類に応じて、ステップS405で仕分けしたグループにおいて全枚数分の画像データが揃ったか否かを判断するのである。
【0096】
そして仕分けしたグループに未だ全枚数分の画像データが揃っていない場合(ステップS406でNO)、ステップS409に進む。そしてCPU11は読取対象原稿に含まれる全原稿の読み取りが完了したか否かを判断し(ステップS409)、全原稿の読み取りが完了していなければ、ステップS404に戻り、制御部10を原稿読取制御部51として機能させ、次の1枚分の原稿の読み取りを行う。
【0097】
これに対し、仕分けしたグループで全枚数分の画像データが揃った場合(ステップS406でYES)、ステップS407に進み、CPU11は制御部10をファイル作成部54として機能させ、仕分け処理部53によって画像データが仕分けされたことにより、全枚数分の画像データが揃ったグループをファイル化する処理を実行する(ステップS407)。そしてファイル作成処理が終了すると、次にCPU11は、制御部10をファイル送信部55として機能させ、ファイル作成部54で作成された一つのファイルと、設定画面32dで設定された送信宛先とを対応付け、その一つのファイルを指定された送信宛先に対して送信する(ステップS408)。つまり、本実施形態では、ファイル作成部54が、スキャナ部2によって最終種類の原稿の1枚ずつの画像データが生成される都度、仕分け処理部53によって全種類の原稿が纏められたグループをファイル化し、ファイル送信部55が、ファイル作成部54によってファイルが作成されていくことに伴ってファイルの送信を順次行うようになる。そして指定された宛先への送信処理を終了すると、ステップS409に進み、読取対象原稿に含まれる全原稿の読み取りが完了するまでステップS404〜S409までの処理を繰り返し実行し、全原稿の読み取りが完了すれば、スキャン送信処理を終了する。
【0098】
以上のように本実施形態の画像処理装置1は、読取対象原稿の1枚ずつの読み取りが行われる都度、仕分け処理部53が画像データの仕分け処理を行っていき、各グループの画像データが全て揃った時点でそのグループのファイル作成処理とファイル送信処理とを行うようにしているので、画像処理装置1においてファイル作成処理とファイル送信処理とを実行するタイミングをグループ毎に分散させることができ、画像処理装置1に対して一時的に大きな処理負担が生じることを抑制することができる。また指定された宛先に対するファイルの送信をネットワーク4に接続されたサーバなどの外部装置を介して行う場合、その外部装置に対して一時的に大きな負荷がかかることを防止することもできる。
【0099】
尚、本実施形態でも、画像処理装置1の制御部10を、さらに図示を省略する画像合成部として機能させることにより、仕分け処理部53によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる処理を行うようにしても良い。
【0100】
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではなく、種々の変形例が適用可能である。例えば、画像処理装置1において行う仕分け処理として、上述した第1の仕分け処理と第2の仕分け処理のうちからユーザがいずれか一方を選択するようにしても良い。図18は、この場合の画像表示部32に表示される設定画面32eの一例を示す図である。この設定画面32eには、ユーザが第1の仕分け処理と第2の仕分け処理とを択一的に選択するための選択キー39が表示されており、ユーザは選択キー39を操作して第1の仕分け処理と第2の仕分け処理とのいずれか一方を選択することにより、画像処理装置1において行う仕分け処理の態様を設定することができる。尚、図18は第3の実施の形態に対応した設定画面を示しているが、第1又は第2の実施の形態であっても同様である。
【0101】
また上述の各実施形態では、画像処理装置1において主としてスキャン送信を行う場合を例示したが、本発明は必ずしもスキャン送信に限られるものではなく、FAX送信を行う場合にも適用することができる。またスキャン送信を行う場合の送信形態は、FTPによる送信の他、電子メールなどを用いた送信であってもよい。
【0102】
また上述の各実施形態では、ファイルごとに異なる宛先を指定する例を示したが、必ずしも異なる宛先でなくても良い。例えば、幾つかのファイルについて同一の宛先が指定されていても良いし、すべてのファイルについて同一の宛先が指定されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】画像処理装置が組み込まれた画像処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】操作パネルの一構成例を示す図である。
【図3】画像処理装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】画像処理装置に電源が投入された場合にCPUがプログラムを読み出して実行する処理手順の一例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態でのスキャン送信時における制御部の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】第1の仕分け処理の概念を示す図である。
【図7】第2の仕分け処理の概念を示す図である。
【図8】第1の実施の形態におけるスキャン送信処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態でスキャン送信時に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図10】第1の仕分け処理を適用して読取対象原稿を読み取ってスキャン送信を行う場合の送信形態を示す図である。
【図11】第2の仕分け処理を適用して読取対象原稿を読み取ってスキャン送信を行う場合の送信形態を示す図である。
【図12】仕分け処理に伴って行われる画像合成処理の一例を示す図である。
【図13】第2の実施の形態でのスキャン送信時における制御部の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図14】第2の実施の形態におけるスキャン送信処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態でスキャン送信時に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図16】第3の実施の形態におけるスキャン送信処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図17】第3の実施の形態でスキャン送信時に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図18】第1の仕分け処理と第2の仕分け処理をユーザが選択するようにした場合の画像表示部に表示される設定画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 画像処理装置
2 スキャナ部(原稿読取手段)
3 操作パネル(操作入力手段)
10 制御部
14 プログラム
51 原稿読取制御部
52 原稿情報設定部(原稿情報設定手段)
53 仕分け処理部(仕分け処理手段)
54 ファイル作成部(ファイル作成手段)
55 ファイル送信部(ファイル送信手段)
56 原稿区切り検出部(原稿区切り検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の連続読み取りを行って画像データを生成する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと呼ばれる画像処理装置は、スキャナ部に自動原稿搬送措置(いわゆるADF)を搭載しており、複数枚の原稿を連続的に読み取って画像データを生成することができるようになっている。従来、このような画像処理装置において読み取った原稿の画像データを処理するためにさまざまな技術が提案されている。
【0003】
例えば、原稿を読み取って得られる画像データを複数のファイルとして1通のメールで送信する画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。また読み取った原稿を2以上の所定ページ数ごとに分割して複数のファイルを作成する画像処理装置も知られている(例えば、特許文献2)。また一連の原稿を分割するための区切りページを指定しておき、読み取った画像データをその区切りページに基づいて分割することにより複数のファイルを作成する画像処理装置も公知である(例えば、特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−108496号公報
【特許文献2】特開2005−143039号公報
【特許文献3】特開2006−180405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、学校や塾、通信教育などの教育関連業務において、複数科目のテスト用紙を複数の生徒に対して配信する際、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めてファイル化した状態で配信したいという要望がある。例えば、国語、算数、理科、社会といった4種類の原稿がそれぞれ生徒の人数に対応した枚数だけあり、それら4種類の原稿が積み重ねられた状態にあるとすると、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めたファイルとするためには、まず、各種類の原稿を1枚ずつ含むようにしながら積み重ねられた原稿を生徒の人数分に仕分けすることが必要である。
【0006】
しかしながら、上述した従来の画像処理装置によって、このようなファイル化を行う場合、画像処理装置に原稿をセットする前に、人が手作業で原稿の仕分けを行っておく必要がある。そして予め仕分けされたグループごとに原稿を画像処理装置にセットして原稿の読み取りと送信処理を行う必要がある。例えば、生徒の人数が30人である場合、手作業での仕分けにより宛先が異なる30のグループができるので、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めて送信するためには、画像処理装置に原稿をセットし、原稿の読み取りと送信を行うための操作を30回行う必要がある。
【0007】
また逆に、複数の生徒のそれぞれから複数科目纏めて提出されたテスト用紙を、各科目の担当教諭に対し、各科目のテスト用紙を纏めてファイル化した状態で配信したいという要望もある。例えば、国語、算数、理科、社会といった4種類のテスト用紙を1枚ずつ含む原稿が、生徒の人数分積み重ねられた状態にあるとすると、各科目の担当教諭毎に担当科目のテスト用紙を纏めたファイルとするためには、まず、積み重ねられた原稿を種類別に仕分けすることが必要である。しかし、この場合にも、従来の画像処理装置によれば人が予め手作業で原稿の仕分けを行っておく必要がある。
【0008】
このように従来の画像処理装置は、人が予め手作業で原稿の仕分けを行わなければならい場合があり、操作性が悪いという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決するため、人が予め手作業で原稿を仕分けする必要がなく、積み重ねられた原稿の連続読み取りを行って仕分けされたグループ単位でファイルを作成することにより、操作性を向上させることができる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像処理装置であって、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段と、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定手段と、前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報設定手段によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理手段と、前記仕分け処理手段によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
かかる発明によれば、原稿情報設定手段において読取対象原稿に関する原稿情報が設定され、仕分け処理手段がその原稿情報に基づいて画像データを複数のグループに仕分けすることができるので、人が手作業で予め原稿を仕分け作業する必要がなくなる。そしてファイル作成手段が仕分け処理手段によって仕分けされた画像データをグループ単位でファイル化するので、読取対象原稿を一度読み取るだけで仕分けされた複数のファイルを作成することができる。尚、ファイル作成手段によって作成されたファイルは、画像処理装置の外部に送信されても良いし、画像処理装置の内部で保持されても良い。
【0012】
請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像処理装置において、ユーザが操作することにより情報を入力することが可能な操作入力手段をさらに備え、前記原稿情報設定手段は、前記操作入力手段から入力される情報に基づいて原稿情報を設定することを特徴としている。
【0013】
かかる発明によれば、ユーザが操作入力手段に対して情報を入力するだけで、原稿情報が設定され、更にはその原稿情報に基づいて仕分けが行われるので、人が手作業で原稿を仕分けする場合と比較すれば、ユーザの手間は著しく軽減される。
【0014】
請求項3にかかる発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データの所定の領域に含まれる画像成分に基づいて原稿の区切りを検出する原稿区切り検出手段をさらに備え、前記原稿情報設定手段は、前記原稿区切り検出手段によって検出される原稿の区切りに基づいて原稿情報を設定することを特徴としている。
【0015】
かかる発明によれば、ユーザは操作入力手段に対して情報を入力する必要もなくなるので、人が手作業で原稿を仕分けする場合と比較すれば、ユーザの手間はより一層軽減される。
【0016】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記ファイル作成手段によって作成されるグループ単位のファイルごとに送信宛先を設定する宛先設定手段と、前記ファイル作成手段によって作成されるグループ単位のファイルを、前記宛先設定手段によって設定された宛先に送信するファイル送信手段と、をさらに備えることを特徴としている。
【0017】
かかる発明によれば、仕分け処理手段によって複数のグループに仕分けされ、ファイル作成手段によって作成されたグループ単位のファイルを個別に設定された送信宛先に送信することができるので、読取対象原稿を一度読み取るだけで仕分けされた複数のファイルを個別にそれぞれの送信宛先へ送信することが可能になる。
【0018】
請求項5にかかる発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記原稿情報設定手段は、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数と、同じ種類の原稿の枚数との双方を原稿情報として設定し、前記ファイル作成手段は、前記原稿読取手段によって最終種類の原稿の1枚ずつの画像データが生成される都度、前記仕分け処理手段によって全種類の原稿が纏められたグループをファイル化し、前記ファイル送信手段は、前記ファイル作成手段によってファイルが作成されていくことに伴ってファイルの送信を順次行うことを特徴としている。
【0019】
かかる発明によれば、仕分け処理手段により各グループの画像データが全て揃った時点でそのグループのファイル化と、そのファイルの送信とが行われるので、画像処理装置においてファイルの作成とファイルの送信とが行われるタイミングをグループ毎に分散させることができる。それ故、画像処理装置に対して一時的に大きな処理負荷がかかることを抑制することが可能である。
【0020】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記仕分け処理手段によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる画像合成手段をさらに備えることを特徴としている。
【0021】
かかる発明によれば、特定の原稿のみに含まれる情報を他の原稿に合成することができるので、例えば仕分け処理手段によって仕分けが行われたことにより、各原稿に対応するユーザなどを特定することができなくなるという不具合が生じることを防止できる。
【0022】
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置において、前記仕分け処理手段は、原稿の種類の数に基づいて画像データの仕分けを行う第1の仕分け処理と、同じ種類の原稿の枚数に基づいて画像データの仕分けを行う第2の仕分け処理とのいずれか一方を選択して行うことを特徴としている。
【0023】
かかる発明によれば、第1の仕分け処理と第2の仕分け処理とを選択することができるので、読取対象原稿の種類や態様に応じて適切な仕分け処理を行うことができるようになる。
【0024】
請求項8にかかる発明は、画像処理方法であって、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成するステップと、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定するステップと、前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けするステップと、複数のグループに仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するステップと、を備えることを特徴としている。
【0025】
請求項9にかかる発明は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段を備えた画像処理装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定手段、前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報設定手段によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理手段、前記仕分け処理手段によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成手段、として機能させる特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
上述したように、本発明によれば、原稿情報設定手段において読取対象原稿に関する原稿情報が設定され、仕分け処理手段がその原稿情報に基づいて画像データを複数のグループに仕分けすることができるので、人が手作業で予め原稿を仕分け作業する必要がなくなる。そしてファイル作成手段が仕分け処理手段によって仕分けされた画像データをグループ単位でファイル化するので、読取対象原稿を一度読み取るだけで仕分けされた複数のファイルを作成することができる。したがって、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を読み取る際、人が事前に手作業で原稿の仕分け作業を行っておく必要がなくなり、しかも読取対象原稿を一度読み取るだけで複数のファイルが作成されるので、画像処理装置の操作性が著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明するいくつかの実施の形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明が適用される画像処理装置1が組み込まれた画像処理システムの一構成例を示す図である。この画像処理システムは、画像処理装置1と、複数のコンピュータ5(5a,5b,5c,…)とがネットワーク4を介して接続された構成である。図例では、画像処理装置1は、コピー機能、スキャナ機能、FAX機能、プリンタ機能などの複数の機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)と呼ばれる装置である場合を例示しているが、必ずしも複数の機能を備える必要はない。すなわち、画像処理装置1は原稿を読み取って送信する機能を備えていれば良いため、例えばスキャナ専用装置であっても良いし、またFAX専用装置であっても良い。
【0029】
このような画像処理装置1は、原稿を読み取るためのスキャナ部2を備えている。スキャナ部2は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部21と、その画像読取部21の上部に設けられ、セットされる原稿を1枚ずつ画像読取部21に搬送する自動原稿搬送装置22とを備えている。そして画像読取部21と自動原稿搬送装置22とが互いに同期した動作を行うことで、自動原稿搬送装置22が複数枚の原稿を1枚ずつ画像読取部21に搬送しつつ、画像読取部21がその搬送中の原稿から画像を読み取ることができ、原稿の連続自動読み取りが可能である。
【0030】
また画像処理装置1は、その正面側にユーザが操作可能な操作パネル3を備えている。図2は、操作パネル3の一構成例を示す図である。操作パネル3は、ユーザが操作可能な操作キー31と、ユーザに対して各種情報を表示するために液晶表示デバイスなどで構成された画像表示部32とを備えている。画像表示部32の表示画面上にはタッチパネル式の操作キー31aが設けられている。また画像表示部32の周囲には押しボタン式の操作キー31bが設けられている。そして操作パネル3の操作キー31は、タッチパネル式の操作キー31aと、押しボタン式の操作キー31bとから構成されている。また画像表示部32には、画像処理装置1の動作状況などに応じて各種の表示画面が表示され、ユーザはその表示画面を参照しながら操作キー31を操作することにより、画像処理装置1に対する各種設定などを入力するための操作などを行うことができる。尚、操作キー31には、ユーザが画像処理装置1に対して例えば原稿の読み取り開始を指示するスタートキー33が含まれる。
【0031】
図1に戻り、画像処理装置1は、原稿を読み取って生成した画像データをファイル化する。そして操作パネル3を介して原稿のスキャン送信が指示された場合には、原稿を読み取って生成した画像データをファイル化した後、ネットワーク4に接続されている複数のコンピュータ5のそれぞれに対してそのファイルを送信する。各コンピュータ5a,5b,5c,…は、個々のユーザに割り当てられたコンピュータである。そのため、原稿を読み取って生成したファイルを特定のユーザに送信したい場合には、操作パネル3を操作してその特定のユーザに割り当てられたコンピュータを宛先として指定することにより、画像処理装置1はその指定されたコンピュータに対して指定されたファイルを送信する。
【0032】
そして本実施形態の画像処理装置1は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を読み取ってスキャン送信を行う場合、スキャナ部2で生成される1枚ずつの画像データを複数のグループに仕分けする仕分け処理を行い、その仕分け処理で仕分けされた画像データをグループ単位でファイル化して複数のファイルを生成し、各ファイルを異なる宛先に対して送信することができるように構成されている。以下、このような画像処理装置1の詳細について説明する。
【0033】
図3は、画像処理装置1の内部構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置1は、制御部10と、スキャナ部2と、操作パネル3と、画像メモリ41と、ハードディスク装置42と、記憶部43と、入出力インタフェース45とを備えており、これらがデータバス46を介して相互にデータ通信可能に接続された構成である。そしてネットワーク4は入出力インタフェース45に接続されている。
【0034】
制御部10は、画像処理装置1の動作全般を制御するものである。この制御部10は、CPU11と、RAM12と、ROM13とを備えており、ROM13にはプログラム14が予め格納されている。CPU11は、画像処理装置1に対して電源が投入されると、ROM13に格納されたプログラム14を読み出して実行することにより、後述する各種の処理を実行する演算処理部(コンピュータ)である。RAM12は、CPU11が各種の処理を実行する際に使用する情報などを一時的に記憶しておくためのものである。
【0035】
操作パネル3は、上述したように操作キー31と画像表示部32とを備えている。画像表示部32の表示画面は制御部10によって制御される。また操作パネル3は、ユーザが操作キー31を操作した場合、そのキー操作に基づくキー信号を制御部10に出力するように構成されている。
【0036】
画像メモリ41は、スキャナ部2の画像読取部21が原稿を読み取って出力する1枚ずつの画像データを記憶するためのものである。スキャナ部2の画像読取部21が種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を連続的に読み取る場合であっても、画像読取部21から出力される画像データは1枚ずつ出力されるため、画像メモリ41は、画像読取部21から1枚ずつ画像データが出力される度にそれを順次記憶していくように構成されている。
【0037】
ハードディスク装置42は、画像処理装置1に内蔵された記憶手段である。例えば、このハードディスク装置42に設定されるユーザ毎のフォルダを、ファイル送信時の宛先としても設定することが可能である。そのため、この場合は、スキャン送信によるファイルの送信処理は、画像処理装置1の内部に設けられたハードディスク装置42のフォルダを宛先として行われる。
【0038】
記憶部43は、例えば不揮発性メモリなどで構成され、画像処理装置1に対して予め登録された宛先情報44などを保持するように構成される。宛先情報44には、画像処理装置1がファイル送信可能な複数の宛先が予め格納されている。したがって、この宛先情報44には、ネットワーク4に接続された各コンピュータ5の宛先を特定する情報が含まれると共に、画像処理装置1に内蔵されたハードディスク装置42に設定されているユーザ毎のフォルダなどの宛先を特定する情報も含まれる。
【0039】
図4は、画像処理装置1に電源が投入された場合にCPU11がプログラム14を読み出して実行する処理手順の一例を示す図である。CPU11は、処理を開始すると、種々の初期化処理を行う(ステップS101)。この初期化処理が終了すると、CPU11は、操作パネル3から何らかのキー信号を受信して処理要求が行われているか否かを判断する(ステップS102)。そして操作パネル3からの処理要求があった場合には、要求された処理が原稿のスキャン送信であるか否かを判断する(ステップS103)。ここで原稿のスキャン送信であると判断した場合には、ステップS104に進み、スキャン送信処理を実行する。尚、このスキャン送信処理の詳細については後述する。そしてスキャン送信処理が終了すると、ステップS102に戻る。
【0040】
一方、操作パネル3から要求された処理がスキャン送信でなかった場合(ステップS103でNO)、CPU11は操作パネル3から要求された処理(例えばコピーなど)を実行し(ステップS105)、その後、ステップS106に進む。
【0041】
またステップS102で操作パネル3からの処理要求がなかった場合、CPU11はネットワーク4を介して外部装置(例えばコンピュータ5など)からコマンドなどの信号を受信して処理要求が行われているか否かを判断する(ステップS106)。そして外部装置からの処理要求があった場合、CPU11は外部装置から要求された処理(例えばプリントなど)を実行し(ステップS107)、その後、ステップS102に戻る。また外部装置からの処理要求がなかった場合(ステップS106でNO)、そのままステップS102に戻る。
【0042】
そしてステップS102以降の処理が繰り返し実行されることにより、ユーザが操作パネル3に対してスキャン送信を行うことを指示すると、それに伴って、CPU11がスキャン送信処理(ステップS104)を実行する。以下、このスキャン送信処理の詳細について説明するが、本実施形態ではスキャン送信のうちでも、特に、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って生成した画像データを複数のグループに仕分けする仕分け処理を行い、その仕分け処理によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化して複数のファイルを作成し、各ファイルをそれぞれ異なる宛先に送信する形態について詳細に説明する。
【0043】
図5は、そのようなスキャン送信時における制御部10の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のスキャン送信処理(ステップS104)では、CPU11がプログラム14に基づく処理を実行することにより、制御部10は原稿読取制御部51、原稿情報設定部52、仕分け処理部53、ファイル作成部54およびファイル送信部55として機能する。
【0044】
原稿読取制御部51は、スキャナ部2を制御して読取対象原稿の連続的な読み取り動作を行わせるものであり、例えば読取対象原稿が自動原稿搬送装置22にセットされた状態で操作パネル3のスタートキー33が操作されたことを検知すると、それに伴って原稿の読み取り動作を開始させる。そして原稿読取制御部51の制御によってスキャナ部2が原稿の読み取り動作を開始すると、画像読取部21から出力される1枚ずつの画像データが画像メモリ41に格納されていく。
【0045】
原稿情報設定部52は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿に関する原稿情報を設定する処理部であり、本実施形態では、仕分け処理部53が行う仕分け処理の態様に応じて、読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数および同じ種類の原稿の枚数のいずれか一方を原稿情報として設定する。この原稿情報を設定する際、原稿情報設定部52は、操作パネル3の画像表示部32に対して設定画面を表示する。そしてユーザがその設定画面に対して入力する情報に基づいて読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数、又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する。そして原稿情報設定部52が設定する原稿情報は仕分け処理部53が仕分け処理を行う際に参照される。
【0046】
仕分け処理部53は、種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を読み取ることによって画像メモリ41に格納される1枚ずつの画像データを複数のグループに仕分けする処理部である。この仕分け処理部53では、上述したように原稿情報設定部52で設定された読取対象原稿に関する原稿情報に基づいて画像データの仕分け処理が行われる。尚、仕分け処理部53における仕分け処理の詳細については後述する。
【0047】
ファイル作成部54は、仕分け処理部53によって複数のグループに仕分けされた画像データを、グループ単位でまとめてファイル化する処理部である。例えば、仕分け処理部53によって画像データがm個(但し、mは2以上の整数)のグループに仕分けされた場合、ファイル作成部54はそれらm個のグループをそれぞれファイル化し、m個のファイルを作成する。
【0048】
ファイル送信部55は、ファイル作成部54によって作成されるグループ毎のファイルを、それぞれのファイル毎に指定された宛先に送信する処理部である。例えば、ファイル作成部54によってm個のファイルが作成された場合、ファイル送信部55は、m個のファイルのそれぞれに対して指定された宛先に対してファイルを送信する。したがって、m個のファイルのそれぞれに異なる宛先が指定されている場合、ファイル送信部55はm個のファイルをファイル毎に異なる宛先に送信する。
【0049】
次に、仕分け処理部54における仕分け処理について説明する。本実施形態では、仕分け処理部54によって行われる仕分け処理の態様として、第1の仕分け処理と第2の仕分け処理との2つの態様がある。
【0050】
第1の仕分け処理は、例えば、教育関連業務などで、複数科目のテスト用紙を複数の生徒に対して配信する際、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めてファイル化した状態で配信する場合に適した仕分け処理である。この場合、各科目の担当教諭が採点した生徒人数分のテスト用紙が集められ、それが複数科目分積み重ねられた状態で読取対象原稿が構成される。そして第1の仕分け処理では、そのような読取対象原稿を生徒毎に仕分ける処理を行う。
【0051】
図6は、第1の仕分け処理の概念を示す図である。図6において読取対象原稿9aは、A,B,…,m(但し、mは2以上の整数)から成るm種類の原稿のそれぞれが1,2,…,n(但し、nは2以上の整数)のn枚で揃っている状態となっている。ここでmを科目の種類、nを生徒の人数とすると、各科目の担当教諭が採点した生徒人数分のテスト用紙が集められ、それらが複数科目分積み重ねられた状態となると、図6に示す読取対象原稿9aのような配列となる。このような読取対象原稿9aをスキャナ部2で1枚ずつ読み取ると、画像メモリ41には、図6に示すように読取対象原稿9aの配列と一致した配列で画像データが順次格納される。
【0052】
第1の仕分け処理は、図6の読取対象原稿9aを読み取って、m種類の原稿のうちからそれぞれ1枚目の原稿を集めたグループ1、2枚目の原稿を集めたグループ2、…、n枚目の原稿を集めたグループnに仕分けする。つまり、第1の仕分け処理では、読取対象原稿9aを読み取って各種類の原稿の枚数(n枚)分の複数のグループに仕分けが行われる。この第1の仕分け処理を行うため、原稿情報設定部52は、同じ種類の原稿枚数nを原稿情報として設定し、仕分け処理部53に入力する。そして仕分け処理部53は、原稿情報設定部52から入力する原稿情報(すなわち、同じ種類の原稿枚数n)に基づいて仕分け処理を行う。つまり、仕分け処理部53は、第1の仕分け処理を行う場合、画像メモリ41に格納された1枚ずつの画像データのうち、先頭(1枚目)の画像データからn枚目までの画像データを第1の原稿種類であると判別し、(n+1)枚目から2n枚目までの画像データを第2の原稿種類であると判別する。以下同様に原稿種類を判別していき、m種類の原稿の区切りとなる位置を原稿情報(すなわち、同じ種類の原稿枚数n)に基づいてすべて検出する。そして各原稿種類には各生徒宛のテスト用紙が同じ順序で配列されているため、各原稿種類の1枚目の原稿に対応する画像データをグループ1に仕分けし、2枚目の原稿に対応する画像データをグループ2に仕分けする。以下同様に仕分けを行っていき、各原稿種類のn枚目の原稿に対応する画像データをグループnに仕分けすれば、仕分け処理が完了する。
【0053】
その結果、図6に示すように、グループ1には各種類の1枚目の原稿に対応した画像データが含まれることとなり、グループ2には各種類の2枚目の原稿に対応した画像データが含まれることとなる。またグループnには、各種類のn枚目の原稿に対応した画像データが含まれることとなる。そして各グループに含まれる画像データの枚数はそれぞれ原稿のm種類に対応したm枚分となる。したがって、第1の仕分け処理を行うことにより、各グループには、例えば生徒番号などのIDが共通した一人の生徒宛の画像データがm種類分含まれることとなり、一人ひとりの生徒に対して個別に配信すべきm種類分の画像データを生徒毎にグループ化することができる。
【0054】
そしてファイル作成部54において第1の仕分け処理で仕分けされたn個のグループをそれぞれファイル化することにより、図6に示すように各生徒に配信するためのn個のファイルが作成される。
【0055】
次に第2の仕分け処理は、例えば、教育関連業務などで、複数の生徒のそれぞれから複数科目纏めて提出されたテスト用紙を各科目の担当教諭に対して配信する際、各科目のテスト用紙を複数生徒分纏めてファイル化した状態で配信する場合に適した仕分け処理である。この場合、各生徒からは各科目のテスト用紙が同じ順序で並べられた状態で集められ、それが生徒人数分積み重ねられた状態で読取対象原稿が構成される。そして第2の仕分け処理では、そのような読取対象原稿を担当教諭毎に仕分ける処理を行う。
【0056】
図7は、第2の仕分け処理の概念を示す図である。図7において読取対象原稿9bは、A,B,…,m(但し、mは2以上の整数)のm種類が1枚ずつ揃っている原稿が、1,2,…,n(但し、nは2以上の整数)のn個積み重ねられた状態となっている。ここで上記と同様に、mを科目の種類、nを生徒の人数とすると、各生徒から各科目について1枚ずつ提出されたテスト用紙が集められ、それらが生徒人数分積み重ねられた状態となると、図7に示す読取対象原稿9bのような配列となる。このような読取対象原稿9bをスキャナ部2で1枚ずつ読み取ると、画像メモリ41には、図7に示すように読取対象原稿9bの配列と一致した配列で画像データが順次格納される。
【0057】
第2の仕分け処理は、図7の読取対象原稿9bを読み取って、各生徒が提出したn個の原稿のうちからそれぞれ1種類目の原稿を集めたグループ1、2種類目の原稿を集めたグループ2、…、m種類目の原稿を集めたグループmに仕分けする。つまり、第2の仕分け処理では、読取対象原稿9bを読み取って原稿種類(m種類)分の複数のグループに仕分けが行われる。この第2の仕分け処理を行うため、原稿情報設定部52は、読取対象原稿9bに含まれる原稿の種類の数mを原稿情報として設定し、仕分け処理部53に入力する。そして仕分け処理部53は、原稿情報設定部52から入力する原稿情報(すなわち、原稿の種類の数m)に基づいて仕分け処理を行う。つまり、仕分け処理部53は、第2の仕分け処理を行う場合、画像メモリ41に格納された1枚ずつの画像データのうち、先頭(1枚目)の画像データからm枚目までの画像データを第1の生徒が提出した原稿であると判別し、(m+1)枚目から2m枚目までの画像データを第2の生徒が提出した原稿であると判別する。以下同様に原稿を判別していき、n人の生徒が提出した原稿の区切りとなる位置を原稿情報(すなわち、原稿の種類の数m)に基づいてすべて検出する。そして各生徒が提出した原稿には複数科目のテスト用紙が同じ順序で配列されているため、各生徒が提出した1枚目の原稿に対応する画像データをグループ1に仕分けし、2枚目の原稿に対応する画像データをグループ2に仕分けする。以下同様に仕分けを行っていき、各生徒が提出したm枚目の原稿に対応する画像データをグループmに仕分けすれば、仕分け処理が完了する。
【0058】
その結果、図7に示すように、グループ1には各生徒が提出した1種類目の原稿に対応した画像データが含まれることとなり、グループ2には各生徒が提出した2種類目の原稿に対応した画像データが含まれることとなる。またグループmには、各生徒が提出したm種類目の原稿に対応した画像データが含まれることとなる。そして各グループに含まれる画像データの枚数はそれぞれ生徒の人数nに対応したn枚となる。したがって、第2の仕分け処理を行うことにより、各グループには、例えばひとつの科目に対応した1種類の画像データがn枚分含まれることとなり、担当教諭に対して個別に配信すべきm種類分の画像データを担当教諭毎にグループ化することができる。
【0059】
そしてファイル作成部54において第2の仕分け処理で仕分けされたm個のグループをそれぞれファイル化することにより、図7に示すように各担当教諭に配信するためのm個のファイルが作成される。
【0060】
ここで第1の仕分け処理と第2の仕分け処理とのいずれを実行するかは、読取対象原稿の態様に応じて適宜決定することができる。また仕分け処理部53においては、第1の仕分け処理と第2の仕分け処理のいずれであっても原稿情報に基づいて原稿の区切りを判別して仕分けを行うという点では同じであるので、同様の処理手順で読取対象原稿の態様に応じた仕分け処理を行うことができる。
【0061】
図8は、本実施形態におけるスキャン送信処理(ステップS104)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。CPU11は、スキャン送信処理を開始すると、制御部10を原稿情報設定部52として機能させ、操作パネル3の画像表示部32に設定画面を表示させる(ステップS201)。
【0062】
図9は、このとき画像表示部32に表示される設定画面の一例を示す図であり、(a)は、図6に示した第1の仕分け処理を行う場合の設定画面32aを示しており、(b)は図7に示した第2の仕分け処理を行う場合の設定画面32bを示している。
【0063】
まず、画像処理装置1において例えば第1の仕分け処理を行う場合、図9(a)に示すように設定画面32aには、同種原稿の枚数を入力するための枚数指定欄34と、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。そしてユーザは操作パネル3の操作キー31を操作して枚数指定欄34に同種原稿の枚数を入力する。ここでは、図6に示したように同じ種類の原稿枚数nが入力される。図9(a)の例では、同種原稿の枚数が40枚であることを指定した場合を示している。このようにして同種原稿の枚数nが指定されると、送信宛先指定欄35には、同種原稿の枚数nに対応してn個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。図9(a)の例では、同種原稿の枚数が40枚として指定されているので、送信宛先指定欄35には40個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。但し、本実施形態の場合、40個のファイルの全てを同時に一覧表示することは難しいため、ユーザはスクロールキー35a,35bを操作することですべてのファイルに対する宛先を指定することができるようになっている。尚、各ファイルに対する宛先を指定する際、ユーザは記憶部43に予め記憶されている宛先情報44を更に別の一覧表示として表示させ、その中から所望の宛先を選択して指定することができる。そして一覧表示されている全てのファイルに対して送信宛先を指定すれば、OKキー36を操作することで設定操作が終了する。尚、スキャン送信を中断する場合には、キャンセルキー37を操作すればよい。
【0064】
次に、画像処理装置1において例えば第2の仕分け処理を行う場合、図9(b)に示すように設定画面32bには、読取対象原稿に含まれる原稿種類の数を入力するための原稿種類数指定欄38と、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。そしてユーザは操作パネル3の操作キー31を操作して原稿種類数指定欄38に対し、読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数を入力する。ここでは、図7に示したように原稿種類の数mが入力される。図9(b)の例では、原稿種類数が3つであることを指定した場合を示している。このようにして原稿種類数mが指定されると、送信宛先指定欄35には、原稿種類数mに対応してm個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。図9(b)の例では、原稿種類数が3として指定されているので、送信宛先指定欄35には3個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。そしてすべてのファイルに対して送信宛先を指定すれば、OKキー36を操作することで設定操作が終了する。尚、スキャン送信を中断する場合には、キャンセルキー37を操作すればよい。
【0065】
原稿情報設定部52が設定画面を表示しているときにユーザが同種原稿の枚数n又は原稿種類の数mを入力して設定操作を終了すると、原稿情報設定部52は、その入力された同種原稿の枚数n又は原稿種類の数mを原稿情報として設定する。またファイル毎に指定された送信宛先も同時に設定する。
【0066】
図8に戻り、次にCPU11は、制御部10を原稿読取制御部51として機能させ、操作パネル3に対してキー操作が行われた場合に操作パネル3のスタートキー33が操作されたか否かを判断する(ステップS202)。スタートキー33でない場合には、さらにキャンセルキーが操作されたか否かを判断し(ステップS203)、キャンセルキーが操作された場合にはスキャン送信処理を終了する。これに対し、キャンセルキーでもなかった場合には、ステップS202に戻り、次にキー操作が行われるまで待機する。
【0067】
そしてスタートキーが操作された場合(ステップS202でYES)、原稿読取制御部51は、スキャナ部2を制御して読取対象原稿の連続読み取りを開始する(ステップS204)。これにより、読取対象原稿は1枚ずつ読み取られていき、画像メモリ41に対して1枚ずつの画像データが格納されていく。そして全ての読取対象原稿の読み取りが完了すると、CPU11は、制御部10を仕分け処理部53として機能させ、原稿情報設定部52が設定した原稿情報に基づく仕分け処理を実行する(ステップS205)。ここでの処理は、図6及び図7を参照して説明した第1及び第2の仕分け処理のいずれか一方が行われる。つまり、ユーザが入力した原稿情報に基づいて読取対象原稿の態様に応じた仕分け処理が実行され、読取対象原稿を読み取って生成した1枚ずつの画像データが複数のグループに仕分けされる。そして仕分け処理が終了すると、次にCPU11は、制御部10をファイル作成部54として機能させ、仕分け処理部53によって仕分けされた複数のグループのそれぞれをファイル化する処理を実行する(ステップS206)。そしてファイル作成処理が終了すると、次にCPU11は、制御部10をファイル送信部55として機能させ、ファイル作成部54で作成された複数のファイルのそれぞれと、設定画面32a,32bで設定された送信宛先とを対応付け、各ファイルを指定された送信宛先に対して送信する(ステップS207)。そして全ての宛先への送信処理を終了すると、スキャン送信処理を終了する。
【0068】
このようなスキャン送信処理(ステップS104)により、図10および図11に示すような送信形態が実現される。
【0069】
図10は、図6に示した読取対象原稿9aを読み取ってスキャン送信を行う場合の送信形態を示す図である。図10に示すように、m種類の原稿がそれぞれn枚で揃っている状態の読取対象原稿9aをスキャナ部2にセットし、操作パネル3の設定画面に対する原稿情報として「n」を入力してスキャン送信を実行すると、画像処理装置1は、n個のファイルを作成し、それぞれのファイルをn個の宛先に対して個別に送信する。したがって、例えば、教育関連業務などで、複数科目のテスト用紙を複数の生徒に対して配信する際、生徒毎に複数科目のテスト用紙を纏めてファイル化した状態で配信する場合であっても、画像処理装置1において自動で仕分け処理が行われ、各生徒に対して個別にファイルが送信されるので、人手による仕分け作業を行う必要がなく、また読取対象原稿9aの読み取り回数も1回で済むので、操作性が著しく向上する。
【0070】
また図11は、図7に示した読取対象原稿9bを読み取ってスキャン送信を行う場合の送信形態を示す図である。図11に示すように、1枚ずつm種類が揃っている原稿がn個積み重ねられた状態の読取対象原稿9bをスキャナ部2にセットし、操作パネル3の設定画面に対する原稿情報として「m」を入力してスキャン送信を実行すると、画像処理装置1は、m個のファイルを作成し、それぞれのファイルをm個の宛先に対して個別に送信する。したがって、例えば、教育関連業務などで、複数の生徒のそれぞれから複数科目纏めて提出されたテスト用紙を各科目の担当教諭に対して配信する際、各科目のテスト用紙を複数生徒分纏めてファイル化した状態で配信する場合であっても、画像処理装置1において自動で仕分け処理が行われ、各担当教諭に対して個別にファイルが送信されるので、人手による仕分け作業を行う必要がなく、また読取対象原稿9bの読み取り回数も1回で済むので、操作性が著しく向上する。
【0071】
尚、上記においては、教育関連業務などで生徒や担当教諭に対してテスト用紙などを配信する場合を例示したが、これは単なる一例であり、本実施形態の画像処理装置1は教育関連業務以外の業務にも適用することが可能である。例えば複数種類で1セットとなったアンケート用紙を集計する際、アンケートの種類毎に集計担当者が異なるような場合には、上述した画像処理装置1を適用して各担当者に集計担当の用紙のみを配信することができる。
【0072】
ところが、アンケート用紙などの場合、1セットとなったアンケート用紙の1枚目のみにアンケート回答者を特定するための情報が記入されているようなケースでは、アンケートの種類毎に仕分け処理を行ってしまうと、2枚目以降の用紙は誰が回答したものかが判らなくなるという不都合が生じることがある。このような不都合を解消するためには、例えば画像処理装置1の制御部10がさらに図示を省略する画像合成部として機能するように構成すれば良い。すなわち、画像合成部は、仕分け処理部53によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる処理を行うのである。
【0073】
図12は、この場合の画像合成処理の一例を示す図である。例えば画像処理装置1において上述した第1の仕分け処理が行われ、1セット分のアンケートの1枚目の画像データがグループ1に仕分けられた場合、グループ1の画像データの所定領域Rにはすべて回答者を特定するためのIDや氏名などの画像成分が含まれているが、他のグループの画像データの所定領域Rにはそれらの画像成分が含まれていない。この場合、画像合成部は、図12に示すようにグループ1に仕分けられた画像データの所定領域Rに含まれる画像成分を他のグループ(グループ2,3,…)に仕分けられた画像データの所定領域Rに重ね合わせることにより、他のグループに仕分けられた画像からもアンケート回答者を特定することができるようになる。
【0074】
尚、画像合成を行う所定領域Rの指定は、例えば設定画面に対する操作を行うときにユーザが指定するようにしても良い。
【0075】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、ユーザが操作パネル3を介して入力した情報に基づいて原稿情報設定部52が仕分け処理の際に参照される原稿情報を設定する場合を例示した。本実施形態では、読取対象原稿を読み取って生成した画像データから原稿区切りを検出して原稿情報を自動設定する形態について説明する。
【0076】
図13は、本実施形態でのスキャン送信時における制御部10の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。尚、図13に示す各機能は、図4のフローチャートにおいてスキャン送信処理(ステップS104)が行われる場合に機能する。本実施形態のスキャン送信処理(ステップS104)では、CPU11がプログラム14に基づく処理を実行することにより、制御部10が、原稿読取制御部51、原稿区切り検出部56、原稿情報設定部52、仕分け処理部53、ファイル作成部54およびファイル送信部55として機能する。ここで、原稿読取制御部51、仕分け処理部53、ファイル作成部54およびファイル送信部55は、第1の実施の形態と同様である。
【0077】
原稿区切り検出部56は、スキャナ部2が読取対象原稿を読み取って画像メモリ41に格納した1枚ずつの画像データを読み出し、各画像データの所定の領域に含まれる画像成分に基づいて原稿の区切りを検出する処理部である。例えば、原稿区切り検出部56は、画像データの所定の領域に記録されている原稿区切りを示す数値コードや文字列をOCRなどの画像処理技術を適用して読み取り、その読み取った数値コードや文字列で原稿区切りを検出する。さらに詳しく説明すると、例えばテスト用紙などの場合には、用紙の所定位置に科目名やテストコードが記録されると共に、生徒番号などのIDや生徒の氏名などが所定位置に記入されている。そのため、第1の仕分け処理を行う場合、原稿区切り検出部56は、科目名やテストコードなどを読み取って別の科目名又はテストコードに切り替わる位置を原稿区切りとして検出する。また、第2の仕分け処理を行う場合、原稿区切り検出部56は、生徒のIDや氏名などを読み取って別の生徒の用紙に切り替わる位置を原稿区切りとして検出する。またこの他にも、原稿の所定位置に2次元バーコードなどを記録しておき、原稿区切り検出部56がこの2次元バーコードの値を読み取り、その値が所定値であれば原稿区切りであると判定するという方法を採用しても良い。
【0078】
上記のようにして原稿区切り検出部56が原稿の区切りを検出すると、その区切り情報は原稿情報設定部52に与えられる。そして原稿情報設定部52は、原稿区切り検出部56が検出した原稿区切りに基づいて原稿情報を設定する。つまり、第1の仕分け処理を行う場合には、同種原稿の枚数nが原稿区切り検出部56によって検出されるので、原稿情報設定部52は、原稿区切り検出部56から入力する原稿区切り(すなわち、同種原稿の枚数n)を原稿情報として設定する。また第2の仕分け処理を行う場合には、原稿種類数mが原稿区切り検出部56によって検出されるので、原稿情報設定部52は、原稿区切り検出部56から入力する原稿区切り(すなわち、原稿種類数m)を原稿情報として設定する。
【0079】
そして仕分け処理部53では、原稿情報設定部52によって設定された原稿情報に基づいて第1の実施の形態と同様の仕分け処理が行われる。
【0080】
図14は、本実施形態におけるスキャン送信処理(ステップS104)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。CPU11は、スキャン送信処理を開始すると、制御部10を原稿読取制御部51として機能させ、操作パネル3のスタートキー33が操作されるまで待機する(ステップS301)。そしてスタートキー33が操作されると、原稿読取制御部51は、スキャナ部2を制御して読取対象原稿の連続読み取りを開始する(ステップS302)。これにより、読取対象原稿は1枚ずつ読み取られていき、画像メモリ41に対して1枚ずつの画像データが格納されていく。そして全ての読取対象原稿の読み取りが完了すると、CPU11は、制御部10を原稿区切り検出部56として機能させ、画像メモリ41に格納された各画像データの所定の領域に含まれる画像成分に基づいて原稿の区切りを検出する処理を行う(ステップS303)。この処理で原稿の区切りが検出できた場合には、CPU11はさらに原稿情報設定部52を機能させ、検出された原稿の区切りに基づいて原稿情報を設定する。但し、原稿区切り検出処理(ステップS303)で原稿の区切りを検出することができない場合もある。
【0081】
そしてCPU11は、原稿の区切りを検出できたか否かを判断し(ステップS304)、検出できなかった場合には、仕分け処理を行わずにステップS306に進む。一方、区切りを検出することができた場合、CPU11は仕分け処理部53を機能させ、原稿情報設定部52が設定した原稿情報に基づく仕分け処理を実行する(ステップS305)。ここでの処理は、第1の実施の形態と同様であり、図6及び図7を参照して説明した第1及び第2の仕分け処理のいずれか一方が行われる。つまり、ユーザが入力した原稿情報に基づいて読取対象原稿の態様に応じた仕分け処理が実行され、読取対象原稿を読み取って生成した1枚ずつの画像データが複数のグループに仕分けされる。尚、本実施形態では、仕分け処理によって生成されるグループの数は、原稿区切り検出処理(ステップS303)で検出された区切りの数に一致する。そして仕分け処理が終了すると、ステップS306に進む。
【0082】
次にCPU11は、操作パネル3の画像表示部32に設定画面を表示させる(ステップS306)。図15は、本実施形態において操作パネル3に表示される設定画面32cの一例を示す図である。尚、図15は、仕分け処理(ステップS305)が行われた場合を示している。まず図15(a)に示す設定画面32cは、仕分け処理(ステップS305)において第1の仕分け処理が行われた場合である。この場合、設定画面32cには、同種原稿の枚数を表示するための同種原稿枚数表示欄34aと、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。ここで本実施形態の場合には、同種原稿の枚数nの値は、仕分け処理によって生成されたグループの数nですでに確定している。そのため、送信宛先指定欄35には、同種原稿の枚数nに対応してn個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。図15(a)の例では、同種原稿の枚数が「40」で確定しているので、送信宛先指定欄35には40個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示がスクロール操作に表示される。
【0083】
また図15(b)に示す設定画面32cは、仕分け処理(ステップS305)において第2の仕分け処理が行われた場合である。この場合、原稿種類数を表示するための原稿種類数表示欄38aと、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。この場合においても、原稿種類数表示欄38aの数mの値は、仕分け処理によって生成されたグループの数mですでに確定している。そのため、送信宛先指定欄35には、原稿種類数mに対応してm個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。図15(b)の例では、原稿種類数が「3」で確定しているので、送信宛先指定欄35には3個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。
【0084】
そしてユーザは、図15(a)又は(b)の設定画面32cに一覧表示される全てのファイルに対して送信宛先を指定して、OKキー36を操作することで設定操作が終了する。尚、スキャン送信を中断する場合には、キャンセルキー37を操作すればよい。
【0085】
そしてステップS307に進み、CPU11は、OKキー36が操作されたか否かを判断する(ステップS307)。OKキー36でない場合にはキャンセルキー37であるか否かを判断し(ステップS308)、キャンセルキー37であった場合にはスキャン送信処理を終了する。またキャンセルキー37でもなかった場合には、再びステップS307に戻り、キー操作が行われるまで待機する。
【0086】
そしてOKキー36が操作された場合(ステップS307でYES)、CPU11は、制御部10をファイル作成部54として機能させ、仕分け処理部53によって仕分けされた複数のグループのそれぞれをファイル化する処理を実行する(ステップS309)。そしてファイル作成処理が終了すると、次にCPU11は、制御部10をファイル送信部55として機能させ、ファイル作成部54で作成された複数のファイルのそれぞれと、設定画面32cで設定された送信宛先とを対応付け、各ファイルを指定された送信宛先に対して送信する(ステップS310)。そして全ての宛先への送信処理を終了すると、スキャン送信処理を終了する。
【0087】
したがって、本実施形態でも、画像処理装置1において自動で仕分け処理が行われ、各宛先に対して個別にファイルが送信されるので、人手による仕分け作業を行う必要がなく、また読取対象原稿の読み取り回数も1回で済むので、操作性が著しく向上する。特に本実施形態の場合には、自動で仕分け処理を行う際に参照する原稿情報を、原稿区切り検出部56が検出する原稿の区切りに基づいて自動設定する構成であるため、ユーザは操作パネル3を介して原稿情報を入力する必要がなく、操作性がより一層向上する。
【0088】
尚、本実施形態でも、画像処理装置1の制御部10を、さらに図示を省略する画像合成部として機能させることにより、仕分け処理部53によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる処理を行うようにしても良い。
【0089】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、同種原稿の枚数n及び原稿種類の数mのいずれか一方に基づいて原稿の区切りを判別しながら仕分け処理を行っていくため、読取対象原稿の最後の原稿の読み取りが完了しない限り、各グループへの仕分けが終了したか否かを判断することができない。それ故、グループ毎のファイル作成処理やファイル送信処理が行われるタイミングが、読取対象原稿に含まれる全ての原稿の読み取りが終了した後に集中することとなり、画像処理装置1の処理負担が一時的に大きなものとなる。そこで本実施形態では、ファイル作成処理やファイル送信処理が行われるタイミングを分散させることで、画像処理装置1に対して一時的に大きな処理負担が生じることを抑制することができる形態について説明する。尚、本実施形態における制御部10の機能構成などは第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0090】
図16は、本実施形態におけるスキャン送信処理(ステップS104)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。CPU11は、スキャン送信処理を開始すると、制御部10を原稿情報設定部52として機能させ、操作パネル3の画像表示部32に設定画面を表示させる(ステップS401)。
【0091】
図17は、このとき画像表示部32に表示される設定画面32dの一例を示す図である。図17に示すように設定画面32dには、同種原稿の枚数を入力するための枚数指定欄34と、読取対象原稿に含まれる原稿種類の数を入力するための原稿種類数指定欄38と、各ファイルの送信先を指定するための送信宛先指定欄35とが表示される。そしてユーザは操作パネル3の操作キー31を操作して枚数指定欄34に同種原稿の枚数nを入力すると共に、原稿種類数指定欄38に原稿の種類の数mを入力する。図例の場合、同種原稿の枚数が40枚として指定され、原稿種類数が3つであるとして指定されている。このようにして同種原稿の枚数nと、原稿種類数mの双方が指定されると、送信宛先指定欄35には、複数のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。このとき、例えば画像処理装置1において第1の仕分け処理が行われる場合には、入力された同種原稿の枚数nに対応してn個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。また画像処理装置1において第2の仕分け処理が行われる場合には、入力された原稿種類数mに対応してm個のファイルの送信宛先を指定するための一覧表示が行われる。そしてユーザが操作パネル3をキー操作してすべてのファイルに対して送信宛先を指定すれば、OKキー36を操作することで設定操作が終了する。尚、スキャン送信を中断する場合には、キャンセルキー37を操作すればよい。
【0092】
原稿情報設定部52が設定画面を表示しているときにユーザが同種原稿の枚数nと原稿種類の数mとを入力して設定操作を終了すると、原稿情報設定部52は、その入力された同種原稿の枚数nと原稿種類の数mとの双方を原稿情報として設定する。またファイル毎に指定された送信宛先も同時に設定する。
【0093】
図16に戻り、次にCPU11は、制御部10を原稿読取制御部51として機能させ、操作パネル3に対してキー操作が行われた場合に操作パネル3のスタートキー33が操作されたか否かを判断する(ステップS402)。スタートキー33でない場合には、さらにキャンセルキーが操作されたか否かを判断し(ステップS403)、キャンセルキーが操作された場合にはスキャン送信処理を終了する。これに対し、キャンセルキーでもなかった場合には、ステップS402に戻り、次にキー操作が行われるまで待機する。
【0094】
そしてスタートキーが操作された場合(ステップS402でYES)、原稿読取制御部51は、スキャナ部2を制御して読取対象原稿のうちから1枚の原稿の読み取りを行う(ステップS404)。これにより、読み取られた1枚の原稿の画像データが画像メモリ41に格納される。CPU11は、仕分け処理部53を機能させ、画像メモリ41に格納された1枚の画像データの仕分け処理を行う(ステップS405)。つまり、第1の仕分け処理の場合には、読み取った原稿が読取対象原稿の何枚目の原稿であるかによってn個のグループのうちから適当なグループを決定し、その決定したグループに画像データを仕分ける処理を行う。また第2の仕分け処理の場合には、読み取った原稿が読取対象原稿の何枚目の原稿であるかによってm個のグループのうちから適当なグループを決定し、その決定したグループに画像データを仕分ける処理を行う。
【0095】
そして仕分け処理部53は、ステップS405で仕分けしたグループにおいて全てのページの画像データが揃ったか否かの判断を行う(ステップS406)。本実施形態では、原稿情報として同種原稿の枚数nと原稿種類の数mとの双方が設定されているため、例えば第1の仕分け処理の場合には、n個のグループのそれぞれにm枚分の画像データが含まれ、第2の仕分け処理の場合には、m個のグループのそれぞれにn枚分の画像データが含まれることが予め認識可能である。それ故、仕分け処理部53は、仕分け処理の種類に応じて、ステップS405で仕分けしたグループにおいて全枚数分の画像データが揃ったか否かを判断するのである。
【0096】
そして仕分けしたグループに未だ全枚数分の画像データが揃っていない場合(ステップS406でNO)、ステップS409に進む。そしてCPU11は読取対象原稿に含まれる全原稿の読み取りが完了したか否かを判断し(ステップS409)、全原稿の読み取りが完了していなければ、ステップS404に戻り、制御部10を原稿読取制御部51として機能させ、次の1枚分の原稿の読み取りを行う。
【0097】
これに対し、仕分けしたグループで全枚数分の画像データが揃った場合(ステップS406でYES)、ステップS407に進み、CPU11は制御部10をファイル作成部54として機能させ、仕分け処理部53によって画像データが仕分けされたことにより、全枚数分の画像データが揃ったグループをファイル化する処理を実行する(ステップS407)。そしてファイル作成処理が終了すると、次にCPU11は、制御部10をファイル送信部55として機能させ、ファイル作成部54で作成された一つのファイルと、設定画面32dで設定された送信宛先とを対応付け、その一つのファイルを指定された送信宛先に対して送信する(ステップS408)。つまり、本実施形態では、ファイル作成部54が、スキャナ部2によって最終種類の原稿の1枚ずつの画像データが生成される都度、仕分け処理部53によって全種類の原稿が纏められたグループをファイル化し、ファイル送信部55が、ファイル作成部54によってファイルが作成されていくことに伴ってファイルの送信を順次行うようになる。そして指定された宛先への送信処理を終了すると、ステップS409に進み、読取対象原稿に含まれる全原稿の読み取りが完了するまでステップS404〜S409までの処理を繰り返し実行し、全原稿の読み取りが完了すれば、スキャン送信処理を終了する。
【0098】
以上のように本実施形態の画像処理装置1は、読取対象原稿の1枚ずつの読み取りが行われる都度、仕分け処理部53が画像データの仕分け処理を行っていき、各グループの画像データが全て揃った時点でそのグループのファイル作成処理とファイル送信処理とを行うようにしているので、画像処理装置1においてファイル作成処理とファイル送信処理とを実行するタイミングをグループ毎に分散させることができ、画像処理装置1に対して一時的に大きな処理負担が生じることを抑制することができる。また指定された宛先に対するファイルの送信をネットワーク4に接続されたサーバなどの外部装置を介して行う場合、その外部装置に対して一時的に大きな負荷がかかることを防止することもできる。
【0099】
尚、本実施形態でも、画像処理装置1の制御部10を、さらに図示を省略する画像合成部として機能させることにより、仕分け処理部53によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる処理を行うようにしても良い。
【0100】
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではなく、種々の変形例が適用可能である。例えば、画像処理装置1において行う仕分け処理として、上述した第1の仕分け処理と第2の仕分け処理のうちからユーザがいずれか一方を選択するようにしても良い。図18は、この場合の画像表示部32に表示される設定画面32eの一例を示す図である。この設定画面32eには、ユーザが第1の仕分け処理と第2の仕分け処理とを択一的に選択するための選択キー39が表示されており、ユーザは選択キー39を操作して第1の仕分け処理と第2の仕分け処理とのいずれか一方を選択することにより、画像処理装置1において行う仕分け処理の態様を設定することができる。尚、図18は第3の実施の形態に対応した設定画面を示しているが、第1又は第2の実施の形態であっても同様である。
【0101】
また上述の各実施形態では、画像処理装置1において主としてスキャン送信を行う場合を例示したが、本発明は必ずしもスキャン送信に限られるものではなく、FAX送信を行う場合にも適用することができる。またスキャン送信を行う場合の送信形態は、FTPによる送信の他、電子メールなどを用いた送信であってもよい。
【0102】
また上述の各実施形態では、ファイルごとに異なる宛先を指定する例を示したが、必ずしも異なる宛先でなくても良い。例えば、幾つかのファイルについて同一の宛先が指定されていても良いし、すべてのファイルについて同一の宛先が指定されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】画像処理装置が組み込まれた画像処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】操作パネルの一構成例を示す図である。
【図3】画像処理装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】画像処理装置に電源が投入された場合にCPUがプログラムを読み出して実行する処理手順の一例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態でのスキャン送信時における制御部の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】第1の仕分け処理の概念を示す図である。
【図7】第2の仕分け処理の概念を示す図である。
【図8】第1の実施の形態におけるスキャン送信処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態でスキャン送信時に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図10】第1の仕分け処理を適用して読取対象原稿を読み取ってスキャン送信を行う場合の送信形態を示す図である。
【図11】第2の仕分け処理を適用して読取対象原稿を読み取ってスキャン送信を行う場合の送信形態を示す図である。
【図12】仕分け処理に伴って行われる画像合成処理の一例を示す図である。
【図13】第2の実施の形態でのスキャン送信時における制御部の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図14】第2の実施の形態におけるスキャン送信処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態でスキャン送信時に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図16】第3の実施の形態におけるスキャン送信処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図17】第3の実施の形態でスキャン送信時に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図18】第1の仕分け処理と第2の仕分け処理をユーザが選択するようにした場合の画像表示部に表示される設定画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 画像処理装置
2 スキャナ部(原稿読取手段)
3 操作パネル(操作入力手段)
10 制御部
14 プログラム
51 原稿読取制御部
52 原稿情報設定部(原稿情報設定手段)
53 仕分け処理部(仕分け処理手段)
54 ファイル作成部(ファイル作成手段)
55 ファイル送信部(ファイル送信手段)
56 原稿区切り検出部(原稿区切り検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段と、
前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定手段と、
前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報設定手段によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理手段と、
前記仕分け処理手段によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
ユーザが操作することにより情報を入力することが可能な操作入力手段をさらに備え、
前記原稿情報設定手段は、前記操作入力手段から入力される情報に基づいて原稿情報を設定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データの所定の領域に含まれる画像成分に基づいて原稿の区切りを検出する原稿区切り検出手段をさらに備え、
前記原稿情報設定手段は、前記原稿区切り検出手段によって検出される原稿の区切りに基づいて原稿情報を設定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ファイル作成手段によって作成されるグループ単位のファイルごとに送信宛先を設定する宛先設定手段と、
前記ファイル作成手段によって作成されるグループ単位のファイルを、前記宛先設定手段によって設定された宛先に送信するファイル送信手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記原稿情報設定手段は、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数と、同じ種類の原稿の枚数との双方を原稿情報として設定し、
前記ファイル作成手段は、前記原稿読取手段によって最終種類の原稿の1枚ずつの画像データが生成される都度、前記仕分け処理手段によって全種類の原稿が纏められたグループをファイル化し、
前記ファイル送信手段は、前記ファイル作成手段によってファイルが作成されていくことに伴ってファイルの送信を順次行うことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記仕分け処理手段によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる画像合成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記仕分け処理手段は、原稿の種類の数に基づいて画像データの仕分けを行う第1の仕分け処理と、同じ種類の原稿の枚数に基づいて画像データの仕分けを行う第2の仕分け処理とのいずれか一方を選択して行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成するステップと、
前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定するステップと、
前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けするステップと、
複数のグループに仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段を備えた画像処理装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、
前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定手段、
前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報設定手段によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理手段、
前記仕分け処理手段によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成手段、
として機能させる特徴とするプログラム。
【請求項1】
種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段と、
前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定手段と、
前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報設定手段によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理手段と、
前記仕分け処理手段によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
ユーザが操作することにより情報を入力することが可能な操作入力手段をさらに備え、
前記原稿情報設定手段は、前記操作入力手段から入力される情報に基づいて原稿情報を設定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データの所定の領域に含まれる画像成分に基づいて原稿の区切りを検出する原稿区切り検出手段をさらに備え、
前記原稿情報設定手段は、前記原稿区切り検出手段によって検出される原稿の区切りに基づいて原稿情報を設定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ファイル作成手段によって作成されるグループ単位のファイルごとに送信宛先を設定する宛先設定手段と、
前記ファイル作成手段によって作成されるグループ単位のファイルを、前記宛先設定手段によって設定された宛先に送信するファイル送信手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記原稿情報設定手段は、前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数と、同じ種類の原稿の枚数との双方を原稿情報として設定し、
前記ファイル作成手段は、前記原稿読取手段によって最終種類の原稿の1枚ずつの画像データが生成される都度、前記仕分け処理手段によって全種類の原稿が纏められたグループをファイル化し、
前記ファイル送信手段は、前記ファイル作成手段によってファイルが作成されていくことに伴ってファイルの送信を順次行うことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記仕分け処理手段によって特定のグループに仕分けられた画像データの所定の領域に含まれる画像成分を他のグループに仕分けられた画像データに重ね合わせる画像合成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記仕分け処理手段は、原稿の種類の数に基づいて画像データの仕分けを行う第1の仕分け処理と、同じ種類の原稿の枚数に基づいて画像データの仕分けを行う第2の仕分け処理とのいずれか一方を選択して行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成するステップと、
前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定するステップと、
前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けするステップと、
複数のグループに仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
種類ごとに一定の枚数で整えられた複数種類の原稿を含む読取対象原稿を1枚ずつ連続的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段を備えた画像処理装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、
前記読取対象原稿に含まれる原稿の種類の数及び/又は同じ種類の原稿の枚数を原稿情報として設定する原稿情報設定手段、
前記原稿読取手段によって生成される1枚ずつの画像データを、前記原稿情報設定手段によって設定された原稿情報に基づいて複数のグループに仕分けする仕分け処理手段、
前記仕分け処理手段によって仕分けされた画像データを、グループ単位でファイル化するファイル作成手段、
として機能させる特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−141636(P2010−141636A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316439(P2008−316439)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]