説明

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム

【課題】入力した画像信号を処理して、該画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を生成する際、簡単な構成で鮮明な画像表示を実現する画像表示信号を生成する。
【解決手段】画像処理装置は、調整ユニットにおいて、第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調の第2の階調数で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成する。さらに、加算平均処理部において、同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力した画像信号を処理して、該画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を生成する画像処理装置および画像処理方法、さらに、この方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、赤外線暗視カメラ等を用いて撮影された赤外線画像は監視や守衛のために用いられている。一般に、赤外線暗視カメラ等から出力される画像信号は、輝度のダイナミックレンジが広いため12ビット以上のデジタル信号にAD変換される。一方、赤外線画像をモニタに表示するための画像表示信号には8ビットの信号が用いられる。このため、従来より、12ビット以上の赤外線画像の画像信号は、画像処理装置を用いて8ビットの画像表示信号に階調変換されてモニタに供給される。
【0003】
上記階調変換では、12ビットの画像信号を8ビットの信号に階調変換するので、赤外線画像のうち温度が高い高輝度の画像領域と、温度が低い低輝度の画像領域とを同時に表示することが難しく、温度が高い高輝度の画像領域と、温度が低い低輝度の画像領域とを識別可能に同時に表示することはできない場合がある。具体的には、モニタの表示画面において階調が適切でないため撮影対象物が識別できない不鮮明な画像、すなわち、高輝度の画像領域内の撮影対象物が識別できないオーバーフローの画像、あるいは、低輝度の画像領域内の撮影対象物が識別できないアンダーフローの画像が表示される。
これに対して、赤外線画像における画像信号の信号レベルの頻度分布において、信号レベルの頻度が予め設定された値よりも高い信号レベルに8ビットの表示階調を与えるように画像表示信号を生成する強調処理法が行われている。
【0004】
例えば、赤外線画像の画像信号を取り込み、温度分布を画面に表示する赤外線映像装置において、一撮像画像内に複数の目標物体が存在する場合にも、各目標物体に対して一度に最適の表示品質処理を実行可能とする赤外線映像装置が知られている。
具体的には、上記赤外線映像装置は、背景に対して所定以上の温度差がある複数の物体をそれぞれ独立に、撮像画面内の全画像信号を用いて認識し、認識した各物体に対応する画像信号を分離し、分離した各物体に対応する画像信号をそれぞれ個別に受信し、表示画面上での物体の表示品質を処理し、処理した各物体に対応する画像信号を合成し、撮像画面全体の画像信号を組立てる。このとき、各物体に対応する画像信号に対して、信号レベルの頻度分布(ヒストグラム)を用いた強調処理方法が用いられる。
【0005】
また、1画面中に高輝度部分あるいは低輝度部分があっても白つぶれ又は黒つぶれにならないように、高輝度または低輝度部分の明るさを補正することができる自動画質装置が知られている。具体的には、この自動画質装置は、1画面分を複数の領域に分割し、各領域毎にデジタル映像信号の累算データを形成するモニタ回路と、前記累算データと上下しきい値とを比較し、差分に応じた所定のオフセット値及び係数値を算出するオフセット係数発生手段と、デジタル映像信号を遅延させるディレイ回路と、前記オフセット値及び係数値に応じて、デジタル映像信号の低域周波数成分がレベルシフトされると共に高域周波数成分が強調されるデジタル映像信号を出力するコントラスト制御回路とを備える。
上記コントラスト制御回路の画像処理方法では、例えばハイパスフィルタおよびローパスフィルタを用いて高周波信号と低周波信号に分解して、別々の処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−36031号公報
【特許文献2】特開平7−23284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の装置はいずれも、1つの画像を複数の画像領域に分割し、それぞれの画像領域毎に別の画像処理を行うので、複雑な回路が用いられ複雑な処理が行われる。このため、装置が大型化する。更に、上述の装置および画像処理法は、複雑な回路構成を用い、ローパスフィルタ処理等の時間を要する処理を用いるため、画像処理速度は低下し、必ずしもリアルタイムで赤外線画像を表示することはできない。また、遠方の撮影対象物の輝度が低下して低輝度の画像領域における撮影対象物が識別できない不鮮明なアンダーフローの画像が得られる場合もある。また、低輝度の画像領域における撮影対象物を識別できるように画像処理を行った場合、高輝度の画像領域における撮影対象物が識別できない不鮮明なオーバーフローの画像が得られる。
【0008】
そこで、本発明は、入力した画像信号を処理して、該画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を生成する際、上述の装置とは異なる方式を用いて、簡単な構成でオーバーフローやアンダーフローを引き起こさない鮮明な画像表示を実現する画像表示信号を生成する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、入力した画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を、前記画像信号から生成する画像処理装置である。当該装置は、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調数を有する第2の階調で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成する調整ユニットと、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する加算平均処理部とを有する。
【0010】
本発明の他の一態様は、入力した画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を、前記画像信号から生成する画像処理方法である。当該方法では、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調の第2の階調数で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成し、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する。
【0011】
本発明のさらに他の一態様は、入力した画像信号を処理して、該画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を生成する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。当該プログラムは、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調の第2の階調数で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成し、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上述のデータ処理装置、データ処理方法およびプログラムによれば、簡単な構成で鮮明な画像表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の画像処理装置を含む赤外線監視システムを説明する図である。
【図2】赤外線カメラから送られる12ビットの画像信号のヒストグラムの一例を示す図である。
【図3】12ビットの画像信号を1つの信号レベル領域の信号レベルに圧縮して8ビット画像表示信号にして得られる赤外線画像の一例を示す図である。
【図4】(a),(b)は、本実施形態において用いる2つの信号レベル領域それぞれにおいて行う階調変換を説明する図である。
【図5】(a),(b)は、図4(a),(b)の階調変換で生成される画像調整信号から得られる表示画像の一例を示す図である。
【図6】本実施形態で生成された画像表示信号から得られる表示画像の一例を示す図である。
【図7】図4(a),(b)に示す階調変換を1つに纏めた階調変換を説明する図である。
【図8】本実施形態の画像処理方法の一例のフローチャートである。
【図9】(a),(b)は、本実施形態の画像処理装置の別の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の画像処理装置、画像処理方法およびプログラムについて説明する。
【0015】
(赤外線監視システム)
図1は、本実施形態の画像処理装置10を含む赤外線監視システム12を説明する図である。赤外線監視システム12は、画像処理装置10と、赤外線カメラ14と、モニタ16とを有する。
【0016】
画像処理装置10は、赤外線カメラ14で撮影され赤外線画像の画像信号の階調変換を行ってモニタ16に出力する。このとき、赤外線カメラ14で得られる輝度情報である画像信号は、広いダイナミックレンジを有するため、画像処理装置10は、赤外線カメラ14から提供される画像信号を12ビットのデジタル信号に変換する。一方、モニタ16は、8ビットの画像表示信号をアナログ信号に変換した信号を受信するように設定されている。このため、画像処理装置10は、12ビットの画像信号を8ビットの画像信号に階調変換する。
【0017】
画像処理装置10は、12ビット表示の画像信号のダイナミックレンジ内において定めた複数の信号レベル領域のそれぞれにおいて12ビットの画像信号を8ビットに階調変換し、階調変換により得られた各信号レベル領域に対応する画像調整信号を加算平均することにより、画像表示信号を生成する。
これにより、画像処理装置10は、遠方に位置する撮影対象物のほか、撮影位置に近い撮影対象物も識別可能な8ビット階調の画像をモニタ16は表示することができる。
以下、画像処理装置10について詳細に説明する。
【0018】
(画像処理装置)
画像処理装置10は、AD変換回路20、フレームメモリ22、補正回路24、調整ユニット26、フレームメモリ28,30、加算平均処理回路32、DA変換回路34、電源・制御部36、およびユーザインタフェース部38を有する。調整ユニット26は、調整回路26a,26bおよびゲイン・レベル設定部26c,26dを含む。画像処理装置10は、12ビットの画像信号を8ビットの画像表示信号に変換するために、12ビットの画像信号のダイナミックレンジ内で定められた2つの信号レベル領域それぞれの範囲内を8ビットに割り振ってそれぞれ階調変換を行う。本実施形態では、画像処理装置10は、2つの信号レベル領域を用いるが、3つ以上の信号レベル領域を用いることもできる。この場合、フレームメモリ28,30に対応するフレームメモリも、信号レベル領域の設定数に応じて増設される。
本実施形態の画像処理装置10は、回路を用いたハードウェアモジュールを用いるが、後述するように、コンピュータを用いたソフトウェアモジュールを用いることもできる。
【0019】
AD変換回路20は、赤外線カメラ14から送られる赤外線画像の画像信号を12ビットの画像信号にする。撮影対象物の赤外線の放射レベルは、撮影対象物の温度によって定まり、赤外線の放射レベルのダイナミックレンジは広い。このためAD変換回路20は、画像信号をモニタ16で用いる8ビットの画像表示信号に比べてビット数の大きい12ビットのデジタル信号に変換する。
【0020】
フレームメモリ22は、AD変換回路20から出力された12ビットの画像信号を一時記憶する。
補正回路24は、フレームメモリ22に記憶された画像信号を画素毎に呼び出して、赤外線カメラ14の受光素子に起因する受光感度のばらつきを補正する。具体的には、補正回路24では、温度と信号レベルの対応関係に基づいて画素毎にゲインとオフセットが定められており、このゲインとオフセットを用いて温度の情報を適切に表す画像信号に補正する。さらに、補正回路24は、予め定められたシェーディング補正を行うこともできる。補正された画像信号は、調整ユニット26に送られる。
【0021】
調整ユニット26は、補正回路24から送られた12ビットの階調で表される画像信号を用いて8ビットの画像調整信号を2つ生成する。すなわち、調整ユニット26は、12ビットの画像信号のダイナミックレンジ内において複数の信号レベル領域を定める。調整ユニット26は、12ビットの画像信号のうち、信号レベルが各信号レベル領域内に含まれる信号に対して、8ビットの階調で階調値を割り当て、信号レベルが各信号レベル領域の最大信号レベルに比べて高い信号に対して、8ビットの階調における最大階調値、すなわち値255を割り当て、信号レベルが各信号レベル領域の最小信号レベルに比べて低い信号に対して、8ビットの階調における最小階調値、すなわち値0を割り当てる階調変換行う。これにより、調整ユニット26は、8ビットの階調で表された2つの画像調整信号を生成する。調整ユニット26については後述する。
【0022】
フレームメモリ28,30は、調整ユニット26から送られた8ビットの画像調整信号を一時記憶する。
加算平均処理回路22は、フレームメモリ28,30に記憶された画像調整信号を画素毎に呼び出して、同一画素位置における2つの画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する。加算平均処理回路22が行う加算平均は、単純加算平均であるが、重み付け加算平均を行ってもよい。加算平均処理回路22については後述する。
DA変換回路34は、生成された画像表示信号をアナログ信号に変換することによりモニタ16に表示可能な信号を生成する。生成された信号は、モニタ16に送られる。
電源部・制御部36は、各回路に電力を供給する。さらに、電源・制御部36は、上述した各回路の動作を制御、管理する。
ユーザインタフェース部38は、12ビットの画像信号のダイナミックレンジに対して2つの信号レベル領域R1,R2を設定するための情報の指示入力をオペレータから受け付ける。また、ユーザインタフェース部38は、信号レベル識別領域R1、R2を用いて画像処理を行うか、従来のように1つの信号レベル識別領域を用いて画像処理を行うか、ユーザの指示を受け付ける。
2つの信号レベル領域R1,R2に関する指示入力の情報は、ゲイン・レベル設定部26a,26bに送られて、信号レベル領域R1,R2の範囲を定め、後述するゲイン係数aおよびオフセット値bを算出するために用いられる。赤外線カメラ14が撮影する赤外線画像のシーンが固定されているのであれば、ユーザインタフェース部38を設けることなく、ゲイン・レベル設定部26a,26bに信号レベル領域の情報が予め記憶され設定されていてもよい。
【0023】
(調整ユニット、加算平均処理回路)
調整ユニット26は、ゲイン・レベル設定部26a,26bと、調整回路26c,26dを有する。
ゲイン・レベル設定部26a,26bは、それぞれ、調整回路26c,26dで画像調整信号を生成するための階調変換に用いるゲイン係数aおよびオフセット値bを求める。
具体的には、ユーザインタフェース部38が受け付けた信号レベル領域R1,R2を定めるための情報を用いて、ゲイン・レベル設定部26a,26bは、信号レベル領域R1,R2を定め、それぞれの信号レベル領域に対してゲイン係数aおよびオフセット値bを設定する。具体的には、ゲイン・レベル設定部26a,26bは、信号レベル領域R1,R2のそれぞれにおいて、8ビットの階調数である256を、各信号レベル領域R1,R2に含まれる12ビットの信号レベルの階調数から1引いた数で除算した値をゲイン係数aとして求める。さらに、ゲイン・レベル設定部26a,26bは、各信号レベル領域内の各信号レベルが8ビットの階調で表される階調値に変換されるようにオフセット値bを定める。例えば、各信号レベル領域R1,R2における信号レベルの中央値又は平均値が、8ビットの階調の中央値となるように、オフセット値bが定められる。ゲイン・レベル設定部26a,26bは、ゲイン係数aおよびオフセット値bを、調整回路26c,26dに送る。
【0024】
調整回路26c,26dは、ゲイン・レベル設定部26a,26bから送られたゲイン係数a(a1,a2)およびオフセット値b(b1,b2)を用いて、各信号レベル領域R1,R2に信号レベルが含まれる画像信号に対して、
Dout=a1・Din +b1
Dout=a2・Din +b2
(Dinは画像信号の信号レベルであり、Doutは画像調整信号の信号値である)に従って階調値を割り当てる。信号レベルが各信号レベル領域R1,R2の最大信号レベルに比べて高い信号に対して、値255(8ビットの最大階調値)を割り当て、信号レベルが各信号レベル領域R1,R2の最小信号レベルに比べて低い信号に対して、値0(8ビットの最小階調値)を割り当てる。調整回路26c,26dは、このような階調変換行うことにより、8ビットの画像調整信号を生成する。
【0025】
図2は、赤外線カメラ14から送られる12ビットの画像信号のヒストグラムの一例が示されている。図2に示すように、輝度レベル10000〜11000[LSB]の広い範囲に赤外線画像の信号レベルは分布している。この中で2つの領域をそれぞれ、信号レベル領域R1,R2として定める。
図3は、従来の表示される赤外線画像の一例であり、信号レベル領域R2における12ビットの画像信号を圧縮して得られる8ビット画像表示信号から作成される赤外線画像の一例である。このような赤外線画像では、遠方の撮影対象物や温度の低い撮影対象物の信号値が低下して表示画像上で撮影対象物を識別できない。これは、信号レベル領域R1の信号レベルを8ビットの画像表示信号の最小信号値またはその近傍の値に変換したためである。これに対して、遠方の撮影対象物や温度の低い撮影対象物の信号値を高くする場合、撮影位置に近い撮影対象物や温度の高い撮影対象物の信号レベルが極めて高くなり識別できなくなる。これは、信号レベル領域R2の信号レベルを8ビットの画像表示信号の最大信号レベルまたはその近傍のレベルに変換されるためである。
【0026】
本実施形態では、図4(a),(b)に示すように、12ビットの画像信号が、8ビットの画像調整信号に階調変換される。図4(a)に示す例では、閾値Th1,閾値Th2で定められる信号レベル領域R1に含まれる画像信号に対して、調整回路26cは、上記ゲイン係数a1およびオフセット値b1を用いて上記Dout=a1・Din +b1に従って値を割り当て、信号レベルが閾値Th1未満の信号に対して値0を割り当て、信号レベルが閾値Th2を越える信号に対して値255を割り当てる。
図4(b)に示す例では、閾値Th3,閾値Th4で定められる信号レベル領域R2に含まれる画像信号に対して、調整回路26dは、上記ゲイン係数a2およびオフセット値b2を用いて上記Dout=a2・Din +b2に従って値を割り当て、信号レベルが閾値Th3未満の信号に対して値0を割り当て、信号レベルが閾値Th4を越える信号に対して値255を割り当てる。
加算平均処理回路22は、このようにして得られた信号レベル領域R1,R2に対して、同一の画素位置毎に信号レベルを加算平均する。
【0027】
図5(a)は、図4(a)に示す階調変換で生成される画像調整信号から得られる表示画像であり、図5(b)は、図4(b)に示す階調変換で生成される画像調整信号から得られる表示画像である。図5(a)に示す表示画像では、遠方の市街地等の撮影対象物および温度の低い地面等の撮影対象物を識別することができる。しかし、撮影位置近くの撮影対象物や人家等の撮影対象物の信号値が高くなって、識別が困難になっている。
一方、図5(b)に示す表示画像では、遠方の町の様子等の撮影対象物および温度の低い地面等の撮影対象物を識別することができる。しかし、遠方の市街地等の撮影対象物や地面等の撮影対象物は信号値が低くなって、識別が困難になっている。
【0028】
図6は、加算平均処理回路22で生成された画像表示信号から得られる表示画像を示している。図6からわかるように、遠方の市街地等の撮影対象物および温度の低い地面等の撮影対象物を識別することができるほか、撮影位置近くの撮影対象物や人家等の撮影対象物も識別することができる。
このような表示画像を得られるのは、図7に示すような12ビットの画像信号を8ビットの画像信号に階調変換するとき、識別しようとする撮影画像の信号レベルを含むように、12ビットの画像信号のダイナミックレンジのなかから2つの信号レベル領域R1,R2を定め、別々に8ビットの階調に階調変換を行ったのち、2つの画像調整信号を加算平均処理したからである。本実施形態における信号レベル領域R1,R2は、信号レベルにおいて隣接した領域ではないが、隣接した領域であってもよい。
【0029】
なお、ゲイン・レベル設定部26a,26bにおける信号レベル識別領域R1、R2の設定およびゲイン係数a及びオフセット値bの算出は、上述の形態に限定されない。ゲイン・レベル設定部26a,26bにおける信号レベル識別領域R1、R2の設定およびゲイン係数a及びオフセット値bの算出は、以下のように行うこともできる。
【0030】
ユーザインタフェース部38は、信号レベル識別領域R1、R2を用いて画像処理を行う場合、オペレータが入力指示する基準となる領域の情報を受け付ける。例えば、従来の方法で画像処理された赤外線画像がモニタ16に表示され、オペレータが表示された赤外線画像を見ながら、基準となる領域をユーザインタフェース部38に入力する。遠方の撮影対象物が放射する赤外線は、大気通過中、大気によって吸収されて減衰するため、撮影された赤外線画像では、遠方の撮影対象物の輝度は低くなる。したがって、赤外線の大気減衰により輝度が低く一定値となった大気や背景となる領域1と、この大気に接して略同じ温度を有する、撮影位置に近い建物の屋根を表す領域2と、大気に接して略同じ温度を有する、撮影位置から遠い建物の屋根を表す領域3とをオペレータは選択して入力する。したがって、領域1〜3は、以降選択領域1〜3という。なお、入力された選択領域2,3は、選択領域1に対して区別でき、かつ識別できるようにする測定対象物を含む領域である。
【0031】
オペレータにより入力指示された選択領域1〜3は、ゲイン・レンベル設定部26a,26bにおいてゲイン係数a及びオフセット値bの算出および信号レベル領域R1,R2の算出に用いられる。
ゲイン・レベル設定部26aは、選択領域1における12ビットの画像信号の平均レベルと選択領域2における12ビットの画像信号の平均レベルとの差分を求め、256の値を、求めた差分で除算した値をゲイン係数aとして求める。具体的には、選択領域1における平均レベルをDaverage_1とし、選択領域3における平均レベルをDaverage_3としたとき、ゲイン係数aは、a=256/(Daverage_3−Daverage_1)に従って求められる。また、ゲイン・レベル設定部26aは、選択領域2における12ビットの画像信号の平均レベルが階調変換により8ビットの階調の中央値となるように、オフセット値bを算出する。同様に、ゲイン・レベル設定部26bは、具体的には、ゲイン係数aをゲイン係数a=256/(Daverage_2−Daverage_1)/((Daverage_3−Daverage_1))に従って求める。また、ゲイン・レベル設定部26bは、選択領域3における12ビットの画像信号の平均レベルが階調変換により8ビットの階調の中央値となるように、オフセット値bを算出する。
選択領域2と選択領域3に含まれる撮影対象物の温度は、家屋の屋根等の略同じ撮影対象物を含む領域を選択しているため、本来、選択領域2および選択領域3における信号レベルは本来略同じであるが、撮影対象物の位置が異なるため赤外線の大気減衰が異なり、これにより赤外線カメラ14で撮影したときの輝度、すなわち信号レベルが異なっている。また、選択領域2および選択領域3における撮影対象物は、識別しようとする対象物である。このため、選択領域2,3のそれぞれが選択領域1と区別され、しかも選択領域2,3の信号レベルが略同じ階調値になるように調整ユニット26は階調変換する。
ゲイン・レベル設定部26a,26bは、このようにして求められるゲイン係数aおよびオフセット値bの値を用いて算出される階調値が最小階調値0以上最大階調値255以下となる範囲を、それぞれ信号レベル領域R1,R2として設定することができる。したがって、オペレータにより選択された赤外線画像内の選択領域の信号レベルの平均レベルを中心とした領域が、信号レベル領域R1,R2として定められる。この信号レベル領域R1,R2の情報は、ゲイン・レベル設定部26a,26bにおいて記憶されてもよい。
【0032】
(画像処理方法)
図8は、本実施形態の画像処理方法のフローチャートである。
まず、画像処理装置10は、赤外線カメラ12から画像信号を取り込む(ステップS10)。具体的には、AD変換回路20において画像信号が12ビットの信号にデジタル化され、フレームメモリ22に一時記憶される。
この後、ゲイン・レベル設定部26a,26bは、12ビットの画像信号の信号レベルのダイナミックレンジ内において2つの信号レベル領域R1,R2を定める(ステップS20)。ゲイン・レベル設定部26a,26bは、インターフェース部38で指示入力された情報に基づいて、信号レベル領域R1,R2を定める。また、ゲイン・レベル設定部26a,26bは、予め記憶している情報を呼び出して、信号レベル領域R1,R2を定めることもできる。赤外線カメラ14の撮影範囲は一般に固定されており、撮影対象物も定まっている場合、信号レベル領域R1,R2は固定される。したがって、予め信号レベル領域R1,R2の情報を予め記憶しておくことができる。あるいは、従来の画像処理方法で作成されモニタ16に表示された図3に示すような赤外線画像を見たオペレータが、選択領域1〜3を指示入力することにより、ゲイン・レベル設定部26a,26bは、信号レベル領域R1,R2を定めることもできる。
また、ゲイン・レベル設定部26a,26bは、信号レベル領域R1,R2毎にゲイン係数aおよびオフセット値bを求める。
【0033】
次に、調整ユニット26は、2つの画像調整信号を生成する(ステップS30)。具体的には、調整回路26a,26bは、ゲイン・レベル設定部26a,26bで求めたゲイン係数aおよびオフセット値bを用いて、8ビットへの階調変換を行う。これにより、2つの画像調整信号が生成される。このとき、調整回路26a,26bは、画像信号のうち、信号レベルが各信号レベル領域R1,R2内に含まれる信号に対して、8ビットの階調数で階調値を割り当て、信号レベルが各信号レベル領域R1,R2の最大信号レベルに比べて高い信号に対して、値255を割り当て、信号レベルが各信号レベル領域R1,R2の最小信号レベルに比べて低い信号に対して、値0を割り当てる階調変換行う。
【0034】
加算平均処理回路32は、生成された2つの画像調整信号に対して、同一画素位置における2つの画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する(ステップS40)。
最後に、DA変換回路34は、生成された画像表示信号をアナログ信号に変換し、モニタ16に送信する(ステップS50)。
なお、本実施形態では、画像信号が12ビットの信号であり、画像表示信号は8ビットの信号を例に説明したが、12ビットの信号および8ビットの信号に限定されない。少なくとも画像表示信号のビット数が画像信号のビット数に比べて小さければよい。
【0035】
(画像処理装置の変形例)
上記実施形態は、回路で構成された画像処理装置10を用いるが、コンピュータを用いた画像処理装置を用いることもできる。
図9(a)に示す例は、コンピュータを用いた画像処理装置100の構成図である。図9(b)は、画像処理装置100の機能ブロック図である。
画像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)102と、ROM(Read-Only Memory)104と、RAM(Random Access Memory)106と、IOポート108と、AD、DA変換回路110とを有する。CPU102と、ROM104と、RAM106と、IOポート108は、バスで互いに接続されている。AD、DA変換回路110はIOポート108と接続されている。AD、DA変換回路110に、赤外線カメラ14と、モニタ16が接続され、モニタ・キーボード等の入力操作系114はIOポート108に接続されている。ROM104は、予め組み込まれたプログラムを起動することにより、入出力部120、ユーザインタフェース部122、ゲイン・レベル設定部124、調整部126a,126b、および加算平均処理部128を形成する。これらの部分は、その動作をCPU102が実質的に行うソフトウェアモジュールである。
【0036】
入出力部120は、赤外線カメラ14からの12ビットの画像信号を受け、また、生成された8ビットの画像表示信号をモニタ16に送信する。
ユーザインタフェース部122は、ユーザインタフェース部38と同じ動作を行う。また、ゲイン・レベル設定部124、調整部126a,126b、および加算平均処理部128はそれぞれ、ゲイン・レベル設定部26a,26b、調整回路26c,26d、および加算平均処理回路32と同様の機能および機能を有するので、これらの説明は省略する。同様に、ユーザインタフェース部122もユーザインタフェース部38と同様の機能を有するので、この説明は省略する。
画像処理装置100は、ROM104に以下のプログラムを記憶し、このプログラムを起動することで、図8に示す画像処理方法を行って画像表示信号を生成する。
【0037】
すなわち、画像処理装置100は、以下の処理を行うプログラムをROM104に記憶する。
まず、コンピュータは、12ビットの階調で表される画像信号のうち、この画像信号の信号レベルのダイナミックレンジ内において定められる複数の信号レベル領域それぞれに含まれる信号に対して、信号レベル領域毎に、8ビットの階調で階調値を割り当てる階調変換行うことにより、8ビットの階調で表された複数の画像調整信号を生成する。
この後、コンピュータは、同一画素位置における複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する。
【0038】
このように、本実施形態の画像処理装置10は、信号レベル領域R1,R2のそれぞれに対して階調変換をした後、加算平均をすることで、8ビットの画像表示信号を生成する。このため、画像処理装置10は、図6に示すように、遠方の撮影対象物および撮影位置に近い撮影対象物であっても、撮影対象物を識別できる、アンダーフローあるいはオーバーフローのない鮮明な画像をモニタ16に表示させることができる。しかも、画像処理装置10は、従来のように、1つの画像を撮影対象物等に対応した複数の画像領域に分割して、それぞれ別々の処理をするわけではなく、1つの赤外線画像の画像領域を分割することなく、図4(a),(b)に示すように1つの赤外線画像に対して変換を行うので、画像処理装置10は従来の装置に比べて簡単な構成となり、処理方法も簡易となる。したがって、装置コストは抑制され、画像処理も短時間で行うことができる。
【0039】
また、画像処理装置10は、ゲイン係数aとオフセット値bを定めて、Dout=a・Din +bに従って階調変換をするので、極めて高速に階調変換を行うことができる。したがって、リアルタイムで赤外線画像をモニタ16に表示することができる。
また、遠方の撮影対象物が放射する赤外線は、大気通過中、大気によって吸収されるため、撮影された赤外線画像では、赤外線カメラ14に対して遠方の撮影対象物の輝度は低くなるが、遠方の撮影対象物を、近場にある撮影対象物とともに、選択領域として定めることにより信号レベル領域を定めることができるので、遠方の撮影対象物も、近場にある撮影対象物と同様に、モニタ16の表示画像において識別することができる。
【0040】
なお、本実施形態は、2つの信号レベル領域R1,R2を定めて、階調変換を行うが、3つ以上の信号レベル領域を定めて階調変換をすることもできる。
また、本実施形態は、ゲイン係数aとオフセット値bを定めて、Dout=a・Din +bに従って、すなわち、DinとDoutが線形的な関係を有する階調変換を行うが、この階調変換には限られない。DinとDoutが非線形的な関係を有する階調変換を用いることもできる。
【0041】
上記実施形態は、以下に示す内容を開示する。
【0042】
(付記1)
入力した画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を、前記画像信号から生成する画像処理装置であって、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調数を有する第2の階調で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成する調整ユニットと、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する加算平均処理部とを有することを特徴とする画像処理装置。
【0043】
(付記2)
前記調整ユニットは、前記階調変換を行うとき、前記画像信号のうち、信号レベルが各信号レベル領域の最大信号レベルに比べて高い信号に対して、前記第2の階調における最大階調値を割り当て、信号レベルが各信号レベル領域の最小信号レベルに比べて低い信号に対して、前記第2の階調における最小階調値を割り当てる変換を、各信号レベル領域毎に行う、付記1に記載の画像処理装置。
【0044】
(付記3)
前記調整ユニットは、前記複数の信号レベル領域のそれぞれにおいて、前記第2の階調数を、前記第1の階調における各信号レベル領域に含まれる信号レベルの階調数から1引いた数で除算した値をゲイン係数aとして定め、各信号レベル領域内の信号レベルが前記第2の階調で表される階調値に変換されるようにオフセット値bを定め、前記画像信号の信号レベルをDinとし、前記画像調整信号の信号値をDoutとしたとき、前記画像信号のうち、各信号レベル領域に信号レベルが含まれる信号に対してDout=a・Din +bに従って階調変換をする、付記1または2に記載の画像処理装置。
【0045】
(付記4)
前記画像信号は、赤外線カメラで撮影された赤外線画像の信号であり、
前記調整ユニットは、オペレータにより選択された前記赤外線画像内の選択領域の第1の階調における信号レベルの平均値あるいは中央値を中心とした領域を前記信号レベル領域として定める、付記1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0046】
(付記5)
前記選択領域は、前記赤外線カメラから距離が異なる2つの撮影対象物を含む領域である、付記4に記載の画像処理装置。
【0047】
(付記6)
入力した画像信号を処理して、該画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を生成する画像処理装置の行う画像処理方法であって、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調の第2の階調数で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成し、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する、ことを特徴とする画像処理方法。
【0048】
(付記7)
前記階調変換を行うとき、前記画像信号のうち、信号レベルが各信号レベル領域の最大信号レベルに比べて高い信号に対して、前記第2の階調における最大階調値を割り当て、信号レベルが各信号レベル領域の最小信号レベルに比べて低い信号に対して、前記第2の階調における最小階調値を割り当てる変換を、各信号レベル領域毎に行う、付記6に記載の画像処理方法。
【0049】
(付記8)
前記複数の信号レベル領域のそれぞれにおいて、前記第2の階調数を、前記第1の階調における各信号レベル領域に含まれる信号レベルの階調数から1引いた数で除算した値をゲイン係数aとして定め、各信号レベル領域内の信号レベルが前記第2の階調で表される階調値に変換されるようにオフセット値bを定め、前記画像信号の信号レベルをDinとし、前記画像調整信号の信号値をDoutとしたとき、前記画像信号のうち、各信号レベル領域に信号レベルが含まれる信号に対してDout=a・Din +bに従って階調変換をする、付記6または7に記載の画像処理方法。
【0050】
(付記9)
前記画像信号は、赤外線カメラで撮影された赤外線画像の信号であり、
オペレータにより選択された前記赤外線画像内の選択領域の第1の階調における信号レベルの平均値あるいは中央値を中心とした領域を前記信号レベル領域として定める、付記6〜8のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【0051】
(付記10)
前記選択領域は、前記赤外線カメラから距離が異なる2つの撮影対象物を含む領域である、付記9に記載の画像処理方法。
【0052】
(付記11)
入力した画像信号を処理して、該画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を生成する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調の第2の階調数で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成し、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0053】
以上、本発明の画像処理装置、画像処理方法およびプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0054】
10 画像処理装置
12 外線監視システム
14 赤外線カメラ
16 モニタ
20 AD変換回路
22 フレームメモリ
24 補正回路
26 調整ユニット
26a,26b 調整回路
26c,26d ゲイン・レベル設定部
28,30 フレームメモリ
32 加算平均処理回路
34 DA変換回路
36 電源・制御部
38,122 ユーザインタフェース部
100 画像処理装置
102 CPU
104 ROM
106 RAM
108 IOポート
110 AD、DA変換回路
120 入出力部
124 ゲイン・レベル設定部
126a,126b 調整部
128 加算平均処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を、前記画像信号から生成する画像処理装置であって、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調数を有する第2の階調で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成する調整ユニットと、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する加算平均処理部と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記調整ユニットは、前記階調変換を行うとき、前記画像信号のうち、信号レベルが各信号レベル領域の最大信号レベルに比べて高い信号に対して、前記第2の階調における最大階調値を割り当て、信号レベルが各信号レベル領域の最小信号レベルに比べて低い信号に対して、前記第2の階調における最小階調値を割り当てる変換を、各信号レベル領域毎に行う、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記調整ユニットは、前記複数の信号レベル領域のそれぞれにおいて、前記第2の階調数を、前記第1の階調における各信号レベル領域に含まれる信号レベルの階調数から1引いた数で除算した値をゲイン係数aとして定め、各信号レベル領域内の信号レベルが前記第2の階調で表される階調値に変換されるようにオフセット値bを定め、前記画像信号の信号レベルをDinとし、前記画像調整信号の信号値をDoutとしたとき、前記画像信号のうち、各信号レベル領域に信号レベルが含まれる信号に対してDout=a・Din +bに従って階調変換をする、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像信号は、赤外線カメラで撮影された赤外線画像の信号であり、
前記調整ユニットは、オペレータにより選択された前記赤外線画像内の選択領域の第1の階調における信号レベルの平均値あるいは中央値を中心とした領域を前記信号レベル領域として定める、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記選択領域は、前記赤外線カメラから距離が異なる2つの撮影対象物を含む領域である、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
入力した画像信号を処理して、該画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を生成する画像処理装置の行う画像処理方法であって、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調の第2の階調数で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成し、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する、ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
入力した画像信号を処理して、該画像信号の階調数に比べて階調数が少ない画像表示信号を生成する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
第1の階調数を有する第1の階調で表される画像信号のうち、該画像信号レベルのダイナミックレンジ内で定めた複数の信号レベル領域のそれぞれに含まれる信号に対して、前記第1の階調数に比べて階調数が少ない第2の階調の第2の階調数で階調値を割り当てる階調変換を、前記信号レベル領域毎に行うことにより、前記第2の階調数を有する第2の階調で表された複数の画像調整信号を生成し、
同一画素位置における前記複数の画像調整信号の信号レベルを加算平均することにより、画像表示信号を生成する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208776(P2012−208776A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74492(P2011−74492)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】