説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】
精度よく認証対象を抽出し得る画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提案する。
【解決手段】
生体に有する識別対象の撮像結果として得られる画像のうち、当該識別対象を太線化し、その太線化された識別対象を細線化するようにしたことにより、網状の識別対象とそれ以外とのコントラスト差が小さくなることに起因して、当該識別対象に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化するため、網状の識別対象を正確に抽出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、バイオメトリクス認証に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体の指紋をバイオメトリクス認証の対象とした認証装置が数多く提案されているが、近年、生体における血管自体がバイオメトリクス認証の対象の1つとして着目されている。
【0003】
具体的には、血管の撮像結果として得られる画像データに対して、エッジ抽出処理を施すことによって血管を抽出し、当該血管の中心を通る線を識別対象のデータとして生成するようになされた装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−079034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでかかる構成の装置においては、識別対象が例えば眼底における血管である場合、その血管と生体表面との間に介在する他の組織が比較的少ないこと等に伴って、当該血管の撮像結果として得られる画像データにおける血管とそれ以外のコントラスト差が大きくなるため、着目すべき血管を正確に抽出することができる。
【0005】
しかし、識別対象が例えば生体の指における血管である場合には、その血管と生体表面との間に介在する他の組織が比較的多いこと等に伴って、当該血管の撮像結果として得られる画像データにおける血管とそれ以外のコントラスト差が小さくなる。また認証装置を撮像する装置が粗悪である場合にも、当該撮像結果として得られる画像データにおける識別対象とそれ以外のコントラスト差が小さくなることがある。このような場合には、コントラスト差が小さくなることに起因して、着目すべき血管を正確に抽出することができないという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、精度よく識別対象を抽出し得る画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明は、画像処理装置であって、生体における網状の識別対象の撮像結果として得られる画像のうち、当該識別対象を太線化する太線化手段と、その太線化手段により太線化された識別対象の中間線を検出する検出手段とを設けるようにした。
【0008】
従って、この画像処理装置では、網状の識別対象とそれ以外とのコントラスト差が小さくなることに起因して、当該識別対象に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化するため、網状の識別対象を正確に抽出することができる。
【0009】
また本発明は、画像処理装置であって、生体における網状の識別対象の撮像結果として得られる画像のエッジを検出するエッジ検出手段と、当該エッジ検出手段によりエッジ検出された画像を平滑化する平滑化手段と、当該平滑化手段により平滑化された画像のうち、識別対象を太線化する太線化手段と、当該太線化手段により太線化された識別対象を細線化する細線化手段とを設けるようにした。
【0010】
従って、この画像処理装置では、エッジ検出後に平滑化するため、網状の識別対象とそれ以外とのコントラスト差の小さい画像が得られた場合であっても、当該エッジ検出後の画像に生じる不連続点を除去して網状の識別対象に属さないノイズを正確に除去することができるのみならず、網状の識別対象を太線化した後に細線化するため、当該コントラスト差が小さくなることに起因して識別対象に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化して網状の識別対象を正確に抽出することができる。
【0011】
さらに本発明は、画像処理方法であって、生体における網状の識別対象の撮像結果として得られる画像のうち、当該識別対象を太線化する第1のステップと、太線化された識別対象を細線化する第2のステップとを設けるようにした。
【0012】
従ってこの画像処理方法では、網状の識別対象とそれ以外とのコントラスト差が小さくなることに起因して、当該識別対象に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化するため、網状の識別対象を正確に抽出することができる。
【0013】
さらに本発明は、プログラムであって、生体に有する識別対象の撮像結果として得られる画像を処理する装置の制御を担うコンピュータに対して、当該画像のうち、識別対象を太線化する第1の処理と、その太線化された識別対象を細線化する第2の処理とを実行させるようにした。
【0014】
従ってこのプログラムでは、網状の識別対象とそれ以外とのコントラスト差が小さくなることに起因して、当該識別対象に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化するため、網状の識別対象を正確に抽出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、生体に有する識別対象の撮像結果として得られる画像のうち、当該識別対象を太線化し、その太線化された識別対象を細線化するようにしたことにより、網状の識別対象とそれ以外とのコントラスト差が小さくなることに起因して、当該識別対象に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化するため、網状の識別対象を正確に抽出することができ、かくして精度よく識別対象を抽出することができる。
【0016】
また本発明によれば、生体における網状の識別対象の撮像結果として得られる画像のエッジを検出し、当該エッジ検出された画像を平滑化し、当該平滑化された画像のうち識別対象を太線化し、当該太線化された識別対象を細線化するようにしたことにより、網状の識別対象とそれ以外とのコントラスト差の小さい画像が得られた場合であっても、当該エッジ検出後の画像に生じる不連続点を除去して網状の識別対象に属さないノイズを正確に除去することができるのみならず、当該コントラスト差が小さくなることに起因して識別対象に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化して網状の識別対象を正確に抽出することができ、かくして識別対象を抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面について、本発明を適用した実施の形態を詳述する。
【0018】
(1)生体情報生成装置の構成
図1において、1は全体として本実施の形態による生体情報生成装置1を示し、生体の指に内在する血管を撮像する血管撮像部2と、当該撮像結果から生体を識別するためのデータ(以下、これを生体識別データと呼ぶ)を生成する情報生成部3とがケーブルを介して相互に接続されることにより構成される。
【0019】
(2)血管撮像部の構成
この血管撮像部2は、認証装置1の筺体1Aの所定位置に指FGを模るようにして形成された湾曲形状のガイド溝11を有し、当該ガイド溝11の底面には撮像開口部12が配設されている。
【0020】
撮像開口部12の表面には、所定材質でなる無色透明の開口カバー部13が設けられている一方、筺体1Aの内部における撮像開口部12の直下には、カメラ部14が配設されている。
【0021】
またガイド溝11の側面には、ヘモグロビンに対して特異的に吸収される近赤外光を血管の撮像光として照射する1対の近赤外光光源15(15A及び15B)が、ガイド溝11の短手方向と平行に撮像開口部12を挟み込むようにして配置されており、当該ガイド溝11に接触された指FGの指腹側部分に近赤外光を照射し得るようになされている。
【0022】
従ってこの血管撮像部2では、指FGの指腹底に近赤外光を照射する場合に比して、指FG表面で反射する近赤外光の割合が格段に抑えられる。また指FG表面を介してその内方に入射する近赤外光は、血管を通るヘモグロビンに吸収されると共に血管以外の組織において散乱するようにして指FG内方を経由し、当該指FGから血管を投影する近赤外光(以下、これを血管投影光と呼ぶ)として、撮像開口部12及び開口カバー部13を順次介してカメラ部14に入射する。
【0023】
カメラ部14においては、マクロレンズ16と、酸素化及び脱酸素化双方のヘモグロビンに依存性の有する波長域(およそ900[nm]〜1000[nm])の近赤外光だけを透過する近赤外光透過フィルタ17と、CCD撮像素子18とが順次配設されており、開口カバー部13から入射する血管投影光をマクロレンズ16及び近赤外光透過フィルタ17を順次介してCCD撮像素子18の撮像面に導光する。これによりこのカメラ部14は、近接する指FGの内方に混在する静脈系及び動脈系双方の毛細血管を忠実に結像し得るようになされている。
【0024】
CCD撮像素子18は、情報生成部3による制御のもとに、撮像面に結像される血管等を撮像し、当該撮像結果を画像信号として情報生成部3に出力するようになされている。
【0025】
このようにしてこの血管撮像部2は、生体の指に内在する血管を撮像することができるようになされている。
【0026】
(3)情報生成部の構成
一方、情報生成部3は、図2に示すように、制御部20に対して、血管撮像駆動部21と、画像処理部22とをそれぞれ接続することにより構成されている。
【0027】
この制御部20は、生体情報生成装置1全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラムが格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)とを含むコンピュータ構成でなり、当該制御部20には、各種命令が与えられる。
【0028】
そして制御部20は、操作部(図示せず)から血管を抽出する旨の血管抽出命令COMが与えられた場合には、ROMに格納された対応するプログラムに基づいて、動作モードを血管抽出モードに遷移して血管撮像駆動部21及び画像処理部22をそれぞれ制御する。
【0029】
この場合、血管撮像駆動部21は、近赤外光光源15と、カメラ部14のCCD撮像素子18とをそれぞれ駆動するようにして血管撮像部2を起動する。この結果、血管撮像部2では、近赤外光光源15からこのときガイド溝11(図1)に接触される撮像者の指FG(図1)の指腹側部に近赤外光が照射され、当該指FG(図1)を経由してCCD撮像素子18の撮像面に導光される血管投影光がこのCCD撮像素子18から血管投影画像信号S1として画像処理部22に出力される。
【0030】
この画像処理部22は、図3に示すように、A/D(Analog/Digital)変換部31、エッジ抽出部32、平滑化処理部33、2値化部34、太線化部35及び中心線検出部36によって構成されており、CCD撮像素子18から供給される血管投影画像信号S1をA/D変換部31に入力する。
【0031】
A/D変換部31は、血管投影画像信号S1に対してA/D変換処理を施し、この結果得られる血管投影画像データD1をエッジ抽出部32に送出する。
【0032】
エッジ抽出部32は、血管投影画像データD1に対して、例えばラプラシアンと呼ばれるフィルタ処理を順次施す。この結果、血管投影画像データD1の画像における輪郭が他の要素よりも強調され、当該輪郭としての血管が抽出されることとなる。そしてエッジ抽出部32は、かかるフィルタ処理結果として血管が抽出された画像をデータ(以下、これを血管抽出画像データと呼ぶ)D2として平滑化処理部33に送出する。
【0033】
平滑化処理部33は、血管抽出画像データD2に対して、所定の平滑化処理を施すようになされている。具体的には、平滑化処理部33は、図4に示すように、着目画素NPを中心とする設定範囲AR内の画素の輝度値をそれぞれ検出し、その設定範囲AR内における全ての画素の平均値(以下、これを第1の平均値と呼ぶ)を求めると共に(図4(A))、当該設定範囲AR内における全ての画素から着目画素NPを除いた各画素の平均値(以下、これを第2の平均値と呼ぶ)を求める(図4(B))。
【0034】
そして平滑化処理部33は、第1の平均値及び第2の平均値の差が所定の闘値未満である場合には、当該着目画素NPがノイズではないものとして、当該着目画素NPの輝度値をそのまま維持する。
【0035】
これに対して平滑化処理部33は、第1の平均値及び第2の平均値の差が所定の闘値以上である場合には、当該着目画素NPがノイズであるものとして、当該着目画素NPの輝度値を第1の平均値又は第2の平均値に置き換えるようになされている。
【0036】
なお、着目画素NPの周りにノイズ成分の画素があった場合であっても、その画素の影響により着目画素NPがノイズであると誤検出されることはない。これは、設定範囲AR内における全ての画素のうち、着目画素NP以外の画素がノイズ成分であったとしても、当該着目画素NP自体がノイズでなければ、第1の平均値及び第2の平均値の差が所定の闘値以上となることはないからである。
【0037】
このようにして平滑化処理部33は、画像IM内における所定の画素を着目画素NPとしてある定められた順に上述の平滑化処理を施し、当該平滑化された画像をデータ(以下、これを平滑化血管抽出画像データと呼ぶ)D3として2値化部34に送出する。
【0038】
2値化部34は、平滑化血管抽出画像データD3に対して2値化処理を施す。この結果、血管抽出画像データD2の画像のうち、所定輝度値以下の画素が最低輝度値の画素(以下、これを白画素と呼ぶ)として変換されると共に、当該所定輝度値よりも大きい画素が最高輝度値の画素(以下、これを黒画素と呼ぶ)として変換され、当該画像内に血管だけが残されることとなる。そして2値化部34は、かかる2値化処理結果として血管だけが残された画像をデータ(以下、これを血管画像データと呼ぶ)D4として太線化部35に送出する。
【0039】
太線化部35は、血管画像データD4に対して、例えばダイリューションと呼ばれるフィルタ処理を施す。この結果、血管画像データD4の画像における血管が太線化され、本来連結箇所であるにもかかわらず途切れていた箇所が連結されることとなる。そして太線化部35は、かかるフィルタ処理結果として血管が太線化された画像をデータ(以下、これを太血管画像データと呼ぶ)D5として中心線検出部36に送出する。
【0040】
中心線検出部36は、太血管画像データD5に対して、例えばThinningと呼ばれるフィルタ処理を施す。この結果、太血管画像データD5の画像における血管が細線化され、当該血管が検出対象の中心線として表れることとなる。そして中心線検出部36は、かかるフィルタ処理結果として血管の中心線が表れた画像を生体識別データD6として制御部20に送出する。
【0041】
制御部20は、かかる画像処理部22から生体識別データD6を受け取ると、この識別データD6を登録データとして内部若しくは外部に設けられた記録媒体(図示せず)に登録し、又は登録データとの比較対象として内部若しくは外部に設けられた照合器(図示せず)に送出すると共に、血管撮像駆動部21及び画像処理部22に対する制御を解除する。
【0042】
このようにしてこの情報生成部3は、撮像結果から生体を識別するための生体識別データを生成することができるようになされている。
【0043】
(4)動作及び効果
以上の構成において、この生体情報生成装置1は、生体に内在する血管の撮像結果として得られる画像に含まれた血管を太線化し、当該太線化した血管を細線化する。
【0044】
従って、この生体情報生成装置1では、識別対象である血管と、当該識別対象以外となるノイズに相当する要素とのコントラスト差が小さくなることに起因して、当該画像内の血管に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化することができるため、血管と生体表面との間に介在する他の組織の多少や、撮像部の善悪等にかかわらず、血管を正確に抽出することができる。
【0045】
またこの生体情報生成装置1は、血管の太線化の前に、撮像結果として得られる画像を2値化する。従って、この生体情報生成装置1では、太線化の処理として負荷が大きい処理が選定されている場合であっても、正確かつ高速に血管を抽出することができる。
【0046】
さらにこの生体情報生成装置1は、血管の太線化の前に、撮像結果として得られる画像を平滑化する。従って、この生体情報生成装置1では、コントラスト差の小さい画像に対してエッジ抽出処理を施した場合に生じる不連続点を除去できるため、網状の識別対象に属さないノイズを正確に除去することができる。
【0047】
そしてかかる平滑化には、その画像における着目画素NP(図4)の周辺画素群における第1の平均値(図4(B))と、当該着目画素NP及び周辺画素群における第2の平均値(図4(A))との差に応じて、着目画素NPの画素値を第1平均値に置き換えるか、若しくは置き換えずに元のままとする手法が適用される。
【0048】
従って、この生体情報生成装置1では、メディアンフィルタと呼ばれる平滑化処理を採用する場合に比して、着目画素及びその周辺画素群における中間値を検出するソート処理を要しない分だけ、低処理負荷で画像を平滑化することができる。またこの生体情報生成装置1では、本実施の形態による平滑化処理結果(図5(A))と、着目画素NPの画素値を、単に着目画素NP及び周辺画素群における平均値に置き換える平滑化処理(以下、これを単純平滑化処理と呼ぶ)結果(図5(B))とを視覚的に比較しても明らかなように、当該単純平滑化処理を採用する場合に比して、着目画素NPの周辺画素群に含まれるノイズ成分の画素に影響されることなく、当該着目画素NPを正確に平滑化することができる。
【0049】
なお、実験結果を図6及び図7に示す。この図6及び図7は、中央の着目画素と、その着目画素に隣接する画素との画素値の変化を示すものであり、図6(A)及び図7(A)は平滑化前、図6(B)及び図7(B)は本実施の形態による平滑化処理後、図6(C)及び図7(C)は単純平滑化処理をそれぞれ示すものである。なお、図6(B)及び図7(B)では、平滑化処理で採用される置き換えの閾値が「50」として設定されている。
【0050】
この図6からも明らかなように、本実施の形態による平滑化処理では着目画素の値が正しく置き換えられるのに対し、単純平滑化処理では、着目画素NPの値が正しく置き換えられないことが分かる。また図7からも明らかなように、本実施の形態による平滑化処理では着目画素NPの周辺画素群に含まれるノイズ成分の画素に影響されることなく着目画素の値が維持されるのに対し、単純平滑化処理では、当該周辺画素群に含まれるノイズ成分の画素に影響されて着目画素の値が変化していることが分かる。
【0051】
以上の構成によれば、生体に内在する血管の撮像結果として得られる画像に含まれた血管を太線化し、当該太線化した血管を細線化するようにしたことにより、識別対象である血管と、当該識別対象以外となるノイズに相当する要素とのコントラスト差が小さくなることに起因して、当該画像内の血管に途切れ部分が生じた場合であっても、その途切れ部分を結合した上で細線化するため、血管を正確に抽出することができ、かくして精度よく血管を抽出することができる。
【0052】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、生体における網状の識別対象として、生体に内在する血管を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、生体に表在する指紋や、生体に内在する神経等のこの他種々のものを適用することができる。因みに、神経を認証対象とする場合には、例えば神経に特異的なマーカを体内に注入し、当該マーカを撮像するようにすれば、上述の実施の形態と同様にして神経を識別対象とすることができる。
【0053】
また、かかる識別対象の範囲として、指を適用するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば腕、眼底、掌、足指又は足裏等の他の生体部位を適用するようにしても良く、生体全体を適用しても良い。
【0054】
さらに、かかる識別対象を撮像する撮像手段として、図1に示す構成のものを適用するようにしたが、本発明はこれに限らず、その用途や識別対象の種類等に応じて、種々の構成のものを幅広く適用することができる。
【0055】
また上述の実施の形態においては、識別対象を太線化する太線化手段として、ダイリューションと呼ばれるフィルタ処理を施すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばワンズフィルタ処理を施す等、この他種々の手法により識別対象を太線化することができる。
【0056】
さらに上述の実施の形態においては、識別対象を細線化する細線化手段として、Thinningと呼ばれるフィルタ処理を施すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば血管幅を計測して血管の中心線を検出するようにしても良い。
【0057】
さらに上述の実施の形態においては画像処理部22をハードウェア的に動作するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該画像処理部22におけるA/D変換部31、エッジ抽出部32、平滑化処理部33、2値化部34、太線化部35及び中心線検出部36の各種処理の全部又は一部を実行させるプログラムによりソフトウェア的に動作させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、生体を識別する技術を用いる分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施の形態による生体情報生成装置の全体構成を示す略線図である。
【図2】情報生成部の構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】平滑化処理の説明に供する略線図である。
【図5】平滑化処理結果の画像を示す略線図である。
【図6】実験結果(1)を示す略線図である。
【図7】実験結果(2)を示す略線図である。
【符号の説明】
【0060】
1……生体情報生成装置、2……血管撮像部、3……情報生成部、14……カメラ部、15A、15B……近赤外光光源、16……マクロレンズ、17……近赤外光透過フィルタ、18……CCD撮像素子、20……制御部、21……血管撮像駆動部、22……画像処理部、31……A/D変換部、32……エッジ抽出部、33……平滑化処理部、34……2値化部、35……太線化部、36……中心線検出部、COM……命令、S1……血管投影画像信号、D1……血管投影画像データ、D2……血管抽出画像データ、D3……平滑化血管抽出画像データ、D4……血管画像データ、D5……太血管画像データ、D6……生体識別データ、AR……設定範囲、NP……着目画素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体における網状の識別対象の撮像結果として得られる画像のうち、上記識別対象を太線化する太線化手段と、
上記太線化手段により太線化された上記識別対象を細線化する細線化手段と
を具えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記識別対象は、生体部位における血管である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
生体における識別対象の撮像結果として得られる画像を2値化する2値化手段を具え、
上記太線化手段は、
上記2値化手段により2値化された画像のうち、上記識別対象を太線化する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
生体における識別対象の撮像結果として得られる画像を平滑化する平滑化手段を具え、
上記平滑化手段は、
上記画像における着目画素の周辺画素群における第1の平均値と、当該着目画素及び上記周辺画素群における第2の平均値との差に応じて、上記着目画素の画素値を上記第1の平均値に置き換えるか、若しくは置き換えずに元の値のままとし、
上記太線化手段は、
上記平滑化手段により平滑化された画像のうち、上記識別対象を太線化する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
生体における網状の識別対象の撮像結果として得られる画像のエッジを検出するエッジ検出手段と、
上記エッジ検出手段によりエッジ検出された画像を平滑化する平滑化手段と、
上記平滑化手段により平滑化された画像のうち、上記識別対象を太線化する太線化手段と、
上記太線化手段により太線化された上記識別対象を細線化する細線化手段と
を具えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
生体における網状の識別対象の撮像結果として得られる画像のうち、上記識別対象を太線化する第1のステップと、
太線化された上記識別対象を細線化する第2のステップと
を具えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
生体に有する識別対象の撮像結果として得られる画像を処理する装置の制御を担うコンピュータに対して、
上記画像のうち、上記識別対象を太線化する第1の処理と、
太線化された上記識別対象を細線化する第2の処理と
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−11989(P2007−11989A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195358(P2005−195358)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】