説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】画面共有システムにおける送信側の処理負荷を軽減するとともに、受信側での処理負荷を軽減できるようにする。
【解決手段】再生した映像データから、アプリケーションにより発行される描画コマンドを用いて画面データを描画し、その描画で用いた描画コマンドを記憶する。また、記憶された描画コマンドを解析して、画面データを複数の領域に分離するとともに、分離された各々の領域の属性を判定する。そして、分離された領域に対して、判定された属性に応じた符号化を行い、符号化された領域に係る画面データをクライアント端末に送信する送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、特に、サーバからクライアント端末に画面データを送信するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画面共有サーバの画面をキャプチャして転送する手法が数多く提案されている。例えば、特許文献1に記載のシンクライアントシステムでは、シンクライアントサーバ装置に映像再生処理部を設けるとともに、シンクライアント端末には映像描画処理部を設ける。そして、シンクライアントサーバ装置側では、映像表示領域に透過色を設定し、画面データとしてリモコン経由で送信するとともに、映像データを別ルートで送信する。これにより、シンクライアント端末側では、これらの画面データ及び映像データをオーバーレイ表示にて同一画面上に表示している。
【0003】
また、特許文献2に記載の画像伝送システムでは、画像の変化した描画領域を複数の矩形範囲として識別し、前記識別した複数の矩形範囲と、描画範囲集合記憶部から読み出した複数の矩形範囲の集合との比較を行う。さらに、新しい矩形範囲の集合を再構成して記憶している。そして、送信可能になったことが通知されると、再構成した矩形範囲の集合を読み出し、複数の矩形範囲内の画像を読み出して画像を圧縮処理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−311957号公報
【特許文献2】特開2005−339256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、描画された画像データ(ビットマップデータもしくはRAWデータ)の変化分を矩形領域で時間方向に重畳してメモリに蓄積する。そして、送信時に最終的な変化分の画像データを複数の矩形領域で読み出し、さらに当該複数の画像データを圧縮して送信するように構成されている。このように、最終変化分の画像データのみを送信することにより、通信路の負荷を軽減している。ところが、受信側では圧縮データを展開する処理と、複数の矩形領域を配置する位置及び当該複数の矩形範囲と画像データとを同期させる処理を行わなければならず、処理負荷が膨大になってしまう。
【0006】
特許文献1に記載の構成では、映像データの位置が移動するとオーバーレイする画面データの位置も変化してしまう。このため、それぞれ別々で送った映像データ及び画面データをクライアント側で合成表示する際に、同期させるための表示制御処理が複雑になるという問題があった。また、特許文献2に記載の構成では、画像の変化した描画領域を矩形範囲で監視して記憶する。このため、当該処理を行うため制御部を設けたり、矩形範囲のイメージをそのまま送信用として保存したりするために、大容量のメモリが必要となる。その結果、処理構成が複雑になりコストが嵩むという問題があった。
【0007】
本発明は前述の問題点に鑑み、画面共有システムにおける送信側の処理負荷を軽減するとともに、受信側での処理負荷を軽減できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、画面データを受信するクライアント端末とネットワークを介して接続され、映像データを再生して前記画面データを生成する画像処理装置であって、前記再生した映像データから、アプリケーションにより発行される描画コマンドを用いて画面データを描画する描画手段と、前記描画手段で用いた描画コマンドを記憶する描画コマンド記憶手段と、前記描画手段によって描画された画面データを記憶する画面データ記憶手段と、前記描画コマンド記憶手段に記憶された描画コマンドを解析して、前記画面データ記憶手段に記憶された画面データを複数の領域に分離する領域分離手段と、前記描画コマンド記憶手段に記憶された描画コマンドを解析して、前記領域分離手段によって分離された各々の領域の属性を判定する属性判定手段と、前記領域分離手段によって分離された領域に対して、前記属性判定手段によって判定された属性に応じた符号化を行う符号化手段と、前記符号化手段によって符号化された領域に係る画面データを前記クライアント端末に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画面データそのものを詳細分析処理することなく領域分離を行い、クライアント端末に画面データを送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態の画面共有システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】画面共有システムにおける動作シーケンスを示す図である。
【図3】画面を転送する動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】画面転送前処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】画面転送本処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態の画面共有システムの構成例を示すブロック図である。
【図7】画面転送前処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】画面転送本処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態の画面共有システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における画面共有システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、本実施形態に係る画面共有システムでは、画面共有サーバ装置1と、共有画面の受け側と操作の入力とを担当するシンクライアント端末2とがネットワーク3により接続されている。また、画面共有サーバ装置1には、画面表示を行うディスプレイ装置4が接続されている。
【0012】
画面共有サーバ装置1は、以下の構成要素より構成されている。描画フレームワーク110は、各種の文字、静止画及び動画等の映像を描画コマンド等により描画し、フレームイメージデータとしてフレームバッファ140に格納するためのものである。ここで、描画コマンドとは、例えば、グラフィックオブジェクトや自然画の動画ストリームをフレームバッファ140にビットマップデータ(もしくは表示用RAWデータ)として格納する画像データを直接扱うグラフィックコマンドの表示下位層等を指す。なお、描画コマンドは、上述の例に限定されるものではない。描画コマンド記憶部120は、描画フレームワーク110により実行された描画コマンドを監視しながら一時的に保存するためのものである。そして、描画コマンド記憶部120は、描画コマンドにより描画された領域が同じコマンドの消去コマンドにより消去されるまで、描画コマンドを保存する。
【0013】
キャプチャ制御部130は、フレームバッファ140に格納されたフレームイメージデータを所定のキャプチャレートにより複製して転送する設定を行うためのものである。また、キャプチャ制御部130は、描画コマンド記憶部120に保存されている描画コマンドを取得する等の制御も行う。フレームバッファ140は、描画コマンドにより描かれた画面データ(フレームイメージデータ)を格納するためのメモリであり、ディスプレイ装置4にて画面を表示する際には、フレームバッファ140からフレームイメージデータが読み出される。映像再生部150は、映像データ部160に蓄積された映像データを再生するためのものである。
【0014】
転送用バッファ170は画面データ記憶手段として機能し、画面転送用として複製されたフレームイメージデータを格納するためのバッファである。リモート画面制御部180は、転送用バッファ170に格納されたフレームイメージデータを転送用として符号化するためのものである。また、リモート画面制御部180は、シンクライアント端末2から各種情報を受信し、画面共有処理の制御を司る。通信部190は、主に、外部機器(特に、シンクライアント端末2)とネットワーク3等を通じて通信を司るものである。
【0015】
本実施形態における画面共有サーバ装置1のフレームバッファ140は、不図示のRAM等のメインメモリの一部を用い、固定領域でフレームバッファとして利用するものとする。
【0016】
図2は、本実施形態の画面共有システムにおける動作シーケンスを示す図である。図3は、本実施形態における画面共有サーバ装置1により画面を転送する動作手順の一例を示すフローチャートである。以下、図2及び図3を参照しながら、本実施形態に係る画面共有システムの処理について詳細に説明する。
【0017】
まず、シンクライアント端末2において、ユーザによってログイン操作が実行されると、リモート画面制御部180は、シンクライアント端末2から図2に示すログイン要求M001を、通信部190を介して受信するまで待機する(ステップS301)。そして、ログイン要求M001を受信すると、リモート画面制御部180は、シンクライアント端末2のログイン要求を受理するかどうかを判定する(ステップS302)。具体的には、ログイン要求M001のパラメータとして受信したID及びパスワードを認証し、正当であるか否かを判定する。この判定の結果、ID及びパスワードが正当でなく、ログイン要求を受理しない場合は、処理を終了する。
【0018】
一方、ステップS302の判定の結果、ログイン要求M001のパラメータとして受信したID及びパスワードが正当であり、ログイン要求を受理する場合は、画面転送前処理を行う(ステップS303)。なお、この画面転送前処理については、図4の説明において後述する。次に、画面転送本処理を行う(ステップS304)。この画面転送本処理についても、図5の説明において後述する。この画面転送本処理により、シンクライアント端末2では、画面共有サーバ装置1から符号化された画面データを、ネットワーク3を介して受信し、受信した画面データを復号化してその画面を表示する。
【0019】
シンクライアント端末2において、ユーザによりログアウト操作が実行されると、図2に示すリモートコントロールイベント(ログアウト)M004がネットワーク3を介して画面共有サーバ装置1に送信される。そこで、リモート画面制御部180は、シンクライアント端末2からリモートコントロールイベント(ログアウト)M004を、通信部190を経由して受信したか否かを判定する(ステップS305)。この判定の結果、リモートコントロールイベント(ログアウト)M004を受信していない場合は、ステップS304に戻る。
【0020】
一方、ステップS305の判定の結果、リモートコントロールイベント(ログアウト)M004を受信した場合は、リモート画面制御部180は、画面転送処理の終了処理を行い(ステップS306)、処理を終了する。ステップS306では具体的に以下の処理を実行する。
【0021】
まず、リモート画面制御部180は、キャプチャ制御部130に対してキャプチャの終了を通知する。そして、キャプチャ制御部130は、描画フレームワーク110に対してフレームバッファ140に格納されているフレームイメージデータの複製を終了するよう指示する。さらに、キャプチャ制御部130は、描画コマンド記憶部120に対し、保存していた描画コマンドを消去するとともに、描画コマンドの監視及び一時的な記憶を停止するよう指示する。
【0022】
図4は、図3のステップS303における画面転送前処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
まず、図4において、リモート画面制御部180は、画面共有サーバ装置1における現在のリソース情報を取得する(ステップS401)。そして、ログイン要求M001のパラメータとして受信したシンクライアント端末2の機器情報と、画面共有サーバ装置1の現在のリソース情報とを元に、画面転送用のパラメータを決定する。具体的には、シンクライアント端末2の仕様など画面共有システムに最適な画面共有用のイメージの画角、キャプチャレート等を割り出す(ステップS402)。
【0023】
次に、リモート画面制御部180は、画面共有用のイメージの画角やキャプチャレート等のキャプチャ情報をキャプチャ制御部130に通知する。さらに、シンクライアント端末2に対して当該キャプチャ情報から画面転送パラメータ情報を生成し、図2に示すログイン確認M002とともに通信部190を介して送信する(ステップS403)。このとき、シンクライアント端末2では、画面共有サーバ装置1からログイン確認M002と画面転送パラメータ情報とを、ネットワーク3を経由して受信する。そして、当該画面転送パラメータ情報を元に各種設定を行い、転送されてくる画面を待ち受けることになる。
【0024】
次に、キャプチャ制御部130は、描画フレームワーク110に対して、ステップS402で割り出したキャプチャレートでフレームバッファ140に格納されたフレームイメージデータの複製を開始するように指示する(ステップS404)。以上の処理により画面転送前処理を終了する。
【0025】
図5は、図3のステップS304における画面転送本処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
まず、キャプチャ制御部130は、描画コマンド記憶部120に対し、描画フレームワーク110において実行される描画コマンドを監視しながら一時的に記憶するよう指示する(ステップS501)。描画コマンド記憶部120から描画コマンドが削除されるタイミングは、監視した描画コマンドの中で、終了コマンドが実行された場合、または、描画コマンドを発行したアプリケーションが終了した場合等を想定する。
【0026】
シンクライアント端末2でログイン確認M002を受信すると、シンクライアント端末2からリモートコントロールイベントM003が送信される。このリモートコントロールイベントM003により、画面共有サーバ装置1ではリモート画面制御部180の制御により、アプリケーションソフトウェアが動作し、画面共有サーバ装置1の映像データ部160に蓄積されている映像データの再生が指示される。この場合、映像再生部150により、映像データ部160から指定の映像データを読み出し、映像再生に関する描画コマンドを描画フレームワーク110により実行する。
【0027】
これにより、キャプチャ制御部130は、アプリケーションの動作を検知し、映像再生に関する描画コマンド等の領域分離に関係するコマンドが描画コマンド記憶部120に記憶されたかどうかを判断する(ステップS502)。
【0028】
この判断の結果、描画コマンド記憶部120に映像再生に関する描画コマンド等の領域分離に関係するコマンドが記憶されていない場合は、通常転送処理を実施する。通常転送処理では、転送用バッファ170に複製されたフレームイメージデータに対して、リモート画面制御部180により単一の符号化処理を行う(ステップS503)。そして、通信部190及びネットワーク3を経由してシンクライアント端末2に送信する(ステップS506)。
【0029】
一方、ステップS502の判断の結果、描画コマンド記憶部120に映像再生に関する描画コマンド等の領域分離に関係するコマンドが記憶された場合は、以下の処理を実行する。まず、転送用バッファ170にフレームイメージデータが複製される際に、リモート画面制御部180は、複製されたフレームイメージに対して、ステップS402で割り出した転送用の画角等に合わせるため、スケーラ等を用いてリサイズ等の画像処理を行う。また、描画コマンド記憶部120に一時記憶された映像再生に関する描画コマンド等の領域分離に関係するコマンドを詳細に解析する。そして、解析結果により転送用バッファ170に記憶されたフレームイメージデータに対して、文字属性部分、自然画属性部分等の領域の分離処理及び属性判定を行う(ステップS504)。次に、各領域の属性に適切な符号化方式を当てはめて、各領域の符号化をリモート画面制御部180のエンコーダにより実行する(ステップS505)。そして、その対象となる領域のイメージデータを通信部190及びネットワーク3を経由してシンクライアント端末2に送信する(ステップS506)。
【0030】
ここで、前述した領域の分離処理としては、描画コマンド同士の領域の重なり及び重なる順番も領域を分離するためのパラメータとして考慮する。このように、描画コマンドを発行する時に描かれる対象のみをキャプチャする方法とは異なり、フレームバッファに一旦記憶することによって各領域間の位置・重複関係やフレームの同期を取りやすくし、シンクライアント端末2での同期処理を簡略化している。
【0031】
自然画属性部分の領域は、自然画が綺麗に表示されるようなフレーム内圧縮方法により符号化する。例えば、DCT(離散コサイン変換)符号化や、ハフマン符号化(算術圧縮符号化)、これら2つを組み合わせたJPEG圧縮、ウェーブレット変換符号化、自然画に最適なJPEG圧縮のパラメータを用いることにより、より綺麗に自然画を表示することができる。これに対して文字属性部分の領域は、文字が綺麗に表示されるような圧縮方法により符号化する。例えば、LZ、LZW等の辞書圧縮やランレングス圧縮等の可逆圧縮方法を用いることにより、より綺麗に文字領域を表示することができる。
【0032】
本実施形態では、文字属性部分、自然画属性部分等の領域は、矩形領域で分離処理を行っている。一方、描画コマンドにより描かれる領域が矩形以外の場合には、例えば、当該描かれた矩形でない描画領域の外形を囲む矩形領域で近似して領域分離を実施する。
【0033】
以上のように本実施形態によれば、描画フレームワーク110からキャプチャする際に、描画コマンドを用いて複製するようにした。これにより、フレームバッファに格納されたイメージデータをそのまま複製するよりは、複製する時間分フレームバッファの上書きをロックする時間を取らなくて済む。このため、処理遅延を少なくすることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
以下、本発明における第2の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図6は、本実施形態における画面共有サーバ装置6の構成例を示すブロック図である。本実施形態の画面共有サーバ装置1は、サーバラック等に入るブレードサーバ形式であることを想定している。第1の実施形態に係る画面共有サーバ装置1と異なる点は、ディスプレイ装置4と接続するインタフェースと、映像データ部160とを設けていない。また、図1の転送用バッファ170の代わりに、グラフィック及び映像デコード処理をネットワーク向けに行うネットワークビデオ処理部175を設けている。ネットワークビデオ処理部175はグラフィックRAMを装備しており、実装形態は、専用PCI-Expressカード、グラフィックプロセッサチップ、メインの汎用MPUとマルチコア実装されたグラフィックコア等がある。さらに、図1のリモート画面制御部180の代わりに、リモート操作側でシンクライアント端末2のデバイスを含めた各種管理を行うリモート端末制御部185を設けている。これ以外の構成については、図1の画面共有サーバ装置1と同様であるため、詳細説明を省略する。
【0035】
また、本実施形態に係る画面共有サーバ装置6の動作シーケンスについては、図2と同様であるため説明は省略する。さらに、本実施形態に係る画面共有サーバ装置6によるログインからログアウトまでの処理手順についても図3と同様であるため、説明は省略する。なお、図3の処理において、リモート画面制御部180が行う処理は、本実施形態ではリモート端末制御部185が行う。
【0036】
図7は、本実施形態において、図3のステップS303における画面転送前処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS701〜S703については、図4のステップS401〜S403と同様の処理をリモート端末制御部185が行うものであるため、説明は省略する。
【0037】
そして、キャプチャ制御部130は、描画フレームワーク110に対して、ステップS702で割り出したキャプチャレート及び画角でフレームイメージデータをネットワークビデオ処理部175へ書き込みを開始するように指示する(ステップS704)。以上の処理により画面転送前処理を終了する。
【0038】
図8は、本実施形態において、図3のステップS304における画面転送本処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
まず、キャプチャ制御部130は、描画コマンド記憶部120に対し、描画フレームワーク110においてネットワークビデオ処理部175に対して実行される描画コマンドを一時的に記憶するように指示する(ステップS801)。なお、描画コマンドについては、第1の実施形態と同様であり、描画コマンド記憶部120から描画コマンドが削除されるタイミングも、同様である。
【0039】
シンクライアント端末2でログイン確認M002を受信すると、シンクライアント端末2からリモートコントロールイベントM003が送信される。このリモートコントロールイベントM003により、画面共有サーバ装置1ではアプリケーションソフトウェアが動作する。そして、リモート端末制御部185は、映像再生部150に対し、例えばネットワーク等を介して外部から映像データを取得して再生するよう指示する。この場合、映像再生部150により、ネットワーク等を介して外部から指定の映像データを取得し、映像再生に関する描画コマンドを描画フレームワーク110により実行する。
【0040】
これにより、キャプチャ制御部130は、アプリケーションの動作を検知し、映像再生に関する描画コマンド等の領域分離に関係するコマンドが描画コマンド記憶部120に記憶されたかどうかを判断する(ステップS802)。
【0041】
この判断の結果、描画コマンド記憶部120に映像再生に関する描画コマンド等の領域分離に関係するコマンドが記憶されていない場合は、通常転送処理を実施する。通常転送処理では、ネットワークビデオ処理部175に描画されたフレームイメージデータを、リモート端末制御部185によりネットワーク3の帯域等の状況に合わせて符号化パラメータの調整等の画像符号化前処理を行う(ステップS803)。そして、ネットワークビデオ処理部175に描画されたフレームイメージデータに対して、前記調整した符号化パラメータを用いて単一の符号化処理を行い、通信部190及びネットワーク3を経由してシンクライアント端末2に送信する(ステップS804)。
【0042】
一方、ステップS802の判断の結果、描画コマンド記憶部120に映像再生に関する描画コマンド等の領域分離に関係するコマンドが記憶された場合は、以下の処理を実行する。まず、ネットワークビデオ処理部175にフレームイメージデータが描画される際に、リモート端末制御部185は、フレームイメージデータをネットワーク3の帯域等の状況に合わせて符号化パラメータの調整等の画像符号化前処理を行う(ステップS805)。
【0043】
また、描画コマンド記憶部120に一時記憶された映像再生に関する描画コマンド等の領域分離に関係するコマンドを詳細に解析する。そして、解析結果によりネットワークビデオ処理部175に描画されたフレームイメージデータに対して、文字属性部分、自然画属性部分等の複数の領域における分離処理及び属性判定を行う(ステップS806)。次に、各領域の属性に適切な符号化方式を当てはめて、ステップS805で調整した符号化パラメータを用いて、各領域の符号化処理を行う(ステップS807)。そして、リモート端末制御部185により、その対象となる領域のイメージデータを通信部190及びネットワーク3を経由してシンクライアント端末2に送信する(ステップS808)。なお、領域の分離処理及び符号化処理については、第1の実施形態と同様である。
【0044】
以上のように本実施形態によれば、画面共有サーバ装置側でディスプレイを接続することなくシンクライアント端末向けだけにイメージデータを描画ことができる。これにより、より簡単で高速になり、ネットワークに特化した各種処理を行うための時間を設けることができる。
【0045】
(第3の実施形態)
図9は、本実施形態における画面共有システムの構成例を示すブロック図である。
第1の実施形態と異なる点は、本実施形態の画面共有サーバ装置9は、描画フレームワーク110にフレームイメージを複製する機能が搭載されていないが、代わりにキャプチャ部200を設けている。このように、描画フレームワーク110にフレームイメージデータを複製する機能がないため、ビデオ処理部210がフレームバッファ140からフレームイメージを読み出す。そして、このタイミングで、キャプチャ部200がフレームイメージデータを転送用バッファ170に複製するようにしている。これにより、第1の実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0046】
また、図9に示すように、第1の実施形態における転送用バッファ170、リモート画面制御部180及び通信部190が、画面共有サーバ装置9の外部のモジュール(ハードウェアモジュールもしくはカード)として実装されている。このような場合においても、第1の実施形態と同様の処理を行うことができる。また、第2の実施形態の構成においても同様である。
【0047】
(その他の実施形態)
前述した実施形態において、領域分割した各領域に適切な符号化方式としては、JPEGのパラメータを変更しただけのものから、符号化方法そのものを各領域の属性に特化した方式を用いるようにしてもよい。符号化方法そのものとしては、JPEG、LZH、ZLIB、JPEG2000、PNG、GIF、WMF、AVCイントラ(H.264/AVC Intra)等があげられる。
【0048】
また、前述の実施形態において、描画コマンドは、GDIコマンドや、Microsoft Windows(登録商標)でのDirectXもしくはDirectShowレベルのコマンドであってもよい。また、Khronos Group策定のOpenMAX-il等やOpenGLのコマンドであってもよい。
【0049】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0050】
110 描画フレームワーク、120 描画コマンド記憶部、140 フレームバッファ、180 リモート画面制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面データを受信するクライアント端末とネットワークを介して接続され、映像データを再生して前記画面データを生成する画像処理装置であって、
前記再生した映像データから、アプリケーションにより発行される描画コマンドを用いて画面データを描画する描画手段と、
前記描画手段で用いた描画コマンドを記憶する描画コマンド記憶手段と、
前記描画手段によって描画された画面データを記憶する画面データ記憶手段と、
前記描画コマンド記憶手段に記憶された描画コマンドを解析して、前記画面データ記憶手段に記憶された画面データを複数の領域に分離する領域分離手段と、
前記描画コマンド記憶手段に記憶された描画コマンドを解析して、前記領域分離手段によって分離された各々の領域の属性を判定する属性判定手段と、
前記領域分離手段によって分離された領域に対して、前記属性判定手段によって判定された属性に応じた符号化を行う符号化手段と、
前記符号化手段によって符号化された領域に係る画面データを前記クライアント端末に送信する送信手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記クライアント端末から機器情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記クライアント端末の機器情報に基づいて、前記クライアント端末の仕様に応じた画面のパラメータを決定する決定手段とをさらに有し、
前記描画手段は、前記決定手段によって決定されたパラメータに応じて画面データを描画することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記領域分離手段は、前記画面データ記憶手段に記憶された画面データを矩形領域で分離することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記領域分離手段は、前記描画コマンドを解析した結果、分離すべき領域が矩形領域でない場合には、前記矩形領域でない領域の外形を囲むように矩形で領域を分離することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記符号化手段は、属性が文字属性である場合に、可逆圧縮による符号化を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記符号化手段は、属性が自然画属性である場合にフレーム内圧縮による符号化を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記描画コマンドは、グラフィックコマンドであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記描画手段は、前記クライアント端末からのリモート操作を受信したことに応じて描画を開始することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画面データを受信するクライアント端末とネットワークを介して接続され、映像データを再生して前記画面データを生成する画像処理装置における画像処理方法であって、
前記再生した映像データから、アプリケーションにより発行される描画コマンドを用いて画面データを描画する描画工程と、
前記描画工程において用いた描画コマンドを記憶手段に記憶する描画コマンド記憶工程と、
前記描画工程において描画された画面データを記憶手段に記憶する画面データ記憶工程と、
前記描画コマンド記憶工程において記憶された描画コマンドを解析して、前記画面データ記憶工程において記憶された画面データを複数の領域に分離する領域分離工程と、
前記描画コマンド記憶工程において記憶された描画コマンドを解析して、前記領域分離工程において分離された各々の領域の属性を判定する属性判定工程と、
前記領域分離工程において分離された領域に対して、前記属性判定工程において判定された属性に応じた符号化を行う符号化工程と、
前記符号化工程において符号化された領域に係る画面データを前記クライアント端末に送信する送信工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
画面データを受信するクライアント端末とネットワークを介して接続され、映像データを再生して前記画面データを生成する画像処理装置を制御するためのプログラムであって、
前記再生した映像データから、アプリケーションにより発行される描画コマンドを用いて画面データを描画する描画工程と、
前記描画工程において用いた描画コマンドを記憶手段に記憶する描画コマンド記憶工程と、
前記描画工程において描画された画面データを記憶手段に記憶する画面データ記憶工程と、
前記描画コマンド記憶工程において記憶された描画コマンドを解析して、前記画面データ記憶工程において記憶された画面データを複数の領域に分離する領域分離工程と、
前記描画コマンド記憶工程において記憶された描画コマンドを解析して、前記領域分離工程において分離された各々の領域の属性を判定する属性判定工程と、
前記領域分離工程において分離された領域に対して、前記属性判定工程において判定された属性に応じた符号化を行う符号化工程と、
前記符号化工程において符号化された領域に係る画面データを前記クライアント端末に送信する送信工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−139361(P2011−139361A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298784(P2009−298784)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】