説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】復元前の画像の特徴点/非特徴点を解析し、エッジ強調すべき点は強調し、強調すべきでない点は強調を抑えることにより、自然に強調された画像の復元が可能な画像処理装置等を提供すること。
【解決手段】入力画像の画素毎のエッジ強度を算出し、当該エッジ強度が処理前閾値を超えた点を特徴点、それ以外の点を非特徴点として抽出し、前記ぼけパラメータの値を変化させることにより、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるようなぼけパラメータを判定し、当該ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元する復元処理部を備えた画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された画像(静止画像・動画像)を鮮明に出力する場合に、画像に対して鮮鋭化処理を施すことが知られている。鮮鋭化の手法としては、種々の方法が考えられるが、例えば画像のエッジを強くすることにより、画像全体が鋭くなり、鮮鋭な画像として表示させる手法が知られている。
【0003】
ここで、エッジが弱いと画像全体はぼけた表示となってしまう。しかし、過度にエッジを強くすると、リンギングノイズとなり、自然な画像が表示されないといった問題点が生じてしまう。
【0004】
そこで、鮮鋭な画像を表示させるために、ぼけ度(ぼけパラメータ)を利用して画像処理を施す画像処理が知られている。ここで、適切なぼけ度として、画像のエッジ量を1次微分した値が最大となるぼけ度となるように画像処理を施すことにする。すなわち、入力画像にぼけ度パラメータを変化させて、復元処理を行い、その中で復元度の高いものを補正パラメータとして選択する。
【0005】
例えば、特許文献1では、ぼけパラメータでのエッジ量(原画像のエッジの強さ×処理後のエッジの強さの総和)を算出し、それを微分した結果からぼけパラメータの最適値を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−77202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1の方法では、画像全体のエッジ量を加算して求めていることから、エッジ強調して欲しくない部分までエッジが強調されてしまうといった問題点が生じてしまう。
【0008】
例えば、人物の背景に風景があるような(人物は少しぼけていて背景はさらにぼけているような)画像の場合、人物はくっきりした画像となるが、あまりくっきりさせる必要のない風景のぼけた部分まで過度に強調されてしまうことにより、利用者にとって画像が不自然に見えてしまうといった問題点が生じていた。
【0009】
上述した課題に鑑み、本発明が目的とするところは、復元前の画像の特徴点/非特徴点を解析し、エッジ強調すべき点は強調し、強調すべきでない点は強調を抑えることにより、自然に強調された画像の復元が可能な画像処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題に鑑み、本発明の画像処理装置は、ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元する復元処理部を備えた画像処理装置において、入力画像の画素毎のエッジ強度を算出し、当該エッジ強度が処理前閾値を超えた点を特徴点、それ以外の点を非特徴点として抽出する画像解析部と、前記ぼけパラメータの値を変化させることにより、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるようなぼけパラメータを判定するぼけパラメータ判定部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像処理装置において、前記パラメータ判定部は、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるぼけパラメータが複数ある場合には、当該複数のぼけパラメータの中から、前記特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最大となるぼけパラメータを判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像処理装置において、前記パラメータ判定部は、前記特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最大となるぼけパラメータの値が複数ある場合には、ぼけパラメータの値が最大となるぼけパラメータを判定することを特徴とする。
【0013】
本発明の画像処理方法は、ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元する画像処理方法において、入力画像の画素毎のエッジ強度を算出し、当該エッジ強度が処理前閾値を超えた点を特徴点、それ以外の点を非特徴点として抽出し、前記ぼけパラメータの値を変化させることにより、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるようなぼけパラメータを判定することを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、コンピュータに、ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元する復元処理機能を実現させ、入力画像の画素毎のエッジ強度を算出し、当該エッジ強度が処理前閾値を超えた点を特徴点、それ以外の点を非特徴点として抽出する画像解析機能と、前記ぼけパラメータの値を変化させることにより、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるようなぼけパラメータを判定するぼけパラメータ判定機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、入力画像の画素毎のエッジ強度を算出し、当該エッジ強度が処理前閾値を超えた点を特徴点、それ以外の点を非特徴点として抽出し、前記ぼけパラメータの値を変化させることにより、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるようなぼけパラメータを判定し、当該ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元することができる。したがって、本来エッジを強調がされるべきではない非特徴点の部分について、強調されてしまう箇所が最小となるぼけパラメータの値に基づいて復元することができ、自然な状態で画像を復元することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像処理装置の一例である携帯電話の外観を示す図である。
【図2】本実施形態における機能構成を説明する為の図である。
【図3】本実施形態における最適ぼけ復元処理部の機能構成を説明する為の図である。
【図4】本実施形態における復元処理部の機能構成を説明する為の図である。
【図5】復元フィルタについて説明する為の図である。
【図6】復元フィルタについて説明する為の図である。
【図7】復元フィルタについて説明する為の図である。
【図8】本実施形態におけるエッジ強度取得部について説明する為の図である。
【図9】微分フィルタについて説明する為の図である。
【図10】Sobelフィルタについて説明する為の図である。
【図11】ラプラシアンフィルタについて説明する為の図である。
【図12】画像において取得された情報(エッジ強度)について表した図である。
【図13】画像における特徴点を表した図である。
【図14】本実施形態におけるぼけ判定テーブルのデータ構成の一例を示した図である。
【図15】本実施形態におけるぼけ判定テーブルを示した図である。
【図16】本実施形態におけるメイン処理を説明する為の動作フローである。
【図17】本実施形態における特徴点取得処理を説明する為の動作フローである。
【図18】本実施形態における画像情報取得処理を説明する為の動作フローである。
【図19】本実施形態における画像点抽出処理を説明する為の動作フローである。
【図20】本実施形態における画像解析処理を説明する為の動作フローである。
【図21】本実施形態における最適ぼけパラメータ判定処理の動作を説明する為の図である。
【図22】本実施形態における最適ぼけパラメータ判定処理を説明する為の動作フローである。
【図23】本実施形態における最適ぼけパラメータ判定処理を説明する為の動作フローである。
【図24】本実施形態における動作例について説明する為の図である。
【図25】本実施形態におけるぼけ判定テーブルを示した図である。
【図26】本実施形態におけるぼけ判定テーブルを示した図である。
【図27】本実施形態におけるぼけ判定テーブルを示した図である。
【図28】本実施形態における変形例について説明する為の図である。
【図29】本実施形態における変形例(画像における特徴点の抽出について)を表した図である。
【図30】本実施形態における変形例(画像における特徴点の抽出について)を表した図である。
【図31】本実施形態における変形例について説明する為の図である。
【図32】本実施形態における変形例について説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態では、一例として、本発明に画像処理装置が、携帯電話1に含まれる場合について説明する。以下、携帯電話1の全体構成、機能構成を説明した後に、本発明を適用した場合の処理の流れと、実施例、更に本発明を適用可能な変形例について説明する。
【0018】
[1.全体構成]
図1は、第1実施形態における携帯電話1の外観を示す図である。携帯電話1は、液晶ディスプレイ等により構成されている表示部60と、入力ボタン等により構成されている操作部65と、音声の入力を受け付けるマイク部70と、音声を出力するスピーカ部75とを備えている。
【0019】
また、放送局から放送された地上波デジタル放送を受信するための受信アンテナ32と、携帯電話基地局からの送受信信号を受信するための通信アンテナ(不図示)とを併せて備えている。
【0020】
[2.機能構成]
[2.1 携帯電話の機能構成]
続いて、携帯電話1の機能構成について図2を用いて説明する。図2は、携帯電話1の機能構成を説明するための図であり、制御部10に、無線通信部20と、チューナ部30と、カメラ部35と、記憶部40と、映像信号処理部50と、表示部60と、操作部65と、マイク部70と、スピーカ部75とが接続されている。
【0021】
制御部10は、携帯電話1の全体を制御するための機能部である。制御部10は、記憶部40に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0022】
無線通信部20は、携帯電話通信網に接続するための機能部であり、通信アンテナ22が接続されている。通信アンテナ22を介して基地局と、通信データが送受信され、制御部10に入出力される。なお、無線部20及び通信アンテナ22の機能部は、携帯電話1が電話機能として利用される場合に必要となる機能部であり、その詳細な説明は省略する。
【0023】
チューナ部30は、受信アンテナ32が接続されており、受信アンテナ32を介して、利用者により選局された放送局に対応する放送波からトランスポートストリーム(TS)のデータ(TSデータ)を抽出し、出力する機能部である。出力されたTSデータは、映像信号処理部50を介して表示部60及びスピーカ部75により出力されるか、記憶部40の画像データ格納領域42に記憶される。なお、本実施形態では、地上デジタル放送が受信可能なチューナであるとする。
【0024】
カメラ部35は、利用者により、レンズを介して、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子に結像された画像(静止画像又は動画像)を、画像データとして出力する機能部である。出力された画像データは、映像信号処理部50を介して表示部60に表示されるか、記憶部40の画像データ格納領域42に記憶される。
【0025】
記憶部40は、携帯電話1の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部40は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、記憶部40には、画像データ格納領域42が確保されており、画像データが記憶されている。なお、本実施形態における画像データとは、写真等のいわゆる静止画像データ(例えば、JPEG形式やTIFF形式等の静止画像データ)であっても、映像等のいわゆる動画像データ(AVI形式や、MPEG形式等の動画像データ)であっても良い。
【0026】
映像信号処理部50は、チューナ部30、カメラ部35又は画像データ格納領域42に記憶された画像データ等が入力され、各種処理を施した後表示部60に出力する為の機能部である。
【0027】
画像データ変換部52は、入力された画像データ(処理を施した画像データ)を、表示部60に出力するために、画像データを変換する機能部である。例えば、一例としてRGBYUV変換部等により構成される。
【0028】
最適ぼけ復元処理部54は、入力された画像データの最適ぼけを判定し、復元する処理を行う機能部である。最適ぼけ復元処理部54については、後に詳細に説明する。
【0029】
ガンマ補正部56は、入力された画像データのガンマ補正を行う機能部である。ガンマ補正を行うことにより、表示部60により適切な輝度にて画像が出力される。ここで、ガンマ補正値としては、予め画像データに基づいて決められたものであってもよいし、その都度算出された値を利用したものでもよいし、利用者が設定した値を利用することとしてもよい。
【0030】
表示部60は、映像信号処理部50から出力された画像を表示したり、利用者に提供する情報の表示をしたりする為の機能部である。表示部60としては、例えば液晶ディスプレイ(LCD)や、有機ELパネル等により構成されている。
【0031】
操作部65は、利用者から各種操作指示等の入力を受け付けるための機能部である。操作部65としては、例えばボタンキーや、タッチパネル等により構成されている。
【0032】
マイク部70及びスピーカ部75は、音(音声)を入出力するための機能部である。マイク部70から入力された音声は、音声データに変換されて制御部10に出力され、適宜各機能部に出力される。また、スピーカ部75は、各機能部より出力される音声データを音声に変換して出力する機能部である。
【0033】
すなわち、画像データがチューナ部30、カメラ部35又は記憶部40から入力される。そして、入力された画像データは、映像信号処理部50によりぼけ復元処理が施される。そして、ぼけ復元処理が施された画像が、表示部60に出力されることとなる。
【0034】
[2.2 最適ぼけ復元処理部の機能構成]
続いて、最適ぼけ復元処理部54の機能構成について、図3以降を用いて詳細に説明する。図3に示すように、最適ぼけ復元処理部54は、復元処理部510と、エッジ強度取得部520と、ぼけ判定部530とを備えて構成されている。また、ぼけ判定部530は、解析部532と、特徴点記憶領域534と、ぼけ判定テーブル536とを有して構成されている。
【0035】
[2.2.1 復元処理部]
復元処理部510は、入力された画像データに復元フィルタ(空間フィルタ)処理を施して出力する機能部である。復元処理部510は、図4に示すように、復元フィルタ部512と、乗算器514と、加算器516とを有して構成されている。
【0036】
復元フィルタ部512は、解析部532からぼけパラメータσが入力され、ぼけパラメータσを利用して画像を復元する。すなわち、入力された画像データに空間フィルタ処理を施して差分を乗算器514により所定倍し、もとの入力された画像データ(原画像)に加算器516により加算して画像データを出力する。
【0037】
ここで、本実施形態においては、画像データを復元する復元フィルタの一例としてウィナーフィルタH(u,v)を使用する。ここで、ウィナーフィルタH(u,v)は、周波数領域において、下記の式で求められる。
【数1】

【0038】
ここで、Γは画像によるノイズに基づく定数であり、H(u,v)は、ぼけを表す点拡がり関数である。本実施形態ではレンズの焦点ぼけによる劣化を想定しており、点であったものが拡がりをもつような劣化である。そのため、H(u,v)をガウス分布と仮定し、以下の式で表される。
【数2】

【0039】
なお、ぼけパラメータσは、大きくなるほどぼけ度合いが大きくなり、0以上の実数である。ここで、ぼけパラメータσを変更することにより、ぼけ度合いに応じた画像復元処理が行われることとなる。
【0040】
ウィナーフィルタH(u,v)は、周波数領域での式を表しているので、空間フィルタにするには、ウィナーフィルタを逆フーリエ変換する必要がある。ここで、空間フィルタからフーリエ変換をし、周波数領域で処理を行い、更に逆フーリエ変換を行うと回路規模が大きくなるため、予めウィナーフィルタを空間フィルタとする。
【0041】
ここで、空間フィルタリングと、周波数フィルタリングとの関係を図5に示す。f(x,y)は、フィルタ処理前の画像(空間領域)であり、g(x,y)はフィルタ処理後の画像(空間領域)である。
【0042】
ここで、ウィナーフィルタH(u,v)を用いる場合、一度f(x,y)をフーリエ変換してフィルタ処理前の画像をフーリエ変換した出力F(u,v)を得る必要がある。そして、得られたF(u,v)にウィナーフィルタH(u,v)を使用し、周波数領域のフィルタ処理後の出力G(u,v)を得る。そして、G(u,v)に逆フーリエ変換を行うことにより、フィルタ処理後の画像g(x,y)(空間領域)を得る必要がある。
【0043】
したがって、本実施形態においては、ウィナーフィルタH(u,v)を、周波数フィルタを空間フィルタに変換されたフィルタh(u,v)を利用する。このとき、逆フーリエ変換として、離散コサイン変換(DCT)を使用してフィルタを変換し、フィルタh(u,v)は以下の式で得られる。
【0044】
【数3】

なお、離散フーリエ変換(DFT)を使用しても良い。
【0045】
【数4】

ここで、M、Nはフィルタの大きさを表し、本実施形態においては、M=N=5として説明する。
【0046】
なお、離散コサイン変換した後、正規化、量子化した空間フィルタの例を図6に示す。図6(a)は、σ=0.20、Γ=0.010の場合、(b)は、σ=0.21、Γ=0.010の場合、(c)は、σ=0.22、Γ=0.010の場合における空間フィルタの例を示す図である。このように、ぼけパラメータσに応じて空間フィルタを記憶しており、本実施形態においてはσ=0.16〜0.25についての各空間フィルタを記憶している。
【0047】
また上述した実施形態において、σ=0.16〜0.25についての各空間フィルタを記憶したが、エッジ量が大きい程σの小さな値を適応し、エッジ量が小さい程σの大きな値を適応する傾向があるため入力画像のエッジ量から記憶するフィルタの範囲を選択してもよい。
【0048】
また、当該空間フィルタの特性を示したのが図7である。図7は、横軸に座標、縦軸に係数を取ったグラフであり、一点鎖線のグラフG10がσ=0.20(図6(a))、点線のグラフG12がσ=0.21(図6(b))、実線のグラフG14がσ=0.22(図6(c))を示すグラフである。
【0049】
[2.2.2 エッジ強度取得部]
エッジ強度取得部520は、復元処理部510から入力された画像データについて、エッジの強度を取得するための機能部であり、エッジ検出フィルタ部522と、エッジ強度算出部524とを含んで構成されている。
【0050】
エッジ検出フィルタ部522は、入力された画像データの中の明るさが急に変化する部分、すなわちエッジ部分を検出するための機能部である。これは、画像データにおける明るさの微分を求めることにより、明るさの変化する様子がわかり、エッジを検出することが出来る。なお、画像(データ)の中の明るさとしては、本実施形態においては、YUVのうちY(輝度成分)を用いることとする。
【0051】
ここで、微分フィルタは、以下の式で求めることが出来る。すなわち、各画素における横方向の差分をf(x、y)、縦方向の差分をf(x、y)としたとき、
【数5】

で求めることができる。
【0052】
この場合のフィルタの例を図9に示す。図9(a)が縦方向のフィルタ、図9(b)が横方向のフィルタである。
【0053】
しかしながら、微分フィルタでは、画像の明るさが急激に変化するエッジ部分に関しては検出可能であるが、同時に画像に含まれるノイズに対しても敏感に反応してしまうといった特性があった。
【0054】
そこで、縦方向エッジを抽出したい場合には、横方向に微分したのちに、それ直交する縦方向に関して平滑化を施すことで、縦方向のエッジは残しつつノイズを低減する方法が考えられる。このような方法としては、例えばSobelフィルタが考えられる。
【0055】
Sobelフィルタとは、中央に重みをつけて平均化を行うフィルタであり、微分フィルタに比べてノイズを抑えることができる。また、なめらかなエッジが抽出されることとなり、以下の式にて表される。
【数6】

この場合のフィルタの例を図10に示す。図10(a)が横方向のフィルタを、図10(b)が縦方向のフィルタを示している。本実施形態では、このSobelフィルタを適用することとして説明する。
【0056】
エッジ強度算出部524は、エッジ検出フィルタ部522において検出されたエッジの強度を算出する機能部である。エッジ強度E(勾配の大きさ)は、次のように求めることが出来る。
【0057】
【数7】

上記式は、簡略し、次の式を用いても良い。
【数8】

【0058】
また、横方向の2次微分の結果と、縦方向の2次微分の結果を足し合わせることにより得られるラプラシアンフィルタの出力結果をエッジ強度Eとして用いることとしても良い。なお、ラプラシアンフィルタの一例を、図11に示す。
【0059】
[2.2.3 ぼけ判定部]
続いて、ぼけ判定部530について説明する。ぼけ判定部530は、図3で示したように、解析部532と、特徴点記憶領域534と、ぼけ判定テーブル536とを含んで構成されている。ここで、ぼけ判定テーブル536と、特徴点を記憶する特徴点記憶領域534は、説明の都合上ぼけ判定部530に含めて説明するが、ぼけ判定部530に内蔵する記憶装置であっても良いし、記憶部40に記憶されており、必要に応じて解析部532が参照することとしても良い。
【0060】
解析部532は、エッジ強度取得部520により入力されたエッジ強度等に基づいて、入力された画像データの最適なぼけパラメータを判定するための機能部であり、その詳細な処理については後述する。なお、解析部532は、映像信号処理部50に含まれる機能として説明するが、制御部10が同様の機能を実現することとしても良いことは勿論である。
【0061】
特徴点記憶領域534は、画像データにおける画像情報や特徴点を記憶する為の領域である。例えば、図12のように記憶されている画像情報(画像データのエッジ強度E)に基づいた特徴点が図13のように記憶される。すなわち、この場合エッジ強度Eが閾値50より超えた点を特徴点とし、特徴点の箇所には「1」が、非特徴点の箇所には「0」が記憶されている。
【0062】
ぼけ判定テーブル536は、ぼけ判定に用いられるテーブルである。図14に示すように、ぼけパラメータσ(例えば、「0.19」)と、特徴点で復元フィルタ処理後の画像においてエッジ強度を判定するための閾値Eth2より大きい数Mnum(例えば、「280」)と、非特徴点で復元フィルタ処理後の画像においてエッジ強度を判定するための閾値Eth2より大きい数UMnum(例えば、「47」)とを対応づけて記憶している。
【0063】
なお、図14の場合におけるσとMnumとの関係を図15(a)に、σとUMnumとの関係を図15(b)にそれぞれ示す。
【0064】
[3.処理の流れ]
続いて、解析部532が入力された画像データを解析して最適ぼけパラメータを判定する場合における処理について、図を用いて説明する。
【0065】
[3.1 メイン処理]
まず、メイン処理について図16を用いて説明する。まず、入力された画像データに基づいて特徴点抽出処理を実行する(ステップS1000)。特徴点取得処理が実行されると、画像データの特徴点が抽出される。
【0066】
続いて、画像解析処理を実行する(ステップS2000)。これにより、入力された画像データのぼけ判定テーブル536が生成される。
【0067】
そして、最適ぼけパラメータ判定処理が実行されることにより、生成されたぼけ判定テーブル536から最適なぼけパラメータσが判定される(ステップS3000)。
【0068】
このようにして、入力された画像データに対し、段階的にぼけパラメータσに基づいたぼけ判定テーブルを生成し、生成されたぼけパラメータσの中から最適なものが選択される処理が実行されることになる。
【0069】
[3.2 特徴点取得処理]
続いて特徴点取得処理について図17を用いて説明する。特徴点取得処理は、まず入力された画像データの情報を取得する画像情報取得処理を実行する(ステップS1100)。そして、画像データの情報が取得された後に、画像特徴点抽出処理を実行する(ステップS1200)。これにより、入力された画像データの特徴点が抽出されることとなる。
【0070】
[3.2.1 画像情報取得処理]
まず、画像情報取得処理について、図18を用いて説明する。なお、図18において用いられている変数は以下の意味である。
【0071】
i:画素のカウント値
all:全画素のエッジ強度の合計
max:エッジ強度の最大値
cur:現在のエッジ強度
E(n):エッジ強度取得部520から順次入力されるn番目の画素のエッジ強度
IMG_SIZE:全画素数(横サイズ×縦サイズ)
avg:エッジ強度の平均値
th1:(原)画像データにおいて特徴点を判別するための処理前閾値
th2:復元フィルタ処理後の画像データにおいてエッジ強度を判定するための処理後閾値
【0072】
まず、各変数(i、Eall、Emax、Ecur)を初期化する(ステップS1110)。続いて、エッジ強度E(i)がエッジ強度取得部520から入力され、現在のエッジ強度Ecurとして代入される(ステップS1112)。
【0073】
そして、入力されたエッジ強度からエッジ強度の合計(Eall)を求める(ステップS1114)。ここで、EmaxがEcurより小さい場合には(ステップS1116;Yes)、EmaxにEcurを代入する(ステップS1118)。
【0074】
つづいて、iがIMG_SIZEを超えていない場合、すなわち全画素についてまだ処理が行われていない場合は、iに1加算(インクリメント)し、ステップS1112から繰り返し処理を実行する(ステップS1120;No→ステップS1122→ステップS1112)。
【0075】
他方、iがIMG_SIZE以上となった場合、すなわち全画素について画像情報を取得した場合は、EallをIMG_SIZEで除することにより、平均Eavgを算出する(ステップS1124)。
【0076】
そして、Eth1を(Emax−Eavg)*定数α+Eavgと算出し(ステップS1126)、Eth2を(Emax−Eavg)*定数β+Eavgと算出する。ここで、αとは、画像データ(原画像)の特徴点を決定するための加算率であり、βはフィルタ処理後の画像データに閾値判定をするための加算率である。なお、ここでβとαは、β>αの関係を満たす値とする。このように、画像全体のぼけ度に応じて、閾値を変化させることとなる。
【0077】
[3.2.2 画像特徴点抽出処理]
続いて、入力された画像データの特徴点を抽出処理について図19を用いて説明する。なお、図19において用いられている変数は以下の意味である。なお、図18と同じ変数は同じ意味として用いるものとする。
【0078】
i:画素のカウント値
flag:特徴点か非特徴点かを示す一時変数
Fp(n):特徴点記憶領域534に格納するn番目の画素が特徴点が非特徴点かを示す値
【0079】
まず、各変数(i、flag)を初期化する(ステップS1210)。続いて、エッジ強度E(i)がエッジ強度取得部520から入力され、現在のエッジ強度Ecurとして代入される(ステップS1212)。
【0080】
つづいて、EcurがEth1を超えている場合には、flagに「1」を代入し(ステップS1214;Yes→ステップS1216)、超えていない場合にはflagに「0」を代入する(ステップS1214;No→ステップS1218)。そして、Fp(i)に、flagを代入する(ステップS1220)。
【0081】
つづいて、iがIMG_SIZEを超えていない場合、すなわち全画素についてまだ処理が行われていない場合は、iに1加算(インクリメント)し、ステップS1212から繰り返し処理を実行する(ステップS1222;No→ステップS1224→ステップS1212)。
【0082】
他方、iがIMG_SIZE以上となった場合、すなわち全画素について画像情報を取得した場合は、本処理を終了する(ステップS1222;Yes)。
【0083】
[3.3 画像解析処理]
続いて、画像解析処理について、図20を用いて説明する。なお、図20において用いられている変数は以下の意味である。なお、図18、図19と同じ変数は同じ意味として用いるものとする。
【0084】
σ:ぼけパラメータ
s:ぼけパラメータのステップ数
BL[n]:ぼけパラメータがnの場合のぼけ判定テーブル
BL[n].Mnum:ぼけパラメータnのとき特徴点でエッジ強度が閾値Eth2より大きい数
BL[n].UMnum:ぼけパラメータnのとき非特徴点でエッジ強度が閾値Eth2より大きい数
【0085】
まず、ぼけパラメータσを初期値に設定する(ステップS2010)。また、各変数(i、Mnum、UMnum)を初期化する(ステップS2012)。また、EcurにE(i)を代入し(ステップS2014)、flagにFp(i)を代入する(ステップS2016)。
【0086】
つづいて、EcurがEth2を超えているか否かを判定する(ステップS2018)。ここで、Ecurが、Eth2を超えている場合には(ステップS2018;Yes)、flagが「1」であるか否かを判定する(ステップS2020)。flagが「1」である場合は、当該画素は特徴点であることから、Mnumに1加算し(ステップS2020;Yes→ステップS2022)、flagが「0」である場合は、当該画素は非特徴点であることから、UMnumに1加算する(ステップS2020;No→ステップS2024)。
【0087】
つづいて、iがIMG_SIZEを超えていない場合、すなわち全画素についてまだ処理が行われていない場合は、iに1加算(インクリメント)し、ステップS2014から繰り返し処理を実行する(ステップS2026;No→ステップS2028→ステップS2014)。
【0088】
他方、iがIMG_SIZE以上となった場合、すなわち全画素について処理が終了した場合は(ステップS2026;Yes)、BL[σ].MnumにMnumを、BL[σ].UMnumにUMnumをそれぞれ代入する(ステップS2030)。
【0089】
また、ぼけパラメータσが終了値に到達していない場合は、次のぼけパラメータについて処理を実行するため、sを加算してステップS2012から処理を繰り返し実行する(ステップS2032;No→ステップS2034→ステップS2012)。
【0090】
他方、ぼけパラメータσについて終了値まで処理が終了した場合には(ステップS2032;Yes)、画像解析処理を終了する。
【0091】
[3.4 最適ぼけパラメータ判定処理]
つづいて、最適ぼけパラメータ判定処理について説明する。最適ぼけパラメータ判定処理は、ぼけ判定テーブル536に基づき、最適となるぼけパラメータσの値を出力する処理である。
【0092】
ここで、最適ぼけパラメータを判定する方法としては、図21に示すように3通り想定される。すなわち、ぼけパラメータσの値を最小値から大きい値へ昇順に判定していく方法(図21(a))と、ぼけパラメータσの値を最大値から小さい値へ降順に判定していく方法(図21(b))とが考えられる。また、図21(c)に示すように、略中央値でまず判定し、そこから昇順方式を採用するか、降順方式を採用するかと組み合わせて判定することも可能である。
【0093】
ここで、基本となる昇順方式について図22を用いて、降順方式について図23を用いてそれぞれ説明する。なお、最適ぼけパラメータ判定処理において用いられている変数は以下の意味である。なお、既に用いられた変数と同じ変数は、同じ意味で用いられているものとする。
【0094】
num:特徴点以外の画素で所定の閾値以上の画素の許容数
σ:最適なぼけパラメータ
σ:UMnumがPnum以下の区間でMnumが最大となるぼけパラメータσ
max:Mnumの最大値
cur:現在のMnumの値
【0095】
[3.4.1 最適ぼけパラメータ判定処理(昇順方式)]
図22を用いて、最適ぼけパラメータ判定処理について、昇順方式について説明する。まず、ぼけパラメータσを初期値に設定する(ステップS3010)。続いて、BL[σ]を読み出し(ステップS3012)、BL[σ].UMnumがPnumを超えているか否かを判定する(ステップS3014)。
【0096】
ここで、Pnumを超えている場合には(ステップS3014;Yes)、ぼけパラメータσが終了値であるか否かを判定する(ステップS3016)。ここで、ぼけパラメータσが終了値ではない場合、ステップ数sを加算し、ステップS3012から処理を繰り返し実行する(ステップS3016;No→ステップS3018→ステップS3012)。
【0097】
他方、ステップS3016において、ぼけパラメータσがすでに終了値である場合には(ステップS3016;Yes)、σにσを代入し(ステップS3038)、σを最適ぼけパラメータとして出力して本処理を終了する(ステップS3040)。
【0098】
ステップS3014において、BL[σ].UMnumがPnum以下の場合、Mmaxに、BL[σ].Mnumを代入し、σにσを代入する(ステップS3020)。ここで、ぼけパラメータσが終了値である場合には、σにσを代入し(ステップS3038)、σを最適ぼけパラメータとして出力して本処理を終了する(ステップS3040)。
【0099】
ステップS3022において、ぼけパラメータσがまだ終了値で無い場合には(ステップS3022;No)、σにステップ数sを加算する(ステップS3024)。
【0100】
つづいて、BL[σ]を読み出し(ステップS3026)、McurにBL[σ].Mnumを代入する(ステップS3028)。
【0101】
ここで、BL[σ].UMnumがPnumを超えた場合には(ステップS3030;Yes)、ぼけパラメータσにσを代入し(ステップS3036)、当該σを最適ぼけパラメータとして出力する(ステップS3038→ステップS3040)。
【0102】
他方、ステップS3030において、BL[σ].UMnumがPnum以下である場合(ステップS3030;No)、McurがMmax以上であるか否かを判定する(ステップS3032)。ここで、McurがMmax以上の場合には、MmaxにMcurを、σにσをそれぞれ代入し、ステップS3022に戻る(ステップS3034→ステップS3022)。なお、McurがMmax未満の場合には、そのままステップS3022に戻る(ステップS3032;No→ステップS3022)。
【0103】
[3.4.2 最適ぼけパラメータ判定処理(降順方式)]
続いて、降順方式について説明する。降順方式は、図22の処理が、初期値からσをステップ数だけ加算して判定したのに対し、図23の処理は、初期値からσをステップ数だけ減算して判定する。なお、図22と同一の処理については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0104】
まず、ステップS3016において、ぼけパラメータσの値が終了値でない場合は、ぼけパラメータ値からステップ数sだけ減算する(ステップS3050)。これにより、σの値の最大値から小さい方向に判定することとなる。これは、ステップS3024に代えて、ステップS3052が実行されることも同様である。
【0105】
また、ステップS3030において、BL[σ].UMnumがPnum以下の場合(ステップS3030;No)、McurがMmaxより大きいか否かを判定する(ステップS3054)。ここで、McurがMmax以下の場合には(ステップS3054;No)、σを最適なぼけパラメータとして出力して処理を終了する(ステップS3054;No→ステップS3036→ステップS3038→ステップS3040)。
【0106】
他方、McurがMmaxより大きい場合には(ステップS3054;Yes)、MmaxにMcurを、σにσを代入し(ステップS3056)、ステップS3022から処理を繰り返し実行する。
【0107】
[3.4.3 最適ぼけパラメータ判定処理(組み合わせ方式)]
組み合わせ方式は、上述した昇順方式と降順方式を組み合わせる方式である。すなわち、σの中央値から開始する。ここで、開始する値としては、単純に中央値であってもよし、過去の予測から開始する値を決定しても良い。
【0108】
開始するσの位置がUMnum≦Pnumの条件を満たさない場合には昇順方式を適用し、UMnum≦Pnumの条件を満たす場合には降順方式を採用すれば良い。これにより、画像解析するσの値が多い場合には、短期間で最適なパラメータを検出することが出来るといった利点がある。
【0109】
[4.動作例]
続いて、本実施形態における動作例について説明する。まず、図24は、本実施形態を適用した場合における状態を模式的に説明する為の図であり、一例として6フレーム必要な場合について説明する。
【0110】
すなわち、まずフレームF10において原画像(フィルター処理前の画像)の情報が取得される。続いて、フレームF12において原画像の特徴点が抽出される。特徴点が抽出された後は、ぼけ判定パラメータσの値を可変させて、フレームF14〜F20まで段階的に出力されることとなる。そして、フレームF20が表示された段階で、最適なパラメータが判定され、フレームF22から最適と判定されたぼけ判定パラメータσが適用されて出力されることとなる。すなわち、フレームF14〜F20の画像が表示部60に順次表示されることになる。
【0111】
[4.1 第1動作例]
まず、図14に示したぼけ判定テーブル536を用いた場合について説明する。図14のぼけ判定テーブル536は、図16に示した特徴点抽出処理S1000及び画像解析処理S2000により作成されたテーブルである。また、以下の動作例はPnumは、画像のサイズ(縦×横)に、特徴点以外の画素で所定の閾値以上を許容する率を乗算した値を用いることとし、本実施形態では「100」として説明する。また、ステップ数sは「0.01」とする。
【0112】
[4.1.1 昇順方式による場合]
まず、初期値として、σ=0.19と設定する(図22のステップS3010)。σ=0.19のUMnum(47)とPnum(100)とを比較すると、ステップS3014の条件を満たさない(すなわち許容範囲内である)ため、ぼけパラメータσ=0.19、Mmax=280が代入される(図22のステップS3020)。
【0113】
つづいて、σ(0.19)は終了値ではないため、σ(0.20)となる(ステップS3024)。そして、σ=0.20のUMnum(98)とPnum(100)とを比較すると、ステップS3030の条件を満たさない(すなわち許容範囲である)ため、Mcur(350)と、Mmax(280)とを比較する(ステップS3032)。
【0114】
ここで、Mcur(350)≧Mmax(280)の条件を満たしているため(ステップS3032;Yes)、Mmaxに350が、σに0.20が代入される(ステップS3034)。
【0115】
次に、ぼけパラメータσは終了値ではないため(ステップS3022)、σ=0.21となる(ステップS3024)。次に、σ=0.21のUMnum(123)とPnum(100)とを比較すると、UMnumがPnumを超えた(すなわち、許容範囲外となった)ため(ステップS3030;Yes)、σの0.20がσとなる(ステップS3036〜ステップS3040)。すなわち、最適なぼけパラメータとして0.20が出力されることとなる。
【0116】
[4.1.2 降順方式による場合]
つづいて、降順方式による場合について説明する。まず、初期値としてσ=0.22を設定する(図23のステップS3010)。σ=0.22のUMnum(142)とPnum(100)とを比較すると、ステップS3014の条件を満たすこととなる(すなわち、許容範囲外である)。したがって、σ=0.21に更新される(ステップS3050)。
【0117】
次に、σ=0.21のUMnum(123)とPnum(100)とを比較すると、同様にステップS3014の条件を満たすため、σ=0.20に更新される。
【0118】
σ=0.20のUMnum(98)とPnum(100)とを比較すると、条件を満たさない(すなわち許容範囲内である)こととなるので、Mmaxに350、σ=0.20が代入される(ステップS3020)。
【0119】
次に、σは終了値(この場合はぼけ判定テーブルの先頭の値)ではないため、σ=0.19に更新される(ステップS3052)。ここで、σ=0.19のUMnum(47)は、Pnum(100)以下であるが、σ=0.19のMcur(280)>Mmax(350)の条件を満たさないため(ステップS3054;No)、σの値である0.20がσとなる(ステップS3036〜S3040)。すなわち、最適なぼけパラメータとして0.20が出力されることとなる。
【0120】
[4.1.3 組み合わせ方式による場合]
つづいて、組み合わせ方式について説明する。組み合わせ方式の場合、開始するσがσ=0.20の場合と、σ=0.21の場合について説明する。
【0121】
(a)σ=0.20の場合
σ=0.20の場合のUMnum(98)と、Pnum(100)とを比較すると、UMnumは許容範囲内にあるため,昇順方式を選択して処理が実行される。
【0122】
(b)σ=0.21の場合
σ=0.21の場合のUMnum(123)と、Pnum(100)とを比較すると、UMnumは許容範囲外にあるため、降順方式を選択して処理が実行される。
【0123】
このように、組み合わせ方式を用いることにより、より早い段階で最適なぼけパラメータσを判定することが出来るようになる。
【0124】
[4.2 第2動作例]
続いて、図25に示すぼけ判定テーブルにおける動作について説明する。図25に示す用に、UMnumに同じ値がある場合について、昇順方式を適用して説明する。
【0125】
まずσ=0.19のとき、UMnum(98)に対応するMnum(350)がMmaxとなる(図22のステップS3034)。そして、つづくσ=0.20において、UMnum(98)と、Pnum(100)との条件を満たしている。
【0126】
この場合、現在のMcur(360)と、記憶されているMmax(350)との値を比較すると、Mcurの方が大きい。従って、これにより新たなMcur(360)の値にて、Mmaxが更新される。
【0127】
なお、この次はσ=0.21であるが、UMnum>Pnumの条件に該当する(許容範囲にない)ため、最適なぼけパラメータσは0.20となる。すなわち、同じ値のUMnumがある場合には、Mnumが大きい方を最適なぼけパラメータσとして出力する。
【0128】
なお、図26に示す用に、更にMnumについても同じ値がある場合には、ぼけパラメータσの大きいものが最適なぼけパラメータσと判定され、出力される。
【0129】
[4.3 第3動作例]
続いて、図27に示すぼけ判定テーブルにおける動作について説明する。図27に示す用に、UMnumに同じ値がある場合について、降順方式を適用して説明する。
【0130】
まず、σ=0.20のとき、UMnum(98)に対応するMnum(360)がMmaxとなる(図23のステップS3020)。つづいて、σ=0.19のとき、Pnum(100)より小さい(ステップS3030;No)。
【0131】
ここで、σ=0.19のUMnum(361)>Mmax(360)の関係を満たすため、Mmaxは361、σは0.19に更新される(ステップS3056)。すなわち、同じ値のUMnumがある場合には、Mnumが大きい値のものが最適なぼけパラメータσと判定され、出力される。
【0132】
[5.効果]
このように、本実施形態によれば、処理画像のエッジ強度に対する処理を異なるパラメータを用いて行った処理後の画像に基づいて、処理前の画像の最小エッジ強度〜最大エッジ強度間の値である処理前閾値であるEth1と、処理前閾値以上の値をとる処理後閾値Eth2とを用いることにより、処理前画像における値が処理前閾値Eth1未満の座標について、処理後に処理後閾値Eth2以上のエッジ強度となった座標数が最小である変換後画像が出力されることになる。
【0133】
また、そのような変換後画像が複数ある場合には、その中から処理前画像における値が処理前閾値Eth1以上の座標について、処理後閾値Eth2のエッジ強度となった座標数が最大である変換後画像が出力されることになる。
【0134】
さらに、上述した変換後画像が複数ある場合には、ぼけパラメータσが最大である変換後画像が出力されることとなる。
【0135】
このように、本実施形態によれば、本来エッジを強調したくない箇所のエッジが強調されることが少なくなり、より自然の画像の仕上がりとなる処理を施すことができる。
【0136】
[6.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0137】
上述した実施形態においては、まずぼけ判定テーブルを総て生成してから、最後に最適なぼけパラメータを判定したが、σを変更する度に、最適ぼけパラメータ判定処理をその都度行うこととしても良い。
【0138】
具体的には、図28に示す用に、例えば、フレームF34の後に最適ぼけパラメータの判定(σ=0.19)、フレームF36の後に最適ぼけパラメータの判定(σ=0.19〜0.20)、フレームF38の後に最適ぼけパラメータの判定(σ=0.19〜0.21)と随時行っていく。
【0139】
そして、最適ぼけパラメータが判定された段階で、最適なぼけパラメータσを反映することとする。この場合、実施形態と比較して処理をその都度行う必要があるが、少ない時間(フレーム)にて、最適なぼけパラメータの判定を行うことが出来る。
【0140】
また、上述した実施形態において、例えば図26で示したようにUMnumのと、Mnumの値がともに同じ値の場合は、ぼけパラメータσの値が大きい方を最適なぼけパラメータとして判定したが、利用者により選択させることとしてもよい。すなわち、表示部60に、それぞれのパラメータの場合を出力し、利用者が視認してキーやタッチパネルの操作により最適なぼけパラメータを選択させることとする。図26の場合はσ=0.19とσ=0.20を選択させることとなる。
【0141】
また、上述した実施形態において、特徴点を抽出する方法としては総ての画素に基づいて算出したが、画像の一部を用いて処理を行っても良い。例えば、図29に示す用に、画像の一部を切り出して処理を行うこととしても良いし、図30に示す用に、画素を間引いて特徴点を求めることとしても良い。
【0142】
また、画像情報取得処理(図18)のステップS1126及びステップS1128において閾値Eth1、Eth2の求め方の一例を示したが、他の方法で算出することも可能であることは勿論である。
【0143】
例えば、Eth1=Emax−A、Eth2=Emax−Bとして求めることも可能である。ここで、Aは画像データ(原画像)の特徴点を決定するための減算値であり、Bはフィルタ処理後の画像に閾値判定をするための減算値である。また、AとBとは、A>Bの関係を満たしている。
【0144】
また、上述したぼけパラメータは、正規分布(ガウス分布)の標準偏差σに限らず、注目画素(u=0,v=0)で一番H(u,v)が大きく、その注目画素から離れる(|u|>0、|v|>0)ほどH(u,v)が小さくなるようなぼけ関数(ぼけ復元関数)を変更できるパラメータであればよい。
【0145】
例えば図31に示すような三角波H(u)=wsinc(wu)のwをぼけパラメータとしてもよい。但しH(u)は、一次元での関数であり、画像に適用するためには2次元H(u,v)の関数に拡張する必要がある。
【0146】
また、上述した実施形態においては、画像処理装置を携帯電話に適用した場合について説明したが、テレビ、カーナビゲーション、コンピュータ等の種々の表示装置に適用可能なことは勿論である。
【0147】
例えば、図32にコンピュータに接続される単純な表示装置9を例にとって説明する。表示装置9は、制御部900に、外部入力部910と、記憶部920と、映像信号処理部930と、表示部940とが接続されている。映像信号処理部930には、本発明を適用した最適ぼけ復元処理部54と、ガンマ補正部56とが含まれている。
【0148】
ここで、外部入力部910により入力された映像信号は、映像信号処理部930を介して表示部940に表示されることとなる。このとき、最適ぼけ復元処理部により、最適なぼけパラメータが判定され、当該ぼけパラメータが適用されたフィルタ処理が行われることにより、本来エッジを強調したくない箇所のエッジが強調されることが少なくなり、より自然な仕上がりとなる画像を表示することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 携帯電話
10 制御部
20 無線通信部
22 通信アンテナ
30 チューナ部
32 受信アンテナ
35 カメラ部
40 記憶部
42 画像データ格納領域
50 映像信号処理部
52 画像データ変換部
54 最適ぼけ復元処理部
510 復元処理部
512 復元フィルタ部
514 乗算器
516 加算器
520 エッジ強度取得部
522 エッジ検出フィルタ部
524 エッジ強度算出部
530 ぼけ判定部
532 解析部
534 特徴点記憶領域
536 ぼけ判定テーブル
56 ガンマ補正部
60 表示部
65 操作部
70 マイク部
75 スピーカ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元する復元処理部を備えた画像処理装置において、
入力画像の画素毎のエッジ強度を算出し、当該エッジ強度が処理前閾値を超えた点を特徴点、それ以外の点を非特徴点として抽出する画像解析部と、
前記ぼけパラメータの値を変化させることにより、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるようなぼけパラメータを判定するぼけパラメータ判定部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記パラメータ判定部は、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるぼけパラメータが複数ある場合には、当該複数のぼけパラメータの中から、前記特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最大となるぼけパラメータを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記パラメータ判定部は、前記特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最大となるぼけパラメータの値が複数ある場合には、ぼけパラメータの値が最大となるぼけパラメータを判定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元する画像処理方法において、
入力画像の画素毎のエッジ強度を算出し、当該エッジ強度が処理前閾値を超えた点を特徴点、それ以外の点を非特徴点として抽出し、
前記ぼけパラメータの値を変化させることにより、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるようなぼけパラメータを判定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、ぼけパラメータを用いた復元フィルタにより入力画像を復元する復元処理機能を実現させ、
入力画像の画素毎のエッジ強度を算出し、当該エッジ強度が処理前閾値を超えた点を特徴点、それ以外の点を非特徴点として抽出する画像解析機能と、
前記ぼけパラメータの値を変化させることにより、前記非特徴点の中で復元フィルタ処理後にエッジ強度が処理後閾値以上となる数が最小となるようなぼけパラメータを判定するぼけパラメータ判定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−141829(P2011−141829A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3147(P2010−3147)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】