説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラム

【課題】 画像処理装置と連携動作する外部装置を選択するにあたって、従来技術における問題を解決し、ユーザに煩雑な操作を強いることがない画像処理装置を提供する。
【解決手段】 画像処理装置は複数の外部装置とネットワークを介して通信可能で、認証されたユーザに対応する外部装置を、複数の外部装置の中から使用する外部装置として決定する。そして、読み取られた生成された画像データを前記決定された外部装置に送信し、当該外部装置において画像処理が行われた画像データを外部装置から受信すると、受信された画像データを用いて印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外部装置とネットワークを介して通信可能な画像処理装置、画像処理装置の制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像処理装置とPC等の外部装置が連携してコピー動作を行うことによって、画像処理装置単体ではできない拡張コピー機能を実現する技術がある。例えば、特許文献1の技術を用いて、拡張機能を画像処理装置ではなく外部装置側で実行させるように構成すれば、画像処理装置の構成を簡略化でき、その結果として安価な機器を提供する事が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−186677
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術において、画像処理装置が使用するPC等の外部装置は、あらかじめ画像処理装置に登録されている特定のPCやサーバであった。そのため、複数の画像処理装置がネットワークを介して接続され使用されるようなLANのような環境下では、次のような問題があった。即ち、複数の画像処理装置が特定の外部装置と連携処理するように設定されることが多く、その場合には設定された外部装置に負荷が集中することによりパフォーマンス低下の問題があった。また、設定された外部装置が電源OFFや故障などで使用できない場合に、連携処理に制約が生じるという問題があった。
【0005】
これに対して、画像処理装置が使用する外部装置を予め一台に特定しておくのではなく、複数台登録しておき、連携処理をユーザが使用するときにその都度ユーザに使用する外部装置を選択させるという方法が考えられる。しかしながらこの方法では、ユーザが連携処理を使用するときに、その都度使用する外部装置を選択しなければならず、操作が煩わしく、必ずしもユーザにとって使い易いものではない。
【0006】
本発明はこれらの問題に対してなされたものであり、画像処理装置と連携動作する外部装置を選択するにあたって、従来技術における問題を解決し、ユーザに煩雑な操作をさせることがない画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の画像処理装置は、複数の外部装置とネットワークを介して通信可能な画像処理装置であって、ユーザを認証する認証手段によって認証されたユーザに対応する外部装置を、前記複数の外部装置の中から使用する外部装置として決定する決定手段と、原稿を読み取り画像データを生成する読み取り手段と、前記生成された画像データを前記決定手段によって決定された外部装置に送信する送信手段と、前記送信手段によって送信された画像データであって、前記外部装置において画像処理が行われた画像データを、当該外部装置から受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された画像データを用いて印刷を行う印刷手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像処理装置と連携動作する外部装置を選択するにあたって、上記従来技術における問題を解決し、ユーザに煩雑な操作をさせることがない画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施例のシステム構成及び各装置の構成を示すブロック図である。
【図2】複写機100が備える操作部10の概観を示した図である。
【図3】LCD21に表示される画面例である。
【図4】LCD21に表示される画面例である。
【図5】本実施例における拡張コピー機能の使用例である。
【図6】複写機100において実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】複写機100において実行される処理を示すフローチャートである。
【図8】複写機100において実行される処理を示すフローチャートである。
【図9】外部装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】ユーザ情報データベースの内容を示す表である。
【図11】プロファイルデータベースの内容を示す表である
【図12】外部装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は第1実施例のシステム構成及び各装置の構成を示すブロック図である。各装置内の各ブロックは、本実施例の説明に必要なハードウェアモジュール、ソフトウェアモジュールを示しており、ブロック間の矢印はデータもしくは指示の流れを示している。
【0012】
図1において、100は画像処理装置としての複写機である。101はCPUであり、複写機100内にあるソフトウェアモジュールのプログラムを実行し、各ハードウェアモジュールを制御する。10は操作部であり、ユーザへの情報通知を行ない、ユーザ指示を複写機内の各ブロックに伝える動作を行う。170はスキャナ部であり、原稿の読み込みを行ない、画像データを生成し、生成した画像データを画像処理部140等の後段モジュールに出力する。140はスキャナ部170で生成された画像データの画像処理を行う画像処理部である。150はメモリであり、画像処理部140で処理された画像データおよびその属性の蓄積を行なう。160は外部IFであり、メモリ150に蓄積されている画像データおよびその属性の通信を外部装置と行う。180は画像データに基づいて印刷を行うプリント部であり、メモリ150に蓄積されている画像データの印刷を行う。その際に、必要があれば画像処理部140で印刷用の画像処理を行う。本実施例において複写機100のブロック図では、スキャナ部170およびプリント部180を複写機100の内部にある構成としたが、それぞれもしくは両方が外部にある構成でもよい。
【0013】
200は外部装置で、201はその外部装置のCPUであり、外部装置200内にあるソフトウェアモジュールのプログラムを実行し、各ハードウェアモジュールを制御する。202は外部IFであり、他の外部装置および複写機100と通信を行う。203はメモリであり、外部IF202を介して入力されたデータの蓄積や外部IF202を介して送信するデータの一時格納を行う。210は画像処理アプリケーションであり、220のプロファイルDBの設定に応じた画像処理や、プロファイルデータの管理を行う。画像処理を行ったデータは外部IF202を介して複写機100へ送信される。220はプロファイルDB(DataBase/データベース)であり、ユーザ毎にどのような画像処理を行うかを示すプロファイルデータが格納されている。プロファイルデータの詳細については後述する。尚、画像処理アプリケーション210はソフトウェアモジュールであり、実際には外部装置200にインストールされ、メモリ203に格納されている。また、プロファイルDB220によって示されるデータも、実際にはメモリ203に格納されている。図1では説明上、それぞれハードウェアモジュールと並べて図示している。
【0014】
300および400も外部装置であり、内部構成は外部装置200と同様である。本実施例において外部装置200はサーバを示しており、外部装置300および外部装置400は一般ユーザのPCである。
【0015】
本実施例のシステムは、これらの複写機100及び外部装置200,300,400がLAN等のネットワーク500を介して互いに通信可能に接続されている。尚、ネットワーク500上には、図示していないその他の装置が接続されていてもよいことは言うまでもない。
【0016】
図2は複写機100が備える操作部10の概観を示した図である。11〜14はそれぞれ「コピー」「拡張コピー」「ファックス」「スキャン」各機能のファンクションキーである。これらを押下する事で、その機能の基本画面がLCD21に表示される。選択されている機能は、ファンクションキーが点灯することによってユーザが認識できるようになっている。図2の例では「拡張コピー」キーが選択されている事を示している。「コピー」機能とは、スキャナ170によって生成された画像データに、画像処理部140において必要な画像処理を行い、プリンタ部180で印刷する機能である。「拡張コピー」機能とは、スキャナ170によって生成された画像データを外部装置に送信し、外部装置の画像処理アプリケーションにおいて画像処理されたデータを受信し、プリンタ部180で印刷する機能である。即ち、拡張コピー機能とは、複写機100単体でコピー処理を実行するのではなく、外部装置と連携動作することによってコピー処理を実行する機能である。この機能を備えることにより、本実施例の複写機100は、複写機100の画像処理部140では行えない画像処理を、外部装置の画像処理アプリケーションを利用して行うことが可能となる。画像処理部140では行えない画像処理の例として、後述するナンバリングの画像処理や透かし合成の画像処理が考えられるが、それ以外の画像処理であっても構わない。「ファックス」機能、「スキャナ」機能の説明は省略する。15は認証キーであり、ユーザのログイン/ログアウト時の操作で使用する。16はOKキーであり、LCD上に表示された項目の中からユーザが所望の項目を選択する際に使用する。17から20は上下左右の矢印キーであり、LCD上で選択する項目を移動する際に使用する。21はLCDであり、操作画面表示を行う。22は白黒のスタートキーであり、押下可能な状態ではスタートキーが点灯する。同様に23はカラーのスタートキーであり、押下可能な状態ではスタートキーが点灯する。24はストップキーであり、実行中のジョブを停止する際にユーザが押下する。
【0017】
図3を用いて、LCD21に表示される画面例を説明する。図3(A)は、「コピー」キー11が押下された際にLCD21に表示される画面500である。500はコピーの基本画面で5行から構成され、最初の1行目に現在の状態を表示する。2行目は複写倍率と選択されている給紙段情報を表示する。1行目と2行目の右端に大きく数字でコピー部数を表示する。3行目から5行目はコピージョブに指定可能な動作モード項目502を表示する。表示しきれない場合は、501スクロールバーを右端に表示する。
【0018】
図3(B)は、「拡張コピー」キー12が押下された際にLCD21に表示される画面510である。図3(B)の例は、拡張コピーを行う際に連携処理を行う対象となる外部装置として、一般ユーザのPCである外部装置300又は外部装置400が選択されている場合を示す。その場合、画面上には、PC接続アイコン511が表示されており、ユーザは、連携対象として使用する外部装置が、一般ユーザのPCであることを認識できる。図3(C)は、「拡張コピー」キー12が押下された際にLCD21に表示される画面520である。図3(C)の例は、拡張コピーを行う際に連携処理を行う対象となる外部装置として、サーバである外部装置200が選択されている場合を示す。その場合、画面上には、サーバ接続アイコン521が表示されており、ユーザは、連携対象として使用する外部装置が、サーバであることを認識できる。
【0019】
図3(D)はLCD21に表示される認証画面550である。複写機100においてユーザ認証機能が有効な設定である場合、この画面が表示され、ユーザにログイン処理(ユーザIDと暗証番号の入力)を促す。ユーザは、画面上の選択項目をユーザID551に合わせて、テンキーによってユーザIDを入力し、暗証番号552に合わせて、テンキーによって暗証番号を入力した後、認証ボタン15を押下する。認証に成功しログインが完了すると、コピー機能や拡張コピー機能を使用する場合は図3(A)、図3(B)、図3(C)いずれかの画面が表示されることになる。尚、本実施例では図3(D)の画面により、ユーザが操作部を操作することによりユーザIDと暗証番号を入力したが、非接触のICカード等、その他の方法によってこれらの情報を入力して、ユーザ認証を行うようにしてもよい。
【0020】
図4は拡張コピー機能が選択されたものの、外部装置200,300,400いずれも使用できない場合にLCD21に表示される画面である。この画面においてOKキー16を押下すると、通常コピー11が選択された状態に遷移する。
【0021】
次に、図5を用いて、本実施例における拡張コピー機能の使用例を説明する。図5(A)は、コピーを行う原稿の一例である。この原稿をコピーすると、原稿の複写物が得られる。図5(B)は図5(A)の原稿を拡張コピーした際の一例である。590の部分にユーザIDとコピー部数がナンバリングされている点が図5(A)と異なる。このナンバリングの画像処理を、外部装置200(又は外部装置300、400)が備える画像処理アプリケーションによって行う。図5(C)は図5(A)の原稿を拡張コピーした際の他の一例である。591の部分に透かしが合成される。透かし(電子透かし)とは、画像の中に画質にはほとんど影響を与えずに特定の情報を書き込む技術である。透かしデータが合成された画像などのデータは、一見すると元のデータと変わりないように見えるが、専用の電子透かし検出ソフトに読込ませると、作者名やコピー回数などの埋め込まれた情報が表示される。この透かし合成の画像処理を外部装置200(又は外部装置300、400)が備える画像処理アプリケーションによって行う。このように、複写機100の画像処理部140の機能にナンバリングや透かし合成の機能がなかったとしても、拡張コピー機能を使って外部装置の画像処理アプリケーションにこれらの画像処理を施すことが可能となる。尚、拡張コピー機能によって連携先となる外部装置で実行する画像処理の内容は、これら以外のものであっても構わない。
【0022】
図6は複写機100において、ユーザのログイン処理の際に実行される処理を示すフローチャートである。図6の各ステップは、複写機100のメモリ150に記憶されたプログラムをCPU101が実行することによって処理される。
【0023】
まず、S1001において、複写機100は、ユーザのログイン処理を受け付ける。具体的には、図3(D)に示した画面においてユーザがテンキーを使って入力したユーザIDと暗証番号を受信する。S1002において、複写機100は、受信したユーザIDと暗証番号を、ユーザ情報データベースに登録されているユーザID/暗証番号と比較することによってユーザ認証の処理を行う。図10は、複写機100のメモリ150に保持されるユーザ情報データベースの一例である。S1002において複写機100は、受信したユーザIDと暗証番号の組み合わせが、ユーザ情報データベースに登録されていれば複写機100へのログインを許可し、S1003へ進む。一方、登録されていなければその旨をLCD21に表示し、再びログイン待ち状態へと戻る。S1003において、複写機100はユーザによる「拡張コピー」キー12の選択を受け付け、拡張コピー機能を選択する。尚、以下のステップS1004以降は、S1003において拡張コピー機能が選択されたことに応じて実行される処理である。従ってその他の機能(「コピー」や「ファックス」等)が選択された場合にはS1004以降の処理が行われることなく、それらの機能に応じた画面が表示されることになる。
【0024】
S1004において、複写機100は、S1001において受信したユーザID(又はユーザIDと暗証番号)を用いてユーザ情報データベースを検索する。そしてS1005において、ユーザ情報データベースの中から検索されたレコードを参照し、そのユーザIDに対して外部装置情報が関連付けて登録されているか否かを判断する。図10の例では、ユーザID「10153」と「32229」それぞれに対して、外部装置情報「P2007−A300.cano.co.jp」「P2009−A458.cano.co.jp」が関連付けて登録されている。従ってS1001において受信したユーザIDが「10153」「32229」のいずれかであった場合には、外部装置情報が登録されていると判断され、S1006へ進む。一方、図10の例においてユーザID「Admin」と「45734」には、外部装置情報が関連付けて登録されていない。従ってS1001において受信したユーザIDが「Admin」「45734」のいずれかであった場合には、外部装置情報が登録されていないと判断され、S1009へと進むことになる。
【0025】
S1006において、複写機100は、拡張コピー機能において使用する外部装置を、S1004において検索された外部装置情報が示す外部装置に決定する。そしてS1007において複写機100は、S1006において決定した外部装置と、当該外部装置の外部装置情報を使って通信を行う。図10の例では、外部装置情報としてホスト名(ドメイン名)が登録されているため、このホスト名に対するIPアドレスをDNSサーバから取得し、取得したIPアドレスを使って当該外部装置と通信する。尚、外部装置情報として登録される情報は、外部装置と通信を行うために使用される情報であり、ホスト名に限らない。IPアドレスやMACアドレスなどの、その他の情報であっても構わない。S1008において、複写機100は、S1007で行った外部装置との通信が成功したか否かを判断する。通信エラーであった場合には、その外部装置が故障している又は電源がOFFである等の理由から、現在その外部装置が使用できないということであり、その場合にはS1009へと進む。一方、通信が成功したと判断された場合には、S1012へと進む。S1012において複写機100は、前述の図3(B)のような、PC接続アイコン511を用いた拡張コピーの画面を表示する。この画面により、ユーザは、自分のユーザIDに対応付けて登録されている外部装置(通常、自分が使用しているPC)が連携対象の外部装置として選択されたことを簡単に知ることができる。
【0026】
S1005において外部装置情報が登録されていないと判断された場合、又はS1008において外部装置と通信が出来なかった場合、S1009へと進む。S1009において複写機100は、拡張コピー機能において使用する外部装置を、複写機100にデフォルト登録されている外部装置に決定する。具体的には、ユーザ情報データベースを参照し、ユーザIDが「Default」のレコードに対応付けられた外部装置情報を参照する。図10の例では、ユーザID「Default」には、外部装置情報「P2008−Server01.cano.co.jp」が対応付けられている。そしてS1010において、複写機100は、S1009において決定した外部装置と、当該外部装置の外部装置情報を使って通信を行う。通信の方法の一例は前述したとおりである。S1011において、複写機100は、S1010で行った外部装置との通信が成功したか否かを判断する。通信エラーであった場合には、その外部装置が故障している又は電源がOFFである等の理由から、現在その外部装置が使用できないということであり、その場合にはS1014へと進む。一方、通信が成功したと判断された場合には、S1013へと進む。S1013において複写機100は、前述の図3(C)のような、サーバ接続アイコン521を用いた拡張コピーの画面を表示する。この画面により、ユーザは、サーバが連携対象の外部装置として選択されたことを簡単に知ることができる。一方、S1014において、複写機100は、LCD21に図4の画面を表示し、連携対象となる外部装置が存在しないために拡張コピー機能が利用できない旨をユーザに通知する。
【0027】
以上が複写機100におけるユーザログイン時の処理フローである。このように本実施例では、ログインユーザに対応する外部装置(例えばそのユーザが通常使用しているPC)を予め複写機100に登録しておけば、ユーザはログインを行うだけで自動的にその外部装置が拡張コピー機能使用時に使う外部装置として選択される。従ってユーザが拡張コピー機能を使用する度に毎回外部装置を手動で選択するといった手間を省くことができる。また、各ユーザIDに対して異なる外部装置を関連付けて登録しておくことができるため、一台の外部装置に拡張コピー機能使用時の負荷が集中することも防げる。更に、もしユーザIDに対応付けて登録された外部装置が故障や電源OFFで使用できない場合には、デフォルトの外部装置(例えばサーバ)が選択されるので、拡張コピー機能が使えないという状況をより減らすことができる。
【0028】
尚、図6の例では、S1004以降の処理が、拡張コピー機能が選択されたことに応じて実行される処理として説明したが、S1004以降の処理はユーザのログイン処理に応じて必ず実行される処理としてもよい。その場合、S1012,1013,1014において画面は表示することなく、表示用のデータを生成しておき、その後、ユーザが拡張コピー機能を選択することに応じて、当該生成しておいた画面を表示することになる。また、図6の例では、ユーザIDと暗証番号を用いたユーザ認証の処理を、複写機100において実行していたが、ユーザ認証の処理は外部のサーバ等の装置が行ってもよい。即ち、複写機100は、入力されたユーザIDと暗証番号を所定の外部の認証サーバに送信し、認証サーバにおけるユーザ認証処理の結果を受信するようにする。そして、その結果に応じてログインの許可、禁止を切り替えるようにしてもよい。
【0029】
図7は複写機100において、拡張コピー機能が選択され、スタートキー(22又は23)が押下された際に実行される処理を示すフローチャートである。図7の各ステップは、複写機100のメモリ150に記憶されたプログラムをCPU101が実行することによって処理される。
【0030】
まず、S1101において複写機100は、スキャナ170によってコピーする原稿を読み取る。次にS1102で、読み取った原稿から生成された画像データを、メモリ150に蓄積する。ここでは必要に応じて画像処理部140を用いた画像処理が行われる。そしてS1103において複写機100は、図6のフローチャートで決定した外部装置へ、外部IF160を通してメモリ150に蓄積されている画像データを送信する。なお、送信する画像データには付加情報としてユーザIDをつける。また、後述するように、必要に応じてプロファイル番号を送信する。次にS1104へ進み、次ページの画像データがあるか否かを判断する。次ページの画像データがある場合はS1101へ戻り、無い場合はこのフローチャートを抜ける。なお、図7の例ではS1104の処理をS1103と直列的に示した、即ち読み取りと送信をシーケンシャルに実行するようにしたが、S1103とS1104を並行処理してもよい。また、1ページ毎に読み取りと送信を繰り返すようにしたが、全ページを読み取って画像データを生成し、メモリに格納した後、まとめて外部装置へ送信するようにしてもよい。
【0031】
図8は、複写機100において外部装置から送られたデータを受信した際に実行される処理を示すフローチャートである。図8の各ステップは、複写機100のメモリ150に記憶されたプログラムをCPU101が実行することによって処理される。
【0032】
まず、S1201において複写機100は外部装置から送信されたデータを受信する。S1202では、複写機100は、受信したデータが印刷を行うべき画像データであるか否かを判断する。画像データであると判断された場合にはS1203へ進み、受信した画像データをメモリ150へ格納する。S1204において複写機100は、メモリ150に格納された画像データに対して、必要に応じて画像処理部140で画像処理を行い、プリンタ部180で印刷処理を実行する。その後は、再びS1201へと戻り、次のデータを受信する状態になる。
【0033】
受信したデータが画像データではない場合、S1205に進む。S1205において複写機100は、受信したデータがプロファイルデータであるか否かを判断する。プロファイルデータとは、ユーザIDに関連付けられた画像処理設定とパラメータから構成されるデータであり、外部装置のプロファイルデータベースに登録されている。外部装置の画像処理アプリケーションは、プロファイルデータベースに登録されているプロファイルデータに従って画像処理を実行する。つまり、ユーザは予めプロファイルデータベースにプロファイルデータを登録しておけば、拡張コピー機能を使用する際、複写機100において所望のプロファイルを選択するだけで、外部装置に所望の画像処理を実行させることができるようになる。後述するが、外部装置は、プロファイルデータがプロファイルデータベースに登録されるとそのプロファイルデータを複写機100へ送信する。S1205では、こうして外部装置から送信されたプロファイルデータを受信したか否かを判断する。プロファイルデータを受信したと判断した場合、S1206へ進み、複写機100は、受信したプロファイルデータを、ユーザ情報データベースのユーザID「Default」に対応付けて登録されている外部装置200(サーバ)に転送する。これは、図6でも説明したように、ユーザIDに対応付けられた外部装置が使用できない場合、デフォルトで登録された外部装置200(サーバ)を用いて拡張コピーを行うために、サーバ装置にもプロファイルデータが登録されている必要があるからである。図11は、外部装置200(サーバ)のプロファイルデータベース220に登録されているデータの例である。図11の例では、3つのプロファイルが登録されており、それぞれユーザID「10153」「32229」「45734」に対応付けられている。この場合、もし複写機100から外部装置200へ、画像データとユーザID「10153」が送られた場合、外部装置200の画像処理アプリケーション210は、画像データに対して、ユーザIDと部数をナンバリングする画像処理を行うことになる。図11の例では、1つのユーザIDに対して1つのプロファイル(画像処理設定、パラメータ)のみが登録されているが、1つのユーザIDに対して複数のプロファイルを登録することも可能である。その場合、ユーザIDのほかにプロファイル番号を関連付けてこれらを区別すればよい。また、その場合ユーザは複写機100において拡張コピーを実行する際に、LCD21に表示されたプロファイル一覧の中から所望のプロファイルを選択する。そして複写機100は、画像データと共に、ユーザIDと、選択されたプロファイル番号を外部装置に送信することになる。S1206の処理の後は、再びS1201へと戻り、次のデータを受信する状態になる。
【0034】
受信したデータが画像データでもプロファイルデータでもない場合、S1207へと進む。S1207において複写機100は、受信したデータがユーザ情報であるか否かを判断する。ユーザ情報とは、図10に示すユーザ情報データベースに登録されるデータであり、ユーザID、暗証番号、外部装置情報を含んでいる。S1208において複写機100は、受信したユーザ情報をメモリ150に格納されたユーザ情報データベースに登録する。その後は、再びS1201へと戻り、次のデータを受信する状態になる。尚、受信したデータがその他のデータであった場合(S1207でNO)には、受信したデータに応じた所定の処理がされるが、本実施例ではその処理についての説明は省略している。
【0035】
図7、8で説明したように、本実施例の複写機100は、スキャナ部で読み取られた原稿から生成した画像データを外部装置に送信し、外部装置において画像処理された画像データを受信し、受信した画像データをプリンタ部において印刷する。
【0036】
図9は、外部装置において実行される処理を示すフローチャートである。図9のフローチャートは、外部装置のなかでもユーザ用のPCである外部装置300や400において実行される処理を示しており、以下の説明では、外部装置300を例に説明する。図9の各ステップは、外部装置300のメモリ303に記憶されたプログラムをCPU301が実行することによって処理される。
【0037】
まずS1301では、何らかのイベントが発生するのを待つ。イベントが発生するとS1302へと進み、発生したイベントが複写機100から送信された画像データの受信であるかどうかを判断する。画像データの受信である場合にはS1303へと進み、そうでない場合にはS1307へと進む。
【0038】
S1303において、外部装置300は、画像データに付加されて複写機100から送信されたユーザIDに基づいてプロファイルDB320を検索する。そしてS1304においてプロファイルが登録されているか判断する。判断の結果、ユーザIDに対応するプロファイル(画像処理設定、パラメータ)が1つだけであった場合には、S1305において、画像処理アプリケーション310は、特定されたプロファイルに従った画像処理を実行する。同じユーザIDに対して複数のプロファイルが登録されていた場合には、複写機100から送信されたプロファイル番号に基づいてプロファイルを選択し、画像処理アプリケーション310は、選択されたプロファイルに従った画像処理を実行する。S1306において、外部装置300は、画像処理を行った画像データを、複写機100に送信する。一方、S1304の判断において、プロファイルが登録されていないと判断された場合には、S1306において、画像処理を行っていない画像データを複写機100に送信する。
【0039】
S1307において外部装置300は、イベントの内容がユーザによるプロファイルデータの登録指示であるかどうかを判断する。プロファイルデータの登録指示があった場合には、S1308へ進み、入力されたプロファイルデータをプロファイルDB320へ登録する。そしてS1309において、外部装置300は、S1308で登録したプロファイルデータとユーザID、さらに、プロファイルが複数ある場合にはプロファイル番号を、複写機100へ送信する。前述したように、複写機100は、外部装置300から受信したプロファイルデータを外部装置200(サーバ)へ送信するので、S1308で登録したプロファイルデータは外部装置200(サーバ)にも登録されることになる。
【0040】
以上説明したように、画像処理アプリケーションを備える外部装置は、複写機100と連携動作することによって拡張コピー機能を実現する。具体的には、複写機100から指定されたプロファイルに従って画像データに画像処理を施し、画像処理後の画像データを複写機100へ返信する。
【0041】
尚、図9の例では、外部装置300へ登録されたプロファイルデータを複写機100を経由してサーバに送信しているが、予めサーバのアドレスを外部装置300がわかれば、直接サーバへ送信するようにしてもよい。
【0042】
また、図9は、ユーザ用のPCである外部装置300の動作について説明したが、サーバである外部装置200は、S1307、S1308、S1309を備えていない点で、外部装置300と異なる。その代わりサーバは、複写機100からプロファイルデータを受信するステップと、受信したプロファイルデータをサーバ内のプロファイルDB220へ登録するステップを実行する。その他の処理(S1301〜S1306)は、外部装置300と同様である。
【0043】
図12は、外部装置において実行される処理を示すフローチャートである。図12のフローチャートは、外部装置のなかでもユーザ用のPCである外部装置300や400において実行される処理を示しており、以下の説明では、外部装置300を例に説明する。図12の各ステップは、外部装置300のメモリ303に記憶されたプログラムをCPU301が実行することによって処理される。
【0044】
図12のステップは、画像処理アプリケーション310が外部装置300にインストールされた際に実行される。まずS1401において、ユーザのID情報を取得する。次にS1402においてそのユーザIDに対応する暗証番号を取得する。これらは外部装置300上のOS(オペレーティングシステム)から取得できなければ、ユーザに入力させてもよい。次にS1403において、外部装置300の外部装置情報を取得する。これはホスト名やIPアドレス等の情報である。これらを取得すると、S1404において、ユーザID,暗証番号、外部装置情報を複写機100に送信する。その結果、複写機100のユーザ情報データベースに必要な情報が登録される。
【0045】
尚、本実施例は、様々な変形が可能である。例えば、一般ユーザ用のPCとしての外部装置300、400に、サーバとしての外部装置200の機能を持たせてもよい。即ち、ある外部装置に登録されたプロファイルデータをサーバに登録するだけでなく、その他の外部装置にも登録するようにしてもよい。つまり図10の例では、「P2007−A300.cano.co.jp」「P2009−A458.cano.co.jp」「P2008−Server01.cano.co.jp」が、すべて同じプロファイルデータベースを共有しているようになる。これにより、入力されたユーザIDに対応する外部装置がなかったり、使用できない場合に、デフォルトの外部装置(サーバ)を選択するだけでなく、他の外部装置を選択することが可能になる。
【0046】
また、本実施例では、画像処理装置の一例として複写機としたが、複合機やファクシミリ等であっても構わない。また、外部装置の例としてPCやサーバとしたが、外部装置として複写機、複合機、ファクシミリ等の画像処理装置を用いても構わない。即ち、特定の画像処理を実行できない複写機と、その画像処理を実行できる複写機が連携することによって、本実施例で説明した処理を行うようにしてもよい。
【0047】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がコンピュータプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0048】
100 複写機
101 CPU
110 操作部
140 画像処理部
170 スキャナ
180 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外部装置とネットワークを介して通信可能な画像処理装置であって、
ユーザを認証する認証手段によって認証されたユーザに対応する外部装置を、前記複数の外部装置の中から使用する外部装置として決定する決定手段と、
原稿を読み取り画像データを生成する読み取り手段と、
前記生成された画像データを前記決定手段によって決定された外部装置に送信する送信手段と、
前記送信手段によって送信された画像データであって、前記外部装置において画像処理が行われた画像データを、当該外部装置から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された画像データを用いて印刷を行う印刷手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
ユーザを特定するためのユーザ情報と、外部装置を特定する外部装置情報とを関連付けて登録する登録手段を更に有し、
前記決定手段は、認証されたユーザのユーザ情報に関連付けて登録されている外部装置を、使用する外部装置として決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
認証されたユーザのユーザ情報に関連付けて外部装置が登録されていない場合、又は前記決定手段によって決定された外部装置が使用できない場合、前記決定手段は、前記画像処理装置に予め登録された特定の外部装置を、使用する外部装置として決定することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段においてユーザに対応する外部装置が使用する外部装置として決定されたか、予め登録された前記特定の外部装置が使用する外部装置として決定されたかを、ユーザが認識できるように表示する表示手段を更に有することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の外部装置は少なくとも1つ以上のユーザ用のPCを含み、前記画像処理装置に予め登録された特定の外部装置はサーバであることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記画像データと当該画像データに行うべき画像処理の内容を示すプロファイルデータを特定するための情報とを、前記決定手段によって決定された外部装置に送信することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記複数の外部装置の何れかから、画像データに行うべき画像処理の内容を示すプロファイルデータを受信した際に、前記画像処理装置に予め登録された特定の外部装置に当該プロファイルデータを転送する転送手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載に画像処理装置。
【請求項8】
複数の外部装置とネットワークを介して通信可能な画像処理装置の制御方法であって、
ユーザを認証する認証処理によって認証されたユーザに対応する外部装置を、前記複数の外部装置の中から使用する外部装置として決定する決定ステップと、
原稿を読み取り画像データを生成する読み取りステップと、
前記生成された画像データを前記決定ステップによって決定された外部装置に送信する送信ステップと、
前記送信ステップによって送信された画像データであって、前記外部装置において画像処理が行われた画像データを、当該外部装置から受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信された画像データを用いて印刷を行う印刷ステップと、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
複数の外部装置とネットワークを介して通信可能な画像処理装置に以下のステップを実行させるためのコンピュータプログラムであって、
ユーザを認証する認証処理によって認証されたユーザに対応する外部装置を、前記複数の外部装置の中から使用する外部装置として決定する決定ステップと、
原稿を読み取り画像データを生成する読み取りステップと、
前記生成された画像データを前記決定ステップによって決定された外部装置に送信する送信ステップと、
前記送信ステップによって送信された画像データであって、前記外部装置において画像処理が行われた画像データを、当該外部装置から受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信された画像データを用いて印刷を行う印刷ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−119942(P2011−119942A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274956(P2009−274956)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】