説明

画像処理装置、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】換算を用いた中間調処理の濃度補正精度を向上させる。
【解決手段】画像処理部20には、濃度補正調整部33が設けられており、濃度補正調整部33は、濃度補正処理部30による濃度補正処理に対する調整が指示されると、濃度補正処理部30が換算にて出力補正値を算出するのに使用する換算値テーブルの見直しを行って、濃度補正処理を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の濃度補正を行う画像処理装置に関し、より詳細には、複数の中間調処理を有し、濃度補正を行いたい中間調処理のうちの1つの中間調処理に対してのみ実測による濃度補正を行い、その他の中間調処理に対しては、実測により濃度補正した中間調処理の補正結果からの換算により濃度補正を行う画像処理装置、当該画像処理装置を備えた画像形成装置、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナル・コンピュータ(以下、PCと称する)には、75〜100dpi(Dot Per Inch)程度の解像度の表示装置が一般的に使用されている。これに対して、画像形成装置の解像度は、電子写真式のプリンタで600〜2400dpi、インクジェット式のプリンタで360〜2880dpi程度であり、画像形成装置のほうがPC用の表示装置よりも高解像度となっている。
【0003】
一方、階調性については、PC用の表示装置はRGBそれぞれに256階調であるのに対して、画像形成装置は2階調のものが一般的に利用され、多いものでも64階調程度である。また、64階調程の画像形成装置であっても、印刷画像の低濃度部分や高濃度部分では、階調が適正に表現されないことが多い。
【0004】
このように、PC用の表示装置で表示されるデジタル画像と、当該デジタル画像を印刷する画像形成装置との間には、解像度や階調性などに大きな差がある。
【0005】
このため、デジタル画像の印刷時には、階調性の差を吸収するために、画像形成装置においてディザ法や誤差拡散法などの中間調処理(或いは、階調再現処理や量子化手段とも呼ばれる)が実行される。これらの中間調処理は、解像度と引き換えに階調性を得る、或いは、階調性と引き換えに解像度を得るという特性を有しており、画像形成装置は、印刷するデジタル画像の種類に応じて複数の中間調処理を使い分けている。
【0006】
例えば、文字を印刷する場合には、階調性の再現よりも解像度の再現を重視した中間調処理が実行される。一方、写真を印刷する場合には、解像度の再現よりも階調性の再現を重視した中間調処理が実行される。このとき、中間調処理の種類や設定によって、再現される濃度特性の形状(曲線)が異なることが知られている。
【0007】
図10は、各種中間調処理の濃度特性を示すグラフである。図10に示されるように、各中間調処理の濃度特性は、中間調処理ごとに異なっており、誤差拡散や高線数ディザ等の高解像度を実現する中間調処理は、画像形成装置自体の濃度特性の近い濃度特性を示す。これに対し、低線数ディザ等の低解像度な中間調処理は、直線(理想)に近い濃度特性を示す傾向がある。また、このような中間調処理の濃度特性を示す曲線は、温度、湿度などの環境、使用状態などにより経時的に変動する。
【0008】
このため、複数の中間調処理を実施できる機能を備えた画像形成装置では、中間調処理間の印字濃度や色調を一定に保つために、プロセス・コントロールが実施され、各中間調処理に対して濃度補正が実施される。プロセス・コントロールは、ユーザの利便性と画質の安定化とを両立させるために実施される画質調整であり、電源投入時や、経時変化や環境変化が検知されたとき、或いは所定の印刷枚数に到達したタイミングなどに実施される。
【0009】
濃度補正の技術に関して、特許文献1には、複数の中間調処理を有する構成において、補正を行いたい全ての中間調処理に対して、トナーパッチを作成してパッチ濃度を実測して濃度補正を行う手法が開示されている。
【0010】
ところが、特許文献1の濃度補正方法では、毎回補正を行いたい全ての中間調処理に対してパッチ濃度の実測を行うため、消費される資材(トナー、インクなど)に要するコストの問題、並びに、所要時間が長くかかるという問題があった。
【0011】
一方、特許文献2には、複数の中間調処理のうちの1つを基準の中間調処理に決めておき、基準の中間調処理に対してのみパッチ濃度を実測して濃度補正を行い、他の中間調処理に対しては、基準の中間調処理の出力補正値(補正結果)からの換算によって濃度補正を行う濃度補正方法が提案されている。
【0012】
特許文献2によれば、基準の中間調処理に対してのみパッチ濃度の実測が行われて出力補正値が求められ、基準以外の中間調処理に対しては基準の中間調処理の出力補正値からの換算が行われるだけであるため、特許文献1の上記した問題を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−374416号公報(2002年12月26日公開)
【特許文献2】特開2005−144883号公報(2005年6月9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献2の濃度補正方法では、基準の中間調処理の出力補正値からの換算によって濃度補正を行うにあたり、換算値を見直すことができるようには設計されておらず、換算値は固定されている。
【0015】
このため、換算値を用いて濃度補正を行う中間調処理については、経時的な濃度特性の変動が生じた場合や、異常が指摘された場合に対処することができない。
【0016】
また、換算値は、装置間の個体差を考慮すると、装置毎に設定されることが望ましいが、コスト面から、同一機種の装置においては、実測に基づいて作成された共通の換算値が設定されることがある。換算値が固定されていると、このような装置間の個体差に対処することもできない。
【0017】
本願発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、濃度補正が行われた基準の中間調処理の出力補正値を基に、換算によって濃度補正される他の中間調処理に対して、換算値や換算式の見直しを可能な構成とすることにより、換算を用いた濃度補正でありながら、濃度補正精度の高い画像処理装置、当該画像処理装置を備えた画像形成装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る画像処理装置は、上記課題を解決するために、複数の中間調処理を有し、複数の中間調処理に対して濃度補正処理を行う濃度補正処理手段を備えた画像処理装置において、上記濃度補正処理手段は、複数の中間調処理のうちの基準となる基準中間調処理の出力補正値を、当該中間調処理によるパッチパターンの形成を指示し、形成されたパッチパターンの各パッチ濃度の測定結果を用いて求める一方、基準中間調処理以外の中間調処理の出力補正値については、各々の中間調処理毎に設定された換算パラメータを用いて、基準中間調処理の出力補正値より換算することで求めるようになっており、上記濃度補正処理手段による濃度補正処理に対する調整指示を受け付け、上記濃度補正処理手段が使用する換算パラメータの見直しを行って濃度補正処理の調整を行う濃度補正調整手段を有することを特徴としている。
【0019】
上記構成によれば、濃度補正調整手段が、補正処理手段による濃度補正処理に対する調整指示を受け付け、濃度補正処理手段が使用する換算パラメータの見直しを行って濃度補正処理の調整を行うようになっている。
【0020】
これにより、換算パラメータを用いる中間調処理に対しても、経時的な濃度特性の変動や、装置間の個体差等に応じて換算パラメータを適正に見直すことが可能となり、換算パラメータを用いた濃度補正処理であっても、濃度補正精度の向上が図れる。
【0021】
それゆえ、従来の換算値や換算式(換算パラメータ)の書き換えが行えず、固定された換算パラメータを用いて濃度補正処理を行う構成に比べて、換算を用いた濃度補正処理でありながら、濃度補正精度の高い画像処理装置を実現することができる。
【0022】
本発明に係る画像処理装置においては、さらに、上記濃度補正調整手段は、複数ある中間調処理のうちの基準中間調処理以外の中間調処理に対して調整指示がなされた場合に、調整指示がなされた中間調処理について、パッチパターンの作成を指示して作成されたパッチパターンの各パッチ濃度の測定結果を用いて出力補正値を求める第1の出力補正値実測手段と、調整指示がなされた中間調処理について、上記第1の出力補正値実測手段にて求められた出力補正値と、上記濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値とに基づいて、新しい換算パラメータを算出する第1の換算パラメータ算出手段と、調整指示がなされた中間調処理の換算パラメータを、上記第1の換算パラメータ算出手段にて算出された新しい換算パラメータに更新する第1の換算パラメータ更新手段とを有する構成とすることもできる。
【0023】
上記構成によれば、複数ある中間調処理のうちの基準中間調処理以外の中間調処理に対して調整指示がなされた場合、第1の出力補正値実測手段が、この調整指示がなされた中間調処理のパッチパターンの作成を指示して、実測による出力補正値を求める。
【0024】
実測による出力補正値が求まると、第1の換算パラメータ算出手段が、実測により得られた出力補正値と、濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値とに基づいて、新しい換算パラメータを算出し、第1の換算パラメータ更新手段が、調整指示がなされた中間調処理の換算パラメータを、算出された換算パラメータに更新する。
【0025】
これにより、濃度補正処理に換算パラメータが用いられる中間調処理に対して、調整指示が成された中間調処理の換算パラメータを経時的な濃度特性の変動や装置間の個体差等に応じて適正に見直すことが可能な、本発明の画像処理装置を容易に実現できる。
【0026】
本発明に係る画像処理装置においては、さらに、上記濃度補正調整手段は、複数ある中間調処理のうちの基準中間調処理に対して調整指示がなされた場合に、基準中間調処理について、パッチパターンの作成を指示して作成されたパッチパターンの各パッチ濃度の測定結果を用いて出力補正値を求める第2の出力補正値実測手段と、換算パラメータを有する全ての中間調処理について、上記第2の出力補正値実測手段にて求められた基準中間調処理の出力補正値と、上記濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値と、設定済みの換算パラメータとに基づいて、上記第2の出力補正値実測手段にて求められた基準中間調処理の出力補正値より換算して求められる出力補正値が、上記濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値より換算して求められる出力補正値と同一の値になるように、新しい換算パラメータを算出する第2の換算パラメータ算出手段と、換算パラメータを有する全ての中間調処理の換算パラメータを、上記第2の換算パラメータ算出手段にて算出された新しい換算パラメータに更新する第2の換算パラメータ更新手段とを有する構成とすることもできる。
【0027】
上記構成によれば、基準中間調処理に対して調整指示がなされた場合、第2の出力補正値実測手段が、該基準中間調処理について、パッチパターンの作成を指示して、実測による出力補正値を求める。
【0028】
基準中間調処理の出力補正値が実測によって求まると、第2の換算パラメータ算出手段が、換算パラメータを有する全ての中間調処理について、第2の出力補正値実測手段にて求められた基準中間調処理の出力補正値と、濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値と、設定済みの換算パラメータとに基づいて、新しい換算パラメータを算出し、第2の換算パラメータ更新手段が、換算パラメータを有する全ての中間調処理の換算パラメータを新しい換算パラメータに更新する。
【0029】
ここで、第2の換算パラメータ算出手段は、第2の出力補正値実測手段にて求められた基準中間調処理の出力補正値より換算して求められる出力補正値が、濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値より換算して求められる出力補正値と同一の値になるように、新しい換算パラメータを算出する。
【0030】
これにより、基準中間調処理に対して調整指示がなされた場合に、調整の必要のない他の中間調処理の濃度補正処理についてはこれまでどおりの結果は維持しながら、基準中間調処理の濃度補正処理のみを調整することができる。
【0031】
本発明に係る画像処理装置においては、さらに、上記濃度補正処理手段における基準中間調処理の切り換えを可能とする基準中間調処理切換手段を有する構成とすることもできる。
【0032】
上記構成によれば、基準中間調処理切換手段が、濃度補正処理手段における基準中間調処理の切り換えを可能とするので、換算パラメータの見直しだけでなく、実測に基づいた濃度補正処理が行われる基準中間調処理をユーザのニーズに合わせて変更することが可能となる。
【0033】
また、本発明の画像処理装置においては、さらに、上記複数の中間調処理のうちの基準中間調処理となり得る各中間調処理の所定期間内における使用頻度を測定するカウント手段を備え、上記基準中間調処理切換手段は、上記カウント手段により測定された使用頻度が最も高い中間調処理を基準中間調処理とする構成とすることもできる。
【0034】
上記構成によれば、カウント手段は、複数の中間調処理のうちの基準中間調処理となり得る各中間調処理の所定期間内における使用頻度を測定し、基準中間調処理切換手段は、使用頻度が最も高い中間調処理を、濃度補正処理手段が、パッチパターンの各パッチ濃度の測定結果を用いて出力補正値を求める基準中間調処理とする。
【0035】
これにより、ユーザが最もよく使用する中間調処理に対して、実測に基づいた濃度補正処理が行われるようになり、より一層、ユーザのニーズに合わせた濃度補正処理が可能になる。
【0036】
また、本発明に係る画像処理装置では、上記換算パラメータは、換算値であってもよく、また、上記換算値は、上記基準中間調処理の出力補正値に対する差分または比率であってもよい。
【0037】
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上記画像処理装置を備えることを特徴としている。
【0038】
上記発明によれば、換算を用いた中間調処理の濃度補正精度を向上させた画像形成装置を実現することができる。
【0039】
なお、上記画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより複合機をコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0040】
以上のように、本発明に係る画像処理装置は、濃度補正処理手段による濃度補正処理に対する調整指示を受け付け、上記濃度補正処理手段が使用する換算パラメータの見直しを行って濃度補正処理の調整を行う濃度補正調整手段を有している。
【0041】
これにより、従来の換算値や換算式(換算パラメータ)の書き換えが行えず、固定された換算パラメータを用いて濃度補正処理を行う構成に比べて、換算を用いた濃度補正処理でありながら、濃度補正精度の高い画像処理装置を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態1に係る画像処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示される画像処理部を備える画像形成装置の構成の一例を示す断面図である。
【図3】図1に示される換算値テーブル記憶部に記憶されている換算値テーブルの一例を示す図である。
【図4】パッチ集合の一例を示す図である。
【図5】図3に示される換算値テーブルに格納される換算値を算出するプログラムの一例を示す図である。
【図6】図1に示される画像処理部が行う他の中間調処理に対して、濃度調整指示がなされた場合の濃度補正調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図1に示される画像処理部が行う基準中間調処理に対して、濃度調整指示がなされた場合の濃度補正調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施形態2に係る画像処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図8に示される画像処理部が行う基準中間調切換処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】各種中間調処理の濃度特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について、図1〜図7を参照して説明すれば以下のとおりである。本実施形態では、本発明に係る画像処理装置を画像形成装置に適用する場合について説明する。
【0044】
図2は、本発明に係る画像処理部20を備える画像形成装置100の構成の一例を示す断面図である。画像形成装置100は、自身で読み取った画像データ或いは外部から入力される画像データに応じて、記録材である所定の記録シートに対して多色または単色の画像を形成するものである。
【0045】
図2に示されるように、画像形成装置100は、装置本体110と、自動原稿処理装置121とから構成される。
【0046】
装置本体110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、原稿読み取り装置90、および排紙トレイ91、などを備えている。また、装置本体110は、画像処理部(画像処理装置)20(図1参照)を備えている。
【0047】
装置本体110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側には自動原稿処理装置121が取り付けられている。
【0048】
自動原稿処理装置121は、自動原稿処理装置121に設置された原稿を、原稿載置台92近傍に設けられた読取位置へと自動で搬送する。また、自動原稿処理装置121は、図2の左右方向に平行な軸を中心として回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きすることができるようになっている。
【0049】
原稿載置台92に設置された原稿、または原稿載置台92近傍の読取位置に自動搬送された原稿は、原稿読み取り装置90により読み取られ、読み取られた像を示す画像データが画像形成部42(図1参照)に入力される。
【0050】
本画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、およびクリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれ4個ずつ設けられている。これらは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、4つの画像形成ステーションを構成している。
【0051】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図2に示されるチャージャ型のほか、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器を用いることができる。
【0052】
露光ユニット1は、画像書込み装置に該当するものであり、レーザ出射部および反射ミラーなどを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を、感光体ドラム3に導くためのレンズやミラーなどの光学要素が配置されている。また、露光ユニット1としては、この他に発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる構成を採用することができる。
【0053】
露光ユニット1は、入力された画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3を露光することにより、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。そして、現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによりトナー像として顕像化するものである。また、クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0054】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、および中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。上記中間転写ローラ64は、YMCKの各色に対応して4本設けられている。
【0055】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、および中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また、各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0056】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、中間転写ベルトユニット6は、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。中間転写ベルト61は、例えば、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0057】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61への各色のトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を中間転写ベルト61に転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えば、ステンレスなど)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えば、EPDM、発泡ウレタンなど)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では、転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなどを使用することが可能である。
【0058】
上述したように、各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は中間転写ベルト61上で積層される。このように、積層された画像情報は、中間転写ベルト61の回転によって、後述の記録シートと中間転写ベルト61との接触位置に配置される転写ローラ10によって記録シート上に転写される。
【0059】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10とは所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナー像を記録シートに転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10、または上記中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属など)とし、他方を弾性ローラなどの軟質材料(弾性ゴム、または発泡性樹脂など)としたものが用いられる。
【0060】
また、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナーのうち、転写ローラ10によって記録シート上に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルト61上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触するクリーニング部材として、例えば、クリーニングブレードが備えられている。中間転写ベルト61においてクリーニングブレードが接触している箇所は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0061】
また、中間転写ベルト61における、後述するトナーパッチが形成される面と対向する位置に、センサ(検知部)21が設けられている。センサ21は、中間転写ベルト61上に形成されたトナーパッチの濃度を検知する反射型センサである。
【0062】
給紙カセット81は、画像形成に使用する記録シートを蓄積しておくためのトレイであり、装置本体110の露光ユニット1の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する記録シートを置くことができる。一方、装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みの記録シートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0063】
また、装置本体110には、給紙カセット81および手差し給紙カセット82の記録シートを転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の記録シート搬送路Sが設けられている。給紙カセット81または手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの記録シート搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a、11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、および定着ユニット7などが配されている。
【0064】
搬送ローラ12a〜12dは、記録シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、記録シート搬送路Sに沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から記録シートを1枚ずつピックアップして記録シート搬送路Sに供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82から記録シートを1枚ずつピックアップして記録シート搬送路Sに供給する。
【0065】
また、レジストローラ13は、記録シート搬送路Sを搬送されている記録シートを一旦保持するものである。そして、中間転写ベルト61に転写されたトナー像の先端と記録シートの所定の位置とを合わせるタイミングで記録シートを転写ローラ10に搬送する。
【0066】
定着ユニット7は、定着ローラ71および加圧ローラ72を備えており、定着ローラ71および加圧ローラ72は、記録シートを挟んで回転するようになっている。また、定着ローラ71は、サーミスタからの信号に基づいて画像形成部42によって所定の定着温度以上となるように設定されている。定着ローラ71は、加圧ローラ72とともに未定着のトナーを記録シートに熱圧着することにより、記録シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、記録シートに対して熱定着させる。また、定着ローラ71の内部には、定着ローラ71を加熱するためのヒータランプが設けられている。なお、定着温度(所定温度)とは、良好な定着処理を実現可能な温度である。
【0067】
次に、記録シート搬送経路について詳細に説明する。上述したように、画像形成装置100には予め記録シートを収納する給紙カセット81、および手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81・82から記録シートを給紙するために、給紙カセット81・82のそれぞれにピックアップローラ11a、11bが配置され、記録シートを1枚ずつ記録シート搬送路Sに導くようになっている。
【0068】
各給紙カセット81・82から搬送される記録シートは、記録シート搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、記録シートの所定の位置と中間転写ベルト61上の画像情報の先端とを整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、記録シート上に画像情報が書き込まれる(即ち、記録シート上にトナー像が転写される)。その後、記録シートは、定着ユニット7を通過することによって記録シート上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0069】
上述した搬送経路は、記録シートに対する片面印刷要求のときのものである。これに対して、両面印刷要求のときには、定着ユニット7を通過し片面印刷が終了した記録シートの後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することにより、記録シートを搬送ローラ12cおよび搬送ローラ12dに導く。そして、レジストローラ13を経て記録シートの裏面に印刷が行われた後に記録シートが排紙トレイ91に排出される。
【0070】
なお、装置本体110の上部には、利用者に情報を示す表示部(図示省略)と、利用者が画像形成装置100に対して指示を入力する指示入力部41(図1参照)とが備えられている。
【0071】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置100は、複数の印刷モードを有しており、当該印刷モードに応じた良好な階調表現を実現するために、印刷モードに応じた複数の中間調処理を使い分けている。
【0072】
このため、画像形成装置100の画像処理部20は、複数の中間調処理間の印字濃度や色調などの濃度特性を一定に保つために、複数の中間調処理に対して濃度補正を実行するようになっている。
【0073】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100が備える画像処理部20の構成の一例を示す機能ブロック図である。図1に示されるように、画像処理部20は、中間調処理部38、濃度補正処理部30、濃度補正調整部33、換算値テーブル記憶部22、出力補正値テーブル記憶部23、およびセンサ出力値記憶部24を備えている。なお、画像処理部20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などで構成されている。
【0074】
中間調処理部38は、画像データに対し、機能やモードに応じた中間調処理を行うものである。中間調処理部38は、機能とモードの組み合わせに応じて、例えば、以下に示す5種類の中間調処理A〜Eを実施するようになっている。
【0075】
中間調処理A.ディザ法・中線数(コピー機能-文字写真混在モード用)
中間調処理B.単純量子化法(コピー機能-全モード文字領域用)
中間調処理C.誤差拡散法(コピー機能-文字原稿モード用)
中間調処理D.ディザ法・低線数(コピー機能-写真モード用)
中間調処理E.ディザ法・高線数(プリンタ機能用)。
【0076】
濃度補正処理部(濃度補正処理手段)30は、電源投入時や、経時変化や環境変化が検知された際に実施されるプロセス・コントロールにおいて、中間調処理部38が実施する複数の中間調処理に対して濃度補正を実施するものである。
【0077】
濃度補正処理部30は、画像形成装置100が有する複数の中間調処理から1つの基準となる中間調処理(以下、基準中間調処理と称する)については、中間転写ベルト61上にトナーパッチを形成させ、パッチ濃度を実測した結果を基に出力補正値を求める。以下、基準中間調処理の実測により求めた出力補正値を基準出力補正値と称することもある。残りの中間調処理(以下、他の中間調処理と称する)の出力補正値については、基準出力補正値を基に、換算値テーブル(図3参照)を用いて換算することにより求める。以下、基準中間調処理から換算することで求めた出力補正値を、基準出力補正値に対して換算出力補正値と称することもある。
【0078】
本実施形態においては、濃度補正処理部30は、上記中間調処理A、即ち、ディザ法・中線数を基準中間調処理として、パッチ濃度を実測することで出力補正値(基準出力補正値)を求め、中間調処理B〜Eについては、換算によって出力補正値(換算出力補正値)を求める。
【0079】
濃度補正処理部30にて求められた出力補正値は、出力補正値テーブル記憶部23に設けられた出力補正値テーブルに格納される。出力補正値テーブルには、中間調処理毎に、所定の濃度値に対する出力補正値が格納されている。上記した中間調処理部38は、実施する中間調処理に対応した出力補正値を、出力補正値テーブルより読み出して中間調処理を実施する。
【0080】
換算値テーブル記憶部22は、上記換算値テーブルを記憶するものである。詳細については後述するが、換算値テーブルには、換算値を用いて出力補正値を求める各中間調処理に対応して、所定の濃度値に対する換算値が格納されている。画像形成装置100の電源オフ後もデータが保持されるように、換算値テーブル記憶部22は、例えば、不揮発性メモリよりなる。
【0081】
センサ出力値記憶部24は、濃度補正処理部30が実測に基づいて濃度補正を行うにあたり使用する、調整の基準となるセンサ出力を格納しているものである。調整の基準となるセンサ出力の求め方については後述するが、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色毎に、画像形成部42の濃度特性の特徴を示す15点分のパッチ濃度を、後述するセンサ21にて読み取った値(センサ出力)がセンサ出力値記憶部24に格納されている。センサ出力値記憶部24も、画像形成装置100の電源オフ後もデータを保持する必要があり、不揮発性メモリよりなる。
【0082】
濃度補正調整部(濃度補正調整手段)33は、指示入力部41から濃度補正処理に対する調整指示を受け付けて、濃度補正処理部30が出力補正値の算出に使用する換算値(換算パラメータ)が格納されている換算値テーブルの見直しを行って濃度補正処理の調整を行うものである。
【0083】
以下、濃度補正処理部30および濃度補正調整部33について、より具体的に説明する。
【0084】
まず、濃度補正処理部30について説明する。濃度補正処理部30は、図1に示されるように、出力補正値実測部31、出力補正値換算部32、および内部パッチ形成指示部34を備えている。
【0085】
内部パッチ形成指示部34は、プロセス・コントロール時に、出力補正値実測部31の指示により、基準中間調処理を施した内部パッチパターンを形成させるコマンドを生成し、画像形成部42に送る。
【0086】
そして、本実施形態では、内部パッチ形成指示部34は、濃度補正処理の調整時、濃度補正調整部33から指示された中間調処理を施した内部パッチパターンを形成させるコマンドを生成し、画像形成部42に送る。
【0087】
コマンドを取得した画像形成部42は、上述した画像形成ステーションなどを制御して、内部パッチパターンを中間転写ベルト61上に形成する。なお、ここでは、中間転写ベルト61上に形成されるのみで、印刷出力されないパッチを内部パッチと称する。
【0088】
出力補正値実測部31は、プロセス・コントロール時、基準中間調処理のパッチ濃度の実測による濃度補正を実施して、出力補正値テーブルに記憶されている基準中間調処理の出力補正値を更新する。
【0089】
より詳細には、出力補正値実測部31は、内部パッチ形成指示部34に対して、基準中間調処理の内部パッチパターンを作成するよう指示する。作成された内部パッチパターンのパッチ濃度はセンサ21にて読み取られる。出力補正値実測部31は、作成された内部パッチパターンのパッチ濃度を読み取ったセンサ21のセンサ出力の中から、センサ出力値記憶部24に記憶されている調整基準のセンサ出力と同じ値のパッチを特定し、特定したパッチを作成した際の出力値を、出力補正値であると設定する。この出力補正値が、基準中間調処理の出力補正値、つまり、基準出力補正値として出力補正値テーブルに格納される。
【0090】
また、本実施形態において、出力補正値実測部31は、濃度補正調整部33から濃度補正処理の調整が指示された場合には、濃度補正調整部33より指示された中間調処理のパッチ濃度の実測による濃度補正を実施して、指示された中間調処理の実測による出力補正値を算出する。
【0091】
より詳細には、出力補正値実測部31は、内部パッチ形成指示部34に対して、濃度補正調整部33より指示された中間調処理の内部パッチパターンを作成するよう指示する。作成された内部パッチパターンのパッチ濃度はセンサ21にて読み取られる。出力補正値実測部31は、作成された内部パッチパターンのパッチ濃度を読み取ったセンサ21のセンサ出力の中から、センサ出力値記憶部24に記憶されている調整基準のセンサ出力と同じ値のパッチを特定し、特定したパッチを作成した際の出力値を、出力補正値であると設定する。この出力補正値が、後述する換算値算出部(第1、第2の換算パラメータ算出手段)36における換算値の算出に用いられる。
【0092】
上記センサ21は、図2に示される中間転写ベルト61上に形成された内部パッチパターンの各パッチ濃度を検知するものである。本実施形態では、センサ21は、パッチ濃度として各パッチを形成するトナーの反射率を検知し、反射率に応じたセンサ出力が出力される。
【0093】
出力補正値換算部32は、出力補正値実測部31によって設定された基準出力補正値と、換算値テーブルに格納されている換算値とを用いて、基準中間調処理以外の他の中間調処理の出力補正値である換算出力補正値を算出するものである。算出された他の中間調処理の出力補正値は、基準出力補正値と共に、出力補正値テーブルに格納される。なお、出力補正値換算部32は、使用される中間調処理が決定した場合に、その中間調処理に応じた換算出力補正値を算出し、出力補正値テーブルに記憶させる構成とすることもできる。
【0094】
次に、濃度補正調整部33について説明する。濃度補正調整部33は、図1に示されるように、実測指示部37、換算値算出部36、および換算値テーブル更新部(換算パラメータ更新手段)39を備えている。
【0095】
実測指示部37は、指示入力部41より濃度補正処理部30による濃度補正処理に対する調整指示が入力されると、これを受け付けて、濃度補正処理部30の出力補正値実測部31に対して、調整が指示された中間調処理に対して、パッチ濃度の実測による濃度補正を実施して、実測による出力補正値を求めるように指示するものである。すなわち、実測指示部37と、出力補正値実測部31とで、本発明における第1および第2の出力補正値実測手段が構成されている。
【0096】
換算値算出部36は、調整が指示された中間調処理が、基準中間調処理以外の他の中間調処理に属する中間調処理である場合、調整が指示された当該中間調処理について、出力補正値実測部31にて求められた当該中間調処理の実測による出力補正値と、出力補正値テーブル内の基準出力補正値とに基づいて、新しい換算パラメータを算出するものである(第1の換算パラメータ算出手段としての機能)。ここで、出力補正値テーブル内の基準出力補正値は、濃度補正処理部30が実施したプロセス・コントロールにて更新された値である。
【0097】
換算値テーブル更新部39は、換算値算出部36にて新しい換算値が算出されると、換算値テーブル記憶部22にアクセスし、調整が指示された中間調処理に対して設定されている換算値を、換算値算出部36にて新たに算出された換算値へと更新するものである(第1の換算パラメータ更新手段としての機能)。
【0098】
また、出力補正値テーブル内の、調整が指示された中間調処理の出力補正値も、換算値を見直すために出力補正値実測部31が求めた出力補正値に書き換えられる。
【0099】
また、換算値算出部36は、調整が指示された中間調処理が、基準中間調処理である場合、換算値を有する全ての中間調処理について、出力補正値実測部31にてプロセス・コントロールとは別に求められた基準中間調処理の実測による出力補正値(新しい基準出力補正値)と、出力補正値テーブル内の基準出力補正値と、換算値テーブル内の換算値とに基づいて、新しい換算値を算出するものである(第2の換算パラメータ算出手段としての機能)。
【0100】
ここで、換算値算出部36は、出力補正値実測部31にて、調整指示を受けてプロセス・コントロールとは別に求められた基準中間調処理の実測による出力補正値より換算して求められる出力補正値が、出力補正値テーブル内の基準中間調処理の出力補正値より換算して求められる出力補正値と同一の値になるように、新しい換算値を算出する。
【0101】
換算値テーブル更新部39は、換算値算出部36にて換算値を有する全ての中間調処理の新しい換算値が算出されると、換算値テーブル記憶部22にアクセスし、換算値を有する全ての中間調処理の換算値を、換算値算出部36にて新たに算出された換算値へと更新するものである(第2の換算パラメータ更新手段としての機能)。
【0102】
このように、プロセス・コントロールとは別に、濃度補正調整にて基準中間調処理の出力補正値が新しく求められると、出力補正値テーブルの基準出力補正値も更新される。
【0103】
すなわち、換言すると、濃度補正調整部33は、基準中間調処理に対して調整が指示された場合は、基準出力補正値を新しく求めて出力補正値テーブル内の基準出力補正値を更新すると共に、他の中間調処理の換算値を、新しい基準中間調処理の出力補正値からの換算であっても、更新前の旧基準出力補正値から換算した場合と同じ出力補正値が算出されるように、換算値テーブルに格納されている全ての中間調処理の換算値を計算し直す。
【0104】
以下、濃度補正調整部33における濃度補正調整処理を含め、画像処理部20における各処理について具体的に説明する。
【0105】
まずは、換算値テーブルの作成について説明する。なお、換算値テーブルは、個体差を吸収できるように、画像形成装置毎に設定することが望ましい。しかしながら、通常は、同一機種の画像形成装置においては、実測に基づいて作成された共通の換算値テーブルが設定されるようになっている。
【0106】
図3は、換算値テーブルの一例を示す図面である。図3の例では、一段目に、基準中間調処理(以下、基準中間調処理Aと称する)の出力補正値であって、換算値の算出基準となる基準出力補正値が格納されている。第2〜5段目には、他の中間調処理(以下、他の中間調処理B〜Eと称する)の換算値が格納されている。
【0107】
図3においては、換算値による出力補正値の算出が理解しやすいように、換算値テーブルにも基準出力補正値が格納されているように例示しているが、1段目の内容は、出力補正値テーブルの基準出力補正値を示している。
【0108】
なお、換算値テーブル作成部は、画像処理部20に必ず備えられている必要はなく、同一機種の画像形成装置において共通に設定された換算値テーブルが換算値テーブル記憶部22に初期設定される構成であってもよい。
【0109】
換算値テーブル作成部は、出力調整を行わない状態で、画像形成部42にて、図4に示されるようなパッチ集合を記録シートに印刷させる。図4に示されるように、パッチ集合は、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色毎に、複数のパッチを形成する。本実施形態では、画像形成部42の濃度特性の特徴を示す濃度値を15点としているので、15点よりも充分に多い32個のパッチを各色ごとに形成する。ここで、パッチ集合のデータは、画像形成装置100内に予め保存されたものであっても、外部PCから受信したものであってもよい。このように印刷された記録シートは、原稿読み取り装置90(図2参照)にて読み取られる。
【0110】
換算値テーブル作成部は、原稿読み取り装置90が記録シートに印刷されたパッチ集合を読み取った結果から、各色毎に、濃度特性を示す曲線の形状的特徴が出る15点の濃度値に対応する15個のパッチを選出する。そして、選出した15個のパッチを中間転写ベルト61上に形成させ、各パッチの反射率(濃度)をセンサ21に読み取らせる。ここで読み取らせた各パッチの反射率が、調整基準のセンサ出力値として、センサ出力値記憶部24に記憶される。このようにして、センサ出力値記憶部24に記憶された各パッチの反射率に応じたセンサ出力値は、以後のプロセス・コントロールで実施される濃度補正の基準となる。
【0111】
次に、換算値テーブル作成部は、内部パッチ形成指示部34に対して、基準中間調処理Aによる内部パッチパターンを作成するように指示する。そして、作成された内部パッチパターンのパッチ濃度を読み取ったセンサ21のセンサ出力の中から、センサ出力値記憶部24に記憶されている調整基準のセンサ出力値と同じ値のパッチを特定し、特定したパッチを作成した出力値を、基準出力補正値とする。基準出力補正値は、出力補正値テーブルに格納される。
【0112】
図3に示されるように、例えば、基準中間調処理Aにより入力値「118」で形成されたパッチ濃度が、センサ出力値記憶部24に記憶された入力値「128」で形成されたパッチ濃度と等しい場合、基準中間調処理Aの登録出力補正値は、入力値「128」に対して「118」が設定される。
【0113】
同様にして、換算値テーブル作成部は、他の中間調処理B〜Eによる内部パッチパターンを形成させ、他の中間調処理B〜Eの出力補正値も実測にて求める。このとき、図3に示されるように、他の中間調処理B〜Eの実測にて求めた出力補正値については、基準中間調処理Aのように、出力補正値が格納されるのではなく、基準中間調処理Aの基準出力補正値に対する換算値で格納される。
【0114】
図3の換算値テーブルの例では、換算値として、他の中間調処理Bについては基準出力補正値に対する比率で格納され、また、他の中間調処理C〜Dについては基準出力補正値に対する差分で格納されている。換算値を算出する計算式(1)(2)を以下に示す。
【0115】
換算値が比の場合:
換算値(比) = 他の中間調処理の実測にて求めた出力補正値
÷ 基準中間調処理の基準出力補正値・・・(1)
換算値が差の場合:
換算値(差) = 他の中間調処理の実測にて求めた出力補正値
− 基準中間調処理の基準出力補正値・・・(2)
図5に、換算値テーブルの換算値を算出させるためのプログラムの一例を示す。例えば、図5に示されるようなプログラムを用いて、換算値を算出することができる。
【0116】
このようにして、基準中間調処理Aの基準出力補正値を用いて換算出力補正値を算出するために、他の中間調処理B〜Eの換算値を格納した換算値テーブルを作成する。
【0117】
次に、電源投入時や、経時変化や環境変化が検知された際に実施されるプロセス・コントロールで行われる濃度補正処理について説明する。
【0118】
プロセス・コントロール時、出力補正値実測部31の指示により、内部パッチ形成指示部34は、基準中間調処理Aの内部パッチパターンを形成させるコマンドを生成し、画像形成部42に送る。コマンドを取得した画像形成部42は、上述した画像形成ステーションなどを制御して、内部パッチパターンを中間転写ベルト61上に形成する。
【0119】
作成された内部パッチパターンのパッチ濃度はセンサ21にて読み取られる。出力補正値実測部31は、作成された内部パッチパターンのパッチ濃度を読み取ったセンサ21のセンサ出力の中から、センサ出力値記憶部24に記憶されている調整基準のセンサ出力値と同じ値のパッチを特定し、特定したパッチを作成した出力値を、出力補正値であるとして、出力補正値テーブルにおける基準中間調処理の基準出力補正値を更新する。
【0120】
出力補正値テーブルにおける基準出力補正値が更新されると、出力補正値換算部32が、更新された基準出力補正値と、換算値テーブルの換算値とを用いて、他の中間調処理B〜Eの換算出力補正値を算出し、出力補正値テーブルにおける他の中間調処理B〜Eの出力補正値を更新する。換算出力補正値を算出する計算式(3)(4)を以下に示す。
【0121】
換算値が比の場合:
換算出力補正値 = 更新された基準出力補正値
× 換算値テーブルの換算値・・・(3)
換算値が差の場合:
換算出力補正値 = 更新された基準出力補正値
+ 換算値テーブルの換算値・・・(4)
以上のように、濃度補正処理部30は、基準中間調処理Aのみ内部パッチパターンを形成してパッチ濃度を実測して出力補正値を算出し、他の中間調処理B〜Eについては、内部パッチパターンを形成せずに換算によって換算補正値を算出するので、印刷資材および処理時間を低減させることができる。
【0122】
次に、換算値テーブルの換算値を見直して、濃度補正処理の調整を行う濃度補正調整処理について説明する。上述したように、通常のプロセス・コントロール時などで行われる濃度補正処理では、他の中間調処理B〜Eについては、換算にて出力補正値を算出して濃度補正を行う。
【0123】
しかしながら、換算値が固定されていると、中間調処理A〜Eの濃度特性が経時的に変動したり、共通設定された換算値に装置の個性が合わなかったりした場合に、実情の濃度特性と合わなくなってくる。
【0124】
本実施形態に係る画像処理部20では、他の中間調処理B〜Eの経時的な濃度特性の変動により、印刷画像に濃度異常が生じた場合などに、濃度補正調整部33がユーザの指示を受け付け、これに基づいて、濃度異常が生じた他の中間調処理に関する換算値テーブルの換算値の書き換えを行うようになっている。
【0125】
図6は、画像処理部20が行う他の中間調処理に対して、濃度調整指示がなされた場合の濃度補正調整処理の流れを示すフローチャートである。図6に示されるように、例えば、他の中間調処理Cに濃度異常が生じた場合、ユーザは、他の中間調処理Cの濃度補正調整指示を指示入力部41に入力する(S1)。
【0126】
S1で入力された指示を、濃度補正調整部33が受け付け、実測指示部37が出力補正値実測部31を介して内部パッチ形成指示部34に指示し、他の中間調処理Cによる内部パッチパターンを形成させるコマンドを生成し、画像形成部42に送る。当該コマンドを取得した画像形成部42は、画像形成ステーションなどを制御し、他の中間調処理Cによる内部パッチパターンを中間転写ベルト61上に形成する(S2)。
【0127】
S2で中間転写ベルト61上に形成された内部パッチパターンは、センサ21によってパッチ濃度が検知され(S3)、濃度補正調整部33は、センサ21によって検知された各パッチの濃度と同じ濃度を有するセンサ出力値記憶部24に記憶されたパッチを検索し、検索したパッチを形成するための出力値を他の中間調処理Cの正しい出力補正値として特定する(S4)。そして、濃度補正調整部33の換算値算出部36および換算値テーブル更新部39は、特定した新たな出力補正値に基づいて換算値を書き換える(S5)。
【0128】
他の中間調処理の換算値を見直す計算式(5)(6)を以下に示す。
【0129】
換算値が比の場合:
新換算値(比) = 他の中間調処理の実測にて求めた新出力補正値
÷ 基準中間調処理の基準出力補正値・・・(5)
換算値が差の場合:
新換算値(差) = 他の中間調処理の実測にて求めた新出力補正値
− 基準中間調処理の基準出力補正値・・・(6)
このように、濃度補正調整処理が実施されると、出力補正値テーブルにおける調整が指示された中間調処理である他の中間調処理Cの出力補正値も書き換えられる。ここで、出力補正値テーブルの出力補正値の書き換えは、実測にて求めた新出力補正値をそのまま用いて書き換えても、新しい換算値を用いて換算出力補正値を算出し直して書き換えてもよい。
【0130】
このように、異常が生じた他の中間調処理ごとに換算値を書き換えることにより、従来のような、換算値の書き換えを行わず、固定された換算値を用いて濃度補正を行う場合に比べて、中間調処理の経時的な濃度特性の変動や装置間の個体差等に応じた適正な濃度補正を行うことが可能である。
【0131】
従って、画像処理部20によれば、換算を用いた中間調処理の濃度補正精度の低下を防止し、適正な中間調を表現することが可能な画像形成装置100を実現することができる。
【0132】
次に、基準中間調処理に対して、濃度調整指示がなされた場合の濃度調整処理について説明する。
【0133】
図7は、画像処理部20が行う基準中間調処理に対して、濃度調整指示がなされた場合の濃度補正調整処理の流れを示すフローチャートである。図7に示されるように、基準中間調処理Aに濃度異常が生じた場合、ユーザは、基準中間調処理Aの濃度補正調整指示を指示入力部41に入力する(S11)。
【0134】
S11で入力された指示を、濃度補正調整部33が受け付け、実測指示部37が出力補正値実測部31を介して内部パッチ形成指示部34に指示し、基準中間調処理Aによる内部パッチパターンを形成させるコマンドを生成し、画像形成部42に送る。当該コマンドを取得した画像形成部42は、画像形成ステーションなどを制御し、基準中間調処理Aによる内部パッチパターンを中間転写ベルト61上に形成する(S12)。
【0135】
S12で中間転写ベルト61上に形成された内部パッチパターンは、センサ21によってパッチ濃度が検知され(S13)、濃度補正調整部33は、センサ21によって検知された各パッチの濃度と同じ濃度を有するセンサ出力値記憶部24に記憶されたパッチを検索し、検索したパッチを形成するための出力値を基準中間調処理Aの正しい出力補正値として特定する(S14)。そして、出力補正値テーブルにおける基準出力補正値を更新し(S15)、さらに、濃度補正調整部33の換算値算出部36および換算値テーブル更新部39は、特定した新たな基準出力補正値に基づいて、他の中間調処理B〜Eの換算値を書き換える(S16)。
【0136】
他の中間調処理の換算値を見直す計算式(7)(8)を以下に示す。
【0137】
換算値が比の場合:
新換算値 = 旧換算値 × 旧基準出力補正値
÷ 新基準出力補正値・・・(7)
換算値が差の場合:
新換算値 =旧換算値 + 旧基準出力補正値
− 新基準出力補正値・・・(8)
このように、基準中間調処理Aに対して調整が指示され、基準出力補正値が見直された場合、濃度補正調整部33は、出力補正値換算部32によって算出される換算による出力補正値が、基準出力補正値の書き換え前後において同一の値になるように、計算式(7)(8)を用いて新換算値を算出し、これに基づいて、換算値テーブル更新部39が換算値テーブルを書き換える。
【0138】
これにより、他の中間調処理B〜Eの出力補正値を維持したまま、基準中間調処理Aの濃度異常に対応することができる。
【0139】
以上のように、本実施形態に係る画像処理部20では、濃度補正調整部33は、ユーザからの指示に応じて、換算値テーブル記憶部22に記憶された換算値テーブルの見直しを行うことができる。このため、従来のような、換算値の書き換えが行えず、固定された換算値を用いて濃度補正を行う場合に比べて、他の中間調処理B〜Eの経時的な濃度特性の変動や装置間の個体差等に応じた、適正な濃度補正を行うことが可能である。
【0140】
従って、画像処理部20によれば、換算を用いた中間調処理の濃度補正精度を向上させた画像形成装置100を実現することができる。
【0141】
なお、本実施形態では、換算値テーブルを用いて、換算パラメータを換算値としていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、換算パラメータとして演算式などを用いてもよい。
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について、図8および図9を参照して説明すれば以下のとおりである。本実施形態では、複数の中間調処理を実行する画像形成装置において、基準中間調処理を1つに定めず、必要に応じて基準中間調処理を切り換え可能な画像処理部を備える画像形成装置について説明する。
【0142】
なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0143】
実施形態1では、中間調処理として複数の中間調処理を実施する画像形成装置100において、基準中間調処理を1つの中間調処理に固定し、他の中間調処理の換算値を適宜書き換えて濃度補正を行う場合について説明した。
【0144】
しかしながら、基準となる中間調処理を切り換えることで、よりユーザの使用態様に適した出力調整が可能になる。例えば、複数の中間調処理のうち、最も使用頻度の高い中間調処理を基準中間調処理に切り換えることで、当該基準中間調処理により形成された画像の中間調をより適正に表現することができる。
【0145】
図8は、本実施形態に係る画像処理部120の構成の一例を示すブロック図である。図8に示されるように、画像処理部120は、実施形態1で説明した画像処理部20の構成に加えて、カウンタ(カウント手段)25と、基準中間調処理切換部(基準中間調処理切換手段)とをさらに備えている。
【0146】
カウンタ25は、複数の中間調処理ごとの所定期間内における使用頻度を測定するものである。
【0147】
基準中間調処理切換部35は、ユーザからの指示、或いは、カウンタ25によって測定された使用頻度に応じて、複数の中間調処理から基準中間調処理を選択して切り換えるものである。
【0148】
なお、画像処理部120の他の構成については、実施形態1で説明した画像処理部20と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0149】
次に、画像処理部120が行う基準中間調処理切換処理の流れについて説明する。なお、本実施形態においても、実施形態1と同様に、画像形成装置は、中間調処理として、5種類の中間調処理A〜Eを実施し、基準中間調処理として中間調処理Aが設定されているものとする。
【0150】
図9は、画像処理部120が行う基準中間調処理切換処理の流れを示すフローチャートである。図9に示されるように、まず、基準中間調処理切換部35は、カウンタ25によって測定された各中間調処理A〜Eの所定期間内における使用頻度を特定する(S31)。
【0151】
S31で特定した使用頻度に基づいて、基準中間調処理切換部35は、使用頻度が最も高い中間調処理を基準中間調処理として選択する(S32)。
【0152】
次に、基準中間調処理切換部35は、基準中間調処理の書き換えが必要であるか否かを判定する(S33)。具体的には、画像処理部120は、その時点で設定されている基準中間調処理と、S32で選択した基準中間調処理とが同一であるか否かを判定する(S33)。
【0153】
基準中間調処理の書き換えが必要でない場合(S33でNO)、即ち、その時点で設定されている基準中間調処理と、S32で選択した基準中間調処理とが同一である場合、基準中間調処理切換部35は、処理を終了する。
【0154】
一方、基準中間調処理の切り換えが必要である場合(S33でYES)、即ち、その時点で設定されている基準中間調処理と、S32で選択した基準中間調処理とが同一でない場合、基準中間調処理切換部35は、換算値テーブルの基準出力補正値の書き換えを行う(S34)。例えば、中間調処理Cの使用頻度が最も高かった場合、基準中間調処理切換部35は、中間調処理Aに代えて中間調処理Cを新たな基準中間調処理として換算値テーブルの書き換えを行う。
【0155】
具体的には、基準中間調処理切換部35は、中間調処理Aの基準出力補正値(出力補正値テーブル)と、中間調処理Cの換算値(換算値テーブル)との差分計算を行うことにより、中間調処理Cの基準出力補正値を算出する。
【0156】
次に、基準中間調処理切換部35は、中間調処理Aの換算値の設定を含め、換算値の書き換える(S35)。具体的には、基準中間調処理切換部35は、中間調処理Cの基準出力補正値に対する換算値を他の中間調処理A,B,D,Eごとに算出し、換算値を書き換える。このとき実行される処理は、図7に示されるフローチャートのS16での処理と概ね同じである。
【0157】
以上のように、本実施形態に係る画像処理部120によれば、登録換算値の見直しだけでなく、基準中間調処理の切り換えが可能である。このため、ユーザが最も使用する中間調処理を基準中間調処理とした濃度補正が行なわれることとなり、ユーザの使用態様に応じた最適な濃度補正処理を実現することができる。
【0158】
なお、本実施形態では、使用頻度が最も高かった中間調処理を基準中間調処理として選択して切り換える構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、その時点で設定されている基準中間調処理の使用頻度と、最も使用頻度の高かった中間調処理の使用頻度との差が、別途設定された閾値未満であれば、基準中間調処理を切り換えない構成であってもよい。
【0159】
また、本実施形態では、カウンタ25を備え、カウンタ25によって測定された使用頻度に応じて、基準中間調処理を切り換える場合について説明したが本発明はこれに限定されない。例えば、カウンタ25を備えず、指示入力部41に入力された基準中間調処理切換指示に応じて、基準中間調処理切換処理を行う構成であってもよい。
【0160】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0161】
最後に、画像処理装置および画像形成装置の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0162】
即ち、画像処理装置および画像形成装置は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである濃度補正処理部30の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像処理装置および画像形成装置に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0163】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0164】
また、画像処理装置および画像形成装置を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明は、マルチファンクションプリンタ(MFP)などの各種画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0166】
20 画像処理部(画像処理装置)
22 換算値テーブル記憶部
23 出力補正値テーブル記憶部
24 センサ出力値記憶部
25 カウンタ(カウント手段部)
30 濃度補正処理部(濃度補正処理手段)
31 出力補正値実測部(第1の出力補正値実測手段、第2の出力補正値実測手段)
32 出力補正値換算部
33 濃度補正調整部(濃度補正調整手段)
34 内部パッチ形成指示部
35 基準中間調処理切換部(基準中間調処理切換手段)
36 換算値算出部
37 実測指示部(第1の出力補正値実測手段、第2の出力補正値実測手段)
38 中間調処理部
39 換算値テーブル更新部(換算パラメータ更新手段)
100 画像形成装置
120 画像処理部(画像処理装置)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中間調処理を有し、複数の中間調処理に対して濃度補正処理を行う濃度補正処理手段を備えた画像処理装置において、
上記濃度補正処理手段は、複数の中間調処理のうちの基準となる基準中間調処理の出力補正値を、当該中間調処理によるパッチパターンの形成を指示し、形成されたパッチパターンの各パッチ濃度の測定結果を用いて求める一方、基準中間調処理以外の中間調処理の出力補正値については、各々の中間調処理毎に設定された換算パラメータを用いて、基準中間調処理の出力補正値より換算することで求めるようになっており、
上記濃度補正処理手段による濃度補正処理に対する調整指示を受け付け、上記濃度補正処理手段が使用する換算パラメータの見直しを行って濃度補正処理の調整を行う濃度補正調整手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記濃度補正調整手段は、
複数ある中間調処理のうちの基準中間調処理以外の中間調処理に対して調整指示がなされた場合に、調整指示がなされた中間調処理について、パッチパターンの作成を指示して作成されたパッチパターンの各パッチ濃度の測定結果を用いて出力補正値を求める第1の出力補正値実測手段と、
調整指示がなされた中間調処理について、上記第1の出力補正値実測手段にて求められた出力補正値と、上記濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値とに基づいて、新しい換算パラメータを算出する第1の換算パラメータ算出手段と、
調整指示がなされた中間調処理の換算パラメータを、上記第1の換算パラメータ算出手段にて算出された新しい換算パラメータに更新する第1の換算パラメータ更新手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記濃度補正調整手段は、
複数ある中間調処理のうちの基準中間調処理に対して調整指示がなされた場合に、基準中間調処理について、パッチパターンの作成を指示して作成されたパッチパターンの各パッチ濃度の測定結果を用いて出力補正値を求める第2の出力補正値実測手段と、
換算パラメータを有する全ての中間調処理について、上記第2の出力補正値実測手段にて求められた基準中間調処理の出力補正値と、上記濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値と、設定済みの換算パラメータとに基づいて、上記第2の出力補正値実測手段にて求められた基準中間調処理の出力補正値より換算して求められる出力補正値が、上記濃度補正処理手段にて既に求められている基準中間調処理の出力補正値より換算して求められる出力補正値と同一の値になるように、新しい換算パラメータを算出する第2の換算パラメータ算出手段と、
換算パラメータを有する全ての中間調処理の換算パラメータを、上記第2の換算パラメータ算出手段にて算出された新しい換算パラメータに更新する第2の換算パラメータ更新手段とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記濃度補正処理手段における基準中間調処理の切り換えを可能とする基準中間調処理切換手段を有することを特徴とする請求項1、2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記複数の中間調処理のうちの基準中間調処理となり得る各中間調処理の所定期間内における使用頻度を測定するカウント手段を備え、
上記基準中間調処理切換手段は、上記カウント手段により測定された使用頻度が最も高い中間調処理を基準中間調処理とすることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記換算パラメータは、換算値であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記換算値は、上記基準中間調処理の出力補正値に対する差分または比率であることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から7の何れか1項に記載の画像処理装置が備える上記の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−8466(P2012−8466A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146314(P2010−146314)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】