画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラム
【課題】入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置の制御部は、原稿読取部により読み取った入力画像についてスクリーン処理を行う。制御部は、入力画像を読み取り、文字領域と下地領域とを検出する(S100,S101)。制御部は、文字領域の画素についてエッジ強度を算出し、エッジ判定を行う(S102,S103)。制御部は、文字領域と下地領域との境界部の注目画素についてエッジ判定されていなければ(S104:YES,S105:NO)、外エッジ領域を拡張し(S107)、拡張した領域の画像データを置換する(S108)。これにより、文字領域と下地領域が分離され、出力画像の可読性が向上する。境界部の注目画素がエッジ判定されていれば(S105:YES)、エッジ強調処理が行われる(S106)。
【解決手段】画像処理装置の制御部は、原稿読取部により読み取った入力画像についてスクリーン処理を行う。制御部は、入力画像を読み取り、文字領域と下地領域とを検出する(S100,S101)。制御部は、文字領域の画素についてエッジ強度を算出し、エッジ判定を行う(S102,S103)。制御部は、文字領域と下地領域との境界部の注目画素についてエッジ判定されていなければ(S104:YES,S105:NO)、外エッジ領域を拡張し(S107)、拡張した領域の画像データを置換する(S108)。これにより、文字領域と下地領域が分離され、出力画像の可読性が向上する。境界部の注目画素がエッジ判定されていれば(S105:YES)、エッジ強調処理が行われる(S106)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムに関し、特に、画像データについてスクリーン処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)などにおいて行われる画像処理としては、主に解像度再現に適した誤差拡散と、粒状性に優れたスクリーン処理とがある。例えば、画像形成装置において設けられているスクリーン処理を行う画像処理装置では、ページごとに画像データを生成するラスタライズ処理を行った後、画像データについてスクリーン処理を行うことで、画像形成用の画像データを生成する。
【0003】
下記特許文献1には、文字領域候補のうち文字領域と背景領域とを分離する処理を行う画像処理装置が開示されている。この画像処理装置では、入力画像のエッジを抽出し、2値化により抽出した大まかな文字領域に対し、抽出したエッジの周囲画素を削除することによって文字領域と背景の自然画像領域とを分離する処理が行われる。
【0004】
下記特許文献2には、下地領域及び文字外エッジ領域にはエッジ強調処理を行い、非下地領域及び文字外エッジ領域にはその周囲に存在する下地領域の平均値に置換する処理を行う画像処理装置が開示されている。これらの処理は、文字の周囲に白い縁取りが形成されたり色濁りが発生したりしないようにする目的で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−334857号公報
【特許文献2】特開2003−018409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような画像処理装置において、画像データのスクリーン処理を行う場合、スクリーン線数と解像度とは、互いにトレードオフの関係に立つ。すなわち、例えば連続階調領域において高い解像度を維持するためには、スクリーン線数を一定以下に抑える必要がある。しかしながら、文字を含む画像データをスクリーンで印字する場合には、連続階調領域と文字領域とで同じスクリーン線数でスクリーン処理を行うと、小ポイント文字の部分などにおいて、画像の再現性が低下することがある。
【0007】
上記問題の解決策としては、文字領域と文字領域の周囲の下地領域とが含まれる画像についてスクリーン処理が行われるとき、文字領域には文字領域専用の高線数スクリーンによりスクリーン処理を行うことが考えられる。これにより、文字領域の再現性が維持される。また、この場合、文字領域と文字領域の周囲の下地領域とが含まれる画像についてスクリーン処理が行われるとき、下地領域との境となる文字領域のエッジを判定し、文字領域の内エッジを塗りつぶす処理(ベタ処理、FEET処理)が行われる。これにより、文字領域をよりシャープに再現させることができる。
【0008】
しかしながら、上記解決策においては、別の問題点がある。すなわち、例えば着色された下地領域上に文字がある場合であって、文字領域とその周囲(下地)領域との明度差(濃度差)が小さいときには、文字領域の内エッジが判定できない。そのため、エッジを塗りつぶす処理を行うことができず、文字領域のスクリーンと、下地領域のスクリーンとの境界において、模様(テクスチャ)が発生することがある。
【0009】
また、たとえ内エッジが検出して塗りつぶし処理を行ったとしても、又は検出した文字属性を用いて塗りつぶし処理を行ったとしても、良好な処理結果は得られない。すなわち、塗りつぶし処理を行う場合、もともと精細な階調再現は望めないところ、所望の濃度よりも濃く塗りつぶしを行うようにするほかない。そのため、文字領域とその下地領域との明度差が小さい場合は、塗りつぶし処理を行うことにより、その部位の輪郭が非常に目立ち、見栄えが悪くなる。
【0010】
図19は、従来のスクリーン処理の一例について説明する第1の図である。
【0011】
図19において、上下2つの画像のうち、上段が入力画像500を示し、下段が従来のスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像510を示す。図を参照して、入力画像500として、着色された下地領域501上に下地領域501と異なる色で文字領域502が配置されているものを想定する。ここで、下地領域501の色は、茶色であり、文字領域502の色は、下地よりも明るいカーキ色である。入力画像500は、下地領域501と文字領域502との明度差が小さいものである。
【0012】
このような入力画像についてスクリーン処理が行われると、下地領域511と文字領域512とを含む出力画像510が得られる。下地領域511は、下地領域501に対応する明度である。文字領域512は、文字領域502に対応する明度である。文字領域512と下地領域511との境界部分では、エッジが判定されないので、この部分において塗りつぶす処理などが行われない。そのため、出力画像510では、文字領域512の輪郭部分で下地領域511とのテクスチャノイズが目立ってしまう。
【0013】
図20は、従来のスクリーン処理の別例について説明する第2の図である。
【0014】
図20において、上下2つの画像のうち、上段が入力画像600を示し、下段が従来のスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像610を示す。図を参照して、入力画像として、着色された下地領域601上に下地領域601と異なる色で文字領域602が配置されているものを想定する。ここで、下地領域601の色は、灰色であり、文字領域602の色は、下地領域601よりもわずかに明るい灰色である。入力画像600は、下地領域601と文字領域602との明度差が小さいものである。
【0015】
このような入力画像500についてスクリーン処理が行われると、下地領域611と文字領域612とを含む出力画像610が得られる。下地領域611は、下地領域601に対応する明度である。文字領域612は、文字領域602に対応する明度である。文字領域612と下地領域611との境界部分では、エッジが判定されないので、この部分において塗りつぶす処理などが行われない。この場合、下地領域611と文字領域612との明度差がほとんどないので、出力画像610では、文字領域612の輪郭部分で下地領域611とを判別しづらく、文字領域611が示す文字が読み取りにくくなってしまう。
【0016】
上記問題点に関して、特許文献1に記載の画像処理装置では、入力画像が処理されると、抽出したエッジの周囲画素を削除することで文字領域が背景から分離される。しかしながら、エッジ強度が高くても低くても同様に周辺画素の削除が行われるため、入力画像の情報が常にある程度損なわれるという問題がある。
【0017】
上記問題点に関して、特許文献2に記載の画像処理装置は、文字領域の外エッジ領域を置換する処理を行うことで文字の可読性を向上させる。しかしながら、この画像処理装置では、下地と文字の明度差が小さいときに発生する、スクリーンの干渉によるノイズや、文字と下地との境界の識別ができないといった課題を解決できない。
【0018】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置は、入力画像を読み込む読込手段と、読込手段により読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出手段と、文字領域のエッジ強度を算出する強度算出手段と、強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいて文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定する第1のエッジ判定手段と、境界検出手段による検出結果及び第1のエッジ判定手段の判定結果に基づいて、外エッジ領域を下地領域に拡張する拡張手段と、拡張手段により拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換手段と、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価手段とを備え、評価手段による評価結果に基づいて、拡張手段が拡張を行い、置換手段が置換を行う。
【0020】
好ましくは画像処理装置は、強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいてエッジ判定を行う第2のエッジ判定手段をさらに備え、評価手段は、文字領域の輪郭画素に対して第2のエッジ判定手段によりエッジ判定が行われたか否かを評価し、評価手段によりエッジ判定が行われなかったと評価されたとき、拡張手段が拡張を行い、置換手段が置換を行う。
【0021】
好ましくは画像処理装置は、第2のエッジ判定手段により判定されたエッジを強調する強調処理を行う強調処理手段をさらに備え、評価手段によりエッジ判定が行われたと評価されたとき、強調処理手段が強調処理を行う。
【0022】
好ましくは画像処理装置は、処理対象の領域の塗りつぶし処理を行う塗りつぶし手段をさらに備え、塗りつぶし手段は、強度算出手段により算出されたエッジ強度が所定の強度よりも高いとき、文字領域の輪郭画素に対して塗りつぶし処理を行う。
【0023】
好ましくは拡張手段は、強度算出手段により算出されたエッジ強度に応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、拡張を行う。
【0024】
好ましくは置換手段は、強度算出手段により算出されたエッジ強度に応じて置換データを生成し、生成した置換データで、置換を行う。
【0025】
好ましくは画像処理装置は、読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、評価手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素とその輪郭画素に隣接する下地領域の画素との明度差が所定値以下であるか否かを評価し、評価手段により明度差が所定値以下であると評価されたとき、拡張手段が拡張を行い、置換手段が置換を行う。
【0026】
好ましくは拡張手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素に隣接する下地領域の画素の明度に応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、拡張を行う。
【0027】
好ましくは置換手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素に隣接する下地領域の画素の明度に応じて置換データを生成し、生成した置換データで、置換を行う。
【0028】
好ましくは画像処理装置は、読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、拡張手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素の明度と輪郭画素に隣接する下地領域の画素の明度とに応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、拡張を行う。
【0029】
好ましくは画像処理装置は、読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、置換手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素の明度と輪郭画素に隣接する下地領域の画素の明度とに応じて置換データを生成し、生成した置換データで、置換を行う。
【0030】
好ましくは第1のエッジ判定手段は、強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいて文字領域と下地領域との境界の文字領域側の内エッジ領域を判定し、画像処理装置は、強度算出手段の算出結果と、境界検出手段の検出結果と、第1のエッジ判定手段による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、内エッジ領域の画像データ及び文字領域の輪郭領域の画像データを決定する処理を行う境界処理部をさらに備える。
【0031】
この発明の他の局面に従うと、画像形成装置は、上述のいずれかに記載の画像処理装置と、画像処理装置により処理された画像データに基づいてスクリーン画像を形成する画像形成部とを備える。
【0032】
この発明のさらに他の局面に従うと、スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置の制御方法は、入力画像を読み込む読込ステップと、読込ステップにより読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出ステップと、文字領域のエッジ強度を算出する強度算出ステップと、強度算出ステップにより算出されたエッジ強度に基づいて文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定するエッジ判定ステップと、境界検出ステップによる検出結果及びエッジ判定ステップの判定結果に基づいて、外エッジ領域を下地領域に拡張する拡張ステップと、拡張ステップにより拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換ステップと、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価ステップとを備え、評価ステップによる評価結果に基づいて、拡張ステップが拡張を行い、置換ステップが置換を行う。
【0033】
この発明のさらに他の局面に従うと、スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置の制御プログラムは、入力画像を読み込む読込ステップと、読込ステップにより読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出ステップと、文字領域のエッジ強度を算出する強度算出ステップと、強度算出ステップにより算出されたエッジ強度に基づいて文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定するエッジ判定ステップと、境界検出ステップによる検出結果及びエッジ判定ステップの判定結果に基づいて、外エッジ領域を下地領域に拡張する拡張ステップと、拡張ステップにより拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換ステップと、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価ステップとをコンピュータに実行させ、評価ステップによる評価結果に基づいて、拡張ステップが拡張を行い、置換ステップが置換を行う。
【発明の効果】
【0034】
これらの発明に従うと、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価結果に基づいて、外エッジ領域が下地領域に拡張され、置換手段により外エッジ領域の画像データが置換される。したがって、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像処理装置を備えた画像形成装置を示す側面図である。
【図2】制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】スクリーン処理を行うときの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第1の例を示す図である。
【図5】本実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第2の例を示す図である。
【図6】入力画像と入力画像のエッジ強度との関係の一例を示す図である。
【図7】第1の変型例におけるエッジ強度と外エッジ拡張量との関係を示すグラフである。
【図8】第1の変型例における出力画像を示す図である。
【図9】第2の変型例におけるエッジ強度と置換データの階調との関係を示すグラフである。
【図10】第2の変型例における出力画像を示す図である。
【図11】第2の実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第1の例を示す図である。
【図12】第2の実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第2の例を示す図である。
【図13】第3の実施の形態における入力画像と入力画像の明度・輝度換算値との関係の一例を示す図である。
【図14】第3の実施の形態における下地領域の明度及び文字領域の明度と外エッジ拡張量との関係を示すグラフである。
【図15】第3の実施の形態における出力画像の一例を示す図である。
【図16】第4の実施の形態における下地領域の明度及び文字領域の明度と置換データの階調との関係を示すグラフである。
【図17】スクリーン処理後の出力画像の一例について説明する第1の図である。
【図18】スクリーン処理後の出力画像の別例について説明する第2の図である。
【図19】従来のスクリーン処理の一例について説明する第1の図である。
【図20】従来のスクリーン処理の別例について説明する第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について説明する。
【0037】
画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。スキャナ機能は、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD(Hard Disk Drive)等に蓄積する機能である。複写機能は、さらにそれを用紙等に印刷(プリント)する機能である。プリンタとしての機能は、PC等の外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う機能である。ファクシミリ機能は、外部のファクシミリ装置等からファクシミリデータを受信してそれをHDD等に蓄積する機能である。データ通信機能は、接続された外部機器との間でデータを送受信する機能である。サーバ機能は、複数のユーザでHDD等に記憶したデータなどを共有可能にする機能である。
【0038】
画像形成装置は、例えばPDL(Page Description Language)で記述された描画データに基づいて画像形成可能である。描画データは、データ変換処理部(PDLインタープリタ)で解釈され、生成されたページごとの画像データに変換され、プリントエンジンに出力される。PDLインタープリタは、PDLで記述された描画データを解釈して、中間データに変換する言語解析部と、中間データをフレームに変換するラスタライズ部とを有する。フレームは、スクリーン処理が行われた後、プリンタエンジンに出力される。
【0039】
画像形成装置は、画像データについてスクリーン処理を行って印字する際、文字部とその周囲(下地)部の明度差が一定以内の場合など、エッジ強度や文字部及び周囲部の明度情報などに応じて置換領域と置換データとを決定し、文字部周辺の画素の階調を置換する。これにより、エッジ判別不可であるエッジ部分について、エッジ強度などに応じて分離処理を行うことができる。分離処理は、例えば、明度差が小さい箇所についてのみ行われる。分離処理が行われるため、原稿の情報を極力保持したまま、原稿の文字部について、可読性を向上できる。下地と文字部の明度差が小さい場合などでも、テクスチャの発生を防止でき、文字と下地の境界部の識別性を向上されることができる。
【0040】
[第1の実施の形態]
【0041】
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像処理装置を備えた画像形成装置を示す側面図である。
【0042】
図1を参照して、画像形成装置1は、自動原稿搬送装置10と、原稿読取部(読込手段の一例)20と、画像形成部30と、自動両面ユニット40と、給紙部50と、給紙キャビネット60と、操作パネル70と、ファクシミリユニット90と、通信インターフェース(I/F)ユニット91と、制御部(画像処理装置の一例)100と、HDD(Hard Disk Drive)120とを備えている。
【0043】
原稿読取部20は、画像形成装置1の上部に配置されている。原稿読取部20の上面には、プラテンガラス(図示せず)が配置されている。原稿読取部20は、プラテンガラスの下方に配置された読み取りセンサ(図示せず)を有している。
【0044】
自動原稿搬送装置10は、原稿給紙トレイ12上にセットされた複数の原稿を1枚ずつ原稿読取部20に搬送する。自動原稿搬送装置10は、各原稿をプラテンガラスに設定された所定の原稿読取位置まで搬送する。原稿読取部20の読み取りセンサにより原稿画像の読み取りが行われると、自動原稿搬送装置10は、原稿排紙トレイ13上に原稿を排出する。
【0045】
自動原稿搬送装置10は、原稿セットセンサ11を備えている。原稿セットセンサ11は、例えば、公知のタクトスイッチで構成されている。原稿セットセンサ11は、原稿が原稿給紙トレイ12にセットされたか否かを検出し、その検出信号を制御部100に送信する。
【0046】
原稿読取部20は、原稿読取位置に搬送された原稿の大きさなどに応じて、読み取りセンサにより、原稿画像を走査する。読み取りセンサは、原稿からの入射光を電気信号に変換する。原稿読取部20は、読み取りセンサにより読み取った画像を画像データとして制御部100に送信する。
【0047】
原稿読取部20は、装置持ち上げセンサ21を備えている。装置持ち上げセンサ21は、例えば公知の磁気センサで構成されている。装置持ち上げセンサ21は、自動原稿搬送装置10が原稿読取部20に対して持ち上げられたか否かを検出し、検出信号を制御部100に送信する。
【0048】
操作パネル70は、タッチパネル入力部71と、キー入力部72とを備える。操作パネル70は、例えば公知のユーザインターフェースにより、ユーザの操作入力を受け付け可能である。操作パネル70は、タッチパネル入力部71に種々の動作状況に応じた操作画面を表示し、ユーザのタッチ操作を受け付ける。キー入力部72は、例えば押下可能に配置されたキーとキーの押下に応じてオン/オフされるスイッチなどを有しており、ユーザの押下操作を受け付ける。制御部100は、操作パネル70により受け付けられた操作入力に応じて、画像形成装置1の動作を制御する。
【0049】
操作パネル70には、副電源スイッチ80が設けられている。副電源スイッチ80は、ユーザにより操作されるスイッチである。副電源スイッチ80が操作されると、画像形成装置1の動作モードが、画像形成動作などが行われる通常の動作モードから、スリープモードに移行する。ここで、スリープモードは、通常の動作モードに比べて限られた部位のみが駆動されている省電力動作モードである。ユーザは、画像形成装置1に対し、副電源スイッチ80を介して、スリープモードへの移行を直接指示することができる。
【0050】
制御部100は、後述するCPU101(図2に示す)などを有しており、種々の制御プログラムを実行することで、画像形成装置1の動作を制御する。制御部100は、原稿読取部20が送信した画像データが入力されると、その画像データに各種のデータ処理を施す。データ処理としては、例えばシェーディング補正処理などが行われる。制御部100は、データ処理後のデータを読み出して、画像形成動作に用いる信号(例えば、後述の露光レーザダイオードを駆動するための信号など)を出力する。データの読み出しは、用紙の供給と同期して、主走査ラインごとに行われる。
【0051】
ファクシミリユニット90は、公衆電話回線を介して画像データの送受信を行うためのインターフェースである。画像形成装置1は、ファクシミリユニット90を介して、公衆電話回線に接続されている。
【0052】
通信I/F(インターフェース)ユニット91は、例えば、パーソナルコンピュータなどが接続された外部ネットワーク(Local Area Network(LAN)など)に接続するためのインターフェースである。なお、通信I/Fユニット91は、USB(Universal Serial Bus)規格など他の通信規格に基づいて外部のネットワークや外部の装置に接続可能に構成されていてもよい。
【0053】
HDD120は、制御部100から送られてくる画像データを記憶する。なお、画像形成装置は、HDD120に代えて、SSD(Solid State Drive)など他種の記憶装置を有していてもよい。
【0054】
画像形成部30は、いわゆる電子写真方式により画像を形成する。画像形成部30は、カラー画像を形成可能である。画像形成部30は、感光体ドラム31a,31b,31c,31d(これらを代表させて感光体ドラム31と称することがある。)と、露光走査ユニット32a,32b,32c,32d(これらを代表させて露光走査ユニット32と称することがある。)と、転写ベルト33と、定着装置(図示せず)と、これらユニットを保護する前扉カバー(図示せず)と、前扉センサ34とを備える。感光体ドラム31a,31b,31c,31dと、露光走査ユニット32a,32b,32c,32dとは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色に対応したものである。
【0055】
画像形成部30は、制御部100の制御に基づいて、おおむね、以下のようにして画像形成動作を行う。すなわち、露光走査ユニット32は、制御部100から出力される駆動信号に基づいて、レーザ光を生成する。露光走査ユニット32は、生成したレーザ光を、感光体ドラム31上に露光走査する。感光体ドラム31に形成された潜像は、各色のトナーを用いて現像される。現像された各色のトナー像は、転写ベルト33に重ねて転写される。転写ベルト33に各色のトナー像がすべて重ね合わせられると、そのトナー像が、給紙部50から搬送される用紙に、転写ベルト33から転写される。転写されたトナー像は、定着装置(図示せず)による定着工程を経て用紙に定着し、用紙に画像が形成される。形成された画像は、画像形成装置1の外部に排出される。
【0056】
前扉センサ34は、タクトスイッチなどで構成されている。前扉センサ34は、前扉カバーが開放されたかどうかを検出し、その検出信号を制御部100に送信する。
【0057】
給紙部50は、給紙カセット51,53と、ピックアップローラ52,54とを備えている。また、給紙キャビネット60は、給紙カセット61,63と、ピックアップローラ62,64とを備えている。給紙カセット51,53,61,63には、画像が形成される用紙が収納されている。ピックアップローラ52,54,62,64は、それぞれ、給紙カセット51,53,61,63に対応するように設けられている。ピックアップローラ52,54,62,64は、給紙カセット51,53,61,63に収納されている用紙を繰り出すローラである。給紙部50は、画像形成動作時に、画像形成部30に用紙を搬送(補給)する。また、給紙キャビネット60は、画像形成動作時に、給紙部50を経由して、画像形成部30に用紙を搬送(補給)する。
【0058】
自動両面ユニット40は、用紙の両面に画像を形成する際(両面印刷時)に用いられる。自動両面ユニット40は、例えば、画像形成装置1の側方に設けられている。自動両面ユニット40は、用紙の反転経路を有している。反転経路は、画像形成装置1の内部の用紙の搬送路のうち、画像が形成された用紙が搬送される位置と、トナー像が転写される前の用紙が搬送される位置とを結ぶ経路である。両面印刷時において、定着装置を経由し片面に画像が形成された用紙は、画像形成装置1から完全に排出される前に、通紙経路上でスイッチバックされる。スイッチバックされた用紙は、自動両面ユニット40に導入される。自動両面ユニット40は、反転経路上で用紙を搬送し、用紙の搬送路のうちトナー像が転写される前の位置に用紙を送り込む。このようにして反転された用紙は、再度画像形成部30に搬送される。これにより、用紙の画像が形成されていない面に画像形成が行われる。両面に画像が形成された用紙は、画像形成装置1から排出される。
【0059】
図2は、制御部100の構成を示すブロック図である。
【0060】
図を参照して、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103を備えている。
【0061】
CPU101は、制御部100の各部及びHDD120とシステムバスなどを介して接続されており、制御部100の各部及びHDD120と通信可能である。また、CPU101は、原稿読取部20、操作パネル70、通信I/Fユニット91、画像形成部30などと通信可能である。
【0062】
HDD120は、画像データのほか、画像形成装置1の設定情報や、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラム120aなどを記憶する。HDD120は、1つのクライアントPC又は複数のクライアントPCなどから送信された複数のジョブを記憶可能である。
【0063】
ROM102は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM102には、画像形成装置1の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。ROM102には、HDD120と同様に、種々の制御プログラムや、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU101は、所定の処理を行うことにより、ROM102からのデータの読み込みや、ROM102へのデータの書き込みを行う。なお、ROM102は、書換え不可能なものであってもよい。
【0064】
RAM103は、CPU101のメインメモリである。RAM103は、CPU101が制御プログラム120aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
【0065】
CPU101は、ROM102、RAM103、又はHDD120などに記憶された制御プログラム120aなどを実行することにより、画像形成装置1の種々の動作を制御する。CPU101は、操作パネル70から操作信号が送られたり、外部のパーソナルコンピュータなどから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じて所定の制御プログラム120aを実行する。これにより、ユーザによる操作パネル70の操作などに応じて、画像形成装置1の所定の機能が実行される。
【0066】
制御部100は、さらに、画素属性検出部104、境界検出部(属性境界検出部)105、明度算出部(画素明度算出部)106、強度算出部(エッジ強度検出部)107、エッジ判定部(第1のエッジ判定手段の一例;第2のエッジ判定手段の一例)108、拡張部(特定領域拡張部)109、強調処理部(塗りつぶし手段の一例;エッジ強調部)110、置換部(画像階調置換部)111、及びスクリーン変換部112を備えている。
【0067】
CPU101は、画素属性検出部104、境界検出部105、明度算出部106、強度算出部107、エッジ判定部108、拡張部109、強調処理部110、置換部111、及びスクリーン変換部112などの制御を行う。これにより、制御部100は画像処理装置として動作する。制御部100は、画像処理として、以下のように、画像データについてスクリーン処理を行うことができる。すなわち、制御部100は、画像形成部30において印字されるスクリーン画像を出力する。画像形成部30は、CPU101による制御の下、スクリーン画像に基づいて、用紙に画像形成を行う。
【0068】
CPU101は、例えば原稿読取部20で読み取った原稿の画像データなどを入力画像として読み込む。
【0069】
画像属性検出部104は、入力画像について、文字領域と、文字領域以外の下地領域(画像領域など)とを判別する。原稿属性検出部104は、入力画像の各画素について、文字領域の画素であるか、下地領域の画素であるかを属性付ける。
【0070】
境界検出部105は、入力画像について、画像属性検出部104により判別された文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する。すなわち、境界検出部105は、入力画像に存在する、文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する。
【0071】
明度算出部106は、入力画像の各画素の明度又は輝度(以下、単に明度と称することがある)を算出する。明度の算出は、入力画像の各画素のRGB画像データについて、YCrCb変換又はLab変換を行うことで、行われる。
【0072】
強度算出部107は、入力画像の各画素におけるエッジ強度を算出する。エッジ強度の算出は、例えば、1次微分フィルタ演算及び2次微分フィルタ演算により行われる。
【0073】
エッジ判定部108は、各画素について、強度算出部107で算出したエッジ強度に基づいて、エッジ判定を行う。すなわち、エッジ判定部108は、各画素について、エッジ強度が一定のしきい値を越える場合に、その画素をエッジ(エッジである画素)であると判定する。
【0074】
ここで、エッジ判定部108は、エッジ強度に基づいて、文字領域の内エッジ領域と外エッジ領域とを判定する。文字領域の外エッジ領域は、文字領域の輪郭の外側を構成する画素で構成される領域である。換言すると、外エッジ領域の画素(外エッジ)は、文字境界下地属性の画素(文字領域と下地領域との境界の下地領域側の画素)である。文字領域の内エッジ領域は、文字領域の輪郭の内側を構成する画素で構成される領域である。換言すると、内エッジ領域の画素(内エッジ)は、下地境界文字属性の画素(文字領域と下地領域との境界の文字領域側の画素)である。エッジ判定部108は、文字領域の輪郭画素に対してエッジ判定を行うとともに、内エッジ領域と外エッジ領域とを判定可能である。
【0075】
拡張部109は、境界検出部105による検出結果及びエッジ判定部108の判定結果に基づいて、文字領域の外エッジ領域を下地領域に拡張する拡張処理を行う。拡張処理を行うか否かは、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価結果に基づいて決定される。評価は、例えば、エッジ判定部108の判定結果や明度算出部106の算出結果などに基づいて、CPU101により行われる。拡張部109は、注目画素について、所定の条件を満たすと評価されたとき、その注目画素を外エッジ領域の画素として拡張する。
【0076】
本実施の形態において、例えば以下のような所定の条件が満たされているとき、拡張処理が行われる。すなわち、注目画素が、画像属性検出部104で文字領域である(文字属性を有する)と検出され、かつ、境界検出部105で文字領域と下地領域との境界であると検出されたものであって、エッジ判定部108でエッジ判定がされなかったとき、その注目画素について拡張処理が行われる。換言すると、拡張部109は、文字領域の輪郭画素に対してエッジ判定部108によりエッジ判定が行われなかったとき、拡張処理を行う。拡張処理は、文字領域の下地領域との境界であると検出された画素について強度算出部107で算出されたエッジ強度が一定のしきい値を超えなかった場合に、行われる。
【0077】
強調処理部110は、エッジ判定部108でエッジであると判定(エッジ判定)された画素について、エッジ強調処理(以下、単に強調処理と称することがある。)を行う。強調処理部110は、シャープネスフィルタ処理を行うことなどにより、エッジ判定部108により判定されたエッジを強調する。本実施の形態において、文字領域の輪郭画素に対してエッジ判定部108によりエッジ判定されたとき、強調処理部110が強調処理を行う。
【0078】
強調処理は、スクリーン変換部112により入力画像についてスクリーン処理が行われ、スクリーン変換された後に行われてもよい。すなわち、強調処理は、スクリーン変換される画像のうち、エッジ強調対象画素についてのみ、スクリーン変換を行わずにベタ(塗りつぶし)で印字することにより、行われてもよい。
【0079】
置換部111は、拡張部109により拡張された外エッジ領域の画素の画像データを置換データに置換する。すなわち、データの置換処理は、画像属性検出部104で文字領域であると検出され、かつ、境界検出部105で文字領域と下地領域の境界であると検出された注目画素について、エッジ判定部108でエッジ判定がされなかったときに実行される。換言すると、置換処理は、文字領域の下地領域との境界であると検出された画素について強度算出部107で算出されたエッジ強度が一定のしきい値を越えなかった場合に、実行される。
【0080】
スクリーン変換部112は、入力画像について入力画像の各部の階調などに応じてディザマトリクス法などによりスクリーン処理を行い、入力画像をスクリーン画像に変換する。
【0081】
図3は、スクリーン処理を行うときの制御部100の動作を示すフローチャートである。
【0082】
以下、スクリーン処理の一例として、原稿読取部20により読み取った画像を入力画像として実行されるスクリーン処理の流れについて説明する。画像形成装置1は、これに限られず、例えばユーザから画像形成装置1に送信された画像や、画像形成装置1内のHDD120などに記憶されている画像について、スクリーン処理を行うようにしてもよい。それらの場合も、原稿読取部20により読み取った画像を入力画像として実行する場合と同様にして、スクリーン処理を行うことができる。
【0083】
図3を参照して、ステップS100において、CPU101は、原稿読取部(スキャナ)20により原稿を読み取る。
【0084】
ステップS101において、CPU101は、画像属性検出部104により、原稿読取部20で読み取った画像データ(入力画像)について、属性検出を行う。画像属性検出部104により、入力画像における文字領域と下地領域とが検出される。
【0085】
ステップS102において、CPU101は、文字領域の画素について、強度算出部107によりエッジ強度を算出する。このとき、強度算出部107は、下地領域の画素についてもエッジ強度を算出してもよい。
【0086】
ステップS103において、CPU101は、文字領域の画素について、エッジ判定部108により算出されたエッジ強度に基づいて、エッジ判定を行う。
【0087】
ステップS104において、CPU101は、各画素を注目画素として、その画素について、文字領域と下地領域との境界部の画素であるか否かを判断する。
【0088】
ステップS104で境界部の画素であるとき、ステップS105において、CPU101は、その注目画素がエッジであるか否か、すなわちその注目画素がエッジ判定されたか否かを判断(評価)する。
【0089】
ステップS105で注目画素がエッジ画素であるとき、ステップS106において、CPU101は、強調処理部110により強調処理を行う。文字領域であって下地領域との境界部にある、エッジ判定された注目画素について、エッジ強調処理が行われる。
【0090】
他方、ステップS105で注目画素がエッジ画素でないとき、ステップS107において、CPU101は、拡張部109により、注目画素に隣接する下地領域(外エッジ領域)を拡張する処理を行う。文字領域であって下地領域との境界部にある、エッジ判定されていない注目画素について、拡張処理が行われる。
【0091】
ステップS108において、CPU101は、置換部111により、ステップS107で拡張された外エッジ領域の画素の画像データの置換処理を行う。
【0092】
ステップS106で強調処理が終わったとき、又はステップS108で置換処理が終わったとき、CPU101は、一連の処理を終了する。ステップS104で注目画素が文字領域との境界部の画素でないとき、その注目画素については、CPU101は、一連の処理を終了する。
【0093】
なお、エッジ強調処理、拡張処理、置換処理は、ステップS104において文字領域との境界部の画素であると判断された画素について、画素ごとに別々に行われてもよいし、対象となる画素についてまとめて処理などを行い、置換処理を行うようにしてもよい。
【0094】
[強調処理の説明]
【0095】
本実施の形態において、強調処理部110は、処理対象の領域の塗りつぶし処理を行って、強調処理を行う。強調処理部110は、強度算出部107により算出されたエッジ強度が所定の強度(しきい値)よりも高いとき、文字領域の輪郭画素に対して、塗りつぶし処理を行う。
【0096】
図4は、本実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第1の例を示す図である。
【0097】
図4の上段には、スクリーン処理の対象となる入力画像200が示され、図4の中段には、入力画像200について算出されたエッジ強度を示すグラフが示されている。グラフにおいて、エッジ強度は、中央(ゼロ)から上下に離れるに従って、大きくなる。図4の下段には、入力画像200についてスクリーン処理が行われたときに出力される出力画像210が示されている。図4において、入力画像200と、グラフと、出力画像210とは、横方向の位置が上下で互いに対応するものになるように、縦方向に並んでいる。
【0098】
図4を参照して、入力画像200は、下地領域201と、両側の下地領域201間に配置された文字領域202とを有している。下地領域201と文字領域202との境界は比較的はっきりとしている。そのため、入力画像200のエッジ強度は、下地領域201と文字領域202との境界部分の外エッジ及び内エッジにおいて、所定のエッジ検出しきい値よりも大きくなる。すなわち、入力画像200は、下地領域201と文字領域202との境界部分の画素において、エッジ判定される。
【0099】
出力画像210は、下地領域211と、文字領域212と、塗りつぶし部215とを有している。下地領域211は下地領域201の明度に対応するスクリーン画像に、文字領域212は文字領域202の明度に対応するスクリーン画像に、それぞれ変換されている。
【0100】
ここで、文字領域212の内エッジ領域の画像データ及び文字領域212の輪郭領域の画像データは、強度算出部107の算出結果と、境界検出部105の検出結果と、エッジ判定部108による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、例えばCPU101により決定される。入力画像200について、下地領域201と文字領域202との境界部分のエッジ強度がエッジ検出しきい値よりも大きく、エッジ判定が行われている。そのため、エッジ強調処理として、内エッジの塗りつぶし処理が行われ、出力画像210が出力される。塗りつぶし処理は、例えば、強調処理部110において行われる。塗りつぶし処理が内エッジについて行われることで、出力画像210においては、文字領域212のうち下地領域211の近傍の内エッジに、塗りつぶし部215が設けられる。このように内エッジが塗りつぶし処理(FEET処理、ベタ処理)されることにより、出力画像210において、下地領域211と文字領域212とのエッジが強調され、文字と下地との境界がくっきり再現される。
【0101】
なお、強調処理としては、上述のような塗りつぶし処理のほか、種々の処理方法を採用することができる。
【0102】
[拡張処理及び置換処理の説明]
【0103】
本実施の形態において、拡張部109は、例えば、強度算出部107により算出されたエッジ強度に応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、外エッジ領域を拡張する。
【0104】
図5は、本実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第2の例を示す図である。
【0105】
図5においても、図4と同様に、上段、中段、下段の順に、入力画像220、入力画像200について算出されたエッジ強度を示すグラフ、入力画像220についてスクリーン処理が行われたときに出力される出力画像230が示されている。グラフにおいて、エッジ強度は、中央(ゼロ)から上下に離れるに従って、大きくなる。図5においても、入力画像220と、グラフと、出力画像230とは、横方向の位置が上下で互いに対応するものになるように、縦方向に並んでいる。
【0106】
図5を参照して、入力画像220は、下地領域221と、両側の下地領域221間に配置された文字領域222とを有している。下地領域221と文字領域222との境界は、図4に示す入力画像200のそれと比較して、はっきりとはしていない。入力画像220のエッジ強度は、下地領域221と文字領域222との境界部分においても、所定のエッジ検出しきい値に満たない。すなわち、入力画像220は、下地領域221と文字領域222との境界部分の画素において、エッジ判定されない。
【0107】
出力画像230は、下地領域231と、文字領域232と、置換領域235a,235b(まとめて置換領域235と称することがある。)とを有している。下地領域231は下地領域221の明度に対応するスクリーン画像に、文字領域232は文字領域222の明度に対応するスクリーン画像に、それぞれ変換されている。
【0108】
ここで、文字領域232の内エッジ領域の画像データ及び文字領域232の輪郭領域の画像データは、強度算出部107の算出結果と、境界検出部105の検出結果と、エッジ判定部108による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、CPU101により決定される。図5のグラフを参照して、入力画像220について、下地領域221と文字領域222との境界部分のエッジ強度はエッジ検出しきい値よりも小さく、エッジ判定が行われていない。そのため、本実施の形態では、入力画像200について、拡張部109により拡張処理が行われ、置換部111により置換処理が行われる。入力画像200については、上述のような塗りつぶし処理は行われない。
【0109】
すなわち、文字領域と下地領域との境界部において、拡張処理により、下地領域側の外エッジ領域が拡張される。本実施の形態において、拡張処理により拡張された領域は、置換処理により、白データに置換される。これにより、出力画像230において、置換領域235が設けられる。換言すると、拡張処理により外エッジ領域が下地領域側に拡張され、拡張された外エッジ領域が置換処理により置換されることで、置換領域235が設けられる。このように白データに置換された置換領域235が文字領域232と下地領域231との境界部分に設けられ、文字領域232と下地領域231とがいわば分離されるので、出力画像230において、文字と下地の境界がくっきりと再現される。下地領域231のうち文字領域232に近い部分が置換領域235とされるので、文字領域202にはほとんど影響はなく、入力画像220の再現性が高い出力画像230が得られる。
【0110】
このように、第1の実施の形態では、入力画像の文字領域の輪郭画素について、エッジ検出された場合には強調処理が行われ、エッジ検出されなかった場合には、注目画素に隣接する下地領域の画素の領域が拡張され、白データに置換される。したがって、エッジ検出の有無にかかわらず、下地領域と文字領域との境界がくっきりと再現され、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能になる。
【0111】
[第1の実施の形態の変型例]
【0112】
図6は、入力画像と入力画像のエッジ強度との関係の一例を示す図である。
【0113】
以下の変型例の説明では、一例として、図5で示した入力画像220と同様のものを入力画像として、スクリーン処理を行い、図5で示した出力画像230と同様のものが出力画像として出力される場合を想定する。図6に示すように、入力画像220は下地領域221と文字領域222との明度差が比較的小さいものである。そのため、図6でグラフに示されるように、入力画像220のエッジ強度は、エッジ検出しきい値よりも大きくなることはない。図6に示す例では、「0」からエッジ検出しきい値までのエッジ強度の範囲を0パーセント〜100パーセントとしたとき、エッジ強度の最大値は、0パーセントと100パーセントとの間のαパーセントである。
【0114】
第1の実施の形態において、拡張部109は、強度算出部107により算出されたエッジ強度に応じて、外エッジ領域を拡張する際の拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、外エッジ領域を拡張するようにしてもよい(第1の変型例)。
【0115】
図7は、第1の変型例におけるエッジ強度と外エッジ拡張量との関係を示すグラフである。
【0116】
図7を参照して、第1の変型例において、拡張処理により外エッジ領域が拡張される量(外エッジ拡張量H(dot);拡張サイズの一例)は、エッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値に比例するように設定されている。外エッジ拡張量Hは、エッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値が「0」から「1」に近づくにつれて、徐々に小さくなる。すなわちエッジ強度が大きく、エッジ検出しきい値に近いほど、外エッジ拡張量Hは小さくなる。拡張部109は、強度算出部107により算出されたエッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値の最大値(αパーセント)に対応する外エッジ拡張量Hを算出する。
【0117】
図8は、第1の変型例における出力画像を示す図である。
【0118】
図8を参照して、出力画像230において、拡張処理は、外エッジ拡張量Hに応じたサイズで外エッジ領域を拡張することにより行われる。拡張された外エッジ領域が、置換領域235となる。第1の変型例において、置換領域235すなわち拡張後の外エッジ領域の幅(下地領域231と文字領域232との間隔)が外エッジ拡張量H(dot)になるように、拡張処理及び置換処理が行われる。
【0119】
このようにエッジ強度に応じて外エッジ領域の拡張量が設定されて拡張処理及び置換処理が行われるので、エッジ強度が小さくても、置換領域235が幅広くなって文字領域232と下地領域231とがはっきりと分離される。他方、エッジ強度が大きく文字領域232と下地領域231とが比較的判別しやすい場合には、置換領域235が狭くなる。したがって、入力画像の情報をできるだけ多く保持しつつ、可読性を向上させることができる。
【0120】
第1の実施の形態において、拡張処理により拡張された外エッジ領域の置換データは、白データに限られるものではない。例えば、白色でなくても、下地領域より明度が高い色であってもよいし、他の色であってもよい。置換部111は、例えば、強度算出部107で算出したエッジ強度に応じて置換データを生成し、生成した置換データで置換対象画素の画像データを置換するようにしてもよい(第2の変型例)。
【0121】
図9は、第2の変型例におけるエッジ強度と置換データの階調との関係を示すグラフである。
【0122】
図9を参照して、第2の変型例においては、置換処理により置換される置換データの階調(例えば、明度など)Cは、エッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値に比例するように設定されている。階調Cは、エッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値が「0」から「1」に近づくにつれて、徐々に低くなる。すなわち、エッジ強度が大きく、エッジ検出しきい値に近いほど、置換データの階調Cは低くなる(例えば、明度が低くなる)。置換部111は、強度算出部107により算出されたエッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値の最大値(αパーセント)に対応する階調Cを算出する。
【0123】
図10は、第2の変型例における出力画像を示す図である。
【0124】
図10を参照して、出力画像230において、置換処理は、拡張された外エッジ領域すなわち置換領域235の画像データを、階調Cの置換データで置換することで行われる。なお、置換データの階調C(明度など)は、例えば、入力画像の下地領域221の明度と同程度の明度を最低でも有するものとすればよい。
【0125】
このように、第2の変型例において、置換領域235の置換データの階調Cは、エッジ強度に応じて設定されるので、エッジ強度が小さいほど、置換領域235の画像データはより階調が高い(例えば、明度が高く、白色に近い)ものとなり、文字領域232と下地領域231とがはっきりと分離される。他方、エッジ強度が大きく文字領域232と下地領域231とが比較的判別しやすい場合には、置換領域235の画像データは階調が低い(例えば、明度が低い)ものとなり、出力画像において入力画像の情報が比較的保持される。したがって、入力画像の情報をできるだけ多く保持しつつ、可読性を向上させることができる。
【0126】
なお、上記第1の変型例と第2の変型例とを組み合わせてもよい。すなわち、エッジ強度に応じて、置換領域235すなわち外エッジ領域の拡張量と、置換データとの両方が決定されるようにしてもよい。
【0127】
[第2の実施の形態]
【0128】
第2の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第2の実施の形態においては、拡張処理などが行われる所定の条件が、第1の実施の形態における条件とは異なる。
【0129】
第2の実施の形態において、拡張部109は、画像属性検出部104及び境界検出部105で検出された、内エッジ領域の画素と外エッジ領域の画素とについて明度算出部106で算出した明度差に応じて、拡張処理を行う。
【0130】
図11は、第2の実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第1の例を示す図である。
【0131】
図11において、上段に示す入力画像200と下段に示す出力画像210とは、図4において示したそれと略同じものである。図11の中段には、入力画像200について明度算出部106で算出された明度・輝度換算値(以下、明度値と称することがある。)を示すグラフが示されている。図11において、入力画像200と、グラフと、出力画像210とは、横方向の位置が上下で互いに対応するものになるように、縦方向に並んでいる。
【0132】
図11に示されるグラフにおいて、明度値は、上方に向かって大きくなる。入力画像200の下地領域201の明度Yaは文字領域202の明度Ybよりも高いので、グラフは、文字領域202に対応する中央部が低くなったくぼみ形状になる。
【0133】
ここで、第2の実施の形態において、CPU101は、入力画像200の明度差すなわち文字領域202の輪郭画素(内エッジ領域の画素)とその輪郭画素に隣接する下地領域201の画素(外エッジ領域の画素)との明度差(Ya−Yb)が、所定値Ref以下であるか否かを評価する。明度差が所定値より大きいと評価されたとき、すなわち(Ya−Yb)>Refが成り立つ場合、強調処理部110は、文字領域202の輪郭画素に対して、塗りつぶし処理を行う。塗りつぶし処理は、例えば上述の第1の実施の形態と同様にして行われる。すなわち、文字領域212のうち下地領域211の近傍の内エッジに塗りつぶし部215が設けられた出力画像210が出力される。これにより、出力画像210は、下地領域211と文字領域212とのエッジが強調され、文字と下地との境界がくっきりと再現されたものとなる。
【0134】
図12は、第2の実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第2の例を示す図である。
【0135】
図12において上段に示す入力画像220と下段に示す出力画像230とは、図5において示したそれと略同じものである。図12の中段には、入力画像220について明度算出部106で算出された明度値を示すグラフが示されている。図12において、入力画像220と、グラフと、出力画像230とは、横方向の位置が上下で互いに対応するものになるように、縦方向に並んでいる。図12に示されるグラフにおいても、明度値は、情報に向かって大きくなる。入力画像220の下地領域221の明度Yaは文字領域222の明度Ybよりも高いので、グラフは、文字領域222に対応する中央部が低くなったくぼみ形状になる。
【0136】
ここで、第2の実施の形態において、CPU101により文字領域202の輪郭画素とその輪郭画素に隣接する下地領域201の画素との明度差(Ya−Yb)が所定値Ref以下であると評価されたとき、すなわち(Ya−Yb)≦Refが成り立つ場合、拡張処理及び置換処理が行われる。拡張処理及び置換処理は、拡張部109により、例えば第1の実施の形態と同様にして行われる。すなわち、拡張部109は、入力画像220の外エッジ領域を下地領域221に拡張する。そして、置換部111は、拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する。これにより、出力画像230において、下地領域231と文字領域232との間に置換領域235が設けられる。換言すると、拡張処理により外エッジ領域が下地領域側に拡張され、拡張された外エッジ領域が置換処理により置換されることで、置換領域235が設けられる。
【0137】
外エッジ領域の画像データは、例えば白色の置換データで置換される。白色の置換領域235が設けられることにより、出力画像230において、下地領域231と文字領域232とが分離される。したがって、出力画像230において、文字と下地の境界がくっきりと再現される。下地領域231のうち文字領域232に近い部分が置換領域235とされるので、文字領域202にはほとんど影響はなく、入力画像220の再現性が高い出力画像230が得られる。
【0138】
なお、このようにスクリーン処理が行われるとき、文字領域232の内エッジ領域の画像データ及び文字領域232の輪郭領域の画像データは、例えば、強度算出部107の算出結果と、境界検出部105の検出結果と、エッジ判定部108による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、CPU101により決定されればよい。
【0139】
このように、第2の実施の形態では、入力画像の文字領域の輪郭画素とその輪郭画素に隣接する下地領域の画素との明度差が所定値以下であるときに、拡張処理及び置換処理が行われて下地領域と文字領域とが分離される。下地領域と文字領域との明度差が小さいときにも下地領域と文字領域との境界がくっきりと再現されテクスチャノイズが発生しない。そのため、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能になる。
【0140】
[第3の実施の形態]
【0141】
第3の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第2の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第3の実施の形態においては、拡張処理における拡張サイズが明度に基づいて決定される点が、第2の実施の形態とは異なる。
【0142】
第3の実施の形態において、拡張部109は、明度算出部106により算出された文字領域222の輪郭画素の明度とその輪郭画素に隣接する下地領域221の画素の明度とに応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、外エッジ領域を拡張する。
【0143】
図13は、第3の実施の形態における入力画像と入力画像の明度・輝度換算値との関係の一例を示す図である。
【0144】
以下の第3の実施の形態の説明では、一例として、図12で示した入力画像220と同様のものを入力画像として、スクリーン処理を行い、図12で示した出力画像230と同様のものが出力画像として出力される場合を想定する。図13に示すように、入力画像220は下地領域221と文字領域222との明度差が比較的小さいものである。図13のグラフに示されるように、入力画像220において、下地領域221の明度Yaと文字領域222の明度Ybとの差は、所定値Refよりも小さい。そのため、入力画像220についてスクリーン処理が行われるとき、拡張処理及び置換処理が行われる。
【0145】
図14は、第3の実施の形態における下地領域221の明度Ya及び文字領域222の明度Ybと外エッジ拡張量との関係を示すグラフである。
【0146】
図14を参照して、第3の実施の形態において、拡張部109により決定される外エッジ領域が拡張される量(外エッジ拡張量H(dot))は、下地領域221の明度Ya及び文字領域222の明度Yb(例えば、明度Yaと明度Ybの平均値など。;以下、明度Ya,Ybと称することがある。)に比例するように設定されている。外エッジ拡張量Hは、明度Ya,Ybが「0」から「100」に近づくにつれて、徐々に大きくなる。すなわち入力画像の明度が低いほど、外エッジ拡張量Hは小さくなる。
【0147】
入力画像220は、図13のグラフに示されるように、下地領域221の明度Yaと文字領域222の明度Ybとが共に比較的低いものである。そのため、入力画像220のスクリーン処理時においては、下地領域221と文字領域222との境界部の外エッジ領域の拡張量が抑えられる。他方、仮に下地領域の明度Yaと文字領域の明度Ybとが共に比較的高い入力画像について拡張処理が行われるときには、外エッジ拡張量は比較的大きくなる。
【0148】
図15は、第3の実施の形態における出力画像230の一例を示す図である。
【0149】
第3の実施の形態において出力される出力画像は、上述の第2の実施の形態で示した出力画像230と同様のものである。すなわち、出力画像230において、下地領域231と文字領域232との間には、置換領域235が設けられている。ここで、拡張処理により拡張量が抑えられると、外エッジ領域の拡張量が少なくなったり、拡張されなくなったりする。そのため、置換領域235が小さくなる。
【0150】
このように、第3の実施の形態によれば、入力画像220の内容すなわち文字領域222と下地領域221と明度情報に応じて、より適切に拡張処理が行われる。したがって、入力画像の情報がより多く保持され、高い可読性を有する出力画像230を得ることができる。
【0151】
なお、外エッジ拡張量Hは、入力画像の下地領域221と文字領域222との明度差に応じて決定されてもよい。例えば、明度差が小さいほど、外エッジ拡張量Hが大きくなるようにしてもよい。
【0152】
[第4の実施の形態]
【0153】
第4の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第2の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第4の実施の形態においては、置換処理における置換データが明度に基づいて決定される点が、第2の実施の形態とは異なる。以下、一例として、上記図13に示した入力画像220についてスクリーン処理が行われる場合について説明する。
【0154】
第4の実施の形態において、置換部111は、明度算出部106により算出された文字領域222の明度と輪郭画素に隣接する下地領域221の画素の明度とに応じて置換データを生成し、生成した置換データで外エッジ領域の画像データを置換する。
【0155】
図16は、第4の実施の形態における下地領域221の明度Ya及び文字領域222の明度Ybと置換データの階調との関係を示すグラフである。
【0156】
図16を参照して、置換部111により生成される置換データの階調(例えば、明度など)Cは、明度Ya,Ybに比例するように設定されている。置換データの階調Cは、明度Ya,Ybが「0」から「100」に近づくにつれて、徐々に大きくなる。すなわち入力画像の明度が高いほど、置換データの階調Cは大きくなる(例えば、明度が高くなる)。
【0157】
入力画像220は、図13のグラフに示されるように、下地領域221の明度Yaと文字領域222の明度Ybとが共に比較的低いものである。そのため、入力画像220のスクリーン処理時においては、置換部111は、階調Cが比較的低い置換データ(例えば、明度が低い置換データなど)を生成し、外エッジ領域をその置換データで置換する。他方、仮に下地領域の明度Yaと文字領域の明度Ybとが共に比較的高い入力画像について拡張処理が行われるときには、階調Cが比較的高い置換データ(例えば、明度が高い置換データなど)で外エッジ領域が置換される。
【0158】
第4の実施の形態では、明度Ya,Ybに応じた階調の置換データで置換処理が行われ、出力画像が出力される。したがって、置換データの階調が、下地領域の画像データの階調や文字領域の画像データなどとマッチしたものになる。例えば、明度Ya,Ybが比較的低い入力画像について置換処理が行われるとき、置換データとして明度が低い暗めのデータが生成され、置換処理が行われる。これにより、より自然な色調の出力画像を得ることができる。
【0159】
[実施の形態における効果]
【0160】
以上のように構成された画像形成装置では、文字領域と下地領域との境界部分においてエッジ判定されなかったり明度差が所定値より小さかったりする所定の場合に、拡張処理と置換処理とが行われる。これにより、上記所定の場合には、文字領域と下地領域とが分離された出力画像が得られ、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能である。
【0161】
図17は、スクリーン処理後の出力画像の一例について説明する第1の図である。
【0162】
図17において、上下3つの画像のうち、上段が入力画像500を示し、中断が従来のスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像510を示し、下段が上記実施の形態のいずれかの画像形成装置によりスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像550の一例を示す。入力画像500として、着色された下地領域501上に下地領域501と異なる色で文字領域502が配置されているものを想定する。入力画像500は、上述の図19に記載のものと同一のものである。すなわち、下地領域501の色は、茶色であり、文字領域502の色は、下地よりも明るいカーキ色である。入力画像500は、下地領域501と文字領域502との明度差が小さいものである。入力画像500は、下地領域501と文字領域502との境界においてエッジ判定部108によるエッジ判定が行われないようなものである。
【0163】
このような入力画像についてスクリーン処理が行われると、下地領域551と文字領域552とを含む出力画像550が得られる。下地領域551は、下地領域501に対応する明度である。文字領域552は、文字領域502に対応する明度である。
【0164】
従来、上記のような入力画像500についてスクリーン処理が行われると、出力画像510のように、文字領域の輪郭部分でテクスチャノイズが目立つ可能性がある。これに対して、以上のように構成された画像形成装置で出力される出力画像550では、エッジの強調処理、又は外エッジ領域の拡張処理及び置換処理により、文字領域552の輪郭部分で下地領域551と文字領域552とが確実に分離される。したがって、文字領域の輪郭部分でテクスチャノイズが発生することが防止され、かつ、文字の可読性を向上させることができる。
【0165】
図18は、スクリーン処理後の出力画像の別例について説明する第2の図である。
【0166】
図18において、上下3つの画像のうち、上段が入力画像600を示し、中断が従来のスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像610を示し、下段が上記実施の形態のいずれかの画像形成装置によりスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像650の一例を示す。図を参照して、入力画像として、着色された下地領域601上に下地領域601と異なる色で文字領域602が配置されているものを想定する。入力画像600は、上述の図20に記載のものと同一のものである。ここで、下地領域601の色は、灰色であり、文字領域602の色は、下地領域601よりもわずかに明るい灰色である。入力画像600は、下地領域601と文字領域602との明度差が比較的小さいものである。
【0167】
このような入力画像についてスクリーン処理が行われると、下地領域651と文字領域652とを含む出力画像650が得られる。下地領域651の画素の明度は、下地領域601の画素の明度に対応する明度である。文字領域652の画素の明度は、文字領域602の画素の明度に対応する明度である。
【0168】
従来、上記のような入力画像600についてスクリーン処理が行われると、出力画像610のように、文字領域と下地領域との明度差がほとんどなくなり、文字を判別しにくくなる場合がある。これに対して、以上のように構成された画像形成装置で出力される出力画像650では、エッジの強調処理、又は外エッジ領域の拡張処理及び置換処理により、文字領域652の輪郭部分で下地領域651と文字領域652とが確実に分離される。したがって、テクスチャノイズの発生を防止でき、かつ、文字の可読性を向上させることができる。
【0169】
[その他]
【0170】
エッジ検出しきい値、明度差が大きいか否かの基準値となる所定値、及びその他の設定値などは、入力画像の情報を多く保ちつつ可読性が高い出力画像が出力されるように、適宜適当な値に設定されればよい。
【0171】
上記第2の実施の形態において、画素の明度情報そのものに応じて拡張処理及び置換処理が行われるようにしてもよい。例えば、下地領域の画素の明度が所定のしきい値よりも低い場合に、外エッジ領域の拡張が行われるようにしてもよい。
【0172】
上記の実施の形態やその変型例のそれぞれを適宜組み合わせて画像形成装置が構成されてもよい。例えば、拡張部は、上記のエッジ判定されたか否かの評価結果及び明度差が所定値以上であるか否かの評価結果の両方の評価結果に応じて拡張処理を行ったり、エッジ強度及び明度差の両方に基づいて拡張処理時の拡張サイズを決定したりしてもよい。同様に、置換部は、エッジ強度及び明度差の両方に基づいて置換データの階調などを決定してもよい。また、上記第1の実施の形態において、拡張処理や置換処理が行われるとき、拡張サイズ(外エッジ拡張量)の決定や置換データの生成が、明度算出部により算出された明度に応じて行われるようにしてもよい。
【0173】
画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。画像形成装置は、電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
【0174】
本発明は、画像形成装置に限られるものではなく、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置に広く適用可能である。例えば、通信可能に接続された外部の画像形成装置にスクリーン画像を出力する機能を有する画像処理装置にも適用可能である。
【0175】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
【0176】
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
【0177】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0178】
1 画像形成装置(画像処理装置の一例)
10 原稿読取部(読込手段の一例)
30 画像形成部
100 制御部(画像処理装置の一例)
101 CPU(評価手段の一例)
104 画素属性検出部
105 境界検出部(境界検出手段の一例)
106 明度算出部(明度算出手段の一例)
107 強度算出部(強度算出手段の一例)
108 エッジ判定部(第1のエッジ判定手段の一例、第2のエッジ判定手段の一例)
109 拡張部(拡張手段の一例)
110 強調処理部(強調処理手段の一例、塗りつぶし手段の一例)
111 置換部(置換手段の一例)
120a 制御プログラム
H 外エッジ拡張量(拡張サイズの一例)
200,220,500,600 入力画像
201,221,501,601 (入力画像の)下地領域
202,222,502,602 (入力画像の)文字領域
210,240,550,650 出力画像
211,231,551,651 (出力画像の)下地領域
212,232,552,652 (出力画像の)文字領域
215 塗りつぶし部
235,235a,235b 置換領域
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムに関し、特に、画像データについてスクリーン処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)などにおいて行われる画像処理としては、主に解像度再現に適した誤差拡散と、粒状性に優れたスクリーン処理とがある。例えば、画像形成装置において設けられているスクリーン処理を行う画像処理装置では、ページごとに画像データを生成するラスタライズ処理を行った後、画像データについてスクリーン処理を行うことで、画像形成用の画像データを生成する。
【0003】
下記特許文献1には、文字領域候補のうち文字領域と背景領域とを分離する処理を行う画像処理装置が開示されている。この画像処理装置では、入力画像のエッジを抽出し、2値化により抽出した大まかな文字領域に対し、抽出したエッジの周囲画素を削除することによって文字領域と背景の自然画像領域とを分離する処理が行われる。
【0004】
下記特許文献2には、下地領域及び文字外エッジ領域にはエッジ強調処理を行い、非下地領域及び文字外エッジ領域にはその周囲に存在する下地領域の平均値に置換する処理を行う画像処理装置が開示されている。これらの処理は、文字の周囲に白い縁取りが形成されたり色濁りが発生したりしないようにする目的で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−334857号公報
【特許文献2】特開2003−018409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような画像処理装置において、画像データのスクリーン処理を行う場合、スクリーン線数と解像度とは、互いにトレードオフの関係に立つ。すなわち、例えば連続階調領域において高い解像度を維持するためには、スクリーン線数を一定以下に抑える必要がある。しかしながら、文字を含む画像データをスクリーンで印字する場合には、連続階調領域と文字領域とで同じスクリーン線数でスクリーン処理を行うと、小ポイント文字の部分などにおいて、画像の再現性が低下することがある。
【0007】
上記問題の解決策としては、文字領域と文字領域の周囲の下地領域とが含まれる画像についてスクリーン処理が行われるとき、文字領域には文字領域専用の高線数スクリーンによりスクリーン処理を行うことが考えられる。これにより、文字領域の再現性が維持される。また、この場合、文字領域と文字領域の周囲の下地領域とが含まれる画像についてスクリーン処理が行われるとき、下地領域との境となる文字領域のエッジを判定し、文字領域の内エッジを塗りつぶす処理(ベタ処理、FEET処理)が行われる。これにより、文字領域をよりシャープに再現させることができる。
【0008】
しかしながら、上記解決策においては、別の問題点がある。すなわち、例えば着色された下地領域上に文字がある場合であって、文字領域とその周囲(下地)領域との明度差(濃度差)が小さいときには、文字領域の内エッジが判定できない。そのため、エッジを塗りつぶす処理を行うことができず、文字領域のスクリーンと、下地領域のスクリーンとの境界において、模様(テクスチャ)が発生することがある。
【0009】
また、たとえ内エッジが検出して塗りつぶし処理を行ったとしても、又は検出した文字属性を用いて塗りつぶし処理を行ったとしても、良好な処理結果は得られない。すなわち、塗りつぶし処理を行う場合、もともと精細な階調再現は望めないところ、所望の濃度よりも濃く塗りつぶしを行うようにするほかない。そのため、文字領域とその下地領域との明度差が小さい場合は、塗りつぶし処理を行うことにより、その部位の輪郭が非常に目立ち、見栄えが悪くなる。
【0010】
図19は、従来のスクリーン処理の一例について説明する第1の図である。
【0011】
図19において、上下2つの画像のうち、上段が入力画像500を示し、下段が従来のスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像510を示す。図を参照して、入力画像500として、着色された下地領域501上に下地領域501と異なる色で文字領域502が配置されているものを想定する。ここで、下地領域501の色は、茶色であり、文字領域502の色は、下地よりも明るいカーキ色である。入力画像500は、下地領域501と文字領域502との明度差が小さいものである。
【0012】
このような入力画像についてスクリーン処理が行われると、下地領域511と文字領域512とを含む出力画像510が得られる。下地領域511は、下地領域501に対応する明度である。文字領域512は、文字領域502に対応する明度である。文字領域512と下地領域511との境界部分では、エッジが判定されないので、この部分において塗りつぶす処理などが行われない。そのため、出力画像510では、文字領域512の輪郭部分で下地領域511とのテクスチャノイズが目立ってしまう。
【0013】
図20は、従来のスクリーン処理の別例について説明する第2の図である。
【0014】
図20において、上下2つの画像のうち、上段が入力画像600を示し、下段が従来のスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像610を示す。図を参照して、入力画像として、着色された下地領域601上に下地領域601と異なる色で文字領域602が配置されているものを想定する。ここで、下地領域601の色は、灰色であり、文字領域602の色は、下地領域601よりもわずかに明るい灰色である。入力画像600は、下地領域601と文字領域602との明度差が小さいものである。
【0015】
このような入力画像500についてスクリーン処理が行われると、下地領域611と文字領域612とを含む出力画像610が得られる。下地領域611は、下地領域601に対応する明度である。文字領域612は、文字領域602に対応する明度である。文字領域612と下地領域611との境界部分では、エッジが判定されないので、この部分において塗りつぶす処理などが行われない。この場合、下地領域611と文字領域612との明度差がほとんどないので、出力画像610では、文字領域612の輪郭部分で下地領域611とを判別しづらく、文字領域611が示す文字が読み取りにくくなってしまう。
【0016】
上記問題点に関して、特許文献1に記載の画像処理装置では、入力画像が処理されると、抽出したエッジの周囲画素を削除することで文字領域が背景から分離される。しかしながら、エッジ強度が高くても低くても同様に周辺画素の削除が行われるため、入力画像の情報が常にある程度損なわれるという問題がある。
【0017】
上記問題点に関して、特許文献2に記載の画像処理装置は、文字領域の外エッジ領域を置換する処理を行うことで文字の可読性を向上させる。しかしながら、この画像処理装置では、下地と文字の明度差が小さいときに発生する、スクリーンの干渉によるノイズや、文字と下地との境界の識別ができないといった課題を解決できない。
【0018】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置は、入力画像を読み込む読込手段と、読込手段により読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出手段と、文字領域のエッジ強度を算出する強度算出手段と、強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいて文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定する第1のエッジ判定手段と、境界検出手段による検出結果及び第1のエッジ判定手段の判定結果に基づいて、外エッジ領域を下地領域に拡張する拡張手段と、拡張手段により拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換手段と、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価手段とを備え、評価手段による評価結果に基づいて、拡張手段が拡張を行い、置換手段が置換を行う。
【0020】
好ましくは画像処理装置は、強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいてエッジ判定を行う第2のエッジ判定手段をさらに備え、評価手段は、文字領域の輪郭画素に対して第2のエッジ判定手段によりエッジ判定が行われたか否かを評価し、評価手段によりエッジ判定が行われなかったと評価されたとき、拡張手段が拡張を行い、置換手段が置換を行う。
【0021】
好ましくは画像処理装置は、第2のエッジ判定手段により判定されたエッジを強調する強調処理を行う強調処理手段をさらに備え、評価手段によりエッジ判定が行われたと評価されたとき、強調処理手段が強調処理を行う。
【0022】
好ましくは画像処理装置は、処理対象の領域の塗りつぶし処理を行う塗りつぶし手段をさらに備え、塗りつぶし手段は、強度算出手段により算出されたエッジ強度が所定の強度よりも高いとき、文字領域の輪郭画素に対して塗りつぶし処理を行う。
【0023】
好ましくは拡張手段は、強度算出手段により算出されたエッジ強度に応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、拡張を行う。
【0024】
好ましくは置換手段は、強度算出手段により算出されたエッジ強度に応じて置換データを生成し、生成した置換データで、置換を行う。
【0025】
好ましくは画像処理装置は、読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、評価手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素とその輪郭画素に隣接する下地領域の画素との明度差が所定値以下であるか否かを評価し、評価手段により明度差が所定値以下であると評価されたとき、拡張手段が拡張を行い、置換手段が置換を行う。
【0026】
好ましくは拡張手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素に隣接する下地領域の画素の明度に応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、拡張を行う。
【0027】
好ましくは置換手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素に隣接する下地領域の画素の明度に応じて置換データを生成し、生成した置換データで、置換を行う。
【0028】
好ましくは画像処理装置は、読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、拡張手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素の明度と輪郭画素に隣接する下地領域の画素の明度とに応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、拡張を行う。
【0029】
好ましくは画像処理装置は、読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、置換手段は、明度算出手段により算出された文字領域の輪郭画素の明度と輪郭画素に隣接する下地領域の画素の明度とに応じて置換データを生成し、生成した置換データで、置換を行う。
【0030】
好ましくは第1のエッジ判定手段は、強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいて文字領域と下地領域との境界の文字領域側の内エッジ領域を判定し、画像処理装置は、強度算出手段の算出結果と、境界検出手段の検出結果と、第1のエッジ判定手段による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、内エッジ領域の画像データ及び文字領域の輪郭領域の画像データを決定する処理を行う境界処理部をさらに備える。
【0031】
この発明の他の局面に従うと、画像形成装置は、上述のいずれかに記載の画像処理装置と、画像処理装置により処理された画像データに基づいてスクリーン画像を形成する画像形成部とを備える。
【0032】
この発明のさらに他の局面に従うと、スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置の制御方法は、入力画像を読み込む読込ステップと、読込ステップにより読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出ステップと、文字領域のエッジ強度を算出する強度算出ステップと、強度算出ステップにより算出されたエッジ強度に基づいて文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定するエッジ判定ステップと、境界検出ステップによる検出結果及びエッジ判定ステップの判定結果に基づいて、外エッジ領域を下地領域に拡張する拡張ステップと、拡張ステップにより拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換ステップと、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価ステップとを備え、評価ステップによる評価結果に基づいて、拡張ステップが拡張を行い、置換ステップが置換を行う。
【0033】
この発明のさらに他の局面に従うと、スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置の制御プログラムは、入力画像を読み込む読込ステップと、読込ステップにより読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出ステップと、文字領域のエッジ強度を算出する強度算出ステップと、強度算出ステップにより算出されたエッジ強度に基づいて文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定するエッジ判定ステップと、境界検出ステップによる検出結果及びエッジ判定ステップの判定結果に基づいて、外エッジ領域を下地領域に拡張する拡張ステップと、拡張ステップにより拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換ステップと、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価ステップとをコンピュータに実行させ、評価ステップによる評価結果に基づいて、拡張ステップが拡張を行い、置換ステップが置換を行う。
【発明の効果】
【0034】
これらの発明に従うと、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価結果に基づいて、外エッジ領域が下地領域に拡張され、置換手段により外エッジ領域の画像データが置換される。したがって、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理装置の制御方法、及び画像処理装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像処理装置を備えた画像形成装置を示す側面図である。
【図2】制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】スクリーン処理を行うときの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第1の例を示す図である。
【図5】本実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第2の例を示す図である。
【図6】入力画像と入力画像のエッジ強度との関係の一例を示す図である。
【図7】第1の変型例におけるエッジ強度と外エッジ拡張量との関係を示すグラフである。
【図8】第1の変型例における出力画像を示す図である。
【図9】第2の変型例におけるエッジ強度と置換データの階調との関係を示すグラフである。
【図10】第2の変型例における出力画像を示す図である。
【図11】第2の実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第1の例を示す図である。
【図12】第2の実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第2の例を示す図である。
【図13】第3の実施の形態における入力画像と入力画像の明度・輝度換算値との関係の一例を示す図である。
【図14】第3の実施の形態における下地領域の明度及び文字領域の明度と外エッジ拡張量との関係を示すグラフである。
【図15】第3の実施の形態における出力画像の一例を示す図である。
【図16】第4の実施の形態における下地領域の明度及び文字領域の明度と置換データの階調との関係を示すグラフである。
【図17】スクリーン処理後の出力画像の一例について説明する第1の図である。
【図18】スクリーン処理後の出力画像の別例について説明する第2の図である。
【図19】従来のスクリーン処理の一例について説明する第1の図である。
【図20】従来のスクリーン処理の別例について説明する第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について説明する。
【0037】
画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。スキャナ機能は、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD(Hard Disk Drive)等に蓄積する機能である。複写機能は、さらにそれを用紙等に印刷(プリント)する機能である。プリンタとしての機能は、PC等の外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う機能である。ファクシミリ機能は、外部のファクシミリ装置等からファクシミリデータを受信してそれをHDD等に蓄積する機能である。データ通信機能は、接続された外部機器との間でデータを送受信する機能である。サーバ機能は、複数のユーザでHDD等に記憶したデータなどを共有可能にする機能である。
【0038】
画像形成装置は、例えばPDL(Page Description Language)で記述された描画データに基づいて画像形成可能である。描画データは、データ変換処理部(PDLインタープリタ)で解釈され、生成されたページごとの画像データに変換され、プリントエンジンに出力される。PDLインタープリタは、PDLで記述された描画データを解釈して、中間データに変換する言語解析部と、中間データをフレームに変換するラスタライズ部とを有する。フレームは、スクリーン処理が行われた後、プリンタエンジンに出力される。
【0039】
画像形成装置は、画像データについてスクリーン処理を行って印字する際、文字部とその周囲(下地)部の明度差が一定以内の場合など、エッジ強度や文字部及び周囲部の明度情報などに応じて置換領域と置換データとを決定し、文字部周辺の画素の階調を置換する。これにより、エッジ判別不可であるエッジ部分について、エッジ強度などに応じて分離処理を行うことができる。分離処理は、例えば、明度差が小さい箇所についてのみ行われる。分離処理が行われるため、原稿の情報を極力保持したまま、原稿の文字部について、可読性を向上できる。下地と文字部の明度差が小さい場合などでも、テクスチャの発生を防止でき、文字と下地の境界部の識別性を向上されることができる。
【0040】
[第1の実施の形態]
【0041】
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像処理装置を備えた画像形成装置を示す側面図である。
【0042】
図1を参照して、画像形成装置1は、自動原稿搬送装置10と、原稿読取部(読込手段の一例)20と、画像形成部30と、自動両面ユニット40と、給紙部50と、給紙キャビネット60と、操作パネル70と、ファクシミリユニット90と、通信インターフェース(I/F)ユニット91と、制御部(画像処理装置の一例)100と、HDD(Hard Disk Drive)120とを備えている。
【0043】
原稿読取部20は、画像形成装置1の上部に配置されている。原稿読取部20の上面には、プラテンガラス(図示せず)が配置されている。原稿読取部20は、プラテンガラスの下方に配置された読み取りセンサ(図示せず)を有している。
【0044】
自動原稿搬送装置10は、原稿給紙トレイ12上にセットされた複数の原稿を1枚ずつ原稿読取部20に搬送する。自動原稿搬送装置10は、各原稿をプラテンガラスに設定された所定の原稿読取位置まで搬送する。原稿読取部20の読み取りセンサにより原稿画像の読み取りが行われると、自動原稿搬送装置10は、原稿排紙トレイ13上に原稿を排出する。
【0045】
自動原稿搬送装置10は、原稿セットセンサ11を備えている。原稿セットセンサ11は、例えば、公知のタクトスイッチで構成されている。原稿セットセンサ11は、原稿が原稿給紙トレイ12にセットされたか否かを検出し、その検出信号を制御部100に送信する。
【0046】
原稿読取部20は、原稿読取位置に搬送された原稿の大きさなどに応じて、読み取りセンサにより、原稿画像を走査する。読み取りセンサは、原稿からの入射光を電気信号に変換する。原稿読取部20は、読み取りセンサにより読み取った画像を画像データとして制御部100に送信する。
【0047】
原稿読取部20は、装置持ち上げセンサ21を備えている。装置持ち上げセンサ21は、例えば公知の磁気センサで構成されている。装置持ち上げセンサ21は、自動原稿搬送装置10が原稿読取部20に対して持ち上げられたか否かを検出し、検出信号を制御部100に送信する。
【0048】
操作パネル70は、タッチパネル入力部71と、キー入力部72とを備える。操作パネル70は、例えば公知のユーザインターフェースにより、ユーザの操作入力を受け付け可能である。操作パネル70は、タッチパネル入力部71に種々の動作状況に応じた操作画面を表示し、ユーザのタッチ操作を受け付ける。キー入力部72は、例えば押下可能に配置されたキーとキーの押下に応じてオン/オフされるスイッチなどを有しており、ユーザの押下操作を受け付ける。制御部100は、操作パネル70により受け付けられた操作入力に応じて、画像形成装置1の動作を制御する。
【0049】
操作パネル70には、副電源スイッチ80が設けられている。副電源スイッチ80は、ユーザにより操作されるスイッチである。副電源スイッチ80が操作されると、画像形成装置1の動作モードが、画像形成動作などが行われる通常の動作モードから、スリープモードに移行する。ここで、スリープモードは、通常の動作モードに比べて限られた部位のみが駆動されている省電力動作モードである。ユーザは、画像形成装置1に対し、副電源スイッチ80を介して、スリープモードへの移行を直接指示することができる。
【0050】
制御部100は、後述するCPU101(図2に示す)などを有しており、種々の制御プログラムを実行することで、画像形成装置1の動作を制御する。制御部100は、原稿読取部20が送信した画像データが入力されると、その画像データに各種のデータ処理を施す。データ処理としては、例えばシェーディング補正処理などが行われる。制御部100は、データ処理後のデータを読み出して、画像形成動作に用いる信号(例えば、後述の露光レーザダイオードを駆動するための信号など)を出力する。データの読み出しは、用紙の供給と同期して、主走査ラインごとに行われる。
【0051】
ファクシミリユニット90は、公衆電話回線を介して画像データの送受信を行うためのインターフェースである。画像形成装置1は、ファクシミリユニット90を介して、公衆電話回線に接続されている。
【0052】
通信I/F(インターフェース)ユニット91は、例えば、パーソナルコンピュータなどが接続された外部ネットワーク(Local Area Network(LAN)など)に接続するためのインターフェースである。なお、通信I/Fユニット91は、USB(Universal Serial Bus)規格など他の通信規格に基づいて外部のネットワークや外部の装置に接続可能に構成されていてもよい。
【0053】
HDD120は、制御部100から送られてくる画像データを記憶する。なお、画像形成装置は、HDD120に代えて、SSD(Solid State Drive)など他種の記憶装置を有していてもよい。
【0054】
画像形成部30は、いわゆる電子写真方式により画像を形成する。画像形成部30は、カラー画像を形成可能である。画像形成部30は、感光体ドラム31a,31b,31c,31d(これらを代表させて感光体ドラム31と称することがある。)と、露光走査ユニット32a,32b,32c,32d(これらを代表させて露光走査ユニット32と称することがある。)と、転写ベルト33と、定着装置(図示せず)と、これらユニットを保護する前扉カバー(図示せず)と、前扉センサ34とを備える。感光体ドラム31a,31b,31c,31dと、露光走査ユニット32a,32b,32c,32dとは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色に対応したものである。
【0055】
画像形成部30は、制御部100の制御に基づいて、おおむね、以下のようにして画像形成動作を行う。すなわち、露光走査ユニット32は、制御部100から出力される駆動信号に基づいて、レーザ光を生成する。露光走査ユニット32は、生成したレーザ光を、感光体ドラム31上に露光走査する。感光体ドラム31に形成された潜像は、各色のトナーを用いて現像される。現像された各色のトナー像は、転写ベルト33に重ねて転写される。転写ベルト33に各色のトナー像がすべて重ね合わせられると、そのトナー像が、給紙部50から搬送される用紙に、転写ベルト33から転写される。転写されたトナー像は、定着装置(図示せず)による定着工程を経て用紙に定着し、用紙に画像が形成される。形成された画像は、画像形成装置1の外部に排出される。
【0056】
前扉センサ34は、タクトスイッチなどで構成されている。前扉センサ34は、前扉カバーが開放されたかどうかを検出し、その検出信号を制御部100に送信する。
【0057】
給紙部50は、給紙カセット51,53と、ピックアップローラ52,54とを備えている。また、給紙キャビネット60は、給紙カセット61,63と、ピックアップローラ62,64とを備えている。給紙カセット51,53,61,63には、画像が形成される用紙が収納されている。ピックアップローラ52,54,62,64は、それぞれ、給紙カセット51,53,61,63に対応するように設けられている。ピックアップローラ52,54,62,64は、給紙カセット51,53,61,63に収納されている用紙を繰り出すローラである。給紙部50は、画像形成動作時に、画像形成部30に用紙を搬送(補給)する。また、給紙キャビネット60は、画像形成動作時に、給紙部50を経由して、画像形成部30に用紙を搬送(補給)する。
【0058】
自動両面ユニット40は、用紙の両面に画像を形成する際(両面印刷時)に用いられる。自動両面ユニット40は、例えば、画像形成装置1の側方に設けられている。自動両面ユニット40は、用紙の反転経路を有している。反転経路は、画像形成装置1の内部の用紙の搬送路のうち、画像が形成された用紙が搬送される位置と、トナー像が転写される前の用紙が搬送される位置とを結ぶ経路である。両面印刷時において、定着装置を経由し片面に画像が形成された用紙は、画像形成装置1から完全に排出される前に、通紙経路上でスイッチバックされる。スイッチバックされた用紙は、自動両面ユニット40に導入される。自動両面ユニット40は、反転経路上で用紙を搬送し、用紙の搬送路のうちトナー像が転写される前の位置に用紙を送り込む。このようにして反転された用紙は、再度画像形成部30に搬送される。これにより、用紙の画像が形成されていない面に画像形成が行われる。両面に画像が形成された用紙は、画像形成装置1から排出される。
【0059】
図2は、制御部100の構成を示すブロック図である。
【0060】
図を参照して、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103を備えている。
【0061】
CPU101は、制御部100の各部及びHDD120とシステムバスなどを介して接続されており、制御部100の各部及びHDD120と通信可能である。また、CPU101は、原稿読取部20、操作パネル70、通信I/Fユニット91、画像形成部30などと通信可能である。
【0062】
HDD120は、画像データのほか、画像形成装置1の設定情報や、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラム120aなどを記憶する。HDD120は、1つのクライアントPC又は複数のクライアントPCなどから送信された複数のジョブを記憶可能である。
【0063】
ROM102は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM102には、画像形成装置1の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。ROM102には、HDD120と同様に、種々の制御プログラムや、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU101は、所定の処理を行うことにより、ROM102からのデータの読み込みや、ROM102へのデータの書き込みを行う。なお、ROM102は、書換え不可能なものであってもよい。
【0064】
RAM103は、CPU101のメインメモリである。RAM103は、CPU101が制御プログラム120aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
【0065】
CPU101は、ROM102、RAM103、又はHDD120などに記憶された制御プログラム120aなどを実行することにより、画像形成装置1の種々の動作を制御する。CPU101は、操作パネル70から操作信号が送られたり、外部のパーソナルコンピュータなどから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じて所定の制御プログラム120aを実行する。これにより、ユーザによる操作パネル70の操作などに応じて、画像形成装置1の所定の機能が実行される。
【0066】
制御部100は、さらに、画素属性検出部104、境界検出部(属性境界検出部)105、明度算出部(画素明度算出部)106、強度算出部(エッジ強度検出部)107、エッジ判定部(第1のエッジ判定手段の一例;第2のエッジ判定手段の一例)108、拡張部(特定領域拡張部)109、強調処理部(塗りつぶし手段の一例;エッジ強調部)110、置換部(画像階調置換部)111、及びスクリーン変換部112を備えている。
【0067】
CPU101は、画素属性検出部104、境界検出部105、明度算出部106、強度算出部107、エッジ判定部108、拡張部109、強調処理部110、置換部111、及びスクリーン変換部112などの制御を行う。これにより、制御部100は画像処理装置として動作する。制御部100は、画像処理として、以下のように、画像データについてスクリーン処理を行うことができる。すなわち、制御部100は、画像形成部30において印字されるスクリーン画像を出力する。画像形成部30は、CPU101による制御の下、スクリーン画像に基づいて、用紙に画像形成を行う。
【0068】
CPU101は、例えば原稿読取部20で読み取った原稿の画像データなどを入力画像として読み込む。
【0069】
画像属性検出部104は、入力画像について、文字領域と、文字領域以外の下地領域(画像領域など)とを判別する。原稿属性検出部104は、入力画像の各画素について、文字領域の画素であるか、下地領域の画素であるかを属性付ける。
【0070】
境界検出部105は、入力画像について、画像属性検出部104により判別された文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する。すなわち、境界検出部105は、入力画像に存在する、文字領域と文字領域以外の下地領域との境界を検出する。
【0071】
明度算出部106は、入力画像の各画素の明度又は輝度(以下、単に明度と称することがある)を算出する。明度の算出は、入力画像の各画素のRGB画像データについて、YCrCb変換又はLab変換を行うことで、行われる。
【0072】
強度算出部107は、入力画像の各画素におけるエッジ強度を算出する。エッジ強度の算出は、例えば、1次微分フィルタ演算及び2次微分フィルタ演算により行われる。
【0073】
エッジ判定部108は、各画素について、強度算出部107で算出したエッジ強度に基づいて、エッジ判定を行う。すなわち、エッジ判定部108は、各画素について、エッジ強度が一定のしきい値を越える場合に、その画素をエッジ(エッジである画素)であると判定する。
【0074】
ここで、エッジ判定部108は、エッジ強度に基づいて、文字領域の内エッジ領域と外エッジ領域とを判定する。文字領域の外エッジ領域は、文字領域の輪郭の外側を構成する画素で構成される領域である。換言すると、外エッジ領域の画素(外エッジ)は、文字境界下地属性の画素(文字領域と下地領域との境界の下地領域側の画素)である。文字領域の内エッジ領域は、文字領域の輪郭の内側を構成する画素で構成される領域である。換言すると、内エッジ領域の画素(内エッジ)は、下地境界文字属性の画素(文字領域と下地領域との境界の文字領域側の画素)である。エッジ判定部108は、文字領域の輪郭画素に対してエッジ判定を行うとともに、内エッジ領域と外エッジ領域とを判定可能である。
【0075】
拡張部109は、境界検出部105による検出結果及びエッジ判定部108の判定結果に基づいて、文字領域の外エッジ領域を下地領域に拡張する拡張処理を行う。拡張処理を行うか否かは、入力画像のうち文字領域と下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価結果に基づいて決定される。評価は、例えば、エッジ判定部108の判定結果や明度算出部106の算出結果などに基づいて、CPU101により行われる。拡張部109は、注目画素について、所定の条件を満たすと評価されたとき、その注目画素を外エッジ領域の画素として拡張する。
【0076】
本実施の形態において、例えば以下のような所定の条件が満たされているとき、拡張処理が行われる。すなわち、注目画素が、画像属性検出部104で文字領域である(文字属性を有する)と検出され、かつ、境界検出部105で文字領域と下地領域との境界であると検出されたものであって、エッジ判定部108でエッジ判定がされなかったとき、その注目画素について拡張処理が行われる。換言すると、拡張部109は、文字領域の輪郭画素に対してエッジ判定部108によりエッジ判定が行われなかったとき、拡張処理を行う。拡張処理は、文字領域の下地領域との境界であると検出された画素について強度算出部107で算出されたエッジ強度が一定のしきい値を超えなかった場合に、行われる。
【0077】
強調処理部110は、エッジ判定部108でエッジであると判定(エッジ判定)された画素について、エッジ強調処理(以下、単に強調処理と称することがある。)を行う。強調処理部110は、シャープネスフィルタ処理を行うことなどにより、エッジ判定部108により判定されたエッジを強調する。本実施の形態において、文字領域の輪郭画素に対してエッジ判定部108によりエッジ判定されたとき、強調処理部110が強調処理を行う。
【0078】
強調処理は、スクリーン変換部112により入力画像についてスクリーン処理が行われ、スクリーン変換された後に行われてもよい。すなわち、強調処理は、スクリーン変換される画像のうち、エッジ強調対象画素についてのみ、スクリーン変換を行わずにベタ(塗りつぶし)で印字することにより、行われてもよい。
【0079】
置換部111は、拡張部109により拡張された外エッジ領域の画素の画像データを置換データに置換する。すなわち、データの置換処理は、画像属性検出部104で文字領域であると検出され、かつ、境界検出部105で文字領域と下地領域の境界であると検出された注目画素について、エッジ判定部108でエッジ判定がされなかったときに実行される。換言すると、置換処理は、文字領域の下地領域との境界であると検出された画素について強度算出部107で算出されたエッジ強度が一定のしきい値を越えなかった場合に、実行される。
【0080】
スクリーン変換部112は、入力画像について入力画像の各部の階調などに応じてディザマトリクス法などによりスクリーン処理を行い、入力画像をスクリーン画像に変換する。
【0081】
図3は、スクリーン処理を行うときの制御部100の動作を示すフローチャートである。
【0082】
以下、スクリーン処理の一例として、原稿読取部20により読み取った画像を入力画像として実行されるスクリーン処理の流れについて説明する。画像形成装置1は、これに限られず、例えばユーザから画像形成装置1に送信された画像や、画像形成装置1内のHDD120などに記憶されている画像について、スクリーン処理を行うようにしてもよい。それらの場合も、原稿読取部20により読み取った画像を入力画像として実行する場合と同様にして、スクリーン処理を行うことができる。
【0083】
図3を参照して、ステップS100において、CPU101は、原稿読取部(スキャナ)20により原稿を読み取る。
【0084】
ステップS101において、CPU101は、画像属性検出部104により、原稿読取部20で読み取った画像データ(入力画像)について、属性検出を行う。画像属性検出部104により、入力画像における文字領域と下地領域とが検出される。
【0085】
ステップS102において、CPU101は、文字領域の画素について、強度算出部107によりエッジ強度を算出する。このとき、強度算出部107は、下地領域の画素についてもエッジ強度を算出してもよい。
【0086】
ステップS103において、CPU101は、文字領域の画素について、エッジ判定部108により算出されたエッジ強度に基づいて、エッジ判定を行う。
【0087】
ステップS104において、CPU101は、各画素を注目画素として、その画素について、文字領域と下地領域との境界部の画素であるか否かを判断する。
【0088】
ステップS104で境界部の画素であるとき、ステップS105において、CPU101は、その注目画素がエッジであるか否か、すなわちその注目画素がエッジ判定されたか否かを判断(評価)する。
【0089】
ステップS105で注目画素がエッジ画素であるとき、ステップS106において、CPU101は、強調処理部110により強調処理を行う。文字領域であって下地領域との境界部にある、エッジ判定された注目画素について、エッジ強調処理が行われる。
【0090】
他方、ステップS105で注目画素がエッジ画素でないとき、ステップS107において、CPU101は、拡張部109により、注目画素に隣接する下地領域(外エッジ領域)を拡張する処理を行う。文字領域であって下地領域との境界部にある、エッジ判定されていない注目画素について、拡張処理が行われる。
【0091】
ステップS108において、CPU101は、置換部111により、ステップS107で拡張された外エッジ領域の画素の画像データの置換処理を行う。
【0092】
ステップS106で強調処理が終わったとき、又はステップS108で置換処理が終わったとき、CPU101は、一連の処理を終了する。ステップS104で注目画素が文字領域との境界部の画素でないとき、その注目画素については、CPU101は、一連の処理を終了する。
【0093】
なお、エッジ強調処理、拡張処理、置換処理は、ステップS104において文字領域との境界部の画素であると判断された画素について、画素ごとに別々に行われてもよいし、対象となる画素についてまとめて処理などを行い、置換処理を行うようにしてもよい。
【0094】
[強調処理の説明]
【0095】
本実施の形態において、強調処理部110は、処理対象の領域の塗りつぶし処理を行って、強調処理を行う。強調処理部110は、強度算出部107により算出されたエッジ強度が所定の強度(しきい値)よりも高いとき、文字領域の輪郭画素に対して、塗りつぶし処理を行う。
【0096】
図4は、本実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第1の例を示す図である。
【0097】
図4の上段には、スクリーン処理の対象となる入力画像200が示され、図4の中段には、入力画像200について算出されたエッジ強度を示すグラフが示されている。グラフにおいて、エッジ強度は、中央(ゼロ)から上下に離れるに従って、大きくなる。図4の下段には、入力画像200についてスクリーン処理が行われたときに出力される出力画像210が示されている。図4において、入力画像200と、グラフと、出力画像210とは、横方向の位置が上下で互いに対応するものになるように、縦方向に並んでいる。
【0098】
図4を参照して、入力画像200は、下地領域201と、両側の下地領域201間に配置された文字領域202とを有している。下地領域201と文字領域202との境界は比較的はっきりとしている。そのため、入力画像200のエッジ強度は、下地領域201と文字領域202との境界部分の外エッジ及び内エッジにおいて、所定のエッジ検出しきい値よりも大きくなる。すなわち、入力画像200は、下地領域201と文字領域202との境界部分の画素において、エッジ判定される。
【0099】
出力画像210は、下地領域211と、文字領域212と、塗りつぶし部215とを有している。下地領域211は下地領域201の明度に対応するスクリーン画像に、文字領域212は文字領域202の明度に対応するスクリーン画像に、それぞれ変換されている。
【0100】
ここで、文字領域212の内エッジ領域の画像データ及び文字領域212の輪郭領域の画像データは、強度算出部107の算出結果と、境界検出部105の検出結果と、エッジ判定部108による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、例えばCPU101により決定される。入力画像200について、下地領域201と文字領域202との境界部分のエッジ強度がエッジ検出しきい値よりも大きく、エッジ判定が行われている。そのため、エッジ強調処理として、内エッジの塗りつぶし処理が行われ、出力画像210が出力される。塗りつぶし処理は、例えば、強調処理部110において行われる。塗りつぶし処理が内エッジについて行われることで、出力画像210においては、文字領域212のうち下地領域211の近傍の内エッジに、塗りつぶし部215が設けられる。このように内エッジが塗りつぶし処理(FEET処理、ベタ処理)されることにより、出力画像210において、下地領域211と文字領域212とのエッジが強調され、文字と下地との境界がくっきり再現される。
【0101】
なお、強調処理としては、上述のような塗りつぶし処理のほか、種々の処理方法を採用することができる。
【0102】
[拡張処理及び置換処理の説明]
【0103】
本実施の形態において、拡張部109は、例えば、強度算出部107により算出されたエッジ強度に応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、外エッジ領域を拡張する。
【0104】
図5は、本実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第2の例を示す図である。
【0105】
図5においても、図4と同様に、上段、中段、下段の順に、入力画像220、入力画像200について算出されたエッジ強度を示すグラフ、入力画像220についてスクリーン処理が行われたときに出力される出力画像230が示されている。グラフにおいて、エッジ強度は、中央(ゼロ)から上下に離れるに従って、大きくなる。図5においても、入力画像220と、グラフと、出力画像230とは、横方向の位置が上下で互いに対応するものになるように、縦方向に並んでいる。
【0106】
図5を参照して、入力画像220は、下地領域221と、両側の下地領域221間に配置された文字領域222とを有している。下地領域221と文字領域222との境界は、図4に示す入力画像200のそれと比較して、はっきりとはしていない。入力画像220のエッジ強度は、下地領域221と文字領域222との境界部分においても、所定のエッジ検出しきい値に満たない。すなわち、入力画像220は、下地領域221と文字領域222との境界部分の画素において、エッジ判定されない。
【0107】
出力画像230は、下地領域231と、文字領域232と、置換領域235a,235b(まとめて置換領域235と称することがある。)とを有している。下地領域231は下地領域221の明度に対応するスクリーン画像に、文字領域232は文字領域222の明度に対応するスクリーン画像に、それぞれ変換されている。
【0108】
ここで、文字領域232の内エッジ領域の画像データ及び文字領域232の輪郭領域の画像データは、強度算出部107の算出結果と、境界検出部105の検出結果と、エッジ判定部108による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、CPU101により決定される。図5のグラフを参照して、入力画像220について、下地領域221と文字領域222との境界部分のエッジ強度はエッジ検出しきい値よりも小さく、エッジ判定が行われていない。そのため、本実施の形態では、入力画像200について、拡張部109により拡張処理が行われ、置換部111により置換処理が行われる。入力画像200については、上述のような塗りつぶし処理は行われない。
【0109】
すなわち、文字領域と下地領域との境界部において、拡張処理により、下地領域側の外エッジ領域が拡張される。本実施の形態において、拡張処理により拡張された領域は、置換処理により、白データに置換される。これにより、出力画像230において、置換領域235が設けられる。換言すると、拡張処理により外エッジ領域が下地領域側に拡張され、拡張された外エッジ領域が置換処理により置換されることで、置換領域235が設けられる。このように白データに置換された置換領域235が文字領域232と下地領域231との境界部分に設けられ、文字領域232と下地領域231とがいわば分離されるので、出力画像230において、文字と下地の境界がくっきりと再現される。下地領域231のうち文字領域232に近い部分が置換領域235とされるので、文字領域202にはほとんど影響はなく、入力画像220の再現性が高い出力画像230が得られる。
【0110】
このように、第1の実施の形態では、入力画像の文字領域の輪郭画素について、エッジ検出された場合には強調処理が行われ、エッジ検出されなかった場合には、注目画素に隣接する下地領域の画素の領域が拡張され、白データに置換される。したがって、エッジ検出の有無にかかわらず、下地領域と文字領域との境界がくっきりと再現され、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能になる。
【0111】
[第1の実施の形態の変型例]
【0112】
図6は、入力画像と入力画像のエッジ強度との関係の一例を示す図である。
【0113】
以下の変型例の説明では、一例として、図5で示した入力画像220と同様のものを入力画像として、スクリーン処理を行い、図5で示した出力画像230と同様のものが出力画像として出力される場合を想定する。図6に示すように、入力画像220は下地領域221と文字領域222との明度差が比較的小さいものである。そのため、図6でグラフに示されるように、入力画像220のエッジ強度は、エッジ検出しきい値よりも大きくなることはない。図6に示す例では、「0」からエッジ検出しきい値までのエッジ強度の範囲を0パーセント〜100パーセントとしたとき、エッジ強度の最大値は、0パーセントと100パーセントとの間のαパーセントである。
【0114】
第1の実施の形態において、拡張部109は、強度算出部107により算出されたエッジ強度に応じて、外エッジ領域を拡張する際の拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、外エッジ領域を拡張するようにしてもよい(第1の変型例)。
【0115】
図7は、第1の変型例におけるエッジ強度と外エッジ拡張量との関係を示すグラフである。
【0116】
図7を参照して、第1の変型例において、拡張処理により外エッジ領域が拡張される量(外エッジ拡張量H(dot);拡張サイズの一例)は、エッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値に比例するように設定されている。外エッジ拡張量Hは、エッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値が「0」から「1」に近づくにつれて、徐々に小さくなる。すなわちエッジ強度が大きく、エッジ検出しきい値に近いほど、外エッジ拡張量Hは小さくなる。拡張部109は、強度算出部107により算出されたエッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値の最大値(αパーセント)に対応する外エッジ拡張量Hを算出する。
【0117】
図8は、第1の変型例における出力画像を示す図である。
【0118】
図8を参照して、出力画像230において、拡張処理は、外エッジ拡張量Hに応じたサイズで外エッジ領域を拡張することにより行われる。拡張された外エッジ領域が、置換領域235となる。第1の変型例において、置換領域235すなわち拡張後の外エッジ領域の幅(下地領域231と文字領域232との間隔)が外エッジ拡張量H(dot)になるように、拡張処理及び置換処理が行われる。
【0119】
このようにエッジ強度に応じて外エッジ領域の拡張量が設定されて拡張処理及び置換処理が行われるので、エッジ強度が小さくても、置換領域235が幅広くなって文字領域232と下地領域231とがはっきりと分離される。他方、エッジ強度が大きく文字領域232と下地領域231とが比較的判別しやすい場合には、置換領域235が狭くなる。したがって、入力画像の情報をできるだけ多く保持しつつ、可読性を向上させることができる。
【0120】
第1の実施の形態において、拡張処理により拡張された外エッジ領域の置換データは、白データに限られるものではない。例えば、白色でなくても、下地領域より明度が高い色であってもよいし、他の色であってもよい。置換部111は、例えば、強度算出部107で算出したエッジ強度に応じて置換データを生成し、生成した置換データで置換対象画素の画像データを置換するようにしてもよい(第2の変型例)。
【0121】
図9は、第2の変型例におけるエッジ強度と置換データの階調との関係を示すグラフである。
【0122】
図9を参照して、第2の変型例においては、置換処理により置換される置換データの階調(例えば、明度など)Cは、エッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値に比例するように設定されている。階調Cは、エッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値が「0」から「1」に近づくにつれて、徐々に低くなる。すなわち、エッジ強度が大きく、エッジ検出しきい値に近いほど、置換データの階調Cは低くなる(例えば、明度が低くなる)。置換部111は、強度算出部107により算出されたエッジ強度をエッジ検出しきい値で除した値の最大値(αパーセント)に対応する階調Cを算出する。
【0123】
図10は、第2の変型例における出力画像を示す図である。
【0124】
図10を参照して、出力画像230において、置換処理は、拡張された外エッジ領域すなわち置換領域235の画像データを、階調Cの置換データで置換することで行われる。なお、置換データの階調C(明度など)は、例えば、入力画像の下地領域221の明度と同程度の明度を最低でも有するものとすればよい。
【0125】
このように、第2の変型例において、置換領域235の置換データの階調Cは、エッジ強度に応じて設定されるので、エッジ強度が小さいほど、置換領域235の画像データはより階調が高い(例えば、明度が高く、白色に近い)ものとなり、文字領域232と下地領域231とがはっきりと分離される。他方、エッジ強度が大きく文字領域232と下地領域231とが比較的判別しやすい場合には、置換領域235の画像データは階調が低い(例えば、明度が低い)ものとなり、出力画像において入力画像の情報が比較的保持される。したがって、入力画像の情報をできるだけ多く保持しつつ、可読性を向上させることができる。
【0126】
なお、上記第1の変型例と第2の変型例とを組み合わせてもよい。すなわち、エッジ強度に応じて、置換領域235すなわち外エッジ領域の拡張量と、置換データとの両方が決定されるようにしてもよい。
【0127】
[第2の実施の形態]
【0128】
第2の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第2の実施の形態においては、拡張処理などが行われる所定の条件が、第1の実施の形態における条件とは異なる。
【0129】
第2の実施の形態において、拡張部109は、画像属性検出部104及び境界検出部105で検出された、内エッジ領域の画素と外エッジ領域の画素とについて明度算出部106で算出した明度差に応じて、拡張処理を行う。
【0130】
図11は、第2の実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第1の例を示す図である。
【0131】
図11において、上段に示す入力画像200と下段に示す出力画像210とは、図4において示したそれと略同じものである。図11の中段には、入力画像200について明度算出部106で算出された明度・輝度換算値(以下、明度値と称することがある。)を示すグラフが示されている。図11において、入力画像200と、グラフと、出力画像210とは、横方向の位置が上下で互いに対応するものになるように、縦方向に並んでいる。
【0132】
図11に示されるグラフにおいて、明度値は、上方に向かって大きくなる。入力画像200の下地領域201の明度Yaは文字領域202の明度Ybよりも高いので、グラフは、文字領域202に対応する中央部が低くなったくぼみ形状になる。
【0133】
ここで、第2の実施の形態において、CPU101は、入力画像200の明度差すなわち文字領域202の輪郭画素(内エッジ領域の画素)とその輪郭画素に隣接する下地領域201の画素(外エッジ領域の画素)との明度差(Ya−Yb)が、所定値Ref以下であるか否かを評価する。明度差が所定値より大きいと評価されたとき、すなわち(Ya−Yb)>Refが成り立つ場合、強調処理部110は、文字領域202の輪郭画素に対して、塗りつぶし処理を行う。塗りつぶし処理は、例えば上述の第1の実施の形態と同様にして行われる。すなわち、文字領域212のうち下地領域211の近傍の内エッジに塗りつぶし部215が設けられた出力画像210が出力される。これにより、出力画像210は、下地領域211と文字領域212とのエッジが強調され、文字と下地との境界がくっきりと再現されたものとなる。
【0134】
図12は、第2の実施の形態における入力画像とスクリーン処理後の出力画像との関係の第2の例を示す図である。
【0135】
図12において上段に示す入力画像220と下段に示す出力画像230とは、図5において示したそれと略同じものである。図12の中段には、入力画像220について明度算出部106で算出された明度値を示すグラフが示されている。図12において、入力画像220と、グラフと、出力画像230とは、横方向の位置が上下で互いに対応するものになるように、縦方向に並んでいる。図12に示されるグラフにおいても、明度値は、情報に向かって大きくなる。入力画像220の下地領域221の明度Yaは文字領域222の明度Ybよりも高いので、グラフは、文字領域222に対応する中央部が低くなったくぼみ形状になる。
【0136】
ここで、第2の実施の形態において、CPU101により文字領域202の輪郭画素とその輪郭画素に隣接する下地領域201の画素との明度差(Ya−Yb)が所定値Ref以下であると評価されたとき、すなわち(Ya−Yb)≦Refが成り立つ場合、拡張処理及び置換処理が行われる。拡張処理及び置換処理は、拡張部109により、例えば第1の実施の形態と同様にして行われる。すなわち、拡張部109は、入力画像220の外エッジ領域を下地領域221に拡張する。そして、置換部111は、拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する。これにより、出力画像230において、下地領域231と文字領域232との間に置換領域235が設けられる。換言すると、拡張処理により外エッジ領域が下地領域側に拡張され、拡張された外エッジ領域が置換処理により置換されることで、置換領域235が設けられる。
【0137】
外エッジ領域の画像データは、例えば白色の置換データで置換される。白色の置換領域235が設けられることにより、出力画像230において、下地領域231と文字領域232とが分離される。したがって、出力画像230において、文字と下地の境界がくっきりと再現される。下地領域231のうち文字領域232に近い部分が置換領域235とされるので、文字領域202にはほとんど影響はなく、入力画像220の再現性が高い出力画像230が得られる。
【0138】
なお、このようにスクリーン処理が行われるとき、文字領域232の内エッジ領域の画像データ及び文字領域232の輪郭領域の画像データは、例えば、強度算出部107の算出結果と、境界検出部105の検出結果と、エッジ判定部108による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、CPU101により決定されればよい。
【0139】
このように、第2の実施の形態では、入力画像の文字領域の輪郭画素とその輪郭画素に隣接する下地領域の画素との明度差が所定値以下であるときに、拡張処理及び置換処理が行われて下地領域と文字領域とが分離される。下地領域と文字領域との明度差が小さいときにも下地領域と文字領域との境界がくっきりと再現されテクスチャノイズが発生しない。そのため、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能になる。
【0140】
[第3の実施の形態]
【0141】
第3の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第2の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第3の実施の形態においては、拡張処理における拡張サイズが明度に基づいて決定される点が、第2の実施の形態とは異なる。
【0142】
第3の実施の形態において、拡張部109は、明度算出部106により算出された文字領域222の輪郭画素の明度とその輪郭画素に隣接する下地領域221の画素の明度とに応じて拡張サイズを決定し、決定した拡張サイズに応じて、外エッジ領域を拡張する。
【0143】
図13は、第3の実施の形態における入力画像と入力画像の明度・輝度換算値との関係の一例を示す図である。
【0144】
以下の第3の実施の形態の説明では、一例として、図12で示した入力画像220と同様のものを入力画像として、スクリーン処理を行い、図12で示した出力画像230と同様のものが出力画像として出力される場合を想定する。図13に示すように、入力画像220は下地領域221と文字領域222との明度差が比較的小さいものである。図13のグラフに示されるように、入力画像220において、下地領域221の明度Yaと文字領域222の明度Ybとの差は、所定値Refよりも小さい。そのため、入力画像220についてスクリーン処理が行われるとき、拡張処理及び置換処理が行われる。
【0145】
図14は、第3の実施の形態における下地領域221の明度Ya及び文字領域222の明度Ybと外エッジ拡張量との関係を示すグラフである。
【0146】
図14を参照して、第3の実施の形態において、拡張部109により決定される外エッジ領域が拡張される量(外エッジ拡張量H(dot))は、下地領域221の明度Ya及び文字領域222の明度Yb(例えば、明度Yaと明度Ybの平均値など。;以下、明度Ya,Ybと称することがある。)に比例するように設定されている。外エッジ拡張量Hは、明度Ya,Ybが「0」から「100」に近づくにつれて、徐々に大きくなる。すなわち入力画像の明度が低いほど、外エッジ拡張量Hは小さくなる。
【0147】
入力画像220は、図13のグラフに示されるように、下地領域221の明度Yaと文字領域222の明度Ybとが共に比較的低いものである。そのため、入力画像220のスクリーン処理時においては、下地領域221と文字領域222との境界部の外エッジ領域の拡張量が抑えられる。他方、仮に下地領域の明度Yaと文字領域の明度Ybとが共に比較的高い入力画像について拡張処理が行われるときには、外エッジ拡張量は比較的大きくなる。
【0148】
図15は、第3の実施の形態における出力画像230の一例を示す図である。
【0149】
第3の実施の形態において出力される出力画像は、上述の第2の実施の形態で示した出力画像230と同様のものである。すなわち、出力画像230において、下地領域231と文字領域232との間には、置換領域235が設けられている。ここで、拡張処理により拡張量が抑えられると、外エッジ領域の拡張量が少なくなったり、拡張されなくなったりする。そのため、置換領域235が小さくなる。
【0150】
このように、第3の実施の形態によれば、入力画像220の内容すなわち文字領域222と下地領域221と明度情報に応じて、より適切に拡張処理が行われる。したがって、入力画像の情報がより多く保持され、高い可読性を有する出力画像230を得ることができる。
【0151】
なお、外エッジ拡張量Hは、入力画像の下地領域221と文字領域222との明度差に応じて決定されてもよい。例えば、明度差が小さいほど、外エッジ拡張量Hが大きくなるようにしてもよい。
【0152】
[第4の実施の形態]
【0153】
第4の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第2の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第4の実施の形態においては、置換処理における置換データが明度に基づいて決定される点が、第2の実施の形態とは異なる。以下、一例として、上記図13に示した入力画像220についてスクリーン処理が行われる場合について説明する。
【0154】
第4の実施の形態において、置換部111は、明度算出部106により算出された文字領域222の明度と輪郭画素に隣接する下地領域221の画素の明度とに応じて置換データを生成し、生成した置換データで外エッジ領域の画像データを置換する。
【0155】
図16は、第4の実施の形態における下地領域221の明度Ya及び文字領域222の明度Ybと置換データの階調との関係を示すグラフである。
【0156】
図16を参照して、置換部111により生成される置換データの階調(例えば、明度など)Cは、明度Ya,Ybに比例するように設定されている。置換データの階調Cは、明度Ya,Ybが「0」から「100」に近づくにつれて、徐々に大きくなる。すなわち入力画像の明度が高いほど、置換データの階調Cは大きくなる(例えば、明度が高くなる)。
【0157】
入力画像220は、図13のグラフに示されるように、下地領域221の明度Yaと文字領域222の明度Ybとが共に比較的低いものである。そのため、入力画像220のスクリーン処理時においては、置換部111は、階調Cが比較的低い置換データ(例えば、明度が低い置換データなど)を生成し、外エッジ領域をその置換データで置換する。他方、仮に下地領域の明度Yaと文字領域の明度Ybとが共に比較的高い入力画像について拡張処理が行われるときには、階調Cが比較的高い置換データ(例えば、明度が高い置換データなど)で外エッジ領域が置換される。
【0158】
第4の実施の形態では、明度Ya,Ybに応じた階調の置換データで置換処理が行われ、出力画像が出力される。したがって、置換データの階調が、下地領域の画像データの階調や文字領域の画像データなどとマッチしたものになる。例えば、明度Ya,Ybが比較的低い入力画像について置換処理が行われるとき、置換データとして明度が低い暗めのデータが生成され、置換処理が行われる。これにより、より自然な色調の出力画像を得ることができる。
【0159】
[実施の形態における効果]
【0160】
以上のように構成された画像形成装置では、文字領域と下地領域との境界部分においてエッジ判定されなかったり明度差が所定値より小さかったりする所定の場合に、拡張処理と置換処理とが行われる。これにより、上記所定の場合には、文字領域と下地領域とが分離された出力画像が得られ、入力画像の情報をより多く保持したままで可読性が向上するようにスクリーン処理を実行可能である。
【0161】
図17は、スクリーン処理後の出力画像の一例について説明する第1の図である。
【0162】
図17において、上下3つの画像のうち、上段が入力画像500を示し、中断が従来のスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像510を示し、下段が上記実施の形態のいずれかの画像形成装置によりスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像550の一例を示す。入力画像500として、着色された下地領域501上に下地領域501と異なる色で文字領域502が配置されているものを想定する。入力画像500は、上述の図19に記載のものと同一のものである。すなわち、下地領域501の色は、茶色であり、文字領域502の色は、下地よりも明るいカーキ色である。入力画像500は、下地領域501と文字領域502との明度差が小さいものである。入力画像500は、下地領域501と文字領域502との境界においてエッジ判定部108によるエッジ判定が行われないようなものである。
【0163】
このような入力画像についてスクリーン処理が行われると、下地領域551と文字領域552とを含む出力画像550が得られる。下地領域551は、下地領域501に対応する明度である。文字領域552は、文字領域502に対応する明度である。
【0164】
従来、上記のような入力画像500についてスクリーン処理が行われると、出力画像510のように、文字領域の輪郭部分でテクスチャノイズが目立つ可能性がある。これに対して、以上のように構成された画像形成装置で出力される出力画像550では、エッジの強調処理、又は外エッジ領域の拡張処理及び置換処理により、文字領域552の輪郭部分で下地領域551と文字領域552とが確実に分離される。したがって、文字領域の輪郭部分でテクスチャノイズが発生することが防止され、かつ、文字の可読性を向上させることができる。
【0165】
図18は、スクリーン処理後の出力画像の別例について説明する第2の図である。
【0166】
図18において、上下3つの画像のうち、上段が入力画像600を示し、中断が従来のスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像610を示し、下段が上記実施の形態のいずれかの画像形成装置によりスクリーン処理が行われた結果出力される出力画像650の一例を示す。図を参照して、入力画像として、着色された下地領域601上に下地領域601と異なる色で文字領域602が配置されているものを想定する。入力画像600は、上述の図20に記載のものと同一のものである。ここで、下地領域601の色は、灰色であり、文字領域602の色は、下地領域601よりもわずかに明るい灰色である。入力画像600は、下地領域601と文字領域602との明度差が比較的小さいものである。
【0167】
このような入力画像についてスクリーン処理が行われると、下地領域651と文字領域652とを含む出力画像650が得られる。下地領域651の画素の明度は、下地領域601の画素の明度に対応する明度である。文字領域652の画素の明度は、文字領域602の画素の明度に対応する明度である。
【0168】
従来、上記のような入力画像600についてスクリーン処理が行われると、出力画像610のように、文字領域と下地領域との明度差がほとんどなくなり、文字を判別しにくくなる場合がある。これに対して、以上のように構成された画像形成装置で出力される出力画像650では、エッジの強調処理、又は外エッジ領域の拡張処理及び置換処理により、文字領域652の輪郭部分で下地領域651と文字領域652とが確実に分離される。したがって、テクスチャノイズの発生を防止でき、かつ、文字の可読性を向上させることができる。
【0169】
[その他]
【0170】
エッジ検出しきい値、明度差が大きいか否かの基準値となる所定値、及びその他の設定値などは、入力画像の情報を多く保ちつつ可読性が高い出力画像が出力されるように、適宜適当な値に設定されればよい。
【0171】
上記第2の実施の形態において、画素の明度情報そのものに応じて拡張処理及び置換処理が行われるようにしてもよい。例えば、下地領域の画素の明度が所定のしきい値よりも低い場合に、外エッジ領域の拡張が行われるようにしてもよい。
【0172】
上記の実施の形態やその変型例のそれぞれを適宜組み合わせて画像形成装置が構成されてもよい。例えば、拡張部は、上記のエッジ判定されたか否かの評価結果及び明度差が所定値以上であるか否かの評価結果の両方の評価結果に応じて拡張処理を行ったり、エッジ強度及び明度差の両方に基づいて拡張処理時の拡張サイズを決定したりしてもよい。同様に、置換部は、エッジ強度及び明度差の両方に基づいて置換データの階調などを決定してもよい。また、上記第1の実施の形態において、拡張処理や置換処理が行われるとき、拡張サイズ(外エッジ拡張量)の決定や置換データの生成が、明度算出部により算出された明度に応じて行われるようにしてもよい。
【0173】
画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。画像形成装置は、電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
【0174】
本発明は、画像形成装置に限られるものではなく、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置に広く適用可能である。例えば、通信可能に接続された外部の画像形成装置にスクリーン画像を出力する機能を有する画像処理装置にも適用可能である。
【0175】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
【0176】
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
【0177】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0178】
1 画像形成装置(画像処理装置の一例)
10 原稿読取部(読込手段の一例)
30 画像形成部
100 制御部(画像処理装置の一例)
101 CPU(評価手段の一例)
104 画素属性検出部
105 境界検出部(境界検出手段の一例)
106 明度算出部(明度算出手段の一例)
107 強度算出部(強度算出手段の一例)
108 エッジ判定部(第1のエッジ判定手段の一例、第2のエッジ判定手段の一例)
109 拡張部(拡張手段の一例)
110 強調処理部(強調処理手段の一例、塗りつぶし手段の一例)
111 置換部(置換手段の一例)
120a 制御プログラム
H 外エッジ拡張量(拡張サイズの一例)
200,220,500,600 入力画像
201,221,501,601 (入力画像の)下地領域
202,222,502,602 (入力画像の)文字領域
210,240,550,650 出力画像
211,231,551,651 (出力画像の)下地領域
212,232,552,652 (出力画像の)文字領域
215 塗りつぶし部
235,235a,235b 置換領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置であって、
入力画像を読み込む読込手段と、
前記読込手段により読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と前記文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出手段と、
前記文字領域のエッジ強度を算出する強度算出手段と、
前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいて前記文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定する第1のエッジ判定手段と、
前記境界検出手段による検出結果及び前記第1のエッジ判定手段の判定結果に基づいて、前記外エッジ領域を前記下地領域に拡張する拡張手段と、
前記拡張手段により拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換手段と、
前記入力画像のうち前記文字領域と前記下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価手段とを備え、
前記評価手段による評価結果に基づいて、前記拡張手段が前記拡張を行い、前記置換手段が前記置換を行う、画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいてエッジ判定を行う第2のエッジ判定手段をさらに備え、
前記評価手段は、前記文字領域の輪郭画素に対して前記第2のエッジ判定手段によりエッジ判定が行われたか否かを評価し、
前記評価手段により前記エッジ判定が行われなかったと評価されたとき、前記拡張手段が前記拡張を行い、前記置換手段が前記置換を行う、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記第2のエッジ判定手段により判定されたエッジを強調する強調処理を行う強調処理手段をさらに備え、
前記評価手段により前記エッジ判定が行われたと評価されたとき、前記強調処理手段が前記強調処理を行う、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、処理対象の領域の塗りつぶし処理を行う塗りつぶし手段をさらに備え、
前記塗りつぶし手段は、前記強度算出手段により算出されたエッジ強度が所定の強度よりも高いとき、前記文字領域の輪郭画素に対して前記塗りつぶし処理を行う、請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記拡張手段は、
前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に応じて拡張サイズを決定し、
決定した拡張サイズに応じて、前記拡張を行う、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記置換手段は、
前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に応じて置換データを生成し、
生成した置換データで、前記置換を行う、請求項1から5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、前記読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、
前記評価手段は、前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素とその輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素との明度差が所定値以下であるか否かを評価し、
前記評価手段により前記明度差が所定値以下であると評価されたとき、前記拡張手段が前記拡張を行い、前記置換手段が前記置換を行う、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記拡張手段は、
前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素の明度と前記輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素の明度とに応じて拡張サイズを決定し、
決定した拡張サイズに応じて、前記拡張を行う、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記置換手段は、
前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素の明度と前記輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素の明度とに応じて置換データを生成し、
生成した置換データで、前記置換を行う、請求項7又は8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像処理装置は、前記読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、
前記拡張手段は、
前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素の明度と前記輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素の明度とに応じて拡張サイズを決定し、
決定した拡張サイズに応じて、前記拡張を行う、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記画像処理装置は、前記読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、
前記置換手段は、
前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素の明度と前記輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素の明度とに応じて置換データを生成し、
生成した置換データで、前記置換を行う、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記第1のエッジ判定手段は、前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいて前記文字領域と下地領域との境界の文字領域側の内エッジ領域を判定し、
前記画像処理装置は、前記強度算出手段の算出結果と、前記境界検出手段の検出結果と、前記第1のエッジ判定手段による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、前記内エッジ領域の画像データ及び前記文字領域の輪郭領域の画像データを決定する処理を行う境界処理部をさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により処理された画像データに基づいてスクリーン画像を形成する画像形成部とを備える、画像形成装置。
【請求項14】
スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置の制御方法であって、
入力画像を読み込む読込ステップと、
前記読込ステップにより読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と前記文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出ステップと、
前記文字領域のエッジ強度を算出する強度算出ステップと、
前記強度算出ステップにより算出されたエッジ強度に基づいて前記文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定するエッジ判定ステップと、
前記境界検出ステップによる検出結果及び前記エッジ判定ステップの判定結果に基づいて、前記外エッジ領域を前記下地領域に拡張する拡張ステップと、
前記拡張ステップにより拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換ステップと、
前記入力画像のうち前記文字領域と前記下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価ステップとを備え、
前記評価ステップによる評価結果に基づいて、前記拡張ステップが前記拡張を行い、前記置換ステップが前記置換を行う、画像処理装置の制御方法。
【請求項15】
スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置の制御プログラムであって、
入力画像を読み込む読込ステップと、
前記読込ステップにより読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と前記文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出ステップと、
前記文字領域のエッジ強度を算出する強度算出ステップと、
前記強度算出ステップにより算出されたエッジ強度に基づいて前記文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定するエッジ判定ステップと、
前記境界検出ステップによる検出結果及び前記エッジ判定ステップの判定結果に基づいて、前記外エッジ領域を前記下地領域に拡張する拡張ステップと、
前記拡張ステップにより拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換ステップと、
前記入力画像のうち前記文字領域と前記下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価ステップとをコンピュータに実行させ、
前記評価ステップによる評価結果に基づいて、前記拡張ステップが前記拡張を行い、前記置換ステップが前記置換を行う、画像処理装置の制御プログラム。
【請求項1】
スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置であって、
入力画像を読み込む読込手段と、
前記読込手段により読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と前記文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出手段と、
前記文字領域のエッジ強度を算出する強度算出手段と、
前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいて前記文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定する第1のエッジ判定手段と、
前記境界検出手段による検出結果及び前記第1のエッジ判定手段の判定結果に基づいて、前記外エッジ領域を前記下地領域に拡張する拡張手段と、
前記拡張手段により拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換手段と、
前記入力画像のうち前記文字領域と前記下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価手段とを備え、
前記評価手段による評価結果に基づいて、前記拡張手段が前記拡張を行い、前記置換手段が前記置換を行う、画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいてエッジ判定を行う第2のエッジ判定手段をさらに備え、
前記評価手段は、前記文字領域の輪郭画素に対して前記第2のエッジ判定手段によりエッジ判定が行われたか否かを評価し、
前記評価手段により前記エッジ判定が行われなかったと評価されたとき、前記拡張手段が前記拡張を行い、前記置換手段が前記置換を行う、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記第2のエッジ判定手段により判定されたエッジを強調する強調処理を行う強調処理手段をさらに備え、
前記評価手段により前記エッジ判定が行われたと評価されたとき、前記強調処理手段が前記強調処理を行う、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、処理対象の領域の塗りつぶし処理を行う塗りつぶし手段をさらに備え、
前記塗りつぶし手段は、前記強度算出手段により算出されたエッジ強度が所定の強度よりも高いとき、前記文字領域の輪郭画素に対して前記塗りつぶし処理を行う、請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記拡張手段は、
前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に応じて拡張サイズを決定し、
決定した拡張サイズに応じて、前記拡張を行う、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記置換手段は、
前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に応じて置換データを生成し、
生成した置換データで、前記置換を行う、請求項1から5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、前記読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、
前記評価手段は、前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素とその輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素との明度差が所定値以下であるか否かを評価し、
前記評価手段により前記明度差が所定値以下であると評価されたとき、前記拡張手段が前記拡張を行い、前記置換手段が前記置換を行う、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記拡張手段は、
前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素の明度と前記輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素の明度とに応じて拡張サイズを決定し、
決定した拡張サイズに応じて、前記拡張を行う、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記置換手段は、
前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素の明度と前記輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素の明度とに応じて置換データを生成し、
生成した置換データで、前記置換を行う、請求項7又は8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像処理装置は、前記読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、
前記拡張手段は、
前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素の明度と前記輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素の明度とに応じて拡張サイズを決定し、
決定した拡張サイズに応じて、前記拡張を行う、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記画像処理装置は、前記読込手段により読み込まれた入力画像の各画素の明度を算出する明度算出手段をさらに備え、
前記置換手段は、
前記明度算出手段により算出された前記文字領域の輪郭画素の明度と前記輪郭画素に隣接する前記下地領域の画素の明度とに応じて置換データを生成し、
生成した置換データで、前記置換を行う、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記第1のエッジ判定手段は、前記強度算出手段により算出されたエッジ強度に基づいて前記文字領域と下地領域との境界の文字領域側の内エッジ領域を判定し、
前記画像処理装置は、前記強度算出手段の算出結果と、前記境界検出手段の検出結果と、前記第1のエッジ判定手段による内エッジ領域の判定結果とに基づいて、前記内エッジ領域の画像データ及び前記文字領域の輪郭領域の画像データを決定する処理を行う境界処理部をさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により処理された画像データに基づいてスクリーン画像を形成する画像形成部とを備える、画像形成装置。
【請求項14】
スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置の制御方法であって、
入力画像を読み込む読込ステップと、
前記読込ステップにより読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と前記文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出ステップと、
前記文字領域のエッジ強度を算出する強度算出ステップと、
前記強度算出ステップにより算出されたエッジ強度に基づいて前記文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定するエッジ判定ステップと、
前記境界検出ステップによる検出結果及び前記エッジ判定ステップの判定結果に基づいて、前記外エッジ領域を前記下地領域に拡張する拡張ステップと、
前記拡張ステップにより拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換ステップと、
前記入力画像のうち前記文字領域と前記下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価ステップとを備え、
前記評価ステップによる評価結果に基づいて、前記拡張ステップが前記拡張を行い、前記置換ステップが前記置換を行う、画像処理装置の制御方法。
【請求項15】
スクリーン処理を行い、画像形成装置において印字されるスクリーン画像を出力する画像処理装置の制御プログラムであって、
入力画像を読み込む読込ステップと、
前記読込ステップにより読み込まれた入力画像に存在する、文字領域と前記文字領域以外の下地領域との境界を検出する境界検出ステップと、
前記文字領域のエッジ強度を算出する強度算出ステップと、
前記強度算出ステップにより算出されたエッジ強度に基づいて前記文字領域と下地領域との境界の下地領域側の外エッジ領域を判定するエッジ判定ステップと、
前記境界検出ステップによる検出結果及び前記エッジ判定ステップの判定結果に基づいて、前記外エッジ領域を前記下地領域に拡張する拡張ステップと、
前記拡張ステップにより拡張された外エッジ領域の画像データを置換データに置換する置換ステップと、
前記入力画像のうち前記文字領域と前記下地領域との境界部分の特徴に関する条件を満たすか否かの評価を行う評価ステップとをコンピュータに実行させ、
前記評価ステップによる評価結果に基づいて、前記拡張ステップが前記拡張を行い、前記置換ステップが前記置換を行う、画像処理装置の制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図7】
【図9】
【図14】
【図16】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図7】
【図9】
【図14】
【図16】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−124711(P2012−124711A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273748(P2010−273748)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]