説明

画像処理装置、端末装置、特定の処理の実行方法、およびコンピュータプログラム

【課題】フレキシブル性および安全性をあまり損なうことなく、画像形成装置の特定の処理を他の装置から実行できるようにする。
【解決手段】画像形成装置1に次の手段を設ける。ユーザ端末装置2がサービスセンタ装置3と接続されているか否かを判別し、接続されていれば特定の機能を開放するメンテナンス機能開放処理部103。そして、ユーザ端末装置2からの要求に応じて、特定の機能を用いた処理を実行する機能呼出処理部105。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の装置からの要求に応じて特定の処理を実行する画像処理装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、スキャナ、ファックス、IP(Internet Protocol)通信、およびファイルサーバなど様々な機能が備わった画像形成装置が普及している。このような画像形成装置は、「MFP(Multi Function Peripherals)」または「複合機」などと呼ばれる。
【0003】
また、近年、画像形成装置のAPI(Application Program Interface)が公開されるようになった。そして、APIに基づいて作成されたアプリケーションをパーソナルコンピュータで実行することによって、画像形成装置を離れた場所から使用することができるようになった。
【0004】
一方の装置を他方の装置によって遠隔的に操作する方法として、次のような方法が提案されている。
【0005】
コンタクトセンターは通信網を介してメンテナンス指令を、携帯型端末に送信する。携帯型端末はサービスパーソンによって携行可能であり、メンテナンス指令を受信する送受信部を備えている。メンテナンス指令は、メンテナンスの対象となる機器を特定する機器特定情報、例えば機器名称と、当該特定された機器の存在場所、即ち現場の位置を示す位置特定情報、例えば現場位置とを含む。携帯型端末は表示・操作部とデータベースをも備えている。表示・操作部を操作することにより、特定された機器についてのメンテナンス情報をデータベースから読み出す(特許文献1)。
【0006】
ディジタル複合装置の主制御部は、ディジタル複合装置のユーザが操作部の遠隔操作モードキーを押下したとき、ディジタル複合装置の型番やシリアル番号などの機器情報を含むセンタ呼び出し信号をセンタ装置にインターネットを介して送信し、これに応答して、センタ装置から送信されてくる、ディジタル複合装置をセンタ装置により遠隔で操作するためのキー操作信号を受信し、受信されたキー操作信号に対応するキー操作を実行する(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−344641号公報
【特許文献2】特開2006−332890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、APIを無制限に公開すると、画像形成装置のセキュリティ上、好ましくない。しかし、厳しく制限すると、APIのフレキシブル性を損なってしまう。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、フレキシブル性および安全性をあまり損なうことなく、画像形成装置の特定の処理を他の装置から実行できるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る画像処理装置は、端末装置からの要求に応じて特定の処理を実行する画像処理装置であって、前記端末装置が特定の状態であるか否かを判別する状態判別手段と、前記要求があった際に、前記端末装置が前記特定の状態であれば前記特定の処理を実行し、そうでない場合は前記要求を拒否する、特定処理実行手段と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記特定の状態は、前記端末装置が特定のサーバに接続されている状態である。
【0012】
または、前記特定の状態は、前記端末装置が特定のサーバに接続されておりかつ前記特定の処理を使用するアプリケーションが前記端末装置において起動している状態である。
【0013】
または、前記特定のサーバは、当該画像処理装置が前記端末装置に対して指定したサーバである。
【0014】
前記特定の処理は、例えば、当該画像処理装置のメンテナンスのための処理である。
【0015】
本発明の一形態に係る端末装置は、特定の処理を実行する画像処理装置のクライアントとして用いられる端末装置であって、前記特定の処理を前記画像処理装置に実行させる前に、特定のサーバへ接続する接続手段と、前記特定のサーバへ接続した旨と前記特定の処理のためのインタフェースの開放の要求とを前記画像処理装置へ送信する、開放要求手段と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、フレキシブル性および安全性をあまり損なうことなく、画像形成装置の特定の処理を端末装置から実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ネットワークシステムの全体的な構成の例を示す図
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図
【図3】ユーザ端末装置のハードウェア構成の例を示す図
【図4】API機能管理ソフトウェアによって実現される画像形成装置の機能的構成の例を示す図
【図5】リモートメンテナンスソフトウェアによって実現されるユーザ端末装置の機能的構成の例を示す図
【図6】メンテナンス用の機能を閉鎖しているときの使用可否データの例を示す図
【図7】メンテナンス用の機能を開放しているときの使用可否データの例を示す図
【図8】メンテナンス指令画面の例を示す図
【図9】画像形成装置、ユーザ端末装置、およびサービスセンタ装置の全体的な処理の流れの例を説明するシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ネットワークシステム4の全体的な構成の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、ユーザ端末装置2のハードウェア構成の例を示す図である。
【0019】
図1に示すように、ネットワークシステム4は、画像形成装置1、ユーザ端末装置2、およびサービスセンタ装置3などによって構成される。
【0020】
画像形成装置1は、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれる画像処理装置であって、コピー、ネットワークプリント、ファックス、およびスキャナなどの機能を集約した画像処理装置である。
【0021】
ネットワークプリント機能は、印刷データをパーソナルコンピュータなどのクライアントから受信して画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンタ機能」または「PCプリント機能」などと呼ばれることもある。
【0022】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、大容量記憶装置10d、スキャナユニット10e、印刷ユニット10f、NIC(Network Interface Card)10g、タッチパネルディスプレイ10h、モデム10i、フィニッシャ10j、および近距離無線インタフェース10kのほか制御用の回路などによって構成される。
【0023】
NIC10gは、ケーブルでハブまたはルータに繋がれ、パーソナルコンピュータなどの装置とTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで通信を行う。
【0024】
モデム10iは、ファックス端末などの装置との間でG3などのプロトコルで電話回線を介して画像データをやり取りする。
【0025】
タッチパネルディスプレイ10hは、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが処理の指令および条件を入力するための画面、およびCPU10aの処理の結果を示す画面などを表示する。また、ユーザが指で触れた位置を検知し、検知結果を示す信号をCPU10aに送信する。
【0026】
スキャナユニット10eは、用紙に記されている写真、文字、絵、図表などからなる画像を読み取って画像データを生成する。
【0027】
印刷ユニット10fは、スキャナユニット10eによって読み取られた画像のほか、パーソナルコンピュータまたはファックス端末などから受信したデータに示される画像を印刷する。
【0028】
フィニッシャ10jは、印刷ユニット10fによって画像が印刷された印刷物に対して、ステープルで綴じる処理およびパンチ穴を開ける処理などの仕上げの処理を行う。
【0029】
近距離無線インタフェース10kは、画像形成装置1の近傍にある装置と無線によって通信を行う。近距離無線インタフェース10kとして、Bluetoothの規格の通信装置を用いてもよいし、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11つまり無線LANの規格の通信装置を用いてもよい。
【0030】
ROM10cまたは大容量記憶装置10dには、オペレーティングシステムおよびミドルウェアなどのソフトウェアがインストールされている。さらに、API(Application Program Interface)機能管理ソフトウェア1SWがインストールされている。API機能管理ソフトウェア1SWについては、後に詳細に説明する。ソフトウェアを構成するモジュールは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。大容量記憶装置10dとして、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
【0031】
図1に戻って、ユーザ端末装置2は、画像形成装置1が提供するサービスをユーザが受けるための端末装置である。ユーザは、ユーザ端末装置2を操作することによって画像形成装置1を使用することができる。つまり、ユーザ端末装置2は、タッチパネルディスプレイ10hの代わりに用いられる。
【0032】
ユーザ端末装置2として、タブレットPC、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、またはPDA(Personal Digital Assistant)などが用いられる。以下、近距離無線インタフェース10kと無線で通信を行う機能を有する端末装置をユーザ端末装置2として用いる場合を例に、説明する。
【0033】
ユーザ端末装置2は、図3に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、大容量記憶装置20d、タッチパネルディスプレイ20e、操作キー20f、近距離無線インタフェース20g、携帯電話網通信インタフェース20h、音声出力装置20i、およびマイクロホン20jなどによって構成される。
【0034】
音声出力装置20iは、音声ボードおよびスピーカなどによって構成され、音声を出力する。マイクロホン20jは、音声を集音しデータ化する。
【0035】
操作キー20fは、ユーザ端末装置2をリセットするキーおよび出力する音声の大きさを調整するためのキーなどである。
【0036】
タッチパネルディスプレイ20eは、画像形成装置1のタッチパネルディスプレイ10hと同様に、種々の画面を表示する。特に、後述する、画像形成装置1のメンテナンス用の画面を表示する。また、ユーザが指で触れた位置を検知し、検知結果を示す信号をCPU20aに送信する。
【0037】
近距離無線インタフェース20gは、画像形成装置1の近距離無線インタフェース10kと同様に、ユーザ端末装置2の近傍にある装置と無線によって通信を行う。近距離無線インタフェース20gとして、近距離無線インタフェース10kと同じ規格の通信装置が用いられる。
【0038】
携帯電話網通信インタフェース20hは、携帯電話網(いわゆるキャリア網)またはインターネットなどを介して他の装置と通信を行う。携帯電話網通信インタフェース20hとして、第3世代携帯電話網またはPHS(Personal Handy-phone System)網などに対応した通信装置が用いられる。
【0039】
ROM20cまたは大容量記憶装置20dには、オペレーティングシステムおよびミドルウェアなどのソフトウェアがインストールされている。さらに、リモートメンテナンスソフトウェア2SWがインストールされている。リモートメンテナンスソフトウェア2SWについては、後に詳細に説明する。ソフトウェアを構成するモジュールは、必要に応じてRAM20bにロードされ、CPU20aによって実行される。大容量記憶装置20dとして、フラッシュメモリなどが用いられる。
【0040】
図1に戻って、サービスセンタ装置3は、コールバックの機能を有するアクセスサーバであって、画像形成装置1のメーカまたは販売元が運営するサービスセンタに設置されている。
【0041】
図4は、API機能管理ソフトウェア1SWによって実現される画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。図5は、リモートメンテナンスソフトウェア2SWによって実現されるユーザ端末装置2の機能的構成の例を示す図である。図6は、メンテナンス用の機能を閉鎖しているときの使用可否データ5の例を示す図である。図7は、メンテナンス用の機能を開放しているときの使用可否データ5の例を示す図である。図8は、メンテナンス指令画面2WNの例を示す図である。
【0042】
次に、メンテナンスの作業の必要が画像形成装置1に生じた場合に用いられる各装置の各部の動作などについて、説明する。
【0043】
画像形成装置1のAPI機能管理ソフトウェア1SWおよびユーザ端末装置2のリモートメンテナンスソフトウェア2SWは、ユーザ端末装置2を用いたリモートによる画像形成装置1のメンテナンスのためのソフトウェアである。
【0044】
API機能管理ソフトウェア1SWの各モジュールを実行することによって、図4に示す使用可否データ記憶部101、サービスコール通知処理部102、メンテナンス機能開放処理部103、開放完了通知部104、機能呼出処理部105、およびメンテナンス機能閉鎖処理部106などが実現される。
【0045】
また、ユーザ端末装置2のリモートメンテナンスソフトウェア2SWの各モジュールを実行することによって、図5に示すセッション要求部201、セッション確立処理部202、メンテナンス機能開放要求部203、メンテナンス処理部204、およびメンテナンス終了通知部205などが実現される。
【0046】
画像形成装置1の使用可否データ記憶部101には、図6に示すように、画像形成装置1のオペレーティングシステムに予め用意されている、APIの機能ごとの使用可否データ5が、記憶されている。これらの機能の一部は、画像形成装置1のメンテナンスのために用いられる。メンテナンスの機能として、現像剤の攪拌、シアン、マゼンタ、イエロー、および黒ごとのトナーの補給、およびサンプル画像の印刷などがある。
【0047】
使用可否データ5は、関数名フィールド5a、メンテナンスフラグ5b、および使用可否フラグ5cのフィールドを有する。
【0048】
関数名フィールド5aは、その機能を呼び出すための識別子を示す。関数名フィールド5aの値は固定であり、変更されない。
【0049】
メンテナンスフラグ5bは、その機能がメンテナンスのためのものであるか否かを示す。「1」は、メンテナンスのためのものであることを意味し、「0」は、そうでないことを意味する。メンテナンスフラグ5bの値も固定であり、メンテナンスの機能の使用可否データ5のメンテナンスフラグ5bは「1」であり、それ以外の機能の使用可否データ5のメンテナンスフラグ5bは「0」である。
【0050】
使用可否フラグ5cは、その機能を使用することを許可するか否かを示す。「1」は、許可することを意味し、「0」は禁止することを意味する。使用可否フラグ5cの値は、可変である。ただし、メンテナンスの機能の使用可否データ5の使用可否フラグ5cのデフォルト値は、「0」である。
【0051】
画像形成装置1にエラーが発生するなど、メンテナンスの作業が必要になったら、画像形成装置1のオペレーティングシステムは、サービスコールをタッチパネルディスプレイ10hなどに出力する。
【0052】
サービスコール通知処理部102は、サービスコールに呼応して、サービスコールが発生した旨およびサービスセンタ装置3の識別子を示すサービスコール通知データ6Aをユーザ端末装置2へ送信する。
【0053】
サービスコール通知処理部102には、ユーザ端末装置2の識別子およびサービスセンタ装置3の識別子が予め登録されている。近距離無線通信の規格としてBluetoothが用いられる場合は、ユーザ端末装置2の製品識別子(PID)が予め登録されている。または、無線LANが用いられる場合は、ユーザ端末装置2のIPアドレスまたはMAC(Media Access Control)アドレスが予め登録されている。
【0054】
また、サービスセンタ装置3の識別子は、ユーザ端末装置2とサービスセンタ装置3との接続の形態に依存する。本実施形態では、サービスセンタ装置3からユーザ端末装置2へのコールバックによる接続を採る場合を例に、説明する。そこで、サービスセンタ装置3の識別子として、サービスセンタ装置3の電話番号がサービスコール通知処理部102に予め登録されている。
【0055】
サービスコール通知処理部102は、予め登録されているこれらの識別子に基づいてサービスコール通知データ6Aを生成し送信する。
【0056】
ユーザ端末装置2のセッション要求部201(図5参照)は、画像形成装置1からサービスコール通知データ6Aを受信すると、サービスコール通知データ6Aに示される電話番号へダイアルアップし、セッションの確立を要求する旨およびユーザ端末装置2の電話番号を示すセッション要求データ6Bをサービスセンタ装置3へ送信する。送信後、一旦、サービスセンタ装置3との接続を終了する。
【0057】
サービスセンタ装置3には、正規のユーザのユーザ端末装置2の電話番号が予め登録されている。サービスセンタ装置3は、セッション要求データ6Bを受信すると、セッション要求データ6Bに示される電話番号が正規のユーザのユーザ端末装置2のものであるか否かをチェックする。そして、正規のユーザのユーザ端末装置2のものであれば、その電話番号へ発呼してコールバックすることによって、このユーザ端末装置2とのセッションの確立を行う。
【0058】
ユーザ端末装置2のセッション確立処理部202は、サービスセンタ装置3からの呼を受けると、サービスセンタ装置3とのセッションの確立を行う。
【0059】
メンテナンス機能開放要求部203は、セッションが確立されると、メンテナンスの機能を使用可能にするように要求する旨、サービスセンタ装置3との接続(セッション)が有効である旨、およびサービスセンタ装置3の電話番号などを示す開放要求データ6Cを画像形成装置1へ送信する。
【0060】
画像形成装置1のメンテナンス機能開放処理部103は、開放要求データ6Cを受信すると、開放要求データ6Cにサービスセンタ装置3との接続(セッション)が有効である旨が示され、かつ、開放要求データ6Cに示される電話番号がサービスセンタ装置3のものであることを確認する。そして、確認できたら、図7のように、メンテナンスフラグ5bが「1」である使用可否データ5の使用可否フラグ5cをすべて「1」に更新する。これにより、メンテナンスの機能が開放されアプリケーションから呼び出すことが可能になる。
【0061】
開放完了通知部104は、メンテナンスの機能が開放された旨を示す開放通知データ6Dをユーザ端末装置2へ送信する。
【0062】
ユーザ端末装置2のメンテナンス処理部204は、開放通知データ6Dを受信すると、画像形成装置1のメンテナンスのための処理を、例えば次のように行う。
【0063】
開放通知データ6Dを受信すると、メンテナンス処理部204は、図8のような、メンテナンスのアプリケーションを一覧を示すメンテナンス指令画面2WNをタッチパネルディスプレイ20eに表示させる。アプリケーションは、1つの機能のみが用いられることもあれば、複数の機能が用いられる場合もある。アプリケーションのソースは、画像形成装置1のAPIに基づいて記述されている。したがって、画像形成装置1のAPIの機能の関数名が示されている。アプリケーションのソースは、ユーザ端末装置2に予め用意されている。
【0064】
ユーザは、メンテナンス指令画面2WNを見ながら、実行するアプリケーションを選択する。すると、メンテナンス処理部204は、選択されたアプリケーションを、そのアプリケーションのソースに基づいて実行する。この際に、画像形成装置1に対して、関数名などを示す機能呼出データ6Eを送信することによって、機能の実行を要求する。
【0065】
画像形成装置1の機能呼出処理部105は、機能呼出データ6Eを受信すると、それに示される関数名の機能を、APIを介してオペレーティングシステムから呼び出して実行する。
【0066】
ただし、実行する前に、機能呼出処理部105は、その関数名が関数名フィールド5aに示される使用可否データ5を使用可否データ記憶部101から検索し、その使用可否データ5の使用可否フラグ5cをチェックする。そして、使用可否フラグ5cが「1」であれば、その関数名の機能を実行し、「0」であれば、実行を中止する。
【0067】
ユーザは、メンテナンスが終わったら、メンテナンス指令画面2WNの「終了」ボタンを押す(図8参照)。
【0068】
すると、メンテナンス終了通知部205は、メンテナンスの作業の終了を示す終了通知データ6Fを画像形成装置1へ送信する。
【0069】
画像形成装置1のメンテナンス機能閉鎖処理部106は、終了通知データ6Fを受信すると、図6のように、メンテナンスフラグ5bが「1」である使用可否データ5の使用可否フラグ5cをすべて「0」にリセットする。これにより、メンテナンスの機能の使用が禁止される。
【0070】
また、メンテナンス指令画面2WNの「終了」ボタンが押されたら、ユーザ端末装置2とサービスセンタ装置3とのセッションを切断する。また、メンテナンス終了通知部205は、「終了」ボタンが押されることなくセッションが切断された場合も、終了通知データ6Fを画像形成装置1へ送信する。これにより、リモートによるメンテナンスが中断される。
【0071】
図9は、画像形成装置1、ユーザ端末装置2、およびサービスセンタ装置3の全体的な処理の流れの例を説明するシーケンス図である。
【0072】
次に、ネットワークシステム4の各装置の全体的な処理の流れを、図9のシーケンス図を参照しながら説明する。
【0073】
画像形成装置1は、メンテナンスが必要な事象(例えば、エラー)を検知すると、ユーザ端末装置2へサービスコール通知データ6Aを送信する(#701)。
【0074】
ユーザ端末装置2は、サービスコール通知データ6Aを受信しエラー等の事象を検知すると(#721)、リモートメンテナンスソフトウェア2SWを起動し(#722)、ステップ#723以降の処理を順次行う。
【0075】
まず、ユーザ端末装置2は、セッション要求データ6Bをサービスセンタ装置3へ送信する(#723)。
【0076】
サービスセンタ装置3は、セッション要求データ6Bを受信すると(#741)、ユーザ端末装置2へコールバックする(#742)。
【0077】
ユーザ端末装置2は、サービスセンタ装置3からの呼を受けるとこれに応答する(#724)。そして、ユーザ端末装置2およびサービスセンタ装置3は、セッションの確立の処理を行う(#725、#743)。
【0078】
ユーザ端末装置2は、セッションが確立されたら、開放要求データ6Cを画像形成装置1へ送信する(#726)
画像形成装置1は、開放要求データ6Cを受信すると(#702)、メンテナンスの機能の使用可否データ5の使用可否フラグ5c(図9参照)を「1」に更新する(#703)。これにより、リモートによるメンテナンスの機能の使用が可能になる。そして、画像形成装置1は、開放通知データ6Dをユーザ端末装置2へ返信する(#704)。
【0079】
ユーザ端末装置2は、開放通知データ6Dを受信すると(#727)、リモートによる画像形成装置1のメンテナンスの処理を行う(#728)。具体的には、メンテナンス指令画面2WN(図8参照)を表示し、メンテナンスのアプリケーションをユーザに選択させる。そして、選択されたアプリケーションのソースに示される関数名を、機能呼出データ6Eを画像形成装置1へ送信することによって、通知する。
【0080】
画像形成装置1は、ユーザ端末装置2からの機能呼出データ6Eに示される関数名の機能を、APIを介して呼び出して実行する(#705)。ただし、この機能の使用可否データ5の使用可否フラグ5cが「1」を示す場合に実行し、「0」を示す場合は実行しない。
【0081】
メンテナンス指令画面2WNの「終了」ボタンが押されまたはサービスセンタ装置3とのセッションが切断されると(#729)、ユーザ端末装置2は、終了通知データ6Fを画像形成装置1へ送信する(#730)。
【0082】
画像形成装置1は、終了通知データ6Fを受信すると(#706)、メンテナンスの機能の使用可否データ5の使用可否フラグ5cを「0」に更新する(#707)。これにより、リモートによるメンテナンスの機能の使用が再び禁止される。
【0083】
本実施形態によると、フレキシブル性および安全性をあまり損なうことなく画像形成装置1のAPIをユーザ端末装置2で使用することができる。
【0084】
本実施形態では、メンテナンスの機能の使用を制限したが、他の目的の機能の使用を制限してもよい。例えば、ファックスの送信の機能の使用を、ユーザ端末装置2がサービスセンタ装置3と接続されている場合にのみ、認めるようにしてもよい。
【0085】
本実施形態では、リモートによる画像形成装置1のメンテナンスを、ユーザ端末装置2をユーザが操作することによって行ったが、サービスセンタ装置3をサービスセンタのオペレータが操作することによって行ってもよい。この場合は、サービスセンタ装置3は、メンテナンス指令画面2WN(図8参照)に相当する画面を表示し、操作に応じて機能呼出データ6Eをユーザ端末装置2へ送信する。ユーザ端末装置2は、この機能呼出データ6Eを画像形成装置1へ転送する。そして、画像形成装置1は、この機能呼出データ6Eに従って処理を実行する。
【0086】
本実施形態では、サービスセンタ装置3は、コールバックによってユーザ端末装置2とのセッションの確立を行った。これにより、ユーザ端末装置2の身元を確認しセキュリティの保護を図ることができた。コールバック以外の方法によっても、セキュリティの保護を図ることができる。例えば、ユーザ端末装置2がサービスセンタ装置3へ電子証明書を送信し、サービスセンタ装置3がこの電子証明書が本物であるか否かをチェックすることによって、セキュリティの保護を図ってもよい。
【0087】
ユーザ端末装置2は、電話番号の代わりにIPアドレスをサービスセンタ装置3へ通知してもよい。そして、サービスセンタ装置3は、このIPアドレスが予め登録されているのであれば、このIPアドレスに基づいてユーザ端末装置2とのセッションを確立してもよい。この際に、ユーザ端末装置2およびサービスセンタ装置3は、SOAP(Simple Object Access Protocol)またはTELNETなどを用いて通信を行えばよい。
【0088】
本実施形態では、画像形成装置1は、ユーザ端末装置2によるメンテナンスの機能の使用を、ユーザ端末装置2がサービスセンタ装置3に接続された状態であるときに許可されたが、他の信頼のできる装置に接続された状態であるときにも許可してもよい。例えば、所定のデータを記録したハードウェアキーがUSB(Universal Serial Bus)ポートに取り付けられていれば、許可してもよい。この場合は、ユーザ端末装置2は、ハードウェアキーから所定のデータを読み出して画像形成装置1へ送信する。画像形成装置1は、送信されてきた所定のデータが正しいものであるか否かをチェックし、正しければ、メンテナンスの機能の使用を許可する。
【0089】
その他、ネットワークシステム4、画像形成装置1、ユーザ端末装置2の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置(画像処理装置)
103 メンテナンス機能開放処理部(状態判別手段)
105 機能呼出処理部(特定処理実行手段)
2 ユーザ端末装置(端末装置)
202 セッション確立処理部(接続手段)
203 メンテナンス機能開放要求部(開放要求手段)
3 サービスセンタ装置(特定のサーバ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置からの要求に応じて特定の処理を実行する画像処理装置であって、
前記端末装置が特定の状態であるか否かを判別する状態判別手段と、
前記要求があった際に、前記端末装置が前記特定の状態であれば前記特定の処理を実行し、そうでない場合は前記要求を拒否する、特定処理実行手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特定の状態は、前記端末装置が特定のサーバに接続されている状態である、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特定の状態は、前記端末装置が特定のサーバに接続されておりかつ前記特定の処理を使用するアプリケーションが前記端末装置において起動している状態である、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定のサーバは、当該画像処理装置が前記端末装置に対して指定したサーバである、
請求項2または請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特定の処理は、当該画像処理装置のメンテナンスのための処理である、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
特定の処理を実行する画像処理装置のクライアントとして用いられる端末装置であって、
前記特定の処理を前記画像処理装置に実行させる前に、特定のサーバへ接続する接続手段と、
前記特定のサーバへ接続した旨と前記特定の処理のためのインタフェースの開放の要求とを前記画像処理装置へ送信する、開放要求手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項7】
端末装置からの要求に応じて特定の処理を実行する画像処理装置に、
前記端末装置が特定の状態であるか否かを判別させ、
前記要求があった際に、前記端末装置が前記特定の状態であれば、前記特定の処理を実行させ、そうでない場合は前記要求を拒否させる、
ことを特徴とする特定の処理の実行方法。
【請求項8】
端末装置からの要求に応じて特定の処理を実行する画像処理装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
当該画像処理装置に、
前記端末装置が特定の状態であるか否かを判別する判別処理を実行させ、
前記要求があった際に、前記端末装置が前記特定の状態であれば、前記特定の処理を実行させ、そうでない場合は前記要求を拒否させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−199883(P2012−199883A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64097(P2011−64097)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】