画像処理装置、超音波診断装置、及び画像処理方法
【課題】互いに異なる時系列の画像データに含まれる同一部分を容易に比較可能とすること。
【解決手段】記憶部26は、一定期間に亘る時系列の2次元又は3次元の第1画像データと第2画像データとを記憶する。注目部位設定部12は、一定期間内の複数の時相の各々について、第1画像データに対して第1注目部位を、第2画像データに対して第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により設定する。対応付け部14は、複数の時相の各々について、設定された第1注目部位と第2注目部位とを対応付ける。位置合わせ部16は、前記複数の時相の各々について、対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って第1画像データと第2画像データとを位置合わせする。
【解決手段】記憶部26は、一定期間に亘る時系列の2次元又は3次元の第1画像データと第2画像データとを記憶する。注目部位設定部12は、一定期間内の複数の時相の各々について、第1画像データに対して第1注目部位を、第2画像データに対して第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により設定する。対応付け部14は、複数の時相の各々について、設定された第1注目部位と第2注目部位とを対応付ける。位置合わせ部16は、前記複数の時相の各々について、対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って第1画像データと第2画像データとを位置合わせする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置、超音波診断装置、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、時系列のボリュームデータを収集可能なモダリティが登場している。例えば、超音波診断装置による3次元エコー検査や腹部の4次元エコー検査、あるいはX線コンピュータ断層撮影装置による心臓検査等がこれに該当する。このような互いに異なる時系列のボリュームデータをストレスエコー前後間や治療前後間の画像比較、又は異なるモダリティ間の画像比較に用いたいというニーズがある。しかし異なる時系列のボリュームデータに含まれる解剖学的な同一部位を動画像表示する技術はない。このため、ある時相においては同一部位が画像表示されていても、他の時相において同一部位が画像表示されないといった事態が発生してしまう。そのため、同一部位間の正確な比較が出来ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目的は、互いに異なる時系列の画像データに含まれる同一部分を容易に比較可能な画像処理装置、超音波診断装置、及び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本実施形態に係る画像処理装置は、一定期間に亘る時系列の2次元又は3次元の第1画像データと第2画像データとを記憶する記憶部と、前記一定期間内の複数の時相の各々について、前記第1画像データに対して第1注目部位を、前記第2画像データに対して前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により設定する設定部と、前記複数の時相の各々について、前記設定された第1注目部位と第2注目部位とを対応付ける対応付け部と、前記複数の時相の各々について、前記対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って前記第1画像データと前記第2画像データとを位置合わせする位置合わせ部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図2】図1の制御部の制御のもとに行われる画像処理の典型的な流れを示す図。
【図3】図2のステップS7〜S9において行なわれる、補間を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図。
【図4】図2のステップS7〜S9において行なわれる、自動認識(辞書機能)を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図。
【図5】図2のステップS7〜S9において行なわれる、トラッキング処理を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図。
【図6】図2のステップS11において行われる、時系列の壁運動画像データと時系列のCT画像データとの並列表示を説明するための図。
【図7】図1の表示部において行なわれる、時系列の3次元壁運動画像データと時系列の3次元冠動脈画像データとの重畳表示の一例を示す図。
【図8】図1の表示部において行なわれる、壁運動異常領域を通過する血管領域R3の強調表示の一例を示す図。
【図9】図1の表示部において行なわれる、多断面の時系列の壁運動画像データと多断面の時系列の冠動脈画像データとの重畳表示の一例を示す図。
【図10】図1の表示部において行なわれる、時系列の3次元壁運動画像データと時系列のX線造影画像データとの重畳表示の一例を示す図。
【図11】本実施形態の変形例に係る超音波診断装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる画像処理装置、超音波診断装置、及び画像処理方法を説明する。画像処理装置は、周期的に運動する検査部位の動画像上での観察を支援するためのコンピュータ装置である。本実施形態に係る画像処理は、如何なる検査部位にも適用可能である。しかしながら以下の説明を具体的に行なうため、検査部位は、律動的に収縮と弛緩とを繰り返す心臓であるとする。
【0007】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置1の構成を示す図である。図1に示すように、画像処理装置1は、記憶部10、注目部位設定部12、対応付け部14、位置合わせ部16、表示画像生成部18、表示部20、入力部22、ネットワークインターフェース部24、及び制御部26を有する。
【0008】
記憶部10は、同一の被検体の心臓に関する少なくとも2つの時系列の画像データを記憶している。画像データは、2次元の画像データや3次元の画像データ(ボリュームデータ)である。時系列の画像データとは、一定期間(1心周期以上)内の複数の時相に関する画像データの集合である。本実施形態に係る画像データは、超音波診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及び核医学診断装置等の既存のどの医用画像診断装置により生成されたものでも構わない。以下、本実施形態においては、説明の簡単のため時系列の画像データは、ボリュームデータであるとする。また、時系列のボリュームデータは、2種類あるとし、一方の時系列のボリュームデータを第1ボリュームデータ、他方のボリュームデータを第2ボリュームデータと呼ぶことにする。記憶部10は、各時系列のボリュームデータを各時相を表すコードに関連付けて記憶している。また、記憶部10は、制御部26により実行される画像処理プログラムを記憶している。
【0009】
注目部位設定部12は、一定期間の複数の時相の各々について、略同一時相に関する第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとのそれぞれに対して解剖学的に同一な注目部位を設定する。換言すれば、注目部位設定部12は、時系列の第1ボリュームデータに第1注目部位を、時系列の第2ボリュームデータに、第1注目部位に解剖学的に同一な第2注目部位を時相毎に設定する。各注目部位は、ユーザにより入力部22を介してマニュアル指定されるとしても、画像処理により特定されるとしてもどちらでもよい。なお少なくとも1つの時相については、注目部位は、マニュアル指定により設定される。それ以外の残りの時相(一定期間内の時相のうちマニュアル指定がなされなかった時相)については、注目部位は、画像処理により設定される。
【0010】
対応付け部14は、特定時相の第1ボリュームデータの第1注目部位の位置と第2ボリュームデータの第2注目部位の位置とに従って、一定期間内の複数時相の各々について、第1ボリュームデータの第1注目部位と第2ボリュームデータの第2注目部位とを対応付ける。特定時相は、マニュアル指定により注目部位の設定が行なわれた時相である。対応付け処理は、対応付け処理対象の時相が特定時相であるのか、あるいは残りの時相(画像処理により注目部位の設定が行なわれていない時相)であるのかにより異なる。このように対応付け部14は、時系列の第1ボリュームデータの第1注目部位と時系列の第2ボリュームデータの第2注目部位とを時相毎に対応付ける。
【0011】
位置合わせ部16は、対応付けがなされた各時相の第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとを位置合わせする。すなわち位置合わせ部16は、複数の時相の各々について、対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとを位置合わせする。このように、位置合わせ部16は、時系列の第1ボリュームデータに含まれる第1注目部位と、時系列の第2ボリュームデータに含まれる第2注目部位との相対的な位置関係に従って、時系列の第1ボリュームデータと時系列の第2ボリュームデータとを時相毎に位置合わせする。
【0012】
画像生成部18は、位置合わせ後の時系列の第1ボリュームデータに基づいて、第1注目部位に関する時系列の第1表示画像データを生成する。また、画像生成部18は、位置合わせ後の時系列の第2ボリュームデータに基づいて、第2注目部位に関する時系列の第2表示画像データを生成する。
【0013】
表示部20は、時系列の第1表示画像データと時系列の第2表示画像データとを並列又は重畳して表示機器に動画表示する。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が採用される。
【0014】
入力部22は、ユーザによる入力機器の操作に指示に従って、画像処理の開始指示や注目部位の指定指示等を行なう。入力機器としては、例えば、キーボード、マウス、各種ボタン、タッチキーパネル等が採用される。
【0015】
ネットワークインターフェース部24は、図示しない医用画像診断装置や画像サーバとネットワークを介して種々の画像データを送受信する。
【0016】
制御部26は、画像処理装置1の中枢として機能する。具体的には、制御部26は、注目部位の時系列対応付け処理を実行するための画像処理プログラムを記憶部10から読み出して自身が有するメモリ上に展開し、展開された画像処理プログラムに従って各部を制御する。
【0017】
以下、本実施形態に係る画像処理装置1の動作を具体的に説明する。以下の動作説明を具体的に行なうため、第1ボリュームデータは、超音波診断装置により生成された壁運動情報に関するボリュームデータ(以下、壁運動ボリュームデータと呼ぶことにする)であるとする。壁運動ボリュームデータは周知のように以下のように生成される。まず、超音波診断装置は、まず超音波プローブを介して被検体の心臓を超音波で繰り返し3次元走査し、時系列の超音波ボリュームデータを生成する。次に超音波診断装置は、生成された時系列の超音波ボリュームデータ内から心筋領域を3次元スペックルトラッキングにより抽出する。それから超音波診断装置は、抽出された心筋領域を壁運動解析して壁運動情報を計算する。そして超音波診断装置は、計算された壁運動情報をボクセルに割当てることで、壁運動ボリュームデータを生成する。なお壁運動情報とは、例えば、心筋の所定方向に関する変位、変位率、歪み、歪み率、移動距離、速度、速度勾配等のパラメータである。壁運動ボリュームデータは、これら壁運動情報の空間分布を表している。
【0018】
また、第2ボリュームデータは、X線CT装置により生成された冠動脈に関するボリュームデータ(以下、CTボリュームデータと呼ぶことにする)であるとする。X線CT装置は、造影剤が注入された冠動脈をX線で繰り返しスキャンし、時系列のCTボリュームデータを生成する。
【0019】
以下、説明の分かりやすさのため、初期時相を“θ1”、末期時相を“θn”(ただし、nは2以上の整数)と表記する。nは、初期時相θ1からn番目の時相と言う意味である。一般的に時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとの時間分解能は、異なっている。典型的には、時系列の壁運動ボリュームデータの方が時系列のCTボリュームデータに比して、時間分解能が高い。しかしながら本実施形態においては、説明の簡単のため、時間分解能は同一であるとする。
【0020】
図2は、制御部26の制御のもとに行われる画像処理の典型的な流れを示す図である。図2に示すように、ユーザにより入力部22を介して画像処理の開始指示がなされると制御部26は、一定期間内の時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとを記憶部10から読み出す(ステップS1)。読み出された時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとは、制御部26により注目部位設定部12に供給される。
【0021】
ステップS1が行われると制御部26は、注目部位設定部12に注目部位の設定処理を行なわせる(ステップS2)。ステップS2において注目部位設定部12は、略同一の特定時相θi(1≦i≦n)に関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとに対して、解剖学的に略同一な注目部位をそれぞれ設定する。ここで壁運動ボリュームデータに設定される注目部位を壁運動注目部位と呼び、CTボリュームデータに設定される注目部位をCT注目部位と呼ぶことにする。
【0022】
以下、ステップS2に関する設定処理について具体的に説明する。ステップS2においては、典型的には、ユーザによる入力部22を介したマニュアル指定により注目部位が設定される。マニュアル指定は、表示部20に表示されている表示画像上で行なわれる。例えば、壁運動ボリュームデータに基づく壁運動表示画像上で複数の特徴点が指定される。この壁運動表示画像の断面は、壁運動ボリュームデータの任意の断面に設定される。特徴点は、例えば、直線上にない複数点、例えば3点により指定される。例えば、心筋運動の異常を観察したい場合、特徴点は、心筋運動の異常部位に指定される。ユーザにより複数の特徴点が指定されると注目部位設定部12は、指定された複数の特徴点を含む領域を壁運動注目部位に設定する。例えば、指定された複数の特徴点に囲まれた領域が壁運動注目部位に設定される。臨床的な関心領域が画像内の虚血領域や病変部位等の局所部位にある場合、複数の特徴点は比較的狭い範囲に設定される。臨床的な関心領域が画像内の比較的広い範囲に亘る場合、複数の特徴点は、この臨床的な関心領域の周を取り囲むように広い範囲に亘って設定される。この場合、注目部位は、画像において比較的広い領域に設定されることとなる。なお指定された特徴点が壁運動注目部位に設定されてもよい。次に、壁運動ボリュームデータ内に設定された複数の特徴点にそれぞれ対応する複数の対応点が、ユーザにより入力部22を介して、CTボリュームデータに基づくCT表示画像上で指定される。このCT表示画像の断面は、CTボリュームデータ内の任意の断面に設定される。複数の対応点が指定されると注目部位設定部12は、指定された複数の対応点を含む領域をCT注目部位に設定する。設定された壁運動注目部位とCT注目部位との位置は、特定時相θiに関連付けられて対応付け部14に供給させる。
【0023】
特定時相θiは、ユーザにより入力部22を介して任意に指定可能である。例えば、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとに心電図データが関連付けられている場合、この心電図を利用して特定時相θiが指定されるとよい。例えば、表示部20に表示されている心電図上で、ユーザにより入力部22を介して時相θiが指定される。時相θiが指定されると制御部26は、指定された時相θiを特定時相θiに設定する。このように心電図に同期して特定時相θiを指定することにより、同一時相の検出をより正確に行なうことができる。心電図データが関連付けられていない場合、例えば、心臓弁の開閉タイミングや収縮末期、拡張末期等をユーザが動画像上で目視により確認し、入力部22を介して特定時相θiを指定してもよい。
【0024】
ステップS2が行なわれると制御部26は、対応付け部14に対応付け処理を行なわせる(ステップS3)。ステップS3において対応付け部14は、特定時相θiに関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとに対してそれぞれ設定された注目部位同士を対応づける。対応付けられた壁運動注目部位の位置とCT注目部位の位置とは、互いに関連付けられて記憶部10に記憶される。
【0025】
ステップS3が行なわれると制御部26は、位置合わせ部16に位置合わせ処理を行なわせる(ステップS4)。ステップS4において位置合わせ部16は、互いに対応付けられた壁運動注目部位とCT注目部位との相対的な位置関係に基づいて、特定時相θiに関する位置合わせ情報を算出する。位置合わせ部16は、算出された位置合わせ情報に従って、特定時相θiに関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。位置合わせ情報は、例えば、壁運動注目部位とCT注目部位との間の相対的位置、相対的方向、相対的縮尺である。換言すれば、壁運動注目部位とCT注目部位とを結ぶベクトルである。より詳細には、位置合わせ情報は、壁運動ボリュームデータからCTボリュームデータへの座標変換式、あるいはCTボリュームデータから壁運動ボリュームデータへの座標変換式である。位置合わせ部16は、算出された座標変換式を壁運動ボリュームデータ又はCTボリュームデータへ乗じることにより、壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。
【0026】
ステップS4が行なわれると制御部26は、他の時相についても注目部位をマニュアル指定により設定するか否かの指示を待機する(ステップS5)。他の時相についても注目部位を指定する旨の指示がユーザにより入力部22を介してなされた場合(ステップS5:YES)、再びステップS2に戻る。このようにして、互いに異なる複数の特定時相θiに関する壁運動注目部位とCT注目部位とが繰り返し対応付けられ、位置合わせされる。複数の特定時相θiは、時間的に離散的であっても連続的であってもどちらでもよい。
【0027】
ステップS5において他の時相については注目部位を指定しない旨の指示がユーザにより入力部22を介してなされた場合(ステップS5:NO)、制御部26は、全時相θ1〜θnにおいて位置合わせが行われたか否かを判定する(ステップS6)。全時相θ1〜θnにおいて位置合わせが行われたと判定した場合(ステップS6:YES)、制御部26は、ステップS10に進む。
【0028】
一方ステップS6において、位置合わせされていない時相(残りの時相θj(1≦j≦n、j≠i))があると判定した場合(ステップS6:NO)、制御部26は、残りの時相θjについての注目部位の設定処理を注目部位設定部12に行なわせる(ステップS7)。ステップS7において注目部位設定部12は、ステップS2において設定された特定時相θiに関する壁運動ボリュームデータの壁運動注目部位の位置や形状に基づいて、残りの座標θjに関する壁運動ボリュームデータに壁運動注目部位を設定する。同様にして、注目部位設定部12は、特定時相θiに関するCTボリュームデータのCT注目部位の位置や形状に基づいて、残りの座標θjに関するCTボリュームデータにCT注目部位を設定する。
【0029】
ステップS7が行なわれると制御部26は、残りの時相θjについての注目部位の対応付け処理を対応付け部14に行なわせる(ステップS8)。ステップS8において対応付け部14は、ステップS7において設定された壁運動注目部位とCT注目部位との間の相対的な位置関係に基づいて、残りの時相θjに関する壁運動注目部位とCT注目部位とを対応付ける。
【0030】
ステップS8が行なわれると制御部26は、残りの時相θjについての注目部位の位置合わせ処理を位置合わせ部16に行なわせる(ステップS9)。ステップS9において位置合わせ部16は、ステップS8において対応付けられた壁運動注目部位とCT注目部位と間の相対的な位置関係に基づいて、時相θjに関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。以下、ステップS6、S7、及びS8の処理について詳細に説明する。
【0031】
ステップS6における設定処理、ステップS7における対応付け処理、及びステップS8における位置合わせ処理には様々な方法あり、大きく分けて3種類ある。以下、この3種類の方法についてそれぞれ説明する。
【0032】
方法1:(補間又は補外)
図3は、補間を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図である。図3に示すように、具体的に時相θ1、θ2、及びθ3からなる時系列の壁運動ボリュームデータWVと時系列のCTボリュームデータCVとを例に挙げる。なお、時相θ1、θ2、及びθ3の時間の前後関係は、θ1→θ2→θ3であるとする。
【0033】
ステップS2において、時相θ1に関する壁運動ボリュームデータWV1中に壁運動注目部位PW1がマニュアル指定により設定され、時相θ1に関するCTボリュームデータCV1中にCT注目部位PC1がマニュアル指定により設定されたとする。ステップS3において、時相θ1における部位PW1と部位PC1とは、対応付け部14により対応付けられる。対応付けられた部位同士(PW1,PC1)は、互いに関連付けられて記憶部10に記憶される。ステップS4において部位PW1と部位PC1との相対的な位置関係に基づいて、部位PW1と部位PC1との位置合わせ情報(例えば、部位PC1から部位PW1へのベクトル(相対位置及び方向))が位置合わせ部16により算出される。また時相θ3においても同様に、ステップS2において部位PW3と部位PC3とがマニュアル指定により設定され、ステップS3において部位PW3と部位PC3とが対応付け部14により対応付けられる。そしてステップS4において部位PW3と部位PC3との位置合わせ情報(部位PC3から部位PW3へのベクトル)が位置合わせ部16により算出される。
【0034】
時相θ2(残りの時相)については、ステップS7において補間により注目部位が設定される。まず、壁運動注目部位PW1の位置、壁運動注目部位PW3の位置、及び時相θ1からθ3までの経過時間に基づいて、時相θ2における壁運動ボリュームデータWV2の壁運動注目部位PW2の候補位置が補間により算出される。補間の方法は、線形補間であってもよいし、スプライン補間やラグランジュ補間に代表されるような高次の補間であってもよい。算出された候補位置には、注目部位設定部12により壁運動注目部位PW2が設定される。同様に、時相θ2におけるCTボリュームデータCV2のCT注目部位PC2も注目部位設定部12により設定される。なお、注目部位の候補位置の算出方法は、補間のみに限定されない。例えば、特定時相θ1における注目部位の位置と、時相θ1から時相θ2までの経過時間とに基づく補外により、残りの時相の注目部位の位置が算出されても良い。
【0035】
次にステップS8において壁運動注目部位PW2とCT注目部位PC2とが対応付け部14により対応付けられる。対応付けられた部位同士(PW2,PC2)が記憶部10により記憶される。そしてステップS9において、部位PW2と部位PC2との間のベクトルに基づいて、部位PW3から部位PC3への座標変換式が位置合わせ部16により算出される。そして位置合わせ部16は、算出された座標変換式を壁運動ボリュームデータWV2に乗じ、壁運動ボリュームデータWV2とCTボリュームデータCV2とを位置合わせする。これによりステップS9が終了する。
【0036】
このようにして時相θ2において注目部位が補間により設定され、対応付けられ、位置合わせされる。他の残りの時相についても同様の処理が行なわれる。これにより一定期間内の特定時相θi以外の全ての時相θjについて壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとが位置合わせされる。
【0037】
なお上記の説明においては、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとは、時間分解能が同一であるとした。しかしながら本実施形態は、これに限定する必要はない。互いの時間分解能が異なる場合、不足している時相における注目部位の位置を補間又は補外により注目部位設定部12により算出するとよい。
【0038】
方法2:自動認識(辞書機能)
図4は、自動認識を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図である。なお、図4に示す記号の意味は、図3に示すものと同様である。ただし、図4においては、時相θ1においてのみ注目部位のマニュアル指定がなされたものとする。
【0039】
この方法は、残りの時相θ2及びθ3の注目部位を自動認識により特定し、特定された注目部位に従って設定処理や、対応付け、位置合わせをする。この場合、時相毎に壁運動ボリュームデータWVとCTボリュームデータCVとのそれぞれについて注目部位が設定される。
【0040】
具体的には、ステップS7において注目部位設定部12は、時相θ1に関する壁運動注目部位PW1の画素値分布をテンプレートとして壁運動ボリュームデータWV2をテンプレートマッチング処理し、時相θ2に関する壁運動注目部位PW2を自動認識により特定する。同様に注目部位設定部12は、時相θ1に関するCT注目部位PC1の画素値分布をテンプレートとしてCTボリュームデータCV2をテンプレートマッチング処理し、時相θ2に関するCT注目部位PC2を自動認識により特定する。例えば、時相θ1の壁運動ボリュームデータWV1とCTボリュームデータCV1とのそれぞれについて、心臓の弁輪部が注目部位として設定されたとする。この場合、時相θ2について、壁運動ボリュームデータWV2とCTボリュームデータCV2とのそれぞれにおいて弁輪部が特定される。壁運動ボリュームデータWV2内の弁輪部は、注目部位設定部12により壁運動注目部位PW2に設定される。CTボリュームデータCV2内の弁輪部は、注目部位設定部12によりCT注目部位PC2に設定される。
【0041】
次にステップS8において壁運動注目部位PW2とCT注目部位PC2とは、対応付け部14により対応付けられる。そしてステップS9において、部位PW2と部位PC2との位置関係(部位PC2から部位PW2へのベクトル)に従って、壁運動ボリュームデータWV2とCTボリュームデータCV2とが位置合わせ部16により位置合わせされる。
【0042】
このようにして時相θ2において注目部位が自動認識を利用して設定され、対応付けられ、位置合わせされると、次の時相θ3について同様の処理が行なわれる。この処理は、一定期間内の特定時相θi以外の全ての時相θjについて繰り返される。これにより全ての時相θjについて壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとが位置合わせされる。
【0043】
方法3:(トラッキング処理)
図5は、トラッキング処理(追跡処理)を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図である。なお、図5に示す記号の意味は、図3に示すものと同様である。ただし、図5においては、時相θ1においてのみ注目部位のマニュアル指定がなされたものとする。
【0044】
この方法は、特定時相θ1において設定された注目部位を時系列のボリュームデータに亘ってトラッキングし、トラッキングされた注目部位に従って設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を行なう方法である。この場合、残りの時相θ2と時相θ3とにおいて注目部位が設定されてから、対応付け処理と位置合わせ処理が行なわれる。
【0045】
具体的には、まずステップS7において注目部位設定部12は、時相θ1に関する壁運動注目部位PW1の画素値分布をテンプレートとして壁運動ボリュームデータWV2と壁運動ボリュームデータWV3とをテンプレートマッチング処理し、壁運動注目部位PW2と壁運動注目部位PW3とをトラッキングにより特定する。同様に注目部位設定部12は、時相θ1に関するCT注目部位PC1の画素値分布をテンプレートとしてCTボリュームデータCV2とCTボリュームデータCV3とをテンプレートマッチング処理し、CT注目部位PC2とCT注目部位PC3とをトラッキングにより特定する。特定された壁運動注目部位とCT注目部位とは、注目部位設定部12により注目部位に設定される。
【0046】
次にステップS8において壁運動注目部位PW2とCT注目部位PC2とは、対応付け部14により対応付けられる。同様に壁運動注目部位PW3とCT注目部位PC3とが対応付けられる。そしてステップS9において、部位PC2から部位PW2へのベクトルに従って壁運動ボリュームデータWV2とCTボリュームデータCV2とが位置合わせ部16により位置合わせされる。同様に、部位PC3からPW3へのベクトルに従って壁運動ボリュームデータWV3とCTボリュームデータCV3とが位置合わせ部16により位置合わせされる。
【0047】
このようにして、一定期間内の全ての残りの時相θjについて注目部位がトラッキング処理を利用して設定される。それから各残りの時相θjにおける注目部位同士が対応付けられ、各残りの時相θjに関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとが位置合わせされる。
【0048】
以上でステップS7、S8、及びS9の処理の説明を終了する。ステップS9が終了した時点において、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとが時相毎に位置合わせされる。
【0049】
一般的には、3次元画像の平行移動、回転、伸縮を決定するために、3点以上での位置合わせが行われる。この位置合わせには、最小自乗法等が利用される。
【0050】
ステップS6において全ての時相θ1〜θnにおいて位置合わせされたと判定した場合、又はステップS9が行なわれると制御部26は、表示画像生成部18に画像生成処理を行なわせる(ステップS10)。ステップS10において表示画像生成部18は、位置合わせされた時系列の壁運動ボリュームデータを3次元画像処理して時系列の壁運動画像データを生成する。同様に、表示画像生成部18は、位置合わせされた時系列のCTボリュームデータを3次元画像処理して時系列のCT画像データを生成する。生成された時系列の壁運動画像データと時系列のCT画像データとは、位置合わせされている。3次元画像処理としては、MPR(multi planar reconstruction)処理やボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、MIP(maximum intensity projection)、CPR(curved planar reconstruction)処理、SPR(streched CPR)処理等が挙げられる。
【0051】
ステップS10が行なわれると制御部26は、表示部20に表示処理を行なわせる(ステップS11)。ステップS11において表示部20は、生成された時系列の壁運動画像データと時系列のCT画像データとを動画表示する。表示方法としては、並列表示と重畳表示とに大別される。
【0052】
図6は、時系列の壁運動画像データWIと時系列のCT画像データCIとの並列表示を説明するための図である。図6に示すように、各時相θにおいて壁運動画像WIデータの壁運動注目部位PWとCT画像データCIのCT注目部位PCとが位置合わせされている。従って、全ての時相θにおいて、壁運動注目部位PWとCT注目部位PCとを画像上の同位置に表示することができる。これにより、従来のように、ある時相においては同一部位が表示されているが他の時相においては同一部位が表示されない、といった事態が発生することはない。
【0053】
本実施形態に係る検査部位である心臓は、収縮と拡張とを繰り返しながら体内を激しく動く。また、特に超音波診断装置で心臓をスキャンする場合、操作者は、超音波プローブを動かしながらスキャンする。この場合、各時相において、ボリュームデータに含まれる心臓領域内の注目部位の画像上の位置が激しく変化する。
【0054】
画像処理装置1は、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとの注目部位同士を時相毎に対応付ける。そして画像処理装置1は、壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとの間の位置合わせ情報を時相毎に算出し、算出された位置合わせ情報に従って壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとを時相毎に位置あわせする。このように各時相において位置合わせすることで、画像処理装置1は、検査部位が激しく場合であっても、注目部位同士を高精度に位置合わせして動画表示することができる。そのためユーザは、壁運動動画像上の異常部位をCT動画像上で確かめる、といったような比較読影を容易に行うことができる。すなわち、壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとの間で時系列的に位置合わせされた注目部位を観察することにより、注目部位の壁運動を正確に評価することができる。
【0055】
なお、時系列の壁運動画像データ上の注目部位の大きさと、時系列のCT画像データ上の注目部位の大きさとが異なる場合がある。この場合、表示部20は、2つの注目部位の大きさを一致させるために、注目部位間の相対的な位置関係に従って、壁運動画像データの大きさ又はCT画像データの大きさを時相毎に変化させる。具体的には、壁運動画像データ又はCT画像データのピクセルサイズを拡大又は縮小する。
【0056】
また、表示部20は、観察の利便性向上のため、一方の表示画像データの表示断面を固定し、他方の表示画像データの表示断面を固定断面に追従させると良い。具体的には、まず表示部20は、時系列の壁運動画像データの表示断面の位置を固定する。次に表示部20は、固定された表示断面に解剖学上略同一な時系列のCT画像データの表示断面の位置を、時系列の位置合わせ情報に従って時相毎に算出する。次に各時相において算出された表示断面の位置に従って、時系列のCTボリュームデータから時系列のCT画像データを生成する。そして表示部20は、生成された時系列のCT画像データと時系列の壁運動画像データとを動画表示する。これにより、時系列の壁運動画像データの固定断面に、時系列のCT画像データの表示断面を追従させることができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る時系列の第1表示画像データと時系列の第2表示画像データとの表示例を3つ説明する。一番目の表示例としては、時系列の3次元壁運動画像データと時系列の3次元冠動脈画像データとの重畳表示について説明する。なお、3次元壁運動画像データは、壁運動ボリュームデータをボリュームレンダリングすることにより生成された機能画像データである。3次元壁運動画像データには、壁運動の異常領域が含まれる。異常領域は、予め設定された閾値よりも大きい又は小さい壁運動情報を有するピクセルの集合である。3次元冠動脈画像データは、CTボリュームデータをボリュームレンダリングすることにより生成された形態画像データである。3次元冠動脈画像データには、心臓領域が含まれる。心臓領域には、冠動脈領域が含まれる。
【0058】
図7は、表示部20による、時系列の3次元壁運動画像データと時系列の3次元冠動脈画像データとの重畳表示の一例を示す図である。図7に示すように、3次元冠動脈画像データに由来する心臓領域R1に3次元壁運動画像データに由来する壁運動異常領域R2が位置整合して重ねられる。これにより、壁運動の異常が心臓のどのあたりで発生しているのかを動画上で確認することができる。
【0059】
壁運動の異常の一因として血管狭窄が知られている。そのため、表示部20は、臨床上の利便性のため、壁運動異常領域R2を通過する血管領域を強調することができる。強調される血管領域は、CTボリュームデータに由来する。例えば、図7の「#12」とラベリングされた血管領域R3は、解剖学的な位置関係において壁運動異常領域R2を通過している。この場合、血管領域R3に血管狭窄部位が含まれている可能性が高い。血管領域に狭窄部位が含まれているか否かを確認することが臨床上とても重要である。
【0060】
図8は、壁運動異常領域を通過する血管領域R3の強調表示の一例を示す図である。図8に示すように表示部20は、血管領域R3を強調表示するために、3次元冠動脈画像データに由来する血管領域R3の表示方法を変化させている。表示部20は、血管領域R3の強調のため、他の血管領域とは異なる色で血管領域R3を表示するとよい。なお強調の方法はこれに限定されない。例えば表示部20は、血管領域R3の明度や彩度を変化させたり、血管領域R3を点滅させたりしてもよい。このように壁運動異常領域R2を通過する血管領域R3が強調されることで、ユーザは、壁運動異常を引き起こす血管を容易に特定することができる。また、ユーザは、壁運動異常と冠動脈狭窄との一致を容易に確認することができる。このため、時系列の3次元冠動脈画像データと時系列の3次元壁運動画像データとの重畳表示は、虚血診断において非常に有効である。なお、この強調表示は、図7の重畳表示と同時に行なうことも可能である。
【0061】
次に2番目の表示例として、多断面の時系列の壁運動画像データと多断面の時系列の冠動脈画像データとの重畳表示について説明する。壁運動画像データは、壁運動ボリュームデータをMPR処理することにより生成された機能画像データである。壁運動画像データには、壁運動の異常領域が含まれる。冠動脈画像データは、CTボリュームデータをMPR処理することにより生成された形態画像データである。冠動脈画像データは、心臓領域と冠動脈領域とを含んでいる。
【0062】
図9は、多断面の時系列の壁運動画像データと多断面の時系列の冠動脈画像データとの重畳表示の一例を示す図である。図9に示すように、各画像データの断面位置は、心臓領域R1の心尖部と中間部(乳頭筋レベル)と心基部とにそれぞれ設定される。なお心臓領域R1は、CTボリュームデータから抽出される。心臓領域R1は、冠動脈領域R4、R5、及びR6を含んでいる。図9に示すように表示部20は、心尖部に関する壁運動画像データと冠動脈画像データとの重畳画像データGI1、中間部に関する壁運動画像データと冠動脈画像データとの重畳画像データGI2、及び心基部に関する壁運動画像データと冠動脈画像データとの重畳画像データGI3を並べて動画表示する。なお、各各画像データの断面位置は、ユーザにより入力部22を介して変更可能である。
【0063】
各重畳画像データGIには、冠動脈領域R4、R5、及びR6の一部が含まれている。これら冠動脈領域R4、R5、及びR6のうち、冠動脈狭窄の疑いがあるとX線CT装置により判断された冠動脈領域は色、明度、又は彩度等で強調して表示される。例えば図9に示すように、冠動脈領域R4が狭窄の疑いありと判断されたとする。この場合、表示部20は、冠動脈領域R4を他の冠動脈領域R5及びR6とは異なる色等で表示する。他の強調表示例として、強調対象の冠動脈領域R4の周辺領域を強調して表示してもよい。周辺領域の範囲は、ユーザにより入力部22を介して任意に設定可能である。
【0064】
さらに表示部20は、壁運動異常領域に含まれる冠動脈領域を強調してもよい。例えば、ユーザにより入力部22を介して冠動脈領域が重畳画像データ上で指定(クリック)されることにより、指定された冠動脈領域を色等で強調して表示してもよい。このように壁運動異常領域を通過する血管領域が強調表示されることで、ユーザは、壁運動異常と冠動脈狭窄の一致を容易に確認することができる。
【0065】
次に3番目の表示例として、時系列の3次元壁運動画像データと時系列のX線造影画像データとの重畳表示について説明する。3次元壁運動画像データは、壁運動ボリュームデータをボリュームレンダリングすることにより生成された機能画像データである。X線造影画像データは、造影剤が注入された被検体をX線診断装置によりX線撮影することにより生成された形態画像データである。
【0066】
図10は、時系列の3次元壁運動画像データと時系列のX線造影画像データとの重畳表示の一例を示す図である。図10に示すように表示部20は、心臓の表側に関する重畳画像データGIOと裏側に関する重畳画像データGIUとを並列表示する。重畳画像データGIOのX線造影画像データXIOと重畳画像データGIUのX線造影画像データXIUとは、同一の画像データである。重畳画像データGIOの3次元壁運動画像データWIOは、壁運動ボリュームデータを心臓領域の外側に設定された視点位置でボリュームレンダリングすることにより生成される。重畳画像データGIUの3次元壁運動画像データWIUは、壁運動ボリュームデータを心臓領域の内側に設定された視点位置でボリュームレンダリングすることにより生成される。このように心臓の表側の重畳画像データと裏側の重畳画像データとが並べて動画表示されることで、ユーザは、心臓の表側に異常があるのか裏側に異常があるのかを明瞭に把握することができる。
【0067】
他の表示例としては、第1ボリュームデータをストレスエコー前において超音波診断装置により収集されたボリュームデータとし、第2ボリュームデータをストレスエコー後において超音波診断装置により収集されたボリュームデータであるとしてもよい。この場合の第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとは、同一の検査部位に関するものであることをここに明言しておく。
【0068】
かくして本実施形態によれば、互いに異なる時系列の画像データに含まれる同一部分を容易に比較可能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することが可能となる。
【0069】
(変形例)
本実施形態に係る画像処理装置1を超音波診断装置に搭載させてもよい。以下、このような超音波診断装置ついて説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0070】
図11は、変形例に係る超音波診断装置50は、超音波プローブ51、送受信部53、Bモード処理部55、Bモード画像生成部57、運動解析部59、及び画像処理装置1を備える。
【0071】
超音波プローブ51は、送受信部53からの駆動信号を受けて被検体の検査部位(心臓)に超音波を送波する。送波された超音波は、ビーム状に集束されている。送波された超音波は被検体の検査部位により反射される。反射された超音波は、超音波プローブにより受波される。超音波プローブ51は、受波された超音波の強度に応じた電気信号(エコー信号)を生成する。超音波プローブ51は、ケーブルを介して送受信部53に接続されている。エコー信号は、送受信部53に供給される。
【0072】
送受信部53は、超音波プローブ51を介して被検体の検査部位を超音波で繰り返し走査する。具体的には、送受信部53は、ビーム状の超音波を送波させるために、駆動信号を超音波プローブ51に供給する。送受信部53は、超音波プローブ51からのエコー信号に遅延処理を施し、遅延処理の施されたエコー信号を加算する。遅延処理と加算処理とにより受信ビームを構成する電気信号(受信信号)が形成される。受信信号は、Bモード処理部55に供給される。
【0073】
Bモード処理部55は、受信信号にBモード処理を施す。具体的には、Bモード処理部55は、受信信号に対数圧縮や包絡線検波処理を施す。対数圧縮や包絡線検波処理が施された受信信号は、Bモード信号と呼ばれている。Bモード信号は、Bモード画像生成部57に供給される。
【0074】
Bモード画像生成部57は、Bモード信号に基づいて被検体に関する2次元又は3次元の時系列のBモード画像データを生成する。時系列のBモード画像データは、記憶部10と運動解析部59とに供給される。以下、説明を具体的に行うため、Bモード画像データは、3次元の画像データ、すなわちBモードボリュームデータであるとする。
【0075】
運動解析部59は、時系列のBモードボリュームデータを運動解析処理し、時系列の壁運動ボリュームデータを生成する。具体的には、運動解析部59は、時系列のBモードボリュームデータから心筋領域を3次元スペックルトラッキングにより抽出する。運動解析部59は、抽出された心筋領域を壁運動解析して壁運動情報を計算する。そして運動解析部59は、計算された壁運動情報をボクセルに割当てることで、壁運動ボリュームデータを生成する。なお壁運動情報とは、例えば、心筋の所定方向に関する変位、変位率、歪み、歪み率、移動距離、速度、速度勾配等のパラメータである。壁運動ボリュームデータは、記憶部10に供給される。
【0076】
超音波診断装置50に含まれる画像処理装置1は、本実施形態に係る画像処理装置1と同様の構成を有している。すなわち、制御部26は、記憶部26に記憶されている画像処理プログラムに従って画像処理装置1内の各部を制御し、図3に示す処理を実行する。これにより、本実施形態と同様に、時系列の第1ボリュームデータと時系列の第2ボリュームデータとが時相毎に位置合わせされる。なお変形例において、第1ボリュームデータは、超音波検査においてリアルタイムに生成された壁運動ボリュームデータに設定されるとよい。第2ボリュームデータは、任意の医用画像診断装置により生成された2次元又は3次元の医用画像データに設定されるとよい。医用画像データとしては、例えば、超音波診断装置50により生成されたボリュームデータや、X線CT装置により生成されたCTボリュームデータ、X線CT装置により生成されたX線造影画像データに設定されるとよい。これら2次元又は3次元の医用画像データは、記憶部10に記憶されている。
【0077】
以下に、超音波診断装置50による動作例を簡単に説明する。なお第1ボリュームデータは壁運動ボリュームデータとし、第2ボリュームデータは、CTボリュームデータであるとする。
【0078】
注目部位設定部12は、時系列の壁運動ボリュームデータに対して壁運動注目部位を、時系列のCTボリュームデータに対して壁運動注目部位に解剖学的に略同一なCT注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により時相毎に設定する。対応付け部14は、壁運動注目部位とCT注目部位とを時相毎に対応付ける。位置合わせ部16は、対応付けられた壁運動注目部位とCT注目部位との相対的な位置関係に従って、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとを時相毎に位置合わせする。表示画像生成部18は、位置合わせされた時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとに基づいて、時系列の壁運動表示画像データと時系列のCT表示画像データとをそれぞれ生成する。表示部20は、壁運動表示画像データとCT表示画像データとを並べて又は重ねて動画表示する。
【0079】
上記構成により、変形例に係る超音波診断装置50は、超音波検査においてリアルタイムに生成された時系列の画像データと、他の時系列の画像データとを時相毎に位置合わせすることができる。
【0080】
かくして変形例によれば、互いに異なる時系列の画像データに含まれる同一部分を容易に比較可能な超音波診断装置及び画像処理方法を提供することが可能となる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
1…画像処理装置、10…記憶部、12…注目部位設定部、14…対応付け部、16…位置合わせ部、18…表示画像生成部、20…表示部、22…入力部、24…ネットワークインターフェース部、26…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置、超音波診断装置、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、時系列のボリュームデータを収集可能なモダリティが登場している。例えば、超音波診断装置による3次元エコー検査や腹部の4次元エコー検査、あるいはX線コンピュータ断層撮影装置による心臓検査等がこれに該当する。このような互いに異なる時系列のボリュームデータをストレスエコー前後間や治療前後間の画像比較、又は異なるモダリティ間の画像比較に用いたいというニーズがある。しかし異なる時系列のボリュームデータに含まれる解剖学的な同一部位を動画像表示する技術はない。このため、ある時相においては同一部位が画像表示されていても、他の時相において同一部位が画像表示されないといった事態が発生してしまう。そのため、同一部位間の正確な比較が出来ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目的は、互いに異なる時系列の画像データに含まれる同一部分を容易に比較可能な画像処理装置、超音波診断装置、及び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本実施形態に係る画像処理装置は、一定期間に亘る時系列の2次元又は3次元の第1画像データと第2画像データとを記憶する記憶部と、前記一定期間内の複数の時相の各々について、前記第1画像データに対して第1注目部位を、前記第2画像データに対して前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により設定する設定部と、前記複数の時相の各々について、前記設定された第1注目部位と第2注目部位とを対応付ける対応付け部と、前記複数の時相の各々について、前記対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って前記第1画像データと前記第2画像データとを位置合わせする位置合わせ部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図2】図1の制御部の制御のもとに行われる画像処理の典型的な流れを示す図。
【図3】図2のステップS7〜S9において行なわれる、補間を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図。
【図4】図2のステップS7〜S9において行なわれる、自動認識(辞書機能)を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図。
【図5】図2のステップS7〜S9において行なわれる、トラッキング処理を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図。
【図6】図2のステップS11において行われる、時系列の壁運動画像データと時系列のCT画像データとの並列表示を説明するための図。
【図7】図1の表示部において行なわれる、時系列の3次元壁運動画像データと時系列の3次元冠動脈画像データとの重畳表示の一例を示す図。
【図8】図1の表示部において行なわれる、壁運動異常領域を通過する血管領域R3の強調表示の一例を示す図。
【図9】図1の表示部において行なわれる、多断面の時系列の壁運動画像データと多断面の時系列の冠動脈画像データとの重畳表示の一例を示す図。
【図10】図1の表示部において行なわれる、時系列の3次元壁運動画像データと時系列のX線造影画像データとの重畳表示の一例を示す図。
【図11】本実施形態の変形例に係る超音波診断装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる画像処理装置、超音波診断装置、及び画像処理方法を説明する。画像処理装置は、周期的に運動する検査部位の動画像上での観察を支援するためのコンピュータ装置である。本実施形態に係る画像処理は、如何なる検査部位にも適用可能である。しかしながら以下の説明を具体的に行なうため、検査部位は、律動的に収縮と弛緩とを繰り返す心臓であるとする。
【0007】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置1の構成を示す図である。図1に示すように、画像処理装置1は、記憶部10、注目部位設定部12、対応付け部14、位置合わせ部16、表示画像生成部18、表示部20、入力部22、ネットワークインターフェース部24、及び制御部26を有する。
【0008】
記憶部10は、同一の被検体の心臓に関する少なくとも2つの時系列の画像データを記憶している。画像データは、2次元の画像データや3次元の画像データ(ボリュームデータ)である。時系列の画像データとは、一定期間(1心周期以上)内の複数の時相に関する画像データの集合である。本実施形態に係る画像データは、超音波診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及び核医学診断装置等の既存のどの医用画像診断装置により生成されたものでも構わない。以下、本実施形態においては、説明の簡単のため時系列の画像データは、ボリュームデータであるとする。また、時系列のボリュームデータは、2種類あるとし、一方の時系列のボリュームデータを第1ボリュームデータ、他方のボリュームデータを第2ボリュームデータと呼ぶことにする。記憶部10は、各時系列のボリュームデータを各時相を表すコードに関連付けて記憶している。また、記憶部10は、制御部26により実行される画像処理プログラムを記憶している。
【0009】
注目部位設定部12は、一定期間の複数の時相の各々について、略同一時相に関する第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとのそれぞれに対して解剖学的に同一な注目部位を設定する。換言すれば、注目部位設定部12は、時系列の第1ボリュームデータに第1注目部位を、時系列の第2ボリュームデータに、第1注目部位に解剖学的に同一な第2注目部位を時相毎に設定する。各注目部位は、ユーザにより入力部22を介してマニュアル指定されるとしても、画像処理により特定されるとしてもどちらでもよい。なお少なくとも1つの時相については、注目部位は、マニュアル指定により設定される。それ以外の残りの時相(一定期間内の時相のうちマニュアル指定がなされなかった時相)については、注目部位は、画像処理により設定される。
【0010】
対応付け部14は、特定時相の第1ボリュームデータの第1注目部位の位置と第2ボリュームデータの第2注目部位の位置とに従って、一定期間内の複数時相の各々について、第1ボリュームデータの第1注目部位と第2ボリュームデータの第2注目部位とを対応付ける。特定時相は、マニュアル指定により注目部位の設定が行なわれた時相である。対応付け処理は、対応付け処理対象の時相が特定時相であるのか、あるいは残りの時相(画像処理により注目部位の設定が行なわれていない時相)であるのかにより異なる。このように対応付け部14は、時系列の第1ボリュームデータの第1注目部位と時系列の第2ボリュームデータの第2注目部位とを時相毎に対応付ける。
【0011】
位置合わせ部16は、対応付けがなされた各時相の第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとを位置合わせする。すなわち位置合わせ部16は、複数の時相の各々について、対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとを位置合わせする。このように、位置合わせ部16は、時系列の第1ボリュームデータに含まれる第1注目部位と、時系列の第2ボリュームデータに含まれる第2注目部位との相対的な位置関係に従って、時系列の第1ボリュームデータと時系列の第2ボリュームデータとを時相毎に位置合わせする。
【0012】
画像生成部18は、位置合わせ後の時系列の第1ボリュームデータに基づいて、第1注目部位に関する時系列の第1表示画像データを生成する。また、画像生成部18は、位置合わせ後の時系列の第2ボリュームデータに基づいて、第2注目部位に関する時系列の第2表示画像データを生成する。
【0013】
表示部20は、時系列の第1表示画像データと時系列の第2表示画像データとを並列又は重畳して表示機器に動画表示する。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が採用される。
【0014】
入力部22は、ユーザによる入力機器の操作に指示に従って、画像処理の開始指示や注目部位の指定指示等を行なう。入力機器としては、例えば、キーボード、マウス、各種ボタン、タッチキーパネル等が採用される。
【0015】
ネットワークインターフェース部24は、図示しない医用画像診断装置や画像サーバとネットワークを介して種々の画像データを送受信する。
【0016】
制御部26は、画像処理装置1の中枢として機能する。具体的には、制御部26は、注目部位の時系列対応付け処理を実行するための画像処理プログラムを記憶部10から読み出して自身が有するメモリ上に展開し、展開された画像処理プログラムに従って各部を制御する。
【0017】
以下、本実施形態に係る画像処理装置1の動作を具体的に説明する。以下の動作説明を具体的に行なうため、第1ボリュームデータは、超音波診断装置により生成された壁運動情報に関するボリュームデータ(以下、壁運動ボリュームデータと呼ぶことにする)であるとする。壁運動ボリュームデータは周知のように以下のように生成される。まず、超音波診断装置は、まず超音波プローブを介して被検体の心臓を超音波で繰り返し3次元走査し、時系列の超音波ボリュームデータを生成する。次に超音波診断装置は、生成された時系列の超音波ボリュームデータ内から心筋領域を3次元スペックルトラッキングにより抽出する。それから超音波診断装置は、抽出された心筋領域を壁運動解析して壁運動情報を計算する。そして超音波診断装置は、計算された壁運動情報をボクセルに割当てることで、壁運動ボリュームデータを生成する。なお壁運動情報とは、例えば、心筋の所定方向に関する変位、変位率、歪み、歪み率、移動距離、速度、速度勾配等のパラメータである。壁運動ボリュームデータは、これら壁運動情報の空間分布を表している。
【0018】
また、第2ボリュームデータは、X線CT装置により生成された冠動脈に関するボリュームデータ(以下、CTボリュームデータと呼ぶことにする)であるとする。X線CT装置は、造影剤が注入された冠動脈をX線で繰り返しスキャンし、時系列のCTボリュームデータを生成する。
【0019】
以下、説明の分かりやすさのため、初期時相を“θ1”、末期時相を“θn”(ただし、nは2以上の整数)と表記する。nは、初期時相θ1からn番目の時相と言う意味である。一般的に時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとの時間分解能は、異なっている。典型的には、時系列の壁運動ボリュームデータの方が時系列のCTボリュームデータに比して、時間分解能が高い。しかしながら本実施形態においては、説明の簡単のため、時間分解能は同一であるとする。
【0020】
図2は、制御部26の制御のもとに行われる画像処理の典型的な流れを示す図である。図2に示すように、ユーザにより入力部22を介して画像処理の開始指示がなされると制御部26は、一定期間内の時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとを記憶部10から読み出す(ステップS1)。読み出された時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとは、制御部26により注目部位設定部12に供給される。
【0021】
ステップS1が行われると制御部26は、注目部位設定部12に注目部位の設定処理を行なわせる(ステップS2)。ステップS2において注目部位設定部12は、略同一の特定時相θi(1≦i≦n)に関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとに対して、解剖学的に略同一な注目部位をそれぞれ設定する。ここで壁運動ボリュームデータに設定される注目部位を壁運動注目部位と呼び、CTボリュームデータに設定される注目部位をCT注目部位と呼ぶことにする。
【0022】
以下、ステップS2に関する設定処理について具体的に説明する。ステップS2においては、典型的には、ユーザによる入力部22を介したマニュアル指定により注目部位が設定される。マニュアル指定は、表示部20に表示されている表示画像上で行なわれる。例えば、壁運動ボリュームデータに基づく壁運動表示画像上で複数の特徴点が指定される。この壁運動表示画像の断面は、壁運動ボリュームデータの任意の断面に設定される。特徴点は、例えば、直線上にない複数点、例えば3点により指定される。例えば、心筋運動の異常を観察したい場合、特徴点は、心筋運動の異常部位に指定される。ユーザにより複数の特徴点が指定されると注目部位設定部12は、指定された複数の特徴点を含む領域を壁運動注目部位に設定する。例えば、指定された複数の特徴点に囲まれた領域が壁運動注目部位に設定される。臨床的な関心領域が画像内の虚血領域や病変部位等の局所部位にある場合、複数の特徴点は比較的狭い範囲に設定される。臨床的な関心領域が画像内の比較的広い範囲に亘る場合、複数の特徴点は、この臨床的な関心領域の周を取り囲むように広い範囲に亘って設定される。この場合、注目部位は、画像において比較的広い領域に設定されることとなる。なお指定された特徴点が壁運動注目部位に設定されてもよい。次に、壁運動ボリュームデータ内に設定された複数の特徴点にそれぞれ対応する複数の対応点が、ユーザにより入力部22を介して、CTボリュームデータに基づくCT表示画像上で指定される。このCT表示画像の断面は、CTボリュームデータ内の任意の断面に設定される。複数の対応点が指定されると注目部位設定部12は、指定された複数の対応点を含む領域をCT注目部位に設定する。設定された壁運動注目部位とCT注目部位との位置は、特定時相θiに関連付けられて対応付け部14に供給させる。
【0023】
特定時相θiは、ユーザにより入力部22を介して任意に指定可能である。例えば、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとに心電図データが関連付けられている場合、この心電図を利用して特定時相θiが指定されるとよい。例えば、表示部20に表示されている心電図上で、ユーザにより入力部22を介して時相θiが指定される。時相θiが指定されると制御部26は、指定された時相θiを特定時相θiに設定する。このように心電図に同期して特定時相θiを指定することにより、同一時相の検出をより正確に行なうことができる。心電図データが関連付けられていない場合、例えば、心臓弁の開閉タイミングや収縮末期、拡張末期等をユーザが動画像上で目視により確認し、入力部22を介して特定時相θiを指定してもよい。
【0024】
ステップS2が行なわれると制御部26は、対応付け部14に対応付け処理を行なわせる(ステップS3)。ステップS3において対応付け部14は、特定時相θiに関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとに対してそれぞれ設定された注目部位同士を対応づける。対応付けられた壁運動注目部位の位置とCT注目部位の位置とは、互いに関連付けられて記憶部10に記憶される。
【0025】
ステップS3が行なわれると制御部26は、位置合わせ部16に位置合わせ処理を行なわせる(ステップS4)。ステップS4において位置合わせ部16は、互いに対応付けられた壁運動注目部位とCT注目部位との相対的な位置関係に基づいて、特定時相θiに関する位置合わせ情報を算出する。位置合わせ部16は、算出された位置合わせ情報に従って、特定時相θiに関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。位置合わせ情報は、例えば、壁運動注目部位とCT注目部位との間の相対的位置、相対的方向、相対的縮尺である。換言すれば、壁運動注目部位とCT注目部位とを結ぶベクトルである。より詳細には、位置合わせ情報は、壁運動ボリュームデータからCTボリュームデータへの座標変換式、あるいはCTボリュームデータから壁運動ボリュームデータへの座標変換式である。位置合わせ部16は、算出された座標変換式を壁運動ボリュームデータ又はCTボリュームデータへ乗じることにより、壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。
【0026】
ステップS4が行なわれると制御部26は、他の時相についても注目部位をマニュアル指定により設定するか否かの指示を待機する(ステップS5)。他の時相についても注目部位を指定する旨の指示がユーザにより入力部22を介してなされた場合(ステップS5:YES)、再びステップS2に戻る。このようにして、互いに異なる複数の特定時相θiに関する壁運動注目部位とCT注目部位とが繰り返し対応付けられ、位置合わせされる。複数の特定時相θiは、時間的に離散的であっても連続的であってもどちらでもよい。
【0027】
ステップS5において他の時相については注目部位を指定しない旨の指示がユーザにより入力部22を介してなされた場合(ステップS5:NO)、制御部26は、全時相θ1〜θnにおいて位置合わせが行われたか否かを判定する(ステップS6)。全時相θ1〜θnにおいて位置合わせが行われたと判定した場合(ステップS6:YES)、制御部26は、ステップS10に進む。
【0028】
一方ステップS6において、位置合わせされていない時相(残りの時相θj(1≦j≦n、j≠i))があると判定した場合(ステップS6:NO)、制御部26は、残りの時相θjについての注目部位の設定処理を注目部位設定部12に行なわせる(ステップS7)。ステップS7において注目部位設定部12は、ステップS2において設定された特定時相θiに関する壁運動ボリュームデータの壁運動注目部位の位置や形状に基づいて、残りの座標θjに関する壁運動ボリュームデータに壁運動注目部位を設定する。同様にして、注目部位設定部12は、特定時相θiに関するCTボリュームデータのCT注目部位の位置や形状に基づいて、残りの座標θjに関するCTボリュームデータにCT注目部位を設定する。
【0029】
ステップS7が行なわれると制御部26は、残りの時相θjについての注目部位の対応付け処理を対応付け部14に行なわせる(ステップS8)。ステップS8において対応付け部14は、ステップS7において設定された壁運動注目部位とCT注目部位との間の相対的な位置関係に基づいて、残りの時相θjに関する壁運動注目部位とCT注目部位とを対応付ける。
【0030】
ステップS8が行なわれると制御部26は、残りの時相θjについての注目部位の位置合わせ処理を位置合わせ部16に行なわせる(ステップS9)。ステップS9において位置合わせ部16は、ステップS8において対応付けられた壁運動注目部位とCT注目部位と間の相対的な位置関係に基づいて、時相θjに関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。以下、ステップS6、S7、及びS8の処理について詳細に説明する。
【0031】
ステップS6における設定処理、ステップS7における対応付け処理、及びステップS8における位置合わせ処理には様々な方法あり、大きく分けて3種類ある。以下、この3種類の方法についてそれぞれ説明する。
【0032】
方法1:(補間又は補外)
図3は、補間を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図である。図3に示すように、具体的に時相θ1、θ2、及びθ3からなる時系列の壁運動ボリュームデータWVと時系列のCTボリュームデータCVとを例に挙げる。なお、時相θ1、θ2、及びθ3の時間の前後関係は、θ1→θ2→θ3であるとする。
【0033】
ステップS2において、時相θ1に関する壁運動ボリュームデータWV1中に壁運動注目部位PW1がマニュアル指定により設定され、時相θ1に関するCTボリュームデータCV1中にCT注目部位PC1がマニュアル指定により設定されたとする。ステップS3において、時相θ1における部位PW1と部位PC1とは、対応付け部14により対応付けられる。対応付けられた部位同士(PW1,PC1)は、互いに関連付けられて記憶部10に記憶される。ステップS4において部位PW1と部位PC1との相対的な位置関係に基づいて、部位PW1と部位PC1との位置合わせ情報(例えば、部位PC1から部位PW1へのベクトル(相対位置及び方向))が位置合わせ部16により算出される。また時相θ3においても同様に、ステップS2において部位PW3と部位PC3とがマニュアル指定により設定され、ステップS3において部位PW3と部位PC3とが対応付け部14により対応付けられる。そしてステップS4において部位PW3と部位PC3との位置合わせ情報(部位PC3から部位PW3へのベクトル)が位置合わせ部16により算出される。
【0034】
時相θ2(残りの時相)については、ステップS7において補間により注目部位が設定される。まず、壁運動注目部位PW1の位置、壁運動注目部位PW3の位置、及び時相θ1からθ3までの経過時間に基づいて、時相θ2における壁運動ボリュームデータWV2の壁運動注目部位PW2の候補位置が補間により算出される。補間の方法は、線形補間であってもよいし、スプライン補間やラグランジュ補間に代表されるような高次の補間であってもよい。算出された候補位置には、注目部位設定部12により壁運動注目部位PW2が設定される。同様に、時相θ2におけるCTボリュームデータCV2のCT注目部位PC2も注目部位設定部12により設定される。なお、注目部位の候補位置の算出方法は、補間のみに限定されない。例えば、特定時相θ1における注目部位の位置と、時相θ1から時相θ2までの経過時間とに基づく補外により、残りの時相の注目部位の位置が算出されても良い。
【0035】
次にステップS8において壁運動注目部位PW2とCT注目部位PC2とが対応付け部14により対応付けられる。対応付けられた部位同士(PW2,PC2)が記憶部10により記憶される。そしてステップS9において、部位PW2と部位PC2との間のベクトルに基づいて、部位PW3から部位PC3への座標変換式が位置合わせ部16により算出される。そして位置合わせ部16は、算出された座標変換式を壁運動ボリュームデータWV2に乗じ、壁運動ボリュームデータWV2とCTボリュームデータCV2とを位置合わせする。これによりステップS9が終了する。
【0036】
このようにして時相θ2において注目部位が補間により設定され、対応付けられ、位置合わせされる。他の残りの時相についても同様の処理が行なわれる。これにより一定期間内の特定時相θi以外の全ての時相θjについて壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとが位置合わせされる。
【0037】
なお上記の説明においては、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとは、時間分解能が同一であるとした。しかしながら本実施形態は、これに限定する必要はない。互いの時間分解能が異なる場合、不足している時相における注目部位の位置を補間又は補外により注目部位設定部12により算出するとよい。
【0038】
方法2:自動認識(辞書機能)
図4は、自動認識を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図である。なお、図4に示す記号の意味は、図3に示すものと同様である。ただし、図4においては、時相θ1においてのみ注目部位のマニュアル指定がなされたものとする。
【0039】
この方法は、残りの時相θ2及びθ3の注目部位を自動認識により特定し、特定された注目部位に従って設定処理や、対応付け、位置合わせをする。この場合、時相毎に壁運動ボリュームデータWVとCTボリュームデータCVとのそれぞれについて注目部位が設定される。
【0040】
具体的には、ステップS7において注目部位設定部12は、時相θ1に関する壁運動注目部位PW1の画素値分布をテンプレートとして壁運動ボリュームデータWV2をテンプレートマッチング処理し、時相θ2に関する壁運動注目部位PW2を自動認識により特定する。同様に注目部位設定部12は、時相θ1に関するCT注目部位PC1の画素値分布をテンプレートとしてCTボリュームデータCV2をテンプレートマッチング処理し、時相θ2に関するCT注目部位PC2を自動認識により特定する。例えば、時相θ1の壁運動ボリュームデータWV1とCTボリュームデータCV1とのそれぞれについて、心臓の弁輪部が注目部位として設定されたとする。この場合、時相θ2について、壁運動ボリュームデータWV2とCTボリュームデータCV2とのそれぞれにおいて弁輪部が特定される。壁運動ボリュームデータWV2内の弁輪部は、注目部位設定部12により壁運動注目部位PW2に設定される。CTボリュームデータCV2内の弁輪部は、注目部位設定部12によりCT注目部位PC2に設定される。
【0041】
次にステップS8において壁運動注目部位PW2とCT注目部位PC2とは、対応付け部14により対応付けられる。そしてステップS9において、部位PW2と部位PC2との位置関係(部位PC2から部位PW2へのベクトル)に従って、壁運動ボリュームデータWV2とCTボリュームデータCV2とが位置合わせ部16により位置合わせされる。
【0042】
このようにして時相θ2において注目部位が自動認識を利用して設定され、対応付けられ、位置合わせされると、次の時相θ3について同様の処理が行なわれる。この処理は、一定期間内の特定時相θi以外の全ての時相θjについて繰り返される。これにより全ての時相θjについて壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとが位置合わせされる。
【0043】
方法3:(トラッキング処理)
図5は、トラッキング処理(追跡処理)を利用した残りの時相θjに関する設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を説明するための図である。なお、図5に示す記号の意味は、図3に示すものと同様である。ただし、図5においては、時相θ1においてのみ注目部位のマニュアル指定がなされたものとする。
【0044】
この方法は、特定時相θ1において設定された注目部位を時系列のボリュームデータに亘ってトラッキングし、トラッキングされた注目部位に従って設定処理、対応付け処理、及び位置合わせ処理を行なう方法である。この場合、残りの時相θ2と時相θ3とにおいて注目部位が設定されてから、対応付け処理と位置合わせ処理が行なわれる。
【0045】
具体的には、まずステップS7において注目部位設定部12は、時相θ1に関する壁運動注目部位PW1の画素値分布をテンプレートとして壁運動ボリュームデータWV2と壁運動ボリュームデータWV3とをテンプレートマッチング処理し、壁運動注目部位PW2と壁運動注目部位PW3とをトラッキングにより特定する。同様に注目部位設定部12は、時相θ1に関するCT注目部位PC1の画素値分布をテンプレートとしてCTボリュームデータCV2とCTボリュームデータCV3とをテンプレートマッチング処理し、CT注目部位PC2とCT注目部位PC3とをトラッキングにより特定する。特定された壁運動注目部位とCT注目部位とは、注目部位設定部12により注目部位に設定される。
【0046】
次にステップS8において壁運動注目部位PW2とCT注目部位PC2とは、対応付け部14により対応付けられる。同様に壁運動注目部位PW3とCT注目部位PC3とが対応付けられる。そしてステップS9において、部位PC2から部位PW2へのベクトルに従って壁運動ボリュームデータWV2とCTボリュームデータCV2とが位置合わせ部16により位置合わせされる。同様に、部位PC3からPW3へのベクトルに従って壁運動ボリュームデータWV3とCTボリュームデータCV3とが位置合わせ部16により位置合わせされる。
【0047】
このようにして、一定期間内の全ての残りの時相θjについて注目部位がトラッキング処理を利用して設定される。それから各残りの時相θjにおける注目部位同士が対応付けられ、各残りの時相θjに関する壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとが位置合わせされる。
【0048】
以上でステップS7、S8、及びS9の処理の説明を終了する。ステップS9が終了した時点において、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとが時相毎に位置合わせされる。
【0049】
一般的には、3次元画像の平行移動、回転、伸縮を決定するために、3点以上での位置合わせが行われる。この位置合わせには、最小自乗法等が利用される。
【0050】
ステップS6において全ての時相θ1〜θnにおいて位置合わせされたと判定した場合、又はステップS9が行なわれると制御部26は、表示画像生成部18に画像生成処理を行なわせる(ステップS10)。ステップS10において表示画像生成部18は、位置合わせされた時系列の壁運動ボリュームデータを3次元画像処理して時系列の壁運動画像データを生成する。同様に、表示画像生成部18は、位置合わせされた時系列のCTボリュームデータを3次元画像処理して時系列のCT画像データを生成する。生成された時系列の壁運動画像データと時系列のCT画像データとは、位置合わせされている。3次元画像処理としては、MPR(multi planar reconstruction)処理やボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、MIP(maximum intensity projection)、CPR(curved planar reconstruction)処理、SPR(streched CPR)処理等が挙げられる。
【0051】
ステップS10が行なわれると制御部26は、表示部20に表示処理を行なわせる(ステップS11)。ステップS11において表示部20は、生成された時系列の壁運動画像データと時系列のCT画像データとを動画表示する。表示方法としては、並列表示と重畳表示とに大別される。
【0052】
図6は、時系列の壁運動画像データWIと時系列のCT画像データCIとの並列表示を説明するための図である。図6に示すように、各時相θにおいて壁運動画像WIデータの壁運動注目部位PWとCT画像データCIのCT注目部位PCとが位置合わせされている。従って、全ての時相θにおいて、壁運動注目部位PWとCT注目部位PCとを画像上の同位置に表示することができる。これにより、従来のように、ある時相においては同一部位が表示されているが他の時相においては同一部位が表示されない、といった事態が発生することはない。
【0053】
本実施形態に係る検査部位である心臓は、収縮と拡張とを繰り返しながら体内を激しく動く。また、特に超音波診断装置で心臓をスキャンする場合、操作者は、超音波プローブを動かしながらスキャンする。この場合、各時相において、ボリュームデータに含まれる心臓領域内の注目部位の画像上の位置が激しく変化する。
【0054】
画像処理装置1は、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとの注目部位同士を時相毎に対応付ける。そして画像処理装置1は、壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとの間の位置合わせ情報を時相毎に算出し、算出された位置合わせ情報に従って壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとを時相毎に位置あわせする。このように各時相において位置合わせすることで、画像処理装置1は、検査部位が激しく場合であっても、注目部位同士を高精度に位置合わせして動画表示することができる。そのためユーザは、壁運動動画像上の異常部位をCT動画像上で確かめる、といったような比較読影を容易に行うことができる。すなわち、壁運動ボリュームデータとCTボリュームデータとの間で時系列的に位置合わせされた注目部位を観察することにより、注目部位の壁運動を正確に評価することができる。
【0055】
なお、時系列の壁運動画像データ上の注目部位の大きさと、時系列のCT画像データ上の注目部位の大きさとが異なる場合がある。この場合、表示部20は、2つの注目部位の大きさを一致させるために、注目部位間の相対的な位置関係に従って、壁運動画像データの大きさ又はCT画像データの大きさを時相毎に変化させる。具体的には、壁運動画像データ又はCT画像データのピクセルサイズを拡大又は縮小する。
【0056】
また、表示部20は、観察の利便性向上のため、一方の表示画像データの表示断面を固定し、他方の表示画像データの表示断面を固定断面に追従させると良い。具体的には、まず表示部20は、時系列の壁運動画像データの表示断面の位置を固定する。次に表示部20は、固定された表示断面に解剖学上略同一な時系列のCT画像データの表示断面の位置を、時系列の位置合わせ情報に従って時相毎に算出する。次に各時相において算出された表示断面の位置に従って、時系列のCTボリュームデータから時系列のCT画像データを生成する。そして表示部20は、生成された時系列のCT画像データと時系列の壁運動画像データとを動画表示する。これにより、時系列の壁運動画像データの固定断面に、時系列のCT画像データの表示断面を追従させることができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る時系列の第1表示画像データと時系列の第2表示画像データとの表示例を3つ説明する。一番目の表示例としては、時系列の3次元壁運動画像データと時系列の3次元冠動脈画像データとの重畳表示について説明する。なお、3次元壁運動画像データは、壁運動ボリュームデータをボリュームレンダリングすることにより生成された機能画像データである。3次元壁運動画像データには、壁運動の異常領域が含まれる。異常領域は、予め設定された閾値よりも大きい又は小さい壁運動情報を有するピクセルの集合である。3次元冠動脈画像データは、CTボリュームデータをボリュームレンダリングすることにより生成された形態画像データである。3次元冠動脈画像データには、心臓領域が含まれる。心臓領域には、冠動脈領域が含まれる。
【0058】
図7は、表示部20による、時系列の3次元壁運動画像データと時系列の3次元冠動脈画像データとの重畳表示の一例を示す図である。図7に示すように、3次元冠動脈画像データに由来する心臓領域R1に3次元壁運動画像データに由来する壁運動異常領域R2が位置整合して重ねられる。これにより、壁運動の異常が心臓のどのあたりで発生しているのかを動画上で確認することができる。
【0059】
壁運動の異常の一因として血管狭窄が知られている。そのため、表示部20は、臨床上の利便性のため、壁運動異常領域R2を通過する血管領域を強調することができる。強調される血管領域は、CTボリュームデータに由来する。例えば、図7の「#12」とラベリングされた血管領域R3は、解剖学的な位置関係において壁運動異常領域R2を通過している。この場合、血管領域R3に血管狭窄部位が含まれている可能性が高い。血管領域に狭窄部位が含まれているか否かを確認することが臨床上とても重要である。
【0060】
図8は、壁運動異常領域を通過する血管領域R3の強調表示の一例を示す図である。図8に示すように表示部20は、血管領域R3を強調表示するために、3次元冠動脈画像データに由来する血管領域R3の表示方法を変化させている。表示部20は、血管領域R3の強調のため、他の血管領域とは異なる色で血管領域R3を表示するとよい。なお強調の方法はこれに限定されない。例えば表示部20は、血管領域R3の明度や彩度を変化させたり、血管領域R3を点滅させたりしてもよい。このように壁運動異常領域R2を通過する血管領域R3が強調されることで、ユーザは、壁運動異常を引き起こす血管を容易に特定することができる。また、ユーザは、壁運動異常と冠動脈狭窄との一致を容易に確認することができる。このため、時系列の3次元冠動脈画像データと時系列の3次元壁運動画像データとの重畳表示は、虚血診断において非常に有効である。なお、この強調表示は、図7の重畳表示と同時に行なうことも可能である。
【0061】
次に2番目の表示例として、多断面の時系列の壁運動画像データと多断面の時系列の冠動脈画像データとの重畳表示について説明する。壁運動画像データは、壁運動ボリュームデータをMPR処理することにより生成された機能画像データである。壁運動画像データには、壁運動の異常領域が含まれる。冠動脈画像データは、CTボリュームデータをMPR処理することにより生成された形態画像データである。冠動脈画像データは、心臓領域と冠動脈領域とを含んでいる。
【0062】
図9は、多断面の時系列の壁運動画像データと多断面の時系列の冠動脈画像データとの重畳表示の一例を示す図である。図9に示すように、各画像データの断面位置は、心臓領域R1の心尖部と中間部(乳頭筋レベル)と心基部とにそれぞれ設定される。なお心臓領域R1は、CTボリュームデータから抽出される。心臓領域R1は、冠動脈領域R4、R5、及びR6を含んでいる。図9に示すように表示部20は、心尖部に関する壁運動画像データと冠動脈画像データとの重畳画像データGI1、中間部に関する壁運動画像データと冠動脈画像データとの重畳画像データGI2、及び心基部に関する壁運動画像データと冠動脈画像データとの重畳画像データGI3を並べて動画表示する。なお、各各画像データの断面位置は、ユーザにより入力部22を介して変更可能である。
【0063】
各重畳画像データGIには、冠動脈領域R4、R5、及びR6の一部が含まれている。これら冠動脈領域R4、R5、及びR6のうち、冠動脈狭窄の疑いがあるとX線CT装置により判断された冠動脈領域は色、明度、又は彩度等で強調して表示される。例えば図9に示すように、冠動脈領域R4が狭窄の疑いありと判断されたとする。この場合、表示部20は、冠動脈領域R4を他の冠動脈領域R5及びR6とは異なる色等で表示する。他の強調表示例として、強調対象の冠動脈領域R4の周辺領域を強調して表示してもよい。周辺領域の範囲は、ユーザにより入力部22を介して任意に設定可能である。
【0064】
さらに表示部20は、壁運動異常領域に含まれる冠動脈領域を強調してもよい。例えば、ユーザにより入力部22を介して冠動脈領域が重畳画像データ上で指定(クリック)されることにより、指定された冠動脈領域を色等で強調して表示してもよい。このように壁運動異常領域を通過する血管領域が強調表示されることで、ユーザは、壁運動異常と冠動脈狭窄の一致を容易に確認することができる。
【0065】
次に3番目の表示例として、時系列の3次元壁運動画像データと時系列のX線造影画像データとの重畳表示について説明する。3次元壁運動画像データは、壁運動ボリュームデータをボリュームレンダリングすることにより生成された機能画像データである。X線造影画像データは、造影剤が注入された被検体をX線診断装置によりX線撮影することにより生成された形態画像データである。
【0066】
図10は、時系列の3次元壁運動画像データと時系列のX線造影画像データとの重畳表示の一例を示す図である。図10に示すように表示部20は、心臓の表側に関する重畳画像データGIOと裏側に関する重畳画像データGIUとを並列表示する。重畳画像データGIOのX線造影画像データXIOと重畳画像データGIUのX線造影画像データXIUとは、同一の画像データである。重畳画像データGIOの3次元壁運動画像データWIOは、壁運動ボリュームデータを心臓領域の外側に設定された視点位置でボリュームレンダリングすることにより生成される。重畳画像データGIUの3次元壁運動画像データWIUは、壁運動ボリュームデータを心臓領域の内側に設定された視点位置でボリュームレンダリングすることにより生成される。このように心臓の表側の重畳画像データと裏側の重畳画像データとが並べて動画表示されることで、ユーザは、心臓の表側に異常があるのか裏側に異常があるのかを明瞭に把握することができる。
【0067】
他の表示例としては、第1ボリュームデータをストレスエコー前において超音波診断装置により収集されたボリュームデータとし、第2ボリュームデータをストレスエコー後において超音波診断装置により収集されたボリュームデータであるとしてもよい。この場合の第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとは、同一の検査部位に関するものであることをここに明言しておく。
【0068】
かくして本実施形態によれば、互いに異なる時系列の画像データに含まれる同一部分を容易に比較可能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することが可能となる。
【0069】
(変形例)
本実施形態に係る画像処理装置1を超音波診断装置に搭載させてもよい。以下、このような超音波診断装置ついて説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0070】
図11は、変形例に係る超音波診断装置50は、超音波プローブ51、送受信部53、Bモード処理部55、Bモード画像生成部57、運動解析部59、及び画像処理装置1を備える。
【0071】
超音波プローブ51は、送受信部53からの駆動信号を受けて被検体の検査部位(心臓)に超音波を送波する。送波された超音波は、ビーム状に集束されている。送波された超音波は被検体の検査部位により反射される。反射された超音波は、超音波プローブにより受波される。超音波プローブ51は、受波された超音波の強度に応じた電気信号(エコー信号)を生成する。超音波プローブ51は、ケーブルを介して送受信部53に接続されている。エコー信号は、送受信部53に供給される。
【0072】
送受信部53は、超音波プローブ51を介して被検体の検査部位を超音波で繰り返し走査する。具体的には、送受信部53は、ビーム状の超音波を送波させるために、駆動信号を超音波プローブ51に供給する。送受信部53は、超音波プローブ51からのエコー信号に遅延処理を施し、遅延処理の施されたエコー信号を加算する。遅延処理と加算処理とにより受信ビームを構成する電気信号(受信信号)が形成される。受信信号は、Bモード処理部55に供給される。
【0073】
Bモード処理部55は、受信信号にBモード処理を施す。具体的には、Bモード処理部55は、受信信号に対数圧縮や包絡線検波処理を施す。対数圧縮や包絡線検波処理が施された受信信号は、Bモード信号と呼ばれている。Bモード信号は、Bモード画像生成部57に供給される。
【0074】
Bモード画像生成部57は、Bモード信号に基づいて被検体に関する2次元又は3次元の時系列のBモード画像データを生成する。時系列のBモード画像データは、記憶部10と運動解析部59とに供給される。以下、説明を具体的に行うため、Bモード画像データは、3次元の画像データ、すなわちBモードボリュームデータであるとする。
【0075】
運動解析部59は、時系列のBモードボリュームデータを運動解析処理し、時系列の壁運動ボリュームデータを生成する。具体的には、運動解析部59は、時系列のBモードボリュームデータから心筋領域を3次元スペックルトラッキングにより抽出する。運動解析部59は、抽出された心筋領域を壁運動解析して壁運動情報を計算する。そして運動解析部59は、計算された壁運動情報をボクセルに割当てることで、壁運動ボリュームデータを生成する。なお壁運動情報とは、例えば、心筋の所定方向に関する変位、変位率、歪み、歪み率、移動距離、速度、速度勾配等のパラメータである。壁運動ボリュームデータは、記憶部10に供給される。
【0076】
超音波診断装置50に含まれる画像処理装置1は、本実施形態に係る画像処理装置1と同様の構成を有している。すなわち、制御部26は、記憶部26に記憶されている画像処理プログラムに従って画像処理装置1内の各部を制御し、図3に示す処理を実行する。これにより、本実施形態と同様に、時系列の第1ボリュームデータと時系列の第2ボリュームデータとが時相毎に位置合わせされる。なお変形例において、第1ボリュームデータは、超音波検査においてリアルタイムに生成された壁運動ボリュームデータに設定されるとよい。第2ボリュームデータは、任意の医用画像診断装置により生成された2次元又は3次元の医用画像データに設定されるとよい。医用画像データとしては、例えば、超音波診断装置50により生成されたボリュームデータや、X線CT装置により生成されたCTボリュームデータ、X線CT装置により生成されたX線造影画像データに設定されるとよい。これら2次元又は3次元の医用画像データは、記憶部10に記憶されている。
【0077】
以下に、超音波診断装置50による動作例を簡単に説明する。なお第1ボリュームデータは壁運動ボリュームデータとし、第2ボリュームデータは、CTボリュームデータであるとする。
【0078】
注目部位設定部12は、時系列の壁運動ボリュームデータに対して壁運動注目部位を、時系列のCTボリュームデータに対して壁運動注目部位に解剖学的に略同一なCT注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により時相毎に設定する。対応付け部14は、壁運動注目部位とCT注目部位とを時相毎に対応付ける。位置合わせ部16は、対応付けられた壁運動注目部位とCT注目部位との相対的な位置関係に従って、時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとを時相毎に位置合わせする。表示画像生成部18は、位置合わせされた時系列の壁運動ボリュームデータと時系列のCTボリュームデータとに基づいて、時系列の壁運動表示画像データと時系列のCT表示画像データとをそれぞれ生成する。表示部20は、壁運動表示画像データとCT表示画像データとを並べて又は重ねて動画表示する。
【0079】
上記構成により、変形例に係る超音波診断装置50は、超音波検査においてリアルタイムに生成された時系列の画像データと、他の時系列の画像データとを時相毎に位置合わせすることができる。
【0080】
かくして変形例によれば、互いに異なる時系列の画像データに含まれる同一部分を容易に比較可能な超音波診断装置及び画像処理方法を提供することが可能となる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
1…画像処理装置、10…記憶部、12…注目部位設定部、14…対応付け部、16…位置合わせ部、18…表示画像生成部、20…表示部、22…入力部、24…ネットワークインターフェース部、26…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定期間に亘る時系列の2次元又は3次元の第1画像データと第2画像データとを記憶する記憶部と、
前記一定期間内の複数の時相の各々について、前記第1画像データに対して第1注目部位を、前記第2画像データに対して前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により設定する設定部と、
前記複数の時相の各々について、前記設定された第1注目部位と第2注目部位とを対応付ける対応付け部と、
前記複数の時相の各々について、前記対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って前記第1画像データと前記第2画像データとを位置合わせする位置合わせ部と、
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
前記位置合わせされた第1画像データと第2画像データとに基づいて、第1表示画像データと第2表示画像データとをそれぞれ生成する生成部と、
前記第1表示画像データと前記第2表示画像データとを動画表示する表示部と、
をさらに備える請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記第1表示画像データと前記第2表示画像データとを並べて又は重ねて表示する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1画像データと前記第2画像データとは、ボリュームデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1画像データは、ストレスエコー前に超音波診断装置により収集されたボリュームデータであり、前記第2画像データは、ストレスエコー後に超音波診断装置により収集されたボリュームデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1画像データ又は前記第2画像データは、壁運動解析により算出された壁運動情報の空間分布に関するボリュームデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1画像データ又は前記第2画像データは、X線診断装置により生成されたX線造影画像のデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1表示画像データと前記第2表示画像データとの少なくとも一方は、MPR処理により生成された画像及びボリュームレンダリングにより生成された画像の少なくとも一方である、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記複数の時相は、前記一定期間内の全時相である、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記設定部は、前記複数の時相のうちの少なくとも1つの特定の時相について、ユーザからの指示に従って前記第1画像データに前記第1注目部位を設定し、前記第2画像データに前記第2注目部位を設定する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記特定の時相の前記第1注目部位及び前記第2注目部位は、ユーザにより前記第1画像データ及び前記第2画像データに複数の特徴点がそれぞれ指定されることにより設定される、請求項10記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記特定の時相における前記第1注目部位の位置と前記第2注目部位の位置とに従って、前記複数の時相のうちの前記特定の時相以外の残りの時相に関する前記第1注目部位と前記第2注目部位とを画像処理により設定する、請求項10記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記対応付け部は、前記特定の時相に関する前記第1注目部位の位置と前記第2注目部位の位置とに従って、前記残りの時相に関する前記第1注目部位と前記第2注目部位とを対応付ける、請求項12記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像処理は、補間、補外、自動認識、及びトラッキング処理の少なくとも1つである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記複数の時相の各々は、心電図上でユーザにより指定された時相に応じて設定される、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記設定部は、前記第1画像データと前記第2画像データとの時間分解能とが異なる場合、不足している時相における第1注目部位の位置又は第2注目部位の位置を補間又は補外により算出する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記表示部は、前記第1画像データにおける前記第1注目部位と前記第2画像データにおける前記第2注目部位との間の相対的な位置関係に従って、前記第1表示画像データにおける前記第1注目部位の大きさと前記第2表示画像データにおける前記第2注目部位の大きさとを一致させる、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記表示部は、前記第1表示画像データの第1表示断面を固定し、前記第2表示画像データの第2表示断面を前記第1表示断面に追従させて、前記第1表示画像データと前記第2表示画像データとを動画表示する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記第1表示画像データは、超音波診断装置により生成された壁運動ボリュームデータからボリュームレンダリングにより生成された機能画像データであり、
前記第2表示画像データは、X線コンピュータ断層撮影装置により生成されたCTボリュームデータからボリュームレンダリングにより生成された形態画像データであり、
前記表示部は、前記形態画像データに前記機能画像データを重ねて表示する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記表示部は、前記機能画像データに含まれる壁運動異常領域を前記形態画像データに重ねて表示する、請求項19記載の画像処理装置。
【請求項21】
前記表示部は、前記形態画像データに含まれ、且つ解剖学的に前記壁運動異常領域を通過する特定の血管領域を強調して表示する、請求項20記載の画像処理装置。
【請求項22】
前記表示部は、前記特定の血管領域を、前記形態画像データに含まれる他の血管領域とは異なる色、明度、又は彩度で表示する、請求項21記載の画像処理装置。
【請求項23】
前記表示部は、前記特定の血管領域を点滅させる、請求項21記載の画像処理装置。
【請求項24】
前記第1表示画像データは、超音波診断装置により生成された壁運動ボリュームデータからMPR処理により生成された多断面の機能画像データであり、
前記第2表示画像は、X線コンピュータ断層撮影装置により生成されたCTボリュームデータからMPR処理により生成された多断面の形態画像データであり、
前記表示部は、前記多断面の形態画像データに前記多断面の機能画像データをそれぞれ重ねて表示する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項25】
前記多断面の機能画像データの断面位置と前記多断面の形態画像データの断面位置とは、心尖部、中間部、及び心基部に設定される、請求項24記載の画像処理装置。
【請求項26】
前記表示部は、前記心尖部に関する機能画像データと形態画像データとの重畳画像データ、前記中間部に関する機能画像データと形態画像データとの重畳画像データ、及び前記心基部データに関する機能画像データと形態画像データとの重畳画像データを並べて動画表示する、請求項25記載の画像処理装置。
【請求項27】
前記表示部は、前記形態画像データに含まれる血管領域のうちの特定の血管領域を強調して表示する、請求項26記載の画像処理装置。
【請求項28】
前記表示部は、前記形態画像データに含まれ、且つ解剖学的に前記壁運動異常領域を通過する特定の血管領域を強調して表示する、請求項26記載の画像処理装置。
【請求項29】
前記表示部は、前記形態画像データに含まれる血管領域のうちの特定の血管領域の周辺領域を強調して表示する、請求項26記載の画像処理装置。
【請求項30】
前記第1表示画像データは、超音波診断装置により生成された壁運動ボリュームデータからボリュームレンダリングにより生成された機能画像データであり、
前記第2表示画像データは、X線診断装置により生成されたX線造影画像データであり、
前記表示部は、前記機能画像データと前記X線造影画像データとの重畳画像データを動画表示する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項31】
前記機能画像データは、前記壁運動ボリュームデータを心臓領域の外側に設定された視点位置でボリュームレンダリングすることにより生成された第1機能画像データと、前記壁運動ボリュームデータを前記心臓領域の内側に設定された視点位置でボリュームレンダリングすることにより生成された第2機能画像データとを含み、
前記表示部は、前記第1機能画像データと前記X線造影画像データとの第1重畳画像データ、及び前記第2機能画像データと前記X線造影画像データとの第2重畳画像データを並べて動画表示する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項32】
同一検査部位に関する3次元の時系列の第1画像データと3次元の時系列の第2画像データとを記憶する記憶部と、
前記時系列の第1画像データに含まれる第1注目部位と、前記時系列の第2画像データに含まれ前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位との相対的な位置関係に従って、前記時系列の第1画像データと前記時系列の第2画像データとを時相毎に位置合わせする位置合わせ部と、
前記位置合わせされた時系列の第1画像データと時系列の第2画像データとを重ねて又は並べて動画表示する表示部と、
を具備する画像処理装置。
【請求項33】
被検体の検査部位に超音波を送波し、前記被検体により反射された超音波を受波し、前記受波された超音波に応じたエコー信号を生成する超音波プローブと、
前記エコー信号に基づいて2次元又は3次元の時系列の超音波画像データを生成する生成部と、
前記被検体の前記検査部位に関し、医用画像診断装置により生成された2次元又は3次元の時系列の医用画像データを記憶する記憶部と、
前記時系列の超音波画像データに対して第1注目部位を、前記時系列の医用画像データに対して前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により時相毎に設定する設定部と、
前記設定された第1注目部位と第2注目部位とを時相毎に対応付ける対応付け部と、
前記対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って前記時系列の超音波画像データと前記時系列の医用画像データとを時相毎に位置合わせする位置合わせ部と、
を具備する超音波診断装置。
【請求項34】
前記時系列の超音波画像データは、壁運動解析により算出された壁運動情報の空間分布に関する、請求項33記載の超音波診断装置。
【請求項35】
2次元又は3次元の時系列の第1画像データに対して第1注目部位を、2次元又は3次元の時系列の第2画像データに対して前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により時相毎に設定し、
前記設定された第1注目部位と第2注目部位とを時相毎に対応付け、
前記対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って、前記時系列の第1画像データと前記時系列の第2画像データとを時相毎に位置合わせする、
ことを具備する画像処理方法。
【請求項36】
3次元の時系列の第1画像データに含まれる第1注目部位と、3次元の時系列の第2画像データに含まれ前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位との相対的な位置関係に従って、前記時系列の第1画像データと前記時系列の第2画像データとを時相毎に位置合わせし、
前記位置合わせされた時系列の第1画像データと時系列の第2画像データとを重ねて又は並べて表示する、
ことを具備する画像処理方法。
【請求項1】
一定期間に亘る時系列の2次元又は3次元の第1画像データと第2画像データとを記憶する記憶部と、
前記一定期間内の複数の時相の各々について、前記第1画像データに対して第1注目部位を、前記第2画像データに対して前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により設定する設定部と、
前記複数の時相の各々について、前記設定された第1注目部位と第2注目部位とを対応付ける対応付け部と、
前記複数の時相の各々について、前記対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って前記第1画像データと前記第2画像データとを位置合わせする位置合わせ部と、
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
前記位置合わせされた第1画像データと第2画像データとに基づいて、第1表示画像データと第2表示画像データとをそれぞれ生成する生成部と、
前記第1表示画像データと前記第2表示画像データとを動画表示する表示部と、
をさらに備える請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記第1表示画像データと前記第2表示画像データとを並べて又は重ねて表示する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1画像データと前記第2画像データとは、ボリュームデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1画像データは、ストレスエコー前に超音波診断装置により収集されたボリュームデータであり、前記第2画像データは、ストレスエコー後に超音波診断装置により収集されたボリュームデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1画像データ又は前記第2画像データは、壁運動解析により算出された壁運動情報の空間分布に関するボリュームデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1画像データ又は前記第2画像データは、X線診断装置により生成されたX線造影画像のデータである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1表示画像データと前記第2表示画像データとの少なくとも一方は、MPR処理により生成された画像及びボリュームレンダリングにより生成された画像の少なくとも一方である、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記複数の時相は、前記一定期間内の全時相である、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記設定部は、前記複数の時相のうちの少なくとも1つの特定の時相について、ユーザからの指示に従って前記第1画像データに前記第1注目部位を設定し、前記第2画像データに前記第2注目部位を設定する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記特定の時相の前記第1注目部位及び前記第2注目部位は、ユーザにより前記第1画像データ及び前記第2画像データに複数の特徴点がそれぞれ指定されることにより設定される、請求項10記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記特定の時相における前記第1注目部位の位置と前記第2注目部位の位置とに従って、前記複数の時相のうちの前記特定の時相以外の残りの時相に関する前記第1注目部位と前記第2注目部位とを画像処理により設定する、請求項10記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記対応付け部は、前記特定の時相に関する前記第1注目部位の位置と前記第2注目部位の位置とに従って、前記残りの時相に関する前記第1注目部位と前記第2注目部位とを対応付ける、請求項12記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像処理は、補間、補外、自動認識、及びトラッキング処理の少なくとも1つである、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記複数の時相の各々は、心電図上でユーザにより指定された時相に応じて設定される、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記設定部は、前記第1画像データと前記第2画像データとの時間分解能とが異なる場合、不足している時相における第1注目部位の位置又は第2注目部位の位置を補間又は補外により算出する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記表示部は、前記第1画像データにおける前記第1注目部位と前記第2画像データにおける前記第2注目部位との間の相対的な位置関係に従って、前記第1表示画像データにおける前記第1注目部位の大きさと前記第2表示画像データにおける前記第2注目部位の大きさとを一致させる、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記表示部は、前記第1表示画像データの第1表示断面を固定し、前記第2表示画像データの第2表示断面を前記第1表示断面に追従させて、前記第1表示画像データと前記第2表示画像データとを動画表示する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記第1表示画像データは、超音波診断装置により生成された壁運動ボリュームデータからボリュームレンダリングにより生成された機能画像データであり、
前記第2表示画像データは、X線コンピュータ断層撮影装置により生成されたCTボリュームデータからボリュームレンダリングにより生成された形態画像データであり、
前記表示部は、前記形態画像データに前記機能画像データを重ねて表示する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記表示部は、前記機能画像データに含まれる壁運動異常領域を前記形態画像データに重ねて表示する、請求項19記載の画像処理装置。
【請求項21】
前記表示部は、前記形態画像データに含まれ、且つ解剖学的に前記壁運動異常領域を通過する特定の血管領域を強調して表示する、請求項20記載の画像処理装置。
【請求項22】
前記表示部は、前記特定の血管領域を、前記形態画像データに含まれる他の血管領域とは異なる色、明度、又は彩度で表示する、請求項21記載の画像処理装置。
【請求項23】
前記表示部は、前記特定の血管領域を点滅させる、請求項21記載の画像処理装置。
【請求項24】
前記第1表示画像データは、超音波診断装置により生成された壁運動ボリュームデータからMPR処理により生成された多断面の機能画像データであり、
前記第2表示画像は、X線コンピュータ断層撮影装置により生成されたCTボリュームデータからMPR処理により生成された多断面の形態画像データであり、
前記表示部は、前記多断面の形態画像データに前記多断面の機能画像データをそれぞれ重ねて表示する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項25】
前記多断面の機能画像データの断面位置と前記多断面の形態画像データの断面位置とは、心尖部、中間部、及び心基部に設定される、請求項24記載の画像処理装置。
【請求項26】
前記表示部は、前記心尖部に関する機能画像データと形態画像データとの重畳画像データ、前記中間部に関する機能画像データと形態画像データとの重畳画像データ、及び前記心基部データに関する機能画像データと形態画像データとの重畳画像データを並べて動画表示する、請求項25記載の画像処理装置。
【請求項27】
前記表示部は、前記形態画像データに含まれる血管領域のうちの特定の血管領域を強調して表示する、請求項26記載の画像処理装置。
【請求項28】
前記表示部は、前記形態画像データに含まれ、且つ解剖学的に前記壁運動異常領域を通過する特定の血管領域を強調して表示する、請求項26記載の画像処理装置。
【請求項29】
前記表示部は、前記形態画像データに含まれる血管領域のうちの特定の血管領域の周辺領域を強調して表示する、請求項26記載の画像処理装置。
【請求項30】
前記第1表示画像データは、超音波診断装置により生成された壁運動ボリュームデータからボリュームレンダリングにより生成された機能画像データであり、
前記第2表示画像データは、X線診断装置により生成されたX線造影画像データであり、
前記表示部は、前記機能画像データと前記X線造影画像データとの重畳画像データを動画表示する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項31】
前記機能画像データは、前記壁運動ボリュームデータを心臓領域の外側に設定された視点位置でボリュームレンダリングすることにより生成された第1機能画像データと、前記壁運動ボリュームデータを前記心臓領域の内側に設定された視点位置でボリュームレンダリングすることにより生成された第2機能画像データとを含み、
前記表示部は、前記第1機能画像データと前記X線造影画像データとの第1重畳画像データ、及び前記第2機能画像データと前記X線造影画像データとの第2重畳画像データを並べて動画表示する、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項32】
同一検査部位に関する3次元の時系列の第1画像データと3次元の時系列の第2画像データとを記憶する記憶部と、
前記時系列の第1画像データに含まれる第1注目部位と、前記時系列の第2画像データに含まれ前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位との相対的な位置関係に従って、前記時系列の第1画像データと前記時系列の第2画像データとを時相毎に位置合わせする位置合わせ部と、
前記位置合わせされた時系列の第1画像データと時系列の第2画像データとを重ねて又は並べて動画表示する表示部と、
を具備する画像処理装置。
【請求項33】
被検体の検査部位に超音波を送波し、前記被検体により反射された超音波を受波し、前記受波された超音波に応じたエコー信号を生成する超音波プローブと、
前記エコー信号に基づいて2次元又は3次元の時系列の超音波画像データを生成する生成部と、
前記被検体の前記検査部位に関し、医用画像診断装置により生成された2次元又は3次元の時系列の医用画像データを記憶する記憶部と、
前記時系列の超音波画像データに対して第1注目部位を、前記時系列の医用画像データに対して前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により時相毎に設定する設定部と、
前記設定された第1注目部位と第2注目部位とを時相毎に対応付ける対応付け部と、
前記対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って前記時系列の超音波画像データと前記時系列の医用画像データとを時相毎に位置合わせする位置合わせ部と、
を具備する超音波診断装置。
【請求項34】
前記時系列の超音波画像データは、壁運動解析により算出された壁運動情報の空間分布に関する、請求項33記載の超音波診断装置。
【請求項35】
2次元又は3次元の時系列の第1画像データに対して第1注目部位を、2次元又は3次元の時系列の第2画像データに対して前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位を、ユーザからの指示又は画像処理により時相毎に設定し、
前記設定された第1注目部位と第2注目部位とを時相毎に対応付け、
前記対応付けられた第1注目部位と第2注目部位との相対的な位置関係に従って、前記時系列の第1画像データと前記時系列の第2画像データとを時相毎に位置合わせする、
ことを具備する画像処理方法。
【請求項36】
3次元の時系列の第1画像データに含まれる第1注目部位と、3次元の時系列の第2画像データに含まれ前記第1注目部位に解剖学的に略同一な第2注目部位との相対的な位置関係に従って、前記時系列の第1画像データと前記時系列の第2画像データとを時相毎に位置合わせし、
前記位置合わせされた時系列の第1画像データと時系列の第2画像データとを重ねて又は並べて表示する、
ことを具備する画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−177494(P2011−177494A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291307(P2010−291307)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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