説明

画像処理装置、連携ジョブの実行方法及び実行プログラム

【課題】連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブの実行状態を、連携ジョブ以外の単独ジョブの実行状態と同様に管理することができる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】ユーザによって自装置に投入され、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブを受け付ける受付手段17nと、受け付けられた連携ジョブに含まれる複数のジョブを、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して処理させるジョブ制御手段17mと、連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成するジョブ管理手段17nと、生成されたジョブ情報を記憶する記憶手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブを受け付けることが可能な画像形成装置等の画像処理装置、連携ジョブの実行方法及び実行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、データ送信機能等の機能を有する多機能デジタル画像形成装置(Multi Function Peripherals)では、前述した連携ジョブを受け付けることができるものがある。
【0003】
例えば、スキャナ部で読み取った原稿の画像データを、パーソナルコンピュータ等の他の画像処理装置へ送信し、この画像処理装置で画像データをワード(マイクロソフト社製のワードプロセッサ用ソフトウェア)文書に変換したのち、これを元の画像処理装置に戻してユーザの署名を付加し、電子メール等により配信先に配信する、というように、複数のジョブを連携して実行する場合である。
【0004】
このような複数の画像処理装置に跨って実行される連携ジョブの実行状態の管理は、従来では、連携ジョブを一括的に管理する管理サーバを設け、連携ジョブについては前記サーバにより管理し、1台の画像処理装置のみで実行される単独ジョブについては各画像処理で管理することが行われていた。
【0005】
なお、特許文献1には、連携ジョブのうち他の画像処理装置での実行結果を把握するために、各画像処理装置に相互にリンク可能な連携テーブルを設けるとともに、各連携テーブルにその画像処理装置での連携ジョブの実行結果を書き込んでおき、ユーザがリンク先の連携テーブルを参照することにより、他の画像処理装置で実行されたジョブの実行結果を参照できるようにした技術が提案されている。
【特許文献1】特開2007−81771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、連携ジョブの実行状態を管理サーバで一括的に管理するのでは、ユーザはジョブの実行状態を把握するのに、連携ジョブについては管理サーバで管理されている実行状態を参照し、連携ジョブ以外の単独ジョブについてはジョブを投入した画像処理装置で管理されている実行状態を参照しなければならず、参照先が異なり、実に面倒であった。
【0007】
なお、前述した特許文献1には、連携ジョブのうち他の画像処理装置で実行されたジョブの実行状態を、リンク先で参照できることは記載されているが、単独ジョブと連携ジョブとで参照先が異なるという前記問題に対する解決策を提供するものではなかった。
【0008】
この発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブの実行状態を、連携ジョブ以外の単独ジョブの実行状態と同様に管理することができる画像処理装置を提供し、さらには画像処理装置で実行される連携ジョブの実行方法及び実行プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)ユーザによって自装置に投入され、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブを受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた連携ジョブに含まれる複数のジョブを、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して処理させるジョブ制御手段と、前記連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成するジョブ管理手段と、前記ジョブ管理手段により生成された前記ジョブ情報を記憶する記憶手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
(2)連携ジョブではない単独ジョブを前記ジョブ制御手段が自装置に処理させた場合には、前記ジョブ管理手段は、前記単独ジョブの実行状態を管理しかつそのジョブについてのジョブ情報を生成する前項1に記載の画像処理装置。
(3)表示手段を備え、前記ジョブ管理手段は、前記記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報を前記表示手段に表示させる前項1に記載の画像処理装置。
(4)前記ジョブ管理手段は、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎にデータの要否を管理し、前記ジョブ制御手段は、前記各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行させる前項1に記載の画像処理装置。
(5)ユーザによって自装置に投入され、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブを受け付けるステップと、前記受付ステップにより受け付けられた連携ジョブに含まれる複数のジョブを、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して処理させるジョブ制御ステップと、前記連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成するジョブ管理ステップと、前記ジョブ管理ステップにより生成された前記ジョブ情報を記憶手段に記憶するステップと、を備えたことを特徴とする画像処理装置における連携ジョブの実行方法。
(6)前記ジョブ制御ステップにおいて、連携ジョブではない単独ジョブを自装置に処理させた場合には、前記ジョブ管理ステップでは、前記単独ジョブの実行状態を管理しかつそのジョブについてのジョブ情報を生成する前項5に記載の連携ジョブの実行方法。
(7)前記ジョブ管理ステップにおいて、前記記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報を表示手段に表示させる前項5に記載の連携ジョブの実行方法。
(8)前記ジョブ管理ステップにおいて、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎にデータの要否を管理し、前記ジョブ制御ステップにおいて、前記各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行させる前項5に記載の連携ジョブの実行方法。
(9)ユーザによって自装置に投入され、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブを受け付けるステップと、前記受付ステップにより受け付けた連携ジョブに含まれる複数のジョブを、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して処理させるジョブ制御ステップと、前記連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成するジョブ管理ステップと、前記ジョブ管理ステップにより生成された前記ジョブ情報を記憶手段に記憶するステップと、を画像処理装置のコンピュータに実行させるための連携ジョブの実行プログラム。
(10)前記ジョブ制御ステップにおいて、連携ジョブではない単独ジョブを自装置に処理させた場合には、前記ジョブ管理ステップでは、前記単独ジョブの実行状態を管理しかつそのジョブについてのジョブ情報を生成する処理をコンピュータに実行させる前項9に記載の連携ジョブの実行プログラム。
(11)前記ジョブ管理ステップにおいて、前記記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報を表示手段に表示させる処理をコンピュータに実行させる前項9に記載の連携ジョブの実行プログラム。
(12)前記ジョブ管理ステップにおいて、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎にデータの要否を管理し、前記ジョブ制御ステップにおいて、前記各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行させる前項9に記載の連携ジョブの実行プログラム。
【発明の効果】
【0010】
前項1に記載の発明によれば、連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成するジョブ管理手段と、前記ジョブ管理手段により生成されたジョブ情報を記憶する記憶手段を備えているから、連携ジョブを受け付けた画像処理装置が、連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報を保有することになる。このため、ユーザは連携ジョブの実行状態を把握するため管理サーバにアクセスする必要はなくなり、連携ジョブを投入した画像処理装置によって、連携ジョブの実行状態を把握することができる。
【0011】
前項2に記載の発明によれば、連携ジョブではない単独ジョブが自装置で処理された場合には、従来と同様に、単独ジョブの実行状態が管理されかつそのジョブについてのジョブ情報が生成される。
【0012】
前項3に記載の発明によれば、記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報が表示手段に表示されるから、ユーザは単独ジョブについての実行状態を確認するのと同様の感覚で、連携ジョブの実行状態確認することができる。
【0013】
前項4に記載の発明によれば、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎のデータの要否がジョブ管理部により管理され、前記ジョブ制御手段は、各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行させるから、各ジョブに必要なデータのみをジョブに供給することができ、ジョブに不要なデータが連携処理に従って転送されるといった不具合をなくすことができ、ひいては連携ジョブの実行処理を簡素化することができる。
【0014】
前項5に記載の発明によれば、ユーザは連携ジョブの実行状態を見るため管理サーバにアクセスする必要はなくなり、連携ジョブを投入した画像処理装置によって、連携ジョブの実行状態を把握することができる。
【0015】
前項6に記載の発明によれば、連携ジョブではない単独ジョブが自装置で処理された場合には、従来と同様に、単独ジョブの実行状態が管理されかつそのジョブについてのジョブ情報が生成される。
【0016】
前項7に記載の発明によれば、記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報が表示手段に表示されるから、ユーザは単独ジョブの実行状態を確認するのと同様の感覚で、連携ジョブの実行状態を確認することができる。
【0017】
前項8に記載の発明によれば、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎にデータの要否が管理され、各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行するから、各ジョブに必要なデータのみをジョブに供給することができ、ジョブに不要なデータが連携処理に従って転送されるといった不具合をなくすことができ、ひいては連携ジョブの実行処理を簡素化することができる。
【0018】
前項9に記載の発明によれば、連携ジョブを受け付け、受け付けた連携ジョブに含まれる複数のジョブを、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して処理させ、前記連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成し、かつ生成されたジョブ情報を記憶手段に記憶する処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【0019】
前項10に記載の発明によれば、連携ジョブではない単独ジョブが自装置で処理された場合には、従来と同様に、単独ジョブの実行状態を管理しかつそのジョブについてのジョブ情報を生成する処理を、さらにコンピュータに実行させることができる。
【0020】
前項11に記載の発明によれば、記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報を表示手段に表示する処理を、さらにコンピュータに実行させることができる。
【0021】
前項12に記載の発明によれば、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎にデータの要否を管理し、各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行する処理を、さらにコンピュータに実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、この発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、連携ジョブの一例を説明するための図である。
【0024】
図1において、符号1は画像処理装置の一例としての画像形成装置であり、この実施形態では、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有する多機能デジタル複合機である前述したMFPが用いられている。
【0025】
MFP1は、ユーザが投入した連携ジョブを受け付けることが可能となっている。連携ジョブとは、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブが1セットになったジョブをいう。連携ジョブとしては、例えば図1に示すように、ジョブ1:文書をMFP1でスキャンし、得られた画像データをサーバ2に配信する、ジョブ2:サーバ2により前記画像データをワードデータに変換する、ジョブ3:MFP1でユーザが前記サーバ2により変換されたワードデータに署名して所定宛先に配信する、という連続的に実行されるジョブ1〜3の3つのジョブからなるものを挙げることができる。
【0026】
図2は、前記MFP1の機能的構成を示すブロック図である。
【0027】
図2おいて、このMFP1は、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)11、エンジン12、スキャナ13、画像処理・制御モジュール14、操作パネル部15、記憶部16および制御部17等を備えている。
【0028】
前記ネットワークインターフェース11は、前記サーバ2等の外部装置とネットワークを介して通信するためのインターフェースである。
【0029】
前記エンジン12は、文書データ等を印字するための印字部であり、このエンジン12には、FAX基盤12aが接続されている。
【0030】
前記スキャナ13は、原稿の画像を読み取って電子データである画像データに変換する。
【0031】
前記画像処理・制御モジュールは、スキャナ13によって読み取られた原稿の画像データを印字処理するのに先立って、所定の画像処理を施すものである。
【0032】
前記操作パネル部15は、テンキーやスタートキー等からなるキー入力部(図示せず)や、液晶タッチパネルなどからなる表示部15a(図5及び図6に示す)を有しており、ユーザがログインするための操作や各種入力操作等に使用される他、連携ジョブを含むジョブの実行状態を表示部15aで表示可能になっている。
【0033】
前記記憶部16は、ユーザ情報等が記憶される不揮発性メモリ部16aや、ジョブの内容や実行結果を示すジョブ情報や画像データ等が記憶されるハードディスクドライブ(HDD)16bなどを備えている。また、ハードディスクドライブ16bには、複数の記憶領域からなるボックスが形成されている。ボックスとしては、個々のユーザが所有する個人ボックスや、グループのメンバーで共有されるグループボックスや、不特定のユーザがアクセス可能な共有ボックス等がある。
【0034】
前記制御部17は、ネットワークインターフェース11を介してネットワーク上の外部機器と通信可能な外部通信部17a、エンジン制御部17b、スキャナ制御部17c、画像処理・制御モジュール14を制御するためのASIC(Application Spesific Integrated Circuit)制御部17d、メモリ制御部17e、ネット配信制御部17f、操作パネル部15を制御するためのパネル制御部17h、FAX送受信に関する制御を行うFAX送受信制御部17i、HDD16bを制御するためのHDD制御部17j、不揮発性メモリ部16aを制御するための不揮発性メモリ制御部17k、プリント入力制御部17l、ジョブの実行を制御するジョブ制御部17m、ジョブを受け付け、ジョブの実行状態を管理するとともにジョブの内容及び実行結果を含むジョブ情報を生成するジョブ管理部17nを備えている。
【0035】
前記制御部17は、図示しないCPU、ROM、RAM等により構成されている。
【0036】
この画像形成装置1では、ユーザが操作パネル部15からログインして、ジョブを投入すると、図2の矢印で示すように、連携ジョブであっても単独ジョブであっても、投入されたジョブはジョブ管理部17nに送られて受け付けられ、投入されたジョブについてジョブ情報が生成され、さらにジョブ制御部17mに送られて、該ジョブ制御部17mによりジョブの実行が制御される。また、ジョブの実行の推移に応じて、ジョブ管理部17nは生成したジョブ情報の内容を更新する。
【0037】
ジョブ管理部17nにより生成されるジョブ情報を図3に示す。この実施形態では、操作パネル部15を介して投入されたジョブのように、ユーザによってMFP1に直接に投入されたジョブ(ユーザジョブという)と、他のデバイスに投入された連携ジョブの一部を実行させるために他デバイスから投入されたジョブとは、形式の異なるジョブ情報が生成されるものとなされている。
【0038】
図3(A)は単独ジョブからなるユーザジョブ1を示しており、図3(B)は連携ジョブからなるユーザジョブ2を示している。
【0039】
ユーザジョブのジョブ情報は、ジョブ全体の概要を示す全体情報101と各ジョブ毎の処理の詳細を示す個別情報111〜113とによって構成される。全体情報101は、ユーザによって選択されたMFP1の機能を示す「ユーザ選択機能」、投入されたMFPを示す「投入元」、投入したユーザを示す「ユーザ」、ジョブの実行中の情報を示す「ジョブ実行中情報」、ジョブの開始時刻を示す「実行開始時刻」、ジョブを処理するデバイスを示す「処理デバイス」、各ジョブを処理するデバイスのアクセス先を示す「処理ジョブアクセス先」、の各情報を含んでいる。
【0040】
個別情報111〜113は、各ジョブ毎の「処理内容」、「処理状況」、「実行開始時刻」「実行完了時刻」、ユーザジョブを特定するための「ユーザジョブID」などの情報によって構成されている。
【0041】
図3(A)のユーザジョブ1は単独ジョブであるので、個別情報111も1個であり、1個の全体情報101と1個の個別情報111とが関連付けられた状態で、HDD16bに保存されている。なお、この実施形態では、ユーザジョブ1として原稿をスキャンしPDFのフォーマットで、かつ署名を付して所定の配信宛先にEメール送信するジョブが例示されている。
【0042】
図3(B)のユーザジョブ2は3個のジョブ1〜3からなる連携ジョブであり、1個の全体情報101と各ジョブ毎の3個の個別情報111〜113とが、関連付けられた状態でHDD16bに保存されている。なお、この実施形態では、ユーザジョブ2として、ジョブ1:文書をMFP1でスキャンし、得られた画像データをサーバ2に配信する、ジョブ2:サーバ2により前記画像データをワードデータに変換する、ジョブ3:MFP1でユーザが前記サーバ2により変換されたワードデータに署名して所定宛先に配信する、というジョブ1〜3の3つのジョブからなる連携ジョブが例示されている。
【0043】
なお、他のデバイスに投入された連携ジョブの一部を実行させるために他デバイスからMFP1に投入されたジョブについては、ジョブ管理部17nは、図3(C)に示すように個別情報111のみからなるジョブ情報を生成し、全体情報は生成しない。
【0044】
図4は、ジョブ管理部16nが行うジョブ情報の生成処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部16を構成するCPUが図示しないROM等の記録媒体に記録された動作プ内容を示すジョブ情報ラムに従って動作することにより実行される。
【0045】
ステップS01でジョブを受け付け、ステップS02で受け付けたジョブが、ユーザによって投入されたジョブか、他デバイスから連携ジョブの一部として投入されたジョブかを判断する。
【0046】
ユーザによって投入されたジョブであれば、ステップS03に進み、該ジョブはユーザジョブであることから全体情報を生成する。次いで、ステップS04で、生成すべき個別情報の数を判断したのち、ステップS05で1つめのジョブの個別情報を生成し、ステップS06で、生成した個別情報の数が必要数に達したかどうかを判断する。
【0047】
必要数に達していなければ(ステップS06でNO)、ステップS05に戻って次のジョブについての個別情報を生成する。必要数に達していれば(ステップS06でYES)、処理を終了する。
【0048】
一方、ステップS02の判断において、受け付けたジョブが連携ジョブの一部として他のデバイスから投入されたジョブであれば、ステップS07で、そのジョブについての個別情報のみを生成し、処理を終了する。
【0049】
こうして生成された内容を示すジョブ情報は、ジョブ管理部16nにより、処理の経過と共に随時更新される。
【0050】
このように、この実施形態では、連携ジョブであるユーザジョブについては、全体情報と各ジョブ毎の個別情報とからなるジョブ情報を生成し、これを自装置内の記憶部16に保持するから、MFP1は、ユーザの要求に応じて連携ジョブの実行状態をいつでも提供することができる。
【0051】
また、ユーザジョブについては全体情報を生成し、連携ジョブの一部として他のデバイスから投入されたジョブについては全体情報を生成しないから、ユーザジョブについてのジョブ情報と前記他のデバイスから投入されたジョブを区別して表示することも可能となる。
【0052】
図5は、ジョブ情報の一覧リスト(ジョブリスト)を操作パネル部15の表示部15aに表示させた状態を示す図である。この例では、ハッチングで示すように「送信」ボタンと「実行中リスト」ボタンが押されており、送信処理を実行中のジョブのリストが表示されている。図5のリストNo.1はユーザジョブ1の単独ジョブに対応し、リストNo.2はユーザジョブ2におけるジョブ3に対応するものである。
【0053】
このように、この実施形態では、ユーザジョブであれば単独ジョブであっても連携ジョブであっても、同じジョブリストに表示される。
【0054】
なお、サーバ2で実行されるジョブを含む連携ジョブについては、サーバ2で実行中のジョブについてのみ、サーバ2におけるジョブ情報にリンクするためのリンク情報を生成し、リンク情報を表示しても良いし、サーバ2からそのジョブについての情報を取得して、表示しても良い。
【0055】
また、リストNo.2のユーザジョブ2を選択し、「詳細」ボタンを押すと、ユーザジョブ2を構成するジョブ1〜3の処理状況を見ることができるものとなされている。
【0056】
図5に示される画面において、「履歴リスト」ボタンを押すと図6の画面に遷移する。
【0057】
図6のID001は、「ユーザジョブ」の項目に表示がなく、従って他のデバイスから投入されたジョブであることがわかる。
【0058】
図6のID002は、ユーザジョブ2におけるジョブ1が実行されたことを示しており、ID003は、ユーザジョブ1が実行されたことを示しており、ID004は、ユーザジョブ2におけるジョブ3が実行されたことを示している。
【0059】
図6のようなジョブの履歴リスト画面においても、ユーザジョブであれば単独ジョブであっても連携ジョブであっても、同じジョブリストに表示される。従って、ユーザは、連携ジョブの実行状態を把握するため管理サーバにアクセスする必要はなくなるのはもとより、単独ジョブについての実行状態を確認するのと同様の感覚で、連携ジョブの実行状態確認することができる。
【0060】
図7は、図5に示した実行中のジョブのリストを表示する表示処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部17を構成するCPUが図示しないROM等の記録媒体に記録された動作プ内容を示すジョブ情報ラムに従って動作することにより実行される。
【0061】
ステップS11で、実行中のジョブについての情報を取得し、ステップS12で、取得したジョブがユーザジョブであるかどうかを判断する。
【0062】
ユーザジョブであれば(ステップS12でYES)、ステップS13で、連携ジョブの一部として他のデバイスで処理中かどうかを判断する。他のデバイスで処理中でなければ(ステップS13でNO)、ステップS14で、実行中のジョブをリストに表示する。また、ステップS12において、ユーザジョブでない場合も(ステップS12でNO)、ステップS14で、そのジョブについてもリストに表示する。
【0063】
ステップS13において、他のデバイスで処理中であれば(ステップS13でYES)、ステップS15で、他のデバイスにおけるジョブ情報にリンクするためのリンク情報を生成し、そのリンク情報を表示しても良いし、他のデバイスからそのジョブについての情報を取得して、表示しても良い。
【0064】
図8は、図6に示した処理済ジョブの履歴リストを表示する表示処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部17を構成するCPUが図示しないROM等の記録媒体に記録された動作プ内容を示すジョブ情報ラムに従って動作することにより実行される。
【0065】
ステップS21で、処理済ジョブの情報を取得し、ステップS22で、そのジョブがユーザジョブかどうかを判断する。ユーザジョブでなければ(ステップS22でNO)、ステップS26で、そのジョブの履歴を表示する。
【0066】
ユーザジョブであれば(ステップS22でYES)、ステップS23で、そのジョブが連携ジョブの一部として他のデバイスで実行されたジョブであるかどうかを判断する。
【0067】
他のデバイスで実行されたジョブでなければ(ステップS23でNO)、ステップS24で、ユーザジョブであることの表示とともに、履歴を表示する。一方、他のデバイスで実行されたジョブであれば(ステップS23でYES)、ステップS25で、他のデバイスにおけるジョブ情報にリンクするためのリンク情報を生成し、リンク情報を表示しても良いし、他のデバイスからそのジョブについての履歴を取得して、表示しても良い。
【0068】
図9は、この発明の他の実施形態を示すもので、一部のジョブの実行に必要であるが、他のジョブの実行には必要でないデータが存在する連携ジョブを説明するための図である。
【0069】
この実施形態では、図1に示した実施形態と同様に、ジョブ1:文書をMFP1でスキャンし、得られた画像データをサーバ2に配信する、ジョブ2:サーバ2により前記画像データをワードデータに変換する、ジョブ3:MFP1でユーザが前記サーバ2により変換されたワードデータに署名して所定宛先に配信する、という連続的に実行されるジョブ1〜3の3つのジョブからなる連携ジョブを実行するものであるが、ジョブ3の署名されたデータの宛先を、ユーザが別のサーバ3からダウンロードしたアドレス帳から選択するものとなされている。
【0070】
つまり、図9に示すように、ユーザは1)MFP1にログインし、2)サーバ3に対してアドレス帳のダウンロードを要求する。そして、3)サーバ3からダウンロードされたアドレス帳から宛先を選択し、ジョブを投入する。
【0071】
従って、ジョブ3の実行に他のデバイスからダウンロードしたアドレス帳が必要となる。
【0072】
このように、連携ジョブに含まれる一部のジョブについてのみ必要なデータが存在する場合、この実施形態では、ジョブ管理部17nが各ジョブ毎に前記データが必要か不要かを管理し、ジョブ制御部17mがデータの必要なジョブに前記データを供給してジョブを実行させる。
【0073】
図10は、上記のようなデータが存在する場合の、ジョブの実行に伴うデータの取り扱い処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部17を構成するCPUが図示しないROM等の記録媒体に記録された動作プ内容を示すジョブ情報ラムに従って動作することにより実行される。
【0074】
ステップS31で、アドレス帳等のデータをダウンロードし、ステップS32で、ダウンロードデータを利用して投入されたジョブを受け付ける。
【0075】
次いで、ステップS33で、他デバイスへの連携処理依頼が必要かどうか、換言すれば他のデバイスで実行されるジョブを含む連携ジョブかどうかを判断する。
【0076】
他デバイスへの連携処理依頼が必要であれば(ステップS34でYES)、ステップS34で、他のデバイスでの処理にダウンロードしたデータが必要かどうかを判断する。
【0077】
他のデバイスでの処理にダウンロードしたデータが必要であれば(ステップS34でYES)、ステップS35で、ジョブを実行する前記他のデバイスの信用度の高低を判断する。信用度は、例えばセキュリティが確保されているかどうか、他のデバイスの製造元等により判断される。
【0078】
信用度が高い場合は(ステップS35でYES)、ステップS36に進み、他のデバイスとデータを共有する。つまり、他のデバイスへ必要なダウンロードデータを送ったり、他のデバイスでの処理が必要な場合にデータの参照を許可する。または、他のデバイスでダウンロードを実施するために必要なデータを送信する。
【0079】
一方、信用度が低い場合は(ステップS35でNO)、ステップS37に進み、他のデバイスへのダウンロードデータの受け渡しを最低限にする。また、可能な限り、ユーザがジョブを投入したデバイスで処理を実行する。
【0080】
また、ステップS33において、他のデバイスへの連携処理依頼が不要な場合(ステップS33でNO)、または他のデバイスでの処理にダウンロードしたデータが不要な場合(ステップS34でNO)、いずれもステップS38に進み、他のデバイスへダウンロードデータは送信しない。
【0081】
このように、他のデバイスで実行されるジョブにデータが必要でなければ、該データを他のデバイスに送信しないので、ジョブに不要なデータが連携処理に従って転送されるといった不具合をなくすことができ、ひいては連携ジョブの実行処理を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】連携ジョブの一例を示す図である。
【図2】画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】ジョブ管理部により生成されるジョブ情報を示す図である。
【図4】ジョブ管理部が行うジョブ情報の生成処理を示すフローチャートである。
【図5】ジョブ情報の一覧リスト(ジョブリスト)を操作パネル部の表示部に表示させた状態を示す図である。
【図6】図5に示される画面において、「履歴リスト」ボタンが押されたときに遷移する画面を示す図である。
【図7】図5に示した実行中のジョブのリストを表示する表示処理を示すフローチャートである。
【図8】図6に示した処理済ジョブの履歴リストを表示する表示処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の他の実施形態を示すもので、一部のジョブの実行に必要であるが、他のジョブの実行には必要でないデータが存在する連携ジョブを説明するための図である。
【図10】連携ジョブに含まれる一部のジョブについてのみ必要なデータが存在する場合の、ジョブの実行に伴うデータの取り扱い処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 MFP(画像処理装置
2 サーバ
15 操作パネル部
15a 表示部
16 記憶部
17 制御部
17m ジョブ制御部
17n ジョブ管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって自装置に投入され、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブを受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた連携ジョブに含まれる複数のジョブを、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して処理させるジョブ制御手段と、
前記連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成するジョブ管理手段と、
前記ジョブ管理手段により生成された前記ジョブ情報を記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
連携ジョブではない単独ジョブを前記ジョブ制御手段が自装置に処理させた場合には、前記ジョブ管理手段は、前記単独ジョブの実行状態を管理しかつそのジョブについてのジョブ情報を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
表示手段を備え、
前記ジョブ管理手段は、前記記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報を前記表示手段に表示させる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ジョブ管理手段は、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎にデータの要否を管理し、前記ジョブ制御手段は、前記各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行させる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
ユーザによって自装置に投入され、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブを受け付けるステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた連携ジョブに含まれる複数のジョブを、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して処理させるジョブ制御ステップと、
前記連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成するジョブ管理ステップと、
前記ジョブ管理ステップにより生成された前記ジョブ情報を記憶手段に記憶するステップと、
を備えたことを特徴とする画像処理装置における連携ジョブの実行方法。
【請求項6】
前記ジョブ制御ステップにおいて、連携ジョブではない単独ジョブを自装置に処理させた場合には、前記ジョブ管理ステップでは、前記単独ジョブの実行状態を管理しかつそのジョブについてのジョブ情報を生成する請求項5に記載の連携ジョブの実行方法。
【請求項7】
前記ジョブ管理ステップにおいて、前記記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報を表示手段に表示させる請求項5に記載の連携ジョブの実行方法。
【請求項8】
前記ジョブ管理ステップにおいて、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎にデータの要否を管理し、前記ジョブ制御ステップにおいて、前記各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行させる請求項5に記載の連携ジョブの実行方法。
【請求項9】
ユーザによって自装置に投入され、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して実行される複数のジョブを含む連携ジョブを受け付けるステップと、
前記受付ステップにより受け付けた連携ジョブに含まれる複数のジョブを、自装置を含む複数の画像処理装置で連携して処理させるジョブ制御ステップと、
前記連携ジョブに含まれる各ジョブの実行状態を管理すると共に、各ジョブの内容及び実行結果を示すジョブ情報を生成するジョブ管理ステップと、
前記ジョブ管理ステップにより生成された前記ジョブ情報を記憶手段に記憶するステップと、
を画像処理装置のコンピュータに実行させるための連携ジョブの実行プログラム。
【請求項10】
前記ジョブ制御ステップにおいて、連携ジョブではない単独ジョブを自装置に処理させた場合には、前記ジョブ管理ステップでは、前記単独ジョブの実行状態を管理しかつそのジョブについてのジョブ情報を生成する処理をコンピュータに実行させる請求項9に記載の連携ジョブの実行プログラム。
【請求項11】
前記ジョブ管理ステップにおいて、前記記憶手段に記憶されている連携ジョブに含まれる各ジョブについてのジョブ情報の中から、連携ジョブの進捗状況に応じたジョブ情報を表示手段に表示させる処理をコンピュータに実行させる請求項9に記載の連携ジョブの実行プログラム。
【請求項12】
前記ジョブ管理ステップにおいて、連携ジョブに含まれる各ジョブ毎にデータの要否を管理し、前記ジョブ制御ステップにおいて、前記各ジョブに必要なデータを供給してジョブを実行させる請求項9に記載の連携ジョブの実行プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−74681(P2010−74681A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241814(P2008−241814)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】