説明

画像処理装置、集積回路装置及び電子機器

【課題】HSV画像データに対して自由度の高い補正を行うことができる画像処理装置、集積回路装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】色相値Hinが複数の色相領域のうちのどの色相領域に対応するかを判定する色相領域判定部50と、色相値Hinを用いて求めた補正値ΔHにより色相値Hinを補正する変換部60とを含む。変換部60は、色相値Hinと第1の基準値HTとの差分を用いて第1の差分値D1を求め、第2の基準値Aと差分値D1との差分を用いて第2の差分値D2を求める。そして、変換部60は、差分値D2を用いて補正値ΔHを求め、補正値ΔHにより色相値Hinを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、集積回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理においては、様々な形式の色空間が用いられている。その1つに、HSV形式(色相、彩度、明度)の色空間での画像処理がある。例えば、人間の色覚が肌色や空色などの記憶色に対して特に敏感であることから、HSV形式の色空間において記憶色を補正することで人間にとって自然な発色の画像表示を得ることができる。
【0003】
ところで、HSV形式の色空間での画像処理においては、補正された色と補正されていない色の境界で大きな色の差が生じ、境界部分が目立ってしまうという課題があった。この課題に対し従来は、補正する色相領域の境界に近づくにつれて補正値をゼロに漸近させることで大きな色の差が生じないようにしていた(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、従来の対策では補正する色相領域の境界で補正値がゼロとなるため、補正の自由度が限られるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−42033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、HSV画像データに対して自由度の高い補正を行うことができる画像処理装置、集積回路装置及び電子機器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、色相値が複数の色相領域のうちのどの色相領域に対応するかを判定する色相領域判定部と、前記色相値を用いて補正値を求め、前記補正値により前記色相値を補正する変換部と、を含み、前記変換部は、前記色相値と第1の基準値との差分を用いて第1の差分値を求め、第2の基準値と前記第1の差分値との差分を用いて第2の差分値を求め、前記第2の差分値を用いて前記補正値を求め、前記補正値により前記色相値を補正する画像処理装置に関係する。
【0008】
本発明では、複数の色相領域に対して色相値の補正を行う。これにより、所望の色相領域に対して色相値の補正を行うことができる。また、本発明では、第1の基準値と第2の基準値を用いて補正値を求める。これにより、色相領域の境界で補正値を任意の値にすることができる。さらに、複数の色相領域を隣接して設けた場合には、色相領域の境界での補正値を隣接する色相領域で等しくできる。これにより、色相領域の境界で補正値をゼロにすることなく色相領域の境界で色の急激な差が生じてしまうことを防止できる。このように、本発明によれば色の急激な差を生じさせることなく自由度の高い補正を実現できる。
【0009】
また本発明は、色相値が複数の色相領域のうちのどの色相領域に対応するかを判定する色相領域判定部と、前記色相値を用いて補正値を求め、前記補正値により彩度値を補正する変換部と、を含み、前記変換部は、前記色相値と第1の基準値との差分を用いて第1の差分値を求め、第2の基準値と前記第1の差分値との差分を用いて第2の差分値を求め、前記第2の差分値を用いて前記補正値を求め、前記補正値により彩度値を補正する画像処理装置に関係する。
【0010】
本発明では、複数の色相領域に対して彩度値の補正を行う。これにより、所望の色相領域に対して彩度値の補正を行うことができる。また、上記色相値を補正する発明と同様に、色相領域の境界で補正値を任意の値にすることができるため、色相領域の境界での補正値を隣接する色相領域で等しくできる。これにより、色の急激な差を生じさせることなく自由度の高い補正を実現できる。
【0011】
また本発明では、前記変換部は、前記色相値と前記第1の基準値との差分の絶対値である前記第1の差分値を求め、第2の基準値と前記第1の差分値との差分を用いて前記第2の差分値を求め、前記第2の差分値を用いて前記補正値を求めてもよい。
【0012】
本発明によれば、色相値と第1の基準値との差分の絶対値を用いて補正値を求める。これにより、第1の基準値で折れ曲がった直線で表される補正値を求めることができる。このように、本発明によれば直線を組み合わせた補正値を実現できる。
【0013】
また本発明では、前記変換部は、前記第2の基準値と前記第1の差分値との差分の絶対値である前記第2の差分値を用いて前記補正値を求めてもよい。
【0014】
本発明によれば、第2の基準値を調整することで、色相領域内で複数回折れ曲がった直線で表される補正値を求めることもできる。このように、簡単な一次式の補正値で複雑な補正を実現できる。
【0015】
また本発明では、前記変換部は、前記第2の差分値と補正係数を乗算処理して前記補正値を求めてもよい。
【0016】
本発明によれば、補正係数を調整することにより補正値の大きさ及び正負を調整することができる。これにより、補正の方向と補正値の特性線の傾きを調整できる。例えば、隣接した色相領域の境界において、補正値の特性線の傾きを変化させることもできる。このように、さらに自由度の高い補正を実現できる。
【0017】
また本発明では、前記第1の基準値と前記第2の基準値と前記補正係数を設定する係数レジスタを含み、前記変換部は、前記色相領域判定部からの判定結果に基づいて、前記係数レジスタから前記第1の基準値と前記第2の基準値と前記補正係数を読み出してもよい。
【0018】
本発明によれば、複数の色相領域の各色相領域に対して独立して第1の基準値、第2の基準値及び補正係数を設定できる。そのため、色相領域判定部の判定結果に基づいて各色相領域に対応する補正値を求めることができる。これにより、複数の色相領域を独立の補正値で補正できる。
【0019】
また本発明では、前記変換部は、彩度値を用いて乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めてもよい。
【0020】
本発明によれば、彩度値に依存した補正値を求めることができる。これにより、複数の色相領域において色相値だけでなく彩度値に応じて補正することができる。
【0021】
また本発明では、前記変換部は、前記彩度値と彩度係数を乗算処理して前記乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めてもよい。
【0022】
本発明によれば、彩度係数を調整することで補正値の大きさ及び正負を調整することができる。これにより、補正の方向及び補正値の変化率を調整できる。
【0023】
また本発明では、前記変換部は、前記彩度値と前記彩度係数を乗算処理した結果と補正係数を加算処理して前記乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めてもよい。
【0024】
本発明によれば、彩度値の一次式に依存する補正値を求めることができる。これにより、正又は負の一方向の補正値だけでなく、彩度値に応じて補正値の正負を変えることもできる。
【0025】
また本発明では、前記第1の基準値と前記第2の基準値と前記補正係数と前記彩度係数を設定する係数レジスタを含み、前記変換部は、前記色相領域判定部からの判定結果に基づいて、前記係数レジスタから前記第1の基準値と前記第2の基準値と前記補正係数と前記彩度係数を読み出してもよい。
【0026】
本発明によれば、複数の色相領域の各色相領域に対して独立して第1の基準値、第2の基準値、補正係数及び彩度係数を設定できる。そのため、色相領域判定部の判定結果に基づいて各色相領域に対応する補正値を求めることができる。これにより、複数の色相領域を独立の補正値で補正できる。
【0027】
また本発明では、前記変換部は、彩度値を変換処理して変換彩度値を出力する彩度変換処理部を有し、前記変換彩度値を用いて乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めてもよい。
【0028】
本発明によれば、変換彩度値に依存する補正値を求めることができる。これにより、彩度値に対して任意の依存性を持つ補正を実現できる。例えば、彩度値の一部範囲で補正強度を強くすることもできる。このように、本発明によればさらに自由度の高い補正を実現できる。
【0029】
また本発明では、前記彩度変換処理部は、彩度値をルックアップテーブルにより変換処理して前記変換彩度値を出力してもよい。
【0030】
本発明によれば、ルックアップテーブルにより彩度値の変換処理を実現できる。これにより、彩度値と変換彩度値の任意の変換を実現できる。
【0031】
また本発明では、前記変換部は、前記変換彩度値と彩度係数を乗算処理して前記乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めてもよい。
【0032】
本発明によれば、彩度係数を調整することで補正値の大きさ及び正負を調整することができる。これにより、補正の方向及び補正値の変化率を調整できる。
【0033】
また本発明では、前記変換部は、前記変換彩度値と前記彩度係数を乗算処理した結果と補正係数を加算処理して前記乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めてもよい。
【0034】
これにより、変換彩度値に依存する補正と色相値にのみ依存する補正を加算して行うことができる。
【0035】
また本発明は、上記のいずれかに記載の画像処理装置を含む集積回路装置に関係する。
【0036】
また本発明は、上記に記載の集積回路装置を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態の構成例
【図2】図2(A)、図2(B)は、画像補正の説明図
【図3】図3(A)〜図3(D)は、補正値の特性線の例
【図4】複数の色相領域における補正値の特性線の例
【図5】変換彩度値を用いた補正の例
【図6】本実施形態の変形例
【図7】図7(A)、図7(B)は、本実施形態の変形例による補正の例
【図8】本実施形態の詳細な構成例
【図9】電子機器の構成例
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0039】
1.色相補正、彩度補正
1.1.画像処理装置の構成例
本実施形態の画像処理装置は、色相値(H)、彩度値(S)、明度値(V)を成分とするHSV画像データ(HSV形式の画像データ)に対して画像補正(画像処理)を行う。本実施形態の画像補正手法によれば、2つの基準となる値(補正基準ターゲット値HT、補正基準差分値A)を用いた一次式によって、自由度の高い補正値を実現することができる。以下、具体的に説明する。
【0040】
図1に本実施形態の画像処理装置の構成例を示す。図1に示す画像処理装置は、色相領域判定部50と変換部60(色補正部)を含み、画像処理装置には色相値Hin,彩度値Sin,明度値Vinから成るHSV画像データが入力される。色相領域判定部50は、色相値Hinが、設定された色相領域(色相範囲)に対応する色相値であるかを判定し、判定信号JSを出力する。変換部60は、判定信号JSを受けて補正値ΔHを求める。そして、変換部60は、補正値ΔHによって色相値Hinを補正し、補正後の色相値Houtを出力する。
【0041】
図2(A)を用いて本実施形態の画像補正手法について説明する。ここで、図2(A)に示す円は、HSV形式の色空間のうち色相及び彩度についての色空間を表す。具体的には、色相を円の円周方向に表し、彩度を円の半径方向に表す。
【0042】
図2(A)に示すように、例えば色相領域CRとして色相値RL〜RHの範囲が設定される。この場合、色相領域判定部50は、色相値Hinが色相領域CRに入る値であるか否かを判定し、対応する判定信号JSを出力する。具体的には、色相値Hinが色相領域CRに入る場合には色相領域CRに対応する判定信号JSを出力し、色相値Hinが色相領域CRに入らない場合には色相領域CR以外の領域に対応する判定信号JSを出力する。変換部60は、判定信号JSが色相領域CRに対応する場合には、色相領域CRに対応する補正値ΔHを求める。具体的には、補正値ΔHは色相値Hin又は彩度値Sinの関数として求められる。そして変換部60は、HSV画像データ(Hin,Sin,Vin)を(Hin+ΔH,Sin,Vin)に補正し、出力HSV画像データ(Hout,Sout,Vout)として出力する。この補正値ΔHによる補正は、図2(A)の円上において、画像データ(Hin,Sin,Vin)に対応する点を円周方向において移動させることに相当する。
【0043】
なお、変換部60は、判定信号JSを受けて補正値ΔSを求め、彩度値Sinを補正することもできる。図2(B)に示すように、変換部60は、判定信号JSが色相領域CRに対応する場合には、色相領域CRに対応する補正値ΔSを求める。補正値ΔSは色相値Hin又は彩度値Sinの関数として求められる。そして変換部60は、画像データ(Hin,Sin,Vin)を画像データ(Hin,Sin+ΔS,Vin)に補正し、画像データ(Hout,Sout,Vout)として出力する。この補正値ΔSによる補正は、図2(B)の円上において画像データ(Hin,Sin,Vin)に対応する点を円の半径方向において移動させることに相当する。
【0044】
1.2.補正値
1.2.1.色相値の関数である補正値の演算手法の具体例
次に、補正値ΔHの演算手法について具体例を用いて説明する。なお、補正値ΔSの演算手法についても同様の具体例を適用できるため、以下では補正値ΔHの演算手法の具体例について説明する。
【0045】
下式(1)に、補正値ΔHの演算手法の第1の具体例を示す。下式(1)に示すように、変換部60は、入力された色相値Hinと補正基準ターゲット値HTの差分を求め、その絶対値を第1の差分値D1(第1の差分絶対値)として求める。次に変換部60は、補正基準差分値Aと差分値D1の差分を求め、その絶対値を第2の差分値D2(第2の差分絶対値)として求める。第1の具体例においては、変換部60は差分値D2を補正値ΔHとして用いる。
【0046】
【数1】

【0047】
ここで、補正基準ターゲット値HTは、第1の基準値である。すなわち、色相値Hinを用いた差分処理(差分値D1を求める処理)の基準値であり、色相領域CRの範囲内で設定される任意の色相値である。補正基準差分値Aは、第2の基準値である。すなわち、差分値D1を用いた差分処理(差分値D2を求める処理)の基準値であり、色相領域CRに関わらず任意の色相値が設定される。また、色相領域CRは、図2(A)、図2(B)に示すように補正基準ターゲット値HTを基準として低色相側領域幅HOL,高色相側領域幅HOHによって設定される。具体的には、色相領域CRは、色相値RL=HT−HOL,RH=HT+HOHによって設定される。これらの値HT、A、HOL、HOHは、例えば後述する図8に示す係数レジスタ300からのレジスタ値によって設定される。
【0048】
ところで、HSV形式の色空間において特定の領域に補正を行うと領域の境界で色の急激な差が生じるため、表示画像上でその色の差が擬似的な輪郭として見えるという課題があった。
【0049】
例えば比較例として、領域の境界においてゼロとなる補正値を用いて補正を行う手法が考えられる。この比較例によれば、補正値を徐々にゼロに近づけることで領域の境界に近づくに従って補正による色の変化が小さくなり、領域の境界での色の急激な差を防止することができる。
【0050】
しかしながら、この比較例では領域の境界において補正値を必ずゼロにする必要があるため、補正値の設定範囲が制限されるという課題があった。
【0051】
この点、上記第1の具体例では、補正基準差分値Aを用いて補正値ΔHを求める。これにより、色相領域CRの境界で補正値ΔHを任意の値にすることができる。また、差分の絶対値を用いることで簡単な一次式にも関わらず複雑な補正値ΔHを実現することができる。さらに、後述のように複数の色相領域を設けることもでき、領域の境界で補正値ΔHの特性線をなめらかに接続することで境界での色の急激な差を防止することができる。このように、本実施形態によれば自由度の高い補正を行うことができる。
【0052】
図3(A)〜図3(D)を用いてさらに詳細に説明する。図3(A)〜図3(D)は、色相範囲CRにおける補正値ΔHの例である。
【0053】
図3(A)に示すようにA=HOL=HOHに設定した場合、Hin=HTで補正値ΔHが最も大きく、色相領域CRの境界(色相値RL及びRH)で補正値ΔH=0にすることができる。
【0054】
次に図3(B)に示すようにA=0に設定した場合、Hin=HTで補正値ΔH=0とし、色相領域CRの境界でΔH=0でない補正値ΔHにすることもできる。
【0055】
また図3(C)に示すようにA>HOLかつA>HOHに設定した場合、Hin=HTで補正値ΔHが最も大きく色相領域CRの境界でΔH=0でない補正値にすることができる。
【0056】
さらに、図3(D)に示すように0<A<HOLかつ0<A<HOHに設定した場合、色相領域CR内で補正値ΔHの特性線の折れ曲がりを複数設けることができる。
【0057】
このように、補正基準差分値Aの値を調整することで色相領域CRの境界において任意の補正値ΔHを実現できる。また、補正値ΔHは色相値Hinの一次式であるため直線で構成されるが、差分値D1,D2の絶対値を用いることで複数の直線で構成することができる。
【0058】
ここで、下式(2)に示す補正値ΔHの演算手法の第2の具体例のように、変換部60は差分値D2と係数C(補正係数)を乗算して補正値ΔHを求めることもできる。係数Cは正又は負の数である。
【0059】
【数2】

【0060】
このように、係数Cを差分値D2に乗算することで、補正値ΔHを正の値又は負の値に設定することができ、補正値ΔHの大きさを調整することができる。これにより、補正の方向及び、色相値Hinに対する補正値ΔHの変化の傾きを調整できる。第2の具体例によれば、さらに幅広い補正値ΔHの調整を実現できる。
【0061】
また、下式(3)に示す補正値ΔHの演算手法の第3の具体例のように、変換部60は差分値D2と係数Cを乗算した結果にオフセットDを加算して補正値ΔHを求めることもできる。オフセットDは正又は負の数である。
【0062】
【数3】

【0063】
これにより、色相領域CR全体を一様に補正することができる。具体的には、オフセットDを調整することで、色相領域CR全体を同一の方向に同一の補正量で色の補正を行うことができる。
【0064】
さらに、下式(4),(5)に示す補正値ΔHの演算手法の第4の具体例のように、変換部60は補正値ΔHL又はΔHHを補正値ΔHとして求めることもできる。すなわち、変換部60は、色相値Hinが色相領域CRのうちの低色相側領域(色相値RL〜補正基準ターゲット値HTの範囲)に対応する場合には補正値ΔHLを補正値ΔHとして求めることができる。また、色相値Hinが色相領域CRのうちの高色相側領域(補正基準ターゲット値HT〜色相値RHの範囲)に対応する場合には補正値ΔHHを補正値ΔHとして求めることができる。ここで、補正基準差分値ALとAHは独立した値である。同様に、係数CLとCH(補正係数)、オフセットDLとDHもそれぞれ独立した値である。
【0065】
【数4】

【0066】
【数5】

【0067】
なお、色相領域判定部50は、入力された色相値Hinが低色相側領域に入る値であるか、高色相側領域に入る値であるかを判定して、対応する判定信号JSを出力する。
【0068】
第4の具体例によれば、補正値ΔHL,ΔHHを用いて補正することができる。これにより、低色相側領域と高色相側領域で独立して補正値ΔHを調整することができる。このように、第4の具体例によれば自由度の高い補正を実現できる。
【0069】
ここで、本実施形態では複数の色相領域を設けることもできる。具体的には、本実施形態では色相領域1〜色相領域k(第1〜第kの色相領域。kは自然数)を設定できる。そして、変換部60は色相領域1〜色相領域kに対応する補正値ΔH1〜補正値ΔHkを求めることができる。
【0070】
より具体的には、下式(6),(7)に補正値ΔHの演算手法の第5の具体例を示す。下式(6)に示すように、変換部60は、色相値Hinが色相領域n(nは、k以下の自然数)のうちの低色相側領域n(第nの低色相側領域)に対応する場合、補正値ΔHLnを補正値ΔHとして求める。また、下式(7)に示すように、色相値Hinが色相領域nのうちの高色相側領域n(第nの高色相側領域)に対応する場合、補正値ΔHHnを補正値ΔHとして求める。ここで、補正基準差分値AL1〜ALk,AH1〜AHkは独立した値である。同様に、補正基準ターゲット値HT1〜HTk、係数CL1〜CLk,CH1〜CHk、オフセットDL1〜DLk,DH1〜DHkもそれぞれ独立した値である。
【0071】
【数6】

【0072】
【数7】

【0073】
なお、色相領域判定部50は、入力された色相値Hinが低色相側領域nに入る値であるか及び高色相側領域nに入る値であるかを判定して、対応する判定信号JSを出力する。
【0074】
ところで、前述の比較例においては、擬似的な輪郭の発生を防止するために色相領域の境界において補正値をゼロにしていた。そのため、補正の調整幅が制限されるという課題があった。
【0075】
この点、第5の具体例によれば、色相領域の境界において補正値ΔHの特性線を任意の値で接続することができる。また、複数の色相領域で独立に補正値ΔHを調整することができる。図4を用いて説明する。図4に示すのは、複数の色相領域として色相領域1〜色相領域4(k=4)を隣接して設けた場合の補正値ΔHの例である。
【0076】
例えば、図4のLA1に示すように、補正基準差分値A等を調整することで色相領域1の境界において補正値ΔHをゼロ以外の値にすることができる。またLA2に示すようにオフセットD等を調整することで補正値ΔHを一定の値にすることもできる。そして、LA3に示すように、補正基準差分値A等を調整することで色相領域の境界以外でも補正値ΔHをゼロにすることもできる。LA4、LA5に示すように、係数Cを調整することで補正値ΔHを正の値又は負の値にすることもできる。
【0077】
このように、複数の色相領域で独立に補正値ΔHを調整することができる。そのため、簡単な直線の組み合わせのみで自由度の高い補正を実現できる。
【0078】
さらに、図4のLA6に示すように、隣接する色相領域1と色相領域2の境界において、LA1及びLA2に示す補正値ΔHを等しい値に調整することもできる。これにより、直線の傾きを途中で変化させることもできる。
【0079】
このように、本実施形態によれば色相領域の境界で補正値の特性線を任意の値で接続できる。そのため、色相領域の境界での急激な色の変化を防止することができる。これにより、急激な色の変化で生じる擬似的な輪郭の発生を防止するとともに、自由度の高い補正を実現できる。さらに、簡単な一次式を用いて補正するため、2次式等を用いた場合に比べて回路規模を増大させることなく自由度の高い補正を実現できる。
【0080】
なお、図4では色相領域が隣接する場合を説明したが、本実施形態は複数の色相領域が離れている場合にも適用できる。
【0081】
1.2.2.彩度値の関数である補正値の演算手法の具体例
本実施形態では、入力された彩度値Sinを用いて補正値ΔHを求めることもできる。これにより、色相値Hinだけでなく彩度値Sinにも依存した画像補正を行うことができるため、第1〜第5の具体例と比べてさらに画像データの画質を向上することができる。
【0082】
下式(8)に補正値ΔHの演算手法の第6の具体例を示す。下式(8)に示すように、変換部60は彩度値Sinと係数B(彩度係数)を乗算して乗算係数MC(=B*Sin)を求めることができる。そして、変換部60は差分値D2に乗算係数MCを乗算して補正値ΔHを求めることができる。ここで、係数Bは正又は負の数である。
【0083】
【数8】

【0084】
これにより、彩度値Sinに依存した補正を実現できる。また、係数Bによって補正値の符号と大きさを調整することができる。
【0085】
下式(9)に示す補正値ΔHの演算手法の第7の具体例のように、変換部60は彩度値Sinと係数Bを乗算した結果に係数C(補正係数)を加算して乗算係数MC(=B*Sin+C)を求めることもできる。
【0086】
【数9】

【0087】
第7の具体例によれば、彩度値Sinに依存する補正と第1〜第5の具体例で説明した彩度値Sinに依存しない補正を足し合わせることができる。すなわち、係数Bと係数Cを調整することで、補正値Δを彩度値Sinの任意の一次式で調整することができる。これにより、彩度値に依存する補正値と色相値にのみ依存する補正値を直感的に組み合わせて補正値を決定できる。
【0088】
また、下式(10),(11)に示す補正値ΔHの演算手法の第8の具体例ように、変換部60は、彩度値Sinを変換処理した変換彩度値LUT[Sin]を用いて補正値ΔHを求めることもできる。この変換処理は、任意の変換(変換式)に従って彩度値Sinを変換する処理である。
【0089】
【数10】

【0090】
【数11】

【0091】
図5に、変換彩度値LUT[Sin]を用いた補正の例を模式的に示す。具体的には、線LB1上の点(Hin,Sin)が、補正値ΔHによって線LB2上の点(Hin+ΔH,Sin)に補正される例を示す。LB2に示すように、変換彩度値LUT[Sin]を用いて補正値ΔHを求めることで、彩度値Sinに対して任意の依存性を持つ補正値ΔHを実現できる。このように、本実施形態によれば彩度値Sinに応じた所望の補正を行うことができる。
【0092】
なお、任意の変換則による変換処理は、例えば図8で後述するルックアップテーブル240を用いて実現することができる。
【0093】
ここで下式(12)に示す補正値ΔHの演算手法の第9の具体例のように、変換部60は、第3の具体例と同様にオフセットDを加算して補正値ΔHを求めることもできる。また、下式(13),(14)に示す補正値ΔHの演算手法の第10の具体例のように、変換部60は、第3の具体例と同様に色相領域のうちの低色相側領域と高色相側領域に対応する補正値を求めることもでき、第4の具体例と同様に複数の色相領域に対応する補正値を求めることもできる。
【0094】
【数12】

【0095】
【数13】

【0096】
【数14】

【0097】
これにより、複数の色相領域において彩度値Sinに依存した補正を行うことができる。また、オフセットDを調整することで、彩度値Sinに依存した補正と色相領域全体で一様な補正を足し合わせることができる。
【0098】
なお、例えば下式(15)のように、上記第1〜第10の具体例を補正値ΔSにも適用できる。また、本実施形態は、補正値ΔVを求めて明度値Vinを補正することもできる。この場合も、例えば下式(16)のように上記第1〜第10の具体例を補正値ΔVに適用できる。
【0099】
【数15】

【0100】
【数16】

【0101】
2.カスケード接続
図6に本実施形態の画像処理装置の変形例を示す。この変形例は、図1等で説明した画像補正をカスケードに行うものであり、第1の補正部70、第2の補正部80を含む。
【0102】
具体的には、カスケードの初段である補正部70は、入力HSV画像データ(Hin,Sin,Vin)を補正して第1の補正後HSV画像データ(H1,S1,V1)を出力する。次に、カスケードの次段である補正部80が、初段から入力されるHSV画像データ(H1,S1,V1)を補正して第2の補正後HSV画像データ(H2,S2,V2)を出力する。
【0103】
より具体的には、第1の補正部70は、第1の色相領域判定部72、第1の変換部74を含む。色相領域判定部72は、色相値Hin(入力色相値)が色相領域に対応する色相値であるかを判定し、判定信号JS1(第1の判定信号)を出力する。変換部74は、画像データ(Hin,Sin,Vin)のうち少なくとも1つの値を補正する。
【0104】
例えば、少なくとも1つの値として色相値Hinを補正する。この場合、変換部74は判定信号JS1を受けて補正値ΔH1(第1の補正値)を求める。そして、補正値ΔH1によって色相値Hinを補正し、色相値H1(=Hin+ΔH1。第1の補正後色相値)を出力する。但し補正部70は、Sin(入力彩度値)を補正してもよく、Vin(入力明度値)を補正してもよい。また、(Hin,Sin,Vin)のうち一部を補正してもよく、全てを補正してもよい。
【0105】
また、第2の補正部80は、第2の色相領域判定部82、第2の変換部84を含む。色相領域判定部82は、色相値H1(第1の補正後色相値)が色相領域に対応する色相値であるかを判定し、判定信号JS2(第2の判定信号)を出力する。変換部84は、画像データ(H1,S1,V1)のうち少なくとも1つの値を補正する。例えば、変換部84は、変換部74と同様に少なくとも1つの値として色相値H1を補正する。
【0106】
なお、補正部70,80の構成及び動作は、図1〜図5及び上式(1)〜(16)で説明した構成例と同様の構成及び動作であるので、説明を省略する。
【0107】
ここで、本実施形態は、第1の色空間変換部20、第2の色空間変換部30を含むこともできる。色空間変換部20及び30は、RGB形式の色空間とHSV形式の色空間の変換を行う。すなわち、前段にある色空間変換部20は、本実施形態に入力された入力RGB画像データ(Rin,Gin,Bin)を対応するHSV画像データ(Hin,Sin,Vin)に変換する。後段にある色空間変換部30は、補正された画像データであるHSV画像データ(H2,S2,V2)を対応する出力RGB画像データ(Rout,Gout,Bout)に変換する。
【0108】
ところで、図1等で説明した構成例では、複数の色相領域に対して自由度の高い画像補正を行うことができる。しかしながら、重複した色相領域に対して補正を行うことが困難な場合があるという課題もあった。
【0109】
この点、本実施形態の変形例によれば、補正部をカスケード接続させたことで重複した色相領域に対して容易に補正することができる。この点について図7(A)、図7(B)を用いて説明する。
【0110】
比較のため、図7(A)を用いて1段の補正部で補正する場合について説明する。補正部が1段の場合、色相領域を重複させて設定することができない。そのため、重複する色相領域CR1,CR2を領域I〜IIIに分割して設定する必要がある。そして、領域II,IIIに対しては補正値ΔH1を設定し、領域Iに対しては補正値ΔH1とΔH2を合成した補正値を設定する必要がある。このように、補正部1段の場合には設定すべき色相領域の数が増え、補正値も複雑なものとなってしまう。
【0111】
この点、図6の変形例によれば重複した色相領域を従属的に補正できる。すなわち、図7(A)に示すように、色相領域CR1を補正値ΔH1で補正した後、重複する色相領域CR2を補正値ΔH2で補正できる。このように、補正部が1段である場合と比較して、複雑な補正値の設定を行う必要がない。例えば、広い範囲を補正した後にその中の一部を微調整したい場合などに直感的に補正値を設定することができる。
【0112】
さらに、図6の変形例によれば補正部70と補正部80が画像データのうちの異なる成分を補正することもできる。例えば、図7(B)に示すように、色相領域CR1を補正値ΔH1で補正し、色相領域CR2を補正値ΔS2で補正することもできる。
【0113】
なお上述の通り、補正部70と補正部80については、図1に示す構成例と同様であるとして説明を省略した。具体的には、以下の用語の読み替えにより、図1等でした構成例の説明を補正部70と補正部80に適用できる。
【0114】
補正部70と図1の構成例は次のように対応する。補正部70の色相領域判定部72と変換部74はそれぞれ図1の色相領域判定部50と変換部60に対応する。補正部70の第1の判定信号JS1と第1の補正値ΔH1は図1の構成例の判定信号JSと補正値ΔHに対応する。補正部70に入力される入力HSV画像データ(Hin,Sin,Vin)は、図1の構成例に入力されるHSV画像データ(Hin,Sin,Vin)に対応する。補正部70が出力する第1の補正後HSV画像データ(H1,S1,V1)は図1の構成例が出力するHSV画像データ(Hout,Sout,Vout)に対応する。
【0115】
また、補正部80と図1の構成例は次のように対応する。補正部80の色相領域判定部82と変換部84はそれぞれ図1の色相領域判定部50と変換部60に対応する。補正部80の第2の判定信号JS2と第2の補正値ΔH2は図1の構成例の判定信号JSと補正値ΔHに対応する。補正部80に入力される第1の補正後HSV画像データ(H1,S1,V1)は、図1の構成例に入力されるHSV画像データ(Hin,Sin,Vin)に対応する。補正部80が出力する第2の補正後HSV画像データ(H2,S2,V2)は図1の構成例が出力するHSV画像データ(Hout,Sout,Vout)に対応する。
【0116】
3.詳細な構成例
図8に、本実施形態の画像処理装置の詳細な構成例を示す。図8に示すのは、k個の色相領域(kは自然数)において上式(13),(14)(第10の具体例)の補正値を用いて色相値Hin又は彩度値Sinを補正する場合の構成例である。この構成例においては、レジスタ値MODが設定されることで色相値Hinを補正する色相補正モード又は彩度値Sinを補正する彩度補正モードが選択される。なお、図6で説明した補正部70と補正部80についても図8に示す詳細な構成例を適用できる。また、以下では、図1等で説明した色相領域判定部等の各構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0117】
図8に示す詳細な構成例は、係数レジスタ300、色相領域判定部50、係数選択部210、補正差分値演算部220、LUT240、乗算係数演算部230、乗算部250、加算部260、マルチプレクサ272,274,276、オフセット加算部282,284,286を含む。
【0118】
係数レジスタ300には、k個の色相領域それぞれに対応する補正基準ターゲット値、低色相側領域幅、高色相側領域幅、補正基準差分値、補正係数、彩度係数、オフセット(HT1〜HTk等)がレジスタ値として設定される。また、係数レジスタ300にはモードMODがレジスタ値として設定される。例えば、図9に示すホストコンピュータ106から係数レジスタ300にレジスタ値が設定される。
【0119】
係数選択部210は、色相領域判定部50からの判定信号JSを受けて係数レジスタ300からレジスタ値を読み出す。具体的には、係数レジスタ300から入力されるレジスタ値のうち、色相値Hinが属する色相領域に対応するレジスタ値を選択して、補正基準ターゲット値HT、補正基準差分値A、係数B、係数C、オフセットHOF,SOF,VOFとして出力する。例えば、色相値Hinが色相領域n(nはk以下の自然数)の高色相側領域にある場合には、係数選択部210はレジスタ値AL1〜ALk,AH1〜AHkからAHnを選択して補正基準差分値Aとして出力する。
【0120】
補正差分値演算部220は、色相値Hin及び、係数選択部210からの補正基準ターゲット値HTと補正基準差分値Aを受けて、差分値D2(=|A−|Hin−HT||)を演算して出力する。
【0121】
LUT240(彩度変換処理部)は、彩度値Sinをルックアップテーブルにより変換彩度値LUT[Sin]に変換処理して出力する。LUT[Sin]は、ルックアップテーブルにより彩度値Sinから一意に決まる値である。なお、LUT240は、ルックアップテーブルでなく他の演算(例えば乗算器、加算器による演算)により変換処理を行ってもよい。
【0122】
乗算係数演算部230は、係数B,Cと変換彩度値LUT[Sin]を受けて乗算係数MCを出力する。乗算係数演算部230は、係数Bと変換彩度値LUT[Sin]を乗算する乗算処理を行い、乗算処理の結果と係数Cを加算する加算処理を行って乗算係数MC(=B*LUT[Sin]+C)を演算する。なお、BとLUT[Sin]の乗算処理及びCの加算処理は他の値の乗算や加算を含んでもよい。
【0123】
乗算部250は、補正差分値演算部220からの差分値D2と乗算係数演算部230からの乗算係数MCの乗算処理を行い、補正値ΔH(又はΔS。但しオフセットを除く)を出力する。なお、D2とMCの乗算処理は他の値の乗算や加算を含んでもよい。
【0124】
マルチプレクサ272には、色相値Hin、彩度値Sinが入力される。そして、マルチプレクサ272は、レジスタ値MODを受けて色相補正モードの場合には色相値Hinを出力し、彩度補正モードの場合には彩度値Sinを出力する。
【0125】
加算器260は、マルチプレクサ272の出力と乗算器250からの補正値の加算処理を行い、色相値(Hin+ΔH)又は彩度値(Sin+ΔS)を出力する。
【0126】
マルチプレクサ274には、色相値Hin、色相値(Hin+ΔH)、レジスタ値MODが入力され、マルチプレクサ276には、彩度値Sin、彩度値(Sin+ΔS)、レジスタ値MODが入力される。そして、色相補正モードの場合には、マルチプレクサ274が色相値(Hin+ΔH)を出力し、マルチプレクサ276が彩度値Sinを出力する。また、彩度補正モードの場合には、マルチプレクサ274が色相値Hinを出力し、マルチプレクサ276が彩度値(Sin+ΔS)を出力する。
【0127】
オフセット加算部282は、明度値Vinと係数選択部210からのオフセットVOFを加算し、明度値Voutを出力する。また、オフセット加算部284は、マルチプレクサ274の出力と係数選択部210からのオフセットHOFを加算して色相値Houtを出力する。オフセット加算部286は、マルチプレクサ276の出力と係数選択部210からのオフセットSOFを加算して彩度値Soutを出力する。
【0128】
なお、本発明は図8の構成例に限定されず、変形実施が可能である。例えば、本発明は、色相値Hinや彩度値Sinだけでなく明度値Vinを差分値D2を用いた補正値で補正することもできる。また、本発明は、上記第10の具体例だけでなく上記他の具体例で説明した補正値を用いて補正を行うこともできる。
【0129】
4.携帯電話端末
図9に携帯電話端末(電子機器)の構成例を示す。図9では、携帯電話端末100(電子機器)に画像表示制御装置108(集積回路装置)が搭載されている。この携帯電話端末100は、アンテナANと、通信/画像処理部102と、CCDカメラ104と、ホストコンピュータ106と、画像表示制御装置108と、ドライバ110(パネルドライバ112とバックライトドライバ114を含む)と、表示パネル(例えば液晶パネル(LCD))116と、バックライト(LED)118を含む。
【0130】
通信/画像処理部102は、アンテナANを介して画像データを受信する。ホストコンピュータ106は、通信/画像処理部102が受信した画像データと制御信号を画像表示制御装置108に出力する。CCDカメラ104は、撮影した画像データを画像表示制御装置108に出力する。
【0131】
画像表示制御装置108は、本発明の画像処理装置を含み、ホストコンピュータ106やCCDカメラ104から入力された画像データに対して図1等で説明した画像処理(画像補正)を行う。そして、画像表示制御装置108は、画像処理された画像データに基づいてドライバ110に制御信号を出力する。ここで、画像表示制御装置108は、表示画像に応じて適応的にバックライト減光を行う調光部を含むこともできる。また、表示画像及びバックライト減光に応じて適応的に輝度や彩度の補正を行う輝度彩度補正部を含むこともできる。この場合、画像表示制御装置108は、本発明の画像処理及び輝度彩度補正部の画像処理が行われた後の画像データをパネルドライバ112に出力し、調光部が出力するバックライト減光量をバックライトドライバ114に出力する。
【0132】
そして、ドライバ110は、表示パネル116及びバックライト118を駆動する。具体的には、パネルドライバ112は画像表示制御装置108からの画像データを受けて表示パネル116を駆動する。また、バックライトドライバ114は、画像表示制御装置108からのバックライト減光量を受けてバックライト118を駆動する。
【0133】
なお、画像表示制御装置108は、ドライバ110とは別個の集積回路装置であってもよく、ドライバ110に搭載されてもよい。また、画像表示制御装置108は、ドライバ110のコントローラに搭載されてもよく、駆動制御装置(ドライバとコントローラが一体化されたもの)に搭載されてもよい。
【0134】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語(第1の差分値、第2の差分値、補正係数、彩度係数、彩度変換処理部、変換彩度値等)と共に記載された用語(差分値D1、差分値D2、係数C、係数B、ルックアップテーブル、LUT[Sin]等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また色相領域判定部、変換部、第1,第2の補正部、第1,第2の色空間変換部、係数レジスタ、係数選択部、補正差分値演算部、彩度変換処理部、乗算係数演算部、集積回路装置、電子機器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0135】
20 第1の色空間変換部、30 第2の色空間変換部、50 色相領域判定部、
60 変換部、70 第1の補正部、72 第1の色相領域判定部、
74 第1の変換部、80 第2の補正部、82 第2の色相領域判定部、
84 第2の変換部、100 電子機器、102 通信/画像処理部、
104 CCDカメラ、106 ホストコンピュータ、108 集積回路装置、
110 ドライバ、112 パネルドライバ、114 バックライトドライバ、
116 表示パネル、118 バックライト、210 係数選択部、
220 補正差分値演算部、230 乗算係数演算部、240 彩度変換処理部、
250 乗算部、260 加算部、272,274,276 マルチプレクサ、
282,284,286 オフセット加算部、300 係数レジスタ、
Hin 色相値、Sin 彩度値、Vin 明度値、CR 色相領域、
ΔH,ΔS 補正値、HT 補正基準ターゲット値、A 補正基準差分値、
C 補正係数、B 彩度係数、HOF,SOF,VOF オフセット、
Rin,Gin,Bin 入力RGB画像データ、
Rout,Gout,Bout 出力RGB画像データ、
H1,S1,V1 第1の補正後HSV画像データ、
H2,S2,V2 第2の補正後HSV画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色相値が複数の色相領域のうちのどの色相領域に対応するかを判定する色相領域判定部と、
前記色相値を用いて補正値を求め、前記補正値により前記色相値を補正する変換部と、
を含み、
前記変換部は、
前記色相値と第1の基準値との差分を用いて第1の差分値を求め、第2の基準値と前記第1の差分値との差分を用いて第2の差分値を求め、前記第2の差分値を用いて前記補正値を求め、前記補正値により前記色相値を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
色相値が複数の色相領域のうちのどの色相領域に対応するかを判定する色相領域判定部と、
前記色相値を用いて補正値を求め、前記補正値により彩度値を補正する変換部と、
を含み、
前記変換部は、
前記色相値と第1の基準値との差分を用いて第1の差分値を求め、第2の基準値と前記第1の差分値との差分を用いて第2の差分値を求め、前記第2の差分値を用いて前記補正値を求め、前記補正値により彩度値を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記変換部は、
前記色相値と前記第1の基準値との差分の絶対値である前記第1の差分値を求め、前記第2の基準値と前記第1の差分値との差分を用いて前記第2の差分値を求め、前記第2の差分値を用いて前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記変換部は、
前記第2の基準値と前記第1の差分値との差分の絶対値である前記第2の差分値を用いて前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記変換部は、
前記第2の差分値と補正係数を乗算処理して前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の基準値と前記第2の基準値と前記補正係数を設定する係数レジスタを含み、
前記変換部は、
前記色相領域判定部からの判定結果に基づいて、前記係数レジスタから前記第1の基準値と前記第2の基準値と前記補正係数を読み出すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記変換部は、
彩度値を用いて乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記変換部は、
前記彩度値と彩度係数を乗算処理して前記乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記変換部は、
前記彩度値と前記彩度係数を乗算処理した結果と補正係数を加算処理して前記乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1の基準値と前記第2の基準値と前記補正係数と前記彩度係数を設定する係数レジスタを含み、
前記変換部は、
前記色相領域判定部からの判定結果に基づいて、前記係数レジスタから前記第1の基準値と前記第2の基準値と前記補正係数と前記彩度係数を読み出すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項7において、
前記変換部は、
彩度値を変換処理して変換彩度値を出力する彩度変換処理部を有し、
前記変換彩度値を用いて乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記彩度変換処理部は、
彩度値をルックアップテーブルにより変換処理して前記変換彩度値を出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
請求項11又は12において、
前記変換部は、
前記変換彩度値と彩度係数を乗算処理して前記乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記変換部は、
前記変換彩度値と前記彩度係数を乗算処理した結果と補正係数を加算処理して前記乗算係数を求め、前記第2の差分値と前記乗算係数を乗算処理して前記補正値を求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の画像処理装置を含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項16】
請求項15に記載の集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−21990(P2010−21990A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106232(P2009−106232)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】