説明

画像処理装置およびこれを備えた画像形成装置

【課題】文字画像が背景画像に埋もれた状態で出力されることを、簡易な構成によって防止することが可能な画像処理装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】受付けた画像データ(S1)を、カラー画像である場合にはモノクロ化したのち(S3)、ユーザによる領域指定があるか否かの判断(S4)に基づいて文字画像領域と背景画像領域を検出・特定する(S7)。続いて、文字画像の濃度平均値Xと(S8)、背景画像濃度平均値Yの算出を行う(S9)。文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が閾値を越えている場合は色変換、ガンマ変換などの通常の画像処理を行う(S11)。これに対して前記平均濃度値XおよびYの差が閾値以下の場合には通常の画像処理の実行(S12)の後、画像データ調整処理(S13)にて、文字画像全体の各色分の濃度平均値に基づき、文字画像と背景画像とのコントラストを高める処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出力されるべき画像データに対して画像処理を行う画像処理装置およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文字画像は、通常、情報を伝達する役割を果たすべきものである。このため、文字画像が背景に埋もれることを避けることが重要である。このため、背景画像から文字画像を抽出する技術については、従来、様々な工夫がなされてきた。
【0003】
例えば、従来技術の中には、処理対象画像から文字を含む認識対象領域を抽出する認識対象切出し装置において、文字と背景のコントラスト差や色調差が少ない場合に、認識対象領域のノイズを効果的に除去することによって文字情報のみを正確に抽出する技術が存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−267480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、文字情報のみを正確に抽出することに加えて、文字画像が背景に埋もれたまま出力されることを防止することも重要である。その理由は、文字画像が背景に埋もれたまま用紙面に出力された場合、その用紙は、情報伝達媒体としての機能を果たさないため、廃棄されることになるからである。このため、画像が出力される場合には、常に、文字画像が背景に埋もれない状態になっていることが重要である。
【0005】
本発明の目的は、文字画像が背景画像に埋もれた状態で出力されることを、簡易な構成によって防止することが可能な画像処理装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、出力されるべき画像データに対して画像処理を行う。この画像処理装置は、領域検出手段、濃度算出手段、および画像調整手段を備える。
【0007】
領域検出手段は、画像データにおける文字画像が占める領域、および文字画像の周囲に位置する背景画像が占める領域の検出をそれぞれ行う。
【0008】
濃度算出手段は、領域検出手段の検出結果に基づいて、文字画像の濃度を示す第1の濃度値および背景画像の濃度を示す第2の濃度値をそれぞれ算出する。濃度値の例として、0〜255の256階調で表現される数値が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0009】
画像調整手段は、第2の濃度値と第1の濃度値との差が所定値以下のときに、第1の濃度値に基づいて、文字画像と背景画像とのコントラストが拡大するように文字画像の濃度を変更する。文字画像と背景画像とがそれぞれカラー画像である場合には、カラー画像のモノクロ化を行った上で、両者の濃度を検出しても良い。
【0010】
文字画像と背景画像とのコントラストを拡大させる手法の例として、文字画像の濃度が濃度上限に近い場合に、文字画像の濃度を低下させることが挙げられる。文字画像の濃度が濃度上限に近い場合には、これと近似する背景画像の濃度も濃度上限に比較的近似していると推認されるため、文字画像の濃度を低下させることにより、文字画像が目立ち易くなる。一方で、文字画像の濃度が濃度下限に近い場合に、文字画像の濃度を上昇させることが挙げられる。文字画像の濃度が濃度下限に近い場合には背景画像の濃度も濃度下限に比較的近似していると推認されるため、文字画像の濃度を上昇させることにより、文字画像が目立ち易くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、文字画像が背景画像に埋もれた状態で出力されることを、簡易な構成によって防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に示すように、画像形成装置50は、画像読取部12、画像形成部14、表示部16、操作部18、インタフェース部20、ROM22、RAM24、画像処理部26、画像データ調整部30、およびCPU10を備える。
【0013】
画像読取部12は、原稿の画像を読み取って画像データに変換する。画像形成部14は、与えられた画像データに基づいて画像形成処理を実行する。表示部16は、ユーザに通知すべき情報を表示するように構成される。操作部18は、ユーザの入力操作に基づくコマンドをCPU10に伝える。インタフェース部20は、外部機器との通信に必要な機能を備える。ここでは、インタフェース部20は、複数のパソコンが接続されたLANに接続される。ROM22は、CPU10の動作に必要な複数のプログラムを格納する。RAM24は、データが一時的に記録される不揮発性メモリである。画像処理部26は、出力されるべき画像データに対して予め定められた手順にて画像処理を実行する。画像データ調整部30は、画像データのうち文字画像データの変更を行う。CPU10は、画像形成装置50の各部を統括的に制御する。この例では、ROM22、RAM24、画像処理部26、画像データ調整部30、およびCPU10によって構成される画像処理ユニット100が本発明の画像処理装置に対応する。
【0014】
図2を用いて、画像データ調整部30の概略構成を説明する。画像データ調整部30は、前処理部32、領域検出部34、画像判定部36、および画像変更部38を備える。前処理部32は、出力されるべきカラー画像データを、コントラスト判定のために、モノクロ階調画像データに変更する。カラー画像のモノクロ化の手法は特に限定されないが、カラー画像を階調や明度を変化させずにモノクロ化することが好ましい。この例では、RGBの成分から、明るさAを“A=R×0.30+G×0.59+B×0.11”式を用いて算出する。例えば、同系色画像であればコントラスト差が濃度差として反映されることが好ましい。
【0015】
領域検出部34は、モノクロ階調画像における文字画像および背景画像を認識し、それらの位置を記憶する。領域検出部34は、Optical Character Reader(OCR)を備えており、このOCRを用いて画像データ調整処理の対象となる領域に係る画像データの文字認識処理を行う。文字認識処理により文字と認識された画像データの領域を文字画像領域として特定する。一方、文字認識処理により文字と認識されなかった画像データの領域を背景画像領域として特定する。
【0016】
画像判定部36は、文字画像および背景画像のコントラストの判定を行う。具体的には、文字画像および背景画像の濃度の差が閾値よりも高いか否かを判定する。
【0017】
画像変更部38は、文字画像および背景画像の濃度の差が閾値よりも低い場合に、文字画像および背景画像のコントラストが大きくなるように画像データを変更する。この画像データの変更の例として、文字画像濃度の減少、文字画像濃度の増加、文字画像の色調の変更などが挙げられる。
【0018】
図3および図4は、画像処理時および画像データ調整処理時におけるCPU10の動作手順を示すフローチャートである。CPU10は、画像データを受け付けると(S1)、受け付けた画像データがカラー画像であるか否かを判断する(S2)。
【0019】
S2の判断ステップにおいて、カラー画像である場合には、CPU10は、前処理部32にカラー画像のモノクロ化を実行させる(S3)。
【0020】
続いて、CPU10は、領域指定がされているか否かを判断する(S4)。S4の判断ステップにおいて、画像データ調整処理の対象となる領域に関するユーザからの設定コマンドが入力されている場合には、S6のステップに移行する。この場合、領域指定された領域のみを、画像データ調整処理の対象として指定する(S6)。これに対し、S4の判断ステップにおいて、画像データ調整処理の対象となる領域に関するユーザからの設定コマンドが入力されていない場合には、S5のステップに移行する。この場合、画像の全域を、画像データ調整処理の対象として指定する(S5)。
【0021】
続いて、CPU10は、領域検出処理を実行する(S7)。S7のステップにおいて、CPU10は、領域検出部34を用いて、文字画像と背景画像との分類を行う。ここでは、CPU10は、文字画像の領域を特定するとともに、画像データ調整処理の対象となる領域における文字画像領域以外の領域を背景領域として特定する。
【0022】
続いて、CPU10は、文字画像濃度値を算出する(S8)。S8のステップでは、CPU10は、文字画像全体の濃度平均値Xを算出する。さらに、CPU10は、背景画像濃度値を算出する(S9)。S9のステップでは、CPU10は、背景画像全体の濃度平均値Yを算出する。なお、ここでは、濃度平均値Xおよび濃度平均値Yは、0〜255の256段階の値で表現される。
【0023】
続いて、CPU10は、文字画像と背景画像の濃度差の判定を行う(S10)。ここでは、CPU10は、文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が、所定の閾値を越えているか否かを判断する。S10では、閾値として“30”が設定される。
【0024】
S10の判断ステップにおいて、文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が閾値を越えている場合には、CPU10は、画像処理部26に通常の画像処理を実行させる(S11)。なお、ここでは、通常の画像処理として、「RGB→YMCK変換」、UCR変換、γ変換などが実行される。画像処理完了後、CPU10は、画像処理後の画像データを画像形成部14に供給する。これに対して、文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が閾値以下の場合には、CPU10は、画像処理部26に通常の画像処理を実行させ(S12)、その後さらに、画像データ変更部38に画像データ調整処理を実行させる(S13)。
【0025】
図4を用いて、画像データ調整処理を説明する。画像データ調整処理において、CPU10は、文字画像全体のイエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、およびブラック成分濃度平均値Xkを算出する(S20)。なお、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、およびブラック成分濃度平均値Xkは、0〜255の256段階の値で表現される。
【0026】
続いて、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkのいずれか1つの値が閾値以上であるか否かを判断する(S21)。S21の判断ステップにおける閾値は、最大濃度の70%の値に設定される。
【0027】
S21の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値のいずれもが最大濃度の70%未満であれば、CPU10は、文字画像の濃度を増加させる(S22)。具体的には、S22のステップにおいて、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値をそれぞれ30%増加させる。この結果、図5(A)または図5(B)に示すように、文字画像の濃度が高くなり、文字画像と背景画像のコントラストが高まる。
【0028】
これに対して、S21の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値のいずれか1つが、最大濃度の70%以上であれば、CPU10は、文字画像の濃度を減少させる(S23)。この例では、S23のステップにおいて、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、およびブラック成分濃度平均値Xkの値をそれぞれ0にしている。この結果、図5(C)または図5(D)に示すように、文字画像が白抜き状態になり、文字画像と背景画像のコントラストが高まる。
【0029】
図6〜図8は、画像処理時および画像データ調整処理時におけるCPU10の動作手順の他の例を示すフローチャートである。図6におけるS101〜S112のステップは、図3におけるS1〜S12のステップに対応するため、ここでは説明を省略する。図6では、S113のステップにて、画像データがカラー画像であるか否かを判断し、その判断結果に基づいて、互いに異なる手順の2種類の画像データ調整処理のいずれかを実行する(S113、S114、S115)。
【0030】
図7を用いて、S114の画像データ調整処理を説明する。S114の画像データ調整処理において、CPU10は、文字領域濃度値Xが閾値以上であるか否かを判断する(221)。S221の判断ステップにおける閾値は、最大濃度の70%の値に設定される。
【0031】
S221の判断ステップにおいて、文字領域濃度値Xが最大濃度の70%未満であれば、CPU10は、文字画像の濃度を増加させる(S222)。具体的には、S222のステップにおいて、CPU10は、文字領域濃度値Xを30%増加させる。この結果、図5(A)に示すように、文字画像の濃度が高くなり、文字画像と背景画像のコントラストが高まる。
【0032】
これに対して、S221の判断ステップにおいて、文字領域濃度値Xが最大濃度の70%以上であれば、CPU10は、文字画像の濃度を減少させる(S223)。この例では、S223のステップにおいて、CPU10は、文字領域濃度値Xを0にする。この結果、図5(C)に示すように、文字画像が白抜き状態になり、文字画像と背景画像のコントラストが高まる。
【0033】
図8を用いて、S115の画像データ調整処理を説明する。S115の画像データ調整処理において、CPU10は、文字画像全体のイエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、およびブラック成分濃度平均値Xkを算出する(S120)。
【0034】
続いて、CPU10は、文字画像が黄色であるか否かを判定するために、イエロー成分濃度平均値Xyが閾値以上であるか否かを判断する(S121)。このS121の判断ステップでは、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、およびブラック成分濃度平均値Xkのうちの最大の値に100を乗じた値が閾値として設定される。
【0035】
S121の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Xyが閾値以上である場合には、CPU10は、背景画像のイエロー成分濃度平均値Yy、背景画像のマゼンタ成分濃度平均値Ym、背景画像のシアン成分濃度平均値Yc、および背景画像のブラック成分濃度平均値Ykを算出する(S125)。なお、ここでは、背景画像のイエロー成分濃度平均値Yy、背景画像のマゼンタ成分濃度平均値Ym、背景画像のシアン成分濃度平均値Yc、および背景画像のブラック成分濃度平均値Ykは、0〜255の256段階の値で表現される。
【0036】
続いて、CPU10は、背景画像が黄色であるか否かを判定するために、イエロー成分濃度平均値Yyが閾値以上であるか否かを判断する(S126)。このS126の判断ステップでは、マゼンタ成分濃度平均値Ym、シアン成分濃度平均値Yc、およびブラック成分濃度平均値Ykのうちの最大の値に100を乗じた値が閾値として設定される。
【0037】
S126の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Yyが閾値以上である場合には、CPU10は、後述のS128の色調変更ステップに移行する。これに対しイエロー成分濃度平均値Yyが閾値に満たない場合には、背景画像が白色であるか否かを判定するために、背景画像のイエロー成分濃度平均値Yy、背景画像のマゼンタ成分濃度平均値Ym、背景画像のシアン成分濃度平均値Yc、および背景画像のブラック成分濃度平均値Ykが微小であるか否かを判断する(S127)。この例では、CPU10は、S127の判断ステップにおいて、背景画像のイエロー成分濃度平均値Yy、背景画像のマゼンタ成分濃度平均値Ym、背景画像のシアン成分濃度平均値Yc、および背景画像のブラック成分濃度平均値Ykがいずれも5以下であるか否かを判断している。
【0038】
S127の判断ステップにおいて、背景画像のイエロー成分濃度平均値Yy、背景画像のマゼンタ成分濃度平均値Ym、背景画像のシアン成分濃度平均値Yc、および背景画像のブラック成分濃度平均値Ykがいずれも5以下である場合には、S128の色調変更ステップに移行し、それ以外の場合にはそのまま画像データ調整処理を終了する。
【0039】
S128の色調変更ステップでは、CPU10は、文字画像のイエロー成分濃度平均値Xyを30%減少するとともに、マゼンタ成分濃度平均値Xmおよびシアン成分濃度平均値Xcを30%増加させる。その結果、図9(A)または図9(B)に示すように、文字画像の色調が変化し、文字画像と背景画像とのコントラストが高まる。
【0040】
一方で、S121の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Xyが閾値に満たない場合、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkのいずれか1つの値が閾値以上であるか否かを判断する(S122)。S122の判断ステップにおける閾値は、最大濃度の70%の値に設定される。
【0041】
S122の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値のいずれもが最大濃度の70%未満であれば、CPU10は、文字画像の濃度を増加させる(S123)。具体的には、S123のステップにおいて、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値をそれぞれ30%増加させる。この結果、図5(A)または図5(B)に示すように、文字画像の濃度が高くなり、文字画像と背景画像のコントラストが高まる。
【0042】
これに対して、S122の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値のいずれか1つが、最大濃度の70%以上であれば、CPU10は、文字画像の濃度を減少させる(S124)。この例では、S124のステップにおいて、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値をそれぞれ0にしている。この結果、図5(C)または図5(D)に示すように、文字画像が白抜き状態になり、文字画像と背景画像のコントラストが高まる。
【0043】
図10は、画像処理時および画像データ調整処理時におけるCPU10の動作手順の他の例を示すフローチャートである。図10におけるS301〜S312のステップは、図3におけるS1〜S12のステップに対応するため、ここでは説明を省略する。
【0044】
CPU10は、調整後の画像データに係る画像を表示部16に表示させる(S313)。続いて、CPU10は、調整後の画像をユーザが承認するか否かを判断する(S314)。S314の判断ステップにおいて、操作部18を介してユーザの承認コマンドが出力されるべき場合には、CPU10は、調整後の画像データを画像形成部14に供給する。これに対して、S314の判断ステップにおいて、ユーザの承認コマンドが入力されない場合には、CPU10は、画像データの調整を無効にする(S315)。このとき、CPU10は、調整前の画像データを画像形成部14に供給する。
【0045】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】複写機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】画像データ調整部の構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理および画像データ調整処理時におけるCPUの動作手順を示すフローチャートである。
【図4】画像データ調整処理時におけるCPUの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】調整の前後における画像の状態を示す図である。
【図6】画像処理および画像データ調整処理時におけるCPUの動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【図7】画像データ調整処理時におけるCPUの動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【図8】画像データ調整処理時におけるCPUの動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【図9】調整の前後における画像の状態の他の例を示す図である。
【図10】画像処理および画像データ調整処理時におけるCPUの動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10−CPU
26−画像処理部
30−画像データ調整部
32−前処理部
34−領域検出部
36−画像判定部
38−画像変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力されるべき画像データに対して画像処理を行う画像処理装置であって、
画像データにおける文字画像が占める領域、および前記文字画像の周囲に位置する背景画像が占める領域の検出をそれぞれ行う領域検出手段と、
前記領域検出手段の検出結果に基づいて、前記文字画像の濃度を示す第1の濃度値および前記背景画像の濃度を示す第2の濃度値をそれぞれ算出する濃度算出手段と、
前記第2の濃度値と前記第1の濃度値との差が所定値以下のときに、前記第1の濃度値に基づいて、前記文字画像と前記背景画像とのコントラストが拡大するように前記文字画像の濃度を変更する画像調整手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像調整手段は、前記第2の濃度値と前記第1の濃度値との差が所定値以下の場合において、前記第1の濃度値が所定の閾値以上のときは、前記文字画像の濃度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像調整手段は、前記第2の濃度値と前記第1の濃度値との差が所定値以下の場合において、前記第1の濃度値が所定の閾値未満のときは、前記文字画像の濃度を上昇させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記濃度算出手段は、前記文字画像の濃度および前記背景画像の濃度をイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの色成分毎にそれぞれ算出し、
前記画像調整手段は、前記濃度算出手段の算出結果に基づいて、前記文字画像の濃度を色成分毎に調整することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像調整手段は、前記文字画像のイエロー成分の濃度がマゼンタ成分およびシアン成分に対して所定比率以上である場合に、前記文字画像のマゼンタ成分またはシアン成分の少なくともいずれかの濃度を調整することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像調整手段は、前記背景画像の色がイエローまたはホワイトであると判定された場合にのみ、前記文字画像のマゼンタ成分またはシアン成分の少なくともいずれかの濃度を調整することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記領域検出手段は、背景画像となるべき領域を指定するユーザからの入力に基づいて、背景画像が占める領域を決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像調整手段による変更後の画像を表示する表示手段と、
ユーザからの所定の入力操作に基づいて、前記画像調整手段による文字画像の変更を無効にする変更無効化手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置から供給される画像データに基づいて画像形成処理を実行する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−187327(P2008−187327A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17485(P2007−17485)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】