説明

画像処理装置およびそのプログラム

【課題】 選択される入力端子および出力端子に応じて適切な画質調整値を自動的に設定すること。
【解決手段】 ユーザ操作によって、入力端子と出力端子との組合せが選択された場合には、入力端子に設定されている入力画質調整値と、出力端子に設定されている出力画質調整値とが加算されて処理画質調整値が決定される。画像処理手段は、入力された画像データを処理画質調整値に調整し、画像受信装置に送信する。従って、ユーザ操作によって入力端子と出力端子との組合せが変更された場合であっても、選択される入力端子および出力端子に応じて適切な画質調整値を自動的に設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の入力端子と複数の出力端子とを備え、入力端子から入力される画像データを画質調整して出力端子から出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AVアンプには、複数の入力端子に複数の画像送信装置(例えば、DVDプレーヤ等)を接続可能であり、複数の出力端子に複数の画像受信装置(例えば、ディスプレイ装置)を接続可能である。AVアンプは、ユーザ操作によって、画質調整値(例えば、Brightness、Contrast、 Saturation等)の設定が可能になっており、DVDプレーヤから入力された画像データに対して、設定されている画質調整値に調整して、ディスプレイ装置に送信する。ここで、複数の出力端子に複数のディスプレイ装置を接続しており、各ディスプレイ装置の特性(例えば、Brightness、Contrast、 Saturation等)が異なる場合には、画像データの出力先のディスプレイ装置を切り換える毎に、ユーザ操作によって画質調整値を適切に変更する必要があり、その操作が非常に煩雑である。さらに、複数の入力端子に複数のDVDプレーヤが接続され、各DVDプレーヤが出力する画像データの特性(例えば、Brightness、Contrast、 Saturation等)が異なっており、AVアンプから出力する際のユーザ所望の画質調整値がDVDプレーヤ毎に異なる場合には、画像データを入力するDVDプレーヤを変更する毎に、ユーザ操作によって画質調整値を適切に変更する必要があり、その操作が非常に煩雑である。また、DVDプレーヤとディスプレイ装置との両方を切り換える場合には、その組合せに応じて、適切な画質調整値を判断して、画質調整値を変更する必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開2007−79176号公報
【特許文献2】特開2007−79177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の入力端子および複数の出力端子を備える画像処理装置において、選択される入力端子および出力端子に応じて適切な画質調整値を自動的に設定することができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好ましい実施形態による画像処理装置は、画像データを送信する複数の画像送信装置が接続可能な複数の入力端子と、画像データを受信する複数の画像受信装置が接続可能な複数の出力端子と、前記複数の入力端子のいずれかから入力される画像データを、後記処理画質調整値に調整して、前記複数の出力端子のいずれかから出力する画像処理手段と、前記複数の入力端子の各々に対して入力画質調整値をユーザ操作に応じて設定する入力設定手段と、前記複数の出力端子の各々に対して出力画質調整値をユーザ操作に応じて設定する出力設定手段と、画像データが入力されるべき1つの前記入力端子と、画像データを出力すべき1つの前記出力端子とを選択する選択手段と、選択されている前記入力端子に設定されている前記入力画質調整値と、選択されている前記出力端子に設定されている前記出力画質調整値とを加算して、処理画質調整値を算出する画質調整値算出手段とを備える。
【0006】
ユーザ操作によって、入力端子と出力端子との組合せが選択された場合には、入力端子に設定されている入力画質調整値と、出力端子に設定されている出力画質調整値とが加算されて処理画質調整値が決定される。画像処理手段は、入力された画像データを処理画質調整値に調整し、画像受信装置に送信する。従って、ユーザ操作によって入力端子と出力端子との組合せが変更された場合であっても、選択される入力端子および出力端子に応じて適切な画質調整値を自動的に設定することができる。
【0007】
好ましくは、前記入力端子毎に、前記入力画質調整値の変更値である入力値をユーザ操作に応じて入力する入力手段と、ユーザ操作に応じて、前記入力値を適用する旨の指示が入力された場合に、前記入力値を前記入力画質調整値に加算して新たな入力画質調整値を設定する設定手段と、各入力端子に対して、前記入力画質調整値の設定時に画像データを出力すべき1つの出力端子を対応付ける出力端子設定手段とをさらに備え、ユーザ操作に応じて前記入力値を出力端子に適用する旨の指示が入力された場合に、前記設定手段が、前記出力端子設定手段によって前記入力端子に対応付けられている前記出力端子の前記出力画質調整値に前記入力値を加算して、新たな出力画質調整値を設定する。
【0008】
入力端子の入力画質調整値の入力値を入力したが、出力画質調整値が問題であることに気付き、出力端子の出力画質調整値の変更を希望する場合には、その旨を示す指示が入力されることによって、入力値を出力画質調整値に加算して新たな画質調整値を設定することができる。
【0009】
好ましくは、前記入力端子毎に、前記入力画質調整値の変更値である入力値をユーザ操作に応じて入力する入力手段と、ユーザ操作に応じて、前記入力値を適用する旨の指示が入力された場合に、前記入力値を前記入力画質調整値に加算して新たな入力画質調整値を設定する設定手段と、各入力端子に対して、前記入力画質調整値の設定時に画像データを出力すべき1つの出力端子を対応付ける出力端子設定手段とをさらに備え、ユーザ操作に応じて全ての入力端子に関する前記入力値を出力端子に適用する旨の指示が入力された場合に、前記設定手段が、前記出力端子設定手段によって共通の出力端子が対応付けられている各入力端子の前記入力値に基づいて共通入力値を決定し、前記共通入力値を前記出力端子の前記出力画質調整値に加算して、新たな出力画質調整値を設定する。
【0010】
複数の入力端子に対して重複した入力値が入力された場合には、その重複する入力値の値である共通入力値は、対応する出力端子の出力画質調整値を変更すべき値と考えられる。すなわち、入力端子側の設定ではなく出力端子側の設定に問題がある。従って、ユーザからの指示に応じて、共通入力値を決定し、共通入力値を、対応する出力端子の出力画質調整値に加算して新たな出力画質調整値を設定する。その結果、複数の入力端子に対して重複した値を各入力画質調整値に加算するという無駄な処理を省くことができる。
【0011】
好ましくは、前記設定手段が、前記出力端子設定手段によって共通の出力端子が対応付けられている各入力端子の前記入力値のうち最小の入力値を前記共通入力値に決定する、又は、前記入力値の平均値を前記共通入力値に決定する。
【発明の効果】
【0012】
ユーザ操作によって入力端子と出力端子との組合せが変更された場合であっても、選択される入力端子および出力端子に応じて適切な画質調整値を自動的に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態による画像処理装置であるAVアンプ20について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0014】
図1は、画像送信装置であるDVDプレーヤ10(10A〜10D)、AVアンプ20、画像受信装置であるディスプレイ装置30(30A〜30D)を示すブロック図である。AVアンプ20は、DVDプレーヤ10が接続可能な複数の画像入力端子(以下、入力端子という。)IN1〜IN4と、ディスプレイ装置30が接続可能な複数の画像出力端子(以下、出力端子という。)OUT1〜OUT4とを有する。例えば、入力端子IN1〜IN3はHDMI入力端子であり、入力端子IN4はアナログ入力端子である。例えば、出力端子OUT1〜OUT3はHDMI出力端子であり、出力端子OUT4はアナログ出力端子である。
【0015】
入力端子IN1にはHDMIケーブルを介してDVDプレーヤ10Aが接続され、入力端子IN2にはHDMIケーブルを介してDVDプレーヤ10Bが接続され、入力端子IN3にはHDMIケーブルを介してDVDプレーヤ10Cが接続され、入力端子IN4にはアナログケーブルを介してDVDプレーヤ10Dが接続されている。
【0016】
出力端子OUT1にはHDMIケーブルを介してディスプレイ装置30Aが接続され、出力端子OUT2にはHDMIケーブルを介してディスプレイ装置30Bが接続され、出力端子OUT3にはHDMIケーブルを介してディスプレイ装置30Cが接続され、出力端子OUT4にはアナログケーブルを介してディスプレイ装置30Dが接続されている。なお、少なくとも、AVアンプ20と、DVDプレーヤ10A〜10C及びディスプレイ装置30A〜30Cは、HDMI規格に準拠している。
【0017】
[DVDプレーヤ10の構成]
DVDプレーヤ10は、再生部11と、HDMI送信部13と、システム制御部14と、操作表示部15と、メモリ16と、出力端子17とを有している。
【0018】
再生部11は、DVDディスク(以下、単にディスクという。)に記録されている画像データ(映像データの意味を含む、以下同様。)及び音声データをディスクから読み出して、HDMI送信部13に供給する。再生部11は、図示しない光ピックアップ、サーボ回路、MPEGデコーダ、音声デコーダ等を含む。
【0019】
HDMI送信部13は再生部11から供給された画像データおよび音声データを、システム制御部14からのコマンドにより、HDMI規格のデータ(以下、HDMIデータという。)に変換する。HDMI送信部13は、HDMIデータを出力端子17を介してAVアンプ20に送信する。HDMI送信部13は、HDMIデータを送受信するTMDSラインおよび接続の有無を判断するためのホットプラグラインを介して、AVアンプ20のHDMI受信部21に接続される。
【0020】
システム制御部14は、内蔵又は接続されたメモリ16に格納されているDVDプレーヤの動作プログラムに基づいて、再生部11、HDMI送信部13、操作表示部15、メモリ16等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータやCPU等である。システム制御部14は、操作表示部15からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。
【0021】
システム制御部14は、CECラインを介してAVアンプ20のシステム制御部23に接続され、システム制御部23とコマンドおよび/またはデータを送受信する。
【0022】
[AVアンプの構成]
AVアンプ20は、HDMI受信部21と、HDMI送信部22と、システム制御部23と、画像処理部24と、操作表示部25と、音声処理部26と、入力端子IN1〜IN4と、出力端子OUT1〜OUT4と、メモリ(ROM,RAM等)28とを有している。
【0023】
HDMI受信部21は、入力端子IN1〜IN3のいずれかに(すなわち、DVDプレーヤ10A〜10Cのいずれかから)供給されたHDMIデータを受信して、受信したHDMIデータから元の画像データ(HDMI変換前の画像データ)を生成して、画像処理部24に供給する。また、HDMI受信部21は、受信したHDMIデータから元の音声データを生成して、音声処理部26に供給する。
【0024】
画像処理部24は、HDMI受信部21から供給された画像データを、システム制御部23によって算出された画質調整値(以下、処理画質調整値という。)に調整して、HDMI送信部22又は出力端子OUT4に出力する。また、画像処理部24は、入力端子IN4に(すなわち、DVDプレーヤ10Dから)供給された画像データを受信して、画像データをシステム制御部23によって算出された処理画質調整値に調整して、HDMI送信部22又は出力端子OUT4に供給する。
【0025】
画質調整値は、例えば図2に示すように、Brightness(輝度)、Contrast(コントラスト)、Saturation(色合い)等を含む。
【0026】
HDMI送信部22は、画像処理部24から供給された画像データをHDMIデータに変換する。HDMI送信部22は、変換したHDMIデータを、出力端子OUT1〜OUT3のいずれかに(すなわち、ディスプレイ装置30A〜30Cのいずれかに)供給する。
【0027】
音声処理部26は、HDMI受信部21から供給された音声データをデコードし、遅延処理、イコライザ処理、D/A変換処理、音量調整処理、増幅処理等の各処理を実行し、外部に接続されたスピーカー60に音声信号を供給する。
【0028】
また、AVアンプ20は、図示しないセレクタを備えている。セレクタは、セレクタ1〜4に対応付けて、複数の入力端子IN1〜IN4をユーザ操作によって予め割り当てておき、ユーザ操作によって所望のセレクタが選択されることにより、所望の入力端子を選択するものである。また、AVアンプ20は、セレクタとは別に、画像データの出力先である出力端子をユーザ操作によって選択できるようになっている。AVアンプ20は、選択されたセレクタに割り当てられている入力端子から入力された画像データを、選択された出力端子から出力する。メモリ28には、図3に示すセレクタテーブルが記憶されており、例えば、セレクタ1〜4に対して、入力端子IN1〜IN4がユーザ操作によって割り当てられる。セレクタは、スイッチ回路などの周知の技術によって実現されている。また、選択された出力端子の情報もメモリ28に記憶されている。
【0029】
システム制御部23は、内蔵又は接続されたメモリ28に記憶されているAVアンプの動作プログラムに基づいて、HDMI受信部21、HDMI送信部22、画像処理部24、操作表示部25、音声処理部26、メモリ28等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータやCPU等である。システム制御部23は、操作表示部25からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。システム制御部23は、CECラインを介してDVDプレーヤ10A〜10Cのシステム制御部14に接続され、システム制御部14とコマンドおよびデータを送受信する。同様に、システム制御部23は、CECラインを介してディスプレイ装置30A〜30Cのシステム制御部42に接続され、システム制御部42とコマンドおよびデータを送受信する。
【0030】
画像処理装置24が画像データを調整する処理画質調整値は、選択されたセレクタに割り当てられている入力端子と、選択された出力端子との組合せによって、システム制御部23によって算出される。詳細には、選択された入力端子に設定されている入力画質調整値と、選択された出力端子に設定されている出力画質調整値とが加算されて、画像処理部24が調整する処理画質調整値が算出される。
【0031】
メモリ28には、図4に示す入力画質調整値テーブルと、図5に示す出力画質調整値テーブルとが格納されている。入力画質調整値テーブルは、ユーザ操作に応じて、入力端子IN1〜IN4に対して画質調整値(以下、入力画質調整値という。)を設定するためのテーブルである。なお、実際のユーザ操作としては、入力端子に対して入力画質調整値を設定する代わりに、セレクタ1〜4に対して入力画質調整値を設定するようになっている。出力画質調整値テーブルは、ユーザ操作に応じて、出力端子OUT1〜OUT4に対して画質調整値(以下、出力画質調整値という。)を設定するためのテーブルである。図6に示す入力画質調整値設定画面と、図7に示す出力画質調整値設定画面とが、操作表示部25に表示されて(又はディスプレイ装置30にOSD出力されて)、ユーザ操作によって各画質調整値が入力されて設定される。
【0032】
[ディスプレイ装置30の構成]
ディスプレイ装置30は、HDMI受信部41と、システム制御部42と、画像処理部43と、表示部44と、メモリ(ROM、RAM等)45と、操作部46と、入力端子47とを備える。
【0033】
HDMI受信部41は、AVアンプ20のHDMI送信部22から送信されたHDMIデータを受信して、受信したHDMIデータから元の画像データを生成し、画像処理部43に供給する。画像処理部43は、供給された画像データに対して必要に応じて画像処理を実行し、表示部44に供給する。
【0034】
表示部44は、画像処理部43から画像データが供給され、当該画像データに基づいて画像を表示するものであり、例えば、LCDまたはCRT等である。
【0035】
システム制御部42は、HDMI受信部41、画像処理部43、表示部44、メモリ45等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータ等である。システム制御部43は、操作部46からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。
【0036】
メモリ45には、ディスプレイ装置30が対応可能な(表示部44で表示可能な)解像度の種類を含むEDIDが予め記憶されている。このEDIDは、DDCラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23によって読み出される。
【0037】
以下、本発明の動作を説明する。ここでは、画質調整値がBrightnessである場合を例に説明し、入力画質調整値を入力Brightnessといい、出力画質調整値を出力Brightnessといい、処理画質調整値を処理Brightnessという。なお、他の画質調整値についても同様である。
【0038】
[処理Brightnessの算出処理]
図8は、画像処理部24が画像データに対して調整する処理Brightnessを算出するシステム制御部23の処理を示すフローチャートである。システム制御部23は、選択されているセレクタに割り当てられている入力端子を判別し、図4の入力画質調整値テーブルから、当該入力端子の対応する入力Brightnessを読み出す(S1)。続いて、システム制御部23は、選択されている出力端子を判別して、図5の出力画質調整値テーブルから、当該出力端子の対応する出力Brightnessを読み出す(S2)。システム制御部23は、読み出した入力Brightnessと出力Brightnessとを加算して、処理Brightnessを算出し、画像処理部24に処理Brightnessに画像データを調整するように指示する(S3)。例えば、入力端子1と出力端子1との組合せが選択された場合には、入力Brightnessは「10」であり、出力Brightnessは「20」であるので、処理Brightnessは「30」に算出される。
【0039】
[入力Brightnessの設定処理]
図9は、システム制御部23による入力Brightnessの設定処理を示すフローチャートである。システム制御部23は、ユーザ操作に応じて、入力Brightnessを設定する入力端子を選択する。例えば、入力端子IN1が選択された場合、図6(a)に示す設定画面が表示される。最初、図4に示すように入力端子IN1の入力Brightnessが「10」であり、入力値が入力される前には、図6(a)のように現在の入力Brightness「10」が二本線のカーソルで表されている。
【0040】
ここで、図4の入力画質調整値テーブルについて詳述する。入力画質調整値テーブルには、入力端子IN1〜IN4に対応付けて、入力Brightnessと、入力値と、フラグと、出力端子とが登録される。入力Brightnessは、その入力端子に設定されている入力Brightnessである。入力値は、ユーザ操作によって入力された入力Brightnessの変更値であり、未だ入力Brightnessへの変更が反映されていない値である。入力値が入力されている状態ではフラグが1にセットされ、入力値が入力されていない状態ではフラグが0にリセットされている。図4の入力端子IN1については、入力Brightnessが10であり、入力値が13である。
【0041】
図4の入力画質調整値テーブルにおける出力端子には、入力Brightnessの設定時に(つまり、ユーザ操作によって図6の設定画面を使って入力値が入力される際に)、入力値を入力Brightnessに加算した後の入力Brightnessを確認するための画像データを出力する先のディスプレイ装置30が接続されている出力端子を表している。すなわち、入力端子IN1については、出力端子OUT3から画像データを出力して、出力端子OUT3に接続されているディスプレイ装置30に画像を表示させ、ユーザは、その画像を見ながら入力Brightnessの入力値を調整する。なお、実際には、入力値を入力Brightnessに加算した変更後の入力Brightnessに、さらに出力端子OUT3に設定されている出力Brightnessを加算した処理Brightnessに調整された画像データが出力端子OUT3から出力される(但し、これに限定されず、入力値を入力Brightnessに加算した変更後の入力Brightnessに調整された画像データが出力されてもよい)。
【0042】
図9のように、システム制御部23は、ユーザ操作によって入力値が入力されたか否かを判断する(S22)。図6(a)の状態から二本線のカーソルが右方向(増加方向)に操作されて入力値が入力される(例えば入力値「13」が入力される)(S22でYES)と、図6(b)のように入力Brightness「10」が一本線で表され、入力Brightnessに入力値を加算した後の値「23」が二本線のカーソルで表される。システム制御部23は、図4において、入力端子IN1の入力値に、入力された入力値「13」を登録し、フラグを1にセットする(S23)。このとき、画像処理部24は入力Brightnessに入力値を加算した値「23」に出力端子OUT3の出力Brightness「13」を加算した値「36」に画像データを調整し、出力端子OUT3から画像データを出力している。なお、以下で説明する「適用」ボタン又は「出力へ適用」ボタンが操作されるまで(S24でNO、S27でNO)は、ユーザ操作によって入力値を適宜変更することが可能である。
【0043】
システム制御部23は「適用」ボタンが操作されたか否かを判断している(S24)。「適用」ボタンが操作されなければ(S24でNO)、S27に進む。「適用」ボタンが操作されると(S24でYES)、システム制御部23は、入力Brightness「10」に入力値「13」を加算した値「23」を新たな入力Brightnessに設定する(S25)。従って、システム制御部23は、図4において、入力端子IN1に対する入力Brightnessを「23」に変更し、入力値を「0」に変更し、フラグを0にリセットする(S25,S26)。このとき、図6(c)のように、新たな入力Brightnessが二本線のカーソルで表示されている。その後、S22に戻り、新たに入力値が入力されたか否かを再び判断する。
【0044】
従って、ユーザ操作によって入力端子IN1と出力端子OUT3とが選択された場合に、入力Brightness「23」と出力Brightness「13」とが加算され、処理Brightnessは36になる。
【0045】
S27において、システム制御部23は「出力へ適用」ボタンが操作されたか否かを判断している(S27)。「出力へ適用」ボタンが操作されなければ(S27でNO)、S22に戻る。一方、「出力へ適用」ボタンが操作されると(S27でYES)、システム制御部23は、入力端子IN1の入力Brightnessに入力値を加算する代わりに、図4において入力端子IN1に対応付けられている(すなわち、入力Brightnessの設定時における画像データ出力先の)出力端子OUT3の出力Brightnessに入力値を加算する(S28)。すなわち、図5のように、出力端子OUT3の出力Brightness「13」に入力値「13」を加算して、新たな出力Brightness「26」算出する(図5の出力端子OUT3の出力Brightnessの項を「26」に変更する)。その後、図4の入力端子IN1に対するフラグを0にリセットする(S29)。
【0046】
このように、入力Brightnessの入力値を入力し、その入力値を出力Brightnessに反映させるのは次の理由による。処理Brightnessがユーザの好みに合わない場合、入力Brightnessの入力値を入力したものの、入力Brightnessは適切であるが、出力Brightnessが不適切である場合がある。この場合、入力端子IN1の入力Brightnessを変更し、出力端子OUT3の出力Brightnessを変更させなければ、例えば、他の入力端子IN2と出力端子OUT3との組合せが選択された際にも、処理Brightnessがユーザの好みに合わない値になってしまう。そこで、そのことにユーザが気付いた際に、入力Brightnessの入力値を出力Brightnessに適用させることによって、他の入力端子IN2と出力端子OUT3との組合せが選択された際にも、ユーザの好みに合った処理Brightnessで画像データを出力することができる。
【0047】
[出力Brightnessの設定処理]
図10は、システム制御部23による出力Brightnessの設定処理を示すフローチャートである。システム制御部23は、ユーザ操作に応じて、出力Brightnessを設定する出力端子を選択する(S11)。例えば、出力端子OUT1が選択された場合、図7(a)に示す設定画面が表示される。最初、図5に示すように出力端子OUT1の出力Brightnessが「20」であり、入力値が入力される前には、図7(a)のように現在の出力Brightness「20」が二本線で表されている。
【0048】
ここで、図5の出力画質調整値テーブルについて詳述する。出力画質調整値テーブルには、出力力端子OUT1〜OUT4に対応付けて、出力Brightnessと、入力値と、フラグとが登録される。出力Brightnessは、その出力端子に設定されている出力Brightnessである。入力値は、ユーザ操作によって入力された出力Brightnessの変更値であり、未だ出力Brightnessへの変更が反映されていない値である。入力値が入力されている状態ではフラグが1にセットされ、入力値が入力されていない状態ではフラグが0にリセットされている。図5の出力端子OUT1については、出力Brightnessが20であり、入力値が10である。なお、入力値を出力Brightnessに加算した変更後の出力Brightnessに調整された画像データが出力端子から出力される。
【0049】
図10のように、システム制御部23は、ユーザ操作によって入力値が入力されたか否かを判断する(S12)。図7(a)の状態から二本線のカーソルが右方向(増加方向)に操作されて入力値が入力される(例えば入力値「10」が入力される)(S12でYES)と、図7(a)のように出力Brightness「20」が一本線で表され、出力Brightnessに入力値を加算した後の値「30」が二本線のカーソルで表される。システム制御部23は、図5において、出力端子OUT1の入力値に、入力された入力値「10」を登録し、フラグを1にセットする(S13)。このとき、画像処理部24は出力Brightnessに入力値を加算した値「30」に画像データを調整し、出力端子OUT1から画像データを出力している。なお、以下で説明する「適用」ボタンが操作されるまで(S14でNO)は、ユーザ操作によって入力値を適宜変更することが可能である。
【0050】
システム制御部23は「適用」ボタンが操作されたか否かを判断している(S14)。「適用」ボタンが操作されなければ(S14でNO)、S12に戻る。「適用」ボタンが操作されると(S14でYES)、システム制御部23は、出力Brightness「20」に入力値「10」を加算した値「30」を新たな出力Brightnessに決定する(S15)。従って、システム制御部23は、図5において、出力端子OUT1に対する出力Brightnessを「30」に変更し、入力値を「0」に変更し、フラグを0にリセットする(S15,S16)。このとき、図7(c)のように、新たな出力Brightnessが二本線で表示されている。その後、S12に戻り、新たに入力値が入力されたか否かを再び判断する。
【0051】
従って、ユーザ操作によって出力端子OUT1と入力端子IN1とが選択された場合に、入力Brightness「10」と出力Brightness「30」とが加算され、処理Brightnessは40になる。
【0052】
[全入力端子に対する入力値を、対応する出力端子に適用する処理]
本例では、図4において同一の出力端子が対応付けられている複数の入力端子にそれぞれ入力値が入力され、「適用」ボタンが未操作の状況では、各入力端子の入力Brightnessに入力値を適用するよりも、各入力値のうち共通する値(共通入力値)を出力端子の出力Brightnessに適用する方がよい。各入力値のうち共通入力値については、出力端子の出力Brightnessに問題があると考えられるからである。
【0053】
図11は、本例の動作を示すフローチャートである。システム制御部23は、図12の設定画面において、「全入力の入力値を出力へ適用」ボタンが操作されたか否かを判断する(S31)。「全入力の入力値を出力へ適用」ボタンが操作された場合(S31でYES)、システム制御部23は、図4の入力画質調整値テーブルにおいて、フラグが1にセットされている(すなわち、入力値が入力されている)入力端子のみを抽出する(S32)。図4では、入力端子IN1,IN3,IN4が抽出される。
【0054】
続いて、システム制御部23は、対応付けられている出力端子毎に、抽出した入力端子をグループ化する(S33)。図4では、出力端子OUT2が対応付けられている入力端子IN4のグループ(図13)と、出力端子OUT3が対応付けられている入力端子IN1,IN3のグループ(図14)とに区分される。
【0055】
続いて、システム制御部23は、各グループのうち1つのグループを選択する(S34)。ここでは、出力端子OUT2が対応付けられている入力端子IN4のグループを選択する。そして、選択されたグループに含まれる入力端子の入力値の中で最小の入力値(但し、例えば正の値に限る)を共通入力値と決定する(S35)。この場合は、入力端子IN4のみであるので入力値「4」がそのまま共通入力値となる。
【0056】
続いて、システム制御部23は、出力端子OUT2の出力Brightnessに共通入力値「4」を加算して新たな出力Brightnessを算出する(S36)。この場合、図5の出力画質調整値テーブルから、図17に示すように出力端子OUT2の出力Brightnessを「5」から「9」に変更する。次に、システム制御部23は、グループ内の入力端子の入力値から共通入力値を減算する(S37)。この場合、図15のように、入力端子IN4の入力値を「4」から「0」に変更する。なお、入力値が「0」になった場合にはフラグを0にリセットしてもよい。
【0057】
次に、システム制御部23は、全ての出力端子のグループについて上記の処理を実行したか否かを判断し(S38)、全てのグループについて処理を完了していなければ(S38でNO)、S34に戻る。この場合、出力端子OUT3のグループについて処理するためにS34に戻る。
【0058】
システム制御部23は、出力端子OUT3が対応付けられている入力端子IN1,IN3のグループを選択する(S34)。そして、選択されたグループに含まれる入力端子の入力値の中で最小の入力値「5」を共通入力値と決定する(S35)。続いて、システム制御部23は、出力端子OUT3の出力Brightnessに共通入力値「5」を加算して新たな出力Brightnessを算出する(S36)。この場合、図5の出力調整テーブルから、図17に示すように、出力端子OUT3の出力Brightnessを「13」から「18」に変更する。次に、システム制御部23は、グループ内の入力端子の入力値から共通入力値を減算する(S37)。この場合、図16のように、入力端子IN1の入力値を「13」から「8」に変更し、入力端子IN3の入力値を「5」から「0」に変更する。その後、S38でYESと判断され、処理を終了する。
【0059】
以上のように、入力端子の入力値のうち共通入力値については、対応する出力端子の出力Brightnessに加算することによって、複数の入力端子の入力Brightnessを重複した値、変更することを防止することができる。
【0060】
なお、共通入力値の算出方法としてはグループ内の最小の入力値を共通入力値とする方法に限定されず、グループ内の入力端子の全入力値の平均値を共通入力値とすることもできる。この場合、入力端子IN4のグループについて共通入力値は「4」となり、入力端子IN1,IN3のグループについて共通入力値は「9」となる。その結果、図5において、出力端子OUT3の出力Brightnessは「13」から「22」に変更され、図14において入力端子IN1の入力値は「13」から「4」に、入力端子IN3の入力値は「5」から「−4」に変更される。また、入力値と入力Brightnessとの合計の最小入力値または平均値を共通入力値としてもよい。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。画像送信装置は、DVDプレーヤに限らずBDレコーダ、セットトップボックス、ゲーム機等であってもよい。同様に、画像受信装置は、プロジェクタ等であってもよい。AVアンプの上記動作をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。また、AVアンプの上記動作の一部のみのプログラムを、AVアンプにファームウェアアップデートという形態で提供されてもよい。さらには、AVアンプの上記動作の一部のみのプログラムが格納されたCPU、マイコンなどの電子部品という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、AVアンプ等に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるAVアンプを示すブロック図である。
【図2】画質調整値の一例を示す図である。
【図3】セレクタテーブルを示す図である。
【図4】入力画質調整値テーブルを示す図である。
【図5】出力画質調整値テーブルを示す図である。
【図6】入力画質調整値の設定画面を示す図である。
【図7】出力画質調整値の設定画面を示す図である。
【図8】処理画質調整値を算出する処理を示すフローチャートである。
【図9】入力画質調整値の設定処理を示すフローチャートである。
【図10】出力画質調整値の設定処理を示すフローチャートである。
【図11】全入力端子の入力値を出力画質調整値に適用する処理を示すフローチャートである。
【図12】全入力端子の入力値を出力画質調整値に適用する設定画面を示す図である。
【図13】全入力端子の入力値を出力画質調整値に適用する際のメモリ上のデータを示す図である。
【図14】全入力端子の入力値を出力画質調整値に適用する際のメモリ上のデータを示す図である。
【図15】全入力端子の入力値を出力画質調整値に適用する際のメモリ上のデータを示す図である。
【図16】全入力端子の入力値を出力画質調整値に適用する際のメモリ上のデータを示す図である。
【図17】全入力端子の入力値を出力画質調整値に適用する際の出力画質調整値テーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10 DVDプレーヤ
20 AVアンプ
21 HDMI受信部
22 HDMI送信部
23 システム制御部
24 画像処理部
IN1〜IN4 入力端子
OUT1〜OUT4 出力端子
30 ディスプレイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを送信する複数の画像送信装置が接続可能な複数の入力端子と、
画像データを受信する複数の画像受信装置が接続可能な複数の出力端子と、
前記複数の入力端子のいずれかから入力される画像データを、後記処理画質調整値に調整して、前記複数の出力端子のいずれかから出力する画像処理手段と、
前記複数の入力端子の各々に対して入力画質調整値をユーザ操作に応じて設定する入力設定手段と、
前記複数の出力端子の各々に対して出力画質調整値をユーザ操作に応じて設定する出力設定手段と、
画像データが入力されるべき1つの前記入力端子と、画像データを出力すべき1つの前記出力端子とを選択する選択手段と、
選択されている前記入力端子に設定されている前記入力画質調整値と、選択されている前記出力端子に設定されている前記出力画質調整値とを加算して、処理画質調整値を算出する画質調整値算出手段とを備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記入力端子毎に、前記入力画質調整値の変更値である入力値をユーザ操作に応じて入力する入力手段と、
ユーザ操作に応じて、前記入力値を適用する旨の指示が入力された場合に、前記入力値を前記入力画質調整値に加算して新たな入力画質調整値を設定する設定手段と、
各入力端子に対して、前記入力画質調整値の設定時に画像データを出力すべき1つの出力端子を対応付ける出力端子設定手段とをさらに備え、
ユーザ操作に応じて前記入力値を出力端子に適用する旨の指示が入力された場合に、前記設定手段が、前記出力端子設定手段によって前記入力端子に対応付けられている前記出力端子の前記出力画質調整値に前記入力値を加算して、新たな出力画質調整値を設定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記入力端子毎に、前記入力画質調整値の変更値である入力値をユーザ操作に応じて入力する入力手段と、
ユーザ操作に応じて、前記入力値を適用する旨の指示が入力された場合に、前記入力値を前記入力画質調整値に加算して新たな入力画質調整値を設定する設定手段と、
各入力端子に対して、前記入力画質調整値の設定時に画像データを出力すべき1つの出力端子を対応付ける出力端子設定手段とをさらに備え、
ユーザ操作に応じて全ての入力端子に関する前記入力値を出力端子に適用する旨の指示が入力された場合に、前記設定手段が、前記出力端子設定手段によって共通の出力端子が対応付けられている各入力端子の前記入力値に基づいて共通入力値を決定し、前記共通入力値を前記出力端子の前記出力画質調整値に加算して、新たな出力画質調整値を設定する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記設定手段が、前記出力端子設定手段によって共通の出力端子が対応付けられている各入力端子の前記入力値のうち最小の入力値を前記共通入力値に決定する、又は、前記入力値の平均値を前記共通入力値に決定する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データを送信する複数の画像送信装置が接続可能な複数の入力端子と、画像データを受信する複数の画像受信装置が接続可能な複数の出力端子とを備える画像処理装置の動作プログラムであって、
前記複数の入力端子のいずれかから入力される画像データを、後記処理画質調整値に調整して、前記複数の出力端子のいずれかから出力するステップと
前記複数の入力端子の各々に対して入力画質調整値をユーザ操作に応じて設定するステップと、
前記複数の出力端子の各々に対して出力画質調整値をユーザ操作に応じて設定するステップと、
画像データが入力されるべき1つの前記入力端子と、画像データを出力すべき1つの前記出力端子とを選択するステップと、
選択されている前記入力端子に設定されている入力画質調整値と、選択されている前記出力端子に設定されている出力画質調整値とを加算して、処理画質調整値を算出するステップとをコンピュータに実行させる、画像処理装置の動作プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−14905(P2010−14905A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173928(P2008−173928)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】