画像処理装置およびプログラム
【課題】災害発生時の情報収集に用いられる画像処理装置において、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定する。
【解決手段】災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する災害認識部と、災害認識部により取得された災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成する登録フォーム生成部51と、登録フォーム生成部51により生成された情報登録用フォームを出力する画像形成部とを備える。より好ましくは、情報登録用フォームの型を保持するテンプレートDB61をさらに備え、登録フォーム生成部51は、災害認識部により取得された災害情報に基づいてテンプレートDB61に保持されている情報登録用フォームの型を選択して読み出し、災害情報に基づいて情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加することにより情報登録用フォームを生成する。
【解決手段】災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する災害認識部と、災害認識部により取得された災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成する登録フォーム生成部51と、登録フォーム生成部51により生成された情報登録用フォームを出力する画像形成部とを備える。より好ましくは、情報登録用フォームの型を保持するテンプレートDB61をさらに備え、登録フォーム生成部51は、災害認識部により取得された災害情報に基づいてテンプレートDB61に保持されている情報登録用フォームの型を選択して読み出し、災害情報に基づいて情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加することにより情報登録用フォームを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害に対する危機管理の必要性が強く叫ばれている。特に地震や風水害、火山災害等の大規模災害では、災害発生地域の居住者等の安否をいち早く確認することが重要であり、これを支援するサービスやシステムが提案され、提供されている。
【0003】
この種の従来技術としては、例えば、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)および西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が提供するサービス「災害用伝言ダイヤル」(例えば、非特許文献1、2参照)がある。
また、公報記載の従来技術として、例えば、中央遠隔制御装置と遠隔制御装置とを備え、地区遠隔制御装置は防災情報を通報し、かつ防災情報の通話音声を録音し、必要に応じて自動的にリダイヤルして録音された内容を通報可能とした技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに他の公報記載の従来技術として、センター装置は、発信規制中のエリア内の端末の所有者の安否確認を行って、結果及び位置情報を記憶し、外部からの安否の問い合わせに対し、発信規制エリアとはかかわりのない安否確認代理返答部が、記憶されている安否情報を代理的に返答するシステムがある(例えば、特許文献2参照)。また、このシステムは、各端末の安否情報から危険度を判断し、危険度に応じて定められた連絡先(救急センター、消防隊等)に端末の位置情報と共に連絡する。
【0005】
【非特許文献1】“災害への取組み”、[online]、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、[平成18年9月8日検索]、インターネット<URL : http://www.ntt-east.co.jp/saigai/>
【非特許文献2】“災害用伝言ダイヤル インターネット情報”、[online]、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)、[平成18年9月8日検索]、インターネット<URL : http://www.ntt-west.co.jp/dengon/>
【特許文献1】特開2005−5884号公報
【特許文献2】特開2005−217622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
災害には地震、火災、風水害、土砂災害など様々なものがあり、そのような災害の種類によって適切な避難場所や対処方法が異なる場合がある。また、災害の規模や災害発生からの経過時間、被災地からの距離といった各種の状況によっても、とるべき対応が変わる場合も考えられる。
本発明は、このような課題に鑑み、災害発生時の情報収集に用いられる画像処理装置において、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる技術的課題を解決するために、本発明が適用される画像処理装置は、災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成するフォーム生成手段と、フォーム生成手段により生成された情報登録用フォームを出力する出力手段とを備える。
より好ましくは、この装置は、情報登録用フォームの型を保持する保持手段をさらに備える構成とする。そして、フォーム生成手段は、取得手段により取得された災害情報に基づいて保持手段に保持されている情報登録用フォームの型を選択して読み出し、災害情報に基づいて情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加することにより情報登録用フォームを生成する。
【0008】
また、より詳細には、フォーム生成手段は、取得手段により取得された災害情報に基づいて、情報登録用フォームの項目に対して入力すべき情報の選択肢を付加する。
また、フォーム生成手段は、取得手段により取得された災害情報に基づいて認識される災害の種類に応じて、情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ災害の種類に応じた付加情報を付加する。
さらに、フォーム生成手段は、取得手段により取得された災害情報に基づいて認識される災害発生からの経過時間に応じて、情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ災害発生からの経過時間に応じた付加情報を付加する。
【0009】
また、上記の画像処理装置は、出力手段により出力された情報登録用フォームに項目に対する情報が記入された記入済み登録用画像を読み取る読み取り手段と、読み取り手段により読み取られた記入済み登録用画像から項目に対する情報を抽出し認識する情報認識手段と、情報認識手段により認識された情報を登録サーバに送信する送信手段とをさらに備える構成としても良い。
【0010】
また、上記の目的を達成する他の本発明は、コンピュータを、災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成するフォーム生成手段として機能させるプログラムとしても実現される。
【0011】
より詳細には、このプログラムは、フォーム生成手段の機能として、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームの型を保持する保持手段から、災害情報に基づいて情報登録用フォームの型を選択して読み出し、災害情報に基づいて情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加する処理をコンピュータに実行させる。
また、このプログラムは、フォーム生成手段の機能として、災害情報に基づいて、情報登録用フォームの項目に対して入力すべき情報の選択肢を付加する処理をコンピュータに実行させる。
また、このプログラムは、フォーム生成手段の機能として、災害情報に基づいて認識される災害の種類に応じて、情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ災害の種類に応じた付加情報を付加する処理をコンピュータに実行させる。
また、このプログラムは、フォーム生成手段の機能として、災害情報に基づいて認識される災害発生からの経過時間に応じて、情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ災害発生からの経過時間に応じた付加情報を付加する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、災害に関する情報を収集するための情報登録用フォームを生成する場合に、災害情報に応じて登録項目を設定することにより、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項2に係る発明によれば、災害情報に応じて型を選択し、情報を付加する(埋め込む)ことで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項3に係る発明によれば、災害情報に応じて選択肢を付加して記入者の労力を軽減できる。
請求項4に係る発明によれば、特に災害の種類に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項5に係る発明によれば、特に災害発生からの経過時間に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項6に係る発明によれば、災害情報に応じて項目が設定された情報登録用フォームを出力し、災害に関する情報を収集して登録サーバに集約することができる。
請求項7に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、災害に関する情報を収集するための情報登録用フォームを生成する場合に、災害情報に応じて登録項目を設定することにより、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項8に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、災害情報に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項9に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、災害情報に応じて選択肢を付加して記入者の労力を軽減できる。
請求項10に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、特に災害の種類に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項11に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、特に災害発生からの経過時間に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態が適用される画像処理装置10の構成例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、画像処理装置10は、プリンタやファクシミリ、複写機などとして機能する画像形成装置と一体となった組み込みコンピュータや、画像形成装置に外部接続されるパーソナルコンピュータ、またはスキャナなどとして機能する画像入力装置と一体となった組み込みコンピュータや、画像入力装置に外部接続されるパーソナルコンピュータ等によって実現される。この画像処理装置10は、例えば、小さなスペースにて多数の品種を扱う形態の小売店である所謂コンビニエンスストアなどに設置される。この所謂コンビニエンスストアなどに設置される画像処理装置10は、通常の動作時には、例えばプリンタやファクシミリ、複写機、スキャナとして、また、デジタルカメラで撮影した写真をプリントアウトする装置、キオスク端末(無人情報端末)等として利用される場合がある。
【0014】
また、この画像処理装置10は、ネットワークを介して画像処理装置10を集中管理する管理装置である集中管理サーバ(図示せず)から各種情報を取得する等、外部機器との通信を実行する外部IF(インタフェース)11を備えている。外部IF11は、例えばLAN(Local Area Network)やインターネットを介してサーバと接続する。接続には、専用線やVPN(バーチャルプライベートネットワーク)等を利用する。また、画像処理装置10は、災害情報(災害に関する情報)を認識する災害認識部12と、この災害認識部12から出力される災害影響度などの情報を用いて診断を行う診断実行部13とを備えている。また、診断実行部13から出力される診断結果から使用するモード候補を決定して切り替えるモード切り替え部14を備えている。
【0015】
また、画像処理装置10は、ユーザ(操作者)に対する情報提示を行う提示部と、例えばマウスおよびタッチパネルなどの位置指示装置またはキーボードなどの入力装置で構成されてユーザの操作を受け付ける受け付け部と、この受け付け部により受け付けた操作に基づき画像処理に関する指示を特定する指示特定部を備えたユーザインタフェース部(UI部)15を備えている。このUI部15は、各種ユーザインタフェース情報が記憶されているUI情報記憶部(図示せず)から所定のUI情報を読み出して展開している。
【0016】
このUI部15が備える提示部は、例えばディスプレイなどの表示機能を用いて、画像処理装置10を利用するユーザ(利用者、作業者、オペレータ等、また小売店の店員等をも含む)に対して、所定の情報を視覚提示する。ディスプレイは必要に応じてVFD(蛍光表示管)や各種解像度の液晶ディスプレイなどで実現される。また視覚提示する他に、例えばスピーカなどの音声発生器を用いた音声での提示、ランプなどを用いた光の点滅による提示、バイブレータなどの振動を発する素子を用いた振動による提示でも良い。
受け付け部は、例えばディスプレイに表示されたボタン等の仮想的なスイッチ類に対する操作を検出するディスプレイに設けられたセンサや、ハードウェアのスイッチなどで実現され、画像処理装置10を利用するユーザから操作を受け付ける。また受け付け部は、音声入力を行うマイクなどを用いて音声による操作を受け付けるようにしてもよい。
指示特定部は、例えばメモリ上に保持されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現され、受け付けた操作から画像処理に関する指示を特定する。
【0017】
このような機能を有するUI部15は、画像処理装置10自体に設ける他、例えば携帯電話やPDA(パーソナルデジタルアシスタンス)、電子手帳、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置を有線または無線で接続して用いるよう構成しても良い。また、場合によっては、各種入力機能を用いて災害情報などのユーザからの情報入力を受け付ける。
【0018】
さらに、図1に示す画像処理装置10は、画像処理装置10の全体を制御する装置制御部16を備えている。また、画像処理に携わる各種機能として、例えば、処理すべき画像データを取得する画像取得部17と、取得された画像データを処理する画像処理部18と、処理された画像データを出力する画像形成部19とを備えている。ここで、この画像取得部17は、用紙等の媒体に描画された画像を光学的に読み取るスキャナを含む構成としても良いし、外部機器として設けられたスキャナから外部IF11を介して画像を取得するように構成しても良い。また、電話回線やLANを介して接続された外部機器(パーソナルコンピュータ等)から画像データを受信しても良い。また、画像形成部19は、例えば電子写真方式によってトナー像を用紙等の媒体上に形成する画像形成方式や、インクを用紙等の媒体に吐出して像を形成するインクジェット方式などを採用した画像形成装置を含むよう構成しても良い。なお、画像形成部19としては、実際に媒体上に画像を形成するところまでは実行せず、外部IF11を介して接続された画像形成装置に対して画像データを出力するまでの構成としても良い。
【0019】
図2は、図1に示す災害認識部12、診断実行部13およびモード切り替え部14の各種機能を詳述するためのブロック図である。これらの機能ブロックを含んで情報処理装置として実現される場合がある。
災害認識部12は、災害情報を取得する災害情報取得部21と災害影響度を出力する災害判定部22とを含んで構成される。
災害情報取得部21では、例えば集中管理サーバからネットワーク経由で配信される情報によって災害に関する情報を取得する。また、例えば、災害発生時に公共放送などを通じて配信される緊急警報放送、災害時にユーザによって操作される災害発生ボタンからの情報、地震の揺れを検知する地震センサ、浸水を検知するセンサなどの自らまたは直接接続されるセンサから得られる情報などから、災害に関する情報を取得する場合もある。ここでの災害の種類とは、地震、風水害、火災、火山、停電情報などである。
【0020】
災害判定部22では、災害情報取得部21からの情報から、次の診断の動作と災害発生モードへ移行するための判定を行う。この判定としては、災害の種類、発生時刻等の災害情報の記録と、画像処理装置10への災害の影響度を使って、この影響度が、あらかじめ設定した閾値を超えたか否かを判定する。閾値は、画像処理装置10毎に予め設定し、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリに記憶しておく。例えば影響度があまりにも低い場合にモードを切り替えることは過剰の反応として好ましいものではない。災害発生時の緊急性や、機能の維持継続性などを考慮してこの閾値が決定されることが好ましい。この判定の結果に基づき、診断実行部13やモード切り替え部14では、次の診断の動作と災害発生モードへの移行処理が実行される。
【0021】
ここでの災害の影響度は、
(i)集中管理サーバやユーザから影響度が入力される場合、
(ii)地震・浸水等のセンサの入力値から算出される場合、
(iii)画像処理装置10自身が算出する場合、
がある。特に、上記(iii)の場合は、警戒放送など広域的な情報から、災害の規模と、災害発生現場からの概略の(おおよその)距離から影響度を算出する。つまり、災害の規模は小規模であっても、発生現場からの距離が近ければ画像処理装置10への影響度は大きく、大規模災害であっても距離が遠ければ影響度は小さい。そこで、以下の式に示すように、災害の影響度に距離の要素を加味している。
災害の影響度=災害種類係数×災害規模×1/距離(or1/距離の二乗)…(1)式
例えば、災害種類係数は1〜5、災害規模は1〜7、距離は1〜5等が、図3に示すような予め定められメモリに記憶された情報に基づいて設定される。
また、災害判定部22では、複数の入力から災害情報があった場合には、災害の影響度が大きいものを優先している。
【0022】
図3は、災害判定部22にて災害影響度を算出するために用いられる災害別情報テーブルの例を示した図である。
この災害別情報テーブルは、画像処理装置10の後述するハードディスクドライブ(HDD)等のメモリに記憶される情報であり、処理プログラムを実行するCPUにて読み出され、このCPUの作業のために、例えば作業用のメモリであるRAM(Random Access Memory)に一時的に記憶される。この災害別情報テーブルは、図3に示すように、災害種別ごとに、災害種類係数と、災害規模、距離の値を決定する際に用いる情報が記憶されている。図3に示す例では、災害種別としては、地震災害、風水害災害、火山災害、原子力災害、雪害災害、事故災害、および、その他災害がある。また図3では、地震災害が選定されている。
【0023】
この図3に示す一例では、地震災害の評価項目として、災害種類係数が“5”に設定されている。また、震源地のマグニチュードまたは自装置の震度によって、災害規模が“1” “3” “7”に設定される。さらに、自装置から震源地までの距離について、距離が“5” “3” “1”に設定される。災害判定部22では、災害情報取得部21にて取得された災害情報をもとに、図3に示すようなテーブル情報から各々の値を取得し、上記した(1)式に数値を代入して災害影響度を算出する。
【0024】
このように、災害認識部12では、取得した災害情報から災害を認識する処理が実行されるが、この災害認識部12にて実行される災害認識としては、他の態様もある。例えば、画像処理装置10の電源投入時、最終電源オフ動作が正常に行われたかどうかを判断し、正常終了でないと判断された場合に、電源オフ原因を入力するUI画面をUI部15を介して表示させる。そして、このUI画面に対するユーザ入力をUI部15を介して災害情報取得部21にて認識し、災害であった場合には、災害情報も入力させるようにUI画面を介してユーザに促す。ここで、正常終了ではない電源オフ動作としては、(i)停電、(ii)災害情報受信による電源オフ、(iii)災害検知(例えば揺れ検知)による電源オフがある。
なお、電源投入時に必ず災害発生からの復帰かどうかを確認するUI画面をUI部15にて表示し、ユーザからの入力によって災害情報を取得する方法もある。
【0025】
次に、診断実行部13について説明する。図2に示すように、診断実行部13は、災害認識部12からの災害影響度の情報を用いて行うべき診断を決定する診断シーケンス決定部31と、画像処理装置10本体の診断を行う自己診断部32とを備えている。また、インターネット回線や電話回線などの外部通信ネットワークの診断を行うネットワーク診断部33と、ネットワークおよび画像処理装置10の診断結果をメモリに記録する診断結果記録部34とを備えている。なお、この診断結果記録部34は、モード切り替え部14に設けるよう構成しても良い。
【0026】
この診断実行部13では、通常、画像処理装置10の電源投入時に本体の診断が行われる。本実施形態では、これに加え、災害認識部12で判定された災害影響度の情報をもとに、診断内容を変更している。
すなわち、診断シーケンス決定部31には複数の診断シーケンス(予め定められた診断のための動作の順序)が用意されており、災害の種類、災害発生場所からの距離、災害の影響度に応じてシーケンスを決定する。例えば、水害の場合、全ての用紙トレイに対して、紙送りが可能かどうかの診断を行う。また例えば、大規模停電が発生している場合、供給電源の安定性の確認と、外部サーバとの通信が可能かどうかネットワークの診断を適時行う。このように、例えば診断の適正化および/または診断の迅速化などをより良好に実現するために、取得された災害に関する情報に応じて自己診断とネットワーク環境の診断とを実行している。即ち、例えば診断箇所のピックアップや、診断箇所の重点化、通常モード時の診断では行わない特有な箇所の診断など、災害に関する情報に対応させた診断実行を実現している。
【0027】
自己診断部32では、画像処理装置10が有する、画像取得部17、画像処理部18、画像形成部19などのそれぞれのサブシステムに対する診断を行う。例えば画像取得部17は、照明系、結像光学系、光電変換素子、自動原稿送り部等のサブシステムを有しており、これらについての診断が行われる。また画像処理部18は、HDDなどのサブシステムを有しており、これらについての診断が行われる。さらに画像形成部19に対しては、帯電部、露光部、現像部(カラー画像を形成する装置の場合には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック))、転写部、定着部、紙送り部(用紙トレイ)などのサブシステムについて診断が行われる。
【0028】
次に、ネットワーク診断部33は、外部ネットワークとの通信の診断を行う。具体的には、インターネット回線(LAN)や電話回線など画像処理装置10に接続されている通信回線の状態を、集中管理サーバとの通信が可能か、周辺の画像処理装置との通信が可能かどうか等を、試験(テスト)して調べる。診断結果記録部34では、自己診断部32とネットワーク診断部33による診断結果を所定のメモリに記録し、モード切り替え部14に出力する。
【0029】
次に、モード切り替え部14について説明する。図2に示すように、モード切り替え部14は、診断実行部13および災害認識部12からの出力結果から使用するモード候補を決定するモード決定部41と、通常モードへの復帰の判断を行う通常モード復帰判断部42とを備えている。モード決定部41に決定される動作モードは、災害発生モードとして、(i)セーフティモード、(ii)機能限定モード、を有する。また、災害が発生していない、通常時の動作モードとして(iii)通常動作モード、を有する。
【0030】
災害発生モードの一つであるセーフティモードは、画像処理装置10のサービスを通常の動作モードよりも長く継続するための動作モードである。具体的な動作としては、情報保護のためのHDDへの電源供給停止やアクセス禁止、トナー消費量抑制、省エネのためのカラー画像形成の抑制、定着温度を下げる、帯電用の電圧を下げる、液晶バックライト輝度を下げるなどである。また、セーフティモード移行後の、処理ドキュメント数を記録するカウンタは、通常モードとは異なるカウンタによって記録される。
【0031】
災害発生モードの他の一つである機能限定モードは、一部のサブシステムに故障が発生していると診断された場合の動作モードで、一部のエラーで全ての動作を停止することなく、被害を受けていない部分で動作を行うモードである。例えば、画像読み取り部に故障が発生し画像読み取りができない場合でも、プリンタ出力のみに動作を限定することで動作を行う等である。また逆に、用紙搬送系に故障があるが画像読取り部および通信部が正常な場合には、画像読み取り部を用いたファクシミリ送信や、データ通信を行わせるようにしても良い。さらに、外部ネットワークとの通信が不可能な場合に、スタンドアローンの装置として機能させるようにしても良い。
【0032】
さて、本実施形態では、上記のような画像処理装置10が会社や所謂コンビニエンスストアのような店舗に設置されている場合を想定し、この画像処理装置10を用いて会社の社員や店舗の近隣の居住者に関する安否情報等の収集を実現する。その手法としては、安否情報等を記入するための特定のフォーム(書式)が形成された媒体(例えば用紙)を出力し、そのフォームに記入された情報を読み取って所望の情報を収集する。収集された情報は集中管理サーバに送信される。以下、これを実現するための構成について説明する。
【0033】
本実施形態の画像処理装置10は、災害認識部12により災害情報が取得されると、自装置が設置されている場所(会社や店舗)に応じて情報収集のための機能を起動させる。
図4は、本実施形態における災害発生時の装置制御部16の機能を詳述するためのブロック図である。
図4に示す装置制御部16は、情報登録用のフォームを生成する登録フォーム生成部51と、フォームに記入された情報を抽出する記入情報抽出部52と、抽出された情報を集中管理サーバへ送信するための情報送信部53とを備える。
【0034】
さらに装置制御部16は、フォームの生成に用いられるテンプレートデータベース(テンプレートDB)61および埋め込み情報データベース(埋め込み情報DB)62と、生成されたフォームを登録しておくためのフォームデータベース(フォームDB)63と、記入情報抽出部52により抽出された情報を登録しておくための記入情報データベース(記入情報DB)64とを備える。そして、UI部15により受け付けられたユーザ操作の内容を保持するUI操作保持部65および災害認識部12により取得された災害情報を保持する災害情報保持部66を備える。また、災害発生時刻を保持する災害発生時刻保持部67を備える。
【0035】
テンプレートDB61は、ROMや磁気ディスク装置等の不揮発性の記憶手段で実現され、フォームの形式(レイアウト等)を特定する型情報としてのテンプレートを保持する。テンプレートは、災害種別、災害規模、収集対象の情報等に応じて複数種類用意されており、災害認識部12により認識された災害の種別や規模の情報等に基づいて適当なテンプレートが読み出され、使用される。
【0036】
埋め込み情報DB62は、ROMや磁気ディスク装置等の不揮発性の記憶手段で実現され、フォームを生成するためにテンプレートに付加される情報を保持する。具体的には、安否を確認されるべき個人についての情報(例えば氏名等)、画像処理装置10の設置場所、項目別の選択肢、近隣避難所、危険地域、これらの場所の地図(画像)といった登録項目の情報である。
フォームDB63は、ROMや磁気ディスク装置等の不揮発性の記憶手段で実現され、登録フォーム生成部51により生成されたフォームを保持する。このフォームは、記入情報抽出部52がフォームに記入された情報を抽出する際に、記入部分を検出するために使用される。
【0037】
記入情報DB64は、ROMや磁気ディスク装置等の不揮発性の記憶手段で実現され、記入情報抽出部52により抽出された情報を保持する。この情報は、時間経過等による災害状況の変化に応じて更新される場合がある。
【0038】
UI操作保持部65、災害情報保持部66および災害発生時刻保持部67は、RAM等の読み書き自在な記憶手段で実現される。これらの記憶手段に保持された情報は、フォームを生成する際のテンプレートの選択や選択されたテンプレートに埋め込む情報を決定する際に使用される。
【0039】
登録フォーム生成部51は、プログラム制御されたCPUで実現され、安否情報等の登録用のフォームを生成し、画像形成部19に出力させる。本実施形態では、災害の種類や状況に応じて生成するフォームを変更する。フォームを生成する処理の詳細については後述する。
【0040】
記入情報抽出部52は、プログラム制御されたCPUで実現され、外部IF11および画像取得部17を介して入力した記入済みフォームの画像から記入された情報を抽出する。情報抽出処理の詳細については後述する。
【0041】
情報送信部53は、プログラム制御されたCPUで実現され、外部IF11を介して集中管理サーバにアクセスする。そして、記入情報抽出部52により抽出された情報を集中管理サーバへ送信する。
【0042】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図5は、災害の発生が検知され情報を収集する際の動作の全体的な流れを説明するフローチャートである。
図5に示すように、自装置のセンサや集中管理サーバからの通知等により災害の発生が検知され(ステップ501)、災害認識部12により災害情報が取得されると(ステップ502)、画像処理装置10は災害発生モードへ移行する。そして、UI部15の提示部の表示が変更され、情報登録用フォームの出力準備が完了する(ステップ503)。
【0043】
情報登録用フォームの出力指示が入力されると、装置制御部16の登録フォーム生成部51は、情報登録用フォームの生成処理を行い(ステップ504)、出力された情報登録用フォームに基づき、画像形成部19により用紙等の媒体に画像を形成して登録用紙として出力させる(ステップ505)。情報登録用フォームの生成処理の詳細については後述する。ユーザは、この登録用紙に情報を記入し、スキャナ等を用いて登録用紙の画像を入力する(ステップ506)。入力された画像は画像取得部17を介して記入情報抽出部52へ送られる。
【0044】
画像処理装置10の記入情報抽出部52は、入力された登録用紙の画像からユーザによって記入された情報の抽出処理を行い(ステップ507)、抽出した情報の認識処理を行う(ステップ508)。この情報抽出処理の詳細については後述する。
この後、情報送信部53が、記入情報抽出部52により抽出され認識された情報(登録情報)を、外部IF11を介して集中管理サーバへ送信する(ステップ509)。集中管理サーバでは、例えば、各所の画像処理装置10から送られた登録情報をまとめてデータベースに登録し、災害の全体的な被害情報の確認や解析等に供する。
【0045】
図6は、図5のステップ504に示した情報登録用フォームの生成処理の詳細を示すフローチャートである。
この処理で登録フォーム生成部51は、まずユーザによる指定、災害の種類や規模その他の災害状況の情報等に基づいて、フォームの種類を決定するテンプレートを選択する(ステップ601)。また、同じく災害の種類や規模その他の災害状況の情報等に基づいて、このテンプレートに必要な情報を埋め込んでフォームを生成する(ステップ602)。このテンプレートの選択および情報の埋め込みに関しては、行政組織等の上位組織からのリクエストに応じて収集すべき情報を決定することも考えられる。これらの処理の詳細は後述する。
この後、登録フォーム生成部51は、生成したフォームにIDを埋め込み(ステップ603)、フォームDB63に登録する(ステップ604)。
【0046】
図7は、図6のステップ601に示したテンプレートの選択処理の詳細を示すフローチャートである。
登録フォーム生成部51は、まずUI操作保持部65に保存されている操作情報に基づきユーザが指定したフォームの種別を判断する(ステップ701)。また、災害情報保持部66に保存されている災害情報に基づき災害の種別および状況を判断する(ステップ702、703)。具体的には、災害の種別として、例えば震災、風水害、火山災害、土砂災害などの別を判断する。また、災害の状況として、災害規模、被災地からの距離などを判断する。また、行政組織等の上位組織から収集すべき情報に関する指示を受け付けたか否かを判断する(ステップ704)。この指示は、外部IF11を介して受信され、RAM等のメモリに保持されているものとする。この後、登録フォーム生成部51は、これらの判断結果に応じて適切なテンプレートをテンプレートDB61に保存されているテンプレートの中から選択し、読み出して処理を終了する(ステップ705)。
【0047】
図8は、図6のステップ602に示したテンプレートへの情報埋め込み処理の詳細を示すフローチャートである。
登録フォーム生成部51は、まずステップ601(詳細は図7)でテンプレートを読み出した後、選択したテンプレートに時間関連項目が有るか否かを調べる(ステップ801)。時間関連項目とは、災害発生からの経過時間や処理の実行時刻に応じて内容が変更されるべき項目である。例えば、震災時の避難所は、災害発生直後に開設される避難所と、その後に高齢者や障害者等介護を必要とする被災者のために開設される二次避難所がある。そこで、震災発生直後には通常の避難所のみを情報登録用フォームに提示し、一定時間が経過した後には二次避難所も提示するというように、提示情報を変更することが考えられる。また、必要物資を登録するための情報登録用フォームを生成する場合、処理の実行時刻が午前中であれば、必要物資として食料品を優先し、処理の実行時刻が夕方から夜間の場合は、必要物資として毛布等の夜具や防寒具を優先するというように、提示情報を変更することが考えられる。そこで、選択したテンプレートに時間関連項目が有る場合は、災害発生時刻保持部67および画像処理装置10に内蔵される時計を参照して時間条件を取得する(ステップ802)。処理の実行時刻は画像処理装置10に内蔵される時計から直接得られ、災害発生からの経過時間は災害発生時刻保持部67に保持されている災害発生時刻と処理の実行時刻とを比較することによって得られる。
【0048】
次に登録フォーム生成部51は、行政組織や会社等の上位組織から特別の指示を受け付けていないかを判断する(ステップ803)。上述したようにこの指示は、外部IF11を介して受信され、RAM等のメモリに保持されている。上位組織からの指示があった場合には、その指示に基づいて必要な埋め込み情報の項目条件を取得する(ステップ804)。それ以外は、選択されたテンプレートにおいて設定されている項目が埋め込み情報の項目となる。
【0049】
以上のようにして埋め込み情報の項目および関連する条件が決定したならば、次に登録フォーム生成部51は、決定された項目および条件にしたがって埋め込み情報DB62から必要な情報を読み出し(ステップ805)、図6のステップ601(詳細は図7)で読み出されたテンプレートの該当箇所に埋め込んで処理を終了する(ステップ806)。
【0050】
以上説明したように、災害認識部12は災害情報を取得する取得手段として機能し、登録フォーム生成部51はフォーム生成手段として機能する。また画像形成部19は出力手段として機能し、テンプレートDB61は情報登録用フォームの型(テンプレート)を保持する保持手段として機能する。さらにまた、記入情報抽出部52は情報認識手段として機能し、画像取得部17が読み取り手段として機能し、情報送信部53が送信手段として機能する。
【0051】
図9、10は、上述した情報登録用フォームの生成処理(図6〜8)により生成される情報登録用フォームの構成例を示す図である。
図9は、震災時の情報登録用フォームの例であり、図10は水害時の情報登録用フォームの例である。図9、10に示す情報登録用フォームは、安否情報の登録用のフォームである。図示の例では、「1.名前」「2.住所」「3.安否」「4.自宅の被害」「5.ライフライン被害」「6.現在の居所」の各項目と、自由にメッセージを記入する「7.自由記入欄」とが設けられている。
【0052】
図9および図10を比較すると、図9の情報登録用フォームには、地震によって火災が発生する可能性があることから、「3.安否」の項目に「火傷」の選択肢が埋め込まれている。また、「4.自宅の被害」には、地震の被害として予想される「全壊」「半壊」「全焼」「半焼」「塀倒壊・外壁落下」といった選択肢が埋め込まれている。一方、図10の情報登録用フォームには、火災が発生する可能性は極めて少ないことから、「3.安否」の項目に「火傷」の選択肢は存在しない。また、「4.自宅の被害」には、水害の被害として予想される「全壊」「床上浸水」「床下浸水」「雨漏り」といった選択肢が埋め込まれている。
【0053】
本実施形態では、図9および図10に示した例(安否登録用フォーム)の他、テンプレートと埋め込み情報を適宜選択して組み合わせることにより、種々の情報登録用フォームが生成される。そして、災害の種類や状況の情報に基づいて推定される情報が各項目に適宜埋め込まれる。
【0054】
図11、12は、情報登録用フォームの他の構成例を示す図である。
図11は、震災時の情報登録用フォームの例であり、図12は水害時の情報登録用フォームの例である。図11、12に示す情報登録用フォームは、被害情報の登録用のフォームである。図示の例では、「1.記入者の名前」「2.住所」「3.被害の種類」「4.被害の場所」の各項目と「5.自由記入欄」とが設けられている。また、「4.被害の場所」には、埋込み情報DB62に記憶してある画像処理装置10の設置場所を含む地図が提示されている。
【0055】
図11および図12を比較すると、図11の情報登録用フォームにおける「3.被害の種類」には、地震の被害として予想される「火災」「崖崩れ」「地割れ」「津波」「道路寸断」「建物倒壊」といった選択肢が埋め込まれている。一方、図12の情報登録用フォームにおける「3.被害の種類」には、水害の被害として予想される「堤防決壊」「崖崩れ」「冠水」「道路寸断」「橋梁流出」といった選択肢が埋め込まれている。
【0056】
図13は、必要物資登録用フォームの例である。図示の例では、「1.物資の種類」「2.必要な物資の量」「3.物資を必要としている場所」の各項目と「4.自由記入欄」とが設けられている。このうち「1.物資の種類」には、災害発生からの経過時間や現在時刻に基づき特定された選択肢が埋め込まれている。
【0057】
以上のように、本実施形態では、テンプレートと埋め込み情報が組み合わされ、また災害の種類や状況(災害の規模、災害発生からの経過時間、被災地からの距離など)の情報に基づいて推定される情報が適宜埋め込まれることにより、種々の情報登録用フォームが生成される。これらの情報登録用フォームには、特定の場所(図示の例では右上)に個々の情報登録用フォームあるいは情報登録用フォームを印刷した登録用紙を識別するための識別コード(ID)が埋め込まれている。識別コードは、どのような手法で埋め込んでも良い。例えばバーコードやQRコードのような任意のコード画像を用いて良い。
【0058】
図14は、図5のステップ507に示した記入情報の抽出処理の詳細を説明するフローチャートである。
この処理で記入情報抽出部52は、まず登録用紙の読み取り画像から特定の場所に埋め込まれている識別情報を検出し(ステップ1401)、当該識別用紙のフォームを特定する(ステップ1402)。次に、特定されたフォームをフォームDB63から読み出して読み取り画像と対比し、ユーザにより書き込まれた記入情報を抽出する(ステップ1403)。具体的には、安否情報等の項目において印が付けられた選択肢や必要物資の数量等が抽出される。この後、記入情報抽出部52は、抽出された記入情報を記入情報DB64に登録し保存する(ステップ1404)。
次のステップ508では、抽出された記入情報を使って、印の位置から選択された項目を特定したり、名前や住所、数量の数字などを文字認識したりする等の処理が行われる。
以上説明したように、記入情報抽出部52は受け付け手段または記入情報抽出手段として機能する。
【0059】
最後に、画像処理装置10の、コンピュータとして機能する部分についてのハードウェア構成について説明する。
図15は、例えば画像処理装置10のコンピュータとして機能する部分におけるハードウェア構成を示した図である。図15に示すコンピュータは、演算手段であるCPU201と、マザーボード(M/B)チップセット202と、システムバスを介してCPU201に接続されたメインメモリ203とを備えている。また、M/Bチップセット202を介してディスプレイインタフェース204とディスプレイ210とがCPU201に接続されている。また、例えば入出力バスを介してM/Bチップセット202に接続されたハードディスク装置(HDD)205、ネットワークインタフェース206、キーボード/ポインティングデバイス207を備える。ディスプレイインタフェース204は、たとえばグラフィックスプロセッサを用いたビデオカードなどが用いられる。
【0060】
ここで、CPU201は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各種機能を実現する。また、作業用メモリとして機能するメインメモリ203は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域を有している。さらに、ハードディスク装置205は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域を備えたメモリである。なお、ハードディスク装置205の代わりに、フラッシュメモリに代表される半導体メモリ等が用いられる場合がある。
【0061】
このように、本実施形態に示す各種処理は、作業用のメモリであるメインメモリ203に読み込まれたアプリケーションプログラムをCPU201が実行することによって実現される。このアプリケーションプログラムは、コンピュータである画像処理装置10を顧客(ユーザを含む)に対して提供する際に、装置の中にインストールされた状態にて提供される場合の他、コンピュータに実行させるプログラムをコンピュータが読み取り可能に記憶した記憶媒体等にて提供する形態が考えられる。また、これらのプログラムは、例えば集中管理サーバなどのプログラム伝送装置によってネットワークを介し、ネットワークインタフェース206を経由して提供される形態がある。
【0062】
なお、本実施形態では、情報登録用フォームを生成し登録用紙を出力する装置と記入済みの登録用紙を読み込んで記入情報を抽出する装置とを同一の装置として説明したが、これらを別個の装置で行っても良い。すなわち、所定の画像処理装置10から登録用紙を出力し、他の画像処理装置10により記入情報の抽出を行うことも可能である。さらに、登録フォーム生成部51を備えた装置と記入情報抽出部52および情報送信部53を備えた装置とを個別に用意し、各々の装置で登録用紙の出力と記入情報の抽出とを行うようにしても良い。
【0063】
また、本実施形態では、情報登録用フォームに基づく登録用紙を出力し、情報が記入された記入済み登録用紙の画像を読み取って記入情報を抽出することとしたが、UI部15の提示部に情報登録用フォームを表示し、受け付け部にてユーザ操作を受け付けてフォームへの入力とし、情報を収集する構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態が適用される画像処理装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す災害認識部、診断実行部、およびモード切り替え部の各種機能を詳述するためのブロック図である。
【図3】災害判定部にて災害影響度を算出するために用いられる災害別情報テーブルの例を示した図である。
【図4】本実施形態における災害発生時の装置制御部の機能を詳述するためのブロック図である。
【図5】災害の発生が検知され情報を収集する際の動作の全体的な流れを説明するフローチャートである。
【図6】情報登録用フォームの生成処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】テンプレートの選択処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】テンプレートへの情報埋め込み処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、震災時の安否登録用フォームの例を示す図である。
【図10】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、水害時の安否登録用フォームの例を示す図である。
【図11】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、震災時の被害登録用フォームの例を示す図である。
【図12】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、水害時の被害登録用フォームの例を示す図である。
【図13】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、必要物資登録用フォームの例を示す図である。
【図14】記入情報の抽出処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図15】画像処理装置のコンピュータとして機能する部分におけるハードウェア構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0065】
10…画像処理装置、11…外部IF(インタフェース)、12…災害認識部、15…ユーザインタフェース部(UI部)、16…装置制御部、19…画像形成部、51…登録フォーム生成部、52…記入情報抽出部、53…情報送信部、61…テンプレートデータベース(テンプレートDB)、62…埋め込み情報データベース(埋め込み情報DB)、63…フォームデータベース(フォームDB)、64…記入情報データベース(記入情報DB)、65…UI操作保持部、66…災害情報保持部、67…災害発生時刻保持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害に対する危機管理の必要性が強く叫ばれている。特に地震や風水害、火山災害等の大規模災害では、災害発生地域の居住者等の安否をいち早く確認することが重要であり、これを支援するサービスやシステムが提案され、提供されている。
【0003】
この種の従来技術としては、例えば、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)および西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が提供するサービス「災害用伝言ダイヤル」(例えば、非特許文献1、2参照)がある。
また、公報記載の従来技術として、例えば、中央遠隔制御装置と遠隔制御装置とを備え、地区遠隔制御装置は防災情報を通報し、かつ防災情報の通話音声を録音し、必要に応じて自動的にリダイヤルして録音された内容を通報可能とした技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに他の公報記載の従来技術として、センター装置は、発信規制中のエリア内の端末の所有者の安否確認を行って、結果及び位置情報を記憶し、外部からの安否の問い合わせに対し、発信規制エリアとはかかわりのない安否確認代理返答部が、記憶されている安否情報を代理的に返答するシステムがある(例えば、特許文献2参照)。また、このシステムは、各端末の安否情報から危険度を判断し、危険度に応じて定められた連絡先(救急センター、消防隊等)に端末の位置情報と共に連絡する。
【0005】
【非特許文献1】“災害への取組み”、[online]、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、[平成18年9月8日検索]、インターネット<URL : http://www.ntt-east.co.jp/saigai/>
【非特許文献2】“災害用伝言ダイヤル インターネット情報”、[online]、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)、[平成18年9月8日検索]、インターネット<URL : http://www.ntt-west.co.jp/dengon/>
【特許文献1】特開2005−5884号公報
【特許文献2】特開2005−217622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
災害には地震、火災、風水害、土砂災害など様々なものがあり、そのような災害の種類によって適切な避難場所や対処方法が異なる場合がある。また、災害の規模や災害発生からの経過時間、被災地からの距離といった各種の状況によっても、とるべき対応が変わる場合も考えられる。
本発明は、このような課題に鑑み、災害発生時の情報収集に用いられる画像処理装置において、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる技術的課題を解決するために、本発明が適用される画像処理装置は、災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成するフォーム生成手段と、フォーム生成手段により生成された情報登録用フォームを出力する出力手段とを備える。
より好ましくは、この装置は、情報登録用フォームの型を保持する保持手段をさらに備える構成とする。そして、フォーム生成手段は、取得手段により取得された災害情報に基づいて保持手段に保持されている情報登録用フォームの型を選択して読み出し、災害情報に基づいて情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加することにより情報登録用フォームを生成する。
【0008】
また、より詳細には、フォーム生成手段は、取得手段により取得された災害情報に基づいて、情報登録用フォームの項目に対して入力すべき情報の選択肢を付加する。
また、フォーム生成手段は、取得手段により取得された災害情報に基づいて認識される災害の種類に応じて、情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ災害の種類に応じた付加情報を付加する。
さらに、フォーム生成手段は、取得手段により取得された災害情報に基づいて認識される災害発生からの経過時間に応じて、情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ災害発生からの経過時間に応じた付加情報を付加する。
【0009】
また、上記の画像処理装置は、出力手段により出力された情報登録用フォームに項目に対する情報が記入された記入済み登録用画像を読み取る読み取り手段と、読み取り手段により読み取られた記入済み登録用画像から項目に対する情報を抽出し認識する情報認識手段と、情報認識手段により認識された情報を登録サーバに送信する送信手段とをさらに備える構成としても良い。
【0010】
また、上記の目的を達成する他の本発明は、コンピュータを、災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成するフォーム生成手段として機能させるプログラムとしても実現される。
【0011】
より詳細には、このプログラムは、フォーム生成手段の機能として、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームの型を保持する保持手段から、災害情報に基づいて情報登録用フォームの型を選択して読み出し、災害情報に基づいて情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加する処理をコンピュータに実行させる。
また、このプログラムは、フォーム生成手段の機能として、災害情報に基づいて、情報登録用フォームの項目に対して入力すべき情報の選択肢を付加する処理をコンピュータに実行させる。
また、このプログラムは、フォーム生成手段の機能として、災害情報に基づいて認識される災害の種類に応じて、情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ災害の種類に応じた付加情報を付加する処理をコンピュータに実行させる。
また、このプログラムは、フォーム生成手段の機能として、災害情報に基づいて認識される災害発生からの経過時間に応じて、情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ災害発生からの経過時間に応じた付加情報を付加する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、災害に関する情報を収集するための情報登録用フォームを生成する場合に、災害情報に応じて登録項目を設定することにより、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項2に係る発明によれば、災害情報に応じて型を選択し、情報を付加する(埋め込む)ことで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項3に係る発明によれば、災害情報に応じて選択肢を付加して記入者の労力を軽減できる。
請求項4に係る発明によれば、特に災害の種類に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項5に係る発明によれば、特に災害発生からの経過時間に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項6に係る発明によれば、災害情報に応じて項目が設定された情報登録用フォームを出力し、災害に関する情報を収集して登録サーバに集約することができる。
請求項7に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、災害に関する情報を収集するための情報登録用フォームを生成する場合に、災害情報に応じて登録項目を設定することにより、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項8に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、災害情報に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項9に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、災害情報に応じて選択肢を付加して記入者の労力を軽減できる。
請求項10に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、特に災害の種類に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
請求項11に係る発明によれば、このプログラムを実装したコンピュータにおいて、特に災害発生からの経過時間に応じて型を選択し、情報を付加することで、災害の種類や状況に応じて収集する情報を動的に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態が適用される画像処理装置10の構成例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、画像処理装置10は、プリンタやファクシミリ、複写機などとして機能する画像形成装置と一体となった組み込みコンピュータや、画像形成装置に外部接続されるパーソナルコンピュータ、またはスキャナなどとして機能する画像入力装置と一体となった組み込みコンピュータや、画像入力装置に外部接続されるパーソナルコンピュータ等によって実現される。この画像処理装置10は、例えば、小さなスペースにて多数の品種を扱う形態の小売店である所謂コンビニエンスストアなどに設置される。この所謂コンビニエンスストアなどに設置される画像処理装置10は、通常の動作時には、例えばプリンタやファクシミリ、複写機、スキャナとして、また、デジタルカメラで撮影した写真をプリントアウトする装置、キオスク端末(無人情報端末)等として利用される場合がある。
【0014】
また、この画像処理装置10は、ネットワークを介して画像処理装置10を集中管理する管理装置である集中管理サーバ(図示せず)から各種情報を取得する等、外部機器との通信を実行する外部IF(インタフェース)11を備えている。外部IF11は、例えばLAN(Local Area Network)やインターネットを介してサーバと接続する。接続には、専用線やVPN(バーチャルプライベートネットワーク)等を利用する。また、画像処理装置10は、災害情報(災害に関する情報)を認識する災害認識部12と、この災害認識部12から出力される災害影響度などの情報を用いて診断を行う診断実行部13とを備えている。また、診断実行部13から出力される診断結果から使用するモード候補を決定して切り替えるモード切り替え部14を備えている。
【0015】
また、画像処理装置10は、ユーザ(操作者)に対する情報提示を行う提示部と、例えばマウスおよびタッチパネルなどの位置指示装置またはキーボードなどの入力装置で構成されてユーザの操作を受け付ける受け付け部と、この受け付け部により受け付けた操作に基づき画像処理に関する指示を特定する指示特定部を備えたユーザインタフェース部(UI部)15を備えている。このUI部15は、各種ユーザインタフェース情報が記憶されているUI情報記憶部(図示せず)から所定のUI情報を読み出して展開している。
【0016】
このUI部15が備える提示部は、例えばディスプレイなどの表示機能を用いて、画像処理装置10を利用するユーザ(利用者、作業者、オペレータ等、また小売店の店員等をも含む)に対して、所定の情報を視覚提示する。ディスプレイは必要に応じてVFD(蛍光表示管)や各種解像度の液晶ディスプレイなどで実現される。また視覚提示する他に、例えばスピーカなどの音声発生器を用いた音声での提示、ランプなどを用いた光の点滅による提示、バイブレータなどの振動を発する素子を用いた振動による提示でも良い。
受け付け部は、例えばディスプレイに表示されたボタン等の仮想的なスイッチ類に対する操作を検出するディスプレイに設けられたセンサや、ハードウェアのスイッチなどで実現され、画像処理装置10を利用するユーザから操作を受け付ける。また受け付け部は、音声入力を行うマイクなどを用いて音声による操作を受け付けるようにしてもよい。
指示特定部は、例えばメモリ上に保持されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現され、受け付けた操作から画像処理に関する指示を特定する。
【0017】
このような機能を有するUI部15は、画像処理装置10自体に設ける他、例えば携帯電話やPDA(パーソナルデジタルアシスタンス)、電子手帳、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置を有線または無線で接続して用いるよう構成しても良い。また、場合によっては、各種入力機能を用いて災害情報などのユーザからの情報入力を受け付ける。
【0018】
さらに、図1に示す画像処理装置10は、画像処理装置10の全体を制御する装置制御部16を備えている。また、画像処理に携わる各種機能として、例えば、処理すべき画像データを取得する画像取得部17と、取得された画像データを処理する画像処理部18と、処理された画像データを出力する画像形成部19とを備えている。ここで、この画像取得部17は、用紙等の媒体に描画された画像を光学的に読み取るスキャナを含む構成としても良いし、外部機器として設けられたスキャナから外部IF11を介して画像を取得するように構成しても良い。また、電話回線やLANを介して接続された外部機器(パーソナルコンピュータ等)から画像データを受信しても良い。また、画像形成部19は、例えば電子写真方式によってトナー像を用紙等の媒体上に形成する画像形成方式や、インクを用紙等の媒体に吐出して像を形成するインクジェット方式などを採用した画像形成装置を含むよう構成しても良い。なお、画像形成部19としては、実際に媒体上に画像を形成するところまでは実行せず、外部IF11を介して接続された画像形成装置に対して画像データを出力するまでの構成としても良い。
【0019】
図2は、図1に示す災害認識部12、診断実行部13およびモード切り替え部14の各種機能を詳述するためのブロック図である。これらの機能ブロックを含んで情報処理装置として実現される場合がある。
災害認識部12は、災害情報を取得する災害情報取得部21と災害影響度を出力する災害判定部22とを含んで構成される。
災害情報取得部21では、例えば集中管理サーバからネットワーク経由で配信される情報によって災害に関する情報を取得する。また、例えば、災害発生時に公共放送などを通じて配信される緊急警報放送、災害時にユーザによって操作される災害発生ボタンからの情報、地震の揺れを検知する地震センサ、浸水を検知するセンサなどの自らまたは直接接続されるセンサから得られる情報などから、災害に関する情報を取得する場合もある。ここでの災害の種類とは、地震、風水害、火災、火山、停電情報などである。
【0020】
災害判定部22では、災害情報取得部21からの情報から、次の診断の動作と災害発生モードへ移行するための判定を行う。この判定としては、災害の種類、発生時刻等の災害情報の記録と、画像処理装置10への災害の影響度を使って、この影響度が、あらかじめ設定した閾値を超えたか否かを判定する。閾値は、画像処理装置10毎に予め設定し、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリに記憶しておく。例えば影響度があまりにも低い場合にモードを切り替えることは過剰の反応として好ましいものではない。災害発生時の緊急性や、機能の維持継続性などを考慮してこの閾値が決定されることが好ましい。この判定の結果に基づき、診断実行部13やモード切り替え部14では、次の診断の動作と災害発生モードへの移行処理が実行される。
【0021】
ここでの災害の影響度は、
(i)集中管理サーバやユーザから影響度が入力される場合、
(ii)地震・浸水等のセンサの入力値から算出される場合、
(iii)画像処理装置10自身が算出する場合、
がある。特に、上記(iii)の場合は、警戒放送など広域的な情報から、災害の規模と、災害発生現場からの概略の(おおよその)距離から影響度を算出する。つまり、災害の規模は小規模であっても、発生現場からの距離が近ければ画像処理装置10への影響度は大きく、大規模災害であっても距離が遠ければ影響度は小さい。そこで、以下の式に示すように、災害の影響度に距離の要素を加味している。
災害の影響度=災害種類係数×災害規模×1/距離(or1/距離の二乗)…(1)式
例えば、災害種類係数は1〜5、災害規模は1〜7、距離は1〜5等が、図3に示すような予め定められメモリに記憶された情報に基づいて設定される。
また、災害判定部22では、複数の入力から災害情報があった場合には、災害の影響度が大きいものを優先している。
【0022】
図3は、災害判定部22にて災害影響度を算出するために用いられる災害別情報テーブルの例を示した図である。
この災害別情報テーブルは、画像処理装置10の後述するハードディスクドライブ(HDD)等のメモリに記憶される情報であり、処理プログラムを実行するCPUにて読み出され、このCPUの作業のために、例えば作業用のメモリであるRAM(Random Access Memory)に一時的に記憶される。この災害別情報テーブルは、図3に示すように、災害種別ごとに、災害種類係数と、災害規模、距離の値を決定する際に用いる情報が記憶されている。図3に示す例では、災害種別としては、地震災害、風水害災害、火山災害、原子力災害、雪害災害、事故災害、および、その他災害がある。また図3では、地震災害が選定されている。
【0023】
この図3に示す一例では、地震災害の評価項目として、災害種類係数が“5”に設定されている。また、震源地のマグニチュードまたは自装置の震度によって、災害規模が“1” “3” “7”に設定される。さらに、自装置から震源地までの距離について、距離が“5” “3” “1”に設定される。災害判定部22では、災害情報取得部21にて取得された災害情報をもとに、図3に示すようなテーブル情報から各々の値を取得し、上記した(1)式に数値を代入して災害影響度を算出する。
【0024】
このように、災害認識部12では、取得した災害情報から災害を認識する処理が実行されるが、この災害認識部12にて実行される災害認識としては、他の態様もある。例えば、画像処理装置10の電源投入時、最終電源オフ動作が正常に行われたかどうかを判断し、正常終了でないと判断された場合に、電源オフ原因を入力するUI画面をUI部15を介して表示させる。そして、このUI画面に対するユーザ入力をUI部15を介して災害情報取得部21にて認識し、災害であった場合には、災害情報も入力させるようにUI画面を介してユーザに促す。ここで、正常終了ではない電源オフ動作としては、(i)停電、(ii)災害情報受信による電源オフ、(iii)災害検知(例えば揺れ検知)による電源オフがある。
なお、電源投入時に必ず災害発生からの復帰かどうかを確認するUI画面をUI部15にて表示し、ユーザからの入力によって災害情報を取得する方法もある。
【0025】
次に、診断実行部13について説明する。図2に示すように、診断実行部13は、災害認識部12からの災害影響度の情報を用いて行うべき診断を決定する診断シーケンス決定部31と、画像処理装置10本体の診断を行う自己診断部32とを備えている。また、インターネット回線や電話回線などの外部通信ネットワークの診断を行うネットワーク診断部33と、ネットワークおよび画像処理装置10の診断結果をメモリに記録する診断結果記録部34とを備えている。なお、この診断結果記録部34は、モード切り替え部14に設けるよう構成しても良い。
【0026】
この診断実行部13では、通常、画像処理装置10の電源投入時に本体の診断が行われる。本実施形態では、これに加え、災害認識部12で判定された災害影響度の情報をもとに、診断内容を変更している。
すなわち、診断シーケンス決定部31には複数の診断シーケンス(予め定められた診断のための動作の順序)が用意されており、災害の種類、災害発生場所からの距離、災害の影響度に応じてシーケンスを決定する。例えば、水害の場合、全ての用紙トレイに対して、紙送りが可能かどうかの診断を行う。また例えば、大規模停電が発生している場合、供給電源の安定性の確認と、外部サーバとの通信が可能かどうかネットワークの診断を適時行う。このように、例えば診断の適正化および/または診断の迅速化などをより良好に実現するために、取得された災害に関する情報に応じて自己診断とネットワーク環境の診断とを実行している。即ち、例えば診断箇所のピックアップや、診断箇所の重点化、通常モード時の診断では行わない特有な箇所の診断など、災害に関する情報に対応させた診断実行を実現している。
【0027】
自己診断部32では、画像処理装置10が有する、画像取得部17、画像処理部18、画像形成部19などのそれぞれのサブシステムに対する診断を行う。例えば画像取得部17は、照明系、結像光学系、光電変換素子、自動原稿送り部等のサブシステムを有しており、これらについての診断が行われる。また画像処理部18は、HDDなどのサブシステムを有しており、これらについての診断が行われる。さらに画像形成部19に対しては、帯電部、露光部、現像部(カラー画像を形成する装置の場合には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック))、転写部、定着部、紙送り部(用紙トレイ)などのサブシステムについて診断が行われる。
【0028】
次に、ネットワーク診断部33は、外部ネットワークとの通信の診断を行う。具体的には、インターネット回線(LAN)や電話回線など画像処理装置10に接続されている通信回線の状態を、集中管理サーバとの通信が可能か、周辺の画像処理装置との通信が可能かどうか等を、試験(テスト)して調べる。診断結果記録部34では、自己診断部32とネットワーク診断部33による診断結果を所定のメモリに記録し、モード切り替え部14に出力する。
【0029】
次に、モード切り替え部14について説明する。図2に示すように、モード切り替え部14は、診断実行部13および災害認識部12からの出力結果から使用するモード候補を決定するモード決定部41と、通常モードへの復帰の判断を行う通常モード復帰判断部42とを備えている。モード決定部41に決定される動作モードは、災害発生モードとして、(i)セーフティモード、(ii)機能限定モード、を有する。また、災害が発生していない、通常時の動作モードとして(iii)通常動作モード、を有する。
【0030】
災害発生モードの一つであるセーフティモードは、画像処理装置10のサービスを通常の動作モードよりも長く継続するための動作モードである。具体的な動作としては、情報保護のためのHDDへの電源供給停止やアクセス禁止、トナー消費量抑制、省エネのためのカラー画像形成の抑制、定着温度を下げる、帯電用の電圧を下げる、液晶バックライト輝度を下げるなどである。また、セーフティモード移行後の、処理ドキュメント数を記録するカウンタは、通常モードとは異なるカウンタによって記録される。
【0031】
災害発生モードの他の一つである機能限定モードは、一部のサブシステムに故障が発生していると診断された場合の動作モードで、一部のエラーで全ての動作を停止することなく、被害を受けていない部分で動作を行うモードである。例えば、画像読み取り部に故障が発生し画像読み取りができない場合でも、プリンタ出力のみに動作を限定することで動作を行う等である。また逆に、用紙搬送系に故障があるが画像読取り部および通信部が正常な場合には、画像読み取り部を用いたファクシミリ送信や、データ通信を行わせるようにしても良い。さらに、外部ネットワークとの通信が不可能な場合に、スタンドアローンの装置として機能させるようにしても良い。
【0032】
さて、本実施形態では、上記のような画像処理装置10が会社や所謂コンビニエンスストアのような店舗に設置されている場合を想定し、この画像処理装置10を用いて会社の社員や店舗の近隣の居住者に関する安否情報等の収集を実現する。その手法としては、安否情報等を記入するための特定のフォーム(書式)が形成された媒体(例えば用紙)を出力し、そのフォームに記入された情報を読み取って所望の情報を収集する。収集された情報は集中管理サーバに送信される。以下、これを実現するための構成について説明する。
【0033】
本実施形態の画像処理装置10は、災害認識部12により災害情報が取得されると、自装置が設置されている場所(会社や店舗)に応じて情報収集のための機能を起動させる。
図4は、本実施形態における災害発生時の装置制御部16の機能を詳述するためのブロック図である。
図4に示す装置制御部16は、情報登録用のフォームを生成する登録フォーム生成部51と、フォームに記入された情報を抽出する記入情報抽出部52と、抽出された情報を集中管理サーバへ送信するための情報送信部53とを備える。
【0034】
さらに装置制御部16は、フォームの生成に用いられるテンプレートデータベース(テンプレートDB)61および埋め込み情報データベース(埋め込み情報DB)62と、生成されたフォームを登録しておくためのフォームデータベース(フォームDB)63と、記入情報抽出部52により抽出された情報を登録しておくための記入情報データベース(記入情報DB)64とを備える。そして、UI部15により受け付けられたユーザ操作の内容を保持するUI操作保持部65および災害認識部12により取得された災害情報を保持する災害情報保持部66を備える。また、災害発生時刻を保持する災害発生時刻保持部67を備える。
【0035】
テンプレートDB61は、ROMや磁気ディスク装置等の不揮発性の記憶手段で実現され、フォームの形式(レイアウト等)を特定する型情報としてのテンプレートを保持する。テンプレートは、災害種別、災害規模、収集対象の情報等に応じて複数種類用意されており、災害認識部12により認識された災害の種別や規模の情報等に基づいて適当なテンプレートが読み出され、使用される。
【0036】
埋め込み情報DB62は、ROMや磁気ディスク装置等の不揮発性の記憶手段で実現され、フォームを生成するためにテンプレートに付加される情報を保持する。具体的には、安否を確認されるべき個人についての情報(例えば氏名等)、画像処理装置10の設置場所、項目別の選択肢、近隣避難所、危険地域、これらの場所の地図(画像)といった登録項目の情報である。
フォームDB63は、ROMや磁気ディスク装置等の不揮発性の記憶手段で実現され、登録フォーム生成部51により生成されたフォームを保持する。このフォームは、記入情報抽出部52がフォームに記入された情報を抽出する際に、記入部分を検出するために使用される。
【0037】
記入情報DB64は、ROMや磁気ディスク装置等の不揮発性の記憶手段で実現され、記入情報抽出部52により抽出された情報を保持する。この情報は、時間経過等による災害状況の変化に応じて更新される場合がある。
【0038】
UI操作保持部65、災害情報保持部66および災害発生時刻保持部67は、RAM等の読み書き自在な記憶手段で実現される。これらの記憶手段に保持された情報は、フォームを生成する際のテンプレートの選択や選択されたテンプレートに埋め込む情報を決定する際に使用される。
【0039】
登録フォーム生成部51は、プログラム制御されたCPUで実現され、安否情報等の登録用のフォームを生成し、画像形成部19に出力させる。本実施形態では、災害の種類や状況に応じて生成するフォームを変更する。フォームを生成する処理の詳細については後述する。
【0040】
記入情報抽出部52は、プログラム制御されたCPUで実現され、外部IF11および画像取得部17を介して入力した記入済みフォームの画像から記入された情報を抽出する。情報抽出処理の詳細については後述する。
【0041】
情報送信部53は、プログラム制御されたCPUで実現され、外部IF11を介して集中管理サーバにアクセスする。そして、記入情報抽出部52により抽出された情報を集中管理サーバへ送信する。
【0042】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図5は、災害の発生が検知され情報を収集する際の動作の全体的な流れを説明するフローチャートである。
図5に示すように、自装置のセンサや集中管理サーバからの通知等により災害の発生が検知され(ステップ501)、災害認識部12により災害情報が取得されると(ステップ502)、画像処理装置10は災害発生モードへ移行する。そして、UI部15の提示部の表示が変更され、情報登録用フォームの出力準備が完了する(ステップ503)。
【0043】
情報登録用フォームの出力指示が入力されると、装置制御部16の登録フォーム生成部51は、情報登録用フォームの生成処理を行い(ステップ504)、出力された情報登録用フォームに基づき、画像形成部19により用紙等の媒体に画像を形成して登録用紙として出力させる(ステップ505)。情報登録用フォームの生成処理の詳細については後述する。ユーザは、この登録用紙に情報を記入し、スキャナ等を用いて登録用紙の画像を入力する(ステップ506)。入力された画像は画像取得部17を介して記入情報抽出部52へ送られる。
【0044】
画像処理装置10の記入情報抽出部52は、入力された登録用紙の画像からユーザによって記入された情報の抽出処理を行い(ステップ507)、抽出した情報の認識処理を行う(ステップ508)。この情報抽出処理の詳細については後述する。
この後、情報送信部53が、記入情報抽出部52により抽出され認識された情報(登録情報)を、外部IF11を介して集中管理サーバへ送信する(ステップ509)。集中管理サーバでは、例えば、各所の画像処理装置10から送られた登録情報をまとめてデータベースに登録し、災害の全体的な被害情報の確認や解析等に供する。
【0045】
図6は、図5のステップ504に示した情報登録用フォームの生成処理の詳細を示すフローチャートである。
この処理で登録フォーム生成部51は、まずユーザによる指定、災害の種類や規模その他の災害状況の情報等に基づいて、フォームの種類を決定するテンプレートを選択する(ステップ601)。また、同じく災害の種類や規模その他の災害状況の情報等に基づいて、このテンプレートに必要な情報を埋め込んでフォームを生成する(ステップ602)。このテンプレートの選択および情報の埋め込みに関しては、行政組織等の上位組織からのリクエストに応じて収集すべき情報を決定することも考えられる。これらの処理の詳細は後述する。
この後、登録フォーム生成部51は、生成したフォームにIDを埋め込み(ステップ603)、フォームDB63に登録する(ステップ604)。
【0046】
図7は、図6のステップ601に示したテンプレートの選択処理の詳細を示すフローチャートである。
登録フォーム生成部51は、まずUI操作保持部65に保存されている操作情報に基づきユーザが指定したフォームの種別を判断する(ステップ701)。また、災害情報保持部66に保存されている災害情報に基づき災害の種別および状況を判断する(ステップ702、703)。具体的には、災害の種別として、例えば震災、風水害、火山災害、土砂災害などの別を判断する。また、災害の状況として、災害規模、被災地からの距離などを判断する。また、行政組織等の上位組織から収集すべき情報に関する指示を受け付けたか否かを判断する(ステップ704)。この指示は、外部IF11を介して受信され、RAM等のメモリに保持されているものとする。この後、登録フォーム生成部51は、これらの判断結果に応じて適切なテンプレートをテンプレートDB61に保存されているテンプレートの中から選択し、読み出して処理を終了する(ステップ705)。
【0047】
図8は、図6のステップ602に示したテンプレートへの情報埋め込み処理の詳細を示すフローチャートである。
登録フォーム生成部51は、まずステップ601(詳細は図7)でテンプレートを読み出した後、選択したテンプレートに時間関連項目が有るか否かを調べる(ステップ801)。時間関連項目とは、災害発生からの経過時間や処理の実行時刻に応じて内容が変更されるべき項目である。例えば、震災時の避難所は、災害発生直後に開設される避難所と、その後に高齢者や障害者等介護を必要とする被災者のために開設される二次避難所がある。そこで、震災発生直後には通常の避難所のみを情報登録用フォームに提示し、一定時間が経過した後には二次避難所も提示するというように、提示情報を変更することが考えられる。また、必要物資を登録するための情報登録用フォームを生成する場合、処理の実行時刻が午前中であれば、必要物資として食料品を優先し、処理の実行時刻が夕方から夜間の場合は、必要物資として毛布等の夜具や防寒具を優先するというように、提示情報を変更することが考えられる。そこで、選択したテンプレートに時間関連項目が有る場合は、災害発生時刻保持部67および画像処理装置10に内蔵される時計を参照して時間条件を取得する(ステップ802)。処理の実行時刻は画像処理装置10に内蔵される時計から直接得られ、災害発生からの経過時間は災害発生時刻保持部67に保持されている災害発生時刻と処理の実行時刻とを比較することによって得られる。
【0048】
次に登録フォーム生成部51は、行政組織や会社等の上位組織から特別の指示を受け付けていないかを判断する(ステップ803)。上述したようにこの指示は、外部IF11を介して受信され、RAM等のメモリに保持されている。上位組織からの指示があった場合には、その指示に基づいて必要な埋め込み情報の項目条件を取得する(ステップ804)。それ以外は、選択されたテンプレートにおいて設定されている項目が埋め込み情報の項目となる。
【0049】
以上のようにして埋め込み情報の項目および関連する条件が決定したならば、次に登録フォーム生成部51は、決定された項目および条件にしたがって埋め込み情報DB62から必要な情報を読み出し(ステップ805)、図6のステップ601(詳細は図7)で読み出されたテンプレートの該当箇所に埋め込んで処理を終了する(ステップ806)。
【0050】
以上説明したように、災害認識部12は災害情報を取得する取得手段として機能し、登録フォーム生成部51はフォーム生成手段として機能する。また画像形成部19は出力手段として機能し、テンプレートDB61は情報登録用フォームの型(テンプレート)を保持する保持手段として機能する。さらにまた、記入情報抽出部52は情報認識手段として機能し、画像取得部17が読み取り手段として機能し、情報送信部53が送信手段として機能する。
【0051】
図9、10は、上述した情報登録用フォームの生成処理(図6〜8)により生成される情報登録用フォームの構成例を示す図である。
図9は、震災時の情報登録用フォームの例であり、図10は水害時の情報登録用フォームの例である。図9、10に示す情報登録用フォームは、安否情報の登録用のフォームである。図示の例では、「1.名前」「2.住所」「3.安否」「4.自宅の被害」「5.ライフライン被害」「6.現在の居所」の各項目と、自由にメッセージを記入する「7.自由記入欄」とが設けられている。
【0052】
図9および図10を比較すると、図9の情報登録用フォームには、地震によって火災が発生する可能性があることから、「3.安否」の項目に「火傷」の選択肢が埋め込まれている。また、「4.自宅の被害」には、地震の被害として予想される「全壊」「半壊」「全焼」「半焼」「塀倒壊・外壁落下」といった選択肢が埋め込まれている。一方、図10の情報登録用フォームには、火災が発生する可能性は極めて少ないことから、「3.安否」の項目に「火傷」の選択肢は存在しない。また、「4.自宅の被害」には、水害の被害として予想される「全壊」「床上浸水」「床下浸水」「雨漏り」といった選択肢が埋め込まれている。
【0053】
本実施形態では、図9および図10に示した例(安否登録用フォーム)の他、テンプレートと埋め込み情報を適宜選択して組み合わせることにより、種々の情報登録用フォームが生成される。そして、災害の種類や状況の情報に基づいて推定される情報が各項目に適宜埋め込まれる。
【0054】
図11、12は、情報登録用フォームの他の構成例を示す図である。
図11は、震災時の情報登録用フォームの例であり、図12は水害時の情報登録用フォームの例である。図11、12に示す情報登録用フォームは、被害情報の登録用のフォームである。図示の例では、「1.記入者の名前」「2.住所」「3.被害の種類」「4.被害の場所」の各項目と「5.自由記入欄」とが設けられている。また、「4.被害の場所」には、埋込み情報DB62に記憶してある画像処理装置10の設置場所を含む地図が提示されている。
【0055】
図11および図12を比較すると、図11の情報登録用フォームにおける「3.被害の種類」には、地震の被害として予想される「火災」「崖崩れ」「地割れ」「津波」「道路寸断」「建物倒壊」といった選択肢が埋め込まれている。一方、図12の情報登録用フォームにおける「3.被害の種類」には、水害の被害として予想される「堤防決壊」「崖崩れ」「冠水」「道路寸断」「橋梁流出」といった選択肢が埋め込まれている。
【0056】
図13は、必要物資登録用フォームの例である。図示の例では、「1.物資の種類」「2.必要な物資の量」「3.物資を必要としている場所」の各項目と「4.自由記入欄」とが設けられている。このうち「1.物資の種類」には、災害発生からの経過時間や現在時刻に基づき特定された選択肢が埋め込まれている。
【0057】
以上のように、本実施形態では、テンプレートと埋め込み情報が組み合わされ、また災害の種類や状況(災害の規模、災害発生からの経過時間、被災地からの距離など)の情報に基づいて推定される情報が適宜埋め込まれることにより、種々の情報登録用フォームが生成される。これらの情報登録用フォームには、特定の場所(図示の例では右上)に個々の情報登録用フォームあるいは情報登録用フォームを印刷した登録用紙を識別するための識別コード(ID)が埋め込まれている。識別コードは、どのような手法で埋め込んでも良い。例えばバーコードやQRコードのような任意のコード画像を用いて良い。
【0058】
図14は、図5のステップ507に示した記入情報の抽出処理の詳細を説明するフローチャートである。
この処理で記入情報抽出部52は、まず登録用紙の読み取り画像から特定の場所に埋め込まれている識別情報を検出し(ステップ1401)、当該識別用紙のフォームを特定する(ステップ1402)。次に、特定されたフォームをフォームDB63から読み出して読み取り画像と対比し、ユーザにより書き込まれた記入情報を抽出する(ステップ1403)。具体的には、安否情報等の項目において印が付けられた選択肢や必要物資の数量等が抽出される。この後、記入情報抽出部52は、抽出された記入情報を記入情報DB64に登録し保存する(ステップ1404)。
次のステップ508では、抽出された記入情報を使って、印の位置から選択された項目を特定したり、名前や住所、数量の数字などを文字認識したりする等の処理が行われる。
以上説明したように、記入情報抽出部52は受け付け手段または記入情報抽出手段として機能する。
【0059】
最後に、画像処理装置10の、コンピュータとして機能する部分についてのハードウェア構成について説明する。
図15は、例えば画像処理装置10のコンピュータとして機能する部分におけるハードウェア構成を示した図である。図15に示すコンピュータは、演算手段であるCPU201と、マザーボード(M/B)チップセット202と、システムバスを介してCPU201に接続されたメインメモリ203とを備えている。また、M/Bチップセット202を介してディスプレイインタフェース204とディスプレイ210とがCPU201に接続されている。また、例えば入出力バスを介してM/Bチップセット202に接続されたハードディスク装置(HDD)205、ネットワークインタフェース206、キーボード/ポインティングデバイス207を備える。ディスプレイインタフェース204は、たとえばグラフィックスプロセッサを用いたビデオカードなどが用いられる。
【0060】
ここで、CPU201は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各種機能を実現する。また、作業用メモリとして機能するメインメモリ203は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域を有している。さらに、ハードディスク装置205は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域を備えたメモリである。なお、ハードディスク装置205の代わりに、フラッシュメモリに代表される半導体メモリ等が用いられる場合がある。
【0061】
このように、本実施形態に示す各種処理は、作業用のメモリであるメインメモリ203に読み込まれたアプリケーションプログラムをCPU201が実行することによって実現される。このアプリケーションプログラムは、コンピュータである画像処理装置10を顧客(ユーザを含む)に対して提供する際に、装置の中にインストールされた状態にて提供される場合の他、コンピュータに実行させるプログラムをコンピュータが読み取り可能に記憶した記憶媒体等にて提供する形態が考えられる。また、これらのプログラムは、例えば集中管理サーバなどのプログラム伝送装置によってネットワークを介し、ネットワークインタフェース206を経由して提供される形態がある。
【0062】
なお、本実施形態では、情報登録用フォームを生成し登録用紙を出力する装置と記入済みの登録用紙を読み込んで記入情報を抽出する装置とを同一の装置として説明したが、これらを別個の装置で行っても良い。すなわち、所定の画像処理装置10から登録用紙を出力し、他の画像処理装置10により記入情報の抽出を行うことも可能である。さらに、登録フォーム生成部51を備えた装置と記入情報抽出部52および情報送信部53を備えた装置とを個別に用意し、各々の装置で登録用紙の出力と記入情報の抽出とを行うようにしても良い。
【0063】
また、本実施形態では、情報登録用フォームに基づく登録用紙を出力し、情報が記入された記入済み登録用紙の画像を読み取って記入情報を抽出することとしたが、UI部15の提示部に情報登録用フォームを表示し、受け付け部にてユーザ操作を受け付けてフォームへの入力とし、情報を収集する構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態が適用される画像処理装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す災害認識部、診断実行部、およびモード切り替え部の各種機能を詳述するためのブロック図である。
【図3】災害判定部にて災害影響度を算出するために用いられる災害別情報テーブルの例を示した図である。
【図4】本実施形態における災害発生時の装置制御部の機能を詳述するためのブロック図である。
【図5】災害の発生が検知され情報を収集する際の動作の全体的な流れを説明するフローチャートである。
【図6】情報登録用フォームの生成処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】テンプレートの選択処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】テンプレートへの情報埋め込み処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、震災時の安否登録用フォームの例を示す図である。
【図10】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、水害時の安否登録用フォームの例を示す図である。
【図11】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、震災時の被害登録用フォームの例を示す図である。
【図12】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、水害時の被害登録用フォームの例を示す図である。
【図13】情報登録用フォームの構成例を示す図であり、必要物資登録用フォームの例を示す図である。
【図14】記入情報の抽出処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図15】画像処理装置のコンピュータとして機能する部分におけるハードウェア構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0065】
10…画像処理装置、11…外部IF(インタフェース)、12…災害認識部、15…ユーザインタフェース部(UI部)、16…装置制御部、19…画像形成部、51…登録フォーム生成部、52…記入情報抽出部、53…情報送信部、61…テンプレートデータベース(テンプレートDB)、62…埋め込み情報データベース(埋め込み情報DB)、63…フォームデータベース(フォームDB)、64…記入情報データベース(記入情報DB)、65…UI操作保持部、66…災害情報保持部、67…災害発生時刻保持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成するフォーム生成手段と、
前記フォーム生成手段により生成された前記情報登録用フォームを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記情報登録用フォームの型を保持する保持手段をさらに備え、
前記フォーム生成手段は、前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて前記保持手段に保持されている前記情報登録用フォームの型を選択して読み出し、当該災害情報に基づいて当該情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加することにより当該情報登録用フォームを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記フォーム生成手段は、前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて、前記情報登録用フォームの項目に対して入力すべき情報の選択肢を付加することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記フォーム生成手段は、前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて認識される災害の種類に応じて、前記情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ当該災害の種類に応じた付加情報を付加することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記フォーム生成手段は、前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて認識される災害発生からの経過時間に応じて、前記情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ当該災害発生からの経過時間に応じた付加情報を付加することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力手段により出力された前記情報登録用フォームに前記項目に対する情報が記入された記入済み登録用画像を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取られた前記記入済み登録用画像から前記項目に対する情報を抽出し認識する情報認識手段と、
前記情報認識手段により認識された情報を登録サーバに送信する送信手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成するフォーム生成手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記フォーム生成手段の機能として、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームの型を保持する保持手段から、前記災害情報に基づいて当該情報登録用フォームの型を選択して読み出し、当該災害情報に基づいて当該情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記フォーム生成手段の機能として、前記災害情報に基づいて、前記情報登録用フォームの項目に対して入力すべき情報の選択肢を付加する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記フォーム生成手段の機能として、前記災害情報に基づいて認識される災害の種類に応じて、前記情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ当該災害の種類に応じた付加情報を付加する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記フォーム生成手段の機能として、前記災害情報に基づいて認識される災害発生からの経過時間に応じて、前記情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ当該災害発生からの経過時間に応じた付加情報を付加する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項1】
災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成するフォーム生成手段と、
前記フォーム生成手段により生成された前記情報登録用フォームを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記情報登録用フォームの型を保持する保持手段をさらに備え、
前記フォーム生成手段は、前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて前記保持手段に保持されている前記情報登録用フォームの型を選択して読み出し、当該災害情報に基づいて当該情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加することにより当該情報登録用フォームを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記フォーム生成手段は、前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて、前記情報登録用フォームの項目に対して入力すべき情報の選択肢を付加することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記フォーム生成手段は、前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて認識される災害の種類に応じて、前記情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ当該災害の種類に応じた付加情報を付加することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記フォーム生成手段は、前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて認識される災害発生からの経過時間に応じて、前記情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ当該災害発生からの経過時間に応じた付加情報を付加することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力手段により出力された前記情報登録用フォームに前記項目に対する情報が記入された記入済み登録用画像を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取られた前記記入済み登録用画像から前記項目に対する情報を抽出し認識する情報認識手段と、
前記情報認識手段により認識された情報を登録サーバに送信する送信手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
災害の発生に基づいて得られる災害情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記災害情報に基づいて、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームを生成するフォーム生成手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記フォーム生成手段の機能として、災害に関して収集すべき情報を登録するための項目を記載した情報登録用フォームの型を保持する保持手段から、前記災害情報に基づいて当該情報登録用フォームの型を選択して読み出し、当該災害情報に基づいて当該情報登録用フォームの項目に対する付加情報を付加する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記フォーム生成手段の機能として、前記災害情報に基づいて、前記情報登録用フォームの項目に対して入力すべき情報の選択肢を付加する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記フォーム生成手段の機能として、前記災害情報に基づいて認識される災害の種類に応じて、前記情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ当該災害の種類に応じた付加情報を付加する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記フォーム生成手段の機能として、前記災害情報に基づいて認識される災害発生からの経過時間に応じて、前記情報登録用フォームの項目の型を選択し、かつ当該災害発生からの経過時間に応じた付加情報を付加する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−209992(P2008−209992A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43632(P2007−43632)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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