画像処理装置および画像処理方法
【課題】承認待ちのジョブに対する承認後の開始タイミングを、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】複合機10は、受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対して承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する。その承認者から、承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える。
【解決手段】複合機10は、受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対して承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する。その承認者から、承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置および画像処理方法に係り、詳細には、画像の出力に承認を必要とすることでセキュリティを確保する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像処理装置においては、情報セキュリティの観点から、ユーザによる機密文書の不用意な印刷や送信や保存などを未然に防止することが求められる。そこで、ユーザによる機密文書の出力処理には管理者(承認者)を介在させ、管理者の承認が得られないとその出力処理を実行できないようにすることで、ユーザによる機密文書の不用意な出力による情報漏洩に対し、セキュリティを確保する技術が導入されている。
【0003】
たとえば、特許文献1の技術では、画像処理装置はユーザから機密性の高い文書の出力指示を受けると、その出力処理を保留にして、その文書の出力処理に対する承認依頼を承認者に送信し、承認者から受信した承認結果をユーザに通知する。承認者の承認が得られた場合には、その旨の承認結果をユーザに通知し、ユーザから出力保留解除指示を受けてその文書を出力するようにしている。この他に、承認者の承認が得られた場合には、直ちにその文書を出力し、出力後にその旨をユーザに通知してもよいとされている。すなわち、承認待ちにした出力処理を、承認後にユーザから別途指示を受けて開始する構成と、承認後に直ちに開始する構成とが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−4512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複合機などによる画像の出力形態には、印刷、送信、保存などがあるが、これらは出力された画像が他人に見られる可能性があるか否かといった観点で秘匿性(セキュリティ)のレベルが異なる。
【0006】
たとえば、上記の技術では、承認後に直ちに出力処理を開始する構成において、印刷系のジョブを実行する場合には、機密文書の印刷を指示したユーザが不在のときに承認が得られ、画像処理装置がその機密文書の印刷を直ちに開始すると、排紙トレイに出力された出力物(機密文書の印刷物)が置き去りになって他人に見られてしまう可能性があり、セキュリティの点で問題がある。
【0007】
一方、送信は印刷とは違い、送信先に出力物が出力されるので、その出力物が送信元の画像処理装置側に居る他人に見られてしまうことはない。そのため、機密文書であっても承認が得られ次第、送信を開始しても差し支えないと考えられる。しかし、承認後に別途指示を受けてから出力処理を開始する構成において、送信系のジョブを実行する場合には、承認された機密文書などの送信は、ユーザが別途指示を行うまで開始されず、相手に送信されるまでに時間が掛かり、迅速処理の点で問題がある。保存も送信と同様に、保存先に出力されるので、出力物が画像処理装置の周囲に居る他人に見られることはなく、機密文書であっても承認が得られ次第、保存を開始しても差し支えない。そのため、承認された機密文書などの保存をユーザが別途指示するまで開始されないのは、迅速処理の点で問題である。さらに、ユーザが別途、画像処理装置まで訪れて送信や保存の指示を行うのは面倒でもある。
【0008】
また、たとえば、承認待ちのジョブに対する承認後の実行動作として、承認後に直ちに実行開始するか、または、承認後にユーザから別途指示を受けて実行開始するか、の切り替えをユーザが手動で一々設定するのは面倒である。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、承認待ちのジョブに対する承認後の開始タイミングを、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0011】
[1]画像を出力するジョブを受け付けるジョブ受付部と、
前記ジョブ受付部で受け付けたジョブを実行して画像を出力するジョブ実行部と、
前記ジョブ受付部で受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信し、その承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える制御部と、
を備えた画像処理装置。
【0012】
上記発明では、画像処理装置は受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対して承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する。その承認者から、承認依頼通知で承認を求めた該ジョブ(承認待ち状態のジョブ)による画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える。
【0013】
なお、第1の実行動作によるジョブの自動実行には、承認後に実行指示操作を受けずにジョブを自動で実行するものが含まれる。たとえば、通常ジョブを承認通知の受信後に直ちに実行開始したり(即自動開始)、予約ジョブを承認通知の受信後に予約時刻(時間)に基づいて実行開始したり(予約自動開始)するものが含まれる。
【0014】
これにより、承認待ち状態のジョブに対する承認後の開始タイミングを、該ジョブの属性に応じて、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。
【0015】
[2]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報である
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0016】
上記発明では、画像を出力する際の出力形態として、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を有する。承認待ち状態にしたジョブの承認後の実行動作(第1の実行動作/第2の実行動作)を該ジョブの属性に応じて切り替えるに当たり、その切り替えの判断要素となるジョブの属性には、出力形態を特定する情報を用いる。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際には、出力形態の秘匿性のレベルに応じて、第1の実行動作または第2の実行動作に自動で切り替えることができる。
【0017】
[3]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、前記承認待ち状態にしたジョブを承認後に自動実行する場合と実行指示操作を受けて実行する場合とで秘匿性の変わらない第1の出力形態と、前記承認待ち状態にしたジョブを承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が秘匿性の高まる第2の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記第1の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記第2の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0018】
上記発明では、第1の出力形態のジョブは、承認後に自動実行する場合と実行指示操作を受けて実行する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。この実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらないジョブは、承認後に、実行指示操作を受けずに自動実行することで、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。第2の出力形態のジョブは、承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる。この実行指示操作を受けて実行すると出力時の秘匿性が高くなるジョブは、承認後に、自動実行せずに実行指示操作を受けて実行することで、セキュリティが確保される。
【0019】
[4]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像を外部装置に送信する送信の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記送信の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0020】
上記発明では、画像を外部装置に送信する出力形態のジョブは、出力物の秘匿性は受信機側での出力状態に依存するので、送信機側(画像処理装置側)で承認後に自動送信する場合と、実行指示操作を受けて送信する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。画像を記録紙に印刷して出力する出力形態のジョブは、承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる。また、この送信と印刷では、秘匿性のレベルが異なり、印刷に比べて送信の方が秘匿性のレベルが高い(送信に比べて印刷の方が秘匿性のレベルが低い)とも言える。
【0021】
これにより、実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらない(印刷に比べて秘匿性のレベルが高いとも言える)出力形態である送信のジョブは、承認後に、実行指示操作を受けずに自動実行することで、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。また、実行指示操作を受けて実行すると出力時の秘匿性が高くなる(送信に比べて秘匿性のレベルが低いとも言える)出力形態である印刷のジョブは、承認後に、自動実行せずに実行指示操作を受けて実行することで、セキュリティが確保される。
【0022】
なお、[2]に記載の発明を引用する場合には、上記のように、送信の出力形態と印刷の出力形態は、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態に含まれる。[3]に記載の発明を引用する場合には、送信の出力形態は第1の出力形態に含まれ、印刷の出力形態は第2の出力形態に含まれる。
【0023】
[5]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像をメモリに保存する保存の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記保存の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0024】
上記発明では、画像処理装置の内部メモリ(不揮発性の内部記憶装置)などに画像を保存する出力形態のジョブは、承認後に自動保存する場合と、実行指示操作を受けて保存する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。また、画像処理装置に接続された外部メモリ(不揮発性の外部記憶装置)などに画像を保存する出力形態のジョブにおいても、その外部メモリを他人が扱えない状態に管理すれば(厳重保管やパスワードロックなど)、同様に出力時の秘匿性は変わらないと言える。一方、画像を記録紙に印刷して出力する出力形態のジョブは、承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる。また、この保存と印刷では、秘匿性のレベルが異なり、印刷に比べて保存の方が秘匿性のレベルが高い(保存に比べて印刷の方が秘匿性のレベルが低い)とも言える。
【0025】
これにより、実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらない(印刷に比べて秘匿性のレベルが高いとも言える)出力形態である保存のジョブは、承認後に、実行指示操作を受けずに自動実行することで、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。また、実行指示操作を受けて実行すると出力時の秘匿性が高くなる(保存に比べて秘匿性のレベルが低いとも言える)出力形態である印刷のジョブは、承認後に、自動実行せずに実行指示操作を受けて実行することで、セキュリティが確保される。
【0026】
なお、[2]に記載の発明を引用する場合には、上記のように、保存の出力形態と印刷の出力形態は、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態に含まれる。[3]に記載の発明を引用する場合には、保存の出力形態は第1の出力形態に含まれ、印刷の出力形態は第2の出力形態に含まれる。
【0027】
[6]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像を外部装置に送信する送信の出力形態と、画像をメモリに保存する保存の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記送信の出力形態と特定したジョブおよび前記保存の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0028】
[7]前記ジョブ実行部は、前記保存の出力形態では画像を暗号化して前記メモリに保存し、
前記制御部は、前記ジョブ受付部で受け付けたジョブが、前記メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信し、その承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブの実行を許可し、
前記ジョブ実行部は、前記メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブを実行する場合は、該画像を復号化して出力する
ことを特徴とする[5]または[6]に記載の画像処理装置。
【0029】
承認者の了承が得られて画像をメモリに保存しても、その画像をユーザが不用意に(承認者の了承を得ずに)出力してしまうと、その画像が他人に見られてしまう可能性があり、セキュリティの点で問題がある。また、画像処理装置に接続された外部メモリに画像を保存した場合は、その外部メモリの管理を怠って他人が扱える状態であると、外部メモリに保存されている画像を他人に見られてしまう可能性があり、やはりセキュリティの点で問題がある。
【0030】
上記発明では、画像を暗号化してメモリに保存するので、その画像をユーザが不用意に出力したり、保存先の外部メモリの管理を怠っていたとしても、その画像を他人が見ることはできず、セキュリティを確保できる。
【0031】
また、メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブを受け付けた場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対して承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する。その承認者から、承認依頼通知で承認を求めた該ジョブ(承認待ち状態のジョブ)による画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブの実行を許可し、画像を復号化して出力する。
【0032】
なお、ここでの出力(出力形態)は、印刷、送信、他のメモリへの保存(画像処理装置の内部メモリから外部メモリへの保存、外部メモリから画像処理装置の内部メモリへの保存、画像処理装置に接続された外部メモリから他の外部メモリへの保存)などを含む。
【0033】
これにより、メモリに保存された画像を出力するジョブも、承認者の了承が得られた場合のみ実行可能となり、メモリに保存された画像のユーザによる不用意な出力を未然に防止することができる。
【0034】
[8]前記制御部は、前記実行を許可したジョブに対して、該ジョブの属性に応じて前記切り替えを行う
ことを特徴とする[7]に記載の画像処理装置。
【0035】
上記発明では、メモリに保存された画像を出力するジョブを承認者の了承が得られて実行する場合も、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える。
【0036】
これにより、メモリに保存された画像を出力するジョブに対する承認後の開始タイミングも、該ジョブの属性に応じて、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。
【0037】
[9]前記制御部は、前記承認を必要とするジョブに対して、前記第1の実行動作または前記第2の実行動作を選択する選択指示を受けた場合には、前記切り替えでは前記ジョブの属性よりも前記選択指示を優先させ、前記選択指示により選択された実行動作への切り替えを行う
ことを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0038】
上記発明では、承認を必要とするジョブに対して、承認後に該ジョブ(承認待ち状態のジョブ)を第1の実行動作または第2の実行動作のいずれで実行するかの選択指示を受けた場合には、その選択された実行動作への切り替えを行う。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の実行動作を、ジョブ毎に選択できるようになる。
【0039】
[10]前記制御部は、前記承認通知で前記承認者から前記第1の実行動作または前記第2の実行動作の指定を受けている場合には、前記切り替えでは前記指定を最優先させ、前記指定された実行動作への切り替えを行う
ことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0040】
上記発明では、承認者は、承認依頼通知で承認を求められたジョブ(承認待ち状態のジョブによる画像の出力)に対する承認通知において、承認後に該ジョブを第1の実行動作または第2の実行動作のいずれで実行するかを指定することができる。画像処理装置は、承認者から受信した承認通知で、第1の実行動作または第2の実行動作の指定を受けている場合には、その指定を最優先させ、指定された実行動作への切り替えを行う。これにより、承認待ちの状態のジョブを承認後に実行する際の実行動作を、承認者がジョブ毎に指定できるようになる。
【0041】
[11]前記制御部は、前記承認通知で前記承認者から前記出力形態の指定を受けている場合には、前記ジョブの出力形態を、前記指定を受けた出力形態に変更する
ことを特徴とする[2]〜[8]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0042】
上記発明では、承認者は、承認依頼通知で承認を求められたジョブ(承認待ち状態のジョブによる画像の出力)に対する承認通知において、該ジョブの出力形態を指定することができる。画像処理装置は、承認者から受信した承認通知で、出力形態の指定を受けている場合には、該ジョブの出力形態を、指定を受けた出力形態に変更する。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の出力形態を、承認者がジョブ毎に指定できるようになる。
【0043】
[12]前記制御部は、前記承認待ち状態のジョブデータを、ジョブ実行時にジョブデータを配置するメモリと異なるメモリに記憶する
ことを特徴とする[1]〜[11]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0044】
上記発明では、承認待ち状態のジョブデータを、ジョブ実行時にジョブデータを配置するメモリとは異なるメモリに記憶することで、承認待ち状態のジョブの数が増えても、前者のメモリに承認待ち状態のジョブデータが蓄積されることを回避できる。承認を必要としないジョブを実行する場合には、そのジョブデータを前者のメモリに配置し、そのメモリを有効に利用して処理を行うことができる。
【0045】
[13]前記ジョブ受付部で受け付けるジョブは、原稿を読み取って取得した画像を出力する原稿画像の出力ジョブを含み、
前記制御部は、前記受け付けたジョブが前記原稿画像の出力ジョブであって、前記原稿に所定の情報が付加されている場合は、該ジョブは前記承認を必要とするジョブであると判断する
ことを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0046】
上記発明では、受け付けたジョブが原稿画像の出力ジョブ(原稿を読み取って取得した画像を出力するジョブ)であって、その原稿に所定の情報が付加されている場合は、該ジョブは画像の出力に承認を必要とするジョブであると判断する。たとえば、機密情報などが印刷された原稿においては、その原稿に予め所定の情報を付加しておくことにより、その原稿を読み取って取得した画像の出力に対しては自動で要承認とすることができ、その画像の出力に対するセキュリティを確保できる。
【0047】
[14]画像を出力するジョブを受け付ける工程と、
前記受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する工程と、
前記承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信する工程と、
前記承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える工程と、
前記切り替えた実行動作に従い、該ジョブを実行して画像を出力する工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【発明の効果】
【0048】
本発明の画像処理装置によれば、承認待ちのジョブに対する承認後の開始タイミングを、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。したがって、この切り替えを行うための設定操作などが不要となり、操作の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置としての複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】印刷ジョブに係る承認依頼通知メールの一例を示す図である。
【図4】図3の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図5】送信ジョブに係る承認依頼通知メールの一例を示す図である。
【図6】図5の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図7】送信+印刷ジョブに係る承認依頼通知メールの一例を示す図である。
【図8】図7の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る複合機によるジョブ実行の動作を示す流れ図(1/4)である。
【図10】図9のS111(No)からの続きを示す流れ図(2/4)である。
【図11】図9のS103(Yes)からの続きを示す流れ図(3/4)である。
【図12】図9のS104(Yes)からの続きを示す流れ図(4/4)である。
【図13】複合機の表示部に表示されたログイン画面の一例を示す図である。
【図14】複合機の表示部に表示された復帰モード選択画面の一例を示す図である。
【図15】複合機の表示部に表示された承認済み待機ジョブ通知画面の一例を示す図である。
【図16】複合機の表示部に表示された承認済み待機ジョブ選択画面の一例を示す図である。
【図17】保存ジョブに係る承認依頼通知メールの一例を示す図である。
【図18】図17の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図19】印刷ジョブに係る承認依頼通知メールの変形例と、この承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図20】保存ジョブに係る承認依頼通知メールの変形例と、この承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る複合機によるジョブ実行の動作を示す流れ図(1/4)である。
【図22】図21のS111(No)からの続きを示す流れ図(2/4)である。
【図23】図21のS103(Yes)からの続きを示す流れ図(3/4)である。
【図24】図21のS104(Yes)からの続きを示す流れ図(4/4)である。
【図25】本発明の第3の実施形態に係る複合機によるジョブ実行の動作を示す流れ図(1/4)である。
【図26】図25のS111(No)からの続きを示す流れ図(2/4)である。
【図27】図25のS103(Yes)からの続きを示す流れ図(3/4)である。
【図28】図25のS104(Yes)からの続きを示す流れ図(4/4)である。
【図29】本発明の第4の実施形態に係る複合機によるジョブ実行の動作を示す流れ図(1/4)である。
【図30】図29のS111(No)からの続きを示す流れ図(2/4)である。
【図31】図29のS103(Yes)からの続きを示す流れ図(3/4)である。
【図32】図29のS104(Yes)からの続きを示す流れ図(4/4)である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0051】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシステムの構成を示している。本システムは、オフィスなどに設けられたLAN(Local Area Network)などのネットワーク2に、画像処理装置としての複合機10と、ユーザ端末30と、管理者端末35とが接続されて構成される。
【0052】
ユーザ端末30は、たとえば、部門に所属するユーザ(被管理者)が使用する端末装置であり、ネットワーク2には、各ユーザに割り当てられた複数台のユーザ端末30が接続されている。管理者端末35は、ユーザの所属する部門の管理者(部門管理者)が使用する端末装置であり、ネットワーク2には、各管理者に割り当てられた複数台の管理者端末35が接続されている。
【0053】
ユーザ端末30と管理者端末35は、複合機10にスキャンジョブやプリントジョブなどのジョブを送信してその実行を要求する機能を備えている。これらの端末装置は、OSプログラムや複合機10のドライバプログラム、文書や画像を作成・編集するアプリケーションプログラム、電子メールプログラムなどがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。スキャンジョブやプリントジョブの送信および実行要求など複合機10に対する各種の要求は、複合機10用のドライバプログラムによって行われる。また、複合機10との間でジョブに関する通知を電子メールで行うようになっており、この複合機10との間で行う電子メールの送受信は、電子メールプログラムによって行われる。
【0054】
図2は、複合機10の概略構成を示している。複合機10は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり端末装置やサーバ装置へ送信したりするスキャン機能、端末装置から受信した印刷データに基づく画像や当該複合機10に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、ファクシミリ機能などを備えている。さらに、電子メール機能やユーザ認証機能も備えている。
【0055】
複合機10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、バス12を介してROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、ハードディスク装置(HDD)16と、表示部17と、操作部18と、ファクシミリ通信部19と、ネットワーク通信部20と、スキャナ部21と、画像処理部22と、プリンタ部23と、外部メモリ接続部24とを接続して構成される。
【0056】
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに従って複合機10の動作を制御する。ROM13には、CPU11によって実行される各種プログラムや各種の固定データが記憶されている。RAM14は、CPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。不揮発メモリ15は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリである。不揮発メモリ15には、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。さらに、ユーザ認証において照合用に使用する認証情報、たとえばユーザID(IDentification)とパスワード、指紋情報なども記憶される。ハードディスク装置16は、各種の保存データを格納するほか、入力された各種の画像データなども保存する。
【0057】
表示部17は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面、設定画面、確認画面などの各種の画面を表示する。操作部18は、スタートキー、ストップキー、テンキーなどの各種のキー類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが複合機10に対して行う各種の操作を受け付ける。
【0058】
ファクシミリ通信部19は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部20は、ネットワーク2を通じてユーザ端末30や管理者端末35などと通信を行う。
【0059】
スキャナ部21は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部21は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0060】
画像処理部22は、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理や、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を行う。
【0061】
プリンタ部23は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部23は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0062】
外部メモリ接続部24は、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの外部メモリ(不揮発性の外部記憶装置)が接続され、接続された外部メモリと通信を行う。
【0063】
また複合機10は、情報セキュリティを確保するために、ユーザによる機密文書の出力には制限を掛けるようになっている。詳細には、ユーザによる機密文書の不用意な印刷や送信などを未然に防止するために、ユーザによる機密文書の出力ジョブには管理者(承認者)を介在させ、管理者の承認が得られないとその出力ジョブを実行できないようになっている。
【0064】
複合機10がユーザから受け付ける出力ジョブには、複合機10に対するユーザ操作で受け付けるコピー、スキャン送信、ファクシミリ送信、保存や、ユーザ端末30から受信して受け付けるプリント、ファクシミリ送信などの各種のジョブがある。
【0065】
ユーザ操作による原稿のコピー、送信、保存では、出力に承認を必要とする機密文書などの原稿に、予め所定の情報を付加しておく。複合機10は、原稿のスキャン時にその所定の情報を検出した場合には、その原稿の出力には承認が必要であると自動判断するようになっている。所定の情報は、たとえば、目視では視認困難な情報を紙媒体に埋め込む透かし印刷技術(電子透かし)、電子情報(ID情報)を記憶・無線通信するICチップ(RFタグ)を紙媒体に埋め込むRFID(Radio Frequency IDentification)技術などを用いて、原稿に付加することができる。
【0066】
原稿に付加された電子透かし情報は、複合機10がスキャナ部21で原稿を読み取って取得した画像データを、画像処理部22で解析し、その画像データに電子透かし情報が含まれているか否かで判別する。原稿に付加された電子情報(ID情報)は、複合機10がスキャナ部21で原稿を読み取る際に、スキャナ部21に設けられたRFタグリーダによって、原稿から電子情報を読み取るか否かで判別する。
【0067】
ユーザ端末30からのプリントやファクシミリ送信では、所定の情報(電子透かし情報)が付加された原稿のスキャン画像のファイルをユーザ端末30に保存している場合に、そのファイルの画像(印刷データ)をユーザ端末30から複合機10が受信して出力(印刷/送信)する際に、そのファイルの画像を画像処理部22で解析し、画像内に電子透かし情報が含まれていることを判別する。この電子透かし情報が含まれているファイルの画像の出力には、承認が必要であると判断する。
【0068】
また複合機10は、画像の出力に承認を必要とするジョブを受け付けた場合に、そのジョブを承認待ち状態にして、そのジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知メールを所定の承認者(管理者端末35)に送信する。その承認者から承認結果通知メールを受信してその承認結果(承認状況)が了承(承認済み)である場合に、承認待ち状態にしたジョブの実行動作(復帰モード)を、そのジョブの属性に応じて、即開始(即開始モード)または待機(待機モード)に切り替えるようになっている。即開始では、承認後にジョブを自動実行する。待機では、承認後に、そのジョブの実行権限を有するユーザ(操作者)から実行指示操作を受けるまでジョブを待機させ、実行指示操作を受けてジョブを実行する。
【0069】
上記の切り替えの判断要素となるジョブの属性は、本実施形態では、画像を出力する際の出力形態としている。複合機10は、画像の出力形態として、印刷、送信、保存など、複数種類の出力形態を有している。また、この印刷、送信、保存などでジョブが分類(大別)され、ここでは、出力形態はジョブ種別に対応している。本実施形態ではジョブ種別(出力形態)として、印刷系のジョブ、送信系のジョブ、送信と印刷を組み合わせて行うジョブ(送信+印刷ジョブ)の3種類を例に説明する。なお、保存系のジョブについては、後述する第2〜第4の実施形態で説明する。
【0070】
印刷系のジョブの詳細は、ユーザ操作で受け付けるコピージョブやユーザ端末30から受け付けるプリントジョブである。送信系のジョブの詳細は、ユーザ操作やユーザ端末30から受け付けるスキャン送信ジョブやファクシミリ送信ジョブなどである。また、ユーザ操作によるスキャン送信ジョブには、原稿のスキャン画像(ファイル)を、指定したアドレスへ電子メール(Eメール)の添付ファイルとして送信するスキャン to Eメール、ネットワーク接続されたFTP(File Transfer Protocol)サーバの指定フォルダに保存するスキャン
to FTP、ネットワーク接続された端末装置のフォルダに直接保存するスキャン to SMB(Server Message Block)などのジョブがある。送信+印刷ジョブは、たとえば、ファクシミリ送信において、送信した画像を送信後に印刷する(Print After Send)ジョブなどである。
【0071】
図3〜図8は、複合機10が管理者端末35へ送信する承認依頼通知メール(41、42、43)と、管理者端末35から受信する承認結果通知メール(51a、51b、52a、52b、53a、53b)の一例を示している。
【0072】
承認依頼通知メールは、複合機10が画像の出力に承認を必要とするジョブを受け付けた場合に自動作成し、当該複合機10から承認先の管理者端末35に送信される通知メールである。承認結果通知メールは、管理者端末35が複合機10から承認依頼通知メールを受信した場合に、その承認依頼通知メールに対し、承認者が電子メールプログラムの返信機能によって作成し、当該管理者端末35から複合機10に返信される通知メール(返信メール)である。
【0073】
承認依頼通知メール(41〜43)には、各種のメッセージや要承認のジョブに関する情報が記載されている。たとえば、当該メールが承認依頼通知メールである旨を示すメッセージ、[依頼日時]、[ジョブNo](ジョブID)、ジョブの設定(承認の依頼内容)を示す情報([ジョブ種別]、[復帰モード]、[送信先情報]、[承認者情報]、[ユーザ情報])、当該メールに対する承認の仕方を示すメッセージ、承認通知欄の複数項目([承認状況]、[ジョブ種別]、[復帰モード])などが記載されている。
【0074】
承認依頼通知メールに記載される復帰モードは、上述した、承認後にジョブを自動実行する「即開始モード」、承認後にユーザから実行指示操作を受けてジョブを実行する「待機モード」である。復帰モードは、ジョブ種別に応じて即開始モードと待機モードのいずれかが初期設定により自動選択される。本実施形態では、初期設定では印刷ジョブに対しては待機モードが自動選択され、送信ジョブに対しては即開始モードが自動選択され、送信+印刷ジョブに対しては待機モードが自動選択されるようになっている。また、この自動選択された復帰モードをユーザが変更(ユーザ選択)できるようになっている。この復帰モードの初期設定による自動選択とユーザ選択の詳細については後述する。
【0075】
また、承認依頼通知メールの承認通知欄における各項目([承認状況]、[ジョブ種別]、[復帰モード])には、択一選択される複数の情報(選択肢)が記載される。ただし、[ジョブ種別]では、当該承認依頼通知メールに係る要承認のジョブの種別(出力形態)が印刷+送信の場合のみ、択一選択される複数の情報(選択肢)が記載される。
【0076】
具体的には、[承認状況]の項目には、「承認済み」と「承認却下」の2つの選択肢が記載される。[ジョブ種別]の項目には、当該承認依頼通知メールに係る要承認のジョブの種別が印刷+送信の場合のみ(図7参照)、「送信+印刷」と「送信」と「印刷」の3つの選択肢が記載される。また、当該承認依頼通知メールに係る要承認のジョブの種別が印刷(印刷系)または送信(送信系)の場合は(図3、図5参照)、「印刷」または「送信」が単独で記載される。[復帰モード]の項目には、「即開始モード」と「待機モード」の2つの選択肢が記載される。また、当該承認依頼通知メールに係る要承認のジョブに対して、設定(選択)されていない方の復帰モード情報は括弧付きで示される。この括弧の有無によって、当該ジョブに設定されている復帰モードが識別可能となっている。
【0077】
承認者は、電子メールプログラムの返信機能によって、承認依頼通知メールの返信メールを作成し、その返信メールの承認通知欄の各項目に記載されている情報(選択肢)を一部削除して、承認結果通知メールを完成させる。この承認通知欄の記載情報を一部削除することで、依頼された承認内容に対する承認の結果(了承/却下)を決定し、必要に応じて承認内容を変更する。本実施形態では、復帰モードと、送信+印刷ジョブのジョブ種別(出力形態)を承認者が変更できるようになっている。
【0078】
以下に、承認通知欄の記載情報を一部削除して行う承認方法、すなわち、承認の仕方と承認内容の変更の仕方を説明する。
【0079】
上述したように、承認通知欄の[承認状況]には、「承認済み」と「承認却下」が記載されている。承認(了承)する場合は、「承認却下」を削除して、「承認済み」を残す。承認(了承)しない場合は、「承認済み」を削除して、「承認却下」を残す。
【0080】
承認通知欄の[ジョブ種別]には、要承認のジョブが印刷系のジョブまたは送信系ジョブの場合は、「印刷」または「送信」が単独で記載されている。
【0081】
図3は、要承認のジョブが印刷系(印刷のみ)の場合の承認依頼通知メールを例示しており、図4は、図3の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールを例示している。印刷ジョブの場合、承認依頼通知メールにおける承認通知欄の[ジョブ種別]には、「印刷」が記載されている。
【0082】
図5は、要承認のジョブが印刷系(印刷のみ)の場合の承認依頼通知メールを例示しており、図6は、図5の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールを例示している。送信ジョブの場合、承認依頼通知メールにおける承認通知欄の[ジョブ種別]には、「送信」が記載されている。
【0083】
承認通知欄の[ジョブ種別]に「印刷」または「送信」が単独で記載されている場合には、承認者はその記載されているジョブ種別の変更が承認結果通知メールにて不可となる。
【0084】
図7は、要承認のジョブが送信+印刷の場合の承認依頼通知メールを例示しており、図8は、図7の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールを例示している。送信+印刷ジョブの場合、承認依頼通知メールにおける承認通知欄の[ジョブ種別]には、「送信+印刷」、「送信」、「印刷」の3つのジョブ種別情報が記載されている。送信+印刷ジョブは、送信+印刷から送信のみへ、または、送信+印刷から印刷のみへの変更が可能となっている。承認者は、承認結果通知メールにおいて、この3つのジョブ種別情報の中から、許可(承認)する1つのジョブ種別情報を残し、他の2つのジョブ種別情報を削除することで、許可するジョブ種別を選択する。
【0085】
具体的には、送信+印刷を許可する場合は、3つのジョブ種別情報のうち「送信+印刷」を残して他の2つを削除する。また、送信は許可できないが、印刷だけなら許可できる場合には、図8(A)に示すように、「印刷」を残して他の2つを削除する。逆に、印刷は許可できないが、送信だけなら許可できる場合には、図8(B)に示すように、「送信」を残して他の2つを削除する。
【0086】
承認通知欄の[復帰モード]には、上述した「即開始モード」と「待機モード」の2つの復帰モード情報が記載されている。また、当該通知メールに係る要承認のジョブに対して、承認依頼時に設定(自動選択/ユーザ選択)されていない方の復帰モード情報は予め括弧付きで示されている。承認者は、この2つの復帰モード情報の中から、許可(承認)しない復帰モード情報を削除し、許可する復帰モード情報を残すことで、その許可する復帰モードを選択する。また、復帰モードを変更する例としては、図4(B)に示すように、印刷系のジョブに対して設定されている待機モードを即開始モードに変更したり、図6(B)に示すように、送信系のジョブに対して設定されている即開始モードを待機モードに変更したりする場合などがある。
【0087】
なお、復帰モードは、承認依頼時の設定状況が括弧の有無によって識別可能である。そこで、復帰モードを変更せずに、承認依頼時の設定をそのまま許可する場合には、[復帰モード]の項目に記載されている情報を一部削除せずに、そのままの状態にしておいてもよい。この場合は、括弧の無い方の復帰モード(承認依頼時に設定されている方の復帰モード)が許可されたと判断できる。また、復帰モードを変更する場合のみ、括弧の無い方の復帰モードを削除し、括弧の有る方の復帰モードを残すようにすればよい。この場合は、括弧の有る方の復帰モード(承認依頼時に設定されていない方の復帰モード)に変更されて許可されたと判断できる。
【0088】
承認者は、管理者端末35を操作して、複合機10から受信した承認依頼通知メール(41〜43)に対する承認結果通知メール(51〜53)を上述した方法で作成し、複合機10に返信する。なお、複合機10が受信した承認結果通知メールにおいては、[承認状況]に「承認済み」が記載されている承認結果通知メールは、承認を求めたジョブ(該ジョブによる画像の出力)に対しての了承を示す、「承認通知メール」となる。[承認状況]に「承認却下」が記載されている承認結果通知メールは、承認を求めたジョブ(該ジョブによる画像の出力)に対しての却下を示す、「承認却下通知メール」となる。
【0089】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0090】
図9〜図12は、複合機10によるジョブ実行の動作を示す流れ図である。図13〜図16は、本動作において複合機10の表示部17に表示される画面の一例を示す図である。これらの図を用いて、複合機10の動作を詳細に説明する。
【0091】
ここでは、複合機10がユーザ(操作者)から操作を受けて実行する原稿のコピー(複写印刷)や送信のジョブを例に説明する。また複合機10は、原稿から読み取った画像の出力に承認が必要であるか否かを、原稿に電子透かし情報が有るか否かで判断する(自動判断)。
【0092】
たとえば、機密文書などの原稿には、当該原稿内の情報が機密情報(出力に承認が必要)であることを示す文字(「機密」、「社外秘」など)やマークなどの所定の情報を、電子透かしで予め付加しておく。
【0093】
複合機10は、原稿を読み取って取得した画像内に電子透かし情報が無い場合には、その画像の出力に対しては承認が不要であると判断する。電子透かし情報が有る場合には、その画像の出力に対しては承認が必要であると判断し(要承認)、所定の承認者に承認を依頼する。
【0094】
所定の承認者は、事前に決めておいた1人の承認者でもよいし、複数人の承認者の中から、ユーザ毎や原稿毎に決めるようにしてもよい。
【0095】
ユーザ毎に決める場合には、要承認ジョブの実行を指示したユーザ(部下)の管理者(上長)とすることが好ましい。たとえば、部門名、部門毎の所属ユーザ、部門毎の管理者と承認依頼通知先(管理者端末35のID、IPアドレス、電子メールアドレスなど)を登録した部門情報テーブル(リスト)を、複合機10の不揮発メモリ15に記憶しておき、複合機10がそのテーブル情報に基づいて、要承認ジョブの実行を指示したユーザの管理者を特定し、その管理者(承認者)に承認を依頼する。
【0096】
原稿毎に決める場合には、たとえば、承認先を示す承認先情報(部門管理者の識別情報(氏名など)、管理者端末35のID、IPアドレス、電子メールアドレスなど)も電子透かしにして原稿に付加しておき、原稿から読み取った画像内の電子透かし情報に含まれている承認先情報に基づいて、原稿毎に承認先の管理者を特定し、その管理者(承認者)に承認を依頼する。なお、承認先情報が原稿に付加されている場合には、複合機10はその承認先情報によって、当該原稿の画像の出力に対しては承認が必要であると自動判断できるので、上述した、当該原稿が機密情報(出力に承認が必要)であることを示す文字やマークなどの情報は省略することもできる。
【0097】
また複合機10は、画像の出力に対して承認が必要であると判断したジョブは承認待ち状態にして管理すると共に、当該ジョブに係る原稿の画像データは、一時的に保存したRAM14から、ハードディスク装置16に退避保存して管理する。さらに、当該ジョブに関する設定情報(ジョブ種別情報、送信系のジョブの場合は送信先情報など)と、承認者情報(管理者情報)と、ユーザ情報(操作者情報)と、復帰モード情報を当該ジョブ(ジョブIDなど)に関連付けて不揮発メモリ15に保存し、これらの情報を使用して承認依頼通知メールを作成し、承認先に送信する。
【0098】
なお、図9〜図12については、ログイン・ユーザ(操作者)から受け付けた通常ジョブ(承認不要ジョブ)の実行、要承認ジョブの承認待ち(保存・管理)、承認依頼通知メールの送信、承認結果通知メールの受信、承認結果に応じた承認待ちジョブの実行/非実行の流れで説明する。また本例では、承認先は原稿毎に決めるようにしている。すなわち、承認先情報を電子透かしにして原稿に付加しておき、その原稿から読み取った電子透かしの承認先情報によって示される承認先に、当該原稿の画像の出力に対する承認を依頼するようにしている。
【0099】
複合機10がセキュリティモードで動作している場合には、CPU11は、ユーザ(操作者)を認証(特定)するための認証情報の入力を受け付けるログイン画面を表示部17に表示する(ステップS101)。図13に、ログイン画面60の一例を示す。ログインに必要となる認証情報は、本例では、ユーザIDとパスワード、または、指紋情報などである。ユーザIDとパスワードは、操作部18のキー操作で入力を受け付ける。指紋情報は、指紋リーダによる指紋の読み取りで入力を受け付ける。
【0100】
図9では、CPU11は、ユーザから認証情報の入力を受け付けるか否かを監視し(ステップS102;No)、承認結果通知メールを受信するか否かを監視する(ステップS103;No)。
【0101】
認証情報の入力を受け付け、その認証情報を不揮発メモリ15内の照合用の認証情報と照合し、認証を完了した場合には(ステップS102;Yes(ログイン成功))、CPU11は、そのログインしたユーザに対する承認結果通知メールの有無を検索する(ステップS104)。該当する承認結果通知メールがある場合には(ステップS104;Yes)、図12のステップS151へ移行する(詳細は後述)。該当する承認結果通通知メールがない場合には(ステップS104;No)、ユーザからジョブの設定を受け付ける(ステップS105)。
【0102】
ここでは、上述した、原稿のコピー(複写印刷)ジョブ、または、原稿の送信ジョブ、または、原稿の送信+印刷ジョブの設定を、操作部18を通じて受け付ける。なお、送信ジョブと送信+印刷ジョブの設定では、送信先情報(送信宛先)の設定を受け付ける。ユーザは、ジョブの設定を完了すると、そのジョブの実行を複合機10に指示するために、操作部18のスタートキーを押下する。
【0103】
CPU11は、スタートキーが押下されると(ステップS106;Yes)、スキャナ部21にセットされている原稿の有無を検知する(ステップS107)。原稿を検知しない場合には(ステップS107;No)、ユーザに対して警告を促すために、「原稿をセットしてください」などの、原稿のセットを要求する旨のメッセージを表示部17に表示する(ステップS108)。そして、ステップS106へ戻り、スタートキーの押下待ち状態にする。
【0104】
スタートキーが押下されたときに、スキャナ部21にセットされている原稿を検知した場合には(ステップS107;Yes)、CPU11は、設定されたジョブを受け付け、そのジョブにID(ジョブNo)を付与する。また、スキャナ部21に原稿の読み取りを開始させ(ステップS109)、スキャナ部21が読み取った原稿の画像データを、画像処理部22を介してRAM14に一時的に保存する(ステップS110)。このとき、画像処理部22は画像データを解析し、画像データ内の電子透かし情報の有無を判別する。画像データが複数ページの場合は、その判別をページ単位で全ページに対して行う(ステップS111)。
【0105】
全ての原稿の読み取りを完了し、その画像データの全てのページに電子透かし情報がない場合には(ステップS111;No)、CPU11は当該ジョブを通常ジョブとして実行する(ステップS112→ステップS113;No)。
【0106】
通常ジョブに対しては、設定内容に従い、当該ジョブに係る画像データを印刷または送信する。
【0107】
コピーの場合には、CPU11はプリンタ部23を制御し、RAM14に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力する。ファクシミリ送信の場合には、CPU11はファクシミリ通信部19を制御し、RAM14に保存されている画像データを、公衆回線を通じて送信先の外部装置に送信する。スキャン送信の場合には、CPU11はネットワーク通信部20を制御し、RAM14に保存されている画像データを、ネットワーク2を通じて送信先の端末装置やサーバ装置などに送信する。また、送信(ファクシミリ送信)+印刷の場合には、CPU11は、ファクシミリ通信部19を制御し、RAM14に保存されている画像データを、公衆回線を通じて送信先の外部装置に送信し、その送信後にプリンタ部23を制御し、RAM14に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力する。
【0108】
CPU11は、ジョブの実行を完了すると(ステップS113;Yes)、RAM14に保存していた当該ジョブに係る原稿の画像データを削除する(ステップS114)。そして、ユーザからログアウト操作を受けた場合には(ステップS115;Yes)、ステップS101へ戻り、ログアウト操作を受けない場合には(ステップS115;No)、ステップS104へ戻る。
【0109】
一方、原稿から読み取った画像データ内の1ページにでも電子透かし情報があった場合には(ステップS111;Yes)、その電子透かし情報を一時的にRAM14に保存し、図10のステップS121へ移行する。
【0110】
ステップS121では、CPU11は当該ジョブのジョブ種別を確認する。ジョブ種別が送信の場合には(ステップS121;送信)、CPU11は、当該ジョブのジョブ種別を示す“送信”を当該ジョブ(ジョブID)に関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS122)。さらに、ユーザの設定した送信先情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS123)。そして、即開始モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面(図14の復帰モード選択画面70を参照)を表示部17に表示し(ステップS124)、ステップS129へ移行する。
【0111】
ジョブ種別が印刷の場合には(ステップS121;印刷)、CPU11は、当該ジョブのジョブ種別を示す“印刷”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS125)。そして、待機モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面を表示部17に表示し(ステップS128)、ステップS129へ移行する。
【0112】
ジョブ種別が送信+印刷の場合には(ステップS121;送信+印刷)、CPU11は、当該ジョブのジョブ種別を示す“送信+印刷”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS126)。さらに、ユーザの設定した送信先情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS127)。そして、待機モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面を表示部17に表示し(ステップS128)、ステップS129へ移行する。なお、送信+印刷ジョブに対して初期選択状態にする復帰モードは、待機モードではなく即開始モードにするようにしてもよい。
【0113】
ステップS129では、CPU11は、RAM14に保存した電子透かし情報から承認者情報を抽出し、その承認者情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS129)。さらに、現在ログイン中のユーザのユーザ情報(ユーザID、氏名など)を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS130)。
【0114】
CPU11は、表示部17に表示した復帰モード選択画面を通じて、ユーザから復帰モードの選択を受け付けるか否かを監視する(ステップS131;No)。図14に、復帰モード選択画面70の一例を示す。
【0115】
復帰モード選択画面70には、即開始モードと待機モードのそれぞれのモード選択ボタンが表示される。図中では、選択状態のモード選択ボタンをハッチングで示しており、本図では即開始モードが選択状態であることを表している。
【0116】
ユーザは、初期選択状態の復帰モード(即開始モード/待機モード)で構わない場合には、画面内のOKボタンを押下し、復帰モードの選択を確定する。復帰モードを変更する場合には、画面内の非選択状態のモード選択ボタンを押下して復帰モードを切り替え、OKボタンを押下して、復帰モードの変更・選択を確定する。また、要承認となった当該ジョブをキャンセルする場合には、中止ボタンを押下する。
【0117】
図10では、CPU11は、復帰モード選択画面を通じて復帰モードの選択の確定を受け付けると(ステップS131;Yes)、選択された復帰モードを示す復帰モード情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS132)。
【0118】
続いてCPU11は、当該ジョブ(実行ジョブ)を承認待ちジョブに変更し(ステップS133)、RAM14に保存した当該ジョブに係る原稿の画像データを、RAM14からハードディスク装置16に退避保存する(ステップS134)。この退避保存は、RAM14に保存した画像データをハードディスク装置16にコピーし、コピー後にRAM14内からその画像データを削除することで行う。
【0119】
続いてCPU11は、不揮発メモリ15に保存した各種情報(ジョブ種別、送信先情報、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブに付与したジョブID(ジョブNo)を使用して、承認依頼通知メールを作成する(ステップS135)。本通知メールを作成すると、RAM14に保存しておいた電子透かし情報を削除し、承認者情報によって示されるその承認者の管理者端末35に承認依頼通知メールを送信する(ステップS136)。そして、ユーザからログアウト操作を受けた場合には(ステップS137;Yes)、ステップS101へ戻り、ログアウト操作を受けない場合には(ステップS137;No)、ステップS104へ戻る。
【0120】
承認依頼通知メールの詳細は、図3、図5、図7で説明した通りである。この承認依頼通知メールを受信した管理者端末35を使用する承認者は、その管理者端末35を通じて承認依頼通知メールを確認し、前述したように承認結果通知メール(承認通知メール/承認却下通知メール)を作成して(図4、図6、図8参照)、管理者端末35から複合機10に返信する。
【0121】
複合機10は、管理者端末35から承認結果通知メールを受信すると、図9のステップS103;Yesから図11のステップS141へ移行し、ステップS141以降を行う。
【0122】
ステップS141では、CPU11は、受信した承認結果通知メールを不揮発メモリ15に保存する。また、この承認結果通知メールに記載されているユーザ情報に基づいて、そのユーザのユーザ端末30に、不揮発メモリ15に保存したこの承認結果通知メールを送信(転送)する(ステップS142)。
【0123】
続いてCPU11は、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[承認状況]に記載されている情報を確認する(ステップS143)。「承認却下」が記載されている場合には(ステップS143;承認却下(承認却下通知メール受信時))、CPU11は当該通知メールに係る承認待ちジョブの承認が得られなかったと判断する。この場合は、不揮発メモリ15に保存されている、この承認が却下された承認待ちジョブに関する各種情報(ジョブ種別、送信先情報、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブに係る承認結果通知メールを削除し、ハードディスク装置16に保存されている、当該ジョブに係る原稿の画像データを削除して(ステップS144)、ステップS101へ戻る。
【0124】
承認結果通知メールにおける承認通信欄の[承認状況]に、「承認済み」が記載されている場合には(ステップS143;承認済み(承認通知メール受信時))、CPU11は当該通知メールに係る承認待ちジョブの承認が得られたと判断し、その承認待ちジョブを承認済み待機ジョブに変更する。また、不揮発メモリ15に保存されている、当該ジョブ(承認待ち状態から承認済み待機状態に変更したジョブ)のジョブ種別を確認する(ステップS145)。
【0125】
ジョブ種別が“印刷”または“送信”の場合には(ステップS145;No)、ステップS150へ移行する。ジョブ種別が“送信+印刷”の場合には(ステップS145;Yes)、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[ジョブ種別]に記載されているジョブ種別情報を確認する(ステップS146)。ジョブ種別情報が「送信+印刷」であれば(ステップS146;Yes)、不揮発メモリ15に保存されているジョブ種別の“送信+印刷”と一致し、承認者によってジョブ種別が変更されていないことになり、この場合はステップS150へ移行する。
【0126】
承認結果通知メールにおける承認通信欄の[ジョブ種別]に記載されているジョブ種別情報が「印刷」であれば(ステップS146;No→ステップS147;Yes)、承認者によってジョブ種別が印刷に変更されたことになり(印刷のみ許可)、この場合は当該ジョブ(承認済み待機ジョブ)を、設定時の送信+印刷ジョブから印刷ジョブに変更し(ステップS148)、ステップS150へ移行する。
【0127】
承認結果通知メールにおける承認通信欄の[ジョブ種別]に記載されているジョブ種別情報が「送信」であれば(ステップS146;No→ステップS147;No)、承認者によってジョブ種別が送信に変更されたことになり(送信のみ許可)、この場合は当該ジョブ(承認済み待機ジョブ)を、設定時の送信+印刷ジョブから送信ジョブに変更し(ステップS149)、ステップS150へ移行する。
【0128】
ステップS150では、CPU11は、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[復帰モード]に記載されている復帰モード情報を確認する(ステップS150)。この復帰モード情報が「待機モード」である場合には(ステップS150;待機モード)、図9のステップS101へ戻る。「即開始モード」である場合には(ステップS150;即開始モード)、図12のステップS154へ移行する(詳細は後述)。
【0129】
図9では、ステップS104で、ログインしたユーザに対する承認結果通知メールの有無を不揮発メモリ15内で検索し、該当する承認結果通知メールがある場合には(ステップS104;Yes)、図12のステップS151へ移行する。ステップS151では、CPU11は、表示部17に承認済み待機ジョブの通知画面を表示し、その後、承認済み待機ジョブの選択画面を表示する(ステップS151)。
【0130】
図15に、承認済み待機ジョブ通知画面80の一例を示す。承認済み待機ジョブ通知画面80は、ログイン画面60上にポップアップ表示される。図16に、承認済み待機ジョブ選択画面90の一例を示す。承認済み待機ジョブ選択画面90には、ログイン・ユーザ(操作者)に係る承認済み待機ジョブが一覧表示される。
【0131】
図12では、CPU11は、承認済み待機ジョブ選択画面を通じて、承認済み待機ジョブの選択を受け付けるか否かを監視する(ステップS152;No)。承認済み待機ジョブの選択を受けると(ステップS152;Yes)、スタートキーの押下を受け付けるか否かを監視する(ステップS153;No)。スタートキーの押下を受けると(ステップS153;Yes)、CPU11は、ハードディスク装置16に退避保存されている、この選択された承認済み待機ジョブに係る原稿の画像データを、RAM14に戻す(ステップS154)。
【0132】
また、図11のステップS150において、管理者端末35から受信し不揮発メモリ15に保存した承認結果通知メールによる復帰モードが「即開始モード」であった場合には、この図12のステップS154以降を行う。この場合、CPU11は、受信・保存した承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブを特定し、ハードディスク装置16に退避保存されている、その特定した承認済み待機ジョブに係る原稿の画像データを、RAM14に戻す(ステップS154)。
【0133】
ハードディスク装置16からRAM14への画像データの戻しは、ハードディスク装置16に退避保存されている画像データをRAM14にコピーし、コピー後にハードディスク装置16内からその画像データを削除することで行う。
【0134】
CPU11は、承認済み待機ジョブ選択画面を通じて選択された承認済み待機ジョブ、または、承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブを、実行ジョブに変更し(ステップS155)、そのジョブを実行する(ステップS156→ステップS157;No)。このステップS156の内容は、図9のステップS112と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0135】
CPU11は、ジョブの実行を完了すると(ステップS157;Yes)、不揮発メモリ15に保存されている当該ジョブに関する各種情報(ジョブ種別、送信先情報、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブに係る承認結果通知メールを削除し、RAM14に保存していた当該ジョブに係る原稿の画像データを削除する(ステップS158)。そして、ユーザからログアウト操作を受けた場合には(ステップS159;Yes)、ステップS101へ戻り、ログアウト操作を受けない場合には(ステップS159;No)、ステップS104へ戻る。
【0136】
なお、ここでは原稿のコピーや送信を例に説明したが、複合機10がユーザ端末30から受け付けるプリントジョブや送信ジョブについても同様に処理できる。すなわち、複合機10は、ユーザ端末30から受信したジョブ(プリント/送信)が画像の出力に承認を必要とするジョブであると判断した場合は、そのジョブを承認待ち状態にして、所定の承認者にそのジョブによる画像の出力に対しての承認を求める。承認者から承認が得られた場合は、そのジョブを即開始モードまたは待機モードのいずれで実行するかを、そのジョブの出力形態(プリント/送信)に応じて切り替えることが可能である。
【0137】
また、ユーザ端末30から受信したジョブが要承認であると判断し、そのユーザ端末30を通じてユーザから復帰モード(即開始モード/待機モード)の選択を受け付ける場合には、複合機10はユーザ端末30と通信し、ユーザ端末30のドライバプログラムによって、ユーザ端末30の表示部に、図14に例示したような復帰モード選択画面を表示させ、その画面を通じて、ユーザから復帰モードの選択を受け付けることが可能である。
【0138】
また、図9〜図12に示した本実施形態に係る動作では、ジョブの属性(出力形態/ジョブ種別)に応じた初期設定(初期選択状態)の復帰モード(即開始モード/待機モード)をユーザに提示し、その復帰モードの了解/変更(ユーザ選択)を受け付けるようにしているが、このユーザによる復帰モードの変更は受け付けない構成としてもよい。また、承認依頼通知メールに復帰モードを付加して送信し、承認者からの承認結果通知メール(承認通知メール)で復帰モードの変更(指定)を受け付けるようにしているが、この承認者による復帰モードの変更は受け付けない構成としてもよい。さらに、承認依頼通知メールにジョブ種別(出力形態/ジョブの属性)を付加して送信し、承認者からの承認結果通知メール(承認通知メール)でジョブ種別の変更(指定)を受け付けるようにしているが、この承認者によるジョブ種別の変更は受け付けない構成としてもよい。すなわち、ユーザによる復帰モードの選択、承認者による復帰モードとジョブ種別(ジョブの属性)の指定を受けずに、ユーザから受け付けたジョブの属性に応じた初期設定の復帰モードに自動で切り替えるようにしてもよい。
【0139】
この場合は、図3、図5、図7に示した承認依頼通知メールにおいて、承認通知欄の[ジョブ種別]と[復帰モード]の項目を省略し、承認者から受信する承認結果通知メール(図4、図6、図8参照)で、ジョブ種別や復帰モードの指定(変更)を受け付けない構成とする。また、図14に示した、復帰モードの選択を受け付ける復帰モード選択画面70は、ジョブの属性に応じた初期設定の復帰モードを報知する復帰モード報知画面などに置き換える。図10のステップS124およびステップS128では、「選択画面」を「報知画面」に置き換え、ステップS131は削除する。図11のステップS150では、受信した承認結果通知メールにおける承認通信欄の[復帰モード]に記載されている復帰モード情報を確認するのではなく、受信した承認結果通知メールに該当するジョブ(承認待ちジョブ)の不揮発メモリ15に記憶されている復帰モード情報を確認する。以上の変更および置き換えにより、ユーザから受け付けたジョブの属性に応じた初期設定の復帰モードに自動で切り替えられるようになる。
【0140】
このように、本実施形態に係る複合機10は、受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対して承認を求める承認依頼通知(承認依頼通知メール)を所定の承認者に送信する。その承認者から、承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知(承認通知メール)を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作(ジョブの実行を即開始する即開始モードによる実行動作)と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作(ユーザから実行指示操作を受けてジョブを実行する待機モードによる実行動作)のいずれを行うかを、該ジョブの出力形態(ジョブ種別)に応じて切り替える。
【0141】
詳細には、送信系のジョブは、承認者から承認通知を受信すると、即開始モードに切り替えて、自動実行する。送信は、出力物の秘匿性は受信機側での出力状態に依存するので、送信機側(複合機10側)で承認後に自動送信する場合と、実行指示操作を受けて送信する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。また、印刷系のジョブは、承認者から承認通知を受信すると、待機モードに切り替えて、実行指示操作を受けてから実行する。印刷は、承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる。この送信と印刷では、秘匿性のレベルが異なり、印刷に比べて送信の方が秘匿性のレベルが高い(送信に比べて印刷の方が秘匿性のレベルが低い)とも言える。
【0142】
これにより、承認待ち状態のジョブに対する承認後の開始タイミングを、該ジョブの出力形態(ジョブ種別)に応じて、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。したがって、この切り替えを行うための設定操作などが不要となり、操作の負担が軽減される。
【0143】
また、実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらない送信系のジョブは、承認後に、実行指示操作を受けずに自動実行することで、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。また、実行指示操作を受けて実行すると出力時の秘匿性が高くなる印刷系のジョブは、承認後に、自動実行せずに実行指示操作を受けて実行することで、セキュリティが確保される。
【0144】
また、承認を必要とするジョブに対して、承認後に該ジョブを即開始モードまたは待機モードのいずれで実行するかの選択指示(復帰モードのユーザ選択)を受けた場合には、その選択された復帰モードへの切り替えを行う。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の実行動作を、ジョブ毎に選択できるようになる。
【0145】
なお、本実施形態では、ジョブの属性(出力形態/ジョブ種別)に応じた初期設定の復帰モード(即開始モード/待機モード)を識別可能にしてユーザに提示し、その初期設定の復帰モードに対する了解/変更(ユーザ選択)を受け付けるようにしているが、初期設定を提示せずに、ユーザから、所望する復帰モード(即開始モード/待機モード)の直接選択を受け付けるようにしてもよい。
【0146】
また承認者は、承認依頼通知で承認を求められたジョブ(承認待ち状態のジョブによる画像の出力)に対する承認通知において、承認後に該ジョブを即開始モードまたは待機モードのいずれで実行するかを、自己の権限で変更することができる。複合機10は、承認者から受信した承認通知で、復帰モードの変更を受けている場合には、その変更を最優先させ、変更された復帰モードへの切り替えを行う。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の復帰モードを、承認者がジョブ毎に変更できるようになる。
【0147】
なお、本実施形態では、承認依頼通知メールの承認通知欄における[復帰モード]に記載されている「即開始モード」と「待機モード」のうちの一方を承認者が削除することで、復帰モードに対する了解/変更(承認者指定)を受け付けるようにしているが、承認者から、承認(許可)する復帰モードの直接指定を受け付けるようにしてもよい。たとえば、承認依頼通知メールの承認依頼内容における[復帰モード]の項目には「即開始モード」と「待機モード」のいずれでもよい旨を記載し、承認通知欄における[復帰モード]の項目は空欄にして承認者に送信する。承認者は、この承認依頼通知メールに対する返信メールとして作成する承認結果通知メールで、承認通知欄における[復帰モード]の項目に「即開始」または「待機」などを記入することにより、復帰モードの指定が可能である。
【0148】
また承認者は、承認依頼通知で承認を求められたジョブ(本実施形態では送信+印刷ジョブ)に対する承認通知において、該ジョブの出力形態(ジョブ種別)を、自己の権限で変更することができる。複合機10は、承認者から受信した承認通知で、出力形態の変更を受けている場合には、ジョブの出力形態をそれに従い変更する。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の出力形態を、承認者がジョブ毎に変更できるようになる。
【0149】
なお、本実施形態では、送信+印刷ジョブによる承認依頼通知メールの承認通知欄における[ジョブ種別]に記載されているジョブ種別情報(「送信+印刷」、「送信」、「印刷」)を承認者が一部削除することで、ジョブ種別(出力形態)に対する了解/変更(承認者指定)を受け付けるようにしているが、承認者から、承認(許可)するジョブ種別の直接指定を受け付けるようにしてもよい。たとえば、承認依頼通知メールの承認依頼内容における[ジョブ種別]の項目には「送信+印刷」と「送信」のいずれでもよい旨、または、「送信+印刷」と「印刷」のいずれでもよい旨を記載し、承認通知欄における[ジョブ種別]の項目は空欄にして承認者に送信する。承認者は、この承認依頼通知メールに対する返信メールとして作成する承認結果通知メールで、承認通知欄における[ジョブ種別]の項目に「送信+印刷」または「送信」または「印刷」などを記入することにより、ジョブ種別の指定が可能である。
【0150】
また複合機10は、承認待ち状態のジョブデータ(原稿の画像データ)を、ジョブ実行時にジョブデータを一時的に保存するRAM14からハードディスク装置16に退避保存することで、承認待ち状態のジョブの数が増えても、RAM14に承認待ち状態のジョブデータが蓄積されることを回避できる。承認を必要としないジョブを実行する場合には、そのジョブデータをRAM14に一時的に保存し、RAM14を有効に利用して処理を行うことができる。
【0151】
また複合機10は、原稿のコピーや送信を行うジョブにおいて、原稿に所定の情報(電子透かし情報やRFID情報など)が付加されている場合には、そのジョブは画像の出力に承認を必要とするジョブであると自動判断する。たとえば、機密情報などが印刷された原稿においては、その原稿に予め所定の情報を付加しておくことにより、その原稿を読み取って取得した画像の出力に対しては自動で要承認とすることができ、その画像の出力に対するセキュリティを確保できる。
【0152】
続いて、第2〜第4の実施形態では、複合機10による保存系のジョブに対する実行動作について説明する。
【0153】
[第2の実施形態]
複合機10がユーザ操作で受け付ける保存系のジョブには、原稿画像を複合機10内に保存するジョブや複合機10に接続された外部メモリに保存するジョブ、複合機10内に保存されている画像を外部メモリに保存するジョブ、外部メモリに保存されている画像を複合機10内に保存するジョブなどがある。これらのうち、複合機10内に原稿画像を保存するジョブは、複合機10のハードディスク装置16に設定したBOX(画像保存用フォルダ)に原稿のスキャン画像(ファイル)を保存するスキャン to BOXのジョブである。また、複合機10に接続された外部メモリに原稿画像を保存するジョブは、複合機10に接続されたUSBメモリなどに原稿のスキャン画像を保存するスキャン to USBのジョブである。
【0154】
図17および図18は、複合機10が管理者端末35へ送信する保存系のジョブの承認依頼通知メール(44)と、管理者端末35から受信するその承認結果通知メール(54a、54b)の一例を示している。
【0155】
保存系のジョブに係るこれらの通知メールも、記載内容の構成(記載項目)、および、承認者による承認方法(承認の仕方と承認内容の変更の仕方)は、図3〜図8に例示した印刷系および送信系のジョブに係る通知メールと同様である。記載内容の詳細で異なるのは、[ジョブ種別]が「保存」となっている点である。また、[復帰モード]は、送信系のジョブと同じく、初期設定では「即開始モード」が自動選択されるようになっている。ただし、図14に例示した復帰モード選択画面70で説明したように、この自動選択された復帰モードはユーザが変更できる。
【0156】
なお、図17の承認依頼通知メール44では、[復帰モード]として「即開始モード」が選択されたものを例示している。また、図18の2つの承認結果通知メールのうち、(A)の承認結果通知メール54aでは、承認者が[復帰モード]として「即開始モード」を許可(承認)したものを例示しており、(B)の承認結果通知メール54bでは、承認者が[復帰モード]として「待機モード」を許可(承認)したものを例示している。
【0157】
また、図19および図20に、印刷系と保存系のジョブに係る通知メールの変形例を示す。
【0158】
図19は、印刷系のジョブに係る変形例の承認依頼通知メール45と承認結果通知メール55を示している。本例は、画像の印刷(原稿のコピーなど)と共に保存を行うジョブに対する通知メールである。承認依頼通知メール45では、承認通知欄における[ジョブ種別]に「印刷」と「保存」が記載されており、印刷と保存の承認を求めることを示している。[復帰モード]には、括弧書きで記載されていない「待機モード」が選択され、括弧書きで記載された「即開始モード」が非選択であることを示している。
【0159】
この承認依頼通知メール45に対する承認結果通知メール55では、承認通知欄における[ジョブ種別]には「印刷」のみが記載されていることで(「保存」は削除)、印刷のみが承認されたことを示している。[復帰モード]には「待機モード」のみが記載されていることで(括弧書きの「即開始モード」は削除)、待機モードが承認されたことを示している。
【0160】
図20は、保存系のジョブに係る変形例の承認依頼通知メール46と承認結果通知メール56を示している。本例は、画像の保存(原稿のスキャン保存など)と共に印刷を行うジョブに対する通知メールである。承認依頼通知メール46では、承認通知欄における[ジョブ種別]に「印刷」と「保存」が記載されており、印刷と保存の承認を求めることを示している。[復帰モード]には、括弧書きで記載されていない「待機モード」が選択され、括弧書きで記載された「即開始モード」が非選択であることを示している。
【0161】
この承認依頼通知メール46に対する承認結果通知メール56では、承認通知欄における[ジョブ種別]には「保存」のみが記載されていることで(「印刷」は削除)、保存のみが承認されたことを示している。[復帰モード]には「待機モード」のみが記載されていることで(括弧書きの「即開始モード」は削除)、待機モードが承認されたことを示している。
【0162】
図21〜図24は、第2の実施形態に係るジョブ実行の動作を示す流れ図である。本動作は、第1の実施形態で説明した図9〜図13に対し、送信系のジョブを保存系のジョブに置き換えたものである。ここでは、第1の実施形態と基本的に同じ処理内容のステップには同じステップ番号を付してその説明を省略し、主に異なる処理内容のステップ(追加、削除、同じステップ番号でも処理内容が一部異なるものなど)について説明する。
【0163】
図21では、複合機10のCPU11は、ステップS105でユーザからジョブの設定を受け付ける。ここでは、原稿のコピー(複写印刷)ジョブ、または、原稿のスキャン画像を複合機10内のBOX(ハードディスク装置16)に保存するジョブ(BOX保存ジョブ)、または、原稿のスキャン画像を複合機10の外部メモリ接続部24に接続されたUSBメモリに保存するジョブ(USBメモリ保存ジョブ)の設定を、操作部18を通じて受け付ける。
【0164】
全ての原稿の読み取りを完了し、その画像データの全てのページに電子透かし情報がない場合には(ステップS111;No)、CPU11は当該ジョブを通常ジョブとして実行する(ステップS212→ステップS213;No)。通常ジョブに対しては、設定内容に従い、当該ジョブに係る画像データを印刷または保存(BOX保存/USBメモリ保存)する。
【0165】
図22では、CPU11は、ステップS221で当該ジョブのジョブ種別を確認する。ジョブ種別が印刷の場合には(ステップS221;印刷)、CPU11は、第1の実施形態と同じく、当該ジョブのジョブ種別を示す“印刷”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存し(ステップS125)、待機モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面を表示部17に表示して(ステップS128)、ステップS129へ移行する。
【0166】
ジョブ種別が保存の場合には(ステップS221;保存)、CPU11は、当該ジョブのジョブ種別を示す“保存”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存し(ステップS222)、即開始モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面を表示部17に表示して(ステップS124)、ステップS129へ移行する。
【0167】
図23では、CPU11は、ステップS143で、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[承認状況]に記載されている情報を確認し、「承認済み」が記載されている場合には(ステップS143;承認済み(承認通知メール受信時))、CPU11は当該通知メールに係る承認待ちジョブの承認が得られたと判断し、その承認待ちジョブを承認済み待機ジョブに変更する。
【0168】
続いて、CPU11は、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[復帰モード]に記載されている復帰モード情報を確認する(ステップS150)。この復帰モード情報が「待機モード」である場合には(ステップS150;待機モード)、図21のステップS101へ戻る。「即開始モード」である場合には(ステップS150;即開始モード)、図24のステップS154へ移行する。
【0169】
図24では、CPU11は、ステップS155で、承認済み待機ジョブ選択画面を通じて選択された承認済み待機ジョブ、または、承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブを、実行ジョブに変更し、そのジョブを実行する(ステップS256→ステップS257;No)。このステップS256の内容は、図21のステップS212と同様である。
【0170】
このように、本実施形態では、承認待ち状態の印刷系と保存系のジョブに対する承認後の開始タイミングを、該ジョブの出力形態(ジョブ種別)に応じて、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができ、この切り替えを行うための設定操作などが不要となって操作の負担が軽減される。
【0171】
また、複合機10内のBOX(ハードディスク装置16)に画像を保存するジョブは、承認後に自動保存する場合と、実行指示操作を受けて保存する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。複合機10に接続されたUSBメモリに画像を保存するジョブにおいても、そのUSBメモリを厳重に保管したり、パスワードロックを掛けたりすることで、他人が扱えない状態に管理すれば、出力時の秘匿性は変わらないと言える。
【0172】
このように、保存系のジョブも送信系のジョブと同様に、実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらないので、保存系のジョブは承認後に実行指示操作を受けずに自動実行することで、ユーザが複合機10まで訪れて該ジョブの実行指示を行う必要がなくなり、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。
【0173】
[第3の実施形態]
【0174】
図25〜図28は、第3の実施形態に係るジョブ実行の動作を示す流れ図である。本動作は、第1の実施形態で説明した印刷系と送信系のジョブに対する動作と、第2の実施形態で説明した保存系のジョブに対する動作とを網羅したものである。
【0175】
本実施形態に係る図25〜図28の各処理ステップは、基本的には、第1の実施形態に係る図9〜図13の各処理ステップと、第2の実施形態に係る図21〜図24の各処理ステップとを統合したものである。図9〜図13および図21〜図24に対して異なるのは、図25におけるジョブ実行に係るステップS312、S313と、図26におけるジョブ種別情報の判断および不揮発メモリ15への保存に係るステップS321、S322、S323と、図28におけるジョブ実行に係るステップS356、S357である。図27の各処理ステップは、図11と同じである。
【0176】
図25〜図28の各処理ステップは、上記のように第1および第2の実施形態で説明した各処理ステップを統合したものであり、処理内容の詳細については前述しているので、ここでは説明を割愛する。
【0177】
[第4の実施形態]
【0178】
図29〜図32は、第4の実施形態に係るジョブ実行の動作を示す流れ図である。本動作は、第2の実施形態で説明した印刷系と保存系のジョブに対する動作の変形例である。
【0179】
本実施形態では、保存系のジョブに対するセキュリティを高めるために、画像の保存に承認を必要とするジョブ(電子透かし情報がある画像の保存ジョブ)については、その画像を暗号化して保存する。また、この暗号化して保存した画像を印刷するジョブの実行指示を受けた場合は、該ジョブを承認待ち状態にして承認依頼通知メール(図17参照)を所定の管理者(管理者端末35)に送信する。その管理者から承認(了承)を示す承認結果通知メール(図18参照)を受信した場合は、該ジョブの実行を許可し、画像を復号化して印刷する。
【0180】
ここでは、第1および第2の実施形態と基本的に同じ処理内容のステップには同じステップ番号を付してその説明を省略し、主に異なる処理内容のステップ(追加、同じステップ番号でも処理内容が一部異なるものなど)について説明する。
【0181】
図29では、複合機10のCPU11は、ステップS105でユーザからジョブの設定を受け付ける。ここでは、原稿のコピー(複写印刷)ジョブ、または、原稿のスキャン画像を複合機10内のBOX(ハードディスク装置16)に保存するジョブ(BOX保存ジョブ)、または、原稿のスキャン画像を複合機10の外部メモリ接続部24に接続されたUSBメモリに保存するジョブ(USBメモリ保存ジョブ)、または、複合機10内のBOXに保存されている画像を指定して印刷するジョブ、または、複合機10の外部メモリ接続部24に接続されたUSBメモリに保存されている画像を指定して印刷するジョブの設定を、操作部18を通じて受け付ける。
【0182】
CPU11は、スタートキーが押下されてジョブの実行指示を受け(ステップS106;Yes)、スキャナ部21の原稿を検知しない場合(ステップS107;No)、この実行指示を受けたジョブが、コピーまたはBOX保存またはUSBメモリ保存のジョブである場合には(ステップS401;No)、ステップS108へ移行する。そして、ユーザに対して警告を促すために、「原稿をセットしてください」などの、原稿のセットを要求する旨のメッセージを表示部17に表示し(ステップS108)、ステップS106へ戻り、スタートキーの押下待ち状態にする。
【0183】
実行指示を受けたジョブが、BOXまたはUSBメモリに保存されている画像を指定して印刷するジョブである場合には(ステップS401;Yes)、CPU11は、その指定された画像(画像データのファイル)が暗号化されているか否かを確認する(ステップS402)。指定された画像が暗号化されていない場合は(ステップS402;No)、指定された画像をRAM14にコピーし(ステップS403)、そのRAM14内の画像を印刷するジョブを実行する(ステップS212、S213;No)。
【0184】
CPU11は、ジョブの実行を完了すると(ステップS213;Yes)、RAM14に保存していた当該ジョブに係る画像を削除する(ステップS414)。
【0185】
一方、指定された画像が暗号化されている場合は(ステップS402;Yes)、CPU11は、その指定された画像の印刷に対する承認依頼通知内容を当該ジョブ(ジョブID)に関連付けて不揮発メモリ15に保存し(ステップS404)、当該ジョブのジョブ種別を示す“印刷”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS405)。
【0186】
承認依頼通知内容の詳細は、承認依頼通知メールを作成するために必要となる前述の承認者情報、ユーザ情報(現在ログイン中のユーザ)、復帰モード情報などである。これらの各種情報は、後述する図32のステップS463で、BOXまたはUSBメモリに保存した画像(暗号化した画像データ)に関連付けて、その画像の保存先となるBOXまたはUSBメモリに保存している。ここでは、指定された画像に関連付けてBOXまたはUSBメモリに保存されている各種情報(承認依頼通知内容)を、当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する。
【0187】
CPU11は、待機モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面(図14参照)を表示部17に表示し(ステップS406)、復帰モード選択画面を通じて、ユーザから復帰モードの選択を受け付けるか否かを監視する(ステップS407;No)。CPU11は、復帰モード選択画面を通じて復帰モードの選択の確定を受け付けると(ステップS407;Yes)、選択された復帰モードを示す復帰モード情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存し(ステップS408)、当該ジョブ(実行ジョブ)を承認待ちジョブに変更して(ステップS409)、図30のステップS135へ移行する。
【0188】
ステップS409からステップS135へ移行した場合、CPU11は、不揮発メモリ15に保存した各種情報(ジョブ種別、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブのジョブID(ジョブNo)を使用して、承認依頼通知メールを作成し(ステップS135)、承認者情報によって示されるその承認者の管理者端末35に承認依頼通知メールを送信する(ステップS136)。
【0189】
図31の各処理ステップは、第2の実施形態で説明した図23の各処理ステップと同じであるため説明を割愛する。ただし、複合機10が管理者端末35から受信し不揮発メモリ15に保存した承認結果通知メールによる復帰モードが「即開始モード」である場合には(ステップS150;即開始モード)、図32のステップS451へ移行する(詳細は後述)。
【0190】
図32では、CPU11は、表示部17に表示した承認済み待機ジョブの選択画面(図16参照)を通じて、ログイン・ユーザから承認済み待機ジョブの選択を受け(ステップS151、S152;Yes)、スタートキーの押下を受けると(ステップS153;Yes)、その選択および実行指示を受けた当該ジョブがコピージョブの場合は(ステップS451;No)、ハードディスク装置16に退避保存されている当該ジョブに係る原稿の画像データを、RAM14に戻し(ステップS154)、ステップS155へ移行する。
【0191】
選択および実行指示を受けた当該ジョブがBOXまたはUSBメモリに保存されている指定の画像を印刷するジョブである場合には(ステップS451;Yes)、CPU11は、BOXまたはUSBメモリからその指定の画像(暗号化された画像データ)をRAM14にコピーし(ステップS452)、その画像を復号化してRAM14に保存する(ステップS453)。そして、RAM14にコピーした元の画像(暗号化された画像データ)を削除し(ステップS454)、ステップS155へ移行する。
【0192】
また、図31のステップS150において、管理者端末35から受信し不揮発メモリ15に保存した承認結果通知メールによる復帰モードが「即開始モード」であった場合には、この図32のステップS451以降を行う。この場合、CPU11は、受信・保存した承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブがコピージョブの場合は(ステップS451;No)、ステップS154以降を行い、BOXまたはUSBメモリに保存されている指定の画像を印刷するジョブの場合は(ステップS451;Yes)、ステップS452以降を行う。
【0193】
ステップS155では、CPU11は、承認済み待機ジョブ選択画面を通じて選択された承認済み待機ジョブ、または、承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブを、実行ジョブに変更する(ステップS155)。この実行ジョブがコピー、もしくは、BOXまたはUSBメモリに保存されている画像を印刷するジョブである場合には(ステップS455;印刷)、CPU11はそのジョブを実行する(ステップS456→ステップS457;No)。ここでは、CPU11はプリンタ部23を制御し、RAM14に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力する。
【0194】
ジョブの実行を完了すると(ステップS457;Yes)、CPU11は、不揮発メモリ15に保存されている当該ジョブに関する各種情報(ジョブ種別、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブに係る承認結果通知メールを削除し、RAM14に保存していた当該ジョブに係る画像データ(原稿の画像データ、もしくは、BOXまたはUSBメモリからコピーし復号化した画像データ)を削除し(ステップS458)、ステップS159へ移行する。
【0195】
また、実行ジョブがBOX保存またはUSBメモリ保存のジョブである場合には(ステップS455;保存)、CPU11は、ステップS154でハードディスク装置16からRAM14に戻した当該ジョブに係る原稿の画像データを暗号化してRAM14に保存し(ステップS459)、暗号化前の原稿の画像データをRAM14から削除する(ステップS460)。
【0196】
続いて、CPU11は、当該ジョブを実行し、RAM14に保存されている暗号化した原稿の画像データをBOXまたはUSBメモリに保存する(ステップS461、S462;No)
【0197】
ジョブの実行を完了すると(ステップS462;Yes)、CPU11は、不揮発メモリ15に保存されている当該ジョブに関する承認依頼通知内容を、BOXまたはUSBメモリに保存した画像データ(暗号化された画像データ)に関連付けてBOXまたはUSBメモリに保存する(ステップS463)。
【0198】
承認依頼通知内容の詳細は、ここでBOXまたはUSBメモリに保存した画像データを後に印刷するときに(図29のステップS401、S402、S404参照)、その印刷の承認を得るための承認依頼通知メールを作成する際に必要となる前述の承認者情報、ユーザ情報(現在ログイン中のユーザ)、復帰モード情報などである。これらの各種情報は、図30のステップS129、S130、S132で不揮発メモリ15に保存されており、ステップS463ではこれらの各種情報(承認依頼通知内容)を、暗号化して保存した画像データに関連付けて保存する。
【0199】
なお、上記の承認依頼通知メールに記載するジョブ種別は「印刷」であるため、図30のステップS222で不揮発メモリ15に保存したジョブ種別情報「保存」は、上記メールの作成時には不要である。そのため、ここでは、不揮発メモリ15に保存されているジョブ種別情報を承認依頼通知内容に含めておらず、したがって、画像データに関連付けたジョブ種別情報の保存は行わない。
【0200】
続いて、CPU11は、不揮発メモリ15に保存されている当該ジョブに関する各種情報(ジョブ種別、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、RAM14に保存していた当該ジョブに係る暗号化した原稿の画像データを削除し(ステップS464)、ステップS159へ移行する。
【0201】
たとえば、機密性の高い情報である、電子透かし情報が付加された原稿の画像などを、承認者の了承が得られてBOXまたはUSBメモリに保存しても、その画像をユーザが不用意に(承認者の了承を得ずに)出力してしまうと、その画像が他人に見られてしまう可能性があり、セキュリティの点で問題がある。また、USBメモリに画像を保存した場合は、そのUSBメモリの管理を怠って他人が扱える状態であると、USBメモリに保存されている画像(機密性の高い情報)を他人に見られてしまう可能性があり、やはりセキュリティの点で問題がある。
【0202】
本実施形態では、画像を暗号化してBOXまたはUSBメモリに保存するので、その画像をユーザが不用意に出力したり、保存先のUSBメモリの管理を怠っていたとしても、その画像を他人が見ることはできず、セキュリティを確保できる。
【0203】
また、複合機10は、BOXまたはUSBメモリに保存された暗号化された画像を印刷するジョブを受け付けた場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の印刷に対する承認依頼通知メールを所定の承認者に送信する。その承認者から、画像の印刷を了承する承認結果通知メールを受信した場合は、該ジョブの実行を許可し、画像を復号化して印刷する。
【0204】
これにより、BOXまたはUSBメモリに保存された暗号化された画像(機密性の高い情報)を印刷するジョブも、承認者の了承が得られた場合のみ実行可能となり、その保存された画像のユーザによる不用意な出力を未然に防止することができる。
【0205】
また、本実施形態においても、上記の印刷ジョブに対し、その出力形態に応じて自動で待機モードに切り替えて実行したり、ユーザが復帰モード(即開始モード/待機モード)を選択したり、承認者が復帰モードを自己の権限で変更したりすることができる。
【0206】
なお、本実施形態では、保存された画像を印刷する場合で説明したが、この保存された画像の出力形態は、送信や他のメモリへの保存(BOXからUSBメモリへの保存、USBメモリからBOXへの保存、複合機10に接続されたUSBメモリから他のUSBメモリへの保存)などでもよい。
【0207】
また、BOXやUSBメモリに保存された画像を出力するジョブを承認者の了承が得られて実行する場合も、該ジョブを自動実行する即開始モードと、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する待機モードのいずれにするかを該ジョブの出力形態(ジョブ種別)に応じて切り替えることで、該ジョブに対する承認後の開始タイミングもセキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。
【0208】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0209】
承認待ち状態のジョブにおいて、承認後の実行動作(復帰モード)の切り替えの判断要素となるジョブの属性は、印刷、送信、保存といった出力形態(ジョブ種別)を例に説明したが、他の属性としてもよい。
【0210】
たとえば、印刷における出力形態には、出力物(印刷物)を、排紙トレイに出力する形態や、鍵付きボックス(セキュリティボックス)に出力する形態などがある。排紙トレイへの出力は、承認後に自動印刷する場合に比べて実行指示操作を受けて印刷する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる出力形態(自動印刷では出力物が第三者に見られる可能性があり、秘匿性のレベルが低い出力形態)である。鍵付きボックスへの出力は、承認後に自動印刷する場合と実行指示操作を受けて印刷する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない出力形態(出力物が第三者に見られる可能性の低い、秘匿性のレベルが高い出力形態)である。この印刷における、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を、上記のジョブの属性として用いるようにしてもよい。この場合は、鍵付きボックスに出力するジョブは、即開始モード(第1の実行動作)に切り替え、排紙トレイに出力するジョブは、待機モード(第2の実行動作)に切り替える構成が可能である。
【0211】
また、送信における出力形態には、親展送信と非親展送信(通常送信)などがある。親展送信は、承認後に自動送信する場合と実行指示操作を受けて送信する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない出力形態(出力物が第三者に見られる可能性の低い、秘匿性のレベルが高い出力形態)である。非親展送信は、承認後に自動送信する場合に比べて(送信相手に送信開始の連絡をしてから)実行指示操作を受けて送信する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる出力形態(自動送信では出力物が第三者に見られる可能性があり、秘匿性のレベルが低い出力形態)である。この送信における、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を、上記のジョブの属性として用いるようにしてもよい。この場合は、親展送信のジョブは、即開始モード(第1の実行動作)に切り替え、非親展送信のジョブは、待機モード(第2の実行動作)に切り替える構成が可能である。
【0212】
また、承認が必要となるジョブは、予約ジョブとして受け付けるようにしてもよい。予約ジョブの場合は、たとえば、承認通知の受信が予約時刻(時間)前であれば、予約時刻に至ったときにその予約ジョブを自動で実行開始したり、承認通知の受信が予約時刻後であれば、承認通知の受信後に直ちにその予約ジョブを自動で実行開始したりするようにしてもよい。この予約ジョブに対する自動実行でも、別途、実行指示操作を受けることなく、迅速にジョブを実行開始できる。
【0213】
ユーザから受け付けたジョブが、画像の出力に承認を必要とするジョブであるか否かは、原稿や出力対象の画像(ファイル)に所定の情報(電子透かし情報、RFID情報)が付加されているか否かで判断する例を説明したが、他の条件で判断するようにしてもよい。たとえば、ジョブの依頼ユーザ(ユーザ別)で承認の要否を判断したり、送信系のジョブにおいては、送信宛先(送信先情報別)で承認の要否を判断したりするようにしてもよい。ユーザ別の場合は、たとえば、ユーザレベルの低いユーザのジョブは要承認と判断し、ユーザレベルの高いユーザや管理者のジョブは、承認不要と判断するようにしてもよい。送信先情報別の場合は、たとえば、部門外や社外を送信先とするジョブは要承認と判断し、部門内や社内を送信先とするジョブは、承認不要と判断するようにしてもよい。
【0214】
また、本発明に係る画像処理装置は、実施形態で説明した複合機に限らず、コピー機、プリンタ機、ファクシミリ機などの他の画像処理装置も対象にすることができる。
【符号の説明】
【0215】
2…ネットワーク
10…複合機
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…不揮発メモリ
16…ハードディスク装置
17…表示部
18…操作部
19…ファクシミリ通信部
20…ネットワーク通信部
21…スキャナ部
22…画像処理部
23…プリンタ部
24…外部メモリ接続部
30…ユーザ端末
35…管理者端末
41、42、43、44、45、46…承認依頼通知メール
51a、51b、52a、52b、53a、53b、54a、54b、55、56…承認結果通知メール
60…ログイン画面
70…復帰モード選択画面
80…承認済み待機ジョブ通知画面
90…承認済み待機ジョブ選択画面
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置および画像処理方法に係り、詳細には、画像の出力に承認を必要とすることでセキュリティを確保する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像処理装置においては、情報セキュリティの観点から、ユーザによる機密文書の不用意な印刷や送信や保存などを未然に防止することが求められる。そこで、ユーザによる機密文書の出力処理には管理者(承認者)を介在させ、管理者の承認が得られないとその出力処理を実行できないようにすることで、ユーザによる機密文書の不用意な出力による情報漏洩に対し、セキュリティを確保する技術が導入されている。
【0003】
たとえば、特許文献1の技術では、画像処理装置はユーザから機密性の高い文書の出力指示を受けると、その出力処理を保留にして、その文書の出力処理に対する承認依頼を承認者に送信し、承認者から受信した承認結果をユーザに通知する。承認者の承認が得られた場合には、その旨の承認結果をユーザに通知し、ユーザから出力保留解除指示を受けてその文書を出力するようにしている。この他に、承認者の承認が得られた場合には、直ちにその文書を出力し、出力後にその旨をユーザに通知してもよいとされている。すなわち、承認待ちにした出力処理を、承認後にユーザから別途指示を受けて開始する構成と、承認後に直ちに開始する構成とが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−4512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複合機などによる画像の出力形態には、印刷、送信、保存などがあるが、これらは出力された画像が他人に見られる可能性があるか否かといった観点で秘匿性(セキュリティ)のレベルが異なる。
【0006】
たとえば、上記の技術では、承認後に直ちに出力処理を開始する構成において、印刷系のジョブを実行する場合には、機密文書の印刷を指示したユーザが不在のときに承認が得られ、画像処理装置がその機密文書の印刷を直ちに開始すると、排紙トレイに出力された出力物(機密文書の印刷物)が置き去りになって他人に見られてしまう可能性があり、セキュリティの点で問題がある。
【0007】
一方、送信は印刷とは違い、送信先に出力物が出力されるので、その出力物が送信元の画像処理装置側に居る他人に見られてしまうことはない。そのため、機密文書であっても承認が得られ次第、送信を開始しても差し支えないと考えられる。しかし、承認後に別途指示を受けてから出力処理を開始する構成において、送信系のジョブを実行する場合には、承認された機密文書などの送信は、ユーザが別途指示を行うまで開始されず、相手に送信されるまでに時間が掛かり、迅速処理の点で問題がある。保存も送信と同様に、保存先に出力されるので、出力物が画像処理装置の周囲に居る他人に見られることはなく、機密文書であっても承認が得られ次第、保存を開始しても差し支えない。そのため、承認された機密文書などの保存をユーザが別途指示するまで開始されないのは、迅速処理の点で問題である。さらに、ユーザが別途、画像処理装置まで訪れて送信や保存の指示を行うのは面倒でもある。
【0008】
また、たとえば、承認待ちのジョブに対する承認後の実行動作として、承認後に直ちに実行開始するか、または、承認後にユーザから別途指示を受けて実行開始するか、の切り替えをユーザが手動で一々設定するのは面倒である。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、承認待ちのジョブに対する承認後の開始タイミングを、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0011】
[1]画像を出力するジョブを受け付けるジョブ受付部と、
前記ジョブ受付部で受け付けたジョブを実行して画像を出力するジョブ実行部と、
前記ジョブ受付部で受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信し、その承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える制御部と、
を備えた画像処理装置。
【0012】
上記発明では、画像処理装置は受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対して承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する。その承認者から、承認依頼通知で承認を求めた該ジョブ(承認待ち状態のジョブ)による画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える。
【0013】
なお、第1の実行動作によるジョブの自動実行には、承認後に実行指示操作を受けずにジョブを自動で実行するものが含まれる。たとえば、通常ジョブを承認通知の受信後に直ちに実行開始したり(即自動開始)、予約ジョブを承認通知の受信後に予約時刻(時間)に基づいて実行開始したり(予約自動開始)するものが含まれる。
【0014】
これにより、承認待ち状態のジョブに対する承認後の開始タイミングを、該ジョブの属性に応じて、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。
【0015】
[2]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報である
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0016】
上記発明では、画像を出力する際の出力形態として、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を有する。承認待ち状態にしたジョブの承認後の実行動作(第1の実行動作/第2の実行動作)を該ジョブの属性に応じて切り替えるに当たり、その切り替えの判断要素となるジョブの属性には、出力形態を特定する情報を用いる。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際には、出力形態の秘匿性のレベルに応じて、第1の実行動作または第2の実行動作に自動で切り替えることができる。
【0017】
[3]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、前記承認待ち状態にしたジョブを承認後に自動実行する場合と実行指示操作を受けて実行する場合とで秘匿性の変わらない第1の出力形態と、前記承認待ち状態にしたジョブを承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が秘匿性の高まる第2の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記第1の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記第2の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0018】
上記発明では、第1の出力形態のジョブは、承認後に自動実行する場合と実行指示操作を受けて実行する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。この実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらないジョブは、承認後に、実行指示操作を受けずに自動実行することで、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。第2の出力形態のジョブは、承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる。この実行指示操作を受けて実行すると出力時の秘匿性が高くなるジョブは、承認後に、自動実行せずに実行指示操作を受けて実行することで、セキュリティが確保される。
【0019】
[4]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像を外部装置に送信する送信の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記送信の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0020】
上記発明では、画像を外部装置に送信する出力形態のジョブは、出力物の秘匿性は受信機側での出力状態に依存するので、送信機側(画像処理装置側)で承認後に自動送信する場合と、実行指示操作を受けて送信する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。画像を記録紙に印刷して出力する出力形態のジョブは、承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる。また、この送信と印刷では、秘匿性のレベルが異なり、印刷に比べて送信の方が秘匿性のレベルが高い(送信に比べて印刷の方が秘匿性のレベルが低い)とも言える。
【0021】
これにより、実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらない(印刷に比べて秘匿性のレベルが高いとも言える)出力形態である送信のジョブは、承認後に、実行指示操作を受けずに自動実行することで、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。また、実行指示操作を受けて実行すると出力時の秘匿性が高くなる(送信に比べて秘匿性のレベルが低いとも言える)出力形態である印刷のジョブは、承認後に、自動実行せずに実行指示操作を受けて実行することで、セキュリティが確保される。
【0022】
なお、[2]に記載の発明を引用する場合には、上記のように、送信の出力形態と印刷の出力形態は、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態に含まれる。[3]に記載の発明を引用する場合には、送信の出力形態は第1の出力形態に含まれ、印刷の出力形態は第2の出力形態に含まれる。
【0023】
[5]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像をメモリに保存する保存の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記保存の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0024】
上記発明では、画像処理装置の内部メモリ(不揮発性の内部記憶装置)などに画像を保存する出力形態のジョブは、承認後に自動保存する場合と、実行指示操作を受けて保存する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。また、画像処理装置に接続された外部メモリ(不揮発性の外部記憶装置)などに画像を保存する出力形態のジョブにおいても、その外部メモリを他人が扱えない状態に管理すれば(厳重保管やパスワードロックなど)、同様に出力時の秘匿性は変わらないと言える。一方、画像を記録紙に印刷して出力する出力形態のジョブは、承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる。また、この保存と印刷では、秘匿性のレベルが異なり、印刷に比べて保存の方が秘匿性のレベルが高い(保存に比べて印刷の方が秘匿性のレベルが低い)とも言える。
【0025】
これにより、実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらない(印刷に比べて秘匿性のレベルが高いとも言える)出力形態である保存のジョブは、承認後に、実行指示操作を受けずに自動実行することで、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。また、実行指示操作を受けて実行すると出力時の秘匿性が高くなる(保存に比べて秘匿性のレベルが低いとも言える)出力形態である印刷のジョブは、承認後に、自動実行せずに実行指示操作を受けて実行することで、セキュリティが確保される。
【0026】
なお、[2]に記載の発明を引用する場合には、上記のように、保存の出力形態と印刷の出力形態は、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態に含まれる。[3]に記載の発明を引用する場合には、保存の出力形態は第1の出力形態に含まれ、印刷の出力形態は第2の出力形態に含まれる。
【0027】
[6]前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像を外部装置に送信する送信の出力形態と、画像をメモリに保存する保存の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記送信の出力形態と特定したジョブおよび前記保存の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0028】
[7]前記ジョブ実行部は、前記保存の出力形態では画像を暗号化して前記メモリに保存し、
前記制御部は、前記ジョブ受付部で受け付けたジョブが、前記メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信し、その承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブの実行を許可し、
前記ジョブ実行部は、前記メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブを実行する場合は、該画像を復号化して出力する
ことを特徴とする[5]または[6]に記載の画像処理装置。
【0029】
承認者の了承が得られて画像をメモリに保存しても、その画像をユーザが不用意に(承認者の了承を得ずに)出力してしまうと、その画像が他人に見られてしまう可能性があり、セキュリティの点で問題がある。また、画像処理装置に接続された外部メモリに画像を保存した場合は、その外部メモリの管理を怠って他人が扱える状態であると、外部メモリに保存されている画像を他人に見られてしまう可能性があり、やはりセキュリティの点で問題がある。
【0030】
上記発明では、画像を暗号化してメモリに保存するので、その画像をユーザが不用意に出力したり、保存先の外部メモリの管理を怠っていたとしても、その画像を他人が見ることはできず、セキュリティを確保できる。
【0031】
また、メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブを受け付けた場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対して承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する。その承認者から、承認依頼通知で承認を求めた該ジョブ(承認待ち状態のジョブ)による画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブの実行を許可し、画像を復号化して出力する。
【0032】
なお、ここでの出力(出力形態)は、印刷、送信、他のメモリへの保存(画像処理装置の内部メモリから外部メモリへの保存、外部メモリから画像処理装置の内部メモリへの保存、画像処理装置に接続された外部メモリから他の外部メモリへの保存)などを含む。
【0033】
これにより、メモリに保存された画像を出力するジョブも、承認者の了承が得られた場合のみ実行可能となり、メモリに保存された画像のユーザによる不用意な出力を未然に防止することができる。
【0034】
[8]前記制御部は、前記実行を許可したジョブに対して、該ジョブの属性に応じて前記切り替えを行う
ことを特徴とする[7]に記載の画像処理装置。
【0035】
上記発明では、メモリに保存された画像を出力するジョブを承認者の了承が得られて実行する場合も、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える。
【0036】
これにより、メモリに保存された画像を出力するジョブに対する承認後の開始タイミングも、該ジョブの属性に応じて、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。
【0037】
[9]前記制御部は、前記承認を必要とするジョブに対して、前記第1の実行動作または前記第2の実行動作を選択する選択指示を受けた場合には、前記切り替えでは前記ジョブの属性よりも前記選択指示を優先させ、前記選択指示により選択された実行動作への切り替えを行う
ことを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0038】
上記発明では、承認を必要とするジョブに対して、承認後に該ジョブ(承認待ち状態のジョブ)を第1の実行動作または第2の実行動作のいずれで実行するかの選択指示を受けた場合には、その選択された実行動作への切り替えを行う。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の実行動作を、ジョブ毎に選択できるようになる。
【0039】
[10]前記制御部は、前記承認通知で前記承認者から前記第1の実行動作または前記第2の実行動作の指定を受けている場合には、前記切り替えでは前記指定を最優先させ、前記指定された実行動作への切り替えを行う
ことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0040】
上記発明では、承認者は、承認依頼通知で承認を求められたジョブ(承認待ち状態のジョブによる画像の出力)に対する承認通知において、承認後に該ジョブを第1の実行動作または第2の実行動作のいずれで実行するかを指定することができる。画像処理装置は、承認者から受信した承認通知で、第1の実行動作または第2の実行動作の指定を受けている場合には、その指定を最優先させ、指定された実行動作への切り替えを行う。これにより、承認待ちの状態のジョブを承認後に実行する際の実行動作を、承認者がジョブ毎に指定できるようになる。
【0041】
[11]前記制御部は、前記承認通知で前記承認者から前記出力形態の指定を受けている場合には、前記ジョブの出力形態を、前記指定を受けた出力形態に変更する
ことを特徴とする[2]〜[8]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0042】
上記発明では、承認者は、承認依頼通知で承認を求められたジョブ(承認待ち状態のジョブによる画像の出力)に対する承認通知において、該ジョブの出力形態を指定することができる。画像処理装置は、承認者から受信した承認通知で、出力形態の指定を受けている場合には、該ジョブの出力形態を、指定を受けた出力形態に変更する。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の出力形態を、承認者がジョブ毎に指定できるようになる。
【0043】
[12]前記制御部は、前記承認待ち状態のジョブデータを、ジョブ実行時にジョブデータを配置するメモリと異なるメモリに記憶する
ことを特徴とする[1]〜[11]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0044】
上記発明では、承認待ち状態のジョブデータを、ジョブ実行時にジョブデータを配置するメモリとは異なるメモリに記憶することで、承認待ち状態のジョブの数が増えても、前者のメモリに承認待ち状態のジョブデータが蓄積されることを回避できる。承認を必要としないジョブを実行する場合には、そのジョブデータを前者のメモリに配置し、そのメモリを有効に利用して処理を行うことができる。
【0045】
[13]前記ジョブ受付部で受け付けるジョブは、原稿を読み取って取得した画像を出力する原稿画像の出力ジョブを含み、
前記制御部は、前記受け付けたジョブが前記原稿画像の出力ジョブであって、前記原稿に所定の情報が付加されている場合は、該ジョブは前記承認を必要とするジョブであると判断する
ことを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0046】
上記発明では、受け付けたジョブが原稿画像の出力ジョブ(原稿を読み取って取得した画像を出力するジョブ)であって、その原稿に所定の情報が付加されている場合は、該ジョブは画像の出力に承認を必要とするジョブであると判断する。たとえば、機密情報などが印刷された原稿においては、その原稿に予め所定の情報を付加しておくことにより、その原稿を読み取って取得した画像の出力に対しては自動で要承認とすることができ、その画像の出力に対するセキュリティを確保できる。
【0047】
[14]画像を出力するジョブを受け付ける工程と、
前記受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する工程と、
前記承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信する工程と、
前記承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える工程と、
前記切り替えた実行動作に従い、該ジョブを実行して画像を出力する工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【発明の効果】
【0048】
本発明の画像処理装置によれば、承認待ちのジョブに対する承認後の開始タイミングを、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。したがって、この切り替えを行うための設定操作などが不要となり、操作の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置としての複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】印刷ジョブに係る承認依頼通知メールの一例を示す図である。
【図4】図3の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図5】送信ジョブに係る承認依頼通知メールの一例を示す図である。
【図6】図5の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図7】送信+印刷ジョブに係る承認依頼通知メールの一例を示す図である。
【図8】図7の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る複合機によるジョブ実行の動作を示す流れ図(1/4)である。
【図10】図9のS111(No)からの続きを示す流れ図(2/4)である。
【図11】図9のS103(Yes)からの続きを示す流れ図(3/4)である。
【図12】図9のS104(Yes)からの続きを示す流れ図(4/4)である。
【図13】複合機の表示部に表示されたログイン画面の一例を示す図である。
【図14】複合機の表示部に表示された復帰モード選択画面の一例を示す図である。
【図15】複合機の表示部に表示された承認済み待機ジョブ通知画面の一例を示す図である。
【図16】複合機の表示部に表示された承認済み待機ジョブ選択画面の一例を示す図である。
【図17】保存ジョブに係る承認依頼通知メールの一例を示す図である。
【図18】図17の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図19】印刷ジョブに係る承認依頼通知メールの変形例と、この承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図20】保存ジョブに係る承認依頼通知メールの変形例と、この承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールの一例を示す図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る複合機によるジョブ実行の動作を示す流れ図(1/4)である。
【図22】図21のS111(No)からの続きを示す流れ図(2/4)である。
【図23】図21のS103(Yes)からの続きを示す流れ図(3/4)である。
【図24】図21のS104(Yes)からの続きを示す流れ図(4/4)である。
【図25】本発明の第3の実施形態に係る複合機によるジョブ実行の動作を示す流れ図(1/4)である。
【図26】図25のS111(No)からの続きを示す流れ図(2/4)である。
【図27】図25のS103(Yes)からの続きを示す流れ図(3/4)である。
【図28】図25のS104(Yes)からの続きを示す流れ図(4/4)である。
【図29】本発明の第4の実施形態に係る複合機によるジョブ実行の動作を示す流れ図(1/4)である。
【図30】図29のS111(No)からの続きを示す流れ図(2/4)である。
【図31】図29のS103(Yes)からの続きを示す流れ図(3/4)である。
【図32】図29のS104(Yes)からの続きを示す流れ図(4/4)である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0051】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシステムの構成を示している。本システムは、オフィスなどに設けられたLAN(Local Area Network)などのネットワーク2に、画像処理装置としての複合機10と、ユーザ端末30と、管理者端末35とが接続されて構成される。
【0052】
ユーザ端末30は、たとえば、部門に所属するユーザ(被管理者)が使用する端末装置であり、ネットワーク2には、各ユーザに割り当てられた複数台のユーザ端末30が接続されている。管理者端末35は、ユーザの所属する部門の管理者(部門管理者)が使用する端末装置であり、ネットワーク2には、各管理者に割り当てられた複数台の管理者端末35が接続されている。
【0053】
ユーザ端末30と管理者端末35は、複合機10にスキャンジョブやプリントジョブなどのジョブを送信してその実行を要求する機能を備えている。これらの端末装置は、OSプログラムや複合機10のドライバプログラム、文書や画像を作成・編集するアプリケーションプログラム、電子メールプログラムなどがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。スキャンジョブやプリントジョブの送信および実行要求など複合機10に対する各種の要求は、複合機10用のドライバプログラムによって行われる。また、複合機10との間でジョブに関する通知を電子メールで行うようになっており、この複合機10との間で行う電子メールの送受信は、電子メールプログラムによって行われる。
【0054】
図2は、複合機10の概略構成を示している。複合機10は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり端末装置やサーバ装置へ送信したりするスキャン機能、端末装置から受信した印刷データに基づく画像や当該複合機10に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、ファクシミリ機能などを備えている。さらに、電子メール機能やユーザ認証機能も備えている。
【0055】
複合機10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、バス12を介してROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、ハードディスク装置(HDD)16と、表示部17と、操作部18と、ファクシミリ通信部19と、ネットワーク通信部20と、スキャナ部21と、画像処理部22と、プリンタ部23と、外部メモリ接続部24とを接続して構成される。
【0056】
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに従って複合機10の動作を制御する。ROM13には、CPU11によって実行される各種プログラムや各種の固定データが記憶されている。RAM14は、CPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。不揮発メモリ15は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリである。不揮発メモリ15には、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。さらに、ユーザ認証において照合用に使用する認証情報、たとえばユーザID(IDentification)とパスワード、指紋情報なども記憶される。ハードディスク装置16は、各種の保存データを格納するほか、入力された各種の画像データなども保存する。
【0057】
表示部17は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面、設定画面、確認画面などの各種の画面を表示する。操作部18は、スタートキー、ストップキー、テンキーなどの各種のキー類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが複合機10に対して行う各種の操作を受け付ける。
【0058】
ファクシミリ通信部19は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部20は、ネットワーク2を通じてユーザ端末30や管理者端末35などと通信を行う。
【0059】
スキャナ部21は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部21は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0060】
画像処理部22は、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理や、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を行う。
【0061】
プリンタ部23は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部23は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0062】
外部メモリ接続部24は、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの外部メモリ(不揮発性の外部記憶装置)が接続され、接続された外部メモリと通信を行う。
【0063】
また複合機10は、情報セキュリティを確保するために、ユーザによる機密文書の出力には制限を掛けるようになっている。詳細には、ユーザによる機密文書の不用意な印刷や送信などを未然に防止するために、ユーザによる機密文書の出力ジョブには管理者(承認者)を介在させ、管理者の承認が得られないとその出力ジョブを実行できないようになっている。
【0064】
複合機10がユーザから受け付ける出力ジョブには、複合機10に対するユーザ操作で受け付けるコピー、スキャン送信、ファクシミリ送信、保存や、ユーザ端末30から受信して受け付けるプリント、ファクシミリ送信などの各種のジョブがある。
【0065】
ユーザ操作による原稿のコピー、送信、保存では、出力に承認を必要とする機密文書などの原稿に、予め所定の情報を付加しておく。複合機10は、原稿のスキャン時にその所定の情報を検出した場合には、その原稿の出力には承認が必要であると自動判断するようになっている。所定の情報は、たとえば、目視では視認困難な情報を紙媒体に埋め込む透かし印刷技術(電子透かし)、電子情報(ID情報)を記憶・無線通信するICチップ(RFタグ)を紙媒体に埋め込むRFID(Radio Frequency IDentification)技術などを用いて、原稿に付加することができる。
【0066】
原稿に付加された電子透かし情報は、複合機10がスキャナ部21で原稿を読み取って取得した画像データを、画像処理部22で解析し、その画像データに電子透かし情報が含まれているか否かで判別する。原稿に付加された電子情報(ID情報)は、複合機10がスキャナ部21で原稿を読み取る際に、スキャナ部21に設けられたRFタグリーダによって、原稿から電子情報を読み取るか否かで判別する。
【0067】
ユーザ端末30からのプリントやファクシミリ送信では、所定の情報(電子透かし情報)が付加された原稿のスキャン画像のファイルをユーザ端末30に保存している場合に、そのファイルの画像(印刷データ)をユーザ端末30から複合機10が受信して出力(印刷/送信)する際に、そのファイルの画像を画像処理部22で解析し、画像内に電子透かし情報が含まれていることを判別する。この電子透かし情報が含まれているファイルの画像の出力には、承認が必要であると判断する。
【0068】
また複合機10は、画像の出力に承認を必要とするジョブを受け付けた場合に、そのジョブを承認待ち状態にして、そのジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知メールを所定の承認者(管理者端末35)に送信する。その承認者から承認結果通知メールを受信してその承認結果(承認状況)が了承(承認済み)である場合に、承認待ち状態にしたジョブの実行動作(復帰モード)を、そのジョブの属性に応じて、即開始(即開始モード)または待機(待機モード)に切り替えるようになっている。即開始では、承認後にジョブを自動実行する。待機では、承認後に、そのジョブの実行権限を有するユーザ(操作者)から実行指示操作を受けるまでジョブを待機させ、実行指示操作を受けてジョブを実行する。
【0069】
上記の切り替えの判断要素となるジョブの属性は、本実施形態では、画像を出力する際の出力形態としている。複合機10は、画像の出力形態として、印刷、送信、保存など、複数種類の出力形態を有している。また、この印刷、送信、保存などでジョブが分類(大別)され、ここでは、出力形態はジョブ種別に対応している。本実施形態ではジョブ種別(出力形態)として、印刷系のジョブ、送信系のジョブ、送信と印刷を組み合わせて行うジョブ(送信+印刷ジョブ)の3種類を例に説明する。なお、保存系のジョブについては、後述する第2〜第4の実施形態で説明する。
【0070】
印刷系のジョブの詳細は、ユーザ操作で受け付けるコピージョブやユーザ端末30から受け付けるプリントジョブである。送信系のジョブの詳細は、ユーザ操作やユーザ端末30から受け付けるスキャン送信ジョブやファクシミリ送信ジョブなどである。また、ユーザ操作によるスキャン送信ジョブには、原稿のスキャン画像(ファイル)を、指定したアドレスへ電子メール(Eメール)の添付ファイルとして送信するスキャン to Eメール、ネットワーク接続されたFTP(File Transfer Protocol)サーバの指定フォルダに保存するスキャン
to FTP、ネットワーク接続された端末装置のフォルダに直接保存するスキャン to SMB(Server Message Block)などのジョブがある。送信+印刷ジョブは、たとえば、ファクシミリ送信において、送信した画像を送信後に印刷する(Print After Send)ジョブなどである。
【0071】
図3〜図8は、複合機10が管理者端末35へ送信する承認依頼通知メール(41、42、43)と、管理者端末35から受信する承認結果通知メール(51a、51b、52a、52b、53a、53b)の一例を示している。
【0072】
承認依頼通知メールは、複合機10が画像の出力に承認を必要とするジョブを受け付けた場合に自動作成し、当該複合機10から承認先の管理者端末35に送信される通知メールである。承認結果通知メールは、管理者端末35が複合機10から承認依頼通知メールを受信した場合に、その承認依頼通知メールに対し、承認者が電子メールプログラムの返信機能によって作成し、当該管理者端末35から複合機10に返信される通知メール(返信メール)である。
【0073】
承認依頼通知メール(41〜43)には、各種のメッセージや要承認のジョブに関する情報が記載されている。たとえば、当該メールが承認依頼通知メールである旨を示すメッセージ、[依頼日時]、[ジョブNo](ジョブID)、ジョブの設定(承認の依頼内容)を示す情報([ジョブ種別]、[復帰モード]、[送信先情報]、[承認者情報]、[ユーザ情報])、当該メールに対する承認の仕方を示すメッセージ、承認通知欄の複数項目([承認状況]、[ジョブ種別]、[復帰モード])などが記載されている。
【0074】
承認依頼通知メールに記載される復帰モードは、上述した、承認後にジョブを自動実行する「即開始モード」、承認後にユーザから実行指示操作を受けてジョブを実行する「待機モード」である。復帰モードは、ジョブ種別に応じて即開始モードと待機モードのいずれかが初期設定により自動選択される。本実施形態では、初期設定では印刷ジョブに対しては待機モードが自動選択され、送信ジョブに対しては即開始モードが自動選択され、送信+印刷ジョブに対しては待機モードが自動選択されるようになっている。また、この自動選択された復帰モードをユーザが変更(ユーザ選択)できるようになっている。この復帰モードの初期設定による自動選択とユーザ選択の詳細については後述する。
【0075】
また、承認依頼通知メールの承認通知欄における各項目([承認状況]、[ジョブ種別]、[復帰モード])には、択一選択される複数の情報(選択肢)が記載される。ただし、[ジョブ種別]では、当該承認依頼通知メールに係る要承認のジョブの種別(出力形態)が印刷+送信の場合のみ、択一選択される複数の情報(選択肢)が記載される。
【0076】
具体的には、[承認状況]の項目には、「承認済み」と「承認却下」の2つの選択肢が記載される。[ジョブ種別]の項目には、当該承認依頼通知メールに係る要承認のジョブの種別が印刷+送信の場合のみ(図7参照)、「送信+印刷」と「送信」と「印刷」の3つの選択肢が記載される。また、当該承認依頼通知メールに係る要承認のジョブの種別が印刷(印刷系)または送信(送信系)の場合は(図3、図5参照)、「印刷」または「送信」が単独で記載される。[復帰モード]の項目には、「即開始モード」と「待機モード」の2つの選択肢が記載される。また、当該承認依頼通知メールに係る要承認のジョブに対して、設定(選択)されていない方の復帰モード情報は括弧付きで示される。この括弧の有無によって、当該ジョブに設定されている復帰モードが識別可能となっている。
【0077】
承認者は、電子メールプログラムの返信機能によって、承認依頼通知メールの返信メールを作成し、その返信メールの承認通知欄の各項目に記載されている情報(選択肢)を一部削除して、承認結果通知メールを完成させる。この承認通知欄の記載情報を一部削除することで、依頼された承認内容に対する承認の結果(了承/却下)を決定し、必要に応じて承認内容を変更する。本実施形態では、復帰モードと、送信+印刷ジョブのジョブ種別(出力形態)を承認者が変更できるようになっている。
【0078】
以下に、承認通知欄の記載情報を一部削除して行う承認方法、すなわち、承認の仕方と承認内容の変更の仕方を説明する。
【0079】
上述したように、承認通知欄の[承認状況]には、「承認済み」と「承認却下」が記載されている。承認(了承)する場合は、「承認却下」を削除して、「承認済み」を残す。承認(了承)しない場合は、「承認済み」を削除して、「承認却下」を残す。
【0080】
承認通知欄の[ジョブ種別]には、要承認のジョブが印刷系のジョブまたは送信系ジョブの場合は、「印刷」または「送信」が単独で記載されている。
【0081】
図3は、要承認のジョブが印刷系(印刷のみ)の場合の承認依頼通知メールを例示しており、図4は、図3の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールを例示している。印刷ジョブの場合、承認依頼通知メールにおける承認通知欄の[ジョブ種別]には、「印刷」が記載されている。
【0082】
図5は、要承認のジョブが印刷系(印刷のみ)の場合の承認依頼通知メールを例示しており、図6は、図5の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールを例示している。送信ジョブの場合、承認依頼通知メールにおける承認通知欄の[ジョブ種別]には、「送信」が記載されている。
【0083】
承認通知欄の[ジョブ種別]に「印刷」または「送信」が単独で記載されている場合には、承認者はその記載されているジョブ種別の変更が承認結果通知メールにて不可となる。
【0084】
図7は、要承認のジョブが送信+印刷の場合の承認依頼通知メールを例示しており、図8は、図7の承認依頼通知メールに対する承認結果通知メールを例示している。送信+印刷ジョブの場合、承認依頼通知メールにおける承認通知欄の[ジョブ種別]には、「送信+印刷」、「送信」、「印刷」の3つのジョブ種別情報が記載されている。送信+印刷ジョブは、送信+印刷から送信のみへ、または、送信+印刷から印刷のみへの変更が可能となっている。承認者は、承認結果通知メールにおいて、この3つのジョブ種別情報の中から、許可(承認)する1つのジョブ種別情報を残し、他の2つのジョブ種別情報を削除することで、許可するジョブ種別を選択する。
【0085】
具体的には、送信+印刷を許可する場合は、3つのジョブ種別情報のうち「送信+印刷」を残して他の2つを削除する。また、送信は許可できないが、印刷だけなら許可できる場合には、図8(A)に示すように、「印刷」を残して他の2つを削除する。逆に、印刷は許可できないが、送信だけなら許可できる場合には、図8(B)に示すように、「送信」を残して他の2つを削除する。
【0086】
承認通知欄の[復帰モード]には、上述した「即開始モード」と「待機モード」の2つの復帰モード情報が記載されている。また、当該通知メールに係る要承認のジョブに対して、承認依頼時に設定(自動選択/ユーザ選択)されていない方の復帰モード情報は予め括弧付きで示されている。承認者は、この2つの復帰モード情報の中から、許可(承認)しない復帰モード情報を削除し、許可する復帰モード情報を残すことで、その許可する復帰モードを選択する。また、復帰モードを変更する例としては、図4(B)に示すように、印刷系のジョブに対して設定されている待機モードを即開始モードに変更したり、図6(B)に示すように、送信系のジョブに対して設定されている即開始モードを待機モードに変更したりする場合などがある。
【0087】
なお、復帰モードは、承認依頼時の設定状況が括弧の有無によって識別可能である。そこで、復帰モードを変更せずに、承認依頼時の設定をそのまま許可する場合には、[復帰モード]の項目に記載されている情報を一部削除せずに、そのままの状態にしておいてもよい。この場合は、括弧の無い方の復帰モード(承認依頼時に設定されている方の復帰モード)が許可されたと判断できる。また、復帰モードを変更する場合のみ、括弧の無い方の復帰モードを削除し、括弧の有る方の復帰モードを残すようにすればよい。この場合は、括弧の有る方の復帰モード(承認依頼時に設定されていない方の復帰モード)に変更されて許可されたと判断できる。
【0088】
承認者は、管理者端末35を操作して、複合機10から受信した承認依頼通知メール(41〜43)に対する承認結果通知メール(51〜53)を上述した方法で作成し、複合機10に返信する。なお、複合機10が受信した承認結果通知メールにおいては、[承認状況]に「承認済み」が記載されている承認結果通知メールは、承認を求めたジョブ(該ジョブによる画像の出力)に対しての了承を示す、「承認通知メール」となる。[承認状況]に「承認却下」が記載されている承認結果通知メールは、承認を求めたジョブ(該ジョブによる画像の出力)に対しての却下を示す、「承認却下通知メール」となる。
【0089】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0090】
図9〜図12は、複合機10によるジョブ実行の動作を示す流れ図である。図13〜図16は、本動作において複合機10の表示部17に表示される画面の一例を示す図である。これらの図を用いて、複合機10の動作を詳細に説明する。
【0091】
ここでは、複合機10がユーザ(操作者)から操作を受けて実行する原稿のコピー(複写印刷)や送信のジョブを例に説明する。また複合機10は、原稿から読み取った画像の出力に承認が必要であるか否かを、原稿に電子透かし情報が有るか否かで判断する(自動判断)。
【0092】
たとえば、機密文書などの原稿には、当該原稿内の情報が機密情報(出力に承認が必要)であることを示す文字(「機密」、「社外秘」など)やマークなどの所定の情報を、電子透かしで予め付加しておく。
【0093】
複合機10は、原稿を読み取って取得した画像内に電子透かし情報が無い場合には、その画像の出力に対しては承認が不要であると判断する。電子透かし情報が有る場合には、その画像の出力に対しては承認が必要であると判断し(要承認)、所定の承認者に承認を依頼する。
【0094】
所定の承認者は、事前に決めておいた1人の承認者でもよいし、複数人の承認者の中から、ユーザ毎や原稿毎に決めるようにしてもよい。
【0095】
ユーザ毎に決める場合には、要承認ジョブの実行を指示したユーザ(部下)の管理者(上長)とすることが好ましい。たとえば、部門名、部門毎の所属ユーザ、部門毎の管理者と承認依頼通知先(管理者端末35のID、IPアドレス、電子メールアドレスなど)を登録した部門情報テーブル(リスト)を、複合機10の不揮発メモリ15に記憶しておき、複合機10がそのテーブル情報に基づいて、要承認ジョブの実行を指示したユーザの管理者を特定し、その管理者(承認者)に承認を依頼する。
【0096】
原稿毎に決める場合には、たとえば、承認先を示す承認先情報(部門管理者の識別情報(氏名など)、管理者端末35のID、IPアドレス、電子メールアドレスなど)も電子透かしにして原稿に付加しておき、原稿から読み取った画像内の電子透かし情報に含まれている承認先情報に基づいて、原稿毎に承認先の管理者を特定し、その管理者(承認者)に承認を依頼する。なお、承認先情報が原稿に付加されている場合には、複合機10はその承認先情報によって、当該原稿の画像の出力に対しては承認が必要であると自動判断できるので、上述した、当該原稿が機密情報(出力に承認が必要)であることを示す文字やマークなどの情報は省略することもできる。
【0097】
また複合機10は、画像の出力に対して承認が必要であると判断したジョブは承認待ち状態にして管理すると共に、当該ジョブに係る原稿の画像データは、一時的に保存したRAM14から、ハードディスク装置16に退避保存して管理する。さらに、当該ジョブに関する設定情報(ジョブ種別情報、送信系のジョブの場合は送信先情報など)と、承認者情報(管理者情報)と、ユーザ情報(操作者情報)と、復帰モード情報を当該ジョブ(ジョブIDなど)に関連付けて不揮発メモリ15に保存し、これらの情報を使用して承認依頼通知メールを作成し、承認先に送信する。
【0098】
なお、図9〜図12については、ログイン・ユーザ(操作者)から受け付けた通常ジョブ(承認不要ジョブ)の実行、要承認ジョブの承認待ち(保存・管理)、承認依頼通知メールの送信、承認結果通知メールの受信、承認結果に応じた承認待ちジョブの実行/非実行の流れで説明する。また本例では、承認先は原稿毎に決めるようにしている。すなわち、承認先情報を電子透かしにして原稿に付加しておき、その原稿から読み取った電子透かしの承認先情報によって示される承認先に、当該原稿の画像の出力に対する承認を依頼するようにしている。
【0099】
複合機10がセキュリティモードで動作している場合には、CPU11は、ユーザ(操作者)を認証(特定)するための認証情報の入力を受け付けるログイン画面を表示部17に表示する(ステップS101)。図13に、ログイン画面60の一例を示す。ログインに必要となる認証情報は、本例では、ユーザIDとパスワード、または、指紋情報などである。ユーザIDとパスワードは、操作部18のキー操作で入力を受け付ける。指紋情報は、指紋リーダによる指紋の読み取りで入力を受け付ける。
【0100】
図9では、CPU11は、ユーザから認証情報の入力を受け付けるか否かを監視し(ステップS102;No)、承認結果通知メールを受信するか否かを監視する(ステップS103;No)。
【0101】
認証情報の入力を受け付け、その認証情報を不揮発メモリ15内の照合用の認証情報と照合し、認証を完了した場合には(ステップS102;Yes(ログイン成功))、CPU11は、そのログインしたユーザに対する承認結果通知メールの有無を検索する(ステップS104)。該当する承認結果通知メールがある場合には(ステップS104;Yes)、図12のステップS151へ移行する(詳細は後述)。該当する承認結果通通知メールがない場合には(ステップS104;No)、ユーザからジョブの設定を受け付ける(ステップS105)。
【0102】
ここでは、上述した、原稿のコピー(複写印刷)ジョブ、または、原稿の送信ジョブ、または、原稿の送信+印刷ジョブの設定を、操作部18を通じて受け付ける。なお、送信ジョブと送信+印刷ジョブの設定では、送信先情報(送信宛先)の設定を受け付ける。ユーザは、ジョブの設定を完了すると、そのジョブの実行を複合機10に指示するために、操作部18のスタートキーを押下する。
【0103】
CPU11は、スタートキーが押下されると(ステップS106;Yes)、スキャナ部21にセットされている原稿の有無を検知する(ステップS107)。原稿を検知しない場合には(ステップS107;No)、ユーザに対して警告を促すために、「原稿をセットしてください」などの、原稿のセットを要求する旨のメッセージを表示部17に表示する(ステップS108)。そして、ステップS106へ戻り、スタートキーの押下待ち状態にする。
【0104】
スタートキーが押下されたときに、スキャナ部21にセットされている原稿を検知した場合には(ステップS107;Yes)、CPU11は、設定されたジョブを受け付け、そのジョブにID(ジョブNo)を付与する。また、スキャナ部21に原稿の読み取りを開始させ(ステップS109)、スキャナ部21が読み取った原稿の画像データを、画像処理部22を介してRAM14に一時的に保存する(ステップS110)。このとき、画像処理部22は画像データを解析し、画像データ内の電子透かし情報の有無を判別する。画像データが複数ページの場合は、その判別をページ単位で全ページに対して行う(ステップS111)。
【0105】
全ての原稿の読み取りを完了し、その画像データの全てのページに電子透かし情報がない場合には(ステップS111;No)、CPU11は当該ジョブを通常ジョブとして実行する(ステップS112→ステップS113;No)。
【0106】
通常ジョブに対しては、設定内容に従い、当該ジョブに係る画像データを印刷または送信する。
【0107】
コピーの場合には、CPU11はプリンタ部23を制御し、RAM14に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力する。ファクシミリ送信の場合には、CPU11はファクシミリ通信部19を制御し、RAM14に保存されている画像データを、公衆回線を通じて送信先の外部装置に送信する。スキャン送信の場合には、CPU11はネットワーク通信部20を制御し、RAM14に保存されている画像データを、ネットワーク2を通じて送信先の端末装置やサーバ装置などに送信する。また、送信(ファクシミリ送信)+印刷の場合には、CPU11は、ファクシミリ通信部19を制御し、RAM14に保存されている画像データを、公衆回線を通じて送信先の外部装置に送信し、その送信後にプリンタ部23を制御し、RAM14に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力する。
【0108】
CPU11は、ジョブの実行を完了すると(ステップS113;Yes)、RAM14に保存していた当該ジョブに係る原稿の画像データを削除する(ステップS114)。そして、ユーザからログアウト操作を受けた場合には(ステップS115;Yes)、ステップS101へ戻り、ログアウト操作を受けない場合には(ステップS115;No)、ステップS104へ戻る。
【0109】
一方、原稿から読み取った画像データ内の1ページにでも電子透かし情報があった場合には(ステップS111;Yes)、その電子透かし情報を一時的にRAM14に保存し、図10のステップS121へ移行する。
【0110】
ステップS121では、CPU11は当該ジョブのジョブ種別を確認する。ジョブ種別が送信の場合には(ステップS121;送信)、CPU11は、当該ジョブのジョブ種別を示す“送信”を当該ジョブ(ジョブID)に関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS122)。さらに、ユーザの設定した送信先情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS123)。そして、即開始モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面(図14の復帰モード選択画面70を参照)を表示部17に表示し(ステップS124)、ステップS129へ移行する。
【0111】
ジョブ種別が印刷の場合には(ステップS121;印刷)、CPU11は、当該ジョブのジョブ種別を示す“印刷”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS125)。そして、待機モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面を表示部17に表示し(ステップS128)、ステップS129へ移行する。
【0112】
ジョブ種別が送信+印刷の場合には(ステップS121;送信+印刷)、CPU11は、当該ジョブのジョブ種別を示す“送信+印刷”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS126)。さらに、ユーザの設定した送信先情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS127)。そして、待機モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面を表示部17に表示し(ステップS128)、ステップS129へ移行する。なお、送信+印刷ジョブに対して初期選択状態にする復帰モードは、待機モードではなく即開始モードにするようにしてもよい。
【0113】
ステップS129では、CPU11は、RAM14に保存した電子透かし情報から承認者情報を抽出し、その承認者情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS129)。さらに、現在ログイン中のユーザのユーザ情報(ユーザID、氏名など)を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS130)。
【0114】
CPU11は、表示部17に表示した復帰モード選択画面を通じて、ユーザから復帰モードの選択を受け付けるか否かを監視する(ステップS131;No)。図14に、復帰モード選択画面70の一例を示す。
【0115】
復帰モード選択画面70には、即開始モードと待機モードのそれぞれのモード選択ボタンが表示される。図中では、選択状態のモード選択ボタンをハッチングで示しており、本図では即開始モードが選択状態であることを表している。
【0116】
ユーザは、初期選択状態の復帰モード(即開始モード/待機モード)で構わない場合には、画面内のOKボタンを押下し、復帰モードの選択を確定する。復帰モードを変更する場合には、画面内の非選択状態のモード選択ボタンを押下して復帰モードを切り替え、OKボタンを押下して、復帰モードの変更・選択を確定する。また、要承認となった当該ジョブをキャンセルする場合には、中止ボタンを押下する。
【0117】
図10では、CPU11は、復帰モード選択画面を通じて復帰モードの選択の確定を受け付けると(ステップS131;Yes)、選択された復帰モードを示す復帰モード情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS132)。
【0118】
続いてCPU11は、当該ジョブ(実行ジョブ)を承認待ちジョブに変更し(ステップS133)、RAM14に保存した当該ジョブに係る原稿の画像データを、RAM14からハードディスク装置16に退避保存する(ステップS134)。この退避保存は、RAM14に保存した画像データをハードディスク装置16にコピーし、コピー後にRAM14内からその画像データを削除することで行う。
【0119】
続いてCPU11は、不揮発メモリ15に保存した各種情報(ジョブ種別、送信先情報、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブに付与したジョブID(ジョブNo)を使用して、承認依頼通知メールを作成する(ステップS135)。本通知メールを作成すると、RAM14に保存しておいた電子透かし情報を削除し、承認者情報によって示されるその承認者の管理者端末35に承認依頼通知メールを送信する(ステップS136)。そして、ユーザからログアウト操作を受けた場合には(ステップS137;Yes)、ステップS101へ戻り、ログアウト操作を受けない場合には(ステップS137;No)、ステップS104へ戻る。
【0120】
承認依頼通知メールの詳細は、図3、図5、図7で説明した通りである。この承認依頼通知メールを受信した管理者端末35を使用する承認者は、その管理者端末35を通じて承認依頼通知メールを確認し、前述したように承認結果通知メール(承認通知メール/承認却下通知メール)を作成して(図4、図6、図8参照)、管理者端末35から複合機10に返信する。
【0121】
複合機10は、管理者端末35から承認結果通知メールを受信すると、図9のステップS103;Yesから図11のステップS141へ移行し、ステップS141以降を行う。
【0122】
ステップS141では、CPU11は、受信した承認結果通知メールを不揮発メモリ15に保存する。また、この承認結果通知メールに記載されているユーザ情報に基づいて、そのユーザのユーザ端末30に、不揮発メモリ15に保存したこの承認結果通知メールを送信(転送)する(ステップS142)。
【0123】
続いてCPU11は、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[承認状況]に記載されている情報を確認する(ステップS143)。「承認却下」が記載されている場合には(ステップS143;承認却下(承認却下通知メール受信時))、CPU11は当該通知メールに係る承認待ちジョブの承認が得られなかったと判断する。この場合は、不揮発メモリ15に保存されている、この承認が却下された承認待ちジョブに関する各種情報(ジョブ種別、送信先情報、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブに係る承認結果通知メールを削除し、ハードディスク装置16に保存されている、当該ジョブに係る原稿の画像データを削除して(ステップS144)、ステップS101へ戻る。
【0124】
承認結果通知メールにおける承認通信欄の[承認状況]に、「承認済み」が記載されている場合には(ステップS143;承認済み(承認通知メール受信時))、CPU11は当該通知メールに係る承認待ちジョブの承認が得られたと判断し、その承認待ちジョブを承認済み待機ジョブに変更する。また、不揮発メモリ15に保存されている、当該ジョブ(承認待ち状態から承認済み待機状態に変更したジョブ)のジョブ種別を確認する(ステップS145)。
【0125】
ジョブ種別が“印刷”または“送信”の場合には(ステップS145;No)、ステップS150へ移行する。ジョブ種別が“送信+印刷”の場合には(ステップS145;Yes)、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[ジョブ種別]に記載されているジョブ種別情報を確認する(ステップS146)。ジョブ種別情報が「送信+印刷」であれば(ステップS146;Yes)、不揮発メモリ15に保存されているジョブ種別の“送信+印刷”と一致し、承認者によってジョブ種別が変更されていないことになり、この場合はステップS150へ移行する。
【0126】
承認結果通知メールにおける承認通信欄の[ジョブ種別]に記載されているジョブ種別情報が「印刷」であれば(ステップS146;No→ステップS147;Yes)、承認者によってジョブ種別が印刷に変更されたことになり(印刷のみ許可)、この場合は当該ジョブ(承認済み待機ジョブ)を、設定時の送信+印刷ジョブから印刷ジョブに変更し(ステップS148)、ステップS150へ移行する。
【0127】
承認結果通知メールにおける承認通信欄の[ジョブ種別]に記載されているジョブ種別情報が「送信」であれば(ステップS146;No→ステップS147;No)、承認者によってジョブ種別が送信に変更されたことになり(送信のみ許可)、この場合は当該ジョブ(承認済み待機ジョブ)を、設定時の送信+印刷ジョブから送信ジョブに変更し(ステップS149)、ステップS150へ移行する。
【0128】
ステップS150では、CPU11は、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[復帰モード]に記載されている復帰モード情報を確認する(ステップS150)。この復帰モード情報が「待機モード」である場合には(ステップS150;待機モード)、図9のステップS101へ戻る。「即開始モード」である場合には(ステップS150;即開始モード)、図12のステップS154へ移行する(詳細は後述)。
【0129】
図9では、ステップS104で、ログインしたユーザに対する承認結果通知メールの有無を不揮発メモリ15内で検索し、該当する承認結果通知メールがある場合には(ステップS104;Yes)、図12のステップS151へ移行する。ステップS151では、CPU11は、表示部17に承認済み待機ジョブの通知画面を表示し、その後、承認済み待機ジョブの選択画面を表示する(ステップS151)。
【0130】
図15に、承認済み待機ジョブ通知画面80の一例を示す。承認済み待機ジョブ通知画面80は、ログイン画面60上にポップアップ表示される。図16に、承認済み待機ジョブ選択画面90の一例を示す。承認済み待機ジョブ選択画面90には、ログイン・ユーザ(操作者)に係る承認済み待機ジョブが一覧表示される。
【0131】
図12では、CPU11は、承認済み待機ジョブ選択画面を通じて、承認済み待機ジョブの選択を受け付けるか否かを監視する(ステップS152;No)。承認済み待機ジョブの選択を受けると(ステップS152;Yes)、スタートキーの押下を受け付けるか否かを監視する(ステップS153;No)。スタートキーの押下を受けると(ステップS153;Yes)、CPU11は、ハードディスク装置16に退避保存されている、この選択された承認済み待機ジョブに係る原稿の画像データを、RAM14に戻す(ステップS154)。
【0132】
また、図11のステップS150において、管理者端末35から受信し不揮発メモリ15に保存した承認結果通知メールによる復帰モードが「即開始モード」であった場合には、この図12のステップS154以降を行う。この場合、CPU11は、受信・保存した承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブを特定し、ハードディスク装置16に退避保存されている、その特定した承認済み待機ジョブに係る原稿の画像データを、RAM14に戻す(ステップS154)。
【0133】
ハードディスク装置16からRAM14への画像データの戻しは、ハードディスク装置16に退避保存されている画像データをRAM14にコピーし、コピー後にハードディスク装置16内からその画像データを削除することで行う。
【0134】
CPU11は、承認済み待機ジョブ選択画面を通じて選択された承認済み待機ジョブ、または、承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブを、実行ジョブに変更し(ステップS155)、そのジョブを実行する(ステップS156→ステップS157;No)。このステップS156の内容は、図9のステップS112と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0135】
CPU11は、ジョブの実行を完了すると(ステップS157;Yes)、不揮発メモリ15に保存されている当該ジョブに関する各種情報(ジョブ種別、送信先情報、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブに係る承認結果通知メールを削除し、RAM14に保存していた当該ジョブに係る原稿の画像データを削除する(ステップS158)。そして、ユーザからログアウト操作を受けた場合には(ステップS159;Yes)、ステップS101へ戻り、ログアウト操作を受けない場合には(ステップS159;No)、ステップS104へ戻る。
【0136】
なお、ここでは原稿のコピーや送信を例に説明したが、複合機10がユーザ端末30から受け付けるプリントジョブや送信ジョブについても同様に処理できる。すなわち、複合機10は、ユーザ端末30から受信したジョブ(プリント/送信)が画像の出力に承認を必要とするジョブであると判断した場合は、そのジョブを承認待ち状態にして、所定の承認者にそのジョブによる画像の出力に対しての承認を求める。承認者から承認が得られた場合は、そのジョブを即開始モードまたは待機モードのいずれで実行するかを、そのジョブの出力形態(プリント/送信)に応じて切り替えることが可能である。
【0137】
また、ユーザ端末30から受信したジョブが要承認であると判断し、そのユーザ端末30を通じてユーザから復帰モード(即開始モード/待機モード)の選択を受け付ける場合には、複合機10はユーザ端末30と通信し、ユーザ端末30のドライバプログラムによって、ユーザ端末30の表示部に、図14に例示したような復帰モード選択画面を表示させ、その画面を通じて、ユーザから復帰モードの選択を受け付けることが可能である。
【0138】
また、図9〜図12に示した本実施形態に係る動作では、ジョブの属性(出力形態/ジョブ種別)に応じた初期設定(初期選択状態)の復帰モード(即開始モード/待機モード)をユーザに提示し、その復帰モードの了解/変更(ユーザ選択)を受け付けるようにしているが、このユーザによる復帰モードの変更は受け付けない構成としてもよい。また、承認依頼通知メールに復帰モードを付加して送信し、承認者からの承認結果通知メール(承認通知メール)で復帰モードの変更(指定)を受け付けるようにしているが、この承認者による復帰モードの変更は受け付けない構成としてもよい。さらに、承認依頼通知メールにジョブ種別(出力形態/ジョブの属性)を付加して送信し、承認者からの承認結果通知メール(承認通知メール)でジョブ種別の変更(指定)を受け付けるようにしているが、この承認者によるジョブ種別の変更は受け付けない構成としてもよい。すなわち、ユーザによる復帰モードの選択、承認者による復帰モードとジョブ種別(ジョブの属性)の指定を受けずに、ユーザから受け付けたジョブの属性に応じた初期設定の復帰モードに自動で切り替えるようにしてもよい。
【0139】
この場合は、図3、図5、図7に示した承認依頼通知メールにおいて、承認通知欄の[ジョブ種別]と[復帰モード]の項目を省略し、承認者から受信する承認結果通知メール(図4、図6、図8参照)で、ジョブ種別や復帰モードの指定(変更)を受け付けない構成とする。また、図14に示した、復帰モードの選択を受け付ける復帰モード選択画面70は、ジョブの属性に応じた初期設定の復帰モードを報知する復帰モード報知画面などに置き換える。図10のステップS124およびステップS128では、「選択画面」を「報知画面」に置き換え、ステップS131は削除する。図11のステップS150では、受信した承認結果通知メールにおける承認通信欄の[復帰モード]に記載されている復帰モード情報を確認するのではなく、受信した承認結果通知メールに該当するジョブ(承認待ちジョブ)の不揮発メモリ15に記憶されている復帰モード情報を確認する。以上の変更および置き換えにより、ユーザから受け付けたジョブの属性に応じた初期設定の復帰モードに自動で切り替えられるようになる。
【0140】
このように、本実施形態に係る複合機10は、受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対して承認を求める承認依頼通知(承認依頼通知メール)を所定の承認者に送信する。その承認者から、承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知(承認通知メール)を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作(ジョブの実行を即開始する即開始モードによる実行動作)と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作(ユーザから実行指示操作を受けてジョブを実行する待機モードによる実行動作)のいずれを行うかを、該ジョブの出力形態(ジョブ種別)に応じて切り替える。
【0141】
詳細には、送信系のジョブは、承認者から承認通知を受信すると、即開始モードに切り替えて、自動実行する。送信は、出力物の秘匿性は受信機側での出力状態に依存するので、送信機側(複合機10側)で承認後に自動送信する場合と、実行指示操作を受けて送信する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。また、印刷系のジョブは、承認者から承認通知を受信すると、待機モードに切り替えて、実行指示操作を受けてから実行する。印刷は、承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる。この送信と印刷では、秘匿性のレベルが異なり、印刷に比べて送信の方が秘匿性のレベルが高い(送信に比べて印刷の方が秘匿性のレベルが低い)とも言える。
【0142】
これにより、承認待ち状態のジョブに対する承認後の開始タイミングを、該ジョブの出力形態(ジョブ種別)に応じて、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。したがって、この切り替えを行うための設定操作などが不要となり、操作の負担が軽減される。
【0143】
また、実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらない送信系のジョブは、承認後に、実行指示操作を受けずに自動実行することで、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。また、実行指示操作を受けて実行すると出力時の秘匿性が高くなる印刷系のジョブは、承認後に、自動実行せずに実行指示操作を受けて実行することで、セキュリティが確保される。
【0144】
また、承認を必要とするジョブに対して、承認後に該ジョブを即開始モードまたは待機モードのいずれで実行するかの選択指示(復帰モードのユーザ選択)を受けた場合には、その選択された復帰モードへの切り替えを行う。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の実行動作を、ジョブ毎に選択できるようになる。
【0145】
なお、本実施形態では、ジョブの属性(出力形態/ジョブ種別)に応じた初期設定の復帰モード(即開始モード/待機モード)を識別可能にしてユーザに提示し、その初期設定の復帰モードに対する了解/変更(ユーザ選択)を受け付けるようにしているが、初期設定を提示せずに、ユーザから、所望する復帰モード(即開始モード/待機モード)の直接選択を受け付けるようにしてもよい。
【0146】
また承認者は、承認依頼通知で承認を求められたジョブ(承認待ち状態のジョブによる画像の出力)に対する承認通知において、承認後に該ジョブを即開始モードまたは待機モードのいずれで実行するかを、自己の権限で変更することができる。複合機10は、承認者から受信した承認通知で、復帰モードの変更を受けている場合には、その変更を最優先させ、変更された復帰モードへの切り替えを行う。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の復帰モードを、承認者がジョブ毎に変更できるようになる。
【0147】
なお、本実施形態では、承認依頼通知メールの承認通知欄における[復帰モード]に記載されている「即開始モード」と「待機モード」のうちの一方を承認者が削除することで、復帰モードに対する了解/変更(承認者指定)を受け付けるようにしているが、承認者から、承認(許可)する復帰モードの直接指定を受け付けるようにしてもよい。たとえば、承認依頼通知メールの承認依頼内容における[復帰モード]の項目には「即開始モード」と「待機モード」のいずれでもよい旨を記載し、承認通知欄における[復帰モード]の項目は空欄にして承認者に送信する。承認者は、この承認依頼通知メールに対する返信メールとして作成する承認結果通知メールで、承認通知欄における[復帰モード]の項目に「即開始」または「待機」などを記入することにより、復帰モードの指定が可能である。
【0148】
また承認者は、承認依頼通知で承認を求められたジョブ(本実施形態では送信+印刷ジョブ)に対する承認通知において、該ジョブの出力形態(ジョブ種別)を、自己の権限で変更することができる。複合機10は、承認者から受信した承認通知で、出力形態の変更を受けている場合には、ジョブの出力形態をそれに従い変更する。これにより、承認待ち状態のジョブを承認後に実行する際の出力形態を、承認者がジョブ毎に変更できるようになる。
【0149】
なお、本実施形態では、送信+印刷ジョブによる承認依頼通知メールの承認通知欄における[ジョブ種別]に記載されているジョブ種別情報(「送信+印刷」、「送信」、「印刷」)を承認者が一部削除することで、ジョブ種別(出力形態)に対する了解/変更(承認者指定)を受け付けるようにしているが、承認者から、承認(許可)するジョブ種別の直接指定を受け付けるようにしてもよい。たとえば、承認依頼通知メールの承認依頼内容における[ジョブ種別]の項目には「送信+印刷」と「送信」のいずれでもよい旨、または、「送信+印刷」と「印刷」のいずれでもよい旨を記載し、承認通知欄における[ジョブ種別]の項目は空欄にして承認者に送信する。承認者は、この承認依頼通知メールに対する返信メールとして作成する承認結果通知メールで、承認通知欄における[ジョブ種別]の項目に「送信+印刷」または「送信」または「印刷」などを記入することにより、ジョブ種別の指定が可能である。
【0150】
また複合機10は、承認待ち状態のジョブデータ(原稿の画像データ)を、ジョブ実行時にジョブデータを一時的に保存するRAM14からハードディスク装置16に退避保存することで、承認待ち状態のジョブの数が増えても、RAM14に承認待ち状態のジョブデータが蓄積されることを回避できる。承認を必要としないジョブを実行する場合には、そのジョブデータをRAM14に一時的に保存し、RAM14を有効に利用して処理を行うことができる。
【0151】
また複合機10は、原稿のコピーや送信を行うジョブにおいて、原稿に所定の情報(電子透かし情報やRFID情報など)が付加されている場合には、そのジョブは画像の出力に承認を必要とするジョブであると自動判断する。たとえば、機密情報などが印刷された原稿においては、その原稿に予め所定の情報を付加しておくことにより、その原稿を読み取って取得した画像の出力に対しては自動で要承認とすることができ、その画像の出力に対するセキュリティを確保できる。
【0152】
続いて、第2〜第4の実施形態では、複合機10による保存系のジョブに対する実行動作について説明する。
【0153】
[第2の実施形態]
複合機10がユーザ操作で受け付ける保存系のジョブには、原稿画像を複合機10内に保存するジョブや複合機10に接続された外部メモリに保存するジョブ、複合機10内に保存されている画像を外部メモリに保存するジョブ、外部メモリに保存されている画像を複合機10内に保存するジョブなどがある。これらのうち、複合機10内に原稿画像を保存するジョブは、複合機10のハードディスク装置16に設定したBOX(画像保存用フォルダ)に原稿のスキャン画像(ファイル)を保存するスキャン to BOXのジョブである。また、複合機10に接続された外部メモリに原稿画像を保存するジョブは、複合機10に接続されたUSBメモリなどに原稿のスキャン画像を保存するスキャン to USBのジョブである。
【0154】
図17および図18は、複合機10が管理者端末35へ送信する保存系のジョブの承認依頼通知メール(44)と、管理者端末35から受信するその承認結果通知メール(54a、54b)の一例を示している。
【0155】
保存系のジョブに係るこれらの通知メールも、記載内容の構成(記載項目)、および、承認者による承認方法(承認の仕方と承認内容の変更の仕方)は、図3〜図8に例示した印刷系および送信系のジョブに係る通知メールと同様である。記載内容の詳細で異なるのは、[ジョブ種別]が「保存」となっている点である。また、[復帰モード]は、送信系のジョブと同じく、初期設定では「即開始モード」が自動選択されるようになっている。ただし、図14に例示した復帰モード選択画面70で説明したように、この自動選択された復帰モードはユーザが変更できる。
【0156】
なお、図17の承認依頼通知メール44では、[復帰モード]として「即開始モード」が選択されたものを例示している。また、図18の2つの承認結果通知メールのうち、(A)の承認結果通知メール54aでは、承認者が[復帰モード]として「即開始モード」を許可(承認)したものを例示しており、(B)の承認結果通知メール54bでは、承認者が[復帰モード]として「待機モード」を許可(承認)したものを例示している。
【0157】
また、図19および図20に、印刷系と保存系のジョブに係る通知メールの変形例を示す。
【0158】
図19は、印刷系のジョブに係る変形例の承認依頼通知メール45と承認結果通知メール55を示している。本例は、画像の印刷(原稿のコピーなど)と共に保存を行うジョブに対する通知メールである。承認依頼通知メール45では、承認通知欄における[ジョブ種別]に「印刷」と「保存」が記載されており、印刷と保存の承認を求めることを示している。[復帰モード]には、括弧書きで記載されていない「待機モード」が選択され、括弧書きで記載された「即開始モード」が非選択であることを示している。
【0159】
この承認依頼通知メール45に対する承認結果通知メール55では、承認通知欄における[ジョブ種別]には「印刷」のみが記載されていることで(「保存」は削除)、印刷のみが承認されたことを示している。[復帰モード]には「待機モード」のみが記載されていることで(括弧書きの「即開始モード」は削除)、待機モードが承認されたことを示している。
【0160】
図20は、保存系のジョブに係る変形例の承認依頼通知メール46と承認結果通知メール56を示している。本例は、画像の保存(原稿のスキャン保存など)と共に印刷を行うジョブに対する通知メールである。承認依頼通知メール46では、承認通知欄における[ジョブ種別]に「印刷」と「保存」が記載されており、印刷と保存の承認を求めることを示している。[復帰モード]には、括弧書きで記載されていない「待機モード」が選択され、括弧書きで記載された「即開始モード」が非選択であることを示している。
【0161】
この承認依頼通知メール46に対する承認結果通知メール56では、承認通知欄における[ジョブ種別]には「保存」のみが記載されていることで(「印刷」は削除)、保存のみが承認されたことを示している。[復帰モード]には「待機モード」のみが記載されていることで(括弧書きの「即開始モード」は削除)、待機モードが承認されたことを示している。
【0162】
図21〜図24は、第2の実施形態に係るジョブ実行の動作を示す流れ図である。本動作は、第1の実施形態で説明した図9〜図13に対し、送信系のジョブを保存系のジョブに置き換えたものである。ここでは、第1の実施形態と基本的に同じ処理内容のステップには同じステップ番号を付してその説明を省略し、主に異なる処理内容のステップ(追加、削除、同じステップ番号でも処理内容が一部異なるものなど)について説明する。
【0163】
図21では、複合機10のCPU11は、ステップS105でユーザからジョブの設定を受け付ける。ここでは、原稿のコピー(複写印刷)ジョブ、または、原稿のスキャン画像を複合機10内のBOX(ハードディスク装置16)に保存するジョブ(BOX保存ジョブ)、または、原稿のスキャン画像を複合機10の外部メモリ接続部24に接続されたUSBメモリに保存するジョブ(USBメモリ保存ジョブ)の設定を、操作部18を通じて受け付ける。
【0164】
全ての原稿の読み取りを完了し、その画像データの全てのページに電子透かし情報がない場合には(ステップS111;No)、CPU11は当該ジョブを通常ジョブとして実行する(ステップS212→ステップS213;No)。通常ジョブに対しては、設定内容に従い、当該ジョブに係る画像データを印刷または保存(BOX保存/USBメモリ保存)する。
【0165】
図22では、CPU11は、ステップS221で当該ジョブのジョブ種別を確認する。ジョブ種別が印刷の場合には(ステップS221;印刷)、CPU11は、第1の実施形態と同じく、当該ジョブのジョブ種別を示す“印刷”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存し(ステップS125)、待機モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面を表示部17に表示して(ステップS128)、ステップS129へ移行する。
【0166】
ジョブ種別が保存の場合には(ステップS221;保存)、CPU11は、当該ジョブのジョブ種別を示す“保存”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存し(ステップS222)、即開始モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面を表示部17に表示して(ステップS124)、ステップS129へ移行する。
【0167】
図23では、CPU11は、ステップS143で、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[承認状況]に記載されている情報を確認し、「承認済み」が記載されている場合には(ステップS143;承認済み(承認通知メール受信時))、CPU11は当該通知メールに係る承認待ちジョブの承認が得られたと判断し、その承認待ちジョブを承認済み待機ジョブに変更する。
【0168】
続いて、CPU11は、承認結果通知メールにおける承認通信欄の[復帰モード]に記載されている復帰モード情報を確認する(ステップS150)。この復帰モード情報が「待機モード」である場合には(ステップS150;待機モード)、図21のステップS101へ戻る。「即開始モード」である場合には(ステップS150;即開始モード)、図24のステップS154へ移行する。
【0169】
図24では、CPU11は、ステップS155で、承認済み待機ジョブ選択画面を通じて選択された承認済み待機ジョブ、または、承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブを、実行ジョブに変更し、そのジョブを実行する(ステップS256→ステップS257;No)。このステップS256の内容は、図21のステップS212と同様である。
【0170】
このように、本実施形態では、承認待ち状態の印刷系と保存系のジョブに対する承認後の開始タイミングを、該ジョブの出力形態(ジョブ種別)に応じて、セキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができ、この切り替えを行うための設定操作などが不要となって操作の負担が軽減される。
【0171】
また、複合機10内のBOX(ハードディスク装置16)に画像を保存するジョブは、承認後に自動保存する場合と、実行指示操作を受けて保存する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない。複合機10に接続されたUSBメモリに画像を保存するジョブにおいても、そのUSBメモリを厳重に保管したり、パスワードロックを掛けたりすることで、他人が扱えない状態に管理すれば、出力時の秘匿性は変わらないと言える。
【0172】
このように、保存系のジョブも送信系のジョブと同様に、実行指示操作を受けても受けなくても出力時の秘匿性が変わらないので、保存系のジョブは承認後に実行指示操作を受けずに自動実行することで、ユーザが複合機10まで訪れて該ジョブの実行指示を行う必要がなくなり、無駄な操作が省かれて利便性が高まる。
【0173】
[第3の実施形態]
【0174】
図25〜図28は、第3の実施形態に係るジョブ実行の動作を示す流れ図である。本動作は、第1の実施形態で説明した印刷系と送信系のジョブに対する動作と、第2の実施形態で説明した保存系のジョブに対する動作とを網羅したものである。
【0175】
本実施形態に係る図25〜図28の各処理ステップは、基本的には、第1の実施形態に係る図9〜図13の各処理ステップと、第2の実施形態に係る図21〜図24の各処理ステップとを統合したものである。図9〜図13および図21〜図24に対して異なるのは、図25におけるジョブ実行に係るステップS312、S313と、図26におけるジョブ種別情報の判断および不揮発メモリ15への保存に係るステップS321、S322、S323と、図28におけるジョブ実行に係るステップS356、S357である。図27の各処理ステップは、図11と同じである。
【0176】
図25〜図28の各処理ステップは、上記のように第1および第2の実施形態で説明した各処理ステップを統合したものであり、処理内容の詳細については前述しているので、ここでは説明を割愛する。
【0177】
[第4の実施形態]
【0178】
図29〜図32は、第4の実施形態に係るジョブ実行の動作を示す流れ図である。本動作は、第2の実施形態で説明した印刷系と保存系のジョブに対する動作の変形例である。
【0179】
本実施形態では、保存系のジョブに対するセキュリティを高めるために、画像の保存に承認を必要とするジョブ(電子透かし情報がある画像の保存ジョブ)については、その画像を暗号化して保存する。また、この暗号化して保存した画像を印刷するジョブの実行指示を受けた場合は、該ジョブを承認待ち状態にして承認依頼通知メール(図17参照)を所定の管理者(管理者端末35)に送信する。その管理者から承認(了承)を示す承認結果通知メール(図18参照)を受信した場合は、該ジョブの実行を許可し、画像を復号化して印刷する。
【0180】
ここでは、第1および第2の実施形態と基本的に同じ処理内容のステップには同じステップ番号を付してその説明を省略し、主に異なる処理内容のステップ(追加、同じステップ番号でも処理内容が一部異なるものなど)について説明する。
【0181】
図29では、複合機10のCPU11は、ステップS105でユーザからジョブの設定を受け付ける。ここでは、原稿のコピー(複写印刷)ジョブ、または、原稿のスキャン画像を複合機10内のBOX(ハードディスク装置16)に保存するジョブ(BOX保存ジョブ)、または、原稿のスキャン画像を複合機10の外部メモリ接続部24に接続されたUSBメモリに保存するジョブ(USBメモリ保存ジョブ)、または、複合機10内のBOXに保存されている画像を指定して印刷するジョブ、または、複合機10の外部メモリ接続部24に接続されたUSBメモリに保存されている画像を指定して印刷するジョブの設定を、操作部18を通じて受け付ける。
【0182】
CPU11は、スタートキーが押下されてジョブの実行指示を受け(ステップS106;Yes)、スキャナ部21の原稿を検知しない場合(ステップS107;No)、この実行指示を受けたジョブが、コピーまたはBOX保存またはUSBメモリ保存のジョブである場合には(ステップS401;No)、ステップS108へ移行する。そして、ユーザに対して警告を促すために、「原稿をセットしてください」などの、原稿のセットを要求する旨のメッセージを表示部17に表示し(ステップS108)、ステップS106へ戻り、スタートキーの押下待ち状態にする。
【0183】
実行指示を受けたジョブが、BOXまたはUSBメモリに保存されている画像を指定して印刷するジョブである場合には(ステップS401;Yes)、CPU11は、その指定された画像(画像データのファイル)が暗号化されているか否かを確認する(ステップS402)。指定された画像が暗号化されていない場合は(ステップS402;No)、指定された画像をRAM14にコピーし(ステップS403)、そのRAM14内の画像を印刷するジョブを実行する(ステップS212、S213;No)。
【0184】
CPU11は、ジョブの実行を完了すると(ステップS213;Yes)、RAM14に保存していた当該ジョブに係る画像を削除する(ステップS414)。
【0185】
一方、指定された画像が暗号化されている場合は(ステップS402;Yes)、CPU11は、その指定された画像の印刷に対する承認依頼通知内容を当該ジョブ(ジョブID)に関連付けて不揮発メモリ15に保存し(ステップS404)、当該ジョブのジョブ種別を示す“印刷”を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する(ステップS405)。
【0186】
承認依頼通知内容の詳細は、承認依頼通知メールを作成するために必要となる前述の承認者情報、ユーザ情報(現在ログイン中のユーザ)、復帰モード情報などである。これらの各種情報は、後述する図32のステップS463で、BOXまたはUSBメモリに保存した画像(暗号化した画像データ)に関連付けて、その画像の保存先となるBOXまたはUSBメモリに保存している。ここでは、指定された画像に関連付けてBOXまたはUSBメモリに保存されている各種情報(承認依頼通知内容)を、当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存する。
【0187】
CPU11は、待機モードを初期選択状態にした復帰モード選択画面(図14参照)を表示部17に表示し(ステップS406)、復帰モード選択画面を通じて、ユーザから復帰モードの選択を受け付けるか否かを監視する(ステップS407;No)。CPU11は、復帰モード選択画面を通じて復帰モードの選択の確定を受け付けると(ステップS407;Yes)、選択された復帰モードを示す復帰モード情報を当該ジョブに関連付けて不揮発メモリ15に保存し(ステップS408)、当該ジョブ(実行ジョブ)を承認待ちジョブに変更して(ステップS409)、図30のステップS135へ移行する。
【0188】
ステップS409からステップS135へ移行した場合、CPU11は、不揮発メモリ15に保存した各種情報(ジョブ種別、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブのジョブID(ジョブNo)を使用して、承認依頼通知メールを作成し(ステップS135)、承認者情報によって示されるその承認者の管理者端末35に承認依頼通知メールを送信する(ステップS136)。
【0189】
図31の各処理ステップは、第2の実施形態で説明した図23の各処理ステップと同じであるため説明を割愛する。ただし、複合機10が管理者端末35から受信し不揮発メモリ15に保存した承認結果通知メールによる復帰モードが「即開始モード」である場合には(ステップS150;即開始モード)、図32のステップS451へ移行する(詳細は後述)。
【0190】
図32では、CPU11は、表示部17に表示した承認済み待機ジョブの選択画面(図16参照)を通じて、ログイン・ユーザから承認済み待機ジョブの選択を受け(ステップS151、S152;Yes)、スタートキーの押下を受けると(ステップS153;Yes)、その選択および実行指示を受けた当該ジョブがコピージョブの場合は(ステップS451;No)、ハードディスク装置16に退避保存されている当該ジョブに係る原稿の画像データを、RAM14に戻し(ステップS154)、ステップS155へ移行する。
【0191】
選択および実行指示を受けた当該ジョブがBOXまたはUSBメモリに保存されている指定の画像を印刷するジョブである場合には(ステップS451;Yes)、CPU11は、BOXまたはUSBメモリからその指定の画像(暗号化された画像データ)をRAM14にコピーし(ステップS452)、その画像を復号化してRAM14に保存する(ステップS453)。そして、RAM14にコピーした元の画像(暗号化された画像データ)を削除し(ステップS454)、ステップS155へ移行する。
【0192】
また、図31のステップS150において、管理者端末35から受信し不揮発メモリ15に保存した承認結果通知メールによる復帰モードが「即開始モード」であった場合には、この図32のステップS451以降を行う。この場合、CPU11は、受信・保存した承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブがコピージョブの場合は(ステップS451;No)、ステップS154以降を行い、BOXまたはUSBメモリに保存されている指定の画像を印刷するジョブの場合は(ステップS451;Yes)、ステップS452以降を行う。
【0193】
ステップS155では、CPU11は、承認済み待機ジョブ選択画面を通じて選択された承認済み待機ジョブ、または、承認結果通知メールに該当する承認済み待機ジョブを、実行ジョブに変更する(ステップS155)。この実行ジョブがコピー、もしくは、BOXまたはUSBメモリに保存されている画像を印刷するジョブである場合には(ステップS455;印刷)、CPU11はそのジョブを実行する(ステップS456→ステップS457;No)。ここでは、CPU11はプリンタ部23を制御し、RAM14に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力する。
【0194】
ジョブの実行を完了すると(ステップS457;Yes)、CPU11は、不揮発メモリ15に保存されている当該ジョブに関する各種情報(ジョブ種別、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、当該ジョブに係る承認結果通知メールを削除し、RAM14に保存していた当該ジョブに係る画像データ(原稿の画像データ、もしくは、BOXまたはUSBメモリからコピーし復号化した画像データ)を削除し(ステップS458)、ステップS159へ移行する。
【0195】
また、実行ジョブがBOX保存またはUSBメモリ保存のジョブである場合には(ステップS455;保存)、CPU11は、ステップS154でハードディスク装置16からRAM14に戻した当該ジョブに係る原稿の画像データを暗号化してRAM14に保存し(ステップS459)、暗号化前の原稿の画像データをRAM14から削除する(ステップS460)。
【0196】
続いて、CPU11は、当該ジョブを実行し、RAM14に保存されている暗号化した原稿の画像データをBOXまたはUSBメモリに保存する(ステップS461、S462;No)
【0197】
ジョブの実行を完了すると(ステップS462;Yes)、CPU11は、不揮発メモリ15に保存されている当該ジョブに関する承認依頼通知内容を、BOXまたはUSBメモリに保存した画像データ(暗号化された画像データ)に関連付けてBOXまたはUSBメモリに保存する(ステップS463)。
【0198】
承認依頼通知内容の詳細は、ここでBOXまたはUSBメモリに保存した画像データを後に印刷するときに(図29のステップS401、S402、S404参照)、その印刷の承認を得るための承認依頼通知メールを作成する際に必要となる前述の承認者情報、ユーザ情報(現在ログイン中のユーザ)、復帰モード情報などである。これらの各種情報は、図30のステップS129、S130、S132で不揮発メモリ15に保存されており、ステップS463ではこれらの各種情報(承認依頼通知内容)を、暗号化して保存した画像データに関連付けて保存する。
【0199】
なお、上記の承認依頼通知メールに記載するジョブ種別は「印刷」であるため、図30のステップS222で不揮発メモリ15に保存したジョブ種別情報「保存」は、上記メールの作成時には不要である。そのため、ここでは、不揮発メモリ15に保存されているジョブ種別情報を承認依頼通知内容に含めておらず、したがって、画像データに関連付けたジョブ種別情報の保存は行わない。
【0200】
続いて、CPU11は、不揮発メモリ15に保存されている当該ジョブに関する各種情報(ジョブ種別、承認者情報、ユーザ情報、復帰モード情報)と、RAM14に保存していた当該ジョブに係る暗号化した原稿の画像データを削除し(ステップS464)、ステップS159へ移行する。
【0201】
たとえば、機密性の高い情報である、電子透かし情報が付加された原稿の画像などを、承認者の了承が得られてBOXまたはUSBメモリに保存しても、その画像をユーザが不用意に(承認者の了承を得ずに)出力してしまうと、その画像が他人に見られてしまう可能性があり、セキュリティの点で問題がある。また、USBメモリに画像を保存した場合は、そのUSBメモリの管理を怠って他人が扱える状態であると、USBメモリに保存されている画像(機密性の高い情報)を他人に見られてしまう可能性があり、やはりセキュリティの点で問題がある。
【0202】
本実施形態では、画像を暗号化してBOXまたはUSBメモリに保存するので、その画像をユーザが不用意に出力したり、保存先のUSBメモリの管理を怠っていたとしても、その画像を他人が見ることはできず、セキュリティを確保できる。
【0203】
また、複合機10は、BOXまたはUSBメモリに保存された暗号化された画像を印刷するジョブを受け付けた場合には、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の印刷に対する承認依頼通知メールを所定の承認者に送信する。その承認者から、画像の印刷を了承する承認結果通知メールを受信した場合は、該ジョブの実行を許可し、画像を復号化して印刷する。
【0204】
これにより、BOXまたはUSBメモリに保存された暗号化された画像(機密性の高い情報)を印刷するジョブも、承認者の了承が得られた場合のみ実行可能となり、その保存された画像のユーザによる不用意な出力を未然に防止することができる。
【0205】
また、本実施形態においても、上記の印刷ジョブに対し、その出力形態に応じて自動で待機モードに切り替えて実行したり、ユーザが復帰モード(即開始モード/待機モード)を選択したり、承認者が復帰モードを自己の権限で変更したりすることができる。
【0206】
なお、本実施形態では、保存された画像を印刷する場合で説明したが、この保存された画像の出力形態は、送信や他のメモリへの保存(BOXからUSBメモリへの保存、USBメモリからBOXへの保存、複合機10に接続されたUSBメモリから他のUSBメモリへの保存)などでもよい。
【0207】
また、BOXやUSBメモリに保存された画像を出力するジョブを承認者の了承が得られて実行する場合も、該ジョブを自動実行する即開始モードと、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する待機モードのいずれにするかを該ジョブの出力形態(ジョブ種別)に応じて切り替えることで、該ジョブに対する承認後の開始タイミングもセキュリティ確保と迅速処理を考慮した適切なタイミングに自動で切り替えることができる。
【0208】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0209】
承認待ち状態のジョブにおいて、承認後の実行動作(復帰モード)の切り替えの判断要素となるジョブの属性は、印刷、送信、保存といった出力形態(ジョブ種別)を例に説明したが、他の属性としてもよい。
【0210】
たとえば、印刷における出力形態には、出力物(印刷物)を、排紙トレイに出力する形態や、鍵付きボックス(セキュリティボックス)に出力する形態などがある。排紙トレイへの出力は、承認後に自動印刷する場合に比べて実行指示操作を受けて印刷する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる出力形態(自動印刷では出力物が第三者に見られる可能性があり、秘匿性のレベルが低い出力形態)である。鍵付きボックスへの出力は、承認後に自動印刷する場合と実行指示操作を受けて印刷する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない出力形態(出力物が第三者に見られる可能性の低い、秘匿性のレベルが高い出力形態)である。この印刷における、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を、上記のジョブの属性として用いるようにしてもよい。この場合は、鍵付きボックスに出力するジョブは、即開始モード(第1の実行動作)に切り替え、排紙トレイに出力するジョブは、待機モード(第2の実行動作)に切り替える構成が可能である。
【0211】
また、送信における出力形態には、親展送信と非親展送信(通常送信)などがある。親展送信は、承認後に自動送信する場合と実行指示操作を受けて送信する場合とで、出力時の秘匿性は変わらない出力形態(出力物が第三者に見られる可能性の低い、秘匿性のレベルが高い出力形態)である。非親展送信は、承認後に自動送信する場合に比べて(送信相手に送信開始の連絡をしてから)実行指示操作を受けて送信する場合の方が出力時の秘匿性が高くなる出力形態(自動送信では出力物が第三者に見られる可能性があり、秘匿性のレベルが低い出力形態)である。この送信における、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を、上記のジョブの属性として用いるようにしてもよい。この場合は、親展送信のジョブは、即開始モード(第1の実行動作)に切り替え、非親展送信のジョブは、待機モード(第2の実行動作)に切り替える構成が可能である。
【0212】
また、承認が必要となるジョブは、予約ジョブとして受け付けるようにしてもよい。予約ジョブの場合は、たとえば、承認通知の受信が予約時刻(時間)前であれば、予約時刻に至ったときにその予約ジョブを自動で実行開始したり、承認通知の受信が予約時刻後であれば、承認通知の受信後に直ちにその予約ジョブを自動で実行開始したりするようにしてもよい。この予約ジョブに対する自動実行でも、別途、実行指示操作を受けることなく、迅速にジョブを実行開始できる。
【0213】
ユーザから受け付けたジョブが、画像の出力に承認を必要とするジョブであるか否かは、原稿や出力対象の画像(ファイル)に所定の情報(電子透かし情報、RFID情報)が付加されているか否かで判断する例を説明したが、他の条件で判断するようにしてもよい。たとえば、ジョブの依頼ユーザ(ユーザ別)で承認の要否を判断したり、送信系のジョブにおいては、送信宛先(送信先情報別)で承認の要否を判断したりするようにしてもよい。ユーザ別の場合は、たとえば、ユーザレベルの低いユーザのジョブは要承認と判断し、ユーザレベルの高いユーザや管理者のジョブは、承認不要と判断するようにしてもよい。送信先情報別の場合は、たとえば、部門外や社外を送信先とするジョブは要承認と判断し、部門内や社内を送信先とするジョブは、承認不要と判断するようにしてもよい。
【0214】
また、本発明に係る画像処理装置は、実施形態で説明した複合機に限らず、コピー機、プリンタ機、ファクシミリ機などの他の画像処理装置も対象にすることができる。
【符号の説明】
【0215】
2…ネットワーク
10…複合機
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…不揮発メモリ
16…ハードディスク装置
17…表示部
18…操作部
19…ファクシミリ通信部
20…ネットワーク通信部
21…スキャナ部
22…画像処理部
23…プリンタ部
24…外部メモリ接続部
30…ユーザ端末
35…管理者端末
41、42、43、44、45、46…承認依頼通知メール
51a、51b、52a、52b、53a、53b、54a、54b、55、56…承認結果通知メール
60…ログイン画面
70…復帰モード選択画面
80…承認済み待機ジョブ通知画面
90…承認済み待機ジョブ選択画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を出力するジョブを受け付けるジョブ受付部と、
前記ジョブ受付部で受け付けたジョブを実行して画像を出力するジョブ実行部と、
前記ジョブ受付部で受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信し、その承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、前記承認待ち状態にしたジョブを承認後に自動実行する場合と実行指示操作を受けて実行する場合とで秘匿性の変わらない第1の出力形態と、前記承認待ち状態にしたジョブを承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が秘匿性の高まる第2の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記第1の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記第2の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像を外部装置に送信する送信の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記送信の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像をメモリに保存する保存の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記保存の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像を外部装置に送信する送信の出力形態と、画像をメモリに保存する保存の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記送信の出力形態と特定したジョブおよび前記保存の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ジョブ実行部は、前記保存の出力形態では画像を暗号化して前記メモリに保存し、
前記制御部は、前記ジョブ受付部で受け付けたジョブが、前記メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信し、その承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブの実行を許可し、
前記ジョブ実行部は、前記メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブを実行する場合は、該画像を復号化して出力する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記実行を許可したジョブに対して、該ジョブの属性に応じて前記切り替えを行う
ことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記承認を必要とするジョブに対して、前記第1の実行動作または前記第2の実行動作を選択する選択指示を受けた場合には、前記切り替えでは前記ジョブの属性よりも前記選択指示を優先させ、前記選択指示により選択された実行動作への切り替えを行う
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記承認通知で前記承認者から前記第1の実行動作または前記第2の実行動作の指定を受けている場合には、前記切り替えでは前記指定を最優先させ、前記指定された実行動作への切り替えを行う
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記承認通知で前記承認者から前記出力形態の指定を受けている場合には、前記ジョブの出力形態を、前記指定を受けた出力形態に変更する
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記承認待ち状態のジョブデータを、ジョブ実行時にジョブデータを配置するメモリと異なるメモリに記憶する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記ジョブ受付部で受け付けるジョブは、原稿を読み取って取得した画像を出力する原稿画像の出力ジョブを含み、
前記制御部は、前記受け付けたジョブが前記原稿画像の出力ジョブであって、前記原稿に所定の情報が付加されている場合は、該ジョブは前記承認を必要とするジョブであると判断する
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
画像を出力するジョブを受け付ける工程と、
前記受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する工程と、
前記承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信する工程と、
前記承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える工程と、
前記切り替えた実行動作に従い、該ジョブを実行して画像を出力する工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
画像を出力するジョブを受け付けるジョブ受付部と、
前記ジョブ受付部で受け付けたジョブを実行して画像を出力するジョブ実行部と、
前記ジョブ受付部で受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信し、その承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、秘匿性のレベルが異なる複数種類の出力形態を有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、前記承認待ち状態にしたジョブを承認後に自動実行する場合と実行指示操作を受けて実行する場合とで秘匿性の変わらない第1の出力形態と、前記承認待ち状態にしたジョブを承認後に自動実行する場合に比べて実行指示操作を受けて実行する場合の方が秘匿性の高まる第2の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記第1の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記第2の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像を外部装置に送信する送信の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記送信の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像をメモリに保存する保存の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記保存の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ジョブ実行部は、画像を出力する際の出力形態として、画像を外部装置に送信する送信の出力形態と、画像をメモリに保存する保存の出力形態と、画像を記録紙に印刷して出力する印刷の出力形態とを有し、
前記切り替えの判断要素となるジョブの属性は、前記出力形態を特定する情報であり、
前記制御部は、前記切り替えでは、前記情報により前記送信の出力形態と特定したジョブおよび前記保存の出力形態と特定したジョブに対しては前記第1の実行動作に切り替え、前記情報により前記印刷の出力形態と特定したジョブに対しては前記第2の実行動作に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ジョブ実行部は、前記保存の出力形態では画像を暗号化して前記メモリに保存し、
前記制御部は、前記ジョブ受付部で受け付けたジョブが、前記メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信し、その承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信した場合に、該ジョブの実行を許可し、
前記ジョブ実行部は、前記メモリに保存された暗号化された画像を出力するジョブを実行する場合は、該画像を復号化して出力する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記実行を許可したジョブに対して、該ジョブの属性に応じて前記切り替えを行う
ことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記承認を必要とするジョブに対して、前記第1の実行動作または前記第2の実行動作を選択する選択指示を受けた場合には、前記切り替えでは前記ジョブの属性よりも前記選択指示を優先させ、前記選択指示により選択された実行動作への切り替えを行う
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記承認通知で前記承認者から前記第1の実行動作または前記第2の実行動作の指定を受けている場合には、前記切り替えでは前記指定を最優先させ、前記指定された実行動作への切り替えを行う
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記承認通知で前記承認者から前記出力形態の指定を受けている場合には、前記ジョブの出力形態を、前記指定を受けた出力形態に変更する
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記承認待ち状態のジョブデータを、ジョブ実行時にジョブデータを配置するメモリと異なるメモリに記憶する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記ジョブ受付部で受け付けるジョブは、原稿を読み取って取得した画像を出力する原稿画像の出力ジョブを含み、
前記制御部は、前記受け付けたジョブが前記原稿画像の出力ジョブであって、前記原稿に所定の情報が付加されている場合は、該ジョブは前記承認を必要とするジョブであると判断する
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
画像を出力するジョブを受け付ける工程と、
前記受け付けたジョブが画像の出力に承認を必要とするジョブである場合は、該ジョブを承認待ち状態にし、該ジョブによる画像の出力に対しての承認を求める承認依頼通知を所定の承認者に送信する工程と、
前記承認者から、前記承認依頼通知で承認を求めた該ジョブによる画像の出力に対しての了承を示す承認通知を受信する工程と、
前記承認通知を受信した場合に、該ジョブを自動実行する第1の実行動作と、実行指示操作を受けて該ジョブを実行する第2の実行動作のいずれを行うかを、該ジョブの属性に応じて切り替える工程と、
前記切り替えた実行動作に従い、該ジョブを実行して画像を出力する工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2012−65300(P2012−65300A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256260(P2010−256260)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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