説明

画像処理装置と画像処理方法

【課題】ノイズ除去を行ってもエッジ部分の鮮明さが失われておらず画質の良好な画像を得ることができるようにする。
【解決手段】縮小部21は、複数の縮小率で入力画像を縮小して複数の縮小画像を生成する。ノイズ除去処理部22は、縮小画像毎にノイズ除去処理を行い、ノイズ除去画像を生成する。拡大部23は、ノイズ除去画像をそれぞれ拡大して、サイズの等しい拡大画像を生成する。混合部24は、拡大画像のうち、異なる2つ以上の拡大画像を混合して出力画像を生成する。複数の縮小率で縮小された画像に対してノイズ除去が行われるので、それぞれの拡大画像はエッジ部分の色滲みが異なり、異なる2つ以上の拡大画像の混合割合を調整することで、エッジ部分の鮮明さが失われておらず画質の良好な画像を得ることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、画像処理装置と画像処理方法に関する。詳しくは、画像のノイズ除去において、エッジ部分の鮮明さが失われていない画質の良好なノイズ除去画像を生成できるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置は、例えば画像からエッジ情報を抽出して画像処理を行う場合に、ノイズ部分が画像に含まれているとエッジ情報の抽出でノイズ部分の影響を避けることができないことから、画像のノイズ除去を行っている。また、ノイズ除去において、例えばエッジ情報を利用した画像マッチング処理を実行すると、マッチング処理に多くの時間を要する、あるいはマッチング精度が向上しない等の問題がある。このような問題を解決するために、画像処理装置は、例えば平均化フィルタ、ガウシアンフィルタ等を用いた平滑化処理によってノイズを除去することが行われている。しかし、平滑化処理によってノイズを除去すると、エッジ部分は一層不鮮明になってしまい、エッジ情報の抽出が困難となってしまう。
【0003】
そこで、画像処理装置は、メディアンフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、エッジ部分の鮮明さを失うことなくドット状のノイズを除去することが行われている。また、特許文献1は、輝度値の差分が所定の閾値以内の画素のみを用いて平滑化処理を行うことで、輪郭がボケることなく、入力信号の輪郭を保存したまま、擬似輪郭やノイズを低減することが可能とされている。
【0004】
また、大きな範囲のノイズを除去したい場合、広範囲のフィルタ演算が必要である。ここで、単にフィルタの範囲を広くすると演算回路の規模や処理時間の増大を招いてしまう。このため、特許文献2では、入力画像を縮小してからフィルタ処理を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−014024号公報
【特許文献2】特開2010−157163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、入力画像を縮小してからフィルタ処理を行う場合、エッジ等で色滲みが発生して画質の劣化を招いてしまう。特にエッジの色滲みは、赤系の色で知覚しやすい。
【0007】
そこで、この技術では、ノイズ除去を行ってもエッジ部分の鮮明さが失われておらず画質の良好な画像を得ることができる画像処理装置と画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の第1の側面は、複数の縮小率で入力画像を縮小して複数の縮小画像を生成する縮小部と、前記縮小画像毎にノイズ除去処理を行い、ノイズ除去画像を生成するノイズ除去処理部と、前記ノイズ除去画像をそれぞれ拡大して、サイズの等しい拡大画像を生成する拡大部と、前記拡大画像のうち、異なる2つ以上の拡大画像を混合して出力画像を生成する混合部とを備える画像処理装置にある。
【0009】
本技術においては、複数の縮小率で入力画像を縮小して複数の縮小画像毎にノイズ除去処理を行い、ノイズ除去画像が生成される。ノイズ除去処理部は、複数種類のフィルタを用いて構成されており、フィルタ構成が組み替え可能とされている。例えば、入力画像の色判別結果に基づき、特定色に対してはノイズ除去性能の高い第1のフィルタ構成、特性色以外は処理の速い第2のフィルタ構成とされる。また、縮小率に応じてフィルタ構成が設定される。ノイズ除去画像はサイズの等しい拡大画像に拡大されて、異なる2つ以上の拡大画像が混合されて出力画像が生成される。混合する拡大画像の混合割合は、混合する拡大画像の相関に基づいて算出される。例えば混合する拡大画像の色差信号を用いて拡大画像の相関が判別されて、相関が低くなるに伴い、縮小率が大きい画像の割合が多くなるように混合割合が算出される。また、入力画像の色判別結果に基づき、特定色に対して混合する画像の混合割合を増減させる。例えば入力画像が特定色である場合に、縮小率が大きい画像の割合が増加される。
【0010】
本技術の第2の側面は、複数の縮小率で入力画像を縮小して複数の縮小画像を生成する工程と、前記縮小画像毎にノイズ除去処理を行い、ノイズ除去画像を生成する工程と、前記ノイズ除去画像をそれぞれ拡大して、サイズの等しい拡大画像を生成する工程と、前記拡大画像のうち、異なる2つ以上の拡大画像を混合して出力画像を生成する工程と含む画像処理方法にある。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、複数の縮小率で入力画像が縮小されて、複数の縮小画像毎にノイズ除去処理が行われてノイズ除去画像が生成される。また、ノイズ除去画像をそれぞれ拡大してサイズの等しい拡大画像が生成されて、異なる2つ以上の拡大画像を混合して出力画像が生成される。このように、複数の縮小率で縮小された画像に対してノイズ除去が行われるので、それぞれの拡大画像はエッジ部分の色滲みが異なり、異なる2つ以上の拡大画像を混合することで、エッジ部分の鮮明さが失われておらず画質の良好な画像を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】撮像装置の構成を例示した図である。
【図2】第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態の動作を示す図である。
【図4】入力画像と出力画像のデータ配列を例示した図である。
【図5】画像の縮小と拡大を示す図である。
【図6】待ち時間を利用してノイズ除去性能を向上させたノイズ除去処理部の構成を示す図である。
【図7】ノイズ除去処理の組み替えを可能としたノイズ除去処理部の構成を示す図である。
【図8】第2の実施の形態の構成を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の動作を示す図である。
【図10】第3の実施の形態の構成を示す図である。
【図11】第3の実施の形態の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像処理装置を用いたシステムの構成
2.第1の実施の形態
2−1.第1の実施の形態の構成
2−2.第1の実施の形態の動作
3.第2の実施の形態
3−1.第2の実施の形態の構成
3−2.第2の実施の形態の動作
4.第3の実施の形態
4−1.第3の実施の形態の構成
4−2.第3の実施の形態の動作
【0014】
<1.画像処理装置を用いたシステムの構成>
図1は、本技術の画像処理装置を用いたシステム、例えば撮像装置の構成を例示している。撮像装置10は、撮像光学系11、撮像部12、カメラ信号処理部13、信号変換部14、ノイズ除去部20、および制御部30を備えている。
【0015】
撮像光学系11は、レンズを主体として構成されており、図示しない被写体の光学像を撮像部12の受光面に結像させる。
【0016】
撮像部12は、CMOSやCCD等の固体撮像素子を用いて構成されている。撮像部12は、撮像光学系11によって受光面に結像された光学像に応じた撮像信号を生成する。また、撮像部12は、撮像信号に対して相関二重サンプリング処理(CDS)やアナログ増幅処理、A/D変換処理等を行ってカメラ信号処理部13に出力する。
【0017】
カメラ信号処理部13は、撮像部12から供給された画像信号に対してガンマ補正や輝度調整、色補正等の処理を行い、処理後の画像信号を信号変換部14に出力する。
【0018】
信号変換部14は、信号変換を行い、カメラ信号処理部13から供給された画像信号を所定の方式の画像信号、例えば輝度信号と色差信号に変換してノイズ除去部20に出力する。
【0019】
本技術の画像処理装置に相当するノイズ除去部20は、信号変換部14から供給された画像信号に対してノイズ除去処理を行う。なおノイズ除去部20の構成および動作については後述する。
【0020】
制御部30にはユーザインタフェース(I/F)部31が接続されている。ユーザI/F部31は、ユーザからの操作入力を受け付けるものであり、電源スイッチやシャッターキー、ズームキー等の各種の操作キー、メニュー表示やメニュー項目の選択および各種設定を行うための操作キー等が設けられている。ユーザI/F部は、ユーザ操作に応じた操作信号を制御部30に出力する。
【0021】
制御部30は、マイクロコンピュータ等を用いて構成されており、記憶しているプログラムを実行して、操作信号に基づき撮像装置10の動作がユーザ操作に応じた動作となるように各部を制御する。
【0022】
<2.第1の実施の形態>
[2−1.第1の実施の形態の構成]
図2は、本技術の画像信号処理部に相当するノイズ除去部の第1の実施の形態の構成を示している。ノイズ除去部20は、縮小部21、ノイズ除去処理部22、拡大部23、混合部24を備えている。
【0023】
縮小部21は、入力画像の縮小を行う。縮小部21は、例えば第1縮小処理部21-1と第2縮小処理部21-2および第3縮小処理部21-3を備えている。第1縮小処理部21-1は、入力画像を第1のサイズ(例えば1/3倍のサイズ:縮小率33.33%)に縮小して、第1縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。第2縮小処理部21-2は、入力画像を第2のサイズ(例えば1/9倍のサイズ:縮小率11.11%)に縮小して、第2縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。第3縮小処理部21-3は、入力画像を第2のサイズ(例えば1/18倍のサイズ:縮小率5.56%)に縮小して、第3縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。
【0024】
なお、実施の形態において、サイズとは画素数を意味しており、例えば1/n倍のサイズとは、水平方向および垂直方向の画素数が1/n倍、n倍のサイズとは、水平方向および垂直方向の画素数がn倍であることを示している。
【0025】
縮小部21は、図2に示す縮小率に限らず、指定値により複数の縮小率で縮小画像の画像信号を生成する構成であってもよい。また、縮小部は、指定値により複数の縮小率を持つ単一の演算部で構成してもよい。
【0026】
ノイズ除去処理部22は、縮小部21から供給された画像信号のノイズ除去処理を行う。ノイズ除去処理部22は、例えば第1ノイズ除去処理部22-1と第2ノイズ除去処理部22-2および第3ノイズ除去処理部22-3を備えている。各ノイズ除去処理部は、ローパスフィルタ、イプシロンフィルタ、バイラテラルフィルタ等の近傍画素平均化フィルタ、またはこれらのフィルタの組合せで構成されている。第1ノイズ除去処理部22-1は、縮小部21の第1縮小処理部21-1から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。第2ノイズ除去処理部22-2は、縮小部21の第2縮小処理部21-2から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。第3ノイズ除去処理部22-3は、縮小部21の第3縮小処理部21-3から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。
【0027】
拡大部23は、ノイズ除去処理部22から供給された画像信号を用いて画像の拡大を行う。拡大部23は、例えば第1拡大処理部23-1と第2拡大処理部23-2および第3拡大処理部23-3を備えている。各拡大処理部は、二アレストネイバー、バイリニア、バイキュービックなどの方法を用いて画像の拡大を行う。第1拡大処理部23-1は、ノイズ除去処理部22の第1ノイズ除去処理部22-1から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第1のサイズ(例えば3倍のサイズ)に拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。第2拡大処理部23-2は、ノイズ除去処理部22の第2ノイズ除去処理部22-2から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第2のサイズ(例えば9倍のサイズ)に拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。第3拡大処理部23-3は、ノイズ除去処理部22の第3ノイズ除去処理部22-3から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第3のサイズ(例えば18倍のサイズ)に拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。
【0028】
なお、ノイズ除去部20は、拡大部23の拡大倍率を、縮小部21で縮小された画像を元のサイズに戻す倍率とすれば、出力する画像のサイズを入力された画像と等しくできる。また、拡大部の拡大倍率は、各拡大処理部から出力される拡大画像の画素数が同じ画素数となれば、他の拡大率であってもよい。また、拡大部23は、指定値により複数の拡大率を持つ単一の演算部で構成してもよい。
【0029】
混合部24は、拡大部23から出力された画像の混合処理を行う。混合部24は、例えば、第1混合処理部24-1と第2混合処理部24-2および第3混合処理部24-3を備えている。第1混合処理部24-1は、拡大部23の第2拡大処理部23-2から出力された画像信号と第3拡大処理部23-3から出力された画像信号を用いて混合処理を行い、第1混合画像の画像信号を生成する。第1混合処理部24-1は、生成した第1混合画像の画像信号を第2混合処理部24-2に出力する。第2混合処理部24-2は、第1混合処理部24-1から出力された第1混合画像の画像信号と、拡大部23の第1拡大処理部23-1から出力された画像信号を用いて混合処理を行い、第2混合画像の画像信号を生成する。第2混合処理部24-2は、生成した第2混合画像の画像信号を第3混合処理部24-3に出力する。第3混合処理部24-3は、第2混合処理部24-2から出力された第2混合画像の画像信号と、入力画像の画像信号を用いて混合処理を行い、出力画像の画像信号を生成する。
【0030】
なお、以下の説明では、各部に入力される信号と各部から出力される信号を以下のように記述する。
【0031】
第1縮小処理部21-1,第2縮小処理部21-2,第3縮小処理部21-3に入力される画像信号DVa
DVa=Y1(x,y),Y2(x,y),Cb(x,y),Cr(x,y)
第1縮小処理部21-1から出力される画像信号DS1
DS1=ds1_Y1(x',y'),ds1_Y2(x',y'),ds1_cb(x',y'),ds1_cr(x',y')
第2縮小処理部21-2から出力される画像信号DS2
DS2=ds2_Y1(x'',y''),ds2_Y2(x'',y''),ds2_cb(x'',y''),ds2_cr(x'',y'')
第3縮小処理部21-3から出力される画像信号DS3
DS3=ds3_Y1(x''',y'''),ds3_Y2(x''',y'''),ds3_cb(x''',y'''),ds3_cr(x''',y''')
第1ノイズ除去処理部22-1から出力される画像信号DN1
DN1=ds1_Y1(x',y'),ds1_Y2(x',y'),nr1_cb(x',y'),nr1_cr(x',y')
第2ノイズ除去処理部22-2から出力される画像信号DN2
DN2=ds2_Y1(x'',y''),ds2_Y2(x'',y''),nr2_cb(x'',y''),nr2_cr(x'',y'')
第3ノイズ除去処理部22-3から出力される画像信号DN3
DN3=ds3_Y1(x''',y'''),ds3_Y2(x''',y'''),nr3_cb(x''',y'''),nr3_cr(x''',y''')
第1拡大処理部23-1から出力される画像信号DU1
DU1=us1_Y1(x,y),us1_Y2(x,y),us1_cb(x,y),us1_cr(x,y)
第2拡大処理部23-2から出力される画像信号DU2
DU2=us2_Y1(x,y),us2_Y2(x,y),us2_cb(x,y),us2_cr(x,y)
第3拡大処理部23-3から出力される画像信号DU3
DU3=us3_Y1(x,y),us3_Y2(x,y),us3_cb(x,y),us3_cr(x,y)
第1混合処理部24-1から出力される画像信号DM1
DM1=bl1_Y1(x,y),bl1_Y2(x,y),bl1_cb(x,y),bl1_cr(x,y)
第2混合処理部24-2から出力される画像信号DM2
DM2=bl2_Y1(x,y),bl2_Y2(x,y),bl2_cb(x,y),bl2_cr(x,y)
第3混合処理部24-3から出力される画像信号DVb
DVb=bl3_Y1(x,y),bl3_Y2(x,y),bl3_cb(x,y),bl3_cr(x,y)
【0032】
[2−2.第1の実施の形態の動作]
図3は、第1の実施の形態の動作、すなわちノイズ除去部20の動作を示すフローチャートである。ステップST1でノイズ除去部20は、縮小画像の生成を行う。ノイズ除去部20の縮小部21は、信号変換部14から供給された画像信号を用いて縮小画像の画像信号を生成してステップST2に進む。
【0033】
ステップST2でノイズ除去部20は、ノイズ除去画像の生成を行う。ノイズ除去部20のノイズ除去処理部22は、縮小画像の画像信号を用いてノイズ除去処理を行い、ノイズ除去画像の画像信号を生成してステップST3に進む。
【0034】
ステップST3でノイズ除去部20は、拡大画像の生成を行う。ノイズ除去部20の拡大部23は、ノイズ除去画像の画像信号を用いて画像の拡大処理を行い、拡大画像の画像信号を生成してステップST4に進む。
【0035】
ステップST4でノイズ除去部20は、第1混合画像の生成を行う。ノイズ除去部20の混合部24は、第1混合処理部24-1で混合処理を行い、第1混合画像の画像信号を生成してステップST5に進む。
【0036】
ステップST5でノイズ除去部20は、第2混合画像の生成を行う。ノイズ除去部20の混合部24は、第2混合処理部24-2で混合処理を行い、第2混合画像の画像信号を生成してステップST6に進む。
【0037】
ステップST6でノイズ除去部20は、出力画像の生成を行う。ノイズ除去部20の混合部24は、第3混合処理部24-3で混合処理を行い、第2混合画像の画像信号と入力画像の画像信号を用いて混合処理を行い、出力画像の画像信号を生成してステップST7に進む。
【0038】
ステップST7でノイズ除去部20は、画像出力を行う。ノイズ除去部20は混合部24で生成された出力画像の画像信号を出力する。
【0039】
次に、具体的動作について説明する。図4は、入力画像と出力画像のデータ配列を例示している。画像信号は、単位画素の信号が輝度信号Y1,Y2、および色差信号Cr,Cbで構成されているとして以下の説明を行う。また、注目座標(x,y)の各信号は、Y1(x,y),Y2(x,y),Cb(x,y),Cr(x,y)として表現する。
【0040】
ノイズ除去部20は、入力画像を縮小した縮小画像を用いてノイズ除去を行い、ノイズ除去画像を生成する。また、ノイズ除去部20は、ノイズ除去画像を拡大して拡大画像を生成する。図5は、画像の縮小と拡大を示しており、例えば縮小部21の第1縮小処理部21-1で1/3倍のサイズである縮小画像、拡大部23の第1拡大処理部23-1で3倍のサイズである拡大画像を生成する場合を示している。
【0041】
第1縮小処理部21-1は、水平・垂直方向に、それぞれ縮小率の逆数である画素範囲、すなわち水平3画素×垂直3画素の範囲内の信号を平均化して、縮小画像の1画素の信号とする。第1縮小処理部21-1は、このような処理を水平3画素×垂直3画素の範囲毎に行うことで、図5の(A)に示す画像から図5の(B)に示す1/3縮小画像を生成する。
【0042】
第1拡大処理部23-1は、二アレストネイバー、バイリニア、バイキュービックなどの方法を用いて画像の拡大を行う。例えば二アレストネイバーを用いる場合、第1拡大処理部23-1は、拡大後の画素が拡大前のどこの座標に位置していたかを算出して、算出した位置に最も近い画素の信号を拡大後の画素の信号として用いる。第1拡大処理部23-1は、このような処理を繰り返し行うことで、図5の(B)に示す画像から図5の(C)に示す×3拡大画像を生成する。また、他の縮小率や拡大率でも同様な処理を行うことで、縮小画像や拡大画像を生成できる。なお、本実施の形態のように縮小率が3段階以上あり、平均化範囲が最も広い第3縮小処理部21-3のように縦横18画素であり、第3ノイズ除去処理部22-3のフィルタ領域が縦横9画素である場合、フィルタ範囲は擬似的に縦横162(=18×9)となる。したがって、第3ノイズ除去処理部22-3のノイズ除去処理は、低周波ノイズに対して効果が得られる。
【0043】
また、縮小部21において、縮小率によっては、縮小処理の終端部に端数が出る場合がある。この場合、縮小部21は、終端部のみ平均化する画素数を変更してもよい。また、縮小部21は、端数が発生しないように入力画像の画素数を増減してもよい。
【0044】
縮小部21の各縮小処理部から出力される縮小画像のデータは、ノイズ除去処理部22に順次供給してもよく、システム内外の記憶領域に一度保存してから、ノイズ除去処理部22に供給してもよい。縮小部21からノイズ除去処理部22に、縮小画像のデータを順次供給すれば、ノイズ除去処理部22は、縮小処理が終わった部分からノイズ除去処理を開始できる。
【0045】
ノイズ除去処理部22は、縮小画像の各画素(x,y)について平均化フィルタ処理を行う。平均化フィルタ処理では、単純ローパスフィルタ、イプシロンフィルタ、バイラテラルフィルタなど様々な種類のフィルタを用いることができる。また、ノイズを除去できる範囲は、フィルタの範囲で決定される。したがって、ノイズ除去処理部22-1,22-2,22-3で同じノイズ除去フィルタを用いた場合、第1ノイズ除去処理部22-1<第2ノイズ除去処理部22-2<第3ノイズ除去処理部22-3の順に強いノイズ除去処理が可能である。
【0046】
第1ノイズ除去処理部22-1は、第1縮小処理部21-1で生成された第1縮小画像の輝度信号に基づき閾値を設定する。例えば、第1縮小画像の輝度信号の平均値を閾値とする。第2ノイズ除去処理部22-2は、第2縮小処理部21-2で生成された第2縮小画像の輝度信号に基づき閾値を設定する。例えば、第2縮小画像の輝度信号の平均値を閾値とする。第3ノイズ除去処理部22-3は、第3縮小処理部21-3で生成された第3縮小画像の輝度信号に基づき閾値を設定する。例えば、第3縮小画像の輝度信号の平均値を閾値とする。
【0047】
このように、ノイズ除去処理部22は、入力された画像信号に基づいて閾値の設定を行い、設定された閾値を用いてノイズ除去を行う画像部分を決定して、決定した画像部分に対してノイズ除去処理を行う。
【0048】
ところで、縮小画像の画素数は、1/3縮小画像>1/9縮小画像>1/18縮小画像の順であり、各ノイズ除去処理部が処理しなければならない画素数も第1ノイズ除去処理部22-1>第2ノイズ除去処理部22-2>第3ノイズ除去処理部22-3の順となる。このため、各ノイズ除去処理部で並列してノイズ除去処理を行い、ノイズ除去処理を同時に開始すると、第1ノイズ除去処理部22-1で処理が終了するまでに、第2ノイズ除去処理部22-2と第3ノイズ除去処理部22-3で待ち時間が発生する。したがって、待ち時間を利用することでノイズ除去性能を向上させる。または、待ち時間が発生しないようにノイズ除去処理部22をスケジューリングする。
【0049】
図6は、待ち時間を利用してノイズ除去性能を向上させたノイズ除去処理部22の構成を示している。待ち時間は、演算規模を大きくしてノイズ除去性能を向上させるための時間として利用できる。したがって、第2ノイズ除去処理部22-2は、第1ノイズ除去処理部22-1よりも処理しなければならない画素数が少ないことから、第1ノイズ除去処理部22-1に比べてノイズ除去性能の高いフィルタを用いてノイズ除去処理を行う。例えば第2ノイズ除去処理部22-2は、第1ノイズ除去処理部22-1で用いられる単純ローパスフィルタ(LPF)よりもノイズ除去性能の高いイプシロンフィルタ(EPS)を用いてノイズ除去処理を行う。同様に、第3ノイズ除去処理部22-3は、第2ノイズ除去処理部22-2よりも処理しなければならない画素数が少ないことから、第2ノイズ除去処理部22-2に比べてノイズ除去性能の高いフィルタを用いてノイズ除去処理を行う。例えば第3ノイズ除去処理部22-3は、第2ノイズ除去処理部22-2で用いられるイプシロンフィルタ(EPS)よりもノイズ除去性能の高いバイラテラルフィルタ(BL)を用いてノイズ除去処理を行う。
【0050】
待ち時間が発生しないようにスケジューリングを行う場合、処理の終わったノイズ除去処理部が、別のノイズ除去処理部の担当する未処理の部分のノイズ除去を行うようにする。また、各ノイズ除去処理部における処理終了の時間差が少なくなるように、各ノイズ除去処理部で行うノイズ除去処理を組み替えるようにしてもよい。
【0051】
図7は、ノイズ除去処理の組み替えを可能としたノイズ除去処理部の構成を示している。ノイズ除去処理部22-1,22-2,22-3は、例えば単純ローパスフィルタ(LPF)、イプシロンフィルタ(EPS)、およびバイラテラルフィルタ(BL)を備えている。また、ノイズ除去処理部22-1,22-2,22-3は、ノイズ除去処理を行うフィルタの組み替えが可能とされており、ノイズ除去処理終了の時間差が少なくなるように、ノイズ除去処理を行うフィルタを設定する。例えば、第1ノイズ除去処理部22-1は、単純ローパスフィルタ(LPF)のみを用いてノイズ除去処理を行う。第2ノイズ除去処理部22-2は、単純ローパスフィルタ(LPF)とイプシロンフィルタを用いてノイズ除去処理を行う。第3ノイズ除去処理部22-3は、単純ローパスフィルタ(LPF)とバイラテラルフィルタを用いてノイズ除去処理を行う。なお、図7において、破線で示すフィルタは、入力信号に対してノイズ除去処理を行うことなく出力することを示している。
【0052】
さらに、ノイズ除去処理の組み替えを可能とすれば、信号レベルが大きくノイズが問題にならない入力信号については、フィルタ処理範囲を小さくする。または、簡易なフィルタ構成に変更することで過剰なノイズ除去処理を減らし、処理の高速化を行うことも可能である。また、フィルタ処理範囲も可変にしておくことで、入力画像に合わせてノイズ除去周波数特性を最適化することもできる。
【0053】
拡大部23は、ノイズの除去されている縮小画像の拡大を行う。例えば、拡大部23は、縮小部21で縮小される前のサイズに画像を拡大する。また、拡大部23は、入力画像と異なる所定サイズでノイズ除去部20から画像出力を行う場合、拡大部23の拡大処理部23-1,23-2,23-3は、所定サイズに画像を拡大する。
【0054】
混合部24は、拡大画像の画像信号の混合処理を行い、混合画像の画像信号を生成する。混合部24は、混合する拡大画像の混合割合を、混合する拡大画像の相関に基づいて算出する。例えば、混合部24は、ある座標(x,y)において、混合する拡大画像が視覚的に似ている場合、縮小の割合が高く低域までノイズが除去されている拡大画像の割合を大きくする。また、混合部24は、混合する拡大画像が視覚的に似ていない場合、拡大による滲みが小さい拡大画像の割合を大きくする。
【0055】
混合する拡大画像が視覚的に似ているか否かの判断は、例えば赤色系の色滲みを軽減させる場合、色差信号Crの差分を算出して、差分が予め設定された閾値未満の場合は視覚的に似ており、差分が閾値以上の場合は視覚的に似ていないと判断する。また、判断結果に応じて色差信号Crを混合する。
【0056】
例えば、第1混合処理部24-1は、第2拡大処理部23-2で生成された第2拡大画像と第3拡大処理部23-3で生成された第3拡大画像を混合する。第1混合処理部24-1は、ある座標(x,y)において第2拡大画像と第3拡大画像の色差信号Cr(−127≦0≦127)の差分Dcr23(絶対値,0≦Dcr23≦254)を式(1)のように算出する。
Dcr23(x,y)=|us3_cr(x,y)−us2_cr(x,y)| ・・・(1)
【0057】
混合割合は、差分Dcr23に基づいて設定する。例えば差分Dcr23が閾値「10」未満である場合、第2拡大画像に対する第3拡大画像の混合率Bcr23(x,y)は式(2)に基づいて決定する。また、差分Dcr23が閾値「10」以上である場合、第2拡大画像に対する第3拡大画像の混合率Bcr23(x,y)は式(3)に基づいて決定する。
Bcr23(x,y)=Dcr23/10 (0≦Dcr23<10) ・・・(2)
Bcr23(x,y)=1 (10≦Dcr23) ・・・(3)
【0058】
すなわち、差分Dcr23が大きくなるに伴い第3拡大画像の割合を多くして、差分Dcr23が閾値以上である場合は、第3拡大画像のみを用いる。
【0059】
第1混合処理部24-1は、具体的には式(4)の演算を行い、第1混合画像の(x,y)座標における色差信号bl1_cr(x,y)を算出する。
bl1_cr(x,y)=Bcr23(x,y)・us2_cr(x,y)
+(1−Bcr23(x,y))・us3_cr(x,y) ・・・(4)
【0060】
第2混合処理部24-2は、第1混合処理部24-1で生成された第1混合画像と第1拡大処理部23-1で生成された第1拡大画像を混合する。第2混合処理部24-2は、ある座標(x,y)において第1混合画像と第1拡大画像の色差信号Cr(−127≦0≦127)の差分Dcr123(絶対値:0≦Dcr123≦254)を式(5)のように算出する。
Dcr123(x,y)=|bl1_cr(x,y)−us1_cr(x,y)| ・・・(5)
【0061】
混合割合は、差分Dcr123に基づいて設定する。例えば差分Dcr123が閾値「10」未満である場合、第1混合画像に対する第1拡大画像の混合率Bcr123(x,y)は式(6)に基づいて決定する。また、差分Dcr123が閾値「10」以上である場合、第1混合画像に対する第1拡大画像の混合率Bcr123(x,y)は式(7)に基づいて決定する。
Bcr123(x,y)=Dcr123/10 (0≦Dcr123<10) ・・・(6)
Bcr123(x,y)=1 (10≦Dcr123) ・・・(7)
【0062】
すなわち、差分Dcr123が大きくなるに伴い第1拡大画像の割合を多くして、差分Dcr123が閾値以上である場合は、第1拡大画像のみを用いる。
【0063】
第2混合処理部24-2は、具体的には式(8)の演算を行い、第2混合画像の(x,y)座標における色差信号bl2_cr(x,y)を算出する。
bl2_cr(x,y)=Bcr123(x,y)・us1_cr(x,y)
+(1−Bcr123(x,y))・bl1_cr(x,y) ・・・(8)
【0064】
第3混合処理部24-3は、第2混合処理部24-2生成された第2混合画像と入力画像を混合する。第3混合処理部24-3は、ある座標(x,y)において第2混合画像と入力画像の色差信号Cr(−127≦0≦127)の差分Dcr0123(絶対値:0≦Dcr0123≦254)を式(9)のように算出する。
Dcr0123(x,y)=|bl2_cr(x,y)−cr(x,y)| ・・・(9)
【0065】
混合割合は、差分Dcr0123に基づいて設定する。例えば差分Dcr0123が閾値「10」未満である場合、第2混合画像に対する入力画像の混合率Bcr0123(x,y)は式(10)に基づいて決定する。また、差分Dcr0123が閾値「10」以上である場合、第2混合画像に対する入力画像の混合率Bcr0123(x,y)は式(11)に基づいて決定する。
Bcr0123(x,y)=Dcr0123/10 (0≦Dcr0123<10) ・・・(10)
Bcr0123(x,y)=1 (10≦Dcr0123) ・・・(11)
【0066】
すなわち、差分Dcr0123が大きくなるに伴い入力画像の割合を多くして、差分Dcr0123が閾値以上である場合は、入力画像のみを用いる。
【0067】
第3混合処理部24-3は、具体的には式(12)の演算を行い、出力画像の(x,y)座標における色差信号bl3_cr(x,y)を算出する。
bl3_cr(x,y)=Bcr0123(x,y)・cr(x,y)
+(1−Bcr0123(x,y))・bl2_cr(x,y) ・・・(12)
【0068】
また、入力画像の精度が悪い場合、例えばノイズの多い暗い画像に対しては、混合率Bcr0123=0とすることで、第3混合処理部24-3の処理をスルーして第2混合画像を出力画像としてもよい。
【0069】
さらに、上述の説明は色差信号Crについての処理を説明したが、色差信号Cbに対しても同様に、縮小処理、ノイズ除去処理、拡大処理および混合処理を行うことで、青色系の色滲みを防止できる。
【0070】
混合部24は、色差信号Cbの差分を算出して、差分が予め設定された閾値未満の場合は視覚的に似ており、差分が閾値以上の場合は視覚的に似ていないと判断する。また、判断結果に応じて色差信号Cbを混合する。
【0071】
例えば、第1混合処理部24-1は、第2拡大処理部23-2で生成された第2拡大画像と第3拡大処理部23-3で生成された第3拡大画像を混合する。第1混合処理部24-1は、ある座標(x,y)において第2拡大画像と第3拡大画像の色差信号Cb(−127≦0≦127)の差分Dcb23(絶対値,0≦Dcb23≦254)を式(13)のように算出する。
Dcb23(x,y)=|us3_cb(x,y)−us2_cb(x,y)| ・・・(13)
【0072】
混合割合は、差分Dcb23に基づいて設定する。例えば差分Dcb23が閾値「10」未満である場合、第2拡大画像に対する第3拡大画像の混合率Bcb23(x,y)は式(14)に基づいて決定する。また、差分Dcb23が閾値「10」以上である場合、第2拡大画像に対する第3拡大画像の混合率Bcb23(x,y)は式(15)に基づいて決定する。
Bcb23(x,y)=Dcb23/10 (0≦Dcb23<10) ・・・(14)
Bcb23(x,y)=1 (10≦Dcb23) ・・・(15)
【0073】
すなわち、差分Dcb23が大きくなるに伴い第3拡大画像の割合を多くして、差分Dcb23が閾値以上である場合は、第3拡大画像のみを用いる。
【0074】
第1混合処理部24-1は、具体的には式(16)の演算を行い、第1混合画像の(x,y)座標における色差信号bl1_cb(x,y)を算出する。
bl1_cb(x,y)=Bcb23(x,y)・us2_cb(x,y)
+(1−Bcb23(x,y))・us3_cb(x,y) ・・・(16)
【0075】
第2混合処理部24-2は、第1混合処理部24-1で生成された第1混合画像と第1拡大処理部23-1で生成された第1拡大画像を混合する。第2混合処理部24-2は、ある座標(x,y)において第1混合画像と第1拡大画像の色差信号Cb(−127≦0≦127)の差分Dcb123(絶対値:0≦Dcb123≦254)を式(17)のように算出する。
Dcb123(x,y)=|bl1_cb(x,y)−us1_cb(x,y)| ・・・(17)
【0076】
混合割合は、差分Dcb123に基づいて設定する。例えば差分Dcb123が閾値「10」未満である場合、第1混合画像に対する第1拡大画像の混合率Bcb123(x,y)は式(18)に基づいて決定する。また、差分Dcb123が閾値「10」以上である場合、第1混合画像に対する第1拡大画像の混合率Bcb123(x,y)は式(19)に基づいて決定する。
Bcb123(x,y)=Dcb123/10 (0≦Dcb123<10) ・・・(18)
Bcb123(x,y)=1 (10≦Dcb123) ・・・(19)
【0077】
すなわち、差分Dcb123が大きくなるに伴い第1拡大画像の割合を多くして、差分Dcb123が閾値以上である場合は、第1拡大画像のみを用いる。
【0078】
第2混合処理部24-2は、具体的には式(20)の演算を行い、第2混合画像の(x,y)座標における色差信号bl2_cb(x,y)を算出する。
bl2_cb(x,y)=Bcb123(x,y)・us1_cb(x,y)
+(1−Bcb123(x,y))・bl1_cb(x,y) ・・・(20)
【0079】
第3混合処理部24-3は、第2混合処理部24-2生成された第2混合画像と入力画像を混合する。第3混合処理部24-3は、ある座標(x,y)において第2混合画像と入力画像の色差信号Cb(−127≦0≦127)の差分Dcb0123(絶対値:0≦Dcb0123≦254)を式(21)のように算出する。
【0080】
Dcb0123(x,y)=|bl2_cb(x,y)−cb(x,y)| ・・・(21)
混合割合は、差分Dcb0123に基づいて設定する。例えば差分Dcb0123が閾値「10」未満である場合、第2混合画像に対する入力画像の混合率Bcb0123(x,y)は式(22)に基づいて決定する。また、差分Dcb0123が閾値「10」以上である場合、第2混合画像に対する入力画像の混合率Bcb0123(x,y)は式(23)に基づいて決定する。
【0081】
Bcb0123(x,y)=Dcb0123/10 (0≦Dcb0123<10) ・・・(22)
Bcb0123(x,y)=1 (10≦Dcb0123) ・・・(23)
すなわち、差分Dcb0123が大きくなるに伴い入力画像の割合を多くして、差分Dcb0123が閾値以上である場合は、入力画像のみを用いる。
【0082】
第3混合処理部24-3は、具体的には式(24)の演算を行い、第3混合画像の(x,y)座標における色差信号bl3_cb(x,y)を算出する。
bl3_cb(x,y)=Bcb0123(x,y)・cb(x,y)
+(1−Bcb0123(x,y))・bl2_cb(x,y) ・・・(24)
【0083】
また、入力画像の精度が悪い画像に対しては、混合率Bcb0123=0とすることで、第3混合処理部24-3の処理をスルーして第2混合画像を出力画像としてもよい。
【0084】
さらに、混合部24では、色差信号Cr,Cbを用いて、混合率を個々に算出したが、一方の色差信号の処理で算出した混合率を他方の色差信号の処理で用いるようにしてもよい。例えば色差信号Crについて算出された混合率を、色差信号Cbの処理における混合率として用いるようにしてもよい。すなわち、混合率Bcb23,Bcb123,Bcb0123は、式(25)〜(27)のように設定する。この場合、混合部24はそれぞれの色差信号を用いて混合率を算出する必要がないので、それぞれの色差信号を用いて混合率を個々に算出する場合に比べて高速に混合処理を行うことができる。
Bcb23 =Bcr23 ・・・(25)
Bcb123 =Bcr123 ・・・(26)
Bcb0123 =Bcr0123 ・・・(27)
【0085】
また、混合率を決定するための指標は、混合する画像の色差信号の差分に限らす、視覚特性に応じた差分を用いてもよい。また、入力画像の画像信号がL表色系の場合、色差ΔEab=〔(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2に基づいて混合率を決定してもよい。
【0086】
このように、複数の縮小率で縮小された画像に対してノイズ除去が行われるので、それぞれの拡大画像はエッジ部分の色滲みが異なる。したがって、異なる2つ以上の拡大画像を混合することで、エッジ部分の鮮明さが失われておらず画質の良好な画像を得ることができるようになる。例えば混合する拡大画像の色差信号を用いて拡大画像の相関が判別されて、相関が低くなる色滲みが目立ちやすい部分では、縮小率が大きい縮小画像のノイズ処理後の拡大画像の割合を大きくする。具体的には、第1混合処理部24-1では、縮小率が大きい縮小画像(1/9縮小画像)のノイズ処理後の拡大画像の割合を多くして、縮小率が小さい縮小画像(1/18縮小画像)のノイズ処理後の拡大画像の割合を少なくする。このように混合割合を設定することで、色滲みが目立ちやすい部分では、色滲みを生じやすい拡大画像の割合が少なくされるので、色滲みが軽減された画質の良好な画像を得ることができる。また、色滲みが目立ちにくい部分では、縮小率が小さい縮小画像のノイズ処理後の拡大画像の割合を大きくすることで、大きな範囲のノイズを除去することが可能となり、強いノイズ除去効果を得ることができる。また、縮小率に応じてフィルタ構成を設定すれば、ノイズ除去に要する時間を無駄にせず効率のよいフィルタ処理を行うことができる。
【0087】
<3.第2の実施の形態>
ところで、色滲みが発生する部位は、通常の場合、入力画像の一部分にしか存在しない。また、平均化フィルタによってノイズを除去する場合に解像劣化を生じる。したがって、色滲みが発生しやすい色領域を判別して、フィルタ処理が行われていない入力画像の混合割合を判別された色領域の部分だけ増やすことで処理強度を弱めて、色滲みを軽減させてもよい。第2の実施の形態では、色領域の判別結果に基づいて混合割合を制御する場合について説明する。
【0088】
[3−1.第2の実施の形態の構成]
図8は、ノイズ除去部の第2の実施の形態の構成を示している。ノイズ除去部20aは、第1の実施の形態と同様に、縮小部21、ノイズ除去処理部22、拡大部23、混合部24を備えている。さらに、第2の実施の形態では、色判別部25が設けられている。
【0089】
縮小部21は、入力画像の縮小を行う。例えば、第1縮小処理部21-1は、入力画像を第1のサイズに縮小して、第1縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。第2縮小処理部21-2は、入力画像を第2のサイズに縮小して、第2縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。第3縮小処理部21-3は、入力画像を第2のサイズに縮小して、第3縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。
【0090】
ノイズ除去処理部22は、縮小部21から供給された画像信号のノイズ除去処理を行う。例えば、第1ノイズ除去処理部22-1は、縮小部21の第1縮小処理部21-1から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。第2ノイズ除去処理部22-2は、縮小部21の第2縮小処理部21-2から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。第3ノイズ除去処理部22-3は、縮小部21の第3縮小処理部21-3から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。
【0091】
拡大部23は、ノイズ除去処理部22から供給された画像信号を用いて画像の拡大を行う。例えば、第1拡大処理部23-1は、ノイズ除去処理部22の第1ノイズ除去処理部22-1から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第1のサイズに拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。第2拡大処理部23-2は、ノイズ除去処理部22の第2ノイズ除去処理部22-2から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第2のサイズに拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。第3拡大処理部23-3は、ノイズ除去処理部22の第3ノイズ除去処理部22-3から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第3のサイズに拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。
【0092】
混合部24は、拡大部23から出力された画像の混合処理を行う。例えば、第1混合処理部24-1は、拡大部23の第2拡大処理部23-2から出力された画像信号と第3拡大処理部23-3から出力された画像信号を用いて混合処理を行い、第1混合画像の画像信号を生成する。第2混合処理部24-2は、第1混合処理部24-1から出力された第1混合画像の画像信号と、拡大部23の第1拡大処理部23-1から出力された画像信号を用いて混合処理を行い、第2混合画像の画像信号を生成する。第3混合処理部24-3は、第2混合処理部24-2から出力された第2混合画像の画像信号と、入力画像の画像信号を用いて混合処理を行い、出力画像の画像信号を生成する。さらに、第3混合処理部24-3は、色判別結果に基づき、色滲みが発生しやすい色領域では、縮小率が大きい画像すなわち入力画像(縮小率100%)の割合を増やして、色滲みを軽減させる。
【0093】
色判別部25は、輝度信号および色差信号から各画素の色を判別して、色判別結果を混合部24に出力する。色判別部25による色判別処理には様々な手法を用いることが可能である。例えば、色判別部25は、輝度信号および色差信号の信号レベルから各画素の色を判別する。
【0094】
[3−2.第2の実施の形態の動作]
図9は、第2の実施の形態の動作、すなわちノイズ除去部20aの動作を示すフローチャートである。ステップST11でノイズ除去部20aは、縮小画像の生成を行う。ノイズ除去部20aの縮小部21は、信号変換部14から供給された画像信号を用いて縮小画像の画像信号を生成してステップST12に進む。
【0095】
ステップST12でノイズ除去部20aは、ノイズ除去画像の生成を行う。ノイズ除去部20aのノイズ除去処理部22は、縮小画像の画像信号を用いてノイズ除去処理を行い、ノイズ除去画像の画像信号を生成してステップST13に進む。
【0096】
ステップST13でノイズ除去部20aは、拡大画像の生成を行う。ノイズ除去部20aの拡大部23は、ノイズ除去画像の画像信号を用いて画像の拡大処理を行い、拡大画像の画像信号を生成してステップST14に進む。
【0097】
ステップST14でノイズ除去部20aは、第1混合画像の生成を行う。ノイズ除去部20aの混合部24は、第1混合処理部24-1で混合処理を行い、第1混合画像の画像信号を生成してステップST15に進む。
【0098】
ステップST15でノイズ除去部20aは、第2混合画像の生成を行う。ノイズ除去部20aの混合部24は、第2混合処理部24-2で混合処理を行い、第2混合画像の画像信号を生成してステップST16に進む。
【0099】
ステップST16でノイズ除去部20aは、所定の色領域であるか判別する。ノイズ除去部20aの色判別部25は、各画素の色判別を行い、判別結果を混合部24に出力する。混合部24は、色判別結果に基づき、所定の色領域の画素の場合はステップST17に進み、所定の色領域の画素でない場合はステップST18に進む。
【0100】
ステップST17でノイズ除去部20aは混合割合を変更する。ノイズ除去部20aの混合部24は、第3混合処理部24-3で第2拡大画像と入力画像の混合処理を行う場合の混合割合を変更して、入力画像の割合を増加させてステップST18に進む。
【0101】
ステップST18でノイズ除去部20aは、出力画像の生成を行う。ノイズ除去部20aの混合部24は、第3混合処理部24-3で混合処理を行い、第2混合画像の画像信号と入力画像の画像信号を用いて混合処理を行い、出力画像の画像信号を生成してステップST19に進む。
【0102】
ステップST19でノイズ除去部20aは、画像出力を行う。ノイズ除去部20aは混合部24で生成された出力画像の画像信号を出力する。
【0103】
このように、所定の色領域で入力画像の割合を増加させれば、色滲みを軽減させることができる。また、特許文献1のように、輝度値の差分が所定の閾値以内の画素のみを用いて平滑化処理を実行すると、輝度差が小さい色領域は平滑化処理が除外されないため、輝度差が小さい色領域で鮮明さが失われてしまう。しかし、本技術は、色判別を行い、所定の色領域で縮小率が大きい画像の割合を増加させることによりノイズ除去処理の強度を弱めることで、鮮明さが失われてしまうことを防止できる。なお、図8および図9では、第3混合処理部24-3で混合処理を行うことにより生成された画像信号を出力画像の画像信号としているが、例えば第2混合処理部24-2で混合処理を行うことにより生成された画像信号を出力画像の画像信号とすることもできる。この場合、第2混合処理部24-2は、色判別結果に基づき、色滲みが発生しやすい色領域では、縮小率が大きい画像すなわち第1拡大処理部23-1から出力された画像信号の割合を増やすことで、色滲みを軽減させることができる。
【0104】
<4.第3の実施の形態>
上述のように、色滲みが発生する部位は、通常の場合、入力画像の一部分にしか存在しない。したがって、色滲みが発生しやすい色領域を判別して、その領域部分だけフィルタ処理を変更することで、エッジ抽出性能およびノイズ除去性能を向上させて高画質化をはかり、色滲みの発生しにくい領域では、演算規模を小さくして高速化をはかることができる。第3の実施の形態では、色領域の判別結果に基づいてフィルタ処理動作を制御する場合について説明する。
【0105】
[4−1.第3の実施の形態の構成]
図10は、ノイズ除去部の第3の実施の形態の構成を示している。ノイズ除去部20bは、第1の実施の形態と同様に、縮小部21、ノイズ除去処理部22、拡大部23、混合部24、色判別部25を備えている。
【0106】
縮小部21は、入力画像の縮小を行う。例えば、第1縮小処理部21-1は、入力画像を第1のサイズに縮小して、第1縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。第2縮小処理部21-2は、入力画像を第2のサイズに縮小して、第2縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。第3縮小処理部21-3は、入力画像を第2のサイズに縮小して、第3縮小画像の画像信号をノイズ除去処理部22に出力する。
【0107】
ノイズ除去処理部22は、縮小部21から供給された画像信号のノイズ除去処理を行う。例えば、第1ノイズ除去処理部22-1は、縮小部21の第1縮小処理部21-1から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。第2ノイズ除去処理部22-2は、縮小部21の第2縮小処理部21-2から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。第3ノイズ除去処理部22-3は、縮小部21の第3縮小処理部21-3から出力された画像信号に対してフィルタ処理を行い、画像信号のノイズを除去して拡大部23に出力する。
【0108】
また、ノイズ除去処理部22は、図7に示すように、ノイズ除去処理の組み替えが可能とされており、色判別部25からの色判別結果に基づき、ノイズ除去処理に用いるフィルタを選択する。例えばノイズ除去処理部22は、処理速度を優先したノイズ除去処理やノイズ除去性能を優先したノイズ除去処理を行う。
【0109】
拡大部23は、ノイズ除去処理部22から供給された画像信号を用いて画像の拡大を行う。例えば、第1拡大処理部23-1は、ノイズ除去処理部22の第1ノイズ除去処理部22-1から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第1のサイズに拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。第2拡大処理部23-2は、ノイズ除去処理部22の第2ノイズ除去処理部22-2から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第2のサイズに拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。第3拡大処理部23-3は、ノイズ除去処理部22の第3ノイズ除去処理部22-3から出力された画像信号を用いて拡大処理を行い、画像を第3のサイズに拡大した拡大画像の画像信号を生成して混合部24に出力する。
【0110】
混合部24は、拡大部23から出力された画像の混合処理を行う。例えば、第1混合処理部24-1は、拡大部23の第2拡大処理部23-2から出力された画像信号と第3拡大処理部23-3から出力された画像信号を用いて混合処理を行い、第1混合画像の画像信号を生成する。第2混合処理部24-2は、第1混合処理部24-1から出力された第1混合画像の画像信号と、拡大部23の第1拡大処理部23-1から出力された画像信号を用いて混合処理を行い、第2混合画像の画像信号を生成する。第3混合処理部24-3は、第2混合処理部24-2から出力された第2混合画像の画像信号と、入力画像の画像信号を用いて混合処理を行い、出力画像の画像信号を生成する。
【0111】
色判別部25は、輝度信号および色差信号から各画素の色を判別して、色判別結果をノイズ除去処理部22に出力する。色判別部25による色判別処理には様々な手法を用いることが可能である。例えば、色判別部25は、輝度信号および色差信号の信号レベルから各画素の色を判別する。なお、色判別部25は、色判別結果を制御部30に供給して、ノイズ除去部20bのノイズ除去処理部22で行われるノイズ除去処理を制御部30で切り替えるようにしてもよい。
【0112】
[4−2.第3の実施の形態の動作]
図11は、第3の実施の形態の動作、すなわちノイズ除去部20bの動作を示すフローチャートである。ステップST31でノイズ除去部20bは、縮小画像の生成を行う。ノイズ除去部20bの縮小部21は、信号変換部14から供給された画像信号を用いて縮小画像の画像信号を生成してステップST32に進む。
【0113】
ステップST32でノイズ除去部20bは、所定の色領域であるか判別する。ノイズ除去部20bの色判別部25は、各画素の色判別を行い、判別結果をノイズ除去処理部22に出力する。ノイズ除去処理部22は、色判別結果に基づき、所定の色領域の画素の場合はステップST33に進み、所定の色領域の画素でない場合はステップST34に進む。
【0114】
ステップST33でノイズ除去部20bは、高速ノイズ除去設定を行う。ノイズ除去部20bのノイズ除去処理部22は、処理速度を優先したノイズ除去処理を行うようにノイズ除去処理に用いるフィルタを選択してステップST35に進む。例えばノイズ除去処理部22は、単純ローパスフィルタ(LPF)のみを用いてノイズ除去処理を行うようにする。
【0115】
ステップST34でノイズ除去部20bは、高性能ノイズ除去設定を行う。ノイズ除去部20bのノイズ除去処理部22は、ノイズ除去性能を優先したノイズ除去処理を行うようにノイズ除去処理に用いるフィルタを選択してステップST35に進む。例えばノイズ除去処理部22は、バイラテラルフィルタ(BL)や、バイラテラルフィルタと他のフィルタを組み合わせて用いてノイズ除去処理を行うようにする。
【0116】
ステップST35でノイズ除去部20bは、ノイズ除去画像の生成を行う。ノイズ除去部20bのノイズ除去処理部22は、ステップST33はたはステップST34で設定されたフィルタを使用して縮小画像の画像信号のノイズ除去処理を行い、ノイズ除去画像の画像信号を生成してステップST36に進む。
【0117】
ステップST36でノイズ除去部20bは、拡大画像の生成を行う。ノイズ除去部20bの拡大部23は、ノイズ除去画像の画像信号を用いて画像の拡大処理を行い、拡大画像の画像信号を生成してステップST37に進む。
【0118】
ステップST37でノイズ除去部20bは、第1混合画像の生成を行う。ノイズ除去部20bの混合部24は、第1混合処理部24-1で混合処理を行い、第1混合画像の画像信号を生成してステップST38に進む。
【0119】
ステップST38でノイズ除去部20bは、第2混合画像の生成を行う。ノイズ除去部20bの混合部24は、第2混合処理部24-2で混合処理を行い、第2混合画像の画像信号を生成してステップST39に進む。
【0120】
ステップST39でノイズ除去部20bは、出力画像の生成を行う。ノイズ除去部20bの混合部24は、第3混合処理部24-3で混合処理を行い、第2混合画像の画像信号と入力画像の画像信号を用いて混合処理を行い、出力画像の画像信号を生成してステップST40に進む。
【0121】
ステップST40でノイズ除去部20bは、画像出力を行う。ノイズ除去部20bは混合部24で生成された出力画像の画像信号を出力する。
【0122】
このように、ノイズ除去処理部を複数種類のフィルタで構成して、フィルタ構成を組み替え可能として、入力画像の色判別結果に基づき、特定色に対してはノイズ除去性能の高い第1のフィルタ構成、特性色以外は処理の速い第2のフィルタ構成とすれる。このようなフィルタ構成とすれば、エッジ部分の鮮明さが失われておらず画質の良好な画像を効率よく得ることができる。
【0123】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0124】
例えば、プログラムは記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
【0125】
また、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0126】
さらに、縮小率や拡大率は上述の例示に限られない。また、縮小部では3段階の縮小画像を生成する場合について説明したが、2段階または4段階以上であってもよい。また、ノイズ除去処理部22の処理内容は、別の構成でもよく、外部指定値にしたがい処理を行わない経路を設けてもよい。本技術の効果は色ノイズに限定されず、本技術思想は輝度信号に含まれるノイズに関しても適用できる。色差信号と輝度信号とでは、ノイズの周波数、振幅の特徴が異なるため、最適なフィルタ範囲や閾値も異なるという差分があるのみである。また、画像処理装置は撮像装置に適用できるだけでなく、画像の記録再生や編集および出力等を行う装置、例えば画像編集装置、画像記録再生装置、プリンタ等にも適用できる。
【0127】
本技術は、上述の実施の形態に限定して解釈されるべきではない。この技術の実施の形態は、例示という形態で本技術を開示しており、本技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施の形態の修正や代用をなし得ることは自明である。すなわち、本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本技術の画像処理装置と画像処理方法では、複数の縮小率で入力画像が縮小されて、複数の縮小画像毎にノイズ除去処理が行われてノイズ除去画像が生成される。また、ノイズ除去画像をそれぞれ拡大してサイズの等しい拡大画像が生成されて、異なる2つ以上の拡大画像を混合して出力画像が生成される。このように、複数の縮小率で縮小された画像に対してノイズ除去が行われるので、それぞれの拡大画像はエッジ部分の色滲みが異なり、異なる2つ以上の拡大画像を混合することで、エッジ部分の鮮明さが失われておらず画質の良好な画像を得ることができるようになる。したがって、画像の記録再生や編集および出力等を行う装置、例えば撮像装置や画像編集装置、画像記録再生装置、プリンタ等に適している。
【符号の説明】
【0129】
10・・・撮像装置、11・・・撮像光学系、12・・・撮像部、13・・・カメラ信号処理部、14・・・信号変換部、20,20a,20b・・・ノイズ除去部、21・・・縮小部、21-1・・・第1縮小処理部、21-2・・・第2縮小処理部、21-3・・・第3縮小処理部、22・・・ノイズ除去処理部、22-1・・・第1ノイズ除去処理部、22-2・・・第2ノイズ除去処理部、22-3・・・第3ノイズ除去処理部、23・・・拡大部、23-1・・・第1拡大処理部、23-2・・・第2拡大処理部、23-3・・・第3拡大処理部、24・・・混合部、24-1・・・第1混合処理部、24-2・・・第2混合処理部、24-3・・・第3混合処理部、25・・・色判別部、30・・・制御部、31・・・ユーザインタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の縮小率で入力画像を縮小して複数の縮小画像を生成する縮小部と、
前記縮小画像毎にノイズ除去処理を行いノイズ除去画像を生成するノイズ除去処理部と、
前記ノイズ除去画像をそれぞれ拡大して、サイズの等しい拡大画像を生成する拡大部と、
前記拡大画像のうち、異なる2つ以上の拡大画像を混合して出力画像を生成する混合部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記混合部は、混合する拡大画像の混合割合を、該混合する拡大画像の相関に基づいて算出する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記混合部は、前記混合する拡大画像の色差信号を用いて前記混合割合を算出する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記混合部は、前記相関が低くなるに伴い、縮小率が大きい画像の割合を多くする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記入力画像の色判別を行う色判別部をさらに備え、
前記混合部は、前記入力画像と前記混合後の拡大画像を混合して前記出力画像の生成を行い、色判別結果に基づき特定色に対して、前記混合する画像の混合割合を増減させる請求項1の画像処理装置。
【請求項6】
前記混合部は、前記入力画像が前記特定色である場合に、前記縮小率が大きい画像の割合を増加させる請求項5の画像処理装置。
【請求項7】
前記ノイズ除去処理部は、複数種類のフィルタを用いて構成し、前記縮小画像のノイズ除去処理を行うフィルタ構成を組み替え可能とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記入力画像の色判別を行う色判別部をさらに備え、
前記ノイズ除去処理部は、色判別結果に応じて前記フィルタ構成を切り替える請求項7の画像処理装置。
【請求項9】
前記ノイズ除去処理部は、色判別結果に基づき特定色に対しては第1のフィルタ構成、前記特性色以外は第2のフィルタ構成として、前記第1のフィルタ構成は前記第2のフィルタ構成よりもノイズ除去性能の高いフィルタ構成、前記第2のフィルタ構成は前記第1のフィルタ構成よりも処理の速いフィルタ構成とする請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
複数の縮小率で入力画像を縮小して複数の縮小画像を生成する工程と、
前記縮小画像毎にノイズ除去処理を行い、ノイズ除去画像を生成する工程と、
前記ノイズ除去画像をそれぞれ拡大して、サイズの等しい拡大画像を生成する工程と、
前記拡大画像のうち、異なる2つ以上の拡大画像を混合して出力画像を生成する工程と
含む画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−216109(P2012−216109A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81543(P2011−81543)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】