説明

画像処理装置及びその処理方法

【課題】 白紙でない画像データのみを印刷して出力する際に、画像データが白紙であるか否かを短時間で判別できる画像処理装置及びその処理方法を提供すること。
【解決手段】 画像データが白紙になり得ない内容か否かで白紙の判定を行なう第1の白紙判定部15と、第1の白紙判定部15により白紙と判定された場合にそのページのその後の処理によって白紙の判定結果が維持されているか否かを検出する検出部16と、検出部16において白紙の判定結果が維持されないと検出された場合に画像データをフレームバッファに展開し、走査して白紙の判定を行う第2の白紙判定部17と、検出部16あるいは第2の白紙判定部17の処理の結果、白紙の判定結果が維持されている場合にはそのページの出力処理を行なわず、維持されていない場合には画像データを印刷のために出力処理する出力処理手段13とを備える画像処理装置及びその処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを印刷するにあたり、画像データが白紙であるか否かを判別して白紙でない画像データのみを印刷して出力する画像処理装置及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データをプリンタ等により印刷する際に、白紙状態の画像データを印刷すると用紙の無駄が発生してしまった。また、例えばレーザプリンタにあっては、感光体ドラムと、トナー及び感光体上のトナーを回収するクリーニング装置等を有するが、白紙状態の画像が出力されることにより、感光体上には潤滑剤を兼ねるトナーが全く無い状態でクリーニング装置が感光体を摺擦することになる。そのため、摺擦部の抵抗が増し、クリーニング装置が感光体を傷つけてしまったり、磨耗させてしまう等の問題点を有していた。
【0003】
そこで、上記問題点を解決する方法としては、従来は、例えば下記特許文献1(特開平11−123857号公報)で示す技術が提案されている。下記特許文献に記載の画像出力装置は、画像データからドットイメージを形成するドットイメージ形成部で得られたドットイメージが白紙状態であるか否かを判断するドットイメージ白紙状態判断部を設けたものである。そして、ドットイメージ白紙状態判断部がドットイメージメモリ内のドットイメージを解析し、画像データ処理のプリント1ページ分毎に白紙状態であるか否かの判断処理を行なっている。ドットイメージが白紙画像であった場合は、プリント制御部によりそのドットイメージ1ページ分の画像出力がスキップされ、次の画像データの処理が行なわれるものである。
【0004】
一方、画像データの白紙状態の判断は、1ページ分のすべてのビットが0であるかを検査する必要があるので、最近のように1ページあたりのビット数が増加している解像度の高い画像データにあっては、白紙の検査に多くの処理時間を要するという問題点を有していた。
【0005】
そこで、この問題を解決する方法としては、従来は、例えば下記特許文献2(特開2000−168170号公報)で示す短い時間で白紙を検出する技術が提案されている。これは、圧縮伸張部を設け、入力された印字データの1ページのビットマップ情報を圧縮してバッファメモリに保管し、この圧縮データを解析して白紙の判定を行なう。この判定は圧縮前の全ビットを検査して白紙と決定するよりも、検査するデータ量が大幅に小さくなり、白紙の検出時間が短くなるものである。この白紙の判定が終了した後は、白紙でないビットマップ情報が伸張されて印刷のために記録部へと送出される。
【0006】
【特許文献1】特開平11−123857号公報(段落〔0016〕、段落〔0019〕、段落〔0020〕)
【特許文献2】特開2000−168170号公報(段落〔0009〕、段落〔0011〕〜段落〔0018〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1で示すように、画像データをフレームバッファ上に展開した状態でこれを走査し白紙か否かを判別する技術にあっては、その判別に時間を要するという問題点があった。勿論、上記特許文献2で示すように圧縮技術を用いて走査するデータ量を少なくし、判別に要する時間を短縮することも提案されている。しかし、この特許文献2で示す従来技術にあっては、大幅な時間短縮を達成できるものでなく、しかも回路構成が複雑になりコスト的に不利であるので実用性に乏しかった。
【0008】
そこで、本発明は、従来の問題点を排除し、画像データが白紙であるか否かを短時間で判別して白紙でない画像データのみを印刷して出力する画像処理装置及びその処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、画像データが白紙であるか否かを判別して白紙でない画像データのみを印刷して出力する画像処理装置において、
供給された画像データの処理が白紙になり得ない内容か否かによって白紙の判定を行なう第1の白紙判定手段(例えば、第1の白紙判定部15)と、
前記第1の白紙判定手段により白紙と判定された場合にそのページのその後の処理によって白紙の判定結果が維持されているか否かを検出する検出手段(例えば、検出部16)と、
前記検出手段において白紙の判定結果が維持されていないと検出された場合に画像データをフレームバッファに展開し、走査して白紙の判定を行なう第2の白紙判定手段(例えば、第2の白紙判定部17)と、
前記検出手段、あるいは前記第2の白紙判定手段の処理の結果、白紙の判定結果が維持されている場合にはそのページの出力処理を行なわず、白紙の判定結果が維持されていない場合にはフレームバッファに展開された画像データを印刷のために出力処理する出力処理手段(例えば、出力処理部13)と、
を備えてなることを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項2に係る発明は、画像データが白紙であるか否かを判別して白紙でない画像データのみを印刷して出力する画像処理方法において、
供給された画像データの処理が白紙になり得ない内容か否かによって白紙の判定を行なう第1の白紙判定のステップ(例えば、ステップS3)と、
前記第1の白紙判定のステップにより白紙と判定された場合にそのページのその後の処理によって白紙の判定に変更があるか否かを検出するステップ(例えば、ステップS6)と、
前記変更検出のステップにおいて変更が検出されない場合にそのページの出力処理を行なわないステップ(例えば、ステップS11)と、
前記変更検出のステップにおいて変更が検出された場合にそのページの画像データをフレームバッファに展開し走査して白紙の判定を行なう第2の白紙判定のステップ(例えば、ステップS8)と、
前記第2の白紙判定のステップにより白紙と判定された場合にそのページの出力処理を行なわず、白紙と判定されない画像データの出力処理をするステップ(例えば、ステップS9)と、
を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は上記の構成を備えることにより以下のような優れた効果を奏する。すなわち本願の請求項1に係る発明は、画像データが白紙であるか否かを判別して白紙でない画像データのみを印刷して出力する画像処理装置において、前記第1の白紙判定手段により画像データの処理が白紙になり得ない内容か否かによって白紙の判定を行い、この判定がその後も維持されているか否かを前記検出手段により検出し、前記出力処理手段において白紙の判定のままである場合には出力処理を行なわず、白紙でない判定の場合には前記第2の白紙判定手段によりフレームバッファに展開された画像データから白紙の判定を行なって出力処理を実行する。そのため、フレームバッファに展開された画像データを走査して白紙の判別を行なう作業を最小限に抑えられる。従って、請求項1に係る画像処理装置は、トータルとして回路構成を複雑にすることなく白紙の判別に要する時間を最小限にすることができる。
【0012】
また、本願の請求項2に係る発明は、画像データが白紙であるか否かを判別して白紙でない画像データのみを印刷して出力する画像処理方法において、前記第1の白紙判定のステップでもって供給された画像データの処理が白紙になり得ない内容か否かによって白紙の判定を行い、前記第1の白紙判定のステップにより白紙と判定された場合にそのページのその後の処理によって白紙の判定結果が維持されているか否かを検出するステップでもって維持状態を検出し、白紙の判定結果が維持されていると検出された場合にそのページの出力処理を行なわず、維持されていないと検出された場合に前記第2の白紙判定のステップでもってそのページの画像データをフレームバッファに展開して白紙の判定を行なう。そして、前記第2の白紙判定のステップにより白紙と判定された場合にはそのページの出力処理を行なわず、白紙と判定されない場合には画像データをフレームバッファに展開して出力処理をする。従って、請求項2に係る画像処理方法の発明は、フレームバッファに展開された画像データを走査して白紙の判別を行なう作業を最小限に抑えられ、トータルとして回路構成を複雑にすることなく白紙の判別に要する時間を最小限にすることができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための画像処理装置及びその処理方法を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例における画像処理装置を示すブロック図、図2は本発明の実施例の画像処理装置における動作を示すフローチャートである。
【0015】
図1において示すように、画像処理装置10は、供給された画像データを解析する画像データ解析部11と、画像データ解析部11で得られた指示に従って画像データを処理する画像データ処理部12と、画像データ処理部12で処理された結果をフレームバッファに出力用のイメージを展開した後に出力する出力処理部13と、出力処理部13から出力された画像データを印刷する印刷部14と、画像データ処理部12における画像データの処理の際に白紙か否かを判別する第1の白紙判定部15と、出力処理部13における処理で第1の白紙判定部15による白紙の判定結果が維持されているか否かを検出する検出部16と、検出部16において白紙の判定結果が維持されていない場合に白紙の判定を行なう第2の白紙判定部17と、画像処理の操作を行なうための操作部18とから構成されている。
【0016】
第1の白紙判定部15は、画像データ処理部12におけるページあたりの画像データの処理状況において、複雑な描画処理でない処理の場合に白紙情報のフラグを立てて白紙の判定結果を保持するものである。このように白紙情報のフラグをオンとする場合とは、ユーザによる操作部18の操作が、例えば1ページ内での描画が改行コードのみの場合、あるいはベクターのみ使用であってパターンや色の指定がない場合等である。即ち、複雑な描画を行なった結果で白紙になることは滅多に無く、大抵は改行コードだけが次のページにずれてしまったというようなユーザの無意識の操作によって白紙が作られてしまうことが多く、第1の白紙判定部15はそのような白紙を判定するものである。
【0017】
検出部16は、その後の処理によっても白紙情報のフラグのオン状態が維持されているか否かを検出するものである。フラグのオン状態が維持できずオフになる処理とは、ユーザによる操作部18の操作が白以外の色やパターンが設定された状態でベクター描画や文字描画を行なった場合、イメージ描画を行なった場合、デフォルト以外や特定の描画オペレーションを設定した場合等である。
【0018】
第2の白紙判定部17は、検出部16において白紙情報のフラグのオン状態が維持されていないことを検出したときに、フレームバッファメモリ上のページを走査して白紙か否かの判定を行なうものである。
出力処理部13は、検出部16において白紙情報のフラグのオン状態が維持されていることを検出した場合と、第2の白紙判定部17において画像データが白紙と判定された場合にそのページを印刷部14に出力せず、且つメモリへの記憶状態を消去するものである。そして、次のページの処理動作へと転換するものである。また、出力処理部13は、第2の白紙判定部17によって白紙でないと判定されると、そのページの画像データを印刷部16に出力して印刷に供するように作動するものである。
【0019】
次に、上述した構成による画像処理装置10の動作を図2に示すフローチャートによって説明する。画像処理装置10の画像データ解析部11に供給された画像データは、ステップS1で示すように画像データ処理部11に入力される。ステップS2においてページ出力を実行するか否かが判別される。ページ出力の状態でなければ、ステップS3において画像処理の結果が白紙か否かが第1の白紙判定部15によって判定される。この判定の結果、白紙である場合はステップS4において画像処理がなされる。白紙でない場合はステップS5において白紙情報のフラグをオフにし、ステップS4における画像処理がなされる。ステップS5におけるフラグをオフにする条件としては、前述したユーザによる操作部18の操作が白以外の色やパターンが設定された状態でベクター描画や文字描画を行なった場合、イメージ描画を行なった場合、デフォルト以外や特定の描画オペレーションを設定した場合等である。最終的に、画像データはステップS2においてページ出力であると判別されると画像データ処理部12から出力処理部13に出力される。
【0020】
画像データが画像データ処理部12から出力処理部13に送出されると、ステップS6で示すように検出部16により、その白紙情報のフラグのオン状態が維持されているか否かが検出される。この検出の結果、白紙フラグがオフの場合には、ステップS7で示すように第2の白紙判定部17がフレームバッファメモリ上のページを走査して白紙か否かの判定を行なう。ステップS8で示すように判別結果が白紙でない場合には、次のステップS9で示すように印刷部14への出力処理を行なう。印刷部14に出力された画像データはステップS10で示すように印刷される。
【0021】
一方、ステップS6において白紙情報のフラグのオン状態が維持されていると判別された場合には、出力処理部13はステップS11で示すようにそのページの出力処理を行なわれず印刷がなされない。そして、メモリに記憶されたその画像データは消去される。また、白紙情報のフラグがオフであってステップS8で第2の白紙判定部16による判定の結果、白紙であると判定された場合には、出力処理部13はステップS11で示すようにそのページの出力処理を行なわず印刷がなされない。そして、メモリに記憶されたその画像データは消去される。
【0022】
従って、本発明の実施例の画像処理装置10は、画像データ解析部11に供給された画像データを第1の白紙判定部15により画像データの処理が白紙になり得ない内容か否かによって白紙の判定を行い、その後の処理によっても白紙情報のフラグのオン状態が維持されているか否かを検出部16により検出する。そして、白紙の判定が維持されている場合には出力処理部13において出力処理を行なわず、白紙状態の判定が維持されていない場合には第2の白紙判定部17によりフレームバッファに展開された画像データから改めて白紙の判定を行なって出力処理部13による出力処理を実行する。そのため、フレームバッファに展開し走査するまでもなく明らかに白紙であると判別されるページは、そのまま白紙の処理を行なうことができる。従って、フレームバッファに展開された画像データを走査して白紙の判別を行なう作業が最小限に抑えられる。
【0023】
尚、上述した本発明の実施例にあっては、画像処理装置10が画像データ解析部11、画像データ処理部12、出力処理部13、印刷部14等を一体にして構成することなく、例えば印刷部14を別体にする等の種々の構成をとってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の実施例における画像処理装置を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例の画像処理装置のおける動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
10 画像処理装置
11 画像データ解析部
12 画像データ処理部
13 出力処理部
14 印刷部
15 第1の白紙判定部
16 検出部
17 第2の白紙判定部
18 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データが白紙であるか否かを判別して白紙でない画像データのみを印刷して出力する画像処理装置において、
供給された画像データの処理が白紙になり得ない内容か否かによって白紙の判定を行なう第1の白紙判定手段と、
前記第1の白紙判定手段により白紙と判定された場合にそのページのその後の処理によって白紙の判定結果が維持されているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段において白紙の判定結果が維持されていないと検出された場合に画像データをフレームバッファに展開し、走査して白紙の判定を行なう第2の白紙判定手段と、
前記検出手段、あるいは前記第2の白紙判定手段の処理の結果、白紙の判定結果が維持されている場合にはそのページの出力処理を行なわず、白紙の判定結果が維持されていない場合にはフレームバッファに展開された画像データを印刷のために出力処理する出力処理手段と、
を備えてなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像データが白紙であるか否かを判別して白紙でない画像データのみを印刷して出力する画像処理方法において、
供給された画像データの処理が白紙になり得ない内容か否かによって白紙の判定を行なう第1の白紙判定のステップと、
前記第1の白紙判定のステップにより白紙と判定された場合にそのページのその後の処理によって白紙の判定結果が維持されているか否かを検出するステップと、
前記検出のステップにおいて白紙の判定結果が維持されていると検出された場合にそのページの出力処理を行なわないステップと、
前記検出のステップにおいて白紙の判定結果が維持されていないと検出された場合にそのページの画像データをフレームバッファに展開し走査して白紙の判定を行う第2の白紙判定のステップと、
前記第2の白紙判定のステップにより白紙と判定された場合にそのページの出力処理を行なわず、白紙と判定されない画像データの出力処理をするステップと、
を備えてなることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−7706(P2006−7706A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191306(P2004−191306)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】