説明

画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】本発明は、共有するアドレス帳の宛先情報の変更に起因する誤送信を防止することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】MFP110では、識別子と送信先を含むアドレス帳のデータをアドレス帳サーバ120から取得する。ユーザにより指定された宛先データの識別子と同一の識別子を含む宛先データが、MFP110内の宛先使用履歴テーブル210に保存されているか否かを判定する。一方、ユーザにより指定された宛先と、宛先使用履歴テーブル210に保存された宛先とを比較して、アドレス帳サーバ120から取得した宛先情報の変更有無を判定する。そして、同一の宛先データが宛先使用履歴テーブル210に保存されていない場合もしくは宛先が変更されている場合には、宛先確認画面400または401を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、誤送信を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリの誤送信を防止するために、送信前に指定された宛先情報を表示し、正しい宛先か否かをユーザに確認させる宛先確認機能を備えたファクシミリ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。一般的に、ユーザは、ファクシミリやE−mailを送信する際に、アドレス帳等を利用して宛先情報を確認しながら宛先を選択する。ファクシミリ装置の宛先確認機能は、選択した後に再度詳細な宛先情報を表示し、ユーザに確認を促すことによって誤送信を防止するものである。
【0003】
一方、近年では、アドレス帳をネットワーク上で共有する技術が登場している。例えば、共有するアドレス帳を利用する装置(アドレス帳クライアント)から、当該アドレス帳を保持、管理する装置(アドレス帳サーバ)にアクセスすることでアドレス帳を共有するものである。このように、ユーザがアドレス帳クライアント側の送信機能や転送機能を利用する際に、外部の共有アドレス帳の宛先データを使用することが可能となっている。なお、転送機能とは、設定された条件に従って、受信した画像データを自動的に、設定された宛先に送信する機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−234458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アドレス帳サーバの管理者が、共有アドレス帳上の、アドレス帳クライアント側で既に使用している宛先情報を変更する場合がある。例えば、ユーザが共有アドレス帳の宛先情報が変更されたことを知らずに、そのまま当該宛先情報を使用してFAX送信を行うと誤送信となる可能性がある。このように、共有アドレス帳を複数のアドレス帳クライアントの様々な機能で使用する場合、共有アドレス帳の宛先情報の変更に起因する誤送信の発生頻度が増加するおそれがある。
【0006】
特許文献1の宛先確認機能により、送信前に宛先情報を確認することができるが、宛先情報に変更がなくとも常に宛先情報を確認することになるので煩わしい。特に、昨今、URL(Uniform Resource Locator)やE−mailアドレスは長くなる傾向にあり、毎回の宛先確認にはユーザに余計な負担を強いる。その結果、惰性で確認しがちになり、宛先変更を見逃してしまう可能性もある。宛先確認をユーザに促すには、送信時に毎回行うのではなく、クライアント側で共有アドレス帳の宛先情報を初めて使用するときと、宛先情報が変更された後に当該宛先情報を初めて使用するときが望ましい。
【0007】
一般的に、宛先情報は宛先名称と宛先アドレス(宛先番号を含む)で構成されるが、ユーザがその宛先情報を初めて使用するときは、宛先名称と宛先アドレスが正しいかどうかを念入りに確認する。そして、次回その宛先情報を使用する際に宛先アドレスに変更が無い場合は、念入りな宛先情報の確認は必要でなくなる。その後、宛先アドレスに変更があった場合には、再度宛先アドレスが正しいかどうかを念入りに確認する必要性が生じる。
【0008】
また、特許文献1では、転送機能のように、ユーザが装置の前にいない状況で自動的に動作する機能の場合、ユーザは宛先確認することができない。そのため、宛先を使用する機能に応じた確認方法をユーザに提供する必要がある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、共有するアドレス帳の宛先情報の変更に起因する誤送信を防止することができる画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、画像データを送受信する通信手段を備える画像処理装置において、少なくとも識別子と送信先を含む宛先情報を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した宛先情報から、前記画像データの送信先の選択指定するための指定手段と、前記指定手段により指定され、前記通信手段により送信された画像データの宛先情報を保存する保存手段と、前記指定手段により指定された宛先情報に含まれる識別子と同一の識別子を含む宛先情報が、前記保存手段に保存されているか否かを判定する第1の判定手段と、前記指定手段により指定された宛先情報と、前記保存手段に保存された宛先情報とを比較することにより、前記取得した宛先情報の変更有無を判定する第2の判定手段と、前記第1の判定手段により同一の宛先情報が前記保存手段に保存されていないと判定された場合もしくは前記第2の判定手段により前記宛先情報が変更されていると判定された場合には前記宛先情報の確認画面を表示する表示手段とを備え、前記指定手段は、前記表示手段に表示された確認画面に対するユーザの確認操作に応じて、前記宛先情報から前記画像データの送信先を指定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、共有アドレス帳の宛先情報の初回使用時と宛先情報の変更時において、データ送信前にユーザに宛先確認を促すので、ユーザは適切なタイミングで宛先確認を行うことができる。これによって、宛先確認の漏れやミスを軽減して誤送信を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の一例であるMFPとアドレス帳サーバの概略構成を示す図である。
【図2】(a)はアドレス帳サーバ内のHDDに保存・管理されているアドレス帳の一例を示す図、(b)はMFP内のNVRAMに保存される宛先使用履歴テーブルの一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態におけるMFPの送信時の動作例を示すフローチャートである。
【図4】(a)は宛先確認画面の一例を示す図、(b)は宛先確認画面の他の一例を示す図である。
【図5】第2の実施形態におけるMFPの転送時の動作例を示すフローチャートである。
【図6】NVRAMに保存される転送設定の一例を示す図である。
【図7】図5のステップS212における転送処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の一例であるMFPとアドレス帳サーバの概略構成を示す図である。なお、同図では、本発明に関わる構成要素のみを記載し、その他の構成要素については省略している。
【0015】
図1において、MFP110は、ネットワーク通信機能やファクシミリ送受信機能等を備える画像処理装置であり、ネットワーク130を介してアドレス帳サーバ120にアクセスすることができる。アドレス帳サーバ120は、ネットワーク130上の各種機器で共有するアドレス帳を保持・管理する情報処理装置である。MFP110は、アドレス帳サーバ120に保持されているアドレス帳を利用することが可能な、上述のアドレス帳クライアントとして機能する。
【0016】
MFP110において、CPU111は、MFP110内の各部を制御するCPU(中央処理装置)であり、メインバス118を介して、後述するRAM112、NVRAM113、操作部114、表示部115、及び通信部116を制御する。RAM112は、CPU111のワークエリアとして機能するメモリである。NVRAM113は、プログラムや各種の設定情報を記憶する不揮発性メモリである。NVRAM113には、E−mailアドレスやFAX番号等を含む宛先使用履歴テーブルが記憶される。なお、NVRAM113は、NVRAMに限らず、ハードディスク(HDD)等であってもよい。
【0017】
操作部114は、ユーザ(使用者、設置者含む)が指示入力を行うための操作部である。表示部115は、タッチパネルや液晶表示装置等で構成され、各種の画面表示を行う。通信部116は、ネットワーク130を介して他の機器との間で、ファクシミリ送受信、メール送受信、データ転送等を行う。メインバス118は、上述した各部を接続する内部バスである。
【0018】
アドレス帳サーバ120において、CPU121は、アドレス帳サーバ120内の各部を制御するCPUであり、メインバス125を介して、後述するRAM122、ハードディスク(HDD)123、及び通信部124を制御する。RAM122は、CPU121のワークエリアとして機能するメモリである。HDD123は、プログラムや各種の設定情報を記憶する記憶装置である。HDD123には、E−mailアドレスやFAX番号といった情報を含むアドレス帳が記憶されている。なお、HDD123は、NVRAM等であってもよい。通信部124は、ネットワーク130を介して他の機器との通信を行う。メインバス125は、上述した各部を接続する内部バスである。
【0019】
なお、本実施の形態では、MFP110とアドレス帳サーバ120がネットワーク130を介して接続されている形態について説明するが、MFP110とアドレス帳サーバ120が一体で構成されていてもよい。この場合、HDD123に記憶されているアドレス帳は、HDD123またはNVRAM113等に記憶されているものとする。
【0020】
図2(a)は、アドレス帳サーバ120内のHDD123に保存・管理されているアドレス帳の一例を示す図である。図2(b)は、MFP110内のNVRAM113に保存される宛先使用履歴テーブルの一例を示す図である。
【0021】
図2(a)において、アドレス帳200は、複数の宛先データで構成される。宛先データには、当該宛先データを特定するための識別子(ID)、プロトコル、宛先名称、及び宛先アドレス/宛先番号といった情報が含まれる。識別子(ID)は、汎用一意識別子でもよいし、アドレス帳サーバ120を特定する識別子(IPアドレスなど)とアドレス帳サーバ120内で唯一となる識別子の組み合わせでもよい。宛先アドレス/宛先番号には、宛先のE−mailアドレスやFAX番号が含まれる。
【0022】
アドレス帳サーバ120は、HDD123に保存されたアドレス帳200を、通信部124により、MFP110を含むネットワーク上の他の装置に公開することが可能である。
【0023】
図2(b)において、宛先使用履歴テーブル210には、MFP110で実行されたメール送信やFAX送信の際に使用した宛先のE−mailアドレスやFAX番号が、上述した識別子と共に保存される。
【0024】
図3は、第1の実施形態におけるMFP110の送信時の動作例を示すフローチャートである。
【0025】
まず、CPU111は、操作部114からアドレス帳200の表示要求を受け付ける(ステップS101)。次に、CPU111は、通信部116を介して、ネットワーク130上のアドレス帳サーバ120にアドレス帳200の取得要求を送信し、アドレス帳サーバ120からアドレス帳200を受信(取得)する(ステップS102)。なお、MFP110とアドレス帳サーバ120が一体で構成されている場合は、CPU111は、メインバス118を介して、NVRAM113に保存されているアドレス帳を取得する。取得するアドレス帳のデータは、図2(a)に示す宛先データの識別子、プロトコル、宛先名称、宛先アドレス/宛先番号で構成されるリスト情報である。
【0026】
次に、CPU111は、取得したアドレス帳200を表示部115に表示する(ステップS103)。なお、表示部115に表示されるのは、識別子、プロトコル、宛先名称、宛先アドレス/宛先番号であるが、宛先名所と宛先アドレス/宛先番号だけでもよい。アドレス帳200の表示後、CPU111は、操作部114から、E−mailまたはFAXの送信先である宛先の選択指示を受け付ける(ステップS104)。この場合、操作部114は、送信先を選択指定するための指定手段として機能する。
【0027】
次に、CPU111は、ステップS104で選択指示された宛先の識別子と同一の識別子を持つ宛先データが、宛先使用履歴テーブル210に存在するか否かを判定する(ステップS105)。このとき、CPU111が第1の判定手段として機能する。
【0028】
ステップS105の判定結果から宛先データが存在すると判定した場合は、ステップS106へ進む。一方、存在していないと判定した場合、CPU111は、表示部115に図4(a)に示すような宛先確認画面400を表示する(ステップS107)。このとき、表示部115が表示手段として機能する。
【0029】
宛先確認画面400の表示後、CPU111は、操作部114から確認OK/確認NGの選択指示を受け付け、OK/NGの判定を行う(ステップS108)。ステップS108の判定結果から確認NGの判定の場合、ステップS104へ戻る。一方、ステップS108の判定結果から確認OKの判定の場合、CPU111は、不図示の画像読取部により原稿から読み取った画像もしくはNVRAM113に保存されている画像から、送信用画像データの生成を行う(ステップS109)。そして、CPU111は、生成した画像データを、通信部116を介して、ステップS104で指定された宛先に送信する(ステップS110)。データ送信時には、E−mail用のプロトコルやFAX用のプロトコルが使用される。
【0030】
次に、CPU111は、使用した宛先データを宛先使用履歴テーブル210に新規追加して(ステップS111)、本処理を終了する。ステップS111では、CPU111が追加手段として機能する。
【0031】
一方、ステップS106では、CPU111は、宛先使用履歴テーブル210に保存されている宛先データと、選択指示されている宛先データとを比較して差分がないかを判定する(ステップS106)。ステップS106では、CPU111が宛先情報の変更有無を判定する第2の判定手段として機能する。
【0032】
ステップS106の判定結果から差分があると判定した場合、CPU111は、アドレス帳サーバ120から取得した宛先情報が変更されていると判断し、表示部115に図4(b)に示すような宛先確認画面410を表示する(ステップS107)。ステップS107では、表示部115が表示手段として機能する。
【0033】
宛先確認画面410の表示後、CPU111は、操作部114から確認OK/確認NGの選択指示を受け付け、OK/NGの判定を行う(ステップS108)。このように、ユーザの確認操作に応じて、送信先の指定を確実なものにする。ステップS108の判定結果から確認NGの判定の場合、ステップS104へ戻る。一方、確認OKの判定の場合、CPU111は、画像データを生成し(ステップS109)、送信処理を行う(ステップS110)。送信後に、CPU111は、宛先使用履歴テーブル210における識別子が同一の宛先データの宛先名称と宛先アドレス/宛先番号を更新して(ステップS111)、本処理を終了する。
【0034】
ステップS106の判定結果から差分がないと判定した場合、CPU111は、図示のような宛先確認画面を表示せずに、画像データを生成し(ステップS109)、送信処理を行う(ステップS110)。この場合、ステップS111では、使用した宛先データで、宛先使用履歴テーブル210を更新してもよいし、何もしなくてもよい。
【0035】
以上説明したように、本実施形態では、アドレス帳サーバ120の宛先データを初めて使用する場合は、宛先確認をユーザに促す。それ以後、同じ宛先データを使用する場合、アドレス帳サーバ側の宛先データが前回使用時から変更があったときは、宛先確認をユーザに促す。一方、宛先データに変更がない場合は宛先確認を行わない。これにより、共有アドレス帳の宛先情報の初回使用時と宛先情報の変更時において、データ送信前にユーザに宛先確認を促すので、ユーザは適切なタイミングで宛先確認を行うことができる。その結果、宛先確認の漏れやミスを軽減して誤送信を防止することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0037】
本発明の第2の実施の形態では、図1に示す構成が上記第1の実施の形態と同じであり、第1の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0038】
上記第1の実施形態では、送信機能における誤送信防止の例であるが、第2の実施形態では、転送機能における誤送信防止の例である。
【0039】
図5は、第2の実施形態におけるMFP110の転送時の動作例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、CPU111は、表示部115に転送設定を行うための入力を促す画面(不図示)を表示する(ステップS201)。次に、CPU111は、操作部114から転送条件の選択指示を受け付ける(ステップS202)。転送条件は、受信時にどのような条件の場合に転送を行うかを示すものであり、例えば「FAXで受信した場合は転送を行う」といった設定となる。
【0041】
次に、CPU111は、操作部114からアドレス帳200の表示要求を受け付ける(ステップS203)。つづいて、CPU111は、通信部116を介して、ネットワーク130上のアドレス帳サーバ120にアドレス帳200の取得要求を送信し、アドレス帳サーバ120からアドレス帳を受信(取得)する(ステップS204)。なお、MFP110とアドレス帳サーバ120が一体で構成されている場合は、CPU111は、メインバス118を介して、NVRAM113に保存されているアドレス帳を取得する。
【0042】
次に、CPU111は、取得したアドレス帳200を表示部115に表示する(ステップS205)。なお、表示部115に表示されるのは、識別子、プロトコル、宛先名称、宛先アドレス/宛先番号であるが、宛先名所と宛先アドレス/宛先番号だけでもよい。アドレス帳200の表示後、CPU111は、操作部114から、E−mailまたはFAXの転送先である宛先の選択指示を受け付ける(ステップS206)。この場合、操作部114は、転送先情報を設定するための設定手段として機能する。
【0043】
次に、CPU111は、ステップS206で選択指示された宛先(転送先)の識別子と同一の識別子を持つ宛先データが、宛先使用履歴テーブル210に存在するか否かを判定する(ステップS207)。このとき、CPU111が第1の判定手段として機能する。
【0044】
ステップS207の判定結果から宛先データが存在すると判定した場合は、ステップS209へ進む。一方、存在していないと判定した場合、CPU111は、表示部115に図4(a)示すような宛先確認画面400を表示する(ステップS209)。このとき、表示部115が表示手段として機能する。
【0045】
宛先確認画面400の表示後、CPU111は、操作部114から確認OK/確認NGの選択指示を受け付け、OK/NGの判定を行う(ステップS210)。ステップS210の判定結果から確認NGの判定の場合、ステップS206へ戻る。一方、ステップS210の判定結果から確認OKの判定の場合、CPU111は、ステップS203で選択指示を受けた宛先を転送先とする転送設定(転送先情報)をNVRAM113に保存する(ステップS211)。NVRAM113に保存される転送設定(転送先情報)の一例を図6に示す。転送先としては、図2(a)に示す宛先データの識別子が設定される。
【0046】
次に、CPU111は、受信した画像データを転送する転送処理を実行し(ステップS212)、使用した宛先データを宛先使用履歴テーブル210に新規追加して(ステップS213)、本処理を終了する。ステップS213では、CPU111が追加手段として機能する。
【0047】
一方、ステップS208では、CPU111は、宛先使用履歴テーブル210に保存されている宛先データと、選択指示されている宛先データとを比較して差分がないかを判定する(ステップS208)。ステップS208では、CPU111が宛先情報の変更有無を判定する第2の判定手段として機能する。
【0048】
ステップS208の判定結果から差分があると判定した場合、CPU111は、アドレス帳サーバ120から取得した宛先情報が変更されていると判断し、表示部115に図4(b)に示すような宛先確認画面410を表示する(ステップS209)。ステップS209では、表示部115が表示手段として機能する。
【0049】
宛先確認画面410の表示後、CPU111は、操作部114から確認OK/確認NGの選択指示を受け付け、OK/NGの判定を行う(ステップS210)。このように、ユーザの確認操作に応じて、転送先の設定を確実なものにする。ステップS210の判定結果から確認NGの判定の場合、ステップS206へ戻る。一方、確認OKの判定の場合、CPU111は、ステップS203で選択指示を受けた宛先を転送先とする転送設定をNVRAM113に保存する(ステップS211)。
【0050】
次に、CPU111は、受信した画像データを転送する転送処理を実行し(ステップS212)、宛先使用履歴テーブル210における識別子が同一の宛先データの宛先名称と宛先アドレス/宛先番号を更新して(ステップS213)、本処理を終了する。
【0051】
図7は、図5のステップS212における転送処理の詳細を示すフローチャートである。
【0052】
まず、CPU111は、通信部116を介して画像データを受信する(ステップS301)。データ受信には、E−mail用のプロトコルやFAX用のプロトコルが使用される。
【0053】
次に、CPU111は、図6に示すような転送設定のリストをNVRAM113から読み出し、転送条件にマッチする転送設定を検索する(ステップS302)。そして、マッチする転送設定があるかどうかを判定する(ステップS303)。ステップS303の判定結果からマッチする転送設定がないと判定した場合はリターンする。一方、ステップS303の判定結果からマッチする転送設定があると判定した場合、CPU111は、転送設定の転送先の識別子に該当する宛先データを、アドレス帳サーバ120から取得する(ステップS304)。
【0054】
次に、CPU111は、転送設定に設定されている宛先データと、アドレス帳サーバ120から取得した宛先データとを比較して差分がないかを判定する(ステップS305)。この判定の結果から差分があると判定した場合、CPU111は、画像データをNVRAM113に保存して、転送を中止した旨をユーザに通知する(ステップS307)。ステップS307におけるユーザへの通知方法の一例として、CPU111が表示部115に転送を中止した旨を表示する方法がある。また、他の通知方法として、CPU111が、通信部116を介して、MFP110の管理者へE−mailやFAXを送信することによって転送を中止した旨を通知する方法がある。更に他の通知方法として、CPU111が、通信部116を介して、ステップS301で受信した画像データの送信元へE−mailやFAXを送信することによって転送を中止した旨を通知する方法がある。画像データは、NVRAM113に残されているため、中止通知を受けたユーザは、宛先を確認した上で画像データの転送を再開することができる。
【0055】
一方、ステップS305の判定結果から差分がないと判定した場合、CPU111は、画像データを宛先データの宛先へ、通信部116を介して送信する(ステップS306)。データ送信時には、E−mail用のプロトコルやFAX用のプロトコルが使用される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、転送設定に、アドレス帳サーバの宛先を登録する時に、初めて使用する場合は、宛先確認をユーザに促す。また、同じ宛先データを再度使用して設定する時には、前回使用時から変更があった場合には、再度宛先確認をユーザに促す。これにより、転送設定に宛先データを設定する際の誤設定防止に寄与する。
【0057】
さらに、転送時に、アドレス帳サーバの宛先データが、転送設定登録時から変更されていないかを確認して、変更されている場合には、画像データを保存した上で転送設定を中止して、ユーザに中止した旨を通知する。これにより、アドレス帳サーバでの変更が望ましい変更か否かを確認した上で、転送を再開することができ、自動転送におけるメールやFAXの誤送信を防止することができる。なお、その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0058】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0059】
110 MFP
111 CPU
113 NVRAM
114 操作部
115 表示部
116 通信部
120 アドレス帳サーバ
200 アドレス帳
210 宛先使用履歴テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを送受信する通信手段を備える画像処理装置において、
少なくとも識別子と送信先を含む宛先情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した宛先情報から、前記画像データの送信先の選択指定するための指定手段と、
前記指定手段により指定され、前記通信手段により送信された画像データの宛先情報を保存する保存手段と、
前記指定手段により指定された宛先情報に含まれる識別子と同一の識別子を含む宛先情報が、前記保存手段に保存されているか否かを判定する第1の判定手段と、
前記指定手段により指定された宛先情報と、前記保存手段に保存された宛先情報とを比較することにより、前記取得した宛先情報の変更有無を判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により同一の宛先情報が前記保存手段に保存されていないと判定された場合もしくは前記第2の判定手段により前記宛先情報が変更されていると判定された場合には前記宛先情報の確認画面を表示する表示手段とを備え、
前記指定手段は、前記表示手段に表示された確認画面に対するユーザの確認操作に応じて、前記宛先情報から前記画像データの送信先を指定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の判定手段により同一の宛先情報が前記保存手段に保存されていないと判定された場合、前記画像データの送信後に、当該画像データの送信先を含む宛先情報を前記保存手段に追加する追加手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の判定手段により同一の宛先情報が前記保存手段に保存されていると判定され且つ前記第2の判定手段により前記宛先情報の送信先が変更されていると判定された場合、前記画像データの送信後に、前記保存手段に保存され、前記同一の識別子を有する宛先情報の送信先を更新する更新手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
受信した画像データを予め設定された転送先に転送する通信手段を備える画像処理装置において、
少なくとも識別子を含む宛先情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した宛先情報から、前記受信した画像データの転送先情報を設定するための設定手段と、
前記設定手段に設定され、前記通信手段により転送された画像データの転送先情報を保存する保存手段と、
前記設定手段により設定された転送先情報に含まれる識別子と同一の識別子を含む転送先情報が、前記保存手段に保存されているか否かを判定する第1の判定手段と、
前記設定手段により設定された転送先情報と、前記保存手段に保存された転送先情報とを比較することにより、前記取得した宛先情報の変更有無を判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段により同一の転送先情報が前記保存手段に保存されていないと判定された場合もしくは前記第2の判定手段により前記宛先情報が変更されていると判定された場合には前記転送先情報の確認画面を表示する表示手段とを備え、
前記設定手段は、前記表示手段に表示された確認画面に対するユーザの確認操作に応じて、前記宛先情報から前記転送先情報を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の判定手段により同一の転送先情報が前記保存手段に保存されていないと判定された場合、前記転送先情報が設定された後に、当該転送先情報を前記保存手段に追加することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の判定手段により同一の転送先情報が前記保存手段に保存されていると判定され且つ前記第2の判定手段により前記宛先情報が変更されていると判定された場合には、前記転送先情報が設定された後に、前記保存手段に保存され、前記同一の識別子を有する転送先情報を更新することを特徴とする請求項4または5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記通信手段が画像データを受信したときに、前記取得手段が前記宛先情報を取得するように制御し、
前記設定手段により設定された転送先情報と前記取得手段により取得した宛先情報とを比較して差分があると判定した場合には、前記受信した画像データを保存して転送を中止する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記画像データの転送を中止した旨を、前記画像処理装置の管理者に送信することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記画像データの転送を中止した旨を、当該画像データの送信元に送信することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像データを送受信する通信手段を備える画像処理装置の制御方法において、
少なくとも識別子と送信先を含む宛先情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した宛先情報から、前記画像データの送信先の選択指定するための指定工程と、
前記指定工程で指定され、前記通信手段により送信された画像データの宛先情報を保存手段に保存する保存工程と、
前記指定工程で指定された宛先情報に含まれる識別子と同一の識別子を含む宛先情報が、前記保存手段に保存されているか否かを判定する第1の判定工程と、
前記指定工程で指定された宛先情報と、前記保存手段に保存された宛先情報とを比較することにより、前記取得した宛先情報の変更有無を判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程にて同一の宛先情報が前記保存手段に保存されていないと判定された場合もしくは前記第2の判定工程にて前記宛先情報が変更されていると判定された場合には、前記宛先情報の確認画面を表示する表示工程とを備え、
前記指定工程では、前記表示手段に表示された確認画面に対するユーザの確認操作に応じて、前記宛先情報から前記画像データの送信先を指定することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
受信した画像データを予め設定された転送先に転送する通信手段を備える画像処理装置の制御方法において、
少なくとも識別子を含む宛先情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した宛先情報から、前記受信した画像データの転送先情報を設定するための設定工程と、
前記設定工程で設定され、前記通信手段により転送された画像データの転送先情報を保存手段に保存する保存工程と、
前記設定工程で設定された転送先情報に含まれる識別子と同一の識別子を含む転送先情報が、前記保存手段に保存されているか否かを判定する第1の判定工程と、
前記設定工程で設定された転送先情報と、前記保存手段に保存された転送先情報とを比較することにより、前記取得した宛先情報の変更有無を判定する第2の判定工程と、
前記第1の判定工程にて同一の転送先情報が前記保存手段に保存されていないと判定された場合もしくは前記第2の判定工程にて前記宛先情報が変更されていると判定された場合には、前記転送先情報の確認画面を表示手段に表示する表示工程とを備え、
前記設定工程では、前記表示手段に表示された確認画面に対するユーザの確認操作に応じて、前記宛先情報から前記転送先情報を設定することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の制御方法を画像処理装置に実行させるためのコンピュータに読み取り可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−129727(P2012−129727A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278300(P2010−278300)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】