説明

画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】ユーザによる処理をユーザに対して的確に表示することが可能な画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置200は、画像処理装置に対するユーザの位置を示す位置情報を保持し、画像処理装置の状態に基づいて、ユーザに処理させるべき内容を示す処理データと、当該処理を行う場所を特定し、特定された場所までの移動をユーザに促す移動データを表示した上で処理データを表示するか、当該移動データを表示せずに処理データを表示するかを、保持される位置情報と前記特定された場所に基づいて切り替えて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙詰まり(ジャム)やトナー切れ等のエラーが発生した場合、ジャムの解除やトナーの補給等のエラー解除処理を誘導するために操作部に備えられた表示部にイラストやメッセージで装置の概念図や操作手順を表示し、操作者に処理を促す画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、動画を使用した操作指示も提案されており、これにより複雑な処理も詳細に説明でき、操作箇所での細かな操作を表示できるため、ユーザが操作を容易に行うことができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−078372号公報
【特許文献2】特開平8−69223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において提案されているように、イラストやメッセージによる指示だけでは、ジャム解除処理に複雑な処理を必要とする場合、装置の操作に不慣れなユーザが容易に処理を行うことができない。
【0006】
また、特許文献2で提案されているような動画による指示では、各ジャム発生箇所での操作指示は表示できているが、装置全体のどこを操作すべきかの位置感覚がわかりづらい。特に、連続して処理指示を行う場合は処理位置が変化したことをユーザに伝えることが難しくなる。
【0007】
本発明の目的は、ユーザによる処理をユーザに対して的確に表示することが可能な画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の画像処理装置は、画像処理装置であって、前記画像処理装置に対するユーザの位置を示す位置情報を保持する保持手段と、前記画像処理装置の状態に基づいて、ユーザに処理させるべき内容を示す処理データと、当該処理を行う場所を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された場所までの移動をユーザに促す移動データを表示した上で前記処理データを表示するか、当該移動データを表示せずに前記処理データを表示するかを、前記保持手段によって保持される位置情報と前記特定された場所に基づいて切り替えて表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザによる処理をユーザに対して的確に表示することが可能な画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるコントロールユニットの電気的構成を示す図である。
【図3】図2における操作部、及び操作部I/Fの構成を示す図である。
【図4】画像処理装置の機械的構成を示す図である。
【図5】図1における画像処理装置のジャム発生時に表示する移動データおよび処理データを保持するHDDに記憶されたテーブル等の構造を示す図である。
【図6】図2におけるCPUにより実行される操作指示表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の操作指示表示処理において、操作部に表示される移動データの例を示す図である。
【図8】図6の操作指示表示処理において、操作部に表示される処理データを示す画像の例を示す図である。
【図9】図8の動画表示領域に表示される処理データが示す動画の一部の場面を示す図である。
【図10】画像処理装置200本体に紙詰まりが発生した直後に操作部表示される画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置200の概略構成を示す図である。
【0013】
図1において、画像処理装置200は、ホストコンピュータ11とLAN2011を介して接続しており、ホストコンピュータ11の指示によっても画像処理を行うことが可能である。本実施の形態は画像処理が可能で表示機能を有する装置であれば、あらゆる装置に適用可能である。
【0014】
図1において、画像処理装置200は、画像入力デバイスであるスキャナ2070、及び画像出力デバイスであるプリンタ2095を含む。また、画像処理装置200は、コントロールユニット(Controller Unit)2000、及びユーザーインターフェースである操作部2012から構成される。
【0015】
ホストコンピュータ11はクライアントマシンとして機能する情報処理装置で、表示装置、キーボード、ポインティングデバイス、コンピュータ本体とを含む。コンピュータ本体に内蔵される外部記憶装置からオペレーティングシステムをRAM上にロードして、各種のアプリケーションプログラムを実行する機能を有し、ネットワークを介して本画像処理装置と通信して、該通信により取得する情報を表示する。いわゆるWebブラウザソフトウエアが動作可能に構成されており、後述するWebサーバ機能処理を行う画像処理装置200と所定のプロトコルで通信可能に構成されている。
【0016】
スキャナ2070、プリンタ2095、操作部2012は、それぞれコントロールユニット2000に接続され、コントロールユニット2000は、LAN2011などのネットワーク伝送手段に接続されている。操作部2012は、ユーザからのコマンド入力、ユーザへの状態報知および通知内容の表示等を行う。従って操作部2012は、ユーザに情報を表示する表示手段に対応する。
【0017】
図2は、図1におけるコントロールユニット2000の電気的構成を示す図である。
【0018】
図2において、CPU2001は、システム全体を制御する。RAM2002は、CPU2001が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM2003は、ブートROMとして機能し、システムのブートプログラムが格納されている。
【0019】
ハードディスクドライブ(HDD)2004は、システムソフトウェア、画像データを格納する。操作部I/F2006は、操作部2012とのインターフェース部として機能し、操作部2012に表示する画像データを操作部2012に対して出力する。また、操作部2012から画像処理装置200にユーザが入力した情報を、CPU2001に伝える役割をする。
【0020】
VRAM2009は、CPU2001で生成された表示画面データを保持するメモリである。CPU2001はHDD2004から取得した表示データを用いて画面生成し、VRAM2009は、操作部2012に表示されるように配置された画像データを保存するメモリである。
【0021】
ネットワークI/F2010は、LAN2011に接続し、情報の入出力を行う。モデム2050は、公衆回線2051に接続し、情報の入出力を行う。
【0022】
イメージバスI/F2005は、システムバス2007と画像データを高速で転送する画像バス2008を接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
【0023】
画像バス2008は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。RIP(ラスタイメージプロセッサ)2060は、PDLコードをビットマップイメージに展開する。
【0024】
デバイスI/F2020は、スキャナインターフェース2071を介して接続されたスキャナ2070や、プリンタインターフェース2096を介して接続されたプリンタ2095とコントロールユニット2000とを接続する。そして、デバイスI/F2020は、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0025】
スキャナ画像処理部2080は、入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部2090は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。
【0026】
画像回転部2030は、画像データの回転処理を行う。画像圧縮部2040は、多値画像データはJPEG、2値画像データはJBIG、MMR、MHの圧縮伸長処理を行う。
【0027】
図3は、図2における操作部2012、及び操作部I/F2006の構成を示す図である。
【0028】
図3において、操作部2012は、タッチパネル2016、ハードキー2014、及びLCD2013を備えている。また、操作部I/F2006は、入力ポート20061、及び出力ポート20062を備えている。
【0029】
タッチパネル2016は、LCD2013と一体化され、ユーザの操作を認識するものである。LCD2013は、ユーザに対して各種情報を表示する。ハードキー2014は、ユーザにより操作されるキーである。
【0030】
操作部I/F2006は、タッチパネル2016及びハードキー2014等よりユーザより入力された内容を、入力ポート20061を介して、システムバス2007に出力する。この取得した操作内容とプログラムに基づいて、CPU2001により生成された表示画面データは、VRAM2009に保持される。VRAM2009で保持された表示画面データは、出力ポート20062を介して、LCD2013に出力される。
【0031】
図4は、画像処理装置200の機械的構成を示す図である。
【0032】
図4において、画像処理装置200は、画像形成部601、給紙部602a,602b,602c,602d,602e、転写ベルト603、定着器604、及び排紙部605を含む。
【0033】
また、画像処理装置200は、上述したコントロールユニット2000、スキャナ2070、及び操作部2012を含む。さらに、画像処理装置200は、記録材の有無を検出するためのセンサ610a,610b,610c,610d,610e,610f,610g,610h,610iを含む。
【0034】
給紙部602aは、手差しトレイであり、矢印L方向に開かれて記録材が挿入される。複数の給紙部602(602b〜602e)は、記録材を積載収納しており、給紙ローラによりピックアップされて記録材を給紙する。
【0035】
画像形成部601は、それぞれがマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のトナー像を形成する画像形成ステーションから構成される。各画像形成ステーションは、各トナーで現像剤像を形成し、転写ベルト603上を搬送される記録材に当該現像剤像を順次転写する。その後、記録材は、定着器604に搬送される。そこで、記録材上に形成された現像剤像は、定着器604によって溶融されて記録材に定着される。現像剤像が定着されると、記録材は、排紙部605に排紙される。
【0036】
スキャナ2070は、原稿台に載置された原稿を光学的に走査して読み取ることにより、色毎の画像信号を得る。また、操作部2012は、画像形成中にジャムが発生したことを報知し、画像形成された識別情報を含む形成結果情報を出力するようにしてもよい。
【0037】
各センサ610(210a〜210i)は、搬送路上に複数配置されて記録材の有無を検出する。なお、各センサ610は、メカ・フラグを用いたセンサでもよいし、光学的な素子を用いたセンサでもよい。
【0038】
図4に示す各センサ610は、一適用例として示したものであり、配置される位置については限定されない。例えば、ジャム発生時に画像処理装置200内に滞留する全ての記録材を検出する場合、センサ610は、各画像形成の工程箇所(例えば、給紙位置、画像形成位置および定着位置等)または搬送路上に等間隔で配置されることが望ましい。
【0039】
図5は、図1における画像処理装置200のジャム発生時に表示する移動データおよび処理データを保持するHDD2004に記憶されたテーブル等の構造を示す図である。
【0040】
想定ユーザ位置テーブル502は、予め定められた基準位置、位置A、位置Bのように各位置が記憶されている。この想定ユーザ位置テーブル502の中から、ユーザが操作していると想定される想定ユーザ位置501を設定する。この基準位置は、ユーザが処理を行う時にユーザが居る位置である。
【0041】
想定ユーザ位置501の初期値は基準位置を設定し、位置が変化することで設定値は更新される。すなわち、想定ユーザ位置501は、画像処理装置200に対するユーザの位置を示す位置情報を保持するものである。
【0042】
処理データテーブル503は「処理」、「処理データ」、「処理位置」から構成されている。画像処理装置200の状態を取得し、ジャム解除処理が必要な箇所の「処理」に対応する「処理データ」と「処理位置」を参照し、該当するデータを処理データ格納部504から取得する。また、処理データは、ユーザが行うべき処理の手順を示す(ジャム解除処理の場合は、紙詰まりを解除する手順を示す)動画または一連の静止画像データ、テキストデータなどとなっている。
【0043】
移動データテーブル505は、「移動元」、「移動先」、「移動データ」から構成されている。想定ユーザ位置501に格納されている値と処理データテーブル503から取得した処理位置が同じでない場合、移動データテーブル505の想定ユーザ位置に相当する移動元と処理位置に相当する移動先に対応する「移動データ」を参照する。そして該当するデータを移動データ格納部506から取得する。なお、想定ユーザ位置501に格納されている値と処理データテーブル503から取得した処理位置が同じ場合、移動データテーブル505の参照は行われない。また、移動データは、ユーザに移動すべき位置を知らせるための動画データ、一連の静止画像データ、及びテキストデータなどとなっている。従って、処理データテーブル503は、処理と、処理データと、処理位置とが対応付けられており、取得された状態に応じて、処理データテーブル503に示される処理データと処理位置とが取得されることとなる。なお、画像処理装置200が、複数のジャム位置が検知された状態を取得した場合、複数のジャム位置に対応する処理のうち、優先順位が高い処理に対応する処理データ及び処理位置が取得される。
【0044】
図6は、図2におけるCPU2001により実行される操作指示表示処理の手順を示すフローチャートである。図6の各ステップは、ROM2003等の記憶部に記憶されたプログラムをRAM2002に展開し、CPU2001が実行することによって処理される。
【0045】
この操作指示表示処理は、ジャムが発生し処理が必要になったタイミングで開始される。
【0046】
図6において、まず想定ユーザ位置を初期化し、これを基準位置として設定する(ステップS401)。基準位置とは、操作を始めるときのユーザが居ると想定される場所であり、画像処理装置200の正面などが挙げられる。次いで、画像処理装置200の状態を取得する(ステップS402)。ここでは、上記センサ610によってジャム位置を検知することで画像処理装置200の状態を取得する。
【0047】
次いで、ステップS402で取得したジャムに関して処理すべき項目があるか否か判別する(ステップS403)。ステップS403で、処理すべき項目がないとき(ステップS403でNO)、本処理を終了する。
【0048】
一方、ステップS403で、処理すべき項目があるとき(ステップS403でYES)、取得したジャム発生箇所に応じて、処理データテーブル503から処理データと処理位置をHDD2004より取得する(ステップS404)。すなわち、画像処理装置200の状態に基づいて、ユーザに処理させるべき内容を示す処理データと、当該処理を行う場所を特定する。
【0049】
次いで、ステップS401で設定した想定ユーザ位置501とステップS404で取得した処理位置とが同じか否かを判別する(ステップS405)。
【0050】
ステップS405の判別の結果、想定ユーザ位置501と処理位置とが同じとき(ステップS405でYES)、ステップS408に処理が進む。
【0051】
一方、想定ユーザ位置501と処理位置とが異なるとき(ステップS405でNO)、想定ユーザ位置501と処理位置から移動データテーブル505の移動データをHDD2004より取得する(ステップS406)。このステップS406で取得した移動データを操作部2012に表示し(ステップS407)、処理データを操作部2012に表示する(ステップS408)。このように、想定ユーザ位置501と、ステップS404によって特定される場所とが対応するか否かを判断するステップS405を更に有し、ステップS405による判断結果に基づいて表示する。
【0052】
次いで、ステップS408で表示している処理データが示す処理が完了したかを判別する(ステップS409)。ステップS409の判別の結果、処理が完了していないとき(ステップS409でNO)、ステップS405に戻り、状態に応じて移動データと処理データの表示を繰り返す。
【0053】
一方、処理が完了したとき(ステップS409でYES)、現在ユーザが操作をしていた位置を想定ユーザ位置として更新し(ステップS410)、ステップS402に戻る。
【0054】
次いで、上述した操作指示表示処理における処理の一例について説明する。
【0055】
例として、図4に示す画像処理装置200のセンサ610a、センサ610b、センサ610cでジャムの発生が検知されたこととする。
【0056】
そして、それぞれ、センサ610aの位置に相当する処理1、センサ610bの位置に相当する処理2、センサ610cの位置に相当する処理3の操作指示を行うこととする。
【0057】
ここで、操作の優先順位は決まっており、処理1、処理2、処理3の順になっていることとする。
【0058】
処理1、処理2は画像処理装置200の右側面(以下、位置Aという)からの処理操作が必要となり、処理3は左側面(以下、位置Bという)からの処理操作が必要となる。
【0059】
まず、ステップS401で想定ユーザ位置501を基準位置で初期化する。次いで、ステップ402で、センサ610a、センサ610b、センサ610cでジャムを検知することで画像処理装置200の状態を取得する。ステップS403では、処理1から処理3の操作指示が終わるまで繰り返される。
【0060】
処理1を指示する場合、ステップS404で処理データテーブル503において「処理データ」及び「処理位置」を参照する。ここで、「処理データ」は処理データ1が、「処理位置」は位置Aが参照され、それぞれのデータを処理データ格納部504から取得する。
【0061】
ステップS405で想定ユーザ位置と処理位置が同じか否かを判別する。このとき、想定ユーザ位置501と処理位置とが異なるため、ステップS406に進む。そして移動データテーブル505から想定ユーザ位置に対応する「移動元」の基準位置と処理位置に対応する「移動先」の“位置A”を参照し、該当する移動データの移動データ1を移動データ格納部506より取得する。
【0062】
ステップS407では、ステップS406で取得した移動データ1を操作部2012に表示する。移動データの表示が終わると、続けてステップS408で取得した“処理データ1”を操作部2012に表示する。
【0063】
ステップS409では、操作部2012に表示されている操作をユーザが完了したか否かを判別し、処理が完了していないとき、ステップS405に進み、想定ユーザ位置と処理位置が同じか否か判別する。ここでは上述したように想定ユーザ位置は基準位置、処理位置は位置Aとなっているので、ステップS406以降の処理が、ユーザが操作を完了するまで繰り返すこととなる。従って、処理が完了したと判別されなかったとき、移動データの表示、及び処理データの表示が再度行われる。
【0064】
ユーザが操作を完了すると、ステップS410で想定ユーザ位置501が基準位置から現在操作していた位置Aに更新される。
【0065】
次に処理2の操作指示を行う。ステップS404で処理データテーブル503を参照し、処理データ格納部504より処理データ2を取得する。ステップS405では、想定ユーザ位置が位置Aであり、「処理位置」も位置Aであるので肯定判別される。そのため、移動データテーブル505の参照は行われず、ステップS408に進み、処理データ2のみが操作部2012に表示される。
【0066】
処理2の操作が完了すると、想定ユーザ位置が位置Aから同じ位置Aに更新され、処理3の操作指示が行われる。ステップS405では、位置Aと処理3における位置Bとが異なるため、ステップS406に分岐して移動データテーブル505から移動データ3を取得し、移動データ3と処理データ3の順に操作部2012に操作指示が表示される。
【0067】
こうしてユーザが処理3までの処理を完了し、ジャムがすべて取り除かれると処理は終了する。
【0068】
図6の処理によれば、まず画像処理装置200に対するユーザの位置である想定ユーザ位置を設定する(ステップS401)。次いで、画像処理装置200の状態を取得する(ステップS402)。取得された状態から、処理すべき項目があるか否かを判別する(ステップS403)。処理すべき項目があると判別されたとき(ステップS403でYES)、操作部2012に表示するための処理データ及び処理位置を取得する(ステップS404)。
【0069】
さらに、設定された想定ユーザ位置と、ステップS404により取得された処理位置とが同じか否かを判別する(ステップS405)。そして、設定された想定ユーザ位置と、取得された処理位置とが異なると判別されたとき(ステップS405でNO)、取得された処理位置への移動をユーザに示す移動データを取得する(ステップS406)。取得された移動データを操作部2012に表示する(ステップS407)。
【0070】
さらに、取得された処理データを操作部2012に表示する(ステップS408)。そして、処理すべき項目に示される処理が完了したか否かを判別する(ステップS409)。処理が完了したと判別されたとき(ステップS409でYES)、設定された想定ユーザ位置を更新する(ステップS410)。
【0071】
従って、図6の処理によれば、ユーザによる処理をユーザに対して的確に表示することが可能となる。特に、ユーザが装置に対して行う作業箇所が複数あり、ユーザが移動してそれらの箇所で作業する必要がある場合に、次にユーザが作業する箇所がどこであるのかをユーザに分かり易くすることができる。
【0072】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態においては、ユーザが操作部2012の表示に従って操作を行う場合について説明したが、第2の実施の形態ではユーザが操作部2012の表示を無視して、表示されている箇所とは別の箇所から操作を行った場合の操作指示について説明する。即ち、複数の箇所で処理が必要な場合に、装置において決定された操作手順とは異なる順番で各箇所を処理した場合の操作指示について説明する。
【0073】
ユーザがステップS407およびステップS408で操作部2012に表示されている表示とは別の箇所を操作した場合、その操作が完了した時点で、ステップS411で想定ユーザ位置をユーザが操作していた位置に更新する。
【0074】
次に、ステップS402で装置の状態を取得し、まだ操作が完了していないジャム発生箇所を検知する。そのため、ユーザが操作した箇所の操作指示はその後表示されることはなく、ユーザが操作した箇所を除く残りのジャム発生箇所を処理する操作指示を表示する。これにより、ユーザが、装置が決定した操作手順とは異なる順番で操作を行ったとしても、動的に表示順を変更し、ユーザに正しく処理を行わせることができる。
【0075】
図7は、図6の操作指示表示処理において、操作部2012に表示される移動データの例を示す図である。
【0076】
すなわち、図7は、画像処理装置200のある箇所に紙詰まりが発生したときに、操作部2012に表示される移動データを示す画像の表示例を示した図である。この例では、ジャム発生箇所711a、711b、711cの順に処理するものとして説明する。
【0077】
移動データ710は、想定ユーザ位置を基準位置712としている状態を示している。また、ジャム発生箇所711a〜711cはジャムが発生した箇所である。
【0078】
まず、ジャム発生箇所711aの処理を行うとき、ユーザは基準位置712から移動データ720の処理位置721に移動する。移動データ710と移動データ720を連続して一連の流れで表示することで一つの移動データとする。
【0079】
次にジャム発生箇所711aの処理後にジャム発生箇所711bの処理を行う場合は、ユーザの移動が発生しないため、移動データ730に示されるように、移動データの表示は行われない。
【0080】
ジャム発生箇所711bの処理後にジャム発生箇所711cの処理を行う場合、移動データ730の処理位置721から移動データ740の処理位置741に移動することとなる。従って、移動データ730画像と移動データ740画像を一連の流れで表示することで1つの移動データとなる。
【0081】
図8は、図6の操作指示表示処理において、操作部2012に表示される処理データを示す画像の例を示す図である。
【0082】
図8において、紙詰まり発生箇所表示領域801は、本体のどの位置に紙詰まりが発生したかを示す図を表示する領域である。図8では、本体右側面ドア部に丸い印が表示され、その位置に紙詰まりが発生したことを示している。
【0083】
紙詰まり解除指示テキスト表示領域802は、発生した紙詰まりを解除するためのユーザの操作をテキストで表示する領域である。上述したように、この領域に動画又は静止画を表示するようにしてもよい。
【0084】
後処理キー804は、プリンタを必要としない処理の操作設定を行うために、この紙詰まり表示画面を閉じるためのキーである。
【0085】
また、紙詰まり動画表示領域803は、処理データを示す画像が表示される領域であり、発生した紙詰まりを解除するためのユーザの操作を、ここでは動画で表示する領域となっている。
【0086】
画像処理装置200において紙詰まりが発生した場合、それを解除するためには画像処理装置200本体のカバーなどを開け、各種レバーやハンドルなどを操作して詰まった紙を取り除かなくてはならない。
【0087】
しかし、画像処理装置200内のハンドル操作やカバーの開閉には、操作の順番が定められており、その順番を無視した場合や間違った場合は、紙を取り除くことが困難となる。このため、紙を取り除く順番を表示するために動画が用いられている。また、図7に示される移動データ、及び処理データは、同一の画面に表示されることとなる。
【0088】
図9は、図8の動画表示領域803に表示される処理データが示す動画の一部の場面を示す図である。
【0089】
図9の動画901〜905に示されるように、搬送ユニットが通常の位置にある状態から、段階的にユーザが操作すべき手順を示すようになっている。動画905まで遷移したときは、その後また動画901を表示することで、循環するようになっている。
【0090】
図10は、画像処理装置200本体に紙詰まりが発生した直後に操作部表示される画面を示したものであり、動画表示領域803に表示されている動画データは、装置本体におけるHDD2004などの記憶領域に保存されていた動画データである。ボタン805は、詳細に表示する場合にユーザにより押下されるボタンである。
【0091】
また、画像処理装置200本体の右側面部に紙詰まりが発生したときの解除方法を示す動画データであるが、紙詰まりの発生箇所ごとに十数種類の動画データがHDD2004に保存されている。
【0092】
(他の実施の形態)
上記実施例の説明では、画像処理装置において紙詰まり(ジャム)が発生した際の処理について説明したが、本発明は紙詰まりに限定されるものではなく、ユーザが処理を行う必要があるあらゆる場合に適用可能である。
【0093】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0094】
200 画像処理装置
502 想定ユーザ位置テーブル
503 処理データテーブル
504 処理データ格納部
505 移動データテーブル
506 移動データ格納部
2000 コントロールユニット
2001 CPU
2002 RAM
2003 ROM
2004 HDD
2006 操作部I/F
2012 操作部
2013 LCD
2014 ハードキー
2016 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
前記画像処理装置に対するユーザの位置を示す位置情報を保持する保持手段と、
前記画像処理装置の状態に基づいて、ユーザに処理させるべき内容を示す処理データと、当該処理を行う場所を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された場所までの移動をユーザに促す移動データを表示した上で前記処理データを表示するか、当該移動データを表示せずに前記処理データを表示するかを、前記保持手段によって保持される位置情報と前記特定された場所に基づいて切り替えて表示する表示手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記処理データに基づく処理が行われた後、前記位置情報として前記特定手段によって特定された場所を示す位置情報を保持することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記保持手段によって保持される位置情報が示す位置と、前記特定手段によって特定される場所とが対応するか否かを判断する判断手段を更に有し、前記表示手段は、前記判断手段による判断結果に基づいて表示することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置の状態を取得する取得手段を更に有し、
前記取得手段は、ジャム位置を検知するセンサにより前記状態を取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示手段によって表示される移動データ、及び処理データは、同一の画面に表示されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置の制御方法であって、
前記画像処理装置に対するユーザの位置を示す位置情報を保持する保持ステップと、
前記画像処理装置の状態に基づいて、ユーザに処理させるべき内容を示す処理データと、当該処理を行う場所を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによって特定された場所までの移動をユーザに促す移動データを表示した上で前記処理データを表示するか、当該移動データを表示せずに前記処理データを表示するかを、前記保持ステップによって保持される位置情報と前記特定された場所に基づいて切り替えて表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記画像処理装置に対するユーザの位置を示す位置情報を保持する保持ステップと、
前記画像処理装置の状態に基づいて、ユーザに処理させるべき内容を示す処理データと、当該処理を行う場所を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによって特定された場所までの移動をユーザに促す移動データを表示した上で前記処理データを表示するか、当該移動データを表示せずに前記処理データを表示するかを、前記保持ステップによって保持される位置情報と前記特定された場所に基づいて切り替えて表示する表示ステップと、
を有することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−234126(P2012−234126A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104366(P2011−104366)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】