説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】ハイライト情報を持つ図柄が含まれる原稿を読み取って処理する場合に、地肌飛ばし処理による図柄のハイライト部分の階調性悪化を抑える。
【解決手段】光量変更判定部130で原稿の透過率(紙厚)により原稿照明用光源の光量をデフォルト値から変更する必要があると判定すると、光量設定部131で光量をデフォルト値より小さい、原稿の透過率(紙厚)に応じた値へ変更する。光量が変更された時に、原稿種類判定手段121で図柄が含まれる原稿種類であると判定されたならば地肌飛ばし量の変更が必要であると地肌飛ばし量変更判定部132で判定し、地肌飛ばし量設定値133で、地肌飛ばし量をそのデフォルト値より小さい、原稿の透過率(紙厚)に応じた値へ変更することにより、原稿のハイライト情報の欠落を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用光源によって照明された原稿の反射光像を読み取って原稿の画像データを入力する原稿読取手段と、その原稿画像データに対し所定の処理を施す画像処理手段とを備える画像処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像処理装置においては、画像出力時に原稿の地肌を紙白に合わせるため、原稿画像データに対し、地肌飛ばし量として設定された値以下の濃度値を0へと変換する、いわゆる「地肌飛ばし」処理を画像処理手段で施すことが多い。
【0003】
さて、原稿の反射光像を読み取る場合、原稿の裏面(照明される読み取り面と反対側の面)の画像、特に濃度の高い文字が裏写りし、その裏写り像が読み取られるという問題がある。読み取られた裏写り像の濃度値が、地肌飛ばし処理の地肌飛ばし量より小さい場合には、地肌飛ばし処理によって裏写り像は除去される。しかし、裏写り像の濃度値が地肌飛ばし量より大きい場合には、裏写り像は除去されない。
【0004】
裏写り像の濃度は、原稿の透過率又は紙厚によって変動するが、原稿の透過率又は紙厚が同じであっても原稿照明用光源の光量によっても変化するので、地肌飛ばし処理による裏写り除去効果も光源光量による影響を受ける。これについて図11により説明する。
【0005】
図11は、原稿読取手段により読み取られた原稿の読み取り面の文字(表文字)及び裏面の文字(裏写り文字)の濃度を、地肌飛ばし量と関連させて示した模式図である。図11の(a)と(b)との違いは、照明用光源の光量が(a)のほうが(b)より大きいということであり、原稿と地肌飛ばし量は同一である。
【0006】
光源光量が大きい(a)の場合、読み取られた裏写り文字の濃度は地肌飛ばし量を越えている。したがって、地肌飛ばし処理によっては裏写り文字を除去できない。
【0007】
これに対し、光源光量を低下させた(b)の場合、読み取られた裏写り文字の濃度は地肌飛ばし量を下回るため、地肌飛ばし処理によって裏写り文字を除去できる。すなわち、この原稿については、裏写り除去のために光源光量を下げることが有効である。
【0008】
しかし、(b)のように光源光量を下げた場合、原稿の読み取り面より読み取られた表文字などの画像の濃度も全体として下がるため、読み取り面にハイライトの情報を持つ図柄が含まれている原稿の場合、地肌飛ばし処理によって欠落するハイライトの情報が増加し、図柄のハイライト部分が飛び気味になり階調性が悪化するという問題がある。
【0009】
なお、原稿の反射光像を読み取る画像読取装置において、原稿の透過率と反射率を計測し、計測された透過率と反射率に応じて原稿照明用光源の光量を変化させる技術が特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、照明用光源により照明された原稿の反射光像を読み取って原稿画像データを入力する原稿読取手段と、前記原稿読取手段より入力された原稿画像データに対し、地肌飛ばし量として設定された値以下の濃度値を0へと変換する地肌飛ばし処理を少なくとも施す画像処理手段とを備える画像処理装置において、上述したような照明用光源の光量変更に伴う原稿上の図柄のハイライト部分の階調性悪化を抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、照明用光源により照明された原稿の反射光像を読み取って原稿画像データを入力する原稿読取手段と、前記原稿読取手段より入力された原稿画像データに対し、地肌飛ばし量として設定された値以下の濃度値を0へと変換する地肌飛ばし処理を少なくとも施す画像処理手段とを備える画像処理装置に係り、その特徴は、
前記原稿の透過率又は紙厚に応じて前記照明用光源の光量を調整する光源光量制御手段と、
前記原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類である場合、前記光源光量制御手段によって前記照明用光源の光量がそのデフォルト値と異なった値へ調整されるときに、前記地肌飛ばし量をそのデフォルト値と異なった、前記原稿の透過率又は紙厚に応じた値へ調整する地肌飛ばし量制御手段とを有することにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像処理装置によれば、原稿の透過率又は紙厚に応じて照明用光源の光量を調整することによって、原稿の裏文字などの確実な裏写り除去が可能となる。一方、読み取られる原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類である場合、照明用光源の光量がそのデフォルト値と異なった値へ調整されるときには、地肌飛ばし量をそのデフォルト値と異なった、原稿の透過率又は紙厚に応じた値へ調整することによって原稿上のハイライト情報の欠落を抑え、図柄のハイライト部分の階調性を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を説明する簡略化されたブロック図である。
【図2】地肌飛ばし処理手段を兼ねるプリンタγ補正部の入出力特性の例を示すグラフである。
【図3】原稿の透過率と紙厚との関係を示すグラフである。
【図4】画像処理装置の全体的動作並びに光源光量/地肌飛ばし量制御を説明するためのフローチャートである。
【図5】地肌飛ばし量変更の要否判定にユーザを介入させる場合の手順例を説明するためのフローチャートである。
【図6】ユーザに地肌飛ばし量変更の要否を問う画面の一例を示す図である。
【図7】地肌飛ばし量の設定値決定にユーザを介入させる場合の手順例を説明するためのフローチャートである。
【図8】地肌飛ばし量の設定値決定にユーザを介入させる場合に表示される画面の一例を示す図である。
【図9】原稿読取部の具体的構成例を説明するための模式的断面図である。
【図10】透過率(又は紙厚)検出手段の具体例を示す模式図である。
【図11】光源光量の増減と裏写り濃度との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、原稿の透過率又は紙厚に応じて照明用光源の光量を調整する光源光量制御手段と、原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類である場合、光源光量制御手段によって照明用光源の光量がそのデフォルト値と異なった値へ調整されるときに、前記地肌飛ばし量をそのデフォルト値と異なった、原稿の透過率又は紙厚に応じた値へ調整する地肌飛ばし量制御手段とを有する。
【0015】
かかる構成によれば、原稿の透過率又は紙厚に応じて照明用光源の光量を調整することによって、原稿の裏文字などの確実な裏写り除去が可能となる。一方、原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類である場合、照明用光源の光量がそのデフォルト値と異なった値へ調整されるときには、地肌飛ばし量をそのデフォルト値と異なった、原稿の透過率又は紙厚に応じた値へ調整することによって原稿上のハイライト情報の欠落を抑え、図柄のハイライト部分の階調性を良好に保つことができる。
【0016】
以上について、図11を用い、より具体的に説明する。例えば、図11の(a)及び(b)に示す地肌飛ばし量をそのデフォルト値であるとし、また、(a)の場合の光源光量をそのデフォルト値であるとする。
【0017】
光源光量をデフォルト値に調整して原稿読み取りを行った場合、原稿の透過率が想定された透過率より大きいと(又は紙厚が想定された紙厚より薄いと)、(a)に示すように裏写り文字の濃度値は地肌飛ばし量のデフォルト値を越えるため、裏写りを除去できない。
【0018】
このような場合、(b)に示すように裏写り文字の濃度値が地肌飛ばし量のデフォルト値以下になるように、光源光量は、そのデフォルト値から原稿の透過率又は紙厚に応じた値(デフォルト値より小さい値)へ調整されることにより、裏文字などの裏写りを除去できるようになる。しかし、光源光量の低下により表文字などの画像濃度が全体的に下がるため、ハイライトの情報を持つ図柄が原稿に含まれている場合、地肌飛ばし量がデフォルト値のままでは、地肌飛ばし処理によるハイライト情報の欠落が多く、図柄のハイライト部分の階調性が悪くなる。本発明によれば、このような場合、地肌飛ばし量を、原稿の透過率又は紙厚に応じた、デフォルト値より小さな値へ調整することによって、地肌飛ばし処理による原稿上のハイライト情報の欠落を抑え図柄のハイライト部分の階調性を良好に保つことができる。
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照し詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を説明するための簡略化されたブロック図である。
【0021】
図1に示した画像処理装置は、照明用光源によって照明された原稿の反射光像を読み取って原稿画像データを入力する原稿読取手段である原稿読取部100と、この原稿読取部100より入力された原稿画像データに対し地肌飛ばし処理を含む所定の処理を施す画像処理手段である画像処理部101と、この画像処理部101により処理された画像データを印刷出力する画像形成手段であるプリンタ部102と、原稿読取部100における原稿照明用光源の光量の調整及び画像処理部101における地肌飛ばし処理の地肌飛ばし量の調整を行う手段である光源光量/地肌飛ばし量制御部104と、ユーザが各種指示、指定を行うための手段である操作部105と、以上の各部を制御する手段であるシステム制御部106とを備える構成である。
【0022】
画像処理部101は、原稿読取部100より入力する原稿画像データに対し反射率リニアなRGB信号から濃度リニアなRGB信号への変換を行うスキャナγ補正部110と、この変換後のRGB信号に対しエッジ強調や平滑化などのためのフィルタ処理を施すフィルタ処理部111と、このフィルタ処理後のRGB信号をプリンタ部102で用いられるシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の色材に対応したCMYK信号に変換する色変換部112と、この色変換後のCMYK画像データを一時的に記憶する画像記憶部113と、この画像記憶部113より読み出された画像データのC,M,Y,K各信号に対しプリンタ部102の出力特性に応じたγ補正を施すプリンタγ補正部114と、このγ補正後のC,M,Y,K信号に対しディザ処理や誤差拡散処理などの中間調処理を施す中間調処理部115とを有する。この中間調処理後のC,M,Y,K各信号に従ってプリンタ部102でC,M,Y,K各版の画像が形成される。
【0023】
プリンタγ補正部114では、プリンタ部102で画像を出力する際に原稿の地肌を紙白に合わせるため、CMYK画像データに対し地肌飛ばし量として設定された値以下の濃度値を0へと変換する、いわゆる「地肌飛ばし」処理も行われる。すなわち、プリンタγ補正部114は、γ補正処理手段と地肌飛ばし処理手段とを兼ねる。そして、その地肌飛ばしの程度である「地肌飛ばし量」を調整可能である。
【0024】
C,M,Y,K信号中のある信号に対するプリンタγ補正部114の入出力特性の例を図2に示す。
【0025】
図2において、実線で示す入出力特性の場合、Tmaxが地肌飛ばし量として設定された値(濃度値)に相当し、例えば0から255までの値をとり得る入力信号(C,M,Y,K各信号)の値(入力濃度値)がTmax以下では出力信号値(出力濃度値)は0とされ、紙白として出力されることになる。地肌飛ばし量を例えばTminに調整した場合、破線で示す様な入出力特性となる。地肌飛ばし量としてTmaxとTminの間の値を設定することも可能である。地肌飛ばし量としてTmaxとTminの間の値が設定された場合、入力信号値(入力濃度値)がその設定値以下では出力信号値(出力濃度値)は0に維持され、入力信号値がその設定値を越えると出力信号値が立ち上がるような入出力特性となる。
【0026】
光源光量/地肌飛ばし量制御に関連して、原稿読取部100に原稿の透過率(又は原稿の紙厚)を検出する透過率(又は紙厚)検出手段120を設けることができる。この透過率(又は紙厚)検出手段120より透過率(又は紙厚)を示す検出信号が出力されるが、この検出信号は光源光量/地肌飛ばし量制御部104に入力される。つまり、検出された原稿の透過率(又は紙厚)は光源光量/地肌飛ばし量制御部104へ通知される。また、画像処理部101内に、読み取られた原稿がハイライトの情報を持つ図柄を含む原稿種類であるか否かを原稿画像データに基づいて判定する原稿種類判手段121を設けることができ、この原稿種類判定手段121の判定結果は光源光量/地肌飛ばし量制御部104に通知される。
【0027】
原稿種類判定手段121として、例えばスキャナγ補正前の原稿画像データに基づいて網点(ハーフトーン)領域があるか否かの判定を行う手段を用いることができる。網点領域を判定する方法としては、例えば「文字/絵柄混在画像の像域分離方式」(電子情報通信学会論文誌 Vol.J75−DII,No.1,pp39−47,1992年1月)に記載された網点領域検出方法を用いることができる。この方法による網点領域の検出では、局所領域において網点の頂上と谷底にあたる画素を検出する。具体的には3×3の画素ブロックにおいて、中心画素の濃度のレベルLが周囲のすべての画素の濃度よりも高く、あるいは低く、かつ濃度レベルLと中心画素を挟んで対角線に存在する対画素の濃度レベル(a,b)が、4対とも|2×L−a−b|>TH(固定の閾値)であるとき、中心画素を網点領域画素とする。そして、例えば、このような網点領域画素が一定個数もしくは一定割合を越えて検出される原稿を、ハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類と判定する方法を採用することができる。
【0028】
原稿種類判定方法は上記の方法に限定されるわけではない。例えば、処理量を削減するために原稿の飛び飛びの複数ラインを対象ラインとして設定し、それら対象ラインについて、適当なエッジ検出フィルタ等を用いてエッジ量を検出し、検出したエッジ量に基づいて、原稿にハイライト情報を持つ図柄が含まれているか否かを判定するような簡易な方法を用いることも可能である。
【0029】
原稿の透過率又は紙厚を、ユーザが操作部105を介し光源光量/地肌飛ばし量制御部104に指定することも可能である。透過率の指定は、透過率をいくつかの範囲に区分し、区分した範囲を指定することもできる。例えば、透過率を「大」「中」「小」の3つの範囲に区分し、その範囲を指定する方法をとることができる。紙厚についても同様に、紙厚を例えば、「厚」「並」「薄」というような範囲に区分し、その範囲を指定する方法をとることができる。原稿の紙厚と透過率との間には図3のような相関があるため、原稿の紙厚を指定し、その紙厚を透過率に換算して利用することも可能であり、その逆の換算を行うことも可能である。
【0030】
原稿種類についても、ユーザが操作部105を介して光源光量/地肌飛ばし量制御部104に指定することも可能である。例えば、画質モードとして、「文字」モード、「写真」モード、「文字・写真」モードを指定可能とし、指定された画質モードに適したフィルタをフィルタ処理部111で選択させるような構成の場合、ユーザが「写真」モード又は「文字・写真」モードを指定しときに「ハイライトの情報を持つ図柄を含む原稿種類」が指定されたこととし、ユーザが「文字」モードを指定したときに「ハイライトの情報を持つ図柄を含まない原稿種類」が指定されたこととすることができる。
【0031】
光源光量/地肌飛ばし量制御部104は、原稿照明用光源の光量を調整する「光源光量制御手段」を構成する光量変更判定部130及び光量設定部131と、ハイライトの情報を持つ図柄が含まれる原稿の読み取りに関連して地肌飛ばし処理の地肌飛ばし量を調整する「地肌飛ばし量制御手段」を構成する地肌飛ばし量変更判定部132及び地肌飛ばし量設定部133とから構成される。
【0032】
光源光量制御手段を構成している光量変更判定部130は、検出された又は指定された原稿の透過率又は紙厚に基づいて、原稿読取部100内部の原稿照明用光源の光量をそのデフォルト値(規定値)から変更する必要があるか否かを判定する手段である。光量変更判定部130とともに光源光量制御手段を構成する光量設定部131は、光量変更判定部130によって光量を変更する必要がないと判定された場合には、原稿照明用光源の光量の設定値をデフォルト値のままとするが、光量を変更する必要があると判定された場合には、原稿照明用光源の光量の設定値を、検出された又は指定された原稿の透過率又は紙厚に応じた、デフォルト値と異なった値に変更する手段である。
【0033】
なお、ユーザが操作部105を介し、光量設定値131に対し光源光量の設定値の変更を指示することも可能である。かかる態様も本発明に包含される。
【0034】
「地肌飛ばし量制御手段」は、原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類である場合に、光源光量制御手段によって光源光量がそのデフォルト値と異なった値へ調整されるときに、地肌飛ばし処理によるハイライト情報の欠落を抑えるように、地肌飛ばし量をそのデフォルト値と異なった、原稿の透過率又は紙厚に応じた値へ調整する手段である。
【0035】
地肌飛ばし量制御手段を構成する地肌飛ばし量変更判定部132は、光源光量制御手段により光源光量がそのデフォルト値から変更された時において、原稿種類判定手段121によりハイライト情報を持つ図柄の含まれる原稿種類であると判定されたときに、又は、ユーザにより操作部105を通じてハイライト情報を持つ図柄の含まれる原稿種類であると指定されたときに、プリンタγ補正部114における地肌飛ばし量の設定値をデフォルト値以外の値に変更する必要があると判定し、ハイライト情報を持つ図柄を含まない原稿種類が判定又は指定されたときに地肌飛ばし量の変更が不要であると判定する。
【0036】
地肌飛ばし量変更判定部132とともに地肌飛ばし量制御手段を構成する地肌飛ばし量設定部133は、地肌飛ばし量変更判定部132によって地肌飛ばし量を変更する必要がないと判定された場合には、プリンタγ補正部114における地肌飛ばし量の設定値をそのデフォルト値のままとするが、地肌飛ばし量を変更する必要があると判定された場合には、地肌飛ばし処理による原稿上のハイライト情報の欠落が抑えられるように、地肌飛ばし量の設定値をデフォルト値と異なった、原稿の透過率又は紙厚に応じた値へ変更する。地肌飛ばし量を変更する場合における光源光量の増減と地肌飛ばし量の増減との関係は、基本的には、光源光量を減少させると地肌飛ばし量も減少させるという関係である。
【0037】
なお、地肌飛ばし量設定部133に対し、ユーザが操作部105を通じて、地肌飛ばし量の設定値の増減を指示可能とする態様も本願発明に包含される。
【0038】
図4は、画像処理装置の全体的動作並びに光源光量・地肌飛ばし量制御を説明するためのフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0039】
<ステップS1> 原稿読取部100による原稿読み取りに先だって、原稿読取部100内に設けられた透過率(又は紙厚)検出手段120によって、読み取り対象原稿の透過率(又は紙厚)を検出する。ただし、ユーザにより操作部105を通じ原稿の透過率(又は紙厚)が指定された場合、このステップは省かれる。
【0040】
<ステップS2> 光源光量/地肌飛ばし量制御部104において、光量変更判定部130は、検出された又は指定された原稿の透過率(又は紙厚)に基づいて、照明用光源の光量の設定値をデフォルト値から変更する必要があるか否かを判定する。
【0041】
ここでは例えば、図3に示すように、原稿の紙厚について「厚」「並」「薄」の3つの範囲が設定され、これら各範囲に対応させて原稿の透過率について「小」「中」「大」の3つの範囲が設定されているものとする。そして、透過率の「小」の範囲又は紙厚の「厚」の範囲に対応した光源光量の設定値F1が、透過率の「中」の範囲又は紙厚の「並」の範囲に対応した光源光量の設定値F2が、また、透過率の「大」の範囲又は紙厚の「薄」の範囲に対応した光源光量の設定値F3が、それぞれ決定されている。これらF1,F2,F3の間にはF1>F2>F3の大小関係がある。最大の光源光量F1を光源光量のデフォルト値とする。このデフォルト値は、透過率が「小」の範囲又は紙厚が「厚」の範囲の原稿を想定して定められている。
【0042】
光量変更判定部130は、検出された又は指定された透過率が「小」の範囲(又は紙厚が「厚」の範囲)である場合、光量変更判定部130は光源光量の設定値をデフォルト値F1から変更する必要はないと判定する。検出された又は指定された透過率が「小」の範囲(又は紙厚が「厚」の範囲)でない場合、光量変更判定部130は光源光量の設定値をデフォルト値F1から変更する必要があると判定する。
【0043】
<ステップS3〜S6> 光量変更が必要でないと判定された場合の動作は以下の通りである。
【0044】
光量設定部131は、光源光量の設定値をデフォルト値F1のままとする(ステップS3)。したがって、原稿読取部100において、照明光源の光量がデフォルト値F1に制御された状態で、原稿の読み取りが実行されて原稿画像データが画像処理部101に入力され、この原稿画像データに対する画像処理の前半部分(スキャナγ補正部110から色変換部112までの処理)が実行される(ステップS4)。色変換部112によって変換後のCMYK画像データは画像記憶部113に一時的に記憶される。
【0045】
地肌飛ばし量設定部133は、プリンタγ補正部114の地肌飛ばし量の設定値をデフォルト値のままとする(ステップS5)。ここでは、図2に示すTmaxを地肌飛ばし量のデフォルト値とする。ただし、C,M,Y,K信号毎に、地肌飛ばし量は設定され、そのデフォルト値も決定される。このように、光源光量の設定値がデフォルト値のときには、原稿種別に関係なく、地肌飛ばし量の設定値もデフォルト値のままとされる。
【0046】
プリンタ部102の動作と同期をとって、画像記憶部113よりCMYK画像データが読み出され、そのC,M,Y,K各信号にプリンタγ補正部114による処理(γ補正処理及び地肌飛ばし処理)を施された後、中間調処理部115でディザ処理や誤差拡散処理などの中間調処理を施される。中間調処理後のC,M,Y,K各信号は、プリンタ部102の内部のC,M,Y,K各版の作像ステーションの書き込み部へ各版記録信号として出力される(ステップS6)。
【0047】
<ステップS7〜S12> 光量変更が必要であると判定された場合の動作は以下の通りである。
【0048】
光量設定部131は、光源光量の設定値をデフォルト値F1から原稿の透過率又は紙厚に応じた値へ変更する(ステップS7)。ここでは、検出された又は指定された原稿の透過率が「中」(又は紙厚が「並」)の場合には、該透過率(又は紙厚)に対応して予め決められた値F2に光量設定値が変更され、また、検出された又は指定された原稿の透過率が「大」(又は紙厚が「薄」)の場合には、該透過率(又は紙厚)に対応して予め決められた値F3に光量設定値が変更される。そして、F1>F2>F3の関係があることは前述した通りである。つまり、光量の設定値をデフォルト値F1から変更する場合とは、原稿の透過率が「中」か「大」(又は紙厚が「並」か「薄」)であって、透過率が「小」(又は紙厚が「厚」)の場合より裏文字が透けやすい条件であるため、図11に関連して説明したように、裏写り除去効果を高めるよう光量の設定値をデフォルト値F1より小さな値F2又はF2に変更するわけである。
【0049】
なお、「中」から「大」までの範囲の透過率(「並」から「薄」までの範囲の紙厚)に応じた値として、光量の設定値をデフォルト値F1より小さな一つの値を定めることも可能であり、このような態様も本発明に包含される。
【0050】
原稿読取部100において、原稿照明用光源をデフォルト値F1より小さな光量設定値(F2又はF3)に対応した光量で点灯させた状態で、原稿の読み取りが実行されて原稿画像データが画像処理部101に入力され、この原稿画像データに対し画像処理の前半処理(スキャナγ補正部110から色変換部112までの処理)が実行される(ステップS8)。色変換部113によって変換後のCMYK画像データは画像記憶部113に一時的に記憶される。この原稿読み取り中に、原稿種類判定手段121による原稿種類判定が行われる。
【0051】
地肌飛ばし量変更判定部132は、原稿種類判定手段121によりハイライト情報を持つ図柄が含まれる原稿種類であると判定された場合、あるいは、ユーザにより操作部105を通じて、そのような原稿種類の指定(例えば前述したような「写真」又は「文字・写真」の画質モードの指定)が行われた場合に、地肌飛ばし量の変更が必要であると判定し、そうでない場合には変更不要と判定する(ステップS9)。
【0052】
地肌飛ばし量の変更が不要と判定された場合、地肌飛ばし量設定部133はプリンタγ補正部114の地肌飛ばし量の設定値をデフォルト値のままとする(ステップS10)。ここでは、前述のように、図2に示すTmaxをデフォルト値とする。ただし、C,M,Y,K信号毎に、地肌飛ばし量は設定され、そのデフォルト値が決定される。
【0053】
一方、地肌飛ばし量の変更が必要であると判定された場合、地肌飛ばし量の設定値がデフォルト値のままでは、地肌飛ばし処理によって、裏写りを確実に除去することができるものの、原稿上のハイライトの情報の欠落により階調性が損なわれるという問題が起こる。そこで、地肌飛ばし量設定部133で、地肌飛ばし量の設定値を原稿の透過率又は紙厚に応じた、デフォルト値より小さな値に変更する(ステップS11)。こうすることにより、ハイライト情報の欠落を抑えて図柄のハイライト部分の階調性を良好に保つことができる。
【0054】
例えば、原稿の透過率が「大」(又は紙厚が「薄」)の場合に、地肌飛ばし量の設定値を図2に示すTmaxからTminへと変更し、原稿の透過率が「中」(又は紙厚が「並」)の場合に、地肌飛ばし量の設定値を図2に示すTmaxとTminの間の中間的な値へと変更するようにすることができる。なお、Tmax,TminはC,M,Y,K信号毎に決定される。
【0055】
プリンタ部102の動作と同期をとって、画像記憶部113よりCMYK画像データが読み出され、そのCMYK各信号に対しプリンタγ補正部114による処理(γ補正処理及び地肌飛ばし処理)を施された後、中間調処理部115でディザ処理や誤差拡散処理などの中間調処理を施される。中間調処理後のC,M,Y,K各信号は、プリンタ部102の内部のC,M,Y,K各版の作像ステーションの書き込み部へ各版記録信号として出力される(ステップS12)。
【0056】
なお、原稿読取部100で、透過率もしくは紙厚が同一でかつ原稿種類が同一の複数枚の原稿の連続的な読み取りを行うような場合に、1枚目の原稿に対してのみ図4に示すような判定(ステップS2,S9)を行って光源光量及び地肌飛ばし量を設定し、その設定を2枚目以降の各原稿にも適用するような制御方法を採用することも可能である。
【0057】
地肌飛ばし量の変更を行うか否かの判定にユーザを介入させることも可能である。ユーザの介入を可能にする場合、図4中のステップS9を例えば図5に示すような処理手順に変更することができる。すなわち、地肌飛ばし量変更判定部132で、原稿種類判手段121により判定された原稿種類が「図柄の含まれる原稿種類」であるか否かがチェックされる(ステップS21)。原稿種類判定結果が「図柄の含まれる原稿種類」でないときには、地肌飛ばし量の変更は不要と判定される。
【0058】
原稿種類判定結果が「図柄の含まれる原稿種類」であるときには、ユーザの介入を求める。すなわち、システム制御部106の制御により、例えば図6のような確認画面が操作部106のタッチパネル140に表示され(ステップS22)、ユーザからの指示待ちとなる(ステップS23)。ユーザは、地肌飛ばし量調整(ハイライトの調整)を行わせたいときは画面の「YES」ボタンにタッチし(YES指示)、地肌飛ばし量調整を行わせたくないときは「NO」ボタンにタッチする(NO指示)。YES指示又はNO指示はシステム制御部106から地肌飛ばし量変更判定部132へ通知される。地肌飛ばし量変更判定部132は、ユーザ指示がYES指示であるならば地肌飛ばし量の変更が必要と判定し、ユーザ指示がNO指示ならば地肌飛ばし量の変更は不要と判定する(ステップS24)。
【0059】
なお、前述のような画質モードの指定によりユーザが原稿種類を指定する場合も同様なユーザの介入を可能とすることができる。この場合、図5中のステップS21で、例えば画質モードが「写真」又は「文字・写真」モードであるときに判定結果をYESとし、「文字」モードであるときに判定結果をNOとすることになる。
【0060】
また、地肌飛ばし量の調整に、ユーザの意向を反映できるようにすることも可能である。この場合、図4のステップS11を例えば図7に示すような処理手順に変更することができる。
【0061】
すなわち、システム制御部106の制御により、例えば図8に示すような画面が操作部105のタッチパネル140に表示され(ステップS31)、ユーザからの入力待ちとなる(ステップS32)。
【0062】
図8において、「1」ボタン、「2」ボタン、「3」ボタン、「4」ボタン、「5」ボタンは地肌飛ばし量の設定値の指定に利用される値指定ボタンである。これら値指定ボタンと地肌飛ばし量の設定値との対応関係の例を挙げれば、「1」ボタンは図2に示す地肌飛ばし量の最大の設定値(デフォルト値)Tmaxに対応し、「5」ボタンは地肌飛ばし量の最小の設定値Tminに対応し、「2」〜「4」ボタンはTminとTmaxの間に割り振られた3つの設定値T2,T3,T4(ただし、Tmax>T2>T3>T4>Tmin)にそれぞれ対応する。地肌飛ばし量設定部133で前述したように原稿の透過率又は紙厚に基づいて決定した地肌飛ばし量の設定値が、例えば図2中のTmaxとTminの中間値T3であったとすると、操作部105のタッチパネル140上において、「3」ボタンの直下に「△」マークが表示され、また、「推奨値」として「3」が表示される。「確定」ボタンは、ユーザが地肌飛ばし量の設定値を確定するためにタッチするボタンである。
【0063】
ユーザは、表示された「推奨値」のままでよいと判断した場合は、直ちに「確定」ボタンにタッチすることにより地肌飛ばし量の設定を確定することができる。
【0064】
ユーザは、値指定ボタンにタッチすることにより、地肌飛ばし量の設定値を透過率又は紙厚に基づいて自動的に決定された「推奨値」から変更することができる。この例で、「2」ボタンにタッチすることにより、図2のTminとTmaxの中間値T3から当該中間値とTmaxとの中間の値T2へと地肌飛ばし量の設定値を増加させることができる(同時に「△」マークは「2」ボタンの直下に移動する)。逆に「4」ボタンにタッチすることにより、図2のTminとTmaxの中間値から当該中間値とTminとの中間の値T4へと地肌飛ばし量の設定値を減少させることができる(「△」マークは「4」ボタンの直下に移動する)。「1」ボタン又は「5」ボタンにタッチすることにより、図2のTmax又はTminへと地肌飛ばし量の設定値を変更することができる(「△」マークは「1」ボタン又は「5」ボタンの直下に移動する)。
【0065】
さて、入力待ち状態で値指定ボタンにユーザがタッチした場合(ステップS33,値指定)、システム制御部106は、上述のようにタッチされた値指定ボタンの直下に「△」マークを移動させるようにタッチパネル140の表示を更新し(ステップS34)、再び入力待ち(ステップS32)となる。
【0066】
ユーザが「確定」ボタンにタッチすると、システム制御部106から確定指示が出され、これに応答して地肌飛ばし量設定部133は、地肌飛ばし量の設定値を「△」マークの真上の値指定ボタンに対応した値に決定する(ステップS35)。
【0067】
図2から容易に理解されるように、地肌飛ばし量の設定値を大きくすると、地肌飛ばし処理による裏写り防止効果は高くなるが、その反面、原稿上のハイライトの情報の欠落が増加し地肌飛ばし処理後の画像は飛び気味になる。逆に、地肌飛ばし量の設定値を減少させると、ハイライトの情報の欠落は発生しにくくなる(ただし、裏写りの抑止は不十分になりやすい)。このように、地肌飛ばし量の増減は、原稿画像のハイライト情報の再現性に関係する。このようなことから、図6と図8において「ハイライト」という表現が用いられているが、それに代えて「地肌飛ばし量」と表現してもよい。
【0068】
図9は、原稿読取部100の具体的構成の一例を説明するための模式的断面図である。ここに示す原稿読取部100は、スキャナユニット200と、それに装着された自動原稿供給装置(ADF)230とから構成される。
【0069】
スキャナユニット200において、231は原稿が載置されるコンタクトガラスであり、232は原稿照明用光源としての照明ランプである。この照明ランプ232の駆動回路(不図示)は、光量設定部131で設定された光源光量の設定値に対応した光量で照明ランプ232を点灯させる。
【0070】
コンタクトガラス231上に置かれた原稿を読み取るものとして説明する。照明ランプ232により原稿が照明され、原稿の反射光像が第1ミラー233で副走査方向yと逆向き方向(図中、左方向)へ反射される。照明ランプ232および第1ミラー233は、原稿読み取り時に副走査方向y(図中、右方向)に定速駆動される不図示の第1キャリッジに搭載されている。原稿読み取り時に、第1キャリッジと同方向に半分の速度で定速駆動される不図示の第2キャリッジに、第2ミラー234と第3ミラー235が搭載されている。第1ミラー233で反射された反射光像は第2ミラー234で下方向(z)へ反射され、さらに第3ミラー235で副走査方向yへ反射され、レンズ236により集束されて撮像素子(CCD)207に入射し、電気信号に変換される。238は第1および第2キャリッジの駆動用モータである。
【0071】
読み取りガラス240と原稿始端位置決め用スケール251との間に、白基準板239と、第1キャリッジを検出するための基点センサ249とが配設されている。白基準板239はシェーディング補正のために利用される。CCD207より出力される画像信号に対し、シェーディング補正処理などを施すための不図示の画像信号回路があり、この画像信号回路の出力データが画像処理部101に入力される原稿画像データである。
【0072】
次にADF230について説明する。ADF230において、原稿トレイ241に積載された原稿は、ピックアップローラ242とレジストローラ対243とにより搬送ドラム244と押さえローラ245の間に1枚ずつ送り込まれる。搬送ドラム244は図中反時計方向に回転し、送り込まれた原稿は搬送ドラム244に密着した状態で読み取りガラス240の上を通過し、そして排紙ローラ246,247A,247Bによって原稿トレイ241の下方の排紙トレイ248上へ排出される。
【0073】
ADF230により供給される原稿を読み取る場合、照明ランプ230は読み取りガラス240の直下に移動しており、読み取りガラス240を通過する原稿を照明する。原稿の反射光像は、ミラー233,234,235、レンズ236を介してCCD207に入射し、電気信号に変換される。
【0074】
さて、透過率(又は紙厚)検出手段120は、例えば、ADF230のピックアップローラ242からレジストローラ対243に移動する原稿の透過率(又は紙厚)を検出するような構成とすることができる。そのような透過率(又は紙厚)検出手段の例を図10に模式的に示す。
【0075】
図10に示す透過率(又は紙厚)検出手段120は、検出ヘッド300と透過率(又は紙厚)検出回路303とから構成される。検出ヘッド300は、光源としてのレーザダイオード301と、受光素子としてのフォトトランジスタ302とを対向させてなり、ピックアップローラ242からレジストローラ対243へと移動途中の原稿304がレーザダイオード301とフォトトランジスタ302の間の光路を横切るような位置関係で配設される。
【0076】
透過率(又は紙厚)検出回路303は、ADF230による原稿の送り込み動作とタイミングを調整してレーザダイオード301及びフォトトランジスタ302に通電する。レーザダイオード301とフォトトランジスタ302の間の光路中に原稿が無い状態(紙厚=0)では、レーザダイオード301より出射したレーザ光は原稿で遮られることなくフォトトランジスタ302に入射するので、フォトトランジスタ302の受光量は最大となる。原稿がレーザダイオード301とフォトトランジスタ302の間の光路中に進入するとフォトトランジスタ302の受光量が下がるが、原稿の透過率が小さいほど(紙厚が大きいほど)、その受光量の低下は大きい。透過率(又は紙厚)検出回路303は、レーザダイオード301とフォトトランジスタ302の間の光路を原稿の余白部が通過するタイミングでフォトトランジスタ302の電流値を保持し、フォトトランジスタ302の受光量に比例する、すなわち原稿の透過率に比例する(又は原稿の紙厚に反比例する)検出信号を出力する。
【0077】
なお、透過率(又は紙厚)検出手段120は上記構成のものに限定されない。また、その検出位置も、原稿の読み取り前に検出できる位置であれば上記例に限定されない。
【0078】
コンタクトガラス231上に載置された原稿に対する透過率(又は紙厚)検出手段120を設けることも可能である。そのような透過率(又は紙厚)検出手段は、例えば、コンタクトガラス231上に載置された原稿を抑える圧板248の適所に、フォトトランジスタなどの受光素子を配設し、その位置で照明ランプ232を点灯させ、原稿を透過した光を受光素子で受光し、その受光量に比例した検出信号を検出回路より出力させるような構成とすることができる。
【0079】
このようなコンタクトガラス231上に載置された原稿に対する透過率(又は紙厚)検出手段120が備えられているならば、コンタクトガラス231上の原稿の読み取り時においても、ADF230で原稿を供給して読み取る場合と同様の光源光量制御及び地肌飛ばし量制御を行うことが可能である。そのような透過率(又は紙厚)検出手段120を備えていない場合、コンタクトガラス231上の原稿の透過率(又は紙厚)をユーザが操作部105を通じて予め指定することにより、同様の光源光量制御及び地肌飛ばし量制御が可能である。
【0080】
以上説明した実施形態に係る画像処理装置においては、画像処理部101内のプリンタγ補正部114でγ補正とともに地肌飛ばし処理が行われる。しかし、地肌飛ばし処理は他の処理から独立して行われてもよい。例えば、C,M,Y,K各信号に対し、地肌飛ばし量の設定値以下の濃度値を0へと変換する地肌飛ばし処理手段を別に設け、この地肌飛ばし処理手段によって処理後のC,M,Y,K各信号をプリンタγ補正手段に入力するような構成とすることもできる。
【0081】
なお、前記実施形態における光源光量・地肌飛ばし量制御についての説明は、本発明の制御方法の手順説明でもある。例えば図4において、ステップS2,S7の手順は光源光量制御工程に対応し、ステップS9,S11の手順は地肌飛ばし量制御工程に対応する。
【符号の説明】
【0082】
100 原稿読取部
101 画像処理部
102 プリンタ部
104 光源光量/地肌飛ばし量制御部
105 操作部
106 システム制御部
110 スキャナγ補正部
111 フィルタ処理部
112 色変換部
113 画像記憶部
114 プリンタγ補正部(地肌飛ばし処理手段)
115 中間調処理部
120 透過率(又は紙厚)検出手段
121 原稿種類判定手段
130 光量変更判定部
131 光量設定部
132 地肌飛ばし量変更判定部
133 地肌飛ばし量設定部
140 タッチパネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2004−320472号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明用光源により照明された原稿の反射光像を読み取って原稿画像データを入力する原稿読取手段と、
前記原稿読取手段より入力された原稿画像データに対し、地肌飛ばし量として設定された値以下の濃度値を0へと変換する地肌飛ばし処理を少なくとも施す画像処理手段とを備える画像処理装置であって、
前記原稿の透過率又は紙厚に応じて前記照明用光源の光量を調整する光源光量制御手段と、
前記原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類である場合、前記光源光量制御手段によって前記照明用光源の光量がそのデフォルト値と異なった値へと調整されるときに、前記地肌飛ばし量をそのデフォルト値と異なった、前記原稿の透過率又は紙厚に応じた値へと調整する地肌飛ばし量制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類であるか否かを前記原稿画像データに基づいて判定する原稿種類判定手段を有し、
前記原稿種類判定手段による原稿種類の判定結果が前記地肌飛ばし量制御手段に通知されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類であるか否かをユーザが指定するための手段を有し、
前記ユーザによる原稿種類の指定が前記地肌飛ばし量制御手段に通知されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記原稿読取手段において前記原稿の透過率又は紙厚を検出する検出手段を有し、
前記検出手段により検出された前記原稿の透過率又は紙厚が前記光源光量制御手段及び前記地肌飛ばし量制御手段に通知されることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記光源光量制御手段及び前記地肌飛ばし量制御手段に対し、前記原稿の透過率又は紙厚をユーザが指定するための手段を有することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
照明用光源により照明された原稿の反射光像を読み取って原稿画像データを入力する原稿読取手段と、前記原稿読取手段より入力された原稿画像データに対し、地肌飛ばし量として設定された値以下の濃度値を0へと変換する地肌飛ばし処理を少なくとも施す画像処理手段とを備える画像処理装置の制御方法であって、
前記原稿の透過率又は紙厚に応じて前記照明用光源の光量を調整する光源光量制御工程と、
前記原稿がハイライト情報を持つ図柄を含む原稿種類である場合に、前記光源光量制御工程によって前記照明用光源の光量がそのデフォルト値と異なった値へと調整されるときに、前記地肌飛ばし量をそのデフォルト値と異なった、前記原稿の透過率又は紙厚に応じた値へと調整する地肌飛ばし量制御工程とを有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−21626(P2013−21626A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155381(P2011−155381)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】