画像処理装置及びそれを備えたX線異物検出装置並びに画像処理方法
【課題】従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置及びそれを備えたX線異物検出装置並びに画像処理方法を提供すること。
【解決手段】画像処理装置5は、画像を復元する画像復元手段52を備え、画像復元手段52は、関数近似PSFを生成するPSF生成手段522、関数近似PSFに基づいて画像復元処理を行うデコンボリューション手段523、エッジ保存平滑化処理を行うエッジ保存平滑化手段524を備え、エッジ保存平滑化手段524は、画像復元処理後に、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524bを備え、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施する構成を有する。
【解決手段】画像処理装置5は、画像を復元する画像復元手段52を備え、画像復元手段52は、関数近似PSFを生成するPSF生成手段522、関数近似PSFに基づいて画像復元処理を行うデコンボリューション手段523、エッジ保存平滑化処理を行うエッジ保存平滑化手段524を備え、エッジ保存平滑化手段524は、画像復元処理後に、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524bを備え、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施する構成を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばX線画像を処理する画像処理装置、及びX線画像に基づいて混入異物の有無を検出するX線異物検出装置、並びに画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線画像を処理する装置として、点像分布関数(Point Spread Function:PSF)を画像復元パラメータとして復元処理することにより、被写体画像の輪郭が不明瞭となる現象(以下「画像ボケ」という)を抑制して画像復元を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたものは、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)処理した画像データをFFT処理したPSFで除算し、その演算結果を逆FFT処理する手法によってデコンボリューション(逆畳み込み積分)演算を行って復元画像を生成するようになっている。
【特許文献1】特開2008−73318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のものでは、FFT処理後のデコンボリューション演算による画像ボケ復元処理において高周波ノイズが発生するという副作用があることが知られている。この高周波ノイズは、例えばウィーナフィルタ(wiener filter)を使用することによって抑制できるが、ウィーナフィルタを使用すると、そのローパスフィルタ効果によりボケ画像復元効果も抑制されてしまい、被測定物に混入した微小異物を検出することができないという課題があった。
【0005】
具体的に図12を用いて説明する。図12(a)は、2つの円内に微小異物が存在する被測定物の原画像の濃度を3D表示している。この原画像は、微小異物を示す信号がポアソンノイズに埋もれた様子を示している。また、図12(b)は、原画像に対し、ウィーナフィルタを使用して画像復元処理を行った復元画像を示している。図12(b)に示すように、ウィーナフィルタによる画像復元処理では微小異物を検出することができないことがわかる。
【0006】
また、従来のものでは、X線の散乱による画像ボケ(以下「散乱ボケ」という。)が発生して微小異物を示す信号がポアソンノイズに埋もれてしまい、X線検出器の分解能を単に向上させるだけでは微小異物が検出できないという課題があった。
【0007】
また、X線画像に対して画像復元の反復計算を行う反復法も知られているが、この方法によって十分な画質を得るためには、反復計算を行うための処理時間を多く要するので、リアルタイム処理が必要なX線異物検出装置には採用できないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置及びそれを備えたX線異物検出装置並びに画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力手段と、前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成手段と、前記被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する復元画像生成手段と、前記エッジ情報を保存した状態で前記復元画像からノイズを除去するエッジ保存平滑化手段とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の請求項1に係る画像処理装置は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行う。
【0011】
本発明の請求項2に係る画像処理装置は、前記エッジ保存平滑化手段が、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化部を備え、前記第1のエッジ保存平滑化部は、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部に出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部に出力するものであり、前記第2のエッジ保存平滑化部は、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化部が出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化部からの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力するものであり、前記エッジ保存平滑化手段は、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものである構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明の請求項2に係る画像処理装置は、第1のエッジ保存平滑化処理において平滑化されなかったエッジ部分についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行う。
【0013】
本発明の請求項3に係る画像処理装置は、前記エッジ保存平滑化手段は、バイラテラルフィルタによってエッジ保存平滑処理を複数回行うエッジ保存平滑化部を備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の請求項3に係る画像処理装置は、デコンボリューション演算による画像復元処理後にエッジ保存平滑化処理を複数回行う。
【0015】
本発明の請求項4に係る画像処理装置は、被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力手段と、前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成手段と、前記エッジ情報を保存した状態でノイズを除去する第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化部を有するエッジ保存平滑化手段と、前記エッジ保存平滑化手段が出力する画像データに係る画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する復元画像生成手段とを備え、前記第1のエッジ保存平滑化部は、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部に出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部に出力するものであり、前記第2のエッジ保存平滑化部は、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化部が出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化部からの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力するものであり、前記エッジ保存平滑化手段は、前記画像復元処理を挟んで、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものである構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の請求項4に係る画像処理装置は、第1のエッジ保存平滑化処理をした後、デコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し、その後、第2のエッジ保存平滑化処理を行う。
【0017】
本発明の請求項5に係る画像処理装置は、前記バイラテラルフィルタが、注目画素と近隣画素との距離に基づいたパラメータで定めたスーパーガウシアン関数と、前記注目画素と前記近隣画素との濃度差に基づいたパラメータで定めたサブガウシアン関数とに基づいて重み付けが設定された双加重移動平均フィルタである構成を有している。
【0018】
この構成により、本発明の請求項5に係る画像処理装置は、バイラテラルフィルタを双加重移動平均フィルタとしてエッジ保存平滑化処理を行う。
【0019】
本発明の請求項6に係る画像処理装置は、前記ガウシアン関数は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数を含み、前記関数近似点像分布関数生成手段は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数のいずれか1つを前記パラメータによって定めて前記関数近似点像分布関数を生成するものである構成を有している。
【0020】
この構成により、本発明の請求項6に係る画像処理装置は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数のうちのいずれか1つの関数をパラメータによって定めて関数近似点像分布関数を生成する。
【0021】
本発明の請求項7に係るX線異物検出装置は、画像処理装置と、X線を前記被測定物に照射するX線源と、前記被測定物を透過したX線を検出して検出情報を前記画像処理装置に出力するX線検出手段とを備え、前記画像処理装置は、前記検出情報に基づいて前記被測定物に含まれる異物を検出する異物検出手段を備えた構成を有している。
【0022】
この構成により、本発明の請求項7に係るX線異物検出装置は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行う画像処理装置を備え、被測定物に含まれる異物を検出する。
【0023】
本発明の請求項8に係る画像処理方法は、被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力ステップと、前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成ステップと、前記被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する画像復元ステップと、前記エッジ情報を保存した状態で前記復元画像からノイズを除去するエッジ保存平滑化ステップとを含む構成を有している。
【0024】
この構成により、本発明の請求項8に係る画像処理方法は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行う。
【0025】
本発明の請求項9に係る画像処理方法は、前記エッジ保存平滑化ステップは、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化ステップを含み、前記第1のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記第2のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化ステップからの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力し、前記エッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施する構成を有している。
【0026】
この構成により、本発明の請求項9に係る画像処理方法は、第1のエッジ保存平滑化処理において平滑化されなかったエッジ部分についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行う。
【0027】
本発明の請求項10に係る画像処理方法は、前記エッジ保存平滑化ステップは、バイラテラルフィルタによってエッジ保存平滑処理を複数回行うエッジ保存平滑化ステップを含む構成を有している。
【0028】
この構成により、本発明の請求項10に係る画像処理方法は、エッジ保存平滑化処理を複数回行う。
【0029】
本発明の請求項11に係る画像処理方法は、被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力ステップと、前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成ステップと、前記エッジ情報を保存した状態でノイズを除去する第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化ステップを有するエッジ保存平滑化ステップと、前記エッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する画像復元ステップとを含み、前記第1のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記第2のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化ステップからの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力し、前記エッジ保存平滑化ステップにおいて、前記画像復元ステップを挟んで、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施する構成を有している。
【0030】
この構成により、本発明の請求項11に係る画像処理方法は、第1のエッジ保存平滑化処理をした後、デコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し、その後、第2のエッジ保存平滑化処理を行う。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0032】
本発明の請求項2に係る画像処理装置は、第1のエッジ保存平滑化処理において平滑化されなかったエッジ部分についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0033】
本発明の請求項3に係る画像処理装置は、デコンボリューション演算による画像復元処理後にエッジ保存平滑化処理を複数回行うことにより、従来のものよりも格段に高精細な画像を高速に取得することができる。
【0034】
本発明の請求項4に係る画像処理装置は、第1のエッジ保存平滑化処理をした後、デコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し、その後、第2のエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0035】
本発明の請求項5に係る画像処理装置は、バイラテラルフィルタを双加重移動平均フィルタとしてエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0036】
本発明の請求項6に係る画像処理装置は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数のうちのいずれか1つの関数をパラメータによって定めて関数近似点像分布関数を生成することにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0037】
本発明の請求項7に係るX線異物検出装置は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行う画像処理装置を備え、被測定物に含まれる異物を検出することにより、散乱ボケが発生してポアソンノイズに埋もれ、従来のものでは検出できなかった微小異物もリアルタイムに検出することができる。
【0038】
本発明の請求項8に係る画像処理方法は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0039】
本発明の請求項9に係る画像処理方法は、第1のエッジ保存平滑化処理において平滑化されなかったエッジ部分についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0040】
本発明の請求項10に係る画像処理方法は、エッジ保存平滑化処理を複数回行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0041】
本発明の請求項11に係る画像処理方法は、第1のエッジ保存平滑化処理をした後、デコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し、その後、第2のエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0043】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態におけるX線異物検出装置の構成について説明する。
【0044】
図1に示すように、本実施形態におけるX線異物検出装置10は、X線を照射するX線源1と、X線が照射される被測定物2と、被測定物2を搬送する搬送手段3と、被測定物2及び搬送手段3を透過したX線を検出するX線検出器4と、画像処理を行う画像処理装置5と、検査情報を入力する検査情報入力手段6と、画像を表示する画像表示手段7とを備えている。
【0045】
X線源1は、例えば陰極フィラメントからの熱電子をその陰極と陽極との間の高電圧により陽極ターゲットに衝突させてX線を発生させるX線管を有しており、発生したX線を下方のX線検出器4に向けて不図示のスリットにより搬送手段3の幅員方向(搬送方向と直交する方向)に広がる扇形のビームに整形して照射するようになっている。すなわち、X線源1は、X線検出器4と共にいわゆるX線ファンビーム光学系を構成している。
【0046】
被測定物2は、例えば食品や医薬品等であって、含有する微小異物の検出対象となるものである。なお、図1においては、便宜上被測定物2を個体として示しているが、被測定物2は、粒状体、フレーク、粉体等を含むばら状又は粉状のものであってもよい。
【0047】
搬送手段3は、例えばベルトコンベアで構成され、被測定物2をその品種に対応する所定の一定搬送速度で搬送するとともに、その搬送途中で被測定物2をX線源1とX線検出器4との間に通すようになっている。X線源1から照射されたX線は、被測定物2による吸収とベルトコンベアによる僅かな吸収とを受けてこれらを透過した後、X線検出器4に到達する。
【0048】
X線検出器4は、搬送手段3の幅員方向に隣り合う複数の透過領域のそれぞれについて、被測定物2を透過したX線を検出し各透過領域における所定時間毎の累積透過量のデータを検出情報として出力するようになっている。このX線検出器4は、詳細を図示しないが、例えばX線ラインセンサで構成されている。このX線ラインセンサは、検出素子を搬送手段3の幅員方向にアレイ状に所定ピッチで配設した公知のもので、所定解像度でのX線検出を行うことができるものである。
【0049】
前述のX線源1、搬送手段3及びX線検出器4は、それぞれ所定のタイミングで動作するよう図示しない制御装置によって制御されるようになっている。この制御装置は、例えばCPU、ROM、RAM及びI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータを含んで構成されており、ROMに格納された所定のプログラムに従って搬送及びX線の照射・検出制御を実行するためのプログラム等を有している。
【0050】
画像処理装置5は、画像データを入力する画像入力手段51と、画像を復元する画像復元手段52と、異物を検出する異物検出手段53と、異物か否かを判定する異物判定手段54とを備えている。画像処理装置5は、前述の制御装置と同様な構成になっており、微小異物を検出するための画像処理プログラムをマイクロコンピュータが実行するようになっている。
【0051】
画像入力手段51は、X線検出器4の複数の検出素子からのX線検出信号をそれぞれA/D変換するとともに、それら検出素子の配設ピッチに対応する所定の単位搬送時間毎に、搬送路幅員方向の全n(nは正の整数、例えば640)個の透過領域について、その単位時間内の累積の透過X線量(以下「透過量」という)のデータを、例えば0から1023までの階調を表す透過量レベルのライン検出情報として外部に出力することができ、そのためのA/D変換器やメモリ等(いずれも図示省略)を有している。なお、画像入力手段51は、各被測定物2に対してライン走査がなされるとき画像入力手段51のメモリに書き込まれた透過量データに対応して、被測定物2が無くX線透過量の値が最大で被測定物2によるX線吸収量がゼロとなるときに最小濃度値となり、X線透過量の値が最小で被測定物2によるX線吸収量が最大となるときに最大濃度値となるように、すなわち対数変換を用いて等価厚データに変換したX線画像を出力するようになっている。なお、画像入力手段51は、本発明に係る画像データ入力手段を構成する。
【0052】
画像復元手段52は、パラメータ設定手段521、PSF生成手段522、デコンボリューション手段523、エッジ保存平滑化手段524を備え、画像入力手段51から入力するX線画像(以下「被測定物画像」という。)のデータに対し、カーネルサイズN(N×N画素)のカーネルを用いる局所処理を含む画像復元処理を行うようになっている。
【0053】
パラメータ設定手段521は、例えば、キーボードやマウス等の入力デバイス、パラメータのデータを記憶するメモリ等を備えている。このパラメータは、エッジ保存平滑化パラメータ、例えばカーネル内において画素濃度値を求める対象としている画素(以下「注目画素」という。)を中心に濃度及び距離に応じて近隣画素の画素値を重み付けするためのパラメータ(後述)等を設定するものであって、関数近似PSF(後述)を設定するためのカーネルサイズN、標準偏差σ、指数γを含む。これらのパラメータのデータは、異物検出の工程を実施する前に、検出対象である微小異物の標準試験片を被測定物2に含有させ、微小異物の標準試験片が最も鮮明に撮像された際のデータを採用したものである。標準試験片としては、例えば直径が0.2mm〜2mm程度の金属球を用いるのが好ましい。また、パラメータのデータは、X線源1が照射するX線エネルギ値、X線検出器4の素子サイズ、X線検出器4の種類、被測定物の種類等に応じて設定するのが好ましい。また、パラメータのデータは、微小異物の種類や大きさを考慮して定めるのが好ましい。
【0054】
PSF生成手段522は、パラメータ設定手段521が設定したパラメータσ、γに基づくパラメトリック関数でPSFを近似した関数近似PSFを生成し、そのデータを、デコンボリューション手段523及びエッジ保存平滑化手段524に出力するようになっている。なお、PSF生成手段522は、本発明に係る関数近似点像分布関数生成手段を構成する。
【0055】
具体的には、PSF生成手段522は、パラメータ設定手段521が設定したσ、γに基づいた関数近似PSFを(1)式により生成する。なお、rは注目画素から所定画素までの距離を示す。
【0056】
PSF(r) ∝ exp{-0.5・(r/σ)γ} (1)
【0057】
ここで、関数近似PSFは、γ=2ならば一般のガウシアン関数、γ>2ならばサブガウシアン関数、γ<2ならばスーパーガウシンアン関数となり、図2に近似モデルの斜視図を示す。図2(a)は、N=11、σ=1.2、γ=2.5(サブガウシアン)として関数近似した関数近似PSFモデル(左図)と、そのアナログイメージでのPSF関数モデル(右図)とを示す。また、図2(b)は、N=11、σ=1.2、γ=1.5(スーパーガウシアン)として関数近似した関数近似PSFモデル(左図)と、そのアナログイメージでのPSF関数モデル(右図)とを示す。ここで、カーネルサイズNは前記関数近似PSFモデルの全体(≠0)を包含する最小サイズとすることが望ましい。図2に示すように、PSFを関数近似してモデル化し、画素値の重み付け計算を簡素化することにより、処理の高速化を図ることができる。
【0058】
図1に戻り、デコンボリューション手段523は、例えば、ウィーナフィルタや逆フィルタ(Inverse Filter)を備え、被測定物画像がガウシアン関数(σ、γ)に基づいたコンボリューション画像とし、関数近似PSFに基づいてデコンボリューション演算により画像復元処理を行って復元画像を生成するようになっている。なお、デコンボリューション手段523は、本発明に係る復元画像生成手段を構成する。
【0059】
エッジ保存平滑化手段524は、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524bを備えている。また、エッジ保存平滑化手段524は、微小異物の標準試験片を被測定物2に含有させて予め取得した第1閾値及び第2閾値の各データを記憶するメモリ(図示省略)を備え、微小異物の標準試験片が最も鮮明に撮像された際の第1閾値及び第2閾値を採用したものを記憶するようになっている。このエッジ保存平滑化手段524は、後述するように、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものである。
【0060】
第1のエッジ保存平滑化部524aは、例えば適応型移動平均フィルタを備え、デコンボリューション手段523から復元画像のデータを入力し、カーネルサイズN'の正方形窓内を均等に重み付けした平均値画像を生成すると共に、正方形窓内の濃度値の標準偏差Sを求めるようになっている。また、第1のエッジ保存平滑化部524aは、第1閾値をAで表すとき、標準偏差S≦第1閾値Aならば平均値画像のデータを出力するようになっている。すなわち、第1のエッジ保存平滑化部524aは、エッジを含まない画像に対しては平均値画像のデータを出力することにより、処理の高速化を図っている。
【0061】
また、第1のエッジ保存平滑化部524aは、標準偏差S>第1閾値Aならば(2)式に示す補正により求めた画像データPを出力するようになっている。(2)式において、Iは被測定物画像の画素濃度、I'は平均値画像の画素濃度を示す。また、rate=(S2−A2)/(S2+A2)である。
【0062】
P=I'+(I-I')×rate (2)
【0063】
第2のエッジ保存平滑化部524bは、例えばバイラテラルフィルタ(Bilateral filter)を備え、第1のエッジ保存平滑化処理後の画像の被測定物画像に対する濃度変化値に基づいて画像データを出力するようになっている。
【0064】
ここで、ガウシアン関数を、中心からの距離rと標準偏差σと指数γとをパラメータとして(3)式に示すように表す。
【0065】
G(r,σ,γ)=(0.4/σ)・exp{-0.5(r/σ)γ} (3)
【0066】
バイラテラルフィルタは、第2閾値をBで表すとき、濃度変化値>第2閾値Bならば、(4)式に示すように、注目画素と近隣画素との距離Δdに対するσ'及びγ'をパラメータとするスーパーガウシンアン関数と、注目画素と近隣画素との濃度差Δiに対するσ''及びγ''をパラメータとするサブガウシアン関数とに基づいて設定された双加重係数Wで重み付けする移動平均フィルタであって、双加重係数Wで重み付けした平均値画像のデータを出力するようになっている。この場合、バイラテラルフィルタは、双加重移動平均フィルタとして機能する。
【0067】
W ∝ exp{-0.5・(Δd/σ')γ'}・exp{-0.5・(Δi/σ'')γ''} (4)
【0068】
具体的には、例えば、カーネルサイズN''の丸窓内をG(Δd,σ',1)で示されるスーパーガウシアン関数と、G(Δi,σ'',4)で示されるサブガウシアン関数とで双加重係数Wが得られる。
【0069】
一方、第2のエッジ保存平滑化部524bは、濃度変化値≦第2閾値Bならば第1のエッジ保存平滑化処理後の画像データをそのまま出力するようになっている。
【0070】
以上のように、第2のエッジ保存平滑化部524bは、第1のエッジ保存平滑化部524aでは平滑化されなかったエッジ部分(濃度変化値>第2閾値B)についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行うものである。
【0071】
異物検出手段53は、画像復元手段52が復元した画像に基づいて被測定物に混入している微小異物を微小ではない異物とともに検出し、異物を示す異物画像データを異物判定手段54に出力するようになっている。
【0072】
異物判定手段54は、異物検出手段53が出力した異物画像データに基づいて被測定物2に混入している微小異物を微小ではない異物とともに判定し、その判定結果を示す信号及び微小異物を含む被測定物2の画像データを画像表示手段7に出力するようになっている。
【0073】
検査情報入力手段6は、例えばキーボードやマウス等を備えた入力デバイスで構成され、被測定物2の品番及び検査条件を指定する設定値や検査アルゴリズム等の情報(以下「検査情報」という。)を画像処理装置5に入力するようになっている。
【0074】
画像表示手段7は、例えば液晶ディスプレイを備え、異物判定手段54の判定結果及び微小異物を含む被測定物2のX線画像を表示するようになっている。
【0075】
次に、本実施形態におけるX線異物検出装置10の動作について図1及び図3を用いて説明する。図3は、本実施形態におけるX線異物検出装置10のフローチャートである。
【0076】
検査情報入力手段6は、検査情報を画像処理装置5に入力し(ステップS1)、画像処理装置5の画像復元手段52は、画像入力手段51から入力する被測定物画像のデータに対し、画像復元処理を実行し(ステップS2)、復元画像のデータを異物検出手段53に出力する。
【0077】
異物検出手段53は、復元画像から被測定物に混入した微小異物を微小ではない異物とともに検出し(ステップS3)、微小異物を含む異物画像データを異物判定手段54に出力する。
【0078】
異物判定手段54は、異物か否かを判定し(ステップS4)、その判定結果を示す信号及び画像データを画像表示手段7に出力する。
【0079】
画像表示手段7は、異物検出の判定結果及び被測定物のX線画像を表示する(ステップS5)。
【0080】
次に、前述のステップS2における画像復元処理について、図1及び図4を用いて詳細に説明する。図4は、本実施形態における画像復元処理を示すフローチャートである。
【0081】
画像復元手段52のパラメータ設定手段521は、パラメータN、σ、γのデータを設定し、PSF生成手段522は、設定されたパラメータのデータで関数近似PSFを生成する(ステップS11)。
【0082】
画像入力手段51は、X線検出器4から被測定物画像のデータを入力し(ステップS12)、デコンボリューション手段523に出力する。
【0083】
デコンボリューション手段523は、被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像としてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し(ステップS13)、復元画像のデータをエッジ保存平滑化手段524の第1のエッジ保存平滑化部524aに出力する。
【0084】
第1のエッジ保存平滑化部524aは、適応型移動平均フィルタにより、復元画像のデータに対し、カーネルサイズN'の正方形窓内を均等に重み付けした平均値画像を生成し(ステップS14)、また、正方形窓内の濃度値の標準偏差Sを求める。
【0085】
また、第1のエッジ保存平滑化部524aは、濃度値の標準偏差Sと第1閾値Aとを比較する(ステップS15)。
【0086】
ステップS15において、第1のエッジ保存平滑化部524aは、濃度値の標準偏差S≦第1閾値Aと判断した場合、平均値画像のデータをそのまま第2のエッジ保存平滑化部524bに出力する(ステップS16)。
【0087】
一方、ステップS15において、第1のエッジ保存平滑化部524aは、濃度値の標準偏差S≦第1閾値Aと判断しなかった場合(標準偏差S>第1閾値Aの場合)、前述の(2)式に示す補正により求めた画像データPを第2のエッジ保存平滑化部524bに出力する(ステップS17)。
【0088】
第2のエッジ保存平滑化部524bは、第1のエッジ保存平滑化処理(ステップS14〜17)により生成された画像の被測定物画像に対する濃度変化値と第2閾値Bとを比較する(ステップS18)。
【0089】
ステップS18において、第2のエッジ保存平滑化部524bは、濃度変化値≦第2閾値Bと判断した場合、第1のエッジ保存平滑化処理により生成された画像のデータをそのまま第1のエッジ保存平滑化部524aに出力する。
【0090】
一方、ステップS18において、第2のエッジ保存平滑化部524bは、濃度変化値≦第2閾値Bと判断しなかった場合(濃度変化値>第2閾値Bの場合)、バイラテラルフィルタによって、前述の(4)式に示す双加重係数Wで重み付けした平均値画像のデータを第1のエッジ保存平滑化部524aに出力する(ステップS19)。
【0091】
第1のエッジ保存平滑化部524aは、前述のステップS14〜S17で行った第1のエッジ保存平滑処理を再度実施し(ステップS20)、第2のエッジ保存平滑化部524bは、前述のステップS18、S19で行った第2のエッジ保存平滑処理を再度実施し(ステップS21、S22)、画像復元手段52は、処理画像のデータを異物検出手段53に出力する(ステップS23)。
【0092】
以上のように、エッジ保存平滑化手段524は、第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524bによって、1回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS14〜S19)と、2回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS20〜S22)とを実行するという特徴を有する。
【0093】
次に、本実施形態の主要なステップにおける処理画像を図5に示す。図5は、図12(a)の2つの円内に微小異物が存在する被測定物の原画像に対応するものである。
【0094】
図5(a)は、ステップS13において、デコンボリューション手段523がデコンボリューション演算による画像復元処理を行って生成した復元画像を示す。図5(a)に示すように、デコンボリューション演算による画像復元処理のみでは、微小異物の検出は困難であることが分かる。
【0095】
図5(b)は、ステップS14〜S19に示した1回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図5(b)に示すように、1回目のエッジ保存平滑化処理によって、図5(a)に示したものより微小異物を示す信号が特徴付けられて現れているが、微小異物の存在場所以外にも類似した信号が現れているので、微小異物の正確な特定は困難であることが分かる。
【0096】
図5(c)は、ステップS20〜S22に示した2回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図5(c)に示すように、2回目のエッジ保存平滑化処理によって、微小異物を示す信号が微小異物の存在場所に明瞭に現れており、微小異物を容易に検出することができることが分かる。
【0097】
なお、前述した動作ステップをプログラミングして記憶媒体に記憶し、例えばマイクロコンピュータにプログラムを読み取らせて実行させることにより、マイクロコンピュータを画像処理装置5やX線異物検出装置10として機能させることができる。
【0098】
以上のように、本実施形態における画像処理装置5によれば、画像復元処理を行うデコンボリューション手段523の後段に、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524bを有するエッジ保存平滑化手段524を備え、エッジ保存平滑化手段524が、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施する構成としたので、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0099】
また、本実施形態におけるX線異物検出装置10によれば、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置5を備える構成としたので、散乱ボケが発生してポアソンノイズに埋もれ、従来のものでは検出できなかった微小異物もリアルタイムに検出することができる。
【0100】
(第2の実施形態)
まず、本発明の第2の実施形態における構成について説明する。
【0101】
図6に示すように、本実施形態におけるX線異物検出装置20は、第1の実施形態におけるX線異物検出装置10(図1参照)の画像処理装置5の一部を変更し、画像処理装置8としたものである。したがって、第1の実施形態におけるX線異物検出装置10と同様な構成には同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0102】
本実施形態における画像処理装置8は、画像復元手段81を備え、画像復元手段81は、第1のエッジ保存平滑化手段811、デコンボリューション手段812、第2のエッジ保存平滑化手段813を備えている。エッジ保存平滑化手段811、813は、第1のエッジ保存平滑化部811a、813a及び第2のエッジ保存平滑化部811b、813bを備えている。
【0103】
第1のエッジ保存平滑化部811a、813a及び第2のエッジ保存平滑化部811b、813bは、それぞれ、第1の実施形態における第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524b(図1参照)と同様な構成を有する。
【0104】
次に、画像復元手段81による画像復元処理について、図6及び図7を用いて説明する。図7は、本実施形態における画像復元処理を示すフローチャートであって、第1の実施形態(図4参照)と同様なステップには同一の符号を付し、その動作の説明を省略する。
【0105】
画像復元手段81は、第1のエッジ保存平滑化手段811によって、画像入力手段51から入力した被測定物画像のデータに対し、1回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS31〜S33)を行う。この処理は、第1の実施形態におけるステップS14〜S19の処理と同様である。
【0106】
デコンボリューション手段812は、1回目のエッジ保存平滑化処理がなされた画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像としてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し(ステップS34)、第2のエッジ保存平滑化手段813に出力する。
【0107】
第2のエッジ保存平滑化手段813は、復元画像に対し、2回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS35〜S40)を行う。この処理は、第1の実施形態におけるステップS20〜S22の処理と同様であるが、ステップS36及びS39における閾値が第1の実施形態のものとは異なるものとしている。
【0108】
すなわち、2回目のエッジ保存平滑化処理において、第3のエッジ保存平滑化処理(ステップS35〜S38)のうち、ステップS36において、第1のエッジ保存平滑化部811aは、濃度値の標準偏差S'と第3閾値とを比較している。また、ステップS39において、第3のエッジ保存平滑化処理後の画像の被測定物画像に対する濃度変化と第4閾値とを比較している。ここで、第3閾値及び第4閾値は、第1の実施形態と同様に、微小異物の標準試験片を被測定物2に含有させて予め取得したものであって、微小異物の標準試験片が最も鮮明に撮像されるよう、1回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS31〜S33)に用いる閾値とは異ならせたものである。なお、閾値の設定はこれに限定されず、エッジ保存平滑化処理の1回目と2回目とで同様の閾値を用いる構成としてもよい。
【0109】
次に、本実施形態の主要なステップにおける処理画像を図8に示す。図8は、図12(a)の2つの円内に微小異物が存在する被測定物の原画像に対応するものである。
【0110】
図8(a)は、ステップS31〜S33に示した1回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図8(a)に示すように、1回目のエッジ保存平滑化処理のみでは、微小異物を示す信号がポアソンノイズに埋もれているので、微小異物の検出は困難であることが分かる。
【0111】
図8(b)は、ステップS34において、1回目のエッジ保存平滑化処理後の画像に対し、デコンボリューション手段812がデコンボリューション演算による画像復元処理を行って生成した復元画像を示す。図8(b)に示すように、デコンボリューション演算による画像復元処理では、図8(a)に示したものより微小異物を示す信号が特徴付けられて現れているが、微小異物の存在場所以外にも類似した信号が現れているので、微小異物の正確な特定は困難であることが分かる。
【0112】
図8(c)は、ステップS35〜S40に示した2回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図8(c)に示すように、2回目のエッジ保存平滑化処理によって、微小異物を示す信号が微小異物の存在場所に明瞭に現れており、微小異物を容易に検出することができることが分かる。
【0113】
以上のように、本実施形態における画像処理装置8によれば、第1のエッジ保存平滑化処理を行う第1のエッジ保存平滑化手段811と、第1のエッジ保存平滑化処理後にデコンボリューション演算による画像復元処理を行うデコンボリューション手段812と、画像復元処理後に第2のエッジ保存平滑化処理を行う第2のエッジ保存平滑化手段813とを備える構成としたので、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0114】
また、本実施形態におけるX線異物検出装置20によれば、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置8を備える構成としたので、散乱ボケが発生してポアソンノイズに埋もれ、従来のものでは検出できなかった微小異物もリアルタイムに検出することができる。
【0115】
(第3の実施形態)
まず、本発明の第3の実施形態における構成について説明する。
【0116】
図9に示すように、本実施形態におけるX線異物検出装置30は、第1の実施形態におけるX線異物検出装置10(図1参照)の画像処理装置5の一部を変更し、画像処理装置9としたものである。したがって、第1の実施形態におけるX線異物検出装置10と同様な構成には同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0117】
本実施形態における画像処理装置9は、画像復元手段91を備え、画像復元手段91は、エッジ保存平滑化手段911を備えている。エッジ保存平滑化手段911は、エッジ保存平滑化部911aを備えている。
【0118】
エッジ保存平滑化部911aは、バイラテラルフィルタを備え、前述の(4)式に示す双加重係数Wで重み付けした平均値画像のデータを生成するようになっている。
【0119】
次に、画像復元手段91による画像復元処理について、図9及び図10を用いて説明する。図10は、本実施形態における画像復元処理を示すフローチャートであって、第1の実施形態(図4参照)と同様なステップには同一の符号を付し、その動作の説明を省略する。
【0120】
画像復元手段91は、エッジ保存平滑化部911aによって、デコンボリューション手段523から入力した復元画像のデータに対し、2回のエッジ保存平滑化処理(ステップS41、S42)を行う。この処理は、第1の実施形態におけるステップS19又はS22の処理を2回行うことと同様である。
【0121】
次に、本実施形態の主要なステップにおける処理画像を図11に示す。図11は、図12(a)の2つの円内に微小異物が存在する被測定物の原画像に対応するものである。
【0122】
図11(a)は、ステップS13において、デコンボリューション手段523がデコンボリューション演算による画像復元処理を行って生成した復元画像を示す。図11(a)に示すように、デコンボリューション演算による画像復元処理のみでは、微小異物の検出は困難であることが分かる。
【0123】
図11(b)は、ステップS41に示した1回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図11(b)に示すように、1回目のエッジ保存平滑化処理によって、図11(a)に示したものより微小異物を示す信号が特徴付けられて現れているが、微小異物の存在場所以外にも類似した信号が現れているので、微小異物の正確な特定は困難であることが分かる。
【0124】
図11(c)は、ステップS42に示した2回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図11(c)に示すように、2回目のエッジ保存平滑化処理によって、微小異物を示す信号が微小異物の存在場所に明瞭に現れており、微小異物を容易に検出することができることが分かる。
【0125】
以上のように、本実施形態における画像処理装置9によれば、画像復元処理を行うデコンボリューション手段523の後段に、エッジ保存平滑化部911aを有するエッジ保存平滑化手段911を備え、エッジ保存平滑化手段911が、バイラテラルフィルタによって、復元画像に対してエッジ保存平滑化処理を2回実施する構成としたので、従来のものよりも格段に高精細な画像を高速に取得することができる。
【0126】
また、本実施形態におけるX線異物検出装置30によれば、従来のものよりも格段に高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置9を備える構成としたので、散乱ボケが発生してポアソンノイズに埋もれ、従来のものでは検出できなかった微小異物もリアルタイムに検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上のように、本発明は、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができるという効果を有し、移動中の被測定物にX線を透過させその透過状態に基づいて被測定物に含まれる微小異物を検出する画像処理装置及びそれを備えたX線異物検出装置並びに画像処理方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態におけるブロック図である。
【図2】図2は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態において、PSFモデルの斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態のフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態における画像復元処理のフローチャートである。
【図5】図5は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態における処理画像である。
【図6】図6は、本発明に係るX線異物検出装置の第2の実施形態におけるブロック図である。
【図7】図7は、本発明に係るX線異物検出装置の第2の実施形態における画像復元処理のフローチャートである。
【図8】図8は、本発明に係るX線異物検出装置の第2の実施形態における処理画像である。
【図9】図9は、本発明に係るX線異物検出装置の第3の実施形態におけるブロック図である。
【図10】図10は、本発明に係るX線異物検出装置の第3の実施形態における画像復元処理のフローチャートである。
【図11】図11は、本発明に係るX線異物検出装置の第3の実施形態における処理画像である。
【図12】図12(a)は、ポアソンノイズに埋もれた微小異物の位置を示す原画像である。図12(b)は、ウィーナフィルタによる復元画像である。
【符号の説明】
【0129】
1 X線源
2 被測定物
3 搬送手段
4 X線検出器
5、8、9 画像処理装置
6 検査情報入力手段
7 画像表示手段
10、20、30 X線異物検出装置
51 画像入力手段(画像データ入力手段)
52、81、91 画像復元手段
53 異物検出手段
54 異物判定手段
521 パラメータ設定手段
522 PSF生成手段(関数近似点像分布関数生成手段)
523、812 デコンボリューション手段(復元画像生成手段)
524、811、813、911 エッジ保存平滑化手段
524a、811a、813a 第1のエッジ保存平滑化部
524b、811b、813b 第2のエッジ保存平滑化部
911a エッジ保存平滑化部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばX線画像を処理する画像処理装置、及びX線画像に基づいて混入異物の有無を検出するX線異物検出装置、並びに画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線画像を処理する装置として、点像分布関数(Point Spread Function:PSF)を画像復元パラメータとして復元処理することにより、被写体画像の輪郭が不明瞭となる現象(以下「画像ボケ」という)を抑制して画像復元を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたものは、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)処理した画像データをFFT処理したPSFで除算し、その演算結果を逆FFT処理する手法によってデコンボリューション(逆畳み込み積分)演算を行って復元画像を生成するようになっている。
【特許文献1】特開2008−73318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のものでは、FFT処理後のデコンボリューション演算による画像ボケ復元処理において高周波ノイズが発生するという副作用があることが知られている。この高周波ノイズは、例えばウィーナフィルタ(wiener filter)を使用することによって抑制できるが、ウィーナフィルタを使用すると、そのローパスフィルタ効果によりボケ画像復元効果も抑制されてしまい、被測定物に混入した微小異物を検出することができないという課題があった。
【0005】
具体的に図12を用いて説明する。図12(a)は、2つの円内に微小異物が存在する被測定物の原画像の濃度を3D表示している。この原画像は、微小異物を示す信号がポアソンノイズに埋もれた様子を示している。また、図12(b)は、原画像に対し、ウィーナフィルタを使用して画像復元処理を行った復元画像を示している。図12(b)に示すように、ウィーナフィルタによる画像復元処理では微小異物を検出することができないことがわかる。
【0006】
また、従来のものでは、X線の散乱による画像ボケ(以下「散乱ボケ」という。)が発生して微小異物を示す信号がポアソンノイズに埋もれてしまい、X線検出器の分解能を単に向上させるだけでは微小異物が検出できないという課題があった。
【0007】
また、X線画像に対して画像復元の反復計算を行う反復法も知られているが、この方法によって十分な画質を得るためには、反復計算を行うための処理時間を多く要するので、リアルタイム処理が必要なX線異物検出装置には採用できないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置及びそれを備えたX線異物検出装置並びに画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力手段と、前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成手段と、前記被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する復元画像生成手段と、前記エッジ情報を保存した状態で前記復元画像からノイズを除去するエッジ保存平滑化手段とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の請求項1に係る画像処理装置は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行う。
【0011】
本発明の請求項2に係る画像処理装置は、前記エッジ保存平滑化手段が、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化部を備え、前記第1のエッジ保存平滑化部は、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部に出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部に出力するものであり、前記第2のエッジ保存平滑化部は、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化部が出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化部からの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力するものであり、前記エッジ保存平滑化手段は、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものである構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明の請求項2に係る画像処理装置は、第1のエッジ保存平滑化処理において平滑化されなかったエッジ部分についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行う。
【0013】
本発明の請求項3に係る画像処理装置は、前記エッジ保存平滑化手段は、バイラテラルフィルタによってエッジ保存平滑処理を複数回行うエッジ保存平滑化部を備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の請求項3に係る画像処理装置は、デコンボリューション演算による画像復元処理後にエッジ保存平滑化処理を複数回行う。
【0015】
本発明の請求項4に係る画像処理装置は、被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力手段と、前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成手段と、前記エッジ情報を保存した状態でノイズを除去する第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化部を有するエッジ保存平滑化手段と、前記エッジ保存平滑化手段が出力する画像データに係る画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する復元画像生成手段とを備え、前記第1のエッジ保存平滑化部は、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部に出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部に出力するものであり、前記第2のエッジ保存平滑化部は、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化部が出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化部からの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力するものであり、前記エッジ保存平滑化手段は、前記画像復元処理を挟んで、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものである構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の請求項4に係る画像処理装置は、第1のエッジ保存平滑化処理をした後、デコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し、その後、第2のエッジ保存平滑化処理を行う。
【0017】
本発明の請求項5に係る画像処理装置は、前記バイラテラルフィルタが、注目画素と近隣画素との距離に基づいたパラメータで定めたスーパーガウシアン関数と、前記注目画素と前記近隣画素との濃度差に基づいたパラメータで定めたサブガウシアン関数とに基づいて重み付けが設定された双加重移動平均フィルタである構成を有している。
【0018】
この構成により、本発明の請求項5に係る画像処理装置は、バイラテラルフィルタを双加重移動平均フィルタとしてエッジ保存平滑化処理を行う。
【0019】
本発明の請求項6に係る画像処理装置は、前記ガウシアン関数は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数を含み、前記関数近似点像分布関数生成手段は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数のいずれか1つを前記パラメータによって定めて前記関数近似点像分布関数を生成するものである構成を有している。
【0020】
この構成により、本発明の請求項6に係る画像処理装置は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数のうちのいずれか1つの関数をパラメータによって定めて関数近似点像分布関数を生成する。
【0021】
本発明の請求項7に係るX線異物検出装置は、画像処理装置と、X線を前記被測定物に照射するX線源と、前記被測定物を透過したX線を検出して検出情報を前記画像処理装置に出力するX線検出手段とを備え、前記画像処理装置は、前記検出情報に基づいて前記被測定物に含まれる異物を検出する異物検出手段を備えた構成を有している。
【0022】
この構成により、本発明の請求項7に係るX線異物検出装置は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行う画像処理装置を備え、被測定物に含まれる異物を検出する。
【0023】
本発明の請求項8に係る画像処理方法は、被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力ステップと、前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成ステップと、前記被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する画像復元ステップと、前記エッジ情報を保存した状態で前記復元画像からノイズを除去するエッジ保存平滑化ステップとを含む構成を有している。
【0024】
この構成により、本発明の請求項8に係る画像処理方法は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行う。
【0025】
本発明の請求項9に係る画像処理方法は、前記エッジ保存平滑化ステップは、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化ステップを含み、前記第1のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記第2のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化ステップからの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力し、前記エッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施する構成を有している。
【0026】
この構成により、本発明の請求項9に係る画像処理方法は、第1のエッジ保存平滑化処理において平滑化されなかったエッジ部分についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行う。
【0027】
本発明の請求項10に係る画像処理方法は、前記エッジ保存平滑化ステップは、バイラテラルフィルタによってエッジ保存平滑処理を複数回行うエッジ保存平滑化ステップを含む構成を有している。
【0028】
この構成により、本発明の請求項10に係る画像処理方法は、エッジ保存平滑化処理を複数回行う。
【0029】
本発明の請求項11に係る画像処理方法は、被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力ステップと、前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成ステップと、前記エッジ情報を保存した状態でノイズを除去する第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化ステップを有するエッジ保存平滑化ステップと、前記エッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する画像復元ステップとを含み、前記第1のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記第2のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化ステップからの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力し、前記エッジ保存平滑化ステップにおいて、前記画像復元ステップを挟んで、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施する構成を有している。
【0030】
この構成により、本発明の請求項11に係る画像処理方法は、第1のエッジ保存平滑化処理をした後、デコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し、その後、第2のエッジ保存平滑化処理を行う。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0032】
本発明の請求項2に係る画像処理装置は、第1のエッジ保存平滑化処理において平滑化されなかったエッジ部分についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0033】
本発明の請求項3に係る画像処理装置は、デコンボリューション演算による画像復元処理後にエッジ保存平滑化処理を複数回行うことにより、従来のものよりも格段に高精細な画像を高速に取得することができる。
【0034】
本発明の請求項4に係る画像処理装置は、第1のエッジ保存平滑化処理をした後、デコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し、その後、第2のエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0035】
本発明の請求項5に係る画像処理装置は、バイラテラルフィルタを双加重移動平均フィルタとしてエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0036】
本発明の請求項6に係る画像処理装置は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数のうちのいずれか1つの関数をパラメータによって定めて関数近似点像分布関数を生成することにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0037】
本発明の請求項7に係るX線異物検出装置は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行う画像処理装置を備え、被測定物に含まれる異物を検出することにより、散乱ボケが発生してポアソンノイズに埋もれ、従来のものでは検出できなかった微小異物もリアルタイムに検出することができる。
【0038】
本発明の請求項8に係る画像処理方法は、点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成してデコンボリューション演算による画像復元を行い、エッジ情報を保存した状態でノイズを除去するエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0039】
本発明の請求項9に係る画像処理方法は、第1のエッジ保存平滑化処理において平滑化されなかったエッジ部分についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0040】
本発明の請求項10に係る画像処理方法は、エッジ保存平滑化処理を複数回行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0041】
本発明の請求項11に係る画像処理方法は、第1のエッジ保存平滑化処理をした後、デコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し、その後、第2のエッジ保存平滑化処理を行うことにより、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0043】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態におけるX線異物検出装置の構成について説明する。
【0044】
図1に示すように、本実施形態におけるX線異物検出装置10は、X線を照射するX線源1と、X線が照射される被測定物2と、被測定物2を搬送する搬送手段3と、被測定物2及び搬送手段3を透過したX線を検出するX線検出器4と、画像処理を行う画像処理装置5と、検査情報を入力する検査情報入力手段6と、画像を表示する画像表示手段7とを備えている。
【0045】
X線源1は、例えば陰極フィラメントからの熱電子をその陰極と陽極との間の高電圧により陽極ターゲットに衝突させてX線を発生させるX線管を有しており、発生したX線を下方のX線検出器4に向けて不図示のスリットにより搬送手段3の幅員方向(搬送方向と直交する方向)に広がる扇形のビームに整形して照射するようになっている。すなわち、X線源1は、X線検出器4と共にいわゆるX線ファンビーム光学系を構成している。
【0046】
被測定物2は、例えば食品や医薬品等であって、含有する微小異物の検出対象となるものである。なお、図1においては、便宜上被測定物2を個体として示しているが、被測定物2は、粒状体、フレーク、粉体等を含むばら状又は粉状のものであってもよい。
【0047】
搬送手段3は、例えばベルトコンベアで構成され、被測定物2をその品種に対応する所定の一定搬送速度で搬送するとともに、その搬送途中で被測定物2をX線源1とX線検出器4との間に通すようになっている。X線源1から照射されたX線は、被測定物2による吸収とベルトコンベアによる僅かな吸収とを受けてこれらを透過した後、X線検出器4に到達する。
【0048】
X線検出器4は、搬送手段3の幅員方向に隣り合う複数の透過領域のそれぞれについて、被測定物2を透過したX線を検出し各透過領域における所定時間毎の累積透過量のデータを検出情報として出力するようになっている。このX線検出器4は、詳細を図示しないが、例えばX線ラインセンサで構成されている。このX線ラインセンサは、検出素子を搬送手段3の幅員方向にアレイ状に所定ピッチで配設した公知のもので、所定解像度でのX線検出を行うことができるものである。
【0049】
前述のX線源1、搬送手段3及びX線検出器4は、それぞれ所定のタイミングで動作するよう図示しない制御装置によって制御されるようになっている。この制御装置は、例えばCPU、ROM、RAM及びI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータを含んで構成されており、ROMに格納された所定のプログラムに従って搬送及びX線の照射・検出制御を実行するためのプログラム等を有している。
【0050】
画像処理装置5は、画像データを入力する画像入力手段51と、画像を復元する画像復元手段52と、異物を検出する異物検出手段53と、異物か否かを判定する異物判定手段54とを備えている。画像処理装置5は、前述の制御装置と同様な構成になっており、微小異物を検出するための画像処理プログラムをマイクロコンピュータが実行するようになっている。
【0051】
画像入力手段51は、X線検出器4の複数の検出素子からのX線検出信号をそれぞれA/D変換するとともに、それら検出素子の配設ピッチに対応する所定の単位搬送時間毎に、搬送路幅員方向の全n(nは正の整数、例えば640)個の透過領域について、その単位時間内の累積の透過X線量(以下「透過量」という)のデータを、例えば0から1023までの階調を表す透過量レベルのライン検出情報として外部に出力することができ、そのためのA/D変換器やメモリ等(いずれも図示省略)を有している。なお、画像入力手段51は、各被測定物2に対してライン走査がなされるとき画像入力手段51のメモリに書き込まれた透過量データに対応して、被測定物2が無くX線透過量の値が最大で被測定物2によるX線吸収量がゼロとなるときに最小濃度値となり、X線透過量の値が最小で被測定物2によるX線吸収量が最大となるときに最大濃度値となるように、すなわち対数変換を用いて等価厚データに変換したX線画像を出力するようになっている。なお、画像入力手段51は、本発明に係る画像データ入力手段を構成する。
【0052】
画像復元手段52は、パラメータ設定手段521、PSF生成手段522、デコンボリューション手段523、エッジ保存平滑化手段524を備え、画像入力手段51から入力するX線画像(以下「被測定物画像」という。)のデータに対し、カーネルサイズN(N×N画素)のカーネルを用いる局所処理を含む画像復元処理を行うようになっている。
【0053】
パラメータ設定手段521は、例えば、キーボードやマウス等の入力デバイス、パラメータのデータを記憶するメモリ等を備えている。このパラメータは、エッジ保存平滑化パラメータ、例えばカーネル内において画素濃度値を求める対象としている画素(以下「注目画素」という。)を中心に濃度及び距離に応じて近隣画素の画素値を重み付けするためのパラメータ(後述)等を設定するものであって、関数近似PSF(後述)を設定するためのカーネルサイズN、標準偏差σ、指数γを含む。これらのパラメータのデータは、異物検出の工程を実施する前に、検出対象である微小異物の標準試験片を被測定物2に含有させ、微小異物の標準試験片が最も鮮明に撮像された際のデータを採用したものである。標準試験片としては、例えば直径が0.2mm〜2mm程度の金属球を用いるのが好ましい。また、パラメータのデータは、X線源1が照射するX線エネルギ値、X線検出器4の素子サイズ、X線検出器4の種類、被測定物の種類等に応じて設定するのが好ましい。また、パラメータのデータは、微小異物の種類や大きさを考慮して定めるのが好ましい。
【0054】
PSF生成手段522は、パラメータ設定手段521が設定したパラメータσ、γに基づくパラメトリック関数でPSFを近似した関数近似PSFを生成し、そのデータを、デコンボリューション手段523及びエッジ保存平滑化手段524に出力するようになっている。なお、PSF生成手段522は、本発明に係る関数近似点像分布関数生成手段を構成する。
【0055】
具体的には、PSF生成手段522は、パラメータ設定手段521が設定したσ、γに基づいた関数近似PSFを(1)式により生成する。なお、rは注目画素から所定画素までの距離を示す。
【0056】
PSF(r) ∝ exp{-0.5・(r/σ)γ} (1)
【0057】
ここで、関数近似PSFは、γ=2ならば一般のガウシアン関数、γ>2ならばサブガウシアン関数、γ<2ならばスーパーガウシンアン関数となり、図2に近似モデルの斜視図を示す。図2(a)は、N=11、σ=1.2、γ=2.5(サブガウシアン)として関数近似した関数近似PSFモデル(左図)と、そのアナログイメージでのPSF関数モデル(右図)とを示す。また、図2(b)は、N=11、σ=1.2、γ=1.5(スーパーガウシアン)として関数近似した関数近似PSFモデル(左図)と、そのアナログイメージでのPSF関数モデル(右図)とを示す。ここで、カーネルサイズNは前記関数近似PSFモデルの全体(≠0)を包含する最小サイズとすることが望ましい。図2に示すように、PSFを関数近似してモデル化し、画素値の重み付け計算を簡素化することにより、処理の高速化を図ることができる。
【0058】
図1に戻り、デコンボリューション手段523は、例えば、ウィーナフィルタや逆フィルタ(Inverse Filter)を備え、被測定物画像がガウシアン関数(σ、γ)に基づいたコンボリューション画像とし、関数近似PSFに基づいてデコンボリューション演算により画像復元処理を行って復元画像を生成するようになっている。なお、デコンボリューション手段523は、本発明に係る復元画像生成手段を構成する。
【0059】
エッジ保存平滑化手段524は、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524bを備えている。また、エッジ保存平滑化手段524は、微小異物の標準試験片を被測定物2に含有させて予め取得した第1閾値及び第2閾値の各データを記憶するメモリ(図示省略)を備え、微小異物の標準試験片が最も鮮明に撮像された際の第1閾値及び第2閾値を採用したものを記憶するようになっている。このエッジ保存平滑化手段524は、後述するように、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものである。
【0060】
第1のエッジ保存平滑化部524aは、例えば適応型移動平均フィルタを備え、デコンボリューション手段523から復元画像のデータを入力し、カーネルサイズN'の正方形窓内を均等に重み付けした平均値画像を生成すると共に、正方形窓内の濃度値の標準偏差Sを求めるようになっている。また、第1のエッジ保存平滑化部524aは、第1閾値をAで表すとき、標準偏差S≦第1閾値Aならば平均値画像のデータを出力するようになっている。すなわち、第1のエッジ保存平滑化部524aは、エッジを含まない画像に対しては平均値画像のデータを出力することにより、処理の高速化を図っている。
【0061】
また、第1のエッジ保存平滑化部524aは、標準偏差S>第1閾値Aならば(2)式に示す補正により求めた画像データPを出力するようになっている。(2)式において、Iは被測定物画像の画素濃度、I'は平均値画像の画素濃度を示す。また、rate=(S2−A2)/(S2+A2)である。
【0062】
P=I'+(I-I')×rate (2)
【0063】
第2のエッジ保存平滑化部524bは、例えばバイラテラルフィルタ(Bilateral filter)を備え、第1のエッジ保存平滑化処理後の画像の被測定物画像に対する濃度変化値に基づいて画像データを出力するようになっている。
【0064】
ここで、ガウシアン関数を、中心からの距離rと標準偏差σと指数γとをパラメータとして(3)式に示すように表す。
【0065】
G(r,σ,γ)=(0.4/σ)・exp{-0.5(r/σ)γ} (3)
【0066】
バイラテラルフィルタは、第2閾値をBで表すとき、濃度変化値>第2閾値Bならば、(4)式に示すように、注目画素と近隣画素との距離Δdに対するσ'及びγ'をパラメータとするスーパーガウシンアン関数と、注目画素と近隣画素との濃度差Δiに対するσ''及びγ''をパラメータとするサブガウシアン関数とに基づいて設定された双加重係数Wで重み付けする移動平均フィルタであって、双加重係数Wで重み付けした平均値画像のデータを出力するようになっている。この場合、バイラテラルフィルタは、双加重移動平均フィルタとして機能する。
【0067】
W ∝ exp{-0.5・(Δd/σ')γ'}・exp{-0.5・(Δi/σ'')γ''} (4)
【0068】
具体的には、例えば、カーネルサイズN''の丸窓内をG(Δd,σ',1)で示されるスーパーガウシアン関数と、G(Δi,σ'',4)で示されるサブガウシアン関数とで双加重係数Wが得られる。
【0069】
一方、第2のエッジ保存平滑化部524bは、濃度変化値≦第2閾値Bならば第1のエッジ保存平滑化処理後の画像データをそのまま出力するようになっている。
【0070】
以上のように、第2のエッジ保存平滑化部524bは、第1のエッジ保存平滑化部524aでは平滑化されなかったエッジ部分(濃度変化値>第2閾値B)についてのみバイラテラルフィルタでエッジ保存平滑化処理を行うものである。
【0071】
異物検出手段53は、画像復元手段52が復元した画像に基づいて被測定物に混入している微小異物を微小ではない異物とともに検出し、異物を示す異物画像データを異物判定手段54に出力するようになっている。
【0072】
異物判定手段54は、異物検出手段53が出力した異物画像データに基づいて被測定物2に混入している微小異物を微小ではない異物とともに判定し、その判定結果を示す信号及び微小異物を含む被測定物2の画像データを画像表示手段7に出力するようになっている。
【0073】
検査情報入力手段6は、例えばキーボードやマウス等を備えた入力デバイスで構成され、被測定物2の品番及び検査条件を指定する設定値や検査アルゴリズム等の情報(以下「検査情報」という。)を画像処理装置5に入力するようになっている。
【0074】
画像表示手段7は、例えば液晶ディスプレイを備え、異物判定手段54の判定結果及び微小異物を含む被測定物2のX線画像を表示するようになっている。
【0075】
次に、本実施形態におけるX線異物検出装置10の動作について図1及び図3を用いて説明する。図3は、本実施形態におけるX線異物検出装置10のフローチャートである。
【0076】
検査情報入力手段6は、検査情報を画像処理装置5に入力し(ステップS1)、画像処理装置5の画像復元手段52は、画像入力手段51から入力する被測定物画像のデータに対し、画像復元処理を実行し(ステップS2)、復元画像のデータを異物検出手段53に出力する。
【0077】
異物検出手段53は、復元画像から被測定物に混入した微小異物を微小ではない異物とともに検出し(ステップS3)、微小異物を含む異物画像データを異物判定手段54に出力する。
【0078】
異物判定手段54は、異物か否かを判定し(ステップS4)、その判定結果を示す信号及び画像データを画像表示手段7に出力する。
【0079】
画像表示手段7は、異物検出の判定結果及び被測定物のX線画像を表示する(ステップS5)。
【0080】
次に、前述のステップS2における画像復元処理について、図1及び図4を用いて詳細に説明する。図4は、本実施形態における画像復元処理を示すフローチャートである。
【0081】
画像復元手段52のパラメータ設定手段521は、パラメータN、σ、γのデータを設定し、PSF生成手段522は、設定されたパラメータのデータで関数近似PSFを生成する(ステップS11)。
【0082】
画像入力手段51は、X線検出器4から被測定物画像のデータを入力し(ステップS12)、デコンボリューション手段523に出力する。
【0083】
デコンボリューション手段523は、被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像としてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し(ステップS13)、復元画像のデータをエッジ保存平滑化手段524の第1のエッジ保存平滑化部524aに出力する。
【0084】
第1のエッジ保存平滑化部524aは、適応型移動平均フィルタにより、復元画像のデータに対し、カーネルサイズN'の正方形窓内を均等に重み付けした平均値画像を生成し(ステップS14)、また、正方形窓内の濃度値の標準偏差Sを求める。
【0085】
また、第1のエッジ保存平滑化部524aは、濃度値の標準偏差Sと第1閾値Aとを比較する(ステップS15)。
【0086】
ステップS15において、第1のエッジ保存平滑化部524aは、濃度値の標準偏差S≦第1閾値Aと判断した場合、平均値画像のデータをそのまま第2のエッジ保存平滑化部524bに出力する(ステップS16)。
【0087】
一方、ステップS15において、第1のエッジ保存平滑化部524aは、濃度値の標準偏差S≦第1閾値Aと判断しなかった場合(標準偏差S>第1閾値Aの場合)、前述の(2)式に示す補正により求めた画像データPを第2のエッジ保存平滑化部524bに出力する(ステップS17)。
【0088】
第2のエッジ保存平滑化部524bは、第1のエッジ保存平滑化処理(ステップS14〜17)により生成された画像の被測定物画像に対する濃度変化値と第2閾値Bとを比較する(ステップS18)。
【0089】
ステップS18において、第2のエッジ保存平滑化部524bは、濃度変化値≦第2閾値Bと判断した場合、第1のエッジ保存平滑化処理により生成された画像のデータをそのまま第1のエッジ保存平滑化部524aに出力する。
【0090】
一方、ステップS18において、第2のエッジ保存平滑化部524bは、濃度変化値≦第2閾値Bと判断しなかった場合(濃度変化値>第2閾値Bの場合)、バイラテラルフィルタによって、前述の(4)式に示す双加重係数Wで重み付けした平均値画像のデータを第1のエッジ保存平滑化部524aに出力する(ステップS19)。
【0091】
第1のエッジ保存平滑化部524aは、前述のステップS14〜S17で行った第1のエッジ保存平滑処理を再度実施し(ステップS20)、第2のエッジ保存平滑化部524bは、前述のステップS18、S19で行った第2のエッジ保存平滑処理を再度実施し(ステップS21、S22)、画像復元手段52は、処理画像のデータを異物検出手段53に出力する(ステップS23)。
【0092】
以上のように、エッジ保存平滑化手段524は、第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524bによって、1回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS14〜S19)と、2回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS20〜S22)とを実行するという特徴を有する。
【0093】
次に、本実施形態の主要なステップにおける処理画像を図5に示す。図5は、図12(a)の2つの円内に微小異物が存在する被測定物の原画像に対応するものである。
【0094】
図5(a)は、ステップS13において、デコンボリューション手段523がデコンボリューション演算による画像復元処理を行って生成した復元画像を示す。図5(a)に示すように、デコンボリューション演算による画像復元処理のみでは、微小異物の検出は困難であることが分かる。
【0095】
図5(b)は、ステップS14〜S19に示した1回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図5(b)に示すように、1回目のエッジ保存平滑化処理によって、図5(a)に示したものより微小異物を示す信号が特徴付けられて現れているが、微小異物の存在場所以外にも類似した信号が現れているので、微小異物の正確な特定は困難であることが分かる。
【0096】
図5(c)は、ステップS20〜S22に示した2回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図5(c)に示すように、2回目のエッジ保存平滑化処理によって、微小異物を示す信号が微小異物の存在場所に明瞭に現れており、微小異物を容易に検出することができることが分かる。
【0097】
なお、前述した動作ステップをプログラミングして記憶媒体に記憶し、例えばマイクロコンピュータにプログラムを読み取らせて実行させることにより、マイクロコンピュータを画像処理装置5やX線異物検出装置10として機能させることができる。
【0098】
以上のように、本実施形態における画像処理装置5によれば、画像復元処理を行うデコンボリューション手段523の後段に、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524bを有するエッジ保存平滑化手段524を備え、エッジ保存平滑化手段524が、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施する構成としたので、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0099】
また、本実施形態におけるX線異物検出装置10によれば、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置5を備える構成としたので、散乱ボケが発生してポアソンノイズに埋もれ、従来のものでは検出できなかった微小異物もリアルタイムに検出することができる。
【0100】
(第2の実施形態)
まず、本発明の第2の実施形態における構成について説明する。
【0101】
図6に示すように、本実施形態におけるX線異物検出装置20は、第1の実施形態におけるX線異物検出装置10(図1参照)の画像処理装置5の一部を変更し、画像処理装置8としたものである。したがって、第1の実施形態におけるX線異物検出装置10と同様な構成には同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0102】
本実施形態における画像処理装置8は、画像復元手段81を備え、画像復元手段81は、第1のエッジ保存平滑化手段811、デコンボリューション手段812、第2のエッジ保存平滑化手段813を備えている。エッジ保存平滑化手段811、813は、第1のエッジ保存平滑化部811a、813a及び第2のエッジ保存平滑化部811b、813bを備えている。
【0103】
第1のエッジ保存平滑化部811a、813a及び第2のエッジ保存平滑化部811b、813bは、それぞれ、第1の実施形態における第1のエッジ保存平滑化部524a及び第2のエッジ保存平滑化部524b(図1参照)と同様な構成を有する。
【0104】
次に、画像復元手段81による画像復元処理について、図6及び図7を用いて説明する。図7は、本実施形態における画像復元処理を示すフローチャートであって、第1の実施形態(図4参照)と同様なステップには同一の符号を付し、その動作の説明を省略する。
【0105】
画像復元手段81は、第1のエッジ保存平滑化手段811によって、画像入力手段51から入力した被測定物画像のデータに対し、1回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS31〜S33)を行う。この処理は、第1の実施形態におけるステップS14〜S19の処理と同様である。
【0106】
デコンボリューション手段812は、1回目のエッジ保存平滑化処理がなされた画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像としてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成し(ステップS34)、第2のエッジ保存平滑化手段813に出力する。
【0107】
第2のエッジ保存平滑化手段813は、復元画像に対し、2回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS35〜S40)を行う。この処理は、第1の実施形態におけるステップS20〜S22の処理と同様であるが、ステップS36及びS39における閾値が第1の実施形態のものとは異なるものとしている。
【0108】
すなわち、2回目のエッジ保存平滑化処理において、第3のエッジ保存平滑化処理(ステップS35〜S38)のうち、ステップS36において、第1のエッジ保存平滑化部811aは、濃度値の標準偏差S'と第3閾値とを比較している。また、ステップS39において、第3のエッジ保存平滑化処理後の画像の被測定物画像に対する濃度変化と第4閾値とを比較している。ここで、第3閾値及び第4閾値は、第1の実施形態と同様に、微小異物の標準試験片を被測定物2に含有させて予め取得したものであって、微小異物の標準試験片が最も鮮明に撮像されるよう、1回目のエッジ保存平滑化処理(ステップS31〜S33)に用いる閾値とは異ならせたものである。なお、閾値の設定はこれに限定されず、エッジ保存平滑化処理の1回目と2回目とで同様の閾値を用いる構成としてもよい。
【0109】
次に、本実施形態の主要なステップにおける処理画像を図8に示す。図8は、図12(a)の2つの円内に微小異物が存在する被測定物の原画像に対応するものである。
【0110】
図8(a)は、ステップS31〜S33に示した1回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図8(a)に示すように、1回目のエッジ保存平滑化処理のみでは、微小異物を示す信号がポアソンノイズに埋もれているので、微小異物の検出は困難であることが分かる。
【0111】
図8(b)は、ステップS34において、1回目のエッジ保存平滑化処理後の画像に対し、デコンボリューション手段812がデコンボリューション演算による画像復元処理を行って生成した復元画像を示す。図8(b)に示すように、デコンボリューション演算による画像復元処理では、図8(a)に示したものより微小異物を示す信号が特徴付けられて現れているが、微小異物の存在場所以外にも類似した信号が現れているので、微小異物の正確な特定は困難であることが分かる。
【0112】
図8(c)は、ステップS35〜S40に示した2回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図8(c)に示すように、2回目のエッジ保存平滑化処理によって、微小異物を示す信号が微小異物の存在場所に明瞭に現れており、微小異物を容易に検出することができることが分かる。
【0113】
以上のように、本実施形態における画像処理装置8によれば、第1のエッジ保存平滑化処理を行う第1のエッジ保存平滑化手段811と、第1のエッジ保存平滑化処理後にデコンボリューション演算による画像復元処理を行うデコンボリューション手段812と、画像復元処理後に第2のエッジ保存平滑化処理を行う第2のエッジ保存平滑化手段813とを備える構成としたので、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる。
【0114】
また、本実施形態におけるX線異物検出装置20によれば、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置8を備える構成としたので、散乱ボケが発生してポアソンノイズに埋もれ、従来のものでは検出できなかった微小異物もリアルタイムに検出することができる。
【0115】
(第3の実施形態)
まず、本発明の第3の実施形態における構成について説明する。
【0116】
図9に示すように、本実施形態におけるX線異物検出装置30は、第1の実施形態におけるX線異物検出装置10(図1参照)の画像処理装置5の一部を変更し、画像処理装置9としたものである。したがって、第1の実施形態におけるX線異物検出装置10と同様な構成には同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0117】
本実施形態における画像処理装置9は、画像復元手段91を備え、画像復元手段91は、エッジ保存平滑化手段911を備えている。エッジ保存平滑化手段911は、エッジ保存平滑化部911aを備えている。
【0118】
エッジ保存平滑化部911aは、バイラテラルフィルタを備え、前述の(4)式に示す双加重係数Wで重み付けした平均値画像のデータを生成するようになっている。
【0119】
次に、画像復元手段91による画像復元処理について、図9及び図10を用いて説明する。図10は、本実施形態における画像復元処理を示すフローチャートであって、第1の実施形態(図4参照)と同様なステップには同一の符号を付し、その動作の説明を省略する。
【0120】
画像復元手段91は、エッジ保存平滑化部911aによって、デコンボリューション手段523から入力した復元画像のデータに対し、2回のエッジ保存平滑化処理(ステップS41、S42)を行う。この処理は、第1の実施形態におけるステップS19又はS22の処理を2回行うことと同様である。
【0121】
次に、本実施形態の主要なステップにおける処理画像を図11に示す。図11は、図12(a)の2つの円内に微小異物が存在する被測定物の原画像に対応するものである。
【0122】
図11(a)は、ステップS13において、デコンボリューション手段523がデコンボリューション演算による画像復元処理を行って生成した復元画像を示す。図11(a)に示すように、デコンボリューション演算による画像復元処理のみでは、微小異物の検出は困難であることが分かる。
【0123】
図11(b)は、ステップS41に示した1回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図11(b)に示すように、1回目のエッジ保存平滑化処理によって、図11(a)に示したものより微小異物を示す信号が特徴付けられて現れているが、微小異物の存在場所以外にも類似した信号が現れているので、微小異物の正確な特定は困難であることが分かる。
【0124】
図11(c)は、ステップS42に示した2回目のエッジ保存平滑化処理後の画像を示している。図11(c)に示すように、2回目のエッジ保存平滑化処理によって、微小異物を示す信号が微小異物の存在場所に明瞭に現れており、微小異物を容易に検出することができることが分かる。
【0125】
以上のように、本実施形態における画像処理装置9によれば、画像復元処理を行うデコンボリューション手段523の後段に、エッジ保存平滑化部911aを有するエッジ保存平滑化手段911を備え、エッジ保存平滑化手段911が、バイラテラルフィルタによって、復元画像に対してエッジ保存平滑化処理を2回実施する構成としたので、従来のものよりも格段に高精細な画像を高速に取得することができる。
【0126】
また、本実施形態におけるX線異物検出装置30によれば、従来のものよりも格段に高精細な画像を高速に取得することができる画像処理装置9を備える構成としたので、散乱ボケが発生してポアソンノイズに埋もれ、従来のものでは検出できなかった微小異物もリアルタイムに検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上のように、本発明は、従来のものよりも高精細な画像を高速に取得することができるという効果を有し、移動中の被測定物にX線を透過させその透過状態に基づいて被測定物に含まれる微小異物を検出する画像処理装置及びそれを備えたX線異物検出装置並びに画像処理方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態におけるブロック図である。
【図2】図2は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態において、PSFモデルの斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態のフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態における画像復元処理のフローチャートである。
【図5】図5は、本発明に係るX線異物検出装置の第1の実施形態における処理画像である。
【図6】図6は、本発明に係るX線異物検出装置の第2の実施形態におけるブロック図である。
【図7】図7は、本発明に係るX線異物検出装置の第2の実施形態における画像復元処理のフローチャートである。
【図8】図8は、本発明に係るX線異物検出装置の第2の実施形態における処理画像である。
【図9】図9は、本発明に係るX線異物検出装置の第3の実施形態におけるブロック図である。
【図10】図10は、本発明に係るX線異物検出装置の第3の実施形態における画像復元処理のフローチャートである。
【図11】図11は、本発明に係るX線異物検出装置の第3の実施形態における処理画像である。
【図12】図12(a)は、ポアソンノイズに埋もれた微小異物の位置を示す原画像である。図12(b)は、ウィーナフィルタによる復元画像である。
【符号の説明】
【0129】
1 X線源
2 被測定物
3 搬送手段
4 X線検出器
5、8、9 画像処理装置
6 検査情報入力手段
7 画像表示手段
10、20、30 X線異物検出装置
51 画像入力手段(画像データ入力手段)
52、81、91 画像復元手段
53 異物検出手段
54 異物判定手段
521 パラメータ設定手段
522 PSF生成手段(関数近似点像分布関数生成手段)
523、812 デコンボリューション手段(復元画像生成手段)
524、811、813、911 エッジ保存平滑化手段
524a、811a、813a 第1のエッジ保存平滑化部
524b、811b、813b 第2のエッジ保存平滑化部
911a エッジ保存平滑化部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物(2)を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力手段(51)と、
前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成手段(522)と、
前記被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する復元画像生成手段(523)と、
前記エッジ情報を保存した状態で前記復元画像からノイズを除去するエッジ保存平滑化手段(524)とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記エッジ保存平滑化手段(524)は、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化部(524a、524b)を備え、
前記第1のエッジ保存平滑化部(524a)は、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部(524b)に出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部(524b)に出力するものであり、
前記第2のエッジ保存平滑化部(524b)は、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化部(524a)が出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化部(524a)からの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力するものであり、
前記エッジ保存平滑化手段(524)は、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記エッジ保存平滑化手段(911)は、バイラテラルフィルタによってエッジ保存平滑処理を複数回行うエッジ保存平滑化部(911a)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
被測定物(2)を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力手段(51)と、
前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成手段(522)と、
前記エッジ情報を保存した状態でノイズを除去する第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化部(811a、811b)を有するエッジ保存平滑化手段(811)と、
前記エッジ保存平滑化手段(811)が出力する画像データに係る画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する復元画像生成手段(812)とを備え、
前記第1のエッジ保存平滑化部(811a)は、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部(811b)に出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部(811b)に出力するものであり、
前記第2のエッジ保存平滑化部(811b)は、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化部(811a)が出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化部(811a)からの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力するものであり、
前記エッジ保存平滑化手段(811)は、前記画像復元処理を挟んで、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記バイラテラルフィルタは、注目画素と近隣画素との距離に基づいたパラメータで定めたスーパーガウシアン関数と、前記注目画素と前記近隣画素との濃度差に基づいたパラメータで定めたサブガウシアン関数とに基づいて重み付けが設定された双加重移動平均フィルタであることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ガウシアン関数は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数を含み、
前記関数近似点像分布関数生成手段(522)は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数のいずれか1つを前記パラメータによって定めて前記関数近似点像分布関数を生成するものであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の画像処理装置と、X線を前記被測定物に照射するX線源(1)と、前記被測定物(2)を透過したX線を検出して検出情報を前記画像処理装置に出力するX線検出手段(4)とを備え、
前記画像処理装置は、前記検出情報に基づいて前記被測定物(2)に含まれる異物を検出する異物検出手段(53)を備えたことを特徴とするX線異物検出装置。
【請求項8】
被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力ステップと、
前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成ステップと、
前記被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する画像復元ステップと、
前記エッジ情報を保存した状態で前記復元画像からノイズを除去するエッジ保存平滑化ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
前記エッジ保存平滑化ステップは、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化ステップを含み、
前記第1のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、
前記第2のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化ステップからの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力し、
前記エッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記エッジ保存平滑化ステップは、バイラテラルフィルタによってエッジ保存平滑処理を複数回行うエッジ保存平滑化ステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項11】
被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力ステップと、
前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成ステップと、
前記エッジ情報を保存した状態でノイズを除去する第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化ステップを有するエッジ保存平滑化ステップと、
前記エッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する画像復元ステップとを含み、
前記第1のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、
前記第2のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化ステップからの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力し、
前記エッジ保存平滑化ステップにおいて、前記画像復元ステップを挟んで、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施することを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
被測定物(2)を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力手段(51)と、
前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成手段(522)と、
前記被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する復元画像生成手段(523)と、
前記エッジ情報を保存した状態で前記復元画像からノイズを除去するエッジ保存平滑化手段(524)とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記エッジ保存平滑化手段(524)は、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化部(524a、524b)を備え、
前記第1のエッジ保存平滑化部(524a)は、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部(524b)に出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部(524b)に出力するものであり、
前記第2のエッジ保存平滑化部(524b)は、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化部(524a)が出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化部(524a)からの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力するものであり、
前記エッジ保存平滑化手段(524)は、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記エッジ保存平滑化手段(911)は、バイラテラルフィルタによってエッジ保存平滑処理を複数回行うエッジ保存平滑化部(911a)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
被測定物(2)を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力手段(51)と、
前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成手段(522)と、
前記エッジ情報を保存した状態でノイズを除去する第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化部(811a、811b)を有するエッジ保存平滑化手段(811)と、
前記エッジ保存平滑化手段(811)が出力する画像データに係る画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する復元画像生成手段(812)とを備え、
前記第1のエッジ保存平滑化部(811a)は、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部(811b)に出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを前記第2のエッジ保存平滑化部(811b)に出力するものであり、
前記第2のエッジ保存平滑化部(811b)は、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化部(811a)が出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化部(811a)からの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力するものであり、
前記エッジ保存平滑化手段(811)は、前記画像復元処理を挟んで、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施するものであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記バイラテラルフィルタは、注目画素と近隣画素との距離に基づいたパラメータで定めたスーパーガウシアン関数と、前記注目画素と前記近隣画素との濃度差に基づいたパラメータで定めたサブガウシアン関数とに基づいて重み付けが設定された双加重移動平均フィルタであることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ガウシアン関数は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数を含み、
前記関数近似点像分布関数生成手段(522)は、サブガウシアン関数及びスーパーガウシアン関数のいずれか1つを前記パラメータによって定めて前記関数近似点像分布関数を生成するものであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の画像処理装置と、X線を前記被測定物に照射するX線源(1)と、前記被測定物(2)を透過したX線を検出して検出情報を前記画像処理装置に出力するX線検出手段(4)とを備え、
前記画像処理装置は、前記検出情報に基づいて前記被測定物(2)に含まれる異物を検出する異物検出手段(53)を備えたことを特徴とするX線異物検出装置。
【請求項8】
被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力ステップと、
前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成ステップと、
前記被測定物画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する画像復元ステップと、
前記エッジ情報を保存した状態で前記復元画像からノイズを除去するエッジ保存平滑化ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
前記エッジ保存平滑化ステップは、第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化ステップを含み、
前記第1のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、
前記第2のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化ステップからの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力し、
前記エッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記エッジ保存平滑化ステップは、バイラテラルフィルタによってエッジ保存平滑処理を複数回行うエッジ保存平滑化ステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項11】
被測定物を撮影した画像における検出対象物のエッジを示すエッジ情報を含む被測定物画像のデータを入力する画像データ入力ステップと、
前記検出対象物の標準試験片を用いて予め取得したエッジ画像に基づいて定めたパラメータによるパラメトリック関数で点像分布関数を近似した関数近似点像分布関数を生成する関数近似点像分布関数生成ステップと、
前記エッジ情報を保存した状態でノイズを除去する第1及び第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ行う第1及び第2のエッジ保存平滑化ステップを有するエッジ保存平滑化ステップと、
前記エッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像をガウシアン関数に基づいたコンボリューション画像とし、前記関数近似点像分布関数に基づいてデコンボリューション演算による画像復元処理を行って復元画像を生成する画像復元ステップとを含み、
前記第1のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第1のエッジ保存平滑化処理として、注目画素の近隣画素を含む局所濃度の標準偏差が第1閾値以下のとき前記局所濃度の単純平均を前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、前記局所濃度の標準偏差が前記第1閾値を超えるとき前記局所濃度の単純平均を予め定めた補正関数で補正して前記注目画素の濃度とした画像データを出力し、
前記第2のエッジ保存平滑化ステップにおいて、前記第2のエッジ保存平滑化処理として、前記第1のエッジ保存平滑化ステップで出力する画像データに係る画像の前記被測定物画像に対する濃度変化値が、第2閾値を超えるときバイラテラルフィルタによるエッジ保存平滑処理を行った画像データを出力し、前記第2閾値以下のとき前記第1のエッジ保存平滑化ステップからの画像データを該エッジ保存平滑処理を行わずに出力し、
前記エッジ保存平滑化ステップにおいて、前記画像復元ステップを挟んで、前記第1及び前記第2のエッジ保存平滑化処理をそれぞれ順次2回ずつ実施することを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図5】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図5】
【公開番号】特開2010−54356(P2010−54356A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219929(P2008−219929)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】
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