説明

画像処理装置及び方法

【課題】撮像された画像データの中からバーコード,文字列等の所定の情報を認識する際の認識時間を短縮し、かつ認識率を向上させる。
【解決手段】撮像部91により撮像された画像データに対して、画像処理前段部71によって印刷と認識の双方に共通の画像処理を行う。そして、この共通の画像処理が施された画像データに対して、印刷用画像処理部72によって印刷に適した画像処理を行うとともに、認識用画像処理部73によって認識に適した画像処理を並行して行う。印刷に適した画像処理が施された画像データは、印字部93に与える。認識に適した画像処理が施された画像データは認識部74に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像された画像データを帳票等に印刷出力するとともに、前記画像データの中からバーコード,文字列等の所定の情報を認識する画像処理装置及びこの装置の画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば書留郵便物のような流通物の配達に際しては、配達業務を管理するために配達証が作成されるようになっている。
【0003】
この配達証が用いられる流通物の配達管理業務を図7を参照して説明する。配達証とは、配達人が書留郵便物Aを配達した際、受取人から受領印を受け取るために使用されるもので、正・副の2通が帳票作成装置Bにより作成される。1通は配達証C1として受取人から該当書留郵便物Aを受け取ったことを証する受領印を受領印欄にもらうために書留郵便物に貼付される。そして、受取人により受領印が押印された後、郵便局へ持ち帰られて保管される。この受領印欄は図7では、配達証C1の右上部の正円である。もう1通は配達証原符C2として郵便局の控えとして局内に残される。そして、配達を終え受領印が押印されて持ち帰られた配達証C1と配達証原符C2とを照合して配達済否を確認する。このように配達業務を管理するために用いられる配達証に記載されるべき内容は、受取人の居所および氏名、引受局記号、引受番号、特殊扱いの文字、作成月日および時間帯、受領印欄および配達証の文字などである。また、書留郵便物Aは、流通過程のいずれの場所にあるかを管理するために固有の追跡コードがバーコードなどにより表記されている。このため、例えば、バーコードの内容を示す数字などのバーコード情報も配達証に表記する必要がある。
【0004】
このような配達証の作成は、郵便局の局内において、上述の帳票作成装置Bにより次のように行われる。すなわち帳票作成装置Bは、撮像有効範囲B1内に収まる書留郵便物Aを撮像し、その画像データから書留郵便物等の表面の複写画像を生成するとともに、撮像した画像データからバーコード情報を認識する。そして、この認識したバーコード情報に対応したバーコードと前記書留郵便物等の複写画像とを、作成月日、整理区分、一連番号その他の帳票に必要な情報とともに帳票にハードコピーして配達証を作成する。かくして、書留郵便物Aの複写画像と該書留郵便物Aに表記されているバーコード情報に対応したバーコードシンボルとがその他の必要情報とともに印刷された配達証を得ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここに、帳票作成装置Bは、撮像された画像データを帳票等に印刷出力するとともに、前記画像データの中からバーコードを認識する画像処理技術を有する。
【0006】
従来のこの種の画像処理技術における基本的構成を図6のブロック図にて示す。撮像部61にて撮像された被写体の画像データは、画像処理部62に与えられる。そして、シェーディング補正、コントラスト改善、細線強調、エッジ強調、下地除去等の画像処理が行われた後、認識部63と制御部64に与えられる。認識部63では、画像処理部62にて処理された画像データのなかからバーコード,文字列等の認識対象物が切り出され、その内容が認識される。認識部63にて認識された認識対象物の情報は、制御部64に与えられる。制御部64では、操作部65からの入力に従い、画像処理部62にて処理された画像データと認識部63にて認識された認識対象物の情報とから印刷画像データが生成される。そして印字部66により、この印刷画像データが記録媒体に印刷出力される。なお、画像処理部62,認識部63及び制御部64は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等の電子部品を主体に構成された制御ユニット67に組み込まれている。
【特許文献1】特許第2506715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のこの種の画像処理技術においては、認識部63は、画像処理部62にてコントラスト改善,細線強調,エッジ強調等の画像処理が施された撮像画像データの中から認識対象物を認識していたので、これらの画像処理によって認識対象物の画像にノイズが生じたり、認識対象物自体に細りや太りが発生したりして、認識時間の増加と認識率の低下を招くことがあった。
【0008】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、撮像された画像データの中からバーコード,文字列等の所定の情報を認識する際の認識時間の短縮と認識率の向上とを図り得る画像処理装置及び画像処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様である画像処理装置は、撮像手段により撮像された画像データに対して印刷と認識の双方に共通の画像処理を行う前段画像処理手段と、この前段画像処理手段により処理された画像データに対して印刷に適した画像処理を行い、処理された画像データを印字手段に与える印刷用画像処理手段と、前段画像処理手段により処理された画像データに対して認識に適した画像処理を行い、処理された画像データを認識手段に与える認識用画像処理手段とを備えたものである。このものにおいて、印刷用画像処理手段による画像処理と認識用画像処理手段による画像処理とを並行して行えることが望ましい。
【0010】
また、本発明の一態様である画像処理方法は、撮像手段により撮像された画像データを印字手段により印刷出力するとともに認識手段により前記画像データの中から所定の情報を認識する画像処理装置が、撮像手段により撮像された画像データに対して印刷と認識の双方に共通の画像処理を行う前段画像処理ステップと、この前段画像処理ステップにより処理された画像データに対して印刷に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記印字手段に与える印刷用画像処理ステップと、前段画像処理ステップにより処理された画像データに対して認識に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記認識手段に与える認識用画像処理ステップとを実行するもので、印刷用画像処理ステップと認識用画像処理ステップは並行して行う。
【発明の効果】
【0011】
かかる手段を講じた本発明によれば、撮像された画像データの中からバーコード,文字列等の所定の情報を認識する際の認識時間の短縮と認識率の向上とを図り得るとともに、画像データの印字品質向上をも図り得る画像処理装置及び画像処理方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
はじめに、請求項1,2及び5に対応した第1の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態は、書留郵便物等の流通物から、その流通物の配達を管理するために用いられる配達証を作成するための帳票作成装置に、本発明の画像処理技術を適用した場合である。
【0013】
図1は本実施の形態に係わる帳票作成装置1の概略的な機構を示す側面図であり、図2は同帳票作成装置1の概略的な機構を示す正面図である。
【0014】
帳票作成装置1には、複写しようとする流通物2を載置する複写テーブル3、流通物2の処理に必要な情報をセットし、その内容をモニタする操作ユニット4、複写テーブル3を複写に必要な明るさで照明する光源5、複写テーブル3の上方に位置する撮像ユニット6、帳票作成装置1全体の制御や画像データ等の一時的な記憶を行う制御ユニット7、流通物2の複写画像と該流通物2の撮像画像から読取ったバーコード情報とを必要な配達管理情報とともに媒体にハードコピーする印字ユニット8が設けられている。なお、複写テーブル3に配置した流通物2は、撮像ユニット6の撮像有効範囲と略一致するように図示している。
【0015】
流通物2は、例えば書留郵便物等のように配達記録扱いとなっているものである。流通物2には受取人の氏名および居所、引受局記号、引受番号、特殊扱いの文字等を含む受取人情報とともに、流通過程のいずれの場所にあるかを管理するために固有の追跡コードを示すバーコードが同一面に表記されている。なお、流通物2のサイズは図示したサイズのものに限られず種々のサイズがあり、また、受取人の居所および氏名などが表記されているエリアや配達管理を行うためのバーコードが表記されているエリアも様々なものがある。
【0016】
撮像ユニット6には、被写体である流通物2からの入射光を反射させる反射ミラー6a、反射ミラー6aからの反射光を結像する結像レンズ6bおよび結像レンズ6bで結像した流通物2の像を撮像するCCD(チャージ・カップルド・デバイス)などの撮像素子6cが組み込まれている(撮像手段)。
【0017】
操作ユニット4には、オペレータに必要な情報を表示するための表示ディスプレイと、数値キーや機能キーなどの各種キーが配置された操作部としてのキーボード及び各種スイッチ類が組み込まれている。機能キーの中には、複写テーブル3に載置された流通物2の撮像開始を指令するためのスタートキー、操作の取消を指令するための取消キー等が含まれる。
【0018】
印字ユニット8は例えばレーザプリンタであり、印字ユニット8内の各部を制御する出力制御用のCPU、レーザスキャナユニット制御回路、ポリゴンモータ駆動回路やレーザ発振回路などからなるレーザスキャナユニット、各種位置センサ、印字ユニット8を駆動させるための駆動系制御回路、表面電位センサ、帯電、現像、転写の用に供する高圧系制御回路などが組み込まれている(印字手段)。
【0019】
制御ユニット7は、CPU,ROM,RAM等の電子部品を主体に構成されている。この制御ユニット7の要部構成を図3のブロック図にて示す。図示するように、制御ユニット7には、画像処理前段部71、印刷用画像処理部72、認識用画像処理部73、認識部74及び制御部75が組み込まれている。
【0020】
画像処理前段部71は、撮像部90から与えられる流通物2の画像データに対して印刷と認識の双方に共通の画像処理、例えばシェーディング補正等を行う部位である(前段画像処理手段)。なお、撮像部90は、撮像ユニット6の撮像素子6cから出力されるアナログ信号をディジタル信号に変換してディジタル画像データを得る部位であり、撮像ユニット6に組み込まれていてもよいし、制御ユニット7に組み込まれていてもよい。
【0021】
印刷用画像処理部72は、画像処理前段部71にて処理された画像データに対して、さらに印刷に適した画像処理、例えばコントラスト改善,細線強調,エッジ強調,下地除去等を行う部位であり、処理後の画像データは制御部75を介して印字部93に与えられる(印刷用画像処理手段)。
【0022】
認識用画像処理部73は、画像処理前段部71にて処理された画像データに対して、さらにバーコード等の認識対象物の認識に適した画像処理、例えば認識対象物とみなされない画素を除去する等の画像処理を行う部位であり、処理後の画像データは認識部74に与えられる(認識用画像処理手段)。
【0023】
認識部74は、認識用画像処理部73にて処理された画像データのなかからバーコード等の認識対象物を切り出し、その内容を認識する部位であり、認識された認識対象物の情報は制御部75に与えられる(認識手段)。
【0024】
制御部75は、操作ユニット4におけるキーボード等の操作部92を介して撮像開始が指令されると、撮像ユニット6内の各部を制御して複写テーブル3に載置された流通物2の撮像を行わせる。また、印刷用画像処理部72から与えられる流通物2の画像データを、予め操作部92を介して設定される配達管理情報とともに印字部93の画像メモリに記憶させる。さらに、認識部74にて認識されたバーコード等の認識対象物の情報から認識対象物を復元し、画像メモリに記憶させる。なお、印字部93は、印字ユニット8のレーザスキャナを動作させて画像メモリの内容をレーザ光を変調する形で感光体に書込み、帳票にハードコピーする部位であり、印字ユニット8に組み込まれていてもよいし、制御ユニット7に組み込まれていてもよい。
【0025】
かかる構成の帳票作成装置1においては、操作ユニット4のキーボード操作により配達証の作成月日や整理番号などの配達管理情報が設定されると、制御部75が、この設定された配達管理情報をRAMに記憶する。
【0026】
次いで、スタートキーが入力されると、撮像ユニット6が複写テーブル3に載置された流通物2を撮像する。すなわち、流通物2は光源5からの光照射を受け、反射ミラー6aを経て結像レンズ6bにより撮像素子6c上にその複写画像を結ぶ。なお、撮像ユニット6の撮像有効範囲には、少なくとも流通物2の受取人情報と追跡コード用のバーコードが表記されたエリアが入るように、複写テーブル3に流通物2が載置されている。
【0027】
これにより、撮像素子6cが順次光エネルギを電気エネルギに変換し、撮像部91が電気エネルギのアナログ量をディジタル量に変換して、画像処理前段部71へ撮像画像データとして送出する。送出された撮像画像データは、画像処理前段部71によってシェーディング補正等の画像処理の一部が施される(前段画像処理ステップ)。そして、この画像処理が施された撮像画像データは、印刷用画像処理部72と認識用画像処理部73とに並列的に送出される。
【0028】
これにより、印刷用画像処理部72では、さらにコントラスト改善,細線強調,エッジ強調,下地除去等の残りの画像処理が施される。そして、これらの画像処理がすべて施された撮像画像データは、制御部75を介して印字部93の画像メモリに記憶される(印刷用画像処理ステップ)。このとき、制御部75のRAMに記憶されていた配達管理情報も合わせて画像メモリに記憶される。
【0029】
また、認識用画像処理部73では、シェーディング補正等の一部の画像処理が施された撮像画像データに対し、認識対象物である追跡コード用のバーコードとみなされない画素を除去する等の画像処理が施される(認識用画像処理ステップ)。そして、この画像処理が施された撮像画像データは、認識部74に送出される。
【0030】
これにより、認識部74では、送出された撮像画像データの中からバーコード部分が切出され、このバーコード部分が解析されて2値のバーコード情報が得られる。そして、この2値のバーコード情報がデコードされて数字,アルファベット等の文字にコード化され、このコード情報が制御部75に送出される。
【0031】
これにより、制御部75では、認識部74から与えられたコード情報からバーコードを復元し、そのバーコードシンボルの画像データを印字部93の画像メモリに記憶する。かくして、印字部93により印字ユニット8が制御されて、画像メモリの内容が帳票にハードコピーされ、流通物2に対する配達証が作成される。
【0032】
このように本実施の形態によれば、撮像部91にて撮像された画像データを、画像処理前段部71で印刷と認識の双方に共通の画像処理を行った後、この共通の画像処理が施された画像データに対して、印刷用画像処理部72で印刷に適した残りの画像処理を行うとともに、認識用画像処理部73でバーコードの認識に適した格別な画像処理を行うようにしたので、シェーディング補正のみならずコントラスト改善,細線強調,エッジ強調等の画像処理が施された撮像画像データの中から認識対象物を認識していた従来と比較して、バーコードの画像にノイズが生じたり、バーコード自体に細りや太りが発生したりすることがなく、バーコード認識時間の短縮及び認識率の向上を図ることができる。
【0033】
また、撮像された流通物2の複写画像データに対しては、シェーディング補正だけでなくコントラスト改善,細線強調,エッジ強調等の印刷に特化した画像処理が施されるので、高い印字品質を確保できる効果も奏する。
【0034】
しかも、印刷用の画像処理と認識用の画像処理とが同時に並行して行われるので、画像処理に要する処理時間を短縮できる効果も奏する。
【0035】
さらに、撮像部91,操作部92及び印字部93は、従来例として説明した図6の撮像部61,操作部65及び印字部66と同等のものである。また、制御ユニット7内の認識部74及び制御部75も、同じく制御ユニット67内の認識部63及び制御部64と同等のものである。したがって、従来例の画像処理部62を、画像処理前段部71,印刷用画像処理部72及び認識用画像処理部73に区分するだけで前述したような優れた効果を得られるので、コストパフォーマンスが高い利点もある。
【0036】
なお、本実施の形態では、印刷用画像処理部72と認識用画像処理部73に対して共通に画像処理前段部71を設けたが、印刷用画像処理部72と認識用画像処理部73に対してそれぞれに同一の画像処理を行う画像処理前段部71を設けてもよい。
【0037】
次に、請求項3,4及び6に対応した第2の実施の形態について説明する。なお、この第2の実施の形態も、第1の実施の形態と同様に帳票作成装置1に本発明の画像処理技術を適用した場合であり、帳票作成装置1の機構は第1の実施の形態と同一なので、図1及び図2を用いてその説明は省略する。
【0038】
図4は第2の実施の形態における制御ユニット7の要部構成を示すブロック図であり、図3の第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付している。図示するように、制御ユニット7には、画像処理部76、ページメモリ77、認識部74及び制御部75が組み込まれている。
【0039】
ページメモリ77は、撮像部91にて撮像され、画像処理部76にて画像処理が施された画像データを一時的に保持するためのものであり、例えばRAMで形成されている。
【0040】
画像処理部76は、図5の流れ図に示す手順で動作するものである。すなわち、画像処理部76は、撮像部91にて撮像された画像データが入力されるのを待機している(P1)。そして、画像データが入力されたならば、第1の実施の形態の画像処理前段部71にて実行される画像処理と同様に、入力された画像データに対して印刷と認識の双方に共通の画像処理、例えばシェーディング補正等を行う(P2:前段画像処理ステップ)。そして、この前段の画像処理を終えたならば、画像処理部76は画像処理済の画像データをページメモリ77に記憶する(P3:画像データ記憶ステップ)。
【0041】
次に、画像処理部76は、ページメモリ77から前段の画像処理が施された画像データを読み込む(P4)。そして、この画像データに対して、第1の実施の形態の印刷用画像処理部72にて実行される画像処理と同様に、さらにコントラスト改善,細線強調,エッジ強調,下地除去等の残りの画像処理を実行する(P5:印刷用画像処理ステップ)。しかる後、この印刷用画像処理が施された画像データを制御部75に送出する(P6)。
【0042】
次に、画像処理部76は、再度、ページメモリ77から前段の画像処理が施された画像データを読み込む(P7)。そして、この画像データに対して、第1の実施の形態の認識用画像処理部73にて実行される画像処理と同様に、さらにバーコード等の認識対象物の認識に適した画像処理、例えば認識対象物とみなされない画素を除去する等の画像処理を実行する(P8:認識用画像処理ステップ)。しかる後、この認識用画像処理が施された画像データを認識部74に送出する(P9)。
【0043】
ここに、画像処理部76は、前段画像処理手段,印刷用画像処理手段及び認識用画像処理手段としての機能を有する。すなわち画像処理部76は、前段画像処理手段,印刷用画像処理手段及び認識用画像処理手段を時分割で実行する。
【0044】
認識部74は、認識用画像処理部73にて処理された画像データのなかからバーコード等の認識対象物を切り出し、その内容を認識する(認識手段)。認識された認識対象物の情報は制御部75に与えられる。
【0045】
制御部75は、操作部92を介して撮像開始が指令されると、撮像ユニット6内の各部を制御して複写テーブル3に載置された流通物2の撮像を行わせる。また、画像処理部76から与えられる流通物2の画像データを、予め操作部92を介して設定される配達管理情報とともに印字部93の画像メモリに記憶させる。さらに、認識部74にて認識されたバーコード等の認識対象物の情報から認識対象物を復元し、画像メモリに記憶させる。
【0046】
印字部93は、印字ユニット8のレーザスキャナを動作させて画像メモリの内容をレーザ光を変調する形で感光体に書込み、帳票にハードコピーする。
【0047】
このように構成された第2の実施の形態の帳票作成装置1においても、撮像部91にて撮像された画像データに対して、印刷と認識の双方に共通の画像処理を行った後、この共通の画像処理が施された画像データに対して、印刷に適した残りの画像処理を行うとともに、バーコードの認識に適した格別な画像処理を行うようにしたので、バーコード認識時間の短縮及び認識率の向上を図ることができる。また、高い印字品質を確保できる効果も奏する。
【0048】
しかも、制御ユニット7内の認識部74及び制御部75のみならず、画像処理部76も従来の画像処理部62の画像処理機能をそのまま適用できるので、ページメモリ77の追加のみで前述したような優れた効果を得られることになる。したがって、第1の実施の形態よりもさらに高いコストパフォーマンスが得られる利点がある。
【0049】
なお、この第2の実施の形態では、画像処理部76は、ページメモリ77から読み込んだ画像データに対して先に印刷用画像処理を施し、続いて認識用画像処理を施したが、先に認識用画像処理を施し、続いて印刷用画像処理を施しても同様な作用効果を奏するものである。すなわち図5において、P5,P6の処理ステップとP8,P9の処理ステップとを入れ替えて実施するようにしてもよい。
【0050】
なお、この発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0051】
例えば、前記各実施の形態では、印刷と認識の双方に共通の画像処理の一例としてシェーディング補正を示したが、印刷と認識の双方に共通の画像処理はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設計変更できるものである。例えば、コントラスト改善や縮尺補正等の画像処理を印刷と認識の双方に共通の画像処理として実行してもよい。また、印刷に適した画像処理の一例としてコントラスト改善,細線強調,エッジ強調及び下地除去を示したが、印刷に適した画像処理もこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設計変更できるものである。例えばコントラスト改善,細線強調,エッジ強調及び下地除去の中の一部だけであってもよい。同様に、認識に適した画像処理の一例として認識対象物とみなされない画素を除去する画像処理を示したが、認識に適した画像処理もこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設計変更できるものである。
【0052】
また、この発明は帳票作成装置1に対する画像処理技術だけに限定されるものではなく、撮像画像データからバーコード以外の認識対象物、例えば二次元コード,文字列コード等を認識する装置の画像処理技術にも適用することで、同様な作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係わる帳票作成装置の概略的な機構を示す側面図。
【図2】同帳票作成装置の概略的な機構を示す正面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における帳票作成装置の制御ユニットの要部構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第2の実施の形態における帳票作成装置の制御ユニットの要部構成を示すブロック図。
【図5】同第2の実施の形態における帳票作成装置の制御ユニットに組み込まれた画像処理部の主要な処理手順を示す流れ図。
【図6】従来の画像処理技術における基本的構成を示すブロック図。
【図7】従来例における配達管理業務の例を示す模式図。
【符号の説明】
【0054】
1…帳票作成装置、2…流通物、3…複写テーブル、4…操作ユニット、6…撮像ユニット、7…制御ユニット、8…印字ユニット、71…画像処理前段部、72…印刷用画像処理部、73…認識用画像処理部、74…認識部、75…制御部、76…画像処理部、77…ページメモリ、91…撮像部、92…操作部、93…印字部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段により撮像された画像データを印字手段により印刷出力するとともに認識手段により前記画像データの中から所定の情報を認識する画像処理装置において、
前記撮像手段により撮像された画像データに対して印刷と認識の双方に共通の画像処理を行う前段画像処理手段と、
この前段画像処理手段により処理された画像データに対して印刷に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記印字手段に与える印刷用画像処理手段と、
前記前段画像処理手段により処理された画像データに対して認識に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記認識手段に与える認識用画像処理手段と、
を具備したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷用画像処理手段と前記認識用画像処理手段は、前記前段画像処理手段により処理された画像データに対して並行して各々の画像処理を実行することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
撮像手段により撮像された画像データを印字手段により印刷出力するとともに認識手段により前記画像データの中から所定の情報を認識する画像処理装置において、
前記撮像手段により撮像された画像データに対して印刷と認識の双方に共通の画像処理を行う前段画像処理手段と、
この前段画像処理手段により処理された画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
この画像データ記憶手段により記憶された画像データに対して印刷に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記印字手段に与える印刷用画像処理手段と、
前記画像データ記憶手段により記憶された画像データに対して認識に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記認識手段に与える認識用画像処理手段と、
を具備したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記前段画像処理手段,印刷用画像処理手段及び認識用画像処理手段は、共通の画像処理部において時分割で実行することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
撮像手段により撮像された画像データを印字手段により印刷出力するとともに認識手段により前記画像データの中から所定の情報を認識する画像処理装置の画像処理方法であって、
前記画像処理装置は、
前記撮像手段により撮像された画像データに対して印刷と認識の双方に共通の画像処理を行う前段画像処理ステップと、
この前段画像処理ステップにより処理された画像データに対して印刷に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記印字手段に与える印刷用画像処理ステップと、
前記前段画像処理ステップにより処理された画像データに対して認識に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記認識手段に与える認識用画像処理ステップとを具備し、
前記印刷用画像処理ステップと前記認識用画像処理ステップとを並行して行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
撮像手段により撮像された画像データを印字手段により印刷出力するとともに認識手段により前記画像データの中から所定の情報を認識する画像処理装置の画像処理方法であって、
前記画像処理装置は、
前記撮像手段により撮像された画像データに対して印刷と認識の双方に共通の画像処理を行う前段画像処理ステップと、
この前段画像処理ステップにより処理された画像データを記憶する画像データ記憶ステップと、
この画像データ記憶ステップにより記憶された画像データに対して印刷に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記印字手段に与える印刷用画像処理ステップと、
前記画像データ記憶手段により記憶された画像データに対して認識に適した画像処理を行い、処理された画像データを前記認識手段に与える認識用画像処理ステップと、
を具備したことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−244160(P2006−244160A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59231(P2005−59231)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】