説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】画像データにおける不用データの部分を簡便に削除することができる画像処理装置及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】X線CT装置20から得られた画像データから3次元画像データを生成する画像データ生成部31と、3次元画像データ上に指定された始点の画素及びこの画素と隣り合い且つ予め設定された画素値範囲内の画素を逐次抽出する全領域抽出部33と、全領域抽出部33で抽出された全領域の内の進捗度設定部35で設定された進捗度に対応する領域の進捗度を設定する進捗度設定部35と、3次元画像データの処理を行う処理部32とを備え、処理部32は、進捗度設定部35で設定された進捗度に対応する抽出領域又は抽出領域外を削除する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断装置から得られた画像データを処理して画面上に表示する画像処理装置及び画像処理方法に係り、特に3次元画像データを処理する画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置などの画像診断装置による撮影から得られたボリュームデータを処理し、ボリュームレンダリング法などによる3次元画像データやこの3次元画像データの複数方向からの断層像データにより表されるMPR(Multi・Planar・Reconstruction)画像データなどを生成して表示する画像処理装置がある。
【0003】
この画像処理装置では、例えばX線CT装置から得られたボリュームデータの構成単位である画素が持つ画素値に例えば透明度や色の表示条件を割り当てることにより、その透明度や色に応じたボリュームレンダリング法による3次元画像データが表示部に表示される。
【0004】
ところで、診断に必要な画像データが例えば血管のデータである場合、X線吸収係数の大きい造影剤を被検体の血管に注入してから、X線CT装置によるX線撮影が行われる。そして、造影剤を含む血管データの画素値以上に画素値の範囲を設定し、設定した画素値範囲の画素値を有する画素を抽出することにより、X線撮影で得られた画像データから血管以外の不用な器官のデータを除くことができる。
【0005】
しかしながら、設定した画素値範囲の抽出により、その画素値以上の広い範囲に亘って画素値を有する観察に不用な骨のデータまでも抽出されるため、不用データが邪魔をして有用なデータを観察することができない問題がある。この問題を解決するため、連結領域抽出方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この連結領域抽出方法によれば、画像データ上に始点を指定する始点指定操作を行った後、連結領域抽出操作を行うことにより、画像データ上に指定された始点の画素が設定した画素値範囲に含まれる場合、始点の画素及びこの画素と隣り合い且つ画素値範囲内の画素を逐次抽出することができる。この連結領域の抽出により、不用データの同一組織の輪郭領域を抽出し、抽出した領域の削除操作を行うことにより、画像データから不用データを削除することができる。
【特許文献1】特開平7−299060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、有用なデータが造影剤を注入した血管のデータである場合、骨と血管が結合している部位など不用データの画素値が有用データの画素値と近似又は重複している領域では、不用データの抽出操作を行ったときに有用データまでも抽出されるので、抽出した状態を一旦リセットして画素値範囲を変更した後に抽出操作を行う作業を必要とし、手間がかかる問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、画像データの不用な部分を簡便に削除することができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、請求項1に係る本発明の画像処理装置は、画像診断装置から得られた画像データから3次元画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データの画素上に始点を指定する始点指定手段と、前記始点指定手段により指定された始点の画素の画素値が予め設定された画素値範囲内であるとき、前記始点の画素及びこの画素と隣り合い且つ前記画素値範囲内の画素を逐次抽出する全領域抽出手段と、前記全領域抽出手段により抽出された全領域の内の前記始点を含む領域の進捗度を設定する進捗度設定手段と、前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データの前記進捗度設定手段により設定された進捗度に対応する抽出領域又はこの抽出領域以外の領域を削除する処理を行う処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る本発明の画像処理方法は、画像診断装置から得られた画像データから3次元画像データを画像データ生成手段により生成し、前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データの画素上に始点を始点指定手段により指定し、前記始点指定手段により指定された始点の画素の画素値が予め設定された画素値範囲内であるとき、前記始点の画素及びこの画素と隣り合い且つ前記画素値範囲内の画素を全領域抽出手段より逐次抽出し、前記全領域抽出手段により抽出された全領域の内の前記始点を含む領域の進捗度を進捗度設定手段により設定し、前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データの前記進捗度設定手段により設定された進捗度に対応する抽出領域又はこの抽出領域以外の領域を処理手段により削除する処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像データの連結領域を抽出し、抽出した全領域の内の抽出領域の進捗度を設定することにより、設定した進捗度に対応する抽出領域又はこの抽出領域外の領域を削除することができる。これにより、前記画像データの不用な部分を簡便に削除することができるので、迅速に画像診断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明による画像処理装置の実施例を説明する。本発明の画像処理装置は、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置等の画像診断装置から得られた画像データの処理及び表示を行うためのものであり、ここではX線CT装置により得られた画像データの処理及び表示を行う画像処理装置に適用した場合について説明する。これに限らず、画像診断装置の内部に実施例の画像処理装置を組み込み、画像診断装置の制御に基づいて動作させてもよい。
【実施例】
【0013】
以下に、本発明による画像処理装置の実施例を図1乃至図8を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例に係る画像処理装置の構成を示したブロック図である。この画像処理装置10は、X線CT装置20から送信される画像データを受信するインターフェース1と、インターフェース1で受信した画像データを保存する画像データ記憶部2と、画像データ記憶部2に保存された画像データを読み出して3次元画像データの生成や処理を行う画像データ処理部3と、画像データ処理部3で生成及び処理された3次元画像データを表示する表示部4と、3次元画像データの生成や処理に関する諸条件の入力や各種コマンドの入力を行う操作部5と、インターフェース1、画像データ記憶部2、画像データ処理部3、及び表示部4を統括して制御する制御部6とを備えている。
【0014】
インターフェース1は、X線CT装置20に接続され、被検体の撮影によりX線CT装置20から送信された複数スライスの断層像データやボリュームデータなどの画像データを受信する。画像データ記憶部2は、磁気ディスクなど記憶デバイスを備え、インターフェース1を介してX線CT装置20から得られた画像データを保存する。
【0015】
画像データ処理部3は、画像データ記憶部2に保存された画像データから3次元画像データを生成する画像データ生成部31と、画像データ生成部31で生成された3次元画像データの処理を行う処理部32と、画像データ生成部31で生成された3次元画像データや処理部32で処理された3次元画像データ上の指定された画素の連結領域を抽出し、抽出した全領域の全抽出領域データを生成する全領域抽出部33と、全領域抽出部33で抽出された全領域の内の設定された割合(進捗度)の領域(抽出領域)の抽出領域データを生成する領域抽出部34とを備えている。
【0016】
なお、断層像データを構成する最小単位のピクセルデータや、ボリュームデータを構成する最小単位のボクセルデータを総称して画素と呼ぶ。この画素は、画素値(X線CT装置20ではCT値と呼ぶ)を有する。
【0017】
表示部4は、液晶パネル或いはCRTのモニタ等を備え、画像データ処理部3の画像データ生成部31で生成された3次元画像データや処理部32で処理された3次元画像データを表示する。
【0018】
操作部5は、キーボード、トラックボール、マウスなどの入力デバイスや、各種スイッチ等を備えたインターラクティブなインターフェースであり、表示部4に3次元画像データを表示させるための操作、各種コマンドの入力操作等を行う。そして、3次元画像データを表示させるための操作には、画素値範囲設定操作、画像データ選択操作、表示条件設定操作、始点指定操作、進捗度設定操作、抽出領域又は抽出領域外の削除操作、切り取り操作、表示方向設定操作などがある。
【0019】
制御部6は、図示しないCPUと記憶回路61とを備え、操作部5からの操作による入力情報に基づいてインターフェース1、画像データ記憶部2、画像データ処理部3、及び表示部4の制御などシステム全体の制御を行う。そして、記憶回路61には、操作部5からの様々な操作により入力された情報が保存される。
【0020】
次に、図1及び図2を参照して画像データ処理部3における動作の詳細を説明する。
画像データ処理部3の画像データ生成部31は、操作部5から画像データ記憶部2に保存された画像データの中から所望の画像データを選択する操作が行われると、その選択された画像データを画像データ記憶部2から読み出す。そして、読み出した画像データが複数スライスの断層像データである場合、複数スライスの断層像データを再構成してボリュームデータを生成する。
【0021】
次いで、読み出した又は生成したボリュームデータの予め設定された画素値範囲内の画素値を有する画素を抽出し、抽出した画素から更に予め設定された表示条件に基づいて例えばボリュームレンダリング法による3次元画像データを生成する。そして、生成した3次元画像データを全領域抽出部33及び処理部32に出力する。
【0022】
全領域抽出部33は、操作部5から始点を指定する始点指定操作が行われると、画像データ生成部31から出力された3次元画像データや処理部32から出力された3次元画像データ上に指定された始点の画素が有する画素値が予め設定された画素値範囲内である場合、始点の画素及びこの画素と隣り合い且つ前記画素値範囲に含まれる画素を逐次抽出する連結抽出により、抽出した全領域の例えば画素の座標情報である全抽出領域データを生成して領域抽出部34に出力する。
【0023】
また、指定された始点の画素値が画素値範囲から外れている場合、「3次元画像データ上の始点からは抽出することができません」などの注意情報を作成し、処理部32を介して表示部4に表示する。
【0024】
領域抽出部34は、画像データ生成部31で生成された3次元画像データや処理部32で処理された3次元画像データの全領域抽出部33で抽出された全領域の内の抽出する領域の割合である進捗度を設定する進捗度設定操作が行われると、全領域抽出部33で抽出された全領域内に、設定された進捗度に対応する始点の画素を含む所定の領域を設定する。この所定の領域は、全領域を100%とし、単位が%で設定される進捗度に対応する。そして、設定した抽出領域の例えば画素の座標情報である抽出領域データを生成して処理部32に出力する。
【0025】
処理部32は、画像データ生成部31から出力された3次元画像データの処理を行う。また、画像データ生成部31で生成された3次元画像データや処理した3次元画像データの進捗度を設定するための入力デバイス及び設定された進捗度を表示部4に表示するための進捗度設定部を作成する。そして、画像データ生成部31で生成された3次元画像データや処理した3次元画像データ、及び作成した進捗度設定部を表示部4に出力する。
【0026】
ここで、画像データ選択操作に応じて画像データ生成部31から出力された3次元画像データ及び進捗度を0%に設定した進捗度設定部を表示部4に出力する。
【0027】
また、進捗度設定操作に応じて領域抽出部34から出力された抽出領域データに基づいて、画像データ生成部31から出力された3次元画像データや処理した3次元画像データの抽出領域を識別する処理を行った3次元画像データ、及び制御部6から供給される進捗度に設定した進捗度設定部を表示部4に出力する。
【0028】
更に、識別処理した3次元画像データの抽出領域又はこの抽出領域以外の領域である抽出領域外の削除操作が操作部5から行われると、その3次元画像データから抽出領域又は抽出領域外を削除する処理を行う。また3次元画像データの進捗度の設定による抽出では困難な画素の不用範囲を指定する切り取り操作が行われると、その3次元画像データの指定された不用範囲を削除する処理を行う。そして、抽出領域又は抽出領域外や、不用範囲を削除した3次元画像データ及び進捗度を0%に設定した進捗度設定部を表示部4に出力する。なお、これらの削除は、例えば削除対象の画素の値を空気の画素値に置換することにより行われる。
【0029】
更にまた、操作部5から表示方向設定操作が行われると、画像データ生成部31から出力された3次元画像データや、処理した3次元画像データを、正面方向、右側面方向、左側面方向、背面方向などから見た3次元画像データに設定する処理を行う。そして、処理した3次元画像データ及び進捗度を0%に設定した進捗度設定部を表示部4に出力する。
【0030】
図2は、表示部4に表示される進捗度設定部の構成を示した図である。この進捗度設定部35は、進捗度を設定するための入力デバイスであるスライダ35aと、このスライダ35aの両側に配置した進捗度を設定するための入力デバイスである微調整ボタン35b及び微調整ボタン35cと、設定した進捗度を表示するための進捗度表示エリア35dと、設定した進捗度における3次元画像データの抽出領域を削除するための抽出領域削除ボタン35eと、抽出領域外を削除するための抽出領域外削除ボタン35fとにより構成される。
【0031】
そして、操作部5から画像データ選択操作、進捗度設定操作、抽出領域又は抽出領域外の削除操作、切り取り操作、表示方向設定操作等が行われたときに、3次元画像データと共に表示部4に表示される。
【0032】
スライダ35aは、操作部5のマウスを用いた右移動へのドラッグ操作により進捗度を粗調整により進行させて設定し、左移動へのドラッグ操作により進捗度を粗調整により後退させて設定する機能を有する。
【0033】
微調整ボタン35bは、操作部5のマウスを用いた例えば1クリック操作によりスライダ35aを右方向に移動させ、進捗度を微調整により1%進行させて設定する機能を有する。また、微調整ボタン35cは、操作部5のマウスを用いた1クリック操作によりスライダ35aを左方向に移動させ、進捗度を微調整により1%後退させて設定する機能を有する。
【0034】
そして、スライダ35a、各微調整ボタン35b,35cによる進捗度設定操作が行われると、領域抽出部34は、制御部6から供給される進捗度の情報に基づいて、抽出領域データを生成する。
【0035】
進捗度表示エリア35d内には、スライダ35aの位置に対応する進捗度が表示される。そして、スライダ35aを左端部まで移動したときに「0%」が表示され、右端部まで移動したときに全領域に対応する「100%」が表示される。なお、操作部5から画像データ選択操作、抽出領域又は抽出領域外の削除操作、削除操作などが行われると、3次元画像データと共に進捗度がリセットされ、「0%」に設定された進捗度設定部35が表示部4に表示される。
【0036】
抽出領域削除ボタン35eは、操作部5の例えばマウスを用いたクリック操作により、スライダ35aにより設定された進捗度に対応する抽出領域を削除する機能を有する。また、抽出領域外削除ボタン35fは、操作部5のマウスを用いたクリック操作により、スライダ35aにより設定された進捗度に対応する抽出領域外を削除する機能を有する。
【0037】
以下、図1乃至図8を参照して、画像処理装置10の動作の一例を説明する。X線CT装置20では、血管の観察をするためにX線吸収係数の大きい造影剤を被検体の血管内に注入した状態で撮影が行われる。そのX線CT装置20から得られたボリュームデータから、血管データのみを抽出した3次元画像データが得られるまでの画像処理装置10の操作及び動作を以下に説明する。
【0038】
図3は、画像処理装置10の動作を示したフローチャートである。画像処理装置10の操作者により、造影剤が注入された被検体の血管データを抽出するために画素値範囲を例えば150以上に設定する操作、及び表示条件を設定する操作が操作部5から行われると、画像処理装置10は画像処理の動作を開始する(ステップS1)。
【0039】
制御部6は、操作部5から画素値範囲及び表示条件設定操作により入力された画素値範囲及び表示条件の情報を記憶回路61に保存する(ステップS2)。
【0040】
操作部5から画像データ選択操作が行われると、画像データ処理部3の画像データ生成部31は、画像データ記憶部2から選択された例えばボリュームデータを読み出す。次いで、制御部6から供給される画素値範囲及び表示条件の情報に基づいて3次元画像データを生成し、生成した3次元画像データを全領域抽出部33及び処理部32に出力する。処理部32は、画像データ生成部31から出力された3次元画像データ及び進捗度を0%に設定した進捗度設定部35を表示部4に表示する(ステップS3)。
【0041】
図4は、表示部4に表示される3次元画像データ及び進捗度設定部35の一例を示した図である。この3次元画像データ41は、正面方向から見た血管及び骨のデータからなり、造影剤が注入された血管データ及び骨データを構成している画素の値よりも低い画素で構成される各器官のデータを含んでいない。また、進捗度設定部35には、3次元画像データ41の進捗度である「0%」が表示されている。
【0042】
このように、3次元画像データ41と共に進捗度設定部35を表示部4に表示することができる。
【0043】
次に、表示部4に表示された3次元画像データ41の不用である骨データの画素を指定する始点指定操作が操作部5から行われると、全領域抽出部33は、3次元画像データ41上の指定された例えば図4に示した始点42の画素値が、制御部6から供給される画素値範囲内であるか否かを判定する(図3のステップS4)。
【0044】
そして、始点42の画素値が画素値範囲内である場合(図3のステップS5のはい)、ステップS6に移行する。また、始点42の画素値が画素値範囲から外れている場合(図3のステップS5のいいえ)、注意情報を作成して表示部4に表示する(図3のステップS7)。その後、ステップS4に戻る。
【0045】
ステップS5の「はい」の後に、全領域抽出部33は、始点42の画素が有する画素値及び始点42の画素と隣り合い且つ画素値範囲に含まれる画素を逐次抽出した後、全抽出領域データを生成して領域抽出部34に出力する(図3のステップS6)。
【0046】
次に、表示部4に表示された進捗度設定部35の例えばスライダ35aを右方に移動させて進捗度を設定する進捗度設定操作が行われると、領域抽出部34は、全領域抽出部33から出力された全抽出領域データに基づいて、設定された進捗度に対応する抽出領域データを生成して処理部32に出力する。
【0047】
処理部32は、領域抽出部34から出力された抽出領域データに基づいて、画像データ生成部31から出力された3次元画像データ41の抽出領域を識別する処理を行う。そして、抽出領域を識別した3次元画像データ及び制御部6から供給されるその3次元画像データの抽出領域に対応する進捗度に設定した進捗度設定部35を表示部4に表示する(図3のステップS8)。
【0048】
そして、操作部5からの操作により進捗度を進行させながら表示部4に表示された3次元画像データの識別された抽出領域が、例えば骨と血管が結合している部位の近傍に達したときに、進捗度を停止する。このときの進捗度が例えば15%であると、表示部4には進捗度が15%に設定された進捗度設定部35、及びこの進捗度に対応する抽出領域を識別した3次元画像データを表示部4に表示する。
【0049】
図5は、表示部4に表示される抽出領域を識別した3次元画像データ及び進捗度設定部35の一例を示した図である。この3次元画像データ43aには、3次元画像データ41の進捗度が15%に設定された不用な骨データの一部である抽出領域44aが識別して表示される。また、進捗度設定部35には、抽出領域44aに対応する進捗度である「15%」が表示される。
【0050】
このように、進捗度を設定することにより、設定した進捗度に対応する抽出領域44aが識別された3次元画像データ43aを表示部4に表示することができる。
【0051】
次に、3次元画像データ43aの抽出領域44aを削除するために、表示部4に表示された進捗度設定部35の抽出領域削除ボタン35eをクリックする削除操作が操作部5から行われると、処理部32は、3次元画像データ43aの抽出領域44aを削除する処理を行う。そして、図6に示すように、抽出領域44aを削除した3次元画像データ43b及び進捗度を0%に設定した進捗度設定部35を表示部4に表示する(図3のステップS9)。
【0052】
このように、3次元画像データ43aから設定した進捗度に対応する抽出領域44aを削除することができる。
【0053】
次に、3次元画像データ43bの削除部分の近傍の骨データに隠れている例えば骨と結合している血管データを観察するために、操作部5から3次元画像データ43bを左側面表示方向に設定する操作が行われると、処理部32は、3次元画像データ43bを左側面方向から見た3次元画像データに設定する。そして、左側面方向から見た3次元画像データ及び進捗度を0%に選定した進捗度設定部35を表示部4に表示する。
【0054】
図7は、表示部4に表示される左側面方向から見た3次元画像データ及び進捗度設定部35の一例を示した図である。この3次元画像データ43cには、例えば骨によって隠れていた骨に結合している血管データが含まれている。
【0055】
このように、設定した進捗度の抽出領域を削除することにより、骨データなどの不用データに隠れていた血管データなどの有用データを表示することができる。
【0056】
次に、表示部4に表示された3次元画像データ43cの観察により、この3次元画像データ43cに不用データが含まれているか否かの判断が行われる。そして、不用データを含んでいないと判断された場合、ステップS11に移行する。また、不用データが含まれていると判断された場合、進捗度の設定により不用データの抽出が容易であるか否かの判断が行われる。
【0057】
そして、不用データの抽出が容易である判断された場合、更に不用データを削除するためにステップS4に戻る。また、骨と血管の結合の不用データと有用データの画素値が近似しているためこのままでは不用データの抽出が困難である判断された場合、不用データの画素を抽出するための画素値範囲に更新した後、進捗度を設定して不用データの削除が行われる。更に、骨と血管の結合の不用データと有用データの画素値が重複し、画素値範囲の更新により不用データの抽出が不可能であると判断された場合、不用範囲を指定する切り取り操作が操作部5から行われる。
【0058】
処理部32は、3次元画像データ43cから不用範囲を削除する処理を行う。そして、不用データを削除した3次元画像データ及び進捗度を0%に設定した進捗度設定部35を表示部4に表示する(図3のステップS10)。その後、ステップS4に戻る。
【0059】
そして、ステップS9の後に不用データを含んでいないと判断された場合、処理部32から出力された不用データを含まない3次元画像データ及び進捗度0%に設定された進捗度設定部35が表示される。
【0060】
図8は、表示部4に表示される不用データを含まない3次元画像データ及び進捗度設定部35の一例を示した図である。この3次元画像データ43dは、図4に示した3次元画像データ41から骨データが削除され、血管データにより構成される。
【0061】
表示部4に表示された3次元画像データ43dを確認した後、画像処理終了操作が行われると、制御部6は、画像データ記憶部2、画像データ処理部3、及び表示部4の動作を停止させる。そして、画像処理装置10は、画像処理装置10は画像処理の動作を終了する(図3のステップS11)。
【0062】
以上述べた本発明の実施例によれば、X線CT装置20から得られた画像データから3次元画像データを生成し、生成した3次元画像データと共に進捗度設定部35を表示部4に表示することができる。
【0063】
また、生成した3次元画像データ上に指定された始点の画素値が予め設定された画素値範囲内であるとき、始点の画素及びこの画素と隣り合い且つ前記画素値範囲内の画素を逐次抽出し、抽出した全領域の内の始点を含む領域の進捗度を進捗度設定部35により設定することができる。そして、3次元画像データの設定された進捗度に対応する抽出領域を識別する処理を行い、抽出領域を識別した3次元画像データと共に識別した抽出領域に対応する進捗度を設定した進捗度設定部35を表示部4に表示することができる。
【0064】
更に、3次元画像データの識別した抽出領域又は抽出領域外の不用データを削除する処理を行うことができる。また、不用範囲を設定することにより、不用範囲の不用データを削除する処理を行うことができる。そして、不用データを削除した3次元画像データと共に進捗度設定部35を表示部4に表示し、更に進捗度の設定及び不用データの削除を行うことができる。
【0065】
更にまた、不用データが削除された3次元画像データに画素値が近似している有用データと不用データが含まれる場合、予め設定された画素値範囲を更新して進捗度を設定し、不用データの削除を行うことができる。
【0066】
これにより、生成した3次元画像データから不用データを削除した3次元画像データを簡便に生成することができるので、迅速に画像診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例に係る画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る表示部に表示される進捗度設定部の構成を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る画像処理装置の動作を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施例に係る表示部に表示される3次元画像データ及び進捗度設定部の一例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る表示部に表示される抽出領域を識別した3次元画像データ及び進捗度設定部の一例を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示部に表示される抽出領域を削除した3次元画像データの一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る表示部に表示される左側面方向から見た3次元画像データ及び進捗度設定部の一例を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る表示部に表示される不用データを含まない3次元画像データ及び進捗度設定部の一例を示す図。
【符号の説明】
【0068】
1 インターフェース
2 画像データ記憶部
3 画像データ処理部
4 表示部
5 操作部
6 制御部
10 画像処理装置
20 X線CT装置
31 画像データ生成部
32 処理部
33 全領域抽出部
34 領域抽出部
61 記憶回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置から得られた画像データから3次元画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データの画素上に始点を指定する始点指定手段と、
前記始点指定手段により指定された始点の画素の画素値が予め設定された画素値範囲内であるとき、前記始点の画素及びこの画素と隣り合い且つ前記画素値範囲内の画素を逐次抽出する全領域抽出手段と、
前記全領域抽出手段により抽出された全領域の内の前記始点を含む領域の進捗度を設定する進捗度設定手段と、
前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データの前記進捗度設定手段により設定された進捗度に対応する抽出領域又はこの抽出領域以外の領域を削除する処理を行う処理手段とを
備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データ、又は前記処理手段により処理された3次元画像データを表示する表示手段を有し、
前記進捗度設定手段による進捗度の設定が可能な入力デバイスを前記表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記進捗度設定手段により設定された進捗度を前記表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データを表示する表示手段を有し、
前記処理手段は、前記進捗度設定手段により設定された進捗度に対応する抽出領域を識別して前記表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画素値範囲の更新が可能な画素値範囲設定手段を有し、
前記進捗度設定手段は、前記処理手段により処理された3次元画像データ上に前記始点指定手段により指定された始点の画素の画素値が、前記画素値範囲設定手段により設定された画素値範囲内であるとき、前記全領域抽出手段により抽出された全領域の内の前記始点を含む領域の進捗度を設定し、
前記処理手段は、前記進捗度設定手段により設定された進捗度に対応する抽出領域又はこの抽出領域以外の領域を削除する処理を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像診断装置から得られた画像データから3次元画像データを画像データ生成手段により生成し、
前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データの画素上に始点を始点指定手段により指定し、
前記始点指定手段により指定された始点の画素の画素値が予め設定された画素値範囲内であるとき、前記始点の画素及びこの画素と隣り合い且つ前記画素値範囲内の画素を全領域抽出手段より逐次抽出し、
前記全領域抽出手段により抽出された全領域の内の前記始点を含む領域の進捗度を進捗度設定手段により設定し、
前記画像データ生成手段により生成された3次元画像データの前記進捗度設定手段により設定された進捗度に対応する抽出領域又はこの抽出領域以外の領域を処理手段により削除する処理を行うことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−253547(P2008−253547A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99244(P2007−99244)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】