説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】印刷範囲指定を含むページ記述言語で生成された印刷データが印刷されるまでの時間を短縮できる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷範囲指定を含むページ記述言語で生成された印刷データに基づいてプロッタ部に印刷を行わせる画像処理装置1であって、印刷範囲指定を取得し、印刷データに含まれるページ区切りを表す命令に基づいて印刷データを印刷範囲内のページに対応する部分と印刷範囲外のページに対応する部分とに分け、印刷データから印刷範囲外のページに対応する部分を破棄するページ記述言語処理手段14と、印刷データを描画する描画機能提供手段15と、描画された印刷データをプロッタ部に印刷させる制御手段12とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に係り、特にページ記述言語で生成された印刷データに基づいて印刷を行う画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば画像処理装置の一例としての複合機や印刷装置では使用者(ユーザ)がワープロソフトや表計算ソフト等のアプリケーションから印刷を要求すると、複合機や印刷装置が解釈できるページ記述言語(Page Description Language: PDL)で印刷データが生成されたあと、その印刷データに基づいて印刷を行う。
【0003】
PDLは、主に、印刷の為のページ記述に関する情報や描画に関する情報を記述する為の言語であり、ポストスクリプト(PostScript: PS)、プリンタ制御言語(Printer Control Language: PCL)、RPCS(Refined Printing Command Stream)等、様々な種類が存在している。従って、複合機や印刷装置では、各種PDLに対応するため、それぞれのPDLに対応した解釈機構(インタプリタ)と各インタプリタを呼び出すための機構とを備えている。
【0004】
また、PDLで生成された印刷データには、ジョブ記述言語(Printer Job Language: PJL)によってPDLの先頭にジョブの制御に関する情報を付加されたものが広く用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。PJLは、形式が比較的単純でASCII形式のデータであるため、多くのベンダーが独自の拡張を行い、それぞれの複合機や印刷装置のジョブ処理用言語として用いている。
【特許文献1】特開2006−192811号公報
【特許文献2】特開2006−215644号公報
【特許文献3】特開2000−132347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばPJLではPDLで生成された印刷データの印刷範囲(印刷ページ)を指定することができる。印刷範囲がPJLにより指定された(PJL設定された)印刷データを印刷する場合、複合機や印刷装置はPDLで生成された印刷データに付加されているPJLからPJLモジュールが印刷範囲(印刷ページ)を取得する。複合機や印刷装置はPDLで生成された印刷データをPDLに対応したPDLモジュールで解析し、ページ出力要求により印刷範囲内のページを描画機能提供モジュールに描画させたあと、プロッタ部などに印刷させていた。
【0006】
ところで、従来の複合機や印刷装置では、印刷範囲外のページであっても、PDLで生成された印刷データをPDLに対応したPDLモジュールで解析し、ページ破棄要求を描画機能提供モジュールに対して行わなければならなかった。
【0007】
したがって、従来の複合機や印刷装置は、例えば印刷範囲内のページが少なかったとしても、PDLで生成された印刷データの全てをPDLモジュールで解析しなければならないという問題があった。特に印刷範囲内のページが後半に少しあるような場合は、印刷範囲内のページがPDLモジュールで解析されるまで時間が掛かり、印刷範囲内のページがプロッタ部などにより印刷されるまでに時間が掛かるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、印刷範囲指定を含むページ記述言語で生成された印刷データが印刷されるまでの時間を短縮できる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、印刷範囲指定を含むページ記述言語で生成された印刷データに基づいてプロッタ部に印刷を行わせる画像処理装置であって、前記印刷データに含まれる印刷範囲指定を取得し、前記印刷データに含まれるページ区切りを表す命令に基づいて前記印刷データを印刷範囲内のページに対応する部分と印刷範囲外のページに対応する部分とに分け、前記印刷データから印刷範囲外のページに対応する部分を破棄するページ記述言語処理手段と、印刷範囲外のページに対応する部分が破棄された前記印刷データを描画する描画機能提供手段と、描画された前記印刷データを前記プロッタ部に印刷させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、印刷範囲指定を含むページ記述言語で生成された印刷データに基づいてプロッタ部に印刷を行わせる画像処理装置の画像処理方法であって、前記印刷データに含まれる印刷範囲指定を取得し、前記印刷データに含まれるページ区切りを表す命令に基づいて前記印刷データを印刷範囲内のページに対応する部分と印刷範囲外のページに対応する部分とに分け、前記印刷データから印刷範囲外のページに対応する部分を破棄するページ記述言語処理ステップと、印刷範囲外のページに対応する部分が破棄された前記印刷データを描画する描画機能提供ステップと、描画された前記印刷データを前記プロッタ部に印刷させる制御ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷範囲指定を含むページ記述言語で生成された印刷データが印刷されるまでの時間を短縮できる画像処理装置及び画像処理方法を提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。なお、本実施例では、画像処理装置の一例として複合機を例に説明していくが、印刷機能を有する如何なる画像処理装置であってもよい。
【0014】
図1は本実施例の複合機のモジュール構成図である。図1の複合機1はオペレーティングシステム(OS)10,サービス層11,GPSモジュール12,PJLモジュール13,PS3モジュール14,PRモジュール15,DIモジュール16,他のPDL用モジュール17及び18を含む構成である。なお、図1のモジュール構成図では、PS3モジュール14,PRモジュール15,DIモジュール16がPS用インタプリタとなる。
【0015】
OS10はUNIX(登録商標)等の汎用オペレーティングシステムであり、サービス層11を形成する複数のモジュール,GPSモジュール12,PJLモジュール13,PS3モジュール14,PRモジュール15,DIモジュール16,他のPDL用モジュール17及び18を、それぞれプロセスとして並列実行する。
【0016】
サービス層11は、GPSモジュール12からの要求を解釈してプロッタ部等のハードウェア資源の獲得要求を発生させるモジュール、一または複数のハードウェア資源の管理を行い、獲得要求を調停するモジュール等を有する。
【0017】
GPSモジュール12は、サービス層11とのアクセスを行うモジュールである。PJLモジュール13は、ジョブレベルでの印刷制御言語を処理するモジュールである。PS3モジュール14は、ポストスクリプト3(PS)を処理するモジュールである。PRモジュール15は描画機能を提供するモジュールである。DIモジュール16は、プリンタ環境にアクセスする為のモジュールである。また、他のPDL用モジュール17及び18は他のPDLを処理するモジュールである。
【0018】
ここで、本実施例の複合機1の理解を容易とするため、従来の複合機において印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを印刷する例について説明する。なお、印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータとは、PSで生成された印刷データの印刷範囲(印刷ページ)をPJLで指定(PJL設定)したものを言う。
【0019】
図2は従来の複合機において印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを印刷するジョブの手順を表した一例のフローチャートである。ステップS1に進み、受信バッファが印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを格納する。
【0020】
ステップS2に進み、GPSモジュール12は受信バッファに格納されたPSデータにPJLデータが付加されているか否かを判定する。受信バッファに格納されたPSデータにPJLデータが付加されているため、GPSモジュール12はPJLモジュール13を起動する。ステップS3に進み、PJLモジュール13はPSデータに付加されていたPJLデータのPJLコマンド解析を行い、PJL設定値を取得する。
【0021】
ステップS4に進み、PJLモジュール13はGPSモジュール12のプリンタ情報領域に、取得したPJL設定値を保存する。ステップS4の処理後、又は、ステップS2において受信バッファに格納されたPSデータにPJLデータが付加されていないと判定した場合、GPSモジュール12はステップS5に進み、受信バッファにPSデータが格納されているか否かを判定する。受信バッファにPSデータが格納されているため、GPSモジュール12はPS3モジュール14を起動する。
【0022】
ステップS6に進み、PS3モジュール14はDIモジュール16を介して、GPSモジュール12のプリンタ情報領域からPJL設定値を取得する。PS3モジュール14はステップS7に進み、受信バッファから取得したPSデータの解析を行う。ステップS8に進み、PS3モジュール14は出力命令がPSデータにあるか否かを判定する。
【0023】
ここで出力命令とは、ページ区切りを表す命令であり、ページの終わりを表す命令であるとする。出力命令があれば、PS3モジュール14はステップS9に進み、PJL設定値から印刷範囲を取得し、出力命令により特定されたページ(処理ページ)が印刷範囲外であるか否かを判定する。
【0024】
処理ページが印刷範囲外であれば、PS3モジュール14はステップS10に進み、PRモジュール15へページ破棄を要求する。従って、PRモジュール15は処理ページを描画しない。処理ページが印刷範囲内であれば、PS3モジュール14はステップS11に進み、PRモジュール15へページ出力を要求する。従って、PRモジュール15は処理ページを描画し、GPSモジュール12へ印刷処理要求を行う。なお、印刷処理要求を受けたGPSモジュール12はサービス層11経由でプロッタ部に印刷を行わせる。
【0025】
ステップS7〜S11の処理は処理ページ分もしくはPSデータの最後まで繰り返し行われる。ステップS7〜S11の処理が処理ページ分もしくはPSデータの最後まで繰り返し行われた場合、又はステップS8において出力命令がない場合、図2に示したジョブの処理を終了する。
【0026】
また、ステップS5において、受信バッファにPSデータ以外が格納されていると判定した場合、GPSモジュール12は受信バッファに格納されているPDLデータに対応した他のPDL用モジュール17又は18を起動し、他のPDL用モジュール17又は18に処理を実行させる。
【0027】
図2に示したジョブの処理では印刷範囲外の処理ページであっても、PSデータの解析をPS3モジュール14で行い、ページ破棄要求をPRモジュール15に対して行わなければならない。
【0028】
したがって、図2に示したジョブの処理では印刷範囲内の処理ページが少なかったとしても印刷範囲外の処理ページが多ければ、印刷範囲内のページがプロッタ部などにより印刷されるまでに時間が掛かるという問題があった。特に印刷範囲内の処理ページが後半に少しあるような場合は、印刷範囲内の処理ページがPS3モジュール14で解析されるまで時間が掛かり、印刷範囲内の処理ページがプロッタ部などにより印刷されるまでに時間が掛かるという問題があった。そこで、本実施例の複合機1では図3に示すジョブの手順により従来の複合機にあった上記の問題を解決している。
【0029】
図3は本実施例の複合機において印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを印刷するジョブの手順を表した一例のフローチャートである。なお、ステップS21〜S26の処理は図2のステップS1〜6の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
ステップS27に進み、PS3モジュール14は、受信バッファに格納されているPSデータから決められた予約語である出力命令(copypage/showpage)を解析するプレパース処理を行う。例えば予約語は、図4のようにPSデータへ挿入されている。
【0031】
図4は予約語が挿入されたPSデータの一例の構成図である。図4のPSデータは計4ページの処理ページから2ページ目及び3ページ目を印刷する例を表している。PJL部分41には印刷範囲として印刷開始ページである2ページ目及び印刷終了ページである3ページ目が指定されている。PSデータ部分には、予約語である出力命令(showpage)42〜45が含まれている。
【0032】
出力命令(showpage)42〜45は、ページの終わりを表す命令である。出力命令(showpage)42〜45を利用することで、PS3モジュール14は1〜4ページまでの処理ページを特定できる。
【0033】
図3のステップS28に進み、PS3モジュール14は受信バッファに格納されているPSデータから出力命令(copypage/showpage)を発見するたびに処理ページ数をインクリメントする。ステップS29に進み、PS3モジュール14はPJL設定値から印刷開始ページを判定し、印刷開始ページより前のページに対応するデータ部分を受信バッファに格納されているPSデータから破棄する。例えば図4のPSデータの場合、PS3モジュール14は1ページ目に対応するデータ部分を破棄する。
【0034】
ステップS30に進み、PS3モジュール14は受信バッファから取得したPSデータの解析を行う。ここでPS3モジュール14が受信バッファから取得するPSデータは印刷開始ページより前のページに対応するデータ部分が破棄されたものである。例えば図4のPSデータの場合、PS3モジュール14は1ページ目に対応するデータ部分が破棄されたPSデータを受信バッファから取得する。
【0035】
ステップS31に進み、PS3モジュール14は出力命令がPSデータにあるか否かを判定する。出力命令があれば、PS3モジュール14はステップS32に進み、PJL設定値から印刷範囲を取得し、出力命令により特定されたページ(処理ページ)が印刷範囲外であるか否かを判定する。受信バッファから取得するPSデータは、印刷開始ページより前のページに対応するデータ部分が破棄されたものであるため、印刷終了ページより後のページまで処理ページが印刷範囲内であると判定される。
【0036】
処理ページが印刷範囲内であればPS3モジュール14はステップS34に進み、PRモジュール15へページ出力を要求する。従って、PRモジュール15は印刷範囲内の処理ページを描画し、GPSモジュール12へ印刷処理要求を行う。なお、印刷処理要求を受けたGPSモジュール12はサービス層11経由でプロッタ部に印刷を行わせる。
【0037】
処理ページが印刷範囲外であればPS3モジュール14はステップS33に進み、PRモジュール15へページ破棄を要求する。従って、PRモジュール15は印刷範囲外の処理ページを描画しない。
【0038】
ステップS30〜S34の処理は処理ページ分もしくはPSデータの最後まで繰り返し行われる。ステップS30〜S34の処理が処理ページ分もしくはPSデータの最後まで繰り返し行われた場合、又はステップS31において出力命令がない場合、図3に示したジョブの処理を終了する。
【0039】
また、ステップS25において、受信バッファにPSデータ以外が格納されていると判定した場合、GPSモジュール12は受信バッファに格納されているPDLデータに対応した他のPDL用モジュール17又は18を起動し、他のPDL用モジュール17又は18に処理を実行させる。
【0040】
図3に示したジョブの処理では印刷範囲外の処理ページのうち印刷開始ページより前の処理ページに対応するデータ部分を受信バッファに格納されているPSデータから破棄したあとでPS3モジュール14による解析を行う為、破棄した処理ページ分のPSデータの解析及びページ破棄要求が不要となる。
【0041】
したがって、図3に示したジョブの処理では印刷開始ページより前の処理ページが多くても破棄してしまうため、印刷範囲内の処理ページがPS3モジュール14で解析されるまでの時間を短縮でき、印刷範囲内のページがプロッタ部などにより印刷されるまでの時間を短縮できる。
【0042】
図5は本実施例の複合機において印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを印刷する処理手順を表した一例のシーケンス図である。受信バッファが印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを格納すると、GPSモジュール12は受信バッファに格納されたPSデータにPJLデータが付加されているか否かを判定する。
【0043】
受信バッファに格納されたPSデータにPJLデータが付加されているため、GPSモジュール12はステップS41に進み、PJLモジュール13を起動する。起動されたPJLモジュール13はPSデータに付加されていたPJLデータのPJLコマンド解析を行い、PJL設定値を取得する。
【0044】
ステップS42に進み、PJLモジュール13は、GPSモジュール12のプリンタ情報領域に、取得したPJL設定値を保存する。GPSモジュール12は、受信バッファにPSデータが格納されているか否かを判定する。受信バッファにPSデータが格納されているため、GPSモジュール12はステップS43に進み、PS3モジュール14を起動する。
【0045】
ステップS44,S45に進み、起動されたPS3モジュール14はDIモジュール16を介してGPSモジュール12のプリンタ情報領域からPJL設定値等の環境変数を取得する。また、ステップS46,S47に進み、PS3モジュール14はDIモジュール16を介して受信バッファに格納されているPSデータを取得する。
【0046】
ステップS48に進み、PS3モジュール14は、取得したPSデータから決められた予約語である出力命令(copypage/showpage)を解析するプレパース処理を行う。PS3モジュール14はプレパース処理により印刷開始ページを判定し、印刷開始ページより前のページに対応するデータ部分を、受信バッファに格納されているPSデータから破棄する。
【0047】
PS3モジュール14は、印刷開始ページより前のページに対応するデータ部分が破棄されたPSデータの解析を行う。そして、PS3モジュール14は処理ページ毎に印刷範囲内であるか否かを判定する。ステップS49では、PS3モジュール14が、印刷範囲内の処理ページのページ出力をPRモジュール15へ要求すると共に、印刷範囲外の処理ページの破棄をPRモジュール15へ要求する。
【0048】
PS3モジュール14からページ出力を要求されると、PRモジュール15はページ出力を要求された処理ページを描画する。ステップS50に進み、PRモジュール15はGPSモジュール12へ印刷処理要求を行う。印刷処理要求を受けたGPSモジュール12はサービス層11経由でプロッタ部に印刷を行わせる。なお、PS3モジュール14からページ破棄を要求されると、PRモジュール15はページ破棄を要求された処理ページを描画しない。
【0049】
そして、ステップS51に進み、PR15はGPSモジュール12から印刷処理結果を受信する。ステップS52に進み、PR15はページ出力又はページ破棄の要求に対する処理結果をPS3モジュール14に送信する。
【0050】
以下、GPSモジュール12,PJLモジュール13及びPS3モジュール14の処理をフローチャートに基づいて順番に説明していく。
【0051】
(GPSモジュール12)
図6は、GPSモジュールの処理手順を表した一例のフローチャートである。ステップS61に進み、受信バッファには印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータが格納される。
【0052】
ステップS62に進み、GPSモジュール12は受信バッファに格納されたPSデータにPJLデータが付加されているか否かを判定する。PSデータにPJLデータが付加されていれば、GPSモジュール12はステップS63に進み、PJLモジュール13を起動させる。GPSモジュール12はステップS64に進み、起動させたPJLモジュール13に、PJLデータのPJLコマンド解析を行わせ、PJL設定値を取得する。PJLモジュール13は、GPSモジュール12のプリンタ情報領域に、取得したPJL設定値を保存する。
【0053】
ステップS64に続いて、又はステップS62においてPSデータにPJLデータが付加されていないと判定された場合に、GPSモジュール12はステップS65に進み、受信バッファに格納されているPDLデータ(PSデータなど)を判定し、そのPDLデータに対応した有効なPDL用モジュールがあるか否かを判定する。
【0054】
有効なPDL用モジュールがあれば、ステップS66に進み、GPSモジュール12は有効なPDL用モジュールを起動したあと、図6に示した処理を終了する。有効なPDL用モジュールがなければ、ステップS66に進み、GPSモジュール12は現在起動しているPDL用モジュールから変更を行わず、図6に示した処理を終了する。
【0055】
(PJLモジュール13)
図7は、PJLモジュールの処理手順を表した一例のフローチャートである。ステップS71に進み、PJLモジュール13はPSデータに付加されていたPJLデータのPJLコマンド解析を行う。ステップS72に進み、PJLモジュール13はPJLデータに印刷範囲指定のコマンドが含まれているか否かを判定する。
【0056】
印刷範囲指定のコマンドが含まれていれば、PJLモジュール13はステップS73に進み、印刷範囲指定が正しいか否かを判定する。印刷範囲指定が正しく無い例としては印刷開始ページに印刷終了ページよりも後ろのページが指定されている場合等である。
【0057】
印刷範囲指定が正しければ、PJLモジュール13はステップS74に進み、印刷範囲指定を、GPSモジュール12のプリンタ情報領域に保存したあと、図7に示した処理を終了する。
【0058】
なお、ステップS72において印刷範囲指定のコマンドが含まれていないと判定した場合、又は、ステップS73において印刷範囲指定が正しく無いと判定した場合、PJLモジュール13は、図7に示した処理を終了する。
【0059】
(PS3モジュール14)
図8はPS3モジュールの処理手順を表した一例のフローチャートである。ステップS81に進み、PS3モジュール14はDIモジュール16を介して、GPSモジュール12のプリンタ情報領域からPJL設定値(印刷開始ページ等)を取得し、印刷開始ページより前のページが破棄されたPSデータとマージさせる。ステップS82に進み、PS3モジュール14は処理ページ数を0で初期化する。
【0060】
ステップS83に進み、PS3モジュール14は、受信バッファに格納されているPSデータから決められた予約語である出力命令(copypage/showpage)を解析するプレパース処理を行う。
【0061】
ステップS84に進み、PS3モジュール14は、PSデータから出力命令(copypage/showpage)を発見するたびに処理ページ数をインクリメントする。ステップS85に進み、PS3モジュール14は取得したPJL設定値から印刷開始ページを判定し、印刷開始ページより前のページに対応するデータ部分を受信バッファに格納されているPSデータから破棄する。
【0062】
ステップS86に進み、PS3モジュール14は受信バッファから取得したPSデータの解析を行う。ここでPS3モジュール14が受信バッファから取得するPSデータは印刷開始ページより前のページに対応するデータ部分が破棄されたものである。ステップS87に進み、PS3モジュール14はPJL設定値から印刷範囲を取得し、出力命令により特定されたページ(処理ページ)が印刷範囲外であるか否かを判定する。受信バッファから取得するPSデータは、印刷開始ページより前のページに対応するデータ部分が破棄されたものであるため、印刷終了ページより後のページまで処理ページが印刷範囲内であると判定される。処理ページが印刷範囲内であればPS3モジュール14はステップS89に進み、PRモジュール15へページ出力を要求する。処理ページが印刷範囲外であればPS3モジュール14はステップS88に進み、PRモジュール15へページ破棄を要求する。
【0063】
ステップS88又はS89に続いてステップS90に進み、PS3モジュール14は処理ページ数をインクリメントする。ステップS86〜S90の処理は印刷開始ページより前のページが破棄されたPSデータの処理ページ数分、繰り返し行ったあと、図8に示した処理を終了する。
【0064】
図8に示したPS3モジュール14の処理では印刷範囲外の処理ページのうち印刷開始ページより前の処理ページに対応するデータ部分をPSデータから破棄したあとで解析を行う為、破棄した処理ページ分のPSデータの解析及びページ破棄要求が不要となる。
【0065】
したがって、図8に示した処理では印刷開始ページより前の処理ページが多くても破棄してしまうため、印刷範囲内の処理ページがPS3モジュール14で解析されるまでの時間を短縮でき、印刷範囲内のページがプロッタ部などにより印刷されるまでの時間を短縮できる。
【0066】
以上、本実施例では印刷範囲外の処理ページのうち印刷開始ページより前の処理ページに対応するデータ部分を破棄する例を説明したが、印刷終了ページより後の処理ページに対応するデータ部分を破棄するようにしてもよい。また、印刷範囲内の処理ページに対するステップS86〜S90の処理が終了した時点で、図8に示した処理を終了するようにしてもよい。
【0067】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施例の複合機のモジュール構成図である。
【図2】従来の複合機において印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを印刷するジョブの手順を表した一例のフローチャートである。
【図3】本実施例の複合機において印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを印刷するジョブの手順を表した一例のフローチャートである。
【図4】予約語が挿入されたPSデータの一例の構成図である。
【図5】本実施例の複合機において印刷範囲指定(PJL設定)を含むPSデータを印刷する処理手順を表した一例のシーケンス図である。
【図6】GPSモジュールの処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図7】PJLモジュールの処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図8】PS3モジュールの処理手順を表した一例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 複合機
10 オペレーティングシステム(OS)
11 サービス層
12 GPSモジュール
13 PJLモジュール
14 PS3モジュール
15 PRモジュール
16 DIモジュール
17,18 他のPDL用モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷範囲指定を含むページ記述言語で生成された印刷データに基づいてプロッタ部に印刷を行わせる画像処理装置であって、
前記印刷データに含まれる印刷範囲指定を取得し、前記印刷データに含まれるページ区切りを表す命令に基づいて前記印刷データを印刷範囲内のページに対応する部分と印刷範囲外のページに対応する部分とに分け、前記印刷データから印刷範囲外のページに対応する部分を破棄するページ記述言語処理手段と、
印刷範囲外のページに対応する部分が破棄された前記印刷データを描画する描画機能提供手段と、
描画された前記印刷データを前記プロッタ部に印刷させる制御手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ページ記述言語処理手段は、印刷範囲外のページに対応する部分のうち印刷範囲内の最初のページよりも前にある印刷範囲外のページに対応する部分を前記印刷データから破棄することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記印刷範囲指定はジョブ記述言語によって記述されており、
前記制御手段は、受信バッファに格納されている前記印刷データを解析し、前記ジョブ記述言語に応じたジョブ記述言語処理手段と、前記ページ記述言語に応じたページ記述言語処理手段とを起動させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷データに含まれるページ区切りを表す命令は、ページの終わりを表す出力命令の予約語であることを特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の画像処理装置。
【請求項5】
印刷範囲指定を含むページ記述言語で生成された印刷データに基づいてプロッタ部に印刷を行わせる画像処理装置の画像処理方法であって、
前記印刷データに含まれる印刷範囲指定を取得し、前記印刷データに含まれるページ区切りを表す命令に基づいて前記印刷データを印刷範囲内のページに対応する部分と印刷範囲外のページに対応する部分とに分け、前記印刷データから印刷範囲外のページに対応する部分を破棄するページ記述言語処理ステップと、
印刷範囲外のページに対応する部分が破棄された前記印刷データを描画する描画機能提供ステップと、
描画された前記印刷データを前記プロッタ部に印刷させる制御ステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
前記ページ記述言語処理ステップは、印刷範囲外のページに対応する部分のうち印刷範囲内の最初のページよりも前にある印刷範囲外のページに対応する部分を前記印刷データから破棄することを特徴とする請求項5記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記印刷範囲指定はジョブ記述言語によって記述されており、
前記制御ステップは、受信バッファに格納されている前記印刷データを解析し、前記ジョブ記述言語に応じたジョブ記述言語処理手段と、前記ページ記述言語に応じたページ記述言語処理手段とを起動させることを特徴とする請求項5又は6記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記印刷データに含まれるページ区切りを表す命令は、ページの終わりを表す出力命令の予約語であることを特徴とする請求項5乃至7何れか一項記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−177492(P2009−177492A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13993(P2008−13993)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】