説明

画像処理装置,画像処理方法およびプログラム

【課題】画像処理装置における設計の自由度を高くするための技術を提供すること。
【解決手段】選択部140により出力させる成分の生成に拘わる空間フィルタ(平滑強調部120にて用いられる空間フィルタ)と、エッジ領域の判定に拘わる空間フィルタ(平滑回路132にて用いられる移動平均フィルタ)とが、別の空間フィルタで構成されているため、それぞれ選択部140により出力させる成分の生成に適したパラメータ,および,適切な平滑化が可能なパラメータを個別に設定できる。そのため、同一の空間フィルタがエッジ領域の判定および成分データの生成に携わっている構成のように、成分の生成に適していて、かつ、適切な平滑化が可能といった複数の条件を満たす複雑なパラメータを設定する必要はなく、これにより、ASIC46における回路設計の自由度が高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに対して画像処理を施す画像処理装置、および、この画像処理装置において利用可能な画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナにて読み取るなどして取得された画像データで示される画像をプリンタで印刷する,つまり複写を行う場合、この画像に含まれるノイズ成分を除去するために空間フィルタによる画像処理を施すことが行われている。
【0003】
具体的にいうと、スキャナにて読み取った画像においては、文字や細線などのエッジ領域が印刷時にぼやけてしまう虞があるため、あらかじめ空間フィルタを用いてエッジ領域を強調する処理を施すことが一般的である。
【0004】
ただ、単純に空間フィルタを用いてエッジ領域を強調するだけでは、スキャナにて読み取った画像が網点で構成された領域(網点領域)を含む画像であると、この画像における網点がエッジ領域とみなされて強調されることにより、不自然なエッジ強調がなされた画像が印刷されてしまう。
【0005】
このことを防止するためには、例えば、スキャナにて取得された画像データで示される画像が網点領域を含む画像であるか否かを判定し、網点領域を含む画像である場合にはエッジ強調が行われないような特性の空間フィルタを用いるといった構成が考えられる。しかし、この場合、画像の色成分毎に網点領域を含んでいるか否かの判定を行う必要があるため、色成分それぞれに対してデータを取り込むための記憶領域(バッファ)を設けなければならず、画像処理を行うための装置構成を小型化する観点からは望ましい構成とはいえない。
【0006】
そこで、例えば、スキャナにて取得された画像データ(画像データ信号)に対し、この画像データで示される画像を平滑化する空間フィルタ(平滑化回路13,14)を用いて網点を平滑化した後でエッジ強調を行うことにより、網点がエッジ強調されてしまうことを抑制する、といった構成を採用することを考えることもできる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平8−8637号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の構成においては、同一の空間フィルタがエッジ領域の判定(検出),および,成分データの生成に携わるように構成されているため、この空間フィルタのパラメータを、エッジ領域を適切に検出でき、かつ、適切な平滑データを生成することができるように設定しなければならず、結果、画像処理装置における設計の自由度が低くならざるをえない。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、画像処理装置における設計の自由度を高くするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため請求項1に記載の画像処理装置は、外部から入力された画像データに対して異なる特性の空間フィルタを用いることで複数の成分データを生成する成分生成手段と、外部から入力された画像データに対して、該画像データで示される画像を平滑化する移動平均フィルタを用いることで平均データを生成する平均化処理手段と、該平均化処理手段により生成された平均データに基づいて、該平均データで示される画像にエッジ領域が含まれているか否かを判定するエッジ判定手段と、前記成分生成手段により生成される複数の成分データのうち、前記エッジ判定手段による判定結果に応じた成分データを外部へ出力する選択出力手段と、を備えている。そして、前記成分生成手段は、外部から入力される画像データに対し、該画像データで示される画像を平滑化する平滑フィルタ,および,前記画像データで示される画像に含まれるエッジ領域を強調する強調フィルタを用いることで、複数の成分データを生成して、前記選択出力手段は、前記エッジ判定手段によりエッジ領域が含まれていないと判定された場合、前記成分生成手段が平滑フィルタを用いて生成した成分データを外部へ出力する一方、エッジ領域が含まれていると判定された場合、前記成分生成手段が強調フィルタを用いて生成した成分データを外部へ出力する、ように構成されている。
【0010】
このように構成された画像処理装置によれば、成分データを生成する空間フィルタと、エッジ領域の判定に拘わる空間フィルタ(移動平均フィルタ)とが、別の空間フィルタで構成されているため、それぞれ成分データの生成に適したパラメータ,および,エッジ領域の判定に適した平滑化(ここでは平均化)が可能なパラメータを個別に設定することが可能になる。そのため、同一の空間フィルタがエッジ領域の判定および成分データの生成に携わっている構成のように、成分データの生成に適していて、かつ、適切な平滑化が可能といった複数の条件を満たす複雑なパラメータを設定する必要はなく、これにより、画像処理装置における設計の自由度を高くすることができる。
【0011】
つまり、エッジ領域の判定に拘わるフィルタとして、成分データを生成するための空間フィルタとは無関係に、網点の成分がエッジ領域として判定されない程度まで画像データを充分に平滑化できるようなパラメータを設定したものを用いることができる。
【0012】
ここで、画像データの平滑化については、従来のように、注目画素を中心とする単位領域(以下、「注目領域」という)の注目画素を中心とした重み付けを行う一般的な平滑フィルタを用いることもできるが、この場合、注目画素が網点のドットの中心に位置する場合、注目画素を含む単位領域それぞれに重み付けが行われて平滑化されるとはいえ、注目画素の成分と周辺画素の成分との差(コントラスト)が大きければ、注目画素における網点の成分そのものがエッジ領域として判定されない程度まで充分に平滑化できるとはいえない。それに対して、本発明では、画像データの平滑化に移動平均フィルタが用いられているため、注目領域の成分が、注目画素を含めた単位領域における成分で平均化されることにより、注目画素が網点のドットの中心に位置する場合においても、成分が全体的にならされて網点の成分がエッジ領域として判断されない程度まで平滑化(平均化)することができる。
【0013】
なお、上述したエッジ判定手段は、平均データに基づいてエッジ領域が含まれているか
否かを判定することができれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、平均データに対してエッジ検出用の空間フィルタを用いてエッジ領域が抽出されたことを、エッジ領域が含まれていることとして判定するように構成することが考えられる。
【0014】
より具体的には、エッジ検出用の空間フィルタとしてソベルフィルタを用いることが考えられ、このためには、請求項2に記載のように、前記エッジ判定手段は、前記平均データに対してソベルフィルタを用いることで該平均データからエッジ領域が抽出された場合に、前記平均データで示される画像にエッジ領域が含まれていると判定する、ように構成するとよい。
【0015】
このように構成すれば、ソベルフィルタを用いて平均データからエッジ領域の抽出を行い、こうしてエッジ領域が抽出されたことを、平均データで示される画像にエッジ領域が含まれていることとして判定することができる。また、ここでは、移動平均フィルタにて平均化された成分に対してソベルフィルタを用いてエッジ領域を検出(抽出)しているが、このように、移動平均フィルタにより平均化した成分にソベルフィルタを用いることは、後述する画像処理実験にて示されるように、他の空間フィルタ(ラプラシアンフィルタ)と比べて、網点領域をエッジ領域として検出されにくくすることができるため好適である。
【0016】
また、この構成のようにエッジ判定手段においてソベルフィルタを用いる場合、ソベルフィルタの特性により、エッジ領域として判定されるべき領域がエッジ領域として判定されなくなることが起こりうる。ソベルフィルタは、注目領域を中心として一列に配置される領域以外をエッジの抽出に利用するため、この領域にエッジとなる成分が一列に配置されているような場合、このように一列に配置された成分からなる領域(細線領域)をエッジ領域として検出すべきであるにも拘わらず、エッジ領域として判定することができなくなってしまう虞があるからである。
【0017】
そこで、このような細線領域をもエッジ領域として判定できるようにするために、例えば、請求項3に記載のように構成することが考えられる。
請求項3において、前記エッジ判定手段は、前記平均データに対してソベルフィルタを用いることによりエッジ領域を抽出する第1エッジ判定手段,および,前記平均データで示される画像について該画像に含まれる細線領域を検出する第2エッジ判定手段からなり、少なくとも、前記第1エッジ判定手段によりエッジ領域が抽出された場合、または、前記第2エッジ判定手段により細線領域が検出された場合に、前記平均データで示される画像にエッジ領域が含まれていると判定する、ことを特徴とする。
【0018】
このように構成すれば、第1エッジ判定手段がソベルフィルタによりエッジ領域を抽出したことだけでなく、第2エッジ判定手段が細線領域を検出したことについても、エッジ領域が含まれていることとして判定できるため、第1エッジ判定手段により細線領域の検出漏れが発生したとしても、この細線領域がエッジ領域として検出されなくなってしまうことはない。
【0019】
なお、上述した平均化処理手段が用いる移動平均フィルタは、どのようなものを用いてもよいが、例えば、請求項4に記載のように、前記平均化処理手段は、前記画像データについての解像度に応じた移動平均フィルタを用いて平均データを生成する、ように構成すればよい。
【0020】
このように構成すれば、画像データについての解像度に応じて適切な平均データを生成することができる。さらに、画像データについての解像度に応じて移動平均フィルタを使い分けることができるように構成すれば、解像度に応じた適切な平均データを生成することができる。
【0021】
なお、ここでいう「画像データについての解像度」とは、例えば、画像データが、所定の画像をスキャナで読み取ることにより生成されたものである場合において、画像の読み取り時におけるスキャナの解像度(pixcel per inch )、スキャナにより読み取られた画像に含まれる網点領域の解像度(網点線数;line per inch )などのことである。
【0022】
そして、これらを解像度とする場合には、請求項5に記載のように、前記平均化処理手段は、画像の読み取り時におけるスキャナの解像度,および,スキャナにより読み取られた画像に含まれる網点領域の網点線数に応じたサイズの移動平均フィルタを用いて平均データを生成する、ように構成すればよい。
【0023】
このように構成すれば、画像の読み取り時におけるスキャナの解像度,スキャナにより読み取られる画像に含まれる網点領域の網点線数に応じたサイズの移動平均フィルタを用いて平均データを生成することができる。
【0024】
ここで、平均化処理手段が移動平均フィルタのサイズを決定する具体的な構成は特に限定されないが、例えば、請求項6に記載のように、前記スキャナの解像度を、前記所定の画像に含まれる網点領域の網点線数で割った値に最も近い奇数値を求め、該奇数値を縦および横の画素数とするマトリクスの移動平均フィルタを用いて平均データを生成する、といった構成が考えられる。
【0025】
このように構成すれば、画像データについての解像度に応じ、奇数値×奇数値のマトリクスからなる移動平均フィルタを使い分けることにより、解像度に応じた適切な平均データを生成することができる。
【0026】
また、請求項7に記載の画像処理方法は、外部から入力された画像データに対して異なる特性の空間フィルタを用いることで複数の成分データを生成すると共に、外部から入力された画像データに対して、該画像データで示される画像を平滑化する移動平均フィルタを用いることで平均データを生成して、該平均データに基づいて、該平均データで示される画像にエッジ領域が含まれているか否かを判定し、前記生成した複数の成分データのうち、前記判定結果に応じた成分データを外部へ出力する画像処理方法において、前記成分データを生成する際には、外部から入力される画像データに対し、該画像データで示される画像を平滑化する平滑フィルタ,および,前記画像データで示される画像に含まれるエッジ領域を強調する強調フィルタを用いることで複数の成分データを生成して、前記判定結果に応じた成分データを出力する際には、エッジ領域が含まれていないと判定した場合であれば、前記平滑フィルタを用いて生成した成分データを外部へ出力する一方、エッジ領域が含まれていると判定した場合であれば、前記強調フィルタを用いて生成した成分データを外部へ出力する、ことを特徴とする。
【0027】
このような方法で画像処理を行うと、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置と同様の作用,効果を得ることができる。
また、この方法において、エッジ領域が含まれているか否かの判定は、平均データに対してソベルフィルタを用いることによりこの平均データからエッジ領域が抽出されたら、平滑データで示される画像にエッジ領域が含まれていると判定する、ようにすればよい。この場合、請求項2から6のいずれかに記載の画像処理装置と同様の作用,効果を得ることができる。
【0028】
また、この方法において、エッジ領域が含まれているか否かの判定を行う際には、少なくとも、平均データに対してソベルフィルタを用いることによりエッジ領域を抽出した場合、または、平均データで示される画像について該画像に含まれる細線領域を検出した場合に、平均データで示される画像にエッジ領域が含まれていると判定する、ようにしてもよい。この場合、請求項3から6のいずれかに記載の画像処理装置と同様の作用,効果を得ることができる。
【0029】
また、上述した各方法において、平均データを生成する際には、画像データについての解像度に応じた移動平均フィルタを用いて平均データを生成する、とよい。この場合、請求項4から6のいずれかに記載の画像処理装置と同様の作用,効果を得ることができる。
【0030】
また、この方法において、画像データが、所定の画像をスキャナで読み取ることにより生成されたものである場合であれば、平均データを生成する際に、画像の読み取り時におけるスキャナの解像度,および,スキャナにより読み取られた画像に含まれる網点領域の網点線数に応じたサイズの移動平均フィルタを用いて平均データを生成する、ようにするとよい。この場合、請求項5または請求項6に記載の画像処理装置と同様の作用,効果を得ることができる。
【0031】
また、この方法において、平均データを生成する際には、スキャナの解像度を、所定の画像に含まれる網点領域の網点線数で割った値に最も近い奇数値を求め、この奇数値を縦および横の画素数とするマトリクスの移動平均フィルタを用いて平均データを生成する、ようにしてもよい。この場合、請求項6に記載の画像処理装置と同様の作用,効果を得ることができる。
【0032】
また、請求項8に記載のプログラムは、請求項1から6のいずれかに記載の成分生成手段,平均化処理手段,エッジ判定手段および選択出力手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。このようなプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置の一部を構成できる。
【0033】
なお、このプログラムは、コンピュータによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、例えば、FD,CD−ROM,メモリーカードなどの記録媒体、インターネットなどの通信回線網を介して、コンピュータシステム,または,コンピュータシステムを利用するユーザに提供されるものである。なお、このプログラムをユーザに提供する場合には、コンピュータシステムのハードディスクやメモリにプレインストールされた状態で提供する形態であってもよい。また、このプログラムを実行するコンピュータシステムとしては、例えば、画像処理装置に搭載されたコンピュータシステム,画像処理装置とデータ通信可能な他のコンピュータなどが利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
複合機1は、プリンタ、コピー、スキャナおよびファクシミリとしての機能を有する装置であって、図1に示すように、本体後側に配設された記録給紙部12、本体上部の後側に配設された読取給紙部14、本体前側に配設された記録排紙部16および読取排紙部18、本体上面の中央部に配設された表示パネル20、本体上部の前側に配設された操作パネル30などを備えている。また、この複合機1には、図2に示すように、複合機1全体の動作を制御する制御部40、プリンタ部50、スキャナ部60などが内蔵されている。
【0035】
操作パネル30は、「0」〜「9」の数字ボタン31、「*」ボタン32、「#」ボタン33、利用すべき機能(コピー機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のいずれか)を切り替える機能ボタン34、機能毎の設定を行う設定ボタン35、スタートボタン36、電源ボタン37などからなる。
【0036】
制御部40は、CPU41、ROM42、RAM43、PCインタフェース部(以降、PCI/Fとする)44、NCU(network control unit)45、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )46などがバス48を介して接続されてなるものである。
【0037】
これらのうち、CPU41は、あらかじめROM42に記憶されている処理手順に従い、処理結果をRAM43に記憶させながら、複合機1の各構成要素にバス48経由で指令を送ることによって、複合機1全体の動作を制御する。
【0038】
また、PCI/F44は、複合機1を通信ケーブル経由で別の周知のパーソナルコンピュータ(PC)とデータ通信可能に接続するためのインタフェースである。
また、NCU45は、複合機1を電話回線網に接続するためのインタフェースである。
【0039】
また、ASIC46は、スキャナ部60により読み取られた画像を示す画像データに対する画像処理を施すための回路などが形成されてなる集積回路である。
プリンタ部50は、記録給紙部12にセットされた用紙を記録排紙部16まで搬送しながら用紙への画像の記録を行う構成要素である。なお、このプリンタ部50における記録方式は、インクジェット方式でも、レーザ方式、熱転写方式でもよい。即ち、用紙等の記録媒体上に画像や文字等を記録できる方式であれば、どのような方式でもよい。
【0040】
スキャナ部60は、読取給紙部14にセットされた原稿を読取排紙部18まで搬送しながら原稿に記録された画像の画像データとしての読み取りを行う構成要素である。なお、このスキャナ部60は、原稿の画像をRGBカラーモデルで規定されるR(Red :赤),G(Green :緑),B(Blue:青)成分画像それぞれからなる画像として読み取る。
【0041】
このように構成された複合機1において、機能ボタン34が押下されることにより利用すべき機能がコピー機能に切り替えられている状態でスタートボタン36が押下されると、制御部40によって、読取給紙部14にセットされた原稿のコピー(複写)が行われる。概略的には、まず、読取給紙部14にセットされた原稿から画像を読み取る旨がスキャナ部60へ指令される。これにより、スキャナ部60が、原稿の画像を画像データ(以降、「入力画像データ」とする)として読み取る。そして、入力画像データは、ASIC46へ入力されて画像処理が施された後、この画像処理が施された画像(出力画像)を記録給紙部12にセットされた用紙へ記録する旨がプリンタ部50へ指令される。こうして、プリンタ部50により読取給紙部14にセットされた原稿のコピー(複写)が行われる。
【0042】
ここで、ASIC46により入力画像データに対して施される画像処理の詳細な内容を、ASIC46に形成されている回路構成に基づいて説明する。なお、このASIC46へ入力される入力画像データは、入力画像データで示される入力画像における特定の画素(以降、「注目画素」とする)を中心とするm×n画素(本実施形態においては「5×5」)からなる単位画像分のデータ(以降、「単位データ」とする)ずつ入力される。
【0043】
ASIC46には、図3に示すように、YIQ変換部110,平滑強調部120,像域分離部130,選択部140,YIQ逆変換部150,CMY色変換部160などが形成されている。
【0044】
これらのうち、YIQ変換部110は、外部から入力される単位データで示される単位画像をYIQカラーモデルで規定されるY(Luminosity:輝度),I(In-phase:同相),Q(Quadrature:直交)成分からなる画像に変換する。
【0045】
また、平滑強調部120は、YIQ変換部110により変換されたY,I,Q成分のうち、Y成分に対してフィルタ処理を施すための回路であって、単位画像のY成分に対して平滑化およびエッジ強調を行った成分を選択部140へ出力する平滑強調フィルタ122と、単位画像のY成分に対して平滑化を行った成分を選択部140へ出力する平滑フィルタ124と、からなる。この平滑強調部120における平滑強調フィルタ122は、単位画像における注目画素を中心とした重み付けにより平滑化およびエッジ強調を行う平滑フィルタおよびラプラシアンフィルタからなる空間フィルタであり、平滑フィルタ124は、単位画像における注目画素を中心とした重み付けにより平滑化を行う空間フィルタである。
【0046】
また、像域分離部130は、YIQ変換部110により変換されたY,I,Q成分のうち、Y成分にエッジとなる領域(エッジ領域)が含まれているか否かを判定する回路であって、単位画像における端の画素を除いた画素それぞれについて、各画素を中心とするm’×n’画素(m’<m,n’<n;本実施形態においては、m’=3,n’=3)に対して移動平均フィルタによる平滑化(平均化)を行ってm’×n’画素の成分を生成する平滑回路132と、平滑回路132により平均化された成分にエッジ領域が含まれているか否かをソベルフィルタにより検出して検出結果を出力(含まれている場合はHレベル,含まれていない場合はLレベルを出力)するエッジ検出回路134と、平滑回路132により平均化された成分に、一列に配置された画素からなる領域(細線領域)が含まれているか否かを検出して検出結果を出力(含まれている場合はHレベル,含まれていない場合はLレベルを出力)する細線検出回路136と、エッジ検出回路134および細線検出回路136による出力結果の論理和(OR)となる成分(HレベルまたはLレベル)を選択部140へ出力するOR回路138と、からなる。
【0047】
この像域分離部130において、平滑回路132が使用する移動平均フィルタは、m’×n’画素からなるサイズのものであるが、このサイズは、スキャナ部60の解像度(本実施形態においては、600dpi;pixcel per inch )を、このスキャナ部60により読み取られる原稿に用いられている網点の解像度(網点線数;line per inch ,一般的に用いられるのは150〜200線)で割った値に最も近い奇数値(例えば、600/175=3.45≒3)を求め、この値を縦および横の画素数(3×3)として定めたものである。また、細線検出回路136は、例えば、本願出願人の先願である特開2003−264689号公報に記載されたのと同様の構成により細線領域を検出するものであるため、細線領域を検出するための詳細な構成についての説明は省略する。
【0048】
なお、本実施形態において、像域分離部130は、エッジ検出回路134および細線検出回路136それぞれにおける検出結果の論理和をエッジ領域の検出結果として出力するが、細線検出回路136は、エッジ検出回路134における検出漏れを補完するために設けられたものである。上述したように、エッジ検出回路134は、ソベルフィルタを用いてエッジ領域を検出しているが、ソベルフィルタは、注目画素を中心として一列に配置される画素の領域以外をエッジの抽出に利用するため、この領域にエッジとなる成分が一列に配置されているような場合、このように一列に配置された成分からなる領域(細線領域)をエッジ領域として検出すべきであるにも拘わらず、エッジ領域として判定することができなくなってしまう虞がある。そこで、このような細線領域については、別体の細線検出回路136により検出するように構成することで、エッジ検出回路134における検出漏れを補完している。
【0049】
また、選択部140は、像域分離部130からの出力成分がLレベルである場合,つまり像域分離部130がエッジ領域(細線領域を含む)を検出してない場合であれば、平滑強調部120における平滑フィルタ124を用いて平滑化された成分をYIQ逆変換部150へ出力する。また、像域分離部130からの出力成分がHレベルである場合,つまり像域分離部130がエッジ領域(細線領域を含む)を検出した場合であれば、平滑強調フィルタ122を用いて平滑強調された成分をYIQ逆変換部150へ出力する。このように、選択部140は、YIQ変換部110により変換されたY成分にエッジ領域(細線領域含む)が含まれているか否かによって、平滑強調フィルタ122を用いて生成された成分,または,平滑フィルタ124を用いて生成された成分を選択的に外部へ出力する。
【0050】
また、YIQ逆変換部150は、選択部140から出力されたY成分,および,YIQ変換部110から出力されたI,Q成分を、R,G,B成分からなる単位画像(を示す画像データ)に変換してCMY色変換部160へ出力する。
【0051】
そして、CMY色変換部160は、YIQ逆変換部150から入力したR,G,B成分からなる単位画素を、CMYカラーモデルで規定されるC,M,Ye成分からなる画像に変換し、順次プリンタ部50へ出力する。
【0052】
この後、ここまでの処理が、全ての単位データに対して行われた後、これらデータで示される画像の記録がプリンタ部50により行われる。
[効果]
このように構成された複合機1のASIC46によれば、選択部140により出力させる成分の生成に拘わる空間フィルタ(平滑強調部120にて用いられる空間フィルタ)と、エッジ領域の判定に拘わる空間フィルタ(平滑回路132にて用いられる移動平均フィルタ)とが、別の空間フィルタで構成されているため、それぞれ選択部140により出力させる成分の生成に適したパラメータ,および,適切な平滑化(ここでは平均化)が可能なパラメータを個別に設定することが可能になる。そのため、同一の空間フィルタがエッジ領域の判定および成分データの生成に携わっている構成のように、成分の生成に適していて、かつ、適切な平滑化が可能といった複数の条件を満たす複雑なパラメータを設定する必要はなく、これにより、ASIC46における回路設計の自由度が高くなる。
【0053】
つまり、エッジ領域の判定に拘わるフィルタとして、成分を生成するための空間フィルタとは無関係に、網点の成分がエッジ領域として判定されない程度まで画像データを充分に平滑化できるようなパラメータを設定したものを用いることができる。
【0054】
ここで、像域分離部130の平滑回路132による平滑化については、従来のように、注目画素を中心とした重み付けを行う一般的な平滑フィルタを用いることもできるが、この場合、注目画素が網点のドットの中心に位置する場合、注目画素を含む周辺の画素それぞれに重み付けが行われて平滑化されるとはいえ、注目画素の成分とそれ以外の画素における成分との差(コントラスト)が大きければ、注目画素における網点の成分がエッジ領域として判定されない程度まで充分な平滑化を行うことができるとはいえない。それに対して、本実施形態では、成分の平滑化に移動平均フィルタが用いられていることから、注目画素の成分が注目画素を含めた周辺の画素における成分で平均化され、注目画素が網点のドットの中心に位置する場合においても、全体的に成分がならされて網点の成分がエッジ領域として判断されない程度まで平滑化(平均化)することができる。
【0055】
また、像域分離部130では、エッジ検出回路134がソベルフィルタを用いてエッジ領域の抽出を行い、こうしてエッジ領域が抽出されたことを、単位画像にエッジ領域が含まれていることとして判定することができる。また、本実施形態において、エッジ検出回路134は、平滑回路132が移動平均フィルタにより平均化した成分からソベルフィルタによりエッジ領域を検出しているが、このように、移動平均フィルタにより平均化した成分に対してソベルフィルタを用いることは、後述する画像処理実験にて示されるように、他の空間フィルタ(ラプラシアンフィルタ)と比べて、網点領域をエッジ領域として検出されにくくすることができるため好適である。
【0056】
また、像域分離部130は、エッジ検出回路134および細線検出回路136それぞれにおける検出結果の論理和をエッジ領域の検出結果として出力している。そのため、エッジ検出回路134がソベルフィルタによりエッジ領域を検出したことだけでなく、細線検出回路136が細線領域を検出したことについても、エッジ領域が含まれていることとして判定できる。よって、エッジ検出回路134による細線領域の検出漏れが発生したとしても、この細線領域がエッジ領域として検出されなくなってしまうことはない。
【0057】
また、像域分離部130の平滑回路132で用いられる移動平均フィルタは、スキャナ部60の解像度,および,スキャナ部60により読み取られる原稿に用いられている網点の解像度に応じて定められたサイズのものが用いられている。そのため、画像データについての解像度に応じたサイズの移動平均フィルタにより適切に平滑化(平均化)された成分を生成してエッジ領域の検出に利用することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0058】
例えば、上記実施形態においては、本発明における画像処理装置に対応する構成要素ASIC46が、複合機に備えられたものを例示した。しかし、本発明における画像処理装置に対応する構成要素は、複合機以外の構成に採用することもできる。
【0059】
また、上記実施形態においては、本発明における画像処理装置に対応する構成要素がASIC46に形成されたものを例示した。しかし、これらの回路は、ASIC46以外に、いわゆるPLD(Programmable Logic Device )などに形成してもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、像域分離部130の平滑回路132で用いられる移動平均フィルタが、スキャナ部60の解像度,および,スキャナ部60により読み取られる原稿に用いられている網点の解像度に応じて定められたサイズのものを用いるように構成されたものを例示した。しかし、移動平均フィルタのサイズについては、スキャナ部60の解像度,および,スキャナ部60により読み取られる原稿に用いられている網点の解像度のいずれか一方に応じて定められたものを用いるように構成してもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、像域分離部130の平滑回路132で用いられる移動平均フィルタが、あらかじめ定められたサイズのものである構成を例示した。しかし、この移動平均フィルタのサイズについては、画像データについての解像度(スキャナ部60および網点のいずれか一方または両方)に応じて変更できるように構成してもよい。
【0062】
このためには、例えば、コピーの開始(スタートボタン36の押下)に先立って、CPU41が、操作パネル30により網点の解像度をユーザに入力させ、または、スキャナ部60により読み取った画像データで示される画像に対して周波数解析を行うことにより網点の解像度を算出して、こうして入力または算出された解像度に基づいて上述したのと同様の算出方法にて移動平均フィルタのサイズを決定し、このサイズの移動平均フィルタを用いる旨をASIC46に指令した後で、入力画像データのASIC46への入力を開始する、といった構成とすればよい。ここで、ユーザに網点の解像度を入力させる場合、スキャナ部60の解像度が固定であれば、ユーザに入力させるのは網点の解像度だけとすればよい。また、スキャナ部60の解像度を変更可能な場合には、こうして変更された値をRAM43などに記憶しておき、この記憶された値を、移動平均フィルタのサイズを算出する際に用いればよい。
【0063】
また、上記実施形態において、ASIC46により行われていた画像処理をCPU41がソフトウェア的に実行するように構成してもよい。このように、ASIC46により行われていた画像処理をCPU41により実行させる場合の処理手順を図8に基づいて説明する。なお、この処理は、スキャナ部60により入力画像データが読み取られたときに実行されるものである。
【0064】
まず、入力画像データで示される入力画像をY,I,Q成分からなる画像に変換する(s110)。ここでは、Y,I,Q成分からなる画像に変換する処理として、上述のYIQ変換部110と同様の処理が行われることにより、入力画像を構成する単位画像(第1単位画像〜第n単位画像)それぞれのY成分が生成される。
【0065】
次に、s140の処理で変換された単位画像毎のY成分のうち、いずれかの単位画像におけるY成分に対してフィルタ処理が施されると共にエッジ領域が分離される(s120)。ここでは、上述した平滑強調部120によるフィルタ処理と同様の処理により平滑強調された成分および平滑化された成分が生成され、また、像域分離部130によるエッジ検出と同様の処理によりエッジ領域が分離(検出)される。
【0066】
次に、s120の処理において、Y成分からエッジ領域が分離されたか否かがチェックされ(s130)、エッジ領域が分離されていれば(s130:YES)、s120の処理で平滑強調した成分が後の処理で使用する成分として決定される一方(s140)、エッジ領域が分離されていなければ(s130:NO)、s120の処理で平滑化された成分が後の処理で使用する成分として決定される(s150)。
【0067】
次に、s140またはs150の処理で決定されたY成分と、s110の処理で変換された画像におけるI,Q成分からなる画像が、R,G,B成分からなる画像に変換される(s160)。ここでは、R,G,B成分からなる画像に変換する処理として、上述のYIQ逆変換部150と同様の処理が行われる。
【0068】
次に、s160の処理で変換されたR,G,B成分からなる画像が、C,M,Ye成分からなる画像に変換される(s170)。ここでは、C,M,Ye成分からなる画像に変換する処理として、上述のCMY色変換部160と同様の処理が、R,G,B成分からなる画像全ての画素に対して行われる。
【0069】
次に、s170の処理で変換されたC,M,Ye成分からなる画像を示す画像データがプリンタ部50へ出力される(s180)。
次に、s110の処理で生成された全ての単位画像のY成分の中に、上記s120〜s180の処理を行っていない未処理のものがあれば(s190:YES)、s120の処理へ戻って、その未処理のY成分に対してs120以降の処理が行われる。なお、ここでは、第1単位画像〜第n単位画像の順番に処理が行われるものとする。
【0070】
そして、s110の処理で生成された全ての単位画像のY成分の中に未処理のものがなくなるまで、上記s120〜s190の処理が繰り返された後、s190の処理で未処理のものがなくなれば(s190:NO)、本画像処理を終了する。
[画像処理実験]
以下に、上述した回路構成のASIC46において用いるべき空間フィルタを決定するために行った画像処理結果実験の結果を示す。
【0071】
まず、平滑強調部120における平滑フィルタ124として、画像におけるエッジ検出できなかった(誤検出)エッジのボヤケをある程度におさえられるような平滑化ができるようにパラメータが設定された3×3の重み平均フィルタ,および,3×3の移動平均フィルタそれぞれを、図4(a)に示すような文字を含む原画像に対して用いた処理結果を、図4(b),(c)に示す。この処理結果それぞれを比較すると、エッジ領域のボヤケは、重み平均フィルタを用いた場合の方が発生しにくいことがわかる。文字部の再現性を重要視した場合、平滑強調部120における平滑フィルタ124には、移動平均フィルタよりも重みフィルタの方が適していることが明らかとなったため、上記実施形態では、この重みフィルタを平滑フィルタ124として採用している。
【0072】
次に、像域分離部130の平滑回路132において、どのような平滑フィルタを用いるべきかを決定するために、3×3の重み平均フィルタ,および,3×3の移動平均フィルタそれぞれを図5(a)に示すような網点領域を含む原画像のY成分に対して用いた処理結果を図5(b),(c)に示し、さらに、こうして平滑フィルタにより処理された成分に対して3×3のソベルフィルタを用いることでエッジ検出を行った処理結果を図5(d),(e)に示す。この処理結果を比較すると、平滑フィルタにより処理した段階では、移動平均フィルタを用いた場合の方が網点の成分の少ない印象の画像となっており、また、ソベルフィルタを用いてエッジ検出を行った段階においては、移動平均フィルタを用いた場合の方が網点領域のエッジ領域としての検出が少ない印象の画像となっている。これは、図6に示すように、エッジ検出を行った処理結果を示す画像における横方向の1ライン(1画素の列)について、この1ラインを構成する画素を横軸とし、この1ラインを構成する画素それぞれの検出強度(画素の成分)を縦軸としたグラフを示した場合により明確となる。このグラフからは、移動平均フィルタを用いた場合の方が、1ラインを構成する画素のほとんどについての検出強度が低く、網点領域をエッジ領域として検出しにくいことがわかる。こうして、像域分離部130の平滑回路132においては、網点領域のエッジ領域としての検出を少なくできる移動平均フィルタを用いることが適していることが明らかとなったため、上記実施形態では、平滑回路132で移動平均フィルタを用いる構成を採用している。
【0073】
次に、像域分離部130のエッジ検出回路134において、どのような空間フィルタにてエッジ検出を行うべきかを決定するために、図7(a)に示すような網点領域を含む原画像に3×3の移動平均フィルタを用いた処理結果に対して、3×3のラプラシアンフィルタ,および,3×3のソベルフィルタそれぞれを用いた処理結果を、図7(b),(c)に示す。この処理結果をみると、網点領域を含む原画像に対しては、ソベルフィルタを用いた場合の方が、網点領域のエッジ領域としての検出が少ない画像となっていることがわかる。これは、ラプラシアンフィルタは、注目画素を中心とする2次微分を用いているため、よりシャープな強調処理を行いたい場合には有用であるが、注目画素に網点が重なった場合において、網点強度を大きく検出しがちとなる(網点の成分が強調されやすい)のに対し、ソベルフィルタは、注目画素の近傍に位置する画素を用いることにより、局所的なノイズの影響も低減できる特性があり、点(網点)で構成されるような網点領域においては、ある程度、その影響を低減できるからである。こうして、像域分離部130のエッジ検出回路134においては、網点領域のエッジ領域としての検出が少ないソベルフィルタを用いることが適していることが明らかとなったこと、エッジ検出においてシャープな再現よりも正確な検出を求めることを目的とすることから、上記実施形態では、エッジ検出回路134でソベルフィルタを用いる構成を採用している。ただ、ソベルフィルタは、注目画素の画素を用いないことから細線部の検出が不得意であり、特に、最小解像度における細線の再現性も重要視する場合には、細線検出を行う必要があるため、細線検出回路136を併用している。なお、平滑強調フィルタ122においては、よりシャープなエッジ強調による再現性を実現するためにラプラシアンフィルタを用いる構成を採用している。
[本発明との対応関係]
以上説明した実施形態において、ASIC46は本発明における画像処理装置であって、このASIC46の平滑強調部120が本発明における成分生成手段であり、平滑回路132が本発明における平均化処理手段であり、エッジ検出回路134,細線検出回路136およびOR回路138が本発明におけるエッジ判定手段であり、選択部140が本発明における選択出力手段であり、エッジ検出回路134が本発明における第1エッジ判定手段であり、細線検出回路136が本発明における第2エッジ判定手段である。
【0074】
また、平滑回路132により出力される成分を示すデータが本発明における平均データであり、平滑強調部120により出力される成分を示すデータが本発明における成分データである。
【0075】
また、図8におけるs120の処理は、本発明における成分生成手段,平均化処理手段およびエッジ判定手段であり、s130〜s150の処理は、本発明における選択出力手段である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】複合機の外観を示す斜視図
【図2】複合機の制御系統を示すブロック図
【図3】ASICに形成された回路構成を示すブロック図
【図4】画像処理実験の結果を示す図(1)
【図5】画像処理実験の結果を示す図(2)
【図6】画像処理実験の結果を示す図(3)
【図7】画像処理実験の結果を示す図(4)
【図8】ASICにより行われていた画像処理をCPUにより実行させる場合の処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0077】
1…複合機、12…記録給紙部、14…読取給紙部、16…記録排紙部、18…読取排紙部、20…表示パネル、30…操作パネル、31…数字ボタン、32…*ボタン、33…#ボタン、34…機能ボタン、35…設定ボタン、36…スタートボタン、37…電源ボタン、40…制御部、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…PCインタフェース部、45…NCU、46…ASIC、48…バス、50…プリンタ部、60…スキャナ部、110…YIQ変換部、120…平滑強調部、122…平滑強調フィルタ、124…平滑フィルタ、130…像域分離部、132…平滑回路、134…エッジ検出回路、136…細線検出回路、138…OR回路、140…選択部、150…YIQ逆変換部、160…CMY色変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された画像データに対して異なる特性の空間フィルタを用いることで複数の成分データを生成する成分生成手段と、
外部から入力された画像データに対して、該画像データで示される画像を平滑化する移動平均フィルタを用いることで平均データを生成する平均化処理手段と、
該平均化処理手段により生成された平均データに基づいて、該平均データで示される画像にエッジ領域が含まれているか否かを判定するエッジ判定手段と、
前記成分生成手段により生成される複数の成分データのうち、前記エッジ判定手段による判定結果に応じた成分データを外部へ出力する選択出力手段と、を備え、
前記成分生成手段は、外部から入力される画像データに対し、該画像データで示される画像を平滑化する平滑フィルタ,および,前記画像データで示される画像に含まれるエッジ領域を強調する強調フィルタを用いることで、複数の成分データを生成して、
前記選択出力手段は、前記エッジ判定手段によりエッジ領域が含まれていないと判定された場合、前記成分生成手段が平滑フィルタを用いて生成した成分データを外部へ出力する一方、エッジ領域が含まれていると判定された場合、前記成分生成手段が強調フィルタを用いて生成した成分データを外部へ出力する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記エッジ判定手段は、前記平均データに対してソベルフィルタを用いることにより該平均データからエッジ領域が抽出されたら、前記平滑データで示される画像にエッジ領域が含まれていると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記エッジ判定手段は、前記平均データに対してソベルフィルタを用いることによりエッジ領域を抽出する第1エッジ判定手段,および,前記平均データで示される画像について該画像に含まれる細線領域を検出する第2エッジ判定手段からなり、少なくとも、前記第1エッジ判定手段によりエッジ領域が抽出された場合、または、前記第2エッジ判定手段により細線領域が検出された場合に、前記平均データで示される画像にエッジ領域が含まれていると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記平均化処理手段は、前記画像データについての解像度に応じた移動平均フィルタを用いて平均データを生成する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像データが、所定の画像をスキャナで読み取ることにより生成されたものである場合において、
前記平均化処理手段は、画像の読み取り時におけるスキャナの解像度,および,スキャナにより読み取られた画像に含まれる網点領域の網点線数に応じたサイズの移動平均フィルタを用いて平均データを生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記平均化処理手段は、前記スキャナの解像度を、前記所定の画像に含まれる網点領域の網点線数で割った値に最も近い奇数値を求め、該奇数値を縦および横の画素数とするマトリクスの移動平均フィルタを用いて平均データを生成する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
外部から入力された画像データに対して異なる特性の空間フィルタを用いることで複数の成分データを生成すると共に、外部から入力された画像データに対して、該画像データで示される画像を平滑化する移動平均フィルタを用いることで平均データを生成して、
該平均データに基づいて、該平均データで示される画像にエッジ領域が含まれているか否かを判定し、前記生成した複数の成分データのうち、前記判定結果に応じた成分データを外部へ出力する画像処理方法において、
前記成分データを生成する際には、外部から入力される画像データに対し、該画像データで示される画像を平滑化する平滑フィルタ,および,前記画像データで示される画像に含まれるエッジ領域を強調する強調フィルタを用いることで複数の成分データを生成して、
前記判定結果に応じた成分データを出力する際には、エッジ領域が含まれていないと判定した場合であれば、前記平滑フィルタを用いて生成した成分データを外部へ出力する一方、エッジ領域が含まれていると判定した場合であれば、前記強調フィルタを用いて生成した成分データを外部へ出力する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の成分生成手段,平均化処理手段,エッジ判定手段および選択出力手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−25139(P2006−25139A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200886(P2004−200886)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】