説明

画像処理装置

【課題】線画を基本とするイラスト等の制作で、塗り分けの作業は高い精度が要求され、多大な労力を要するものである。この労力を減らすことを課題とする。
【解決手段】精度の要求されない単純な塗りわけをイラスト等の制作者が行い、精度が要求される細部の塗りわけをこの発明によって行うことができる。これにより、いままで手作業で塗り分けていた労力を大幅に減らすことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、線画を基本とするイラスト等の制作の塗り分けの方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イラスト等の制作にコンピュータを利用することが多くなっている。イラスト等の制作において塗り分けを行う場合、塗りわけにも使用できる従来の機能としてブラシ、塗りつぶし、パス等がある。ブラシは絵筆で塗る感覚でピクセルを塗ることができる機能である。塗りつぶしは指定したピクセルに隣接している同じ色あるいはそれに近い色のピクセルを対象の領域とし、領域に含まれるピクセルを塗りつぶす機能である。パスはベジェ曲線やスプライン曲線を用いて領域を囲み、領域に含まれるピクセルを塗りつぶす機能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の塗りつぶし機能では、中間色を塗り分ける方法として、しきい値を用いるか、あるいは抽出できた領域について単純に1ピクセル広げる手法を用いるために、塗り分けられるべき未確定領域が残り、手作業で精度が要求される細部を塗り分ける必要があった。この手作業にかかる労力を減らすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1の画像処理装置は、線画を基本とするイラスト等の制作で、塗り分けられるべきデジタルイメージを塗り分ける場合において、デジタルイメージについての値を持つ最小の単位をピクセルとし、前記ピクセルの集合を領域とし、これから塗り分けられるべき前記領域を未確定領域とし、既に塗り分けられていて各々に識別するべきであり隣接しても混合および統合されない前記領域を確定領域勢力とし、前記確定領域勢力を各々に識別するための番号を勢力番号とし、前記ピクセルを濃淡で分割した区域を濃淡区域とし、前記濃淡区域のうち濃淡の最も薄い区域を対象区域とし、前記確定領域勢力のうちの少なくとも1つに隣接している前記未確定領域に含まれる前記ピクセルで且つ前記対象区域に含まれる前記ピクセルについて、前記確定領域勢力に含めるために前記ピクセルに隣接している前記確定領域勢力のうちの1つから前記勢力番号を格納する領域拡大手段と、前記領域拡大手段を前記勢力番号を格納する操作が行われなくなるまで繰り返す未確定領域除外手段と、前期未確定領域除外手段を前記対象区域を広げながら繰り返す手段を具備する。
【0005】
また、請求項2の画像処理装置は、請求項1において前記デジタルイメージがレイヤーを有している場合、前記ピクセルをいずれかの前記確定領域勢力または前記未確定領域に分ける判定と、前記ピクセルが前記対象区域に含まれるかを判定するに際して、それぞれ別の前記レイヤーから前記ピクセルの値を取得する手段を具備する
【0006】
請求項3の画像処理装置は、請求項1、2において前記濃淡区域のうち濃淡の最も濃い区域を前記対象区域とする手段を具備する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、イラスト等の制作者が意図した塗り分けを、イラスト等の制作者が示した単純な塗り分けを元に、高い精度で行うことができるので、手作業にかかっていた時間と労力を大幅に減らすことができる。精度の要求される細部の塗り分けが高い精度で行われるので、実用性が極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明はイラスト等の制作に用いるものであるので、画像処理ソフトウェアの一機能として実施することが最良である。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の一実施例を詳細に説明する。
【0010】
第1図は、本発明の一実施例のフロー図である。本発明の一実施例ではピクセルの色の表現を赤と緑と青によるRGBとし、それぞれ8ビットの量子化を行い0〜255の256段階の階調を持つものとする。
【0011】
既に塗り分けられた領域を確定領域とし、これから塗り分けられるべき領域を未確定領域とするために、本発明の一実施例ではピクセルの彩度によって判定し、そのしきい値を0と0以外とする。彩度のしきい値を0と0以外にした場合、RGBについて、RとGとBが等しければ彩度は0であるので未確定領域であり、RとGとBのうちのいずれかが等しくなければ彩度は0以外なので確定領域と判定できる。
【0012】
次に、未確定領域と判定されたピクセルが対象区域に含まれているかを、本発明の一実施例ではピクセルの輝度によって判定し、そのしきい値を8とし、最も薄い濃淡区域を248〜255とする。輝度のしきい値を8とした場合、色成分RGBについて、未確定領域のRとGとBが等しいので、未確定領域のRが248〜255の範囲であれば対象区域に含まれていると判定できる。
【0013】
次に、対象区域に含まれているピクセルが確定領域の少なくとも1つと隣接しているかを、本発明の一実施例では上下左右の4ピクセルが確定領域であるかを前記彩度による判定によって判定する。上下左右の4ピクセルのうち1つでも確定領域があれば、確定領域に隣接していると判定できる。
【0014】
この3つの条件をすべて満たしていれば確定領域に含めることが出来る。本発明の一実施例では、この判定をすべてのピクセルに対して行い、確定領域に含めるために上下左右の4ピクセルのうち最初に見つかった確定領域の勢力番号をピクセルに格納する。この判定をすべてのピクセルに同時に行うためにバッファリングを行って1回ごとにコミットする。ここまでの操作をいずれのピクセルにも確定領域に含める判定が発生しなくなるまで繰り返して行う。
【0015】
次に、対象区域を広げる。前記しきい値に従って輝度の範囲を8広げて未確定領域のRが240〜255の範囲であれば、対象区域に含まれていると判定して同様の操作を行い、輝度の範囲が0〜255のときにピクセルを確定領域に含める判定が発生しなくなるまで繰り返して行う。
【0016】
第2図は、本発明の一実施例での画像の変化を示す図である。このように本発明によれば、未確定領域のすべてをイラスト等の制作者が意図した線画に従って高い精度で塗り分けることが可能であり、その効果は大きい。
【0017】
尚、本発明は色成分がRGB以外であっても可能であり、量子化が8ビット以外であっても可能であり、確定領域と未確定領域の判定を彩度ではないものを利用することも可能であり、確定領域と未確定領域の判定のしきい値を0以外にすることも可能であり、対象区域に含まれているかの判定に輝度ではないものを利用することも可能であり、対象区域のしきい値を8以外にすることも可能であり。最も薄い濃淡区域を248〜255以外にすることも可能である。これらの応用はすべて本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
線画を基本とするイラスト等の制作や、線画を基本とするアニメーション制作等の塗り分けに効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例のフロー図。
【図2】本発明の一実施例での画像の変化を示す図。
【符号の説明】
【0020】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルイメージについての値を持つ最小の単位をピクセルとし、前記ピクセルの集合を領域とし、これから塗り分けられるべき前記領域を未確定領域とし、既に塗り分けられていて各々に識別するべきであり隣接しても混合および統合されない前記領域を確定領域勢力とし、前記確定領域勢力を各々に識別するための番号を勢力番号とし、前記ピクセルを濃淡で分割した区域を濃淡区域とし、前記濃淡区域のうち濃淡の最も薄い区域を対象区域とし、前記確定領域勢力のうちの少なくとも1つに隣接している前記未確定領域に含まれる前記ピクセルで且つ前記対象区域に含まれる前記ピクセルについて、前記確定領域勢力に含めるために前記ピクセルに隣接している前記確定領域勢力のうちの1つから前記勢力番号を格納する領域拡大手段と、前記領域拡大手段を前記勢力番号を格納する操作が行われなくなるまで繰り返す未確定領域除外手段と、前期未確定領域除外手段を前記対象区域を広げながら繰り返す手段を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において前記デジタルイメージがレイヤーを有している場合、前記ピクセルをいずれかの前記確定領域勢力または前記未確定領域に分ける判定と、前記ピクセルが前記対象区域に含まれるかを判定するに際して、それぞれ別の前記レイヤーから前記ピクセルの値を取得する手段を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1、2において前記濃淡区域のうち濃淡の最も濃い区域を前記対象区域とする手段を具備することをを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−220056(P2007−220056A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71757(P2006−71757)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506090277)
【Fターム(参考)】