説明

画像処理装置

【課題】情報コードの検索を実行する手間が省け、情報コード検索を確実、迅速に行うことができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】QRモードが有効である場合、原稿の1頁目の画像をスキャンし、蓄積した後、表示画像とQRコードの位置指定を促す旨を表示する(ステップ103、104)。そして、QRコードの検索位置が指定された場合、CPU1は、ユーザが指定した位置に基づいた特定範囲についてQRコードの検索を実行し、QRコードが検出された場合、QRコードの抽出及びデコード処理を実行した後、QRコードの復元情報に基づいて必要な処理を実行する(ステップ105〜112)。処理実行後、次の原稿があるか否かを判定し、次の原稿がある場合には、ステップ103に戻って次の原稿の画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、特に情報コード、例えば、QRコードの検索/解析機能を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、QR(クイック・レスポンス)コード等の二次元バーコードがチラシなどの印刷物に記載され、携帯電話などで読み取ることによりその中に含まれているURLなどの情報にアクセスできるようになってきており、複写機能、ファクシミリ機能、プリント機能、スキャナ機能等を有するデジタル複合機においても、原稿スキャンや印字時にQRコードを検索してデコード処理を行い、その結果を基に種々の機能を実行したり、新たな情報に変換して再度エンコードすることが考えられている。
【0003】
例えば、商品の広告チラシにその商品を注文する注文書を送信するための送信先のアドレスを表した二次元コード情報が含まれている場合、広告チラシの画像データをスキャンして検索された二次元コード情報をデコードすることにより文字情報に変換し、この文字情報に含まれている送信先アドレスに注文書のデータを送信することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−115021号公報
【0004】
また、ファクシミリ送信時に入力された送信先、ポーリング、同報、原稿枚数等の情報を原稿のヘッダー部に二次元バーコードとして記録し、同一原稿をスキャナで読み取ることにより、簡単にヘッダー部に記録されたデータを基にしてファクシミリの再送信、ファクシミリ装置への宛先の登録を行うことができるようにすることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2004−343564号公報
【0005】
さらに、スキャナから読み取った画像データをハードディスク等のメモリに一旦記憶し、そのメモリから任意の原稿の画像データを繰り返し読み出して印刷する機能を備えたデジタル複合機において、オリジナル原稿の画像データをメモリから読み出して印刷する際に、画像データにメモリ内の格納先及びデータ属性を示した情報コードを埋め込んで複製原稿を作成し、この複製原稿をスキャナで読取る際に、画像データの情報コードからメモリ内のオリジナル原稿の格納先を認識し、オリジナル原稿をメモリから読み出して印刷することも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献3】特開2004−336288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来、ファクシミリ送信時や原稿コピー時等に情報コードを検索/解析してデコード処理し、必要な処理を実行することが提案されているが、デジタル複合機でスキャンした画像に含まれている情報コードを解析するには、情報コードが配置されている位置の検出が必要であり、スキャン原稿の場合、画素数が多く、検出に時間がかかるという問題が生じる。
【0007】
すなわち、情報コードがスキャン原稿内のどの位置に配置されているかが決まっている場合には問題ないが、そうでなくランダムに配置された情報コードを検索する場合には、ページ内の全エリアを検索してそこから当該情報コードとして特定しなければならないため、相応の時間が必要で、情報コードの検索中ユーザはデジタル複合機本体の前で待たされることになる。また、スキャン原稿が複数頁にまたがるケースでは、さらに検索時間がかかってしまう。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、情報コードの検索を実行する手間が省け、情報コード検索を確実、迅速に行うことができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明の画像処理装置は、画像データ中に存在する情報コードを検索し、解析する情報コード検索手段と、上記情報コード検索手段を制御する制御手段とを備えた画像処理装置であって、原稿画像を表示する表示手段を備え、ユーザが原稿画像上の位置指定を行ったとき、上記制御手段が、上記情報コード検索手段に当該位置情報に基づいて設定した検索範囲において情報コードの検索を実行させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明の画像処理装置は、請求項1に記載された画像処理装置において、複数頁の画像データについて情報コードの検索を実行する場合、上記制御手段が、上記ユーザが指定した同じ位置情報に基づいて複数の頁の情報コード検索を実行させることを特徴とする
【0011】
さらに、請求項3に係る発明の画像処理装置は、請求項1に記載された画像処理装置において、複数頁の画像データについて情報コードの検索を実行する場合、上記制御手段が、ユーザが指定した同じ位置情報に基づいて複数の頁の情報コード検索を実行するか否かを問い合せることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明の画像処理装置は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載された画像処理装置において、上記表示手段が低解像度の画像データを表示し、上記情報コード検索手段が高解像度画像データに基づいて情報コードの検索を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明の画像処理装置によれば、表示手段に原稿画像が表示されるので、ユーザに視覚的に情報コードの検索位置指定を促すことができ、ユーザが容易に情報コードの検索位置を指示することができるとともに、情報コードの検索の手間を少なくし、検索時間を短縮することができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明の画像処理装置によれば、複数頁の画像データについて情報コードの検索を実行する場合に、ユーザが指定した同じ位置情報に基づいて設定された検索範囲について情報コードの検索が実行されるので、さらに情報コードの検索の手間を少なくすることができる。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明の画像処理装置によれば、複数の頁についてユーザが指定した同じ位置情報に基づいて設定した検索範囲について情報コードの検索を実行するか否かの問合せが行われるので、複数の頁の情報コードが記録されている位置が異なっている場合にも対応することができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明の画像処理装置によれば、原稿画像の表示時には低解像度の画像データが表示され、情報コードの検索時には高解像度画像データに基づいて情報コードの検索が実行されるので、表示画像の処理時間を短縮できるとともに、情報コードの検索を高精度に行うことができる。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の画像処理装置をデジタル複合機に適用した実施例について説明する。図1はデジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図であり、このデジタル複合機は、CPU1、ROM(Read Only Memory)2、SRAM(Static Random Access Memory)3、表示・操作部4、読取部5、画像メモリ6、記録部7、コーデック8、モデム9、ネットワーク制御ユニット(NCU)10、文書保存部11、QRコード処理部12及びネットワークインターフェース(Network I/F)13から構成され、各部がバス14を介して接続されている。
【0018】
CPU1はバス14を介してデジタル複合機のハードウェア各部を制御するとともに、ROM2に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行する。ROM2はデジタル複合機の動作に必要な種々のプログラムや操作メッセージ等を予め記憶しており、SRAM3は、プログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶するものであり、QRコードの位置情報、QRコードの復元情報等を記憶する。
【0019】
表示・操作部4は、デジタル複合機の動作状態を表示したり、種々の機能の操作画面の表示を行う表示部と、デジタル複合機を操作するための複数のキーよりなり、図2に示すように、表示部を構成するLCD表示部21と多数の操作キーから構成されている。LCD表示部21には、タッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部21に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択や機能の実行を行うことができる。
【0020】
また、操作キーとして、テンキー22、スタートキー23、リセットキー24、ストップキー25、複数のワンタッチダイヤルキー26、十字キー27、リターンキー28、セットキー29、FAX切替キー30、コピー切替キー31、スキャナ切替キー32等の各種キーが設けられている。なお、LCD表示部21によりこれらの操作キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0021】
読取部5はオートドキュメントフィーダー(ADF)やフラットベッドスキャナ(FBS)等の読取り用原稿載置台を備え、CCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、ドットイメージデータを出力する。
また、画像メモリ6は、DRAM等を用いて構成され、送信すべき画像データまたは受信した画像データあるいは読取部5で読み取った画像データを記憶し、記録部7は電子写真方式等のプリンタ装置を備え、受信したデータ、コピー原稿データあるいは外部のパソコン等から送信されたプリントデータをプリントアウトする。
【0022】
コーデック8は所定のプロトコルに対応して符号化・復号するものであり、読み取った原稿の画像データを送信するためにMH、MRまたはMMR方式により符号化し、外部から受信した画像データを復号するとともに、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して符号化、復号する。
【0023】
モデム9はバス14に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファクスモデムとしての機能を有し、このモデム9は同様にバス14に接続されたNCU10と接続されている。NCU10はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム9を公衆交換電話網(PSTN)に接続する。
【0024】
文書保存部11はハードディスク等のメモリで構成され、読取部5でスキャンされた画像データあるいは外部のパソコン等から受け取った画像データを保存する記憶部である。この文書保存部11には、文書名を識別できるファイル名が付与された各ファイルに画像データが保存されるとともに、この文書保存部11の管理ファイルに各文書のファイル名と、作成日時、作成者のID等の情報が記憶される。
【0025】
一方、QRコード処理部12は、入力された画像データの中からQRコードの添付位置を検索してQRコード位置を検出するとともに、当該検出位置から抽出されたQRコードをデコードすることによりQRコードに格納されている情報を取得する。なお、このQRコード処理部12は入力された情報をエンコードすることによりQRコードを生成することもできる。
【0026】
また、ネットワークインターフェース13はLAN等のネットワークに接続され、ネットワークに接続されたパソコンからのプリントデータ等の信号を受信する一方、ネットワークに対して信号やデータを送信するものであり、信号変換やプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。
【0027】
デジタル複合機は上記のような構成を備えており、ファクシミリ送信時には、原稿の画像データが読取部5で読み取られ、コーデック8で圧縮されて画像メモリ6に蓄積される。この圧縮された画像データが画像メモリ6から読み出されてモデム9で変調され、NCU10からPSTNを通して通信相手先に送信される。また、ファクシミリ受信時には、受信した画像データがモデム9で復調され、画像メモリ6に蓄積された後、コーデック8で復号されて記録部7によりプリントされる。
【0028】
さらに、ユーザがコピーを行う場合には、読取部5のADFまたはFBSに原稿をセットし、コピー設定画面で記録用紙サイズの選択、コピー部数の設定等を行った後、表示・操作部4のスタートキー23を押下することにより、原稿の画像データが読取部5で読み取られ、コーデック8で圧縮されて画像メモリ6に蓄積された後、コーデック8で復号されて記録部7によりプリントされる。
【0029】
また、文書保存部11への文書データの保存時には、ユーザが読取部5のADFまたはFBSに原稿をセットし、文書保存設定画面で文書名、ユーザID等を入力した後、表示・操作部4のスタートキー23を押下することにより、原稿の画像データが読取部5で読み取られ、コーデック8で圧縮されて文書保存部11に保存される。なお、この場合、メモリ内の格納先及びデータ属性、例えば、文書保存日時、ユーザID、公開範囲、データ転送禁止等の情報をQRコード処理部12によりQRコード化し、このQRコードを画像データに埋め込んだ保存データを文書保存部11に記憶することも可能である。
【0030】
一方、上記のファクシミリ送信、コピーあるいは文書データの保存時にユーザがそれぞれの設定画面でQRモードを指定すると、スキャンされた原稿にQRコードが含まれている場合、QRコードに含まれている情報に基づいて各種機能を実行することができる。
なお、コピーやファクシミリ送信、文書データの保存時等、個々の作業時に設定画面でQRモードを設定できるようにする代わりに、デジタル複合機の初期設定として各種の機能実行時にすべてQRモードとして実行するように設定することも可能である。
【0031】
以下、コピー時にQRモードを実行する場合の作用について、図3のフローチャートにより説明する。
読取部5のADFに原稿がセットされた後、スタートキー23が押下されると、CPU1は、図3のフローチャートに示すQRモード判別プログラムを開始し、ユーザがQRモードを選択したか否か、あるいは機器設定がQRモードに設定されているか否かを判断することにより、QRモードが有効か否かを判定し(ステップ101)、QRモードが有効でないと判定した場合、通常の処理、すなわち、上記のように、読取部5で読み取った原稿の画像データをコーデック8で圧縮して画像メモリ6に蓄積し、この圧縮画像をコーデック8で復号して記録部7によりプリントした(ステップ102)後、プログラムを終了する。
【0032】
一方、ステップ101でQRモードが有効であると判定した場合、CPU1は、ADFにセットされた原稿の1頁目を読取部5によりスキャンし、コーデック8で圧縮して画像メモリ6に蓄積した(ステップ103)後、画像メモリ6から読み出し、コーデック8で復号したビットマップデータより表示画像を作成し、この表示画像とQRコードの位置指定を促す旨を操作・表示部4のLCD表示部21に表示する(ステップ104)。
【0033】
図4は、QRコードの位置指定を促す表示の一例であり、図に示すように、表示画面の左側に原稿の画像が表示されるとともに、右側に「通常処理」ボタンと「中止」ボタンが表示されている。この画面でユーザは原稿画像の任意の位置を押下することによってQRコードの検索位置を指定することができる。また、「通常処理」ボタンを押下することにより、QRモードを中止して通常処理を行うことができ、「中止」ボタンを押下することによりコピー動作を中止することができる。
【0034】
QRコードの位置指定を促す画面を表示した後、CPU1は、図4の画面で原稿画像の任意の位置が押下されたか否かを判断することによりQRコードの検索位置が指定されたか否かを判定し(ステップ105)、QRコードの検索位置が指定されていないと判定した場合、図4の画面で「通常処理」ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップ106)。
【0035】
ステップ106で「通常処理」ボタンが押下されたと判定した場合、CPU1は、ステップ102に移って通常の処理を実行し、「通常処理」ボタンが押下されていないと判定した場合、図4の画面で「中止」ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップ107)。
「中止」ボタンが押下されていないと判定した場合、CPU1は、ステップ105に戻って、再び、QRコードの検索位置が指定されたか否かを判定し、「中止」ボタンが押下されたと判定した場合、プログラムを終了する。
【0036】
一方、ステップ105でQRコードの検索位置が指定されたと判定した場合、CPU1は、原稿画像のビットマップデータの中からユーザが指定した位置に基づいて特定範囲のデータを抽出し、抽出したデータをQRコード処理部12に入力してQRコードの検索実行を指示する(ステップ108)。
これにより、QRコード処理部12が入力された特定範囲のデータ内にQRコードが含まれているか否かを検索し、QRコードが見つかった場合には、QRコード検出信号を出力し、QRコードが見つからなかった場合には、QRコード非検出信号を出力する。
【0037】
QRコード処理部12にQRコードの検索を指示した後、CPU1は、QRコード処理部12から出力されるQRコード検出信号またはQRコード非検出信号に基づいて、QRコードが検出されたか否かを判定し(ステップ109)、QRコードが検出されなかったと判定した場合、エラー処理、例えば、LCD表示部21に「QRコードが見つかりませんでした」との表示を行った(ステップ110)後、プログラムを終了する。
【0038】
一方、QRコードが検出されたと判定した場合、CPU1は、QRコード処理部12に検出されたQRコード位置にあるQRコード部分の抽出及びQRコードのデコード処理を実行させた(ステップ111)後、QRコード処理部12から出力されたQRコードの復元情報に基づいて必要な処理を実行する(ステップ112)。
すなわち、QRコードの復元情報からコピー原稿のコピー回数を読み出し、このコピー回数に1を加えた回数を新たなコピー回数とし、ユーザID等の他の情報とともにQRコード処理部12に送ってQRコードを新たに生成させ、生成された新たなQRコードの画像とビットマップデータとを合成した後、記録部7によってプリントする。
【0039】
QRコードの復元情報に基づいた処理を実行した後、CPU1は、読取部5のADFに次の原稿があるか否かを判定し(ステップ113)、次の原稿があると判定した場合、ステップ103に戻って次の原稿の画像を表示し、次の原稿がないと判定した場合、プログラムを終了する。
【0040】
以上のように、QRコードの検索時にLCD表示部21に原稿の画像が表示されるので、ユーザに視覚的に情報コードの検索位置の指定を促すことができ、ユーザが容易にQRコードの検索位置を指示することができるとともに、QRコードの検索の手間を少なくし、検索時間を短縮することができる。
【0041】
なお、上記の実施例では、コピー時にQRコードを検索する例について説明したが、ファクシミリ送信時、あるいは文書データの保存時のQRコード検索時にも同様に実施することができる。
すなわち、ファクシミリ送信の場合は、圧縮された画像データを画像メモリ6から読み出してモデム9で変調し、NCU10からPSTNを通してQRコードの復元情報に含まれている通信相手先に送信するような処理を実行し、文書データの保存時には、圧縮された画像データを画像メモリ6から読み出して文書保存部11に保存するとともに、QRコードの復元情報に含まれている文書のファイル名や作成日時、作成者のID等の情報を文書保存部11の管理ファイルに記憶する。
【0042】
また、上記の実施例では、原稿を読取部5のADFにセットする例について説明したが、原稿をFBSにセットする場合にも同様に実施することができ、その場合には、1枚の原稿処理が終了するごとに、LCD表示部21に次の原稿があるか否かの問合せを行う表示を行うことによって、次の原稿があるか否かを判断することができる。
【実施例2】
【0043】
上記の実施例では、原稿に複数の頁がある場合、頁毎に原稿画像を表示してユーザにQRコードの検索位置を指定させたが、原稿に複数の頁がある場合、2頁以降の頁についても最初の頁で指定されたQRコードの検索位置を使用することができ、また、原稿画像の表示に低解像度のプレビュー画像を使用することもでき、以下、最初の頁で指定されたQRコードの検索位置を以降の頁でも使用するとともに、プレビュー画像を表示する場合の作用について、図5−1、図5−2のフローチャートにより説明する。
なお、デジタル複合機の構成は図1、図2と同様であるので、説明は省略する。
【0044】
読取部5のFBSまたはADFに原稿がセットされた後、スタートキー23が押下されると、CPU1は、図5−1、図5−2のフローチャートに示すQRモード判別プログラムを開始し、QRモードが有効か否かを判定し(ステップ201)、QRモードが有効でないと判定した場合、通常の処理を実行した(ステップ202)後、プログラムを終了する。
【0045】
一方、ステップ201でQRモードが有効であると判定した場合、CPU1は、FBSにセットされた原稿またはADFにセットされた原稿の1頁目を読取部5により低解像度、例えば、100dpiの解像度でスキャンし、コーデック8で圧縮して画像メモリ6に蓄積した(ステップ203)後、圧縮された画像データを画像メモリ6から読み出し、コーデック8で復号することにより、ビットマップデータとしてプレビュー画像を作成し、図4と同様に、このプレビュー画像とQRコードの位置指定を促す旨を操作・表示部4のLCD表示部21に表示する(ステップ204)。
【0046】
QRコードの位置指定を促す画面を表示した後、CPU1は、図4のQRコードの位置指定を促す画面で原稿画像の任意の位置が押下されたか否かを判断することによりQRコードの検索位置が指定されたか否かを判定し(ステップ205)、QRコードの検索位置が指定されていないと判定した場合、図4の画面で「通常処理」ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップ206)。
【0047】
ステップ206で「通常処理」ボタンが押下されたと判定した場合、CPU1は、ステップ202に移って通常の処理を実行し、「通常処理」ボタンが押下されていないと判定した場合、図4の画面で「中止」ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップ207)。
「中止」ボタンが押下されていないと判定した場合、CPU1は、ステップ205に戻って、再び、QRコードの検索位置が指定されたか否かを判定し、「中止」ボタンが押下されたと判定した場合、プログラムを終了する。
【0048】
一方、ステップ205でQRコードの検索位置が指定されたと判定した場合、CPU1は、原稿がFBSにセットされているか否かを判断することにより、FBSが使用されているか否かを判定し(ステップ208)、ユーザが原稿をADFにセットし、FBSが使用されていないと判定した場合、LCD表示部21に原稿の再セットを要請する旨、例えば、「ADFに原稿を再セットしてください」との表示を行った(ステップ209)後、ADFに原稿がセットされたか否かを判定する(ステップ210)。
【0049】
そして、ステップ210でADFに原稿が再セットされたと判定した場合、あるいは、ステップ208でFBSが使用されていると判定した場合、CPU1は、原稿の画像を、例えば、400dpiの解像度でスキャンすることにより本スキャンを実行し、コーデック8で圧縮して画像メモリ6に蓄積する(ステップ211)。次に、圧縮画像データを画像メモリ6から読み出し、コーデック8で復号したビットマップデータからユーザが指定した位置に基づいて特定範囲のデータを抽出し、QRコード処理部12に入力することにより、QRコードの検索実行を指示する(ステップ212)。
【0050】
QRコード処理部12にQRコードの検索を指示した後、CPU1は、QRコード処理部12から出力されるQRコード検出信号またはQRコード非検出信号に基づいて、QRコードが検出されたか否かを判定し(ステップ213)、QRコードが検出されなかったと判定した場合、エラー処理を行った(ステップ214)後、プログラムを終了する。
【0051】
一方、QRコードが検出されたと判定した場合、CPU1は、QRコード処理部12に検出されたQRコードの抽出・デコード処理を実行させた(ステップ215)後、QRコード処理部12から出力されたQRコードの復元情報に基づいて必要な処理を実行する(ステップ216)。
【0052】
QRコードの復元情報に基づく処理を終了すると、CPU1は、再び、FBSが使用されているか否かを判定し(ステップ217)、FBSが使用されていると判定した場合、LCD表示部21にユーザに次の原稿の有無を問い合わせる画面、例えば、図6に示すように、「QRモード処理する原稿はまだありますか?」との表示、及び「はい」ボタン、「いいえ」ボタンを表示する(ステップ218)。
【0053】
次に、CPU1は、上記の問合せ画面で「はい」ボタンが押下されたか、「いいえ」ボタンが押下されたかを判断することにより次の原稿があるか否かを判定し(ステップ219)、次の原稿がないと判定した場合、プログラムを終了し、次の原稿があると判定した場合、FBSに原稿がセットされたか否かを判定する(ステップ220)。
【0054】
また、ステップ217でADFを使用していると判定した場合、CPU1は、ADFにまだ原稿が残っているか否かを判断することにより、次の原稿があるか否かを判定し(ステップ221)、次の原稿がないと判定した場合、プログラムを終了する。
【0055】
そして、ステップ220でADFに原稿が再セットされたと判定した場合、あるいは、ステップ221で次の原稿があると判定した場合、CPU1は、図4のQRコードの位置指定を促す画面でユーザが指定した位置をQRコード検索位置と指定した(ステップ222)後、ステップ211に戻って、再び、原稿の画像の本スキャン、QRコード検出を実行する。
【0056】
以上のように、複数頁の画像データについてQRコードの検索を実行する場合、ユーザが指定した同じ位置情報に基づいて設定された検索範囲について情報コードの検索が実行されるので、さらにQRコードの検索の手間を少なくすることができる。
また、原稿画像の表示時には低解像度のプレビュー画像が表示され、QRコードの検索時には本スキャンによる高解像度画像データに基づいて検索が実行されるので、表示画像の処理時間を短縮できるとともに、QRコードの検索を高精度に行うことができる。
【0057】
なお、この実施例では、コピー時にQRコードを検索する場合について説明したが、実施例1と同様に、ファクシミリ送信時、あるいは文書データの保存時のQRコード検索時にも実施することができる。
【実施例3】
【0058】
上記の実施例では、原稿に複数の頁がある場合、最初の頁で指定されたQRコードの検索位置を使用することにより、2頁以降の頁についても同じ位置を検索するようにしたが、複数の頁について同じ位置情報を用いて情報コードの検索を実行するか否かをユーザに問い合せるようにすることもでき、以下、最初の頁でユーザが指定した位置情報を2頁以降も使用するか否かの問合せを行う場合の作用について、図7−1、図7−2のフローチャートにより説明する。
【0059】
なお、デジタル複合機の構成は図1、図2と同様であるので、説明は省略する。
また、図7−1、図7−2のフローチャートのステップ301〜ステップ321の作用は、図5−1、図5−2のフローチャートのステップ201〜ステップ221の作用と同じであるので、説明を省略し、ステップ322以降の作用についてのみ説明する。
【0060】
ステップ320でADFに原稿が再セットされたと判定した場合、あるいは、ステップ321で次の原稿があると判定した場合、CPU1は、図4のQRコードの位置指定を促す画面でユーザが指定した位置をQRコード検索位置として次頁でも使用するか否かの問合せ画面、例えば、図8に示すように、「次頁も同じ指定位置をQRコード検索に使用しますか?」との表示、及び「はい」ボタン、「いいえ」ボタンを表示する(ステップ322)。
【0061】
次に、CPU1は、上記の問合せ画面で「はい」ボタンが押下されたか、「いいえ」ボタンが押下されたかを判断することにより、図4の画面でユーザが指定した位置をQRコード検索位置として次頁でも使用するか否かを判定し(ステップ323)、同じ位置をQRコード検索位置として使用すると判定した場合、図4の画面でユーザが指定した位置をQRコード検索位置と指定した(ステップ324)後、ステップ311に戻って、再び、原稿の画像の本スキャン、QRコードの検出を実行する。
【0062】
一方、ステップ323で同じ位置をQRコード検索位置として使用しないと判定した場合、CPU1は、ステップ303に戻って、再び、FBSにセットされた原稿またはADFにセットされた次の頁の原稿を読取部5により低解像度でスキャンする。
【0063】
以上のように、複数の頁についてユーザが指定した同じ位置情報を用いてQRコードの検索を実行するか否かの問い合せが行われ、ユーザは次頁以降同じ指定位置を使用してQRコードの検索を実行させるか否かを選択することができるので、複数の頁についてQRコードが記録されている位置が異なっている場合にも対応することができる。
【0064】
なお、以上の実施例では、QRコードの解析情報に基づく処理として、QRコードの復元情報に含まれるコピー回数を書き換えた新たなQRコードの生成、QRコードの復元情報に含まれている通信相手先へのファクシミリ送信、QRコードの復元情報に含まれているデータの文書保存部11の管理ファイルへの記憶を例として説明したが、その他のQRコードの復元情報に基づく処理や、ファクシミリ受信時に受信した画像データあるいは外部のパソコンから受信した画像データに含まれるQRコードの検索/解析にも本発明を実施することができる。
【0065】
また、上記の実施例2、実施例3では、低解像度スキャンを行うことによりプレビュー画像を表示したが、本スキャンデータの解像度変換の変換率、すなわち、縮小率を変更して低解像度の画像データを得ることもでき、このようにすれば、画像のスキャン回数を減らすことができる。
さらに、以上の実施例では、情報コードとしてQRコードを例として説明したが、その他の情報コードであっても本発明の画像処理装置を適用することが可能であり、また、以上の実施例では、本発明の画像処理装置をデジタル複合機に適用した例について説明したが、本発明の画像処理装置はコピー機等の他の画像処理装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】デジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】表示・操作部の詳細な構成を示す図である。
【図3】QRモードを実行する場合の作用を示すフローチャートである。
【図4】QRコードの位置指定を促す表示の一例である。
【図5−1】QRモードを実行する場合の他の実施例の作用を示すフローチャートである。
【図5−2】QRモードを実行する場合の他の実施例の作用を示すフローチャートである。
【図6】次の原稿の有無を問い合わる画面の一例である。
【図7−1】QRモードを実行する場合のさらに他の実施例の作用を示すフローチャートである。
【図7−2】QRモードを実行する場合のさらに他の実施例の作用を示すフローチャートである。
【図8】ユーザの指定位置を次頁でも使用するか否かの問合せ画面の一例である。
【符号の説明】
【0067】
1 CPU
2 ROM
3 SRAM
4 表示・操作部
5 読取部
6 画像メモリ
7 記録部
8 コーデック
9 モデム
10 NCU
11 文書保存部
12 QRコード処理部
13 Network I/F
14 バス
21 LCD表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ中に存在する情報コードを検索し、解析する情報コード検索手段と、上記情報コード検索手段を制御する制御手段とを備えた画像処理装置であって、
原稿画像を表示する表示手段を備え、ユーザが原稿画像上の位置指定を行ったとき、上記制御手段が、上記情報コード検索手段に当該位置情報に基づいて設定した検索範囲において情報コードの検索を実行させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、
複数頁の画像データについて情報コードの検索を実行する場合、上記制御手段が、上記ユーザが指定した同じ位置情報に基づいて複数の頁の情報コード検索を実行させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載された画像処理装置において、
複数頁の画像データについて情報コードの検索を実行する場合、上記制御手段が、ユーザが指定した同じ位置情報に基づいて複数の頁の情報コード検索を実行するか否かを問い合せることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載された画像処理装置において、
上記表示手段が低解像度の画像データを表示し、上記情報コード検索手段が高解像度画像データに基づいて情報コードの検索を実行することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−258930(P2008−258930A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98959(P2007−98959)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】