説明

画像処理装置

【課題】撮影時の明るさの変動に対応して、容易に正常な画像を得ることができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】指定された撮影タイミングおよび複数の相異なる時間幅のシャッター時間で、複数回連続して撮像素子1が製品Pを撮影するので、シャッター時間をそれぞれ可変させて撮影された複数の画像の中から、撮影時に外乱光などの明るさの変動の影響を受けない本来の正常な画像に近い画像が容易に得られ、撮影時における外乱光などの明るさの変動に対応できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される製品を撮像素子で撮影し、製品の撮像データを画像処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来から、搬送コンベアのような搬送機構Cで多数の製品Pを次々に移動させながら、同期センサSで製品Pを検知し、この検知信号の入力を撮影タイミングとして、イメージセンサのような撮像素子(撮像カメラ)1で撮像した製品Pの撮像データを画像処理して、例えば製品Pの良否を判定する画像処理装置が知られている。
【0003】
ところで、撮影時における外乱光や、蛍光灯の点滅、照明装置を用いた場合における該装置の経年変化などで、撮影時に製品Pに対する明るさが変動した場合、製品Pの検査結果が乱れて、本来の画像処理結果が得られないという問題があった。
【0004】
このため、従来から、明るさの変動に応じて撮像カメラのシャッター速度を可変することが知られており、従来技術として、撮像信号の輝度レベルを検出し、この検出結果に応じてシャッター速度を可変させることが知られている(例えば、特許文献1)。また、映像信号のレベルを検出して、そのレベルが一定範囲外のときシャッター速度を可変させて、一定範囲内とする制御を行うことも知られている(例えば、特許文献2)、その一方、撮像素子でワークごとに複数回連続して撮影して、ワークのブレによる画像処理測定値のバラツキを内部で統計処理することも知られている(例えば、特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−135650号公報
【特許文献2】特開平8−168027号公報
【特許文献3】特開2004−145504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2の撮像信号のレベルを検出するレベル検出回路では、画像の平均輝度が出力されるため、部分的に輝度が変わる、つまり製品が例えば表面にしわのあるシート状であると、しわの状態によって正反射光が入ったり入らなかったりするため、目的の部分の輝度情報を正確に得ることができない。
【0006】
また、特許文献3では、単に所定のインターバルで所定回数撮像するだけなので、外乱光などで撮影時の明るさが変動した場合に対応できない。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決して、撮影時の明るさの変動に対応して、容易に正常な画像を得ることができる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、搬送される製品を撮像素子で撮影し、製品の撮像データを画像処理するものであって、製品ごとにそれぞれ複数回連続して撮像素子に撮影させる撮影制御部を備え、前記撮影制御部は、撮像素子の各撮影ごとに複数の相異なる時間幅のシャッター時間を含む撮影設定値を予め記憶する設定値記憶手段と、製品を撮影する撮影タイミングおよび記憶された前記相異なる時間幅のシャッター時間を指定する撮影条件指定手段と、を有して、指定された撮影タイミングおよび前記相異なる時間幅のシャッター時間で、撮像素子が製品ごとにそれぞれ複数回連続して撮影するように制御する。
【0009】
この構成によれば、指定された撮影タイミングおよび複数の相異なる時間幅のシャッター時間で、つまりシャッター時間をそれぞれ可変させて、複数回連続して撮像素子が製品を撮影するので、シャッター時間をそれぞれ可変させて撮影された複数の画像の中から、撮影時に外乱光などの明るさの変動や製品の変化の影響を受けない本来の正常な画像に近い画像が容易に得られ、撮影時における外乱光などの明るさの変動に対応できる。
【0010】
好ましくは、前記設定値記憶手段は、前記シャッター時間の基準となる基準シャッター時間を記憶する基準シャッター時間部と、基準シャッター時間に付与する時間増減分を記憶する時間増減部と、連続撮影回数を記憶する連続撮影回数部とを有する。したがって、複数のシャッター時間を容易に記憶できる。
【0011】
好ましくは、前記撮影条件指定手段の指定する撮影タイミングが、同期センサから製品の検知信号が入力するタイミングである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。本装置は、搬送される製品Pを撮影するイメージセンサのような撮像素子(撮像カメラ)1と、撮像素子1で撮像した撮像データを記憶する複数(1〜n枚用)の画像メモリ2と、製品Pの撮像データを画像処理する画像処理部3と、画像処理結果を出力する処理結果出力部4と、搬送される製品Pを検知した同期センサS(図1)の検知信号が入力する同期入力部8とを備えている。
【0013】
製品Pは、ケースに収納された食品であり、製品Pの検査対象部位は、その食品の賞味期限や製造場所、製造時刻等の文字がケースに印字された製品ラベルであり、本装置により製品ラベル内の賞味期限等の文字や製品ラベルの位置ずれなどを検出して製品Pの良否を判定する。また、本装置により、製品Pの長さを計測して、計測データの平均値を得るようにしてもよい。
【0014】
本装置は、撮像素子1に製品Pごとにそれぞれ複数回連続して相異なる撮影設定値で撮影させる撮影制御部5を備えている。この撮影制御部5は、撮像素子1の各撮影ごとに複数の相異なる時間幅のシャッター時間を含む撮影設定値を予め記憶する設定値記憶手段(設定値メモリ)6と、製品Pを撮影する撮影タイミングおよび記憶された前記相異なる時間幅のシャッター時間を指定する撮影条件指定手段7とを有して、指定された撮影タイミングおよび前記相異なる時間幅のシャッター時間で、撮像素子1が製品Pごとにそれぞれ複数回連続して撮影するように制御する。
【0015】
前記設定値メモリ6は、前記シャッター時間の基準となる基準シャッター時間を記憶する基準シャッター時間部11と、基準シャッター時間に付与する時間増減分を記憶する時間増減部12と、連続撮影回数を記憶する連続撮影回数部13とを有する。
【0016】
前記撮影条件指定手段7で指定される撮影タイミングは、搬送される製品Pを検知した同期センサS(図1)の検知信号が入力する同期入力部8からの同期入力に基づいて指定される。
【0017】
上記構成の本装置における画像処理動作の一例を、図3のタイムチャートに基づいて説明する。
設定値メモリ6における連続撮影回数部13の連続撮影回数は例えば5回に設定されている。基準シャッター時間部11の基準シャッター時間はS0、シャッター時間増減部12のシャッター時間増減分はα、2αに設定されている。例えば、基準シャッター時間S0に対してシャッター時間増減分αは5〜10%に設定される。複数のシャッター時間は、それぞれ時間幅の相異なるS0、S1(S0+α)、S2(S0−α)、S3(S0+2α)、S4(S0−2α)の5つに設定される。このシャッター時間S0〜S4は、それぞれ撮像素子1の露光0〜4に対応する。
【0018】
図3aでは、撮像素子1は、同期センサSによる製品Pの検知により(図1)、同期入力部8からの同期入力に基づく撮影タイミングで撮影を開始する。撮像素子1は、この撮影タイミングで、1つの製品Pを5回連続して撮影する。
【0019】
まず、図3b、cではシャッター時間S0(露光0)で製品Pを撮影する。この撮影画像が画像メモリ2の1枚目用へ転送され、図3dでは画像処理部3にて画像処理0が行われる。次に、図3b、cではシャッター時間S1(露光1)で該製品Pを撮影する。この撮影画像が画像メモリ2の2枚目用へ転送され、図3dでは画像処理部3にて画像処理1が行われる。以下、同様に、シャッター時間S2(露光2)、シャッター時間S3(露光3)シャッター時間S4(露光4)で該製品Pを撮影し、これらの撮影画像が画像メモリ2の3〜5枚目用へ転送され、図3dでは画像処理部3にて画像処理2、3、4が行われる。
図3eでは、処理結果出力部4から、画像処理0〜4の処理結果が出力される。
【0020】
撮影時に、外乱光が入ってきて明るさが変動した場合、例えば、シャッター時間S2(露光2)の撮影画像が、本来の正常な画像に近くなる。
【0021】
こうして、本発明では、指定された撮影タイミングおよび複数の相異なる時間幅のシャッター時間で、つまりシャッター時間をそれぞれ可変させて、複数回連続して撮像素子1が製品Pを撮影するので、シャッター時間をそれぞれ可変させて撮影された複数の画像の中から、撮影時に外乱光などの明るさの変動の影響を受けない本来の正常な画像に近い画像が容易に得られ、撮影時における外乱光などの明るさの変動に対応できる。
【0022】
なお、この実施形態では、撮影条件指定手段7の指定する撮影タイミングが、同期センサSから製品Pの検知信号が入力するタイミングとしているが、これに限定するものではなく、各種の同期入力手段を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】撮像素子、搬送コンベアおよび同期センサを備えた画像処理装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
【図3】図2の画像処理装置の動作を示すタイムチャート図である。
【符号の説明】
【0024】
1:撮像素子
3:画像処理部
5:撮影制御部
6:設定値記憶手段(設定値メモリ)
7:撮影条件指定手段
8:同期入力部
11:基準シャッター時間部
12:シャッター時間増減部
13:連続撮影回数部
P:製品
S:同期センサ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される製品を撮像素子で撮影し、製品の撮像データを画像処理する画像処理装置であって、
製品ごとにそれぞれ複数回連続して撮像素子に撮影させる撮影制御部を備え、
前記撮影制御部は、
撮像素子の各撮影ごとに複数の相異なる時間幅のシャッター時間を含む撮影設定値を予め記憶する設定値記憶手段と、
製品を撮影する撮影タイミングおよび記憶された前記相異なる時間幅のシャッター時間を指定する撮影条件指定手段と、を有して、
指定された撮影タイミングおよび前記相異なる時間幅のシャッター時間で、撮像素子が製品ごとにそれぞれ複数回連続して撮影するように制御する、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記設定値記憶手段は、前記シャッター時間の基準となる基準シャッター時間を記憶する基準シャッター時間部と、基準シャッター時間に付与する時間増減分を記憶する時間増減部と、連続撮影回数を記憶する連続撮影回数部とを有する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記撮影条件指定手段の指定する撮影タイミングが、同期センサから製品の検知信号が入力するタイミングである、画像処理装置。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−276466(P2008−276466A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118602(P2007−118602)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(503010955)オプテックスエフエー株式会社 (17)
【Fターム(参考)】