説明

画像処理装置

【課題】生体認証等のような高度な認証方式を用いた場合においても、認証を採用しない場合に比べて、画像処理装置で処理を行おうとした時点から、当該処理が終了するまでの時間が増加するのを、抑制することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】電子化された画像情報を用いて画像形成を行う画像形成手段6を、処理手段として少なくとも備えると共に、上記の処理手段を使用する使用者の認証を行う認証手段19を備えた画像処理装置1を、上記の処理手段における少なくとも一部の処理過程は、認証手段19における認証処理過程と同時並行処理可能な並進処理過程であるようにして、画像処理装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証手段を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機能やFAX機能、印刷機能等を備えたデジタル複合機は、今日では、オフィスにおける事務処理に必要不可欠となっている。このデジタル複合機は、原稿読取機能や画像形成機能を中心として、ファクシミリ処理等の他の機能を付加した画像処理装置である。
【0003】
この画像処理装置において、最近、無断使用防止と、セキュリティ向上の観点から、画像処理装置の使用者の認証を行う認証機能を備えた画像処理装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一般に、認証機能を備えた画像処理装置では、画像処理装置本来の処理動作は、認証機能による認証が終了して認証された段階に至って、初めて開始される仕組となっている。上記の特許文献1は、複写装置に関するものであるが、この複写装置においても、認証機能による認証が終了して認証された段階に至って、初めて開始される仕組である。
【0005】
ところで、上記の認証方式としては、当所は、パスワードを入力し、入力したパスワードが登録されているパスワードと一致することを確認する程度のシンプルなものであった。しかし、パスワードの盗用等によるセキュリティの低下が問題となってきており、より高度な認証方式が開発されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【0006】
特許文献2は、指紋や静脈情報を利用する生体認証に関するものである。特許文献3は、パスワードと指紋認証、静脈認証、或いは、虹彩認証等の生体認証を組み合わせたものである。又、特許文献4は、指静脈認証に関するものである。
【0007】
これらの高度な認証方式は、セキュリティの高い認証を行うことができる点で注目されており、さまざまな装置に利用することが可能である。そこで、画像処理装置においても、上記の高度な認証方式を使用することが検討されている。
【特許文献1】特開2005−327116号公報
【特許文献2】特開2007−117413号公報
【特許文献3】特開2007−272662号公報
【特許文献4】特開2007−287080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の、例えば、特許文献2〜4に記載されているような高度な認証方式は、認証の過程で複雑な処理を行っているので、認証に要する時間が、パスワードを用いるようなシンプルな認証方式と比べると、一般に、長くなる。
【0009】
そうすると、上記のような高度な認証方式を用いると、例えば、特許文献1に記載されているような、従来の認証機能を備えた画像処理装置におけるのと同様に、認証機能による認証が終了して認証された段階に至って、初めて画像処理装置本来の処理動作を開始するようにすると、次の点が問題となる。
【0010】
即ち、上記のような高度な認証方式を用いた場合、画像処理装置で処理を行おうとした時点から、当該処理が終了するまでの時間が、パスワードを用いるようなシンプルな認証の場合に比べて、かなり長くなるのである。
【0011】
そこで、この発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、指紋や静脈情報を利用する生体認証等のような高度な認証方式を用いた場合においても、認証を採用しない場合に比べて、画像処理装置で処理を行おうとした時点から、当該処理が終了するまでの時間が増加するのを、抑制することが可能な画像処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像処理装置は、電子化された画像情報を用いて画像形成を行う画像形成手段を、処理手段として少なくとも備えた画像処理装置である。この画像処理装置では、処理手段を使用する使用者の認証を行う認証手段を備えており、処理手段における少なくとも一部の処理過程は、認証手段における認証処理過程と同時並行処理可能な並進処理過程であることを特徴としている。
【0013】
上記の画像処理装置に用いられる画像形成手段が行う画像形成には、種々の方式が存在する。例えば、一様な電位に帯電された感光体ドラムを、電子化された画像情報に応じた光で露光して、感光体ドラム上に静電潜像を形成し、形成された静電潜像を現像剤であるトナーで現像して可視像化し、さらに、トナーにより可視像化されたこの画像を記録用紙に転写し、転写された記録用紙上のトナーを定着させて、画像形成を行う電子プリント方式がある。そのほか、インクを電子化された画像情報に応じて記録用紙上に噴射するジェットプリント方式等の方式がある。
【0014】
又、上記の画像処理装置に用いられる認証手段にも、上述したように、パスワードを用いる方式や、指紋や静脈情報を利用する生体認証方式、或いは、これらを組み合わせた方式等、種々の認証方式が存在する。
【0015】
上記の画像処理装置によれば、処理手段における少なくとも一部の処理過程は、認証手段における認証処理過程と同時並行処理可能な並進処理過程であるので、処理手段における少なくとも一部の処理過程は、認証手段における認証処理過程と同時並行処理することができる。
【0016】
従って、画像処理装置において、高度な認証方式を採用した場合においても、このような認証方式を採用しない場合と比較して、画像処理装置で処理を行おうとした時点から、当該処理が終了するまでの時間が増加するのを、抑制することができる。
【0017】
上記の画像処理装置において、処理手段における並進処理過程が、認証手段における認証処理過程が終了するよりも前に終了すると、次のようにするのが、妥当である。即ち、認証手段におけ認証処理過程が終了するのを待つと共に、この認証手段における認証処理の結果、認証された場合は、処理手段の並進処理過程以外の処理過程が実行され、認証されなかった場合は、該並進処理過程の処理結果は破棄されると共に、処理手段の並進処理過程以外の処理過程は実行されないようにするのである。
【0018】
このようにすることにより、上記の画像処理装置における処理時間が最小となるようにすることができ、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0019】
又、上記の画像処理装置において、認証手段における認証処理過程が、処理手段における並進処理過程が終了するよりも前に終了すると、次のようにするのが、妥当である。即ち、認証手段における認証処理の結果、認証された場合は、処理手段の並進処理過程が継続されると共に、この並進処理過程が終了すると、該並進処理過程に続けて、並進処理過程以外の処理過程が実行され、認証されなかった場合は、処理手段における並進処理過程が中止され、この並進処理過程の処理結果は破棄されると共に、処理手段の並進処理過程以外の処理過程は実行されないようにするのである。
【0020】
このようにすることにより、上記の画像処理装置における処理時間が最小となるようにすることができ、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0021】
又、上記の画像処理装置において、認証手段における認証処理の結果、認証されなかった場合は、該認証されなかったことが表示されるようにするのが好適である。このようにすることにより、上記の画像処理装置の処理手段を使用する使用者は、認証されなかったことを、容易に知ることができる。
【0022】
又、上記の画像処理装置において、画像形成手段は、画像形成にトナーや記録用紙等の消耗品を使用すると共に、該消耗品は、予め指定されるようにするのが好適である。この場合、処理手段における並進処理過程は、画像形成手段の処理過程における処理開始段階から、予め指定された消耗品の使用が、画像形成手段で開始される前の段階までの処理過程とする。
【0023】
この場合に、具体的には、例えば、画像形成手段は、画像形成において画像を記録用紙に記録すると共に、予め指定された消耗品は記録用紙とする。そして、この予め指定された消耗品の使用が開始される前の段階としては、画像が記録用紙に記録される前の段階とするのである。
【0024】
このようにすることにより、処理手段である画像形成手段を使用する使用者が認証されなかった場合に、画像が記録用紙に記録されることを避けることができ、記録用紙の無駄な消耗を防ぐことができる。従って、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0025】
又、上記の画像処理装置において、処理手段として、原稿の画像を読取って電子化された画像情報を生成する画像読取手段を備えると共に、該画像読取手段における全処理過程が、上記の並進処理過程に含まれるようにするのが妥当である。
【0026】
この場合、画像読取手段における全処理過程を通して、上述したような消耗品が使用されることはないので、上記のようにしても、処理手段である画像読取手段を使用する使用者が認証されなかった場合に、上述したような消耗品が無駄に使用されることは生じない。従って、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0027】
又、上記の画像処理装置において、処理手段として、電子化された画像情報の外部への送信手段を備えると共に、該送信手段における全処理過程は、上記の並進処理過程には含まれないようにするのが妥当である。
【0028】
上記の送信手段としては、例えば、ファクシミリ処理を備えた画像処理装置における送信機能を行う装置がある。この場合、認証手段を備えた画像処理装置において、上記の送信手段による送信は、認証されなかった場合には、行ってはならず、認証された場合のみ、行われる性格のものである。
【0029】
即ち、認証処理の性質上、使用者が認証されなかった場合には、使用者が行おうとした処理の結果は、外部に渡らないようにしなければならない。そこで、処理過程が遂行されると、処理の結果が即座に外部に渡るような処理は、並進処理過程の対象とすべきではないのである。
【0030】
そこで、送信手段における全処理過程が、上記の並進処理過程には含まれないようにすることによって、認証されるか否かの判断が決定しない前に、送信が行われてしまうことを、防ぐことができる。従って、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0031】
又、上記の画像処理装置において、処理手段として、電子化された画像情報の外部からの受信手段を備えると共に、該受信手段における全処理過程は、上記の並進処理過程に含まれるようにするのが妥当である。
【0032】
上記の受信手段としては、例えば、ファクシミリ処理を備えた画像処理装置における受信機能を行う装置がある。この場合、上記の受信手段における全処理過程を通して、上述したような消耗品が使用されることはないので、このようにしても、使用者が認証されなかった場合に、上述したような消耗品が無駄に使用されることは生じない。従って、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0033】
又、上記の画像処理装置において、処理手段を使用する使用者の認証を行う認証手段を備えるのに代えて、通信手段を介して接続された独立した外部認証手段が用いられるようにしてもよい。
【0034】
上記の外部認証手段としては、例えば、上記の画像処理装置と通信回線で接続された認証用のサーバ等を用いることができる。上記のようにすることにより、画像処理装置に認証手段を備えなくても、認証処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、画像処理装置において、処理手段における少なくとも一部の処理過程は、認証手段における認証処理過程と同時並行処理可能な並進処理過程であるので、処理手段における少なくとも一部の処理過程は、認証手段における認証処理過程と同時並行処理することができる。
【0036】
従って、高度な認証方式を採用した場合においても、このような認証方式を採用しない場合と比較して、画像処理装置で処理を行おうとした時点から、当該処理が終了するまでの時間が増加するのを、抑制することができる。
【0037】
又、処理手段における並進処理過程が、認証手段における認証処理過程が終了するよりも前に終了すると、次のようになる。即ち、認証手段におけ認証処理過程が終了するのを待つと共に、この認証手段における認証処理の結果、認証された場合は、処理手段の並進処理過程以外の処理過程が実行され、認証されなかった場合は、該並進処理過程の処理結果は破棄されると共に、処理手段の並進処理過程以外の処理過程は実行されない。従って、画像処理装置における処理時間が最小となるようにすることができ、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0038】
又、認証手段における認証処理過程が、処理手段における並進処理過程が終了するよりも前に終了すると、次のようになる。即ち、認証手段における認証処理の結果、認証された場合は、処理手段の並進処理過程が継続されると共に、この並進処理過程が終了すると、該並進処理過程に続けて、並進処理過程以外の処理過程が実行され、認証されなかった場合は、処理手段における並進処理過程が中止され、この並進処理過程の処理結果は破棄されると共に、処理手段の並進処理過程以外の処理過程は実行されない。従って、画像処理装置における処理時間が最小となるようにすることができ、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0039】
又、画像形成手段は、画像形成にトナーや記録用紙等の消耗品を使用すると共に、該消耗品は、予め指定するようにすることができる。この場合、処理手段における並進処理過程は、画像形成手段の処理過程における処理開始段階から、予め指定された消耗品の使用が、画像形成手段で開始される前の段階までの処理過程とする。
【0040】
具体的には、例えば、画像形成手段は、画像形成において画像を記録用紙に記録すると共に、予め指定された消耗品は記録用紙とする。そして、この予め指定された消耗品の使用が開始される前の段階としては、画像が記録用紙に記録される前の段階とする。
【0041】
このようにすることで、処理手段である画像形成手段を使用する使用者が認証されなかった場合に、画像が記録用紙に記録されることを避けることができ、記録用紙の無駄な消耗を防ぐことができる。従って、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【0042】
又、原稿の画像を読取って電子化された画像情報を生成する画像読取手段を備える画像処理装置においては、該画像読取手段における全処理過程が、上記の並進処理過程に含まれる。
【0043】
このようにしても、画像読取手段を使用する使用者が認証されなかった場合に、上述したような消耗品が無駄に使用されることは生じず、従って、認証手段を備えた画像処理装置における処理を、合理的に進めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
次に、本発明の実施の形態における画像処理装置について、認証機能、画像読取機能、画像形成機能、ファクシミリ処理、及び、LAN接続機能を備えたデジタル複合機を例に、図面を参照しながら説明する。まず、このデジタル複合機の概要について説明する。
【0045】
図1は、本実施の形態におけるデジタル複合機1が用いられるシステム全体の構成を示したブロック図、図2は、上記のデジタル複合機1の外観図である。図1、図2において、1はこのデジタル複合機の主体であり、20は電話回線網、30はLANで構成されたネットワーク、21は電話回線網20に接続されたファクシミリ装置、31,32は、LANで構成されたネットワーク30に接続されているパソコン等の端末装置、40はインターネット、41はインターネット40に接続されたファクシミリ装置、42はインターネット40に接続されたパソコン等の端末装置を示す。
【0046】
デジタル複合機1は、ファクシミリ装置21,41との間でFAXによる画像データの送受信を可能とし、端末装置31,32,42との間で電子メール等を利用した画像データの送受信を可能とする。ここで、本実施の形態における画像データは、画像データに限らず、文書データ、あるいは画像及び文書からなるデータを含むものとする。
【0047】
尚、上記のデジタル複合機1は、デジタル複合機1が処理できる処理モードとして、スキャンモード、コピーモード、ファクシミリモード、及びプリンタモードの複数の処理モードを備えている。
【0048】
図1において、デジタル複合機1は、認証処理を行う認証処理部19、原稿を読取って画像データを入力する画像読取部2、デジタル複合機1が備える各機能を制御する機器制御部3、ユーザ入力を受け付ける操作部4、LAN等のネットワーク30を介して端末装置31,32と通信し、インターネット40を介してファクシミリ装置41,端末装置42と通信する通信部5、画像データの印刷処理を行うデータ処理手段である画像形成部6、画像データを記憶するためのハードディスク(HD)7、デジタル複合機1の制御情報や設定情報等を記憶するメモリである管理部8、HD7内の画像データを消去する消去手段9、及び、電話回線網20を介してファクシミリ装置21と通信するためのFAXモデム10を備えている。
【0049】
次に、図1に示すデジタル複合機1を構成する各部について説明する。まず、機器制御部3は、マイクロプロセッサを備えており、デジタル複合機1が備える各機能の制御を、ソフトウエアと、以下に述べるハードウエアとの協働により行う。
【0050】
画像読取部2は、原稿を読取って画像データを入力する入力手段であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)2aと、原稿台や自動原稿送り装置(ADF)等にセットされた原稿を検知する原稿検知センサ2bとを備えている。
【0051】
操作部4は、各種入力キー等を備えた入力部4aと、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等の表示部4bとを備えており、デジタル複合機1に対して操作の入力や、各種設定の入力を行う。図3は、この操作部4の拡大平面図である。
【0052】
入力部4aには、テンキーやスタートボタン、クリアボタン等のほか、デジタル複合機1が備えている後述する処理モードを選択するための処理モードボタンとして、プリンタモードボタン4a1、ファクシミリモードボタン4a2、コピーモードボタン4a3、及び、スキャナモードボタン4a4が備えられている。又、この操作部4の入力部4aには、後述する指静脈読取器19aが備えられている。
【0053】
画像形成部6は、画像データを処理(出力)するデータ処理(出力)手段であり、ページメモリであるメモリ6a、印字部6b、この印字部6bへ供給する記録用紙を収納している第1給紙トレイ11a〜第4給紙トレイ11d、及び、手差し給紙トレイ13を備えている。尚、図1では、表示の便宜上、手差し給紙トレイ13の位置を変更して表示している。
【0054】
印字部6bは、感光体ドラム15a、LSU(Laser Scanning Unit:レーザ走査ユニット)、及び、トナーを用いて画像の現像を行う現像部等で構成された転写部15、画像の定着を行う定着部16、及び、収容トレイ12を備えている。
【0055】
上記の画像形成部6では、メモリ6aに一旦記憶された画像データをHD7に記憶し、又、HD7に記憶した画像データを復号してメモリ6aに送り、印字部6bに転送すると共に、給紙トレイから記録用紙を搬出して印字部6bへ搬送して記録用紙に画像を転写することにより、印字を行う。
【0056】
HD7は、入力された画像データを一時記憶するための記憶手段である。このHD7は、磁気記憶媒体を備えた記憶手段として構成することで、大量の画像データを蓄積して順次処理していくことが可能となり、複数のユーザからの指示を効率良く処理することができる。又、収容トレイ12は、画像形成部6で印字された記録済用紙を収容する。
【0057】
認証処理部19は、デジタル複合機1を使用する使用者の認証処理を行う。この認証処理部19には、操作部4に備えられている指静脈読取器19aが接続されており、この指静脈読取器19aでは、右手人差指の指静脈が読取られる。又、本実施の形態では、認証方式として、パスワードと指静脈照合とを併用した認証方式を採用しており、パスワードは、上記の入力部4aから入力される。
【0058】
即ち、本実施の形態におけるデジタル複合機1では、このデジタル複合機1の使用を許諾された担当者は、予め、その担当者のパスワードと右手人差指の指静脈が対応付けられて、ハードディスク7に登録されている。
【0059】
この担当者が、デジタル複合機1を使用する際に、操作部4の入力部4aからパスワードを入力すると共に、指静脈読取器19aに右手人差指の指先を押し当てることにより指静脈が読取られる。すると、読取られた指静脈が入力されたパスワードと対応付けられて登録されている指静脈とが一致すると、認証され、一致しないと認証されない仕組である。
【0060】
次に、上記のデジタル複合機1が備えている上述した各処理モードについて説明する。上述した認証処理を含むこれらの各処理モードにおける動作フローについては、後述する。
【0061】
(コピーモード)
本コピーモードは、デジタル複合機1を複写機として使用する場合のモードである。このコピーモードでは、画像読取部2で読取られた原稿の画像データが、画像形成部6で記録用紙に印字される。
【0062】
画像読取部2には、上述したように、CCD2aが備えられており、読取位置にセットされた原稿の画像が電子的に読取られる。そして、このCCD2aで読取られた原稿の画像データは、メモリ6a上に出力データとして、一旦HD7へ記憶される。
【0063】
HD7に記憶された画像データは、適切なタイミングで順次読出されてメモリ6aに送られる。そして、この画像データが、書き込みタイミングに合わせてメモリ6aから印字部6bへ転送される。印字部6bでは、記録用紙に図や文字等の印字が行われ、印字された記録済用紙は、収容トレイ12へ搬送されて収容される。
【0064】
(プリンタモード)
本プリンタモードは、デジタル複合機1をプリンタとして使用するモードである。このプリンタモードでは、ネットワーク30に接続されたパソコン等の端末装置31,32から、通信部5を介して画像データが受信され、メモリ6a等に記憶されたこの画像データが、画像形成部6で記録用紙に印字される。
【0065】
即ち、通信部5は、有線あるいは無線を利用してネットワーク30と接続されており、ネットワーク30上に接続された外部機器である端末装置31,32から画像データを受信する。このように受信された画像データは、ページ単位にメモリ6aに送られ、一旦HD7へ記憶される。そして、この画像データは、再びHD7からメモリ6aに送られ、前述したコピーモードと同様にして、印字部6bへ転送される。印字部6bでは、記録用紙に図や文字等の印字が行われ、印字された記録済用紙は、収容トレイ12へ搬送されて収容される。
【0066】
(スキャナモード)
本スキャナモードは、デジタル複合機1をネットワークスキャナとして使用するモードである。このスキャナモードでは、画像読取部2において読取られた原稿の画像データが、通信部5を介して、ネットワーク30に接続されたパソコン等の任意の端末装置31,32へ送信される。
【0067】
画像読取部2には、上述したように、CCD2aが備えられており、読取位置にセットされた原稿の画像が電子的に読取られる。そして、このCCD2aで読取られた原稿の画像データは、メモリ6a上に出力データとして、一旦HD7へ記憶される。そして、再びHD7からメモリ6aに送られ、操作部4から入力された指示情報である送信先に対して、通信部5を介して送信される。
【0068】
(ファクシミリモード)
本ファクシミリモードは、デジタル複合機1をファクシミリとして使用するモードである。このファクシミリモードでは、インターネット40、或いは、電話回線網20に接続されているファクシミリ装置21,41に対して、通信部5、又は、FAXモデム10を介して、送信、及び、受信が行われる。
【0069】
上記のデジタル複合機1は、上述したように、認証処理を行う認証処理部19を備えている。そのため、上記のデジタル複合機1では、このデジタル複合機1を使用しようとする使用者は、この認証処理部19における認証処理で認証される必要があり、認証処理部19における認証処理で認証された場合のみ、デジタル複合機1の使用が許容される仕組である。
【0070】
しかしながら、上記のデジタル複合機1を使用するに際して、認証処理において認証されない限り、デジタル複合機1における本来の処理を開始できないとすると、画像処理装置で処理を行おうとした時点から、当該処理が終了するまでの時間が、認証処理を採用しない場合に比べて、認証処理行う時間分余計にかかり、長くなる。
【0071】
そこで、上記のデジタル複合機1では、このデジタル複合機1で行われる本来の処理における処理過程の内、可能な範囲で、デジタル複合機1で行われる本来の処理過程を、認証処理の処理過程と同時並行処理する対処がなされている。
【0072】
この対処では、認証処理の処理過程を、認証処理過程、この認証処理と同時並行処理可能な処理過程を、並進処理過程と称する。この並進処理過程は、基本的に次のような処理過程が対象となる。即ち、同時並行処理を行ったが、使用者が認証されなかった場合に、例えば、画像形成で使用されるトナーや記録用紙等のような、消耗品が使用されることがない処理過程である。
【0073】
又、認証処理の性質上、使用者が認証されなかった場合には、使用者が行おうとした処理の結果は、外部に渡らないようにしなければならない。そこで、処理過程が遂行されると、処理の結果が即座に外部に渡るような処理は、並進処理過程の対象とすべきではない。
【0074】
上記の観点から、上記のデジタル複合機1における処理の並進処理過程の対象について考察する。まず、画像形成部6の場合について考える。画像形成部6の場合、並進処理過程として、処理開始段階から、画像形成手段で使用されるトナーや記録用紙等の消耗品で予め指定された消耗品の使用が開始される前の段階までとするのが好適である。この場合、具体的には、例えば、予め指定された消耗品を記録用紙とし、上記の消耗品の使用が開始される前の段階としては、画像が記録用紙に転写される前の段階とする。
【0075】
このようにすることにより、上記のデジタル複合機1を使用する使用者が認証されなかった場合に、画像が記録用紙に転写されることを避けることができ、記録用紙の無駄な消耗を防ぐことができる。従って、認証処理を行うデジタル複合機1における処理を、合理的に進めることができる。
【0076】
上記の場合、画像形成部6において、並進処理過程として、処理開始段階から、画像が記録用紙に転写される前の段階までとするのは、上述したように、確かに合理的ではある。しかし、実際の画像形成部6において、処理開始段階から、画像が記録用紙に転写される前の段階までは、非常に短い時間であり、現実的に、処理時間を節約するほどの時間とはいえないと考えられる。そこで、画像形成部6の処理は、全体として、並進処理過程の対象とはしないとしても、処理時間の節約上では、大きな問題とはならないと考えられる。
【0077】
次に、画像読取部2の場合について考える。画像読取部2の場合、全処理過程が、上記の並進処理過程の対象とするのが妥当である。この場合、画像読取部2における全処理過程を通して、上述したような消耗品が使用されることはないので、上記のようにしても、処理手段である画像読取手段を使用する使用者が認証されなかった場合に、上述したような消耗品が無駄に使用されることは生じないからである。
【0078】
次に、通信部5、及び、FAXモデム10における送信処理の場合について考える。通信部5、及び、FAXモデム10における送信処理の場合、これらの全処理過程は、上記の並進処理過程の対象とはしないようにするのが妥当である。この場合、上記の通信部5、及び、FAXモデム10における送信処理により行われる送信は、認証されなかった場合には、行ってはならず、認証された場合のみ、行われる性格のものである。
【0079】
即ち、上述したように、認証処理の性質上、使用者が認証されなかった場合には、使用者が行おうとした処理の結果は、外部に渡らないようにしなければならない。そこで、処理過程が遂行されると、処理の結果が即座に外部に渡るような処理は、並進処理過程の対象とすべきではないからである。
【0080】
次に、通信部5、及び、FAXモデム10における受信処理の場合について考える。通信部5、及び、FAXモデム10における受信処理の場合、これらの全処理過程は、上記の並進処理過程の対象としても、問題はない。この場合、上記の通信部5、及び、FAXモデム10における受信処理の全処理過程を通して、上述したような消耗品が使用されることはないので、このようにしても、使用者が認証されなかった場合に、上述したような消耗品が無駄に使用されることは生じないからである。
【0081】
上述したように、上記のデジタル複合機1では、このデジタル複合機1で行われる本来の処理における処理過程の内、可能な範囲で、デジタル複合機1で行われる本来の処理過程を、認証処理の処理過程と同時並行処理する対処がなされている。即ち、認証処理過程と並進処理過程とが同時並行処理され得る。
【0082】
この同時並行処理では、処理時間が最小となるようにするため、上記のデジタル複合機1では、認証処理過程と並進処理過程のいずれが先に終了するかによって、及び、認証処理の結果によって、異なる処理フローを採用している。具体的には、次のようにしている。
【0083】
並進処理過程が認証処理過程が終了するよりも前に終了すると、次のようにする。即ち、認証処理過程が終了するのを待つと共に、この認証処理の結果、認証された場合は、並進処理過程以外の処理過程が実行され、認証されなかった場合は、該並進処理過程の処理結果は破棄されると共に、並進処理過程以外の処理過程は実行されないようにするのである。
【0084】
このようにすることにより、上記のデジタル複合機1における処理時間が最小となるようにすることができ、認証処理を行うデジタル複合機1における処理を、合理的に進めることができる。
【0085】
認証手段における認証処理過程が、処理手段における並進処理過程が終了するよりも前に終了すると、次のようにする。即ち、認証処理の結果、認証された場合は、並進処理過程が継続されると共に、この並進処理過程が終了すると、この並進処理過程に続けて、この並進処理過程以外の処理過程が実行され、認証されなかった場合は、並進処理過程が中止され、この並進処理過程の処理結果は破棄されると共に、並進処理過程以外の処理過程は実行されないようにするのである。
【0086】
このようにすることにより、上記のデジタル複合機1における処理時間が最小となるようにすることができ、認証処理を行うデジタル複合機1における処理を、合理的に進めることができる。
【0087】
次に、上記のデジタル複合機1が備えている上述した各処理モードにおいて、認証処理を含むと共に、上述した同時並行処理が採用されている動作フローについて説明する。上記のデジタル複合機1では、使用者が、最初に、デジタル複合機1の操作部4の入力部4aに備えられているプリンタモードボタン4a1、ファクシミリモードボタン4a2、コピーモードボタン4a3、又は、スキャナモードボタン4a4のいずれかの処理モードボタンを選択して押す操作を行う。その上で、続いて、パスワードの入力と、指静脈読取器19aに使用者の右手人差指の指先を押し当てることにより、上記のデジタル複合機1の動作が開始される。
【0088】
図4〜図10は、上記のデジタル複合機1の動作フローを示したフローチャートである。この内、図4は、上記のデジタル複合機1の基本動作を示したフローチャートであり、図5は、この基本フローチャートと同時に並行して処理される認証処理の動作フローチャートである。即ち、図4のフローチャートは、マルチタスク処理される。
【0089】
上記の処理を行うため、上記のデジタル複合機1では、ソフトウエア上で3種類のフラグを設けている。これらのフラグは、認証指令フラグF1、認証処理終了表示F2、及び、認証結果フラグF3である。
【0090】
認証指令フラグF1は、通常、F1=0であり、認証指令が出されている場合に、F1=1となる。認証処理終了フラグF2は、通常、F1=0であり、認証処理が終了すると、F2=1となる。又、認証結果フラグF3は、通常、F3=0であり、認証されると、F3=1となり、認証されないと、F3=0のままである。
【0091】
次に、図4〜図10のフローチャートに基づいて、上記のデジタル複合機1の動作を詳しく説明する。まず、上記のデジタル複合機1の基本動作について説明する。デジタル複合機1の基本動作を示した図4のフローチャートにおいて、デジタル複合機1は、最初に、このデジタル複合機1の操作部4の入力部4aで、処理モードボタンのいずれかが押されたか否かをチェックする(S1)。
【0092】
S1において、いずれかの処理モードボタンが押されると(S2)、S3へ進む。S3では、認証指令フラグF1、認証処理終了フラグF2、及び、認証結果フラグF3を全てクリアして、F1=0、F2=0、及び、F3=0として、次に、S4へ進み、デジタル複合機1の操作部4の入力部4aで選択された処理モードを判定する。
【0093】
S4における処理モードの判定で、コピーモードであると(S5)、認証指令フラグF1をセットして、F1=1とすると共に(S6)、コピーモード処理を行う(S100)。
【0094】
処理モードの判定で、プリンタモードであると(S7)、認証指令フラグF1をセットして、F1=1とすると共に(S8)、プリンタモード処理を行う(S200)。
【0095】
処理モードの判定で、スキャンモードであると(S9)、認証指令フラグF1をセットして、F1=1とすると共に(S10)、スキャンモード処理を行う(S300)。
【0096】
そして、処理モードの判定で、ファクシミリモードであると(S11)、認証指令フラグF1をセットして、F1=1とすると共に(S12)、スキャンモード処理を行う(S400)。上記のモード処理が終了すると、最初に戻って(S1)、最初から上述した処理を繰返す。
【0097】
図5は、上記の図4のフローチャートに示すデジタル複合機1の基本動作と同時に並行して処理される、認証処理の動作フローチャートである。図5において、デジタル複合機1は、まず、認証指令フラグF1をチェックし(S21)、F1=1であると(S22)、認証指令がなされているので、認証処理を開始して(S23)、S24へ進む。
【0098】
S24では、認証指令フラグF1をリセットして、F1=0とすると共に、認証処理が終了したか否かをチェックする(S25)。S25におけるチェックで、認証処理が終了していると(S26)、認証処理終了フラグF2をセットして、F2=1として(S27)、S28へ進む。
【0099】
S28では、上記の認証処理で、認証されたか、或いは、認証されなかったかのいずれであるかをチェックし、認証処理された場合は、認証結果フラグF3をセットして、F3=1とした後、最初に戻って(S21)、最初から繰返す。
【0100】
S28における、認証されたか、或いは、認証されなかったかのいずれであるかのチェックで、認証処理されなかった場合は、認証結果フラグF3=0のままとすると共に、認証処理されなかったことを、操作部4の表示部4bへ表示すると共に、最初に戻って(S21)、最初から繰返す。
【0101】
図11は、上記の認証処理されなかったことの、操作部4の表示部4bにおける表示の例を示したものである。このように、認証処理されなかったことが、操作部4の表示部4bに表示されることにより、上記のデジタル複合機1を使用する使用者は、認証されなかったことを、容易に知ることができる。
【0102】
次に、コピーモード処理(S100)について説明する。図6は、このコピーモード処理(S100)を示したフローチャートである。図6において、まず、画像読取部2に対して、画像読取処理を開始すると共に(S101)、この画像読取処理が終了したか否かをチェックする(S102)。
【0103】
S102における画像読取処理が終了したか否かのチェックで、画像読取処理が終了していないと(S103)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S104)。
【0104】
S104における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S105)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、画像読取処理が継続され、S102に再度戻って、上記を繰返す。
【0105】
S104における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S105)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS106へ進む。
【0106】
S106では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、セットされてF3=1であると、認証処理の結果、認証されたので、次に、画像読取処理が継続され、S102に再度戻って、上記を繰返す。
【0107】
S106における認証結果フラグF3のチェックで、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると、認証処理の結果、認証されなかったので、画像読取処理を中止すると共に(S108)、メモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている読取画像データを破棄して(S109)、コピーモード処理(S100)を終了する。
【0108】
S102における画像読取処理が終了したか否かのチェックで、画像読取処理が終了していると(S103)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S110)。
【0109】
S110における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S111)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、認証処理が終了するのを待つ。
【0110】
S110における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S111)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS112へ進む。
【0111】
S112では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると(S113)、認証処理の結果、認証されなかったので、画像読取処理により、既にメモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている読取画像データを破棄して(S109)、コピーモード処理(S100)を終了する。
【0112】
S112における認証結果フラグF3のチェックで、F3がセットされて、F3=1であると(S113)、認証処理の結果、認証されたので、次に、画像読取処理により読取られた画像データを、記録用紙に記録するため、画像形成処理を開始すると共に(S114)、この画像形成処理が終了したか否かをチェックし(S115)、終了すると(S116)、コピーモード処理(S100)を終了する。
【0113】
次に、プリントモード処理(S200)について説明する。図7は、このプリントモード処理(S200)を示したフローチャートである。図7において、まず、端末装置へ通信部5から画像データの送信を要求すると共に(S201)、この画像データの受信が終了したか否かをチェックする(S202)。
【0114】
S202における画像データの受信が終了したか否かのチェックで、画像データの受信が終了していないと(S203)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S204)。
【0115】
S204における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S205)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、画像データの受信が継続され、S202に再度戻って、上記を繰返す。
【0116】
S204における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S105)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS206へ進む。
【0117】
S206では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、セットされてF3=1であると、認証処理の結果、認証されたので、次に、画像データの受信が継続され、S202に再度戻って、上記を繰返す。
【0118】
S206における認証結果フラグF3のチェックで、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると、認証処理の結果、認証されなかったので、画像データの受信を中止すると共に(S208)、メモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている受信した画像データを破棄して(S209)、プリンタモード処理(S200)を終了する。
【0119】
S202における画像読取処理が終了したか否かのチェックで、画像データの受信が終了していると(S203)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S210)。
【0120】
S210における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S211)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、認証処理が終了するのを待つ。
【0121】
S210における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S211)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS212へ進む。
【0122】
S212では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると(S213)、認証処理の結果、認証されなかったので、画像読取処理により、既にメモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている受信した画像データを破棄して(S209)、プリンタモード処理(S200)を終了する。
【0123】
S212における認証結果フラグF3のチェックで、F3がセットされて、F3=1であると(S213)、認証処理の結果、認証されたので、次に、受信した画像データを、記録用紙に記録するため、画像形成処理を開始すると共に(S214)、この画像形成処理が終了したか否かをチェックし(S215)、終了すると(S216)、プリンタモード処理(S200)を終了する。
【0124】
次に、スキャンモード処理(S300)について説明する。図8は、このスキャンモード処理(S300)を示したフローチャートである。図8において、まず、画像読取部2に対して、画像読取処理を開始すると共に(S301)、この画像読取処理が終了したか否かをチェックする(S302)。
【0125】
S302における画像読取処理が終了したか否かのチェックで、画像読取処理が終了していないと(S303)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S304)。
【0126】
S304における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S305)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、画像読取処理が継続され、S302に再度戻って、上記を繰返す。
【0127】
S304における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S305)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS306へ進む。
【0128】
S306では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、セットされてF3=1であると、認証処理の結果、認証されたので、次に、、画像読取処理が継続され、S302に再度戻って、上記を繰返す。
【0129】
S306における認証結果フラグF3のチェックで、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると、認証処理の結果、認証されなかったので、画像読取処理を中止すると共に(S308)、メモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている読取画像データを破棄して(S309)、スキャンモード処理(S300)を終了する。
【0130】
S302における画像読取処理が終了したか否かのチェックで、画像読取処理が終了していると(S303)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S310)。
【0131】
S310における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S311)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、認証処理が終了するのを待つ。
【0132】
S310における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S311)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS312へ進む。
【0133】
S312では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると(S313)、認証処理の結果、認証されなかったので、画像読取処理により、既にメモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている読取画像データを破棄して(S309)、スキャンモード処理(S300)を終了する。
【0134】
S312における認証結果フラグF3のチェックで、F3がセットされて、F3=1であると(S313)、認証処理の結果、認証されたので、次に、画像読取処理により読取られ、メモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている画像データを、通信部5から端末装置へ送信を開始すると共に(S314)、この画像データの端末装置への送信が終了したか否かをチェックし(S315)、終了すると(S316)、スキャンモード処理(S300)を終了する。
【0135】
次に、ファクシミリモード処理(S400)について説明する。図9は、このファクシミリモード処理(S400)を示したフローチャートである。図9において、まず、ファクシミリモード処理において、送信モードと受信モードのいずれであるかをチェックし(S401)、送信モードであると(S402)、ファクシミリ送信モード処理へ進んで(S500)、このファクシミリ送信モード処理が終了すると、ファクシミリモード処理(S400)を終了する。
【0136】
S401における送信モードと受信モードのいずれであるかのチェックで送信モードでないと、即ち、受信モードであると(S402)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S403)。
【0137】
S403における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S404)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、認証処理が終了するのを待つ。
【0138】
S403における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S404)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS405へ進む。
【0139】
S405では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると(S406)、認証処理の結果、認証されなかったので、そのまま、何もせずに、ファクシミリモード処理(S400)を終了する。
【0140】
S405における認証結果フラグF3のチェックで、F3がセットされて、F3=1であると(S406)、認証処理の結果、認証されたので、次に、ファクシミリによる受信データの有無をチェックし(S407)、ファクシミリによる受信データがなければ(S408)、そのまま、何もせずに、ファクシミリモード処理(S400)を終了する。
【0141】
S407におけるファクシミリによる受信データの有無のチェックで、ファクシミリによる受信データがあると(S408)、次に、受信した画像データを、記録用紙に記録するため、画像形成処理を開始すると共に(S409)、この画像形成処理が終了したか否かをチェックし(S410)、終了すると(S411)、ファクシミリモード処理(S400)を終了する。
【0142】
次に、ファクシミリ送信モード処理(S500)について説明する。図10は、このファクシミリ送信モード処理(S500)を示したフローチャートである。図10において、まず、画像読取部2に対して、画像読取処理を開始すると共に(S501)、この画像読取処理が終了したか否かをチェックする(S502)。S502における画像読取処理が終了したか否かのチェックで、画像読取処理が終了していないと(S503)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S504)。
【0143】
S504における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S505)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、画像読取処理が継続され、S502に再度戻って、上記を繰返す。
【0144】
S504における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S505)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS506へ進む。
【0145】
S506では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、セットされてF3=1であると、認証処理の結果、認証されたので、次に、画像読取処理が継続され、S502に再度戻って、上記を繰返す。
【0146】
S506における認証結果フラグF3のチェックで、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると、認証処理の結果、認証されなかったので、画像読取処理を中止すると共に(S508)、メモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている読取画像データを破棄して(S509)、ファクシミリ送信モード処理(S500)を終了する。
【0147】
S502における画像読取処理が終了したか否かのチェックで、画像読取処理が終了していると(S503)、次に、認証処理終了フラグF2をチェックする(S510)。
【0148】
S510における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、F2=0のままであると(S511)、未だ認証処理が終了していないので、認証結果は判明しておらず、認証処理が終了するのを待つ。
【0149】
S510における認証処理終了フラグF2のチェックで、認証処理終了フラグF2が、セットされて、F2=1であると(S511)、既に、認証処理が終了しているので、認証結果をチェックするS512へ進む。
【0150】
S512では、認証結果フラグF3をチェックし、認証結果フラグF3が、F3=0のままであると(S513)、認証処理の結果、認証されなかったので、画像読取処理により、既にメモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている読取画像データを破棄して(S509)、ファクシミリ送信モード処理(S500)を終了する。
【0151】
S512における認証結果フラグF3のチェックで、F3がセットされて、F3=1であると(S513)、認証処理の結果、認証されたので、次に、画像読取処理により読取られ、メモリ6a、又は、ハードディスク(HD)7に記憶されている読取画像データ画像データを、通信部5、又は、FAXモデム10から、ファクシミリ装置へ送信を開始すると共に(S514)、この画像データのファクシミリ装置への送信が終了したか否かをチェックし(S515)、終了すると(S516)、ファクシミリ送信モード処理(S500)を終了する。
【0152】
上記のデジタル複合機1によれば、少なくとも一部の処理過程は、認証処理過程と同時並行処理可能な並進処理過程であるので、少なくとも一部の処理過程は、認証処理過程と同時並行処理することができる。
【0153】
従って、指静脈照合のような高度な認証方式を採用した場合においても、このような認証方式を採用しない場合と比較して、デジタル複合機1で処理を行おうとした時点から、当該処理が終了するまでの時間が増加するのを、抑制することができる。
【0154】
上記のデジタル複合機1では、デジタル複合機1が認証処理部19を備えており、デジタル複合機1が認証処理を行う。しかし、デジタル複合機1が認証処理部19を備えて、自らが認証処理を行うのに代えて、通信手段を介して接続された独立した外部認証手段を用いるようにしてもよい。
【0155】
例えば、上述した指静脈読取器、パスワードを入力する入力装置、パスワードと使用者の右手人差指の指静脈が対応付けられて登録記憶されるハードディスク7、マイクロプロセッサ等を備えた外部認証装置を設けて、上記のデジタル複合機1とLAN等の通信手段により接続すると共に、上述した認証処理を、この外部認証装置に行わせるのである。このようにすることにより、デジタル複合機1に認証手段を備えなくても、認証処理を行うことができる。
【0156】
又、上記の応用例として、指静脈読取器、及び、パスワードを入力する入力装置のみをデジタル複合機1に備え、認証に必要な登録データの記憶と認証処理のみを、外部認証装置に行わせるようにしてもよい。
【0157】
又、上記のデジタル複合機1では、該デジタル複合機1に認証処理を行わせるのに先立って、まず、使用者が、デジタル複合機1の操作部4の入力部4aに備えられている処理モードボタンを選択して押す操作を行っている。これは、上記のデジタル複合機1では、複数の処理モードを備えているので、複数の処理モードの内、いずれの処理モードの処理をデジタル複合機1で行うかをデジタル複合機1に対して指示する必要があるからである。
【0158】
従って、例えば、複写機等のように、コピー単機能のみの画像処理装置の場合には、使用者が、画像処理装置を使用するに際して、最初から、パスワードの入力と、指静脈読取器19aに使用者の右手人差指の指先を押し当てる操作を行うようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本実施の形態におけるデジタル複合機1が用いられるシステム全体の構成を示したブロック図である。
【図2】本実施の形態におけるデジタル複合機の外観図である。
【図3】本実施の形態におけるデジタル複合機の操作部の拡大平面図である。
【図4】本実施の形態におけるデジタル複合機の基本動作を示したフローチャートである。
【図5】本実施の形態におけるデジタル複合機の認証処理を示したフローチャートである。
【図6】本実施の形態におけるデジタル複合機のコピーモード処理を示したフローチャートである。
【図7】本実施の形態におけるデジタル複合機のプリントモード処理を示したフローチャートである。
【図8】本実施の形態におけるデジタル複合機のスキャンモード処理を示したフローチャートである。
【図9】本実施の形態におけるデジタル複合機のファクシミリモード処理を示したフローチャートである。
【図10】本実施の形態におけるデジタル複合機のファクシミリ送信モード処理を示したフローチャートである。
【図11】本実施の形態におけるデジタル複合機において認証処理されなかったことの表示の例を示した操作部の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0160】
1 デジタル複合機
2 画像読取部
2a CCD
2b 原稿検知センサ
3 機器制御部
4 操作部
4a 入力部
4a1 プリンタモードボタン
4a2 ファクシミリモードボタン
4a3 コピーモードボタン
4a4 スキャナモードボタン
4b 表示部
5 通信部
6 画像形成部
6a メモリ
6b 印字部
7 ハードディスク(HD)
8 管理部
9 消去手段
10 FAXモデム
11a 第1給紙トレイ
11b 第2給紙トレイ
11c 第3給紙トレイ
11d 第4給紙トレイ
12 収容トレイ
13 手差し給紙トレイ
15 転写部
15a 感光体ドラム
16 定着部
19 認証処理部
19a 指静脈読取器
20 電話回線網
21 ファクシミリ装置
30 ネットワーク
31 端末装置
32 端末装置
40 インターネット
41 ファクシミリ装置
42 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子化された画像情報を用いて画像形成を行う画像形成手段を、処理手段として少なくとも備えた画像処理装置であって、
前記処理手段を使用する使用者の認証を行う認証手段を備えており、
前記処理手段における少なくとも一部の処理過程は、前記認証手段における認証処理過程と同時並行処理可能な並進処理過程であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記処理手段における並進処理過程が、前記認証手段における認証処理過程が終了するよりも前に終了すると、
前記認証手段における認証処理過程が終了するのを待つと共に、前記認証手段における認証処理の結果、認証された場合は、前記処理手段の並進処理過程以外の処理過程が実行され、
認証されなかった場合は、該並進処理過程の処理結果は破棄されると共に、前記処理手段の並進処理過程以外の処理過程は実行されない画像処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記認証手段における認証処理過程が、前記処理手段における並進処理過程が終了するよりも前に終了すると、
前記認証手段における認証処理の結果、認証された場合は、前記処理手段の並進処理過程が継続されると共に、該並進処理過程が終了すると、該並進処理過程に続けて、前記並進処理過程以外の処理過程が実行され、
認証されなかった場合は、前記処理手段における並進処理過程が中止され、該並進処理過程の処理結果は破棄されると共に、前記処理手段の並進処理過程以外の処理過程は実行されない画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記認証手段における認証処理の結果、認証されなかった場合は、該認証されなかったことが表示される画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記画像形成手段は、前記画像形成にトナーや記録用紙等の消耗品を使用すると共に、
該消耗品は、予め指定されており、
前記処理手段における前記並進処理過程は、前記画像形成手段の処理過程における処理開始段階から、前記予め指定された消耗品の使用が、前記画像形成手段で開始される前の段階までの処理過程である画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像処理装置において、
前記画像形成手段は、前記画像形成において画像を前記記録用紙に記録すると共に、
前記予め指定された消耗品は前記記録用紙であり、
該予め指定された消耗品の使用が開始される前の段階とは、前記画像が前記記録用紙に記録される前の段階である画像処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記処理手段として、原稿の画像を読取って電子化された画像情報を生成する画像読取手段を備えると共に、
該画像読取手段における全処理過程は、前記並進処理過程に含まれる画像処理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記処理手段として、電子化された画像情報の外部への送信手段を備えると共に、
該送信手段における全処理過程は、前記並進処理過程には含まれない画像処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記処理手段として、電子化された画像情報の外部からの受信手段を備えると共に、
該受信手段における全処理過程は、前記並進処理過程に含まれる画像処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記認証手段を備えるのに代えて、通信手段を介して接続された独立した外部認証手段が用いられる画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−200954(P2009−200954A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41929(P2008−41929)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】