画像処理装置
【課題】少ないシート出力でスキャナ等の読取手段の入力特性を精度よく容易に把握し、階調補正パラメータを精度よく生成する。
【解決手段】スキャナ部7の原稿台7Aにおける同じスキャナ位置で読み取った、階調補正パラメータ生成用シート6上の階調の異なる少なくとも2つのパッチの読み取り値に基づいて、スキャナ位置毎にスキャナプロファイルを作成する。
【解決手段】スキャナ部7の原稿台7Aにおける同じスキャナ位置で読み取った、階調補正パラメータ生成用シート6上の階調の異なる少なくとも2つのパッチの読み取り値に基づいて、スキャナ位置毎にスキャナプロファイルを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置は同じ画像データに基づく画像を出力しても、画像処理装置に設けられた出力部固有の特性の経時変化により異なる濃度の画像が得られることがある。そこで経時の濃度変動を抑制することを目的として、画像処理装置で階調補正パラメータ生成用シートを出力することが行われている。そして、該階調補正パラメータ生成用シートを読み取ることで、出力部の階調特性を補正するための階調補正パラメータを演算する処理が従来から行われている。
【0003】
この階調補正パラメータ生成用シートの読取りには、高精度な測色器を用いる技術や、フラットベッドスキャナを用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【0004】
特許文献1には、読取対象物のスキャナによる読取値と読取対象物の測色値との対応関係を、該読取対象物を載置する原稿台上の位置毎に規定したスキャナプロファイルを作成することが開示されている。そして、特許文献1には、印刷部が印刷したパッチを上記原稿台上の何れかの位置で読み取った読取データを、該位置に対応するスキャナプロファイルを用いて補正することが開示されている。このような構成とすることによって、特許文献1では、上記位置毎のスキャナによる読取誤差を補正している。
また、特許文献1では、原稿台の位置毎のスキャナプロファイルを作成するために、複数枚の標準色シートを用いている。具体的には、特許文献1には、各シートの表面上では単色であるがシート同士では異なる色が記録された複数枚のシートを読取対象物として用いて、スキャナプロファイルを作成する方式(複シート方式)が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記複シート方式ではシートの枚数分、上記位置毎に測色値を測定する必要があった。
【0006】
また、上記複シート方式を用いると、フレア現象によって階調補正パラメータの精度低下が生じる。なお、フレア現象とは、注目位置の濃度が同じであっても注目位置周辺の画像によってスキャナによる読取値に差が生じる現象である。すなわち、上記複シート方式では、スキャナプロファイルの作成時に用いるシートのレイアウトと、階調補正パラメータの生成時に用いるシートのレイアウトとが異なると、生成した階調補正パラメータの精度が悪くなる場合がある。
【0007】
フレア現象による階調補正パラメータの精度低下を抑制するためには、上記2種類のシートのレイアウトを一致させればよい。しかし、複シート方式では階調補正パラメータ生成時にも複数枚のシートを出力する必要があるため、多くの工数がかかる。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、少ないシート出力でスキャナ等の読取手段の入力特性を精度よく容易に把握し、階調補正パラメータを精度よく生成することができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、階調値の異なる複数のパッチを所定方向に配列したパッチ列が同じレイアウトで形成された階調補正パラメータ生成用シート及びスキャナプロファイル生成用シートを出力する出力手段と、原稿台上に載置された前記階調補正パラメータ生成用シートのパッチまたは前記スキャナプロファイル生成用シートのパッチを、該原稿台上の各位置で読み取る読取手段と、前記原稿台上の各位置において前記スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色器による第1測色値と、の対応関係を規定したスキャナプロファイルを、前記位置毎に作成するスキャナプロファイル作成手段と、前記階調補正パラメータ生成用シートのパッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの該読取り時における前記原稿台上の位置に対応する前記スキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する第1測色値を求める測色値導出手段と、前記階調補正パラメータ生成用シートの各パッチで出力されるべき第2測色値と前記第1測色値とのずれを補正するための階調補正パラメータを演算する演算手段と、を備えた画像処理装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少ないシート出力で読取手段の入力特性を精度よく容易に把握し、階調補正パラメータを精度よく生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1におけるプリンタの構成を示す模式図である。
【図2】図2は、階調補正パラメータ生成用シート及びスキャナプロファイル生成用シートを示す模式図である。
【図3】図3は、各パッチの階調値を示す図である。
【図4】図4は、スキャナプロファイル生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実測濃度テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図6は、原稿台上にスキャナプロファイル生成用シートまたは階調補正パラメータ生成用シートが載置された状態を示す模式図である。
【図7】図7は、パッチ中の読み取り値算出を示す模式図である。
【図8】図8は、スキャナテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図9】図9は、スキャナ位置POS11に対応するスキャナプロファイルを示す模式図である。
【図10】図10は、スキャナ位置POS16に対応するスキャナプロファイルを示す模式図である。
【図11】図11は、階調補正パラメータ生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、階調補正パラメータ生成用シートのパッチ毎の読取り値の算出結果の一例を示す図である。
【図13】図13は、換算テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図14】図14は、第2画像データに示される、黒色のパッチ列20Kの各パッチの階調値及びターゲット濃度を示した図である。
【図15】図15は、階調補正パラメータの一例を示す模式図である。
【図16】図16は、印刷画像データ出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】図17は、実施の形態2における階調補正パラメータ生成用シート及びスキャナプロファイル生成用シートを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一の実施形態について説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるプリンタ(画像処理装置)の構成を示す図である。プリンタは画像処理装置の一例であり、デジタル複写機、ファクシミリ等であってもよい。
【0014】
図1において、プリンタ(画像処理装置)10は、制御部1、出力部3(出力手段)、スキャナ部7(読取手段)、及び測色部11(測色器)を備える。
【0015】
出力部3は、画像データに応じた画像を出力する。本実施の形態では、詳細を後述する階調補正パラメータ生成用シート6及びスキャナプロファイル生成用シート14を出力する。出力部3としては、電子写真方式やインクジェット記録方式等の公知の構成が挙げられる。
【0016】
スキャナ部7は、原稿台7Aを備えており、該原稿台7A上に載置された読取対象物に形成された各種画像を読み取る。スキャナ部7としては、原稿台7A上に載置された読取対象物に光を照射し、反射光を読み取ることによって該読取対象物上に形成された各種画像を読み取る公知の構成が挙げられる。本実施の形態では、スキャナ部7は、階調補正パラメータ生成用シート6に形成された各パッチ(詳細後述)や、スキャナプロファイル生成用シート14に形成された各パッチ(詳細後述)を、原稿台7A上の各位置(以下、スキャナ位置と称する場合がある)で読み取る。
【0017】
測色部11は、各種画像の色彩値を測定する。本実施の形態では、測色部11は、色彩値として、濃度を測定する場合を説明する。また、本実施の形態では、測色部11は、スキャナプロファイル生成用シート14や階調補正パラメータ生成用シート6上の各パッチの濃度を測定する。測色部11としては、高精度で濃度を測定する公知の測定装置が挙げられる。なお、この測色部11によるスキャナプロファイル生成用シート14上の各パッチの濃度測定結果を、以下では、実測濃度(第1測色値)と称する。
【0018】
ここで、本実施の形態のプリンタ10で用いる、階調補正パラメータ生成用シート6及びスキャナプロファイル生成用シート14について説明する。
【0019】
階調補正パラメータ生成用シート6は、階調補正パラメータの生成時に、スキャナ部7で読み取るシートである。スキャナプロファイル生成用シート14はスキャナプロファイルの生成時に、スキャナ部7及び測色部11で読み取るシートである。なお、スキャナプロファイルは、原稿台7Aの位置毎のスキャナ部7による読取誤差を補正するためのファイルである。また、階調補正パラメータは、出力部3の階調特性を補正するパラメータである。
【0020】
図2に示すように、階調補正パラメータ生成用シート6は、記録媒体22上に、所定方向(図2中、矢印A方向)に長いパッチ列20による画像を複数形成したシートである。この複数のパッチ列20は、該所定方向に直交する方向(図2中、矢印B方向)に複数配列されている。なお、図2中の矢印A方向は、矩形状の記録媒体22の一辺に沿った方向である。また、図2中の矢印B方向は、記録媒体22の該一辺に直交する辺に沿った方向である。また、階調補正パラメータ生成用シート6には、マーカ30と、ユーザ向けの説明文32が形成されている。マーカ30(マーク)は、階調補正パラメータ生成用シート6をスキャナ部7の原稿台7Aに載置するときに位置合わせ箇所を示す。
【0021】
階調補正パラメータ生成用シート6におけるこれらの複数のパッチ列20は、互いに異なる色である。本実施の形態では、パッチ列20として、図2中の矢印A方向に長い、黒色のパッチ列20K、シアン色のパッチ列20C、マゼンタ色のパッチ列20M、及び黄色のパッチ列20Yが、図2中の矢印B方向に沿って間隔を空けて配列されている。これらの黒色、シアン色、マゼンタ色、及び黄色は、出力部3において単一の色材(トナーやインク)のみで表現できる色である。
【0022】
なお、本実施の形態では、各パッチ列20は、間隔を空けて矢印B方向に配列されている場合を説明するが、間隔を空けずに各パッチ列20を連続して配列してもよい。
【0023】
各パッチ列20は、同色で且つ階調値の異なる複数のパッチを矢印A方向に複数配列した画像である。パッチ列20Kは、矢印A方向の一端から他端に向かって、階調値の異なる黒色のパッチK00〜パッチK16を配列した画像である。パッチ列20Cは、矢印A方向の一端から他端に向かって、階調値の異なるシアン色のパッチC00〜パッチC16を配列した画像である。パッチ列20Mは、矢印A方向の一端から他端に向かって、階調値の異なるマゼンタ色のパッチM00〜パッチM16を配列した画像である。パッチ列20Yは、矢印A方向の一端から他端に向かって、階調値の異なる黄色のパッチY00〜パッチY16を配列した画像である。すなわち、各パッチ20におけるパッチの配列方向(矢印A方向)は、階調変化方向である。なお、本実施の形態では、各パッチ列20は、同色で且つ階調値の異なる17個のパッチを矢印A方向に配列した画像である場合を説明するが、17個に限られない。
【0024】
各パッチ列20を構成する複数のパッチの階調値は、該各パッチ列20におけるパッチの配列方向(矢印A方向)の一端に設けられたパッチから、該矢印A方向の他端に設けられたパッチに向かって、増加または減少する。例えば、パッチ列20KのパッチK00〜パッチK16の各々は、図3に示すように、階調値0から255に向かって16ずつ増加した階調値となっている。なお、以下では、このパッチ列20における各パッチの配列方向(矢印A方向)を、階調変化方向と称する場合がある。なお、パッチの階調値とは、各パッチの形成に用いる画像データに示される階調値である。
【0025】
なお、この各パッチ列20を構成する隣接するパッチ間の階調値の差は同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、階調値の値が大きくなるほど、階調変化方向に隣接するパッチ間の階調値の差が大きくなるようにしてもよい。
【0026】
なお、本実施の形態では、各パッチ列20を構成する複数のパッチは、間隔を空けずに階調変化方向に連続して設けられている場合を説明するが、間隔を空けて階調変化方向に配列されていてもよい。
【0027】
スキャナプロファイル生成用シート14は、階調補正パラメータ生成用シート6と同じレイアウトである。この「同じレイアウトである」とは、記録媒体22上に形成されているパッチ列20の位置、及びパッチ列20の構成が同じであることを意味する。また、パッチ列20の構成が同じである、とは、各色のパッチ列20(パッチ列20K、20C、20M、20K)の色、位置、大きさ、及び各パッチ列20を構成する各パッチの色、位置、大きさ、及び階調値が同じであることを意味する。このため、スキャナプロファイル生成用シート14と階調補正パラメータ生成用シート6とは、パッチ列20以外の画像については、異なる画像が形成されていてもよい。
【0028】
例えば、各スキャナプロファイル生成用シート14及び階調補正パラメータ生成用シート6の少なくとも一方のパッチ列20の端やパッチ間に、測色計で濃度測定するために必要となる目印が形成されていてもよい。
【0029】
図1に戻り、制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。制御部1は、プリンタ10に設けられた装置各部に電気的に接続されている。
【0030】
この制御部1を、ハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、制御部1は、図1に示すように、格納部2、出力制御部8、スキャナ制御部9、測色値導出部12、演算部5、及び階調補正処理部4を有する。
【0031】
格納部2は、スキャナプロファイルや階調補正パラメータ等を記憶する。また、格納部2は、スキャナプロファイル生成用シート14に形成される各パッチを含む画像を形成するための画像データである第1画像データや、階調補正パラメータ生成用シート6に形成される各パッチを含む画像を形成するための画像データである第2画像データを格納する。
【0032】
なお、上述のように、スキャナプロファイル生成用シート14と階調補正パラメータ生成用シート6とは同じレイアウトである。このため、本実施の形態では、スキャナプロファイル生成用シート14に形成される各パッチを形成するための第1画像データと、階調補正パラメータ生成用シート6に形成される各パッチを形成するための画像データである第2画像データと、は、パッチ列20に対応する画像データ部分は同じデータである。
【0033】
具体的には、これらの第1画像データと第2画像データにおける、パッチ列20に対応する画像データ部分は、各色のパッチ列20K、20C、20M、20Y毎に、下記階調値を含むデータである。なお、各パッチ列20の各パッチを示す画像データは、K(黒色)、C(シアン)、M(マゼンタ)、及びY(黄色)の各々の色データを含む。そして、パッチ列20Kの各パッチを示す画像データは、K(黒色)の色データについては0〜255の階調値を含むが、M、C、及びYの色データについては階調値0である。このため、パッチ列20KのパッチK00〜パッチK16は、階調値0〜255の黒色のパッチとなる。同様に、パッチ列20Mの各パッチを示す画像データは、M(マゼンタ)の色データについては0〜255の階調値を含むが、K、C、及びYの色データについては階調値0である。また、パッチ列20Cの各パッチを示す画像データは、C(シアン)の色データについては0〜255の階調値を含むが、K、M、及びYの色データについては階調値0である。また、パッチ列20Yの各パッチを示す画像データは、Y(黄色)の色データについては0〜255の階調値を含むが、M、C、及びKの色データについては階調値0である。
【0034】
階調補正処理部4は、PC(Personal Copmputer)などから入力された印刷画像データ等に対して、階調補正パラメータを用いて階調補正を行う。なお、階調補正処理部4は、第1画像データや第2画像データに対しても階調補正を行ってもよい。
【0035】
出力制御部8は、出力部3を制御する。本実施の形態では、出力制御部8は、階調補正処理部4によって階調補正された第2画像データを出力部3に出力する。該第2画像データを受け付けた出力部3は、該第2画像データに応じた画像を記録媒体22に形成する。この結果、出力部3が、階調補正パラメータ生成用シート6を出力する(図2参照)。また、出力制御部8は、階調補正処理部4によって階調補正された第1画像データを出力部3に出力する。該第1画像データを受け付けた出力部3は、該第1画像データに応じた画像を記録媒体22に形成する。この結果、出力部3が、スキャナプロファイル生成用シート14を出力する(図2参照)。また、出力制御部8は、階調補正処理部4によって階調補正された印刷画像データを出力部3に出力する。出力部3は、該印刷画像データに応じた画像を記録媒体22に形成する。
【0036】
スキャナ制御部9は、スキャナ部7や測色部11を制御する。スキャナ制御部9は、スキャナ部7から画像データを取得する。本実施の形態では、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14や階調補正パラメータ生成用シート6のスキャナ部7による読み取り結果である読取画像データを取得する。また、スキャナ制御部9は、取得した読取画像データから、階調補正パラメータ生成用シート6やスキャナプロファイル生成用シート14上の各パッチの読み取り値を算出する(詳細後述)。
【0037】
また、スキャナ制御部9は、各パッチの実測濃度を測色部11から取得する。
【0038】
また、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成部9A及び読取値算出部9Bを備えている。
【0039】
スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナプロファイルを作成する。本実施の形態では、スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナ部7によって原稿台7A上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色部11による実測濃度と、の対応関係を規定したスキャンプロファイルを、該位置毎に作成する。そして、スキャナプロファイル生成部9Aは、作成したスキャナプロファイルを、格納部2に格納する。
【0040】
読取値算出部9Bは、スキャナ部7から受け付けた読取画像データに基づいて、スキャナプロファイル生成用シート14のパッチ毎の読み取り値を算出する。
【0041】
測色値導出部12は、スキャナ部7によって階調補正パラメータ生成用シート6のパッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置に対応するスキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する実測濃度を求める。
【0042】
演算部5は、出力部3の階調特性を補正する階調補正パラメータを演算する。階調補正パラメータは、言い換えれば、階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチで出力されるべき階調値及び濃度(以下、ターゲット濃度と称する)(第2測色値)と、測色値導出部12で求めた各パッチに対応する実測濃度と、のずれを補正するための階調補正パラメータである。
【0043】
次に、本実施の形態のプリンタ10で行われる、スキャナプロファイル生成処理の手順を説明する。図4は、本実施の形態のプリンタ10で行われる、スキャナプロファイル生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
以下、出力部3の画像出力時に用いる画像データの階調値は、0以上255以下の整数値で表され、値が大きいほど濃度が高いことを示す。一方、スキャナデータ、及びスキャナ部7による読み取り値は、逆に値が小さいほど濃いことを示す。
【0045】
まず、出力制御部8が、出力部3からスキャナプロファイル生成用シート14を出力する(ステップS100)。詳細には、出力制御部8が、格納部2から第1画像データを読取り、出力部3へ出力する。なお、出力制御部8は、階調補正処理部4で階調補正された第1画像データを、出力部3へ出力してもよい。第1画像データを受け付けた出力部3は、第1画像データの画像を記録媒体22に形成する。このため、出力部3が、スキャナプロファイル生成用シート14(図2参照)を出力する。
【0046】
次に、測色部11が、該スキャナプロファイル生成用シート14の各パッチの濃度である実測濃度を測定する(ステップS102)。測色部11は、測定した各パッチの実測濃度と、対応するパッチを示す情報と、をスキャナ制御部9へ出力する。スキャナ制御部9は、測色部11から受け付けた各パッチの実測濃度と、対応するパッチを示す情報と、各パッチの階調値と、を対応づけた実測濃度テーブルを格納部2に記憶する。なお、各パッチの階調値は、第2画像データにおける各パッチの階調値から取得する。
【0047】
図5には、実測濃度テーブルのデータ構造の一例を示した。なお、図5には、パッチ列20Kの各パッチK00〜K16の実測濃度を示した。
【0048】
次に、スキャナ部7が、スキャナプロファイル生成用シート14上の各パッチを原稿台7A上の各位置で読み取る(ステップS104)。ステップS104の処理によって、スキャナ制御部9が、原稿台7A上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値を得る。なお、本実施の形態では、スキャナ制御部9が、原稿台7A上の各位置において、スキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる3つのパッチを読み取った読み取り値を得る場合を説明する。また、本実施の形態では、スキャナ制御部9は、原稿台7Aの各位置において、スキャナプロファイル生成用シート14のパッチ列20の階調変化方向に連続する3つのパッチを読み取った読み取り値を得る場合を説明する。
【0049】
詳細には、ユーザが、スキャナプロファイル生成用シート14を、該スキャナプロファイル生成用シート14のパッチ列20等の形成された面を原稿台7A側にして該原稿台7A上に載置する。
【0050】
ここで、原稿台7Aには、スキャナプロファイル生成用シート14や階調補正パラメータ生成用シート6の位置合わせに用いる基準位置マーカC613、A611、B612(マーク)が設けられている(図6参照)。これらの基準位置マーカC613、A611、B612は、スキャナプロファイル生成用シート14や階調補正パラメータ生成用シート6を原稿台7A上に載置したときの、各パッチ列20のパッチの配列方向である階調変化方向に沿って配列されている。そして、隣合う基準位置マーカC613、A611、B612間の距離は、各パッチ列20における1パッチ分の階調変化方向の長さと一致している。
【0051】
そして、ユーザは、原稿台7Aに設けられた基準位置マーカA611の位置と、スキャナプロファイル生成用シート14のマーカ30によって示される端部と、が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14の位置を調整する。なお、このとき、ユーザは、スキャナプロファイル生成用シート14におけるパッチの階調変化方向(図2中、矢印A方向)と、原稿台7Aに設けられた位置マーカC613、A611、B612の配列方向と、が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14の向きも調整する。
【0052】
この状態で、スキャナ部7がスキャナプロファイル生成用シート14を読取る。読取値算出部9Bは、スキャナ部7から受け付けた読取画像データに基づいて、スキャナプロファイル生成用シート14のパッチ毎の読み取り値を算出する。
【0053】
具体的には、読取値算出部9Bは、スキャナ部7によって読み取られた各パッチ列20(20K、20C、20M、20Y)のパッチの読取画像データについて、各パッチの形成領域(図7中、領域24参照)内の128×128画素の領域分(図7中、領域26参照)の平均値を各パッチの読み取り値として得る。なお、読取値算出部9Bは、黒色のパッチと黄色のパッチに対しては、グリーンチャネルのデータから各パッチの読み取り値を得る。また、読取値算出部9Bは、シアン色のパッチに対しては、スキャナ部7のレッドチャネルのデータから各パッチの読み取り値を得る。また、読取値算出部9Bは、マゼンタ色のパッチに対しては、スキャナ部7のブルーチャネルのデータから各パッチの読み取り値を得る。なお、各色のパッチに対して、スキャナ部7のデータが広い範囲で動くチャネルを選択する。
【0054】
なお、スキャナ制御部9は、基準位置マーカA611を基準としてスキャナプロファイル生成用シート14を原稿台7Aに載置したときの、各パッチ列20の各パッチの原稿台7A上の位置を示すスキャナ位置と、各パッチを示す情報と、を予め対応づけて記憶している。このため、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14の各パッチの読み取り値、及び該パッチの読み取り時における原稿台7A上の位置を示すスキャナ位置を得る。
【0055】
上述のようにして、スキャナ制御部9は、基準位置マーカA611を基準として原稿台7A上にスキャナプロファイル生成用シート14を載置したときの、各パッチの読み取り値を得る。
【0056】
そして、スキャナ制御部9は、得られた各パッチの読み取り値を、パッチを示す情報及びパッチの階調値と共に、各パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置を示す情報に対応づけて格納部2に記憶する。なお、該パッチの階調値とは、第1画像データに示される各パッチの階調値を示す情報である。
【0057】
さらに、同様にして、スキャナ部7は、基準位置マーカC613、及び基準位置マーカB612の各々を基準として原稿台7A上にスキャナプロファイル生成用シート14を載置したときの、各パッチの読み取り値を得る。本実施の形態では、ユーザが、スキャナプロファイル生成用シート14の原稿台7A上の載置位置を、パッチ列20のパッチの階調変化方向(矢印A方向)にずらして載置する。詳細には、本実施の形態では、ユーザは、位置合わせ時に用いる基準位置マーカ(C613、A611、B612)を変更して、スキャナプロファイル生成用シート14の位置合わせをする。
【0058】
これによって、スキャナ部7は、原稿台7Aの同じ位置において、同色で且つ階調値の異なる3つのパッチを読み取ることとなる。また、本実施の形態では、スキャナ制御部9は、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向に隣接する2つのパッチと、の3つのパッチの読み取り値を得ることとなる。
【0059】
スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14の載置位置を変えることによって得られたスキャナプロファイル生成用シート14の各パッチの読み取り値を、パッチを示す情報及びパッチの階調値と共に、各パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置を示す情報に対応づけて格納部2に記憶する。
【0060】
これによって、格納部2には、原稿台7A上のスキャナ位置毎に、各位置で読み取ったスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチの読み取り値、各パッチを示す情報、及び各パッチの階調値を示す情報を対応づけた、スキャナテーブルが格納される。
【0061】
図8には、スキャナテーブルのデータ構造の一例を示した。なお、図8には、パッチ列20Kの各パッチK00〜K16の読み取り値を示した。スキャナテーブルは、図8に示すように、読取り時に基準とした基準位置マーカ(C613、A611、B612)毎に、パッチを示す情報、パッチの階調値、及びパッチの読み取り値を、各パッチの読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置に対応づけて格納している。
【0062】
図8中、スキャナ位置を示すPOS00〜POS16は、スキャナプロファイル生成用シート14を、基準位置マーカA611を基準として原稿台7A上に載置したときの、原稿台7A上のパッチK00からK16に対応する位置である。例えば、スキャナ位置POS11では、スキャナプロファイル生成用シート14が基準位置マーカA611を基準として載置されたときにはパッチK11、基準位置マーカB612を基準として載置されたときにはパッチK10、位置マーカC613を基準として載置されたときにはパッチK12を読み取ることとなる。
【0063】
また、スキャナ位置POS16では、スキャナプロファイル生成用シート14が基準位置マーカA611を基準として載置されたときにはパッチK16、位置マーカB612を基準として載置されたときにはパッチK15、位置マーカC613を基準として載置されたときにはパッチ列20Kの外を読み取ることとなる。
【0064】
このようにして、スキャナ制御部9が、原稿台7A上の各位置において、スキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる3つのパッチを読み取った読み取り値を得る。
【0065】
図4に戻り、次に、スキャナプロファイル生成部9Aが、上記実測濃度テーブルと、上記スキャナテーブルと、に基づいて、スキャナプロファイルを作成する(ステップS106)。具体的には、スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナ部7によって原稿台7A上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色部11による実測濃度と、の対応関係を規定したスキャナプロファイルを、位置(スキャナ位置)毎に作成する。
【0066】
以下に図5に示す実測濃度テーブル、及び図8に示すスキャナテーブルを用いて、スキャナ位置POS11における、読み取り値と、実測濃度との対応関係(スキャナプロファイル)を求める方法を示す。
【0067】
図8に示すように、スキャナプロファイルには、スキャナ位置POS11に対して、パッチK11、K10、K12を読み取ったときの読み取り値が示されている。また、図5に示すように、実測濃度テーブルには、これらのパッチK11、K10、K12の実測濃度が示されている。このため、これらの値から、パッチK11の実測濃度は0.927、読み取り値は44であり、パッチK10の実測濃度は0.832、読み取り値は49、パッチK12の実測濃度は1.042で読み取り値は31であることがわかる。
【0068】
そこで、スキャナプロファイル生成部9Aは、図9に示すように、この3点の実測濃度と読み取り値とを用いて直線補間することで、実測濃度と読み取り値との対応付けを行う。これによって、スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナ位置POS11に対応するスキャナプロファイルを作成する。
【0069】
なお、読み取り値がこの3点の範囲外である場合は外挿によって対応付けを行う。すなわち、パッチK10の読み取り値49より読み取り値が大きい場合は、パッチK10とパッチK11との実測濃度と読み取り値から求めた傾きを適用して対応づけを行う。また、パッチK12の読み取り値である31より読み取り値が小さい場合はパッチK12とパッチK10との実測濃度と読み取り値から求めた傾きを適用して対応付けを行う。
【0070】
また、図8に示すように、スキャナテーブルには、スキャナ位置POS16に対して、パッチK16、K15を読み取ったときの読み取り値が示されている。また、図5に示すように、実測濃度テーブルには、パッチK16及びパッチK15の実測濃度が示されている。そこで、スキャナプロファイル生成部9Aは、図10に示すように、この2点の実測濃度と読み取り値を用いて直線補間することで、実測濃度と読み取り値の対応付けを行う。なお、読み取り値がこの2点の範囲外である場合は外挿によって対応付けを行う。これによって、スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナ位置POS16に対応するスキャナプロファイルを作成する。
【0071】
スキャナプロファイル生成部9Aでは、このようにして、スキャナ位置毎に、スキャナ7による読み取り値と、測色部11を用いて測定した上記実測濃度と、の対応づけを行い、スキャナ位置毎にスキャナプロファイルを作成する。
【0072】
次に、本実施の形態のプリンタ10で行われる、階調補正パラメータ生成処理の手順を説明する。図11は、本実施の形態のプリンタ10で行われる、階調補正パラメータ生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0073】
まず、出力制御部8が、出力部3から階調補正パラメータ生成用シート6を出力する(ステップS201)。詳細には、出力制御部8が、格納部2から第2画像データを読取り、出力部3へ出力する。なお、出力制御部8は、階調補正処理部4で階調補正された第2画像データを出力部3へ出力してもよい。第2画像データを受け付けた出力部3は、第2画像データの画像を記録媒体22に形成する。これによって、階調補正パラメータ生成用シート6(図2参照)が出力される。
【0074】
次に、上記ステップS201で出力した階調補正パラメータ生成用シート6の、各パッチ列20のパッチを読み取る(ステップS202)。スキャナ部7は、階調補正パラメータ生成用シート6の読取画像データを、スキャナ制御部9へ出力する。スキャナ制御部9の読取値算出部9Bは、該読取画像データを受け付け、階調補正パラメータ生成用シート6上のパッチ毎の読み取り値を、上記ステップ104と同様にして算出する。
【0075】
なお、ステップS202の処理では、ユーザが、階調補正パラメータ生成用シート6を、該階調補正パラメータ生成用シート6のパッチ列20等の形成された面を原稿台7A側にして該原稿台7A上に載置する。そして、ユーザは、原稿台7Aに設けられた基準位置マーカA611の位置と、階調補正パラメータ生成用シート6のマーカ30によって示される端部と、が一致するように、階調補正パラメータ生成用シート6の位置を調整する。なお、このとき、階調補正パラメータ生成用シート6におけるパッチの配列方向(図2中、矢印A方向)と、原稿台7Aに設けられた位置マーカC613、A611、B612の配列方向と、が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14の向きも調整する。
【0076】
この状態で、スキャナ部7が階調補正パラメータ生成用シート6を読取る。スキャナ制御部9は、スキャナ部7から受け付けた読取画像データに基づいて、階調補正パラメータ生成用シート6のパッチ毎の読み取り値を算出する。
【0077】
図12には、パッチ毎の読取り値の算出結果の一例を示した。なお、図12には、パッチ列20Kの各パッチK00〜K16の読み取り値を示した。
【0078】
次に、測色値導出部12が、スキャナ部7によって階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの読取り時における原稿台7A上の位置に対応するスキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する実測濃度を求める(ステップS203)。詳細には、測色値導出部12は、各パッチの読取り時における原稿台7A上の位置に対応するスキャナプロファイルに基づいて、ステップS202で得た階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチの読み取り値を実測濃度に換算する。
【0079】
例えば、スキャナ部7によるパッチK11(階調値175)の読み取り値の実測濃度への換算を具体的に説明する。
【0080】
上記ステップS202の処理によって、階調補正パラメータ生成用シート6におけるパッチK11は、スキャナ位置POS11で読み取られる(図8及び図12参照)。このため、測色値導出部12は、該スキャナ位置POS11に対応するスキャナプロファイル(図9参照)に基づいて、パッチK11の読み取り値に対応する実測濃度を求める。例えば、スキャナプロファイル生成用シート14のパッチK11の読み取り値は45である(図12参照)。このため、測色値導出部12は、パッチK11のスキャナ位置POS11の実測濃度を、下記式を用いることによって、0.908と演算する。
【0081】
0.927+(45−44)×(0.832−0.927)÷(49−44)=0.908
【0082】
そして、測色値導出部12は、階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチを示す情報と、各パッチの階調値と、各パッチの実測濃度と、を対応づけた換算テーブルを格納部2に格納する。
【0083】
図13には、この換算テーブルのデータ構造の一例を示した。なお、図13には、階調補正パラメータ生成用シート6のパッチ列20Kの各パッチK00〜K16を示した。
【0084】
図11に戻り、次に、演算部5が、上記換算テーブルに基づいて、階調補正パラメータを演算する(ステップS204)。演算部5は、階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチで出力されるべきターゲット濃度と、各パッチの実測濃度とのずれを補正するための階調補正パラメータを演算する。
【0085】
この階調補正パラメータの演算を、図13及び図14を用いて具体的に説明する。
【0086】
なお、図14は、上記第2画像データに示される、黒色のパッチ列20Kの各パッチの階調値及びターゲット濃度を示したものである。図13に示す換算テーブルには、第2画像データに含まれる、あるパッチの階調値が187である場合には、ターゲット濃度0.976のパッチが形成されることを示している。演算部5は、このような濃度特性を得るγ補正テーブルを、階調補正パラメータとして演算する。
【0087】
例えば、図13に示す換算テーブルから、パッチK11、すなわち階調値175に対応する実測濃度は0.908であり、パッチK12、すなわち階調値191に対応する実測濃度は1.089である。このため、階調値187のパッチをターゲット濃度0.976で出力するための補正後の階調値を、線形補間により求める。
【0088】
ここで、(0.976−0.908)×(191−175)÷(1.089−0.908)+175≒181.01であるから、該値181.01を四捨五入した値である181を、該補正後の階調値とする。そして、演算部5は階調値187の画像データが入力されると補正後の階調値181を出力するγ補正テーブルを、階調補正パラメータとして演算する(図15参照)。
【0089】
演算部5は、同様にして図14に示す他の階調値に対しても演算を行うことで、離散的な16点の階調値におけるγ補正テーブルを生成する。そして、演算部5は、この16点を、スプライン補間処理を用いてなだらかに、かつ必要に応じて逆転しないよう修正を行う。そして更に、演算部5は、階調値0から255まで1階調刻みの階調値に対応する補正後の階調値を定めたγ補正テーブルを、階調補正パラメータとして演算する。
【0090】
また、シアン色、マゼンタ色、及び黄色についても同様にして、演算部5は、階調補正パラメータ(γ補正テーブル)を演算する。
【0091】
次に、演算部5が、演算した階調補正パラメータを格納部2に格納する。また、演算部5は、該階調補正パラメータ(γ補正テーブル)を階調補正に用いるように、階調補正処理部4に設定を行う(ステップS206)。
【0092】
次に、制御部1で行われる印刷画像データの出力処理の手順を説明する。図16は、本実施の形態のプリンタ10で行われる、印刷画像データ出力処理の手順を示すフローチャートである。
【0093】
まず、制御部1が、外部のPC等から印刷画像データを受け付ける(ステップS301)。この印刷画像データは、複数の画素データを含んでいる。各画素データは、0〜255の階調値を示すデータを含んでいる。階調補正処理部4は、印刷画像データに含まれる各画素データを、1画素ずつ受け付ける。
【0094】
次に、階調補正処理部4は、受け付けた印刷画像データの各画素データの階調値を補正する(ステップS302)。詳細には、階調補正処理部4は、格納部2に格納されている階調補正パラメータ(γ補正テーブル)に基づいて、各画素データの階調値を示す階調値に対応する補正後の階調値を求める。このように、階調補正処理部4は、印刷画像データの各画素データの階調値を、階調補正パラメータ(γ補正テーブル)に示される補正後の階調値に変換し、階調値を補正する。
【0095】
次に、出力制御部8は、階調補正処理部4によって階調補正された印刷画像データを、出力部3へ出力する(ステップS303)。出力部3は、受け付けた印刷画像データに応じた画像を記録媒体22へ形成する。
【0096】
以上説明したように、本実施の形態のプリンタ10によれば、階調補正パラメータ生成用シート6と、スキャナプロファイル生成用シート14と、同じレイアウトで構成している。そして、これらの階調補正パラメータ生成用シート6及びスキャナプロファイル生成用シート14は、階調値の異なる複数のパッチが所定方向に配列されたパッチ列20を有する。そして、スキャナプロファイル生成部9Aは、原稿台上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色部11による実測濃度と、の対応関係を規定したスキャナプロファイルを、位置毎に作成する。測色値導出部12は、スキャナ部7によってスキャナプロファイル生成用シート14のパッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置に対応するスキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する実測濃度を求める。そして、演算部5は、階調補正パラメータ生成用シート14の各パッチで出力されるべきターゲット濃度と実測濃度とのずれを補正するための階調補正パラメータを演算する。そして、画像形成時には、プリンタ10は、階調補正パラメータによって階調補正した印刷画像データの画像を印刷する。
【0097】
このように、本実施の形態のプリンタ10は、スキャナ部7の原稿台7Aにおける同じスキャナ位置で読み取った、階調補正パラメータ生成用シート6上の階調の異なる少なくとも2つのパッチのスキャナ部7による読み取り値に基づいて、スキャナ位置毎にスキャナプロファイルを作成する。従って、少ないシート出力で出力特性補正に適した入力特性を精度よく容易に把握することができ、階調補正パラメータを精度よく生成することができる。
【0098】
なお、本実施の形態では、スキャナプロファイル作成時には、スキャナ制御部9(読取値算出部9B)は、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向に隣接する2つのパッチと、の3つのパッチの読み取り値を得る場合を説明した。しかし、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル作成時において、階調補正パラメータ生成用シート6の階調値の異なる少なくとも2つのパッチの読み取り値に基づいて、スキャナプロファイルを作成すればよく、3つに限られない。
【0099】
また、スキャナ制御部9(読取値算出部9B)は、スキャナプロファイルの作成において、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向に隣接する2つのパッチと、の3つのパッチの読み取り値を得る場合を説明した。しかし、読取値算出部9Bは、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル作成時において、階調補正パラメータ生成用シート6の階調値の異なる少なくとも2つのパッチの読み取り値に基づいて、スキャナプロファイルを作成すればよく、階調値変化方向に隣接するパッチに限られない。例えば、スキャナ制御部9(読取値算出部9B)は、スキャナプロファイルの作成において、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向にN個(Nは1以上の整数)のパッチを隔てて隣接する1または2つのパッチの読み取り値を得てもよい。
【0100】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図17を用いて上記の実施の形態1との違いを説明する。
【0101】
本実施の形態では、実施の形態1で用いたスキャナプロファイル生成用シート14に代えて、スキャナプロファイル生成用シート14Aを用いる場合を説明する。
【0102】
スキャナプロファイル生成用シート14Aは、スキャナプロファイル生成用シート14と同様に、記録媒体22上に、所定方向(図2及び図17中、矢印A方向)に長いパッチ列20による画像を複数形成したシートである。この複数のパッチ列20は、該所定方向に直交する方向(図2及び図17中、矢印B方向)に複数配列されている。なお、図17中の矢印A方向は、矩形状の記録媒体22の一辺に沿った方向である。また、図17中の矢印B方向は、記録媒体22の該一辺に直交する辺に沿った方向である。
【0103】
スキャナプロファイル生成用シート14Aは、スキャナプロファイル生成用シート14におけるマーカ30及び説明文32に代えて、マーカ1411、位置マーカC1413、位置マーカD1414、及び利用者向けの説明文1412、が形成されている。これらのマーカ1411、位置マーカC1413、位置マーカD1414、及び利用者向けの説明文1412は、矩形状のスキャナプロファイル生成用シート14Aにおける、パッチ列20の延伸方向(矢印A方向)の端部に設けられている。また、これらのマーカ1411、位置マーカC1413、位置マーカD1414、及び利用者向けの説明文1412は、スキャナプロファイル生成用シート14A上において、パッチ列20の形成されている領域外に設けられている。
【0104】
すなわち、スキャナプロファイル生成用シート14Aと、スキャナプロファイル生成用シート14とは、パッチ列20については同じレイアウトであり、パッチ列20以外の画像が異なる。
【0105】
なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、スキャナプロファイル生成用シート14Aには、階調補正パラメータ生成用シート6Aと同じレイアウトのシートを用いる。この「同じレイアウトである」の定義は、実施の形態1と同じであるため記載を省略する。
【0106】
位置マーカC1413、D1414は、スキャナプロファイル生成用シート14Aにおけるパッチ列20の配列方向(図17中、矢印B方向)に長い線状の画像である。スキャナプロファイル生成用シート14Aの位置マーカC1413に平行で且つ該位置マーカC1413に最も近い一辺と、位置マーカC1413と、位置マーカD1414と、の各々の間の距離は、スキャナプロファイル生成用シート14上の各パッチ列20における1パッチ分の矢印A方向(階調変化方向)の長さと一致している。
【0107】
マーカ1411は、矩形状のスキャナプロファイル生成用シート14Aの4辺の内の、原稿台7A上に載置するときに該原稿台7Aの基準に合わせる辺を示している。なお、原稿台7Aの基準とは、原稿台7Aにおける基準位置マーカC613、A611、B612の配列位置に沿った直線を意味する(図6参照)。
【0108】
次に、本実施の形態のプリンタ10で行われる、スキャナプロファイル生成処理の手順を説明する。なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様のスキャナプロファイル生成処理が行われる(図4参照)。異なる点は、スキャナプロファイル生成用シート14に代えて、スキャナプロファイル生成用シート14Aを用いる点である。また、第1画像データとして、スキャナプロファイル生成用シート14A用に形成される各パッチを含む画像を形成するための画像データである第1画像データを用いる点である。
【0109】
なお、本実施の形態では、図4におけるステップS104では、下記処理を行う。本実施の形態では、ステップS104において、スキャナプロファイル生成用シート14A上の各パッチを原稿台7A上の各位置で読み取る(ステップS104)。ステップS104の処理によって、スキャナ制御部9が、原稿台7A上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14Aの階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値を得る。
【0110】
ここで、本実施の形態では、ステップS104の処理において、ユーザは、スキャナプロファイル生成用シート14Aを、該スキャナプロファイル生成用シート14Aのパッチ列20等の形成された面を原稿台7A側にして該原稿台7A上に載置する。
【0111】
そして、ユーザは、原稿台7Aに設けられた基準位置マーカA611の位置と、スキャナプロファイル生成用シート14Aの位置マーカC1413に平行で且つ該位置マーカC1413に最も近い一辺と、が一致するようにスキャナプロファイル生成用シート14の位置を調整する。なお、このとき、スキャナプロファイル生成用シート14Aにおけるパッチの配列方向(図17中、矢印A方向)と、原稿台7Aに設けられた位置マーカC613、A611、B612の配列方向と、が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14Aの向きも調整する。
【0112】
この状態で、スキャナ部7がスキャナプロファイル生成用シート14Aを読取る。読取値算出部9Bは、スキャナ部7から受け付けた読取画像データに基づいて、スキャナプロファイル生成用シート14Aのパッチ毎の読み取り値を算出する。読み取り値の算出方法は、実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
【0113】
なお、スキャナ制御部9は、基準位置マーカA611と、キャナプロファイル生成用シート14Aの位置マーカC1413に平行で且つ該位置マーカC1413に最も近い一辺と、の位置が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7Aに載置したときの、各パッチ列20の各パッチの位置を示す位置情報と、各パッチを示す情報と、を予め対応づけて記憶している。このため、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14Aの各パッチの読み取り値、及び該パッチの読み取り時における原稿台7A上の位置を示すスキャナ位置を得る。
【0114】
そして、スキャナ制御部9は、得られた各パッチの読み取り値を、パッチを示す情報及びパッチの階調値と共に、各パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置を示す情報に対応づけて格納部2に記憶する。
【0115】
さらに、同様にして、スキャナ部7は、位置マーカC1413に沿って折り曲げられた状態とされ、位置マーカA611を基準として原稿台7A上に載置されたスキャナプロファイル生成用シート14Aを読み取る。また、スキャナ部7は、位置マーカD1414に沿って折り曲げられた状態とされ、位置マーカA611を基準として原稿台7A上に載置されたスキャナプロファイル生成用シート14Aを読み取る。そして、スキャナ制御部9は、これらの読み取り結果から、上記方法により、各パッチの読み取り値を得る。
【0116】
すなわち、ユーザは、スキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7A上に載置するときに、位置マーカC1413に沿って折り曲げたスキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7A上に載置する。そして、この状態で、スキャナ部7がスキャナプロファイル生成用シート14Aを読み取る。さらに、ユーザは、スキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7A上に載置するときに、位置マーカD1414に沿って折り曲げたスキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7A上に載置する。そして、この状態で、スキャナ部7がスキャナプロファイル生成用シート14Aを読み取る。
【0117】
これによって、スキャナ部7は、原稿台7Aの同じ位置において、同色で且つ階調値の異なる3つのパッチを読み取ることとなる。また、本実施の形態では、スキャナ制御部9は、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向に隣接する2つのパッチと、の3つのパッチの読み取り値を得ることとなる。
【0118】
そして更に、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14Aの載置位置を変えることによって得られた各パッチの読み取り値を、パッチを示す情報及びパッチの階調値と共に、各パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置を示す情報に対応づけて格納部2に記憶する。
【0119】
これによって、格納部2には、原稿台7A上のスキャナ位置毎に、各位置で読み取ったスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチの読み取り値、各パッチを示す情報、及び各パッチの階調値を示す情報を対応づけた、スキャナテーブルが格納される。
【0120】
本実施の形態では、原稿台7A上の位置マーカB612や位置マーカC613を利用しないため、スキャナ部7にこれらが存在していなくてもよい。
【0121】
なお、本実施の形態では位置マーカC1413や位置マーカD1414に沿ってスキャナプロファイル生成用シート14Aを折り曲げた状態で、原稿台7A上に載置した。しかし、原稿台7A上における所定の位置で所定のパッチを読み取らせることができればよく、このような形態に限られない。例えば、スキャナプロファイル生成用シート14Aを折り曲げずに、原稿台7A上でスキャナプロファイル生成用シート14Aの位置をずらして、各位置マーカC1413や位置マーカD1414の位置を位置マーカA611にあわせてもよい。
【0122】
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更実施が可能である。例えば、プリンタ(画像処理装置)10に設けられたスキャナ部7が独立・別個のスキャナ装置として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 制御部
2 格納部
3 出力部
4 階調補正処理部
5 演算部
6、6A 階調補正パラメータ生成用シート
7 スキャナ部
7A 原稿台
8 出力制御部
9 スキャナ制御部
9A スキャナプロファイル生成部
10 プリンタ
11 測色部
12 測色値導出部
14、14A スキャナプロファイル生成用シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【特許文献1】特開2005−260305号公報
【特許文献2】特許第3241986号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置は同じ画像データに基づく画像を出力しても、画像処理装置に設けられた出力部固有の特性の経時変化により異なる濃度の画像が得られることがある。そこで経時の濃度変動を抑制することを目的として、画像処理装置で階調補正パラメータ生成用シートを出力することが行われている。そして、該階調補正パラメータ生成用シートを読み取ることで、出力部の階調特性を補正するための階調補正パラメータを演算する処理が従来から行われている。
【0003】
この階調補正パラメータ生成用シートの読取りには、高精度な測色器を用いる技術や、フラットベッドスキャナを用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【0004】
特許文献1には、読取対象物のスキャナによる読取値と読取対象物の測色値との対応関係を、該読取対象物を載置する原稿台上の位置毎に規定したスキャナプロファイルを作成することが開示されている。そして、特許文献1には、印刷部が印刷したパッチを上記原稿台上の何れかの位置で読み取った読取データを、該位置に対応するスキャナプロファイルを用いて補正することが開示されている。このような構成とすることによって、特許文献1では、上記位置毎のスキャナによる読取誤差を補正している。
また、特許文献1では、原稿台の位置毎のスキャナプロファイルを作成するために、複数枚の標準色シートを用いている。具体的には、特許文献1には、各シートの表面上では単色であるがシート同士では異なる色が記録された複数枚のシートを読取対象物として用いて、スキャナプロファイルを作成する方式(複シート方式)が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記複シート方式ではシートの枚数分、上記位置毎に測色値を測定する必要があった。
【0006】
また、上記複シート方式を用いると、フレア現象によって階調補正パラメータの精度低下が生じる。なお、フレア現象とは、注目位置の濃度が同じであっても注目位置周辺の画像によってスキャナによる読取値に差が生じる現象である。すなわち、上記複シート方式では、スキャナプロファイルの作成時に用いるシートのレイアウトと、階調補正パラメータの生成時に用いるシートのレイアウトとが異なると、生成した階調補正パラメータの精度が悪くなる場合がある。
【0007】
フレア現象による階調補正パラメータの精度低下を抑制するためには、上記2種類のシートのレイアウトを一致させればよい。しかし、複シート方式では階調補正パラメータ生成時にも複数枚のシートを出力する必要があるため、多くの工数がかかる。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、少ないシート出力でスキャナ等の読取手段の入力特性を精度よく容易に把握し、階調補正パラメータを精度よく生成することができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、階調値の異なる複数のパッチを所定方向に配列したパッチ列が同じレイアウトで形成された階調補正パラメータ生成用シート及びスキャナプロファイル生成用シートを出力する出力手段と、原稿台上に載置された前記階調補正パラメータ生成用シートのパッチまたは前記スキャナプロファイル生成用シートのパッチを、該原稿台上の各位置で読み取る読取手段と、前記原稿台上の各位置において前記スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色器による第1測色値と、の対応関係を規定したスキャナプロファイルを、前記位置毎に作成するスキャナプロファイル作成手段と、前記階調補正パラメータ生成用シートのパッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの該読取り時における前記原稿台上の位置に対応する前記スキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する第1測色値を求める測色値導出手段と、前記階調補正パラメータ生成用シートの各パッチで出力されるべき第2測色値と前記第1測色値とのずれを補正するための階調補正パラメータを演算する演算手段と、を備えた画像処理装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少ないシート出力で読取手段の入力特性を精度よく容易に把握し、階調補正パラメータを精度よく生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1におけるプリンタの構成を示す模式図である。
【図2】図2は、階調補正パラメータ生成用シート及びスキャナプロファイル生成用シートを示す模式図である。
【図3】図3は、各パッチの階調値を示す図である。
【図4】図4は、スキャナプロファイル生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実測濃度テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図6は、原稿台上にスキャナプロファイル生成用シートまたは階調補正パラメータ生成用シートが載置された状態を示す模式図である。
【図7】図7は、パッチ中の読み取り値算出を示す模式図である。
【図8】図8は、スキャナテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図9】図9は、スキャナ位置POS11に対応するスキャナプロファイルを示す模式図である。
【図10】図10は、スキャナ位置POS16に対応するスキャナプロファイルを示す模式図である。
【図11】図11は、階調補正パラメータ生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、階調補正パラメータ生成用シートのパッチ毎の読取り値の算出結果の一例を示す図である。
【図13】図13は、換算テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図14】図14は、第2画像データに示される、黒色のパッチ列20Kの各パッチの階調値及びターゲット濃度を示した図である。
【図15】図15は、階調補正パラメータの一例を示す模式図である。
【図16】図16は、印刷画像データ出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】図17は、実施の形態2における階調補正パラメータ生成用シート及びスキャナプロファイル生成用シートを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一の実施形態について説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるプリンタ(画像処理装置)の構成を示す図である。プリンタは画像処理装置の一例であり、デジタル複写機、ファクシミリ等であってもよい。
【0014】
図1において、プリンタ(画像処理装置)10は、制御部1、出力部3(出力手段)、スキャナ部7(読取手段)、及び測色部11(測色器)を備える。
【0015】
出力部3は、画像データに応じた画像を出力する。本実施の形態では、詳細を後述する階調補正パラメータ生成用シート6及びスキャナプロファイル生成用シート14を出力する。出力部3としては、電子写真方式やインクジェット記録方式等の公知の構成が挙げられる。
【0016】
スキャナ部7は、原稿台7Aを備えており、該原稿台7A上に載置された読取対象物に形成された各種画像を読み取る。スキャナ部7としては、原稿台7A上に載置された読取対象物に光を照射し、反射光を読み取ることによって該読取対象物上に形成された各種画像を読み取る公知の構成が挙げられる。本実施の形態では、スキャナ部7は、階調補正パラメータ生成用シート6に形成された各パッチ(詳細後述)や、スキャナプロファイル生成用シート14に形成された各パッチ(詳細後述)を、原稿台7A上の各位置(以下、スキャナ位置と称する場合がある)で読み取る。
【0017】
測色部11は、各種画像の色彩値を測定する。本実施の形態では、測色部11は、色彩値として、濃度を測定する場合を説明する。また、本実施の形態では、測色部11は、スキャナプロファイル生成用シート14や階調補正パラメータ生成用シート6上の各パッチの濃度を測定する。測色部11としては、高精度で濃度を測定する公知の測定装置が挙げられる。なお、この測色部11によるスキャナプロファイル生成用シート14上の各パッチの濃度測定結果を、以下では、実測濃度(第1測色値)と称する。
【0018】
ここで、本実施の形態のプリンタ10で用いる、階調補正パラメータ生成用シート6及びスキャナプロファイル生成用シート14について説明する。
【0019】
階調補正パラメータ生成用シート6は、階調補正パラメータの生成時に、スキャナ部7で読み取るシートである。スキャナプロファイル生成用シート14はスキャナプロファイルの生成時に、スキャナ部7及び測色部11で読み取るシートである。なお、スキャナプロファイルは、原稿台7Aの位置毎のスキャナ部7による読取誤差を補正するためのファイルである。また、階調補正パラメータは、出力部3の階調特性を補正するパラメータである。
【0020】
図2に示すように、階調補正パラメータ生成用シート6は、記録媒体22上に、所定方向(図2中、矢印A方向)に長いパッチ列20による画像を複数形成したシートである。この複数のパッチ列20は、該所定方向に直交する方向(図2中、矢印B方向)に複数配列されている。なお、図2中の矢印A方向は、矩形状の記録媒体22の一辺に沿った方向である。また、図2中の矢印B方向は、記録媒体22の該一辺に直交する辺に沿った方向である。また、階調補正パラメータ生成用シート6には、マーカ30と、ユーザ向けの説明文32が形成されている。マーカ30(マーク)は、階調補正パラメータ生成用シート6をスキャナ部7の原稿台7Aに載置するときに位置合わせ箇所を示す。
【0021】
階調補正パラメータ生成用シート6におけるこれらの複数のパッチ列20は、互いに異なる色である。本実施の形態では、パッチ列20として、図2中の矢印A方向に長い、黒色のパッチ列20K、シアン色のパッチ列20C、マゼンタ色のパッチ列20M、及び黄色のパッチ列20Yが、図2中の矢印B方向に沿って間隔を空けて配列されている。これらの黒色、シアン色、マゼンタ色、及び黄色は、出力部3において単一の色材(トナーやインク)のみで表現できる色である。
【0022】
なお、本実施の形態では、各パッチ列20は、間隔を空けて矢印B方向に配列されている場合を説明するが、間隔を空けずに各パッチ列20を連続して配列してもよい。
【0023】
各パッチ列20は、同色で且つ階調値の異なる複数のパッチを矢印A方向に複数配列した画像である。パッチ列20Kは、矢印A方向の一端から他端に向かって、階調値の異なる黒色のパッチK00〜パッチK16を配列した画像である。パッチ列20Cは、矢印A方向の一端から他端に向かって、階調値の異なるシアン色のパッチC00〜パッチC16を配列した画像である。パッチ列20Mは、矢印A方向の一端から他端に向かって、階調値の異なるマゼンタ色のパッチM00〜パッチM16を配列した画像である。パッチ列20Yは、矢印A方向の一端から他端に向かって、階調値の異なる黄色のパッチY00〜パッチY16を配列した画像である。すなわち、各パッチ20におけるパッチの配列方向(矢印A方向)は、階調変化方向である。なお、本実施の形態では、各パッチ列20は、同色で且つ階調値の異なる17個のパッチを矢印A方向に配列した画像である場合を説明するが、17個に限られない。
【0024】
各パッチ列20を構成する複数のパッチの階調値は、該各パッチ列20におけるパッチの配列方向(矢印A方向)の一端に設けられたパッチから、該矢印A方向の他端に設けられたパッチに向かって、増加または減少する。例えば、パッチ列20KのパッチK00〜パッチK16の各々は、図3に示すように、階調値0から255に向かって16ずつ増加した階調値となっている。なお、以下では、このパッチ列20における各パッチの配列方向(矢印A方向)を、階調変化方向と称する場合がある。なお、パッチの階調値とは、各パッチの形成に用いる画像データに示される階調値である。
【0025】
なお、この各パッチ列20を構成する隣接するパッチ間の階調値の差は同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、階調値の値が大きくなるほど、階調変化方向に隣接するパッチ間の階調値の差が大きくなるようにしてもよい。
【0026】
なお、本実施の形態では、各パッチ列20を構成する複数のパッチは、間隔を空けずに階調変化方向に連続して設けられている場合を説明するが、間隔を空けて階調変化方向に配列されていてもよい。
【0027】
スキャナプロファイル生成用シート14は、階調補正パラメータ生成用シート6と同じレイアウトである。この「同じレイアウトである」とは、記録媒体22上に形成されているパッチ列20の位置、及びパッチ列20の構成が同じであることを意味する。また、パッチ列20の構成が同じである、とは、各色のパッチ列20(パッチ列20K、20C、20M、20K)の色、位置、大きさ、及び各パッチ列20を構成する各パッチの色、位置、大きさ、及び階調値が同じであることを意味する。このため、スキャナプロファイル生成用シート14と階調補正パラメータ生成用シート6とは、パッチ列20以外の画像については、異なる画像が形成されていてもよい。
【0028】
例えば、各スキャナプロファイル生成用シート14及び階調補正パラメータ生成用シート6の少なくとも一方のパッチ列20の端やパッチ間に、測色計で濃度測定するために必要となる目印が形成されていてもよい。
【0029】
図1に戻り、制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。制御部1は、プリンタ10に設けられた装置各部に電気的に接続されている。
【0030】
この制御部1を、ハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、制御部1は、図1に示すように、格納部2、出力制御部8、スキャナ制御部9、測色値導出部12、演算部5、及び階調補正処理部4を有する。
【0031】
格納部2は、スキャナプロファイルや階調補正パラメータ等を記憶する。また、格納部2は、スキャナプロファイル生成用シート14に形成される各パッチを含む画像を形成するための画像データである第1画像データや、階調補正パラメータ生成用シート6に形成される各パッチを含む画像を形成するための画像データである第2画像データを格納する。
【0032】
なお、上述のように、スキャナプロファイル生成用シート14と階調補正パラメータ生成用シート6とは同じレイアウトである。このため、本実施の形態では、スキャナプロファイル生成用シート14に形成される各パッチを形成するための第1画像データと、階調補正パラメータ生成用シート6に形成される各パッチを形成するための画像データである第2画像データと、は、パッチ列20に対応する画像データ部分は同じデータである。
【0033】
具体的には、これらの第1画像データと第2画像データにおける、パッチ列20に対応する画像データ部分は、各色のパッチ列20K、20C、20M、20Y毎に、下記階調値を含むデータである。なお、各パッチ列20の各パッチを示す画像データは、K(黒色)、C(シアン)、M(マゼンタ)、及びY(黄色)の各々の色データを含む。そして、パッチ列20Kの各パッチを示す画像データは、K(黒色)の色データについては0〜255の階調値を含むが、M、C、及びYの色データについては階調値0である。このため、パッチ列20KのパッチK00〜パッチK16は、階調値0〜255の黒色のパッチとなる。同様に、パッチ列20Mの各パッチを示す画像データは、M(マゼンタ)の色データについては0〜255の階調値を含むが、K、C、及びYの色データについては階調値0である。また、パッチ列20Cの各パッチを示す画像データは、C(シアン)の色データについては0〜255の階調値を含むが、K、M、及びYの色データについては階調値0である。また、パッチ列20Yの各パッチを示す画像データは、Y(黄色)の色データについては0〜255の階調値を含むが、M、C、及びKの色データについては階調値0である。
【0034】
階調補正処理部4は、PC(Personal Copmputer)などから入力された印刷画像データ等に対して、階調補正パラメータを用いて階調補正を行う。なお、階調補正処理部4は、第1画像データや第2画像データに対しても階調補正を行ってもよい。
【0035】
出力制御部8は、出力部3を制御する。本実施の形態では、出力制御部8は、階調補正処理部4によって階調補正された第2画像データを出力部3に出力する。該第2画像データを受け付けた出力部3は、該第2画像データに応じた画像を記録媒体22に形成する。この結果、出力部3が、階調補正パラメータ生成用シート6を出力する(図2参照)。また、出力制御部8は、階調補正処理部4によって階調補正された第1画像データを出力部3に出力する。該第1画像データを受け付けた出力部3は、該第1画像データに応じた画像を記録媒体22に形成する。この結果、出力部3が、スキャナプロファイル生成用シート14を出力する(図2参照)。また、出力制御部8は、階調補正処理部4によって階調補正された印刷画像データを出力部3に出力する。出力部3は、該印刷画像データに応じた画像を記録媒体22に形成する。
【0036】
スキャナ制御部9は、スキャナ部7や測色部11を制御する。スキャナ制御部9は、スキャナ部7から画像データを取得する。本実施の形態では、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14や階調補正パラメータ生成用シート6のスキャナ部7による読み取り結果である読取画像データを取得する。また、スキャナ制御部9は、取得した読取画像データから、階調補正パラメータ生成用シート6やスキャナプロファイル生成用シート14上の各パッチの読み取り値を算出する(詳細後述)。
【0037】
また、スキャナ制御部9は、各パッチの実測濃度を測色部11から取得する。
【0038】
また、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成部9A及び読取値算出部9Bを備えている。
【0039】
スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナプロファイルを作成する。本実施の形態では、スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナ部7によって原稿台7A上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色部11による実測濃度と、の対応関係を規定したスキャンプロファイルを、該位置毎に作成する。そして、スキャナプロファイル生成部9Aは、作成したスキャナプロファイルを、格納部2に格納する。
【0040】
読取値算出部9Bは、スキャナ部7から受け付けた読取画像データに基づいて、スキャナプロファイル生成用シート14のパッチ毎の読み取り値を算出する。
【0041】
測色値導出部12は、スキャナ部7によって階調補正パラメータ生成用シート6のパッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置に対応するスキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する実測濃度を求める。
【0042】
演算部5は、出力部3の階調特性を補正する階調補正パラメータを演算する。階調補正パラメータは、言い換えれば、階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチで出力されるべき階調値及び濃度(以下、ターゲット濃度と称する)(第2測色値)と、測色値導出部12で求めた各パッチに対応する実測濃度と、のずれを補正するための階調補正パラメータである。
【0043】
次に、本実施の形態のプリンタ10で行われる、スキャナプロファイル生成処理の手順を説明する。図4は、本実施の形態のプリンタ10で行われる、スキャナプロファイル生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
以下、出力部3の画像出力時に用いる画像データの階調値は、0以上255以下の整数値で表され、値が大きいほど濃度が高いことを示す。一方、スキャナデータ、及びスキャナ部7による読み取り値は、逆に値が小さいほど濃いことを示す。
【0045】
まず、出力制御部8が、出力部3からスキャナプロファイル生成用シート14を出力する(ステップS100)。詳細には、出力制御部8が、格納部2から第1画像データを読取り、出力部3へ出力する。なお、出力制御部8は、階調補正処理部4で階調補正された第1画像データを、出力部3へ出力してもよい。第1画像データを受け付けた出力部3は、第1画像データの画像を記録媒体22に形成する。このため、出力部3が、スキャナプロファイル生成用シート14(図2参照)を出力する。
【0046】
次に、測色部11が、該スキャナプロファイル生成用シート14の各パッチの濃度である実測濃度を測定する(ステップS102)。測色部11は、測定した各パッチの実測濃度と、対応するパッチを示す情報と、をスキャナ制御部9へ出力する。スキャナ制御部9は、測色部11から受け付けた各パッチの実測濃度と、対応するパッチを示す情報と、各パッチの階調値と、を対応づけた実測濃度テーブルを格納部2に記憶する。なお、各パッチの階調値は、第2画像データにおける各パッチの階調値から取得する。
【0047】
図5には、実測濃度テーブルのデータ構造の一例を示した。なお、図5には、パッチ列20Kの各パッチK00〜K16の実測濃度を示した。
【0048】
次に、スキャナ部7が、スキャナプロファイル生成用シート14上の各パッチを原稿台7A上の各位置で読み取る(ステップS104)。ステップS104の処理によって、スキャナ制御部9が、原稿台7A上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値を得る。なお、本実施の形態では、スキャナ制御部9が、原稿台7A上の各位置において、スキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる3つのパッチを読み取った読み取り値を得る場合を説明する。また、本実施の形態では、スキャナ制御部9は、原稿台7Aの各位置において、スキャナプロファイル生成用シート14のパッチ列20の階調変化方向に連続する3つのパッチを読み取った読み取り値を得る場合を説明する。
【0049】
詳細には、ユーザが、スキャナプロファイル生成用シート14を、該スキャナプロファイル生成用シート14のパッチ列20等の形成された面を原稿台7A側にして該原稿台7A上に載置する。
【0050】
ここで、原稿台7Aには、スキャナプロファイル生成用シート14や階調補正パラメータ生成用シート6の位置合わせに用いる基準位置マーカC613、A611、B612(マーク)が設けられている(図6参照)。これらの基準位置マーカC613、A611、B612は、スキャナプロファイル生成用シート14や階調補正パラメータ生成用シート6を原稿台7A上に載置したときの、各パッチ列20のパッチの配列方向である階調変化方向に沿って配列されている。そして、隣合う基準位置マーカC613、A611、B612間の距離は、各パッチ列20における1パッチ分の階調変化方向の長さと一致している。
【0051】
そして、ユーザは、原稿台7Aに設けられた基準位置マーカA611の位置と、スキャナプロファイル生成用シート14のマーカ30によって示される端部と、が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14の位置を調整する。なお、このとき、ユーザは、スキャナプロファイル生成用シート14におけるパッチの階調変化方向(図2中、矢印A方向)と、原稿台7Aに設けられた位置マーカC613、A611、B612の配列方向と、が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14の向きも調整する。
【0052】
この状態で、スキャナ部7がスキャナプロファイル生成用シート14を読取る。読取値算出部9Bは、スキャナ部7から受け付けた読取画像データに基づいて、スキャナプロファイル生成用シート14のパッチ毎の読み取り値を算出する。
【0053】
具体的には、読取値算出部9Bは、スキャナ部7によって読み取られた各パッチ列20(20K、20C、20M、20Y)のパッチの読取画像データについて、各パッチの形成領域(図7中、領域24参照)内の128×128画素の領域分(図7中、領域26参照)の平均値を各パッチの読み取り値として得る。なお、読取値算出部9Bは、黒色のパッチと黄色のパッチに対しては、グリーンチャネルのデータから各パッチの読み取り値を得る。また、読取値算出部9Bは、シアン色のパッチに対しては、スキャナ部7のレッドチャネルのデータから各パッチの読み取り値を得る。また、読取値算出部9Bは、マゼンタ色のパッチに対しては、スキャナ部7のブルーチャネルのデータから各パッチの読み取り値を得る。なお、各色のパッチに対して、スキャナ部7のデータが広い範囲で動くチャネルを選択する。
【0054】
なお、スキャナ制御部9は、基準位置マーカA611を基準としてスキャナプロファイル生成用シート14を原稿台7Aに載置したときの、各パッチ列20の各パッチの原稿台7A上の位置を示すスキャナ位置と、各パッチを示す情報と、を予め対応づけて記憶している。このため、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14の各パッチの読み取り値、及び該パッチの読み取り時における原稿台7A上の位置を示すスキャナ位置を得る。
【0055】
上述のようにして、スキャナ制御部9は、基準位置マーカA611を基準として原稿台7A上にスキャナプロファイル生成用シート14を載置したときの、各パッチの読み取り値を得る。
【0056】
そして、スキャナ制御部9は、得られた各パッチの読み取り値を、パッチを示す情報及びパッチの階調値と共に、各パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置を示す情報に対応づけて格納部2に記憶する。なお、該パッチの階調値とは、第1画像データに示される各パッチの階調値を示す情報である。
【0057】
さらに、同様にして、スキャナ部7は、基準位置マーカC613、及び基準位置マーカB612の各々を基準として原稿台7A上にスキャナプロファイル生成用シート14を載置したときの、各パッチの読み取り値を得る。本実施の形態では、ユーザが、スキャナプロファイル生成用シート14の原稿台7A上の載置位置を、パッチ列20のパッチの階調変化方向(矢印A方向)にずらして載置する。詳細には、本実施の形態では、ユーザは、位置合わせ時に用いる基準位置マーカ(C613、A611、B612)を変更して、スキャナプロファイル生成用シート14の位置合わせをする。
【0058】
これによって、スキャナ部7は、原稿台7Aの同じ位置において、同色で且つ階調値の異なる3つのパッチを読み取ることとなる。また、本実施の形態では、スキャナ制御部9は、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向に隣接する2つのパッチと、の3つのパッチの読み取り値を得ることとなる。
【0059】
スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14の載置位置を変えることによって得られたスキャナプロファイル生成用シート14の各パッチの読み取り値を、パッチを示す情報及びパッチの階調値と共に、各パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置を示す情報に対応づけて格納部2に記憶する。
【0060】
これによって、格納部2には、原稿台7A上のスキャナ位置毎に、各位置で読み取ったスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチの読み取り値、各パッチを示す情報、及び各パッチの階調値を示す情報を対応づけた、スキャナテーブルが格納される。
【0061】
図8には、スキャナテーブルのデータ構造の一例を示した。なお、図8には、パッチ列20Kの各パッチK00〜K16の読み取り値を示した。スキャナテーブルは、図8に示すように、読取り時に基準とした基準位置マーカ(C613、A611、B612)毎に、パッチを示す情報、パッチの階調値、及びパッチの読み取り値を、各パッチの読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置に対応づけて格納している。
【0062】
図8中、スキャナ位置を示すPOS00〜POS16は、スキャナプロファイル生成用シート14を、基準位置マーカA611を基準として原稿台7A上に載置したときの、原稿台7A上のパッチK00からK16に対応する位置である。例えば、スキャナ位置POS11では、スキャナプロファイル生成用シート14が基準位置マーカA611を基準として載置されたときにはパッチK11、基準位置マーカB612を基準として載置されたときにはパッチK10、位置マーカC613を基準として載置されたときにはパッチK12を読み取ることとなる。
【0063】
また、スキャナ位置POS16では、スキャナプロファイル生成用シート14が基準位置マーカA611を基準として載置されたときにはパッチK16、位置マーカB612を基準として載置されたときにはパッチK15、位置マーカC613を基準として載置されたときにはパッチ列20Kの外を読み取ることとなる。
【0064】
このようにして、スキャナ制御部9が、原稿台7A上の各位置において、スキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる3つのパッチを読み取った読み取り値を得る。
【0065】
図4に戻り、次に、スキャナプロファイル生成部9Aが、上記実測濃度テーブルと、上記スキャナテーブルと、に基づいて、スキャナプロファイルを作成する(ステップS106)。具体的には、スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナ部7によって原稿台7A上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色部11による実測濃度と、の対応関係を規定したスキャナプロファイルを、位置(スキャナ位置)毎に作成する。
【0066】
以下に図5に示す実測濃度テーブル、及び図8に示すスキャナテーブルを用いて、スキャナ位置POS11における、読み取り値と、実測濃度との対応関係(スキャナプロファイル)を求める方法を示す。
【0067】
図8に示すように、スキャナプロファイルには、スキャナ位置POS11に対して、パッチK11、K10、K12を読み取ったときの読み取り値が示されている。また、図5に示すように、実測濃度テーブルには、これらのパッチK11、K10、K12の実測濃度が示されている。このため、これらの値から、パッチK11の実測濃度は0.927、読み取り値は44であり、パッチK10の実測濃度は0.832、読み取り値は49、パッチK12の実測濃度は1.042で読み取り値は31であることがわかる。
【0068】
そこで、スキャナプロファイル生成部9Aは、図9に示すように、この3点の実測濃度と読み取り値とを用いて直線補間することで、実測濃度と読み取り値との対応付けを行う。これによって、スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナ位置POS11に対応するスキャナプロファイルを作成する。
【0069】
なお、読み取り値がこの3点の範囲外である場合は外挿によって対応付けを行う。すなわち、パッチK10の読み取り値49より読み取り値が大きい場合は、パッチK10とパッチK11との実測濃度と読み取り値から求めた傾きを適用して対応づけを行う。また、パッチK12の読み取り値である31より読み取り値が小さい場合はパッチK12とパッチK10との実測濃度と読み取り値から求めた傾きを適用して対応付けを行う。
【0070】
また、図8に示すように、スキャナテーブルには、スキャナ位置POS16に対して、パッチK16、K15を読み取ったときの読み取り値が示されている。また、図5に示すように、実測濃度テーブルには、パッチK16及びパッチK15の実測濃度が示されている。そこで、スキャナプロファイル生成部9Aは、図10に示すように、この2点の実測濃度と読み取り値を用いて直線補間することで、実測濃度と読み取り値の対応付けを行う。なお、読み取り値がこの2点の範囲外である場合は外挿によって対応付けを行う。これによって、スキャナプロファイル生成部9Aは、スキャナ位置POS16に対応するスキャナプロファイルを作成する。
【0071】
スキャナプロファイル生成部9Aでは、このようにして、スキャナ位置毎に、スキャナ7による読み取り値と、測色部11を用いて測定した上記実測濃度と、の対応づけを行い、スキャナ位置毎にスキャナプロファイルを作成する。
【0072】
次に、本実施の形態のプリンタ10で行われる、階調補正パラメータ生成処理の手順を説明する。図11は、本実施の形態のプリンタ10で行われる、階調補正パラメータ生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0073】
まず、出力制御部8が、出力部3から階調補正パラメータ生成用シート6を出力する(ステップS201)。詳細には、出力制御部8が、格納部2から第2画像データを読取り、出力部3へ出力する。なお、出力制御部8は、階調補正処理部4で階調補正された第2画像データを出力部3へ出力してもよい。第2画像データを受け付けた出力部3は、第2画像データの画像を記録媒体22に形成する。これによって、階調補正パラメータ生成用シート6(図2参照)が出力される。
【0074】
次に、上記ステップS201で出力した階調補正パラメータ生成用シート6の、各パッチ列20のパッチを読み取る(ステップS202)。スキャナ部7は、階調補正パラメータ生成用シート6の読取画像データを、スキャナ制御部9へ出力する。スキャナ制御部9の読取値算出部9Bは、該読取画像データを受け付け、階調補正パラメータ生成用シート6上のパッチ毎の読み取り値を、上記ステップ104と同様にして算出する。
【0075】
なお、ステップS202の処理では、ユーザが、階調補正パラメータ生成用シート6を、該階調補正パラメータ生成用シート6のパッチ列20等の形成された面を原稿台7A側にして該原稿台7A上に載置する。そして、ユーザは、原稿台7Aに設けられた基準位置マーカA611の位置と、階調補正パラメータ生成用シート6のマーカ30によって示される端部と、が一致するように、階調補正パラメータ生成用シート6の位置を調整する。なお、このとき、階調補正パラメータ生成用シート6におけるパッチの配列方向(図2中、矢印A方向)と、原稿台7Aに設けられた位置マーカC613、A611、B612の配列方向と、が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14の向きも調整する。
【0076】
この状態で、スキャナ部7が階調補正パラメータ生成用シート6を読取る。スキャナ制御部9は、スキャナ部7から受け付けた読取画像データに基づいて、階調補正パラメータ生成用シート6のパッチ毎の読み取り値を算出する。
【0077】
図12には、パッチ毎の読取り値の算出結果の一例を示した。なお、図12には、パッチ列20Kの各パッチK00〜K16の読み取り値を示した。
【0078】
次に、測色値導出部12が、スキャナ部7によって階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの読取り時における原稿台7A上の位置に対応するスキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する実測濃度を求める(ステップS203)。詳細には、測色値導出部12は、各パッチの読取り時における原稿台7A上の位置に対応するスキャナプロファイルに基づいて、ステップS202で得た階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチの読み取り値を実測濃度に換算する。
【0079】
例えば、スキャナ部7によるパッチK11(階調値175)の読み取り値の実測濃度への換算を具体的に説明する。
【0080】
上記ステップS202の処理によって、階調補正パラメータ生成用シート6におけるパッチK11は、スキャナ位置POS11で読み取られる(図8及び図12参照)。このため、測色値導出部12は、該スキャナ位置POS11に対応するスキャナプロファイル(図9参照)に基づいて、パッチK11の読み取り値に対応する実測濃度を求める。例えば、スキャナプロファイル生成用シート14のパッチK11の読み取り値は45である(図12参照)。このため、測色値導出部12は、パッチK11のスキャナ位置POS11の実測濃度を、下記式を用いることによって、0.908と演算する。
【0081】
0.927+(45−44)×(0.832−0.927)÷(49−44)=0.908
【0082】
そして、測色値導出部12は、階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチを示す情報と、各パッチの階調値と、各パッチの実測濃度と、を対応づけた換算テーブルを格納部2に格納する。
【0083】
図13には、この換算テーブルのデータ構造の一例を示した。なお、図13には、階調補正パラメータ生成用シート6のパッチ列20Kの各パッチK00〜K16を示した。
【0084】
図11に戻り、次に、演算部5が、上記換算テーブルに基づいて、階調補正パラメータを演算する(ステップS204)。演算部5は、階調補正パラメータ生成用シート6の各パッチで出力されるべきターゲット濃度と、各パッチの実測濃度とのずれを補正するための階調補正パラメータを演算する。
【0085】
この階調補正パラメータの演算を、図13及び図14を用いて具体的に説明する。
【0086】
なお、図14は、上記第2画像データに示される、黒色のパッチ列20Kの各パッチの階調値及びターゲット濃度を示したものである。図13に示す換算テーブルには、第2画像データに含まれる、あるパッチの階調値が187である場合には、ターゲット濃度0.976のパッチが形成されることを示している。演算部5は、このような濃度特性を得るγ補正テーブルを、階調補正パラメータとして演算する。
【0087】
例えば、図13に示す換算テーブルから、パッチK11、すなわち階調値175に対応する実測濃度は0.908であり、パッチK12、すなわち階調値191に対応する実測濃度は1.089である。このため、階調値187のパッチをターゲット濃度0.976で出力するための補正後の階調値を、線形補間により求める。
【0088】
ここで、(0.976−0.908)×(191−175)÷(1.089−0.908)+175≒181.01であるから、該値181.01を四捨五入した値である181を、該補正後の階調値とする。そして、演算部5は階調値187の画像データが入力されると補正後の階調値181を出力するγ補正テーブルを、階調補正パラメータとして演算する(図15参照)。
【0089】
演算部5は、同様にして図14に示す他の階調値に対しても演算を行うことで、離散的な16点の階調値におけるγ補正テーブルを生成する。そして、演算部5は、この16点を、スプライン補間処理を用いてなだらかに、かつ必要に応じて逆転しないよう修正を行う。そして更に、演算部5は、階調値0から255まで1階調刻みの階調値に対応する補正後の階調値を定めたγ補正テーブルを、階調補正パラメータとして演算する。
【0090】
また、シアン色、マゼンタ色、及び黄色についても同様にして、演算部5は、階調補正パラメータ(γ補正テーブル)を演算する。
【0091】
次に、演算部5が、演算した階調補正パラメータを格納部2に格納する。また、演算部5は、該階調補正パラメータ(γ補正テーブル)を階調補正に用いるように、階調補正処理部4に設定を行う(ステップS206)。
【0092】
次に、制御部1で行われる印刷画像データの出力処理の手順を説明する。図16は、本実施の形態のプリンタ10で行われる、印刷画像データ出力処理の手順を示すフローチャートである。
【0093】
まず、制御部1が、外部のPC等から印刷画像データを受け付ける(ステップS301)。この印刷画像データは、複数の画素データを含んでいる。各画素データは、0〜255の階調値を示すデータを含んでいる。階調補正処理部4は、印刷画像データに含まれる各画素データを、1画素ずつ受け付ける。
【0094】
次に、階調補正処理部4は、受け付けた印刷画像データの各画素データの階調値を補正する(ステップS302)。詳細には、階調補正処理部4は、格納部2に格納されている階調補正パラメータ(γ補正テーブル)に基づいて、各画素データの階調値を示す階調値に対応する補正後の階調値を求める。このように、階調補正処理部4は、印刷画像データの各画素データの階調値を、階調補正パラメータ(γ補正テーブル)に示される補正後の階調値に変換し、階調値を補正する。
【0095】
次に、出力制御部8は、階調補正処理部4によって階調補正された印刷画像データを、出力部3へ出力する(ステップS303)。出力部3は、受け付けた印刷画像データに応じた画像を記録媒体22へ形成する。
【0096】
以上説明したように、本実施の形態のプリンタ10によれば、階調補正パラメータ生成用シート6と、スキャナプロファイル生成用シート14と、同じレイアウトで構成している。そして、これらの階調補正パラメータ生成用シート6及びスキャナプロファイル生成用シート14は、階調値の異なる複数のパッチが所定方向に配列されたパッチ列20を有する。そして、スキャナプロファイル生成部9Aは、原稿台上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色部11による実測濃度と、の対応関係を規定したスキャナプロファイルを、位置毎に作成する。測色値導出部12は、スキャナ部7によってスキャナプロファイル生成用シート14のパッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置に対応するスキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する実測濃度を求める。そして、演算部5は、階調補正パラメータ生成用シート14の各パッチで出力されるべきターゲット濃度と実測濃度とのずれを補正するための階調補正パラメータを演算する。そして、画像形成時には、プリンタ10は、階調補正パラメータによって階調補正した印刷画像データの画像を印刷する。
【0097】
このように、本実施の形態のプリンタ10は、スキャナ部7の原稿台7Aにおける同じスキャナ位置で読み取った、階調補正パラメータ生成用シート6上の階調の異なる少なくとも2つのパッチのスキャナ部7による読み取り値に基づいて、スキャナ位置毎にスキャナプロファイルを作成する。従って、少ないシート出力で出力特性補正に適した入力特性を精度よく容易に把握することができ、階調補正パラメータを精度よく生成することができる。
【0098】
なお、本実施の形態では、スキャナプロファイル作成時には、スキャナ制御部9(読取値算出部9B)は、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向に隣接する2つのパッチと、の3つのパッチの読み取り値を得る場合を説明した。しかし、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル作成時において、階調補正パラメータ生成用シート6の階調値の異なる少なくとも2つのパッチの読み取り値に基づいて、スキャナプロファイルを作成すればよく、3つに限られない。
【0099】
また、スキャナ制御部9(読取値算出部9B)は、スキャナプロファイルの作成において、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向に隣接する2つのパッチと、の3つのパッチの読み取り値を得る場合を説明した。しかし、読取値算出部9Bは、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル作成時において、階調補正パラメータ生成用シート6の階調値の異なる少なくとも2つのパッチの読み取り値に基づいて、スキャナプロファイルを作成すればよく、階調値変化方向に隣接するパッチに限られない。例えば、スキャナ制御部9(読取値算出部9B)は、スキャナプロファイルの作成において、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向にN個(Nは1以上の整数)のパッチを隔てて隣接する1または2つのパッチの読み取り値を得てもよい。
【0100】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図17を用いて上記の実施の形態1との違いを説明する。
【0101】
本実施の形態では、実施の形態1で用いたスキャナプロファイル生成用シート14に代えて、スキャナプロファイル生成用シート14Aを用いる場合を説明する。
【0102】
スキャナプロファイル生成用シート14Aは、スキャナプロファイル生成用シート14と同様に、記録媒体22上に、所定方向(図2及び図17中、矢印A方向)に長いパッチ列20による画像を複数形成したシートである。この複数のパッチ列20は、該所定方向に直交する方向(図2及び図17中、矢印B方向)に複数配列されている。なお、図17中の矢印A方向は、矩形状の記録媒体22の一辺に沿った方向である。また、図17中の矢印B方向は、記録媒体22の該一辺に直交する辺に沿った方向である。
【0103】
スキャナプロファイル生成用シート14Aは、スキャナプロファイル生成用シート14におけるマーカ30及び説明文32に代えて、マーカ1411、位置マーカC1413、位置マーカD1414、及び利用者向けの説明文1412、が形成されている。これらのマーカ1411、位置マーカC1413、位置マーカD1414、及び利用者向けの説明文1412は、矩形状のスキャナプロファイル生成用シート14Aにおける、パッチ列20の延伸方向(矢印A方向)の端部に設けられている。また、これらのマーカ1411、位置マーカC1413、位置マーカD1414、及び利用者向けの説明文1412は、スキャナプロファイル生成用シート14A上において、パッチ列20の形成されている領域外に設けられている。
【0104】
すなわち、スキャナプロファイル生成用シート14Aと、スキャナプロファイル生成用シート14とは、パッチ列20については同じレイアウトであり、パッチ列20以外の画像が異なる。
【0105】
なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、スキャナプロファイル生成用シート14Aには、階調補正パラメータ生成用シート6Aと同じレイアウトのシートを用いる。この「同じレイアウトである」の定義は、実施の形態1と同じであるため記載を省略する。
【0106】
位置マーカC1413、D1414は、スキャナプロファイル生成用シート14Aにおけるパッチ列20の配列方向(図17中、矢印B方向)に長い線状の画像である。スキャナプロファイル生成用シート14Aの位置マーカC1413に平行で且つ該位置マーカC1413に最も近い一辺と、位置マーカC1413と、位置マーカD1414と、の各々の間の距離は、スキャナプロファイル生成用シート14上の各パッチ列20における1パッチ分の矢印A方向(階調変化方向)の長さと一致している。
【0107】
マーカ1411は、矩形状のスキャナプロファイル生成用シート14Aの4辺の内の、原稿台7A上に載置するときに該原稿台7Aの基準に合わせる辺を示している。なお、原稿台7Aの基準とは、原稿台7Aにおける基準位置マーカC613、A611、B612の配列位置に沿った直線を意味する(図6参照)。
【0108】
次に、本実施の形態のプリンタ10で行われる、スキャナプロファイル生成処理の手順を説明する。なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様のスキャナプロファイル生成処理が行われる(図4参照)。異なる点は、スキャナプロファイル生成用シート14に代えて、スキャナプロファイル生成用シート14Aを用いる点である。また、第1画像データとして、スキャナプロファイル生成用シート14A用に形成される各パッチを含む画像を形成するための画像データである第1画像データを用いる点である。
【0109】
なお、本実施の形態では、図4におけるステップS104では、下記処理を行う。本実施の形態では、ステップS104において、スキャナプロファイル生成用シート14A上の各パッチを原稿台7A上の各位置で読み取る(ステップS104)。ステップS104の処理によって、スキャナ制御部9が、原稿台7A上の各位置においてスキャナプロファイル生成用シート14Aの階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値を得る。
【0110】
ここで、本実施の形態では、ステップS104の処理において、ユーザは、スキャナプロファイル生成用シート14Aを、該スキャナプロファイル生成用シート14Aのパッチ列20等の形成された面を原稿台7A側にして該原稿台7A上に載置する。
【0111】
そして、ユーザは、原稿台7Aに設けられた基準位置マーカA611の位置と、スキャナプロファイル生成用シート14Aの位置マーカC1413に平行で且つ該位置マーカC1413に最も近い一辺と、が一致するようにスキャナプロファイル生成用シート14の位置を調整する。なお、このとき、スキャナプロファイル生成用シート14Aにおけるパッチの配列方向(図17中、矢印A方向)と、原稿台7Aに設けられた位置マーカC613、A611、B612の配列方向と、が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14Aの向きも調整する。
【0112】
この状態で、スキャナ部7がスキャナプロファイル生成用シート14Aを読取る。読取値算出部9Bは、スキャナ部7から受け付けた読取画像データに基づいて、スキャナプロファイル生成用シート14Aのパッチ毎の読み取り値を算出する。読み取り値の算出方法は、実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
【0113】
なお、スキャナ制御部9は、基準位置マーカA611と、キャナプロファイル生成用シート14Aの位置マーカC1413に平行で且つ該位置マーカC1413に最も近い一辺と、の位置が一致するように、スキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7Aに載置したときの、各パッチ列20の各パッチの位置を示す位置情報と、各パッチを示す情報と、を予め対応づけて記憶している。このため、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14Aの各パッチの読み取り値、及び該パッチの読み取り時における原稿台7A上の位置を示すスキャナ位置を得る。
【0114】
そして、スキャナ制御部9は、得られた各パッチの読み取り値を、パッチを示す情報及びパッチの階調値と共に、各パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置を示す情報に対応づけて格納部2に記憶する。
【0115】
さらに、同様にして、スキャナ部7は、位置マーカC1413に沿って折り曲げられた状態とされ、位置マーカA611を基準として原稿台7A上に載置されたスキャナプロファイル生成用シート14Aを読み取る。また、スキャナ部7は、位置マーカD1414に沿って折り曲げられた状態とされ、位置マーカA611を基準として原稿台7A上に載置されたスキャナプロファイル生成用シート14Aを読み取る。そして、スキャナ制御部9は、これらの読み取り結果から、上記方法により、各パッチの読み取り値を得る。
【0116】
すなわち、ユーザは、スキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7A上に載置するときに、位置マーカC1413に沿って折り曲げたスキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7A上に載置する。そして、この状態で、スキャナ部7がスキャナプロファイル生成用シート14Aを読み取る。さらに、ユーザは、スキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7A上に載置するときに、位置マーカD1414に沿って折り曲げたスキャナプロファイル生成用シート14Aを原稿台7A上に載置する。そして、この状態で、スキャナ部7がスキャナプロファイル生成用シート14Aを読み取る。
【0117】
これによって、スキャナ部7は、原稿台7Aの同じ位置において、同色で且つ階調値の異なる3つのパッチを読み取ることとなる。また、本実施の形態では、スキャナ制御部9は、原稿台7A上の同じ位置で、最初に読み取ったパッチと、該最初に読み取ったパッチに対して階調変化方向に隣接する2つのパッチと、の3つのパッチの読み取り値を得ることとなる。
【0118】
そして更に、スキャナ制御部9は、スキャナプロファイル生成用シート14Aの載置位置を変えることによって得られた各パッチの読み取り値を、パッチを示す情報及びパッチの階調値と共に、各パッチの該読取り時における原稿台7A上の位置であるスキャナ位置を示す情報に対応づけて格納部2に記憶する。
【0119】
これによって、格納部2には、原稿台7A上のスキャナ位置毎に、各位置で読み取ったスキャナプロファイル生成用シート14の階調値の異なる2以上のパッチの読み取り値、各パッチを示す情報、及び各パッチの階調値を示す情報を対応づけた、スキャナテーブルが格納される。
【0120】
本実施の形態では、原稿台7A上の位置マーカB612や位置マーカC613を利用しないため、スキャナ部7にこれらが存在していなくてもよい。
【0121】
なお、本実施の形態では位置マーカC1413や位置マーカD1414に沿ってスキャナプロファイル生成用シート14Aを折り曲げた状態で、原稿台7A上に載置した。しかし、原稿台7A上における所定の位置で所定のパッチを読み取らせることができればよく、このような形態に限られない。例えば、スキャナプロファイル生成用シート14Aを折り曲げずに、原稿台7A上でスキャナプロファイル生成用シート14Aの位置をずらして、各位置マーカC1413や位置マーカD1414の位置を位置マーカA611にあわせてもよい。
【0122】
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更実施が可能である。例えば、プリンタ(画像処理装置)10に設けられたスキャナ部7が独立・別個のスキャナ装置として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 制御部
2 格納部
3 出力部
4 階調補正処理部
5 演算部
6、6A 階調補正パラメータ生成用シート
7 スキャナ部
7A 原稿台
8 出力制御部
9 スキャナ制御部
9A スキャナプロファイル生成部
10 プリンタ
11 測色部
12 測色値導出部
14、14A スキャナプロファイル生成用シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【特許文献1】特開2005−260305号公報
【特許文献2】特許第3241986号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調値の異なる複数のパッチを所定方向に配列したパッチ列が同じレイアウトで形成された階調補正パラメータ生成用シート及びスキャナプロファイル生成用シートを出力する出力手段と、
原稿台上に載置された前記階調補正パラメータ生成用シートのパッチまたは前記スキャナプロファイル生成用シートのパッチを、該原稿台上の各位置で読み取る読取手段と、
前記原稿台上の各位置において前記スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色器による第1測色値と、の対応関係を規定したスキャナプロファイルを、前記位置毎に作成するスキャナプロファイル作成手段と、
前記階調補正パラメータ生成用シートのパッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの該読取り時における前記原稿台上の位置に対応する前記スキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する第1測色値を求める測色値導出手段と、
前記階調補正パラメータ生成用シートの各パッチで出力されるべき第2測色値と前記第1測色値とのずれを補正するための階調補正パラメータを演算する演算手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記スキャナプロファイル作成手段は、前記原稿台上の各位置において、前記スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる隣接する2以上のパッチを読み取った読み取り値と該パッチの測色器による第1測色値との対応関係を前記位置毎に規定したスキャナプロファイルを作成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿台は、前記スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる2以上のパッチを読み取るときに該スキャナプロファイル生成用シートを載置する載置位置を示すマークを有する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記スキャナプロファイル生成用シートは、該スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる2以上のパッチを読み取るときに前記原稿台上に載置する載置位置を示すマークを有する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項1】
階調値の異なる複数のパッチを所定方向に配列したパッチ列が同じレイアウトで形成された階調補正パラメータ生成用シート及びスキャナプロファイル生成用シートを出力する出力手段と、
原稿台上に載置された前記階調補正パラメータ生成用シートのパッチまたは前記スキャナプロファイル生成用シートのパッチを、該原稿台上の各位置で読み取る読取手段と、
前記原稿台上の各位置において前記スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる2以上のパッチを読み取った読み取り値と、該パッチの測色器による第1測色値と、の対応関係を規定したスキャナプロファイルを、前記位置毎に作成するスキャナプロファイル作成手段と、
前記階調補正パラメータ生成用シートのパッチを読み取った読み取り値、及び該パッチの該読取り時における前記原稿台上の位置に対応する前記スキャナプロファイルに基づいて、該パッチに対応する第1測色値を求める測色値導出手段と、
前記階調補正パラメータ生成用シートの各パッチで出力されるべき第2測色値と前記第1測色値とのずれを補正するための階調補正パラメータを演算する演算手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記スキャナプロファイル作成手段は、前記原稿台上の各位置において、前記スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる隣接する2以上のパッチを読み取った読み取り値と該パッチの測色器による第1測色値との対応関係を前記位置毎に規定したスキャナプロファイルを作成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿台は、前記スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる2以上のパッチを読み取るときに該スキャナプロファイル生成用シートを載置する載置位置を示すマークを有する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記スキャナプロファイル生成用シートは、該スキャナプロファイル生成用シートの階調値の異なる2以上のパッチを読み取るときに前記原稿台上に載置する載置位置を示すマークを有する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−15994(P2012−15994A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92411(P2011−92411)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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