説明

画像処理装置

【課題】従来の画像処理装置と比べて、補間画素を画素列に挿入するために、読み取られた画素を一時保存するラインメモリの数を削減できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、複数のラインイメージセンサ2で読み取られた画素数をカウントする画素カウント部3と、カウントされた画素数に応じて、複数のラインイメージセンサ2のつなぎ目に対応する位置の画素をシフトし、当該つなぎ目に対応する位置に補間画素を挿入する画素選択部4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の画像読み取りセンサの間のつなぎ目部分の欠落データを簡単且つ高精度に補間し、高品質な画像を取得する画像読み取り装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この画像読み取り装置は、複数のフィルタを備え、画素の平坦度を検出し、その検出値に応じてフィルタを切り替えて、欠落データを補間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−274573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来の画像処理装置と比べて、補間画素を画素列に挿入するために、読み取られた画素を一時保存するラインメモリの数を削減できる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の画像処理装置は、複数の画像読取手段で読み取られた画素数を計数する計数手段と、前記計数手段で計数された画素数に応じて、前記複数の画像読取手段のつなぎ目に対応する位置の画素をシフトし、当該つなぎ目に対応する位置に補間画素を挿入する第1挿入手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記第1挿入手段は、複数のフリッププロップ回路を備え、各フリップフロップ回路は、対応する画像読取手段によって最後に読み取られた少なくとも1つの画素を保持し、前記第1挿入手段は、前記つなぎ目に対応する位置に当該保持された画素を挿入することを特徴とする。
【0007】
請求項3の画像処理装置は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、前記補間画素の周辺の画素の値に基づいて、前記補間画素の値を算出する第1算出手段と、前記計数手段で計数された画素数に応じて、前記補間画素の位置に算出された補間画素の値を挿入する第2挿入手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0008】
請求項4の画像処理装置は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記補間画素の値を算出する際に使用される重み係数を入力する入力手段をさらに備え、前記第1算出手段は、前記補間画素の周辺の画素の値に前記重み係数を乗算することにより前記補間画素の値を算出することを特徴とする。
【0009】
請求項5の画像処理装置は、請求項3又は4に記載の画像処理装置において、前記第1算出手段により算出された補間画素の値を含む第1の画素列の値を保存する保存手段と、前記保存手段に保存された補間画素の値と、前記第1算出手段により算出された第2の画素列に含まれる補間画素の値とに基づいて、最終の補間画素の値を算出する第2算出手段とを備え、前記第2挿入手段は、前記計数手段で計数された画素数に応じて、前記第2の画素列に含まれる補間画素の位置に、前記最終の補間画素の値を挿入することを特徴とする。
【0010】
請求項6の画像処理装置は、請求項5に記載の画像処理装置において、前記第1算出手段は、前記第2の画素列に含まれる補間画素の周辺の画素の値に基づいて、前記第2の画素列に含まれる補間画素の値を算出する第1画素値算出手段と、第3の画素列に含まれる補間画素の周辺の画素の値に基づいて、前記第3の画素列に含まれる補間画素の値を算出する第2画素値算出手段とを備え、前記第2算出手段は、前記保存手段に保存された補間画素の値と、前記第1画素値算出手段により算出された第2の画素列に含まれる補間画素の値と、前記第2画素値算出手段により算出された第3の画素列に含まれる補間画素の値とに基づいて、前記最終の補間画素の値を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、従来の画像処理装置と比べて、補間画素を画素列に挿入するために、読み取られた画素を一時保存するラインメモリの数を削減できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、画像読取手段によって最後に読み取られた少なくとも1つの画素を補間画素としてつなぎ目に対応する位置に挿入することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、高精度の画素値を補間することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、補間画素の周辺の画素の重みを考慮して、画素値を補間することができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、2つの画素列に含まれる2つの補間画素の値を考慮して、高精度の画素値を補間することができる。
【0016】
請求項6の発明によれば、3つの画素列に含まれる3つの補間画素の値を考慮して、高精度の画素値を補間することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(A),(B)は、画像処理装置の構成の参考例を示す図である。
【図2】第1の実施例に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(A)は、原稿と複数のラインイメージセンサとの関係を示す図である。(B)は、ラインイメージセンサのつなぎ目部分「A」の拡大図である。
【図4】(A)は、画素選択部の構成を示すブロック図である。(B)は、画素の入力状態及び出力状態を示す図である。
【図5】画素補間部の構成を示すブロック図である。
【図6】画像処理装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】(A)は、第2の実施例に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。(B)は、入力画像の出力先を示す図である。
【図8】図7(A)の画素補間部の構成を示すブロック図である。
【図9】図7(A)の画像処理装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図10】図8の画素補間部の構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
まず、画像処理装置の参考例を説明する。図1(A),(B)は、画像処理装置の構成の参考例を示す図である。
【0020】
画像処理装置が原稿の主走査方向に並べられた複数のラインイメージセンサを備え、これらのラインイメージセンサが原稿を読み取る場合、ラインイメージセンサのつなぎ目部分に対応する欠落画素が生じる。このため、良好な出力画像を得るためには、欠落画素を補間する必要がある。
【0021】
複数のラインイメージセンサから連続的に画像データが入力される場合、図1(A)に示すように、所定の位置(つなぎ目部分の位置)に画素を追加するためのラインメモリが必要である。図1(A)の画像処理装置では、複数のラインイメージセンサからの画像データが一旦ラインメモリに保存され、1つのラインイメージセンサからの画像データが画素補間部に出力され、その後、画素が挿入され、次のラインイメージセンサからの画像データが画素補間部に出力される。このような処理が繰り返し実行される。
【0022】
また、画素補間部が、挿入する画素の値(以下、画素値という)を決める。このとき、画素補間部が主走査方向の隣接する画素値から、挿入する画素値を算出する場合は、図1(A)に示すように、1つのラインメモリで足りる。しかしながら、画素補間部が、周辺の画素値から、挿入する画素値を算出する場合は、図1(B)に示すように、複数のラインメモリが必要になる。例えば、3x3画素から挿入する画素値(図1(B)の画素補間部内の中心の画素値)を算出する場合、3つのラインメモリが必要になる。
【0023】
以下、第1の実施例について説明する。
【0024】
第1の実施例では、複数のラインイメージセンサ間の欠落画素が主走査方向の前後の画素を使って補間される場合について説明する。図2は、第1の実施例に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図2において、画像処理装置1は、複数のラインイメージセンサ2(画像読取手段)、画素カウント部3(計数手段)、画素選択部4(第1挿入手段)、画素補間部5、入力部6(入力手段)、及び制御部7を備えている。各ラインイメージセンサ2は、例えば、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)である。画素カウント部3は、複数のラインイメージセンサ2で読み取られる画素数をカウントする。画素選択部4は、画素カウント部3のカウント値に応じて、欠落画素を挿入するために、各ラインイメージセンサ2で読み取られた画素をシフトする。画素補間部5は、挿入すべき欠落画素の値を算出し、画素カウント部3のカウント値に応じて、挿入すべき位置に算出された欠落画素の値を挿入し、画素を補間する。また、画素補間部5は、欠落画素の補間後の画像を出力する。入力部6は、欠落画素の値を算出する際に使用する重み係数を入力する。制御部7は、画像処理装置1全体の動作を制御する。
【0026】
図3(A)は、原稿と複数のラインイメージセンサ2との関係を示す図である。図3(B)は、ラインイメージセンサ2のつなぎ目部分「A」の拡大図である。
【0027】
図3(A)に示すように、複数のラインイメージセンサ2は、原稿の主走査方向に一列に配置されている。図3(B)に示すように、各ラインイメージセンサ2は、例えば副走査方向に3行の受光部を備え、主走査方向に500個の受光部を備える。例えば、300mm幅の原稿が600dpiの解像度で読み取られる場合、7087個(≒300mm×600画素/25.4mm)以上の画素を読み取る受光部が必要である。1つのラインイメージセンサ2が主走査方向に500個の受光部を備える場合、15個のラインイメージセンサ2が原稿の主走査方向に一列に配置される。これにより、主走査方向の7500個の画素が読み取り可能になる。また、この場合、15個のラインイメージセンサ2のつなぎ目は14カ所である。尚、ラインイメージセンサ2間の欠落画素は1つに限定されるものではなく、2以上でもよい。
【0028】
図4(A)は、画素選択部4の構成を示すブロック図である。図4(B)は、画素の入力状態及び出力状態を示す図である。
【0029】
画素選択部4は、各ラインイメージセンサ2で読み取られた画素をシフトするシフトレジスタの機能を有し、14段のフリップフロップ回路41−1〜41−14と、選択部42とを有する。1番目のラインイメージセンサ2で読み取られた1番目〜500番目の画素はルート(経路)R1を介して選択部42に出力される。フリップフロップ回路41−1は、処理対象の画素の次の画素を保持し、500番目の画素及び2番目のラインイメージセンサ2で読み取られた501番目〜1000番目の画素をルートR2を介して選択部42に出力する。フリップフロップ回路41−2は、処理対象の画素の次の画素を保持し、1000番目の画素及び3番目のラインイメージセンサ2で読み取られた1001番目〜1500番目の画素をルートR3を介して選択部42に出力する。このように、各フリップフロップ回路41は、処理対象の画素の次の画素を保持し、その保持された画素及び次のラインイメージセンサ2で読み取られた500個の画素を選択部42に出力する。この結果、各ラインイメージセンサ2で読み取られた最後の画素(例えば、500番目の画素、1000番目の画素など)は、2回選択部42に出力される。
【0030】
選択部42は、画素カウント部3からのカウント値に応じて、画素の入力元のルートを切り替える。例えば、カウント値が1〜500の場合は、選択部42は、ルートR1からの画素を入力し、画素補間部5に出力する。カウント値が501〜1000の場合は、選択部42は、ルートR2からの画素を入力し、画素補間部5に出力する。このように、選択部42は、カウント値が500増加する度に、画素の入力元のルートをR1からR15へ順番に切り替える。
【0031】
結果として、図4(B)に示すように、欠落画素の位置に各ラインイメージセンサ2で読み取られた最後の画素(例えば、500番目の画素、1000番目の画素など)が挿入される。即ち、入力画素がないにもかかわらず、欠落画素の位置にダミーの画素が挿入される。
【0032】
尚、フリップフロップ回路41−1〜41−14は、欠落画素の個数に応じて、保持する画素の個数を変更する。例えば、欠落画素の個数が2つの場合には、フリップフロップ回路41−1〜41−14の各々は、2個の画素を保持する。この場合、フリップフロップ回路41−1は、対応するラインイメージセンサ2で読み取られた最後の2つの画素(例えば、499番目及び500番目の画素)を保持する。
【0033】
図5は、画素補間部5の構成を示すブロック図である。
【0034】
画素補間部5は、3段のフリップフロップ回路51〜53、挿入画素値算出部54(第1算出手段)及び画素挿入出力部55(第2挿入手段)を備えている。フリップフロップ回路51〜53は連続する3つの画素を保持する。フリップフロップ回路51,53は保持した画素を挿入画素値算出部54に出力する。フリップフロップ回路52は保持した画素を画素挿入出力部55に出力する。
【0035】
挿入画素値算出部54は、フリップフロップ回路51,53で保持した画素に基づいて挿入すべき画素値を算出する。例えば、挿入画素値算出部54は、フリップフロップ回路51,53で保持した画素値を平均化することによって、挿入すべき画素値を算出する。また、挿入画素値算出部54は、フリップフロップ回路51,53で保持した画素値に、入力部6から入力された重み係数を乗算することによって、挿入すべき画素値を算出してもよい。この場合、挿入すべき画素値は、フリップフロップ回路51で保持した画素値に第1の重み係数を乗算した値と、フリップフロップ回路53で保持した画素値に第2の重み係数を乗算した値との合計である。挿入画素値算出部54は、算出された画素値を画素挿入出力部55に出力する。
【0036】
画素挿入出力部55は、フリップフロップ回路52及び挿入画素値算出部54から画素を受信する。画素挿入出力部55は、画素カウント部3からのカウント値に応じて、フリップフロップ回路52から受信した画素に代えて、挿入画素値算出部54から受信した画素を画素列に挿入し、画素列を出力画像として出力する。例えば、図4(B)に示すように、500番目の画素、500番目の画素、及び501番目の画素が連続して画素補間部5に入力される。この場合、画素挿入出力部55は、カウント値が「501」である場合に、フリップフロップ回路52から受信した画素に代えて、挿入画素値算出部54から受信した画素を画素列に挿入し、画素列を出力する。これにより、挿入画素値算出部54で算出された画素値が欠落画素(即ち、ダミー画素)の位置に挿入される。
【0037】
例えば、100番目の画素、101番目の画素、及び102番目の画素が連続して画素補間部5に入力されている場合、画素挿入出力部55は、挿入画素値算出部54から受信した画素を挿入せずに、フリップフロップ回路52から受信する101番目の画素を出力画像として出力する。これは、カウント値「101」が複数のラインイメージセンサ2のつなぎ目に対応しないからである。
【0038】
図6は、画像処理装置1で実行される処理を示すフローチャートである。
【0039】
まず、画素選択部4が、画素の入力ルートとしてルートR1を選択する(ステップS1)。次に、制御部7が有効画像があるか否かを判別する(ステップS2)。ここでは、制御部7は、選択部41から送られてくる画素値に基づいて、画素選択部4に画像が入力されているか否かを判断している。ステップS2でNOの場合には、処理はステップS11に進む。一方、ステップS2でYESの場合には、画素カウント部3がラインイメージセンサ2から入力される画素数をカウントする(ステップS3)。
【0040】
制御部7は、画素カウント部3からのカウント値が予め設定された画素数と一致するか否かを判別する(ステップS4)。ここでは、制御部7は、原稿の端部が所定の位置に合わされているか否かを判断している。ステップS4でNOの場合には、処理はステップS2に戻る。一方、ステップS4でYESの場合には、画素選択部4が、画素の入力ルートとしてルートR2を選択する(ステップS5)。次いで、画素補間部5が挿入すべき画素値を算出し、画素を補間する(ステップS6)。
【0041】
再度、制御部7が有効画像があるか否かを判別する(ステップS7)。ステップS7でNOの場合には、処理はステップS11に進む。一方、ステップS7でYESの場合には、画素カウント部3がラインイメージセンサ2から入力される画素数をカウントする(ステップS8)。制御部7は、画素カウント部3からのカウント値がラインイメージセンサ2で読み取り可能な画素数(例えば、500画素)と一致するか否かを判別する(ステップS9)。ステップS9でNOの場合には、処理はステップS7に戻る。ステップS9でYESの場合には、画素選択部4が、画素の入力ルートとして次のルートを選択する(ステップS10)。その後、処理はステップS6に戻る。
【0042】
上記ステップS2でNOの場合又はステップS7でNOの場合には、制御部7は、原稿の読み取りが完了したか否かを判別する(ステップS11)。例えば、制御部7は、所定時間複数のラインイメージセンサ2から画素が入力されない場合に、原稿の読み取りが完了したと判断する。ステップS11でYESの場合には、本処理を終了する。ステップS11でNOの場合には、制御部7は、1ライン分の主走査方向の画像の読み取りが完了したと判断し、処理はステップS1に戻る。
【0043】
以上説明したように、第1の実施例によれば、画像処理装置1は、複数のラインイメージセンサ2で読み取られた画素数をカウントする画素カウント部3と、カウントされた画素数に応じて、複数のラインイメージセンサ2のつなぎ目に対応する位置の画素をシフトし、当該つなぎ目に対応する位置に補間画素を挿入する画素選択部4とを備えている。よって、従来の画像処理装置と比べて、補間画素を画素列に挿入するために、読み取られた画素を一時保存するラインメモリの数が削減される。
【0044】
また、画素選択部4は、複数のフリッププロップ回路41−1〜41−14を備え、各フリップフロップ回路は、対応するラインイメージセンサ2によって最後に読み取られた少なくとも1つの画素を保持する。そして、画素選択部4は、つなぎ目に対応する位置に当該保持された画素を挿入する。よって、ラインイメージセンサ2によって最後に読み取られた少なくとも1つの画素が補間画素としてつなぎ目に対応する位置に挿入される。
【0045】
さらに、画像処理装置1は、補間画素の周辺の画素の値に基づいて、補間画素の値を算出する挿入画素値算出部54と、前記画素カウント部3でカウントされた画素数に応じて、補間画素の位置に算出された補間画素の値を挿入する画素挿入出力部54とをさらに備える。よって、高精度の画素値が補間される。
【0046】
以下、第2の実施例について説明する。
【0047】
第2の実施例では、複数のラインイメージセンサ間の欠落画素がその周辺の画素を使って補間される場合について説明する。
【0048】
図7(A)は、第2の実施例に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図7(B)は、入力画像の出力先を示す図である。
【0049】
図7(A)において、画像処理装置1は、複数のラインイメージセンサ2、画素カウント部3、画素選択部4A,4B、画素補間部5、入力部6、制御部7、ラインメモリ8、前ライン画素保持部9(保存手段)を備えている。前ライン画素保持部9は、例えば、FIFO(First-In First-Out)メモリで構成される。尚、図7(A)の画素補間部5内のa1〜a3,b1〜b3,c1〜c3は画素を示す。
【0050】
各ラインイメージセンサ2は、例えば、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)である。副走査方向の1ライン分の画素は、画素選択部4Bに出力され、副走査方向の残りの1ライン分の画素は、ラインメモリ8を介して画素選択部4Aに出力される。また、副走査方向の1ライン前の画素は、前ライン画素保持部9に保持される。例えば、図7(B)に示すように、入力画像が副走査方向の3ライン(例えば、ラインA、ラインB、ラインC)の画素列で構成される場合、最初に、ラインAの画素列が読み出されて、第1の実施例と同様に、画素の補間が実行されて、画素補間後のラインAの画素列が、前ライン画素保持部9に保持される。つまり、ラインAの画素列は、予め画素補間部5で画素が補間された状態で前ライン画素保持部9に保持される。その後、ラインBの画素列は、画素選択部4Bに入力され、ラインCの画素列は、画素選択部4Aに入力される。
【0051】
画素カウント部3は、複数のラインイメージセンサ2で読み取られる画素数をカウントする。画素選択部4A,4Bは、画素カウント部3のカウント値に応じて、欠落画素を挿入するために、各ラインイメージセンサ2で読み取られた画素をシフトする。画素補間部5は、挿入すべき欠落画素の値を算出し、画素カウント部3のカウント値に応じて、挿入すべき位置に算出された欠落画素の値を挿入し、画素を補間する。また、画素補間部5は、欠落画素の補間後の画像を出力する。入力部6は、欠落画素の値を算出する際に使用する重み係数を入力する。制御部7は、画像処理装置1全体の動作を制御する。
【0052】
図8は、図7(A)の画素補間部5の構成を示すブロック図である。
【0053】
画素補間部5は、フリップフロップ回路51A〜53A,51B〜53B、挿入画素値算出部54A,54B(第1画素値算出手段及び第2画素値算出手段)、挿入画素値算出部56(第2算出手段)及び画素挿入出力部55を備えている。
【0054】
フリップフロップ回路51A〜53A,51B〜53Bは連続する3つの画素を保持する。フリップフロップ回路51A,53Aは保持した画素を挿入画素値算出部54Aに出力する。フリップフロップ回路51B,53Bは保持した画素を挿入画素値算出部54Bに出力する。フリップフロップ回路52Aは保持した画素を画素挿入出力部55に出力する。
【0055】
挿入画素値算出部54Aは、フリップフロップ回路51A,53Aで保持した画素に基づいて挿入すべき画素値を算出する。例えば、挿入画素値算出部54Aは、フリップフロップ回路51A,53Aで保持した画素値を平均化することによって、挿入すべき画素値を算出する。また、挿入画素値算出部54Aは、フリップフロップ回路51A,53Aで保持した画素値に、入力部6から入力された重み係数を乗算することによって、挿入すべき画素値を算出してもよい。この場合、挿入すべき画素値は、フリップフロップ回路51Aで保持した画素値に第1の重み係数を乗算した値と、フリップフロップ回路53Aで保持した画素値に第2の重み係数を乗算した値との合計である。挿入画素値算出部54Aは、算出された画素値を挿入画素値算出部56に出力する。
【0056】
同様に、挿入画素値算出部54Bは、フリップフロップ回路51B,53Bで保持した画素に基づいて挿入すべき画素値を算出する。例えば、挿入画素値算出部54Bは、フリップフロップ回路51B,53Bで保持した画素値を平均化することによって、挿入すべき画素値を算出する。また、挿入画素値算出部54Bは、フリップフロップ回路51B,53Bで保持した画素値に、入力部6から入力された重み係数を乗算することによって、挿入すべき画素値を算出してもよい。この場合、挿入すべき画素値は、フリップフロップ回路51Bで保持した画素値に第3の重み係数を乗算した値と、フリップフロップ回路53Bで保持した画素値に第4の重み係数を乗算した値との合計である。挿入画素値算出部54Bは、算出された画素値を挿入画素値算出部56に出力する。
【0057】
挿入画素値算出部56は、前ライン画素保持部9からの算出された画素値と、挿入画素値算出部54Aからの算出された画素値と、挿入画素値算出部54Bからの算出された画素値とを平均化することによって、挿入すべき画素値を算出する。ここで、挿入画素値算出部56は、挿入画素値算出部54Aからの算出された画素値と、挿入画素値算出部54Bからの算出された画素値との平均値を算出し、さらに算出された平均値と前ライン画素保持部9からの算出された画素値との平均値を算出してもよい。また、挿入画素値算出部56は、上記算出された3つの画素値に、入力部6から入力された重み係数を乗算することによって、挿入すべき画素値を算出してもよい。
【0058】
画素挿入出力部55は、フリップフロップ回路52A及び挿入画素値算出部56から画素を受信する。画素挿入出力部55は、画素カウント部3からのカウント値に応じて、フリップフロップ回路52Aから受信した画素に代えて、挿入画素値算出部56から受信した画素を画素列に挿入し、画素列を出力画像として出力する。これにより、挿入画素値算出部56で算出された画素値が欠落画素(即ち、ダミー画素)の位置に挿入される。特に、挿入画素値算出部56で算出された画素値は、欠落画素の周辺にある8つの画素値を使って算出された値であるので、高精度の画素値が補間される。例えば、図7(A)に示す画素b2を補間する場合に、挿入画素値算出部56で算出された画素値は、欠落画素b2の周辺にある8つの画素値(画素a1〜a3,b1,b3,c1〜c3)を使って算出された値である。
【0059】
図9は、図7(A)の画像処理装置の構成の変形例を示すブロック図である。図10は、図8の画素補間部5の構成の変形例を示すブロック図である。
【0060】
図9の画像処理装置は、ラインメモリ8及び画素選択部4Bを取り除いた点で、図7(A)の画像処理装置と異なる。図9の画像処理装置は、複数のラインイメージセンサ2が画素選択部4Aに接続されている点で、図7(A)の画像処理装置と異なる。また、図10の画素補間部5は、フリップフロップ回路51B〜53B及び挿入画素値算出部54Bを取り除いた点で、図8の画素補間部5と異なる。
【0061】
この場合、副走査方向の1ライン分の画素は、画素選択部4Aに出力される。また、副走査方向の1ライン前の画素は、前ライン画素保持部9に保持される。
【0062】
挿入画素値算出部56は、前ライン画素保持部9からの算出された画素値と、挿入画素値算出部54Aからの算出された画素値とを平均化することによって、挿入すべき画素値を算出する。または、挿入画素値算出部56は、上記算出された2つの画素値に、入力部6から入力された重み係数を乗算することによって、挿入すべき画素値を算出してもよい。
【0063】
挿入画素値算出部56で算出された画素値は、欠落画素の周辺にある5つの画素値を使って算出された値であるので、高精度の画素値が補間される。例えば、図9に示す画素b2を補間する場合に、挿入画素値算出部56で算出された画素値は、欠落画素b2の周辺にある5つの画素値(画素a1〜a3,b1,b3)を使って算出された値である。
【0064】
以上説明したように、第2の実施例によれば、画像処理装置1は、挿入画素値算出部54により算出された補間画素の値を含む第1の画素列の値(例えば、ラインAの画素列の値)を保存する前ライン画素保持部9と、前ライン画素保持部9に保存された補間画素の値と、挿入画素値算出部54により算出された第2の画素列(例えば、ラインBの画素列)に含まれる補間画素の値とに基づいて、最終の補間画素の値を算出する挿入画素値算出部56とを備えている。そして、画素挿入出力部55は、画素カウント部3でカウントされた画素数に応じて、第2の画素列(例えば、ラインBの画素列)に含まれる補間画素の位置に、最終の補間画素の値を挿入する。よって、2つの画素列に含まれる2つの補間画素の値を考慮して、ラインBの補間画素の位置に高精度の画素値が補間される。
【0065】
また、挿入画素値算出部56は、前ライン画素保持部9に保存された補間画素の値と、挿入画素値算出部54Aにより算出された第2の画素列(例えば、ラインCの画素列)に含まれる補間画素の値と、挿入画素値算出部54Bにより算出された第3の画素列(例えば、ラインBの画素列)に含まれる補間画素の値とに基づいて、最終の補間画素の値を算出する。よって、3つの画素列に含まれる3つの補間画素の値を考慮して、ラインBの補間画素の位置に高精度の画素値が補間される。
【符号の説明】
【0066】
1 画像処理装置
2 ラインイメージセンサ
3 画素カウント部
4 画素選択部
5 画素補間部
6 入力部
7 制御部
41−1〜41−14,51〜53 フリップフロップ回路
42 選択部
54 挿入画素値算出部
55 画素挿入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像読取手段で読み取られた画素数を計数する計数手段と、
前記計数手段で計数された画素数に応じて、前記複数の画像読取手段のつなぎ目に対応する位置の画素をシフトし、当該つなぎ目に対応する位置に補間画素を挿入する第1挿入手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1挿入手段は、複数のフリッププロップ回路を備え、各フリップフロップ回路は、対応する画像読取手段によって最後に読み取られた少なくとも1つの画素を保持し、
前記第1挿入手段は、前記つなぎ目に対応する位置に当該保持された画素を挿入することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補間画素の周辺の画素の値に基づいて、前記補間画素の値を算出する第1算出手段と、前記計数手段で計数された画素数に応じて、前記補間画素の位置に算出された補間画素の値を挿入する第2挿入手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記補間画素の値を算出する際に使用される重み係数を入力する入力手段をさらに備え、前記第1算出手段は、前記補間画素の周辺の画素の値に前記重み係数を乗算することにより前記補間画素の値を算出することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1算出手段により算出された補間画素の値を含む第1の画素列の値を保存する保存手段と、
前記保存手段に保存された補間画素の値と、前記第1算出手段により算出された第2の画素列に含まれる補間画素の値とに基づいて、最終の補間画素の値を算出する第2算出手段とを備え、
前記第2挿入手段は、前記計数手段で計数された画素数に応じて、前記第2の画素列に含まれる補間画素の位置に、前記最終の補間画素の値を挿入することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1算出手段は、前記第2の画素列に含まれる補間画素の周辺の画素の値に基づいて、前記第2の画素列に含まれる補間画素の値を算出する第1画素値算出手段と、第3の画素列に含まれる補間画素の周辺の画素の値に基づいて、前記第3の画素列に含まれる補間画素の値を算出する第2画素値算出手段とを備え、
前記第2算出手段は、前記保存手段に保存された補間画素の値と、前記第1画素値算出手段により算出された第2の画素列に含まれる補間画素の値と、前記第2画素値算出手段により算出された第3の画素列に含まれる補間画素の値とに基づいて、前記最終の補間画素の値を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−23564(P2012−23564A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159970(P2010−159970)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】