説明

画像処理装置

【課題】回路規模が低減された簡易な構成として、物体の動きを映像によって確認可能とするための画像処理装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、画像処理装置であるDSP4は、積算部12及び動き判別部13を有する。積算部12は、映像信号から得られる画素ごとの情報である輝度信号21を積算する。動き判別部13は、撮影された映像の時系列的な変化を積算部12による積算結果から検知する。動き判別部13は、映像での物体の動きを判別する。積算部12は、単位領域内について、第1のフレームの情報を積算してから、第1のフレームについての積算の際とは信号レベルの符号を反転させて、第2のフレームの情報をさらに積算する。動き判別部13は、積算部12における第1のフレーム及び第2のフレームについての当該積算結果に応じて、単位領域内の動き判別を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体の動きを映像から検出する動き検出システムとして、例えば、映像の輝度データの比較により得られた差分から物体の動きを判別するものが知られている。二以上のフレームにおける輝度データ同士を画面全体について比較する場合、カメラモジュールは、二以上のフレーム分のフレームメモリを要することで、回路規模の大型化が課題となる。かかる課題の解決のためにフレームメモリを少なくした場合、動き判別の精度の低下が問題となる。
【0003】
物体の動いた方向や速さに応じた制御等を不要とするような場合、例えば、侵入物の有無を監視する監視システム等としては、カメラモジュールに代えて焦電センサを使用するものがある。焦電センサを使用するシステムは、回路規模の小型化が可能となる一方、映像による侵入物等の確認が望まれる用途には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−143052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの実施形態は、回路規模が低減された簡易な構成として、物体の動きを映像によって確認可能とするための画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態によれば、画像処理装置は、積算部及び動き判別部を有する。積算部は、映像信号から得られる画素ごとの情報を積算する。動き判別部は、撮影された映像の時系列的な変化を積算部による積算結果から検知する。動き判別部は、映像での物体の動きを判別する。積算部は、単位領域内について、第1のフレームの情報を積算してから、第1のフレームについての積算の際とは信号レベルの符号を反転させて、第2のフレームの情報をさらに積算する。第2のフレームは、第1のフレームより後のフレームである。単位領域は、映像のうち動き判別部で動き判別の単位とする領域である。動き判別部は、積算部における第1のフレーム及び第2のフレームについての当該積算結果に応じて、単位領域内の動き判別を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態の画像処理装置を適用した動き検出システムの構成を示すブロック図。
【図2】積算部による輝度信号の積算について説明する図。
【図3】第2の実施形態の画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図4】各積算部による輝度信号の積算について説明する図。
【図5】第3の実施形態の画像処理装置の動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる画像処理装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の画像処理装置を適用した動き検出システムの構成を示すブロック図である。動き検出システムは、カメラモジュール1及び表示装置2を有する。カメラモジュール1は、映像を撮影する。表示装置2は、カメラモジュール1により撮影された映像を表示する。表示装置2は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0010】
カメラモジュール1は、イメージセンサ3及びデジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor;DSP)4を有する。イメージセンサ3は、被写体からの光を信号電荷に変換し、映像信号20を出力する。画像処理装置であるDSP4は、イメージセンサ3からの映像信号20に対する画像処理を実施する。
【0011】
DSP4は、映像信号処理部10、タイミング発生部11、積算部12、動き判別部13、着色処理部14及びフォーマット変換部15を有する。映像信号処理部10は、DSP4へ入力された映像信号20に種々の演算処理を施し、輝度信号21及び色差信号22を生成する。
【0012】
積算部12は、輝度信号21を積算し、積算値23を出力する。動き判別部13は、映像での物体の動きを判別し、判別結果信号24を出力する。動き判別部13は、カメラモジュール1で撮影された映像の時系列的な変化を、積算値23から検知する。
【0013】
着色処理部14は、物体の動きがあった旨の判別結果信号24に応じて、画面を着色表示するための処理を輝度信号21及び色差信号22に施す。フォーマット変換部15は、着色処理部14からの輝度信号21及び色差信号22に対し、表示装置2に適したフォーマット変換を施し、表示用映像信号25を出力する。表示装置2は、DSP4から出力された表示用映像信号25に応じて映像を表示する。
【0014】
タイミング発生部11は、積算タイミング信号16、積算値読み出しタイミング信号17、符号切り換えタイミング信号18及びセンサ用タイミング信号26を出力する。タイミング発生部11は、所定のフレーム期間ごとにセンサ用タイミング信号26を出力する。イメージセンサ3は、センサ用タイミング信号26に応じて被写体像を取り込む。
【0015】
積算部12は、積算タイミング信号16に応じて、輝度信号21の積算を実行する。積算部12は、積算値読み出しタイミング信号17に応じて、積算結果である積算値23を出力する。さらに、積算部12は、符号切り換えタイミング信号18に応じて、積算の対象とする輝度信号21について信号レベルの符号を反転させる。
【0016】
図2は、積算部による輝度信号の積算について説明する図である。ここでは、連続する三つのフレームF1、F2、F3を対象とする輝度信号21の積算及び動き判別を実施する場合を例とする。積算部12は、フレームごとの画像のうちの単位領域内について、輝度信号21を積算する。単位領域は、動き判別部13での動き判別の単位とする領域とする。本実施形態では、単位領域28は、画像の全範囲であるものとする。
【0017】
タイミング発生部11は、フレームF1についてのセンサ用タイミング信号26をイメージセンサ3へ出力し、フレームF1についての輝度信号21の生成が開始されると、積算タイミング信号16により積算部12へ積算の開始を指示する。積算部12は、積算タイミング信号16に応じて、フレームF1の単位領域28について輝度信号21を積算する。
【0018】
タイミング発生部11は、フレームF2についてのセンサ用タイミング信号26をイメージセンサ3へ出力し、フレームF2について輝度信号21の生成が開始されると、符号切り換えタイミング信号18を出力する。例えば、フレームF1について輝度信号21をプラス積算していたとすると、積算部12は、符号切り換えタイミング信号18に応じて、輝度信号21の信号レベルの符号をプラスからマイナスへ反転させる。積算部12は、フレームF1についてのプラス積算に続けて、フレームF2について輝度信号21をマイナス積算する。
【0019】
フレームF2について積算部12での輝度信号21の積算が完了すると、タイミング発生部11は、積算値読み出しタイミング信号17を出力する。積算部12は、積算値読み出しタイミング信号17に応じて、フレームF1(第1のフレーム)、及びフレームF2(第2のフレーム)についての積算値23を出力する。積算部12は、積算値23を出力すると、それまでの積算結果をリセットする。動き判別部13は、積算値23に応じて、単位領域28内の動き判別を実施する。
【0020】
フレームF1とフレームF2とで信号レベルの符号を反転させることで、フレームF1及びフレームF2についての積算値23は、フレームF1についての輝度信号21とフレームF2についての輝度信号21との差分となる。例えば、フレームF1の画像とフレームF2の画像とに全く変化が無かった場合、積算値23はゼロとなる。
【0021】
動き判別部13は、映像の変化の有無を判別する基準とする判別用閾値を予め保持する。判別用閾値は、例えば、輝度信号21に含まれるノイズ等の影響を考慮して設定されている。動き判別部13は、フレームF1及びフレームF2についての積算値23が判別用閾値以下であった場合、フレームF1及びフレームF2において物体の動きが無いものと判別する。動き判別部13は、フレームF1及びフレームF2についての積算値23が判別用閾値より大きかった場合、フレームF1及びフレームF2において物体の動きがあるものと判別する。
【0022】
なお、判別用閾値は、固定値及び可変値のいずれであっても良いものとする。また、動き判別部13は、判別用閾値をゼロとしても良い。この場合、動き判別部13は、積算値23がゼロ以外であれば、物体の動きがあるものと判別する。動き判別部13は、判別用閾値をゼロに近い値とするほど、厳格な動き判別を行うこととなる。
【0023】
動き判別部13は、動き判別の結果を、判別結果信号24として出力する。着色処理部14は、物体の動きがあった旨の判別結果信号24に応じて、画面全体が所定の色に着色表示されるように輝度信号21及び色差信号22を加工する。動き検出システムは、表示装置2での着色表示により、物体の動きを検出したことを利用者に報知する。着色処理部14は、画面全体を着色表示させる場合に限られず、画面の一部を着色表示させるものとしても良い。
【0024】
着色処理部14は、輝度信号21及び色差信号22のネガポジ反転、信号レベルの固定値への変更、所定の色成分の加算等、いずれの手法により表示装置2に着色表示させるものであっても良い。また、着色処理部14は、物体の動きがあった間のみならず、物体の動きが無くなっても一定の時間において着色表示を継続させることとしても良い。動き検出システムは、着色表示をある程度継続させることで、物体の動きがあったことを利用者へ確実に認識させることが可能となる。着色処理部14は、時間の経過とともに着色表示の状態を適宜変化させることとしても良い。着色処理部14は、着色表示と通常の表示とを交互に行うようにしても良い。動き検出システムは、着色表示と併せて、例えば、アラーム音の出力等をすることとしても良い。
【0025】
タイミング発生部11は、フレーム期間F3についてのセンサ用タイミング信号26をイメージセンサ3へ出力し、フレームF3について輝度信号21の生成が開始されると、符号切り換えタイミング信号18を積算部12へ出力する。積算部12は、符号切り換えタイミング信号18に応じて、輝度信号21の信号レベルの符号をマイナスからプラスへ反転させる。DSP4は、フレームF3以降についても、フレームF1及びF2についてと同様の動作を繰り返す。動き検出システムは、以上の動作により、物体の動きを検出する。
【0026】
従来の画像処理装置は、第1フレームについての積算値と第2フレームについての積算値との比較のために、2個の積算部を要するか、2個のフレームのデータ量に相当するデータ保持部を要することとなる。本実施形態のDSP4は、第1フレーム及び第2フレームを通じて積算された積算値23から、映像の時系列的な変化を検知する。DSP4は、1個の積算部12によって2個のフレームについての物体の動きを判別可能とすることで、フレームごとに得られた積算値同士を比較する場合に比べて、積算のための回路やメモリ容量を少なくすることが可能となる。これにより、動き検出システムは、回路規模が低減された簡易な構成のDSP4を使用して物体の動きを検出し、検出された物体を映像によって示すことができる。
【0027】
なお、DSP4は、各フレームについて連続して動き検出を実施する場合に限られない。DSP4は、ある程度の期間を置いて動き検出を実施することとしても良い。また、DSP4は、連続する第1フレーム及び第2フレームについて輝度信号21の積算、及び動き判別を実施する場合に限られない。DSP4は、ある程度の間隔を置いた第1フレーム及び第2フレームの間で、輝度信号21の積算、及び動き判別を実施することとしても良い。DSP4は、タイミング発生部11による積算タイミング信号16、積算値読み出しタイミング信号17及び符号切り換えタイミング信号18の出力を制御することで、動き検出の頻度や、輝度信号21の積算、動き判別のタイミングを適宜調整することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態の画像処理装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の画像表示装置であるDSP30は、動き検出システムに適用される。第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0029】
DSP30は、映像信号処理部10、タイミング発生部31、4個の積算部32−1、32−2、32−3、32−4、4個の動き判別部33−1、33−2、33−3、33−4、着色処理部14及びフォーマット変換部15を有する。
【0030】
図4は、各積算部による輝度信号の積算について説明する図である。ここでは、連続する8個のフレームF1〜F8を対象とする輝度信号21の積算及び動き判別を実施する場合を例とする。
【0031】
本実施形態では、画像に複数の単位領域を設定する。ここでは、画像の全範囲には、水平方向に4個(A、B、C、D)、垂直方向に4個(1、2、3、4)のマトリクスをなす領域が定義されているものとする。4×4のマトリクスを構成する16個の領域A1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2、A3、B3、C3、D3、A4、B4、C4、D4は、それぞれが単位領域であるものとする。DSP30は、垂直方向に並列する行ごとにおいて、水平方向に並列する4つの単位領域の動き判別を同時に実施する。
【0032】
第1積算部32−1及び第1動き判別部33−1は、単位領域A1、A2、A3、A4に対応している。第2積算部32−2及び第2動き判別部33−2は、単位領域B1、B2、B3、B4に対応している。第3積算部32−3及び第3動き判別部33−3は、単位領域C1、C2、C3、C4に対応している。第4積算部32−4及び第4動き判別部33−4は、単位領域D1、D2、D3、D4に対応している。
【0033】
DSP30は、フレームF1及びF2では、単位領域A1、B1、C1、D1について、輝度信号21の積算及び動き判別を実施する。タイミング発生部31は、フレームF1についてのセンサ用タイミング信号26をイメージセンサ3へ出力し、フレームF1の単位領域A1について輝度信号21の生成が開始されると、積算タイミング信号36−1により第1積算部32−1へ積算の開始を指示する。第1積算部32−1は、積算タイミング信号36−1に応じて、フレームF1の単位領域A1について輝度信号21を積算する。
【0034】
タイミング発生部31は、フレームF1の単位領域B1について輝度信号21が生成されるタイミングで積算タイミング信号36−2を出力し、第2積算部32−2へ輝度信号21の積算を指示する。第2積算部32−2は、積算タイミング信号36−2に応じて、フレームF1の単位領域B1について輝度信号を積算する。
【0035】
タイミング発生部31は、フレームF1の単位領域C1について輝度信号21が生成されるタイミングで積算タイミング信号36−3を出力し、第3積算部32−3へ輝度信号21の積算を指示する。第3積算部32−3は、積算タイミング信号36−3に応じて、フレームF1の単位領域C1について輝度信号を積算する。
【0036】
タイミング発生部31は、フレームF1の単位領域D1について輝度信号21が生成されるタイミングで積算タイミング信号36−4を出力し、第4積算部32−4へ輝度信号21の積算を指示する。第4積算部32−4は、積算タイミング信号36−4に応じて、フレームF1の単位領域D1について輝度信号を積算する。
【0037】
第1積算部32−1、第2積算部32−2、第3積算部32−3及び第4積算部32−4は、それぞれフレームF1について輝度信号21の積算が完了すると、積算を停止させる間、フレームF1についての積算結果を保持する。
【0038】
タイミング発生部31は、フレームF1の単位領域A1、B1、C1、D1について輝度信号21の生成が完了してから、フレームF2の単位領域A1、B1、C1、D1について輝度信号21の生成が開始するまでの間に、符号切り換えタイミング信号38−1、38−2、38−3、38−4を出力する。例えば、フレームF1について輝度信号21をプラス積算していたとすると、第1積算部32−1、第2積算部32−2、第3積算部32−3、第4積算部32−4は、符号切り換えタイミング信号38−1、38−2、38−3、38−4に応じて、輝度信号21の信号レベルの符号をプラスからマイナスへ反転させる。第1積算部32−1、第2積算部32−2、第3積算部32−3、第4積算部32−4は、フレームF1についてのプラス積算に続けて、フレームF2について輝度信号21をマイナス積算する。
【0039】
タイミング発生部31は、フレームF2の単位領域A1について輝度信号21が生成されるタイミングで積算タイミング信号36−1を出力し、第1積算部32−1へ輝度信号21の積算を指示する。第1積算部32−1は、積算タイミング信号36−1に応じて、フレームF2の単位領域A1について輝度信号21を積算する。第2積算部32−2は、積算タイミング信号36−2に応じて、フレームF2の単位領域B1について輝度信号21を積算する。第3積算部32−3は、積算タイミング信号36−3に応じて、フレームF2の単位領域C1について輝度信号21を積算する。第4積算部32−4は、積算タイミング信号36−4に応じて、フレームF2の単位領域D1について輝度信号21を積算する。
【0040】
フレームF2の単位領域A1について輝度信号21の積算が完了すると、タイミング発生部31は、積算値読み出しタイミング信号37−1を出力する。第1積算部32−1は、積算値読み出しタイミング信号37−1に応じて、フレームF1(第1のフレーム)及びフレームF2(第2のフレーム)についての積算結果である積算値34−1を出力する。第1積算部32−1は、積算値34−1を出力してから、それまでの積算結果をリセットする。
【0041】
フレームF2の単位領域B1について輝度信号21の積算が完了すると、タイミング発生部31は、積算値読み出しタイミング信号37−2を出力する。第2積算部32−2は、積算値読み出しタイミング信号37−2に応じて積算値34−2を出力する。第2積算部32−2は、積算値34−2を出力してから、それまでの積算結果をリセットする。
【0042】
フレームF2の単位領域C1について輝度信号21の積算が完了すると、タイミング発生部31は、積算値読み出しタイミング信号37−3を出力する。第3積算部32−3は、積算値読み出しタイミング信号37−3に応じて積算値34−3を出力する。第3積算部32−3は、積算値34−3を出力してから、それまでの積算結果をリセットする。
【0043】
フレームF2の単位領域D1について輝度信号21の積算が完了すると、タイミング発生部31は、積算値読み出しタイミング信号37−4を出力する。第4積算部32−4は、積算値読み出しタイミング信号37−4に応じて積算値34−4を出力する。第4積算部32−4は、積算値34−4を出力してから、それまでの積算結果をリセットする。
【0044】
第1動き判別部33−1は、第1積算部32−1からの積算値34−1に応じて、単位領域A1内の動き判別を実施する。第1動き判別部33−1は、動き判別の結果を、判別結果信号35−1として出力する。第2動き判別部33−2は、第2積算部32−2からの積算値34−2に応じて、単位領域B1内の動き判別を実施する。第2動き判別部33−2は、動き判別の結果を、判別結果信号35−2として出力する。
【0045】
第3動き判別部33−3は、第3積算部32−3からの積算値34−3に応じて、単位領域C1内の動き判別を実施する。第3動き判別部33−3は、動き判別の結果を、判別結果信号35−3として出力する。第4動き判別部33−4は、第4積算部32−4からの積算値34−4に応じて、単位領域D1内の動き判別を実施する。第4動き判別部33−4は、動き判別の結果を、判別結果信号35−4として出力する。このように、DSP30は、単位領域A1、B1、C1、D1について、物体の動きを別々に監視する。
【0046】
着色処理部14は、物体の動きがあった旨の判別結果信号35−1、35−2、35−3、35−4に応じて、例えば単位領域A1、B1、C1、D1のうち物体の動きがあった領域が所定の色に着色表示されるように輝度信号21及び色差信号22を加工する。
【0047】
DSP30は、フレームF3及びF4では、単位領域A2、B2、C2、D2について、輝度信号21の積算及び動き判別を実施する。DSP30は、フレームF5及びF6では、単位領域A3、B3、C3、D3について、輝度信号21の積算及び動き判別を実施する。DSP30は、フレームF7及びF8では、単位領域A4、B4、C4、D4について、輝度信号21の積算及び動き判別を実施する。
【0048】
DSP30は、単位領域A1、A2、A3、A4について時分割的に第1積算部32−1及び第1動き判別部33−1を使用する。DSP30は、単位領域B1、B2、B3、B4について時分割的に第2積算部32−2及び第2動き判別部33−2を使用する。DSP30は、単位領域C1、C2、C3、C4について時分割的に第3積算部32−3及び第3動き判別部33−3を使用する。DSP30は、単位領域D1、D2、D3、D4について時分割的に第4積算部32−4及び第4動き判別部33−4を使用する。
【0049】
このようにして、DSP30は、8つのフレームF1〜F8により、画像の全範囲について物体の動きを判別する。DSP30は、フレームF8より後のフレームにおいても、各単位領域について同様の動作を繰り返す。
【0050】
DSP30は、4個の積算部32−1、32−2、32−3、32−4を時分割的に使用することで、画像の全範囲について8個のフレームにより物体の動きを判別可能とする。DSP30は、フレームごとに得られた積算値同士を比較する場合に比べて、積算のための回路やメモリ容量を少なくすることが可能となる。これにより、動き検出システムは、回路規模が低減された簡易な構成のDSP30を使用して単位領域ごとに物体の動きを検出し、検出された物体を映像によって示すことができる。
【0051】
なお、DSP30は、画像における単位領域を16個に設定する場合に限られない。単位領域の数は複数であればいくつであっても良い。また、DSP30は、各単位領域について均等に動き検出を実施する場合に限られず、単位領域ごとに動き検出の頻度を異ならせることとしても良い。例えば、室内への侵入者を監視するシステムの場合、出入り口付近の領域について、他の領域より動き検出の頻度を増加させるようにしても良い。DSP30は、単位領域ごとの動き検出の順序は一定である場合に限られず、適宜変更しても良い。
【0052】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態の画像処理装置の動作を説明する図である。本実施形態にかかる画像処理装置であるDSPは、第1の実施形態にかかるDSP4(図1参照)と同様の構成を備える。本実施形態の構成については図1を参照することとし、第1の実施形態と重複する説明は適宜省略するものとする。
【0053】
ここでは、連続する32個のフレームF1〜F32を対象とする輝度信号21の積算及び動き判別を実施する場合を例とする。本実施形態では、第2の実施形態と同様、画像に複数の単位領域を設定する。4×4のマトリクスを構成する16個の領域A1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2、A3、B3、C3、D3、A4、B4、C4、D4は、それぞれが単位領域であるものとする。
【0054】
積算部12は、単位領域ごとの輝度信号21の積算を時分割的に実施する。動き判別部13は、単位領域ごとの動き判別を時分割的に実施する。DSP4は、フレームF1及びF2では、単位領域A1について、輝度信号21の積算及び動き判別を実施する。タイミング発生部11は、フレームF1についてのセンサ用タイミング信号26をイメージセンサ3へ出力し、フレームF1の単位領域A1について輝度信号21の生成が開始されると、積算タイミング信号16により積算部12へ積算の開始を指示する。積算部12は、積算タイミング信号16に応じて、フレームF1の単位領域A1について輝度信号21を積算する。
【0055】
タイミング発生部11は、フレームF1の単位領域A1についての輝度信号21の生成が完了してから、フレームF2の単位領域A1について輝度信号21の生成が開始するまでの間に、符号切り換えタイミング信号18を出力する。例えば、積算部12は、符号切り換えタイミング信号18に応じて、輝度信号21の信号レベルの符号をプラスからマイナスへ反転させる。
【0056】
タイミング発生部11は、フレームF2についてのセンサ用タイミング信号26をイメージセンサ3へ出力し、フレームF2の単位領域A1について輝度信号21の生成が開始されると、積算タイミング信号16により積算部12へ積算の開始を指示する。積算部12は、積算タイミング信号16に応じて、フレームF2の単位領域A1について輝度信号21を積算する。
【0057】
フレームF2の単位領域A1について輝度信号21の積算が完了すると、タイミング発生部11は、積算値読み出しタイミング信号17を出力する。積算部12は、積算値読み出しタイミング信号17に応じて、フレームF1(第1のフレーム)及びフレームF2(第2のフレーム)についての積算結果である積算値23を出力する。積算部12は、積算値23を出力してから、それまでの積算結果をリセットする。
【0058】
動き判別部13は、積算値23に応じて、単位領域A1内の動き判別を実施する。動き判別部13は、動き判別の結果を、判別結果信号24として出力する。着色処理部14は、物体の動きがあった旨の判別結果信号24に応じて、例えば単位領域A1が所定の色に着色表示されるように輝度信号21及び色差信号22を加工する。
【0059】
DSP4は、単位領域A1以外の15個の単位領域B1〜D4について、フレームF3〜F32において、単位領域A1の場合と同様にして動き判別を順次実施していく。このようにして、DSP4は、32個のフレームF1〜F32により、画像の全範囲について物体の動きを判別する。DSP4は、フレームF32より後のフレームにおいても、各単位領域について同様の動作を繰り返す。
【0060】
着色処理部14は、物体の動きがあった単位領域A1〜D4ごとの着色表示により、物体の動きを検出した領域を利用者に報知する。着色処理部14は、単位領域A1〜D4ごとを着色表示させる他、例えば、画面全体を着色表示させることとしても良い。また、着色処理部14は、単位領域内の全体を着色表示させる場合に限られず、単位領域内の一部、例えば、縁部分等のみを着色表示させるものとしても良い。
【0061】
DSP4は、1個の積算部12と1個の動き判別部13とを時分割的に使用することで、32個のフレームで画像の全範囲について物体の動きを判別可能とする。これにより、動き検出システムは、回路規模が低減された簡易な構成のDSP4を使用して単位領域ごとに物体の動きを検出し、検出された物体を映像によって示すことができる。
【0062】
なお、DSP4は、画像における単位領域を16個に設定する場合に限られない。単位領域の数は複数であればいくつであっても良い。また、DSP4は、各単位領域について均等に動き検出を実施する場合に限られず、単位領域ごとに動き検出の頻度を異ならせることとしても良い。DSP4は、単位領域ごとの動き検出の順序は一定である場合に限られず、適宜変更しても良い。
【0063】
各実施形態の画像処理装置は、画像の全範囲について動き検出を実施する場合に限られず、画像の少なくとも一部について動き検出を実施するものであれば良いものとする。画像処理装置は、映像信号のうち、輝度信号21の積算により動き検出を実施する場合に限られない。画像処理装置は、映像信号のうち輝度信号21以外の情報、例えば、色差信号22、RGBの各色信号、輪郭信号等の積算により動き検出を実施するものとしても良い。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
4 DSP、11 タイミング発生部、12 積算部、13 動き判別部、16 積算タイミング信号、17 積算値読み出しタイミング信号、18 符号切り換えタイミング信号、21 輝度信号、28 単位領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号から得られる画素ごとの情報を積算する積算部と、
撮影された映像の時系列的な変化を前記積算部による積算結果から検知し、前記映像での物体の動きを判別する動き判別部と、を有し、
前記積算部は、フレームごとの画像のうち前記動き判別部での動き判別の単位とする単位領域内について、第1のフレームの情報を積算してから、前記第1のフレームより後の第2のフレームの情報を、前記第1のフレームについての積算の際とは信号レベルの符号を反転させてさらに積算し、
前記動き判別部は、前記積算部における前記第1のフレーム及び前記第2のフレームについての当該積算結果に応じて、前記単位領域内の動き判別を実施することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記動き判別部は、前記画像の全範囲を前記単位領域として動き判別を実施することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像に複数の前記単位領域が設定され、前記単位領域ごとの情報の積算を実施する複数の前記積算部と、
前記単位領域ごとの動き判別を実施する複数の前記動き判別部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置
【請求項4】
前記動き判別部は、前記画像に設定された複数の前記単位領域について、前記単位領域ごとの動き判別を実施し、
前記積算部は、前記単位領域ごとの情報の積算を時分割的に実施することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記積算部に積算の実行を指示するタイミング信号と、前記積算部に前記符号の切り換えを指示するタイミング信号と、前記積算部に積算結果の出力を指示するタイミング信号と、の少なくともいずれかを出力するタイミング発生部をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画素ごとの情報は、輝度信号及び色差信号の少なくともいずれかであって、
物体の動きがあった旨の、前記動き判別部からの判別結果信号に応じて、画面を着色表示するための処理を前記輝度信号及び前記色差信号に施す着色処理部をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−239121(P2012−239121A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108240(P2011−108240)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】