説明

画像処理装置

【課題】検査タクトが速い場合などでも、全ての画像を出力することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、第1の出力部131から一部の出力画像を出力できない混雑状態にあるか否かを判断する判断部51と、判断部51の判断結果に応じて画像出力部13における出力画像の出力先を第2の出力部132へ切り替える退避処理部52とを有している。退避処理部52は、判断部51で混雑状態にないと判断されれば、出力画像の出力先を第1の出力部131とする通常モードを選択し、判断部51で混雑状態にあると判断されれば、出力画像の出力先を第2の出力部132とする退避モードを選択する。つまり、画像処理装置1は、混雑状態では出力画像を第1の出力部131ではなく第2の出力部132から外部記憶媒体4に出力することによって、出力画像を外部記憶媒体4に退避させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、順次取り込まれる画像に画像処理を施して出力画像を生成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業製品の製造、組立、検査等の工程において、撮像された検査対象物の画像を検査員が目視で確認する方法では検査精度が悪く効率もよくないため、画像処理によって良品・不良品を自動的に判定する画像処理装置が用いられている。この種の画像処理装置としては、移動する物体表面を所定周期で撮像するカメラ(CCDカメラ)からの画像(アナログ画像信号)に画像処理を施す装置が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像処理装置は、移動物体の表面に欠陥があると、欠陥を含む画像信号をフレームメモリまたはフレームバッファに格納し、キーボード等からの指示により、モニタにいつでも呼び出せるようにする。これにより、ユーザは、モニタの画面を常時注視していなくても、欠陥の発生とその形状等をチェックでき、作業効率が上がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−14866号公報(第0048−0050段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したような画像処理装置では、たとえば検査タクトが速い場合などに、画像を取り込む時間間隔が、モニタに画像を出力する時間間隔よりも短くなると、フレームメモリ等の容量の問題により、一部の画像をモニタに出力できなくなることがある。すなわち、画像処理装置は、画像を取り込むペースが速い場合などで、画像をモニタに出力するペースが画像の取り込みに追いつかなくなると、フレームメモリ等に画像が徐々に溜まり、フレームメモリ等がいずれ飽和する。フレームメモリ等が飽和した状態では、このフレームメモリ等に新たに画像を蓄積することはできないので、画像処理装置は、この間に取り込まれる画像の一部についてはモニタに読み出すことができなくなる。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されており、検査タクトが速い場合などでも、全ての画像を出力することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理装置は、画像を順次取り込む画像取込部と、前記画像取込部で取り込まれた画像に画像処理を施して出力画像を生成する処理実行部と、第1および第2の出力部を有し、少なくとも前記第2の出力部は外部記憶媒体に接続されており、通常時には、前記出力画像を前記第1の出力部から順次出力する画像出力部と、前記画像出力部において前記第1の出力部から少なくとも一部の前記出力画像を出力できない混雑状態にあるか否かを判断する判断部と、前記混雑状態にあると前記判断部で判断されると、前記画像出力部における前記出力画像の出力先を前記第1の出力部から前記第2の出力部へと切り替え、前記第2の出力部に接続された前記外部記憶媒体に前記出力画像を退避させる退避処理部とを備えることを特徴とする。
【0008】
この画像処理装置において、前記退避処理部が前記出力画像を前記外部記憶媒体に退避させた後、前記混雑状態が解消したときに、前記外部記憶媒体から前記出力画像を読み出して前記第1の出力部から出力する復帰処理部をさらに備えることが望ましい。
【0009】
この画像処理装置において、前記画像出力部は、前記出力画像を複数蓄積可能なメモリが接続されており、通常時には、前記メモリ内に一旦蓄積された前記出力画像を前記第1の出力部から順次出力しており、前記判断部は、前記メモリの空き容量が既定値以下になると、前記混雑状態にあると判断することがより望ましい。
【0010】
この画像処理装置において、前記画像取込部は、所定の時間間隔で画像を取り込んでおり、前記判断部は、前記画像取込部が画像を取り込む時間間隔と、前記画像出力部が前記第1の出力部から前記出力画像を出力する時間間隔とを比較し、画像を取り込む時間間隔の方が短ければ、前記混雑状態にあると判断することがより望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、混雑状態にあると判断部で判断されると、退避処理部が、画像出力部における出力画像の出力先を切り替え、第2の出力部に接続された外部記憶媒体に出力画像を退避させるので、検査タクトが速い場合などでも、全ての画像を出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1に係る画像処理装置の概略構成を示し、(a)は通常モード、(b)は退避モードの説明図である。
【図2】実施形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態2に係る画像処理装置の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本実施形態の画像処理装置は、検査対象物の画像を撮像するカメラに接続されており、たとえば検査対象物の良品・不良品の判定に用いられる。
【0014】
画像処理装置1は、図2に示すように、カメラ2に接続された画像取込部11と、画像取込部11に接続された処理実行部12と、画像取込部11に接続された画像出力部13とを備えている。さらに、画像処理装置1は、これら画像取込部11、処理実行部12、画像出力部13に接続された中央処理装置(CPU)14を備えており、画像取込部11、処理実行部12、画像出力部13の各部の動作を中央処理装置14で制御している。画像取込部11には第1のメモリ15、処理実行部12には第2のメモリ16、画像出力部13には第3のメモリ17が接続されている。
【0015】
カメラ2は、二次元画像を撮像可能なCCD(Charge CoupledDevices)などのエリアイメージセンサが撮像素子に用いられている。ここでは、カメラ2は濃淡値を画素値とする濃淡画像(モノクロ画像)を撮像するカメラとするが、カラー画像を撮像するカラーカメラであってもよい。
【0016】
画像取込部11は、FPGA(Field-ProgrammableGate Array)からなり、カメラ2で撮像された画像のデータをカメラ2から取り込む。画像取込部11は、取り込んだ画像(以下、「取得画像」という)のデータを内部バッファ(図示せず)に蓄積する。なお、画像取込部11は、カメラ2を複数台(たとえば4台まで)接続可能であって、カメラ2ごとに別の内部バッファに取得画像を蓄えることによって、カメラ2の台数が増えても取得画像の取り込みに要する時間が長くならない構成とする。
【0017】
画像取込部11は、内部バッファが取得画像で飽和すると、取得画像のデータを第1のメモリ15に対して1画面(1フレーム)ずつ転送する。ここで、画像取込部11は、各種のフィルタ処理などの前処理を施してから取得画像を第1のメモリ15に出力する。すなわち、カメラ2で撮像された画像は、画像取込部11を経由して、順次、第1のメモリ15に格納されることになる。また、本実施形態では、画像取込部11は取得画像を第1のメモリ15だけでなく第3のメモリ17にも出力し、第3のメモリ17にも取得画像を格納している。
【0018】
処理実行部12は、DSP(Digital SignalProcessor)からなり、画像取込部11で取り込まれて第1のメモリ15に格納された取得画像について、パターンマッチング等の種々の画像処理を実行する。処理実行部12は、たとえば取得画像内の検査領域の大きさや形状等から検査対象物の良否を自動的に判定する。ここでは、処理実行部12は、第1のメモリ15へ取得画像が保存されると、この取得画像を第1のメモリ15から内部メモリ(図示せず)に順次取り込みつつ、画像取込部11で先に取り込まれた取得画像から順に画像処理を実行する。このとき、第1のメモリ15は、処理実行部12の内部メモリに取り込まれた取得画像については順次消去する。なお、処理実行部12は、取得画像を1画面(1フレーム)単位で内部メモリに取り込むことにより、第1のメモリ15からの取得画像の取り込みに要する時間を最小限に抑えている。
【0019】
画像出力部13は、FPGAを主構成とし、第1の出力部131および第2の出力部132の2つの出力経路を有している。第1の出力部131はたとえばイーサネット(登録商標)を用いたネットワーク経由で外部機器3につながっており、第2の出力部132はたとえばSDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)などからなる外部記憶媒体4につながっている。これにより、画像処理装置1は、第1の出力部131に接続された外部機器3や、第2の出力部132に接続された外部記憶媒体4に対して、画像出力部13から画像を出力することができる。
【0020】
具体的には、第1の出力部131は、たとえばイーサネット(登録商標)の通信インタフェースからなり、プログラマブルコントローラ(PLC)や、所定の計測を行う計測器などからなる外部機器3に接続される。つまり、第1の出力部131は、ネットワークを介して外部機器3にデータを送信したり、外部機器3からデータを受信したりする。
【0021】
第2の出力部132は、外部記憶媒体4が着脱可能に接続されるメモリインタフェースからなり、外部記憶媒体4にデータを書き込んだり、外部記憶媒体4からデータを読み出したりする。つまり、ユーザは、外部記憶媒体4を画像処理装置1から取り外して、外部記憶媒体4に記憶されたデータをパーソナルコンピュータなどの他装置で読み出すことができる。
【0022】
ここで、画像処理装置1は、画像取込部11で取り込んだ取得画像を第1のメモリ15と第3のメモリ17とに予め格納しており、中央処理装置14にて、第3のメモリ17内の取得画像に処理実行部12での画像処理結果を付加して出力画像を生成する。第3のメモリ17は、このようにして生成された出力画像を複数蓄積可能に構成されている。画像出力部13は、第3のメモリ17に一旦蓄積された出力画像を、古い(つまり、第3のメモリ17に先に格納された)出力画像から順に出力する。これにより、画像出力部13は、第1の出力部131あるいは第2の出力部132から、検査結果(画像処理結果)に取得画像がオーバーレイされた画像を、出力画像として出力することができる。
【0023】
ところで、本実施形態の画像処理装置1は、通常時には、第1の出力部131と第2の出力部132とのうち、第1の出力部131を優先して出力画像の出力を行うように、出力経路の優先順位が予め決められている。つまり、画像出力部13は、基本的には、第3のメモリ17に蓄積されている出力画像を第1の出力部131から外部機器3に出力する。ただし、本実施形態の画像処理装置1は、第1の出力部131からでは少なくとも一部の出力画像を出力できないような状態(以下、「混雑状態」という)になると、出力画像を第1の出力部131ではなく第2の出力部132から外部記憶媒体4に出力する。
【0024】
以下に、混雑状態が生じる理由について簡単に説明する。
【0025】
本実施形態では、画像処理装置1は、カメラ2から検査タクトに応じた所定の時間間隔で次々に画像(取得画像)を取り込み、処理実行部12での画像処理結果を付加し出力画像として順次出力している。そのため、画像処理装置1は、画像取込部11で取得画像を取り込む時間間隔(以下、「取込間隔」という)が、第1の出力部131から出力画像を出力する時間間隔(以下、「出力間隔」という)よりも長ければ、第1の出力部131から全ての出力画像を出力できる。
【0026】
しかし、たとえば検査タクトが速い(つまり、検査対象物1個当りの検査時間が短い)場合に、画像処理装置1は、取込間隔が出力間隔よりも短くなることがある。また、画像処理装置1は、検査タクトが速い場合に限らず、たとえば第1の出力部131と外部機器3との間の通信環境などの影響で、第1の出力部131からの出力画像の出力が滞った場合にも、同様に、取込間隔が出力間隔よりも短くなることがある。このように、取込間隔が出力間隔よりも相対的に短くなれば、画像処理装置1は、第1の出力部131の送信バッファ(図示せず)の容量の問題により、一部の出力画像を第1の出力部131から出力できなくなることがある。
【0027】
すなわち、取込間隔が出力間隔よりも短ければ、画像処理装置1は、第1の出力部131から出力画像を出力するペースが、画像取込部11での取得画像の取り込みに追いつかないので、送信バッファに送信待ちの出力画像が徐々に溜まっていくことになる。そのため、第1の出力部131は、送信バッファが送信待ちの出力画像でいずれ飽和するが、送信バッファが飽和した状態では、送信バッファに新たに出力画像を蓄積することはできないので、この間に生成される出力画像の一部については破棄せざるを得なくなる。その結果、画像処理装置1は、第1の出力部131から少なくとも一部の出力画像を出力できない混雑状態を生じることになる。
【0028】
なお、第1の出力部131が送信バッファを有することは必須の構成ではない。つまり、送信バッファがない場合でも、取込間隔が出力間隔よりも短ければ、画像処理装置1は、第1の出力部131から出力画像の出力するペースが、画像取込部11での取得画像の取り込みに追いつかないので、混雑状態を生じることになる。
【0029】
また、画像処理装置1は、出力画像を第3のメモリ17に複数蓄積可能であるが、取込間隔が出力間隔よりも短ければ、第3のメモリ17もいずれ出力画像で飽和するので、結局、第1の出力部131から少なくとも一部の出力画像を出力できない混雑状態を生じる。
【0030】
本実施形態の画像処理装置1は、このような混雑状態が生じることによって一部の出力画像を出力できなくなる事態を回避するために、混雑状態になると、出力画像を第1の出力部131ではなく第2の出力部132から外部記憶媒体4に出力する。つまり、画像処理装置1は、混雑状態では出力画像を第2の出力部132から外部記憶媒体4に出力することによって、出力画像を外部記憶媒体4に退避させる処理を行う。以下では、画像処理装置1が画像を外部記憶媒体4に退避させる処理を「退避処理」という。
【0031】
次に、退避処理を実現するための画像処理装置1の構成について説明する。
【0032】
すなわち、画像処理装置1は、図1に示すように、混雑状態にあるか否かを判断する判断部51と、判断部51の判断結果に応じて画像出力部13における出力画像の出力先を第1および第2の両出力部131,132間で切り替える退避処理部52とを有している。
【0033】
判断部51は、第3のメモリ17の空き容量を確認し、第3のメモリ17に送信待ちの画像が溜まっているか否かによって、混雑状態にあるか否かを判断する。ここでは、判断部51は、第3のメモリ17の空き容量が既定値以下になると混雑状態にあると判断し、第3のメモリ17の空き容量が既定値を上回っていれば混雑状態にはないと判断する。
【0034】
退避処理部52は、判断部51にて混雑状態にないと判断されている間は、図1(a)のように、画像出力部13における出力画像の出力先を第1の出力部131とする通常モードを選択する。一方、判断部51にて混雑状態にあると判断されている間は、図1(b)のように、画像出力部13における出力画像の出力先を第2の出力部132とする退避モードを選択する。要するに、退避処理部52は、通常モードでは、第3のメモリ17と第1の出力部131との間に出力画像の伝送路を形成し、退避モードでは、第3のメモリ17と第2の出力部132との間に出力画像の伝送路を形成する。
【0035】
なお、本実施形態では、中央処理装置14が判断部51および退避処理部52としての機能を有している。
【0036】
以上説明した本実施形態の画像処理装置1によれば、第1の出力部131から一部の出力画像を出力できない混雑状態になると、出力画像を本来の出力先(外部機器3)ではなく第2の出力部132から外部記憶媒体4に退避させることができる。ここで、退避処理によって外部記憶媒体4に出力画像を退避させた場合、ユーザは、外部記憶媒体4を画像処理装置1から取り外して、外部記憶媒体4内の出力画像をパーソナルコンピュータなどの他装置で読み出すことができる。これにより、画像処理装置1は、混雑状態が生じることによって一部の出力画像が出力されずに破棄されてしまう事態を回避することができる。
【0037】
しかも、判断部51は、画像出力部13に接続された第3のメモリ17の空き容量を既定値と比較することによって、画像出力部13が混雑状態にあるか否かを判断するので、既定値を調節することによって混雑状態か否かの判断基準を容易に変更することができる。つまり、画像処理装置1は、退避処理の発生頻度が高い場合には、既定値を小さくすることによって混雑状態と判断するための判断基準を厳しくし、退避処理が頻発することを防止できる。一方、退避処理の発生頻度が低い場合には、画像処理装置1は、既定値を大きくすることによって混雑状態と判断するための判断基準を緩くし、混雑状態が生じることによって一部の出力画像が出力されずに破棄されてしまう事態を確実に回避できる。
【0038】
また、判断部51は、第3のメモリ17の空き容量に依らずに、混雑状態にあるか否かを判断する構成であってもよい。たとえば、判断部51は、取込間隔と出力間隔とを比較して、取込間隔の方が短ければ混雑状態にあると判断し、取込間隔の方が長ければ混雑状態にはないと判断する。
【0039】
この構成では、判断部51は、取込間隔が出力間隔よりも短く、第1の出力部131から出力画像を出力するペースが、画像取込部11での取得画像の取り込みに追いつかない状態をもって、混雑状態と判断する。要するに、判断部51は、現に第3のメモリ17に出力画像が溜まっていなくても、混雑状態の傾向がみられただけで混雑状態と判断するので、第1の出力部131から少なくとも一部の出力画像を出力できない状況に陥ることを事前に回避することができる。
【0040】
(実施形態2)
本実施形態の画像処理装置1は、退避処理にて出力画像を外部記憶媒体4に退避させた場合、後で、本来の出力先である第1の出力部131に出力画像を出力し直す点で実施形態1の画像処理装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0041】
本実施形態では、画像処理装置1は、図3に示すように、退避処理にて外部記憶媒体4へ出力画像を退避させた後、混雑状態が解消したときに、外部記憶媒体4から出力画像を読み出して第1の出力部131から外部機器3に出力する復帰処理部53を備えている。
【0042】
復帰処理部53は、判断部51での混雑状態にあるか否かの判断結果に基づいて、画像出力部13の混雑状態が解消したか否かを判断する。要するに、復帰処理部53は、退避処理の後、第3のメモリ17の空き容量が既定値を超えるか、あるいは取込間隔が出力間隔よりも長くなることによって混雑状態にないと判断部51にて判断されると、混雑状態が解消したと判断する。なお、復帰処理部53は、退避処理の後、第3のメモリ17の空き容量が既定値以下であるか、あるいは取込間隔が出力間隔よりも短いことによって混雑状態にあると判断部51にて判断されている間は、混雑状態は解消していないと判断する。
【0043】
復帰処理部53は、退避処理の後で混雑状態が解消したことをトリガとして、外部記憶媒体4に退避させてある出力画像を第2の出力部132を介して外部記憶媒体4から読み出し、この出力画像を第1の出力部131から出力する。これにより、画像処理装置1は、外部記憶媒体4に一旦退避させた出力画像についても、第1の出力部131から外部機器3へ出力することができる。
【0044】
ただし、判断部51が混雑状態にないと判断すると、退避処理部52は、退避モードから通常モードに切り替わるので、画像出力部13における出力画像の出力先を第2の出力部132から第1の出力部131へと切り替える。そのため、第1の出力部131からは、復帰処理部53にて外部記憶媒体4から読み出された出力画像と、新たに第3のメモリ17から読み出される出力画像との両方が出力されることになる。
【0045】
ここで、画像処理装置1は、退避処理を行ったか否かに関わらず、先に検査された(つまり、第3のメモリ17に先に格納された)出力画像から順に第1の出力部131に出力することが望ましい。そこで、画像出力装置1は、第3のメモリ17内に出力画像を蓄積しつつ、復帰処理部53にて外部記憶媒体4から読み出された出力画像を、新たに第3のメモリ17から読み出される出力画像よりも優先的に第1の出力部131から出力する。具体的には、画像処理装置1は、画像取込部11で画像を取り込んだ時点で各画像に通し番号からなる識別子を対応付け、外部記憶部4に退避させられているか否かに関わらず、識別子の順番通りに第1の出力部131から画像を出力する。これにより、画像処理装置1は、検査対象物の画像(出力画像)を検査の順番通りに外部機器3へ出力することが可能になる。
【0046】
なお、本実施形態では、中央処理装置14が復帰処理部53としての機能を有している。
【0047】
以上説明した本実施形態の画像処理装置1によれば、一旦は外部記憶媒体4に退避させた出力画像についても、退避処理されていない他の出力画像と同様に、第1の出力部131から外部機器3へ出力することができる。したがって、ユーザは、外部記憶媒体4を画像処理装置1から取り外して、外部記憶媒体4内の出力画像をパーソナルコンピュータなどの他装置で読み出すことなく、全ての出力画像を外部機器3で確認することができる。
【0048】
ところで、復帰処理部53は、判断部51とは別の判断基準を用いて、画像出力部13の混雑状態が解消したか否かを判断する構成であってもよい。この場合、復帰処理部53は、判断部51が混雑状態にあると判断していても、退避処理の後で混雑状態が解消したことをトリガとして、外部記憶媒体4に退避させてある出力画像を外部記憶媒体4から読み出し第1の出力部131から出力することができる。
【0049】
具体的には、判断部51が、画像出力部13に接続された第3のメモリ17の空き容量を既定値と比較することで、混雑状態にあるか否かを判断するのに対し、復帰処理部53は、取込間隔と出力間隔とを比較することで、混雑状態が解消したか否かを判断する。すなわち、復帰処理部53は、取込間隔と出力間隔とを比較して、取込間隔の方が長くなれば混雑状態が解消したと判断する。
【0050】
この構成では、復帰処理部53は、第3のメモリ17に出力画像が溜まっていても、混雑状態が解消する傾向がみられただけで混雑状態が解消すると判断するので、混雑状態が完全に解消する前に、外部記憶媒体4から出力画像を読み出すことができる。したがって、復帰処理部53は、退避処理部52が画像出力部13における出力画像の出力先を第2の出力部132から第1の出力部131へと切り替える前に、外部記憶媒体4に退避させてあった出力画像を第1の出力部131から外部機器3へ出力できる。この場合、復帰処理部53は、退避処理部52が第3のメモリ17内の出力画像を第2の出力部132から外部記憶媒体4に出力する処理の合間に、外部記憶媒体4内の出力画像を読み出す処理を行う。
【0051】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0052】
なお、上記各実施形態では、画像出力部13は、第1および第2の2つの出力部131,132のみを有しているが、この例に限らず、画像出力部13は第1および第2の出力部131,132を含む3つ以上の出力部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 画像処理装置
4 外部記憶媒体
13 画像出力部
131 第1の出力部
132 第2の出力部
17 (第3の)メモリ
51 判断部
52 退避処理部
53 復帰処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を順次取り込む画像取込部と、
前記画像取込部で取り込まれた画像に画像処理を施して出力画像を生成する処理実行部と、
第1および第2の出力部を有し、少なくとも前記第2の出力部は外部記憶媒体に接続されており、通常時には、前記出力画像を前記第1の出力部から順次出力する画像出力部と、
前記画像出力部において前記第1の出力部から少なくとも一部の前記出力画像を出力できない混雑状態にあるか否かを判断する判断部と、
前記混雑状態にあると前記判断部で判断されると、前記画像出力部における前記出力画像の出力先を前記第1の出力部から前記第2の出力部へと切り替え、前記第2の出力部に接続された前記外部記憶媒体に前記出力画像を退避させる退避処理部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記退避処理部が前記出力画像を前記外部記憶媒体に退避させた後、前記混雑状態が解消したときに、前記外部記憶媒体から前記出力画像を読み出して前記第1の出力部から出力する復帰処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像出力部は、前記出力画像を複数蓄積可能なメモリが接続されており、通常時には、前記メモリ内に一旦蓄積された前記出力画像を前記第1の出力部から順次出力しており、
前記判断部は、前記メモリの空き容量が既定値以下になると、前記混雑状態にあると判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像取込部は、所定の時間間隔で画像を取り込んでおり、
前記判断部は、前記画像取込部が画像を取り込む時間間隔と、前記画像出力部が前記第1の出力部から前記出力画像を出力する時間間隔とを比較し、画像を取り込む時間間隔の方が短ければ、前記混雑状態にあると判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−25383(P2013−25383A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156893(P2011−156893)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】