説明

画像出力装置、その方法及びプログラム

【課題】
画像の転送が終了した後であれば、装置間の接続状態に拘わらず、画像出力装置による出力動作を保証できるようにする技術を提供する。
【解決手段】
画像出力装置は、第1のプロトコルを用いた通信を制御する第1の通信制御手段と、第2のプロトコルを用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御手段と、第2の通信制御手段による通信制御により供給される画像に基づいて画像出力処理を行なう画像出力手段と、第1の通信制御手段と第2の通信制御手段とによる通信の切断に係わる制御を行なうリンク制御手段とを具備し、リンク制御手段は、第1の通信制御手段による通信の切断を検出した場合、第2の通信制御手段による画像に係わる通信制御の状態に基づいて第2の通信制御手段による通信の切断処理を保留する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置、その方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラとプリンタとを物理的インタフェイスで直接接続し、PCを介さずにデジタルカメラで撮影した画像をプリンタから直接出力するダイレクトプリント技術(PictBridgeなど)が知られている。現在のところ、物理的インタフェイスとしては、USB(ユニバーサルシリアルバス)が主流となっている。しかし、このようなダイレクトプリント技術は、物理的インタフェイスの種類に依存するわけではなく、原理的には、無線インタフェイスを使用することも可能である。このようなダイレクトプリントに関する技術として、ダイレクトプリントのプロトコル実行中に、デジタルカメラによる被写体撮影を可能とする技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−94376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ダイレクトプリント技術のプロトコルによっては、デジタルカメラは、画像データの転送が終了しても、プリンタで印刷が終了するまで接続を解除することができない場合がある。例えば、デジタルカメラとプリンタとの接続を印刷処理中に切断した場合には、印刷エラーとなり、印刷途中の用紙が排出されてしまう。
【0004】
特に、無線インタフェイスを用いてこのようなダイレクトプリントのプロトコルを実行したときには、問題が生じる場合がある。これは、デジタルカメラからプリンタへ画像データの転送が終了した後、デジタルカメラの利用者がデジタルカメラをプリンタから遠ざけるなどして無線接続が切断してしまった場合、プリンタの動作が保証されないためである。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像の転送が終了した後であれば、装置間の接続状態に拘わらず、画像出力装置による出力動作を保証できるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による画像出力装置は、第1のプロトコルを用いた通信を制御する第1の通信制御手段と、第2のプロトコルを用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御手段と、前記第2の通信制御手段による通信制御により供給される画像に基づいて画像出力処理を行なう画像出力手段と、前記第1の通信制御手段と前記第2の通信制御手段とによる通信の切断に係わる制御を行なうリンク制御手段とを具備し、前記リンク制御手段は、前記第1の通信制御手段による通信の切断を検出した場合、前記第2の通信制御手段による前記画像に係わる通信制御の状態に基づいて前記第2の通信制御手段による通信の切断処理を保留することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様による画像出力装置は、通信インタフェイスを介した通信の接続制御を行なう第1の通信制御手段と、前記第1の通信制御手段により接続が確立された通信路を用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御手段と、前記第2の通信制御手段による通信制御により供給される画像に基づいて画像出力処理を行なう画像出力手段と、前記第1の通信制御手段と前記第2の通信制御手段とによる通信の切断に係わる制御を行なうリンク制御手段とを具備し、前記リンク制御手段は、前記第1の通信制御手段による通信の切断を検出した場合、前記第2の通信制御手段による前記画像に係わる通信制御の状態に基づいて前記第2の通信制御手段による通信の切断処理を保留することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、画像出力装置の制御方法であって、第1のプロトコルを用いた通信を制御する第1の通信制御工程と、第2のプロトコルを用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御工程と、前記第2の通信制御工程での通信制御により供給される画像に基づいて画像出力処理を行なう画像出力工程と、前記第1の通信制御工程と前記第2の通信制御工程とによる通信の切断に係わる制御を行なうリンク制御工程とを含み、前記リンク制御工程では、前記第1の通信制御工程での通信の切断を検出した場合、前記第2の通信制御工程での前記画像に係わる通信制御の状態に基づいて前記第2の通信制御工程による通信の切断処理を保留することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様によるプログラムは、コンピュータを、第1のプロトコルを用いた通信を制御する第1の通信制御手段、第2のプロトコルを用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御手段、前記第1の通信制御手段と前記第2の通信制御手段とによる通信の切断に係わる制御を行ない、前記第1の通信制御手段による通信の切断を検出した場合、前記第2の通信制御手段による前記画像に係わる通信制御の状態に基づいて前記第2の通信制御手段による通信の切断処理を保留するリンク制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像の転送が終了した後であれば、装置間の接続状態に拘わらず、画像出力装置による出力動作を保証できる。これにより、画像転送が行なわれた後、任意のタイミングで装置間の通信を切断できるとともに、また、装置間の通信が切断されたとしても、出力動作が途中で終わることがないため、利用者の利便性を向上させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明に係わる画像出力装置を配して構成した画像出力システムの構成の一例を示す図である。
【0013】
20は、画像供給装置であり、画像出力装置10に対して出力対象(印刷対象)となる画像を供給する。10は、画像出力装置であり、画像供給装置20から入力を受けた画像に基づいて用紙等の記録媒体上に画像を形成し出力する。画像出力装置10及び画像供給装置20は、通信部(不図示)を用いて接続され、この通信部を用いてダイレクトプリント機能が実現される。なお、本実施形態においては、画像出力装置10がプリンタであり、画像供給装置20がデジタルカメラである場合を例に挙げて説明する。
【0014】
図2は、図1に示すプリンタ10の構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
プリンタ10は、第1の通信制御部201と、第2の通信制御部202と、通信部203と、ROM204と、リンク制御部205と、RAM206、プリンタ機能部207と、CPU208とを具備して構成される。
【0016】
通信部203は、通信インタフェイスであり、第1の通信制御部201は、所定のプロトコル(第1のプロトコル)を用いて通信相手先装置との間の通信の接続制御を行なう。第1の通信制御部201では、例えば、通信部203を介してデジタルカメラ20との間の接続を確立する。
【0017】
第2の通信制御部202は、第1の通信制御部201による通信に用いられるプロトコルよりも上位のプロトコル(第2のプロトコル)を用いて画像に係わる通信の制御を行なう。例えば、デジタルカメラ20側から(自装置へ)画像の転送を受け、それをプリンタ機能部207に供給する制御を行なう。なお、第2の通信制御部202によるデジタルカメラ20との間の通信の制御は、例えば、通信部203及び第1の通信制御部201により確立された通信路を用いて行なわれる。
【0018】
プリンタ機能部207は、画像出力処理(印刷処理と呼ぶ場合もある)を行なう。すなわち、用紙等の記録媒体上に画像を形成する。例えば、第2の通信制御部202による通信制御によりデジタルカメラ20から受信した画像データ(印刷画像)に基づいて印刷処理を実行する。
【0019】
リンク制御部205は、第1の通信制御部201における接続状態や、第2の通信制御部202における印刷処理状態を管理するとともに、両制御部による通信の切断に係わる制御を行なう。リンク制御部205では、第1の通信制御部201による通信制御状態(接続状態)として、例えば、「切断」、「接続」という2つの状態を管理する。また、第2の通信制御部202による通信制御状態(印刷処理状態)として、例えば、「切断」、「印刷待ち」、「印刷中」という3つの状態を管理する。
【0020】
CPU208は、プリンタ10全体の制御を司り、ROM204は、CPU208の処理手順を記憶し、RAM206は、CPU208のワークエリアとして使用される。
【0021】
図3は、図1に示すデジタルカメラ20の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
デジタルカメラ20は、第1の通信制御部301と、第2の通信制御部302と、通信部303と、ROM304と、デジタルカメラ制御部305と、RAM306と、ユーザインタフェイス制御部307と、CPU308とを具備して構成される。
【0023】
通信部303は、通信インタフェイスであり、第1の通信制御部301は、所定のプロトコル(第1のプロトコル)を用いて通信相手先装置との間の接続を確立する。第1の通信制御部301では、例えば、通信部303を介してプリンタ10との間の接続を確立する。
【0024】
第2の通信制御部302は、第1の通信制御部301による通信に用いられるプロトコルよりも上位のプロトコル(第2のプロトコル)を用いて画像に係わる通信(例えば、画像転送等)の制御を行なう。この第2の通信制御部302における通信の制御は、通信部303及び第1の通信制御部301により確立された通信路を用いて行なわれる。
【0025】
デジタルカメラ制御部305は、デジタルカメラ20の制御を行なう。ユーザインタフェイス制御部307は、利用者とデジタルカメラ20とを繋ぐインタフェイスとして機能する。ユーザインタフェイス制御部307は、例えば、ダイレクトプリント機能を用いたユーザからの印刷指示を入力する入力機能や、プリンタ10から送られてくる各種情報を出力する出力機能を有する。
【0026】
CPU308は、デジタルカメラ20全体の制御を司り、ROM304は、CPU308の処理手順を記憶し、RAM306は、CPU308のワークエリアとして使用される。
【0027】
図4は、図1に示すプリンタ10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、ダイレクトプリントによりデジタルカメラ20からの印刷画像に基づいて印刷を行なう場合の処理について説明する。
【0028】
プリンタ10は、初期状態にあるとき、第1の通信制御部201において、通信相手先装置(本実施形態においては、デジタルカメラ20)から接続要求を受信するまで待機している(ステップS401でNO)。この待機中に、デジタルカメラ20から接続要求を受信すると(ステップS401でYES)、プリンタ10のリンク制御部205は、管理している第1の通信制御部201の状態を「接続」に変更する(ステップS402)。この変更後、プリンタ10は、第2の通信制御部202において、印刷画像を転送するための接続要求がデジタルカメラ20から送られてくるまで待機する(ステップS403でNO)。
【0029】
ここで、接続要求を受信した場合(ステップS403でYES)、プリンタ10のリンク制御部205は、管理している第2の通信制御部202の状態を「印刷待ち」に変更する(ステップS404)。この変更後、プリンタ10は、第2の通信制御部202において、印刷画像の取得処理を実施する(ステップS405)。そして、印刷画像の取得が完了すれば(ステップS406でYES)、プリンタ10のリンク制御部205は、管理している第2の通信制御部202の状態を「印刷中」に変更する(ステップS407)。その後、プリンタ10は、プリンタ機能部207において、当該受信した印刷画像に基づく印刷処理を開始する(ステップS408)。
【0030】
この印刷中に第1の通信制御部201による通信が切断、具体的には、第1の通信制御部201からリンク制御部205に向けて切断通知が送られてきた場合(ステップS409でYES)、プリンタ10は、通信切断制御処理を実施する(ステップS410)。この通信切断制御処理の詳細については後述するが、この処理は、リンク制御部205において行なわれる。その後、印刷が完了すれば(ステップS411でYES)、プリンタ10のリンク制御部205は、管理している第2の通信制御部202の状態を「印刷待ち」に変更する(ステップS412)。
【0031】
印刷の終了後、プリンタ10は、第2の通信制御部202が切断保留状態にあるか否かを判断し、保留中であれば(ステップS413でYES)、リンク制御部205において、通信切断制御処理を実施した後(ステップS410)、この処理を終了する。一方、保留中でなければ(ステップS413でNO)、プリンタ10は、そのままこの処理を終了する。
【0032】
図5は、図4に示すステップS410における通信切断制御処理の流れの一例を示す図である。この処理は、上述した通り、第1の通信制御部201による接続が切断された場合(ステップS409でYES)、或いは、第2の通信制御部202による切断処理が保留されている場合(ステップS413でYES)に行なわれる。なお、第1の通信制御部201による接続が切断された場合には、第1の通信制御部201からリンク制御部205に向けて切断通知が送られる。これにより、リンク制御部205は、第1の通信制御部201の接続状態を把握できる。
【0033】
プリンタ10は、リンク制御部205において、まず、第2の通信制御部202の状態が「印刷中」であるか否かを調べる。ここで、第2の通信制御部202の状態が「印刷中」であれば(ステップS501でYES)、第2の通信制御部202の切断処理を保留し(ステップS507)、この処理を終了する。一方、第2の通信制御部202の状態が「印刷中」でなければ(ステップS501でYES)、第2の通信制御部202の切断処理が保留中であるか否かを判断する。
【0034】
この結果、保留中でなければ(ステップS502でNO)、そのままこの処理を終了するが、保留中であれば(ステップS502でYES)、リンク制御部205は、第2の通信制御部202に対して切断を通知する(ステップS503)。また、リンク制御部205は、管理している第2の通信制御部202の状態を「切断」に変更するとともに(ステップS504)、第1の通信制御部201に対して切断を通知する(ステップS505)。その後、リンク制御部205は、管理している第1の通信制御部201の状態を「切断」に変更した後(ステップS506)、この処理を終了する。
【0035】
上述したように、プリンタ10では、デジタルカメラ20からの接続要求を受信した後、任意のタイミングで第1の通信制御部201による接続が切断される可能性がある(例えば、デジタルカメラ20がプリンタ10から遠ざけられる等)。リンク制御部205においては、第1の通信制御部201から切断通知を受信した場合、第2の通信制御部202の切断処理と第1の通信制御部201の切断処理とを実施する。この切断処理を実施するタイミングは、リンク制御部205が管理している第2の通信制御部の通信制御状態、すなわち、処理状態に依存して行なわれる。具体的には、第2の通信制御部202の状態が「印刷中(つまり、プリンタ機能部207へ画像供給中)」の場合は、印刷中でなくなるまで切断処理を保留する。これにより、印刷画像は受信したが印刷中に通信が切断したため、印刷処理が途中で中止されるという不具合が回避される。
【0036】
図6は、図1に示すプリンタ10の処理シーケンスの一例を示す図である。ここでは、第2の通信制御部202の状態が「印刷中」である場合に、第1の通信制御部201からリンク制御部205に向けて切断通知が送られる場合を例に挙げて説明する。
【0037】
プリンタ10のリンク制御部205は、第1の通信制御部201の状態として「切断」、第2の通信制御部202の状態として「切断」を管理している。ここで、デジタルカメラ20の利用者が、ユーザインタフェイス制御部307を操作し、デジタルカメラ20とプリンタ10との間でダイレクトプリントが開始されたとする(ステップS601)。
【0038】
デジタルカメラ20のユーザインタフェイス制御部307は、利用者による操作に基づいて第2の通信制御部302に対して印刷指示を通知する(ステップS602)。すると、第2の通信制御部302は、第1の通信制御部301に対して接続要求を通知して、プリンタ10との接続を要求する(ステップS603)。ここで、第1の通信制御部301は、プリンタ10に向けて接続要求を送信し(ステップS604)、対向機(プリンタ10)からの接続応答を待つ。
【0039】
デジタルカメラ20からの接続要求を受信したプリンタ10は、第1の通信制御部201において、(接続が可能であれば)デジタルカメラ20に向けて接続応答(接続許可)を送信する(ステップS605)。このとき、第1の通信制御部201は、リンク制御部205に向けて接続通知を送信する(ステップS606)。これを受けたリンク制御部205は、第1の通信制御部201の状態を「接続中」に変更する(ステップS607)。
【0040】
一方、プリンタ10から接続応答を受信したデジタルカメラ20は、第1の通信制御部301において、印刷画像の転送制御に関する接続要求をプリンタ10に向けて送信する(ステップS608)。この接続要求は、データパケットを用いて行なわれる。
【0041】
データパケットを受信したプリンタ10は、第1の通信制御部201において、デジタルカメラ20における第1の通信制御部301に受信確認(ACK)パケットを送信する(ステップS609)。また、プリンタ10における第1の通信制御部201は、受信した接続要求を第2の通信制御部202に送信する(ステップS610)。接続要求を受信した第2の通信制御部202は、(接続が可能であれば)接続応答(接続許可)を送信する(ステップS611)。このとき、第1の通信制御部201は、リンク制御部205に向けて接続通知を送信する(ステップS612)。これを受けたリンク制御部205は、第2の通信制御部202の状態を「印刷待ち」に変更する(ステップS613)。ここで、接続応答を受信した第1の通信制御部201は、印刷画像の転送制御に関する接続応答をデジタルカメラ20に向けて送信する(ステップS614)。この接続要求は、データパケットを用いて行なわれる。
【0042】
この接続応答を受信したデジタルカメラ20は、第1の通信制御部301において、プリンタ10における第1の通信制御部201にACKパケットを送信する(ステップS615)。このとき、第1の通信制御部301は、受信した接続応答を第2の通信制御部302に送信する(ステップS616)。
【0043】
ここで、プリンタ10は、第2の通信制御部202において、印刷画像を取得するために、画像取得要求を送信する(ステップS617)。これを受けた第1の通信制御部201は、デジタルカメラ20に向けて画像取得要求を送信する(ステップS618)。
【0044】
画像取得要求を受信したデジタルカメラ20は、第1の通信制御部301において、プリンタ10における第1の通信制御部201に受信確認(ACK)パケットを送信する(ステップS619)。このとき、第1の通信制御部301は、受信した画像取得要求を第2の通信制御部302に送信する(ステップS620)。画像取得要求を受信した第2の通信制御部302は、利用者に指示された印刷対象となる画像データを第1の通信制御部301に送信する(ステップS621)。これを受けた第1の通信制御部301は、画像取得応答として印刷画像をプリンタ10に送信する(ステップS622)。
【0045】
この印刷画像(データパケット)を受信したプリンタ10は、第1の通信制御部201において、デジタルカメラ20における第1の通信制御部301に受信確認(ACK)パケットを送信する(ステップS623)。このとき、第1の通信制御部301は、受信した印刷画像を第2の通信制御部202に送信する(ステップS624)。なお、プリンタ10における第2の通信制御部202と、デジタルカメラ20における第2の通信制御部302は、印刷画像が全て送り終わるまで、上述したステップS617からステップS624までの処理を繰り返し実行する。
【0046】
印刷画像を全て受信し終えると、プリンタ10における第2の通信制御部202は、リンク制御部205に対して印刷開始通知を送信する(ステップS625)。この通知を受信したリンク制御部205は、第2の通信制御部202の状態を「印刷待ち」から「印刷中」に変更する(ステップS626)。また、第2の通信制御部202は、プリンタ機能部207に対して受信した印刷画像に基づく印刷処理の実行を要求する(ステップS627)。すると、プリンタ機能部207は、印刷処理を開始する。またこのとき、第2の通信制御部202は、第1の通信制御部201に対して印刷開始を通知する(ステップS628)。この通知を受けた第1の通信制御部201は、データパケットを使って印刷開始通知をデジタルカメラ20に向けて送信する(ステップS629)。
【0047】
ここで、印刷開始通知を受信したデジタルカメラ20は、第1の通信制御部301において、プリンタ10における第1の通信制御部201に受信確認(ACK)パケットを送信する(ステップS630)。このとき、第1の通信制御部301は、受信した印刷開始通知を第2の通信制御部302に送信する(ステップS631)。この印刷開始通知は、最終的にユーザインタフェイス制御部307に送られる(ステップS632)。これにより、ユーザインタフェイス制御部307は、印刷開始を表示器に表示し、利用者に印刷が開始されたことを伝える(ステップS633)。
【0048】
ここで、印刷開始の表示を見た利用者が、デジタルカメラ20をプリンタ10から遠ざけたとする。すなわち、デジタルカメラ20とプリンタ10との通信が途絶えることになる。以下、通信が途絶えた場合のプリンタ10における処理シーケンスについて説明する。
【0049】
プリンタ10は、第2の通信制御部202において、印刷処理状態が変化するたびに、印刷状態の通知を行なう(ステップS634)。ここで、第1の通信制御部201は、第2の通信制御部202から印刷状態の通知を受け、その通知をデータパケットを用いてデジタルカメラ20に向けて送信し、その受信確認(ACK)パケットを待つ(ステップS635)。第1の通信制御部201は、例えば、ACKパケットが受信できない場合、複数回再送し、ACKパケットの受信を待つ(ステップS636)。第1の通信制御部201は、所定時間再送処理を行なっても、ACKパケットを受信できなかったとする。すると、第1の通信制御部201は、デジタルカメラ20との通信が切断されたと判断し、リンク制御部205に対して切断通知を送信する(ステップS637)。この通知を受信したリンク制御部205は、第2の通信制御部202の切断処理を保留する(ステップS638)。これは、第2の通信制御部202の状態が「印刷中」であるためである。
【0050】
印刷処理が完了した後、プリンタ機能部207は、第2の通信制御部202に対して印刷終了を通知する(ステップS639)。すると、第2の通信制御部202は、第1の通信制御部201に対して印刷状態(印刷終了)を通知する(ステップS640)。第1の通信制御部201は、デジタルカメラ20における第1の通信制御部301に対して印刷状態の通知を行なう(ステップS641)。
【0051】
また、印刷終了を受信した第2の通信制御部202は、リンク制御部205に対して印刷終了を通知する(ステップS642)。この通知を受信したリンク制御部205は、第2の通信制御部202の状態を「印刷中」から「印刷待ち」へと変更する(ステップS643)。また、リンク制御部205は、保留中の切断処理を実行するために、第2の通信制御部202に対して切断通知を送信する(ステップS644)。その後、リンク制御部205は、第2の通信制御部202の状態を「切断」に変更する(ステップS645)。なお、切断通知を受信した第2の通信制御部202は、自身の処理、すなわち、印刷画像転送制御を終了する。また、リンク制御部205は、第1の通信制御部201に対して切断通知を送信し(ステップS646)、第1の通信制御部201の状態も「切断」に変更する(ステップS647)。切断通知を受信した第1の通信制御部201は、デジタルカメラ20における第1の通信制御部301に向けて切断通知を送信する(ステップS648)。その後、この処理は、終了する。
【0052】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、第1の通信制御部(201、301)の接続を確立する処理として接続要求と接続応答を用い、切断する方法として切断通知を用いる場合を例に挙げて説明したが、接続手順及び切断手順はこの方法に限られるものではない。使用する通信プロトコルで規定される接続手順及び切断手順に従うことはいうまでもない。また、第1の通信制御部で制御される第1のプロトコルとしては、ワイヤレスUSBや802.11系無線LAN、Bluetooth、RFID(Radio Frequency IDentification)等の無線通信プロトコルを用いることができる。なお、これ以外にも、NFC(Near Field Communication)、TransferJet等の近接無線転送(非接触近接通信)、USB等の有線通信などを用いてもよい。第2の通信制御部で制御される第2の通信プロトコルとしては、PictBridge、PTP(Picture Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)等の画像転送プロトコルを用いることができる。
【0054】
また、上述した実施形態では、第1の通信制御部201は、デジタルカメラ20との通信が切断したことを通知した後も(図6のステップS637)、通信相手先装置の第1の通信制御部301に各種通知を行なう場合を例に挙げて説明した。しかし、第1の通信制御部201は、対向機との通信が切断したことを検出した場合、それ以降のパケット送信処理を行なわないようにしてもよい。なお、各種通知とは、印刷状態の通知(図6のステップS641)及び切断通知(図6のステップS648)である。これにより、不要な通知が行なわれるのを防止することができるので、消費電力を低減することができる。
【0055】
また、上述した実施形態では、第1の通信制御部201が切断を検出する方法として、データを所定時間再送してもACKパケットを受信できないときとしたが、これに限られない。例えば、送信したデータに対して否定応答(NACK)を受信した場合や、通信相手先装置(本実施形態においてはデジタルカメラ20)から切断要求、又は切断通知を受信した場合などに通信が切断したと検出してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態においては、第1の通信制御部201がデータパケットを送信した場合、必ずACKパケットの受信を必要とする場合を例に挙げて説明したが、送信するデータ種別によっては、ACKを必要としないパケットを併用してもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、第2の通信制御部202の接続処理が実行された後(図6のステップS615の後)、第2の通信制御部202から画像取得要求を送信する(図6のステップS617)場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。すなわち、プリンタ10とデジタルカメラ20との間での実施されるダイレクトプリントの仕様に基づいたシーケンスを適応できる。例えば、第2の通信制御部202の接続処理の後、プリンタ10とデジタルカメラ20双方で認証処理を行ない、その後、プリンタ10側からの画像取得要求シーケンスを開始するようにしてもよい。また、デジタルカメラ20側が送信する印刷開始の要求をトリガとしてプリンタ10側が画像取得要求シーケンスを開始するようにしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態においては、画像供給装置20と画像出力装置10とを例に挙げて説明したが、画像の供給を受ける側の装置は、必ずしも画像出力装置10である必要はない。例えば、その他、情報処理装置であってもよい。
【0059】
以上説明したように本実施形態によれば、デジタルカメラ20側では、画像データの転送後、任意のタイミングで通信を切断することが可能となる。また、プリンタ10側では、印刷処理中にデジタルカメラ20が任意のタイミングで通信を切断した場合であっても最後まで印刷を実行できることになる。これにより、利用者の利便性を向上させることができる。
【0060】
なお、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体等としての実施態様を採ることもできる。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0061】
また、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置に内蔵されたコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することにより実施形態の機能が達成される場合をも含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャート、シーケンスチャートに対応したコンピュータプログラムである。
【0062】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OS(Operating System)に供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0063】
コンピュータプログラムを供給するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0064】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0065】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0066】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0067】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU(Central Processing Unit)などが実際の処理の一部又は全部を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係わる画像出力装置を配して構成した画像出力システムの構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示す画像出力装置(プリンタ10)の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像供給装置(デジタルカメラ20)の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図1に示す画像出力装置(プリンタ10)の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すステップS410における通信切断制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示すプリンタ10の処理シーケンスの一例を示すシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0069】
10 画像出力装置(プリンタ)
20 画像供給装置(デジタルカメラ)
201、301 第1の通信制御部
202、302 第2の通信制御部
203、303 通信部
205 リンク制御部
207 プリンタ機能部
305 デジタルカメラ制御部
307 ユーザインタフェイス制御部
204、304 ROM
206、306 RAM
208、308 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプロトコルを用いた通信を制御する第1の通信制御手段と、
第2のプロトコルを用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御手段と、
前記第2の通信制御手段による通信制御により供給される画像に基づいて画像出力処理を行なう画像出力手段と、
前記第1の通信制御手段と前記第2の通信制御手段とによる通信の切断に係わる制御を行なうリンク制御手段と
を具備し、
前記リンク制御手段は、
前記第1の通信制御手段による通信の切断を検出した場合、前記第2の通信制御手段による前記画像に係わる通信制御の状態に基づいて前記第2の通信制御手段による通信の切断処理を保留する
ことを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
通信インタフェイスを介した通信の接続制御を行なう第1の通信制御手段と、
前記第1の通信制御手段により接続が確立された通信路を用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御手段と、
前記第2の通信制御手段による通信制御により供給される画像に基づいて画像出力処理を行なう画像出力手段と、
前記第1の通信制御手段と前記第2の通信制御手段とによる通信の切断に係わる制御を行なうリンク制御手段と
を具備し、
前記リンク制御手段は、
前記第1の通信制御手段による通信の切断を検出した場合、前記第2の通信制御手段による前記画像に係わる通信制御の状態に基づいて前記第2の通信制御手段による通信の切断処理を保留する
ことを特徴とする画像出力装置。
【請求項3】
前記第2の通信制御手段は、
前記画像に係わる通信の制御として、通信相手先装置から自装置への画像の転送と、該転送を受けた画像の前記画像出力手段への供給とを含む制御を行なう
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記リンク制御手段は、
前記画像の転送の終了後、前記第2の通信制御手段により該転送を受けた画像を前記画像出力手段へ供給している間、前記第2の通信制御手段による通信の切断処理を保留し、そうでない場合、前記第2の通信制御手段による通信を切断処理を実行する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像出力装置。
【請求項5】
画像出力装置の制御方法であって、
第1のプロトコルを用いた通信を制御する第1の通信制御工程と、
第2のプロトコルを用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御工程と、
前記第2の通信制御工程での通信制御により供給される画像に基づいて画像出力処理を行なう画像出力工程と、
前記第1の通信制御工程と前記第2の通信制御工程とによる通信の切断に係わる制御を行なうリンク制御工程と
を含み、
前記リンク制御工程では、
前記第1の通信制御工程での通信の切断を検出した場合、前記第2の通信制御工程での前記画像に係わる通信制御の状態に基づいて前記第2の通信制御工程による通信の切断処理を保留する
ことを特徴とする画像出力装置の制御方法。
【請求項6】
コンピュータを、
第1のプロトコルを用いた通信を制御する第1の通信制御手段、
第2のプロトコルを用いて画像に係わる通信を制御する第2の通信制御手段、
前記第1の通信制御手段と前記第2の通信制御手段とによる通信の切断に係わる制御を行ない、前記第1の通信制御手段による通信の切断を検出した場合、前記第2の通信制御手段による前記画像に係わる通信制御の状態に基づいて前記第2の通信制御手段による通信の切断処理を保留するリンク制御手段
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−11368(P2010−11368A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171246(P2008−171246)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】