説明

画像出力装置及びプログラム

【課題】複数台のプリンタを内蔵する画像出力装置において、印刷処理にかかる予測時間を算出する画像出力装置を提供する。
【解決手段】画像出力装置1は、利用者が持参した入力メディアから画像データを取得し、記憶部302に保持するとともに、プリント注文入力手段105により入力された注文画像および注文枚数、サイズ、画像処理方法にしたがって、プリント手段103により複数のプリンタを稼動して分散印刷処理を行う。このとき、プリント手段103は、プリント完了までに要する予測時間を、注文枚数、サイズ、画像処理の内容に応じて算出し、利用者に提示する。プリンタに故障が起きた場合には、プリンタ故障時のプリンタ処理415により、故障プリンタの未印刷の画像印刷を他の正常なプリンタに再振り分けして処理させるが、このとき、故障後からプリント完了までに要する予測時間を再計算し、利用者に提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が持ち込んだ記録媒体の画像データを印刷する画像出力装置に関し、更に詳しくは、複数のプリンタによる分散印刷にかかる予測時間を算出し提示する画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者が持ち込んだ記録媒体に記録されているデジタルカメラの画像データをプリントすることができる比較的小規模の画像プリントシステム(画像出力装置)が実用化されている(特許文献1)。
最近では、これらの画像出力装置は、印刷時間の短縮を図るため、複数台のプリンタを搭載するようになってきている。複数のプリンタを搭載した場合、1台のプリンタに故障あるいは消耗品切れ等が発生して使用できなくなった場合でも、他のプリンタは使い続けることができ、画像出力装置を稼動し続けることができるという利点がある。
また、利用者への利便性の点では、印刷にかかる時間を利用者に提示できることが望ましく、その方法として、プリント完了時刻を正確に求める画像処理装置が提案されている。
【特許文献1】特開2004−268431号公報
【特許文献2】特開2006−184725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献2の手法は、写真の画像処理、露光、現像に要する時間を正確に求めるための手法を開示しており、色補正、赤目補正、キズ補正や露光、現像にかかる時間パラメータの精度を実績値から学習により向上させる方法に特徴がある。
【0004】
しかしながら、画像処理等にかかるパラメータは各画像データにより異なり、パラメータの精度を向上することに大きな有利性は見出せない。また、複数台のプリンタによる印刷処理に対応するものではないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数台のプリンタを内蔵する画像出力装置において、印刷処理にかかる予測時間を算出する画像出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための第1の発明は、記録媒体に記録された画像データを入力する画像入力手段と、前記画像データを保持する保持手段と、前記保持手段によって保持されている前記画像データのなかで印刷する画像データを選択させ、前記印刷する画像データの印刷種別、印刷枚数、印刷サイズ、印刷画像調整を入力させる注文入力手段と、前記印刷する画像データを画像調整し、印刷枚数に応じて複数のプリンタに分散して印刷させる印刷手段と、を有する画像出力装置であって、前記印刷手段は、前記印刷する画像データの印刷所要時間予測値を算出する印刷時間算出手段と、前記印刷時間算出手段によって算出された前記印刷所要時間予測値を提示する表示手段と、を有することを特徴とする画像出力装置である。
ここで、前記印刷所用時間予測値は、印刷画像調整処理の所要時間と、前記複数のプリンタにおける分散印刷時間が最長のプリンタの最長印刷時間と、後処理時間の合計時間である。
【0007】
前記印刷画像調整処理の所要時間は、印刷画像調整処理の種類と印刷サイズとから決まる所定の処理時間と、印刷画像調整処理の回数の積和として算出する。また、前記最長印刷時間は、前記複数のプリンタの各プリンタに割り当てられた印刷について、印刷種別で決まる所定時間、印刷サイズで決まる所定時間、印刷枚数を元に算出した各プリンタの印刷時間のなかで最長の印刷時間である。
さらに、前記印刷画像調整処理は、少なくとも、赤目補正、明るさ補正、自動補正等であり、前記印刷種別は、少なくとも、通常プリント、インデックスプリントであることが望ましい。
【0008】
また、画像処理装置は、前記印刷画像調整処理の種類と印刷サイズとから決まる所定の処理時間、および、前記印刷種別で決まる所定時間、前記印刷サイズで決まる所定時間を保守する保守手段を更に有するようにしてもよい。
また、画像処理装置を通信ネットワークに接続し、前記印刷画像調整処理の種類と印刷サイズとから決まる所定の処理時間、および、前記印刷種別で決まる所定時間、前記印刷サイズで決まる所定時間を遠隔から保守する遠隔保守手段を備えてもよい。
【0009】
また、プリンタに障害が発生した場合に、前記印刷手段は、印刷が完了していない画像データの印刷を、前記障害が発生したプリンタ以外のプリンタに再分散するとともに、前記印刷時間算出手段により、前記印刷所要時間予測値を再計算し、前記表示手段により利用者に再計算した印刷所要時間予測値を提示することが望ましい。
プリンタに障害が生じた際にも、遠隔から保守する遠隔保守手段を備えてもよい。
【0010】
画像入力手段は、利用者が持参した記録媒体に記録された画像データを画像出力装置に入力する。入力された画像データは、保持手段により保持され、注文入力手段は、利用者が印刷を所望する画像データの選択や、通常プリント、インデックスプリント等の印刷種別の選択、印刷枚数、印刷サイズの入力を可能とし、さらに、赤目補正、明るさ補正、自動補正等の印刷画像調整の処理要求を利用者に入力させる。
印刷手段は、前記注文入力手段によって選択された画像データの印刷処理を複数のプリンタに分散して実行するが、印刷に先立ち、印刷時間算出手段は、印刷所要時間の予測値を、印刷画像調整処理の所要時間と、複数のプリンタの各印刷時間のなかの最長印刷時間、後処理時間の合計として算出する。算出された印刷所要時間予測値は表示手段により利用者に提示される。
【0011】
保守手段は、印画画像調整処理の種類と印刷サイズとから決まる所定の処理時間、および、印刷種別で決まる所定時間、印刷サイズで決まる所定時間を保守する。一方、画像処理装置を通信ネットワークに接続した場合には、遠隔保守手段が、印画画像調整処理の種類と印刷サイズとから決まる所定の処理時間、および、印刷種別で決まる所定時間、印刷サイズで決まる所定時間を遠隔から保守する。
【0012】
さらに、複数のプリンタのうちの少なくとも1台に障害が発生した場合に、印刷手段は、障害が発生したプリンタでの印刷が完了していない画像データの印刷を、障害が発生していないその他のプリンタに再分散して印刷する。このとき、印刷時間算出手段は、印刷所要時間予測値を再計算し、また、表示手段は、利用者に再計算した印刷所要時間予測値を提示する。
【0013】
第2の発明は、コンピュータを請求項1から請求項9の画像出力装置として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数台のプリンタを内蔵する画像出力装置において、印刷処理にかかる予測時間を算出し提示することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
まず、図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係る画像出力装置1のシステム構成について説明する。
図1は、画像出力装置1の構成を示すブロック図である。
【0016】
画像出力装置1は、画像データ読込手段101、プリント手段103、プリント注文入力手段105、課金手段109、保守手段109、通信手段111等を備える。
【0017】
画像データ読込手段101は、予め画像データが記録された入力メディア121から画像データを取得する。
入力メディア121は、例えば、スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)、ミニSD(secure digital)カード、SDメモリカード、メモリスティック、コンパクトディスク等である。
尚、本実施の形態では、画像データ読込手段101として、入力メディア121から画像データを読み取る手段のみを示しているが、スキャナ装置や撮影装置を装備し、スキャナ装置により画像を読み取る手段や、被写体をデジタルカメラ等の撮影装置により撮像し、画像データを読み取る手段を備えるようにしてもよい。
【0018】
プリント手段103は、画像データを印刷する高解像度カラープリンタであり、プリント物123を印刷する。昇華型あるいはインクジェット型など、プリンタの方式は問わない。また、プリント手段103は印刷に先立ち、画像データに対する画像処理も行う。プリント物123は、デジタルカメラ画像デジタルカメラ画像等の写真や、シールプリント、はがき等である。
【0019】
利用者は、プリント注文入力手段105を通じて、印刷を注文する画像データを選択する。プリント注文入力手段105は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(cathode-ray tube)等の表示手段と一体化されたタッチパネルや、キーボード、マウス、トラックボール等の各種ポインタを用いることができる。
プリント注文手段105は、画像データ読取手段101によって取得された画像データのサムネイル画像を表示し、プリント種別やプリント枚数、プリントサイズ、画像処理の指定を可能にする。利用者は、タッチパネルや各種ポインタを使用して、これらの指定を行うことができる。
【0020】
課金手段107は、利用者によるプリント物の注文内容に応じた料金を算出し、利用者に入金を要求する。通常、この課金手段107による利用者の入金が完了してからプリント手段103が起動され、注文された画像データの画像処理および印刷を開始する。
【0021】
保守手段109は、画像出力装置1の保守を行うもので、プリント物123の価格の設定や環境設定、ハードウエアの保守や、さまざまなログデータの参照、統計情報等の参照、ソフトウエアやパラメータ等の更新等を行う。
【0022】
通信手段111は、画像出力装置1のソフトウエアやパラメータ等の更新情報をネットワークを介して取得するとともに、ログデータや統計情報を管理会社にネットワーク等を通じて送信する。
また、プリンタなどのハードウエアに変更が生じたら、ネットワークを介して、処理時間を更新することもできる。処理時間が更新される例としては、例えば、処理時間が変更された場合、新たなサービスが追加された場合、プリンタが変更になった場合等がある。
【0023】
次に、図2を参照しながら、画像出力装置1の外観構成について説明する。図2は、画像出力装置1の1例に関する概略斜視図である。
【0024】
図2に示すように、画像出力装置1の上部正面には、タッチパネル付きの液晶ディスプレイ等のディスプレイ画面201が配置されている。タッチパネル付きディスプレイ201は、操作の案内や操作の状況、読み込んだ画像データのサムネイル画像表示等を表示する表示手段としての機能を持つとともに、利用者に印刷する写真や印刷サイズ、画像処理等をタッチパネルに触れることで選択させる入力手段としての機能を持つ。
【0025】
タッチパネル付きディスプレイ201の下部には、メディア投入口203が設けられる。メディア投入口203は、各種メディア(スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード(CFカード)、フロッピー(登録商標)ディスク、PCカード、CD−ROM等)の挿入口であり、複数の挿入口が1箇所にまとめて配置されている。
また、画像出力装置1の筐体内には、上記の各記録媒体の挿入口に対応して、それぞれの媒体の読取・書込み装置の本体(図示しない)が設置されている。各挿入口には、料金の徴収が完了するまで記録媒体を取り出せないようにシャッター(図示しない)を備えてもよい。
【0026】
画像出力装置1の下段部には、料金投入口(硬貨投入口205、紙幣挿入口207)、つり銭返却口209、レシート取出口215、プリント物取出口211、メンテナンスキー213、ドア開閉キー217等がそれぞれ配置されている。
【0027】
料金投入口(205、207)、つり銭返却口209、レシート取出口215は、課金手段として機能する。
利用者は、硬貨投入口205に硬貨を投入したり、紙幣挿入口207に紙幣を挿入することにより料金を支払う。釣銭がある場合にはつり銭返却口209から放出される。
また、料金徴収後、徴収金額や注文内容等が印刷されたレシートがレシート取出口215から放出される。画像出力装置1の筐体内には、レシート取出口215に対応してレシート印刷用プリンタが設けられている。
【0028】
プリント物取出口211からは印刷済みのプリント物が放出される。図2では、プリント物取出口211が3つ装備されている(211−1、211−2、221−3)。通常、画像出力装置1の筐体内には、複数枚の画像プリントを同時に行えるよう複数のプリンタ本体(図示しない)がプリント物取出口211につながる位置に設置されている。図2の場合、3台のプリンタに対応して3つのプリント物取出口(211−1、211−2、211−3)を備えている。
【0029】
利用者は、タッチパネル付きディスプレイ201に設けられたタッチパネルにより画像の選択やプリントの実行を指示し、指示に従ってプリンタ本体によって印刷され、プリント物取出口211から放出されるプリント物123を受け取る。
【0030】
メンテナンスキー213は、利用者が画像出力装置1を利用可能な運転モードと、管理者が画像出力装置1のメンテナンスや設定、レシートの再印刷等を行う管理モードを切り替えるキーである。
【0031】
また、画像出力装置1の筐体内には、図示しないが、画像出力装置1の各構成部分を制御するための制御部を含むパソコンや、電圧の変換を行う電源ボックス、停電時に制御部のCPUやハードディスク等の破損を防ぐ無停電電源装置等が設けられる。
【0032】
次に、図3を参照しながら、画像出力装置1のハードウエア構成について説明する。
画像出力装置1は、制御部301、記憶部302、入出力部303(CD−ROMドライブ装置、キーボード、マウス等)、通信部304、各種メディア読取部305、シャッター306、モニタ(タッチパネル付き)307、コインメック308、ビルバリ309、レシートジャーナル処理部310、プリンタ311等がバス312を介して接続される。
【0033】
制御部301は、プログラムの実行を行うCPU(central processing
unit)と、プログラム命令あるいはデータ等を格納するためのRAM(random access memory)、ROM(read only memory)等で構成される。制御部301は、記憶部302等に格納されたプログラムに従って、バス312を介して接続された各装置を制御する。
【0034】
記憶部302には、各構成部分を制御するプログラム、例えば、画像入力プログラム、シャッターの開閉制御プログラム、課金処理プログラム、プリンタ制御用プログラム、レシート印刷処理プログラム、保守プログラム、後述するプリント時間算出処理プログラム等のプログラムや、画像データ、各種制御データ等が格納されている。
【0035】
これらのプログラム・コードは、制御部301により必要に応じて読み出され、RAMに移され、CPUに読み出されて各種機能として実行される。
【0036】
入出力部303(CD−ROMドライブ装置、キーボード、マウス等)は、制御部301のROMや記憶部302に格納されているプログラムや情報を更新したり、画像出力装置1の動作等の設定を行う画像出力装置1のメンテナンス時に用いられる。メンテナンスキー213により管理モードに切り替えて、入出力部303にプログラム更新用のCD−ROMを挿入し、データの書き換えを行なったり、設定データを入力することによりメンテナンスを実行する。
【0037】
通信部304は、インターネットやPHS(personal handy-phone
system)等の通信機能を持つもので、画像出力装置1の各種ログ情報や統計情報等を管理会社に送信したり、プログラム更新を行う場合に更新ソフトウエアを受信したりする。
【0038】
各種メディア読取部305は、画像入力機能の役割を果たす。シャッター306は、各記録媒体挿入口に設けられ、記録媒体の挿入口を開閉し、読取処理の最中や、課金処理が完了するまで、記録媒体を取り出せないようにする。
【0039】
利用者は、モニタ307に表示された操作案内に従って、モニタ307に設置されたタッチパネルに触れることにより、画像入力時の画像選択や、プリント指示、プリント物出力までの一連の操作を行える。
【0040】
コインメック308、ビルバリ309、レシートジャーナル処理部310は、課金機能の役割を果たす。コインメック308は硬貨投入口205に対応して画像出力装置1の内部に設けられ、硬貨の入出力を管理する。また、ビルバリ309は、紙幣挿入口207に対応して画像出力装置1の内部に設けられ、紙幣の入出力を管理する。また、レシートジャーナル処理部310は、レシート取出口215に対応して画像出力装置1の内部に設けられ、レシート印刷を行う。
【0041】
また、プリンタ311は、利用者により選択され、プリント指示が行われた画像データの印刷出力処理を行う。画像出力装置1には、複数枚の画像を同時に印刷し、印刷時間の短縮を図るため、複数台のプリンタ311(同図ではプリンタ1(311−1)、プリンタ2(311−2)、プリンタ3(311−3)の3台、)が備えられる。
【0042】
次に、図4に沿って、画像出力装置1の動作について説明する。
図4は、画像出力装置1の動作の流れの説明図である。
【0043】
画像出力装置1の制御部301は、まず、利用者に入力メディア121をメディア投入口203に挿入させるように促す指示画面をモニタ307(201)に表示する。利用者が持参した入力メディア121をメディア投入口203に挿入すると、制御部301は、画像データ読込手段101を起動し、各種メディア読み取り部305の当該入力メディア121に適合するメディア読み取り部を起動し、挿入された入力メディア121の画像データを取得する。
取得された画像データは、記憶部302の画像データ領域801に格納される。
【0044】
次に、制御部301は、プリント注文入力手段105により、取得された画像データのサムネイル画像をモニタ307(201)に表示し、利用者にプリントする画像の選択と、各選択画像のプリント枚数を指定させ、さらに、プリントサイズや画像調整等の指定を行わせる。
【0045】
図5は、サムネイル画面501の例である。利用者が挿入したメディアから取得した画像データのサムネイル画像(001〜015)がモニタ307(201)上に表示される。
利用者は、プリントしたい画像のプリント枚数(注文枚数)を例えば、「+」あるいは「−」の部分のタッチパネルに触れることにより設定する。利用者により設定された枚数が、注文枚数として表示される。
【0046】
サムネイル画面501には、例えば、サムネイル画像を拡大したいときに使用する「拡大」ボタン507や、プリントサイズ選択用のボタン505、画像調整を指定する場合に押すボタン503、プリント枚数設定完了後に押す「お支払いへ」等のボタン509が設けられる。これらのタッチパネル・ボタンに触れることにより、対応する処理が実行される。
【0047】
例えば、サムネイル画像012の画像調整を行うために、利用者がサムネイル画像012を選択したうえ画像調整ボタン503を押すと、例えば、図6に示すような画像調整画面601がモニタ307(201)上に表示される。
画像調整画面601には、例えば、元の写真603と、写真調整の種類を選択するためのボタン(607、609、611)、写真調整後の画像605等が表示される。
写真の調整の種類は、例えば、明るさの調整(より明るく、より暗く)607、自動補正(明るさ、コントラスト等の自動補正をするかしないか)609、赤目補正(する、しない)611等である。それぞれのボタンを利用者に選択させることにより、元の画像603に対して選択された調整が施された調整後の画像605が表示される。
【0048】
画像調整画面601には、その他、利用者が画像調整処理を完了する場合に選択するための「OK」ボタン613、選択した調整内容をリセットするためのボタン615、サムネイル画面501に戻るためのボタン617等が表示される。
利用者が「OK」ボタン613を選択した場合は画像調整が終了したとして、または「写真一覧に戻る」ボタン617を選択した場合にはサムネイル画面501に戻り、他の写真に対する注文入力が継続される。
【0049】
利用者によりプリント画像とその枚数、プリントサイズ、画像調整等が指定されると、プリント注文入力手段105は、例えば、図7(a)に示すような注文画像テーブル901を作成する。
注文画像テーブル901は、利用者が選択したプリント画像のサムネイル番号903と、プリントサイズ905、枚数907、画像調整の設定909等からなり、記憶部302内に置かれる。
【0050】
利用者がプリント枚数やプリントサイズ、画像調整の設定を完了する(「お支払いへ」のボタン509を押す)と、次に、制御部301は、課金手段107により課金処理を実行する。すなわち、合計金額等を算出し、モニタ307(201)に表示し、利用者に代金の投入を促す(ステップ405)。
利用者が料金を硬貨投入口205や紙幣挿入口207から投入し、投入金額が合計金額を上回ると、制御部301は、プリント手段103を起動し、プリント処理を開始する。
【0051】
プリント手段103は、プリンタ分散処理701、プリント時間算出処理702、画像調整処理703等からなる。
プリンタ分散処理701は、利用者が複数枚のプリント注文をした場合に、その印刷処理を複数のプリンタ311−1、311−2、311−3に分散する処理である。
また、プリント時間算出処理702は、印刷に先立ち、印刷完了までにかかる予測時間を算出し、モニタ307(201)に表示する処理である。
画像調整処理703は、記憶部801に格納されている画像データ801を、利用者の画像調整指定(図7(a)の注文画像テーブル901の画像調整909)に従って処理し、印画データ803を作成し、プリンタ311で印刷する処理である。
【0052】
まず、制御部301はプリンタ分散処理701を起動し、注文画像テーブル901を参照し、注文画像を複数台のプリンタ(311−1、311−2、311−3)に振り分け、図7(b)に示すようなプリンタ分散テーブル911を作成する。プリンタ分散テーブル911は記憶部302内に設けられる。
【0053】
図7(a)の注文画像テーブル901の場合、画像002がL判で2枚、画像003がハガキ判で1枚、画像004がL判で2枚、というように注文されているが、プリンタ分散処理701は、これを3台のプリンタに分散し、例えば、図7(b)に示すように、画像002をプリンタ1(311−1)、画像003をプリンタ2(311−2)、画像004をプリンタ3(311−3)、画像005をプリンタ2(311−2)、画像7をプリンタ1(311−1)というように分散する。
【0054】
上述の例では、各プリンタに1画像ずつ振り分けた後、振り分けたプリント枚数の少ない順に次の画像を振り分けていく方法を採っているが、この分散方法はこの方法に限ることなく、どのような方法でもよい。
図7(b)のプリンタ分散テーブルの例では、プリンタ1で、画像002(L判)2枚、画像007(L判)1枚、画像010(L判)2枚、およびインデックスを、プリンタ2で、画像003(ハガキ判)1枚、画像005(L判)2枚、画像011(L判)2枚を、プリンタ3で、画像004(L判)2枚、画像008(L判)2枚、および、画像012(2L判)5枚を印刷することを示している。
【0055】
また、このプリンタ分散処理701において、プリンタ311からのプリンタ情報807を取得し、この情報に基づいてプリンタ分散を行うようにしてもよい。
プリンタ情報807は、例えば、プリンタ311のインクや印刷用紙等の消耗品の残量、プリンタ311の故障情報等であり、複数のプリンタ311−1、311−2、311−3のそれぞれのプリンタ情報807が送られる。
各プリンタ311に画像の印刷を振り分ける場合、消耗品の残量が少ないプリンタ311に振り分ける画像枚数を減らしたり、故障しているプリンタ311には振り分けないようにする。
【0056】
次に、制御部301はプリント時間算出処理702を起動し、注文された画像の印刷にかかる予測時間を算出する。
図8は、プリント時間算出処理702の処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
まず、制御部301は、記憶部302内の注文画像テーブル901を検索し、画像調整を行う写真を抽出し、画像調整の種類とそのプリントサイズ、処理回数を求める(ステップ1001)。
図7(a)に示した注文画像テーブル901の場合、明るさ調整(b)のハガキ判が1回、L判が1回、2L判が1回、自動補正(a)のL判が2回、赤目補正(r)の2L判が1回である。
【0058】
次に、制御部301は、画像調整にかかる時間であるプリント準備時間TBを算出する(ステップ1002)。
すなわち、各処理の回数と、各処理にかかる時間の積和がプリント準備時間TBとなる。
プリント準備時間TBの算出には、例えば図7(c)に示すような各処理にかかる時間を記録した処理時間テーブル921を用いる。
処理時間テーブル921は、例えば、プリントサイズ923ごとに印刷時間925、明るさ(b)、自動補正(a)、赤目補正(r)等にかかる画像処理時間927が格納されている。
例えば、L判と2L判、ハガキ判、インデックスの印刷時間はそれぞれt1、t2、t3、t4である。各プリンタ(311−1、311−2、311−3)で印刷時間が異なる場合には、各プリンタについて各プリントサイズの印刷時間を格納するようにしてもよい。
【0059】
次に、制御部301は、プリンタ分散テーブル911を参照し、各プリンタ311の合計プリント時間TPを算出する(ステップ1003)。
例えば、プリンタ1ではL判を5枚、インデックスを1枚印刷するので、プリンタ1の印刷時間tp1はt1×5+t4×1になる。同様に他のプリンタ2、プリンタ3についての印刷時間tp2、tp3を求める。
そして各プリンタ(311−1、311−2、311−3)の印刷時間tp1、tp2、tp3のなかの最長印刷時間max(tp1、tp2、tp3)をプリント時間TPとする(ステップ1004)。
【0060】
以上に求めたプリント準備時間TBおよびプリント時間TPに後処理時間TAを加えた時間がプリント完了時間Tとなる(ステップ1005)。
後処理時間TAは、印刷処理後にプリント物123がプリント物取出口211に排出されるのにかかる時間等である。
【0061】
制御部301は、以上のプリント時間算出処理702で求められたプリント完了時間Tをモニタ307(201)に表示し、例えば図9に示すように、利用者に印刷完了にかかる時間を提示する。
図9は、印刷処理時間表示画面1101の例である。
印刷処理時間表示画面1101には、例えば、プリント完了時間Tが印刷所要時間(1103)として表示されるとともに、印刷にかかる残り時間1105が表示される。
【0062】
次に、制御部301は、実際に画像調整処理703を実行する。
画像調整処理703は、注文画像テーブル901を参照し、記憶部302内の画像データ801から印刷する画像を取り出し、注文画像テーブル901の画像調整指定に応じて画像調整処理を施し、さらに、プリンタ分散テーブル911を参照して、複数のプリンタ311の各プリンタ311−1、311−2、311−3で印刷する画像の印刷画像データ803(803−1、803−2、803−3)として蓄える。
【0063】
そして、最後に、制御部301はプリンタ311(311−1、311−2、311−3)に各印刷画像データ803(803−1、803−2、803−3)を送り、各プリンタで印刷処理が実行される。
図7(b)のプリンタ分散テーブルの例であれば、例えば、プリンタ1(311−1)は画像002、画像007、画像010、インデックスをプリント物123−1としてプリント物取出口211−1に出力する。
同様の印刷処理がプリンタ2(311−2)、プリンタ3(311−3)でも実行され、プリンタ2(311−2)は画像003と画像005、画像011をプリント物123−2としてプリント物取出口211−2から、プリンタ3(311−3)は画像004と画像008、画像012をプリント物123−3としてプリント物取出口211−3から出力する。
【0064】
以上の処理により、利用者は持参したメディアに記録されている画像データから印刷させる画像データを選択し、印刷枚数、印刷サイズ、画像調整の指定を行い、指定された料金を投入することにより指定したプリント物を得ることができ、この際、印刷に先立って印刷所要時間を把握することが可能になる。
【0065】
以上の処理において、図7(c)に示したような処理時間テーブル921の時間データを保守することが可能である。この保守処理は、処理時間が実際の時間に適合しなくなったり、新たなサービスが追加された場合、プリンタを入れ替えた場合等に必要となる。
その場合には、画像処理装置1前面のメンテナンスキー213の操作等により管理モードに切り替え、制御部301が保守手段109を起動し、保守手段109によって、記憶部302内の処理時間テーブル921をキーボード等によりマニュアルで書き換えたり、CD−ROM等に予め書き込んだ保守データを入出力部303から入力して書き換える。
また、画像処理装置1を通信部304を介してネットワーク等に接続することにより、遠隔から処理時間テーブル921のデータを保守することも可能である。
【0066】
次に、プリンタ障害時のプリント処理805について説明する。
図10は、プリンタ障害時のプリント処理805の流れを示すフローチャートである。
【0067】
プリンタ障害には、用紙切れやインク切れ等の消耗品切れや、用紙送り等の機械的故障、データ転送等の電子的故障等が挙げられる。どの故障の場合でも、プリンタが故障すると、そのプリンタでの印刷は不可能になる。
本実施の形態の画像出力装置1では、複数(例えば3台)のプリンタが内蔵されており、通常は、印刷処理を複数のプリンタに分散して処理している。
ここで、プリンタ障害が発生した場合、障害が発生したプリンタで印刷するべき未印刷の画像データは、他に正常なプリンタがある場合、正常なプリンタで印刷することが可能である。
ただし、すべてのプリンタが故障した場合には、代替して印刷することは不可能である。
以下にプリンタ障害の処理方法を説明する。
【0068】
プリンタ障害時には、障害が発生したプリンタからプリンタ情報807が出力される。プリンタ情報807の内容は、障害発生を示す情報、障害の種類(用紙切れ、インク切れ、紙詰まり、電子的故障等)、消耗品の残量等である。
プリンタ情報807は例えば割り込み信号として制御部301に送られる。制御部301は、プリンタ情報807を受け取ると、保守手段109を稼動するとともに、プリント手段103内のプリンタ故障時のプリント処理805を稼動する。
保守手段109は、例えば、プリンタ情報807を受け取り、プリンタ故障を示す情報をモニタ307(201)に表示させるとともに、記憶部302に障害ログ情報として故障内容を記録する。これらの保守手段109による処理は本発明の主旨ではないので、詳細な説明は省く。
【0069】
プリント手段103のプリンタ故障時のプリント処理805は、まず、このプリンタ情報807を受け取る(ステップ1201のYes)。プリンタ情報807には、故障したプリンタの番号や故障の内容等が含まれる。
【0070】
次に、故障したプリンタの番号から故障プリンタの未印刷画像データを他の正常なプリンタに振り分け、プリンタ分散テーブル911を再作成する(ステップ1202)。例えば、プリンタ1(311−1)に故障が生じた場合には、他のプリンタ2(311−2)およびプリンタ3(311−3)の未印刷画像データに加えて、プリンタ1でまだ印刷の済んでいない画像データを、振り分け、プリンタ分散テーブル911を生成する。
このとき、他のプリンタ2(311−2)およびプリンタ3(311−3)のプリンタ情報807を参照し、消耗品の残量等を考慮して再振り分けを行うようにしてもよい。
【0071】
次に、制御部301はプリンタ時間算出処理702を起動し、プリント処理時間の再計算を行う(ステップ1203)。
プリンタ時間算出処理702は、通常時の処理(図8)と同様であり、プリント完了時間Tは、プリント準備時間TBとプリント時間TP、後処理時間TAの和である。
このとき、プリント準備時間TBは、故障プリンタから他のプリンタに再振り分けされた画像データの画像調整処理にかかる時間である。
【0072】
再計算されたプリント完了時間Tは、例えば、図11に示すように、モニタ307(201)に表示される。
図11は、プリンタ障害表示画面1301の例である。画面には、例えば、プリンタ障害の発生通知1303と、再計算した印刷所要時間T1305が表示される。
【0073】
その後、制御部301は、再振り分けされた画像データについての画像調整処理を実行し、各プリンタ毎の印刷画像データ803を作成する(ステップ1204)。
そして制御部301は、各プリンタ311に印刷画像データ803を送り、プリンタ311は印刷処理を実行する(ステップ1205)。
【0074】
以上のように、プリンタ故障時に、画像データの再振り分けを行い、これに伴って印刷所要時間Tの再計算を行うことにより、故障後にかかる印刷時間を利用者に提示することが可能になる。
【0075】
尚、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能であり、それらも、本発明の技術範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施の形態に係る画像出力装置1の構成を示すブロック図
【図2】画像出力装置1の外観斜視図
【図3】画像出力装置1のハードウエア構成図
【図4】画像出力装置1の動作を説明する図
【図5】サムネイル画面例の説明図
【図6】画像調整画面例の説明図
【図7】画像出力装置1による印刷時に使用するテーブルの説明図
【図8】プリント時間算出処理の流れを示すフローチャート
【図9】印刷処理時間表示画面例の説明図
【図10】プリンタ障害時の処理の流れを示すフローチャート
【図11】プリンタ障害表示画面例の説明図
【符号の説明】
【0077】
1………画像出力装置
101………画像データ読取手段
103………プリント手段
123………プリント物
201、307………タッチパネル付ディスプレイ(モニタ)
203………メディア投入口
301………制御部
302………記憶部
311………プリンタ
701………プリンタ分散処理
702………プリンタ時間算出処理
703………画像調整処理
801………画像データ
803………印刷画像データ
805………プリンタ故障時のプリント処理
807………プリンタ情報
901………注文画像テーブル
911………プリンタ分散テーブル
921………処理時間テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データを保持する保持手段と、
前記保持手段によって保持されている前記画像データのなかで印刷する画像データを選択させ、前記印刷する画像データの印刷種別、印刷枚数、印刷サイズ、印刷画像調整を入力させる注文入力手段と、
前記印刷する画像データを画像調整し、印刷枚数に応じて複数のプリンタに分散して印刷させる印刷手段と、
を有する画像出力装置であって、
前記印刷手段は、前記印刷する画像データの印刷所要時間予測値を算出する印刷時間算出手段と、
前記印刷時間算出手段によって算出された前記印刷所要時間予測値を提示する表示手段と、
を有することを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記印刷所用時間予測値は、印刷画像調整処理の所要時間と、前記複数のプリンタにおける分散印刷時間が最長のプリンタの最長印刷時間と、後処理時間の合計時間であることを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記印刷画像調整処理の所要時間は、印刷画像調整処理の種類と印刷サイズとから決まる所定の処理時間と、印刷画像調整処理の回数の積和として算出することを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記最長印刷時間は、前記複数のプリンタの各プリンタに割り当てられた印刷について、印刷種別で決まる所定時間、印刷サイズで決まる所定時間、印刷枚数を元に算出した各プリンタの印刷時間のなかで最長の印刷時間であることを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記印刷画像調整処理は、少なくとも、赤目補正、明るさ補正、自動補正等であることを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記印刷種別は、少なくとも、通常プリント、インデックスプリントであることを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項7】
前記印刷画像調整処理の種類と印刷サイズとから決まる所定の処理時間、および、前記印刷種別で決まる所定時間、前記印刷サイズで決まる所定時間を保守する保守手段を更に有することを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4のいずれかに記載の画像出力装置。
【請求項8】
通信ネットワークに接続され、
前記印刷画像調整処理の種類と印刷サイズとから決まる所定の処理時間、および、前記印刷種別で決まる所定時間、前記印刷サイズで決まる所定時間を遠隔から保守する遠隔保守手段を更に有することを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4のいずれかに記載の画像出力装置。
【請求項9】
前記印刷手段は、プリンタに障害が発生した場合に、印刷が完了していない画像データの印刷を、前記障害が発生したプリンタ以外のプリンタに再分散するとともに、前記印刷時間算出手段により、前記印刷所要時間予測値を再計算し、前記表示手段により利用者に再計算した印刷所要時間予測値を提示することを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項10】
コンピュータを請求項1から請求項9の画像出力装置として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−310541(P2008−310541A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157007(P2007−157007)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】