説明

画像出力装置

【課題】 複数の同一画像出力装置を同一環境設定にて同時使用し、画像出力を高速に処理することを所望した際に使用画像出力装置の環境設定をユーザーに煩雑な作業をさせることなく統一設定にする。
【解決手段】 同一インターフェース上に複数台の同一画像出力装置が接続されている画像出力システムにおいて、任意の一台の画像出力装置の環境パラメータ設定を変更することで、同時に他の同一画像出力装置の環境パラメータ設定を連動適用させることにより、環境パラメータ設定の統一設定を可能とする。これにより、ユーザーに煩雑な作業をさせることなく所望する画像出力装置の環境を統一設定にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一インターフェース上に接続された複数の画像出力装置に関し、前記画像出力装置に設定される環境パラメータ設定を、複数の画像出力装置に連動、適用させる処理方法に係り、特に複数の画像出力装置を同一環境設定にて同時使用し、画像出力を高速に処理するための画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像出力装置においてPC等のデータ処理装置から画像データを受信するために実装されるインターフェースには多種多様なものが存在しているが、ローカルエリアネットワーク(以下LANと呼ぶ)の様に複数のデータ処理装置を接続し、ファイルなどのデータ共有を容易にする環境の普及により、画像出力装置においても複数のデータ処理装置が接続されたインターフェース環境に直接接続し、複数のユーザー間で共有使用するためのインターフェースが標準、またはオプションで用意されることが一般的となっている。
【0003】
そのため、同一インターフェース上に複数のデータ処理装置と画像出力装置を接続し、複数ユーザーおよびデータ処理装置による画像出力装置の共有使用が企業に限らず、学校等の教育機関・家庭等でも一般的に用いられるようになってきた。
【0004】
また、企業においては、同一インターフェース上に複数のデータ処理装置と複数の画像出力装置を接続し、部署ごと等の必要に応じた範囲内で必要とされる画像出力装置の共有使用が行われているのが一般的である。
【0005】
その中でも大量の出力を取り扱う出版業界やプリントラボなどでは、同一画像を等しい画質で大量かつ高速に出力するための手段として同一画像出力装置を複数台購入、データ処理装置と共に同一インターフェース上に接続・共有使用し、必要に応じて共有使用している画像出力装置のうち複数台の同一画像出力装置を一時的に特定ユーザーが占有して同時に使用を行い、複数台の同一画像出力装置から一度に出力させる等の手段を用いている企業も少なくない。
【0006】
また、前記手段を実現するためにデータ処理装置とデータ処理装置に接続された複数台の画像出力装置の中間に配備し、前記各画像出力装置の状態を監視しながら前記データ処理装置から出力される複数枚の印刷データを各頁単位に分割して前記各画像出力装置に並列同時出力し、効率的に印刷処理させることを可能にする方法等も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、画像出力装置による出力画質は、プリンタドライバからの印刷モード設定等も然ることながら、各画像出力装置が持つ、使用フォント、印字動作(画質優先・登録優先など)の選択、諧調処理、補正機能、レイアウト処理の有無といった設定値(以下、総じて環境パラメータ設定と呼ぶ)によっても出力結果に影響を与える。
【0008】
前記環境パラメータの設定は、画像出力装置自体が持つオペレーションパネル上での設定値変更、またはリモートユーザーインターフェース(以下リモートUIと呼ぶ)と呼ばれる、データ処理装置から離れた場所にある画像出力装置を、接続されたインターフェース上で各画像出力装置に割り振られているアドレス値、LAN環境であればIPアドレスを指定して、画像出力装置が持つ設定値変更用のソフトウェアを呼び出し、各画像出力装置の設定値変更を行う必要がある。
【0009】
そのため、前述のように特定ユーザーが複数の同一画像出力装置を同時に使用し、大量画像出力の高速化を行う際に画質を統一にするためには、同時使用する全ての画像出力装置の環境パラメータ設定を統一する必要性があった。
【特許文献1】特開平10−31570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記の環境パラメータ設定は画像出力装置ごとに個別設定が必要であり、複数台の画像出力装置を統一設定にて用いる場合には、統一環境で使用することを所望する画像出力装置一台ごとにそれぞれの設置場所に赴き、必要台数分の画像出力装置で操作パネルを用いて所望の環境パラメータ値に設定を変更するか、リモートUIを用いて各個のプリンタを指定するためのアドレスを一台ずつ指定し、統一設定で使用したい台数分の設定変更を個別に行う必要があり、ユーザーに煩雑な作業を実施させる必要性があった。
【0011】
また、前述のように画像出力装置を複数ユーザーにより共有使用している環境においては、複数の同一画像出力装置の同時使用を所望するユーザーが、時間をかけて一台ごとに画像出力装置の環境パラメータ設定を変更し、統一設定を実現したとしても、画像データ送信前、あるいは設定中に他ユーザーにより環境パラメータ設定を再度変更されてしまう可能性もあり、統一設定で出力したつもりであっても出力結果が異なっているといった問題があった。
【0012】
さらに、前記特許文献1の従来提案においても前記問題点は考慮されておらず、必要に応じて使用者が個別に設定変更するなどの煩雑な作業を行わざるを得なかった。
【0013】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、使用者が同時に同一ネットワーク上の複数台の画像出力装置を使用することを所望した際に、画像出力装置ごとの環境パラメータ設定を個別設定するような煩雑さを軽減することが可能となり、さらに連動適用される画像出力装置において、連動適用した画像出力装置が不要となった時点で使用者の手を煩わせることなく元の環境パラメータ設定に戻すことが可能となり、より利便性を向上することができる画像出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前記課題を解決するもので、画像出力装置上に同一インターフェース上に接続されている同一画像出力装置を検出するための同一装置検出手段と任意の画像出力装置に設定された環境パラメータ設定を他の同一画像出力装置に連動適用させるための連動適用手段とを設け、特定ユーザーが複数台の同一画像出力装置を一時的に占有して同時使用することを所望した際に、一台の画像出力装置の環境パラメータ設定を変更することで、同時に他の同一画像出力装置の環境パラメータ設定も連動適用させることにより従来ユーザーに実施させていた画像出力装置ごとの環境パラメータ設定を個別設定するような煩雑さを軽減させ、一台の画像出力装置の設定値のみ変更することで環境パラメータ設定の統一設定を可能とする。
【0015】
但し、複数台の同一画像出力装置を必要とする場合であっても、同一インターフェース上にある全ての同一画像出力装置を占有してしまった場合には、同一インターフェース上の他のデータ処理装置からの前記画像出力装置を用いた出力ができなくなってしまい、問題となる可能性が高いため、前記連動適用手段による環境パラメータ設定変更の連動適用可否を選択する連動適用選択手段および前記連動適用選択手段により環境設定変更の連動適用が許諾されている画像出力装置を検出する連動装置検出手段を設け、ユーザーが予め連動適用選択手段により連動適用する画像出力装置を選択しておくことで、前記連動装置検出手段により検出される画像出力装置を限定し、統一設定を所望する画像出力装置の環境パラメータ設定のみ統一設定に変更することを可能とする構成とした。
【0016】
さらに前記連動適用選択手段により環境パラメータ設定変更の連動適用が許諾されている画像出力装置であっても使用中であった場合には、環境パラメータ設定を変更されてしまうと画質に影響が出てしまうため、使用中は前記連動装置検出手段による検出に応答しない機能有する構成とした。
【0017】
また、使用者が前記連動適用選択手段により連動適用が許諾されている全ての画像出力装置で常に連動適用を所望することは少ないため、前記連動装置検出手段により検出された画像出力装置を抽出し、使用者に連動適用の可否を選択させる連動適用指示手段を具備する構成とした。
【0018】
さらに、連動適用手段により環境パラメータの設定を変更される画像出力装置は、変更前の環境パラメータ設定を保持し、環境パラメータ設定の統一が不要となった時点で元の環境パラメータ設定に戻す環境復元機能を有することで使用者の手を煩わせることなく元の環境パラメータ設定に戻すことを可能とする構成とした。
【0019】
また、前記連動適用手段により環境パラメータ設定を変更された画像出力装置は、設定後に他の使用者により環境パラメータ設定を再度変更されてしまうことを防止するため、前記連動適用手段を実行した画像出力装置からのデータ、コマンド以外は環境パラメータ設定に対する要求を受け付けない状態に移行するロック機能を有する構成とした。
【0020】
なお、さらに説明すれば、本発明の第一の発明について下記のように示す。
【0021】
(1)同一インターフェース上に接続された同一画像出力装置を検出するための同一装置検出手段と任意の画像出力装置に設定された環境パラメータ設定を、他の同一画像出力装置に連動適用させるための連動適用手段と、前記連動適用手段による環境パラメータ設定変更の可否を選択する連動適用選択手段と、前記連動適用選択手段により環境設定変更が許諾されている画像出力装置を検出する連動装置検出手段を有する画像出力装置において、同一インターフェース上に複数台の前記画像出力装置が接続されている画像出力システム上で任意の画像出力装置の環境パラメータ設定変更に連動して、前記連動装置検出手段により検出された装置の環境パラメータ設定を統一設定にする機能を具備することを特徴とする画像出力装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、同一ネットワーク上に同機種の画像出力装置が複数存在する画像出力システムにおいて、一つの画像出力装置の環境パラメータ設定を変更することにより、同一ネットワーク上に存在する他の同機種画像出力装置の環境パラメータ設定を必要となる台数分、同一の設定に連動適用することができる。これにより、従来の問題点を解決し、使用者が同時に同一ネットワーク上の複数台の画像出力装置を使用することを所望した際に、画像出力装置ごとの環境パラメータ設定を個別設定するような煩雑さを軽減することが可能となる。
【0023】
さらに連動適用される画像出力装置において環境パラメータ設定の連動適用前データの保存と、連動適用解除後の前記連動適用前環境パラメータ設定の復元機能を追加することにより、連動適用した画像出力装置が不要となった時点で使用者の手を煩わせることなく元の環境パラメータ設定に戻すことが可能となり、より利便性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係る第一実施例について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施例における画像出力システムの一例を示す図である。図1においてネットワーク101にはデータ処理装置102、および画像出力装置103〜105が接続されており、画像出力装置103〜105は同機種である。
【0027】
この画像出力システムにおける処理の概略動作は下記のようになる。
【0028】
使用者はデータ処理装置102上にてアプリケーションソフトウェア等を用いて文書、図面などの印刷する元データを作成し、接続されたネットワーク101を介して、同一ネットワークに接続されている画像出力装置103〜105のいずれかを選択し、選択した画像出力装置に印刷実行命令と印刷データを送信し印刷を実行する。
【0029】
図2は、上述した図1に示す画像出力装置103〜105の構成例を示すブロック図である。本装置は各部相互に内部バス208で接続されているCPU201、ROM202、RAM203、ネットワークインターフェース204、オペレーションパネル205、エンジンインターフェース206とエンジンインターフェース206に接続された印刷エンジン207から構成されている。
【0030】
本発明の処理手段に相当するCPU201は、ROM202に格納されている処理プログラムおよび画像処理装置の制御プログラムに従って種々の処理を実行する。ROM202は電気的に書き換え可能な不揮発性のメモリから構成されており、前記制御プログラムの他に、環境パラメータの設定データ、自装置の機種を示す機種識別子、連動適用許可状態を示すフラグデータ、ネットワークインターフェースに各個に重複することなく割り当てられるIPアドレスなども合わせて保持し、必要に応じて読み出し、書き換えなどが行われる。RAM203はCPU201のワークメモリとして動作する。
【0031】
ネットワークインターフェース204はコネクタおよび各インターフェースの通信仕様に基づいたデータの送受信を行うための通信回路、各種設定値、およびネットワークインターフェースが重複することなく各個に有するMACアドレスなどを保存するためのEEPROM等から構成されており、インターフェースケーブルを用いてデータ処理装置と接続され、データ処理装置から印刷データの受信を行う。
【0032】
オペレーションパネル205は使用者による装置に対する設定の入力を行う入力機能、および装置から使用者への通知を行うための表示装置を備えており、本実施例において環境パラメータ設定、および連動適用許可の設定など使用者の指示入力のために使用する。
【0033】
エンジンインターフェース206はネットワークインターフェース204を介してデータ処理装置から受信した印刷データをCPU201、RAM203を用いて処理し、出力可能なデータ形式に変換したものを印刷エンジン部207に転送する。印刷エンジン部207は具体的には、記録媒体に色材を転写することによって画像を形成する画像形成ユニットおよび記録媒体の給紙・排紙を行う用紙搬送機構、各種エラー検出用のセンサーなどから構成されている。
【0034】
画像出力装置103〜105は同機種であるため、全て同一の構成となる。
【0035】
本発明によれば同一ネットワーク上に同機種の画像出力装置(例えば画像出力装置103〜105)が複数存在するような場合に、ネットワーク上の一つの画像出力装置において、使用者により前記オペレーションパネル205を用いて設定された環境パラメータ設定が変更された場合に、同一ネットワーク上の他の同機種の画像出力装置の環境パラメータ設定を同一の設定に連動適用することができる。
【0036】
図3は、図1に示した画像出力システムにおける環境パラメータ設定の連動適用手順を示すフローチャートである。以下、図3を参照し適用手順を説明する。
【0037】
同図には使用者により直接前記オペレーションパネル205を用いて環境パラメータ設定の変更を受ける画像出力装置103と前記設定を連動適用する画像出力装置104の動作を並列に記してある。実線の矢印でそれぞれの装置内での動作処理の進行を示し、破線の矢印で装置間のデータ、コマンド、ステータスの通信を示している。
【0038】
まず、ステップS301において使用者はオペレーションパネル205を用いて画像出力装置103の環境パラメータ設定を所望の設定に変更を行い、画像出力装置103のROM202に設定データを記憶させる。
【0039】
この際、画像出力装置103はオペレーションパネル205上の表示装置を用いて使用者に対し、複数台の同一画像出力装置に環境パラメータ設定を連動適用させることを所望するかを確認し(ステップS302)、連動適用させないことを選択した場合には、印刷データの受信を待つオンラインモードとなり終了する。
【0040】
ステップS302で使用者が同一画像出力装置に環境パラメータ設定を連動適用させることを選択した場合には、ネットワークにブロードキャストで環境パラメータ連動適用要求を送信し(ステップS303)、一定時間応答を待つ(ステップS304)。なお、前記応答待ち時間は予めオペレーションパネル205を用いて使用者により設定されたデータをROM202が有しており、その設定時間に従う。
【0041】
一定時間内に応答が無い場合には、環境パラメータの連動適用が可能な画像出力装置が存在しないことをオペレーションパネル205上の表示装置を用いて使用者に通知し(ステップS305)、終了する。
【0042】
ここで、ステップS303で送信した環境パラメータ連動適用要求には画像出力装置103の機種識別子を付加してあり、前記要求を受信した(ステップS306)画像出力装置104は装置内に有する機種識別子と同一であるかを判断し(ステップS307)、同一であった場合には、自装置において連動適用許可がなされているかを確認する(ステップS308)。なお、本実施例において前記連動適用許可は各装置のオペレーションパネル205を用いて予め設定されており、可否情報が前記ROM202内にフラグとして保持されているデータを参照することで確認を行う。
【0043】
次に、画像出力装置104はステップS308で連動適用許可がなされていることを確認できた場合には画像出力装置104は自装置が未使用状態であることを確認(ステップS309)し、印刷データの受信および前記画像出力装置103以外からのデータ、コマンド受信などを受け付けないロック状態に移行した後、環境パラメータ設定の連動適用が可能であることを画像出力装置103に応答する(ステップS310)。
【0044】
なお、本実施例において前記応答は画像出力装置104に設定されているIPアドレス、MACアドレスを個体識別情報として付加したデータを送信する。
【0045】
また、ステップS307、S308、S309のそれぞれにおいて、機種識別子が一致しない、連動適用許可がなされていない、使用中である場合には前記環境パラメータ連動適用要求には応答せず、要求を受信する前の状態を保持して終了する。
【0046】
対して画像出力装置103において、ステップS304で一定時間内に応答があった場合には応答した画像出力装置を記憶、オペレーションパネル205上の表示装置に一覧表示を行う(ステップS311)。
【0047】
この際、応答データに付加されていた個体識別情報であるIPアドレス、MACアドレスを合わせて表示することで使用者にどの画像出力装置が連動適用可能であるかを明示する。そして、画像出力装置103は使用者によりオペレーションパネル205を用いて連動適用装置の選択を中止するか(ステップS312)、連動適用装置の選択がなされる(ステップS313)まで待機する。
【0048】
ステップS312で連動適用装置の選択が中止された場合には、画像出力装置103は前記環境パラメータ連動適用要求に応答した装置全てに対し連動非適用装置であることを通知する連動非適用通知を送信し(ステップS314)、印刷データの受信を待つオンラインモードとなり終了する。
【0049】
また、ステップS313で連動適用装置が選択された場合には、選択されなかった画像出力装置に対して連動非適用装置であることを通知する連動非適用通知を送信し(ステップS315)、選択された画像出力装置に対して、ステップS301で設定された環境パラメータ設定データを送信する(ステップS316)。
【0050】
ここで、ステップS314、S315、S316で送信する連動非適用通知、環境パラメータ設定データの送信は、応答データに付加されていた個体識別情報であるIPアドレス、MACアドレスを参照して各装置を指定、送信を行う。本実施例においてはIPアドレスを指定して送信している。
【0051】
そして、画像出力装置103は環境パラメータ設定データを送信した全画像出力装置からの連動適用完了通知を受信するまで待機する(ステップS317)。
【0052】
対して、画像出力装置104はステップS310での応答後、連動非適用通知を受信(ステップS318)か、環境パラメータ設定データを受信(ステップS319)まで待機しており、ステップS318で連動非適用通知を受信した場合には、ロック状態を解除し(ステップS322)通常待機状態であるオンライン状態となり終了する。
【0053】
ステップS319で環境パラメータ設定データを受信した場合には、装置内のROM202で保持している環境パラメータ設定を、画像出力装置103から受信した環境パラメータ設定データに書き換えを行う(ステップS320)。そして、画像出力装置103に環境パラメータ設定の連動適用が完了したことを通知する連動適用完了通知を送信(ステップS321)した後、ロック状態を解除し(ステップS322)通常待機状態であるオンライン状態となり終了する。
【0054】
ここで、ステップS317において環境パラメータ設定データを送信した全画像出力装置からの連動適用完了通知受信した画像出力装置103は、オペレーションパネル205上の表示装置を用いて選択された画像出力装置の連動適用が完了したことを使用者に通知(ステップS323)し、印刷データの受信を待つオンラインモードとなり終了する。
【0055】
上述したように、本実施例においては、同一ネットワーク上に同機種の画像出力装置が複数存在する画像出力システムにおいて、一つの画像出力装置103の環境パラメータ設定を変更することにより、同一ネットワーク上に存在する他の同機種画像出力装置104の環境パラメータ設定を同一の設定に連動適用することができ、使用者が同時に同一ネットワーク上の複数台の画像出力装置を使用することを所望した際に、画像出力装置ごとの環境パラメータ設定を個別設定するような煩雑さを軽減させられることがわかる。
【実施例2】
【0056】
本発明の第二実施例を図4に示す。第一実施例では環境パラメータ設定の連動適用手順について説明したが、本実施例ではさらに使用者IDによる画像出力要求装置の限定および環境パラメータ設定の連動適用前データの保存と、連動適用解除後の環境パラメータ復元機能を追加した際の例を示す。以下、図4を参照して説明する。
【0057】
同図には実施例1と同様の形式で、使用者により直接前記オペレーションパネル205を用いて環境パラメータ設定の変更を受ける画像出力装置103と前記設定を連動適用する画像出力装置104の動作を並列に記してある。なお、実施例1と内容の重複する箇所は詳細な説明を省略する。
【0058】
まず、ステップS401において使用者は画像出力装置103の環境パラメータ設定を所望の設定に変更を行い、画像出力装置103のROM202に設定データを記憶させる。
【0059】
この際、画像出力装置103はオペレーションパネル205上の表示装置を用いて使用者に対し、複数台の同一画像出力装置に環境パラメータ設定を連動適用させることを所望するかを確認し(ステップS402)、連動適用させないことを選択した場合には、通常のオンライン状態に移行して(ステップS433)、終了する。
【0060】
ステップS402で使用者が同一画像出力装置に環境パラメータ設定を連動適用させることを選択した場合には、オペレーションパネル205上の表示装置を用いて使用者に対し、使用者が印刷データを送信するデータ処理装置上で使用している使用者IDの記入を要求する(ステップS403)。そして、オペレーションパネル205上の入力機能により使用者IDが入力されると、画像出力装置103は自装置を使用者IDが使用されているデータ処理装置からの印刷データの受信およびオペレーションパネル205からの連動適用解除要求以外は受け付けないロック状態に移行(ステップS404)した後、ネットワークにブロードキャストで環境パラメータ連動適用要求を送信し(ステップS405)、一定時間応答を待つ(ステップS406)。
【0061】
一定時間内に応答が無い場合には、環境パラメータの連動適用が可能な画像出力装置が存在しないことをオペレーションパネル205上の表示装置を用いて使用者に通知し(ステップS407)、ロック状態を解除(ステップS432)、通常のオンライン状態に移行して(ステップS433)終了する。
【0062】
ここで、ステップS405で送信した環境パラメータ連動適用要求には画像出力装置103の機種識別子およびステップS403で入力された使用者IDを付加してあり、前記要求を受信した(ステップS408)画像出力装置104は装置内に有する機種識別子と同一であるかを判断し(ステップS409)、同一であった場合には、自装置において連動適用許可がなされているかを確認する(ステップS410)。
【0063】
次に、画像出力装置104はステップS410で連動適用許可がなされていることを確認できた場合には自装置が未使用状態であることを確認(ステップS411)し、前記連動適用要求に付加されていた使用者IDが使用されているデータ処理装置からの印刷データの受信およびおよび前記画像出力装置103以外からのデータ、コマンド受信以外は受け付けないロック状態に移行した後、環境パラメータ設定の連動適用が可能であることを画像出力装置103に応答する(ステップS412)。
【0064】
また、ステップS409、S410、S411のそれぞれにおいて、機種識別子が一致しない、連動適用許可がなされていない、使用中である場合には前記環境パラメータ連動適用要求には応答せず、要求を受信する前の状態を保持して終了する。
【0065】
対して画像出力装置103において、ステップS406で一定時間内に応答があった場合には応答した画像出力装置を記憶、オペレーションパネル205上の表示装置に一覧表示を行う(ステップS413)。
【0066】
この際、応答データに付加されていた個体識別情報であるIPアドレス、MACアドレスを合わせて表示することで使用者にどの画像出力装置が連動適用可能であるかを明示する。そして、画像出力装置103は使用者によりオペレーションパネル205を用いて連動適用装置の選択を中止するか(ステップS414)、連動適用装置の選択がなされる(ステップS415)まで待機する。
【0067】
ステップS414で連動適用装置の選択が中止された場合には、画像出力装置103は前記環境パラメータ連動適用要求に応答した装置全てに対し連動非適用装置であることを通知する連動非適用通知を送信し(ステップS416)、前記ロック状態を解除(ステップS432)した後に、通常のオンラインモードとなり(ステップS433)終了する。
【0068】
また、ステップS415で連動適用装置が選択された場合には、選択されなかった画像出力装置に対して連動非適用装置であることを通知する連動非適用通知を送信し(ステップS417)、選択された画像出力装置に対して、ステップS401で設定された環境パラメータ設定データを送信する(ステップS418)。
【0069】
ここで、ステップS416、S417、S418で送信する連動非適用通知、環境パラメータ設定データの送信は、応答データに付加されていた個体識別情報であるIPアドレス、MACアドレスを参照して各装置を指定、送信を行う。本実施例においてはIPアドレスを指定して送信している。
【0070】
そして、画像出力装置103は環境パラメータ設定データを送信した全画像出力装置からの連動適用完了通知を受信するまで待機する(ステップS419)。
【0071】
対して、画像出力装置104はステップS412での応答後、連動非適用通知を受信(ステップS420)か、環境パラメータ設定データを受信(ステップS421)まで待機し、ステップS420で連動非適用通知を受信した場合には、ロック状態を解除し(ステップS438)、通常待機状態であるオンライン状態となり(ステップS439)終了する。
【0072】
ステップS421で環境パラメータ設定データを受信した場合には、装置内で保持している環境パラメータ設定をROM202の空き領域、またはRAM203に保存し(ステップS422)、受信した環境パラメータ設定データに書き換えを行う(ステップS423)。
【0073】
そして、画像出力装置103に環境パラメータ設定の連動適用が完了したことを通知する連動適用完了通知を送信(ステップS424)した後、オペレーションパネル205上の表示装置に動適用要求に付加されていた使用者IDとロック中であることを明示するメッセージを表示(ステップS425)する。
【0074】
ここで、ステップS419において環境パラメータ設定データを送信した全画像出力装置からの連動適用完了通知受信した画像出力装置103は、オペレーションパネル205上の表示装置を用いて選択された画像出力装置の連動適用が完了したことを使用者に通知(ステップS426)した後、ステップS403で入力された使用者IDとロック中であることを明示するメッセージを表示(ステップS427)する。
【0075】
そして、前記設定された使用者IDが使用されているデータ処理装置からの印刷データを受信(ステップS428)するか、オペレーションパネル205を用いて連動適用解除指示が与えられる(ステップS429)まで待機する。
【0076】
なお、ステップS428において設定された使用者IDが使用されているデータ処理装置からの印刷データを受信した際には、前記印刷データに基づき印刷エンジン207を用いた画像形成を行い(ステップS430)終了次第、前記待機状態に戻る。
【0077】
また、ステップS429において、連動適用解除指示を受けた場合には連動適用装置に対して、IPアドレスを指定して連動適用解除要求を送信し(ステップS431)、ロック状態を解除した(ステップS432)後に通常オンライン状態に移行し(ステップS433)、終了する。
【0078】
一方、画像出力装置104はステップS425でオペレーションパネル205上の表示装置に動適用要求に付加されていた使用者IDとロック中であることを明示するメッセージを表示した後、前記設定された使用者IDが使用されているデータ処理装置からの印刷データを受信(ステップS434)するか、前記画像出力装置103からの連動適用解除要求を受信する(ステップS435)まで待機する。
【0079】
なお、ステップS434において設定された使用者IDが使用されているデータ処理装置からの印刷データを受信した際には、前記印刷データに基づき印刷エンジン207を用いた画像形成を行い(ステップS436)、終了し次第前記待機状態に戻る。
【0080】
また、ステップS435において、連動適用解除指示を受けた場合には、ステップS422で保存した環境パラメータ設定を呼び出し、ROM202に復元保存を行う(ステップS437)。そして、ロック状態を解除した(ステップS438)後に通常オンライン状態に移行し(ステップS439)終了する。
【0081】
上述したように、本実施例においては、同一ネットワーク上に同機種の画像出力装置が複数存在する画像出力システムにおいて、一つの画像出力装置の環境パラメータ設定を変更することにより、同一ネットワーク上に存在する他の同機種画像出力装置の環境パラメータ設定を同一の設定に連動適用することができ、さらに使用者IDによる画像出力要求装置の限定機能を追加することにより他の使用者に連動適用した画像出力装置が使用されてしまうことを防止することができる。また連動適用される画像出力装置において環境パラメータ設定の連動適用前データの保存と、連動適用解除後の前記連動適用前環境パラメータ設定の復元機能を追加することにより、連動適用した画像出力装置が不要となった時点で使用者の手を煩わせることなく元の環境パラメータ設定に戻すことが可能となり、より利便性を向上することができる。
【0082】
なお、本実施例では連動適用される画像出力装置104においてのみ環境パラメータ設定の連動適用前データの保存と、連動適用解除後の前記連動適用前環境パラメータ設定の復元機能を持たせているがこれに限らず、使用者により環境パラメータ設定の変更を受ける画像出力装置103においても、設定値をROM202に記憶させる前に変更前環境パラメータ設定を保存しておき、連動適用解除時に復元する構成としても良い。
【0083】
また、他の使用者に連動適用した画像出力装置が使用されてしまうことを防止するため使用者の識別手段として使用者IDを用いているが、これに限らずパスワードによる識別あるいはそれらを組み合わせて用いることもできる。さらに、本実施例では画像出力装置103において連動適用解除指示は、使用者による解除忘れなどを考慮して特に制限なく解除できる構成としているが、前記使用者ID、パスワードなどを使用して制限を設けても良い。
【0084】
さらに加えて、本実施例では前記連動適用解除は使用者の指示により解除を行っているが、これに限らず、連動適用状態で動作許可する時間を予め規定し一定時間後に解除される構成としても良い。
【0085】
なお、前記実施例1および2では使用者により環境パラメータ設定の変更を受ける装置を画像出力装置103、前記設定を連動適用する装置を画像出力装置104として2台の画像出力装置間での連動適用手順を例にとって説明しているが、2台以上の場合であっても追加する画像出力装置を画像出力装置104と同様の制御により動作させることで実現可能である。また、本実施例ではオペレーションパネル205による連動適用手順を説明したが、リモートUIを用いて実施しても良く、上述の実施例においてオペレーションパネル205を用いて表示・設定を行っている箇所をリモートUIを用いた表示・設定と置き換えて実施することで実現可能である。
【0086】
また、言うまでもなく従来提案である前記特許文献1や既に多数提案されている同一ネットワーク上に接続された複数の画像出力装置において印刷データを受信した画像出力装置が他の画像出力にデータのコピーを送信し、複数の画像出力装置で同一画像を並列同時出力させることのより出力の高速化を実現する画像出力システムにおいて本発明を適用することで、より効果を上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明を実施するための画像出力システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明を実施するための画像出力装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した画像出力システムにおける環境パラメータ設定の連動適用手順を示すフローチャートである。
【図4】実施例1の環境パラメータ設定の連動適用に加え、画像出力要求装置の限定および環境パラメータ設定の連動適用前データの保存と、連動適用解除後の環境パラメータ復元機能を追加した際の連動適用手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 ネットワークインターフェース
205 オペレーションパネル
206 エンジンインターフェース
207 印刷エンジン
208 内部バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一インターフェース上に接続された同一画像出力装置を検出するための同一装置検出手段と任意の画像出力装置に設定された環境パラメータ設定を、他の同一画像出力装置に連動適用させるための連動適用手段と、前記連動適用手段による環境パラメータ設定変更の可否を選択する連動適用選択手段と、前記連動適用選択手段により環境設定変更が許諾されている画像出力装置を検出する連動装置検出手段を有する画像出力装置において、同一インターフェース上に複数台の前記画像出力装置が接続されている画像出力システム上で任意の画像出力装置の環境パラメータ設定変更に連動して、前記連動装置検出手段により検出された装置の環境パラメータ設定を統一設定にする機能を具備することを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記画像出力装置において、前記連動適用選択手段により環境パラメータ設定変更が許諾された画像出力装置であっても、使用中である画像出力装置は前記連動装置検出手段による検出に応答しない機能を具備することを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記画像出力装置において、前記連動装置検出手段により検出された画像出力装置を抽出し、使用者に連動適用の可否を選択させる連動適用指示手段を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記画像出力装置において、前記連動適用手段により環境パラメータの設定を変更される画像出力装置は、変更前の環境パラメータ設定を保持し、環境パラメータ設定の統一が不要となった時点で元の環境パラメータ設定に戻す環境復元機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記画像出力装置において、前記連動適用手段により環境パラメータ設定を変更された画像出力装置は、前記連動適用手段を実行した画像出力装置からのデータ、コマンド以外は環境パラメータ設定に対する要求を受け付けない状態に移行するロック機能を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−142607(P2006−142607A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334532(P2004−334532)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】