説明

画像分割処理用の画像信号処理装置、方法及びプログラム

【課題】高精細の単板カラー方式の画像を低解像度化した放送用のサブ画像に変換する画像信号処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明による画像信号処理装置1は、列画素数4m×行画素数2nからなる単板カラー方式の画像を、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなるブロック領域における各画素単位で、画素成分R,G,B,Wの4つの映像信号に分割する第1の分割手段(12)と、前記4つの画像の各々を、画素成分Gで構成したG映像、及び画素成分Wで構成したW映像をそれぞれベースとし、R映像及びB映像の画素をカラム毎にそれぞれG映像とW映像に割り当てて構成した2つの放送用のサブ画像に分割する第2の分割手段(14)と、前記単板カラー方式の画像における4×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出する手段(16)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像分割処理用の画像信号処理に関し、特に、ビデオ画像で用いられる所定のサンプリング構造を持つ単板カラー方式のカラー画像を、該サンプリング構造とは異なるサンプリング構造であって、且つ同一種類のサンプリング構造を有する複数の低解像度サブカラービデオ画像に変換する、画像分割処理用の画像信号処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスーパーハイビジョン(超高精細度画像)として知られる高解像度のカラーテレビ画像の信号処理や信号伝送を行う場合、ほぼリアルタイムで処理するにはデータ量が多いことに起因して、当該高解像度のフレーム画像を例えば4分割し、各分割した4つの画像領域について、並列処理することが知られている。このように4分割したフレーム画像のデータ量であれば、一般的に用いられる既存の低解像度用の信号処理や伝送路を用いて処理することができる。即ち、このような場合、高解像度のカラービデオ画像を一旦入力して、複数の低解像度のサブカラービデオ画像に変換し(以下、低解像度化処理と称する)、複数のサブカラービデオ画像を並列処理(例えば、ゲイン補正や黒レベル調整)した後、元の高解像度のカラービデオ画像を表示又は再構成することができる。
【0003】
従来から知られている低解像度化処理に用いる信号処理装置101の具体例を図5に示す。図5に示す信号処理装置101は、高解像度の画像フレームSinを入力し、入力した画像フレームSinを、例えば4つの画面領域(第1領域〜第4領域)に対応する複数の低解像度サブ画像に分割する。更に、信号処理装置101は、各分割した領域の画像データを第1〜第4フレームメモリ102,103,104,105に振り分けて格納し、各サブ画像について格納したそれぞれのフレームメモリから読み出す時間軸を調整し、並列に同期して各サブ画像subSout1〜subSout4を出力する。これにより、高解像度のカラーテレビ画像の信号処理や信号伝送の処理負担を分散させることができる。
【0004】
一方、図6に示すように、入力された高解像度の画像フレームSinについて低解像度化処理する他の例として、該画像フレームSinの各画素Sを、垂直(列)画素2個×水平(行)画素1個からなる画素ブロックU(図6の例において、2×1画素ブロックと称する)で、複数のサブ画像に順次割り当てて、各サブ画像S’out1〜S’out4を生成する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、固体撮像素子に関しては、固体撮像素子の出力信号端子の構成等に基づいて、高解像度の画像を列単位や行単位で固有の出力フォーマットに分割し、低解像度のサブ画像に変換して出力する方法も知られており、この出力フォーマットに従って画像信号を処理する手法もよく用いられている。
【0006】
【非特許文献1】全米映画1209511319530_0.htmビジョン技術者協会規格書,Society of Motion Picture and Television Engineers (SMPTE) 435−1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した図5及び図6に示す従来の方式は、サンプリング構造4:4:4型,4:2:2型,又は4:2:0型の放送用の高画質ビデオ信号をそれぞれ低解像度化処理するのに一般化されたものである。即ち、放送に用いられる既知の低解像度化処理は、相対的に低画質とされる単板カラーカメラの映像信号を低解像度化するのには向いていない。これは、単板カラーカメラのサンプリング構造が一般的に用いられる放送用のサンプリング構造のものと大きく異なるためである。また、放送用の高画質ビデオ信号は、例えばHD−SDIに代表されるように放送用動画像の場合、4:2:2型のサンプリング構造を持つインターフェースが主に用いられることにもよる。
【0008】
そこで、従来では、このような単板カラー画像を低解像度化処理するために、固有の映像フォーマットに変換して信号伝送に用いるか、又は再サンプリングして従来の高画質ビデオ信号のインターフェースにマッピングする方法が用いられてきた。
【0009】
しかしながら、ほぼリアルタイムの低解像度化処理が要求される用途では、このような固有の映像フォーマットに変換して信号伝送に用いる処理やマッピングする方法は、その後の処理の処理コストが大きく、或いは又、要求されるメモリサイズが増大するという問題がある。
【0010】
更に、近年デジタルスチルカメラに用いられる多画素撮像素子の開発が進むにつれ、高精細で高フレームレートの単板カラー映像信号の伝送や信号処理も従来の高画質ビデオ信号と同様な処理能力や信号伝送容量を必要とするものが増えてきている。特に、固体撮像素子のカラービデオ画像によく用いられる、赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)(或いは、Wの代わりに、Gと同じか、又は別の色を構成する4色目の色)の信号における1フレームのサンプリングパターンが異なる場合(例えば、色フィルタを用いた単板ビデオカラーカメラの撮像素子出力信号)、高速な信号処理を実現するためには、単にパイプライン処理に適した低解像度化処理が必要となる。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、ビデオ画像で用いられる所定のサンプリング構造を持つ単板カラー方式のカラー画像を、放送用のサンプリング構造の低解像度カラー画像に変換する画像信号処理装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による画像信号処理装置は、1以上の整数m,nとして、列画素数4m×行画素数2nからなる超高精細度の撮像カメラからの画像を分割して、並列処理するために低解像度化処理する画像信号処理装置であって、前記撮像カメラからの画像は、4種類の画素成分を含む映像フォーマットで構成され、前記撮像カメラからの画像を、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなる2×2画素のブロック領域における各画素単位で、4種類の画素成分毎の4つの画像に分割する第1の分割手段と、前記4つの画像の各々を、第1の画素成分で構成した第1映像、及び第2の画素成分で構成した第2映像をそれぞれベースとし、第3の画素成分で構成した第3映像及び第4の画素成分で構成した第4映像の各画素をカラム毎にそれぞれ前記第1映像及び前記第2映像に割り当てて構成した2つの放送用のサブ画像に分割する第2の分割手段と、前記撮像カメラからの画像における4×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明による画像信号処理装置において、前記第2の分割手段は、それぞれの前記第1映像及び前記第2映像の左端の先頭カラムに、それぞれ前記第3映像及び前記第4映像の画素について最初のカラムの位相を合わせて出力することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明による画像信号処理装置において、前記撮像カメラからの画像が単板カラー方式の映像フォーマットの画像である場合には、前記第1,第2,第3,第4の画素成分は、それぞれ画素成分G,W,R,Bからなり、前記撮像カメラからの画像が4枚の撮像素子で撮影する4板式カラーカメラの出力信号から構成される画像である場合には、前記第1,第2,第3,第4の画素成分は、それぞれ画素成分G,G’,R,Bからなることを特徴とする。
【0015】
更に、本発明による画像信号処理方法は、1以上の整数m,nとして、列画素数4m×行画素数2nからなる超高精細度の撮像カメラからの画像を分割して、並列処理するために低解像度化処理する画像信号処理方法であって、前記撮像カメラからの画像は、4種類の画素成分を含む映像フォーマットで構成され、前記撮像カメラからの画像を、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなる2×2画素のブロック領域における各画素単位で、4種類の画素成分毎の4つの画像に分割するステップと、前記4つの画像の各々を、第1の画素成分で構成した第1映像、及び第2の画素成分で構成した第2映像をそれぞれベースとし、第3の画素成分で構成した第3映像及び第4の画素成分で構成した第4映像の各画素をカラム毎にそれぞれ前記第1映像及び前記第2映像に割り当てて構成した2つの放送用のサブ画像に分割するステップと、前記撮像カメラからの画像における4×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出するステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
更に、本発明は、1以上の整数m,nとして、列画素数4m×行画素数2nからなる超高精細度の撮像カメラからの画像を分割して、並列処理するために低解像度化処理する画像信号処理装置として構成するコンピュータに、前記撮像カメラからの画像は、4種類の画素成分を含む映像フォーマットで構成され、前記撮像カメラからの画像を、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなる2×2画素のブロック領域における各画素単位で、4種類の画素成分毎の4つの画像に分割するステップと、前記4つの画像の各々を、第1の画素成分で構成した第1映像、及び第2の画素成分で構成した第2映像をそれぞれベースとし、第3の画素成分で構成した第3映像及び第4の画素成分で構成した第4映像の各画素をカラム毎にそれぞれ前記第1映像及び前記第2映像に割り当てて構成した2つの放送用のサブ画像に分割するステップと、前記撮像カメラからの画像における4×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出するステップとを実行させるための画像信号処理プログラムとしても特徴付けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、例えば高精細で高フレームレートの単板カラー信号を変換し、従来、高画質カラー画像に用いられてきた放送用のサンプリング構造(例えば、4:2:2型)の映像に変換するため、既存の放送用等の映像処理に用いられてきた並列信号処理装置、又は伝送用のインターフェース装置を利用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による画像信号処理装置は、1以上の整数m,nとして、列画素数4m×行画素数2nからなる超高精細度の撮像カメラからの画像を分割して、並列処理するために低解像度化処理する画像信号処理装置である。入力される撮像カメラからの画像は、4種類の画素成分を含む映像フォーマットで構成される。例えば、撮像カメラからの画像が単板カラー方式の映像フォーマットの画像である場合には、第1,第2,第3,第4の画素成分は、それぞれ画素成分G(緑),W(白),R(赤),B(黒)からなる。或いは又、撮像カメラからの画像が4枚の撮像素子で撮影する4板式カラーカメラの出力信号から構成される画像である場合には、第1,第2,第3,第4の画素成分は、それぞれ画素成分G(緑),G’(代表的には、緑であるが、原理的に他の任意の色とできる),R(赤),B(青)からなる。
【0019】
本発明による画像信号処理装置は、第1の分割手段と第2の分割手段とを少なくとも備え、最終的には、撮像カメラからの画像における4×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出する。第1の分割手段は、撮像カメラからの画像を、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなる2×2画素のブロック領域における各画素単位で、4種類の画素成分毎の4つの画像に分割する。第2の分割手段は、前記4つの画像の各々を、第1の画素成分で構成した第1映像、及び第2の画素成分で構成した第2映像をそれぞれベースとし、第3の画素成分で構成した第3映像及び第4の画素成分で構成した第4映像の各画素をカラム毎にそれぞれ前記第1映像及び前記第2映像に割り当てて構成した2つの放送用のサブ画像に分割する。特に、後述で明らかとなるが、第2の分割手段は、それぞれの前記第1映像及び前記第2映像の左端の先頭カラムに、それぞれ前記第3映像及び前記第4映像の画素について最初のカラムの位相を合わせて出力する。
【0020】
以下、本発明による一実施例の画像信号処理装置を説明する。一実施例の画像信号処理装置は、単板カラー方式の撮像素子において現在よく用いられるベイヤー型カラーフィルタ(又は、4色の異なる分光特性を持つ4色フィルタ型カラーフィルタ)によって撮像された映像信号を、放送用動画像の伝送フォーマットとして用いられる映像フォーマット(例えば、最もよく用いられる4:2:2型)のサンプリングパターンの信号に変換する装置である。
【0021】
図1に、本発明による一実施例の画像信号処理装置の動作概略図を示す。また、図3に本発明による一実施例の画像信号処理装置のブロック図を示す。本実施例の画像信号処理装置1は、入力される単板カラー方式の画像信号を、同一種類のサンプリング構造を有する複数のサブ画像を生成するために、まず、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなる2×2画素のブロック領域における各画素単位で、画素成分R,G,B,W毎の4つの画像に分割する。図1では、本実施例の画像信号処理装置1は、単板カラー方式の各画素S(例示する、S,S,S,S,...,S,S)において、2×2画素からなる基本画素ブロックU単位で複数のサブ画像に予め定めた順で割り当て、例えば4:2:2型のサンプリング構造を有する2つのサブ画像Sout1,Sout2を生成することができる。尚、各画素Sの色は、2×2画素内で、異なる分光特性を持つフィルタ等を通して撮像された映像信号である。即ち、図1は、4色の異なる分光特性を持つフィルタが2×2画素単位で繰り返し配置された画素から得られる単板カラービデオ信号を入力信号とする例である。
【0022】
現時点において、処理又は伝送される放送用の画像の映像フォーマットとして、RGB又はYCrCb方式(輝度及び色差信号方式)では、4:4:4型、4:2:2型、及び4:2:0型が知られており、単板カラー方式では、ベイヤー型、4色フィルタ型が知られている。本実施例の画像信号処理装置1の低解像度化処理において、入力される単板カラー方式の画像のサンプリング構造は、単板カラー方式におけるベイヤー型及び4色フィルタ型におけるいずれのサンプリング構造の画像を、RGB方式又は輝度及び色差信号方式の4:4:4型、4:2:2型、及び4:2:0型のいずれかに同一種の構造で複数のサブ画像に変換することで、画像処理の効率化を図る。
【0023】
各サンプリング構造について説明すると、図2に示すように、画素Sは、1画素のサンプリングパターンと考えることができる。従って、G,B,Rのビデオ信号の4:4:4のサンプリングパターンに対応した映像フォーマットでは、図2(A)に示すα,β,γをR,G,Bに対応させたパターンに相当する。この場合、図2(A)は、1つの画素位置に、α(R),β(G),γ(B)の3つの画素データ100a,101a,102aが存在することを示している。
【0024】
また、G,B,Rのビデオ信号のサンプリングパターンが4:2:2又は4:2:0の場合には、それぞれ図2(B)及び図2(C)に示すように、α,β,γをR,G,Bに対応させたパターンに相当する。この場合、B,Rのデータは、水平方向に1画素おきか、又は水平、垂直方向に1画素おきに存在することになる。本実施例の画像信号処理装置1では、2×2画素ブロック割り当てによる低解像度化処理を施すため、このB,Rのサンプリングの実際の位置として、G信号のサンプリング位置と同じであるか、又は隣接したG信号の間であるかは、本実施例の画像信号処理装置1では問題とならない。
【0025】
また、図2において、α,β,γをCr,Y,Cbに対応させることにより、輝度信号Y,2つの色差信号Cb,Crにも同様に適用することができ、Y,Cb,Crのビデオ信号の4:4:4型のサンプリングパターンが存在し、Y,Cb,Crのビデオ信号のサンプリングパターンが4:2:2型、4:2:0型の場合には、それぞれ図2(B)及び図2(C)に示すように、Cb,Crのデータは、水平方向に1画素おきか、又は水平垂直方向に1画素おきに存在する。この場合も同様に、本実施例の画像信号処理装置1では、2×2画素ブロック割り当てによる低解像度化処理を施すため、本実施例の画像信号処理装置1では問題とならない。
【0026】
更に、本実施例の画像信号処理装置1は、図2(D)又は図2(E)にそれぞれ示すベイヤー型又は4色カラーフィルタを用いた単板カラーカメラのサンプリングパターンを入力画像とするものであるが、前述した図2(A)〜(C)に示すサンプリング構造とは大きく異なり、従来から知られる画像信号処理装置をそのまま適用することができないことが分かる。
【0027】
図1では、画像信号処理装置1は、4m×2n画素の入力ビデオ画像が供給され、同じフレーム周波数を持つ2つの2m×n画素の4:2:2型のサンプリング構造のカラービデオ画像に分割する例を示している。尚、所定の有効画素(Nx,Ny)の入力画像を考慮して、水平方向の画素数(1つの画像フレームにおける行画素の数)Nxが、4m−2の画素数で入力画像が供給される場合には、低解像度化処理を行う前に、2画素分のダミーデータを仮想的に挿入することにより、画素数4mの信号として扱うようにする。
【0028】
また、垂直方向の画素数(1つの画像フレームにおける列画素の数)Nyが、奇数ラインの画素数で入力画像が供給される場合には、低解像度化処理を行う前に、1ライン分のダミーデータを挿入するようにする。このように、画像信号処理装置1は、入力画像が4m×2nの画素数で低解像度処理をするために、必要であればダミーデータを挿入する。尚、特定のブロックサイズを“列画素数×行画素数”と表す。
【0029】
従って、一実施例の画像信号処理装置1は、有効画素を1フレーム内の画素数を4m×2nの入力ビデオ画像として設定し、2×2画素を単位画素として複数のサブ画像に予め定めた順で割り当てる。これにより、例えば水平方向に順次入力される単板カラー方式の画像の画素信号に対して、少なくとも4行分の画素数を一時メモリに格納し、その後、各一時メモリから並列に読み出して、同時に処理することができる。ここで、並列に読み出された各サブ画像は、4:2:2型のサンプリング構造に変換しており、各低解像度におけるその後の処理を既存の放送用信号処理で同一に扱うことができる。例えば、放送用信号処理の例として、図示していないが、様々な用途があり、複数のサブ画像について並列にゲイン補正や黒レベル調整、色バランス調整を施し、例えば複数枚の4:2:2型のサブ画像から当該低解像度化処理とは逆の処理(再構成処理)で、超高精細の放送用の動画像を再構成することにより、放送用信号として扱うことができ、例えばハイビジョンを超える解像度を持つ映像のリアルタイム処理を実現することができる。
【0030】
図2を参照して、画像信号処理装置1を具体的に説明する。画像信号処理装置1は、単板カラー方式の画像信号を入力する高解像度画像入力部11と、画素ブロック割り当て手段12と、4個のサブ画像用一時メモリ13−1,13−2,13−3,13−4と、画素ブロック読み出し制御手段14と、サブ画像構成手段15と、サブ画像信号出力部16とを備える。
【0031】
高解像度画像入力部11は、単板カラー方式の撮像素子において現在よく用いられるベイヤー型カラーフィルタ(又は、4色の異なる分光特性を持つ4色フィルタ型カラーフィルタ)の単板カラー方式の画像の画素信号を、水平方向の各行画素を順次入力する。次に、水平方向の各行画素を全て入力した後、垂直方向にシフトした次の各行画素を順次入力するように繰り返して、該単板カラー方式の画像の画素信号を所定の順で連続的に入力する。ここで、入力される画像信号は、例えば、画素成分R,G,B,Wを1組とするサンプリングパターンの単板カラー方式の画像である。
【0032】
画素ブロック割り当て手段12は、第1の分割手段として機能させることができ、入力された画素信号を、2×2画素ブロック単位における各画素成分R,G,B,Wを予め定めた順で、各色毎に4個のサブ画像用一時メモリ13−1,13−2,13−3,13−4に順次割り当てる。ここで、本実施例では、低解像度化修理として、当該一時メモリ毎に順に割り当て、且つ後述する画素ブロック読み出し制御手段14で順次読み出すものとして説明するが、画素ブロック読み出し制御手段14の読み出し制御のみで低解像度化修理を実現することもできる。画素ブロック割り当て手段12は、入力された単板カラー方式の画像の画素信号が、所定の有効画素(Nx,Ny)の入力ビデオ画像が供給される場合に、有効画素(Nx,Ny)の端部においても常に2×2画素の基本画素ブロックを確保するために、有効画素(Nx,Ny)以外の領域の画素値に任意の値を挿入して割り当てる。
【0033】
画素ブロック読み出し制御手段14は、第2の分割手段として機能させることができ、例えば水平方向に予め定められた順で入力される単板カラー方式の画像の画素信号に対して、各色毎のサブ画像として並列処理することが可能となる時点で、即ち前記単板カラー方式の画像における2×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出することが可能な時点で、4個のサブ画像用一時メモリ13−1,13−2,13−3,13−4から、各一時メモリに格納された画素信号を4:2:2型の映像フォーマットのサブ画像に適合するように並列に読み出し、同期してサブ画像構成手段15に送出する。
【0034】
サブ画像構成手段15は、随意、画素ブロック読み出し制御手段14の制御によって入力される各一時メモリの画素ブロックをそれぞれのサブ画像の画素ブロックとした、2枚の2m×n画素のサブ画像をそれぞれ構成し、サブ画像信号出力部16を経て外部に出力する。ここで、2m×n画素のサブ画像の画素信号は、同一種類のサンプリング構造(4:2:2型の映像フォーマット)となる。また、サブ画像構成手段15は、サブ画像を再構成することなく、各一時メモリの画素ブロックの信号を、サブ画像信号出力部16を経て外部に出力してもよい。
【0035】
サブ画像信号出力部16から出力される2つの放送用のサブ画像は、当該並列処理を必要とする任意の画像処理に用いることができる。尚、本例では、好適に2つのサブ画像に分割した例を説明するが、後述するサブ画像1(Sout1),サブ画像2(Sout2)の各々を更に複数の分割画像として構成することもできる。
【0036】
制御パラメータ設定手段17は、入力される単板カラー方式の画像の有効画素(Nx,Ny)、及び分割数Nを、画素ブロック割り当て手段12、画素ブロック読み出し制御手段14、及び、随意設けられるサブ画像構成手段15に対して設定する機能を有する。尚、分割数Nは、第1の分割手段用及び第2の分割手段用に異なる値であってもよい。本実施例では、まず第1の分割手段により各色毎に4つに分割した後、第2の分割手段により2つのサブ画像に分割する。また、分割数に応じて、適宜一時メモリの構成を変更することもできる。
【0037】
次に、第1の分割手段、及び第2の分割手段について更に詳細に説明する。
【0038】
図4に、画像信号処理装置1において入力される単板カラー方式の高精細入力画像と、最終的に生成される2つの4:2:2型のサブ画像との関係を示す。図4には、各画像について画素の水平又は垂直のアドレス(又は、行又は列アドレス)を示し、単板カラー方式の入力ビデオ画像に対して、どの出力ビデオ画像に割り当てられ、出力されるかを、このアドレス値で示している。
【0039】
図4に示す例では、画像信号処理装置1は、第1の分割手段により、入力される単板カラー方式の画像Sinを、一旦、2×2画素単位の各色R,G,B,Wの画素成分毎に4つのビデオ信号の画像Sm1,Sm2,Sm3,Sm4に分割する。この例において、単板カラー方式の画像Sinは、m=960,n=1080の4m×2n(即ち、3840×2160画素)の画像で表されており、4つのビデオ信号Sm1,Sm2,Sm3,Sm4の各画像は、1920×1080画素の単色の画像に分割される。
【0040】
更に、画像信号処理装置1は、第2の分割手段により、4つのビデオ信号Sm1,Sm2,Sm3,Sm4の各画像を、2枚の4:2:2型のサブ画像Sout1,Sout2に分割する。この例において、4つのビデオ信号の画像Sm1,Sm2,Sm3,Sm4の各画像は、G映像及びW映像をそれぞれベースとし、R映像及びB映像の画素をカラム毎に割り当てて構成した4:2:2型の1920×1080画素のサブ画像を2枚生成することができる。
【0041】
即ち、第2の分割手段は、G映像をベースとしたサブ画像Sout1と、W映像をベースとしたサブ画像Sout2とを生成するために、以下のように割り振りを行う。
【0042】
カラム2q−1のR信号をサブ画像1(Sout1)に割り振る。
【0043】
カラム2qのR信号をサブ画像2(Sout2)に割り振る。
【0044】
カラム2q−1のB信号をサブ画像1(Sout1)に割り振る。
【0045】
カラム2qのB信号をサブ画像2(Sout2)に割り振る。
【0046】
上記の割り振りを、各サブ画像の左上から1カラムおきに順に詰めて配置する。ここで、qはカラム番号を示す。また、qの範囲は、1≦q≦mである。
【0047】
このように入力される単板カラー方式の画像を分割することで、例えばハイビジョン画像サイズ(1920×1080画素)の縦横が2倍の単板カラー方式の画像(3840×2160画素)を2つの1920×1080画素のサブ画像に分割することができる。この2つのサブ画像は、同様のサンプリングパターンを持つ映像となり、その後、伝送等では同じ信号処理アルゴリズムを用いて処理することが可能になる。
【0048】
前述した実施例では、説明の便宜のために、各手段を個別の手段として説明したが、適宜組み合わせて、又は1つの制御手段で構成することができることは明らかである。また、例えば画像信号処理装置1を複数の装置又はコンピュータで実現することができる。更に、画像信号処理装置1として構成する1つ以上のコンピュータは、前述した各処理を実現させるために、中央演算処理装置(CPU)の制御によって実現でき、少なくとも1つ以上のメモリを備えることができる。更に、画像信号処理装置1としてコンピュータを機能させるために、メモリの所定の領域にCPUで実行させるためのプログラムを格納することができる。また、前述した各処理を実現させるために必要とされるデータを、メモリに一時的、又は恒久的に格納することもできる。このようなメモリは、適宜コンピュータ内部のROM、RAM又はハードディスクなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、外付けハードディスク)を用いて構成させることもできる。従って、本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。また、実施例としては簡単のため3色又は、4色の色フィルタを持つ単板カラー撮像素子からの出力信号を用いたが、4枚の撮像素子を用いてカラー撮像を行う4板式カラーカメラ(参考文献:Sugawara 他、“Four-Chip CCD camera for HDTV”、SPIE Proceedings, Vol.2173, p.122-129, Feb. 1994)の出力信号を用いても同様の効果を得られる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、例えばスーパーハイビジョン(超高精細度画像)として知られる単板カラー方式のカラーテレビ画像の信号処理や信号伝送を行う際の低解像化処理を行う場合に、同一のサンプリング構造のサブ画像を複数生成して、その後の処理に既存の放送用の信号処理装置を用いることが可能となるため、単板カラー方式の高精細画像を並列処理する用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による一実施例の画像信号処理装置の動作概略図である。
【図2】本発明による一実施例の画像信号処理装置において処理又は伝送される各種の映像フォーマット例を示す図である。
【図3】本発明による一実施例の画像信号処理装置のブロック図である。
【図4】本発明による一実施例の画像信号処理装置において入力される単板カラー方式の画像と、生成されるサブ画像との関係を示す図である。
【図5】従来の画像信号処理装置のブロック図である。
【図6】従来の別の画像信号処理の例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像信号処理装置
11 高解像度画像入力部
12 画素ブロック割り当て手段
13−1,13−2,13−N サブ画像用一時メモリ
14 画素ブロック読み出し制御手段
15 サブ画像構成手段
16 サブ画像信号出力部
17 制御パラメータ設定手段
101 信号処理装置
102,103,104,105 フレームメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の整数m,nとして、列画素数4m×行画素数2nからなる超高精細度の撮像カメラからの画像を分割して、並列処理するために低解像度化処理する画像信号処理装置であって、
前記撮像カメラからの画像は、4種類の画素成分を含む映像フォーマットで構成され、
前記撮像カメラからの画像を、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなる2×2画素のブロック領域における各画素単位で、4種類の画素成分毎の4つの画像に分割する第1の分割手段と、
前記4つの画像の各々を、第1の画素成分で構成した第1映像、及び第2の画素成分で構成した第2映像をそれぞれベースとし、第3の画素成分で構成した第3映像及び第4の画素成分で構成した第4映像の各画素をカラム毎にそれぞれ前記第1映像及び前記第2映像に割り当てて構成した2つの放送用のサブ画像に分割する第2の分割手段と、
前記撮像カメラからの画像における4×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出する手段とを備えることを特徴とする、画像信号処理装置。
【請求項2】
前記第2の分割手段は、それぞれの前記第1映像及び前記第2映像の左端の先頭カラムに、それぞれ前記第3映像及び前記第4映像の画素について最初のカラムの位相を合わせて出力することを特徴とする、請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項3】
前記撮像カメラからの画像が単板カラー方式の映像フォーマットの画像である場合には、前記第1,第2,第3,第4の画素成分は、それぞれ画素成分G,W,R,Bからなり、
前記撮像カメラからの画像が4枚の撮像素子で撮影する4板式カラーカメラの出力信号から構成される画像である場合には、前記第1,第2,第3,第4の画素成分は、それぞれ画素成分G,G’,R,Bからなることを特徴とする、請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項4】
1以上の整数m,nとして、列画素数4m×行画素数2nからなる超高精細度の撮像カメラからの画像を分割して、並列処理するために低解像度化処理する画像信号処理方法であって、
前記撮像カメラからの画像は、4種類の画素成分を含む映像フォーマットで構成され、
前記撮像カメラからの画像を、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなる2×2画素のブロック領域における各画素単位で、4種類の画素成分毎の4つの画像に分割するステップと、
前記4つの画像の各々を、第1の画素成分で構成した第1映像、及び第2の画素成分で構成した第2映像をそれぞれベースとし、第3の画素成分で構成した第3映像及び第4の画素成分で構成した第4映像の各画素をカラム毎にそれぞれ前記第1映像及び前記第2映像に割り当てて構成した2つの放送用のサブ画像に分割するステップと、
前記撮像カメラからの画像における4×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出するステップとを含むことを特徴とする、画像信号処理方法。
【請求項5】
1以上の整数m,nとして、列画素数4m×行画素数2nからなる超高精細度の撮像カメラからの画像を分割して、並列処理するために低解像度化処理する画像信号処理装置として構成するコンピュータに、
前記撮像カメラからの画像は、4種類の画素成分を含む映像フォーマットで構成され、
前記撮像カメラからの画像を、隣接して連なる画素構成の列画素数2×行画素数2からなる2×2画素のブロック領域における各画素単位で、4種類の画素成分毎の4つの画像に分割するステップと、
前記4つの画像の各々を、第1の画素成分で構成した第1映像、及び第2の画素成分で構成した第2映像をそれぞれベースとし、第3の画素成分で構成した第3映像及び第4の画素成分で構成した第4映像の各画素をカラム毎にそれぞれ前記第1映像及び前記第2映像に割り当てて構成した2つの放送用のサブ画像に分割するステップと、
前記撮像カメラからの画像における4×2画素のブロック領域に対応する、各サブ画像の画素を送出するステップとを実行させるための画像信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−268017(P2009−268017A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118352(P2008−118352)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】