説明

画像回転装置、方法、プログラム及び携帯端末装置

【課題】データバス負荷を軽減しメモリから表示データの読込みを間に合うようにする。
【解決手段】画像データを回転して表示させる画像回転装置に、データバスを経由してRAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する内部メモリ116と、データバスを経由してRAMからの画像データを今回の画像データとし内部メモリに格納されている前回の画像データとの差分データを検出する差分データ検出部114と、内部メモリに格納される画像データ、且つ、差分データ検出部で検出された差分データを設定された角度に回転する回転処理部115と、データバスを経由して回転処理部からの画像データを前回の回転した画像データとして格納し表示させる回転後画像メモリ150と、データバスを経由して回転処理部からの回転した差分データを回転後画像メモリの回転した画像データに加えて今回の回転した画像データとして復元し表示させる画像復元部160とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動画の画像回転処理を行う画像回転装置に関する。特に、本発明は、表示データの読み込みが間に合うように画像回転処理によるデータバスの負荷を軽減させる画像回転装置、方法、プログラム及び携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の動画の表示と画像回転処理との関係を説明するLCD表示及び動画タイミング図である。本図に示すように、動画は、フレームレート、例えば、30fps(フレーム/秒)で表示され、この場合の動画周期をTとする。
各フレームの表示前に設定された角度に画像データの回転処理が行われ、この回転処理の周期をtとする。この場合、回転処理にはデコード処理などの画像処理を含む。
【0003】
この場合、動画周期T≧回転処理等の周期tであれば、動画の表示が正常に行われ、しかしながら、動画周期T<回転処理等の周期tであれば、回転処理等に時間がかかり、回転処理等が動画周期内に行うことができず、データ読み込みが遅延して表示の周期に間に合わないという問題が生じる。
すなわち、従来の携帯端末装置では、LCD(液晶表示部)の大型化、カメラの高解像度化、マイクロプロセッサ(MPU)の高周波数化及び装置機能(ソフトウエア)の高機能化・複雑化が進む中で、LCDの縦型から横型への回転又はこの逆の回転のように、装置スタイル変更に伴う様々な画像を回転しようとした場合、その回転処理によるデータバス負荷で、表示データのメモリからの読み込みが間に合わなくなり、動画の性能を満足できない支障がでてくる。
【0004】
換言すれば、携帯端末装置での動画データの再生、カメラからの動画の記録を行う場合、画像の回転処理によるデータバスのトラフィックの上昇により、要求されている動画性能例、30fpsを満足することができないという問題がある。
このため、携帯端末装置のユースケース(Use Case)をもとに、データバスのトラフィックの最大値を事前に把握し、表示をくずさないための制約条件を明確にする必要があり、ハードウエアがもつ表示機能をフルに発揮することができないという問題がある。
【0005】
さらに、携帯端末装置で複数の表示レイヤを合成する場合に、各レイヤの表示データをメモリから読み込む際、画像の回転処理によるデータバスのトラフィック(使用量)があがってくると、表示データの読み込みが間に合わず、表示がくずれるなどの支障がある。
したがって、装置要件として表示性能、動画性能を確保することが重要な課題となってきている。
【0006】
前述した画像の回転処理に関連する従来技術には以下のようなものがある。
従来、撮像機能を有する携帯端末装置の操作性を改良するため、カメラ撮影・保存時に撮影用のキーとして既存のシャッタキーとセンタキーとを用意し、カメラモードでは側面にあるシャッタキーを押下した場合は横位置撮影と判断し、撮像の画像データは横長画像として保存し、正面にあるセンタキーを押下した場合は縦位置撮影と判断し縦長画像として保存し、被写体に応じて縦位置で撮影する場合と横位置で撮影する場合とがありえるので、縦位置撮影画像と横位置撮影画像が混在することになるが、保存された撮像画像データは閲覧時には縦位置撮影画像と横位置撮影画像のいずれも画像の縦横が表示部の画面の縦横に一致するように回転処理して表示することもでき、その結果、特別な回転操作や編集は不要となるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、前述のように、回転処理によるデータバス負荷で、表示データのメモリからの読み込みが間に合わなくなるという課題を解決するものではない。
また、従来、カメラが付いた携帯情報端末において、文字認識処理を精度良く実施する為には、画像内で認識対象の文字列が傾斜しないようにする必要があり、あるいは、文字の記述方向に縦書きと横書きの2通りがある場合、正しい文字認識結果を得るためにそれぞれに合わせた文字行方向を指定する必要があり、これらはいずれも使用者による指定、あるいは、補正の負担が大きく、また、日本語を文字認識して認識結果をキーとして検索しようとした場合、英単語と異なり文字の区切れ目がないため、検索対象語を指定する使用者の負担が大きいという問題があったため、文字行の傾斜を適切に修正するために、文字行の傾きを示すインジケータを情報端末装置の画面上に表示し、あるいは、日本語を文字認識して認識結果をキーとして検索するために、形態素解析結果とカーソルの位置情報を用いて検索対象語を指定するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、特許文献2では、前述のように、回転処理によるデータバス負荷で、表示データのメモリからの読み込みが間に合わなくなるという課題を解決するものではない。
また、従来、携帯電話機をどこに持ち運んでも、常に正確に真北と携帯電話機画面の向きの関係を知ることができるようにするため、コンパスは携帯電話機の磁北の水平成分に対する角度を出力し、通信ネットワークは各エリアの偏角情報を保持し携帯電話機に送信し、通信用CPUは偏角情報を通信ネットワークから受信し、アプリケーション用CPUに渡し、アプリケーション用CPUは、偏角情報とコンパスが出力する電話機画面の向きを足し合わせ、真北に対する電話機画面の向きの水平成分の角度を求めるものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
しかしながら、上記特許文献3では、前述のように、回転処理によるデータバス負荷で、表示データのメモリからの読み込みが間に合わなくなるという課題を解決するものではない。
また、従来、所望の画像データが所望の形態で記録された利用価値の高い記録媒体を簡単に作成することができる記録装置及び記録プログラムの提供を行うため、デジタルカメラやメディアなどから読み取った画像データをサーバなどに記憶し、携帯電話機などの携帯機器を用いて、画像データの選択や、画像の回転、文字や音声の合成などの指示を行い、記録装置では、特定の記録媒体が装填された場合に、携帯機器で選択した画像データの記憶場所や該画像データに対する処理が記述された指示情報を読み取り、該指示情報に基づいて対象となる画像データを特定し、対象となる画像データが存在する場合は、少なくとも特定された画像データや指示情報に従って処理された画像データを記録媒体に記録し、対象となる画像データが存在しない場合は、その旨を示すメッセージ画面を表示手段に表示するものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
しかしながら、上記特許文献4では、前述のように、回転処理によるデータバス負荷で、表示データのメモリからの読み込みが間に合わなくなるという課題を解決するものではない。
また、従来、撮像した画像にフレーム等を描画する機能を備えたカメラ付き携帯端末において、カメラ付き携帯端末を光軸周りに回転させた状態で撮影しても、被写体像にフレームが付加された画像は、見栄えの良い画像になるようにするため、カメラ付き携帯端末は、被写体を撮像して画像を生成する撮像手段と、前記画像を加工する画像加工手段と、前記画像加工手段によって加工された画像を表示する表示手段と、重力の方向を検出する重力センサと、を有し、前記画像加工手段は、前記重力センサによって検出された重力の方向に基づいて、画像加工方法を変化させるものもある(例えば、特許文献5参照)。
【0011】
しかしながら、上記特許文献5では、前述のように、回転処理によるデータバス負荷で、表示データのメモリからの読み込みが間に合わなくなるという課題を解決するものではない。
【0012】
【特許文献1】特開2005−123930号公報
【特許文献2】特開2005−141603号公報
【特許文献3】特開2006−094368号公報
【特許文献4】特開2006−324868号公報
【特許文献5】特開2006−332767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、回転処理によるデータバス負荷を軽減し、表示データのメモリからの読み込みが間に合うようになる画像回転装置、方法、プログラム及び携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前記問題点を解決するために、RAMに格納された画像データを回転して表示させる画像回転装置において、データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する内部メモリと、前記データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと前記内部メモリに格納されている前回の画像データとの差分を差分データとして検出する差分データ検出部と、前記内部メモリに格納される画像データ、且つ、前記差分データ検出部で検出された差分データを設定された角度にそれぞれ回転する回転処理部と、前記データバスを経由して前記回転処理部から読み込まれた画像データを前回の回転した画像データとして格納し、前回の回転した画像データとして表示させる回転後画像メモリと、前記データバスを経由して前記回転処理部からの回転した差分データを前記回転後画像メモリの回転した画像データに加えて今回の回転した画像データとして復元し、今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させる画像復元部とを備えることを特徴とする画像回転装置を提供する。
【0015】
さらに、前記回転後メモリの回転された画像データが表示される間に複数の復元された画像データが表示される。
さらに、前記内部メモリ、前記差分データ検出部及び前記回転処理部がマイクロプロセッサに設けられ、前記内部メモリ、前記差分データ検出部及び前記回転処理部がそれぞれ前記マイクロプロセッサの内部バスに接続され、前記内部バスは前記データバスを経由して前記RAM、前記回転後画像メモリ及び画像復元部に接続される。
【0016】
さらに、本発明は、RAMに格納された画像データを回転して表示させる画像回転方法において、データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する工程と、格納された前回の画像データを設定された角度に回転する工程と、前記データバスを経由して前回の回転した画像データを読み込み格納し表示させる工程と、前記データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと格納された前回の画像データとの差分を差分データとして検出する工程と、検出された差分データを設定された前記角度に回転する工程と、前記データバスを経由して回転した差分データを読み込む工程と、読み込まれた前回の回転した画像データに読み込まれた差分データを加えて今回の回転した画像データとして復元し、復元した今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させる工程とを備えることを特徴とする画像回転方法を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、RAMに格納された画像データを回転して表示させる画像回転プログラムにおいて、データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する手順と、格納された前回の画像データを設定された角度に回転する手順と、前記データバスを経由して前回の回転した画像データを読み込み格納し表示させる手順と、前記データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと格納された前回の画像データとの差分を差分データとして検出する手順と、検出された差分データを設定された前記角度に回転する手順と、前記データバスを経由して回転した差分データを読み込む手順と、読み込まれた前回の回転した画像データに読み込まれた差分データを加えて今回の回転した画像データとして復元し、復元した今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させる手順とを備えることを特徴とする画像回転プログラムを提供する。
【0018】
さらに、本発明は、RAMに格納された画像データを回転して表示させる携帯端末装置において、データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する内部メモリと、前記データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと前記内部メモリに格納されている前回の画像データとの差分を差分データとして検出する差分データ検出部と、前記内部メモリに格納される画像データ、且つ、前記差分データ検出部で検出された差分データを設定された角度にそれぞれ回転する回転処理部と、前記データバスを経由して前記回転処理部から読み込まれた画像データを前回の回転した画像データとして格納し、前回の回転した画像データとして表示させる回転後画像メモリと、前記データバスを経由して前記回転処理部からの回転した差分データを前記回転後画像メモリの回転した画像データに加えて今回の回転した画像データとして復元し、今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させる画像復元部とを備えることを特徴とする携帯端末装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、データバスを経由してRAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納し、格納された前回の画像データを設定された角度に回転し、データバスを経由して前回の回転した画像データを読み込み格納し表示させ、データバスを経由してRAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと格納された前回の画像データとの差分を差分データとして検出し、検出された差分データを設定された角度に回転し、データバスを経由して回転した差分データを読み込み、読み込まれた前回の回転した画像データに読み込まれた差分データを加えて今回の回転した画像データとして復元し、復元した今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させることにより、様々なサイズの画像を回転して表示、動画処理する場合、連続して表示する画像データの1つおきに差分データに対する回転処理に軽減を行い、データバス等のトラフィックを差分データに軽減を行い、画像データを復元するようにしたので、データバス等の負荷(使用量)が大きくなることに起因して、表示データの読み込みが間に合わなくなり、画像性能を満足できなくなるケースを回避することが可能となる。
【0020】
さらに、2つの画像データの回転処理の間に複数の復元画像データの回転処理がされた画像の表示を行うようにしたので、画像データの回転処理等の周期の大きさに応じて復元画像データ数を調整することにより、データバス等の負荷(使用量)が大きくなることに起因して表示データの読み込みが間に合わなくなり、画像性能を満足できなくなるケースを回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る携帯端末装置における画像回転装置の概略構成を示すブロック図である。本図に示す携帯端末装置100は、通常の通話機能、通信機能を有し、カメラからの動画の記録を行い、動画データの再生機能を有し、携帯端末装置100にはマイクロプロセッサ(MPU)110、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)120、ROM(リード・オンリ・メモリ)130、LCD(液晶表示部)140、回転後画像メモリ150、画像復元部160及びデータバス170が設けられ、さらに、マイクロプロセッサ110にはCPU(中央演算処理装置)111、回転制御部112、内部バス113が設けられ、さらに、回転制御部112には差分検出部114、回転処理部115及び内部メモリ116が設けられる。
【0022】
なお携帯端末装置100の通常の通話機能、通信機能、カメラの機能の詳細説明は省略する。
ここに、マイクロプロセッサ110は携帯端末装置100の処理機能をワンチップ化したIC(集積回路)であり、携帯端末装置100の全体の制御を行い、RAM120に格納された画像データをLCD140に表示する。
【0023】
RAM120は様々なサイズの画像データ、例えば、複数の表示レイヤを合成するための各レイヤの表示データ、動画の画像データを格納する。
ROM130はOS(オペレーティングシステム)、画像処理を制御するプログラムを格納する。
LCD140はRAM120に格納される表示データ、画像データ、さらに、回転処理された表示データ、画像データを表示する。
【0024】
回転後画像メモリ150は回転制御部112の回転処理部115により回転された回転後の画像データを格納し、画像復元部160は回転後画像メモリ150の回転後の画像データに対して回転処理部115により回転された差分データを加えて回転した今回の画像データを復元し、LCD140に表示する。
データバス170にはマイクロプロセッサ110、RAM120、ROM130、LCD140、回転後画像メモリ150及び画像復元部160が接続される。
【0025】
CPU111はROM130に格納されたプログラムの命令を実行し、回転制御部112に対して目的に応じて設定された任意の角度に従って画像データを回転処理するように、回転制御部112の動作を制御する。
回転制御部112は様々なサイズの画像の回転機能を備え、CPU111が実行するプログラムの起動に同期してRAM120に格納されている画像データを読み込み、画像データを任意の角度で回転させ、回転処理後の画像データを回転後画像メモリ150に格納させる。
【0026】
差分検出部114は回転制御部112が画像データをRAM120から読み込むとき、前回読み込んだ画像データとの差分を差分データとして検出する。
回転処理部115は差分検出部114で検出された画像の差分データに対して、CPU111により回転制御部112に設定された角度と同一の角度に従って回転処理を行い、その回転処理後の差分データをRAM120に格納する。
【0027】
内部メモリ116は回転制御部112により読み込まれた画像データのうち前回の画像データを格納する。
内部バス113にはCPU111、回転制御部112及びデータバス170が接続される。
換言すれば、内部バス113及びデータバス170を経由して、ROM130からマイクロプロセッサ110へプログラムデータが出力され、さらに、RAM120からマイクロプロセッサ110へ動画データが出力され、マイクロプロセッサ110から画像復元部160へ画像データ及び差分データが出力され、画像復元部160からLCD140へ動画データが出力される。
【0028】
図2は携帯端末装置100のスタイルの変更例を示す図である。本図に示すように、一例として、携帯端末装置100のLCD140が縦型(a)から横型(b)に変更されるに伴ってLCD140に表示される表示データである画像データが縦型から横型に90°回転し、又は、この逆に、横型(b)から縦型(a)に変更されるに伴ってLCD140に表示される表示データである画像データが縦型から横型に90°回転する。
【0029】
図3は図1における回転制御部112における回転処理部115の動作例を説明する図である。本図に示すように、回転処理部115では、画像の回転前の画素の座標を(x、y)とし、この画素の座標をθだけ回転した後の画素の座標を(X、Y)とすると、
X=ycosθ−xsinθ
Y=ysinθ+xcosθ
となる。
【0030】
図4は図1における携帯端末装置の動画の表示と画像回転処理との関係を説明するLCD表示及び動画タイミング図である。
本図に示すように、LCD140への表示に対して、前述のように動画周期Tとし、データバス170及び内部バス113を経由してRAM120からの画像データをマイクロプロセッサ110で内部メモリ116に格納し回転処理し内部バス113及びデータバス170を経由して回転した画像データを回転後画像メモリ150に格納し、LCD140に表示するまでの画像データの回転処理等の周期をt1とする。
【0031】
回データバス170及び内部バス113を経由してRAM120からの画像データをマイクロプロセッサ110で内部メモリ116に格納したが画像データとの差分を検出し、差分データを回転処理し、内部バス113及びデータバス170を経由して回転した差分データと回転後画像メモリ150の回転した画像データとを加えて画像復元部160により復元し、復元した画像データをLCD140に表示するまでの復元画像データの回転処理等の周期をt2とする。
【0032】
なお、復元画像データの回転処理t2は、画像データの回転処理t1に対して、ほぼ、t2≒t1/2に圧縮される。
ここに、t1>T、t2<T、2T≧t1+t2とした場合、画像データの回転処理と復元画像データを交互に行って回転された画像の表示が行われる。
従来では、前述のようにT<t1ならば、画像データの読み込みが遅延して表示の周期に間に合わないという問題が生じていたが、T<t1であっても、2T≧t1+t2ならば、画像データの読み込みが遅延して表示の周期に間に合わないという上記の問題が解決される。
【0033】
図5は図1における本発明に係る携帯端末装置における画像回転装置の一連の動作例を説明するフローチャートである。
本図に示すように、ステップS201において、RAM120からマイクロプロセッサ110の内部メモリ116に、データバス170及び内部バス113を経由して、RAM120に格納されている画像データを読み込み、読み込んだ画像データを前回画像データとして格納する。
【0034】
ステップS202において、内部メモリ116に読み込まれた前回画像データを回転処理部115により設定された角度に回転する。
ステップS203において、回転処理部115により回転された前回画像データを、内部バス113及びデータバス170を経由して、回転後画像メモリ150に読み込み格納する。
【0035】
ステップS204において、回転後画像メモリ150に格納された、回転した画像データをLCD140に表示開始する。
ステップS205において、RAM120からマイクロプロセッサ110に、データバス170及び内部バス113を経由して、RAM120に格納されている画像データを読み込み、読み込んだ画像データと今回画像データとし、差分検出部114により前回画像データと今回画像データとの差分を差分データとして検出する。
【0036】
ステップS206において、差分検出部114により検出された差分データを回転処理部115により設定した角度に回転する。これにより回転処理の軽減が可能となる。
ステップS207において、差分検出部114により回転した差分データを、内部バス113及びデータバス170を経由して、画像復元部160に読み込み、読み込んだ差分データを回転後画像メモリ150に格納されている、回転した前回画像データに加算して回転した今回の画像データに復元する。これにより、内部バス113及びデータバス170の負担を軽減することが可能となる。
【0037】
ステップS208において、画像復元部160で回転した今回画像データを、回転した前回の画像データの表示終了後に表示を開始し、処理を終了する。
したがって、本発明によれば、様々なサイズの画像を回転して表示、動画処理する場合、連続して表示する画像データの1つおきに差分データに対する回転処理に軽減を行い、データバス等のトラフィックを差分データに軽減を行い、画像データを復元するようにしたので、データバス等の負荷(使用量)が大きくなることに起因して表示データの読み込みが間に合わなくなり、画像性能を満足できなくなるケースを回避することが可能となる。
【実施例1】
【0038】
図6は図4の変形例であり、図1における携帯端末装置の動画の表示と画像回転処理との関係を説明するLCD表示及び動画タイミング図である。
本図に示すように、図4と比較して、2t1>3T、t2<T、6T≧2t1+4t2とした場合、2つの画像データの回転処理の間に4つの復元画像データの回転処理がされた画像の表示が行われる。
【0039】
t2(差分データの回転処理等の周期)<T(動画周期)が確保されている場合にはt1(画像データの回転処理等の周期)の大きさに応じて復元画像データ数を調整することによりデータバス等の負荷(使用量)が大きくなることに起因して表示データの読み込みが間に合わなくなり、画像性能を満足できなくなるケースを回避することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上の説明では、画像の回転処理装置機能をワンチップ化したMPUを搭載した携帯端末装置について画像回転処理に伴うデータバスの負荷軽減を行ったが、上記のMPUだけでなく、LSI(大規模集積回路)を搭載した情報処理装置において回転処理を含む画像を加工処理をする場合にも本発明の利用が可能であり、携帯端末装置としては、携帯電話機、PHS、PDAを含むものにも本発明の利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る携帯端末装置における画像回転装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】携帯端末装置100のスタイルの変更例を示す図である。
【図3】図1における回転制御部112における回転処理部115の動作例を説明する図である。
【図4】図1における携帯端末装置の動画の表示と画像回転処理との関係を説明するLCD表示及び動画タイミング図である。
【図5】図1における本発明に係る携帯端末装置における画像回転装置の一連の動作例を説明するフローチャートである。
【図6】図4の変形例であり、図1における携帯端末装置の動画の表示と画像回転処理との関係を説明するLCD表示及び動画タイミング図である。
【図7】従来の動画の表示と画像回転処理との関係を説明するLCD表示及び動画タイミング図である。
【符号の説明】
【0042】
100…携帯端末装置
110…マイクロプロセッサ
111…CPU
112…回転制御部
113…内部バス
114…差分検出部
115…回転処理部
116…内部メモリ
120…RAM
130…ROM
140…LCD
150…回転後画像メモリ
160…画像復元部
170…データバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RAMに格納された画像データを回転して表示させる画像回転装置において、
データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する内部メモリと、
前記データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと前記内部メモリに格納されている前回の画像データとの差分を差分データとして検出する差分データ検出部と、
前記内部メモリに格納される画像データ、且つ、前記差分データ検出部で検出された差分データを設定された角度にそれぞれ回転する回転処理部と、
前記データバスを経由して前記回転処理部から読み込まれた画像データを前回の回転した画像データとして格納し、前回の回転した画像データとして表示させる回転後画像メモリと、
前記データバスを経由して前記回転処理部からの回転した差分データを前記回転後画像メモリの回転した画像データに加えて今回の回転した画像データとして復元し、今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させる画像復元部とを備えることを特徴とする画像回転装置。
【請求項2】
前記回転後メモリの回転された画像データが表示される間に複数の復元された画像データが表示されることを特徴とする、請求項1に記載の画像回転装置。
【請求項3】
前記内部メモリ、前記差分データ検出部及び前記回転処理部がマイクロプロセッサに設けられ、前記内部メモリ、前記差分データ検出部及び前記回転処理部がそれぞれ前記マイクロプロセッサの内部バスに接続され、前記内部バスは前記データバスを経由して前記RAM、前記回転後画像メモリ及び画像復元部に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の画像回転装置。
【請求項4】
RAMに格納された画像データを回転して表示させる画像回転方法において、
データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する工程と、
格納された前回の画像データを設定された角度に回転する工程と、
前記データバスを経由して前回の回転した画像データを読み込み格納し表示させる工程と、
前記データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと格納された前回の画像データとの差分を差分データとして検出する工程と、
検出された差分データを設定された前記角度に回転する工程と、
前記データバスを経由して回転した差分データを読み込む工程と、
読み込まれた前回の回転した画像データに読み込まれた差分データを加えて今回の回転した画像データとして復元し、復元した今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させる工程とを備えることを特徴とする画像回転方法。
【請求項5】
RAMに格納された画像データを回転して表示させる画像回転プログラムにおいて、
データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する手順と、
格納された前回の画像データを設定された角度に回転する手順と、
前記データバスを経由して前回の回転した画像データを読み込み格納し表示させる手順と、
前記データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと格納された前回の画像データとの差分を差分データとして検出する手順と、
検出された差分データを設定された前記角度に回転する手順と、
前記データバスを経由して回転した差分データを読み込む手順と、
読み込まれた前回の回転した画像データに読み込まれた差分データを加えて今回の回転した画像データとして復元し、復元した今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させる手順とを備えることを特徴とする画像回転プログラム。
【請求項6】
RAMに格納された画像データを回転して表示させる携帯端末装置において、
データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを前回の画像データとして格納する内部メモリと、
前記データバスを経由して前記RAMから読み込まれた画像データを今回の画像データとし、今回の画像データと前記内部メモリに格納されている前回の画像データとの差分を差分データとして検出する差分データ検出部と、
前記内部メモリに格納される画像データ、且つ、前記差分データ検出部で検出された差分データを設定された角度にそれぞれ回転する回転処理部と、
前記データバスを経由して前記回転処理部から読み込まれた画像データを前回の回転した画像データとして格納し、前回の回転した画像データとして表示させる回転後画像メモリと、
前記データバスを経由して前記回転処理部からの回転した差分データを前記回転後画像メモリの回転した画像データに加えて今回の回転した画像データとして復元し、今回の回転した画像データを前回の回転した画像データの後に表示させる画像復元部とを備えることを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−107665(P2010−107665A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278767(P2008−278767)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】