説明

画像形成システム、画像形成装置および電子メール処理方法

【課題】メールサーバから画像形成装置への電子メールのデータ転送量を少なくして、画像形成装置内の他の処理が遅延しないようにする。
【解決手段】
メールサーバ装置は、画像ファイルが添付されている受信メールを検出し、検出した受信メールに添付されている画像ファイルに対して縮小処理を行い、受信メールに添付されている画像ファイルを、縮小処理後の画像ファイルに置き換えた電子メールを生成する。画像形成装置4では、メールクライアント41は、メール生成部24により生成された電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルのみを選択的に取得し、制御部42は、メールクライアント41により取得された縮小処理後の画像ファイルに基づいてプレビュー画像を表示装置45に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置および電子メール処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在のコンピュータネットワークに接続可能な画像形成装置(印刷装置、複写機、複合機など)の多くは、電子メールの受信印刷機能を有する。このような画像形成装置は、所定の自動受信時間間隔ごとにメールサーバへアクセスし、メールサーバに受信されている電子メールを取得する。
【0003】
電子メールが添付ファイルを有する場合、このように定期的にメールサーバへアクセスし電子メールを取得すると、メールサーバからダウンロードするデータ量が多くなり、画像形成装置内の他の処理が遅延してしまう可能性がある。
【0004】
メールサーバへのアクセス頻度を低くする技術としては、電子メールがサーバに着信したときに着信通知を発行しその着信通知に対応してサーバからメールを取得する技術(第1の技術)がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、電子メールに画像ファイルを含める代わりに、アップロードされた画像ファイルのURL(Uniform Resource Locator)を含む通知メールを送信する技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、クライアント側で、添付ファイル付きの電子メールを取得し、添付ファイルのサムネイル画像を表示する技術がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−154940号公報
【特許文献2】特開2001−312446号公報
【特許文献3】特開2001−075892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の第1の技術では、クライアント側は、メールサーバにより受信されたすべてメールを取得することになり、上述の問題は解消されない。
【0009】
上述の第2の技術では、URLだけでは、画像ファイルによる画像がどのようなものかは、その画像ファイルをダウンロードしなければわからない。このため、画像ファイルを印刷するか否かを判断するためには、画像ファイルをダウンロードしなければならず、上述の問題は解消されない。
【0010】
上述の第3の技術では、クライアント側が電子メールを取得しなければ、サムネイル画像を生成することができないため、上述の問題は解消されない。
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、メールサーバから画像形成装置への電子メールのデータ転送量を少なくして、画像形成装置内の他の処理が遅延しないようにする画像形成システム、およびその画像形成システムで利用可能な画像形成装置および電子メール処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0013】
本発明に係る画像形成システムは、コンピュータネットワークに接続されたメールサーバ装置と、そのコンピュータネットワークに接続された画像形成装置とを備える。そして、メールサーバ装置は、画像ファイルが添付されている受信メールを検出するメール検出部と、メール検出部により検出された受信メールに添付されている画像ファイルに対して縮小処理を行う画像処理部と、受信メールに添付されている画像ファイルを、縮小処理後の画像ファイルに置き換えた電子メールを生成するメール生成部とを有する。また、画像形成装置は、表示装置と、メール生成部により生成された電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルのみを取得可能なメールクライアントと、メールクライアントにより取得された縮小処理後の画像ファイルに基づいてプレビュー画像を表示装置に表示させる制御部とを有する。
【0014】
これにより、画像形成装置において、ユーザは、縮小処理後の画像ファイルによる画像で、電子メールの添付ファイルをメールサーバ装置からダウンロードするか否かを決定することができ、また、必要な添付ファイルのみダウンロードすることができる。このため、メールサーバから画像形成装置への電子メールのデータ転送量を少なくして、画像形成装置内の他の処理が遅延しないようにすることができる。
【0015】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムに加え、次のようにしてもよい。この場合、メールサーバ装置のメール生成部は、受信メールから生成する電子メールのヘッダまたは本文に、その受信メールの識別情報を記述する。そして、画像形成装置のメールクライアントは、その電子メールのヘッダまたは本文を取得し、そのヘッダまたは本文から特定される受信メールを取得する。
【0016】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、印刷装置と、画像ファイルに基づき印刷装置に画像を印刷させる印刷処理部とを有する。そして、メールサーバ装置のメール生成部は、受信メールから生成する電子メールのヘッダまたは本文に、その受信メールの識別情報を記述する。画像形成装置のメールクライアントは、電子メールのヘッダまたは本文を取得し、そのヘッダまたは本文から特定される受信メールに添付されている画像ファイルのみを取得し、画像形成装置の印刷処理部は、受信メールに添付されている画像ファイルに基づき印刷装置に画像を印刷させる。
【0017】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、画像ファイルからサムネイル画像データを生成する画像処理部を有する。そして、画像形成装置のメールクライアントは、受信メールから生成された電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルを取得し、画像形成装置の画像処理部は、その縮小処理後の画像ファイルから、サムネイル画像データを生成し、画像形成装置の制御部は、そのサムネイル画像データに基づいてサムネイル画像を表示装置に表示させる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置は、表示装置と、メールサーバ装置により受信メールの添付画像ファイルに対して縮小処理が行われて生成された電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルのみを取得可能なメールクライアントと、メールクライアントにより取得された縮小処理後の画像ファイルに基づいてプレビュー画像を表示装置に表示させる制御部とを備える。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、メールクライアントは、電子メールのヘッダまたは本文を取得し、メールサーバ装置によりそのヘッダまたは本文に記述された、受信メールの識別情報から特定される受信メールを取得する。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、印刷装置と、画像ファイルに基づき印刷装置に画像を印刷させる印刷処理部とを備える。そして、メールクライアントは、電子メールのヘッダまたは本文を取得し、メールサーバ装置によりそのヘッダまたは本文に記述された受信メールの識別情報から特定される受信メールに添付されている画像ファイルのみを取得し、印刷処理部は、受信メールに添付されている画像ファイルに基づき印刷装置に画像を印刷させる。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、画像ファイルからサムネイル画像データを生成する画像処理部を備える。メールクライアントは、電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルを取得し、画像処理部は、その縮小処理後の画像ファイルから、サムネイル画像データを生成し、制御部は、そのサムネイル画像データに基づいてサムネイル画像を表示装置に表示させる。
【0022】
また、本発明に係る電子メール処理方法は、画像ファイルが添付されている受信メールを検出し、検出された受信メールに添付されている画像ファイルに対して縮小処理を行い、その受信メールに添付されている画像ファイルを、縮小処理後の画像ファイルに置き換えた電子メールを生成する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、メールサーバから画像形成装置への電子メールのデータ転送量を少なくして、画像形成装置内の他の処理が遅延しないようにする画像形成システム、およびその画像形成システムで利用可能な画像形成装置および電子メール処理方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1におけるメールサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1における画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図2に示すメールサーバ装置による電子メール受信時の処理について説明するフローチャートである。
【図5】図5は、図3に示す画像形成装置による電子メールの添付ファイルの取得処理について説明するフローチャートである。
【図6】図6は、図3に示す画像形成装置により表示されるメールコンテンツリストの画面の一例を示す図である。
【図7】図7は、図3に示す画像形成装置により印刷されるサムネイル画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示す画像形成システムでは、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークなどといったコンピュータネットワーク1に、メールサーバ装置2、少なくとも1つの端末装置3、および少なくとも1つの画像形成装置4が接続されている。
【0028】
メールサーバ装置2は、画像形成装置4またはそのユーザが有するメールアカウントを管理し、その画像形成装置4またはそのユーザのメールアドレス宛の電子メールを受信する装置である。端末装置3は、そのような電子メールを送信する装置である。画像形成装置4は、ネットワーク機能を有する、印刷装置、複写機、複合機などといった装置であり、メールサーバ装置2により受信された電子メール(以下、受信メールという)の全体、メール本文のみ、あるいは添付ファイルのみを取得可能である。
【0029】
図2は、図1におけるメールサーバ装置2の構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すメールサーバ装置2は、通信装置11、演算処理装置12および記憶装置13を有する。
【0031】
通信装置11は、コンピュータネットワーク1に接続され、コンピュータネットワーク1に接続されている他の装置(画像形成装置4など)とデータ通信を行う装置である。通信装置11としては、ネットワークインタフェースカード、モデムなどが使用される。
【0032】
また、演算処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピュータであり、ROMや記憶装置13に予め格納されている図示せぬプログラムを実行することで、各種処理部を実現する。この実施の形態では、図2に示すように、演算処理装置12により、メールサーバ21、メール検出部22、画像処理部23およびメール生成部24が実現される。
【0033】
メールサーバ21は、通信装置11を介して、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)などの転送プロトコルに従って電子メールを受信し、受信した電子メールを宛先の電子メールアドレスに対応するメールボックスに格納するとともに、POP3(Post Office Protocol)などの取得プロトコルに従ってメールクライアントへ受信メールを送信する処理部である。
【0034】
メール検出部22は、電子メールが受信されたとき、あるいは所定の時間間隔で定期的に、画像ファイルが添付されている受信メールを検出する処理部である。画像ファイルとしては、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、PNG(Portable Network Graphics)、GIF(Graphic Interchange Format)、PDF(Portable Document Format)などといった形式のファイルなどがあり、例えばファイル名の拡張子が所定のものであるか否かにより、添付ファイルが画像ファイルか否かが判断される。
【0035】
画像処理部23は、メール検出部22により検出された受信メールに添付されている画像ファイルに対して縮小処理を行う処理部である。縮小処理では、画像ファイルから、解像度の低い画像ファイルが生成される。
【0036】
メール生成部24は、受信メールに添付されている画像ファイルを、縮小処理後の画像ファイルに置き換えた電子メールを新たに生成する処理部である。つまり、生成された電子メールのデータには、受信メールと同一のメールヘッダおよび本文、画像ファイル以外の受信メールと同一の添付ファイル、並びに、縮小処理後の画像ファイルが含まれる。メール生成部24は、生成した電子メールを、受信メールと同一のメールボックスに格納する。
【0037】
なお、メール生成部24は、この電子メールのヘッダまたは本文に、受信メールから生成されたメールであることを示すメール種別情報と、その受信メール識別情報(メールIDなど)を含める。このメール種別情報は、受信メール(つまり、生成したメールの元となったメール)と生成した電子メールとを区別するために使用される。また、受信メール識別情報は、生成した電子メールの元となった受信メールを特定するために使用される。
【0038】
また、記憶装置13は、データおよび/またはプログラムを格納する装置である。記憶装置13には、例えば、ハードディスクドライブが使用される。記憶装置13には、メールアカウントごとにメールボックス25が設けられ、受信メールは、宛先のメールアカウントに対応するメールボックス25に保存される。
【0039】
図3は、図1における画像形成装置4の構成を示すブロック図である。
【0040】
図3に示す画像形成装置4は、通信装置31、演算処理装置32、操作パネル33、印刷装置34および記憶装置35を有する。
【0041】
通信装置31は、コンピュータネットワーク1に接続され、コンピュータネットワーク1に接続されている他の装置(メールサーバ装置2など)とデータ通信を行う装置である。通信装置31としては、ネットワークインタフェースカード、モデムなどが使用される。
【0042】
また、演算処理装置32は、CPU、ROM、RAMなどを有するコンピュータであり、ROMや記憶装置35に予め格納されている図示せぬプログラムを実行することで、各種処理部を実現する。この実施の形態では、図3に示すように、演算処理装置32により、メールクライアント41、制御部42、画像処理部43および印刷処理部44が実現される。
【0043】
メールクライアント41は、POP3などのプロトコルに従ってメールサーバ21にアクセスし、あるメールアカウントについて保存されている電子メールのリスト、その電子メールの一部または全部のダウンロード、その電子メールの削除などを行う処理部である。したがって、メールクライアント41は、メールサーバ装置2のメール生成部24により生成された電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルのみを取得可能である。
【0044】
制御部42は、この画像形成装置4内の処理フローを制御する処理部であり、メールクライアント41により取得された縮小処理後の画像ファイルに基づいてプレビュー画像を操作パネル33の表示装置に表示させる。
【0045】
画像処理部43は、取得された縮小処理後の画像ファイルからサムネイル画像データを生成する処理部である。
【0046】
印刷処理部44は、取得された画像ファイル、画像形成装置4内で生成された画像データなどに基づき印刷装置34に画像を印刷させる処理部である。
【0047】
また、操作パネル33は、画像形成装置4の筐体に設置され、表示装置45および入力装置46を有する。表示装置45としては、例えば液晶ディスプレイが使用され、入力装置46としては、タッチパネル、キースイッチなどが使用される。表示装置45は、制御部42から供給される画像データに対応する画像を画面に表示する。また、入力装置46は、ユーザ操作を検出し、そのユーザ操作に対応する信号を演算処理装置32に供給する。演算処理部32内の処理部は、その信号に基づいて、入力装置46に対するユーザ操作の発生、内容などを検出する。
【0048】
また、印刷装置34は、印刷処理部44からの制御データに従って動作し、印刷用紙などの媒体に画像を印刷する装置である。
【0049】
また、記憶装置35は、データおよび/またはプログラムを格納する装置である。記憶装置35には、例えば、ハードディスクドライブが使用される。
【0050】
次に上記装置の動作について説明する。
【0051】
メールサーバ装置2による電子メール受信時の処理、および画像形成装置4による電子メールの添付ファイルの取得処理について順番に説明する。
【0052】
(a)メールサーバ装置2による電子メール受信時の処理
【0053】
図4は、図2に示すメールサーバ装置2による電子メール受信時の処理について説明するフローチャートである。
【0054】
例えば端末装置3などからこのメールサーバ装置2に登録されているメールアカウント宛の電子メールが送信されると、メールサーバ21が、その電子メールを受信し、その電子メールをそのアカウントのメールボックス25に格納する(ステップS1)。
【0055】
メールサーバ21が電子メールを受信すると、メール検出部22は、その受信メールに画像ファイルが添付されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0056】
メール検出部22が、受信メールに1または複数の画像ファイルが添付されていると判定した場合、画像処理部23は、その受信メールから画像ファイルを取得し、画像ファイルから解像度の低い画像ファイルを生成する(ステップS3)。画像ファイルなどの添付ファイルは、BASE64などの方式でエンコードされたデータとして電子メールデータに含まれている。このため、画像処理部23は、受信メールから、エンコードされている画像ファイルを抽出し、そのエンコードされている画像ファイルをデコードしてから、縮小処理を行う。
【0057】
画像処理部23による縮小処理が完了した後、メール生成部25は、受信メールのヘッダ、本文、画像ファイル以外の添付ファイル、および画像処理部23により生成された画像ファイルを含む電子メールを生成する(ステップS4)。その際、添付ファイルは、BASE64などの方式でエンコードされる。メール生成部25は、生成した電子メールを、その電子メールの元となった受信メールの宛先のメールアカウントに対応するメールボックス25に格納する。なお、このとき、縮小処理後の画像ファイルのファイル名は、元の画像ファイルのファイル名と同一か、元の画像ファイルのファイル名の一部または全部を含むファイル名とされる。
【0058】
このようにして、メールサーバ装置2により電子メール受信時の処理が行われる。
【0059】
(b)画像形成装置4による電子メールの添付ファイルの取得処理
【0060】
図5は、図3に示す画像形成装置4による電子メールの添付ファイルの取得処理について説明するフローチャートである。
【0061】
メールクライアント41は、入力装置46に対するユーザ操作に応じて、あるいは定期的にメールサーバ21にアクセスし、ユーザにより指定されたメールアカウントについてメールサーバ装置2に保存されている電子メールのリストを取得する(ステップS11)。
【0062】
そして、制御部42は、入力装置46に対するユーザ操作に応じて、その電子メールのリストを表示装置45に表示させる(ステップS12)。このとき表示されるリストは、縮小処理後の電子メールのみであり、その元となった受信メールはそのリスト内では表示されない。
【0063】
入力装置46に対するユーザ操作によりそのリストから1つの電子メールが選択されると、制御部42は、その電子メールに含まれるコンテンツを示すメールコンテンツリスト画面を表示装置45に表示させる(ステップS13)。
【0064】
図6は、図3に示す画像形成装置4により表示されるメールコンテンツリストの画面の一例を示す図である。
【0065】
図6に示すメールコンテンツリスト画面には、(a)メール本文、添付ファイル「Attachment1.pdf」、添付ファイル「Attachment2.txt」および添付ファイル「Attachment3.jpeg」からなるコンテンツリスト61と、(b)メール本文についてのラジオボタン62と、(c)添付ファイル「Attachment1.pdf」についてのラジオボタン63と、(d)添付ファイル「Attachment2.txt」についてのラジオボタン64と、(e)添付ファイル「Attachment3.jpeg」についてのラジオボタン65と、(f)プレビュー表示ボタン66と、(g)印刷ボタン67と、(h)削除ボタン68とが表示される。添付ファイル「Attachment1.pdf」は、PDFファイルであり、添付ファイル「Attachment2.txt」は、テキストファイルであり、添付ファイル「Attachment3.jpeg」は、JPEGファイルである。
【0066】
ラジオボタン62〜65は、それぞれのコンテンツ(メール本文、および3つの添付ファイル)を選択するための操作部である。
【0067】
プレビュー表示ボタン66は、ラジオボタン62〜65で選択されているコンテンツのプレビューを行うための操作部である。
【0068】
印刷ボタン67は、ラジオボタン62〜65で選択されているコンテンツの印刷を行うための操作部である。
【0069】
削除ボタン68は、ラジオボタン62〜65で選択されているコンテンツをメールサーバ装置2から削除するための操作部である。
【0070】
さらに、図6に示すメールコンテンツリスト画面には、全体印刷ボタン69、全体削除ボタン70、サムネイル印刷71、OKボタン72およびキャンセルボタン73が表示される。
【0071】
全体印刷ボタン69は、選択されている電子メール(つまり、すべてのメールコンテンツ)を印刷するための操作部である。
【0072】
全体削除ボタン70は、選択されている電子メール(つまり、すべてのメールコンテンツ)をメールサーバ装置2から削除するための操作部である。
【0073】
サムネイル印刷71は、メールコンテンツリスト内のすべての添付ファイルのサムネイル画像を印刷するための操作部である。
【0074】
OKボタン72は、メールコンテンツリスト画面の表示を終了するための操作部である。
【0075】
これらの操作部へのユーザ操作は、入力装置46により検出される。このようなメールコンテンツリスト画面が表示された後、これらの操作部への操作の有無が監視され(ステップS15〜S18)これらの操作部のいずれかが操作されると、その操作部に対応する処理が以下のように実行される。
【0076】
プレビュー表示ボタン66が押下されたことが検出されると(ステップS15)、メールクライアント41は、ラジオボタン62〜65で選択されている添付ファイルをメールサーバ装置2から取得する(ステップS19)。このとき、メールサーバ装置2では、メールサーバ21が、メールクライアント41からの送信要求を受信し、その送信要求で指定されたデータをメールクライアント41へ送信する。このとき、その添付ファイルが画像ファイルであれば、その画像ファイルは、縮小処理済みのものである。そして、制御部42は、受信された画像ファイルに基づいてプレビュー画像を表示装置45に表示させる(ステップS20)。
【0077】
また、印刷ボタン67が押下されたことが検出されると(ステップS16)、メールクライアント41は、選択されている電子メールのヘッダまたは本文をメールサーバ装置2から取得し、ヘッダまたは本文に基づいて、そのメールの元となった受信メールを特定する(ステップS21)。そして、メールクライアント41は、その受信メールの添付ファイルのうち、ラジオボタン62〜65で選択されている添付ファイルに対応するもの(つまり、画像ファイルの場合には、縮小処理がされていない画像ファイル)をメールサーバ装置2から取得する(ステップS22)。そして、印刷処理部44は、その取得された添付ファイルに基づいて画像を印刷装置34に印刷させる(ステップS23)。
【0078】
また、サムネイル印刷ボタン71が押下されたことが検出されると(ステップS17)、メールクライアント41は、リスト61内のすべての添付ファイル(画像ファイルの場合には、縮小処理後のもの)をメールサーバ装置2から取得し、その添付ファイルに対して縮小処理を行ってサムネイル画像データを生成する(ステップS24)。そして、印刷処理部44は、その生成されたサムネイル画像データに基づいてサムネイル画像を印刷装置34に印刷させる(ステップS25)。図7は、図3に示す画像形成装置4により印刷されるサムネイル画像の一例を示す図である。図6に示すリスト61の場合、図7に示すように3つの添付ファイルについてのサムネイル画像が印刷される。
【0079】
また、OKボタン72が押下されたことが検出されると(ステップS18)、制御部42は、メールコンテンツリスト画面の表示を終了する。その後、上述のメールリストが再度表示される。
【0080】
なお、図6に示すメールコンテンツリスト画面における削除ボタン68が押下されたことが検出されると、メールクライアント41は、ラジオボタン62〜65で選択されている添付ファイルをメールサーバ装置2から削除させる。
【0081】
また、図6に示すメールコンテンツリスト画面における全体印刷ボタン69が押下されたことが検出されると、メールクライアント41は、選択されている電子メールのヘッダまたは本文をメールサーバ装置2から取得し、そのヘッダまたは本文に基づいて、そのメールの元となった受信メールを特定する。そして、メールクライアント41は、その受信メール(つまり、その受信メールのすべてのコンテンツ)をメールサーバ装置2から取得する。そして、印刷処理部44は、その取得された受信メールに基づいて受信メールの画像を印刷装置34に印刷させる。このとき、受信メールの添付ファイルも印刷される。
【0082】
また、図6に示すメールコンテンツリスト画面における全体削除ボタン70が押下されたことが検出されると、メールクライアント41は、選択されている電子メールおよびその元となった受信メールをメールサーバ装置2から削除させる。
【0083】
以上のように、上記実施の形態によれば、メールサーバ装置2は、画像ファイルが添付されている受信メールを検出するメール検出部22と、メール検出部22により検出された受信メールに添付されている画像ファイルに対して縮小処理を行う画像処理部23と、受信メールに添付されている画像ファイルを、縮小処理後の画像ファイルに置き換えた電子メールを生成するメール生成部24とを有する。また、画像形成装置4は、表示装置45と、メール生成部24により生成された電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルのみを選択的に取得可能なメールクライアント41と、メールクライアント41により取得された縮小処理後の画像ファイルに基づいてプレビュー画像を表示装置45に表示させる制御部42とを有する。
【0084】
これにより、画像形成装置4において、ユーザは、縮小処理後の画像ファイルによる画像で、電子メールの添付ファイルをメールサーバ装置2からダウンロードするか否かを決定することができ、また、必要な添付ファイルのみダウンロードすることができる。このため、メールサーバ装置2から画像形成装置4への電子メールのデータ転送量を少なくして、画像形成装置4内の他の処理が遅延しないようにすることができる。
【0085】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0086】
例えば、上記実施の形態において、印刷ボタン67が押下された場合に、プレビュー表示と同様の縮小処理後の画像ファイルに基づいて画像が印刷されるようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施の形態において、JPEG形式など符号化時にデータ圧縮を行う形式の画像ファイルの場合、縮小処理として、圧縮率を変更してデータ量を少なくする処理を行うようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態において、メール検出部22は、受信メールに対するフィルタリングを行い、所定の条件に適合した受信メールのみを検出するようにしてもよい。その条件は、受信メールの送信者、宛先、送信日時、件名、添付ファイルのデータサイズ、受信メール全体のデータサイズなどについてのものである。
【0089】
また、上記実施の形態において、メールクライアント41は、ステップS11において、電子メールに対するフィルタリングを行い、所定の条件に適合した電子メールのみのリストを取得するようにしてもよい。その条件は、受信メールの送信者、宛先、送信日時、件名、添付ファイルのデータサイズ、受信メール全体のデータサイズなどについてのものである。
【0090】
また、上記実施の形態において、メールクライアント41は、ステップS11において、受信メールのリストを併せて取得し、制御部42は、そのリストを併せて表示させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、例えば、電子メール受信印刷機能を有する複合機に適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 コンピュータネットワーク
2 メールサーバ装置
4 画像形成装置
22 メール検出部
23 画像処理部
24 メール生成部
34 印刷装置
41 メールクライアント
42 制御部
43 画像処理部
44 印刷処理部
45 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータネットワークに接続されたメールサーバ装置と、
前記コンピュータネットワークに接続された画像形成装置とを備え、
前記メールサーバ装置は、
画像ファイルが添付されている受信メールを検出するメール検出部と、
前記メール検出部により検出された受信メールに添付されている画像ファイルに対して縮小処理を行う画像処理部と、
前記受信メールに添付されている画像ファイルを、縮小処理後の画像ファイルに置き換えた電子メールを生成するメール生成部とを有し、
前記画像形成装置は、
表示装置と、
前記メール生成部により生成された前記電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルのみを取得可能なメールクライアントと、
前記メールクライアントにより取得された縮小処理後の画像ファイルに基づいてプレビュー画像を前記表示装置に表示させる制御部とを有すること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記メールサーバ装置の前記メール生成部は、前記電子メールのヘッダまたは本文に、前記受信メールの識別情報を記述し、
前記画像形成装置の前記メールクライアントは、前記電子メールのヘッダまたは本文を取得し、そのヘッダまたは本文から特定される前記受信メールを取得すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、印刷装置と、画像ファイルに基づき前記印刷装置に画像を印刷させる印刷処理部とを有し、
前記メールサーバ装置の前記メール生成部は、前記電子メールのヘッダまたは本文に、前記受信メールの識別情報を記述し、
前記画像形成装置の前記メールクライアントは、前記電子メールのヘッダまたは本文を取得し、そのヘッダまたは本文から特定される前記受信メールに添付されている画像ファイルのみを取得し、
前記画像形成装置の印刷処理部は、前記受信メールに添付されている画像ファイルに基づき前記印刷装置に画像を印刷させること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記画像形成装置は、画像ファイルからサムネイル画像データを生成する画像処理部を有し、
前記画像形成装置の前記メールクライアントは、前記電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルを取得し、
前記画像形成装置の前記画像処理部は、その縮小処理後の画像ファイルから、サムネイル画像データを生成し、
前記画像形成装置の前記制御部は、そのサムネイル画像データに基づいてサムネイル画像を前記表示装置に表示させること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項5】
表示装置と、
メールサーバ装置により受信メールの添付画像ファイルに対して縮小処理が行われて生成された電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルのみを取得可能なメールクライアントと、
前記メールクライアントにより取得された縮小処理後の画像ファイルに基づいてプレビュー画像を前記表示装置に表示させる制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記メールクライアントは、前記電子メールのヘッダまたは本文を取得し、前記メールサーバ装置によりそのヘッダまたは本文に記述された前記受信メールの識別情報から特定される前記受信メールを取得することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷装置と、
画像ファイルに基づき前記印刷装置に画像を印刷させる印刷処理部とを備え、
前記メールクライアントは、前記電子メールのヘッダまたは本文を取得し、前記メールサーバ装置によりそのヘッダまたは本文に記述された前記受信メールの識別情報から特定される前記受信メールに添付されている画像ファイルのみを取得し、
前記印刷処理部は、前記受信メールに添付されている画像ファイルに基づき前記印刷装置に画像を印刷させること、
を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像ファイルからサムネイル画像データを生成する画像処理部を備え、
前記メールクライアントは、前記電子メールに添付されている縮小処理後の画像ファイルを取得し、
前記画像処理部は、その縮小処理後の画像ファイルから、サムネイル画像データを生成し、
前記制御部は、そのサムネイル画像データに基づいてサムネイル画像を前記表示装置に表示させること、
を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項9】
メールサーバ装置による電子メール処理方法において、
画像ファイルが添付されている受信メールを検出し、
検出された前記受信メールに添付されている画像ファイルに対して縮小処理を行い、
前記受信メールに添付されている画像ファイルを、縮小処理後の画像ファイルに置き換えた電子メールを生成すること、
を特徴とする電子メール処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−13998(P2011−13998A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158428(P2009−158428)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】