説明

画像形成システムおよび画像形成装置

【課題】料金を支払って作動する画像形成装置や画像形成システムにおいて、画像形成に失敗したときにもユーザに優しい再度の画像形成を行うことができるようにすることを目的とする。
【解決手段】ユーザはシュレッダに画像が形成された用紙を挿入する(S31)。印刷された用紙が挿入されると、用紙に印刷された印刷情報がシュレッダの読み取り装置に読み取られ、切断され(S32〜S33)、読み取られた印刷情報がデジタル複合機に送信される(S34)。デジタル複合機ではその信号を受けると、ハードディスクに記憶された当該印刷情報に対応する画像データを読み出し、同一の画像を再度形成して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンビニエンスストア等の料金を支払ってコピーやプリントを行なう画像形成システムおよび画像形成装置に関し、特に、ユーザにとって使いやすい画像形成システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア等で、ユーザがお金を支払ってコピーやプリントを行なうシステムが提供されている。このようなシステムでは、コピー等の単価が決まっており、コピー枚数に応じた料金を支払うことによって所望の印刷が可能になる。一方、シュレッダのような書類切断装置において、書類の記載内容を読みとるものが特開2003−62476号公報(特許文献1)に記載されている。このようなシュレッダにおいては、切断前の書類の記載内容をデジタル情報として記憶し、書類に記載された情報を保管しつつ、機密漏洩が生じないように物理的に破棄処理を行っている。
【特許文献1】特開2003−62476号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の、料金をユーザが支払ってコピーやプリントなどを行う画像形成装置は上記のように構成されていた。ユーザはまず料金を支払って、所望の枚数の原稿のコピー等を行うが、コピーした用紙の中には、コピーの失敗等により意図しない印刷結果になる場合がある。このような場合、ユーザは再度同じ原稿のコピーを必要とするが、そのためには追加の費用を支払う必要がある。この場合、ユーザとしては、失敗したコピーの代わりを得たいだけであるにもかかわらず、新規に料金を支払わなければならない、しかしながら、これはユーザとしては納得しにくい。
【0004】
この発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、料金を支払って作動する画像形成装置や画像形成システムにおいて、画像形成に失敗したときにもユーザに優しい再度の画像形成を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る、画像形成システムは料金を受取る料金受け機と画像形成装置と画像破棄装置とを含む。画像形成システムは料金受け機が所定の料金を受けたことに応じて画像形成装置は画像を形成する。画像破棄装置は、画像形成装置によって形成された画像を破棄したか否かを判別可能であり、画像破棄装置が画像形成装置によって形成された画像を破棄したことを確認したときは、画像形成装置は、破棄された画像と同一画像を再形成する。
【0006】
好ましくは、画像形成装置は、同一画像の再形成を料金受け機が所定の料金より少ない追加料金を受けて行なう。
【0007】
さらに好ましくは、画像形成装置は、画像の形成時に画像を特定するための印刷情報を付加する印刷情報付加手段を含み、画像破棄装置は、画像の破棄時に印刷情報付加手段が付加した印刷情報を読取る読み取り手段を有し、画像形成装置は、読み取り手段が読取った印刷情報に基づいて画像破棄装置が破棄した画像を特定する。
【0008】
なお、印刷情報は印刷時刻を含んでもよい。
【0009】
この発明の他の局面においては、画像形成装置は、画像を破棄する画像破棄装置に接続され、所定の料金を受取ることによって画像が形成可能になる。画像形成装置は、画像破棄装置が画像形成装置によって形成された画像を破棄したことを確認したときは、破棄された画像と同一画像を再形成する。
【0010】
好ましくは、画像形成装置は、同一画像の再形成を所定の料金より少ない追加料金を受けて行なう。
【0011】
さらに好ましくは、画像形成装置は、画像の形成時に画像を特定するための印刷情報を付加する印刷情報付加手段を含み、画像破棄装置は、画像の破棄時に印刷情報付加手段が付加した印刷情報を読取る読み取り手段を有し、画像形成装置は、読み取り手段が読取った印刷情報に基づいて前記画像破棄装置が破棄した画像を特定する。
【0012】
なお、印刷情報は印刷時刻を含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、料金を支払って画像の形成を行なう画像形成装置において、印刷の失敗等によりユーザの意図しない画像が形成されたときは、その画像を破棄すれば、同一画像が再度形成される。したがって、印刷に失敗したユーザの負担を軽減できる。
【0014】
その結果、画像形成に失敗したときにもユーザに優しい画像形成システム、および、画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施の形態にかかる画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。図1を参照して、画像形成システムは、画像形成装置として作動するデジタル複合機10と、デジタル複合機10に接続されたコインベンダ(料金受け機)21と、シュレッダ(画像破棄装置)22とを含む。
【0016】
ユーザがコインベンダ21に所定の料金を入れると、デジタル複合機10が作動可能状態となる。デジタル複合機10は、デジタル複合機10全体を制御する制御部11と、画像データ等の書き込みや読出しを行うためのDRAM12と、デジタル複合機10の有する情報を表示する表示画面を含み、デジタル複合機10におけるユーザとのインターフェースとなる操作部13と、原稿を搬送し、その搬送された原稿を読み取り位置でスキャナを用いて読取る、画像読み取り部15を含む原稿送り装置14と、画像読み取り部15で読取られた原稿等から画像を形成し、用紙に出力する画像形成部16と、画像データ等を格納するハードディスク(HD)17とを備える。
【0017】
デジタル複合機10は、画像読み取り部15により読取られた原稿の画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、複写機として作動する。ここでは図示を省略しているが、デジタル複合機10は、ネットワークIF部を通じて、ネットワークに接続されたパソコンから送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、プリンタとして作動する。画像形成部16は、画像形成時に印刷される用紙に画像を特定する印刷情報を付加する印刷情報付加部(印刷情報付加手段)16aを有する。この印刷情報の付加は、ユーザがお金を支払ってコピー等がなされたことを識別するためのものである。この印刷情報は、電子透かしのように不可視であることが好ましいが、バーコードのように可視でも可能である。印刷情報は全て同一でもよいが、識別番号のように全ての印刷物でユニークであり、ユーザが容易に判別できないものが望ましい。
【0018】
印刷情報を識別番号のように全ての印刷物でユニークなものにすれば、シュレッダ22が破棄した画像がシュレッダ22の接続された特定のデジタル複合機10で印刷されたものであるか否か等の判別も可能になる。
【0019】
シュレッダ22は破棄する用紙の挿入口と、挿入口の下部に設けられ挿入された用紙に印刷された印刷情報を読み取る読み取り装置(読み取り手段)23と図示のない切断装置とを有し、挿入された用紙を切断する。この読み取り装置23の読み取り方法は既存の任意の方法を用いてよい。
【0020】
なお、図1において、太線の矢印は画像データの流れを示しており、細線の矢印は制御信号または制御データの流れを示している。
【0021】
図2は、図1に示した画像形成システムの動作を示すフローチャートである。図2を参照して画像形成システムの動作について説明する。ここでは、デジタル複合機が所定の料金が支払われたときに作動するコピー機として作動する場合について説明する。まず、コインベンダ21は、図示のないコイン、または、紙幣挿入部を介して所定の料金が支払われたか否かを判断する(ステップS11、以下、ステップを省略する)。料金が支払われたときは、デジタル複合機10は支払われた料金の範囲で印刷可能になる(S21)。ユーザが原稿を原稿読み取り部15で読み取ると、そのデータをハードディスク17に記録して画像形成部16で画像を形成して印刷し、出力する(S22〜S25)。なお、このとき、画像形成部16の印刷情報付加部16aは印刷した画像を特定する印刷情報を用紙に付加する。通常はこれで画像形成は終了する。
【0022】
しかしながら、形成された画像がユーザの操作の誤り等により意図しない印刷結果となる場合がある。そのような場合、この実施の形態においては、ユーザがシュレッダ22によって画像が形成された用紙を破棄すれば、同一の画像が形成された新たな用紙がデジタル複合機から出力される。すなわち、ユーザはシュレッダ22に画像が形成された用紙を挿入する(S31)。印刷された用紙が挿入されると、用紙に印刷された印刷情報がシュレッダ22の読み取り装置23に読み取られ、切断され(S32〜S33)、読み取られた印刷情報がデジタル複合機10に送信される(S34)。
【0023】
デジタル複合機10ではその信号を受けると、ハードディスク17に記憶された当該印刷情報に対応する画像データを読み出し、同一の画像を再度形成して出力する(S26〜S28)。
【0024】
なお、ここでは、ハードディスク17に画像データを格納して自動的に同一画像を形成する場合について説明したが、これに限らず、ユーザが再度原稿を画像読み取り部15によって画像を読み取らせて、このときに、印刷情報を読み取って、当該印刷情報から、その原稿が、直前に印刷したものであるか否かを判断して再度画像を形成するようにしてもよい。そのためには、ハードディスク17に印刷した画像を特定する印刷情報を格納しておく。
【0025】
なお、コピーが直前の印刷で失敗したものであることを示すために、印刷情報としては、少なくとも時刻を含む。この時刻が所定の時間内であれば、印刷の失敗であると判断でき、コピーを利用後に破棄するといった不正使用にも対処が可能になる。また、印刷情報としては、作成したユーザを特定するID等の情報、ユニークな原稿を特定する情報等を含むのが好ましい。
【0026】
また、上記実施の形態においては、シュレッダ22で破棄された画像は無料で再出力される場合について説明したが、これに限らず、再度コインベンダ21に料金を支払わせた後に再出力させるようにしてもよい。なお、このときの料金は通常の料金の半額等、通常の料金より安くするのが好ましい。
【0027】
以上のようにこの実施の形態によれば、印刷された画像がユーザの意図通りでなければ、シュレッダにかけて画像を破棄すれば、通常の料金より少ない料金で再度同一の画像を得ることができるため、ユーザはやり直しだけのために最初と同じ料金を支払う必要はない。その結果、ユーザの経済的負担を軽減できるとともに、心理的にもユーザの不快感を軽減できる。また、ユーザの操作ミスだけでなく、コピーの色合いが意図通りではない等の、ユーザの責任によらない画像形成ミスにも対応できる。また、失敗した画像を容易に処理できる。
【0028】
なお、上記実施の形態においては、デジタル複合機を用いた例について説明したが、これに限らず、コピー機やプリンタ等の単能機であってもよい。
【0029】
また、上記実施の形態においては、シュレッダをデジタル複合機に直接接続させた場合印刷ついて説明したが、これに限らず、デジタル複合機とシュレッダとの間でデータ通信や、データの受け渡しが可能であれば、相互の位置が離れていてもよい。
【0030】
また、上記実施の形態においては、コインベンダに接続されたデジタル複合機とシュレッダとを1台づつ設けた場合について説明したが、これに限らず、相互の台数が異なっていても、画像がシュレッダで破棄されたことがデジタル複合機において分かればよい。
【0031】
また、上記実施の形態においては、画像破棄装置としてシュレッダを用いた場合について説明したが、これに限らず、画像を破棄可能なものであれば任意の装置を利用できる。
【0032】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
10 デジタル複合機、11 制御部、12 DRAM、13 操作部、14 原稿送り装置、15 画像読み取り部、16 画像形成部、17 ハードディスク、21 コインベンダ、22 シュレッダ、23 読み取り装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金を受取る料金受け機と画像形成装置と画像破棄装置とを含む画像形成システムであって、
前記料金受け機が所定の料金を受けたことに応じて前記画像形成装置は画像を形成し、
前記画像破棄装置は、前記画像形成装置によって形成された画像を破棄したか否かを判別可能であり、
前記画像破棄装置が前記画像形成装置によって形成された画像を破棄したことを確認したときは、前記画像形成装置は、破棄された画像と同一画像を再形成する、画像形成システム。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記同一画像の再形成を前記料金受け機が前記所定の料金より少ない追加料金を受けて行なう、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、画像の形成時に画像を特定するための印刷情報を付加する印刷情報付加手段を含み、
前記画像破棄装置は、画像の破棄時に前記印刷情報付加手段が付加した前記印刷情報を読取る読み取り手段を有し、
前記画像形成装置は、前記読み取り手段が読取った印刷情報に基づいて前記画像破棄装置が破棄した画像を特定する、請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記印刷情報は印刷時刻を含む、請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
画像を破棄する画像破棄装置に接続され、所定の料金を受取ることによって画像を形成可能な画像形成装置であって、
前記画像破棄装置が前記画像形成装置によって形成された画像を破棄したことを確認したときは、前記画像形成装置は、破棄された画像と同一画像を再形成する、画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、前記同一画像の再形成を前記所定の料金より少ない追加料金を受けて行なう、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、画像の形成時に画像を特定するための印刷情報を付加する印刷情報付加手段を含み、
前記画像破棄装置は、画像の破棄時に前記印刷情報付加手段が付加した前記印刷情報を読取る読み取り手段を有し、
前記画像形成装置は、前記読み取り手段が読取った印刷情報に基づいて前記画像破棄装置が破棄した画像を特定する、請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷情報は印刷時刻を含む、請求項7に記載の画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−4398(P2010−4398A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162404(P2008−162404)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】