説明

画像形成システム

【課題】 重連印刷による効率化を行う際、設定確認などにより、印刷開始が遅れ、結果として完了時間が1台のMFPに投入した場合と変わらないことがある。つまり、どの程度のジョブから効果がでるのか、やってみないとわからなかった。
【解決手段】 本発明では、第一のMFPにジョブを投入した後、空いている第二のMFPで認証を行いジョブ履歴を参照し、第一のMFPを止めることなく、指定のジョブを分割して、重連印刷を行いやすくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ(以下PC)などのクライアント機器とプリンタまたは複合機などがネットワーク等により相互に通信可能な環境で使用される画像形成装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスの生産性向上として、1つのオフィスにプリンタや複合機など、複数台の画像形成装置が設置され、複数のPCから発行される複数の印刷ジョブを複数の画像形成装置で効率的に処理させる環境は特別なものではなくなっている。
【0003】
特にローカルエリアネットワーク(以下LAN)で接続されたPCからの印刷ジョブを前記LANに接続された画像形成装置で印刷処理する環境において、印刷処理の高速化として、複数台の画像形成装置で並列処理を行わせる重連印刷、連結印刷と言う機能がある。
【0004】
従来の重連印刷・連結印刷では、特許文献1のように、データ源であるPCから送信されるジョブ1を指定された第一の画像形成装置が前のジョブ処理中等により直ちに遂行できない場合にプリントサーバーで第二の画像形成装置にジョブ2として送信し、印刷部数の監視を行い、複数の画像形成装置で並列処理を行わせる方法があった。
【0005】
この方法は、ある程度規模が大きなLAN環境ですでにサーバーがある場合は有効であるが、規模が小さく既存のサーバーが設置されていない場合、新たなサーバーの設置は困難な場合があった。
【0006】
サーバーの設置を要さない従来の重連印刷・連結印刷としては、特許文献2のように、画像形成動作開始後・終了前に部数変更設定する第二の部数設定手段を持ち、変更可否判定手段で可となった場合に部数変更する画像形成装置をLAN環境に設置し、ユーザーの変更入力により、印刷中の第一の画像形成装置から連結された第二の画像形成装置に変更部数のジョブを転送し、第一と第二の画像形成装置で並列処理を行う方法があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-172468号公報
【特許文献2】特開2001-194962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の連結印刷では、第一の画像形成装置で印刷処理を行いながら第二の画像形成装置にジョブの転送を行う処理も同時並行して行うため、印刷処理に支障がないよう画像形成装置の処理能力を印刷処理専用の能力より高くするか、ジョブ転送用にサブの処理部を設ける必要があり、画像形成装置のコストが通常の装置より高くなるものであった。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、サーバーを要さず、画像形成装置のコストアップとならない構成で、実行中の印刷ジョブの振り分けを行い、ジョブの終了時間短縮をさせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
複数の画像形成装置とPCがLANなどで相互に通信可能な通信部を持ち、少なくとも1台の画像形成装置はPCと認証動作を行うことができ、該認証動作で認証が成立後PCからジョブ履歴を受信し表示することができ、該ジョブ履歴の中で前記画像形成装置にて印刷したいジョブの選択ができる印刷システムにおいて、
前記ジョブ履歴の中で処理中のジョブを選択して、部数の変更と修正をPCに要求することができ、該部数変更と修正にて不要となる部数を処理中の画像形成装置にPCからキャンセルするよう要求でき、
PC側には前記認証動作を行う認証手段を持ち、認証が成立すると前記画像形成装置にジョブ履歴を送信することができ、該ジョブ履歴を格納保持するジョブ履歴保持手段を持ち、該ジョブ履歴保持手段の情報には処理中のジョブに対して進捗を確認しながらジョブの進捗も含めて保持することができ、
さらに、前記画像形成装置から前記処理中のジョブに対する部数変更や部数修正要求があるとPCで前記処理中のジョブと同一で部数のみ変更したジョブを前記画像形成装置に送信するとともに、前記処理中のジョブを処理している画像形成装置に対して変更・修正された分をキャンセルすることができる手段で構成される。
【発明の効果】
【0011】
サーバーを要さず、画像形成装置のコストアップとならない構成で、実行中の印刷ジョブの振り分けを行い、ジョブの終了時間短縮をさせることができる。
【0012】
さらに、変更部数算出を行わないで、終了予定部数のみ表示する場合でも、サーバーを要さず、画像形成装置のコストアップとならない構成で、実行中の印刷ジョブの振り分けを行い、ジョブの終了時間短縮をさせることができる。
【0013】
さらに、ジョブ分割時の終了時間算出にキャリブレーション時間などを加味して、精度を上げた場合でも、サーバーを要さず、画像形成装置のコストアップとならない構成で、実行中の印刷ジョブの振り分けを行い、ジョブの終了時間短縮をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1の構成説明図。
【図2】本発明の実施例1の画像形成装置2のジョブ分割動作フローチャート。
【図3】本発明の実施例1のPC3のジョブ分割動作フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1の構成説明図である。
【0016】
1は、本発明の実施例1の画像形成装置1である。
【0017】
2は、本発明の実施例1の画像形成装置2である。
【0018】
3は、本発明の実施例1のPC3である。
【0019】
11は、画像形成装置1の操作・表示部で、画像形成装置1のユーザーインターフェースとして画像形成装置1の状態や各動作の設定を行うときのメニューなどを表示し各種キーにより、ユーザーの入力を制御部12に通知することができる。
【0020】
12は、制御部で画像形成装置1を統括的に制御する。
【0021】
13は、通信部でLAN4を経由してPC3や画像形成装置2などと通信することができる。
【0022】
14は、印刷部で画像形成装置1で印刷する際に印刷ジョブから作成される画像データを用紙に印刷することができる。
【0023】
21は、画像形成装置2の操作・表示部で、画像形成装置2のユーザーインターフェースとして画像形成装置2の状態や各動作の設定を行うときのメニューなどを表示し各種キーにより、ユーザーの入力を制御部22に通知することができる。
【0024】
22は、制御部で画像形成装置2を統括的に制御する。
【0025】
23は、通信部でLAN4を経由してPC3や画像形成装置1などと通信することができる。
【0026】
24は、印刷部で画像形成装置2で印刷する際に印刷ジョブから作成される画像データを用紙に印刷することができる。
【0027】
31は、通信部でLAN4を経由して画像形成装置1、2などと通信することができる。
【0028】
32は、認証手段で画像形成装置2などから認証の要求があった際に認証の成立を判断することができる。
【0029】
33は、制御部でPC3を統括的に制御する。
【0030】
34は、JOB履歴保持手段で画像形成装置2などから認証手段32で認証が成立している場合に保持しているJOB履歴を通信部31経由で画像形成装置2など認証を求めてきた装置に送信する。
【0031】
図2は、本発明の実施例1の画像形成装置2でジョブの分割動作を行うときのフローチャートである。
【0032】
画像形成装置2のジョブ分割動作を説明する。
【0033】
操作・表示部21でジョブ分割メニューが選択されると、ジョブ分割動作がスタートする。
【0034】
ジョブ分割動作では認証が必要なので認証の成立を確認する(S2)。
【0035】
認証が成立したら、S3へ進み、不成立ならエラー処理を行う。
【0036】
認証成立時、PC3からのジョブ履歴情報を受信し、操作表示部21に表示する(S3)。
【0037】
該表示にユーザーからジョブ指定や印刷部数変更・修正要求が入力されていないか確認する(S4)。入力がないとそのまま待つが、タイムアウト機能などを入れておいてもかまわない。ここでもタイムアウト機能を入れているものとする。
【0038】
タイムアウトが発生するとエラー処理を行う。タイムアウト発生前に入力が行われるとジョブの指定と変更部数・修正部数が確定する。
【0039】
選択ジョブ、印刷変更部数・修正部数をPC3に送信し、画像形成装置2で印刷するためのジョブ2を要求する(S5)。
【0040】
ジョブ2を受信したか確認する(S6)。受信した場合は、S7へ進み、ない場合はここで待つ。
【0041】
S7では、受信したジョブ2を実行する。
【0042】
ジョブ2の処理が終了したら。メインの入力待ちに戻る。
【0043】
次に図3のPCの動作フローを説明する。
【0044】
図3a)がジョブ分割動作のフローで、b)はジョブ履歴の格納動作のフローを示す。
【0045】
図3a)のジョブ分割動作は、画像形成装置2から認証要求がくることで、スタートする。
【0046】
認証要求に対して、認証が成立したかどうか認証手段32に確認する。認証が不成立の場合はエラー処理を行う。成立すると画像形成装置2にジョブ履歴保持手段に格納されているジョブ履歴情報を送信する(S103)。続いて、変更ジョブ指定および変更部数指定が入力されたか確認する(S104)。
【0047】
指定ジョブへの部数変更が入力されると、指定されたジョブの部数を指定に合わせて変更し、画像形成装置2に送信する(S105)。続いて、ジョブ2をジョブ履歴格納手段の情報として格納し、前期指定ジョブの方には変更の入った部数分をキャンセルする設定を行う(S106)。PC3のジョブ分割動作としてはこれで終了する。
【0048】
次に図3b)のジョブ履歴の格納動作を説明する。
【0049】
履歴情報はジョブを監視しながら、現在処理中のジョブの進捗も情報として格納する。
【0050】
タイマーとして定期的に見に行ってもよいし、画像形成装置1にジョブの進捗を発信するような設定を行うとしてもよいが、ここでは、タイマーで設定したタイミングで定期的に見に行くものとする。ただし、処理中のジョブがない場合は、結果だけを保持するだけである。
【0051】
処理中のジョブがある間は、定期的に進捗を確認する(S202)。処理中のジョブがない場合は、S204に進み、ある場合は、S203に進む。
【0052】
S203では、処理中ジョブの進捗をジョブ処理中の画像形成装置1に問い合わせその結果をジョブ履歴に反映させる。続いてジョブの追加変更があるか確認する(S204)。ある場合、ジョブ追加変更をジョブ履歴に反映させる(S205)。S204でジョブの追加変更がない場合とS205で前期ジョブの追加変更を反映させると終了(END)となる。
【0053】
終了(END)は次のタイマー割り込み待ちを意味する。
【0054】
次に、本実施例1を用いた印刷ジョブAの分割動作を説明する。
【0055】
今、PC3のユーザーから画像形成装置1にドキュメント40部の印刷ジョブAを投入した。画像形成装置1は、ドキュメントの印刷を開始する。
【0056】
この時点では、画像形成装置2は前のジョブ処理中で、空いていないため、振り分けることができない。
【0057】
しばらくして、画像形成装置2の前のジョブが終了し、Idleになる。ユーザーが画像形成装置2のIdleを確認し、画像形成装置2の操作・表示部21を操作して、ジョブ分割入力を開始する。
【0058】
ユーザーがメニューのジョブ分割を選択すると、ユーザーの認証を開始する。
【0059】
ユーザーは、PC3のユーザーであることを示すIDとパスワードを入力する。
【0060】
画像形成装置2は、入力された情報が正しいかPC3に問合せを行う。
【0061】
PC3は、画像形成装置2から送信されたPC3のユーザーIDとパスワードを認証手段32で正しいかどうか判定する。正しいと判断されると制御部33に認証の成立を通知する。
【0062】
制御部33は認証の成立を認識すると、画像形成装置2にJOB履歴保持手段34に保持しているJOB履歴を送信する。
【0063】
画像形成装置2は、認証の成立とJOB履歴を受信し、JOB履歴を表示する。
【0064】
ユーザーは、表示されたJOB履歴から現在進行中の画像形成装置1のジョブAに対して部数変更を指示する。
【0065】
画像形成装置2は、該ジョブAに対する部数変更入力を認識すると変更分のジョブBの送信要求をPC3に送信する。
【0066】
PC3は、ジョブAの部数変更後のジョブBを画像形成装置2に送信する。
【0067】
さらに、ジョブ履歴保持手段34に格納されているJOB履歴情報にジョブBの追加があることと、ジョブ1の部数変更があることを示すFlagをたてる。
【0068】
画像形成装置2は、ジョブBを受け取ると印刷を開始し、ユーザーにより入力されたジョブAの部数変更分を印刷する。
【0069】
PC3は、ジョブ管理動作の中で、ジョブBの追加とジョブAの部数変更を認識しジョブ履歴を更新する。さらに、次のジョブ管理動作時、処理中ジョブの進捗確認で、ジョブBの進捗を画像形成装置2に問合せるとともに、ジョブAの進捗を画像形成装置1に問合せ、変更部数から算出された変更後の部数に達しているか確認し、達している場合は残りをキャンセルする指示を行う。
【0070】
このキャンセル指示は、ジョブAとジョブBの部数を合わせたものが、当初の40部に到達していればよく、そのタイミングをPC3が算出できていれば良い。具体的には、部数変更により、ジョブBをPC3が作成した時点で、ジョブ管理動作から変更部数に合わせたキャンセルタイミングを決定しても良いし、PC3で同時終了部数を計算し、ジョブBの部数を決定してジョブB終了時点で、キャンセルしても良い。
【0071】
ここでは、ジョブBをPC3が作成した時点でキャンセルタイミングを決定しておくものとする。
【0072】
画像形成装置1では、キャンセルが指示されるまでジョブAを処理し続け、画像形成装置2では、ジョブBを処理していく。やがて、画像形成装置2ではジョブBが完了し、画像形成装置1には、キャンセル指示がPC3から入力されジョブAがキャンセル終了する。
【0073】
以上のように、ジョブBとジョブAのキャンセル前の分で合わせて40部印刷が、画像形成装置1と画像形成装置2で分割されて終了した。終了タイミングは、1台で行うよりもジョブBの部数分処理時間が短くなっている。
【0074】
さらに、他の実施の形態として、ジョブ進捗確認で、画像形成装置2の進捗も確認しながら動作するため、変更部数の算出を行わず、画像形成装置1と2で印刷された部数がトータル部数になったかどうか判断し、不要部数キャンセルを画像形成装置1と2の両方に行うものとすることもできる。
【0075】
該変更部数算出を行わない実施例では、終了予定部数表示を行うものとする。
【0076】
さらに、PC3でジョブBの部数を決定する際、ジョブ管理動作の中の進捗確認でジョブの処理時間を細かく管理することで、ジョブAの実際の実行時間から、部数変更した際の終了時間の算出に単純なジョブ処理以外の要素も含めた計算が可能となる。例として、キャリブレーションの実行タイミングやそれに費やした時間、用紙切れやトナー補給(カートリッジ交換)などに要した時間などを管理する。これにより、ジョブ終了時間の算出に実際の時間を用いる上で、ジョブの処理時間と定期的に発生するキャリブレーション時間を加味し、キャリブレーション完了待ち時間誤差や、トナー切れ、用紙切れ対応による時間誤差を取り除いた算出を行うことができる。
【0077】
該精度の高い終了時間算出を取り入れた場合、ジョブキャンセルタイミングをジョブBの終了と同時にすることもできる。
【0078】
なお、コピージョブに関してもユーザー認証と履歴管理をすることで、本発明を応用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 画像形成装置1
2 画像形成装置2
3 PC3
11 操作・表示部
12 制御部
13 通信部
14 印刷部
21 操作・表示部
22 制御部
23 通信部
24 印刷部
31 通信部
32 認証手段
33 制御部
34 JOB履歴保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置とPCが相互に通信可能な通信部を持ち、少なくとも1台の画像形成装置はPCと認証動作を行うことができ、該認証動作で認証が成立後PCからジョブ履歴を受信し表示することができ、該ジョブ履歴の中で前記画像形成装置にて印刷したいジョブの選択ができる印刷システムにおいて、
前記ジョブ履歴の中で処理中のジョブを選択して、部数の変更と修正をPCに要求することができ、該部数変更と修正にて不要となる部数を処理中の画像形成装置にPCからキャンセルするよう要求でき、
PC側には前記認証動作を行う認証手段を持ち、認証が成立すると前記画像形成装置にジョブ履歴を送信することができ、該ジョブ履歴を格納保持するジョブ履歴保持手段を持ち、該ジョブ履歴保持手段の情報には処理中のジョブに対して進捗を確認しながらジョブの進捗も含めて保持することができ、
さらに、前記画像形成装置から前記処理中のジョブに対する部数変更や部数修正要求があるとPCで前記処理中のジョブと同一で部数のみ変更したジョブを前記画像形成装置に送信するとともに、前記処理中のジョブを処理している画像形成装置に対して変更・修正された分をキャンセルすることができる画像形成システム。
【請求項2】
前記ジョブ部数変更と修正において、ユーザーが変更部数を選択するのではなく、部数変更を行うことのみを指定し、変更部数そのものは、PC側で当初から印刷中の画像形成装置の印刷済み部数と、新たに割り当てた画像形成装置で印刷済みとなった部数のトータルを管理して、トータルが当初の部数になったら、複数の画像形成装置にキャンセルを送付する請求項1の画像形成システム。
【請求項3】
前記ジョブ履歴保持手段の情報で処理中ジョブに対する進捗確認で、リソース補充時間を見分けて終了予測時間を算出し、前記ジョブ部数変更と修正において、ユーザーが変更部数を選択するのではなく、部数変更を行うことのみを指定し、変更部数そのものは、PC側で算出する請求項1の画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−28045(P2011−28045A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174401(P2009−174401)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】