説明

画像形成制御装置、画像形成装置、画像形成システム、画像形成制御方法及びプログラム

【課題】外部の情報処理装置側のプログラムには一切変更を加えることなく、ユーザが意図した代替の画像形成装置で代替の画像形成動作を行わせることができ、省電力化を図ることができる画像形成制御装置を提供する。
【解決手段】当該画像形成制御装置で制御するプリンタと同種の代替プリンタの情報として、ホストコンピュータから画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存した代替プリンタ登録テーブル208と、当該画像形成制御装置で制御するプリンタで画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、代替プリンタ登録テーブル208に保存されている代替プリンタの情報に基づいて、代替の画像形成動作を実行可能な代替プリンタを選択するエラー監視部207と、エラー監視部207で選択した代替プリンタにスリープモード解除要求コマンドを送信する通信制御部211とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介して外部の情報処理装置との間で画像形成処理に関する通信を行うことができる画像形成制御装置、画像形成装置、画像形成システム、画像形成制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱圧着方式によって画像を定着させる定着器を備え、電源投入から印刷を開始するまで一定のウォームアップ時間が必要とされるプリンタ(画像形成装置)が知られている。このプリンタにおいて、常にウォームアップした状態で待機させておくと、全く印刷を行わない状態にもかかわらず電力を消費してしまう。そこで、この種のほとんどのプリンタでは、一定時間の間、印刷が行われない状態になると定着器の電源を切断するか、または電圧を下げることによって消費電力を節約するスリープモード機能を備えている。
【0003】
一方、近年のネットワークシステムでは、複数のホストコンピュータ(外部の情報処理装置)が複数のプリンタを共有して使用する形態が一般的になってきている。そして、このようなネットワークシステムにおいて、ネットワーク上で複数の同種のプリンタが共有して使用され、1台のプリンタの印刷中に用紙ジャムや機器の故障などなんらかの問題が発生したとき、ホストコンピュータ側から同種の別のプリンタへ印刷データが再送し、印刷を再開することができる技術が知られている。
【0004】
特許文献1には、ユーザが印刷物を得るまでの待ち時間を短縮する目的で、情報処理装置(ホストコンピュータ)が、当該情報処理装置の操作イベントを識別し、その操作イベントが予め設定されたスリープ解除イベントである場合は印刷装置にスリープモード解除コマンドを送信する印刷システムが開示されている。
また、特許文献2には、ネットワークを介して複数のデータ処理装置とデータ通信可能なプリンタ装置であって、印刷処理を行っている途中でエラーが発生したときに、当該プリンタ装置において自動的に代替印刷処理を行うものが開示されている。
また、特許文献3には、ネットワークに接続されたネットワークプリンタを管理専用のプリンタ管理サーバを備えたネットワークシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ホストコンピュータから代替プリンタを選んで印刷データの再送を行う方式では、ホストコンピュータ側のアプリケーションプログラムを改造するか入れ替える必要があった。
また、ネットワークの中で一台のホストコンピュータで複数のプリンタを管理する場合、管理を行っていたホストコンピュータがシャットダウン状態であった場合やシステム障害などの何らかの理由で機能停止状態であった場合にはスリープモードを解除することができず、余計な待ち時間が発生してしまうことになる。
例えば、特許文献1の印刷システムにおいて1台の情報処理装置(ホストコンピュータ)による一元管理を行う場合は、その一元管理を行っていた情報処理装置が使用不能になると、代替の印刷装置(プリンタ)のスリープモードを解除することができない。
更に、複数のホストコンピュータに同じ監視プログラムをインストールして各々のユーザが自分の使用環境に合わせて複数のプリンタを代替プリンタとして登録した場合は、1台のプリンタの印刷時のエラー状態の発生によって各々のホストコンピュータから別々のプリンタに対してスリープ解除コマンドが出され、複数の無関係なプリンタにウォームアップがかかってしまい、余計な電力を消費してしまうおそれがある。
【0006】
また、特許文献2のプリンタ装置では、印刷処理を行っている途中でエラーが発生すると自動的に代替印刷処理が実行され、しかも、その代替印刷処理は他の代替プリンタではなくエラーが発生した当該プリンタ装置で行われる。そのため、ユーザの意図しない印刷結果になってしまうことがあり、また、ユーザによって代替の画像形成装置を指定して代替印刷処理を実行することができない。
また、特許文献3のネットワークシステムでは、当該プリンタ以外に、管理専用のプリンタ管理サーバを設ける必要があり、ユーザにとっては、管理サーバの設置コストおよび維持コストが負担となる他、消費電力も増え、省電力化の面でも課題がある。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、外部の情報処理装置側のプログラムには一切変更を加えることなく、ユーザが意図した代替の画像形成装置で代替の画像形成動作を行わせることができ、省電力化を図ることができる画像形成制御装置、画像形成装置、画像形成システム、画像形成制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ネットワークを介して外部の情報処理装置から画像形成ジョブのデータを所定時間受信しない状態が続いた場合に一部構成への電力供給を停止するスリープモードと、該画像形成ジョブの実行開始時に該一部構成への電力供給を開始するウォームアップ動作とを実行可能な画像形成装置を制御する画像形成制御装置であって、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置と同種の画像形成装置であって前記ネットワークに接続されている他の画像形成装置の情報を、代替の画像形成装置の情報として、前記情報処理装置から画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存した記憶手段と、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、前記記憶手段に保存されている前記代替の画像形成装置の情報に基づいて、代替の画像形成動作を実行可能な代替の画像形成装置を選択する選択手段と、前記選択手段で選択した代替の画像形成装置にスリープモード解除要求コマンドを送信するコマンド送信手段と、を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成制御装置において、前記代替の画像形成装置の情報を前記ユーザごとに入力するための入力手段と、前記入力手段で入力された前記代替の画像形成装置の情報を前記ユーザごとに前記記憶手段に登録する登録手段と、を更に備えたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成制御装置において、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置において画像形成動作中に発生する各種のエラーをイベント情報として保存した記憶手段を、更に備え、前記選択手段は、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、該エラーが前記記憶手段に保存されているイベント情報と一致した場合に、前記代替の画像形成装置の選択を行うことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成制御装置において、前記イベント情報を入力するための入力手段と、前記入力手段で入力された前記イベント情報を前記記憶手段に登録する登録手段と、を更に備えたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの画像形成制御装置において、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置における画像形成動作開始時又はエラー発生時に、前記記憶手段に情報が保存されている前記代替の画像形成装置と通信し、該代替の画像形成装置の状況情報を取得する情報取得手段を、更に備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの画像形成制御装置において、前記代替の画像形成装置から状況情報を要求するコマンドを受信したとき、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置の状況情報を、該コマンドの送信元である該代替の画像形成装置に送信する状況情報送信手段を、更に備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成制御装置において、前記状況情報送信手段は、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置が前記スリープモードにあるときに前記状況情報を要求するコマンドを受信したとき、該スリープモードを解除する処理を行って、該画像形成装置の状況情報を送信することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれか画像形成制御装置と、該画像形成制御装置からのデータに基づいて出力媒体上に画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置と、該画像形成装置に対して画像形成ジョブのデータを送信する情報処理装置とを備えた画像形成システム。
また、請求項10の発明は、ネットワークを介して外部の情報処理装置から画像形成ジョブのデータを所定時間受信しない状態が続いた場合に一部構成への電力供給を停止するスリープモードと、該画像形成ジョブの実行開始時に該一部構成への電力供給を開始するウォームアップ動作とを実行可能な画像形成制御方法であって、当該画像形成制御方法で制御する画像形成装置と同種の画像形成装置であって前記ネットワークに接続されている他の画像形成装置の情報を、代替の画像形成装置の情報として、前記情報処理装置から画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存する工程と、当該画像形成制御方法で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、前記代替の画像形成装置の情報に基づいて、代替の画像形成動作を実行可能な代替の画像形成装置を選択する工程と、前記選択した代替の画像形成装置にスリープモード解除要求コマンドを送信する工程と、を含むことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、ネットワークを介して外部の情報処理装置から画像形成ジョブのデータを所定時間受信しない状態が続いた場合に一部構成への電力供給を停止するスリープモードと、該画像形成ジョブの実行開始時に該一部構成への電力供給を開始するウォームアップ動作とを実行可能な画像形成制御装置に読み出されて実行されるプログラムであって、当該画像形成制御方法で制御する画像形成装置と同種の画像形成装置であって前記ネットワークに接続されている他の画像形成装置の情報を、代替の画像形成装置の情報として、前記情報処理装置から画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存する手順と、当該画像形成制御方法で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、前記代替の画像形成装置の情報に基づいて、代替の画像形成動作を実行可能な代替の画像形成装置を選択する手順と、前記選択した代替の画像形成装置にスリープモード解除要求コマンドを送信する手順と、前記画像形成制御装置に実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成制御装置で制御する画像形成装置と同種の画像形成装置であってネットワークに接続されている他の画像形成装置の情報が、代替の画像形成装置の情報として、情報処理装置から画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存されている。そして、画像形成制御装置で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生すると、ユーザごとに保存されている代替の画像形成装置の情報に基づいて、代替の画像形成動作を実行可能な代替の画像形成装置が選択される。この選択された代替の画像形成装置にスリープモード解除要求コマンドを送信することにより、その代替の画像形成装置のスリープモードが解除されるため、代替の画像形成装置での代替の画像形成動作の開始時のウォームアップ時間を短縮することができ、省電力化を図ることができる。
しかも、前記代替の画像形成装置の選択及びスリープモード解除要求コマンドの送信を画像形成制御装置で行っているので、外部の情報処理装置側のプログラムには一切変更を加える必要がなく、外部の情報処理装置が電源の切断や何らかの障害によって使用不能状態であっても、代替の画像形成装置へスリープ解除コマンドを送信してウォームアップ時間を短縮し、省電力化を図ることができる。
また、前記代替の画像形成装置の選択は、情報処理装置から画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存されている代替の画像形成装置の情報に基づいて行われる。よって、当該ユーザに対応する代替の画像形成装置に対してのみ、スリープモード解除要求コマンドを送信することができるため、当該ユーザに対応しない他の無関係な画像形成装置で余計な電力が消費させないようにし、更に省電力化を図ることができる。
以上のように、本発明によれば、外部の情報処理装置側のプログラムには一切変更を加えることなく、ユーザが意図した代替の画像形成装置で代替の画像形成動作を行わせることができ、省電力化を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの一例を示す概略図。
【図2】プリンタ制御装置の概略構成の一例を示すブロック図。
【図3】プリンタ制御装置のエラー監視部の具体的な印刷中のエラー監視動作の一例を示すフローチャート。
【図4】スリープモード解除要求コマンドを送信したプリンタから応答がなく、監視タイマがタイムアウトになった場合のエラー監視部の割り込み処理の動作の一例を示すフローチャート。
【図5】エラー監視部の処理の他の例を示すフローチャート。
【図6】プリンタ制御装置が他のプリンタからのスリープモード解除要求コマンドや状況確認要求コマンドを受信した場合の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワークシステムを含む画像形成システムの一例を示す概略図である。画像形成システムは、情報処理装置としてのホストコンピュータ10と、ネットワークを介してホストコンピュータ10に接続された画像形成装置としてのプリンタ20とを備える。ネットワークシステムは、イーサネット(登録商標)等の専用線11で各機器を接続する有線LANネットワーク、PLC(Power Line Communication)によって各機器を接続する電力線12、13によるPLCネットワーク、及び、アドホック通信による一対一の無線通信あるいは無線LANアクセスポイントを中心とした無線LANネットワークによって構成される。ネットワークに接続された各機器は、同時に、有線LANネットワーク、PLCネットワーク及び無線LANネットワークの3つのネットワークの全て接続することもできるが、いづれか一つに接続するだけでもよい。ネットワーク上の情報処理装置としてのホストコンピュータ10は同種のOSがインストールされている場合もあるが、各々違ったOSがインストールされている場合もある。このネットワーク上に複数の同種の画像形成装置としてのプリンタ20が接続され、個々のホストコンピュータ10によって共有されている。
【0012】
図2は、プリンタ20の一部を構成する画像形成制御装置としてのプリンタ制御装置201の一構成例を示すブロック図である。プリンタ制御装置201は、通信制御部211を通してホストコンピュータや他のプリンタを含む外部のネットワーク210と通信を行い、受信した画像形成ジョブのデータである印刷データを描画部212においてイメージデータとして描画処理し、イメージバッファ213に展開する。イメージバッファ213に展開されたイメージデータは、ビデオ信号I/F214を通して、画像形成部としての印刷機構部215へ送られて画像形成動作である印刷が行われる。印刷機構部215の印刷方式(画像形成方式)としては、例えば電子写真方式を用いることができるが、他の方式でもよい。
【0013】
また、プリンタ制御装置201は、入力手段としての操作パネルを制御するオペレータパネル制御部202に、代替の画像形成動作である代替印刷を行う代替のプリンタの情報を登録するための代替プリンタ登録手段203を備える。代替プリンタ登録手段203は、オペレータの入力によって、不揮発性メモリなどで構成された記憶手段に設定された代替プリンタ登録テーブル208に、印刷データをプリンタ20に送信する各々のユーザ毎に代替プリンタの情報を登録できるようにする。各々のユーザは、例えば、IPアドレス、MACアドレス、ユーザ名、コンピュータ名など複数の情報で区別できる。代替プリンタ登録テーブル208に登録されるプリンタ情報には、各ユーザ毎に、代替印刷をしたいプリンタのアドレス情報、状況情報、優先順位などが格納される。代替プリンタ登録テーブル203の各プリンタの状況情報は、印刷開始時に登録された全てのプリンタへ状況確認要求を行うことにより更新してもよいし、エラー発生時に適宜状況確認要求を行うことによって更新するようにしてもよい。
【0014】
また、プリンタ制御装置201は、オペレータパネル制御部202に、印刷中に発生するエラーなどのイベント情報を登録するためのイベント登録手段204を備える。イベント登録手段204は、オペレータの入力によって、代替のプリンタに対してスリープ解除コマンドを送信する必要があるイベント情報を登録できるようにする。不揮発性メモリなどで構成された記憶手段に設定されたイベント登録テーブル205に登録されるイベント情報は、用紙ジャム、トナーエンプティ、用紙切れ、フロントドアオープンなど予めプリンタの設計者が用意して登録しておき、各々のイベント情報によって代替プリンタへのスリープモード解除を要求する、しないの選択登録をユーザが行えるようにしておく。
【0015】
エラー監視部207は、代替プリンタ登録テーブル208に基づいて代替プリンタを選択する手段、代替プリンタの状況情報を取得する情報取得手段、及び、状況情報を要求するコマンドの送信元である代替プリンタに自身のプリンタの状況情報を送信する状況情報送信手として機能する。
【0016】
例えば、エラー監視部207は、印刷機構部215において印刷中に用紙ジャムやトナーエンプティなどのエラーが発生した場合、またはプリンタ制御装置201内にエラーが発生した場合に、エラーの内容を特定し、イベント登録テーブル205を参照して発生中のエラーがイベント登録テーブル205中に登録されたイベント情報と一致する場合は、代替プリンタ登録テーブル208を参照して印刷データを送ったユーザによって登録された代替プリンタを選択し、選択した代替プリンタに対して、コマンド送信手段としての通信制御部211を介して、スリープモード解除コマンドを送信するようにする。また、エラー監視部207は、代替プリンタ登録テーブル208に登録された他の全てのプリンタに対して、通信制御部211を介して、状況確認要求コマンドを送信するようにする。
【0017】
スリープモード解除コマンドおよび状況確認要求コマンドを送信したプリンタ制御装置201では、エラー監視部207により、送信先のプリンタからの応答情報受信のタイムアウトを監視するために各々のプリンタ毎に割り当てられたタイマ209をスタートさせる。ネットワーク210を介して他のプリンタからのスリープモード解除コマンドを受信した通信制御部211は、エラー監視部207にコマンド情報を送る。コマンド情報を受け取ったエラー監視部207は、自身のプリンタ(以下、「自機」という。)の状態を確認し、自機がスリープモード中である場合には印刷機構部コマンドI/F206を介して印刷機構部215のスリープ状態を解除する操作を行うようにする。
【0018】
また、スリープモード解除コマンドを受け取ったエラー監視部207は、通信制御部211を介してスリープモード解除コマンドを発信したプリンタに対して自機の状態を示す状況情報を連絡するようにする。ネットワーク210を介して他のプリンタからの状況確認要求コマンドを受信した通信制御部211は、エラー監視部207にコマンド情報を送る。コマンド情報を受け取ったエラー監視部207は、自機の状態を確認し、通信制御部211を介して状況確認要求コマンドを発信したプリンタに対して自機の状態を示す状況情報を連絡するようにする。
【0019】
図3は、プリンタ制御装置201のエラー監視部207の具体的な印刷中のエラー監視動作の一例を示すフローチャートである。プリンタ制御装置201は、プリンタ20の印刷動作中、エラー監視部207のプログラムによってエラーの発生を監視する。まず、エラー監視部207は、印刷終了の確認(Step3001)とエラー発生の確認(Step3003)とを、PAUSE(Step3002)を挿入して他のタスクが並列して処理を実行できるようにしながら、印刷中のエラー発生を監視する。印刷の終了が確認(Step3001でYes)できれば処理を終了する。印刷動作中にエラーの発生がない場合(Step3003でNo)はプログラムの最初に戻って処理を継続する。
【0020】
エラーの発生が確認された場合(Step3003でYes)は、エラー表示処理(Step3004)を行い、予めイベント登録テーブル205に登録されているイベントと発生したエラーが一致するか否か、イベント登録テーブル205の内容を検索する(Step3005)。ここで、発生エラーが登録されたイベント中にない場合(Step3006でNo)は処理を終了する。一方、発生エラーが登録されたイベント中にある場合(Step3006でYes)は、予め登録されている代替プリンタ登録テーブル208を検索(Step3007)し、当該テーブル中の代替プリンタのリストの中で最も優先順位が高くかつスリープモード中のプリンタがある場合(Step3008でYes)に、通信制御部211を介して、該当するプリンタに対してスリープモード解除要求コマンドを送信する(Step3009)。また、代替プリンタ登録テーブル208中に登録された、スリープモード解除要求コマンドを発信した以外のプリンタに対して、状況確認要求コマンドの送信を行う(Step3010)。また、各々発信したコマンドについての応答を監視するためのタイムアウト監視タイマをスタートさせる(Step3011)。また、状況確認要求コマンドを送信した送信先の各プリンタの「スリープモード解除要求中」や「状況確認中」など、代替プリンタ登録テーブル208中の状況情報の更新を行う(Step3012)。また、情報更新された代替プリンタ登録テーブル情報に合わせてオペレータパネルの表示情報を更新する(Step3013)。
【0021】
図4は、スリープモード解除要求コマンドを送信したプリンタから応答がなく、監視タイマがタイムアウトになった場合のエラー監視部の割り込み処理の動作の一例を示すフローチャートである。まず、代替プリンタ登録テーブル208中にある、通信がタイムアウトになったプリンタについて、状況情報に「通信不可」を記録し、テーブル情報の更新を行う(Step4001)。次に、代替プリンタ登録テーブル208中の状況情報を検索し、「スリープモード解除中」または「スタンバイ」状態のプリンタは存在しないか確認する(Step4002)。該当するプリンタがある場合(Step4002でYes)は、オペレータパネル表示情報を更新(Step4008)して処理を終了する。一方、該当するプリンタがない場合(Step4002でNo)は、スリープ状態で優先順位の高い代替プリンタが登録テーブル中にないか探す(Step4003)。該当する代替プリンタがない場合(Step4003でNo)は、オペレータパネル表示情報を更新(Step4008)して処理を終了する。一方、該当する代替プリンタがある場合(Step4003でYes)は、スリープモード解除要求コマンドを送信する(Step4004)。また、代替プリンタ登録テーブル208中でスリープモード解除要求コマンドを送信したプリンタ以外のプリンタに対して、状況確認要求コマンドを送信する(Step4005)。また、各々発信したスリープモード解除要求コマンドについての応答を監視するためのタイムアウト監視タイマをスタートさせる(Step4006)。また、スリープモード解除要求コマンドを送信した送信先の各プリンタの「スリープモード解除要求中」や「状況確認中」など、代替プリンタ登録テーブル208中の状況情報の更新を行う(Step4007)。また、情報更新された代替プリンタ登録テーブル情報に合わせてオペレータパネルの表示情報を更新して処理を終了する(Step4008)。
【0022】
図5は、スリープモード解除要求コマンドに対して応答情報を受信した場合と、状況確認要求コマンドに対して応答情報を受信した場合と、状況確認要求コマンドを送ったプリンタとの通信がタイムアウトになった場合のエラー監視部の処理の一例を示すフローチャートである。まず、通信状態を監視している個々のプリンタ別に動作させているタイマの停止処理を行う(Step5001)。次に、本処理が起動された要因に基づいて、代替プリンタ登録テーブル208の状況情報を更新する。つまり、スリープモード解除要求コマンドに対する応答では「スリープモード解除中」を設定し、状況確認要求コマンドに対する応答では応答情報を設定し、通信がタイムアウトになった場合は「通信不可」状態を設定する(Step5002)。次に、情報更新された代替プリンタ登録テーブル情報に合わせてオペレータパネルの表示情報を更新して処理を終了する(Step5003)。
【0023】
図6は、プリンタ制御装置201が他のプリンタからのスリープモード解除要求コマンドや状況確認要求コマンドを受信した場合の動作の一例を示すフローチャートである。スリープモード解除要求コマンド、または状況確認要求コマンドを通信制御部211で受信すると、そのコマンド情報がエラー監視部207に送られて受信コマンド処理プログラムが起動される。受信コマンド処理プログラムでは、最初に自機情報確認処理で自機の状態、たとえばスタンバイモード、スリープモード、印刷受信不可状態(印刷実行中、オフライン、エラー状態)のいずれであるかを確認する(Step6001)。
【0024】
次に、スリープモード中であると判断(Step6002でYes)された場合、受信されたコマンドがスリープモード解除要求コマンドであったかを判定(Step6003)し、該当のコマンドではない場合(Step6003でNo)は、自機がスリープモード中であることを示す状況報告処理を、送信元のプリンタに対して行って(Step6004)処理を終了する。一方、該当のコマンドである場合(Step6003でYes)は、自機の印刷機構部215に対してスリープモード解除処理(Step6006)を行い、コマンドの送信元のプリンタに対して自機がウォーミングアップ中であることを示す状況報告処理を行って(Step6006)、処理を終了する。
【0025】
一方、自機がスリープモード中ではないと判断(Step6002でNo)された場合、自機がスタンバイ状態であると判断(Step6007でYes)された場合はスタンバイ状態であることを示す状況報告を送信元のプリンタに対して行って(Step6008)処理を終了する。自機がスタンバイ状態ではなく(Step6007でNo)、さらに印刷中であったり、オフライン状態であったり、エラー発生状態であったりする印刷受信不可状態ではないと判断(Step6009でNo)された場合は、スタンバイ状態であることを示す状況報告を送信元のプリンタに対して行って(Step6008)処理を終了する。逆に、印刷受信不可状態であると判断(Step6009でYes)の場合は、印刷不可状態であることを示す状況報告を送信元のプリンタに対して行って(Step6010)処理を終了する。
【0026】
以上、本実施形態によれば、プリンタ制御装置201で制御するプリンタ20と同種のプリンタであってネットワークに接続されている他のプリンタの情報が、代替プリンタの情報として、ホストコンピュータ10から印刷ジョブデータを送信する複数のユーザごとに保存されている。そして、プリンタ制御装置201で制御するプリンタで印刷中にエラーが発生すると、ユーザごとに保存されている代替プリンタの情報に基づいて、代替印刷を実行可能な代替プリンタが選択される。この選択された代替プリンタにスリープモード解除要求コマンドを送信することにより、その代替プリンタのスリープモードが解除されるため、代替プリンタでの代替印刷の開始時のウォームアップ時間を短縮することができ、省電力化を図ることができる。
しかも、前記代替プリンタの選択及びスリープモード解除要求コマンドの送信をプリンタ制御装置201で行っているので、外部のホストコンピュータ10側のプログラムには一切変更を加える必要がなく、外部のホストコンピュータ10が電源の切断や何らかの障害によって使用不能状態であっても、代替プリンタへスリープ解除コマンドを送信してウォームアップ時間を短縮し、省電力化を図ることができる。
また、前記代替プリンタの選択は、ホストコンピュータ10から印刷ジョブデータを送信する複数のユーザごとに保存されている代替プリンタの情報に基づいて行われる。よって、当該ユーザに対応する代替プリンタに対してのみ、スリープモード解除要求コマンドを送信することができるため、当該ユーザに対応しない他の無関係なプリンタで余計な電力が消費させないようにし、更に省電力化を図ることができる。
以上のように、外部のホストコンピュータ側のプログラムには一切変更を加えることなく、ユーザが意図した代替プリンタで代替印刷を行わせることができ、省電力化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、代替プリンタの情報をユーザごとに入力するための入力手段としての操作パネルと、操作パネルで入力された代替プリンタの情報をユーザごとに代替プリンタ登録テーブル208に登録する代替プリンタ登録手段203とを備えている。これにより、プリンタ制御装置201のオペレータが、ホストコンピュータ10から印刷ジョブデータを送信する複数のユーザごとに、代替プリンタを任意に指定して登録することができる。
また、本実施形態によれば、プリンタ制御装置201で制御するプリンタ20において印刷中に発生する各種のエラーをイベント情報として保存したイベント登録テーブル205を更に備え、選択手段としてのエラー監視部207は、プリンタ制御装置201で制御するプリンタ20で印刷中にエラーが発生したとき、そのエラーがイベント登録テーブル205に保存されているイベント情報と一致した場合に、代替プリンタの選択を行う。これにより、予め登録したエラーについてのみ、代替プリンタの選択を行うことができる。
また、本実施形態によれば、イベント情報を入力するための入力手段としての操作パネルと、操作パネルで入力されたイベント情報をイベント登録テーブル205に登録するイベント登録手段204とを更に備える。これにより、プリンタ制御装置201のオペレータが、代替プリンタの選択を行うイベント情報を任意に指定して登録することができる。
また、本実施形態によれば、エラー監視部207は、プリンタ制御装置201で制御するプリンタ20における印刷開始時又はエラー発生時に、代替プリンタ登録テーブル208に情報が保存されている代替プリンタと通信し、その代替プリンタの状況情報を取得する情報取得手段としても機能する。このように代替プリンタの状況情報を取得することにより、代替プリンタが代替印刷を行うことができる状況にあるか否かを、より正確に判断することができる。
また、本実施形態によれば、エラー監視部207は、代替プリンタから状況情報を要求するコマンドを受信したとき、プリンタ制御装置201で制御するプリンタ20の状況情報を、当該コマンドの送信元である代替プリンタに送信する状況情報送信手段としても機能する。このように自機のプリンタ20の状況情報を送信することにより、自機のプリンタ20が、コマンドを送信してきたプリンタの代替印刷を行うことができる状況にあるか否かを知らせることができる。
また、本実施形態によれば、プリンタ制御装置201で制御するプリンタ20がスリープモードにあるときに前記状況情報を要求するコマンドを受信したとき、スリープモードを解除する処理を行って、プリンタ20の状況情報を送信する。前記状況情報を要求するコマンドを受信するときは、その後に代替印刷の印刷ジョブデータが送られてくる可能性が高い。そのため、スリープモードを解除しておくことで、代替印刷を開始するまでのウォーミングアップ時間を短くすることができる。
【0027】
なお、上記実施形態においては、プリンタ制御装置201と印刷機構部215とを一体型の装置(プリンタ20)として説明したが、本構成に限られず、本発明は、プリンタ制御装置201と印刷機構部215とを別体の構成とした場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 ホストコンピュータ
20 プリンタ
201 プリンタ制御装置
202 オペレータパネル制御部
203 代替プリンタ登録手段
204 イベント登録手段
205 イベント登録テーブル
207 エラー監視部
208 代替プリンタ登録テーブル
210 ネットワーク
215 印刷機構部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2006−099489号公報
【特許文献2】特開2006−164029号公報
【特許文献3】特開2004−220163号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して外部の情報処理装置から画像形成ジョブのデータを所定時間受信しない状態が続いた場合に一部構成への電力供給を停止するスリープモードと、該画像形成ジョブの実行開始時に該一部構成への電力供給を開始するウォームアップ動作とを実行可能な画像形成装置を制御する画像形成制御装置であって、
当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置と同種の画像形成装置であって前記ネットワークに接続されている他の画像形成装置の情報を、代替の画像形成装置の情報として、前記情報処理装置から画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存した記憶手段と、
当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、前記記憶手段に保存されている前記代替の画像形成装置の情報に基づいて、代替の画像形成動作を実行可能な代替の画像形成装置を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択した代替の画像形成装置にスリープモード解除要求コマンドを送信するコマンド送信手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成制御装置において、
前記代替の画像形成装置の情報を前記ユーザごとに入力するための入力手段と、
前記入力手段で入力された前記代替の画像形成装置の情報を前記ユーザごとに前記記憶手段に登録する登録手段と、
を更に備えたことを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成制御装置において、
当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置において画像形成動作中に発生する各種のエラーをイベント情報として保存した記憶手段を、更に備え、
前記選択手段は、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、該エラーが前記記憶手段に保存されているイベント情報と一致した場合に、前記代替の画像形成装置の選択を行うことを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成制御装置において、
前記イベント情報を入力するための入力手段と、
前記入力手段で入力された前記イベント情報を前記記憶手段に登録する登録手段と、
を更に備えたことを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの画像形成制御装置において、
当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置における画像形成動作開始時又はエラー発生時に、前記記憶手段に情報が保存されている前記代替の画像形成装置と通信し、該代替の画像形成装置の状況情報を取得する情報取得手段を、更に備えたことを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの画像形成制御装置において、
前記代替の画像形成装置から状況情報を要求するコマンドを受信したとき、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置の状況情報を、該コマンドの送信元である該代替の画像形成装置に送信する状況情報送信手段を、更に備えたことを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成制御装置において、
前記状況情報送信手段は、当該画像形成制御装置で制御する画像形成装置が前記スリープモードにあるときに前記状況情報を要求するコマンドを受信したとき、該スリープモードを解除する処理を行って、該画像形成装置の状況情報を送信することを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか画像形成制御装置と、該画像形成制御装置からのデータに基づいて出力媒体上に画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置と、該画像形成装置に対して画像形成ジョブのデータを送信する情報処理装置とを備えた画像形成システム。
【請求項10】
ネットワークを介して外部の情報処理装置から画像形成ジョブのデータを所定時間受信しない状態が続いた場合に一部構成への電力供給を停止するスリープモードと、該画像形成ジョブの実行開始時に該一部構成への電力供給を開始するウォームアップ動作とを実行可能な画像形成制御方法であって、
当該画像形成制御方法で制御する画像形成装置と同種の画像形成装置であって前記ネットワークに接続されている他の画像形成装置の情報を、代替の画像形成装置の情報として、前記情報処理装置から画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存する工程と、
当該画像形成制御方法で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、前記代替の画像形成装置の情報に基づいて、代替の画像形成動作を実行可能な代替の画像形成装置を選択する工程と、
前記選択した代替の画像形成装置にスリープモード解除要求コマンドを送信する工程と、
を含むことを特徴とする画像形成制御方法。
【請求項11】
ネットワークを介して外部の情報処理装置から画像形成ジョブのデータを所定時間受信しない状態が続いた場合に一部構成への電力供給を停止するスリープモードと、該画像形成ジョブの実行開始時に該一部構成への電力供給を開始するウォームアップ動作とを実行可能な画像形成制御装置に読み出されて実行されるプログラムであって、
当該画像形成制御方法で制御する画像形成装置と同種の画像形成装置であって前記ネットワークに接続されている他の画像形成装置の情報を、代替の画像形成装置の情報として、前記情報処理装置から画像形成ジョブのデータを送信する複数のユーザごとに保存する手順と、
当該画像形成制御方法で制御する画像形成装置で画像形成動作を実行中にエラーが発生したとき、前記代替の画像形成装置の情報に基づいて、代替の画像形成動作を実行可能な代替の画像形成装置を選択する手順と、
前記選択した代替の画像形成装置にスリープモード解除要求コマンドを送信する手順と、
前記画像形成制御装置に実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−192020(P2011−192020A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57477(P2010−57477)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】