説明

画像形成方法および画像形成装置

【課題】既存の画像形成装置により定形サイズの転写シートを利用し画像形成後に打ち抜きや切断等によって作製されていた小判サイズの画像記録体を、小判サイズの記録媒体を用いて、打ち抜き等の後加工なく作製することができる画像形成方法を提供すること。
【解決手段】像担持体103表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、前記トナー像を前記像担持体表面から、帯状の中間転写フィルム108表面に転写する1次転写工程と、加熱・加圧することにより前記トナー像を定着する定着工程と、前記中間転写フィルム108の前記トナー像が転写された面と記録媒体表面とを重ね合わせた状態で加熱・加圧しながら、前記トナー像を前記中間転写フィルム表面から前記記録媒体表面へ転写する2次転写工程とを含み、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写される面が離型性を有し、前記中間転写フィルムの厚みが50μm以下であることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックシート等の記録媒体上に電子写真方式により画像を形成する画像形成方法およびこれを用いた複写機やプリンター等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顔写真入りキャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等の非接触式又は接触式個人情報画像情報入り情報媒体、さらに医療現場などで用いる本人照合用画像シートや画像表示板、表示ラベルなどのようなカード類は、プラスチックシート等の記録媒体上に電子写真法を利用して画像を形成することにより作製されることが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
この技術では、基体表面に画像受像層を設けた画像形成材料転写シートを用いて、既存の電子写真方式の画像形成装置によりこの転写シート上に画像を一旦形成した後、プラスチックシートのような画像支持体にラミネートし、続いて、画像形成材料転写シートを剥離して、画像を画像支持体上に転写させる。
しかしながら、この方法では、既存の電子写真方式の画像形成装置で印刷できる転写シートの形状がA3サイズやA4サイズといった定型サイズに限られるため、所望のプラスチックカードや表示ラベルを得るためには、画像が転写した画像支持体をプレス機で打抜く必要がある。また、ICカードのように、既にカードのサイズに打抜かれた小判サイズのカードに対しては、画像形成することが出来ないという問題があった。
【特許文献1】特開2005−227377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、既存の画像形成装置により定形サイズの転写シートを利用し画像形成後に打ち抜きや切断等によって作製されていた小判サイズの画像記録体を、小判サイズの記録媒体を用いて、打ち抜き等の後加工なく作製することができる画像形成方法およびこれを用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1>
像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、前記トナー像を前記像担持体表面から、帯状の中間転写フィルム表面に転写する1次転写工程と、加熱・加圧することにより前記トナー像を定着する定着工程と、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写された面と記録媒体表面とを重ね合わせた状態で加熱・加圧しながら、前記トナー像を前記中間転写フィルム表面から前記記録媒体表面へ転写する2次転写工程とを含み、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写される面が離型性を有し、前記中間転写フィルムの厚みが50μm以下であることを特徴とする画像形成方法である。
【0006】
<2>
前記定着工程を実施した後に、前記2次転写工程が実施されることを特徴とする<1>に記載の画像形成方法である。
【0007】
<3>
前記記録媒体を予備加熱する予備加熱工程を実施した後に、前記2次転写工程を実施することを特徴とする<1>に記載の画像形成方法である。
【0008】
<4>
温度23℃・湿度55RH%における前記中間転写フィルムの少なくとも前記トナー像が転写される面の表面抵抗率が1.0×108Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲内であることを特徴とする<1>に記載の画像形成方法である。
【0009】
<5>
前記記録媒体が、プラスチックシートであることを特徴とする<1>に記載の画像形成方法である。
【0010】
<6>
像担持体と、該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記像担持体表面から、帯状の中間転写フィルム表面に転写する1次転写手段と、加熱・加圧することにより前記トナー像を定着する定着手段と、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写された面と記録媒体表面とを重ね合わせた状態で加熱・加圧しながら、前記トナー像を前記中間転写フィルム表面から前記記録媒体表面へ転写する2次転写手段とを含み、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写される面が離型性を有し、前記中間転写フィルムの厚みが50μm以下の範囲内であることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
<7>
前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写された面と重ね合わされる前の前記記録媒体を予備加熱する予備加熱手段を有することを特徴とする<6>に記載の画像形成装置である。
【0012】
<8>
温度23℃・湿度55RH%における前記中間転写フィルムの少なくとも前記トナー像が転写される面の表面抵抗率が1.0×108Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲内であることを特徴とする<6>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように本発明によれば、既存の画像形成装置により定形サイズの転写シートを利用し画像形成後に打ち抜きや切断等によって作製されていた小判サイズの画像記録体を、小判サイズの記録媒体を用いて、打ち抜き等の後加工なく作製することができる画像形成方法およびこれを用いた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、前記トナー像を前記像担持体表面から、帯状の中間転写フィルム表面に転写する1次転写工程と、加熱・加圧することにより前記トナー像を定着する定着工程と、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写された面と記録媒体表面とを重ね合わせた状態で加熱・加圧しながら、前記トナー像を前記中間転写フィルム表面から前記記録媒体表面へ転写する2次転写工程とを含み、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写される面が離型性を有し、前記中間転写フィルムの厚みが50μm以下であることを特徴とする。
【0015】
従って、本発明によれば、既存の画像形成装置により定形サイズの転写シートを利用し画像形成後に打ち抜きや切断等によって作製されていた小判サイズの画像記録体を、小判サイズの記録媒体を用いて、打ち抜き等の後加工なく作製することができる。
【0016】
なお、本発明の画像形成方法のプロセスは、従来の中間転写ベルト等の中間転写体を利用した電子写真方式の画像形成方法と比べると、中間転写体として、トナー像が転写される面が離型性を有し、且つ、厚みが50μm以下の帯状の転写フィルム(中間転写フィルム)を用いる点で大きく異なっている。
この中間転写フィルムは帯状であれば特に限定されないが、アスペクト比(長さ/幅)は5以上であることが好ましく、10以上であることが好ましく、20以上であることが更に好ましい。また、中間転写フィルムの長さとしては、1m以上であることが好ましく、2m以上であることが好ましく、4m以上であることが好ましい。
【0017】
なお、帯状の中間転写フィルムの幅とは、像担持体の回転方向と直交する方向の長さを意味し、通常は、像担持体の幅と略同一、あるいは、使用する記録媒体の幅(記録媒体の供給方向と直交する方向の長さ)と略同一に設定されることが好ましい。
中間転写フィルムは無端状フィルムであってもよい。この場合の中間転写フィルムの長さは、無端状フィルム1周分の長さを意味する。
【0018】
一方、従来、中間転写フィルムを用いて画像が形成された記録媒体(画像記録体)を大量に生産する場合、大判のシート状の中間転写フィルムを用いて、記録媒体上に画像を形成した後に所定のサイズに打ち抜いたり切断する必要があった。しかし、画像形成後にこのような後加工が必要なため、必ずしも高い生産性が得られていなかった。
このような観点からは本発明に用いられる記録媒体の形状としてはシート状であることが好ましい。記録媒体の形状がシート状である場合、最終製品と同サイズに予め切断された記録媒体を用いれば、画像形成後に記録媒体を切断する必要がないため、高い生産性を得ることができる。
この場合の中間転写フィルムの長さとしては、記録媒体の供給方向の長さの5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることが好ましく、20倍以上であることが更に好ましい。
【0019】
なお、本発明に用いられる記録媒体の形状はシート状のみに限定されず、例えば帯状であってもよい。この場合、画像が形成された帯状の記録媒体を得ることができる。この場合の中間転写フィルムの幅は、帯状の記録媒体の幅と略同程度であることが好ましく、中間転写フィルムの長さは、帯状の記録媒体の長さに対して1倍以上であることが好ましく、5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることが更に好ましい。
【0020】
本発明の画像形成方法では、1種類のトナーを用いた単色の画像のみならず、勿論、2種類以上の異なる色のトナーを用いたカラー画像も形成することができる。
次に、本発明の画像形成方法について工程毎に説明する。本発明の画像形成方法は、上述したようにトナー像形成工程、1次転写工程、定着工程、および、2次転写工程を含むものであり、必要に応じてトナー像を中間転写フィルムに転写した後の像担持体表面をクリーニングするクリーニング工程等、公知の電子写真方式の画像形成方法で採用されている工程を組み合わせることができる。
ここで、トナー像形成工程については、従来の画像形成方法と同様に実施することができ、1次転写工程についても中間転写体として上述した中間転写フィルムを用いる以外は、従来の画像形成方法と同様に実施することができる。
【0021】
一方、1次転写工程が実施された後の定着工程および2次転写工程の実施順は、両者を同時に実施する場合(プロセスA)、定着工程を実施した後に2次転写工程を実施する場合(プロセスB)、2次転写工程を実施した後に定着工程を実施する場合(プロセスC)、定着工程(仮定着工程)を実施し、続いてプロセスAを実施する場合(プロセスD)
定着工程(仮定着工程)を実施し、続いてプロセスCを実施する場合(プロセスE)のいずれでもよいが、本発明においてはプロセスBを採用することが最も好ましい。
ここで、「仮定着工程」とは、通常の定着工程のようにトナー像を十分に加熱溶融するものではないが、少なくともトナー像の粉体流動性が失われる程度にトナー像を加熱溶融する定着を意味する。
【0022】
なお、プロセスBやプロセスD、プロセスEのように中間転写フィルムから記録媒体へのトナー像の2次転写を実施する前に、定着(あるいは仮定着)を実施することによりトナー像中に含まれる空気を抜いておくことができる。それゆえ、2次転写時にはトナー像の粉体流動性が失われているため、2次転写時の静電的作用によってトナー像に乱れが発生するのを抑制でき、結果として、記録媒体表面に形成される画像に乱れが発生するのを抑制できる。
また、2次転写前に定着や仮定着を実施した場合、トナー像は加熱溶融されるが中間転写フィルム表面は離型性を有するため、トナー像と中間転写フィルム表面との接着性が増大することはない。このため、定着後に実施される2次転写工程では、トナー像を中間転写フィルム表面から記録媒体表面へとスムーズに転写することができる。
【0023】
また、本発明では、記録媒体を加熱する予備加熱工程を実施した後に、2次転写工程を実施することが好ましい。
このように2次転写工程の実施前に、記録媒体を加熱することにより、記録媒体を予め2次転写工程の実施(2次転写および定着を同時に実施する場合には両者の実施)に適した温度にまで十分に予熱しておくことができる。
これにより、トナー像の記録媒体表面への定着不良の発生を防止することが容易となる上に、2次転写工程における加熱温度をより低くすることも可能となる。なお、上述したような予備加熱工程の実施は、プラスチックフィルム等のような厚みの厚い記録媒体を用いる場合に特に有効である。記録媒体の厚みが厚くなると記録媒体自体の熱容量が大きくなるため、2次転写時の短時間の加熱では記録媒体を2次転写に適した温度にまで十分に加熱するのが困難な上に、プラスチックフィルム等の記録媒体に対して十分な加熱を行った場合には、記録媒体の熱変形を招きやすくなる。しかしながら、予備加熱工程を実施して、2次転写前に記録媒体を予熱しておけば、記録媒体の加熱不良に起因する定着不良や記録媒体の熱変形の発生を防止することができる。なお、このような観点からは、使用する記録媒体が、プラスチックフィルム等の熱可塑性材料を含む媒体であり、その厚みが0.5mm以上5.0mm以下程度の範囲内である場合に予備加熱工程を実施することが特に好ましい。
【0024】
−中間転写フィルム−
次に、本発明に用いられる帯状の中間転写フィルムについてより詳細に説明する。本発明に用いられる中間転写フィルムは、トナー像が転写される面(以下、「転写面」と称す場合がある)が離型性を有し、且つ、厚みが50μm以下であれば特に限定されないが、例えば、基材の少なくとも片面が離型処理されたフィルムや、基材とこの基材の片面に離型性材料を含む画像受像層を設けたフィルムを用いることができる。
なお、離型性材料としては、特に制限されないが、シリコーン系ハードコート材料が利用でき、具体的には、シラン系組成物を含む縮合物樹脂や、該シラン系組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料が含まれていてもよい。
【0025】
基材としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムを代表的に用いることができる。この中でも、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどを好ましく用いることができる。これらの中でも、コストパフォーマンスの点からは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
【0026】
一方、基材は定着および2次転写時に加熱加圧される。これに加えて、プラスチックシート等の比較的厚みが大きいものが多い記録媒体を用いる場合には熱容量が大きいために、2次転写時の温度を高めに設定しなければならず、基材が高い温度に加熱される場合もある。このような加熱加圧や過剰な加熱条件は、2次転写時に基材の長手方向に伸びを生じさせ、これに伴い画像の伸びの発生を招いてしまう場合がある。
それゆえ、画像伸びの抑制という観点からは、加熱加圧時の延伸耐性に優れたプラスチックフィルムを用いることが好ましい。このようなフィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、芳香族ポリアミド(アラミド)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム等を挙げることができる。
なお、基材用のフィルムとしては、必要に応じて上述したフィルムを2種類以上組み合わせて積層した積層フィルムを利用することもできる。
【0027】
中間転写フィルムの転写面は出来る限り平滑であることが好ましく、中心線平均粗さ(JIS B0601:1982に規定されている中心線平均粗さRa)で1μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。中心線平均粗さRaが1μmを超える場合には、記録媒体表面に形成された画像形成領域の光沢度が低くなる場合がある。
【0028】
中間転写フィルムの厚さは、50μm以下であることが必要であり、40μm以下であることがより好ましい。厚みが50μmを超えると、定着時や2次転写時の熱効率が悪化する。また、熱効率が悪化するため、中間転写フィルム近傍のみを瞬間的に高温に加熱できなくなり、定着や2次転写に利用する加熱ロール等の加熱部材の加熱温度をより高温に設定しなければらない。それゆえ、記録媒体としてプラスチックフィルム等の熱可塑性材料を含む記録媒体を用いる場合には、記録媒体が過剰に加熱されて熱変形を引き起こす。
なお、このような熱変形は、厚みが50μmを超える中間転写ベルトを有する既存の画像形成装置では発生が避けられない。また、従来の転写フィルムは搬送トラブル防止の観点から剛性を確保するためにその厚みは最低でも75μm以上であり、厚みを50μm以下とすると転写フィルムの剛性が不足し画像形成装置内で搬送トラブルを起こしてしまうが、本発明では、転写フィルムを帯状とした上でその長手方向にテンションを加えて利用するため、このような搬送トラブル自体が発生することもない。
【0029】
一方、中間転写フィルムの厚みが薄すぎると強度が不足して、中間転写フィルムが伸びたり、切断されたりする場合があるため、厚みは少なくとも10μm以上であることが好ましい。
【0030】
また、温度23℃・湿度55RH%における中間転写フィルムの少なくとも転写面の表面抵抗率は、1.0×108Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲内であることが好ましく、1.0×109Ω/□以上1.0×1011Ω/□以下の範囲内であることがより好ましく、中間転写フィルムの両面で上記範囲を満たすことが更に好ましい。
表面抵抗値が1.0×108Ω/□に満たないと、特に、高温高湿時に中間転写フィルムの抵抗値が低くなりすぎ、例えば像担持体からの転写トナーが乱れる場合があり、また、表面抵抗値が1.0×1013Ω/□を超えると、中間転写フィルムの抵抗値が高くなりすぎ、例えば像担持体からのトナーを中間転写フィルム表面に移行できず画像欠陥が発生する場合がある。
【0031】
なお、上記表面抵抗値は、23℃、55%RHの環境下で、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K6911に従って測定することができる。
表面抵抗値を1.0×108Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下の範囲内に制御するにあたっては、中間転写フィルム表面を構成する層(例えば、画像受像層や、抵抗調整を目的として、転写面と反対側の面に設けられる抵抗調整層等)中に帯電制御剤として高分子導電剤、界面活性剤や導電性金属酸化物粒子等を添加したり、基体となるフィルム製造時に、界面活性剤、高分子導電剤や導電性微粒子などを樹脂中に添加したり、上記フィルム表面に界面活性剤を塗工したり、金属薄膜を蒸着したり、あるいは接着剤などに界面活性剤などを適量添加したりすることで調整することができる。
【0032】
−記録媒体−
本発明で用いられる記録媒体としては、通常の用紙の他に、プラスチックフィルムや、金属、セラミックなどからなるフィルム等、画像が形成可能なものであれば特に限定されないが、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。
記録媒体としては、これらに顔料や染料などを添加して着色することもできる。また、記録媒体は、フィルム状、板状であってもよいし、可とう性を有しない程度、又は、記録媒体としての要求に必要な強度を有する程度に厚みを有する形状であってもよい。
なお、画像記録体をICカードや磁気カード等に適用させる場合、記録媒体には、ICメモリ、アンテナ、外部端子等が埋め込まれる。また、磁気ストライプやホログラム等が別途印刷されたり、必要に応じて文字がエンボス処理されることもある。
【0033】
記録媒体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましく、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PETGフィルム(少なくともエチレングリコール、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させた変性PET樹脂フィルム)、または、塩化ビニルフィルムを用いることがより好ましい。プラスチックフィルムの厚さは50μm以上5000μm以下が好ましく、100μm以上1000μm以下がより好ましい。
プラスチックフィルムは不透明であることが好ましく、白色に着色されていることがより好ましい。
プラスチックフィルムとしては、具体的には、アセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハンなどがあり、中でもポリエステルフィルムが好ましく用いられる。特に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられている。
【0034】
(トナー/現像剤)
本発明において、トナー像の形成に用いられる現像剤としては、トナーからなる一成分現像剤、あるいは、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤のいずれを用いてもよく、公知の現像剤が利用できる。
トナーとしては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナーであれば従来公知のものが制限なく利用できる。なお、結着樹脂としては、公知の結着樹脂が利用できるが、ポリエステル系樹脂が好ましく、その重量平均分子量としては5000以上12000以下であることが好ましい。
【0035】
着色剤としては、トナー用として通常用いられている着色剤であれば特に制限はなく、それ自体公知のシアン顔料または染料、マジェンタ顔料または染料、イエロー顔料または染料、ブラック顔料または染料等の中から選択できる。好ましくは、高光沢が得られる効果を高めるためには、着色剤の顔料とバインダーの界面での乱反射を抑えることが重要であり、特開平4−242752号公報に示された小粒径の顔料を高分散した着色剤との組合せが有効である。
またトナーの粒径は、特に限定されないが高精細な画像を得る観点からは4μm以上、8μm以下が望ましい。
本発明に用いられるトナーやキャリアは適宜作製したものであってもよいし、市販品であってもよい。
【0036】
(画像形成装置)
次に、本発明の画像形成装置について説明する。本発明の画像形成装置は、本発明の画像形成方法を利用したものであれば特に限定されないが、具体的には以下の構成を有することが好ましい。
すなわち、本発明の画像形成装置は、像担持体と、該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記像担持体表面から、帯状の中間転写フィルム表面に転写する1次転写手段と、加熱・加圧することにより前記トナー像を定着する定着手段と、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写された面と記録媒体表面とを重ね合わせた状態で加熱・加圧しながら、前記トナー像を前記中間転写フィルム表面から前記記録媒体表面へ転写する2次転写手段とを含むものであることが好ましい。
ここで、中間転写フィルムとしては転写面が離型性を有し、厚みが50μm以下のものが用いられる。また、2次転写手段が定着手段の機能も兼ねていてもよいが、上述したように定着後に2次転写を実施できる方が好ましいことから、2次転写手段と定着手段とを別々に設けることが好適である。なお、1次転写工程後に上述したプロセスEを実施して画像形成を行う場合には、2つの定着手段(2次転写前の仮定着を実施する定着手段および2次転写後の定着を実施する定着手段)を有していることが必要である。さらに、必要に応じて中間転写フィルムのトナー像が転写された面と重ね合わされる前の記録媒体を予備加熱する予備加熱手段を有していてもよい。
また、この他にも、本発明の画像形成装置は、従来の画像形成装置に用いられているその他の手段、例えば、像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレード等のクリーニング手段などを備えていてもよい。
【0037】
以下に、本発明の画像形成装置の形態について図面を参照して説明する。
−実施の形態1−
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図であり、図1中、100は画像形成装置、101は筐体、102K、102C、102M、102Yは画像形成部(トナー像形成手段)、103Yは感光体ドラム(像担持体)、104Yは一次帯電器、105YはLEDアレイ、106Yは現像装置、107K、107C、107M、107Yは帯電ロール(1次転写手段)、108は中間転写フィルム、109は送出しロール、110は加熱ロール、111は巻き取りロール、112は加圧ロール、113は加熱源、114は冷却剥離ロール、115,116は張架ロール、117は記録媒体供給トレイ、122は加熱ロール、124は加熱源、126は加圧ロール、162は加熱ロール、164は加熱源、166は加圧ロールを表す。
【0038】
この画像形成装置100は、筐体101内に黒(K)、シアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナー像を形成する4組の画像形成部102K、102C、102M、102Yが設けられたいわゆるタンデム型の装置であり、張架ロール115および116との間に鉛直方向に張架された中間転写フィルム108に沿って、中間転写フィルム108の張架ロール115および116が配置された側の面と反対側の面に、張架ロール115側から張架ロール116側へと画像形成部102K、102C、102M、102Yが一定の間隔を隔てて鉛直方向にこの順に配置されている。
これら4組の画像形成部102K、102C、102M、102Yは、本実施形態においては、形成するトナー像の色が黒(K)、シアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y)であるほかは、すべて同様の構成を有するものであるが、使用頻度等に応じて特定の色の画像形成部のみ構成を変えてもよい。例えば、使用頻度の多い画像形成部の感光体ドラムの径を大きくしたり、感光体表面材質を高耐久性のものに変えたりし寿命の長いシステムに変更することもできる。
【0039】
また、筐体101内には、帯状の長尺フィルムである中間転写フィルム108を送り出す送出しロール109と、送出しロール109から送り出された中間転写フィルム108を巻き取る巻き取りロール111と、送出しロール109と巻き取りロール111との間の中間転写フィルムを張架する4つのロール(張架ロール115、張架ロール116、加熱ロール110、および、冷却剥離ロール114)と、加熱ロール122およびこれに対向配置された加圧ロール126を有する定着手段と、加熱ロール162およびこれに対向配置された加圧ロール166を有する予備加熱手段とを備えている。
なお、巻き取りロール111は、不図示の駆動源に接続されており、中間転写フィルム108を巻き取ることが可能である。
【0040】
中間転写フィルム108は、その一端側が、送出しロール109に巻かれており、画像の形成に際しては、送出しロール109から、中間転写フィルム108が順次送り出される。なお、送出しロール109に巻き取られた状態の中間転写フィルム108は、画像受像層が設けられた側の面が外側面となるように巻き取られる。送出しロール109から送り出された中間転写フィルム108は、画像形成時には巻き取りロール111により矢印B方向に逐次巻き取られる。
送り出しロール109と巻き取りロール111との間の中間転写フィルム108は、中間転写フィルム108の基材側の面に当接し、送り出しロール109側から巻き取りロール111側へと以下の順に配置された張架ロール115、張架ロール116、加熱ロール110、および、冷却剥離ロール114によって所定のテンションで張架されている。
【0041】
定着手段は、中間転写フィルム108を張架する張架ロール116と、2次転写手段を構成する一対のロール(加熱ロール110および加圧ロール112)との間に配置され、定着手段を構成する加熱ロール122は、その内部に加熱源124を内蔵すると共に、中間転写フィルム108を挟んで加熱ロール122を押圧するように加圧ロール126が対向配置されている。また、加熱ロール122の表面は離型処理されており、中間転写フィルム108上のトナーが溶融した後、加熱ロール122表面に付着しないようになっている。
定着手段としては、従来の画像形成装置に用いられている加熱ロール定着器を利用することができる。なお、2次転写手段が定着手段の機能も兼ねる場合には、加熱ロール122および加圧ロール126は設けなくてもよい。
【0042】
加熱ロール110は、その内部に加熱源113を内蔵すると共に、中間転写フィルム108を挟んで加熱ロール110を押圧するように加圧ロール112が対向配置されており、加熱ロール110と加圧ロール112とにより2次転写手段を構成している。
また、加圧ロール112と中間転写フィルム108との間(ニップ部)は、筐体101外に取り付けられた記録媒体供給トレイ117から不図示の搬送手段により矢印C方向(水平方向)に搬送される所定のサイズに裁断されたシート状の記録媒体が挿通可能であり、記録媒体が当該ニップ部を通過する際に、中間転写フィルム108の転写面に形成されたトナー像が記録媒体側に転写されると共にトナー像が記録媒体側に密着する。
なお、2次転写手段が定着手段の機能も兼ねる場合には、未定着のトナー像を加熱溶融すると共に、中間転写フィルム108の転写面に形成されたトナー像を記録媒体側に転写し、記録媒体側に密着させる。
【0043】
この加熱ロール110には、加圧ロール112が所定のタイミングで圧接するようにリトラクト可能に構成されていてもよい。例えば、中間転写フィルム108上に各色のトナー像を形成している間は、加圧ロール112を待機位置にリトラクトして、加熱ロール110と加圧ロール112とを互いに離間させておき、中間転写フィルム108上への多色トナー像の形成が完了して記録媒体が記録媒体供給トレイ117から加熱加圧手段に供給されるタイミングに合わせて、加圧ロール112を加熱ロール110を押圧する位置に移動させることができる。なお、加圧ロール112は、内部に加熱源を備えるように構成しても良い。なお、2次転写手段としては、従来の画像形成装置に用いられている加熱ロール定着器を利用することができる。
【0044】
2次転写手段の記録媒体排出側で、記録媒体搬送路の加熱ロール110側には小径の冷却剥離ロール114が配置されている。この冷却剥離ロール114により、加熱ロール110と加圧ロール112との間を通過した中間転写フィルム108と記録媒体とは、加熱加圧された後も冷却剥離ロール114が配置された位置までは密着した状態で矢印C方向に搬送される。このため、一旦、加熱加圧され記録媒体側に転写されたトナー像が、中間転写フィルム108の転写面と接触したままある程度冷却された後に、トナー像と中間転写フィルム108の転写面とが剥離されるため、転写面が平滑であればこれに応じて画像表面の光沢度をより高めることができる。
また、巻き取りロール111は、巻き取りロール111と冷却剥離ロール114との間で張架される中間転写フィルム108が、記録媒体搬送方向に対して約70°前後の角度を成すように配置されている。
【0045】
さらに、図1に示すように記録媒体供給トレイ117から加熱ロール110および加圧ロール112から構成される2次転写手段へと記録媒体が搬送される搬送経路上に、予備加熱手段を設けてもよい。
この予備加熱手段は、加熱源164を内蔵する加熱ロール162と、この加熱ロール162に対向配置された加圧ロール166とから構成され、画像形成時には記録媒体を加熱ロール162と加圧ロール166との間を矢印C方向に通過させることにより、記録媒体の予備加熱を行うことができる。このような一対のロールから構成される予備加熱手段としては、例えば、公知の定着機を利用することができる。
予備加熱手段を利用すれば、厚みがあり熱容量の大きい記録媒体を用いても、記録媒体が予備加熱手段によって記録媒体が予熱された後に2次転写手段に搬送されるため、2次転写不良が発生するのを容易に防止することができる。
【0046】
次に、4つの画像形成部の具体的な構成について、画像形成部102Yを具体例として説明する。画像形成部102Yは、感光体ドラム103Y、一次帯電器104Y、LEDアレイ105Y、および、現像装置106Yから構成される。ここで、感光体ドラム103Yは、中間転写フィルム108の画像受像層が設けられた側の面に当接すると共に、図示しない駆動手段によって矢印A方向に沿って所定の速度で回転駆動される。また、感光体ドラム103Yの周囲には矢印A方向に沿って、一次帯電器104Y、LEDアレイ105Y、現像装置106Y、および、帯電ロール107Yがこの順に配置され、帯電ロール107Yは、中間転写フィルム108を挟んで、感光体ドラム103Yに対向配置される。
感光体ドラム103Yとしては、特に制限はなく公知のものが利用でき、単層構造のものであっても良いし、多層構造で機能分離型のものであっても良い。また、材質としては、セレン、アモルファスシリコン等の無機ものであっても良いし、有機のものであっても良い。
【0047】
現像装置106Yは、絶縁性のカラートナー像を感光体ドラム103Y上に形成するものである。この目的を満たす限り、あらゆる公知の現像装置を用いることができる。例えば、トナーをコロトロン、ブラシ等を用いて電子写真感光体に付着させる機能を有する公知の現像装置が挙げられる。また、現像装置106Yとしては、公知のキャリアと混合、帯電されたトナーを用いてトナー像を感光体ドラム103Y上に形成してもよく、例えば、特開昭63−58374号公報に記載されているような公知の装置を使用することができる。また、キャリアを用いない一成分現像剤による現像装置を採用してカラー画像を形成してもよい。
また、現像装置106Yで使用されるカラートナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる絶縁性の粒子で、現像装置106Yにおいてはイエローのトナーが用いられ、その他の画像形成部の現像装置にはシアントナー、マジェンタトナー、ブラックトナーが用いられる。これらのカラートナーの組成、平均粒径等については、一般的な公知のトナーの範囲の中から適宜選択される。
【0048】
画像形成部102Yによるイエロー(Y)色のトナー像の形成は以下のように行われる。まず、感光体ドラム103Yの表面は、帯電ロール等からなる一次帯電器104Yによって所定の電位に一様に帯電された後、入力画像信号に応じたハーフトーン画像(ラスターデータ)に応答してLEDアレイ105Yにより露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム103Y上に形成された静電潜像は、対応する色のトナーを収容した現像手段としての現像装置106Yによって現像され、イエロー(Y)色のトナー像が形成される。このイエロー(Y)色のトナー像は、感光体ドラム103Yと中間転写フィルム108との当接部において、1次転写手段である帯電ロール107Yによって感光体ドラム103Y表面から中間転写フィルム108表面へと1次転写される。なお、1次転写が終了した後の感光体ドラム103Yの表面は、必要に応じて、図示しないクリーニング装置によって残留トナー等が除去される。
【0049】
このようなトナー像の形成は、用いるトナーの色が異なる以外は、画像形成部102K、102C、102Mについても同様である。
こうして、各画像形成部102K、102C、102M、102Yで形成された各色のトナー像は、一次転写手段である帯電ロール107K、107C、107M、107Yによって、黒、シアン、マジェンタ、イエローの順に、順次、中間転写フィルム108上に互いに重ね合わせた状態で、一次転写され、中間転写フィルム108上に多色トナー像が形成される。
【0050】
中間転写フィルム108表面に重ね合わせて転写された4色のトナー像は、矢印B方向に更に搬送され、定着手段へと移動し、トナー像が加熱加圧されることにより定着される。さらに、定着後のトナー像は、2次転写手段へと搬送され、ニップ部にて、トナー像が、予め予備加熱手段によって予熱された記録媒体の表面に2次転写される。
なお、このような定着および2次転写は上述したプロセスBに相当するが、図1に示す装置では、定着手段における加熱処理の有無や、2次転写手段における加熱条件の設定を適宜選択することによりプロセスAや、プロセスDも実施可能である。
続いて、ニップ部を通過した後の記録媒体は、冷却剥離ロール114が設けられた位置までは、中間転写フィルム108と重ね合わされた状態で搬送された後、不図示の搬送手段によって筐体101外へと排出される。一方、中間転写フィルム108は巻き取りロール111に巻き取られる。
【0051】
これにより、画像の形成に使用する記録媒体として、最終製品と同サイズに裁断されたものを利用することができるので、画像形成後に切断することなく、画像が形成された記録媒体を大量且つ高速に生産することができる。
一方、画像受像層を有する中間転写フィルムに画像を形成した後、これと記録媒体とをラミネートし、その後、記録媒体から中間転写フィルムを剥離して、画像のみを記録媒体側に転写する従来の画像形成装置としては、特開2005−227377号公報の図3に示される装置が挙げられる。
このような装置を利用すればプラスチックシートのような記録媒体上に画像を形成することが容易であるが、所定のサイズに切断された画像形成済みの記録媒体を大量に生産する場合には、大判サイズ(最大で320×450mm程度)の中間転写フィルムおよび記録媒体を用いて画像の形成、ラミネートおよび剥離を行った後、画像が形成された大判の記録媒体を所定のサイズに裁断する必要があった。また、ラミネートを行う前に、記録媒体と中間転写フィルムとを重ね合わせる際に位置あわせ手段が必要である上に、工程・装置が複雑化する傾向にある。
しかしながら、図1に示すような本発明の画像形成装置ではこのような問題を全て解決することが可能である。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
−画像形成装置−
画像形成装置としては、上述した図1に示す画像形成装置を用い、記録媒体としてはプラスチックシートを用いた。以下に詳細な条件を記載する。
【0053】
−現像剤−
現像剤は、富士ゼロックス(株)製: DocuColor1255用のシアン現像剤、マジェンタ現像剤、イエロー現像剤、ブラック現像剤を用いた。トナーの平均粒径は7μmであった。
【0054】
−記録媒体−
カラー画像の形成に用いた記録媒体としては、白色塩化ビニル製シート(三菱樹脂社製、ビニホイルC―4636)で、厚さは760μm、大きさはカードサイズ(85.6mm×54mm)に予め打抜き加工されたものを用いた。
【0055】
−カラートナー現像重量と画像信号−
現像するカラートナー重量は、各色とも画像信号Cin=100%部分で0.5mg/cm2とした。スキャナで読んだデータを画像処理装置によって色、階調、シャープネス補正を施し、各色のトナーの画像信号を生成した。
【0056】
−中間転写フィルム−
中間転写フィルム108には、ベース層(基材)と画像受像層とからなる2層構造のものを用いた。ベース層には、帯状のPETフィルム(東レ社製、ルミラーS10、厚み:25μm、幅:60mm、長さ:10m)用いた。画像受像層は、有機シラン縮合物、メラミン樹脂、アルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)10質量部と帯電制御剤としてパイオニンB144V(竹本油脂社製)0.2質量部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30質量部に添加して十分撹拌し画像受像層塗工液を、PETフィルムの片面に乾燥後の厚さが1μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。なお、中間転写フィルム108の画像受像層が設けられた面の表面抵抗率は1.0×1010Ω/□であった。
【0057】
−画像の形成−
画像の形成は、白色塩化ビニル製シートの短手方向が供給方向となるように記録媒体供給トレイ117にセットし、予備加熱手段の加熱温度を100℃、定着手段の加熱温度を130℃、2次転写手段の加熱温度を150℃、中間転写フィルム108の送り速度を40mm/sに設定して実施した。
なお、画像は、白色塩化ビニル製シートの中央部に人物の画像を形成し周囲約1cmは余白(非画像部)とした
【0058】
(比較例1)
−画像受像層塗工液1の調製−
有機シラン縮合物、メラミン樹脂、アルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)10質量部と、フィラーとしてポリジメチルシロキサン微粒子(GE東芝シリコーン社製、TP145、体積平均粒子径:4.5μm)0.002質量部と、帯電制御剤としてパイオニンB144V(竹本油脂社製)0.2質量部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30質量部に添加して十分撹拌し画像受像層塗工液1を調製した。
【0059】
−中間転写フィルムの作製−
基体としてPETフィルム(東レ社製、ルミラーS10、厚み:100μm)を用い、この基体の片面に前記画像受像層塗工液1をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で30秒乾燥させ、膜厚1μmの画像受像層を形成した。その後A4サイズ(210mm×297mm)にカットしてシート状の中間転写フィルムを作製した。
上記中間転写フィルムの画像受像層面に、画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製カラー複写機 DocuColor1255CP)により、実施例1と同様の人物像を画像受像層面に形成した。なお、人物像は周囲の余白が約1cmとなるように85.6mm×54mmのエリア内に1つの割合で形成した。
【0060】
−記録媒体−
カラー画像の形成に用いた記録媒体としては、白色塩化ビニル製シート(三菱樹脂社製、ビニホイルC―4636)で、厚さは760μm、大きさはA4サイズに予め裁断加工されたものを用いた。
【0061】
−ラミネート、剥離および打ち抜き−
白色塩化ビニル製シートの片面に、画像が定着された中間転写フィルムを画像面で重ね合わせ、ラミネーター(フジプラ(株)社製、ラミパッカーLPD3206 City)を用い、160℃、送り速度0.3m/min(5mm/s)の条件で貼り合わせた後、常温まで冷却後、中間転写フィルムを白色塩化ビニル製シートから引きはがして、画像のみを白色塩化ビニル製シートに転写した。その後、人物像が形成された部分が中央になるように85.6mm×54mmサイズに打ち抜いた。
【0062】
(比較例2)
−画像形成装置−
画像形成装置としては、中間転写フィルムのベース層に、厚み75μmのPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同じ装置を用いた。
【0063】
−記録媒体−
カラー画像の形成に用いた記録媒体としては、実施例1で用いたものと同様に白色塩化ビニル製シート(三菱樹脂社製、ビニホイルC―4636)で、厚さは760μm、大きさはカードサイズ(85.6mm×54mm)に予め打抜き加工されたものを用いた。
【0064】
−カラートナー現像重量と画像信号−
現像するカラートナー重量は、各色とも画像信号Cin=100%部分で0.5mg/cm2とした。スキャナで読んだデータを画像処理装置によって色、階調、シャープネス補正を施し、各色のトナーの画像信号を生成した。
【0065】
−画像の形成−
画像の形成は、白色塩化ビニル製シートの短手方向が供給方向となるように記録媒体供給トレイ117にセットし、予備加熱手段の加熱温度を100℃、定着手段の加熱温度を130℃、2次転写手段の加熱温度を180℃、中間転写フィルム108の送り速度を40mm/sに設定して実施した。
なお、画像は、白色塩化ビニル製シートの中央部に人物の画像を形成し周囲約1cmは余白(非画像部)とした
【0066】
(評価)
−生産性の評価−
実施例1、比較例1、比較例2について、一定時間内に得られる画像が形成された記録媒体の枚数を比較した。
その結果、実施例1では、人物像が画像形成されたカードが毎分40枚出力され、カードの熱変形も見られなかった。
【0067】
これに対して比較例1では、得られたカードの熱変形もなく、実施例1とほぼ同等の品質のカードを得ることができたが、A4サイズにカードが8枚面付けされたものが毎分1枚(カードで8枚)出力された。加えて、出力後に、所定のサイズのカードとするために打抜き処理が必要であり、極めて生産性に劣ることがわかった。
また、比較例2では、人物像が画像形成されたカードが毎分40枚出力され、生産性の点では何ら問題なかった。しかし、得られたカードは、一見しただけで熱変形が起こっていることが確認され、実用に耐え得る品質を得ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0069】
100 画像形成装置
101 筐体
102K、102C、102M、102Y 画像形成部
103Y 感光体ドラム(像担持体)
104Y 一次帯電器
105Y LEDアレイ
106Y 現像装置
107K、107C、107M、107Y 帯電ロール
108 中間転写フィルム
109 送出しロール
110 加熱ロール
111 巻き取りロール
112 加圧ロール
113 加熱源
114 冷却剥離ロール
115,116 張架ロール
117 記録媒体供給トレイ
122 加熱ロール
124 加熱源
126 加圧ロール
162 加熱ロール
164 加熱源
166 加圧ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、前記トナー像を前記像担持体表面から、帯状の中間転写フィルム表面に転写する1次転写工程と、加熱・加圧することにより前記トナー像を定着する定着工程と、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写された面と記録媒体表面とを重ね合わせた状態で加熱・加圧しながら、前記トナー像を前記中間転写フィルム表面から前記記録媒体表面へ転写する2次転写工程とを含み、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写される面が離型性を有し、前記中間転写フィルムの厚みが50μm以下であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記記録媒体を予備加熱する予備加熱工程を実施した後に、前記2次転写工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
像担持体と、該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記像担持体表面から、帯状の中間転写フィルム表面に転写する1次転写手段と、加熱・加圧することにより前記トナー像を定着する定着手段と、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写された面と記録媒体表面とを重ね合わせた状態で加熱・加圧しながら、前記トナー像を前記中間転写フィルム表面から前記記録媒体表面へ転写する2次転写手段とを含み、前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写される面が離型性を有し、前記中間転写フィルムの厚みが50μm以下の範囲内であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写フィルムの前記トナー像が転写された面と重ね合わされる前の前記記録媒体を予備加熱する予備加熱手段を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−240669(P2007−240669A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60294(P2006−60294)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】