説明

画像形成方法および画像形成装置

【課題】HDDからビットマップ形式の画像データを画像形成部に出力して高速に画像形成する。
【解決手段】異なる管理方式でそれぞれデータを記憶可能な第1領域と第2領域とを有するハードディスク装置111と、第1データを画像形成用の第2データに変換するRIP処理部130と、前記第2データにより画像形成を行う画像形成部180と、入力される前記第1データを前記第1領域111aに記憶するよう制御し、前記処理部により変換された前記第2データを前記第2領域111bに記憶するよう制御し、前記第2領域から前記第2データを読み出して画像形成タイミングに合わせて前記画像形成部180に供給するよう制御する制御部101と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成に関するデータを記憶する記憶装置を備えた状態での画像形成方法および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、外部機器から送られてきたページ記述言語で記述された非ビットマップ形式のRIP前のプリントデータ(RIP前プリントデータ)あるいはラスタライズされたビットマップ形式の画像データ(RIP後プリントデータ)など各種のデータを記憶しておく必要がある。
【0003】
このため、画像形成装置において、大容量の画像データを記憶するために不揮発性の記憶装置としてハードディスク装置(HDD;Hard Disk Drive)が搭載されるようになってきている。
【0004】
また、このような画像形成装置においては、頁毎のビットマップ形式の画像データを、露光や給紙などの画像形成タイミングに正確に合わせて遅れることなく画像形成部に供給する必要がある。
【0005】
ここで、印刷分野で使用される画像形成装置においては、画像形成の高画質化と高速化の要求により、大容量の画像データを高速に連続して出力する必要が生じている。また、ジャムなどの不具合からリカバリする際にも、一連の大容量の画像データを記録紙の出力タイミングに合わせて高速に出力する必要が生じる。このような状況では、HDDからのデータ出力では間に合わなくなるため、大容量のDRAM(Dynamic Random Access Memory)に一連の画像データを蓄えておいてから出力するようになっている。
【0006】
なお、このような画像形成装置のHDDの使用については、以下の特許文献に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−59591号公報
【特許文献2】特開2008−162068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の特許文献1には、複写機やプリンタにおいて、各種の画像データをファイル形式で保存することが記載されている。また、以上の特許文献2では、外部から入力されたページ記述言語で記述されたデータをビットマップ形式の画像データに展開し、このビットマップ形式の画像データをDRAMに記憶させて、画像形成することが記載されている。ただし、いずれの特許文献にも、HDDの高速かつ効率的な利用手法については提案されていない。
【0009】
なお、プロダクションプリントと呼ばれる印刷分野で使用される高速の画像形成システムでは、画像形成装置の後段に各種の後処理を行うオプション装置が多段で接続されて、製本されて出力されるようになっている。そして、このような画像形成システムでは、一連の後処理の作業も連続して実行するため、頁数分や部数分の画像データを、画像形成タイミングに合わせて遅れることなく高速に連続して出力する必要がある。この結果、前述したDRAMを、更に大量に搭載する必要が生じてくる。
【0010】
このような画像形成システムの状況において、要求されるDRAMの容量が大きくなりすぎるため、データの記憶のために存在している大容量のHDDを活用することが試みられている。
【0011】
しかし、ラスタライズ等によるHDDへのアクセスが画像データ出力と並行して発生するために画像データ出力に遅れが生じるといった画像形成装置特有の事情もあり、共通のHDDを活用することは困難であった。
【0012】
この場合、画像データの出力を優先させるためにラスタライズ処理を停止させたり、あるいは、画像データの出力とラスタライズ用とでHDDを分けるなどの対策も考えられるが、ラスタライズ一時停止による画像形成パフォーマンス低下やHDD増設によるコスト上昇など新たな問題が生じることになる。
【0013】
さらに、一般的なファイルシステムの機能によりHDDを利用した場合のファイルの断片化によるフラグメンテーションの問題により、画像データの読み出し速度が低下することがあり、画像データ出力に要求される読み出し速度に達しないことが発生しやすくなる。このような理由により、画像形成装置のビットマップ形式の画像データ出力にHDDを活用することは困難であった。
【0014】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、DRAMの容量を増やさずにHDDからビットマップ形式の画像データを画像形成部に出力して高速に画像形成する画像形成方法および画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、前記した課題を解決する本発明は、以下の通りである。
【0016】
この発明は、入力される第1データをハードディスク装置の第1領域に記憶し、前記第1データを画像形成用の第2データに変換して前記ハードディスク装置の第2領域に記憶し、画像形成タイミングに合わせて前記第2データを前記第2領域から読み出して画像形成部に供給する画像形成において、前記第1領域と前記第2領域とは異なる管理方式でそれぞれデータが管理される、ことを特徴とする。
【0017】
ここで、前記ハードディスク装置において、前記第2領域は前記第1領域よりもデータのアクセスが高速である、ことを特徴とする。
【0018】
ここで、前記ハードディスク装置において、前記第1領域はファイルシステムにより管理される領域であり、前記第2領域はRAWデバイスとして管理される領域である、ことを特徴とする。
【0019】
また、入力される非ビットマップ形式の前記第1データをRIP処理によりビットマップ形式の第2データに変換する、ことを特徴とする。
【0020】
また、前記第1データと前記第2データとが前記ハードディスク装置に対してアクセス待ち状態である場合に、前記第2データのアクセスを優先させる、ことを特徴とする。
【0021】
また、前記第1領域で前記第1データを記憶する際あるいは読み出す際にキャッシュを使用する、ことを特徴とする。
【0022】
また、前記ハードディスク装置が複数のハードディスクドライブから構成されており、複数のそれぞれの前記ハードディスクドライブについて前記第1領域と前記第2領域とを有している、ことを特徴とする。
【0023】
また、前記ハードディスク装置が複数のハードディスクドライブから構成されており、前記第2領域は複数のハードディスクドライブをストライピングにより使用する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、以下のような効果が得られる。
【0025】
この発明では、ハードディスク装置の第1領域と第2領域とで異なる管理方式でそれぞれデータが管理される場合に、画像形成のために外部から入力される非ビットマップ形式の第1データをハードディスク装置の第1領域に記憶し、この第1データをRIP処理により画像形成用のビットマップ形式の第2データに変換してハードディスク装置の第2領域に記憶し、画像形成タイミングに合わせて第2データを第2領域から読み出して画像形成部に供給している。
【0026】
ここで、第2領域は第1領域よりもデータのアクセスが高速であるため、DRAMの容量を増やさずにHDDからビットマップ形式の画像データを画像形成部に出力して高速に画像形成することが可能になる。
【0027】
また、ここで、RAWデバイスとして管理される第2領域は、ファイルシステムにより管理される第1領域よりもデータのアクセスが高速であり、DRAMの容量を増やさずにHDDからビットマップ形式の画像データを画像形成部に出力して高速に画像形成することが可能になる。
【0028】
また、第1データと第2データとがハードディスク装置に対してアクセス待ち状態である場合には、画像形成のための第2データのアクセスを優先させることにより、HDDからビットマップ形式の画像データを画像形成部に出力して高速に画像形成することが可能になり、RIP処理のための第1データのアクセスと画像形成のための第2データのアクセスとを同じハードディスク装置で両立させることが可能になる。
【0029】
また、第1領域の第1データのアクセスではキャッシュを使用するものの、第2領域の第2データのアクセスではキャッシュを使用しないようにすることで、キャッシュのヒット/ミスによって第2領域の第2データのアクセス速度が変化することが無く、第2領域の第2データの読み出しが常時安定した状態になり、HDDからビットマップ形式の画像データを画像形成部に出力して高速かつ安定した状態で画像形成することが可能になる。
【0030】
また、ハードディスク装置が複数のハードディスクドライブから構成される場合には、複数のそれぞれのハードディスクドライブについて第1領域と第2領域とを有するようにして、第2領域は複数のハードディスクドライブをストライピングにより使用することで、HDDからビットマップ形式の画像データを画像形成部に出力して高速かつ安定した状態で画像形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置の概略処理を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態の画像形成装置の処理例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態の画像形成装置の処理例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態の画像形成装置の処理例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態の画像形成装置の処理例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。ここでは、外部機器から非ビットマップ形式の画像データを受信して、装置内でラスタライズしてビットマップ形式の画像データに変換して画像形成すると共に画像データを記憶する機能を有する画像形成装置100を具体例にして説明する。
【0033】
〈画像形成装置の構成〉
ここで、図1に示される画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)等により構成されて画像形成装置100内の各部を制御する制御部101と、各種ネットワークを介して他の装置と通信するための通信部102と、液晶表示部とタッチパネルとにより構成されて利用者による操作が入力される操作部103と、画像形成装置100で取り扱う各種データを不揮発性の記憶手段であるハードディスク装置(HDD;Hard Disk Drive)に記憶する記憶装置110と、外部機器から受信したページ記述言語により記述された非ビットマップ形式のRIP前プリントデータを記憶装置110に記憶する処理を行うデータ処理部120と、RIP前プリントデータをRIP(Raster Image Processor)処理によりラスタライズすることでビットマップ形式のRIP後プリントデータを生成するRIP処理部130と、記憶装置110に記憶するRIP後プリントデータに圧縮処理を施すと共に記憶装置110に圧縮処理されて記憶されているRIP後プリントデータを読み出して伸長処理を施す画像処理部150と、画像形成出力についてRIP後プリントデータに各種処理を行う出力処理部160と、RIP後画像データを画像形成部180での記録紙の出力タイミングに合わせて高速に出力するためDRAM(Dynamic Random Access Memory)により構成されたバッファメモリ170と、電子写真方式などにより画像形成出力を実行するプリントエンジンとしての画像形成部180と、を備えて構成されている。
【0034】
キャッシュ105は制御部101がオペレーティングシステム(Operating System)により管理しているメモリの一部をキャッシュメモリとして割り当てたもので、後述する記憶装置110よりも高速な記憶と読み出しとが可能に構成されたものであり、本願明細書では略して単にキャッシュと呼ぶことにする。なお、図1におけるキャッシュ105の記載は、動作状態を模式的に示すものであって、実際にこの位置に配置されるものではない。
【0035】
ここで、記憶装置110は、データを記憶するためにHDDを有する記憶装置であり、このHDD111は請求項における第1領域としてのFS領域111aと、請求項における第2領域としてのRAW領域111bの2つのパーティション(記憶領域)を有している。ここで、第1領域であるFS領域111aと、前記第2領域であるRAW領域111bとは、以下に説明するように異なる管理方式でそれぞれデータが管理される。また、外部から入力されるRIP前プリントデータが請求項における第1データであり、RIP処理されたRIP後プリントデータが請求項における第2データである。
【0036】
FS領域111aとは、オペレーティングシステムのファイルシステムによって管理された領域であり、利用者により操作部103を介して記憶を指示された画像データを後からファイル名や各種属性により検索して再利用可能に記憶するための領域であり、データの書き込み及び読み出しのスピードはそれほど重視されないが、ファイルシステムによる各種の管理や利用が可能である。なお、この実施形態では、記憶装置110の第1領域であるFS領域111aで第1データであるRIP前プリントデータを記憶する際あるいは読み出す際にキャッシュ105が使用される。但し、FS領域111aではファイルの断片化によるフラグメンテーションの問題により、画像データの読み出し速度が低下することがある。また、FS領域111aではキャッシュ105を利用することが可能であり、キャッシュヒット時は高速アクセスが可能であるが、キャッシュミスヒット時はパフォーマンスが低下することがある。なお、この実施形態では、画像形成出力までに時間があり、画像形成出力までに複数のデータを記憶しておく可能性が高いRIP前プリントデータをFS領域111aに記憶する。
【0037】
一方、RAW領域111bとは、制御部101によりRAWデバイスとして管理される領域であって、揮発性メモリの容量不足を補う仮想メモリとして画像データを所定のタイミングで出力するために一時的に記憶する領域であり、データの書き込み及び読み出しにスピードが要求されるため、制御部101により直接データ管理が行われており、セクタ番号とデータ容量の管理によって1ページ分の画像データが連続するセクタに書き込まれる。
【0038】
なお、このRAW領域111bでは、ファイルシステムのような各種属性やキャッシュは使用しないが、以上説明したデータ管理により安定した状態で高速アクセス(記憶および読み出し)が可能になる。なお、この実施形態では、画像形成出力時に高速に出力する必要のあるRIP後プリントデータをRAW領域111bに記憶する。また、このRAW領域111bは、より高速アクセスを実現するため、HDD111のディスクにおいてFS領域111aよりも外側の領域が使用される。
【0039】
なお、本実施形態の画像形成装置100は、プロダクションプリントと呼ばれる印刷分野の画像形成システムで使用される高速の画像形成装置であり、画像形成装置100の後段に図示されない各種の後処理を行うオプション装置が多段で接続されて、製本されて出力されるようになっている。なお、このような画像形成システムでは、一連の後処理の作業も連続して実行するため、頁数分や部数分の画像データを、画像形成タイミングに合わせて遅れることなく高速に連続して出力する必要があるが、本実施形態では、後述するように記憶装置110のHDDを高速に使用可能にする新たな手法を採用することで、バッファメモリ170としては記憶と読み出しとを交互に行うため2頁分の最低限の容量のDRAMで対応することが可能になっている。
【0040】
〈画像形成装置の動作〉
ここで、本実施形態の画像形成の動作について説明する。ここでは、制御部101の記憶アクセス制御を示す図2のフローチャートと、データの流れ順を示す図3以降の説明図を参照して説明する。なお、ここでは、記憶装置110に対するデータの記憶(ライト)あるいは記憶装置110からのデータの読み出し(リード)を総称して転送と呼ぶことにする。
【0041】
制御部101は記憶装置110に対するデータの記憶あるいは読み出しといったデータ転送に関するアクセス内容を監視しており、アクセス要求が発生した場合には、記憶装置110のFS領域/RAW領域のいずれに対しての、記憶(ライト)/読み出し(リード)であるか、アクセス内容を確認する(図2中のステップS101、S102、S103)。
【0042】
外部機器からのRIP前プリントデータの送信(図3(a))があった場合には、制御部101は、アクセス内容としては記憶装置110のFS領域111aに対するライトのアクセス要求であると判断する(図2中のステップS102でFS、S103でライト)。
【0043】
ここで、制御部101はキャッシュ105の空き容量を調べ、キャッシュ105の容量にRIP前プリントデータをコピーするのに十分な空きがあれば(図2中のステップS104でNO)、制御部101とデータ処理部120は、RIP前プリントデータをキャッシュ105にコピーして(図2中のステップS105、図3(b))、この時点でFS領域111aに対しては書き込まずに、このフローチャートにおける処理を終了する。なお、キャッシュ処理におけるHDD遅延書き込みとして、記憶装置110へのアクセスが存在していないタイミングで、キャッシュ105にコピーしたRIP前プリントデータをFS領域111aに記憶させ、キャッシュ105の記憶内容とFS領域111aの記憶内容とを一致させておく。
【0044】
一方、キャッシュ105の容量に空きが無ければ(図2中のステップS104でYES)、RIP前プリントデータを記憶装置110のFS領域111aに記憶させる(図3(b))ための準備として、制御部101は、RIP前プリントデータの記憶装置110に対するアクセスについて、転送可能データリストを作成あるいは更新する(図2中のステップS108)。なお、この転送可能データリストに基づく転送待ち順位の入れ替え及び転送実行については後述する。
【0045】
記憶装置110のFS領域111aに記憶されているRIP前プリントデータを読み出してRIP処理部130でRIP処理する場合(図3(c))には、制御部101は、アクセス内容としては記憶装置110のFS領域111aに対するリードのアクセス要求であると判断する(図2中のステップS102でFS、S103でリード)。
【0046】
ここで、制御部101はキャッシュ105内に読み出すべきRIP前プリントデータが存在するかを確認し(図2中のステップS106)、キャッシュ105内に読み出すべきRIP前プリントデータが存在していれば(図2中のステップS106でYES)、制御部101とデータ処理部120は、RIP前プリントデータをキャッシュ105から読み出してRIP処理部130に供給し(図2中のステップS107)、このフローチャートにおける処理を終了する。
【0047】
一方、キャッシュ105内に読み出すべきRIP前プリントデータが存在しなければ(図2中のステップS106でNO)、RIP前プリントデータを記憶装置110のFS領域111aから読み出すための準備として、制御部101は、RIP前プリントデータの記憶装置110に対するアクセスについて、転送可能データリストを作成あるいは更新する(図2中のステップS108)。なお、この転送可能データリストに基づく転送待ち順位の入れ替え及び転送実行については後述する。
【0048】
RIP処理部130でRIP処理されたRIP後プリントデータを記憶装置110のRAW領域111aに記憶させる場合(図3(e))、または、記憶装置110のRAW領域111aに記憶されているRIP後プリントデータを読み出して(図3(f))バッファメモリ170経由で画像形成部180に供給して画像形成する場合(図3(g),(h),(i))、制御部101は、アクセス内容としては記憶装置110のRAW領域111bに対するアクセス要求であると判断する(図2中のステップS102でRAW)。
【0049】
ここで、制御部101は、RIP後プリントデータについての記憶装置110のRAW領域111bへのアクセスの準備として、制御部101は、転送可能データリストを作成あるいは更新する(図2中のステップS108)。
【0050】
以上の転送準備(図2中のステップS108)で作成された転送可能データリストは、データ名、RIP前プリントデータかRIP後プリントデータの種別、FS領域111aかRAW領域111bかのアクセス先種別、待ち順位などが含まれている。図4に示す例では、待ち順位[1]〜[4]の具体例を示している。
【0051】
ここで、制御部101は、記憶装置110に対するデータの記憶(ライト)あるいは記憶装置110からの読み出し(リード)といったアクセス(データ転送)についての待ち順位(図4(a)の[1]〜[4])とアクセス種別とを転送可能データリストに基づいて調べ、RAW領域111bのRIP後プリントデータがFS領域111aのRIP前プリントデータよりも待ち順位が後ろ(待ち順位数値大)になっているかを判断する(図2中のステップS109)。
【0052】
ここで、RIP前プリントデータとRIP後プリントデータとが記憶装置110に対してアクセス待ち状態である場合に、RIP後プリントデータのアクセスを優先させるように、制御部101は転送可能データリストでの待ち順位を変更する。なお、既に待ち順位が先頭に近い位置に存在するRIP後プリントデータについては待ち順位を変更しないようにする。
【0053】
図4(a)ではRIP後プリントデータが待ち順位4でRIP前プリントデータの待ち順位1−3よりも後に位置しているため、制御部101は、待ち順位1−3のRIP前プリントデータの待ち順位を1ずつ後退させて、図4(b)のようにRIP後プリントデータについて先頭である待ち順位1に入れ替える(図2中のステップS110)。
【0054】
また、図5(a)ではRIP後プリントデータが待ち順位4でRIP前プリントデータの待ち順位2−3よりも後に位置しているものの、別のRIP後プリントデータが待ち順位1で先頭に位置しているため、制御部101は、待ち順位2−3のRIP前プリントデータの待ち順位を1ずつ後退させて、図5(b)のように最後尾であったRIP後プリントデータについて先頭の次の待ち順位2に入れ替える(図2中のステップS110)。
【0055】
このようにRIP前プリントデータとRIP後プリントデータとが記憶装置110に対してアクセス待ち状態である場合に、画像形成部180に供給するRIP後プリントデータの記憶装置110へのアクセスを優先させて変更した転送可能データリストに基づいてデータ転送を実行させる(図2中のステップS111)。すなわち、制御部101はHDD111に対する書き込み(ライト)あるいは読み出し(リード)を実行させる。なお、上述した転送可能データリストに転送待ちのデータが存在する場合には、制御部101はデータ転送を繰り返す(図2中のステップS112でYES、S111)。
【0056】
なお、このデータ転送は、制御部101のデータ転送命令に従った図示されない転送コントローラによるDMA(Direct Memory Access)転送とすることが、データ転送速度向上や制御部101の負荷減少の観点で望ましい。
【0057】
以上のように、RIP前プリントデータについては記憶装置110のFS領域111aで記憶し、RIP後プリントデータについては記憶装置110のRAW領域111bで記憶することで、RIP後プリントデータを画像形成部180に高速に出力して画像形成することが可能になり、さらに、RIP後プリントデータのアクセスをRIP前プリントデータのアクセスに対して優先させることで、RIP後プリントデータを画像形成部180に優先的に高速に出力して画像形成することが可能になり、記憶装置110内の同じHDD111でRIP前プリントデータのアクセスとRIP後プリントデータのアクセスとを両立させることが可能になる。
【0058】
〈記憶装置の他の構成〉
なお、印刷分野で使用される画像形成装置100においては、画像形成の高画質化と高速化の要求により、より大容量の画像データを高速に連続して出力する必要が生じてきている。このため、図1および図3に示したHDD111を1台備えた記憶装置110では容量および高速性に対処することが困難になる場合がある。
【0059】
そこで、図6に示すように、HDD111A,111B,111Cのように複数のHDDを備えた記憶装置110を採用することも可能である。この場合、全てのHDD111A〜111CについてFS領域とRAW領域を備えるようにパーティションを構成する。
【0060】
また、FS領域については、外部機器などから送られてきたRIP前プリントデータを保存しておくという性質から、ミラーリングとして各HDD111A〜111Cに同一データを記憶させるように使用することで信頼性の向上を図ってデータ破損に対処することが可能になる。なお、FS領域については、直後にプリントするRIP前プリントデータの記憶、プリント時期は未定であって保存しておくためのRIP前プリントデータの記憶、スキャナからのスキャンデータの記憶など、用途に応じて使用するHDDを分けるといったことも可能である。
【0061】
そして、RAW領域についてはストライピングとして各HDD111A〜111Cに分割データを並列に記憶させることで、RIP後プリントデータの記憶も読み出しも、単独HDDの場合よりも一層の高速に実行することが可能になる。この場合、ストライピングにより並列使用するHDD台数に応じてデータ転送速度が向上する。また、この場合には、各データの各HDD111A〜111Cにおける開始セクタとデータサイズとを図7のようなRAW領域管理リストとして制御部101が作成して管理しつつストライピングの制御を行う。
【0062】
〈実施形態の画像形成方法および画像形成装置の効果〉
以上説明したように、第2領域としてのRAW領域は第1領域としてのFS領域よりもデータのアクセスが高速であるため、バッファメモリ170のDRAMの容量を増やさずにHDDからビットマップ形式の画像データ(RIP後プリントデータ)を画像形成部に出力して高速に画像形成することが可能になる。
【0063】
また、ここで、RAWデバイスとして管理されるRAW領域は、ファイルシステムにより管理されるFS領域よりもデータのアクセスが高速であり、バッファメモリ170のDRAMの容量を増やさずにHDDからビットマップ形式の画像データ(RIP後プリントデータ)を画像形成部に出力して高速に画像形成することが可能になる。
【0064】
また、RIP前プリントデータとRIP後プリントデータがHDD111に対してアクセス待ち状態である場合には、画像形成のためのRIP後プリントデータのアクセスを優先させることにより、HDD111からビットマップ形式のRIP後プリントデータを画像形成部180に出力して高速に画像形成することが可能になり、RIP処理のためのRIP前プリントデータのアクセスと画像形成のためのRIP後プリントデータのアクセスとを同じHDD111で両立させることが可能になる。
【0065】
また、RIP前プリントデータのデータのアクセスではキャッシュ105を使用するものの、RIP後プリントデータのデータのアクセスではキャッシュ105を使用しないようにすることで、キャッシュヒット/キャッシュミスによってRIP後プリントデータのアクセス速度が変化することが無く、RIP後プリントデータの読み出しが常時安定した状態になり、HDD111からビットマップ形式のRIP後プリントデータを画像形成部に出力して高速かつ安定した状態で画像形成することが可能になる。
【0066】
また、HDD111が複数のHDDから構成される場合には、複数のそれぞれのHDDについてFS領域とRAW領域とを有するようにして、RAW領域は複数のHDDをストライピングにより使用することで、各HDDからビットマップ形式のRIP後プリントデータを画像形成部180に出力して高速かつ安定した状態で画像形成することが可能になる。
【符号の説明】
【0067】
100 画像形成装置
101 制御部
102 通信部
103 操作部
110 記憶装置
120 データ処理部
130 RIP処理部
150 画像処理部
160 出力処理部
170 バッファメモリ
180 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される第1データをハードディスク装置の第1領域に記憶し、前記第1データを画像形成用の第2データに変換して前記ハードディスク装置の第2領域に記憶し、画像形成タイミングに合わせて前記第2データを前記第2領域から読み出して画像形成部に供給する画像形成方法であって、
前記第1領域と前記第2領域とは異なる管理方式でそれぞれデータが管理される、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記ハードディスク装置において、前記第2領域は前記第1領域よりもデータのアクセスが高速である、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記ハードディスク装置において、前記第1領域はファイルシステムにより管理される領域であり、前記第2領域はRAWデバイスとして管理される領域である、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
ことを特徴とする請求項1−2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
入力される非ビットマップ形式の前記第1データをRIP処理によりビットマップ形式の第2データに変換する、
ことを特徴とする請求項1−3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記第1データと前記第2データとが前記ハードディスク装置に対してアクセス待ち状態である場合に、前記第2データのアクセスを優先させる、
ことを特徴とする請求項1−4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記第1領域で前記第1データを記憶する際あるいは読み出す際にキャッシュを使用する、
ことを特徴とする請求項1−5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
異なる管理方式でそれぞれデータを記憶可能な第1領域と第2領域とを有するハードディスク装置と、
第1データを画像形成用の第2データに変換する処理部と、
前記第2データにより画像形成を行う画像形成部と、
入力される前記第1データを前記第1領域に記憶するよう制御し、前記処理部により変換された前記第2データを前記第2領域に記憶するよう制御し、前記第2領域から前記第2データを読み出して画像形成タイミングに合わせて前記画像形成部に供給するよう制御する制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記ハードディスク装置において、前記第2領域は前記第1領域よりもデータのアクセスが高速である、
ことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ハードディスク装置において、前記第1領域はファイルシステムにより管理される領域であり、前記第2領域はRAWデバイスとして管理される領域である、
ことを特徴とする請求項7−8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記処理部は、入力される非ビットマップ形式の前記第1データを、RIP処理によりビットマップ形式の第2データに変換する、
ことを特徴とする請求項7−9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1データと前記第2データとが前記ハードディスク装置に対してアクセス待ち状態である場合に、前記第2データのアクセスを優先させる、
ことを特徴とする請求項7−11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1領域で前記第1データを記憶する際あるいは読み出す際に前記キャッシュを使用するよう制御する、
ことを特徴とする請求項7−11のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−165230(P2012−165230A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24707(P2011−24707)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】