説明

画像形成装置、ジョブスケジューリング方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】電力コストを低減させることが可能な画像形成装置を実現する。
【解決手段】画像形成装置1は、入力画像情報を取得する原稿画像読取部14と、該入力画像情報により示される画像を物理媒体上に出力する画像出力処理を行う画像情報処理部16およびエンジン部18とを備える。さらに、画像形成装置1は、単位電力量あたりの電力コストである単位コストの使用時刻による変動を示す電力コスト基本情報を管理するコスト情報管理部19と、上記電力コスト基本情報に基づいて、所定時間帯を、単位コストが同一であり、かつ、時間が連続した単位時間帯に分割するとともに、上記単位時間帯の中から最も単位コストの小さい単位時間帯を最優先時間帯として抽出し、該最優先時間帯を優先して、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定するジョブ実行計画処理を行うジョブスケジューリング部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置におけるジョブのスケジューリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置において、複数のジョブに対する画像処理および画像形成処理(印刷処理)をどのような順番で行うかを決定するスケジューリング技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、タイマー起動により夜間に複写処理を実行させることにより、夜間電力を利用して複写機の運用コストを低下させることが開示されている。
【0004】
特許文献2には、複数ジョブのラスタライズ処理時間と印刷処理時間とをそれぞれ予測し、ジョブの待ち時間の総和を最小にするとともに、所定の時刻までに印刷が終了するようにスケジューリングを行う印刷制御装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、夜間時のような省エネモード時の時間帯にデータを受信した場合に、該データの印刷を行うことなく、該データを他の外部装置に転送する技術が開示されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、省電力状態時に受信した印刷要求を即時に処理せず、所定の時刻になるまで待機した後にまとめて印刷することにより省電力化を図る技術が開示されている。
【特許文献1】特開昭64−74557(1989年3月20日公開)
【特許文献2】特開2002−182875(2002年6月28日公開)
【特許文献3】特開2003−50686(2003年2月21日公開)
【特許文献4】特開2005−88499(2005年4月7日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3,4では、省電力状態時に発生した印刷要求に対し、即時印刷をせずに印刷タイミングを変更することにより、消費電力を削減しているが、これにより電力コストが削減できるとは限らない。つまり、単位電力あたりの電力コストが常に一定であるという条件の場合には、消費電力を削減することにより電力コストも削減できるが、夜間割引料金のように、時間帯によって電力コストが変動する条件下では、消費電力の削減量とコスト削減が比例関係になるわけではない。例えば、夜間の省電力状態時に受けたジョブを昼間に実行するなど結果になった場合など、電力コストの上昇を招く場合もある。
【0008】
一方、特許文献1では、夜間電力を使用したコスト削減を図る手法が示されているが、これは、昼間に設置した複写原稿に対し、タイマを用いて夜間に実行するだけであり、単一のジョブしか実行することができず、よほど多量の印刷を行う単一ジョブを設定しない限り効果が薄い。また、予約する複写原稿をセットした後には他の作業を実行することができないため、実使用の面では、他の作業が全て終了した業務終了時に原稿をセットしなくてはならないなど、使い勝手が悪い。
【0009】
また、特許文献2では、複数の印刷ジョブの処理時間を予測し、ジョブスケジューリングを行う方法が示されているが、これは各ジョブの待ち時間を少なくするようにスケジューリングを行う方法であり、省電力化やコスト削減については考慮せず、単にユーザーの使い勝手を向上させるためのジョブスケジューリング手法である。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力コストを低減させることが可能な画像形成装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、画像情報を取得する画像情報取得手段と、画像情報取得手段が取得した画像情報により示される画像を物理媒体上に出力する画像出力処理を行う画像出力手段とを備えた画像形成装置であって、単位電力量あたりの電力コストである単位コストの使用時刻による変動を示す電力コスト基本情報を管理するコスト情報管理手段と、上記電力コスト基本情報に基づいて、所定時間帯を、単位コストが同一であり、かつ、時間が連続した単位時間帯に分割する分割手段と、上記単位時間帯の中から最も単位コストの小さい単位時間帯を最優先時間帯として抽出し、該最優先時間帯を優先して、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定するジョブ実行計画処理を行うジョブ実行計画手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るジョブスケジューリング方法は、上記課題を解決するために、画像情報を取得する画像情報取得手段と、画像情報取得手段が取得した画像情報により示される画像を物理媒体上に出力する画像出力処理を行う画像出力手段とを備えた画像形成装置におけるジョブスケジューリング方法であって、上記画像形成装置は、単位電力量あたりの電力コストである単位コストの使用時刻による変動を示す電力コスト基本情報を管理しており、上記電力コスト基本情報に基づいて、所定時間帯を、単位コストが同一であり、かつ、時間が連続した単位時間帯に分割する分割ステップと、上記単位時間帯の中から最も単位コストの小さい単位時間帯を最優先時間帯として抽出し、該最優先時間帯を優先して、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定するジョブ実行計画ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、ジョブ実行計画手段は、最も単位コストの小さい最優先時間帯を優先して、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定する。そのため、画像情報に対する画像出力処理は、最優先時間帯に集中して行われることとなる。その結果、総電力コストを低減させることができる。
【0014】
ここで、上記単位コストとは、例えば、単位電力量あたりの電気料金である。電気料金体系としては、時間帯によって電気料金が変動する時間帯別電気料金体系や、使用電力量によって電気料金が変化する従量制電気料金体系がある。なお、曜日別電気料金体系は、時間帯別電気料金体系の変形といえる。
【0015】
なお、コスト情報管理手段が、上記電力コスト基本情報として、単位電力量あたりの電気料金の使用時刻による変動と、単位電力量あたりの電気料金の使用電力量による変動とを示す電気料金情報を管理している場合、上記分割手段は、上記電気料金情報と、自装置が設置されている施設の電力使用量を示す電力使用量情報とに基づいて、上記所定時間帯を、単位電力量あたりの電気料金が同一であり、かつ、時間が連続した上記単位時間帯に分割する。これにより、電力費用を低減させることができる。
【0016】
また、近年、発電によるCO2の発生などの環境に対する負荷が問題となっている。一般に、電力供給会社は、数種類の発電方法を組み合わせて使用しており、それぞれが発電する割合が時間ごとに異なる。また、各発電方法によって環境に対する負荷が異なるため、単位電力量を発生するためにかかる環境負荷量も時間帯によって異なる。
【0017】
そのため、上記単位コストは、単位電力量を発生するために必要が環境負荷量であってもよい。ここで、環境負荷量とは、例えば、電力量を発生するためのCOの発生量などである。これにより、環境に対する負荷を低減させることができる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置は、例えば、デジタル複合機、デジタル複写機、FAX送受信機などである。
【0019】
すなわち、上記画像情報取得手段が、原稿画像から上記画像情報を読み取ることで、該画像情報を取得する場合、上記画像形成装置はデジタル複写機となる。
【0020】
また、外部装置と通信可能な通信手段を備え、上記画像情報取得手段が、上記通信手段を介して、上記外部装置から上記画像情報を取得する画像形成装置は、FAX送受信機となる。さらに、上記画像情報取得手段が、原稿画像から上記画像情報を読み取ることで、該画像情報を取得するとともに、上記通信手段を介して、上記外部装置から上記画像情報を取得する場合、上記画像形成装置はデジタル複合機となる。
【0021】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段を備え、上記ジョブ実行計画手段は、所定条件を満たす、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングの中から、上記各単位時間帯の単位コストと、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間とに基づいて、上記画像出力処理に要する総電力コストが最小となる実行タイミングを選択することを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、上記所定条件の下で、総電力コストが最小となるように画像出力処理を実行することができる。これにより、電力コストを一層低減することができる。ここで、所定条件とは、例えば、条件a「入力された順に、画像情報に対する画像出力処理を行う」や、逆に、条件a「画像出力処理を行う画像情報の順が任意に設定可能である」などである。これら所定条件は、使用形態等に応じて任意に設定可能である。
【0023】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記ジョブ実行計画手段は、上記画像情報取得手段が新規画像情報を取得するたびに、該新規画像情報と、上記画像情報取得手段が既に取得している取得済画像情報との上記画像出力処理に要する総電力コストが最小となるように、これらの画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定する。
【0024】
上記の構成によれば上記画像情報取得手段が新規画像情報を取得するたびに、総電力コストが最小となるように、各画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングが決定される。そのため、常時、電力コストが最小となる実行タイミングが設定されることとなる。
【0025】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段を備え、上記画像出力手段は、互いに並列して処理が実行可能な画像情報処理手段と画像形成手段とを備え、上記画像情報処理手段は、上記画像出力処理の一部として、上記画像情報を上記画像形成手段が処理可能な形式である出力画像情報に変換する画像情報処理を行い、上記画像形成手段は、上記画像出力処理の一部として、上記画像情報処理手段によって生成された出力画像情報に基づいて、上記物理媒体に画像を形成する画像形成処理を行い、上記出力処理時間予測手段は、上記出力処理時間として、各画像情報に対する、上記画像情報処理に要する画像情報処理時間と、上記画像形成処理に要する画像形成処理時間とを予測し、各画像情報に対して、上記出力処理時間予測手段によって予測された上記画像形成処理時間に対する上記画像情報処理時間の比を処理/形成時間比とすると、上記ジョブ実行計画手段は、各画像情報に対する、上記処理/形成時間比、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された上記画像情報処理時間ならびに上記画像形成処理時間に基づいて、以下の規則AおよびBを満たすように、各画像情報に対する画像情報処理および画像形成処理の実行タイミングを決定する。
【0026】
なお、上記処理/形成時間比が第J番目に小さい画像情報を第J画像情報とする。
・規則A:上記最優先時間帯の開始時刻を、第1画像情報に対する上記画像情報処理の開始予定時刻とし、該第1画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻を、該第1画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻とする。
・規則B:第(J−1)画像情報(J>1)に対する画像情報処理の終了予定時刻を、第J画像情報に対する上記画像情報処理の開始予定時刻とし、該第J画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻、および、第(J−1)画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻のいずれか遅い方を該第J画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻とする。
【0027】
上記の構成によれば、画像情報処理手段と画像形成手段は、互いに並列して処理が実行可能である。そのため、前の画像情報に対する画像形成処理を行っている間に、次の画像情報に対する画像情報処理を行うことができる。そして、処理/形成時間比の小さい順に画像出力処理が行われるため、前の画像情報に対する画像形成処理を行っている間に、次の画像情報に対する画像情報処理が完了する確率が高くなる。その結果、前の画像情報に対する画像形成処理と連続して、次の画像情報に対する画像形成処理を実行することができる。すなわち、画像情報処理を待つために、画像形成手段でのウォーミングアップ(アイドリング)の時間が減り、総駆動時間、ひいては総電力コストを低減させることができる。
【0028】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記ジョブ実行計画手段は、画像情報処理の開始予定時刻と画像形成処理の終了予定時刻とが異なる単位時間帯に属する第j画像情報について、上記規則Bに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第j画像情報に対する上記画像出力処理に要する第1の総電力コストと、上記規則Bの代わりに以下の規則Cに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第j画像情報に対する上記画像出力処理に要する第2の総電力コストとを、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択することが好ましい。
【0029】
規則C:第1〜第(j−1)画像情報に対する画像出力処理を配置していない単位時間帯の中で最も単位コストの低い次善コスト単位時間帯の開始時刻を、第j画像情報に対する上記画像情報処理の開始予定時刻とし、該第j画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻を該第j画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻とする。
【0030】
第j画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストが、第j画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低い場合、第j画像情報に対する画像出力処理を上記規則Bに従って実行するように計画することで、第1〜第j画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コストが最小となる。
【0031】
一方、第j画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストが、第j画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低くない場合、つまり、第j画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低い単位時間帯が別に存在する場合、第j画像情報に対する画像出力処理を上記規則Bに従って実行したとしても、第1〜第j画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コストは、必ずしも最小とならない。この場合、第j画像情報に対する画像出力処理を上記規則Bに従って実行することによる、画像形成手段によるウォーミングアップ時間の減少による総電力コストの低下効果と、第j画像情報に対する画像出力処理を上記規則Cに従って実行することによる、単位コストの差による総電力コストの低下効果との大小に応じて、上記第1の総電力コストと上記第2の総電力コストとの大小が決定する。
【0032】
そして、上記の構成によれば、ジョブ実行計画手段が、第1の総電力コストと第2の総電力コストとを比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択するため、総電力コストをより低下させることができる。
【0033】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記ジョブ実行計画手段は、上記第j画像情報について、上記第1の総電力コストおよび第2の総電力コストの比較によって、上記規則Bに従った実行タイミングを選択しようとする場合、上記規則Bに従ったときに、該第j画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻と同一の単位時間帯に、画像形成処理の終了予定時刻が属する第j〜第(j+n)画像情報について、上記規則Bに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(j+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する第3の総電力コストと、上記規則Bの代わりに上記規則Cに従って第j画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定するとともに、上記規則Bに従って第(j+1)〜第(j+n)画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(j+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する第4の総電力コストとを、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択することが好ましい。
【0034】
第j画像情報について、上記第1の総電力コストおよび第2の総電力コストの比較によって、上記規則Bに従った実行タイミングを選択しようとする場合、第j〜第(j+n)画像情報について、上記規則Bに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(j+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コストは、必ずしも最小とならない。
【0035】
すなわち、第j〜第(j+n)画像情報について上記規則Bに従って上記画像出力処理を実行することによる、画像形成手段によるウォーミングアップ時間の減少による総電力コストの低下効果と、第j画像情報に対する画像出力処理を上記規則Cに従って実行することによる、単位コストの差による総電力コストの低下効果との大小に応じて、上記第3の総電力コストと上記第4の総電力コストとの大小が決定する。
【0036】
そして、上記の構成によれば、ジョブ実行計画手段が、第3の総電力コストと第4の総電力コストとを比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択するため、総電力コストをより低下させることができる。
【0037】
また、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段を備え、上記画像出力手段は、互いに並列して処理が実行可能な画像情報処理手段と画像形成手段とを備え、上記画像情報処理手段は、上記画像出力処理の一部として、上記画像情報を上記画像形成手段が処理可能な形式である出力画像情報に変換する画像情報処理を行い、上記画像形成手段は、上記画像出力処理の一部として、上記画像情報処理手段によって生成された出力画像情報に基づいて、上記物理媒体に画像を形成する画像形成処理を行い、上記出力処理時間予測手段は、上記出力処理時間として、各画像情報に対する、上記画像情報処理に要する画像情報処理時間と、上記画像形成処理に要する画像形成処理時間とを予測し、各画像情報に対して、上記出力処理時間予測手段によって予測された上記画像形成処理時間に対する上記画像情報処理時間の比を処理/形成時間比とすると、上記ジョブ実行計画手段は、各画像情報に対する、上記処理/形成時間比、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された上記画像情報処理時間ならびに上記画像形成処理時間に基づいて、以下の規則DおよびEに従って、各画像情報に対する画像情報処理および画像形成処理の実行タイミングを決定する。
【0038】
なお、上記処理/形成時間比が第K番目に大きい画像情報を第K画像情報とする。
・規則D:上記最優先時間帯の最終時刻を、第1画像情報に対する上記画像形成処理の終了予定時刻とし、該第1画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻を、該第1画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻とする。
・規則E:第(K−1)画像情報(K>1)に対する画像形成処理の開始予定時刻を、第K画像情報に対する上記画像形成処理の終了予定時刻とし、該第K画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻、および、第(K−1)画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻のいずれか早い方を、該第K画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻とする。
【0039】
上記の構成によれば、画像情報処理手段と画像形成手段は、互いに並列して処理が実行可能である。そのため、前の画像情報に対する画像形成処理を行っている間に、次の画像情報に対する画像情報処理を行うことができる。
【0040】
また、一般に、画像形成手段(例えば、プリンタや複写機のエンジン部分である)は、画像情報処理手段に比べて消費電力がはるかに大きく、画像形成処理を開始する前にウォーミングアップ(画像形成準備処理)が必要である。しかしながら、上記の構成では、規則Eに従うため、各画像情報に対する画像形成処理が連続して実行される。そのため、画像形成手段でのウォーミングアップの時間が減り、総駆動時間、ひいては総電力コストを低減させることができる。
【0041】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記ジョブ実行計画手段は、画像情報処理の開始予定時刻と画像形成処理の終了予定時刻とが異なる単位時間帯に属する第k画像情報について、上記規則Eに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第k画像情報に対する上記画像出力処理に要する第1の総電力コストと、上記規則Eの代わりに以下の規則Fに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第k画像情報に対する上記画像出力処理に要する第2の総電力コストとを、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択することが好ましい。
【0042】
規則F:第1〜第(k−1)画像情報に対する画像出力処理を配置していない単位時間帯の中で最も電気料金の低い次善コスト単位時間帯の最終時刻を、第k画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻とし、該第k画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻を該第k画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻とする。
【0043】
第k画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストが、第k画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低い場合、第k画像情報に対する画像出力処理を上記規則Eに従って実行するように計画することで、第1〜第k画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コストが最小となる。
【0044】
一方、第k画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストが、第k画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低くない場合、つまり、第k画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低い単位時間帯が別に存在する場合、第k画像情報に対する画像出力処理を上記規則Eに従って実行したとしても、第1〜第k画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コストは、必ずしも最小とならない。この場合、第k画像情報に対する画像出力処理を上記規則Eに従って実行することによる、画像形成手段によるウォーミングアップ時間の減少による総電力コストの低下効果と、第k画像情報に対する画像出力処理を上記規則Fに従って実行することによる、単位コストの差による総電力コストの低下効果との大小に応じて、上記第1の総電力コストと上記第2の総電力コストとの大小が決定する。
【0045】
そして、上記の構成によれば、ジョブ実行計画手段が、第1の総電力コストと第2の総電力コストとを比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択するため、総電力コストをより低下させることができる。
【0046】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記ジョブ実行計画手段は、上記第k画像情報について、上記第1の総電力コストおよび第2の総電力コストの比較によって、上記規則Eに従った実行タイミングを選択しようとする場合、上記規則Eに従ったときに、該第k画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻と同一の単位時間帯に、画像情報処理の開始予定時刻が属する第k〜第(k+n)画像情報について、上記規則Eに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(k+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する第3の総電力コストと、上記規則Eの代わりに上記規則Fに従って第k画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定するとともに、上記規則Eに従って第(k+1)〜第(k+n)画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(k+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する第4の総電力コストとを、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択することが好ましい。
【0047】
第k画像情報について、上記第1の総電力コストおよび第2の総電力コストの比較によって、上記規則Eに従った実行タイミングを選択しようとする場合、第k〜第(k+n)画像情報について、上記規則Eに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(k+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コストは、必ずしも最小とならない。
【0048】
すなわち、第k〜第(k+n)画像情報について上記規則Eに従って上記画像出力処理を実行することによる、画像形成手段によるウォーミングアップ時間の減少による総電力コストの低下効果と、第k画像情報に対する画像出力処理を上記規則Fに従って実行することによる、単位コストの差による総電力コストの低下効果との大小に応じて、上記第3の総電力コストと上記第4の総電力コストとの大小が決定する。
【0049】
そして、上記の構成によれば、ジョブ実行計画手段が、第3の総電力コストと第4の総電力コストとを比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択するため、総電力コストをより低下させることができる。
【0050】
また、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記ジョブ実行計画処理の対象となる全ての画像情報に対する画像出力処理を完了すべき完了時刻を設定する完了時刻設定手段を備え、上記分割手段は、現時刻から上記完了時刻までの時間を、上記単位時間帯に分割し、上記ジョブ実行計画手段は、上記分割手段によって分割された単位時間帯において、上記ジョブ実行計画処理を行うことが好ましい。
【0051】
上記の構成によれば、上記完了時刻までに画像出力処理を完了される。なお、完了時刻設定手段は、入力部(例えば、キーボードやタッチパネルなど)または通信手段を介して入力された指示に応じて、完了時刻を設定する。
【0052】
これにより、例えば、完了時刻を翌日の早朝に設定することで、夜中の間で画像出力処理を完了させることができる。
【0053】
また、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記画像情報取得手段は、各画像情報に対応付けられた、画像出力処理を即時実行するか待機実行するかを示す即時/待機情報を取得し、上記ジョブ実行計画手段は、待機実行を示す上記即時/待機情報に対応付けられた画像情報を対象として上記ジョブ実行計画処理を行い、上記画像出力手段は、上記即時/待機情報が待機実行を示す場合、該即時/待機情報に対応付けられた画像情報の画像出力処理を、上記ジョブ実行計画手段が決定した実行タイミングに従って実行し、上記即時/待機情報が即時実行を示す場合、該即時/待機情報に対応付けられた画像情報の画像出力処理を即時実行することが好ましい。
【0054】
上記の構成によれば、ユーザは、各画像情報について、該画像情報に対応付けられる即時/待機情報を変更することで、即時実行/待機実行を選択することが可能となる。
【0055】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段と、表示部と、上記画像情報取得手段が新規画像情報を取得した場合、各画像情報に対して予測された上記処理時間と、上記単位時間帯ごとの単位コストとに基づいて、当該新規画像情報を即時実行したときの総電力コストと、当該新規画像情報に対して上記ジョブ実行計画処理を行い、そのジョブ実行計画に従って画像出力処理を行うと仮定したときの総電力コストとのコスト差を求め、該コスト差を上記表示部に通知する通知手段とを備えることが好ましい。
【0056】
もしくは、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、外部装置と通信可能な通信手段と、上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段と、上記画像情報取得手段が新規画像情報を取得した場合、各画像情報に対して予測された上記処理時間と、上記単位時間帯ごとの単位コストとに基づいて、当該新規画像情報を即時実行したときの総電力コストと、当該新規画像情報に対して上記ジョブ実行計画処理を行い、そのジョブ実行計画に従って画像出力処理を行うと仮定したときの総電力コストとのコスト差を求め、上記通信手段を介して、該コスト差を上記外部装置に通知する通知手段とを備えることが好ましい。
【0057】
上記の構成によれば、ユーザに対して、即時実行した場合と待機実行した場合とのコスト差を通知することができる。これにより、ユーザの電力コストに対する意識を向上させることができる。
【0058】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記通知手段は、上記新規画像情報に対応付けられた上記即時/待機情報が即時実行を示している場合、上記コスト差とともに、当該新規画像情報に対する画像出力処理を待機実行に変更するように促す旨の情報を通知し、上記新規画像情報に対応付けられた上記即時/待機情報の変更指示を受付可能であることが好ましい。
【0059】
上記の構成によれば、ユーザは、電力コストを考慮して、即時実行から待機実行へと変更することが可能となる。その結果、即時実行の必要性が小さい画像情報を待機実行することができ、電力コストを低減させることができる。
【0060】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記ジョブ実行計画手段は、自装置に固有の画像出力処理に必要な単位時間あたりの消費電力量を予め記憶しており、当該消費電力量を用いて、上記総電力コストを算出することが好ましい。
【0061】
画像形成装置によって、画像出力処理に必要な単位時間あたりの消費電力量が異なる。しかしながら、上記の構成によれば、ジョブ実行計画手段は、装置固有の画像出力処理に必要な単位時間あたりの消費電力量を予め記憶しているため、より正確が電力コストを求めることができ、該電力コストに応じて、ジョブ実行計画処理を行うことができる。その結果、総電力コストを一層低減することができる。
【0062】
さらに、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、ユーザ指示を受け付ける入力部を備え、上記コスト情報管理手段は、上記入力部から上記電力コスト基本情報を取得する。これにより、ユーザは、例えば、電気料金体系が変更したとしても、新たな単位コストを入力することができる。その結果、ジョブ実行計画手段は、新たな単位コストを用いて、ジョブ実行計画処理を行うことができる。
【0063】
または、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、外部装置と通信可能な通信手段を備え、上記コスト情報管理手段は、上記通信手段を介して、上記電力コスト基本情報の更新指示を上記外部装置から受付可能であり、受け付けた更新指示に従って、上記電力コスト基本情報を更新してもよい。この場合、ユーザは、画像形成装置から離れた位置に設置されている外部装置を用いて、新たな単位コストを入力することができる。また、ユーザは、複数の画像形成装置に対する電力コスト基本情報の更新処理を、1つの外部装置を用いて集中して行うことができる。
【0064】
または、本発明の画像形成装置は、上記の構成に加えて、上記電力コスト基本情報を記憶するサーバ装置と通信可能な通信手段を備え、上記コスト情報管理手段は、所定のタイミングで、上記通信手段を介して、上記外部装置から上記電力コスト基本情報を取得してもよい。ここで、所定のタイミングとは、例えば、週(または日)ごとの予め定められた時刻や、起動時などである。上記の構成によれば、画像形成装置において、電力コスト基本情報が自動的に更新される。そのため、該更新処理のためのユーザの操作が不要となる。
【0065】
なお、上記情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより情報処理装置をコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0066】
本発明に係る画像形成装置によれば、画像情報に対する画像出力処理は、最も単位コストの小さい最優先時間帯に集中して行われることとなる。その結果、総電力コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
本発明の一実施形態について図1〜図24に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態では、画像形成装置としてデジタル複合機を例にして説明する。
【0068】
(画像形成装置の構成)
図1は、本実施形態における画像形成装置1を示すブロック図である。本実施形態の画像形成装置1は、デジタル複合機であり、図1で示されるように、通信部(通信手段、画像情報取得手段)11と、通知情報表示部(表示部)12と、操作情報入力部(入力部)13と、原稿画像読取部(画像情報取得手段)14と、入力画像情報記憶部15と、画像情報処理部(画像出力手段、画像情報処理手段)16と、処理済画像情報記憶部17と、エンジン部(画像出力手段、画像形成手段)18と、コスト情報管理部(コスト情報管理手段)19と、ジョブスケジューリング部20と、ジョブ実行計画記憶部21と、画像情報制御部22と、電力供給制御部23とを備える。
【0069】
通信部11は、外部情報処理装置(外部装置)2、例えばユーザのコンピュータ端末やFax装置などと接続され、データの送受信を行うものである。すなわち、通信部11は、通信ネットワークを用いて通信を行う通信手段と、外部情報処理装置2からデータを取得するデータ取得手段(画像情報取得手段)とを含む。通信部11は、ネットワークインタフェースやFaxインタフェースなどに該当する。尚、実際にはプリンタ用とFax用の通信部11では物理的に別の手段となるが、本実施形態では説明の簡略化のために単一の通信部11として記載している。
【0070】
通知情報表示部12は、ユーザに情報を伝達するためのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)パネルやLED(Light-Emitted Diode:光ダイオード)等である。
【0071】
操作情報入力部13は、ユーザからの操作入力を受け付ける部位であり、オペレーションパネルや操作ボタンである。
【0072】
原稿画像読取部14は、原稿画像を読み取る機能を持つ、イメージスキャナ等である。またデジタルカメラ等の画像撮影装置や、デジタルカメラ等の画像データを収めた記憶媒体、ICカード(メモリカードを含む)などの読み取り装置であっても良い。
【0073】
入力画像情報記憶部15は、原稿画像読取部14が読み取った複写原稿の画像データや、通信部11経由で外部情報処理装置2から受信したプリントデータなどの入力画像情報を記憶しておく装置である。入力画像情報記憶部15は、揮発性のDRAM(Dynamic RAM)等でも、不揮発性のフラッシュメモリ、ハードディスクであってもよい。
【0074】
なお、本実施形態において、原稿画像読取部14は、画像データを読み取る際、操作情報入力部13に入力された、該画像データに対する画像出力処理を即時実行(後述する)するか待機実行(後述する)するかを示す即時/待機情報を取得する。また、通信部11は、プリントデータとともに、上記即時/待機情報も受信する。そして、入力画像情報記憶部15は、各入力画像情報に対応付けて、上記即時/待機情報を記憶する。
【0075】
さらに、入力画像情報記憶部15は、各入力画像情報に対してユニークに割り振られたデータ識別情報を、該入力画像情報と対応付けて記憶している。
【0076】
画像情報処理部16は、入力画像情報をエンジン部18に入力可能な形態に変換する画像情報処理を行う。なお、画像情報処理としては、複写画像データに対する画像処理や、プリントデータのラスタライズ処理などが含まれる。また、画像情報処理部16は、処理済の入力画像情報(以下、処理済画像情報という)を、該入力画像情報に対応割り振られた上記データ識別情報と対応付けて、処理済画像情報記憶部17に格納する。
【0077】
処理済画像情報記憶部17は、画像情報処理部16によって画像情報処理が施された処理済画像情報を、データ識別情報と対応付けて記憶するものである。
【0078】
エンジン部18は、処理済画像情報を物理媒体(例えば、紙など)に画像形成する画像形成処理を行うものである。
【0079】
コスト情報管理部19は、画像形成装置1が消費する電力に関し、多様な電気料金体系に関する電力コスト基本情報を管理するものである。
【0080】
なお、コスト情報管理部19は、上記電力コスト基本情報を、操作情報入力部13から取得する。もしくは、コスト情報管理部19は、通信部11を介して、電力コスト基本情報の更新指示を外部情報処理装置2から受付可能であり、受け付けた更新指示に従って、上記電力コスト基本情報を更新してもよい。さらに、コスト情報管理部19は、起動時や、予め定められた時刻(週に1回や、日に1回)に、図示しないサーバ装置から、通信部11を介して電力コスト基本情報を取得してもよい。
【0081】
コスト情報管理部19は、電力コスト基本情報として、たとえば、図2に示されるように、昼間には割り増し料金であるが夜間は段階的に割引となる時間帯別電気料金体系における単位コストの情報を記憶している。また、コスト情報管理部19は、時間帯別電気料金の変形パターンとして、図3に示されるように、平日と休日で料金体系のことなる曜日別電気料金体系における単位コストの情報を記憶している場合もある。さらに、コスト情報管理部19は、図4に示されるように、使用電力量の実績にともない、昼間の電気料金が変動する従量制電気料金体系における単位コストの情報を記憶している場合もある。
ここで、「単位コスト」とは、単位電力量あたりの電気料金である。
【0082】
ジョブ実行計画記憶部21は、上記の各入力画像情報に対する画像情報処理および画像形成処理の実行計画を記憶するものである。ジョブ実行計画記憶部21は、画像処理待機実行リスト、画像形成待機実行リスト、画像処理即時実行リスト、および画像形成即時実行リストを記憶している。
【0083】
ここで、「即時実行」とは、画像情報処理および画像形成処理を、入力画像情報が入力された後、即時に実行することを意味する。
【0084】
また、「待機実行」とは、電力コストを考慮して定められた開始予定時刻になるまで画像情報処理および画像形成処理を待機し、該開始予定時刻になったら実行することを意味する。
【0085】
画像処理待機実行リストは、画像情報処理を待機実行する各入力画像情報について、該入力画像情報のデータ識別情報と、該入力画像情報に対する実行予定時間(開始予定時刻および終了予定時刻を示す)とを対応付けたリストである。
【0086】
画像形成待機実行リストは、画像形成処理を待機実行する各入力画像情報について、該入力画像情報のデータ識別情報と、該入力画像情報に対する画像形成処理の実行予定時間(開始予定時刻および終了予定時刻を示す)とを対応付けたリストである。
なお、画像処理待機実行リストおよび画像形成待機実行リストの一例を図5に示す。
【0087】
画像処理即時実行リストとは、画像情報処理を即時実行する入力画像情報に対応するデータ識別情報が、処理する順に並べられたリストである。
【0088】
画像形成即時実行リストとは、画像形成処理を即時実行する入力画像情報に対応するデータ識別情報が、処理する順に並べられたリストである。
【0089】
ジョブスケジューリング部20は、入力画像情報記憶部15に新たな入力画像情報が格納されるたびに、各入力画像画像に対する画像出力処理(ジョブ)(ここでは、画像情報処理、画像形成準備処理、画像形成処理)の実行計画を決定し、決定した実行計画に基づいて、ジョブ実行計画記憶部21が記憶する上記各リストを更新するものである。ジョブスケジューリング部20の詳細な構成については後述する。
【0090】
画像情報制御部22は、ジョブ実行計画記憶部21に保存されている、画像処理即時実行リスト、画像形成即時実行リスト、画像処理待機実行リストおよび画像形成待機実行リストを参照して、入力画像情報記憶部15と、画像情報処理部16と、画像形成処理部と、処理済画像情報記憶部17との間のデータの転送を制御する。
【0091】
電力供給制御部23は、画像情報処理部16およびエンジン部18に対する電力供給を制御するものであり、動作中のブロックに電力を供給し、動作していないブロックに対しては電力供給を遮断することにより、省電力化を図るものである。これにより、あるジョブの実行に対して各ブロックが消費する電力をブロック毎に演算することができ、ジョブ単位での消費電力の管理が可能となる。
【0092】
(ジョブスケジューリング部の構成)
次に、ジョブスケジューリング部20の詳細な構成について、図6を用いて説明する。ジョブスケジューリング部20は、単位コストが最も低い時間帯を優先して、ジョブの実行計画を行い、上記ジョブ実行計画記憶部21を更新するものである。また、ジョブスケジューリング部20は、画像形成までにかかる電力コストの総和が所定条件の下で最小となるように、ジョブの実行計画を行うものであるともいえる。
【0093】
図6に示されるように、ジョブスケジューリング部20は、完了時刻管理部(完了時刻設定手段)24と、時間帯別優先度設定部(分割手段)25と、画像出力時間予測部(出力処理時間予測手段)26と、画像出力コスト算出部(ジョブ実行計画手段)27と、ジョブ配置決定部(ジョブ実行計画手段)28と、即時/待機決定部(通知手段)29と、を備える。
【0094】
完了時刻管理部24は、待機実行する全ての入力画像情報の画像形成処理が完了すべき完了時刻を管理している。完了時刻管理部24は、操作情報入力部13への入力情報に応じて上記完了時刻を設定する。もしくは、完了時刻管理部24は、コスト情報管理部19が管理する電力コスト基本情報に基づいて上記完了時刻を設定してもよい。例えば、完了時刻管理部24は、最も単位コストの低い時間帯(後述する)の終了時刻を上記完了時刻と設定してもよい。
【0095】
時間帯別優先度設定部25は、コスト情報管理部19が管理する電力コスト基本情報に基づいて、現在時刻から、完了時刻管理部24が管理する完了時刻までの時間を、単位コストが同一で、かつ連続する時間帯(以下、単位時間帯という)に分割する。さらに、時間帯別優先度設定部25は、各単位時間帯に対して、単位コストの低い順に、ジョブを実行する優先度(ジョブ実行優先度)を設定する。
【0096】
また、時間帯別優先度設定部25は、図7に示されるような、各単位時間帯と、該単位時間帯の単位コストと、該単位時間帯に対して設定したジョブ実行優先度とを対応付けて優先度テーブルを生成し、管理する。
【0097】
なお、電力コスト基本情報が従量制電気料金体系の情報である場合、時間帯別優先度設定部25は、画像形成装置1の設置施設における現在までの使用電力量情報を取得して、指定時刻における単位コストを演算する。なお、時間帯別優先度設定部25は、上記使用電力量情報を、操作情報入力部13、外部情報処理装置2または図示しないサーバ装置から取得する。
【0098】
画像出力時間予測部26は、入力画像情報が入力されてから、該入力画像情報に対応する画像を形成するまでの間の処理に要する時間を予測するものであり、画像処理時間予測部26aと、画像形成時間予測部26bと、を備える。
【0099】
画像処理時間予測部26aは、入力画像情報記憶部15が記憶する各入力画像情報を解析して、画像情報処理に要する画像情報処理時間を予測するものである。
【0100】
画像形成時間予測部26bは、入力画像情報記憶部15が記憶する各入力画像情報を解析して、画像形成処理に要する画像形成処理時間を予測するものである。
【0101】
画像出力コスト算出部27は、入力画像情報が入力されてから、該入力画像情報に対応する画像を形成するまでの間の各処理(ここでは、画像情報処理、画像形成準備処理、画像形成処理)に要する電力コストを算出するものであり、画像処理コスト算出部27aと、画像形成コスト算出部27cと、画像形成準備コスト算出部27bと、を備える。
【0102】
画像処理コスト算出部27aは、各入力画像情報の画像情報処理に要する電力コスト(以下、画像情報処理電力コストという)を算出するものである。
【0103】
具体的には、画像処理コスト算出部27aは、画像情報処理に必要な装置固有の単位時間当たりの消費電力量(以下、画像情報処理時の必要電力量という)を予め記憶しており、ジョブ配置決定部28から、各入力画像情報の画像情報処理の実行予定時間(開始予定時刻および終了予定時刻)を取得する。そして、画像処理コスト算出部27aは、上記画像情報処理時の必要電力量と、上記画像情報処理の実行予定時間と、優先度テーブルから得られる、該実行予定時間における単位コストとに基づいて、入力画像情報ごとの画像情報処理電力コストを算出する。
【0104】
画像形成コスト算出部27cは、各入力画像情報の画像形成処理に要する電力コスト(以下、画像形成処理電力コストという)を算出するものである。
【0105】
具体的には、画像形成コスト算出部27cは、画像形成処理に必要な装置固有の単位時間当たりの消費電力量(以下、画像形成処理時の必要電力量という)を予め記憶しており、ジョブ配置決定部28から、各入力画像情報の画像形成処理の実行予定時間(開始予定時刻および終了予定時刻)を取得する。そして、画像形成コスト算出部27cは、上記画像形成処理時の必要電力量と、上記画像形成処理の実行予定時間と、優先度テーブルから得られる、該実行予定時間における単位コストとに基づいて、入力画像情報ごとの画像形成処理電力コストを算出する。
【0106】
画像形成準備コスト算出部27bは、エンジン部18のウォーミングアップに要する画像形成準備電力コストを予測するものである。該ウォーミングアップは、エンジン部18の温度制御や駆動調整を行うために行われるものであり、エンジン部18が画像形成処理を行う前に行われるが、複数の画像情報の画像形成処理(画像形成ジョブ)が連続して行われる場合には、その最初の画像形成ジョブの前にだけ行わればよい。
【0107】
具体的には、画像形成準備コスト算出部27bは、画像形成準備処理に必要な装置固有の単位時間当たりの消費電力量(以下、画像形成準備処理時の必要電力量という。なお、該必要電力量は、画像形成処理時の必要電力量と同じである)を予め記憶しており、ジョブ配置決定部28から、画像形成準備処理の実行予定時間(開始予定時刻および終了予定時刻)を取得する。そして、画像形成準備コスト算出部27bは、上記画像形成準備処理時の必要電力量と、上記画像形成準備処理の実行予定時間と、優先度テーブルから得られる、該実行予定時間における単位コストとに基づいて、画像形成準備処理電力コストを算出する。
【0108】
ジョブ配置決定部28は、入力画像情報記憶部15に新たな入力画像情報が格納された際に、該入力画像情報に対するジョブ(以下、新規追加ジョブという)と、上記画像処理待機実行リストおよび画像形成待機実行リストに登録されている全てのデータ識別情報に対応する画像情報のジョブ(以下、登録済みジョブという)とを待機実行する際の実行予定時間(画像情報処理、画像形成準備処理および画像形成処理の実行予定時間)を、所定条件下において総電力コストが最小となるように決定するものである。なお、各実行予定時間は、開始予定時刻と終了予定時刻とで示される。
【0109】
即時/待機決定部29は、入力画像情報に対応付けられた上記即時/待機情報に応じて、新規追加ジョブを即時実行するのか、待機実行するのかを決定するものである。なお、即時/待機決定部29は、操作情報入力部13または通信部11を介して、上記即時/待機情報の変更指示を受付可能であり、該変更指示に応じて、上記即時/待機情報を変更する。
【0110】
即時/待機決定部29は、即時実行すると決定した場合には、新規追加ジョブの対象となる入力画像情報に割り振られたデータ識別情報を、ジョブ実行計画記憶部21が記憶する画像処理即時実行リストおよび画像形成即時実行リストの末尾に追加する。
【0111】
また、即時/待機決定部29は、待機実行すると決定した場合には、ジョブ配置決定部28によって決定されたジョブ実行計画に従って、ジョブ実行計画記憶部21が記憶する画像処理待機実行リストおよび画像形成待機実行リストを更新する。すなわち、即時/待機決定部29は、待機実行を行うジョブ(ここでは、新規追加ジョブおよび登録済みジョブ)の対象である各入力画像情報に割り振られたデータ識別情報と、該入力画像情報に対するジョブの実行予定時間とを対応付けたリストに更新する。
【0112】
(電力コストの演算方法について)
次に、画像出力コスト算出部27による電力コストの演算手順を説明する。ここでは、コスト情報管理部19が、電力コスト基本情報として、図8の上段に示されるような、時間帯別電気料金体系における単位コストの情報を記憶しているものとする。また、図8の中段に示されるように、入力画像情報A〜Eの各々について、ジョブ配置決定部28が画像情報処理および画像形成処理の実行予定時間を決定したものとする。なお、図8は、入力画像情報A〜Eに対するジョブを即時実行する場合の一例を示している。
【0113】
また、図8の中段に示す例において、画像処理コスト算出部27aは、上記画像情報処理時の必要電力量として「1」を、画像形成コスト算出部27cは、上記画像形成時の必要電力量として「3」を、画像形成準備コスト算出部27bは、上記画像形成準備時の必要電力量として「3」を記憶している。
【0114】
なお、図8の中段において、ハッチングした領域の総面積が消費電力の総計を示している。
【0115】
この場合、画像出力コスト算出部27の各ブロックは、図8の上段に示される電力コスト基本情報から求められた優先度テーブルと、図8の中段に示される消費電力とを乗算することで、図8の下段に示されるように、入力画像情報A〜Eを対象とする各ジョブの電力コスト、すなわち、画像情報処理電力コスト、画像形成準備電力コストならびに画像形成処理電力コストを演算することができる。なお、図8の下段において、各ジョブのハッチングした面積が電力コストの大きさを示している。
【0116】
例えば、画像処理コスト算出部27aは、入力画像情報Aについて、画像情報処理の実行予定時間(開始予定時刻から終了予定時刻までの時間であり、画像情報処理予測時間に相当する)「2」、画像情報処理時の必要電力量「1」、および実行予定時間における単位コスト「5」を乗じて、画像情報処理電力コスト「10」を求める。
【0117】
また、画像形成コスト算出部27cは、入力画像情報Aについて、画像形成処理の実行予定時間(開始予定時刻から終了予定時刻までの時間であり、画像形成処理予測時間に相当する)「2」、画像形成時の必要電力量「3」、および実行予定時間における単位コスト「5」を乗じて、画像形成処理電力コスト「30」を求める。
【0118】
さらに、画像形成準備コスト算出部27bは、ジョブAについて、画像形成準備の実行予定時間(開始予定時刻から終了予定時刻までの時間である)「1」、画像形成準備時の必要電力量「3」、および実行予定時間における単位コスト「5」を乗じて、画像形成準備電力コスト「30」を求める。
【0119】
(画像形成装置の処理の流れについて)
次に、画像形成装置1の処理の流れについて、フローチャートを参照しながら説明する。
【0120】
(新規追加ジョブの即時/待機決定処理)
まず、新たな入力画像情報が入力画像情報記憶部15に格納されてから、ジョブ実行計画記憶部21が更新されるまでの処理の概要について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図9において、Startは画像形成装置1に電源を投入した時、若しくは画像形成装置1を再起動した時の状態を示す。
【0121】
画像形成装置1が起動すると、時間帯別優先度設定部25は、コスト情報管理部19が管理する電力コスト基本情報に基づいて、単位時間帯別に、ジョブ実行優先度を設定する(A1)。なお、ジョブ実行優先度を設定する方法は後に記載する。
【0122】
次に、ジョブスケジューリング部20は、入力画像情報記憶部15に新しく入力された入力画像情報が存在するかを確認する(A2)。
【0123】
本フローチャートでは図示していないが、原稿画像読取部14が読み取った画像データや、通信部11経由で外部情報処理装置2から受信したプリントデータなどの入力画像情報が、入力画像情報記憶部15に書き込まれている。なお、このとき、入力画像情報記憶部15は、入力画像情報に対応付けて、即時/待機情報、および、該入力画像情報に対してユニークに割り振ったデータ識別情報も記憶している。
【0124】
新たな入力画像情報がない場合(A2でNo)、ジョブスケジューリング部20は、新しい入力画像情報が書き込まれるまで待機する。
【0125】
入力画像情報記憶部15に新たな入力画像情報が存在する場合(A2でYes)、該入力画像情報を対象とする新規追加ジョブを待機実行するものと仮定して、ジョブ配置決定部28は、待機実行用のジョブ実行計画を行う(A3)。なお、ジョブ実行計画の決定方法は後に記載する。
【0126】
次に、ジョブ配置決定部28は、A3で行ったジョブ実行計画に従って、各ジョブの実行予定時間を指定し、画像出力コスト算出部27の各ブロックに対して、各ジョブの電力コストを算出させる。そして、ジョブ配置決定部28は、待機実行する場合の総電力コストを演算する(A4)。
【0127】
次に、即時/待機決定部29は、新たな入力画像情報に対応付けられた即時/待機情報を入力画像情報記憶部15から特定し、該即時/待機情報が「即時実行」を示しているかを確認する(A5)。
【0128】
即時/待機情報が「待機実行」を示している場合(A5でNo)、即時/待機決定部29は、新規追加ジョブを待機実行するものと決定し、ジョブ配置決定部28がA3で行ったジョブ実行計画に基づいて、ジョブ実行計画記憶部21の画像処理待機実行リスト、画像形成待機実行リストを更新する(A11)。
【0129】
一方、即時/待機情報が「即時実行」を示している場合(A5でYes)、即時/待機決定部29は、新規追加ジョブを即時実行するものとし、開始予定時刻として現時刻を指定し、当該新規追加ジョブに対する電力コストを画像出力コスト算出部27に算出させる。また、同時に、即時/待機決定部29は、画像処理待機実行リストおよび画像形成待機実行リストに登録済みの登録済みジョブの待機実行による電力コストを画像出力コスト算出部27に演算させる。そして、即時/待機決定部29は、新規追加ジョブを即時実行する場合の電力コストと、登録済みジョブの電力コストとの総電力コストを算出する(A6)。
【0130】
その後、即時/待機決定部29は、A4で求めた総電力コスト(待機実行時の電力コスト)と、A6で求めた総電力コスト(即時実行時の電力コスト)との差を演算し、新規追加ジョブの出力を指示しているユーザに通知する(A7)。続けて、即時/待機決定部29は、待機実行への変更を促す旨の通知を行う(A8)。
【0131】
なお、A7およびA8の通知方法は、ユーザが入力画像情報を入力した手段に応じた方法があり、例えば、入力画像情報の送信元の外部情報処理装置2へポップアップ等のアラートを表示する方法、該外部情報処理装置2にメールなどで通知する方法、画像形成装置1の通知情報表示部12に表示させる方法などがある。また、ここに記載した通知方法は、具体例であり、これらに限定するものではない。
【0132】
次に、即時/待機決定部29は、操作情報入力部13または通信部11に対して入力された指示が、待機実行か即時実行かのいずれであるのかを確認する(A9)。
【0133】
待機実行の指示が入力された場合、即時/待機決定部29は、入力画像情報記憶部15において、新たな入力画像情報に対応付けられた即時/待機情報を「待機実行」に変更し、上述したA11の処理を行う。一方、即時実行の指示が入力された場合、即時/待機決定部29は、新規追加ジョブに対応するデータ識別情報を、画像処理即時実行リストと、画像形成即時実行リストと、の末尾に追加する(A10)。A10若しくはA11の処理を行なった後、画像形成装置1は、A2の処理に戻る。
【0134】
(画像情報処理)
次に、画像情報処理部16に対する制御、および、画像情報処理部16における処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0135】
まず、画像形成装置1が起動した後、電力供給制御手段は、画像情報処理部16への電力供給を停止させる(B1)。これは、動作時以外は通電を停止させ省電力を図るためである。
【0136】
次に、画像情報制御部22は、ジョブ実行計画記憶部21の画像処理即時実行リストを参照し、データ識別情報が登録されているか否かを判断する(B2)。
【0137】
画像処理即時実行リストにデータ識別情報が登録されている場合(B2でYes)、画像情報制御部22は、画像処理即時実行リストの先頭のデータ識別情報で特定される入力画像情報を対象とするジョブを実行対象ジョブとする。そして、画像情報制御部22は、画像処理即時実行リストから当該データ識別情報を読み出すとともに、画像処理即時実行リストから当該データ識別情報を削除する(B3)。その後、B7の処理に移行する。
【0138】
一方、画像処理即時実行リストにデータ識別情報が登録されていない場合(B2でNo)、画像情報制御部22は、画像処理待機実行リストを参照し、登録されているデータ識別情報が存在するか判断する(B4)。
【0139】
画像処理待機実行リストにデータ識別情報が登録されている場合(B4でYes)、画像情報制御部22は、先頭のデータ識別情報に対応付けられている画像情報処理の実行予定時間が示す開始予定時刻に、現時刻が達しているか判断する(B5)。該開始予定時刻に達している場合、画像情報制御部22は、画像処理待機実行リストの先頭のデータ識別情報で特定される入力画像情報を対象とするジョブを実行対象ジョブとする。そして、画像情報制御部22は、画像処理待機実行リストから当該データ識別情報を読み出すとともに、画像処理待機実行リストから当該データ識別情報を削除する(B6)。その後、B7の処理に移行する。
【0140】
なお、画像処理待機実行リストにデータ識別情報が登録されていない場合(B4でNo)、もしくは、画像処理待機実行リストの先頭のデータ識別情報に対応する開始予定時刻に達していない場合(B5でNo)、画像形成装置1は、B1の処理に戻る。
【0141】
そして、B7において、画像情報制御部22は、電力供給制御部23に画像情報処理部16への通電を指示し、画像情報処理部16に通電を行う。
【0142】
その後、画像情報制御部22は、B3またはB6でジョブ実行計画記憶部21から読み出したデータ識別情報に対応する入力画像情報を、入力画像情報記憶部15から画像情報処理部16に転送する。そして、画像情報処理部16は、転送された入力画像情報に対して、ラスタライズ処理などの画像情報処理を開始する(B8)。
【0143】
つぎに、画像情報処理部16は、実行対象ジョブの終了後、処理済画像情報をデータ識別情報と対応付けて、処理済画像情報記憶部17に格納する(B9)。その後、B2の処理に戻る。
【0144】
(画像形成処理)
次に、エンジン部18に対する制御、および、エンジン部18における処理について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0145】
まず、画像形成装置1が起動した後、電力供給制御手段は、エンジン部18への電力供給を停止させる(C1)。これは、動作時以外は通電を停止させ省電力を図るためである。
【0146】
次に、画像情報制御部22は、ジョブ実行計画記憶部21の画像形成即時実行リストを参照し、データ識別情報が登録されているか否かを判断する(C2)。
【0147】
画像形成即時実行リストにデータ識別情報が登録されている場合(C2でYes)、画像情報制御部22は、画像形成即時実行リストの先頭のデータ識別情報で特定される入力画像情報を対象とするジョブを実行対象ジョブとする。そして、画像情報制御部22は、画像形成即時実行リストから当該データ識別情報を読み出すとともに、画像形成即時実行リストから当該データ識別情報を削除する(C3)。その後、C7の処理に移行する。
【0148】
一方、画像形成即時実行リストにデータ識別情報が登録されていない場合(C2でNo)、画像情報制御部22は、画像形成待機実行リストを参照し、登録されているデータ識別情報が存在するか判断する(C4)。
【0149】
画像処理待機実行リストにデータ識別情報が登録されている場合(C4でYes)、画像情報制御部22は、先頭のデータ識別情報に対応付けられている画像形成処理の実行予定時刻が示す開始予定時刻に、現時刻が達しているか判断する(C5)。該開始予定時刻に達している場合、画像情報制御部22は、画像形成待機実行リストの先頭のデータ識別情報で特定される入力画像情報を対象とするジョブを実行対象ジョブとする。そして、画像情報制御部22は、画像形成待機実行リストから当該データ識別情報を読み出すとともに、画像形成待機実行リストから当該データ識別情報を削除する(C6)。その後、C7の処理に移行する。
【0150】
なお、画像形成待機実行リストにデータ識別情報が登録されていない場合(C4でNo)、もしくは、画像形成待機実行リストの先頭のデータ識別情報に対応する開始予定時刻に達していない場合(C5でNo)、画像形成装置1は、C1の処理に戻る。
【0151】
次に、C7において、画像情報制御部22は、C3またはC6でジョブ実行計画記憶部21から読み出したデータ識別情報に対応する処理済画像情報が、処理済画像情報記憶部17に格納されているか確認する。該処理済画像情報が処理済画像情報記憶部17に格納されていない場合は、画像情報処理部16の処理が終わって、処理済画像情報記憶部17に実行対象となる処理済画像情報が格納されるまで待機する。
【0152】
処理済画像情報が処理済画像情報記憶部17に格納された場合(C7でYes)、画像情報制御部22は、エンジン部18が画像形成準備完了状態かを確認する(C8)。すなわち、画像情報制御部22は、エンジン部18のウォーミングアップが完了しているかを確認する。
【0153】
画像形成準備ができていない場合(C8でNo)、画像情報制御部22は、電力供給制御部23にエンジン部18への通電を指示し、エンジン部18に通電を行い(C9)、画像形成準備を実行する(C10)。
【0154】
エンジン部18が画像形成準備完了状態になったことを確認後、画像情報制御部22は、C3またはC6でジョブ実行計画記憶部21から読み出したデータ識別情報に対応する処理済画像情報を、処理済画像情報記憶部17から読み出し、エンジン部18に転送する。その後、エンジン部18は、転送された処理済画像情報の画像形成を開始する(C11)。このとき、画像情報制御部22は、実行対象ジョブに対応する入力画像情報および処理済画像情報を、入力画像情報記憶部15および処理済画像情報記憶部17から削除する。その後、C2の処理に戻る。
【0155】
(ジョブ実行優先度の設定手順)
次に、上記A1で示したジョブ実行優先度の設定処理の詳細について、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0156】
まず、時間帯別優先度設定部25は、コスト情報管理部19から電力コスト基本情報を読み出す(D1)。次に、時間帯別優先度設定部25は、現在時刻から完了時刻管理部24で登録されている完了時刻までの時間を、単位時間帯(単位コストが同一で、かつ連続する時間帯)に分割する(D2)。
【0157】
次に、時間帯別優先度設定部25は、単位時間帯毎の単位コストを演算する(D3)。例えば、時間帯別優先度設定部25は、電力コスト基本情報として、図4に示されるような従量制電気料金体系の単位コストを示す情報を取得した場合、施設電力使用量による従量コスト比率などの情報も加味して、単位時間帯毎の単位コストを演算する。また、電力コスト基本情報が、標準コストと、時間帯ごとの標準コストに対するコスト比率とである場合、時間帯別優先度設定部25は、
(単位コスト)=(標準コスト)×(コスト比率)×(従量コスト比率)
によって、単位コストを算出すればよい。
【0158】
その後、時間帯別優先度設定部25は、各単位時間帯のジョブ実行優先度を、単位コストに応じて設定する。すなわち、コスト情報管理部19は、単位コストが低い単位時間帯のジョブ実行優先度を高く設定する。単位コストが同じ単位時間帯に対しては、時刻の遅い単位時間帯のジョブ実行優先度を高く設定する(D4)。そして、時間帯別優先度設定部25は、図7に示されるような、各単位時間帯と、該単位時間帯の単位コストと、該単位時間帯に対して設定したジョブ実行優先度とを対応付けて優先度テーブルを生成し、管理する。
【0159】
このようにして、時間帯別優先度設定部25は、単位時間帯毎に、ジョブ実行優先度を設定する。
【0160】
(ジョブスケジューリングの実施例)
次に、ジョブスケジューリング部20における、ジョブ実行計画処理の実施例について説明する。上述したように、ジョブ配置決定部28は、時間帯別優先度設定部25によって生成された優先度テーブル(図7参照)を参照して、最も単位コストの小さい単位時間帯(最優先時間帯)を抽出し、該最優先時間帯を優先して、入力画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定するジョブ実行計画処理を行う。そのため、画像情報に対する画像出力処理は、最優先時間帯に集中して行われることとなる。その結果、総電力コストを低減させることができる。
【0161】
以下、上記所定条件の具体例とともに、ジョブ実行計画の実施例を説明する。
【0162】
なお、以下の実施例では、コスト情報管理部19は、図2に示されるような、電力コスト基本情報を記憶しており、完了時刻管理部24は、完了時刻として、翌日10:00を設定しているものとする。この場合、時間帯別優先度設定部25は、図7に示されるように、単位時間帯「23:00〜7:00」をジョブ実行優先度「1」に、単位時間帯「7:00〜10:00」をジョブ実行優先度「2」に、単位時間帯「17:00〜23:00」をジョブ実行優先度「3」に、単位時間帯「14:00〜17:00」をジョブ実行優先度「4」に設定する。なお、ジョブ実行優先度の値は、数字が小さいほど優先度が高いことを意味している。
【0163】
また、待機実行を行うジョブの対象となる入力画像情報として、入力画像情報A〜Eがこの順で入力されているものとする。
【0164】
(実施例1)
本実施例では、ジョブ配置決定部28は、以下の条件aを満たした状態で、総電力コストが最小となるようにジョブ実行計画を行う。
<条件a>
・条件a−1:入力された順で、入力画像情報に対するジョブを実行する。
・条件a−2:画像情報処理部16における画像情報処理とエンジン部18における画像形成処理とは、いずれか一方のみが実行される。すなわち、各入力画像情報の画像情報処理と画像形成処理とは、逐次実行される。ただし、画像情報処理と画像形成準備処理とは重複して行われてもよい。
【0165】
ジョブ配置決定部28は、画像出力時間予測部26に対して、入力画像情報A〜Eの各々の、画像情報処理時間および画像形成処理時間を予測させる。
【0166】
そして、ジョブ配置決定部28は、予測された画像情報処理時間および画像形成処理時間に基づいて、入力画像情報Aの画像情報処理、入力画像情報Aの画像形成処理、・・・、入力画像情報Eの画像情報処理、入力画像情報Eの画像形成処理をこの順で逐次実行すると計画する。
【0167】
さらに、ジョブ配置決定部28は、これらのジョブの実行に要する総時間と、コスト情報管理部19が設定したジョブ実行優先度の最も高い単位時間帯(最優先時間帯)の時間とを比較する。ジョブ実行に要する総時間がジョブ実行優先度の最も高い単位時間帯の時間以下である場合、コスト配置決定部は、これらのジョブを、ジョブ実行優先度の最も高い単位時間帯の開始時刻から開始すると決定する。
【0168】
一方、上記ジョブの実行に要する総時間が最優先時間帯の時間より超過している場合、コスト配置決定部は、該超過分を次のジョブ実行優先度の単位時間帯で行うものと決定する。ただし、次のジョブ実行優先度と同じ単位コストの単位時間帯が他にも存在する場合、ジョブ配置決定部28は、これら複数の単位時間帯(つまり、最優先時間帯の次に単位コストの安い複数の単位時間帯、以下、第2時間帯という)の各々で上記超過分を実行した場合の電力コストを画像出力コスト算出部27に演算させる。そして、ジョブ配置決定部28は、総電力コストが最小となる第2時間帯で上記超過分を実行すると計画する。
【0169】
図13は、本実施例において、ジョブ配置決定部28が決定したジョブ実行計画を示す図である。図13に示されるように、ジョブ配置決定部28は、最優先時間帯に集中してジョブを実行するように計画している。さらに、最優先時間帯で処理できない超過分(時間幅4、なお、15分を時間幅1とする)について、ジョブ配置決定部28は、最優先時間帯の次に単位コストの安い単位時間帯17:00〜23:00または7:00〜10:00の何れかで実行した場合の電力コストを画像出力コスト算出部27に演算させる。単位時間帯17:00〜23:00で超過分を実行する場合、上記条件aを満足するために、入力画像情報Aに対するジョブの全て(時間幅4)をこの単位時間帯で実行することとなる。一方、単位時間帯7:00〜10:00で超過分を実行する場合、入力画像情報Eに対する画像形成ジョブの一部(時間幅4)をこの単位時間帯で実行することとなる。
【0170】
そして、ジョブ配置決定部28は、総電力コストが最小となる単位時間帯(図13では、17:00〜23:00)で上記超過分を実行すると計画する。
【0171】
なお、本実施例の場合、1つの入力画像情報について、画像情報処理と画像形成処理とが逐次実行されるため、複数の入力画像情報に対応する画像形成処理が連続しておこなわれることがない。そのため、ジョブ配置決定部28は、各入力画像情報の画像形成処理の開始予定時刻を終了予定時刻とする、画像形成準備処理のジョブを配置する。
【0172】
このように、ジョブ配置決定部28は、最も単位コストの小さい最優先時間帯に集中して画像出力の処理を行う。すなわち、入力画像情報B〜Eに対するジョブが、最優先時間帯内に実行され、入力画像情報Aに対するジョブが、2番目に単位コストの小さい時間帯に実行されることにより、電力コストの総和を上記条件aの下で最小にすることができる。
【0173】
図14は、全てのジョブを即時実行した場合の電力コストを示す図である。図13および図14において、ハッチングされた部分の総面積が総電力コストを示しており、これらを比較すれば、ジョブ配置決定部28によりジョブ実行計画が行われることで、電力コストを小さくすることが可能であることが容易に理解できる。
【0174】
なお、図13および図14において、入力画像情報A〜Eの下の矢印は、これら入力画像情報が入力されたタイミングを示している。以下の図面でも同様である。
【0175】
(実施例2)
本実施例では、ジョブ配置決定部28は、以下の条件bを満たした状態で、総電力コストが最小となるようにジョブ実行計画を行う。
<条件b>
・条件b−1:一つの単位時間帯において、入力された順で、入力画像情報に対するジョブを実行する。
・条件b−2:画像情報処理部16における画像情報処理と、エンジン部18における画像形成処理とは、独立して実行可能である。すなわち、ある入力画像情報の画像形成を行っている間、他の入力画像情報の画像情報処理が行われてもよい。
・条件b−3:ある入力画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻を、該入力画像情報の画像情報処理の終了予定時刻、および、前の入力画像情報の画像形成処理の終了予定時刻のいずれか遅い方とする。
【0176】
上記実施例1と同様に、ジョブ配置決定部28は、画像出力時間予測部26に対して、入力画像情報A〜Eの各々の、画像情報処理時間および画像形成処理時間を予測させる。
【0177】
そして、ジョブ配置決定部28は、予測された画像情報処理時間に基づいて、図15に示されるように、最優先時間帯の開始時刻から、入力画像情報A〜Eの画像情報処理をこの順で連続して実行すると計画する。
【0178】
続いて、ジョブ配置決定部28は、予測された画像形成処理時間に基づいて、上記条件b−3に従って、入力画像情報A〜Eの順に画像形成処理の実行予定時間を決定する。
【0179】
これにより、図15に示されるように、ジョブ配置決定部28は、入力画像情報A、B、Cの各々に対する画像形成処理の開始予定時刻を、該入力画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻とする。また、ジョブ配置決定部28は、入力画像情報Dの画像形成処理の開始予定時刻を、前の入力画像情報Cの画像形成処理の終了予定時刻とする。同様に、ジョブ配置決定部28は、入力画像情報Eの画像形成処理の開始予定時刻を、前の入力画像情報Dの画像形成処理の終了予定時刻とする。
【0180】
これにより、入力画像情報C,D,Eの画像形成処理が連続して行われることとなり、画像形成準備の回数が減り、画像形成準備処理に必要が電力コストを削減することができる。
【0181】
なお、本実施例の場合、ジョブ配置決定部28は、ジョブ実行計画を行う際、前回にジョブ配置を行った入力画像情報の実行予定時間を変更する必要がない。すなわち、ジョブ配置決定部28は、新たに入力された入力画像情報についてのみ、実行予定時間を決定するだけよい。
【0182】
(実施例3)
本実施例では、ジョブ配置決定部28は、以下の条件cを満たした状態で、総電力コストが最小となるようにジョブ実行計画を行う。
<条件c>
・条件c−1:各入力画像情報に対するジョブの実行順序は任意に設定可能である。
・条件c−2:画像情報処理部16における画像情報処理と、エンジン部18における画像形成処理とは、独立して実行可能である。すなわち、ある入力画像情報の画像形成処理を行っている間、他の入力画像情報の画像情報処理が行われてもよい。
・条件c−3:各入力画像情報の画像形成処理の開始予定時刻を、該入力画像情報の画像情報処理の終了予定時刻、および、前の入力画像情報の画像形成処理の終了予定時刻のいずれか遅い方とする。
・条件c−4:実配置(後述する)を行ったジョブについて、配置換えを行わない。
【0183】
本実施例における、ジョブ実行計画の処理の流れについて、図16に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図16は、図9に示すA3の処理を詳細に示したものである。
【0184】
まず、ジョブ配置決定部28は、入力画像情報記憶部15に新たな格納されたデータ識別情報、および、待機実行リストに登録されているデータ識別情報で特定される入力画像情報の各々について、画像処理時間および画像形成時間をそれぞれ画像処理時間予測部26aおよび画像形成時間予測部26bに予測させる。そして、ジョブ配置決定部28は、これらの各入力画像情報について、
処理/形成時間比 = (画像処理時間)/(画像形成時間)・・・〔式1〕
により示される処理/形成時間比を演算する(E1)。
【0185】
次に、ジョブ配置決定部28は、上記〔式1〕で求めた処理/形成時間比の昇順に従って、データ識別情報を並べ、各データ識別情報に対して、連続した昇順番号Jを付与する(E2)。
【0186】
次に、ジョブ配置決定部28は、昇順番号J=1を設定する(E3)。また、ジョブ配置決定部28は、新規追加ジョブおよび登録済みジョブに対応するデータ識別情報の個数をJmaxに設定する。
【0187】
その後、ジョブ配置決定部28は、JとJmaxの値を比較する(E4)。JがJmaxより小さいとき、若しくは等しいとき、ジョブ配置決定部28は、Jが1より大きいか判定する(E5)。
【0188】
Jが1である場合(E5でNo)、ジョブ配置決定部28は、ジョブ実行優先度の最も高い単位時間帯(最優先時間帯)の開始時刻をジョブ配置ポイントとして設定する(E6)。そして、ジョブ配置決定部28は、該ジョブ配置ポイントを、J=1に対応する入力画像情報の画像情報処理の開始予定時刻とし、該入力画像情報の画像情報処理、画像形成準備処理および画像形成処理の実行予定時間の仮配置(a)を行う(E7)。当該仮配置(a)の決定処理の詳細については、後述する。
【0189】
なお、以降において、昇順番号Jに対応する入力画像情報を「第J画像情報」と、昇順番号Jに対応する入力画像情報の画像情報処理を「第J画像情報処理ジョブ」と、昇順番号Jに対応する入力画像情報に対する画像形成処理を「第J画像形成ジョブ」と、昇順番号Jに対応する入力画像情報に対する画像形成準備処理を「第J画像形成準備ジョブ」といい、「第J画像情報処理ジョブ」、「第J画像形成ジョブ」および「第J画像形成準備ジョブ」をまとめて、「第Jジョブ」という場合がある。
【0190】
次に、ジョブ配置決定部28は、E7で決定した仮配置(a)に基づいて、画像出力コスト算出部27の各ブロックに対して、電力コストを演算させる。そして、ジョブ配置決定部28は、仮配置(a)でジョブを実行した場合の総電力コスト(a)を算出する(E8)。
【0191】
その後、ジョブ配置決定部28は、仮配置(a)を実配置として設定し(E9)、Jの値に1加え(E10)、E4の処理に戻る。
【0192】
一方、E5において、Jが1より大きい場合、すでに実配置として設定されたジョブが存在する。この場合、ジョブ配置決定部28は、第(J−1)画像情報処理ジョブの終了予定時刻を、ジョブ配置ポイントとして設定する(E11)。
【0193】
そして、ジョブ配置決定部28は、E7と同様に、E11で設定したジョブ配置ポイントを開始予定時刻として昇順番号Jに対応する入力画像情報のジョブの仮配置(a)を行う(E12)。そして、ジョブ配置決定部28は、E8と同様に、E11で設定した仮配置(a)に従って画像出力コスト算出部27が演算した電力コストに基づいて、各ジョブ(ここでは、昇順番号1〜Jのジョブ)を実行した場合の総電力コスト(a)を演算する(E13)。なお、ジョブ配置決定部28は、第J画像形成ジョブの終了予定時刻が、時間帯別優先度設定部25が管理する優先度テーブル内の何れの単位時間帯にも含まれない場合、総電力コスト(a)を算出不能とする。また、ジョブ配置決定部28は、第J画像形成ジョブの終了予定時刻が、他のジョブの実行予定時間と重なる場合も、総電力コスト(a)を算出不能とする。
【0194】
次に、ジョブ配置決定部28は、E12で設定した仮配置(a)において、昇順番号Jの入力画像情報に対する、画像情報処理の開始予定時刻と、画像形成処理の終了予定時刻とが、同一の単位時間帯であるか否かの判定を行う(E14)。
【0195】
同一の単位時間帯である場合(E14でYes)、つまり、同一の単位時間帯に第Jジョブの全てが実行可能である場合、ジョブ配置決定部28は、E9へと移行し、E12で設定した仮配置(a)を実配置として設定する。
【0196】
一方、異なる単位時間帯である場合(E14でNo)、つまり、異なる単位時間帯に跨って第Jジョブを実行する必要がある場合、ジョブ配置決定部28は、ジョブ未配置で、且つ最もジョブ実行優先度の高い単位時間帯(以下、次善コスト時間帯という)の開始時刻を優先度テーブルから特定し、当該開始時刻をジョブ配置ポイントとして設定する(E15)。
【0197】
続いて、ジョブ配置決定部28は、E15で設定したジョブ配置ポイントを開始予定時刻として、第Jジョブの仮配置(b)を設定する(E16)。仮配置(b)の方法は、仮配置(a)の方法と同様であり、その詳細については後述する。
【0198】
さらに、ジョブ配置決定部28は、E16で決定した仮配置(b)に基づいて、画像出力コスト算出部27の各ブロックに対して、電力コストを演算させる。そして、ジョブ配置決定部28は、仮配置(b)でジョブを実行した場合の総電力コスト(b)を算出する(E17)。
【0199】
その後、ジョブ配置決定部28は、E13で算出した総電力コスト(a)と、E17で算出した総電力コスト(b)とを比較する(E18)。そして、ジョブ配置決定部28は、総電力コスト(a)が総電力コスト(b)より小さい場合、E12で設定した仮配置(a)を実配置として設定し(E9)、総電力コスト(a)が総電力コスト(b)以上である場合、E16で設定した仮配置(b)を実配置として設定する(E19)。なお、E13において総電力コスト(a)が算出不能である場合、E16で設定した仮配置(b)を実配置として設定する。
【0200】
その後、E10の処理に戻り、Jに1加算する。なお、JがJmax+1に等しくなった場合(E4でNo)、入力画像情報記憶部15に新たな格納されたデータ識別情報、および、待機実行リストに登録されているデータ識別情報で特定される入力画像情報の全ジョブの配置が完了したことを示し、ジョブ実行計画の処理を終了する。
【0201】
次に、図17のフローチャートを用いて、上記E7、E12およびE16で示したジョブの仮配置の方法を説明する。ジョブの仮配置は、ジョブ配置決定部28にて、すでに設定したジョブ配置ポイントを基準にして行われる。
【0202】
まず、ジョブ配置決定部28は、設定済みのジョブ配置ポイントを、昇順番号Jの入力画像情報に対する画像情報処理(第J画像情報処理ジョブ)の開始予定時刻として設定する(F1)。例えば、Jが1の場合、ジョブ配置決定部28は、優先度テーブルにおいてジョブ実行優先度の最も高い単位時間帯の開始時刻を、第1画像情報処理ジョブの開始予定時刻として設定する。
【0203】
次に、ジョブ配置決定部28は、第(J−1)画像情報処理ジョブが第J画像情報処理ジョブと連続して配置されているかを判断する(F2)。なお、Jが1の場合、直前のジョブの画像情報処理と連続して処理されていないと判断する。また、E15で設定されたジョブ配置ポイントを第J画像情報処理ジョブの開始予定時刻として設定する場合が、直前の画像情報処理と連続して処理されていない場合に該当する。
【0204】
第(J−1)画像情報処理ジョブが第J画像情報処理ジョブと連続して配置されていない場合、ジョブ配置決定部28は、第J画像情報処理ジョブの終了予定時刻を、当該入力画像情報に対する画像形成処理(第J画像形成ジョブ)との開始予定時刻として設定する(F5)。さらに、ジョブ配置決定部28は、第J画像情報処理ジョブの終了予定時刻を、第J画像形成準備ジョブの終了予定時刻として設定し(F6)、ジョブの仮配置を終了する。
【0205】
一方、第(J−1)画像情報処理ジョブが第J画像情報処理ジョブと連続して配置されている場合、ジョブ配置決定部28は、第(J−1)画像形成ジョブの終了予定時刻と、第(J−1)画像情報処理ジョブの終了予定時刻を比較する(F3)。
【0206】
第(J−1)画像形成ジョブの終了予定時刻の方が遅い場合、ジョブ配置決定部28は、第J画像形成ジョブの開始予定時刻を、第(J−1)画像形成ジョブの終了予定時刻に設定し(F4)、ジョブの仮配置を終了する。すなわち、この場合、第(J−1)画像形成ジョブと第J画像形成ジョブとが連続して行われるため、第J画像形成準備ジョブが不要となる。
【0207】
一方、第J画像情報処理ジョブの終了予定時刻の方が遅い場合、ジョブ配置決定部28は、F5の処理に移行し、第J画像情報処理ジョブの終了予定時刻を、当該入力画像情報に対する画像形成処理(第J画像形成ジョブ)の開始予定時刻として設定する。さらに、ジョブ配置決定部28は、第J画像情報処理ジョブの終了予定時刻を、第J画像形成準備ジョブの終了予定時刻として設定し(F6)、ジョブの仮配置を終了する。
【0208】
このように、本実施例では、画像情報処理部16とエンジン部18とが、互いに並列して処理が実行可能である。そのため、前の入力画像情報に対する画像形成処理を行っている間に、次の入力画像情報に対する画像情報処理を行うことができる。
【0209】
なお、上述したように、画像情報処理部16は、入力画像情報をエンジン部18が処理可能な形式である処理済画像情報(出力画像情報)に変換する画像情報処理を行い、エンジン部18は、該処理済画像情報に基づいて、物理媒体(用紙など)に画像を形成する画像形成処理を行うものである。
【0210】
また、本実施例のジョブ配置決定部28は、各入力画像情報に対する、上記処理/形成時間比、および、画像出力時間予測部26によって予測された画像情報処理時間ならびに画像形成処理時間に基づいて、以下の規則AおよびBを満たすように、各入画像情報に対する画像情報処理および画像形成処理の実行タイミングを決定する、といえる。
・規則A:最優先時間帯の開始時刻を、第1画像情報に対する画像情報処理(第1画像情報処理ジョブ)の開始予定時刻とし、該第1画像情報処理ジョブの終了予定時刻を、該第1画像情報に対する画像形成処理(第1画像形成ジョブ)の開始予定時刻とする。
・規則B:第(J−1)画像情報処理ジョブ(J>1)の終了予定時刻を、第J画像情報処理ジョブの開始予定時刻とし、該第J画像情報処理ジョブの終了予定時刻、および、第(J−1)画像形成ジョブの終了予定時刻のいずれか遅い方を該第J画像形成ジョブの開始予定時刻とする。
【0211】
このように、処理/形成時間比の小さい順に画像出力処理が行われるため、前の入力画像情報に対する画像形成処理を行っている間に、次の入力画像情報に対する画像情報処理が完了する確率が高くなる。その結果、前の画像情報に対する画像形成処理と連続して、次の画像情報に対する画像形成処理を実行することができる。このことは、連続して画像形成処理を行う割合が増加する、つまり、画像形成準備処理の回数を減少させることを意味する。すなわち、画像情報処理を待つために、画像形成手段でのウォーミングアップ(アイドリング)の時間が減り、総駆動時間、ひいては総電力コストを低減させることができる。
【0212】
図18は、本実施例において、ジョブ配置決定部28が決定したジョブの実配置の一例を示す図である。図18に示されるように、本実施例では、図15に示した実施例2と比較して、画像形成準備処理の回数が3から2に減少していることがわかる。
【0213】
また、本実施例のジョブ配置決定部28および画像処理コスト算出部27aは、画像情報処理の開始予定時刻と画像形成処理の終了予定時刻とが異なる単位時間帯に属する第j画像情報について、上記規則Bに従って画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第j画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コスト(a)と、上記規則Bの代わりに以下の規則Cに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第j画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コスト(b)とを、予め記憶している画像情報処理時の必要電力量、画像形成処理時の必要電力量、画像形成準備時の必要電力量、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択する。
【0214】
規則C:第1〜第(j−1)画像情報に対する画像出力処理を配置していない単位時間帯の中で最も単位コストの低い次善コスト時間帯の開始時刻を、第j画像情報に対する上記画像情報処理の開始予定時刻とし、該第j画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻を該第j画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻とする。
【0215】
第j画像形成ジョブの終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストが、第j画像情報処理ジョブの開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低い場合、第jジョブを上記規則Bに従って実行するように計画することで、第1〜第jジョブに要する総電力コストが最小となる。
【0216】
一方、第j画像形成ジョブの終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストが、第j画像情報処理ジョブの開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低くない場合、つまり、第j画像情報処理ジョブの開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低い単位時間帯が別に存在する場合、第jジョブを上記規則Bに従って実行したとしても、第1〜第jジョブに要する総電力コストは、必ずしも最小とならない。この場合、第jジョブを上記規則Bに従って実行することによる、画像形成準備処理の回数の減少による総電力コストの低下効果と、第jジョブを上記規則Cに従って実行することによる、単位コストの差による総電力コストの低下効果との大小に応じて、上記総電力コスト(a)と総電力コスト(b)との大小が決定する。
【0217】
そして、上記の構成によれば、ジョブ配置決定部28が、総電力コスト(a)と総電力コスト(b)とを比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択するため、総電力コストをより低下させることができる。
【0218】
(実施例4)
本実施例では、ジョブ配置決定部28は、以下の条件dを満たした状態で、総電力コストが最小となるようにジョブ実行計画を行う。なお、条件dは、条件cと比較して、条件c−3の代わりに条件d−3を含む点で異なる。
<条件d>
・条件d−1:各入力画像情報に対するジョブの実行順序は任意に設定可能である。
・条件d−2:画像情報処理部16における画像情報処理と、エンジン部18における画像形成処理とは、独立して実行可能である。すなわち、ある入力画像情報の画像形成処理を行っている間、他の入力画像情報の画像情報処理が行われてもよい。
・条件d−3:各入力画像情報の画像形成処理の開始予定時刻は任意に設定可能である。
・条件d−4:一度実配置を行ったジョブについて、配置換えを行わない。
【0219】
本実施例における、ジョブ実行計画の処理の流れについて、図19に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図19は、図9に示すA3の処理を詳細に示したものである。
【0220】
まず、ジョブ配置決定部28は、上記実施例3のE1と同様に、入力画像情報記憶部15に新たな格納されたデータ識別情報、および、待機実行リストに登録されているデータ識別情報で特定される入力画像情報の各々について、上記〔式1〕で示される処理/形成時間比を演算する(E101)。
【0221】
次に、ジョブ配置決定部28は、E101で求めた処理/形成時間比の降順に従って、データ識別情報を並べ、各データ識別情報に対して、連続した降順番号Kを付与する(E102)。
【0222】
次に、ジョブ配置決定部28は、降順番号K=1を設定する(E103)。また、ジョブ配置決定部28は、新規追加ジョブおよび登録済みジョブに対応するデータ識別情報の個数をKmaxに設定する。
【0223】
その後、ジョブ配置決定部28は、KとKmaxの値を比較する(E104)。KがKmaxより小さいとき、若しくは等しいとき、ジョブ配置決定部28は、Kが1より大きいか判定する(E105)。
【0224】
Kが1である場合(E105でNo)、ジョブ配置決定部28は、ジョブ実行優先度の最も高い単位時間帯(最優先時間帯)の最終時刻をジョブ配置ポイントとして設定する(E106)。そして、ジョブ配置決定部28は、該ジョブ配置ポイントを、K=1に対応する入力画像情報の画像形成処理の終了予定時刻とし、該入力画像情報の画像情報処理、画像形成準備処理および画像形成処理の実行予定時間の仮配置(c)を行う(E107)。例えば、図20に示されるように、ジョブ配置決定部28は、K=1で特定される入力画像情報Cに対するジョブの終了予定時刻が、最優先時間帯の最終時刻となるように配置している。なお、当該仮配置(c)の決定処理の詳細については、後述する。
【0225】
なお、以降において、降順番号Kに対応する入力画像情報の画像情報処理を「第K画像情報処理ジョブ」と、降順番号Kに対応する入力画像情報に対する画像形成処理を「第K画像形成ジョブ」と、降順番号Kに対応する入力画像情報に対する画像形成準備処理を「第K画像形成準備ジョブ」といい、「第K画像情報処理ジョブ」、「第K画像形成ジョブ」および「第K画像形成準備ジョブ」をまとめて、「第Kジョブ」という場合がある。
【0226】
次に、ジョブ配置決定部28は、E107で決定した仮配置(c)に基づいて、画像出力コスト算出部27の各ブロックに対して、電力コストを演算させる。そして、ジョブ配置決定部28は、仮配置(c)でジョブを実行した場合の総電力コスト(c)を算出する(E108)。
【0227】
その後、ジョブ配置決定部28は、仮配置(c)を実配置として設定し(E109)、Kの値に1加え(E110)、E104の処理に戻る。
【0228】
一方、E105において、Kが1より大きい場合、すでに実配置として設定されたジョブが存在する。この場合、ジョブ配置決定部28は、降順番号(K−1)に対応する入力画像情報の画像形成処理(第(K−1)画像形成ジョブ)の開始予定時刻を、ジョブ配置ポイントとして設定する(E111)。
【0229】
そして、ジョブ配置決定部28は、E107と同様に、E111で設定したジョブ配置ポイントを終了予定時刻として、第Kジョブの仮配置(c)を行う(E112)。E112の仮配置(c)の方法の詳細については後述する。そして、ジョブ配置決定部28は、E108と同様に、E111で設定した仮配置(c)に従って画像出力コスト算出部27が演算した電力コストに基づいて、各ジョブ(ここでは、降順番号1〜Kのジョブ)を実行した場合の総電力コスト(c)を演算する(E13)。
【0230】
なお、ジョブ配置決定部28は、第K画像情報処理ジョブの開始予定時刻が、時間帯別優先度設定部25が管理する優先度テーブル内の何れの単位時間帯にも含まれない場合、総電力コスト(c)を算出不能とする。また、ジョブ配置決定部28は、第K画像情報処理ジョブの開始予定時刻が、他のジョブの実行予定時間と重なる場合も、総電力コスト(c)を算出不能とする。
【0231】
次に、ジョブ配置決定部28は、E112で設定した仮配置(c)において、降順番号Kの入力画像情報に対する、画像情報処理の開始予定時刻と、画像形成処理の終了予定時刻とが、同一の単位時間帯であるか否かの判定を行う(E114)。
【0232】
同一の単位時間帯である場合(E114でYes)、つまり、同一の単位時間帯に第Kジョブの全てが実行可能である場合、ジョブ配置決定部28は、E109へと移行し、E112で設定した仮配置(c)を実配置として設定する。
【0233】
一方、異なる単位時間帯である場合(E114でNo)、つまり、異なる単位時間帯に跨って第Kジョブを実行する必要がある場合、ジョブ配置決定部28は、ジョブ未配置で、且つ最もジョブ実行優先度の高い単位時間帯(次善コスト時間帯)の最終時刻を優先度テーブルから特定し、当該最終時刻をジョブ配置ポイントとして設定する(E115)。
【0234】
続いて、ジョブ配置決定部28は、E115で設定したジョブ配置ポイントを終了予定時刻として、第Kジョブの仮配置(d)を設定する(E116)。仮配置(d)の方法は、仮配置(c)の方法と同様であり、その詳細については後述する。
【0235】
さらに、ジョブ配置決定部28は、E116で決定した仮配置(d)に基づいて、画像出力コスト算出部27の各ブロックに対して、電力コストを演算させる。そして、ジョブ配置決定部28は、仮配置(d)でジョブを実行した場合の総電力コスト(d)を算出する(E117)。
【0236】
その後、ジョブ配置決定部28は、E113で算出した総電力コスト(c)と、E117で算出した総電力コスト(d)とを比較する(E118)。そして、ジョブ配置決定部28は、総電力コスト(c)が総電力コスト(d)より小さい場合、E112で設定した仮配置(c)を実配置として設定し(E109)、総電力コスト(c)が総電力コスト(d)以上である場合、E116で設定した仮配置(d)を実配置として設定する(E119)。なお、E113において総電力コスト(c)が算出不能である場合、E116で設定した仮配置(d)を実配置として設定する。
【0237】
図21は、仮配置(c)における総電力コスト(c)と、仮配置(d)における総電力コスト(d)との差を示す図である。図21では、入力画像情報Bに対するジョブを、仮配置(c)および(d)に設定した場合を示している。なお、図21において、「既計画時間帯」は、既にジョブ実行計画がされた単位時間帯を、「既計画直前時間帯」は、既計画時間帯の直前の単位時間帯を示している。「次善コスト時間帯」は、上述したように、ジョブが未配置であり、かつ、最もジョブ実行優先度の高い単位時間帯である。
【0238】
図21の上段に示されるように、既計画時間帯からの超過分のジョブの時間が比較的短い場合、既計画直前時間帯で実行する仮配置(c)の方が、次善コスト時間帯で実行する仮配置(d)よりも総電力コストが低くなる。
【0239】
一方、図21の下段に示されるように、既計画時間帯からの超過分のジョブの時間が比較的長い場合、次善コスト時間帯で実行する仮配置(d)の方が、既計画直前時間帯で実行する仮配置(c)よりも総電力コストが低くなる。
【0240】
その後、E110の処理に戻り、Kに1加算する。なお、KがKmax+1に等しくなった場合(E104でNo)、入力画像情報記憶部15に新たな格納されたデータ識別情報、および、待機実行リストに登録されているデータ識別情報で特定される入力画像情報の全ジョブの配置が完了したことを示し、ジョブ実行計画の処理を終了する。
【0241】
次に、図22のフローチャートを用いて、上記E107、E112およびE116で示したジョブの仮配置の方法を説明する。ジョブの仮配置は、ジョブ配置決定部28にて、すでに設定したジョブ配置ポイントを基準にして行われる。
【0242】
まず、ジョブ配置決定部28は、設定済みのジョブ配置ポイントを、降順番号Kの入力画像情報に対する画像形成処理(第K画像形成ジョブ)の終了予定時刻として設定し、該第K画像形成ジョブの実行予定時間(開始予定時刻および終了予定時刻)を決定する(G1)。
【0243】
次に、ジョブ配置決定部28は、第(K−1)画像形成ジョブが第K画像形成ジョブと連続して配置されているかを判断する(G2)。なお、Kが1の場合、連続して配置されていないと判断する。また、E115で設定されたジョブ配置ポイントを、第K画像形成ジョブの終了予定時刻として設定する場合が、直前の画像形成処理と連続して配置されていない場合に該当する。
【0244】
第(K−1)画像形成ジョブが第K画像形成ジョブと連続して配置されていない場合、ジョブ配置決定部28は、第(K−1)画像形成準備ジョブを削除する(G3)。
【0245】
次に、ジョブ配置決定部28は、第(K−1)画像情報処理ジョブの開始予定時刻が、第K画像形成ジョブの開始予定時刻よりも早いか否かを判断する(G4)。
【0246】
第(K−1)画像情報処理ジョブの開始予定時刻が第K画像形成ジョブの開始予定時刻よりも早い場合(G4でYes)、ジョブ配置決定部28は、第(K−1)画像情報処理ジョブの開始予定時を終了予定時刻として、第K画像情報処理ジョブの実行予定時間を決定する(G5)。
【0247】
一方、第(K−1)画像情報処理ジョブの開始予定時刻が第K画像形成ジョブの開始予定時刻よりも遅い場合(G4でNo)、ジョブ配置決定部28は、第K画像形成ジョブの開始予定時を終了予定時刻として、当該入力画像情報に対する画像情報処理(第K画像情報処理ジョブ)の実行予定時間を決定する(G6)。
【0248】
その後、ジョブ配置決定部28は、降順番号Kの入力画像情報に対する画像形成処理の開始予定時を終了予定時刻として、当該入力画像情報に対する画像形成準備処理(第K画像形成準備ジョブ)の実行予定時間を決定する(G7)。これにより、ジョブの仮配置を終了する。
【0249】
以上のように、本実施例のジョブ配置決定部28は、各入力画像情報に対する、上記処理/形成時間比、および、画像出力時間予測部26によって予測された画像情報処理時間ならびに画像形成処理時間に基づいて、以下の規則DおよびEを満たすように、各入画像情報に対する画像情報処理および画像形成処理の実行タイミングを決定する、といえる。
・規則D:最優先時間帯の最終時刻を、第1画像形成ジョブの終了予定時刻とし、該第1画像形成ジョブの開始予定時刻を、該第1画像情報処理ジョブの終了予定時刻とする。
・規則E:第(K−1)画像形成ジョブ(K>1)の開始予定時刻を、第K画像形成ジョブの終了予定時刻とし、該第K画像形成ジョブの開始予定時刻、および、第(K−1)画像情報処理ジョブの開始予定時刻のいずれか早い方を、該第K画像情報処理ジョブの終了予定時刻とする。
【0250】
エンジン部18は、画像情報処理部16に比べて消費電力がはるかに大きく、画像形成処理を開始する前にウォーミングアップ(画像形成準備処理)が必要である。しかしながら、上記の構成では、規則Eに従うため、各入力画像情報に対する画像形成処理が連続して実行される。そのため、画像形成準備処理の回数が減り、総駆動時間、ひいては総電力コストを低減させることができる。
【0251】
本実施例における、ジョブ配置決定部28が決定したジョブの実配置の一例を示す図20に示されるように、図18で示される実施例3と比較して、画像形成準備処理の回数が2から1に減少していることがわかる。
【0252】
また、本実施例のジョブ配置決定部28および画像処理コスト算出部27aは、画像情報処理の開始予定時刻と画像形成処理の終了予定時刻とが異なる単位時間帯に属する第k画像情報について、上記規則Eに従って画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第k画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コスト(c)と、上記規則Eの代わりに以下の規則Fに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第k画像情報に対する上記画像出力処理に要する総電力コスト(d)とを、予め記憶している画像情報処理時の必要電力量、画像形成処理時の必要電力量、画像形成準備時の必要電力量、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択する。
【0253】
規則F:第1〜第(k−1)画像情報に対する画像出力処理を配置していない単位時間帯の中で最も電気料金の低い次善コスト単位時間帯の最終時刻を、第k画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻とし、該第k画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻を該第k画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻とする。
【0254】
第k画像情報処理ジョブの開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストが、第k画像形成ジョブの終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低い場合、第kジョブを上記規則Eに従って実行するように計画することで、第1〜第kジョブに要する総電力コストが最小となる。
【0255】
一方、第k画像情報処理ジョブの開始予定時刻が属する単位時間帯の単位コストが、第k画像形成ジョブの終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低くない場合、つまり、第k画像形成ジョブの終了予定時刻が属する単位時間帯の単位コストの次に低い単位時間帯が別に存在する場合、第kジョブを上記規則Eに従って実行したとしても、第1〜第kジョブに要する総電力コストは、必ずしも最小とならない。この場合、第kジョブを上記規則Eに従って実行することによる、画像形成準備処理の回数の減少による総電力コストの低下効果と、第kジョブを上記規則Fに従って実行することによる、単位コストの差による総電力コストの低下効果との大小に応じて、総電力コスト(c)と総電力コスト(d)との大小が決定する。
【0256】
そして、上記の構成によれば、ジョブ実行計画手段が、総電力コスト(c)と総電力コスト(d)とを比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択するため、総電力コストをより低下させることができる。
【0257】
(実施例5)
本実施例は、上記実施例4の変形例である。すなわち、ジョブ配置決定部28は、以下の条件eを満たした状態で、総電力コストが最小となるようにジョブ実行計画を行う。なお、条件eは、条件dと比較して、条件d−4を含まない点で異なる。
<条件e>
・条件e−1:各入力画像情報に対するジョブの実行順序は任意に設定可能である。
・条件e−2:画像情報処理部16における画像情報処理と、エンジン部18における画像形成処理とは、独立して実行可能である。すなわち、ある入力画像情報の画像形成処理を行っている間、他の入力画像情報の画像情報処理が行われてもよい。
・条件e−3:各入力画像情報の画像形成処理の開始予定時刻は任意に設定可能である。
【0258】
本実施例における、ジョブ実行計画の処理の流れについて、図23Aおよび図23Bに示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図23Aおよび図23Bは、図9に示すA3の処理を詳細に示したものである。
【0259】
まず、ジョブ配置決定部28は、上記実施例4のE101およびE102と同様の処理であるE201およびE202を行う。
【0260】
次に、ジョブ配置決定部28は、降順番号K=1を設定するとともに、K2=0を設定する(E203)。また、ジョブ配置決定部28は、新規追加ジョブおよび登録済みジョブに対応するデータ識別情報の個数をKmaxに設定する。
【0261】
その後、ジョブ配置決定部28は、KとKmaxの値を比較する(E204)。KがKmaxより小さいとき、若しくは等しいとき、ジョブ配置決定部28は、Kが1より大きいか判定する(E205)。
【0262】
Kが1である場合(E205でNo)、ジョブ配置決定部28は、上記実施例4のE106〜E110と同様の処理であるE206〜E210を行い、E204の処理に戻る。
【0263】
一方、E205において、Kが1より大きい場合、すでに実配置として設定されたジョブが存在する。この場合、ジョブ配置決定部28は、K3=K−K2を演算し(E211)、降順番号(K3−1)に対応する入力画像情報の画像形成処理(第(K3−1)画像形成ジョブ)の開始予定時刻を、ジョブ配置ポイントとして設定する(E212)。
【0264】
そして、ジョブ配置決定部28は、E207と同様に、E211で設定したジョブ配置ポイントを終了予定時刻として、第K3ジョブの仮配置(e)を行う(E112)。該仮配置(e)の方法は、図22で示した処理の流れで行われる。
【0265】
次に、ジョブ配置決定部28は、K3=Kであるか否かを判定する(E214)。K3がKより小さい場合(E214でNo)、ジョブ配置決定部28は、K3を1だけ加算する(E225)。その後、E212の処理に戻る。
【0266】
一方、K3=Kである場合(E214でYes)、ジョブ配置決定部28は、E208と同様に、E213で設定した仮配置(e)に従って画像出力コスト算出部27が演算した電力コストに基づいて、各ジョブ(ここでは、降順番号1〜Kのジョブ)を実行した場合の総電力コスト(e)を演算する(E215)。
【0267】
なお、ジョブ配置決定部28は、第K画像情報処理ジョブの開始予定時刻が、時間帯別優先度設定部25が管理する優先度テーブル内の何れの単位時間帯にも含まれない場合、総電力コスト(e)を算出不能とする。また、ジョブ配置決定部28は、第K画像情報処理ジョブの開始予定時刻が、他のジョブの実行予定時間と重なる場合も、総電力コスト(e)を算出不能とする。
【0268】
次に、ジョブ配置決定部28は、E212で設定した仮配置(e)において、第K画像情報処理ジョブの開始予定時刻と、第(K−K2)画像形成ジョブの終了予定時刻とが、同一の単位時間帯であるか否かの判定を行う(E216)。
【0269】
同一の単位時間帯である場合(E216でYes)、ジョブ配置決定部28は、E209へと移行し、E213で設定した仮配置(e)を実配置として設定する。
【0270】
一方、異なる単位時間帯である場合(E216でNo)、ジョブ配置決定部28は、K3=K−K2を演算する(E217)。さらに、ジョブ配置決定部28は、ジョブ未配置で、且つ最もジョブ実行優先度の高い単位時間帯(次善コスト時間帯)の最終時刻を優先度テーブルから特定し、当該最終時刻をジョブ配置ポイントとして設定する(E218)。
【0271】
続いて、ジョブ配置決定部28は、E218で設定したジョブ配置ポイントを終了予定時刻として、第K3ジョブの仮配置(f)を設定する(E219)。当該仮配置(f)の方法は、図22で示した処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0272】
次に、ジョブ配置決定部28は、K3=Kであるか否かを判定する(E220)。K3がKより小さい場合(E220でNo)、ジョブ配置決定部28は、K3+1を新たなK3とする(E226)。そして、ジョブ配置決定部28は、第(K3−1)画像形成ジョブの開始予定時刻を、ジョブ配置ポイントとして設定する(E227)。その後、E219の処理に戻る。
【0273】
一方、K3=Kである場合(E220でYes)、ジョブ配置決定部28は、E215と同様に、E219で設定した仮配置(f)に従って画像出力コスト算出部27が演算した電力コストに基づいて、各ジョブ(ここでは、降順番号1〜Kのジョブ)を実行した場合の総電力コスト(f)を演算する(E221)。
【0274】
その後、ジョブ配置決定部28は、E215で算出した総電力コスト(e)と、E221で算出した総電力コスト(f)とを比較する(E222)。そして、ジョブ配置決定部28は、総電力コスト(e)が総電力コスト(f)より小さい場合、E213で設定した仮配置(e)を実配置として設定し(E223)、Kに1加算するとともに、K2にも1加算する(E224)。また、総電力コスト(e)が総電力コスト(f)以上である場合、E219で設定した仮配置(f)を実配置として設定し(E228)、Kに1加算するとともに、K2=0に設定する(E229)。なお、E215において総電力コスト(e)が算出不能である場合、E219で設定した仮配置(f)を実配置として設定する。
【0275】
図24は、本実施例と、上記実施例4との差を示す図である。図24の上段は、実施例4の場合のジョブ実行計画の結果を示す図である。実施例4の場合、上記条件d−4のため、ジョブ配置の検討を現在行っている入力画像情報Cのみについて、既計画直前時間帯で実行する場合(仮配置(c)、図中実線で記載)と、次善コスト時間帯で実行する場合(仮配置(d)、図中破線で記載)の総電力コストを比較する。図では、仮配置(c)の方が総電力コストが低いため、ジョブ配置決定部28は、仮配置(c)を選択している。
【0276】
一方、図24の下段は、本実施例の場合のジョブ実行計画の結果を示す図である。本実施例では、上記条件d−4はない。そのため、ジョブ配置決定部28は、ジョブ配置の検討を現在行っている入力画像情報Cだけではなく、既計画時間帯から超過するジョブの対象となる入力画像情報(ここでは、入力画像情報CおよびB)について、既計画直前時間帯で実行する場合(仮配置(e)、図中破線で記載)と、次善コスト時間帯で実行する場合(仮配置(f)、図中実線で記載)の総電力コストを比較する。図では、仮配置(f)の方が総電力コストが低いため、ジョブ配置決定部28は、仮配置(f)を選択している。
【0277】
このように、本実施例によれば、上記条件d−4を満たす必要がないため、総電力コストを実施例4よりもさらに小さくした、待機実行時のジョブ実行計画を行うことができる。
【0278】
つまり、本実施例のジョブ配置決定部28は、画像出力コスト算出部27を用いて、以下のような処理を行うといえる。
【0279】
ジョブ配置決定部28は、画像情報処理の開始予定時刻が属する単位時間帯と、画像形成処理の終了予定時刻が属する単位時間帯とが異なる上記第k画像情報について、実施例4において総電力コスト(c)および総電力コスト(d)の比較によって、上記規則Eに従った実行タイミングを選択しようとするとき、以下の処理を行う。
【0280】
ジョブ配置決定部28は、上記規則Eに従ったときに、該第k画像情報処理ジョブの開始予定時刻と同一の単位時間帯に、画像情報処理の開始予定時刻が属する第k〜第(k+n)画像情報について、上記規則Eに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(k+n)ジョブに要する総電力コスト(e)と、上記規則Eの代わりに上記規則Fに従って第kジョブの実行タイミングを決定するとともに、上記規則Eに従って第(k+1)〜第(k+n)ジョブの実行タイミングを決定したときの第1〜第(k+n)ジョブに要する総電力コスト(f)とを、画像情報処理時の必要電力量、画像形成処理時の必要電力量、画像形成準備時の必要電力量、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択する。
【0281】
第k画像情報について、総電力コスト(c)および総電力コスト(d)の比較によって、上記規則Eに従った実行タイミングを選択しようとする場合、第k〜第(k+n)画像情報について、上記規則Eに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(k+n)ジョブに要する総電力コストは、必ずしも最小とならない。
【0282】
すなわち、第k〜第(k+n)画像情報について上記規則Eに従って上記画像出力処理を実行することによる、画像形成準備処理の回数の減少による総電力コストの低下効果と、第kジョブを上記規則Fに従って実行することによる、単位コストの差による総電力コストの低下効果との大小に応じて、総電力コスト(e)と総電力コスト(f)との大小が決定する。
【0283】
そして、上記の構成によれば、ジョブ実行計画手段が、総電力コスト(e)と総電力コスト(f)とを比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択するため、総電力コストをより低下させることができる。
【0284】
(変形形態)
上記説明では、画像形成装置1として、デジタル複合機を例とした。しかしながら、画像形成装置1がこれに限定されるものではない。例えば、図1から通信部11を省略した単機能のデジタル複写機でもよい。また、図1から原稿画像読取部14を省略したプリンタでもよい。なお、上記通信部11がFax回線であるFax送受信機でもよい。
【0285】
また、上記実施例1〜5を組み合わせた実施例も考えられる。例えば、所定時刻までは、入力画像情報が入力されるごとに、実施例3に記載のジョブ実行計画を行い、該所定時刻以降に入力画像情報が入力された場合には、ジョブ未配置の時間において、実施例2に記載のジョブ実行計画を行ってもよい。実施例3〜5のジョブ実行計画は、登録済みジョブおよび新規追加ジョブの全てに対して行われるため、処理に時間を要する。一方、実施例2のジョブ実行計画は、新規追加ジョブの実行予定時間を決定するだけですむため、該計画処理が簡単である。そのため、所定時刻以降のジョブ実行計画の処理を簡単に行うことができる。
【0286】
また、上記説明では、実施例5を実施例4の変形例とした。しかしながら、実施例5に記載の技術は、実施例3にも適用可能である。
【0287】
すなわち、ジョブ配置決定部28は、画像出力コスト算出部27を用いて、以下のような処理を行う。
【0288】
ジョブ配置決定部28は、画像情報処理の開始予定時刻が属する単位時間帯と、画像形成処理の終了予定時刻が属する単位時間帯とが異なる第j画像情報について、実施例3において総電力コスト(a)および総電力コスト(b)の比較によって、上記規則Eに従った実行タイミングを選択しようとするとき、以下の処理を行う。
【0289】
ジョブ配置決定部28は、上記規則Bに従ったときに、該第j画像形成ジョブの終了予定時刻と同一の単位時間帯に、画像形成処理の終了予定時刻が属する第j〜第(j+n)画像情報について、上記規則Bに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(j+n)ジョブに要する総電力コストと、上記規則Bの代わりに上記規則Cに従って第jジョブの実行タイミングを決定するとともに、上記規則Bに従って第(j+1)〜第(j+n)ジョブの実行タイミングを決定したときの第1〜第(j+n)ジョブに要する総電力コストとを、画像情報処理時の必要電力量、画像形成処理時の必要電力量、画像形成準備時の必要電力量、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択すればよい。
【0290】
また、上記実施例3では、処理/形成時間比のみを用いて、画像情報処理および画像形成処理を行う入力画像情報の順番を決定した。しかしながら、画像出力時間予測部26によって予測された画像情報処理時間および画像形成処理時間の長さを考慮して、画像情報処理および画像形成処理を行う入力画像情報の順番を決定してもよい。これにより、画像形成準備処理の回数を減らすことが可能となる。
【0291】
また、上記実施例3において、条件cの中に以下の条件c−5を追加してもよい。この場合、E18の処理が不要となる。
・条件c−5:全てのジョブについて、画像情報処理の開始予定時刻と、画像形成処理の終了予定時刻とを同一の単位時間帯にする。
【0292】
また、上記説明では、即時/待機情報が「待機実行」を示している場合、即時実効時と待機実行時との総電力コストのコスト差を通知しないものとした。しかしながら、即時/待機情報が「待機実行」を示している場合(図9のA5でNoの場合)でも、該コスト差を通知してもよい。これにより、ユーザの電力コストに対する意識が向上する。
【0293】
また、上記説明では、単位コストが単位電力量あたりの電気料金であるとした。しかしながら、単位コストはこれに限られない。
【0294】
近年、発電によるCO2の発生などの環境に対する負荷が問題となっている。一般に、電力供給会社は、数種類の発電方法を組み合わせて使用しており、それぞれが発電する割合が時間ごとに異なる。また、各発電方法によって環境に対する負荷が異なるため、単位電力量を発生するためにかかる環境負荷量も時間帯によって異なる。
【0295】
そのため、上記単位コストは、単位電力量を発生するために必要が環境負荷量であってもよい。ここで、環境負荷量とは、例えば、電力量を発生するためのCOの発生量などである。これにより、環境に対する負荷を低減させることができる。
【0296】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1は、入力画像情報を取得する原稿画像読取部(画像情報取得手段)14または通信部(画像情報取得手段)11と、原稿画像読取部14または通信部11が取得した入力画像情報により示される画像を物理媒体上に出力する画像出力処理を行う画像情報処理部(画像出力手段)16およびエンジン部(画像出力手段)18とを備える。そして、画像形成装置1は、単位電力量あたりの電力コストである単位コストの使用時刻による変動を示す電力コスト基本情報を管理するコスト情報管理部(コスト情報管理手段)19と、上記電力コスト基本情報に基づいて、所定時間帯を、単位コストが同一であり、かつ、時間が連続した単位時間帯に分割する時間帯別優先度設定部(分割手段)25と、上記単位時間帯の中から最も単位コストの小さい単位時間帯を最優先時間帯として抽出し、該最優先時間帯を優先して、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定するジョブ実行計画処理を行うジョブ配置決定部(ジョブ実行計画手段)28とを備える。
【0297】
上記の構成によれば、画像情報に対する画像出力処理は、最優先時間帯に集中して行われることとなる。その結果、総電力コストを低減させることができる。
【0298】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0299】
最後に、画像形成装置1の各ブロック、特にジョブスケジューリング部20は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0300】
すなわち、画像形成装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像形成装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0301】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0302】
また、画像形成装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0303】
(補足事項)
本発明は、以下のようにも表現できる。
すなわち、原稿画像から原稿画像情報を読み取る原稿画像情報読取手段を備え、原稿画像情報を入力画像情報として取り扱い、前記入力画像情報を記憶する画像情報記憶手段、画像情報記憶手段に記憶されている記憶画像情報を画像形成可能な形に変換処理する画像情報処理手段、画像情報処理手段によって変換処理された出力可能画像情報を物理媒体上に形成する実画像形成手段、前記各手段間での画像情報の転送を制御する画像情報制御手段、必要に応じて各部の電力供給状態を制御する電力供給制御手段、使用時刻に依存する電力コストを規定するコスト基本情報を保持し任意時刻における単位コスト情報を算出するコスト情報管理手段、画像情報記憶手段に記憶されている画像情報にもとづき実画像形成手段にて画像形成を行う画像出力ジョブの実行タイミングに関して、時刻依存する単位コスト情報に基づき、対象とする全ての画像出力ジョブの画像出力コストの総和を極小化することを基準に各ジョブの実行タイミングを計画するジョブスケジューリング手段、
を備える。
【0304】
これにより、デジタル複写機において、電力コストが低い時間帯に集中して印刷することにより、総電力コストを低減させることができる。
【0305】
もしくは、本発明は、以下のようにも表現できる。
外部情報処理装置からプリント画像情報を受信することができる通信手段を備え、プリント画像情報を入力画像情報として取り扱い、前記入力画像情報を記憶する画像情報記憶手段、画像情報記憶手段に記憶されている記憶画像情報を出力可能な形に変換処理する画像情報処理手段、画像情報処理手段によって変換処理された出力画像情報を物理媒体上に形成する実画像形成手段、前記各手段間での画像情報の転送を制御する画像情報制御手段、必要に応じて各部の電力供給状態を制御する電力供給制御手段、使用時刻に依存する電力コストを規定するコスト基本情報を保持し任意時刻における単位コスト情報を算出するコスト情報管理手段、画像情報記憶手段に記憶されている画像情報にもとづき実画像形成手段にて画像形成を行う画像出力ジョブの実行タイミングに関して、時刻依存する単位コスト情報に基づき、対象とする全ての画像出力ジョブの画像出力コストの総和を極小化することを基準に各ジョブの実行タイミングを計画するジョブスケジューリング手段、を備える。
【0306】
これにより、プリンタまたはFAXにおいて、電力コストが低い時間帯に集中して印刷することにより、総電力コストを低減させることができる。
【0307】
もしくは、本発明は、以下のようにも表現できる。
原稿画像から原稿画像情報を読み取る原稿画像読取手段と、外部情報処理装置からプリント画像情報を受信することができる通信手段を備え、原稿画像情報およびプリント画像情報を入力画像情報として取り扱い、前記入力画像情報を記憶する画像情報記憶手段、画像情報記憶手段に記憶されている記憶画像情報を出力可能な形に変換処理する画像情報処理手段、画像情報処理手段によって変換処理された出力画像情報を物理媒体上に形成する実画像形成手段、前記各手段間での画像情報の転送を制御する画像情報制御手段、必要に応じて各部の電力供給状態を制御する電力供給制御手段、使用時刻に依存する電力コストを規定するコスト基本情報を保持し任意時刻における単位コスト情報を算出するコスト情報管理手段、画像情報記憶手段に記憶されている画像情報にもとづき実画像形成手段にて画像形成を行う画像出力ジョブの実行タイミングに関して、時刻依存する単位コスト情報に基づき、対象とする全ての画像出力ジョブの画像出力コストの総和を極小化することを基準に各ジョブの実行タイミングを計画するジョブスケジューリング手段、を備える。
【0308】
これにより、デジタル複合機において、電力コストが低い時間帯に集中して印刷することにより、総電力コストを低減させることができる。
【0309】
そして、新規の入力画像情報を取得する度に、既にスケジューリング済みの他の画像出力ジョブも含めて再スケジュールを行うことが好ましい。これにより、追加されたデータも含めて再スケジューリングすることにより、常時最適なスケジューリングを保つことができる。
【0310】
また、ジョブスケジューリング手段は、画像出力ジョブの実行時間の予測値である予測画像出力時間の算出を行う画像出力時間予測手段、予測画像出力時間と単位コスト情報に基づき画像出力ジョブの画像出力コストを算出する画像出力コスト算出手段とを備え、画像出力コストがより小さくなることを基準に各画像出力ジョブの実行タイミングを計画することが好ましい。これにより、よりコストの小さい時間帯に画像出力ジョブを実行することにより、総電力コストを小さくすることができる。
【0311】
また、画像出力ジョブは画像情報記憶手段によって記憶されている記憶画像情報を実画像形成手段に対して出力可能な出力画像情報に変換する画像情報処理ジョブと、変換後の出力画像情報にもとづき実画像形成手段にて画像形成を行う画像形成ジョブとによって構成され、画像情報処理ジョブは画像形成ジョブに先行して独立して実行することが可能であり、画像出力時間予測手段は、画像情報処理ジョブの実行時間の予測値である予測画像処理時間の算出を行う画像処理時間予測手段と、画像形成ジョブの実行時間の予測値である予測画像形成時間の算出を行う画像形成時間予測手段とによって構成され、ジョブスケジューリング手段は予測画像形成時間に対する予測画像処理時間の比が小さいジョブから順に画像情報処理ジョブを連続して実行するように計画し、画像形成ジョブに関しても対応する画像情報処理ジョブと同一順序に従い、実行可能となった時点で即時実行するように計画することが好ましい。
【0312】
これにより、先に画像処理時間の小さいジョブに対する画像形成を実行している間に、後につづく画像処理時間の大きいジョブに関する画像処理を先行して行うことにより、画像処理時間の大きいジョブにおいて、画像処理を待つために画像形成を実施できないアイドル時間を少なくし、総運転時間、ひいては総電力コストを低減させることができる。
【0313】
また、画像出力ジョブは画像情報記憶手段によって記憶されている記憶画像情報を実画像形成手段に対して出力可能な出力画像情報に変換する画像情報処理ジョブと、変換後の出力画像情報にもとづき実画像形成手段にて画像形成を行う画像形成ジョブとによって構成され、画像情報処理ジョブは画像形成ジョブに先行して独立して実行することが可能であり、画像出力時間予測手段は、画像情報処理ジョブの実行時間の予測値である予測画像処理時間の算出を行う画像処理時間予測手段と、画像形成ジョブの実行時間の予測値である予測画像形成時間の算出を行う画像形成時間予測手段とによって構成され、ジョブスケジューリング手段は予測画像形成時間に対する予測画像処理時間の比が大きいジョブから逆順に画像形成ジョブを連続して実行するように計画し、画像情報処理ジョブに関しては、対応する画像形成ジョブと同一順序に従い、各画像形成ジョブの実行開始前に画像情報処理ジョブを終了するように計画してもよい。
【0314】
画像形成手段は画像処理手段に比して消費電力が桁違いに大きく、また、運転開始時に一定以上の温度を確保しておく必要がある。よって非連続で運転した場合も、運転開始までにウォームアップのために多大な電力を消費するが、画像形成部を連続運転させることにより電力消費を抑えることができる。
【0315】
また、ジョブスケジューリング手段は、新たに画像出力ジョブを追加してスケジューリングをし直す際に、既に画像出力ジョブの実行を割り当ててある既計画時間帯に収まりきらない場合、既計画時間帯の前方に連続である既計画直前時間帯を既計画時間帯と連結して使用し、連続して画像出力ジョブを実行するようにスケジューリングをした場合の総画像出力コストと、まだ画像出力ジョブを割り当てていない未計画時間帯のうち最も画像出力コストの低い次善コスト時間帯を使用して、既計画時間帯とは不連続で画像出力ジョブを実行するようにスケジューリングした場合の総画像出力コストとを比較し、総画像出力コストがより小さくなる手法を選択することが好ましい。
【0316】
画像情報処理ジョブが増え、より高コストの時間帯を使用する必要がでてきた場合、直前の時間帯が次にコストが低い時間帯であれば、そのまま連続してジョブ実行するようにすればよいが、該時間帯が直前の時間帯でない場合、ジョブ実行の休止期間が発生し、ウォームアップを2度行う必要がでてくる。
【0317】
ウォームアップには多大な電力を必要とするため、コストが高くても直前に連続してジョブを実行するほうがコスト的に有利な場合があり、より良い手段を選択することができる。
【0318】
また、前回のスケジューリングを実施した際に、画像出力ジョブが既計画時間帯に収まりきらず、総画像出力コストの比較の結果として、既計画時間帯の前方に連続である既計画直前時間帯を既計画時間帯と連結して使用し、連続して画像出力ジョブを実行するようにスケジューリングをした場合において、ジョブスケジューリング手段は、新たな画像出力ジョブの追加の際に、既計画時間帯、既計画直前時間帯、次善コスト時間帯の定義を前回スケジューリング時と同一に定義し、既計画時間帯からはみ出す複数の画像出力ジョブをまとめて同一の時間帯に配置することを条件として、既計画直前時間帯を既計画時間帯と連結して使用し、連続して画像出力ジョブを実行するようにスケジューリングをした場合の総画像出力コストと、次善コスト時間帯を使用し、既計画時間帯とは不連続で画像出力ジョブを実行するようにスケジューリングした場合の総画像出力コストとを比較し、
総画像出力コストがより小さくなる手法を選択することが好ましい。
【0319】
前回、電力コストの低い時間帯が不連続であったため、単位電力コストは高いがウォーミングアップ時の電力コストを含めて考えて直前時間帯に連続してスケジューリングを行った場合、新規ジョブを追加した際に、前回の分も合わせて電力コストの低い時間帯に割り振れば、ウォーミングアップ時の電力コストを含めてもコストが小さくなる場合があり、最適なスケジューリングができる。
【0320】
また、ジョブスケジューリング手段は、すべてのジョブを完了すべき所定の完了時刻を記憶しておく完了時刻管理手段を備え、すべての画像出力ジョブが完了時刻までに完了するようにジョブの実行を計画する。これにより、例えば、翌日の通常業務が開始される前に、全ての夜間印刷が完了するように印刷計画を立てる。
【0321】
また、画像形成装置は、入力画像情報は画像出力コストが低コストとなる時刻まで待機することを許可するかどうかを示す待機出力可否情報を持ち、ジョブスケジューリング手段は、待機出力可否情報が待機出力可を示す入力画像情報に関しては所定の手順に従ったスケジューリングを行い、待機出力可否情報が待機出力不可を示す入力画像情報に関しては処理可能になった時点で即時に画像出力ジョブを実行することが好ましい。
【0322】
これにより、即時に印刷物が必要なジョブと、翌朝までに印刷物が入手できれば良いジョブとを識別し、即時性の必要の無い場合は電力コストを優先して夜間印刷を行う。
【0323】
また、画像形成装置は、操作者に対しての通知情報を表示する通知情報表示手段を持ち、入力画像情報を待機出力することを前提にスケジューリングした場合の総画像出力コストと、入力画像情報を即時出力する場合の総画像出力コストの差を操作者に通知することが好ましい。
【0324】
夜間出力した場合と即時出力した場合の電力コスト差を通知することにより、操作者の電力コストに対する意識を向上させる。
【0325】
また、画像形成装置は、操作者に対しての通知情報を表示する通知情報表示手段と、操作者による操作情報を入力する操作情報入力手段を持ち、入力画像情報を待機出力することを前提にスケジューリングした場合の総画像出力コストと、入力画像情報を即時出力する場合の総画像出力コストの差を操作者に通知すると共に、待機出力可否情報が待機出力不可を示している場合には、操作者に対して待機出力可否情報の変更を促がす通知を行い、操作者から同意を示す操作入力があれば、待機出力可否情報を待機出力可に変更し、待機出力することを前提にしたスケジューリングにしたがって画像出力ジョブを実行することが好ましい。
【0326】
特に必要も無く即時印刷指定をした操作者に対し、電力コスト差を提示することによって夜間印刷に変更してもらうことにより、電力コストの削減を行う。
【0327】
また、画像形成装置は、外部情報処理装置との通信手段を備え、外部情報処理装置から通信手段を経由して受信されるプリント画像情報を入力画像情報として取り扱う際に、操作者による操作情報の入力および操作者に対する通知情報の表示をプリント画像情報を送信した外部情報処理装置において行ってもよい。
【0328】
これにより、パソコンからプリンタとして使用しているユーザーに対しても、電力コスト差の表示および夜間印刷可否の切り替え要請を行うことができる。
【0329】
また、コスト情報管理手段が保持するコスト基本情報とは、所定の時間帯別電気料金情報、従量制電気料金情報と、自装置が設置されている施設の電力使用量情報であり、コスト情報管理手段が出力する単位コスト情報とは、所望の指定された時刻に対して時間帯別電気料金情報、従量制電気料金情報、電力使用量情報から算出される単位電力あたりの電気料金である。
【0330】
一般的に電力供給会社は、電力需要の小さい夜間の電気料金を割り引くことにより、昼夜での電力需要の平準化を図っている。よって、夜間の低料金の間にまとめて印刷することにより電力コストを削減することができる。
【0331】
また、コスト情報管理手段が保持するコスト基本情報とは、所望の指定時刻における単位電力を発生するためにかかる環境負荷に基づいた環境コスト情報であってもよい。
【0332】
一般的に電力供給会社は、数種類の発電方法を組み合わせて使用しており、それぞれが発電する割合が時間帯によって異なっている。また、それぞれの発電方法によって環境に対する負荷も異なっているため、単位電力を発生するのにかかる環境負荷も時間帯によって異なっている。この環境負荷の時間変化にもとづいた環境コストの低い時間帯にまとめて印刷を行うことにより、環境負荷を低減することができる。
【0333】
また、ジョブスケジューリング手段における画像出力コスト算出手段は、画像情報処理ジョブを実行するための単位時間当たりの消費電力である画像処理電力情報と、画像形成ジョブを実行するための単位時間当たりの消費電力である画像形成電力情報と、画像形成ジョブの実行前に画像形成手段を準備状態にさせるための消費電力である画像形成準備電力情報と保持し、予測画像処理時間、画像処理電力情報、単位コスト情報の積を画像処理コストとして算出する画像処理コスト算出手段と、予測画像形成時間、画像形成電力情報、単位コスト情報の積および画像形成準備電力情報、単位コスト情報の積にもとづき画像形成コストを算出する画像形成コスト算出手段を備え、画像処理コストと画像形成コストの和を画像出力コストとして算出する。
【0334】
これにより、装置よって異なる各ジョブ実行時の消費電力値を考慮してスケジューリングを行うことができる。
【0335】
また、画像形成装置は、操作者による操作情報を入力する操作情報入力手段を持ち、単位コスト情報の算出に必要なコスト基本情報を操作情報入力手段により設定可能である。これにより、電気料金の変更などによるコスト基本情報の変更に対応可能となる。
【0336】
また、画像形成装置は、外部装置との通信を行う通信手段を持ち、単位コスト情報の算出に必要なコスト基本情報を外部端末経由で設定することが可能であってもよい。これにより、外部PCを用いて操作することにより、設定作業効率が上がる。また、複数の画像形成装置に対して、PCから集中管理することができる。
【0337】
また、画像形成装置は、外部装置との通信を行う通信手段を持ち、単位コスト情報の算出に必要なコスト基本情報を所定の外部装置から自動的に取得してもよい。これにより、コスト基本情報を集中管理しているサーバーから、随時、自動的に情報取得することにより、常に最新情報によるジョブスケジューリングが可能となり、また、管理も簡単となる。
【産業上の利用可能性】
【0338】
本発明は、プリンタ、複写機、複合機などの画像形成装置におけるジョブスケジューリングに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0339】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】コスト情報管理部が管理する電力コスト基本情報の時間帯別電気料金の一例を示す図である。
【図3】コスト情報管理部が管理する電力コスト基本情報の曜日別電気料金の一例を示す図である。
【図4】コスト情報管理部が管理する電力コスト基本情報の従量制電気料金の一例を示す図である。
【図5】待機実行リストの一例を示す図である。
【図6】ジョブスケジューリング部の構成を示すブロック図である。
【図7】時間帯別優先度設定部が生成する優先度テーブルの一例を示す図である。
【図8】電力コストの演算手順を示す図である。
【図9】新たな入力画像情報が入力画像情報記憶部に格納されてから、ジョブ実行計画記憶部が更新されるまでの処理の概要を示すフローチャートである。
【図10】画像情報処理部に対する制御処理、および、画像情報処理部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】エンジン部に対する制御処理、および、エンジン部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】ジョブ実行優先度の設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施例1において待機実行する場合の各ジョブの電力コストを示す図である。
【図14】全てのジョブを即時実行した場合の各ジョブの電力コストを示す図である。
【図15】実施例2において待機実行する場合の各ジョブの電力コストを示す図である。
【図16】実施例3における、待機実行時のジョブ実行計画の処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】ジョブの仮配置(a)および仮配置(b)の決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】実施例3において待機実行する場合の各ジョブの電力コストを示す図である。
【図19】実施例4における、待機実行時のジョブ実行計画の処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】実施例4において待機実行する場合の各ジョブの電力コストを示す図である。
【図21】仮配置(c)における総電力コスト(c)と、仮配置(d)における総電力コスト(d)との差を示す図である。
【図22】ジョブの仮配置(c)および仮配置(d)の決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図23A】実施例5における、待機実行時のジョブ実行計画の処理の流れを示すフローチャートの前半部分である。
【図23B】実施例5における、待機実行時のジョブ実行計画の処理の流れを示すフローチャートの後半部分である。
【図24】実施例5と実施例4との電力コストの差を示す図である。
【符号の説明】
【0340】
1 画像形成装置
2 外部情報処理装置(外部装置)
11 通信部(通信手段、画像情報取得手段)
12 通知情報表示部(表示部)
13 操作情報入力部(入力部)
14 原稿画像読取部(画像情報取得手段)
15 入力画像情報記憶部
16 画像情報処理部(画像出力手段、画像情報処理手段)
17 処理済画像情報記憶部
18 エンジン部(画像出力手段、画像形成手段)
19 コスト情報管理部(コスト情報管理手段)
20 ジョブスケジューリング部
21 ジョブ実行計画記憶部
22 画像情報制御部
23 電力供給制御部
24 完了時刻管理部(完了時刻設定手段)
25 時間帯別優先度設定部(分割手段)
26 画像出力時間予測部(出力処理時間予測手段)
26a 画像処理時間予測部
26b 画像形成時間予測部
27 画像出力コスト算出部(ジョブ実行計画手段)
27a 画像処理コスト算出部
27b 画像形成準備コスト算出部
27c 画像形成コスト算出部
28 ジョブ配置決定部(ジョブ実行計画手段)
29 即時/待機決定部(通知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を取得する画像情報取得手段と、
画像情報取得手段が取得した画像情報により示される画像を物理媒体上に出力する画像出力処理を行う画像出力手段とを備えた画像形成装置であって、
単位電力量あたりの電力コストである単位コストの使用時刻による変動を示す電力コスト基本情報を管理するコスト情報管理手段と、
上記電力コスト基本情報に基づいて、所定時間帯を、単位コストが同一であり、かつ、時間が連続した単位時間帯に分割する分割手段と、
上記単位時間帯の中から最も単位コストの小さい単位時間帯を最優先時間帯として抽出し、該最優先時間帯を優先して、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定するジョブ実行計画処理を行うジョブ実行計画手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段を備え、
上記ジョブ実行計画手段は、所定条件を満たす、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングの中から、上記各単位時間帯の単位コストと、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間とに基づいて、上記画像出力処理に要する総電力コストが最小となる実行タイミングを選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記画像情報取得手段は、原稿画像から上記画像情報を読み取ることで、該画像情報を取得することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の画像形成装置において、
外部装置と通信可能な通信手段を備え、
上記画像情報取得手段は、上記通信手段を介して、上記外部装置から上記画像情報を取得することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像形成装置において、
上記ジョブ実行計画手段は、上記画像情報取得手段が新規画像情報を取得するたびに、該新規画像情報と、上記画像情報取得手段が既に取得している取得済画像情報との上記画像出力処理に要する総電力コストが最小となるように、これらの画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段を備え、
上記画像出力手段は、互いに並列して処理が実行可能な画像情報処理手段と画像形成手段とを備え、
上記画像情報処理手段は、上記画像出力処理の一部として、上記画像情報を上記画像形成手段が処理可能な形式である出力画像情報に変換する画像情報処理を行い、
上記画像形成手段は、上記画像出力処理の一部として、上記画像情報処理手段によって生成された出力画像情報に基づいて、上記物理媒体に画像を形成する画像形成処理を行い、
上記出力処理時間予測手段は、上記出力処理時間として、各画像情報に対する、上記画像情報処理に要する画像情報処理時間と、上記画像形成処理に要する画像形成処理時間とを予測し、
各画像情報に対して、上記出力処理時間予測手段によって予測された上記画像形成処理時間に対する上記画像情報処理時間の比を処理/形成時間比とすると、
上記ジョブ実行計画手段は、各画像情報に対する、上記処理/形成時間比、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された上記画像情報処理時間ならびに上記画像形成処理時間に基づいて、以下の規則AおよびBを満たすように、各画像情報に対する画像情報処理および画像形成処理の実行タイミングを決定することを特徴とする画像形成装置。
なお、上記処理/形成時間比が第J番目に小さい画像情報を第J画像情報とする。
規則A:上記最優先時間帯の開始時刻を、第1画像情報に対する上記画像情報処理の開始予定時刻とし、該第1画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻を、該第1画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻とする。
規則B:第(J−1)画像情報(J>1)に対する画像情報処理の終了予定時刻を、第J画像情報に対する上記画像情報処理の開始予定時刻とし、該第J画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻、および、第(J−1)画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻のいずれか遅い方を該第J画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻とする。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
上記ジョブ実行計画手段は、
画像情報処理の開始予定時刻と画像形成処理の終了予定時刻とが異なる単位時間帯に属する第j画像情報について、
上記規則Bに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第j画像情報に対する上記画像出力処理に要する第1の総電力コストと、上記規則Bの代わりに以下の規則Cに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第j画像情報に対する上記画像出力処理に要する第2の総電力コストとを、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択することを特徴とする画像形成装置。
規則C:第1〜第(j−1)画像情報に対する画像出力処理を配置していない単位時間帯の中で最も単位コストの低い次善コスト単位時間帯の開始時刻を、第j画像情報に対する上記画像情報処理の開始予定時刻とし、該第j画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻を該第j画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻とする。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
上記ジョブ実行計画手段は、上記第j画像情報について、上記第1の総電力コストおよび第2の総電力コストの比較によって、上記規則Bに従った実行タイミングを選択しようとする場合、
上記規則Bに従ったときに、該第j画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻と同一の単位時間帯に、画像形成処理の終了予定時刻が属する第j〜第(j+n)画像情報について、
上記規則Bに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(j+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する第3の総電力コストと、上記規則Bの代わりに上記規則Cに従って第j画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定するとともに、上記規則Bに従って第(j+1)〜第(j+n)画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(j+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する第4の総電力コストとを、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段を備え、
上記画像出力手段は、互いに並列して処理が実行可能な画像情報処理手段と画像形成手段とを備え、
上記画像情報処理手段は、上記画像出力処理の一部として、上記画像情報を上記画像形成手段が処理可能な形式である出力画像情報に変換する画像情報処理を行い、
上記画像形成手段は、上記画像出力処理の一部として、上記画像情報処理手段によって生成された出力画像情報に基づいて、上記物理媒体に画像を形成する画像形成処理を行い、
上記出力処理時間予測手段は、上記出力処理時間として、各画像情報に対する、上記画像情報処理に要する画像情報処理時間と、上記画像形成処理に要する画像形成処理時間とを予測し、
各画像情報に対して、上記出力処理時間予測手段によって予測された上記画像形成処理時間に対する上記画像情報処理時間の比を処理/形成時間比とすると、
上記ジョブ実行計画手段は、各画像情報に対する、上記処理/形成時間比、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された上記画像情報処理時間ならびに上記画像形成処理時間に基づいて、以下の規則DおよびEに従って、各画像情報に対する画像情報処理および画像形成処理の実行タイミングを決定することを特徴とする画像形成装置。
なお、上記処理/形成時間比が第K番目に大きい画像情報を第K画像情報とする。
規則D:上記最優先時間帯の最終時刻を、第1画像情報に対する上記画像形成処理の終了予定時刻とし、該第1画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻を、該第1画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻とする。
規則E:第(K−1)画像情報(K>1)に対する画像形成処理の開始予定時刻を、第K画像情報に対する上記画像形成処理の終了予定時刻とし、該第K画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻、および、第(K−1)画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻のいずれか早い方を、該第K画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻とする。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において、
上記ジョブ実行計画手段は、
画像情報処理の開始予定時刻と画像形成処理の終了予定時刻とが異なる単位時間帯に属する第k画像情報について、上記規則Eに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第k画像情報に対する上記画像出力処理に要する第1の総電力コストと、上記規則Eの代わりに以下の規則Fに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第k画像情報に対する上記画像出力処理に要する第2の総電力コストとを、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択することを特徴とする画像形成装置。
規則F:第1〜第(k−1)画像情報に対する画像出力処理を配置していない単位時間帯の中で最も電気料金の低い次善コスト単位時間帯の最終時刻を、第k画像情報に対する画像形成処理の終了予定時刻とし、該第k画像情報に対する画像形成処理の開始予定時刻を該第k画像情報に対する画像情報処理の終了予定時刻とする。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
上記ジョブ実行計画手段は、
上記第k画像情報について、上記第1の総電力コストおよび第2の総電力コストの比較によって、上記規則Eに従った実行タイミングを選択しようとする場合、
上記規則Eに従ったときに、該第k画像情報に対する画像情報処理の開始予定時刻と同一の単位時間帯に、画像情報処理の開始予定時刻が属する第k〜第(k+n)画像情報について、
上記規則Eに従って上記画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(k+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する第3の総電力コストと、上記規則Eの代わりに上記規則Fに従って第k画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定するとともに、上記規則Eに従って第(k+1)〜第(k+n)画像情報に対する画像出力処理の実行タイミングを決定したときの第1〜第(k+n)画像情報に対する上記画像出力処理に要する第4の総電力コストとを、上記各単位時間帯の単位コスト、および、上記出力処理時間予測手段によって予測された出力処理時間に基づいて比較し、低い方の総電力コストに対応する実行タイミングを選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記ジョブ実行計画処理の対象となる全ての画像情報に対する画像出力処理を完了すべき完了時刻を設定する完了時刻設定手段を備え、
上記分割手段は、現時刻から上記完了時刻までの時間を、上記単位時間帯に分割し、
上記ジョブ実行計画手段は、上記分割手段によって分割された単位時間帯において、上記ジョブ実行計画処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記画像情報取得手段は、各画像情報に対応付けられた、画像出力処理を即時実行するか待機実行するかを示す即時/待機情報を取得し、
上記ジョブ実行計画手段は、待機実行を示す上記即時/待機情報に対応付けられた画像情報を対象として上記ジョブ実行計画処理を行い、
上記画像出力手段は、上記即時/待機情報が待機実行を示す場合、該即時/待機情報に対応付けられた画像情報の画像出力処理を、上記ジョブ実行計画手段が決定した実行タイミングに従って実行し、上記即時/待機情報が即時実行を示す場合、該即時/待機情報に対応付けられた画像情報の画像出力処理を即時実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像形成装置において、
上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段と、
表示部と、
上記画像情報取得手段が新規画像情報を取得した場合、各画像情報に対して予測された上記処理時間と、上記単位時間帯ごとの単位コストとに基づいて、当該新規画像情報を即時実行したときの総電力コストと、当該新規画像情報に対して上記ジョブ実行計画処理を行い、そのジョブ実行計画に従って画像出力処理を行うと仮定したときの総電力コストとのコスト差を求め、該コスト差を上記表示部に通知する通知手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項13に記載の画像形成装置において、
外部装置と通信可能な通信手段と、
上記画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像の上記画像出力処理に要する出力処理時間を予測する出力処理時間予測手段と、
上記画像情報取得手段が新規画像情報を取得した場合、各画像情報に対して予測された上記処理時間と、上記単位時間帯ごとの単位コストとに基づいて、当該新規画像情報を即時実行したときの総電力コストと、当該新規画像情報に対して上記ジョブ実行計画処理を行い、そのジョブ実行計画に従って画像出力処理を行うと仮定したときの総電力コストとのコスト差を求め、上記通信手段を介して、該コスト差を上記外部装置に通知する通知手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の画像形成装置において、
上記通知手段は、上記新規画像情報に対応付けられた上記即時/待機情報が即時実行を示している場合、上記コスト差とともに、当該新規画像情報に対する画像出力処理を待機実行に変更するように促す旨の情報を通知し、上記新規画像情報に対応付けられた上記即時/待機情報の変更指示を受付可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記コスト情報管理手段は、上記電力コスト基本情報として、単位電力量あたりの電気料金の使用時刻による変動と、単位電力量あたりの電気料金の使用電力量による変動とを示す電気料金情報を管理しており、
上記分割手段は、上記電気料金情報と、自装置が設置されている施設の電力使用量を示す電力使用量情報とに基づいて、上記所定時間帯を、単位電力量あたりの電気料金が同一であり、かつ、時間が連続した上記単位時間帯に分割することを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記単位コストは、単位電力量を発生するために必要が環境負荷量であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項2、5、7、8、10、11、14、15のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記ジョブ実行計画手段は、自装置に固有の画像出力処理に必要な単位時間あたりの消費電力量を予め記憶しており、当該消費電力量を用いて、上記総電力コストを算出することを特徴とする。
【請求項20】
請求項1に記載の画像形成装置において、
ユーザ指示を受け付ける入力部を備え、
上記コスト情報管理手段は、上記入力部から上記電力コスト基本情報を取得することを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
請求項1に記載の画像形成装置において、
外部装置と通信可能な通信手段を備え、
上記コスト情報管理手段は、上記通信手段を介して、上記電力コスト基本情報の更新指示を上記外部装置から受付可能であり、受け付けた更新指示に従って、上記電力コスト基本情報を更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記電力コスト基本情報を記憶するサーバ装置と通信可能な通信手段を備え、
上記コスト情報管理手段は、所定のタイミングで、上記通信手段を介して、上記サーバ装置から上記電力コスト基本情報を取得することを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
画像情報を取得する画像情報取得手段と、
画像情報取得手段が取得した画像情報により示される画像を物理媒体上に出力する画像出力処理を行う画像出力手段とを備えた画像形成装置におけるジョブスケジューリング方法であって、
上記画像形成装置は、単位電力量あたりの電力コストである単位コストの使用時刻による変動を示す電力コスト基本情報を管理しており、
上記電力コスト基本情報に基づいて、所定時間帯を、単位コストが同一であり、かつ、時間が連続した単位時間帯に分割する分割ステップと、
上記単位時間帯の中から最も単位コストの小さい単位時間帯を最優先時間帯として抽出し、該最優先時間帯を優先して、上記画像情報に対する上記画像出力処理の実行タイミングを決定するジョブ実行計画ステップとを含むことを特徴とするジョブスケジューリング方法。
【請求項24】
請求項1から22のいずれか1項に記載の画像形成装置の上記の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項25】
請求項24に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−237554(P2007−237554A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63066(P2006−63066)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】