説明

画像形成装置、及び該装置の制御方法

【課題】 使い勝手を向上させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 電子写真カラー複写機100は、トナー及びキャリアを含む2成分の現像剤を用いてトナーパターン70を含むトナー像を形成する現像装置14a〜14dと、中間転写ベルト31上に形成されたトナーパターン70のトナー濃度を検出するトナーパターン読み取りセンサ60とを備える。電子写真カラー複写機100は、中間転写ベルト31上に形成されたトナーパターン70のトナー濃度の検出結果に応じて、トナー帯電量を上昇させるための現像装置14a〜14dのアジテータの空回転を実行するか、又はその実行をスキップする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び該装置の制御方法に関し、特に、トナー及びキャリアから成る2成分の乾式現像剤を用いる現像ユニットを備える電子写真方式の画像形成装置、及び該装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、トナー及びキャリアから成る2成分の乾式現像剤を用いて像担持体上の静電潜像を現像することにより可視像(トナー像)を形成する現像器を備える。
【0003】
現像器は、回転することにより現像器のアジテータに収納されている現像剤の各成分を混合攪拌して摩擦帯電させる。これにより、現像器は、現像に必要な帯電量を現像剤に付与している。現像剤の帯電量の値が所定の値で安定している場合には、現像時にトナーの像担持体上への付着量(トナー付着量)が所望の値から大きく変動することがないので、形成されたトナー像のトナーの濃度(以下、「画像濃度」という)が安定する。一方、現像剤の帯電量の値が所定の値で安定していない場合、トナー像の画像濃度が不安定になる。
【0004】
このため、従来の画像形成装置は、所定の時間にわたって現像動作(運転)を休止していた場合には、運転休止中に低下した現像剤の帯電量の値を現像に必要な帯電量の値になるまで上昇させるべく、運転開始時に現像器のアジテータを所定の時間にわたって空回転させる。これにより、現像器の現像能力の変動を抑制してトナー像の画像濃度を安定化させることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平04−255881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現像剤の帯電量は、前回の運転時における現像器の回転時間、現像剤中のトナーの消費量、環境温度、環境湿度、トナーの交換頻度などの様々な影響を受けやすい。したがって、運転休止中に低下した現像剤の帯電量の値を現像に必要な帯電量の値になるまで確実に上昇させるためには、現像剤の帯電量を検出するのは困難であるため、運転開始時におけるアジテータを空回転させる時間を長時間に設定する必要がある。その結果、アジテータの空回転に必要な時間の分だけ長い待ち時間が発生して迅速に画像形成を行うことができず、画像形成装置の使い勝手が優れたものとはいえなかった。
【0006】
また、乾式現像剤中のトナー及びキャリアを摩擦させるほど寿命がより低下するので、アジテータを空回転させる時間を少なくしてトナーの交換頻度を低下させることが求められている。
【0007】
本発明の第1の目的は、使い勝手を向上させることができる画像形成装置、及び該装置の制御方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、トナーの交換頻度を低下させることができる画像形成装置、及び該装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1及び第2の目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、トナー及びキャリアを含む少なくとも2成分の乾式現像剤を用いる現像ユニットを備える電子写真方式の画像形成装置において、前記現像ユニットに前記現像剤を用いてトナー像を形成させる現像動作を実行させる第1の制御手段と、前記現像ユニットを空回転させることにより前記現像ユニットが用いる前記現像剤のトナーの帯電量を制御する第2の制御手段と、前記形成されたトナー像の現像剤の濃度を検出するトナー濃度検出手段と、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度に応じて、前記第2の制御手段による前記現像ユニットの空回転を制御する第3の制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記第1及び第2の目的を達成するために、本発明の画像形成装置の制御方法は、トナー及びキャリアを含む少なくとも2成分の乾式現像剤を用いる現像ユニットを備える電子写真方式の画像形成装置の制御方法において、前記現像ユニットに前記現像剤を用いてトナー像を形成させる現像動作を実行させる第1の制御ステップと、前記現像ユニットを空回転させることにより前記現像ユニットが用いる前記現像剤のトナーの帯電量を制御する第2の制御ステップと、前記形成されたトナー像の現像剤の濃度を検出するトナー濃度検出ステップと、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度に応じて、前記第2の制御ステップにおける前記現像ユニットの空回転を制御する第3の制御ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トナー像の現像剤の濃度を検出し、検出したトナー像の現像剤の濃度に応じて現像ユニットの空回転を制御するので、現像ユニットを空回転させる時間を低減させることができる。これにより、現像剤の帯電量を上昇させるために必要な待ち時間を短縮して画像形成装置の使い勝手を向上させることができる。また、乾式現像剤のトナー及びキャリアを長寿命化させて、トナーの交換頻度を低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す縦断面図である。
【0014】
図1に示す電子写真カラー複写機100は、原稿の画像を光学的に読み取って画像情報を電気的な画像信号として取得する画像読取部1Rと、画像読取部1Rから受信した画像情報に基づいて後述する中間転写体に画像を形成する画像出力部1Pとを備える電子写真方式の画像形成装置である。
【0015】
図1において、画像出力部1Pは、画像形成部10と、給紙ユニット20と、中間転写ユニット30と、定着ユニット40と、クリーニングユニット50と、後述する図2の制御ユニット80とを備える。
【0016】
以下、各ユニットについて詳細に説明する。
【0017】
画像形成部10は、インライン式に並設された例えば4つの同一構成の画像形成ステーション10a,10b,10c,10dを備える。各画像形成ステーション10a〜10dにおいては、第1の像担持体であるドラム状の電子写真感光体としての感光ドラム11a,11b,11c,11dが回転自在にその中心で軸支されており、図1の矢印方向Aに回転駆動される。
【0018】
また、感光ドラム11a〜11dの外周面に対面してその回転方向に、一次帯電器12a,12b,12c,12dと、画像読取部1Rから画像情報が送信される光学系13a,13b,13c,13dと、折り返しミラー16a,16b,16c,16dと、及び現像装置14a,14b,14c,14dと、及びクリーニング装置15a,15b,15c,15dとが配置されている。光学系13a〜13dは、感光ドラム11a〜11dを露光するための露光部として機能する。
【0019】
現像装置14a〜14dは、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの現像剤を不図示のアジテータ(agitator)にそれぞれ収納している。現像剤は、対応する色のトナー及びキャリアを含む少なくとも2成分の乾式現像剤である。各アジテータは所定の方向に回転可能に構成されており、この回転によって、現像装置14a〜14dは、内部に収納されている現像剤の各成分を混合攪拌して摩擦帯電させて、現像に必要な帯電量を現像剤に付与している。これにより、画像濃度を安定化させることができる。また、アジテータの回転は、現像時に限られることはなく、現像時以外においても実行される。具体的には、現像装置14a〜14dは、前回の運転時におけるアジテータの回転時間、現像剤中のトナーの消費量、環境温度、環境湿度、トナーの交換頻度などの様々な影響を受けて低下したトナーの帯電量を上昇させるためにアジテータを空回転可能に構成されている。
【0020】
一次帯電器12a〜12dは、感光ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量となるように電荷を付与する。次いで、光学系13a〜13dは、画像読取部1Rからの画像信号に応じて変調した波長の、例えばレーザービームなどの光線によって、折り返しミラー16a〜16dを介して感光ドラム11a〜11dを露光する。これにより、感光ドラム11a〜11d上に静電潜像を形成する。
【0021】
更に、現像装置14a〜14dによって上記静電潜像を顕像化(現像)する。顕像化された可視画像をベルト状の中間転写体である中間転写ベルト31に一次転写領域Td,Tc,Tb,Taにおいて順次転写する。中間転写ベルト31は、中間転写ユニット30の構成要素の1つであり、第2の像担持体として機能する。なお、中間転写ユニット30については、後で詳述する。
【0022】
感光ドラム11a〜11dが回転して、一次転写領域Ta,Tb,Tc,Tdの下流では、クリーニング装置15a〜15dにより、中間転写ベルト31に転写されずに感光ドラム11a〜11d上に残されたトナーを掻き落として感光ドラム11a〜11dの表面の清掃を行う。
【0023】
以上に示したプロセスにより、各トナーによる画像形成が順次行われる。
【0024】
給紙ユニット20は、転写材Pを収納するためのカセット21a,21b及び手差しトレイ27(以下、「給紙段」という)と、3つの給紙段のそれぞれから転写材Pを1枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22a,22b,26と、ピックアップローラ22a,22b,26のいずれかにより送り出された転写材Pを搬送するための給紙ガイド24及び給紙ローラ対23と、各画像形成ステーション10a〜10dの画像形成タイミングに合わせて転写材Pを二次転写領域Teへ送り出すためのレジストローラ25a,25bとを備える。
【0025】
中間転写ユニット30について詳細に説明する。
【0026】
中間転写ベルト31は、中間転写ベルト31に駆動を伝達する巻架ローラとしての駆動ローラ32と、ばね(図示せず)の付勢によって中間転写ベルト31に適度なテンションを与えるテンションローラとしての従動ローラ33と、中間転写ベルト31を挟んで二次転写領域Teに対向する対向ローラ34とに巻架される。中間転写ベルト31の材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)などが用いられる。駆動ローラ32は、厚さが数mmのゴム(ウレタンゴム又はクロロプレンゴム)が表面にコーティングされた金属ローラから成り、コーティングにより、中間転写ベルト31とのスリップを防止している。駆動ローラ32は、パルスモータ(不図示)によって図1の矢印B方向へ回転駆動される。従動ローラ33は、中間転写ベルト31の回動に従動する。
【0027】
駆動ローラ32と従動ローラ33との間に一次転写平面Aが形成される。一次転写平面Aは、画像形成ステーション10a〜10dに対面し、各感光ドラム11a〜11dが一次転写平面Aに対面するように構成されている。よって、一次転写平面Aに一次転写領域Ta〜Tdが位置することになる。また、一次転写平面A上における画像形成ステーション10a〜10d下流の位置であって、駆動ローラ32にて中間転写ベルト31が折り返される前の位置には、後述する図3のトナーパターン読み取りセンサ60が設けられている。
【0028】
一次転写領域Ta〜Tdには、中間転写ベルト31を介して各感光ドラム11a〜11dと対向する一次転写用帯電器35a,35b,35c,35dが配置されている。一方、対向ローラ34に中間転写ベルト31を介して対向して配置された二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31とのニップによって二次転写領域Teを形成する。二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31に対して適度な圧力で加圧されている。
【0029】
クリーニングユニット50は、中間転写ベルト31上の二次転写領域Teの下流に配置されている。クリーニングユニット50は、中間転写ベルト31上のトナーを除去するためのクリーニングブレード51と、廃トナーを収納する廃トナーボックス52とを備え、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングする。
【0030】
定着ユニット40は、内部にハロゲンヒーターなどの熱源を備えた定着ローラ41aと、定着ローラ41aに加圧される定着ローラ41bと、定着ローラ対(定着ローラ41a,41b)のニップ部へ転写材Pを導くためのガイド43と、定着ユニットの熱を内部に閉じ込めるための定着断熱カバー46,47と、上記定着ローラ対から排出されてきた転写材Pをさらに複写機100の外部へ導き出すための内排紙ローラ対44及び外排紙ローラ対45とを備える。なお、定着ローラ41bにも熱源を備えてもよい。複写機100の外部に導き出された転写材Pは、排紙トレイ48上に積載される。
【0031】
図2は、図1における制御ユニット80の構成を概略的に示すブロック図である。
【0032】
図2において、制御ユニット80は、複写機100全体を統括的に制御するCPU81と、CPU81が複写機100全体を制御するために使用するプログラムなどを格納するROM82と、CPU81のワークエリアとして機能するRAM83と、これらを互いに接続する内部バス84とを備える。CPU81は、上記各ユニット及び後述するトナーパターン読み取りセンサ60に接続されている。ROM82に格納されているプログラムとしては、後述する図4及び図5に対応するフローチャートに対応するプログラムがある。また、RAM83には、図3で後述するトナーパターン70のトナー濃度の基準値が予め格納されている。この基準値は、複写機100に固有の特性が反映されるように予め実験等により決定されることが好ましい。
【0033】
図3は、図1におけるトナーパターン読み取りセンサ60の構成を詳細に示すブロック図である。
【0034】
図3において、トナーパターン読み取りセンサ60は、中間転写ベルト31に向かって光を照射する発光素子(LED)60aと、受光した光を電気的な信号に変換するフォトダイオード及びトランジスタで構成されたフォトトランジスタ(PT)60bとを備える。PT60bは、受光回路(不図示)に接続されており、この受光回路もCPU81に接続されており、PT60bからの信号をCPU81に入力する。
【0035】
トナーパターン読み取りセンサ60は、中間転写ベルト31上に形成された所定のトナー像(以下、「トナーパターン」という)70から受光した光の光量に基づいてトナーパターン70のトナー濃度を検出する。なお、LED60aから照射された光の反射光に関して、パターン70のからの反射光の光量は、中間転写ベルト31からの反射光の光量よりも少ない。トナーパターン70は、各現像装置14a〜14dが各感光ドラム11a〜11dを介して中間転写ベルト31上に形成したものである。したがって、各現像装置14a〜14dのアジテータは、トナーパターン70の形成中にもトナーの帯電量を上昇させるために回転を行っている。
【0036】
次に、図1の複写機100の動作について説明する。
【0037】
CPU81により画像形成動作開始信号が発せられると、選択された用紙サイズなどに対応する給紙段、例えば上段の給紙段(カセット21a)から給紙動作を開始する。
【0038】
まず、ピックアップローラ22aにより、カセット21aから転写材Pが1枚ずつ送り出される。そして、給紙ローラ対23によって転写材Pが給紙ガイド24の搬送パスを案内されてレジストローラ25a,25bまで搬送される。その時、レジストローラ25a,25bは停止しており、転写材Pの先端はニップ部に突き当たる。その後のレジストローラ25a,25bの回転開始のタイミングは、レジストローラ25a,25bから搬送される転写材Pと、画像形成ステーション10a〜10dにより中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー像とが二次転写領域Teにおいて一致するように設定されている。
【0039】
一方、画像形成部10では、CPU81により画像形成動作開始信号が発せられると、上述したプロセスにより中間転写ベルト31の回転方向Bにおいて、一番上流にある感光ドラム11d上に形成されたトナー像が、高電圧が印加された一次転写用帯電器35dによって一次転写領域Tdにおいて中間転写ベルト31上に一次転写される。一次転写されたトナー像は次の一次転写領域Tcまで搬送される。そこでは、各画像形成ステーション10d〜10a間をトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われており、前画像の上にレジストレーション(画像位置)を合わせて、その次のトナー像が転写される。一次転写領域Tb,Taについても同様の工程が繰り返され、結局、4色のトナー像が中間転写ベルト31上に一次転写される。
【0040】
その後、転写材Pが二次転写領域Teに進入して、中間転写ベルト31に接触すると、転写材Pの通過タイミングに合わせて二次転写ローラ36に高電圧を印加する。これにより、上述したプロセスによって中間転写ベルト31上に形成された4色のトナー像が転写材Pの表面に一括転写される。その後、転写材Pは、搬送ガイド43によって、定着ローラ対のニップ部まで正確に案内される。そして、定着ローラ対の熱及びニップ部の圧力によってトナー像が転写材Pの表面に定着される。その後、内外排紙ローラ対44,45により搬送されて、排紙トレイ48上に積載される。
【0041】
次に、現像装置14a〜14dのアジテータの空回転の回数を制御するための空回転制御処理について説明する。この空回転制御処理では、トナーパターン読み取りセンサ60によって検出されたトナーパターン70のトナー濃度を利用する。
【0042】
図4は、図1の複写機100によって実行される第1の空回転制御処理のフローチャートである。
【0043】
図4において、まず、複写機100の電源が投入された後であって、プリント開始の指示を待機するためのプリントスタンバイ状態になる前に(ステップS100)、各現像装置14a〜14dは、各感光ドラム11a〜11dを介して中間転写ベルト31上にトナーパターン70を形成し(ステップS102)、トナーパターン読み取りセンサ60がトナーパターン70を読み取ることにより、即ちトナーパターン70からの反射光の光量を検出することにより、トナーパターン70のトナー濃度を検出する(ステップS103)。なお、ステップS100の処理の実行開始からステップS102の処理の実行終了までの時間は例えば10秒間である。
【0044】
続くステップS104では、検出したトナーパターン70のトナー濃度を、RAM83に格納されている基準値と比較し、該比較の結果、トナーパターン70のトナー濃度が基準値未満であるか否かを判別する。トナーパターン70のトナー濃度が基準値未満であるときは、トナーの帯電量を上昇させるために現像装置14a〜14dのアジテータを、例えば80秒間空回転させ(ステップS105)、プリントスタンバイ状態に移行する(ステップS106)。なお、プリントスタンバイ状態に移行する前に、プリント開始が指示されている場合には、プリントスタンバイ状態に移行することなくプリントを開始する。その後、本処理を終了する。
【0045】
一方、トナーパターン70のトナー濃度が基準値以上であるときは、ステップS105で実行されるべき現像装置14a〜14dのアジテータの空回転をスキップするように制御される。
【0046】
なお、トナーパターン70のトナー濃度が基準値以上であるときは、ステップS105で実行されるべき現像装置14a〜14dのアジテータの空回転をスキップするように制御しているが、トナーパターン70のトナー濃度が基準値未満であるときに現像ユニットを空回転させる時間より短い最小限の空回転時間で制御してもよい。このような制御を行うことで、短時間で現像剤の帯電量を所定値に維持でき、トナー濃度検知の基準値前後の誤差検知が生じても、確実に現像剤の帯電量の上昇及びその維持ができる。
【0047】
図4の処理によれば、トナーパターン70を読み取り(ステップS103)、トナーパターン70のトナー濃度の検出結果に応じて、トナー帯電量を上昇させるための現像装置14a〜14dのアジテータの空回転を実行する(ステップS104でYES,ステップS105)か、又はその実行をスキップする(ステップS104でNO)ので、現像装置14a〜14dのアジテータを空回転させる時間を低減させることができる。これにより、迅速にプリントスタンバイ状態に移行して、現像剤の帯電量を上昇させるために必要な待ち時間を短縮して複写機100の使い勝手を向上させることができる。また、乾式現像剤のトナー及びキャリアを長寿命化させて、トナーの交換頻度を低下させることができる。
【0048】
また、現像装置14a〜14dのアジテータの空回転を実行する(ステップS105)のは、トナーパターン70のトナー濃度が基準値未満であるとき、即ちトナーの帯電量が低下していると予測できたときであるので、従来の画像形成装置のように、運転休止が所定時間を経過したときのみに現像装置14a〜14dのアジテータの空回転を実行することに比べて、現像装置14a〜14dのアジテータの空回転による運転開始までの待ち時間が頻繁に発生するのを防止して、迅速にプリントスタンバイ状態に移行することができる。
【0049】
なお、図4の処理において、現像装置14a〜14dのアジテータを空回転させる時間は、例えば80秒間であるとしたが、トナーパターン70の形成までに現像装置14a〜14dのアジテータを回転させる時間である10秒間を差し引いて70秒間としてもよい。
【0050】
図5は、図1の複写機100によって実行される第2の空回転制御処理のフローチャートである。
【0051】
図5のステップS200の処理、及びステップS202〜S206の処理は、図4のステップS100の処理、及びステップS102〜S106の処理と同様であるので、以下、異なる点のみ説明する。
【0052】
図5のステップS201では、複写機100の内部に設けられたタイマを用いて、所定時間を計時する。この所定時間は、現像装置14a〜14dのアジテータの回転が行われない時間、即ち運転休止時間であればいかなる時間であってもよいが、例えば、電源がオフになってからステップS200で電源が投入(オン)になるまでの時間であってもよいし、省エネモードに移行してから省エネモードを解除するまでの時間であってもよい。このような所定時間は、RAM83に予め格納されている。
【0053】
このような所定時間が経過したときは(ステップS201でYES)、図4のステップS102〜S106と同様の処理を行って(ステップS202〜S206)本処理を終了する。一方、所定時間が経過していないときは(ステップS201でNO)、プリントスタンバイ状態に移行する。
【0054】
図5の処理によれば、図4の処理と同等の効果を奏することができる。
【0055】
また、図4の処理に比べて、トナーパターン70を形成する頻度を低下させることができるので、現像剤の消費量を低減させることができる。
【0056】
なお、上記実施の形態において、複写機100は、図4の処理と図5の処理の双方を実行可能に構成されていてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態において、現像装置14a〜14dのアジテータを空回転させる時間は、80秒間であるとしたが、予め実験等で決定されることが好ましい。例えば、トナーパターン70のトナー濃度の値と、トナーの帯電量が基準値になるまでに必要なアジテータの空回転の時間又は回数との相関関係を調べて、その結果をテーブルとしてRAM83に格納させることが好ましい。これにより、トナーパターン70のトナー濃度の値の大きさに基づいて現像装置14a〜14dのアジテータを空回転させる時間又は回数を可変的に制御することができる。
【0058】
また、上記実施の形態において、トナーを帯電させるためにアジテータを用いて現像剤を混合撹拌したが、アジテータに限られることはなく、現像剤を混合撹拌することができるものであればいかなるものであってもよい。
【0059】
また、本発明の目的は、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPUなど)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0060】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上記実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0061】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。又は、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0062】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0063】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の実施の形態に係る画像形成装置は、現像剤に含まれるトナーを帯電させる画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図1における制御ユニットの構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図1におけるトナーパターン読み取りセンサの構成を詳細に示すブロック図である。
【図4】図1の画像形成装置によって実行される第1の空回転制御処理のフローチャートである。
【図5】図1の画像形成装置によって実行される第2の空回転制御処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 画像形成部
10a,10b,10c,10d 画像形成ステーション
11a,11b,11c,11d 感光ドラム
14a,14b,14c,14d 現像装置
31 中間転写ベルト
60 トナーパターン読み取りセンサ
70 トナーパターン
80 制御ユニット
100 電子写真カラー複写機
1R 画像読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー及びキャリアを含む少なくとも2成分の乾式現像剤を用いる現像ユニットを備える電子写真方式の画像形成装置において、前記現像ユニットに前記現像剤を用いてトナー像を形成させる現像動作を実行させる第1の制御手段と、前記現像ユニットを空回転させることにより前記現像ユニットが用いる前記現像剤のトナーの帯電量を制御する第2の制御手段と、前記形成されたトナー像の現像剤の濃度を検出するトナー濃度検出手段と、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度に応じて、前記第2の制御手段による前記現像ユニットの空回転を制御する第3の制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第3の制御手段は、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度が所定値よりも低いときは、前記現像ユニットを空回転させる時間が長くなるように前記第2の制御手段を制御し、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度が所定値以上であるときは、前記現像ユニットを空回転させる時間が短くなるように前記第2の制御手段を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第3の制御手段は、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度が所定値以上であるときは、前記現像ユニットの空回転の実行をスキップするように前記第2の制御手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナー及びキャリアを含む少なくとも2成分の乾式現像剤を用いる現像ユニットを備える電子写真方式の画像形成装置の制御方法において、前記現像ユニットに前記現像剤を用いてトナー像を形成させる現像動作を実行させる第1の制御ステップと、前記現像ユニットを空回転させることにより前記現像ユニットが用いる前記現像剤のトナーの帯電量を制御する第2の制御ステップと、前記形成されたトナー像の現像剤の濃度を検出するトナー濃度検出ステップと、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度に応じて、前記第2の制御ステップにおける前記現像ユニットの空回転を制御する第3の制御ステップとを有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
前記第3の制御ステップは、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度が所定値よりも低いときは、前記現像ユニットを空回転させる時間が長くなるように前記第2の制御ステップの実行を制御し、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度が所定値以上であるときは、前記現像ユニットを空回転させる時間が短くなるように前記第2の制御ステップの実行を制御することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
前記第3の制御ステップは、前記検出されたトナー像の現像剤の濃度が所定値以上であるときは、前記現像ユニットの空回転の実行をスキップするように前記第2の制御ステップの実行を制御することを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−41316(P2007−41316A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225845(P2005−225845)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】