説明

画像形成装置、情報処理装置、及びプログラム

【課題】補助装置の電源オンが画像形成装置の制御によるものか補助装置の事情によるものかを区別して認識する。
【解決手段】本体装置10とオプション装置20とからなる画像形成装置1である。本体装置10は、電源オンを検出する電力検出部15と、電源オンになるとオプション装置20に初期コマンドを送信し、オプション装置20からリセット通知を受信する通信I/F部19と、リセット通知の受信に応じて所定の処理を行う制御部11とを備える。また、オプション装置20は、電源オンを検出する電力検出部25と、電源オンを検出すると初期コマンド待ち状態になる制御部21と、その状態で通常コマンドを連続して所定回数以上又は所定時間以上受信すると、本体装置10にリセット通知を送信する通信I/F部29とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、情報処理装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複写機等の画像形成装置では、基本的な動作を行う本体装置に対してその動作を補助する補助装置(例えば、オプション機器)を接続することにより、本体装置の基本的な機能を拡張できるようになっている。ここで、補助装置としては、例えば、大容量給紙トレイ(HCF)、シートフィーダ、フィニッシャ等がある。
ところで、本体装置とこれらの補助装置とは、単に機械的に連結されるだけでなく、本体装置からの指示を補助装置に与えたり、補助装置の状態を本体装置へ知らせたりするために、電気的にも接続されている。画像形成の指示が与えられたときに画像形成装置が実行すべき動作は、これらの補助装置の接続状況によって異なってくるので、本体装置側では、予めこれらの補助装置が接続されているかどうかを知っておく必要がある。
【0003】
そこで、従来、オプション機器の接続状態を検知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、電源投入時にオプション機器の接続状態を検知し、検知された接続状態が接続無しから接続有りに変化した部分については不揮発性メモリに接続有りのデータを書き込み、検知された接続状態が接続有りから接続無しに変化した部分については通信エラーが発生した旨の信号を操作部に出力している。
【0004】
【特許文献1】特開平8−202207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、画像形成の動作を補助する補助装置の電源がオンになるのは、画像形成装置の制御による場合と、補助装置の事情による場合とがあるが、これらを区別して認識することはできなかった。
本発明の目的は、補助装置の電源オンが画像形成装置の制御によるものか補助装置の事情によるものかを区別して認識することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段による画像形成の動作を補助する補助手段とを備え、前記画像形成手段は、当該画像形成手段の電源オンに応じて特定信号を送信し、前記補助手段は、当該補助手段の電源オンの後における前記特定信号の受信状況に基づいて、当該電源オンが前記画像形成手段の制御によるものか当該補助手段の事情によるものかを判定し、当該補助手段の事情によるものであると判定した場合に、その旨を示すリセット信号を当該画像形成手段に送信することを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記補助手段は、当該補助手段の電源オンの後に前記特定信号以外の信号を連続して所定回数以上又は所定時間以上受信した場合に、当該電源オンが当該補助手段の事情によるものであると判定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記画像形成手段は、前記補助手段から前記リセット信号を受信すると、当該補助手段の電源が当該補助手段の事情によりオンになった旨の情報を外部に出力することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記画像形成手段は、前記補助手段から前記リセット信号を受信すると、当該補助手段に前記特定信号を送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記画像形成手段は、前記補助手段から前記リセット信号を所定回数以上受信すると、当該補助手段に前記特定信号を送信しないことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記画像形成手段は、前記補助手段から前記リセット信号を受信すると当該補助手段に前記特定信号を送信すべき旨の設定がなされていない場合に、当該補助手段に当該特定信号を送信しないことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、他の装置から第1の信号を受信する受信手段と、前記他の装置に第2の信号を送信する送信手段と、自装置の電源オンの後に、前記他の装置がその電源オンに応じて送信する初期信号以外の通常信号を前記受信手段が前記第1の信号として受信した場合に、当該通常信号の受信状況に基づいて、自装置の電源オンが当該他の装置の制御によるものか自装置の事情によるものかを判定する判定手段と、前記判定手段により自装置の電源オンが自装置の事情によるものであると判定された場合に、その旨を示すリセット信号を前記送信手段が前記第2の信号として送信することを決定する決定手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記判定手段は、自装置の電源オンの後に前記通常信号を前記受信手段が連続して所定回数以上又は所定時間以上受信した場合に、当該電源オンが自装置の事情によるものであると判定することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、他の装置から第1の信号を受信する機能と、前記他の装置に第2の信号を送信する機能と、自装置の電源オンの後に、前記他の装置がその電源オンに応じて送信する初期信号以外の通常信号を前記第1の信号として受信した場合に、当該通常信号の受信状況に基づいて、自装置の電源オンが当該他の装置の制御によるものか自装置の事情によるものかを判定する機能と、自装置の電源オンが自装置の事情によるものであると判定された場合に、その旨を示すリセット信号を前記第2の信号として送信することを決定する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、補助手段の電源オンが画像形成手段の制御によるものか補助手段の事情によるものかを区別して認識することができる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、補助手段の電源オンが画像形成手段の制御によるものか補助手段の事情によるものかの区別を容易に行うことができる。
請求項3の発明によれば、補助手段の電源が自身の事情によりオンになったことを画像形成手段の外部から知ることができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、補助手段が自身の事情により電源オンになった後にその機能を復旧できる可能性が高まる。
請求項5の発明によれば、補助手段が自身の事情により電源オンになった後に、その機能を復旧できる可能性が低いにも関わらず復旧させようとする無駄を軽減することができる。
請求項6の発明によれば、補助手段が自身の事情により電源オンになった後にその機能を復旧するかどうかを、設定によりコントロールすることができる。
請求項7の発明によれば、自装置の電源オンが他の装置の制御によるものか自装置の事情によるものかを区別して認識することができる。
請求項8の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、自装置の電源オンが他の装置の制御によるものか自装置の事情によるものかの区別を容易に行うことができる。
請求項9の発明によれば、自装置の電源オンが他の装置の制御によるものか自装置の事情によるものかを区別して認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
本実施の形態では、基本的な動作を行う本体装置に対してその動作を補助する補助装置の一例であるオプション装置が接続された画像形成装置を考える。
このような画像形成装置では、オプション装置が電気的な原因により単独でリセットされる場合がある。通常、オプション装置は本体装置から電力を供給されているので、電源オンも本体装置の制御によりなされるのが正常な状態である。リセットとは、このように正常に電源オンがなされるのではなく、オプション装置独自の事情により電源オンがなされることをいう。尚、リセットには、ハードウェアリセットとソフトウェアリセットとがあるが、このうち、ハードウェアリセットについては次のような原因が考えられる。即ち、コンセントプラグやコネクタの接触不良、供給電力不足等の電源事情の悪い環境下で想定以上の電圧降下が発生し、本体装置とオプション装置の駆動電圧の違い等からオプション装置の電源のみが瞬断してしまうといったことである。
【0009】
このようなオプション装置のリセットは、本当の意味での通信の異常(通信線の切断や接触不良、通信制御回路の異常、通信制御ソフトウェアの異常等)ではない。それにも関わらず、通信フェイルとして検知してしまうこともあり、非常に紛らわしい。そのため、異常部分を探すのに時間がかかることとなってしまう。例えば、原因がコンセントやコネクタの接触不良である場合は、ユーザに処置を促すことで直ぐに復旧できたかもしれない。しかしながら、ユーザは、異常の原因が分からないので、余計な問い合わせ等を行うことになる。更に、本当の意味での通信の異常ではないため、通信の再開によって復旧可能であるが、ユーザが本体装置の電源をオフ/オンすることで復旧することもあり、極めて不便な状況になっている。
【0010】
そこで、本実施の形態では、オプション装置の電源がオンになった場合に、電源オンが正常な起動によるものかリセットによるものかを、本体装置からの信号の受信状況に基づいて判断するようにした。そして、電源オンがリセットによるものと判断したとき、オプション装置はその旨を本体装置に通知するようにした。
【0011】
以下、本実施の形態について具体的に説明する。
まず、本実施の形態における信号の送受信について説明する。尚、ここでは、本体装置を「マスタ」、オプション装置を「スレーブ」と呼ぶことにする。
【0012】
図1は、本当の意味での通信異常を通信フェイルとして検知する際の信号の送受信を示したシーケンス図である。尚、一般には、1つのマスタに複数のスレーブが接続されており、マスタは、複数のスレーブの各々に順次信号を送信する。しかしながら、ここでは説明を簡単にするため、1つのマスタと1つのスレーブとの間の信号の送受信を示している。
【0013】
図示するように、期間30では、マスタが送信した初期コマンドに対して初期応答がスレーブから返ってきており、正常に通信が行われている。この初期コマンドは、マスタの電源がオンになると初期の段階でスレーブに対して送信するコマンドである。例えば、スレーブを初期化する初期化シーケンスを実行するためのコマンドが挙げられる。ここで、初期化とは、スレーブがマスタと整合した動作を行うために必要な設定情報を伝えることである。この設定情報には、例えば、印字速度に関する情報や、用紙に対する印字位置を微調整するための情報等がある。尚、このようにマスタが初期コマンドを送信するときは、スレーブも電源がオンになった直後であり、スレーブは、マスタからのコマンドが初期コマンドでなければ応答しないようになっている。
【0014】
その後、期間31では、マスタが送信した通常コマンドに対して通常応答がスレーブから返ってきており、正常な通信が継続している。この通常コマンドは、ここでは、初期コマンド以外の如何なるコマンドであってもよい。つまり、スレーブに対して実際の動作を指示するコマンドでもよいし、空コマンドでもよい。尚、このとき、スレーブは、既に初期コマンドを受信しているので、如何なるコマンドにも無条件に応答するようになっている。
【0015】
一方、期間32では、マスタが送信した通常コマンドに対して何らかの原因で通常応答が返ってこなくなっている。この場合、マスタは同じコマンドをスレーブに再送する。
そして、時点33では、所定回数のコマンドの送信に対してスレーブから応答がないこと、或いは、所定時間にわたってコマンドに対するスレーブからの応答がないことが検出される。この場合、通信フェイルと判断する。
【0016】
図2は、スレーブのリセットを検知する際の信号の送受信を示したシーケンス図である。尚、既述の通り、一般には、1つのマスタに複数のスレーブが接続されるが、ここでも、説明を簡単にするため、1つのマスタと1つのスレーブとの間の信号の送受信を示している。
【0017】
図示するように、期間40では、マスタが送信した初期コマンドに対して初期応答がスレーブから返ってきており、正常に通信が行われている。ここで、初期コマンドについては、図1を参照して説明した通りである。尚、このとき、スレーブは、上述したように、マスタからのコマンドが初期コマンドでなければ応答しないようになっている。
その後、期間41では、マスタが送信した通常コマンドに対して通常応答がスレーブから返ってきており、正常な通信が継続している。ここで、通常コマンドについても、図1を参照して説明した通りである。尚、このとき、スレーブは、既に初期コマンドを受信しているので、如何なるコマンドにも無条件に応答するようになっている。
【0018】
その後、スレーブでは、時点42でノイズ等によりリセットが発生したとする。この場合、スレーブは、電源がオンになった時と同様、初期コマンドの受信を待機する状態となる。
従って、期間43において、マスタはスレーブに対して通常コマンドを送信するが、スレーブはこれに対して応答しない。
但し、期間44を経過した時点で、スレーブは通常コマンドを所定時間又は所定回数連続して受信したとする。これにより、時点45でスレーブはリセット通知をマスタに送信する。尚、このとき、マスタは、後述するように、期間40で送信した初期コマンドをスレーブに再送してもよいが、ここでは、通常コマンドをスレーブに送信している。一方で、スレーブは、初期コマンドの受信を待機する状態となっているため、通常コマンドに対して応答は行わない。
但し、先に述べたように、スレーブは時点45でマスタにリセット通知を送信しているので、マスタは、時点46ではスレーブのリセットを検知していることになる。
【0019】
次に、このような検知動作を行う画像形成装置1について説明する。
図3は、画像形成装置1の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、本実施の形態における画像形成装置1は、本体装置10と、オプション装置20とからなる。このうち、本体装置10は、画像形成に関する基本的な動作を行う装置である。また、オプション装置20は、本体装置10の機能を拡張するために接続される装置である。尚、図では、オプション装置20を1台しか示していないが、複数台のオプション装置20が接続されていてもよい。つまり、図のオプション装置20は、複数台のオプション装置のうちの1台を代表として示したものである。
【0020】
まず、本体装置10内の構成を説明する。本体装置10は、制御部11と、ユーザインターフェース(以下、「ユーザI/F」という)部12と、画像読取部13と、画像形成部14と、電力検出部15と、記憶部16と、通信インターフェース(以下、「通信I/F」)部19とを備える。このように、本体装置10は画像形成部14を有しているので、本体装置10のみを画像形成装置と呼ぶ場合もある。即ち、本実施の形態では、画像形成手段の一例として、本体装置10を設けている。
【0021】
制御部11は、本体装置10全体の動作を制御する。
ユーザI/F部12は、画像形成装置1のユーザとの間のインターフェースを実現する。即ち、ユーザに情報を提示したり、ユーザからの操作を受け付けたりする。
【0022】
画像読取部13は、例えば原稿に印刷された画像を読み取ることにより、画像データを取得する。ここで、画像読取部13は、例えばスキャナであり、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものを用いるとよい。
画像形成部14は、紙等の記録媒体に画像を形成する。ここで、画像形成部14は、例えばプリンタであり、感光体に付着させたトナーを記録媒体に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いるとよい。尚、記録媒体とは、画像を印刷可能なものであれば、その材質は問わない。代表例は紙であるが、OHPシートや金属板、布等であっても構わない。
【0023】
電力検出部15は、本体装置10に対する商用電源からの電力の供給を検出し、電力が供給されている場合に、その旨を示す信号を制御部11に出力する。
記憶部16は、制御部11における処理に用いる各種情報を記憶する。各種情報としては、例えば、オプション装置20の管理情報や、オプション装置20に送信すべきコマンドがある。前者は、記憶部16中のオプション装置管理テーブルに記憶し、後者は、記憶部16中のコマンドバッファに記憶する。ここで、記憶部16は、揮発性メモリで実現しても不揮発性メモリで実現してもよい。
通信I/F部19は、オプション装置20にコマンドを送信したり、オプション装置20から応答を受信したりする。
【0024】
次に、オプション装置20内の構成を説明する。オプション装置20は、制御部21と、電力検出部25と、通信I/F部29とを備える。本実施の形態では、補助手段の一例として、オプション装置20を設けている。
【0025】
制御部21は、オプション装置20全体の動作を制御する。本実施の形態では、自装置の電源オンが他の装置の制御によるものか自装置の事情によるものかを判定する判定手段の一例として、また、自装置の電源オンが自装置の事情による場合にリセット信号を送信することを決定する決定手段の一例として、制御部21を設けている。
電力検出部25は、オプション装置20に対する商用電源からの電力の供給を検出し、電力が供給されている場合に、その旨を示す信号を制御部21に出力する。尚、本実施の形態において、オプション装置20に対する電力の供給は、本体装置10を介して行われるものとする。
【0026】
記憶部26は、制御部21における処理に用いる各種情報を記憶する。各種情報としては、例えば、本体装置10からの通常コマンドの受信状況や、本体装置10に送信すべき応答がある。前者は、記憶部26中の受信状況記憶領域に記憶し、後者は、記憶部26中の応答バッファに記憶する。ここで、記憶部26は、揮発性メモリで実現しても不揮発性メモリで実現してもよい。
通信I/F部29は、本体装置10からコマンドを受信したり、本体装置10に応答を送信したりする。本実施の形態では、他の装置から第1の信号を受信する受信手段の一例として、また、他の装置に第2の信号を送信する送信手段の一例として、通信I/F部29を設けている。
【0027】
ここで、本体装置10の記憶部16に記憶されるオプション装置管理テーブルについて具体的に説明する。
図4は、オプション装置管理テーブルの具体的な内容を示した図である。
図示するように、オプション装置管理テーブルは、装置IDと、リセット通知受信回数と、自動復旧設定とを対応付けたものとなっている。
装置IDとは、オプション装置20を一意に識別する識別情報である。ここでは、装置IDを2桁の数字で示しているが、装置IDの中にオプション装置20の種別を表す文字列を含めてもよい。この文字列としては、例えば、トレイモジュールであれば「TM」、両面印刷モジュールであれば「DUP」等が考えられる。
【0028】
リセット通知受信回数は、オプション装置20からリセット通知を受信した回数である。後述するように、この回数が所定の閾値を超えるとオプション装置20は自動復旧が不可能な状態と判断するので、この回数の情報を保持している。
自動復旧設定は、オプション装置20からリセット通知を受信した場合に、通信初期からの制御処理を開始することでオプション装置20を自動復旧すべきかどうかのユーザによる設定である。初期コマンドの送信による自動復旧を行うオプション装置20に対しては、自動復旧設定を「ON」とし、初期コマンドの送信による自動復旧を行わないオプション装置20に対しては、自動復旧設定を「OFF」とするとよい。
【0029】
次いで、画像形成装置1の動作について説明する。まず、画像形成装置1を構成する本体装置10とオプション装置20のうち、本体装置10の動作について説明する。
また、既述の通り、1台の本体装置10には複数台のオプション装置20が接続され得るが、このフローチャートも1台のオプション装置20との間の情報の送受信を想定している。複数台のオプション装置20との間の情報の送受信を想定する場合は、コマンドの送信先のオプション装置20と、応答の送信元のオプション装置20との一致をとりながら、以下の動作を行うことになる。その場合、例えば、本体装置10が送信するコマンドにオプション装置20の装置IDを含めておき、各オプション装置20は、自身の装置IDを含むコマンドを受信した場合にのみ、本体装置10に応答を返すようにすればよい。そして、本体装置10は、あるオプション装置20に対してコマンドを送信した後、所定の時間内に受信した応答をそのオプション装置20からの応答として紐付け、次のオプション装置20に対する処理に移るようにすればよい。
【0030】
図5は、本体装置10における制御部11の動作例を示したフローチャートである。尚、制御部11は、電源がオンになると、初期コマンドをオプション装置20に送信し、その後は通常コマンドをオプション装置20に送信する。即ち、本体装置10の電源がオンになると、まず、電力検出部15が、電力の供給の開始を検出し、その旨を制御部11に伝える。すると、制御部11は、初期コマンドを用意し、記憶部16のコマンドバッファに初期コマンドを格納する。そして、制御部11が通信I/F部19に初期コマンドの送信を指示し、通信I/F部19が初期コマンドを送信する。また、初期コマンドの送信が終了すると、制御部11は、記憶部16のコマンドバッファに通常コマンドを格納し、通信I/F部19が通常マンドを送信する。このようなコマンドの送信の流れの中で、制御部11は、オプション装置20に対する何らかのコマンドの送信を通信I/F部19に指示した後、この動作を実行する。
【0031】
動作を開始すると、本体装置10では、通信I/F部19がコマンドを送信してから所定の時間内にオプション装置20からの応答を受信したかどうかを、制御部11が判定する(ステップ101)。
【0032】
ここで、所定の時間内にオプション装置20からの応答を受信しなかった場合、制御部11は、通信I/F部19がコマンドを所定回数再送したかどうかを判定する(ステップ102)。そして、所定回数再送していなければ、制御部11は、通信I/F部19に同じコマンドの再送を指示する(ステップ103)。その後、ステップ101に戻り、応答を受信したかどうかを判定する。また、所定回数再送していれば、制御部11は、オプション装置20の制御を停止し、ユーザI/F部12が通信フェイルを表示するよう制御する(ステップ104)。
【0033】
一方、ステップ101でオプション装置20からの応答を受信した場合、制御部11は、それがリセット通知であるかどうかを判定する(ステップ105)。
その結果、応答がリセット通知であると判定すると、制御部11は、リセット通知の受信回数を数える(ステップ106)。具体的には、記憶部16内のオプション装置管理テーブルの該当するオプション装置20に対するリセット通知受信回数を「1」カウントアップする。その後、リセット通知の受信回数が予め設定した所定回数を超えたかどうか判定する(ステップ107)。そして、リセット通知の受信回数が所定回数を超えていれば、制御部11は、オプション装置20の制御を停止し、ユーザI/F部12が自動復旧不可を表示するよう制御する(ステップ108)。また、リセット通知の受信回数が所定回数を超えていなければ、自動復旧を実施する旨の設定がユーザによってなされているかどうかを判定する(ステップ109)。具体的には、記憶部16内のオプション装置管理テーブルの該当するオプション装置20に対する自動復旧設定が「ON」になっているかどうかを判定する。ここで、制御部11は、自動復旧を実施する旨の設定がなされていれば、通信I/F部19に初期コマンドを送信するよう指示し(ステップ110)、自動復旧を実施する旨の設定がなされていなければ、制御を停止し、ユーザI/F部12がリセットフェイルを表示するよう制御する(ステップ111)。
【0034】
また、ステップ105で応答がリセット通知でないと判定すると、制御部11は、通信I/F部19が次のコマンドを送信するよう指示する(ステップ112)。尚、この場合、記憶部16内のコマンドバッファにコマンドが格納されていれば、そのコマンドが送信されるが、コマンドバッファにコマンドが格納されていなければ、空コマンドが送信される。
尚、この動作例では、ステップ102で所定回数以上コマンドを再送したかどうかを判定していた。しかしながら、所定時間以上コマンドを再送したかどうかを判定し、所定時間以上コマンドを再送していれば、ステップ104に進むようにしてもよい。
また、この動作例では、ステップ109で自動復旧設定がなされていた場合に、無条件に初期コマンドを送信していた。しかしながら、オプション装置20がリセットされた場合、ユーザが解除可能な障害(例えば、ジャム)が発生することは多い。従って、ユーザがこの障害を解除したタイミングで、初期コマンドを送信するようにしてもよい。
【0035】
次に、オプション装置20の動作について説明する。
図6は、オプション装置20における制御部21の動作例を示したフローチャートである。制御部21は、オプション装置20の電源がオンになった直後、又は、本体装置10に対する何らかの応答の送信を通信I/F部29に指示した後、この動作を実行する。
【0036】
動作を開始すると、オプション装置20では、通信I/F部29が本体装置10からのコマンドを受信したかどうかを、制御部21が判定する(ステップ201)。このとき、本体装置10からのコマンドを受信していなければ、ステップ201を繰り返すが、本体装置10からのコマンドを受信していれば、制御部21は、現在のオプション装置20の状態が本体装置10から初期コマンドの受信を待っている状態(初期コマンド待ち状態)であるかどうかを判定する(ステップ202)。即ち、オプション装置20の電源がオンになると、まず、電力検出部25が、電力の供給の開始を検出し、その旨を制御部21に伝える。そして、制御部21は、初期コマンド待ち状態である旨を制御部21が保持しておき、ここでの判定を行う。
【0037】
ここで、制御部21が初期コマンド待ち状態でないと判定した場合、即ち、電源オン直後ではない場合、通信I/F部29が受信したコマンドは、通常コマンドであると考えられる。そこで、制御部21は、その通常コマンドに応じて通常処理を行い、通信I/F部29に通常応答を返すように指示する(ステップ203)。
【0038】
一方、制御部21が初期コマンド待ち状態であると判定した場合、即ち、電源オン直後である場合、通信I/F部29が受信したコマンドは、本体装置10も電源オン直後であれば、初期コマンドであることが考えられ、一方で、本体装置10が電源オン直後でなければ、通常コマンドであることが考えられる。そこで、制御部21は、通信I/F部29が受信したコマンドが初期コマンドであるかどうかを判定する(ステップ204)。
【0039】
その結果、通信I/F部29が受信したコマンドが初期コマンドであれば、その初期コマンドに応じて初期処理を行い、通信I/F部29に初期応答を返すように指示する(ステップ205)。尚、ここでの初期処理とは、例えば、図1の説明で述べた初期化シーケンスである。
一方、通信I/F部29が受信したコマンドが初期コマンドでなければ、つまり、通常コマンドであれば、制御部21は、通常コマンドの受信回数を数える(ステップ206)。例えば、記憶部26内の受信状況記憶領域に受信回数を記憶しておき、通常コマンドを連続して受信する度にその受信回数を「1」カウントアップしていけばよい。その後、制御部21は、この受信回数が所定回数を超えたかどうかを判定する(ステップ207)。そして、所定回数を超えていなければ、ステップ201に戻って、通信I/F部29が本体装置10からのコマンドを受信したかどうかを再び判定する。また、所定回数を超えていれば、通信I/F部29に対して本体装置10にリセット通知を送信するよう指示する(ステップ208)。
尚、この動作例では、ステップ207で所定回数以上コマンドを受信したかどうかを判定していた。しかしながら、所定時間以上コマンドを受信したかどうかを判定し、所定時間以上コマンドを受信していれば、ステップ208に進むようにしてもよい。
【0040】
ところで、これまでは、画像形成装置1を構成する本体装置10とオプション装置20との間の通信を前提に説明してきたが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、汎用のコンピュータ間で本実施の形態の動作を行うようにしてもよい。そこで、本実施の形態の動作を行う汎用のコンピュータや画像形成装置1のコンピュータ部分をコンピュータ90として、そのハードウェア構成について説明する。
図7は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0041】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態において通信フェイルを検知する際の信号の送受信を示したシーケンス図である。
【図2】本発明の実施の形態においてリセットフェイルを検知する際の信号の送受信を示したシーケンス図である。
【図3】本発明の実施の形態における画像形成装置の機能構成例を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態において用いられるオプション装置管理テーブルの具体的な内容を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態の本体装置における制御部の動作例を示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態のオプション装置における制御部の動作例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態を適用可能なコンピュータのハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0043】
1…画像形成装置、10…本体装置、11…制御部、12…ユーザI/F部、13…画像読取部、14…画像形成部、15…電力検出部、16…記憶部、19…通信I/F部、20…オプション装置、21…制御部、25…電力検出部、26…記憶部、29…通信I/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段による画像形成の動作を補助する補助手段と
を備え、
前記画像形成手段は、当該画像形成手段の電源オンに応じて特定信号を送信し、
前記補助手段は、当該補助手段の電源オンの後における前記特定信号の受信状況に基づいて、当該電源オンが前記画像形成手段の制御によるものか当該補助手段の事情によるものかを判定し、当該補助手段の事情によるものであると判定した場合に、その旨を示すリセット信号を当該画像形成手段に送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補助手段は、当該補助手段の電源オンの後に前記特定信号以外の信号を連続して所定回数以上又は所定時間以上受信した場合に、当該電源オンが当該補助手段の事情によるものであると判定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、前記補助手段から前記リセット信号を受信すると、当該補助手段の電源が当該補助手段の事情によりオンになった旨の情報を外部に出力することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、前記補助手段から前記リセット信号を受信すると、当該補助手段に前記特定信号を送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、前記補助手段から前記リセット信号を所定回数以上受信すると、当該補助手段に前記特定信号を送信しないことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成手段は、前記補助手段から前記リセット信号を受信すると当該補助手段に前記特定信号を送信すべき旨の設定がなされていない場合に、当該補助手段に当該特定信号を送信しないことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
他の装置から第1の信号を受信する受信手段と、
前記他の装置に第2の信号を送信する送信手段と、
自装置の電源オンの後に、前記他の装置がその電源オンに応じて送信する初期信号以外の通常信号を前記受信手段が前記第1の信号として受信した場合に、当該通常信号の受信状況に基づいて、自装置の電源オンが当該他の装置の制御によるものか自装置の事情によるものかを判定する判定手段と、
前記判定手段により自装置の電源オンが自装置の事情によるものであると判定された場合に、その旨を示すリセット信号を前記送信手段が前記第2の信号として送信することを決定する決定手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記判定手段は、自装置の電源オンの後に前記通常信号を前記受信手段が連続して所定回数以上又は所定時間以上受信した場合に、当該電源オンが自装置の事情によるものであると判定することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
他の装置から第1の信号を受信する機能と、
前記他の装置に第2の信号を送信する機能と、
自装置の電源オンの後に、前記他の装置がその電源オンに応じて送信する初期信号以外の通常信号を前記第1の信号として受信した場合に、当該通常信号の受信状況に基づいて、自装置の電源オンが当該他の装置の制御によるものか自装置の事情によるものかを判定する機能と、
自装置の電源オンが自装置の事情によるものであると判定された場合に、その旨を示すリセット信号を前記第2の信号として送信することを決定する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−119690(P2009−119690A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295335(P2007−295335)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】